JP2014050240A - 産業用車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の性能劣化を抑制すること。
【解決手段】フォークリフト11が車両停止状態となった場所が、物流場に定められているフォークリフト11の駐車場所P1か否かを判定する。そして、フォークリフト11が駐車場所P1以外の場所で車両停止状態となった場合、そのフォークリフト11は、短時間で再始動する可能性が高いので、時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、燃料電池を搭載した産業用車両に関する。
水素と空気中の酸素とを反応させて発電する燃料電池を用いる場合には、燃料電池で発電された電気を蓄電装置に蓄電できる構成が一般的に採用される。このような構成では、燃料電池がOCV(オープン・サーキット・ボルテージ)状態になることによって燃料電池の性能が劣化する。これは、燃料電池に用いられている触媒(白金)が高い電圧によって溶出するためである。なお、OCV状態とは、電気的な無負荷状態であって、燃料電池の電位が最も高い状態である。
また、燃料電池の性能劣化は、発電及び発電停止の繰り返しによっても生じる。触媒(白金)が溶出する高い電圧よりも低い領域では触媒(白金)が酸化し、酸化による保護膜ができる。この保護膜は、触媒(白金)の溶出を抑えて燃料電池の性能劣化を防止するが、さらに低い電圧領域では触媒(白金)が還元し、酸化による保護膜が無くなる。このため、発電及び発電停止の繰り返しは、還元領域(保護膜がない状態)からOCV状態への移行を伴うことによって、燃料電池の性能劣化を招く。
そして、特許文献1には、上記のような燃料電池の性能劣化を抑制する手段が開示されている。特許文献1では、電気的な無負荷時(換言すると車両の無負荷状態の時)においても、蓄電装置よりも僅かに高い電圧で連続して発電させて燃料電池の性能劣化を抑制する方法が開示されている。
特開昭61−248367号公報
ところで、フォークリフトなどの産業用車両は、一旦車両を始動させるとその状態が長時間に亘って維持されている訳ではなく、作業途中で、車両キースイッチのON/OFFが何度も繰り返されることがある。このため、このような使用状況の車両に燃料電池を搭載した場合は、燃料電池の発電及び発電停止が繰り返されることになるので、燃料電池の性能劣化を抑制する必要がある。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、燃料電池の性能劣化を抑制することができる産業用車両を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料電池で発電した電力を車両の駆動力とする産業用車両であって、車両キースイッチがONからOFFとなる車両停止状態となった場所が、物流場に定められている車両の駐車場所であるか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果が否定の場合に、前記燃料電池のセル電圧を保持する電圧保持制御を実行する制御部と、を備えたことを要旨とする。
これによれば、駐車場所以外の場所で車両停止状態となった場合は、車両停止状態後、再び車両キースイッチがONされる可能性が高い。このため、電圧保持制御を実行する。これにより、燃料電池の発電及び発電停止の繰り返しが抑制されるので、その結果として燃料電池の性能劣化を抑制できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の産業用車両において、前記制御部は、前記電圧保持制御を一定時間継続させた後、終了させることを要旨とする。
これによれば、電圧保持制御の終了条件を時間管理とする。このため、乗員が長時間に亘って降車して作業を行うような場合において当該制御に伴う電力を無駄に消費してしまうことを抑制できる。また、電圧保持制御を車両側の判断で終了させるので、乗員に過度な負担を強いることがない。その結果、簡便なシステムを提供することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の産業用車両において、前記制御部は、前記判定部の判定結果が肯定の場合、前記判定結果が否定の場合に比して短い時間の間、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。
