JP2014051099A - シリコーンゴムシートおよびシリコーンゴム複層シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴム層からなること特徴とする、シリコーンゴムシート。
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを50〜100℃の温度に加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンを50〜100℃の温度に加熱して更に硬化させる工程
【選択図】なし
Description
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンを更に硬化させる工程
シリコーン塗布工程(A1):耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
賦型工程(B1):半硬化シリコーンゴムとマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C1):前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
シリコーン塗布工程(A2):マット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
圧着工程(D2):半硬化シリコーンゴムと耐熱性基材とを圧着する工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C2):前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
シリコーン塗布工程(A3):第一の耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
圧着工程(D3):半硬化シリコーンゴムと第二の耐熱性基材とを圧着する工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
シリコーン塗布工程(A4):第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
賦型工程(B4):半硬化シリコーンゴムと第二のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C4):前記第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートおよび前記第二のマット化表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
したがって、本発明によれば、高温度条件において使用されても揮発成分の発生が抑制され、耐久性が優れ、かつ良好な付着防止性を有するシリコーンゴムシートを得ることができる。このような本発明によるシリコーンゴムシートは、例えば電子機器製造や光学機器製造に用いられるクッションシートに特に適したものである。
本発明によるシリコーンゴムシートは、下記の第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴム層からなることを特徴とする。
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
液状シリコーン
液状シリコーンは、この第一加熱工程における加熱条件によって半硬化シリコーンゴムを形成可能なものであることが必要である。
好ましい液状シリコーンとしては、50〜90℃の温度条件下に、1〜10分間放置した後に、液状シリコーンが半硬化となるものを挙げることができる。
また、液状シリコーンには、必要に応じて硬化促進剤、硬化遅延剤を添加することができる。
第一加熱工程(H1)は、前述の液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程である。ここで、「半硬化」とは、圧着しようとする材料を完全密着出来る粘着性を保持している状態であり、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値を「0」とした場合において、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値が、40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。粘着性の保持状態を、液状シリコーンが変形する比率で表した場合、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの変形率を「0」とした場合、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの変形率の値が40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。
第二加熱工程(H2)は、半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程である。
第二加熱工程における加熱温度は、50〜100℃が好ましく、特に50〜90℃がこのましい。加熱温度が100℃超過ではマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートの耐久性が心配であり、一方、50℃未満では硬化に時間がかかるので好ましくない。
上記のシリコーンゴムシートは、そのシリコーンゴム層がマット化処理表面を有するものが好ましい。ここで、マット化処理表面とは、液状シリコーンの塗布および乾燥させることから形成された常法によるシリコーンゴムに比べて、シリコーンゴム表面のつやないし光沢が低減された表面をいい、表面粗さRaが0.2〜10μm、好ましくは0.4〜5μmである表面を言う。ここで、Ra(算術平均粗さ)は、JISB0601の規定より定められたものである。
本発明によるシリコーンゴム複層シートは、耐熱性基材層と、上述のシリコーンゴム層とを有することを特徴とする。
耐熱性基材は、従来からこの種のクッションシートの基材層に用いられてきた物の中から適宜選択し、本発明において用いることができる。例えば、耐熱性繊維からなるもの、耐熱性樹脂から形成されたものおよび金属からなるものを用いることができる。耐熱性繊維としては、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維またはこれらの混合物からなるものが好ましく、ネット状ないしクロス状の形態としているものが好ましい。厚みは30〜300μm、特に30〜200μmが好ましい。300μm以上ではクッション性が低下する場合があり、30μm未満では強度が低下する場合がある。
本発明によるシリコーンゴム複層シートを得るための、第一のシリコーンゴム複層シートの製造方法は、下記のシリコーン塗布工程(A1)、第一加熱工程(H1)、賦型工程(B1)、第二加熱工程(H2)および剥離工程(C1)からなることを特徴とする。
シリコーン塗布工程(A1):耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
賦型工程(B1):半硬化シリコーンゴムとマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C1):前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
このシリコーン塗布工程(A1)は、耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程である。
