以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における燃料電池システムの構成を示す図、図2は本発明の実施の形態における燃料電池システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図1において、21は乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として使用される燃料電池(FC)としての燃料電池スタックであり、56は燃料電池システムの動作を制御する燃料電池制御装置としてのFCコントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)、10はナビゲーション装置である。なお、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウィンドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えており、また、走行パターンが多様であり、動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、動力源としての燃料電池スタック21と図示されない蓄電手段としての二次電池とを併用して使用することが望ましい。
そして、燃料電池スタック21は、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)であることが望ましい。
なお、更に望ましくは、水素ガスを燃料とし、酸素又は空気を酸化剤とするPEMFC(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)型燃料電池、又は、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池と呼ばれるものである。ここで、該PEM型燃料電池は、一般的に、プロトン等のイオンを透過する電解質層としての固体高分子電解質膜の両側に触媒、電極及びセパレータを結合した燃料電池としてのセル(Fuel Cell)を複数及び直列に結合したスタック(Stack)から成る。
この場合、固体高分子電解質膜は、例えば、ナフィオン等の固体ポリマーイオン交換膜から成り、前記固体高分子電解質膜を触媒層を備えた2枚のガス拡散電極で挟み、一体化させて接合する。そして、該ガス拡散電極の一方を燃料極とし、該燃料極表面に接する燃料ガス流路を介し前記燃料極に燃料ガス、すなわち、アノードガスとしての水素ガスを供給する。また、前記ガス拡散電極の他方を酸素極とし、該酸素極表面に接する空気流路を介し前記酸素極に酸化ガス、すなわち、カソードガスとしての空気を供給する。すると、水素ガスは、燃料極(アノード)での触媒反応によって、水素が水素イオン(プロトン)と電子とに分解され、水素イオンが前記固体高分子電解質膜を通過する。そして、水素イオンは、酸素極(カソード)まで移動し、該酸素極において空気中の酸素と電気化学反応を起こして水を生成する。このような電気化学反応によって起電力が生じ、また、生成水が発生する。
また、酸素極側で生じた生成水を前記固体高分子電解質膜を介して燃料極側に逆拡散させ、前記固体高分子電解質膜の湿潤状態を維持させるため、酸素極の電極表面又は酸素極と接するセパレータ流路付近には、酸化剤としての空気の経路中に設けられたノズルによって、液滴状の水が吹きかけられる。このように、水を吹きかけることによって、酸素極側の水の量を多くして濃度勾(こう)配を形成し、燃料極側に生成水を逆拡散させる。また、液滴の水が蒸発するときの潜熱及び水の顕熱で冷却を行い、燃料電池の温度を最適な範囲に制御することができる。
そして、空気は、ファンによって常圧又は常圧近傍の圧力で、空気供給流路及び空気供給マニホールドを通って燃料電池の酸素極に供給される。なお、前記供給流路又は空気供給マニホールド内には空気中に水を噴射するノズルが備えられる。そして、前記燃料電池に供給された空気は、発電に供給された後、前記酸素極側で生じた生成水又は酸素極に供給された水としての直噴水とともに、空気排出マニホールドを経て空気排出流路を通り、前記燃料電池の外部に排出される。
また、図1には、燃料電池スタック21に燃料ガスとしての水素ガスを供給する装置が示されている。なお、図示されない改質装置によってメタノール、ガソリン等を改質して取り出した燃料である水素ガスを前記燃料電池スタック21に直接供給することもできるが、車両の高負荷運転時にも安定して十分な量の水素ガスを供給することができるようにするためには、燃料貯蔵手段22に貯蔵した水素ガスを供給することが望ましい。これにより、水素ガスがほぼ一定の圧力で、常に、十分に供給されるので、前記燃料電池スタック21は車両の負荷の変動に遅れることなく追随して、必要な電流を供給することができる。この場合、前記燃料電池スタック21の出力インピーダンスは極めて低く、0に近似することが可能である。
水素ガスは、水素吸蔵合金を収納した容器、デカリンのような水素吸蔵液体を収納した容器、水素ガスボンベ等の燃料貯蔵手段22から、燃料供給管路23を通って、前記燃料電池スタック21の燃料ガス入口、すなわち、燃料ガス流路の入口に供給される。そして、前記燃料供給管路23には燃料供給電磁弁41が配設される。また、前記燃料貯蔵手段22は、十分に大きな容量を有し、常に、十分に高い圧力の水素ガスを供給することができる能力を有するものである。なお、図1に示される例においては、燃料貯蔵手段22が単数であるが、複数であってもよい。