これによれば、駐車場所に駐車された場合も、短い時間の間、電圧保持制御を実行する。このため、電圧保持制御に伴う電力を無駄に消費してしまうことを抑制できる。つまり、駐車場所に駐車された場合は、駐車場所以外の場所で駐車された場合に比して、車両停止状態後、再び車両キースイッチがONされる可能性が低い。このため、車両が再始動する可能性を考慮して電圧保持制御を実行するが、再始動しない可能性が高いことも考慮して電圧保持制御の時間を短くするので、当該制御に伴う消費電力を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の産業用車両において、前記判定部は、前記車両停止状態となった場所が、前記物流場に定められている自車両の指定駐車場所であるか否かを判定し、前記制御部は、前記判定部の判定結果が否定の場合に、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。
これによれば、指定駐車場所で車両停止状態となったか否かを判定し、その判定結果をもとに電圧保持制御を実行する。このため、物流場に複数の駐車場所があり、車両毎に指定駐車場所を定めている場合であっても、車両停止状態となった場所に応じて適切な電圧保持制御を実行することができる。
本発明によれば、燃料電池の性能劣化を抑制することができる。
フォークリフトを示す正面図。 電気ブロック図。 燃料電池を示す概略図。 燃料電池を構成するセルの電圧変化を説明するグラフ。 第1の実施形態の実行判定処理を示すフローチャート。 第1の実施形態における電圧保持制御の具体例を説明する説明図。 第2の実施形態の実行判定処理を示すフローチャート。 第2の実施形態における電圧保持制御の具体例を説明する説明図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、フォークリフト11の車体フレーム12の前部にはマスト13が立設されている。マスト13は、車体フレーム12に対して前後に傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト131と、これにスライドして昇降するインナマスト132とからなる。各アウタマスト131の後部には油圧式のリフトシリンダ14が配設されている。リフトシリンダ14のピストンロッド141の先端は、インナマスト132の上部に連結されている。インナマスト132の上部に支承されたチェーンホイール15にはチェーン17が巻き掛けられている。チェーン17の一端は、リフトシリンダ14のボディ又はアウタマスト131の上部に一端が固定されており、チェーン17の他端は、リフトブラケット16に連結されている。フォーク18は、リフトシリンダ14の伸縮によりチェーン17に吊り下げられたリフトブラケット16と共に昇降する。
マスト13は、油圧式の左右一対のティルトシリンダ19を介して車体フレーム12に対して傾動可能に連結支持されている。ティルトシリンダ19は、その基端側が車体フレーム12に対して回動可能に連結されているとともに、ピストンロッド191の先端でアウタマスト131に回動可能に連結されている。マスト13は、ティルトシリンダ19が伸縮駆動されることで前後に傾動する。リフトシリンダ14及びティルトシリンダ19は、荷役用モータ30から駆動力を得る。
運転室20には運転座席201が設けられており、運転座席201の前方にはステアリングホイール21、リフトレバー22及びティルトレバー23が装備されている。また、運転座席201の前側且つ下方にはアクセルペダル28が設けられている。ステアリングホイール21は、操舵輪24(後輪)の舵角を変更するためのものである。リフトレバー22は、フォーク18を昇降させるときに操作するものである。ティルトレバー23は、マスト13を傾動させるときに操作するものである。アクセルペダル28は、フォークリフト11を走行させるものである。
リフトレバー22の操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られ、車両コントローラ27は、該操作信号の入力に基づいて、フォーク18の昇降を制御する。ティルトレバー23の操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られ、車両コントローラ27は、該操作信号の入力に基づいて、マスト13の傾動を制御する。
駆動輪25(前輪)は、走行用モータ26によって回転駆動される。走行用モータ26は、車両コントローラ27の制御を受ける。また、アクセルペダル28の踏み込み操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られる。車両コントローラ27は、アクセルペダル28からの操作信号の入力に基づいて、走行用モータ26の回転速度を制御する。これにより、フォークリフト11は、アクセルペダル28の踏み込み操作量に応じた速度で走行する。
運転室20のフロアの下側には収納室31が備えられている。収納室31には燃料電池システムFUが搭載されている。収納室31にはコネクタK(図2に示す)が設けられている。