耐熱性基材は、従来からこの種のクッションシートの基材層に用いられてきた物の中から適宜選択し、本発明において用いることができる。例えば、耐熱性繊維からなるもの、耐熱性樹脂から形成されたものおよび金属からなるものを用いることができる。耐熱性繊維としては、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維またはこれらの混合物からなるものが好ましく、ネット状ないしクロス状の形態としているものが好ましい。厚みは30〜300μm、特に30〜200μmが好ましい。300μm以上ではクッション性が低下する場合があり、30μm未満では強度が低下する場合がある。
液状シリコーンは、この第一加熱工程における加熱条件によって半硬化シリコーンゴムを形成可能なものであることが必要である。
好ましい液状シリコーンとしては、50〜90℃の温度条件下に、1〜10分間放置した後に、液状シリコーンが半硬化となるものを挙げることができる。
耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する方法としては、特にコーティングが好ましい。
第一加熱工程(H1)は、前述の液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程である。ここで、「半硬化」とは、圧着しようとする材料を完全密着出来る粘着性を保持している状態であり、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値を「0」とした場合において、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値が、40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。粘着性の保持状態を、液状シリコーンが変形する比率で表した場合、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの変形率を「0」とした場合、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの変形率の値が40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。
賦型工程(B1)は、半硬化シリコーンゴムとマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程である。
第二加熱工程(H2)は、半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程である。
第二加熱工程における加熱温度は、50〜100℃が好ましく、特に50〜90℃がこのましい。加熱温度が100℃超過ではマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートの耐久性が心配であり、一方、50℃未満では硬化に時間がかかるので好ましくない。
この剥離工程(C1)によって、前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートが剥離されて、本発明によるシリコーンゴム複層シートが製造される。
耐熱性基材の両面にシリコーンゴム層が形成されたシリコーンゴム複層シートを得る場合には、上記剥離工程(C1)の後に、シリコーンゴム層が形成されていない耐熱性基材の面に対して、上記シリコーン塗布工程(A1)、第一加熱工程(H1)、賦型工程(B1)、第二加熱工程(H2)および剥離工程(C1)を行うことができる。このような本発明によれば、耐熱性基材層の両面にシリコーンゴム層が複層されており、これらのシリコーンゴム層のそれぞれにマット化処理表面が形成されたシリコーンゴム複層シートを得ることができる。
本発明によるシリコーンゴム複層シートを得るための、第二のシリコーンゴム複層シートの製造方法は、下記のシリコーン塗布工程(A2)、第一加熱工程(H1)、圧着工程(D2)、第二加熱工程(H2)および剥離工程(C2)からなることを特徴とする。
シリコーン塗布工程(A2):マット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
圧着工程(D2):半硬化シリコーンゴムと耐熱性基材とを圧着する工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C2):前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
このシリコーン塗布工程(A2)は、マット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程である。
マット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートは、半硬化シリコーンゴムと圧着された状態で第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)にふされることになることから、第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)に適応した耐熱性を備えたものを用いることが好ましい。そのようなマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートは、例えばポリエステル(PET)、高密度ポリエチレン(PE)等の耐熱性樹脂から形成することができる。
液状シリコーンは、第一加熱工程における加熱条件によって半硬化シリコーンゴムを形成可能なものであることが必要である。
好ましい液状シリコーンとしては、50〜90℃の温度条件下に、1〜10分間放置した後に、液状シリコーンが半硬化となるものを挙げることができる。
マット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する方法としては、特にコーティングが好ましい。
第一加熱工程(H1)は、前述の液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程である。ここで、「半硬化」とは、圧着しようとする材料を完全密着出来る粘着性を保持している状態であり、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値を「0」とした場合において、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値が、40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。粘着性の保持状態を、液状シリコーンが変形する比率で表した場合、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの変形率を「0」とした場合、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの変形率の値が40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。
この圧着工程(D2)は、半硬化シリコーンゴムと耐熱性基材とを圧着する工程である。この工程(D2)では、前記の第一加熱工程(H1)で形成された半硬化シリコーンゴムに、その粘着性が保持された状態で耐熱性基材が圧着される。
第二加熱工程(H2)は、半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程である。