そして、前記燃料電池スタック21の燃料ガス出口、すなわち、燃料ガス流路の出口から未反応成分として排出される水素ガスは、第1燃料排出管路24を通って燃料電池スタック21の外部に排出される。前記第1燃料排出管路24の途中には、回収容器としての水回収ドレインタンク25が配設されている。そして、該水回収ドレインタンク25には水素ガスから分離された水が収容され、水を分離した水素ガスは、前記水回収ドレインタンク25より下流側において前記第1燃料排出管路24の途中に配設されたポンプとしての吸引循環ポンプ26に吸引される。なお、前記第1燃料排出管路24の燃料ガス流路の出口近傍には、圧力検出器45が配設されている。
また、前記第1燃料排出管路24の下流側端部は、2つに分岐し、一方に第2燃料排出管路27が接続され、他方には循環管路29が接続されている。そして、前記第2燃料排出管路27は、第1燃料排出管路24と反対側の端部が空気排出マニホールドに接続され、また、途中に水素排気電磁弁43が配設されている。そのため、該水素排気電磁弁43を開くことによって、前記燃料電池スタック21の燃料ガス流路の出口から排出された水素ガスを、前記第1燃料排出管路24及び第2燃料排出管路27を介して、空気排出マニホールドに流入させ、該空気排出マニホールド内を通過する空気によって希釈された状態で大気中に排出することができる。この場合、前記第1燃料排出管路24及び第2燃料排出管路27は燃料排出管として機能する。
なお、前記空気排出マニホールド内における第2燃料排出管路27の端部の近傍には、排出ガス中の水素ガス濃度を検出する水素濃度センサが設置され、前記水素ガス濃度が、例えば、4〔%〕以下になるように前記水素排気電磁弁43の開度が制御される。さらに、該水素排気電磁弁43の開度を制御するだけでなく、水素ガスを排出するときだけファンを制御して、燃料電池の酸素極に供給される空気の流量を大きくしてもよい。
また、前記循環管路29は、第1燃料排出管路24と反対側の端部が燃料供給管路23の途中に接続され、また、途中に水素循環電磁弁42が配設されている。そのため、該水素循環電磁弁42を開くことによって、燃料電池スタック21の燃料ガス流路の出口から排出された水素ガスを、前記第1燃料排出管路24、循環管路29及び燃料供給管路23の一部を介して、燃料電池スタック21の燃料ガス入口、すなわち、燃料ガス流路の入口に戻して、再利用することができる。すなわち、前記燃料電池スタック21から排出された水素ガスは、燃料貯蔵手段22から供給される新しい水素ガスと合流して、再び燃料電池スタック21の燃料ガス流路に供給される。この場合、前記第1燃料排出管路24、循環管路29及び燃料供給管路23の一部は燃料循環管として機能する。
さらに、前記燃料供給管路23の途中に、外気導入管路28が接続されている。そして、該外気導入管路28には、外気導入用電磁弁44が配設され、前記燃料電池スタック21の運転終了時に外気を燃料ガス流路に導入することができるようになっている。
また、蓄電手段としての二次電池は、いわゆる、バッテリ(蓄電池)であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が一般的である。なお、前記蓄電手段は、必ずしもバッテリでなくてもよく、電気二重層キャパシタのようなキャパシタ(コンデンサ)、フライホイール、超伝導コイル、蓄圧器等のように、エネルギを電気的に蓄積し放出する機能を有するものであれば、いかなる形態のものであってもよい。さらに、これらの中のいずれかを単独で使用してもよいし、複数のものを組み合わせて使用してもよい。
さらに、前記燃料電池スタック21は負荷に接続され、発生した電流を前記負荷に供給する。ここで、該負荷は、一般的には、駆動制御装置であるインバータ装置であり、前記燃料電池スタック21又は蓄電手段からの直流電流を交流電流に変換して、車両の車輪を回転させる駆動モータに供給する。ここで、該駆動モータは発電機としても機能するものであり、車両の減速運転時には、いわゆる、回生電流を発生する。この場合、前記駆動モータは車輪によって回転させられて発電するので、前記車輪にブレーキをかける、すなわち、車両の制動装置(ブレーキ)として機能する。そして、前記回生電流が蓄電手段に供給されて該蓄電手段が充電される。
そして、本実施の形態において、燃料電池システムは、制御手段としてのFCコントロールユニット56によって制御される。該FCコントロールユニット56は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、各種のセンサから前記燃料電池スタック21の燃料ガス流路及び空気流路に供給される水素、酸素、空気等の流量、温度、出力電圧等を検出して、酸化剤供給源としてのファン、燃料供給電磁弁41、水素循環電磁弁42、水素排気電磁弁43、外気導入用電磁弁44、吸引循環ポンプ26等の動作を制御する。さらに、前記FCコントロールユニット56は、他のセンサ及び他の制御装置と連携して、前記燃料電池スタック21に燃料及び酸化剤を供給するすべての装置の動作を統括的に制御する。