図2に示すように、コネクタKは、燃料電池システムFU側の配線32と、フォークリフト11側の電力回路を構成する配線33とを電気的に接続している。車両側の配線33には走行用インバータ34、荷役用インバータ35及び電圧計36が接続されている。走行用インバータ34は、コネクタKを介して燃料電池システムFUから供給される直流を交流に変換する。走行用モータ26及び荷役用モータ30は、走行用インバータ34により変換された交流により駆動される。
電圧計36、走行用インバータ34及び荷役用インバータ35は、車両コントローラ27に電気的に接続されている。車両コントローラ27は、走行用インバータ34の動作を制御して走行用モータ26に供給される交流の電圧を調節することによって走行用モータ26の回転数を制御する。同様に、車両コントローラ27は、荷役用インバータ35の動作を制御して荷役用モータ30に供給される交流の電圧を調節することによって荷役用モータ30の回転数を制御する。
車両コントローラ27には車両キースイッチ29が電気的に接続されている。車両キースイッチ29は、フォークリフト11の電源をOFFする停止位置と、電源をONする始動位置との間で操作可能に構成されている。そして、車両キースイッチ29は、停止位置(OFF)から始動位置(ON)へ操作されると、車両キースイッチ29の操作位置が始動位置にあることを示す車両始動信号を車両コントローラ27に出力する。車両コントローラ27は、車両キースイッチ29が始動位置に操作されると、走行用インバータ34及び荷役用インバータ35の制御を開始して走行用モータ26及び荷役用モータ30への電力供給の制御を開始する。なお、車両キースイッチ29が始動位置(ON)から停止位置(OFF)へ操作されると、車両キースイッチ29からは車両始動信号の出力が停止する。このため、車両コントローラ27は、車両キースイッチ29からの車両始動信号を入力することにより、フォークリフト11の電源がONされているか、又はOFFされているかを認識する。フォークリフト11は、車両キースイッチ29をOFFの状態とすると、車両停止状態となる。
次に、収納室31に搭載された燃料電池システムFUについて説明する。
図2に示すように、燃料電池システムFUは、燃料電池ユニット37を備えている。燃料電池ユニット37は、燃料電池FC、水素を貯蔵するとともに燃料電池FCに対して水素を供給する水素タンク38、及び燃料電池FCに対して空気を供給するコンプレッサ39を備えている。
本実施形態の燃料電池FCは、固体高分子型燃料電池であり、高分子電解質膜で区画された燃料極及び空気極からなる複数のセルを内蔵する。燃料電池FCでは、燃料極に供給される水素と、空気極に供給される空気中の酸素との電解質膜を介した起電反応により発電が行われる。
図3に示すように、燃料電池FCを構成する各セル50は、一対のリブ付きのセパレータ51と、両セパレータ51間に挟まれる一対の電極52,53と、両電極52,53間に挟まれる電解質膜54とを有する。一対の電極52,53は、多孔質支持層にアノード触媒層が形成されたアノード電極52、多孔質支持層にカソード触媒層が形成されたカソード電極53とからなる。燃料(水素)はセパレータ51のアノード電極側面上の溝を通って一方向へ流れ、空気はセパレータ51のカソード電極側面上の溝を通って燃料の流れる経路と直交する方向へ流れる。アノード側が燃料極となり、カソード側が空気極となる。また、各電極52,53の触媒層には、白金又は白金を含む合金が用いられる。
燃料電池ユニット37は、燃料電池システムFU側の配線32に電気的に接続されている。配線32には電気二重層キャパシタ40(以下、キャパシタ40と示す)が燃料電池FCに対して並列となるようにDC/DCコンバータ41を介して電気的に接続されている。蓄電装置としてのキャパシタ40は、燃料電池ユニット37からDC/DCコンバータ41を介して電力供給を受けて充電する。DC/DCコンバータ41は、燃料電池ユニット37で発電された所定の電圧(例えば100ボルト)の電力を所定の電圧(例えば48ボルト)に変換する。配線32には電圧計42(ユニット用電圧計)がキャパシタ40に対して並列となるように接続されている。電圧計42は、キャパシタ40の電圧を検出する。
DC/DCコンバータ41、電圧計42及び燃料電池ユニット37は、燃料電池システムコントローラ44に電気的に接続されている。燃料電池システムコントローラ44は、燃料電池ユニット37による発電の開始及び停止や、その発電量を制御する。燃料電池システムコントローラ44は、燃料電池ユニット37が発電する電力の電圧をキャパシタ40の充電に適した所定の電圧に変換するように、DC/DCコンバータ41を制御する。