第二加熱工程における加熱温度は、50〜100℃が好ましく、特に50〜90℃がこのましい。加熱温度が100℃超過ではマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートの耐久性が心配であり、一方、50℃未満では硬化に時間がかかることから好ましくない。加熱時間は、1〜10分が好ましく、特に3〜8分が好ましい。加熱時間が10分超過では作業性が悪いためであり、一方、1分未満では硬化不足であることから好ましくない。
この剥離工程(C2)によって、前記のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートが剥離されて、本発明によるシリコーンゴム複層シートが製造される。
本発明によるシリコーンゴム複層シートを得るための、第三のシリコーンゴム複層シートの製造方法は、下記のシリコーン塗布工程(A3)、第一加熱工程(H1)、圧着工程(D3)および第二加熱工程(H2)からなることを特徴とする。
シリコーン塗布工程(A3):耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
圧着工程(D3):半硬化シリコーンゴムと耐熱性基材とを圧着する工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
このシリコーン塗布工程(A3)は、耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する工程である。
耐熱性基材は、従来からこの種のクッションシートの基材層に用いられてきた物の中から適宜選択し、本発明において用いることができる。例えば、耐熱性繊維からなるもの、耐熱性樹脂から形成されたものおよび金属からなるものを用いることができる。耐熱性繊維としては、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維またはこれらの混合物からなるものが好ましく、ネット状ないしクロス状の形態としているものが好ましい。厚みは30〜300μm、特に30〜200μmが好ましい。300μm以上ではクッション性が低下する場合があり、30μm未満では強度が低下する場合がある。
液状シリコーンは、第一加熱工程における加熱条件によって半硬化シリコーンゴムを形成可能なものであることが必要である。
好ましい液状シリコーンとしては、50〜90℃の温度条件下に、1〜10分間放置した後に、液状シリコーンが半硬化となるものを挙げることができる。
耐熱性基材に液状シリコーンを塗布する方法としては、特にコーティングが好ましい。
第一加熱工程(H1)は、前述の液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程である。ここで、「半硬化」とは、圧着しようとする材料を完全密着出来る粘着性を保持している状態であり、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値を「0」とした場合において、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値が、40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。粘着性の保持状態を、液状シリコーンが変形する比率で表した場合、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの変形率を「0」とすると、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの変形率の値が40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。
この圧着工程(D3)は、半硬化シリコーンゴムと耐熱性基材とを圧着する工程である。この工程(D3)では、前記の第一加熱工程(H1)で形成された半硬化シリコーンゴムに、その粘着性が保持された状態で耐熱性基材が圧着される。
第二加熱工程(H2)は、半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程である。
第二加熱工程における加熱温度は、50〜100℃が好ましく、特に50〜90℃がこのましい。加熱温度が100℃超過ではマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートの耐久性が心配であり、一方、50℃未満では硬化に時間がかかることから好ましくない。加熱時間は、1〜10分が好ましく、特に3〜8分が好ましい。加熱時間が10分超過では作業性が悪いためであり、一方、1分未満では硬化不足であることから好ましくない。
シリコーンゴム層がマット化処理表面を有する本発明によるシリコーンゴムシートを得るための好ましい製造方法としては、下記のシリコーン塗布工程(A4)、第一加熱工程(H1)、賦型工程(B4)、第二加熱工程(H2)および剥離工程(C4)からなるものを挙げることができる。この本発明によるシリコーンゴムシートの製造方法によれば、1層のシリコーンゴムシートの両面にマット化処理表面を有するシリコーンゴムシートを得ることができる。
シリコーン塗布工程(A4):第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
賦型工程(B4):半硬化シリコーンゴムと第二のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程
剥離工程(C4):前記第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートおよび前記第二のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートを剥離する工程
このシリコーンゴム塗布工程(A4)は、第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する工程である。
シリコーンゴムシートの製造方法において用いられる第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートおよび第二のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートは、半硬化シリコーンゴムと圧着された状態で第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)に付されることになることから、第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)に適応した耐熱性を備えたものを用いることが好ましい。そのようなマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートは、例えばポリエステル(PET)、高密度ポリエチレン(PE)等の耐熱性樹脂から形成することができる。
液状シリコーンは、この第一加熱工程における加熱条件によって半硬化シリコーンゴムを形成可能なものであることが必要である。
好ましい液状シリコーンとしては、50〜90℃の温度条件下に、1〜10分間放置した後に、液状シリコーンが半硬化となるものを挙げることができる。
第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートに液状シリコーンを塗布する方法としては、特にコーティングが好ましい。