また、前記FCコントロールユニット56は、車両内に張り巡らされているネットワークシステムである車内LAN(Local Area Network)51を介して、属性情報取得手段としてのナビゲーション装置10と通信可能に接続されている。該ナビゲーション装置10は、一種のコンピュータであり、図2に示されるように、現在位置を検出する現在位置検出部13、道路データ、探索データ等が記憶された記憶媒体としてのデータ記憶部12、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部11、入力部16、表示部17、音声入力部18、音声出力部19及び通信部15を有し、前記ナビゲーション処理部11が車内LAN51に接続されている。
そして、前記ナビゲーション処理部11には、車内LAN51を介して、車両状態検出部30が接続されている。該車両状態検出部30は、車両の方向指示器としてのウィンカの動作を検出するウィンカセンサ34、運転者が操作するアクセル開度を検出するアクセルセンサ33、運転者が操作する車両のブレーキペダルの動きを検出するブレーキセンサ32、車両の速度を検出する車速センサ31、及び、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ35を有する。
また、前記現在位置検出部13は、GPS(Global Positioning System)レシーバ131、地磁気センサ132、距離センサ133、ステアリングセンサ134、ビーコンセンサ135、ジャイロセンサ136、図示されない高度計等を備える。なお、前記GPSレシーバ131、地磁気センサ132、距離センサ133、ステアリングセンサ134、ビーコンセンサ135、ジャイロセンサ136、高度計等の中のいくつかは、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
そして、前記GPSレシーバ131は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサ132は、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサ133は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。前記距離センサ133としては、例えば、車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。
また、前記ステアリングセンサ134は、舵(だ)角を検出し、前記ステアリングセンサ134としては、例えば、ステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、前記ビーコンセンサ135は、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出する。前記ジャイロセンサ136は、車両の回転角速度、すなわち、旋回角を検出し、前記ジャイロセンサ136としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。そして、前記ジャイロセンサ136によって検出された旋回角を積分することによって、車両が向いている方位を検出することができる。
なお、前記GPSレシーバ131及びビーコンセンサ135は、それぞれ、単独で現在位置を検出することができる。そして、距離センサ133によって検出された距離と、地磁気センサ132及びジャイロセンサ136によって検出された方位とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。また、距離センサ133によって検出された距離と、ステアリングセンサ134によって検出された舵角とを組み合わせることによって現在位置を検出することもできる。
そして、前記データ記憶部12は、道路地図、住宅地図、建造物形状地図等の地図データ、交差点データ、ノードデータ、道路データ、写真データ、登録地点データ、目的地点データ、案内道路データ、詳細目的地データ、目的地読みデータ、電話番号データ、住所データ、及び、各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内等の各種地域毎のデータを含むデータを格納する各種のデータファイルを備えている。
これら各データファイルには、経路探索を行うとともに、探索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点や経路中における特徴的な写真やコマ図を出したり、交差点までの残り距離、次の交差点での進行方向を表示したり、その他の案内情報を前記表示部17や音声出カ部19から出力するための各種データが格納されている。なお、前記データファイルの内、通常のナビゲーションにおける経路探索に使用されるのは、交差点データ、ノードデータ及び道路データが、それぞれに格納された各データファイルである。該データファイルには、道路の幅員、勾配、路面の状態、コーナの曲率半径、交差点、T字路、道路の車線数、車線数の減少する地点、コーナの入口、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、道路の幅員の狭くなる地点、降坂路、登坂路等の道路データが格納されている。