燃料電池システムコントローラ44は、車両コントローラ27と電気的に接続されている。車両キースイッチ29がONに操作されると、車両コントローラ27は、燃料電池システムコントローラ44へユニット起動信号を出力する。燃料電池システムコントローラ44は、ユニット起動信号の入力に基づいて、燃料電池ユニット37における発電の制御を開始する。
本実施形態のフォークリフト11の運転室20には、非常停止ボタンBTが設けられている。非常停止ボタンBTは、図2に示している。非常停止ボタンBTは、車両コントローラ27に電気的に接続されている。車両コントローラ27は、非常停止ボタンBTが押下操作されると、その押下操作信号を入力する。図2に示すように、水素タンク38と燃料電池FCは、配管接続されており、その配管60には当該配管60を開閉させる電気式のバルブ61が設けられている。そして、車両コントローラ27は、非常停止ボタンBTから押下操作信号を入力すると、バルブ61を閉状態に動作させて水素タンク38と燃料電池FCの間の配管60を閉じる。すなわち、車両コントローラ27は、バルブ61を閉状態とすることにより、燃料電池FCに対して水素を供給不能な状態とする。
図4に示すように、燃料電池FCのセル電圧は時間の経過に伴って変遷する。
なお、図4における電圧[V1(おおよそ1V)]は、燃料電池FCを構成する一組のセル50で得られる電圧の最大値を示し、電圧[V2(おおよそ0.75V]、[V3(おおよそ0.65V)]は、電圧[V1]よりも低い電圧とされている。そして、これらの電圧[V1]〜[V3]は、セル50を構成する触媒(白金)に化学的変化が起こり、燃料電池FCの性能劣化に影響を及ぼす電圧でもある。
燃料電池FCのセル電圧は、車両キースイッチ29がOFFの状態となる車両停止状態において[0V]とされる。そして、燃料電池システムコントローラ44は、車両キースイッチ29がOFFからONに操作されると燃料電池FCに水素と空気を投入する。これにより、燃料電池FCは、発電を開始する。すると、燃料電池FCのセル電圧は、図中に実線で示すように時間の経過とともに上昇する。そして、燃料電池システムコントローラ44は、車両キースイッチ29がONの状態を維持している間、セル電圧が、電圧[V1]〜[V2]の領域内を維持するように、燃料電池FCの発電量を制御する。
一方、燃料電池FCのセル電圧は、車両キースイッチ29がONからOFFに操作されて車両停止状態になることによって発電を停止してしまうと、図中に二点鎖線で示すように[0V]に向かって降下する。このため、車両キースイッチ29のON/OFFを繰り返し、それに伴って発電及び発電停止を繰り返し行った場合、セル電圧は、触媒に化学的変化が生じ得る電圧[V2],[V3]の値を繰り返し取り得ることになる。その結果、燃料電池FCの性能劣化を招くことになる。そこで、本実施形態のフォークリフト11では、車両キースイッチ29がOFFに操作された場合であっても、セル電圧を大きく変動させないための電圧保持制御を実行する。
本実施形態では、フォークリフト11が車両停止状態となった場所をもとに、電圧保持制御を実行する。フォークリフト11が荷役作業を行う物流場には、例えば作業を終了したフォークリフト11を駐車しておく駐車場所が予め定められている。このため、本実施形態の電圧保持制御は、物流場に定めた駐車場所でフォークリフト11が車両停止状態となったか否かに応じて実行される。そして、本実施形態のフォークリフト11には、図1に示すように、駐車場所に設置された発信器Hが発信する発信信号を受信する受信器Dが設けられている。フォークリフト11は、発信器Hの発信信号を受信器Dで受信することで、物流場に定めた駐車場所であることを認識する。
以下、図5にしたがって、電圧保持制御を実行させるための実行判定処理を説明する。
車両コントローラ27は、車両キースイッチ29からの車両始動信号をもとに、車両キースイッチ29がOFFに操作されたか否かを判定する(ステップS10)。この判定結果が否定の場合、すなわち車両キースイッチ29がONの場合、ステップS10に戻り、ステップS10からの処理を繰り返し行う。
一方、ステップS10の判定結果が肯定の場合、車両コントローラ27は、受信器Dが発信信号を受信しているか否かを判定する(ステップS11)。本実施形態では、このステップS11の処理により、車両コントローラ27が判定部として機能する。そして、車両コントローラ27は、ステップS11の判定結果が否定、すなわち受信信号を受信していない場合、駐車場所以外の場所で車両停止状態となったことから、ステップS12で電圧保持制御を実行する。なお、駐車場所以外の場所とは、例えば荷役作業を行っている場所などである。