第一加熱工程(H1)は、前述の液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程である。ここで、「半硬化」とは、圧着しようとする材料を完全密着出来る粘着性を保持している状態であり、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値を「0」とした場合において、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの粘着性保持の値が、40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。粘着性の保持状態を、液状シリコーンが変形する比率で表した場合、第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴムの変形率を「0」とした場合、この第一加熱工程(H1)によって形成されたシリコーンゴムの変形率の値が40〜70の範囲内(好ましくは50〜60の範囲内)であることを意味する。
このような第一加熱工程によって、液状シリコーンを加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させることによって、好ましい粘着状態を有する半硬化シリコーンゴムを形成させることができる。加熱時間は、1〜10分が好ましく、特に3〜8分が好ましい。加熱時間が10分超過では作業性が悪いためであり、一方、1分未満では半硬化の調整が困難であることから好ましくない。
賦型工程(B4)は、半硬化シリコーンゴムとマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートとを圧着して、半硬化シリコーンゴムにマット化処理表面を形成させる工程である。
第二加熱工程(H2)は、半硬化シリコーンゴムを更に硬化させる工程である。
第二加熱工程における加熱温度は、50〜100℃が好ましく、特に50〜90℃がこのましい。加熱温度が100℃超過ではマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートの耐久性が心配であり、一方、50℃未満では硬化に時間がかかることから好ましくない。加熱時間は、1〜10分が好ましく、特に3〜8分が好ましい。加熱時間が10分超過では作業性が悪いためであり、一方、1分未満では硬化不足であることから好ましくない。
この剥離工程(C4)によって、前記の第一のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートおよび前記第二のマット化処理表面形成用賦型フィルムまたはシートが剥離されて、本発明によるシリコーンゴム複層シートが製造される。
上述した本発明によるシリコーンゴムシートおよび本発明によるシリコーンゴム複層シートには、フッ素ゴム層を表面層として形成することができる。
本発明は、そのようなフッ素ゴム層が表面層として形成されたシリコーンゴム複層シート、ならびに上記の第一〜第三のシリコーンゴム複層シートの製造方法によって得られたシリコーンゴム複層シートの少なくとも一方の面にフッ素ゴム層を形成することを特徴とするシリコーンゴム複層シートの製造方法に関するものである。
(1)シリコーンゴムとガラスクロスの複層体
前記複層体を得るための工程は、(イ)液状シリコーン調合、(ロ)液状シリコーンの基材への塗工、(ハ)第1加熱工程の最適加熱温度の設定、(ニ)第2加熱工程の最適加熱温度の設定、(ホ)前記の(ハ)、(ニ)最適条件での賦型工程の最適耐熱フィルムまたはシートの設定、(ヘ)前記の(ハ)、(ニ)、(ホ)最適条件での複層体作製の順で実施した。
(i)滑り性
鏡面状ガラス板の上へシリコーンゴム複層シート表面を水平状態で置き、上から加圧用ロールにて一定荷重をかけ、鏡面状ガラス板とシリコーンゴム複層シートを垂直状態にして鏡面状ガラス板表面への貼り付きの有無を確認し比較した。
PETフィルムを5mm角にカットし9枚並べ異物と見立て、上へシリコーンゴム複層シート表面を水平状態で置き、上から加圧用ロールにて一定荷重をかけ、シリコーンゴム複層シートの表面を垂直状態にして、前記5mm角のPETフィルムの付着状態を確認し、比較した。
(1)シリコーンゴムとガラスクロスの複層体
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例1と同様の液状高熱伝導性シリコーンAを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性シリコーンA表面へ実施例1と同様のガラスクロスを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分間加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離し、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させた、複層体を得た。さらに、前記複層体のガラスクロスのもう片面へも前記と同じ作業を行い、両面の表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとガラスクロスの複層体を得た。複層体全体の厚さは800μmであった。
(2)シリコーンゴムと導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスの複層体
導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスを得るため、PTFE樹脂の水性懸濁液100重量部へカーボンブラック粉を混合し、導電性PTFE樹脂の水性懸濁液を得た。
次に、連続塗工装置で平織りのガラスクロスに前記PTFE樹脂の水性懸濁液を含浸させた後、80℃で乾燥し、350℃の温度で焼成させ、導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスを得た。
水性懸濁液を塗布し、80℃で乾燥し、350℃の温度で焼成させ、シリカを付着焼成させて表面処理層を得た。
(2)シリコーンゴムと導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスの複層体
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ実施例3と同様に導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスの表面処理層面を圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離し、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムと導電性フッ素樹脂含浸ガラスクロスの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(3)シリコーンゴムとアルミニウム箔の複層体
アルミニウム箔へ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。
この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ実施例1と同様のマット状PETフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離させ、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとアルミニウム箔の複層体を得た。複層体全体の厚さは300μmであった。
(3)シリコーンゴムとアルミニウム箔の複層体