ここで、案内道路データのデータファイルは、n本の道路のそれぞれに対して、道路番号、長さ、道路属性データ、形状データのアドレス及びサイズ、案内データのアドレス及びサイズ等の各データを格納する。これらのデータは、経路探索によって探索された経路を案内するために、すなわち、経路案内を行うために必要なデータとして格納される。なお、前記道路番号は、分岐点間の道路毎に方向(往路、復路)別に設定されている。また、前記道路属性データは、道路案内補助情報データであり、その道路が高架か、高架の横か、地下道か、地下道の横か等を示す情報としての高架・地下道の情報、及び、車線数の情報を示すデータである。さらに、前記形状データは、各道路を複数のノード(節)で分割したとき、該ノード同士の間隔は数メートル程度となり、ノードのそれぞれに対して付与された東経及び北緯から成る座標データを有している。すなわち、前記データ記憶部12に格納されている道路は、ノードと、該ノードを結ぶ線分としてのリンクとによって表現される。そして、前記ノードは、座標データによって定義されている。
また、前記案内データは、交差点(又は分岐点の)名称、注意点データ、道路名称データ、道路名称音声データのアドレス及びサイズ、並びに、行き先データのアドレス及びサイズの各データを含んでいる。そして、前記案内データの内、注意点データは、踏切か、トンネル入口か、トンネル出口か、幅員減少点か、なしか等の情報を示すデータであり、分岐点以外の踏切、トンネル等において運転者に注意を促すためのデータである。また、前記道路名称データは、高速道路、都市高速道路、有料道路及び一般道(国道、県道、その他)の道路種別に関する情報と、高速道路、都市高速道路及び有料道路について本線か取り付け道かを示す情報としてのデータであり、道路種別データと、各道路種別毎での個別番号データとしての種別内番号とから構成される。
さらに、前記行き先データは、行き先道路番号、行き先名称、行き先名称音声データのアドレス及びサイズ、並びに、行き先方向データ及び走行案内データを含んでいる。なお、前記行き先データの内、行き先方向データは、無効(行き先方向データを使用しない)、不要(案内しない)、直進、右方向、斜め右方向、右に戻る方向、左方向、斜め左方向、左に戻る方向等の情報を示すデータである。また、前記走行案内データは、車線数が複数ある場合にどの車線を走行すべきかを案内するためのデータを格納したもので、右寄りか、左寄りか、中央寄りか又はなしかの情報を示すデータである。
そして、前記建造物形状地図のデータは、例えば、建築物や橋梁(りょう)、タワー、公園、運動場、道路等の建造物のデータ数Nの次にN個の各建造物のデータが記憶される。ここで、各建造物のデータは、建造物の名称、番地(住所)、種別、建造物の形状、高さ及び詳細の各情報から成る。また、名称は、ビルであればそのビル名、個人の家屋であればその居住者名、施設であれば、その施設名、道路であれば「中央通り」、「国道1号」のように道路種別や通り名であり、番地(住所)は、その建造物の番地である。さらに、建造物の形状は、形状を表す座標数n及びその座標値(x0,y0)、(x1,y1)、・・・、(xn−1,yn−1)であり、種別は、一般の家屋、マンション、オフィスビル、公共施設、道路、公園等の情報である。そして、高さは、回数や高さ(m)の情報である。そして詳細は、例えば、テナントビルであれば各入居者に関する情報であれば、名称数nと各テナントについて、名称、電話番号、部屋番号、分類(レストラン、コンビニ等の業種、事業内容)に関する情報である。したがって、建造物の形状に関する情報として座標値を順に読み出して線で結び、描画して表示することによって、例えば、ビルや家屋の平面形状や公園の地形を出力することができる。
また、前記ナビゲーション処理部11は、ナビゲーション装置10の全体の制御を行う演算処理装置としてのCPU111、該CPU111が各種の演算処理を行うに当たりワーキングメモリとして使用される記録手段であるランダムアクセスメモリとしてのRAM113、及び、制御プログラムの他、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等を行うための各種のプログラムが記録された記録手段であるリードオンリーメモリとしてのROM112から成る。そして、前記ナビゲーション処理部11には、前記入力部16、表示部17、音声入力部18、音声出力部19及び通信部15が接続される。そして、経路の探索、経路の案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等の各種処理を実行する。なお、前記音声入力部18、音声出力部19及び通信部15の中のいくつかは、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
また、前記ナビゲーションプログラムや、探索データ、道路データ等を記憶したデータ記憶部12及びROM112は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であれば、半導体メモリだけでなく、いかなる種類の記憶媒体であってもよく、例えば、磁気テープ、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気ドラム、CD−ROM、MD、DVD−ROM、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等であってもよい。