ステップS12において車両コントローラ27は、時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。時間Xは、例えば、10分程度の時間に設定される。電圧保持制御を実行する車両コントローラ27は、燃料電池システムコントローラ44に電圧保持制御を実行させるための開始信号を送信する。そして、開始信号を受信した燃料電池システムコントローラ44は、電圧保持制御を実行する。本実施形態では、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44が、電圧保持制御を実行する制御部として機能する。
本実施形態の電圧保持制御では、燃料電池FCの発電量を微小発電量として、セル電圧を電圧[V1]〜[V2]の領域内に維持させる。電圧保持制御における燃料電池FCの発電量は、車両キースイッチ29がONのときよりも少なく設定される。この電圧保持制御により、燃料電池FCのセル電圧は、図4に示すように、時間T1の時点で車両キースイッチ29がOFFに操作されたとしても、発電が継続されることによって[0V]に向かって降下せずに、所定の値を継続する。このため、電圧保持制御の実行中に車両キースイッチ29が再びONに操作された場合、燃料電池FCのセル電圧が[0V]から立ち上がることなく、電圧[V2]、[V3]を取り得ることが抑制される。
ステップS12で電圧保持制御を開始させた車両コントローラ27は、時間Xのカウントを同時に開始させる。この時間Xは、ステップS11を否定判定する場合における電圧保持制御の継続実行時間として規定されており、車両コントローラ27は、時間Xを、電圧保持制御を継続実行させる最長時間とする。
なお、時間Xを定めている理由は、駐車場所以外の場所で駐車した場合であっても、必ず、車両キースイッチ29がONに操作、すなわちフォークリフト11が再始動されるとは限らない。そして、燃料電池FCで発電するためには、燃料電池ユニット37を動作させなければならないので、キャパシタ40に蓄電されている電力を使用することになる。このため、短時間の間に車両キースイッチ29がONに操作される可能性が高いと推定できる状況であっても、期間を設定せずに電圧保持制御を継続させることはキャパシタ40に蓄電されている電力を無駄に消費することに繋がる。したがって、本実施形態では、電圧保持制御を時間Xの間、実行させるように構成している。そして、時間Xの経過後、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44は、電圧保持制御を終了し、待機状態となる。なお、時間Xの間は燃料電池システムコントローラ44による発電の制御が行われており、例えば、アクセルペダル28やリフトレバー22などが操作されても、車両コントローラ27は走行や荷役に関する制御を行わない。これらの走行や荷役に関する制御は、車両キースイッチ29がONのときに行われる。
図5の説明に戻り、ステップS11の判定結果が肯定の場合、すなわち駐車場所に駐車されている場合、車両コントローラ27は、時間Yの間、電圧保持制御を実行させる(ステップS13)。時間Yは、時間Xよりも短い時間に設定されている。時間Yは、例えば、1〜2分程度の時間に設定される。ステップS13において車両コントローラ27は、ステップS12と同様に燃料電池システムコントローラ44に開始信号を送信し、電圧保持制御を実行させる。また、車両コントローラ27は、時間Yのカウントを同時に開始させる。この時間Yは、ステップS11を肯定判定する場合における電圧保持制御の継続実行時間として規定されており、車両コントローラ27は、時間Yを、電圧保持制御を継続実行させる最長時間とする。
本実施形態では、駐車場所に駐車されている場合であっても、短時間の間にフォークリフト11が再始動する可能性が少なからず存在することを考慮して電圧保持制御を実行させる。しかし、駐車場所に駐車していない場合に比してその可能性は低いので、電圧保持制御を実行させる時間を短くすることで、当該制御に伴う消費電力を抑制させている。そして、時間Yの間も燃料電池システムコントローラ44による発電の制御が行われており、車両コントローラ27による走行や荷役に関する制御は行われない。また、時間Yの経過後、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44は、電圧保持制御を終了し、待機状態となる。
以下、本実施形態の作用を説明する。
図6に示すように、物流場には、フォークリフト11の駐車場所P1が設けられている。そして、駐車場所P1には、発信信号を発信する発信器Hが設置されている。発信信号は、駐車場所P1に対応する領域W1で受信できるようになっている。このため、フォークリフト11は、駐車場所P1に移動すると、発信器Hの発信信号を受信器Dで受信できる。そして、フォークリフト11の車両コントローラ27は、駐車場所P1で車両停止状態になると、受信器Dが発信信号を受信している場合、時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。