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へアルミニウム箔を圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離し、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとアルミニウム箔の複層体を得た。複層体全体の厚さは300μmであった。
(4)シリコーンゴム+ポリイミドフィルムの複層体
ポリイミドフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性液状シリコーンB表面へ実施例1と同様のマット状PETフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離させ、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとポリイミドフィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(4)シリコーンゴム+ポリイミドフィルムの複層体
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導シリコーンB表面へポリイミドフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離させ、前記マット状PETフイルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した熱伝導性前記シリコーンゴムとポリイミドフィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(5)シリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体
導電性PTFEフィルムの片面へ金属ナトリウムエッチング表面処理を施し、この導電性PTFEフィルムの前記表面処理層面へ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。
この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ実施例1と同様のマット状PETフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離させ、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムと導電性PTFEフィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(5)シリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。
この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ導電性PTFEフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、前記マット状PETフィルムを剥離し、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、表面にマット処理を施した高熱伝導性シリコーンゴムと導電性PTFEフィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(6)ポリイミドフィルムとシリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体
ポリイミドフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ実施例9と同様の導電性PTFEフィルムを圧着用ロールにて圧着させ、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させ、高熱伝導性シリコーンBを接着剤とした、ポリイミドフィルムと高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(7)フッ素樹脂フィルムとシリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体
実施例9と同様の導電性PTFEフィルムへ実施例3と同様の液状高熱伝導性シリコーンBを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。この半硬化高熱伝導性シリコーンB表面へ別の導電性PTFEフィルムを圧着用ロールにて圧着させ、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化し、高熱伝導性シリコーンBを接着剤とした、ポリイミドフィルムと高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとフッ素樹脂フィルムの複層体を得た。複層体全体の厚さは250μmであった。
(8)シリコーンゴムシート
実施例1と同様のマット状PETフィルムへ実施例1と同様の液状高熱伝導シリコーンAを塗工し、第1加熱炉にて90℃×1分間加熱し半硬化状態にする。
この半硬化高熱伝導シリコーンAの反対面へ別の実施例1と同様のマット状PETフィルムを圧着用ロールにて圧着し、第2加熱炉にて90℃×1分加熱硬化させた後、前記2枚のマット状PETフィルムを剥離し、前記マット状PETフィルムの表面形状を転写させ、両面の表面にマット処理を施した熱伝導性に優れるシリコーンゴムシートを得た。シートの厚さは250μmであった。
(9)フッ素ゴムとシリコーンゴムとガラスクロスの複層体
フッ素ゴムを得るために、市販の液状フッ素ゴム100重量部へ市販の硬化剤を5重量部混合し粘度が1000Cpの液状フッ素ゴムを得た。
次に、実施例1の「表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとガラスクロスの複層体」へ、前記で得た液状フッ素ゴムを塗工し、150℃×30分加熱硬化し、複層体を得た。さらに、前記複層体のもう片面へも前記と同じ作業を行い、表面にマット処理を施した高熱伝導性に優れるシリコーンゴムとガラスクロスの複層体の表面へフッ素ゴムを複層した複層体を得た。複層体全体の厚さは840μmであった。
2 ガラス繊維
3 PTFE樹脂
4 ガラス繊維
5 アルミニウム箔
6 ポリイミドフィルム
7 PTFEフィルム
8 フッ素ゴム
Claims (5)
- 下記の第一加熱工程(H1)および第二加熱工程(H2)によって形成されたシリコーンゴム層からなることを特徴とする、シリコーンゴムシート。
第一加熱工程(H1):液状シリコーンを50〜100℃の温度に加熱して半硬化シリコーンゴムを形成させる工程
第二加熱工程(H2):半硬化シリコーンゴムを50〜100℃の温度に加熱して更に硬化させる工程 - 前記のシリコーンゴム層がマット化処理表面を有するものである、請求項1に記載のシリコーンゴムシート。
- 耐熱性基材層と、請求項1に記載のシリコーンゴム層とを有することを特徴とする、シリコーンゴム複層シート。
- 前記の耐熱性基材が、耐熱性繊維からなるもの、耐熱性樹脂から形成されたもの、または耐熱性繊維と耐熱性樹脂との複合物である、請求項3に記載のシリコーンゴム複層シート。
- 請求項3または4に記載のシリコーンゴム複層シートにフッ素ゴム層が表面層として形成された、シリコーンゴム複層シート。
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