さらに、前記通信部15は、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話網等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、駐車場等の各種施設の位置情報、前記GPSレシーバ131の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。また、本発明の機能を実現するためのプログラム、前記ナビゲーション装置10を作動させるためのその他のプログラム、データ等を、情報センタ(インターネットサーバ、ナビゲーション用サーバ等)から複数の基地局(インターネットのプロバイダ端末、前記通信部15と電話回線、通信回線等を介して接続された通信局等)に送信し、さらに各基地局から前記通信部15に送信することもできる。このようなシステムを使用する場合、各基地局から送信された前記プログラム及びデータの少なくとも一部が受信されると、前記CPU111は、読み書き可能なメモリ、例えば、RAM113、フラッシュメモリ、ハードディスク等の記録媒体にダウンロードし、前記プログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うことができる。
そして、前記入力部16は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記ナビゲーション装置10の本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、前記表示部17がタッチパネルである場合には、該表示部17の画面に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチを押す(タッチする)ことによって、入力を行うことができる。
そして、前記表示部17の画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部17としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
また、音声入力部18は、マイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部19は、音声合成装置及びスピーカを備え、音声情報、例えば、音声合成装置によって合成された音声から成る案内情報、変速情報等をスピーカから出力し、操作者に知らせる。なお、音声合成装置によって合成された音声の他に、各種の音、あらかじめテープ、メモリ等に録音された各種の案内情報をスピーカから出力することもできる。
そして、前記ナビゲーション装置10は、運転者に車両の現在位置としての自車位置周辺の道路情報等の環境を知らせて、車両の目的地までの走行経路を誘導する。すなわち、前記ナビゲーション処理部11のCPU111によって経路案内システムのプログラムが起動されると、現在位置検出部13によって現在位置を検出し、検出した現在位置を中心とする周辺地図を表示するとともに、前記現在位置の名称等を表示する。また、電話番号や住所、施設名称、登録地点等を用いて目的地が設定されると、前記ナビゲーション装置10は、現在位置から目的地までの経路を探索するための経路探索を実行する。前記目的地までの経路が探索されて設定されると、前記現在位置検出部13によって自車位置の追跡を行いながら、目的地に到着するまで経路案内を繰り返し行う。さらに、前記目的地に到着する前に寄り道設定の入力があった場合には、探索エリアを設定してその探索エリアでの再探索を行い、同様に前記目的地に到着するまで経路案内を繰り返し行う。なお、運転者が目的地等を特に設定しない場合には、前記ナビゲーション装置10は、現在位置検出部13によって自車位置の追跡を行いながら、自車位置周辺の地図を表示する。また、前記ナビゲーション装置10は、車両停止位置の属性に関する情報を取得する属性情報取得手段として機能する。
本実施の形態において、FCコントロールユニット56は、前述のように、車内LAN51を介して、ナビゲーション装置10と通信可能に接続され、該ナビゲーション装置10から車両停止位置の属性に関する情報を取得するようになっている。また、前記車内LAN51には、属性情報取得手段としても機能する画像認識手段60も接続されており、前記FCコントロールユニット56は、画像認識手段60が取得した車両の周囲の画像に関する情報を車両停止位置の属性に関する情報として取得する。
ここで、前記画像認識手段60は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備え、車体の前面部、後面部又は側面部、運転席のフロントウィンドウ等に取り付けられ、車両の前方、後方、側方等の景色を撮影する。なお、前記画像認識手段60は、複数の撮像素子を並列に配置したステレオ視カメラであることが望ましい。さらに、前記画像認識手段60は、映像基盤、絞り基盤、中央演算装置等を備え、撮像素子で撮影した画像を前記中央演算装置の画像処理部によって画像処理を行う。そして、前記画像認識手段60は、例えば、自車位置が自宅の駐車場内である場合に車両周辺の柱、壁等を認識し、その情報を車両停止位置の属性に関する情報として前記FCコントロールユニット56に送信するようになっている。