一方、フォークリフト11の受信器Dは、駐車場所P1以外の場所、すなわち発信信号を受信できない領域W2に存在している場合、発信信号を受信できない。このため、フォークリフト11の車両コントローラ27は、駐車場所P1以外の場所で車両停止状態になると、受信器Dが発信信号を受信していないため、時間Yよりも長い時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。つまり、車両コントローラ27は、フォークリフト11が駐車場所P1以外の場所で駐車した場合、短時間で車両キースイッチ29がONに操作される可能性が高いので、駐車場所P1で車両停止状態になった場合よりも長い時間の間、電圧保持制御を実行させる。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)駐車場所P1以外の場所で車両停止状態となった場合は、車両停止状態後、再び車両キースイッチ29がONされる可能性が高い。このため、電圧保持制御を実行させる。これにより、燃料電池FCの発電及び発電停止の繰り返しが抑制されるので、その結果として燃料電池の性能劣化を抑制できる。
(2)電圧保持制御の終了条件を時間管理とする。このため、乗員が長時間に亘って降車して作業を行うような場合において当該制御に伴う電力を無駄に消費してしまうことを抑制できる。また、電圧保持制御を車両側の判断で終了させるので、乗員に過度な負担を強いることがない。その結果、簡便なシステムを提供することができる。
(3)本実施形態の電圧保持制御では、燃料電池FCに微小発電を行わせる。燃料電池FCに発電させるためには水素を必要とする。このため、電圧保持制御を時間管理とすることで、燃料電池FCの燃料、すなわち水素の消費を抑制できる。
(4)駐車場所P1に駐車された場合は、時間Xよりも短い時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。このため、電圧保持制御に伴う電力を無駄に消費してしまうことを抑制できる。つまり、駐車場所P1に駐車された場合は、駐車場所P1以外の場所で駐車された場合に比してフォークリフト11が再始動する可能性は低い。このため、フォークリフト11が再始動する可能性を考慮して電圧保持制御を実行させるが、再始動しない可能性が高いことも考慮して電圧保持制御の時間を短くするので、当該制御に伴う消費電力を抑制することができる。
(5)上記(2)〜(4)の効果で記載したように、消費電力を抑制したり、水素の消費を抑制したりすることにより、フォークリフト11の走行性能(燃費など)への影響を抑えることもできる。
(6)停止ボタンBTを設けている。これにより、車両停止状態後、電圧保持制御のために水素を継続して供給する場合であっても、乗員の判断によって水素の供給を停止させることができる。
(7)駐車場所P1に発信器Hを設ける一方で、フォークリフト11には発信器Hの発信信号を受信する受信器Dを設け、フォークリフト11がどの場所で車両停止状態となったかを判定している。このため、乗員に過度の負担を強いることなく、電圧保持制御を実行させることができる。つまり、電圧保持制御の実行の有無に関して車両コントローラ27側で判断でき、自動化を図ることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図7及び図8にしたがって説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
本実施形態では、物流場に複数の駐車場所が設けられている場合にその駐車場所が自車両に定めた駐車場所であるか否かに応じて電圧保持制御を実行させる。つまり、フォークリフト11には、自車両の駐車場所(指定駐車場所)が定められており、その自車両の駐車場所で車両停止状態となったか、又はそれ以外の場所で車両停止状態となったかを判断し、その判断結果に応じて電圧保持制御を実行させる。
以下、図7にしたがって、電圧保持制御を実行させるための実行判定処理を説明する。
車両コントローラ27は、車両キースイッチ29からの車両始動信号をもとに、車両キースイッチ29がOFFに操作されたか否かを判定する(ステップS20)。この判定結果が否定の場合、すなわち車両キースイッチ29がONの場合、ステップS20に戻り、ステップS20からの処理を繰り返し行う。
一方、ステップS20の判定結果が肯定の場合、車両コントローラ27は、受信器Dが発信信号を受信しているか否かを判定する(ステップS21)。この判定結果が肯定の場合、車両コントローラ27は、車両停止状態となった駐車場所が、指定駐車場か否かを判定する(ステップS22)。駐車場所に設置された発信器Hからは、その駐車場所固有の発信信号が出力されている。このため、ステップS22において車両コントローラ27は、受信した発信信号の種類から自車両に定められている駐車場所であるか否かを判定する。本実施形態では、ステップS21,22の処理により、車両コントローラ27が判定部として機能する。
そして、車両コントローラ27は、ステップS22の判定結果が否定の場合、指定駐車場所以外の場所で車両停止状態となったことから、ステップS23で電圧保持制御を実行する。なお、ステップS22を否定判定している場合の駐車場所は、自車両が駐車すべきではない駐車場所(非指定駐車場所)である。そして、ステップS23において車両コントローラ27は、第1の実施形態の実行判定処理のステップS12と同様に、時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。本実施形態では、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44が、電圧保持制御を実行する制御部として機能する。
また、車両コントローラ27は、ステップS21の判定結果が否定の場合、すなわち受信信号を受信していない場合、駐車場所以外の場所で車両停止状態となったことから、ステップ23で電圧保持制御を実行する。なお、駐車場所以外の場所とは、例えば荷役作業を行っている場所などである。
一方、車両コントローラ27は、ステップS22の判定結果が肯定の場合、すなわち指定駐車場所で車両停止状態となった場合、ステップS24で電圧保持制御を実行する。ステップS24において車両コントローラ27は、第1の実施形態の実行判定処理のステップS13と同様に、時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。
以下、本実施形態の作用を説明する。
図8に示すように、物流場には、フォークリフト11の駐車場所として、複数の駐車場所P1,P2が設けられている。そして、各駐車場所P1,P2には、発信器Hが設置されている。発信信号は、各駐車場所P1,P2に対応する領域W1で受信できるようになっている。そして、フォークリフト11の車両コントローラ27は、当該フォークリフト11に定める指定駐車場(駐車場所P1)で車両停止状態になると、受信器Dが発信信号を受信している場合、時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。
一方、車両コントローラ27は、当該フォークリフト11の駐車場所P1とは異なる非指定駐車場(駐車場所P2)で車両停止状態になると、時間Yよりも長い時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。また、図8には図示していないが、車両コントローラ27は、駐車場所P1,P2以外の場所、すなわち発信信号を受信できない場所で車両停止状態になった場合、発信信号を受信できない。このため、フォークリフト11の車両コントローラ27は、駐車場所P1,P2以外の場所で車両停止状態になると、時間Yよりも長い時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。つまり、車両コントローラ27は、フォークリフト11が指定駐車場以外の場所で駐車した場合、短時間で車両キースイッチ29がONに操作される可能性が高いので、指定駐車場所で車両停止状態になった場合よりも長い時間の間、電圧保持制御を実行させる。
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(7)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。なお、第1の実施形態の効果(1)、(4)及び(7)は、本実施形態の場合、指定駐車場所又はそれ以外でフォークリフト11が車両停止状態となったときに生じ得る効果である。
(8)指定駐車場所で車両停止状態となった場合と、非指定駐車場所で車両停止状態となった場合のそれぞれにおいて電圧保持制御を実行させる。このため、物流場に複数の駐車場所があり、フォークリフト11毎に指定駐車場所を定めている場合であっても、車両停止状態となった場所に応じて適切な電圧保持制御を実行させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施形態の実行判定処理において、ステップS10とステップS11の判定処理の順番を逆にしても良い。具体的に言えば、車両コントローラ27は、受信信号を受信しているか否かを判定し、その判定結果を記憶する。そして、車両コントローラ27は、車両停止状態となった時に上記判定の記憶内容を参照し、受信信号を受信していない旨の記憶内容であれば駐車場所P1で駐車していないので時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。一方、車両コントローラ27は、受信信号を受信している旨の記憶内容であれば駐車場所P1で駐車しているので時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。なお、本別例は、第2の実施形態の実行判定処理にも適用することができる。