そして、該FCコントロールユニット56は、ナビゲーション装置10及び画像認識手段60から取得した車両停止位置の属性に関する情報に基づいて、車両停車位置の属性が長時間停止する位置であるか否かを判断する。そして、長時間停止する位置である場合には、水素ガスを大気中へ放出して停止するように燃料電池システムを制御する。すなわち、パージ手段にパージを行わせる通常の停止モードを選択する。前記燃料電池システムの通常運転においては、パージ手段が一定時間間隔でパージを行い、前記水素排気電磁弁43を開いて、第2燃料排出管路27から燃料ガス流路内の水素ガスを排出させるようになっている。すなわち、水素ガスが滞留しやすい環境でない場合、パージ手段にパージを行わせるモードを選択する。これにより、水素ガスは、前記水回収ドレインタンク25内の貯留水、燃料電池スタック21の燃料流路内の水分、増加した窒素その他の不純物等を伴って、空気排出マニホールド内を通過する空気中とともに、大気中に排出される。そのため、前記燃料電池スタック21の発電状態を良好に維持することができる。
また、車両停車位置の属性が長時間停止する位置であるか否かを判断して、長時間停止する位置でない場合、FCコントロールユニット56は、水素ガスを大気中へ放出せずに、封入した状態を維持して停止するように燃料電池システムを制御する。すなわち、パージ手段にパージを行わせない待機モードを選択する。そして、該待機モードが実行されると、燃料電池システムがあらかじめ決定された所定時間以下の短時間だけ運転を停止する一時停止が行われる。なお、前記所定時間は、任意に決定することができるが、例えば、10分〜2時間程度である。そして、本実施の形態における燃料電池システムは、通常の停止を行う場合に燃料電池スタック21の燃料ガス流路から水素ガスを排出して空気を導入するのに対し、一時停止を行う場合には、燃料電池スタック21の燃料ガス流路に空気を導入せず、水素ガスを封入した状態を維持することによって、前記燃料ガス流路において水素と酸素とが混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)となることを防止するようになっている。この場合、水素ガスを前記第2燃料排出管路27から空気排出マニホールドを介して、大気中へ放出することもない。
次に、車両停車位置の属性が長時間停止する位置であるか否かの判断について説明する。
図3は本発明の実施の形態における長時間停止する位置を示す図である。
まず、車両が長時間停止する位置として自宅を挙げることができる。一般的に、ナビゲーション装置10に自宅の駐車場を示す地点が自宅としてあらかじめ登録されている。そこで、前記ナビゲーション装置10によって、図3(a)に示されるように、車両停止位置が自宅である場合には、長時間停止するもの判断して、FCコントロールユニット56は通常の停止モードを選択する。なお、図3において62は、車両の現在位置としての自車位置を示す自車位置マークであり、三角形状の矢印の先端が車両の進行方向を示している。また、61は道路であり、66は自宅の建造物を示す区域である。
なお、前記ナビゲーション装置10は、自宅があらかじめ登録されていない場合であっても、走行履歴に基づいて、自宅の位置を学習することができる。すなわち、ナビゲーション装置10は、車速センサ31から取得した車両の車速、現在位置検出部13が検出した車両の位置情報、走行軌跡等の情報を含む走行履歴情報を取得して、データ記憶部12等の記憶手段に格納して蓄積するようになっている。前記走行履歴情報には、車両が出発した地点、車両が走行した道路、車両が停止した地点等の情報も含まれている。そこで、前記ナビゲーション装置10は、蓄積された走行履歴情報に基づき、過去において出発した地点となった回数の多い地点の位置を自宅の位置として認識することができる。
また、車両が長時間停止する位置として勤務先を挙げることができる。一般的に、ナビゲーション装置10に勤務先の駐車場を示す地点があらかじめ登録されている。そこで、前記ナビゲーション装置10によって、図3(b)に示されるように、車両停止位置が勤務先の駐車場である場合には、長時間停止するものと判断して、FCコントロールユニット56は通常の停止モードを選択する。なお、図3において67は、工場、会社等の勤務先の建造物を示す区域である。
なお、前記ナビゲーション装置10は、勤務先の駐車場があらかじめ登録されていない場合であっても、走行履歴に基づいて、勤務先の駐車場の位置を学習することができる。この場合、前記ナビゲーション装置10は、蓄積された走行履歴情報に基づき、過去において停止した地点となった回数の多い地点の位置を勤務先の駐車場の位置として認識することができる。
さらに、車両が長時間停止する位置として、車両の運転者が学生である場合には学校、すなわち、通学先を挙げることができる。また、通勤や通学の際に、車両を鉄道の駅周辺の駐車場に駐車させて、鉄道に乗り換える場合には、駅周辺の駐車場を車両が長時間停止する場所として挙げることができる。このような場合も、前記ナビゲーション装置10は、通学先、駅周辺等の駐車場があらかじめ登録されていなくても、走行履歴に基づいて前記駐車場の位置を学習して認識することができる。
なお、画像認識手段60が、車両の周囲に自宅、勤務先、通学先、駅周辺の駐車場等であることを識別することのできる柱や壁のような建造物の一部が存在することを認識した場合にも、前記自宅、勤務先、通学先、駅周辺の駐車場等であると認識することができる。
また、目的地までの経路が設定され、車両が設定された経路上を走行し、目的地に到着して停車した場合には、停車した位置を車両が長時間停止する場所として認識する。なお、経路が設定されている場合であっても、途中の経由地点、立ち寄り地点等に停車した場合には、停車した位置を車両が長時間停止する場所でないと認識する。例えば、設定された経路の途中に存在するレストラン等の飲食店、コンビニエンスストア等の商店に停車した場合には、停車した位置を車両が長時間停止する場所でないと認識する。
そして、車両停車位置が前記自宅、勤務先、通学先、駅周辺の駐車場等のように長時間停車する位置であるとナビゲーション装置10が認識した場合、車両停車位置の属性が長時間停止する位置であることを示す情報が車両停止位置の属性に関する情報として、FCコントロールユニット56に送信され、該FCコントロールユニット56によって停止モードが選択される。また、そうでない場合、すなわち、車両停車位置の属性が長時間停止する場位置でないとナビゲーション装置10が認識した場合、車両停車位置の属性が長時間停止する位置でないことを示す情報が車両停止位置の属性に関する情報として、FCコントロールユニット56に送信され、該FCコントロールユニット56によって待機モードが選択される。
次に、前記構成の燃料電池システムの動作について説明する。
図4は本発明の実施の形態における燃料電池システムの動作を示すフローチャート、図5は本発明の実施の形態における停止モード処理のサブルーチンの動作を示すフローチャート、図6は本発明の実施の形態における待機モード処理のサブルーチンの動作を示すフローチャートである。
まず、定常運転における動作について説明する。本実施の形態の燃料電池システムにおける定常運転時には、燃料供給電磁弁41から流出する水素ガスの圧力をあらかじめ設定した一定の圧力に調整した後、前記燃料供給電磁弁41は燃料電池システムの運転中には調整されることがなく、そのままの状態が保持される。また、酸化剤供給源としてのファンは一定量若しくは要求負荷に応じた量の空気を燃料電池スタック21の空気流路に供給するように作動する。この場合、供給される空気の量は、燃料電池スタック21の電池反応に必要な空気の量よりも十分に多い量である。また、本実施の形態において、前記燃料電池スタック21の空気流路に供給される空気の圧力は大気圧程度の常圧であり、特段加圧される必要がない。
そして、燃料電池スタック21が運転を開始すると、該燃料電池スタック21を構成する各単位セルにおいて逆拡散水が発生し、該逆拡散水が固体高分子電解質膜を透過して燃料ガス流路にまで浸透して、前記固体高分子電解質膜の燃料極側を加湿する。これにより、該固体高分子電解質膜の燃料極側は湿潤な状態となり、電気化学反応によって水素から生成された水素イオンが固体高分子電解質膜内をスムーズに移動することができる。
また、前記燃料ガス流路に供給されて余剰となった未反応成分としての水素ガスは、前記燃料ガス流路にまで浸透して余剰となった逆拡散水と混合して、気液混合物となる。該気液混合物となった水素ガスは、吸引循環ポンプ26によって吸引され、燃料電池スタック21に接続された第1燃料排出管路24を通って前記燃料電池スタック21の外部に導出される。そして、前記気液混合物は、第1燃料排出管路24を通過して水回収ドレインタンク25内に導入される。そして、比較的広い空間を備える前記水回収ドレインタンク25内に滞留することによって、重量物である水分が重力によって下方に落下し、水素ガスから逆拡散水が分離する。該逆拡散水が分離して乾燥した状態の水素ガスは、第1燃料排出管路24から水回収ドレインタンク25外に排出される。
そして、定常運転においては、前記第1燃料排出管路24から排出された水素ガスは、循環管路29に配設され、開いた状態になっている水素循環電磁弁42を通過して、燃料供給管路23に導入され、再び、燃料電池スタック21の燃料ガス流路に供給されて再利用される。なお、水素排気電磁弁43が閉じた状態となっているので、吸引循環ポンプ26から排出された水素ガスは、第2燃料排出管路27を通って空気排出マニホールドに排出されることなく、前記循環管路29に導入される。
一方、ナビゲーション装置10は、現在位置検出部13によって車両の現在位置としての自車位置を検出する(ステップS1)。そして、前記ナビゲーション装置10は、自車位置周辺の属性を判断(ステップS2)し、その結果を前記自車位置周辺の属性に関する情報として、車内LAN51を介してFCコントロールユニット56に送信する。
続いて、FCコントロールユニット56は、イグニッションがオフ(OFF)であるか否かを判断する(ステップS3)。なお、該イグニッションは、一般的な乗用車等の車両におけるイグニッションスイッチと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。また、前記イグニッションの基本的な操作方法も、一般的な乗用車等の車両におけるイグニッションスイッチとほぼ同様であり、キー挿入スロットにキーを挿入した状態で該キーを回転させ、その回転位置に応じてオン(ON)又はオフを選択することができ、オンであると燃料電池システムが作動し、オフであると前記燃料電池システムが停止するようになっている。なお、本実施の形態において、ナビゲーション装置10は、前記イグニッションがオフにされると、その時点における検出された自車位置を記憶手段に保存するとともに、保存された自車位置の情報として、車内LAN51を介してFCコントロールユニット56に送信する。