○ 実行判定処理のステップS11やステップS22を肯定判定した場合、電圧保持制御を実行させることなく、待機状態へ遷移させても良い。つまり、この場合は、フォークリフト11が駐車場所P1で駐車したので、短時間で再始動する可能性が低いとして電圧保持制御を実行させずに車両を待機状態とする。なお、本別例は、上記別例にも適用することができる。
○ 電圧保持制御は、微小発電制御に代えて他の制御を行っても良い。例えば、キャパシタ40に蓄電されている電力を燃料電池FCに供給することによってセル50に電圧を印加し、セル電圧を保持させても良い。この場合、燃料電池FCは、発電停止状態とされている。また、他の方法として、セル電圧を計測又は推定し、その電圧値が所定値に到達したら燃料電池FCに発電を行わせて良い。この場合は、実施形態で説明した微小発電とは異なり、燃料電池FCの発電が間欠的に行われる。
○ 微小発電制御では、電圧[V1]〜[V2]の領域内を維持するように制御しているが、当該制御時のセル電圧を検出して、その検出結果に応じて制御を行っても良い。例えば、検出したセル電圧が電圧[V2]〜[V3]の領域に存在する場合には、セル電圧を電圧[V2]〜[V3]の領域内を維持するように微小発電制御を行っても良い。
○ 物流場は、フォークリフト11が荷役作業を行う場所であれば、その場所自体は特に限定されない。例えば、物流場としては、製造工場の物流場、空港設備の物流場、湾港設備の物流場、鉄道設備の物流場などがある。
○ 発信器Hと受信器Dの組み合わせに代えて、磁気テープと磁気センサの組み合わせや、マーカーと光学センサの組み合わせでも良い。また、GPS装置(Global Positioning System)を使用し、駐車場所P1であるか否かを判定しても良い。
○ 産業用車両として、燃料電池を搭載した他の産業用車両に具体化しても良い。例えば、牽引車に具体化しても良い。
○ 非常停止ボタンBTを、燃料電池システムコントローラ44に電気的に接続しても良い。燃料電池システムコントローラ44は、非常停止ボタンBTが押下操作されると、バルブ61を閉状態とする。
○ 電圧保持制御を実行させる時間X,Yは適宜変更しても良い。
○ 実行判定処理を、燃料電池システムコントローラ44で行っても良い。この場合、受信器Dの検知結果を、車両コントローラ27が燃料電池システムコントローラ44に送信しても良いし、検知結果を直接、燃料電池システムコントローラ44に送信するようにしても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)駐車場所に設置されている発信器の発信信号を受信可能な受信器を有し、判定部は、受信器が受信信号を受信していることによって車両停止状態となった場所が駐車場所であると判定する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の産業用車両。
11…フォークリフト、27…車両コントローラ、29…車両キースイッチ、FC…燃料電池、X,Y…時間、P1,P2…駐車場所。

Claims (4)

  1. 燃料電池で発電した電力を車両の駆動力とする産業用車両であって、
    車両キースイッチがONからOFFとなる車両停止状態となった場所が、物流場に定められている車両の駐車場所であるか否かを判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果が否定の場合に、前記燃料電池のセル電圧を保持する電圧保持制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする産業用車両。
  2. 前記制御部は、前記電圧保持制御を一定時間継続させた後、終了させる請求項1に記載の産業用車両。
  3. 前記制御部は、前記判定部の判定結果が肯定の場合、前記判定結果が否定の場合に比して短い時間の間、前記電圧保持制御を実行する請求項2に記載の産業用車両。
  4. 前記判定部は、前記車両停止状態となった場所が、前記物流場に定められている自車両の指定駐車場所であるか否かを判定し、
    前記制御部は、前記判定部の判定結果が否定の場合に、前記電圧保持制御を実行する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の産業用車両。
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