そして、前記イグニッションがオフでない場合、すなわち、オンである場合には、ステップS1に戻り、再度自車位置の検出が行われる。また、前記イグニッションがオフである場合、FCコントロールユニット56は、保存された自車位置は待機モード設定区域であるか否か、すなわち、車両停車位置の属性が待機モードを選択する場所であるか否かを判断する(ステップS4)。そして、前記FCコントロールユニット56は、保存された自車位置が待機モード設定区域でない場合、すなわち、車両停車位置の属性が長時間停止する位置である場合には停止モード処理を実行し(ステップS5)し、排気停止制御を実行保存された自車位置が待機モード設定区域である場合、すなわち、車両停車位置の属性が長時間停止する位置でない場合には待機モード処理を実行(ステップS6)して、処理を終了する。
ここで、停止モード処理は、燃料電池システムの運転を停止するための通常の制御である。そして、FCコントロールユニット56は、停止命令を出力し(ステップS5−1)、燃料電池システムの運転を停止する動作を開始する。この場合、燃料電池スタック21の燃料ガス流路への水素ガスの供給を停止し、前記燃料ガス流路内の水素ガスの空気によるパージを行う。そのために、前記FCコントロールユニット56は、水素供給電磁弁CLOSEを実行し(ステップS5−2)、燃料供給電磁弁41を閉じて燃料貯蔵手段22からの水素ガスの供給を遮断する。続いて、前記FCコントロールユニット56は、水素循環切り替え電磁弁OFFを実行し(ステップS5−3)、水素循環電磁弁42を閉じて水素ガスの循環を停止させる。これにより、燃料電池スタック21の燃料ガス流路への水素ガスの供給が遮断される。
続いて、前記FCコントロールユニット56は、水素排気電磁弁OPENを実行し(ステップS5−4)、水素排気電磁弁43を開いて、燃料ガス流路内の水素ガスを第2燃料排出管路27から空気排出マニホールドに流入させ、該空気排出マニホールド内を通過する空気によって希釈された状態で大気中に排出する。この場合、吸引循環ポンプ26が作動しているので、減圧が開始され、燃料電池スタック21、水回収ドレインタンク25、第1燃料排出管路24、燃料供給管路23及び循環管路29に残留している水素ガスは、吸引循環ポンプ26によって吸引され、第2燃料排出管路27から排出される。そして、燃料ガス流路の内部が負圧となるので、燃料ガス流路内から水素ガスが確実に速やかに除去されて排出される。
また、前記燃料ガス流路内の水素ガスの圧力は、圧力検出器45によって検出される。この場合、水素ガスの流れる経路において燃料供給電磁弁41から吸引循環ポンプ26までの範囲では水素ガスの圧力は同一であると考えることができるので、圧力検出器45が前記範囲内に配設されていれば、該圧力検出器45の検出する圧力は、燃料電池スタック21の燃料ガス流路の圧力に等しい。
続いて、前記FCコントロールユニット56は、この状態で前記燃料ガス流路内の水素ガスの圧力があらかじめ設定された閾(しきい)値、例えば、−70〔kPaG〕未満となったか否かを判断する(ステップS5−5)。この場合、前記閾値が相当の負圧を示しているので、圧力が閾値未満の状態は、前記燃料ガス流路内の燃料通路に水素ガスが実質的に残留していない状態である。なお、前記FCコントロールユニット56は、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が閾値未満となるまで、前記判断を繰り返して行う。
そして、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が前記閾値未満となると、前記FCコントロールユニット56は、空気導入用電磁弁ONを実行し(ステップS5−6)、外気導入用電磁弁44を開き、置換ガスとしての空気を燃料ガス流路内へ導入する。この場合、燃料供給電磁弁41は閉じた状態であるので、導入された空気が燃料貯蔵手段22の方へ流入することはない。これにより、燃料電池スタック21の燃料ガス流路内には空気が充満する。なお、該空気は図示されないエアフィルタを通過して濾(ろ)過された空気なので、大気中に存在する塵埃(じんあい)、不純物、有害ガス等を含んでいない。したがって、前記燃料ガス流路における触媒等の部材が前記塵埃、不純物、有害ガス等によって汚染されたり変質させられることがない。
本実施の形態においては、燃料電池スタック21に吸引タンクとしても機能する水回収ドレインタンク25が接続されているので、燃料電池スタック21に空気が導入されると、前記燃料電池スタック21の燃料ガス流路内に残留していた水素ガスは、急速に水回収ドレインタンク25内に追いやられる。そのため、燃料電池スタック21に空気が導入される時点において、燃料電池スタック21の燃料ガス流路内が真空になっていなくても、該燃料ガス流路内において残留している水素ガスが導入された空気中の酸素と混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)になることがない。したがって、単位セル内において電位シフトが発生することがないので、触媒粒子が溶出したり、燃料電池スタック21の性能が低下したりすることがない。
この場合、水回収ドレインタンク25の容積が大きいほど、燃料電池スタック21内に残留している水素ガスが水回収ドレインタンク25内に移動する時間が短縮されるが、水回収ドレインタンク25の容積を大きくし過ぎると燃料電池システム全体が大型化してしまう。なお、空気を燃料電池スタック21の燃料ガス流路内に導入する前に、吸引循環ポンプ26が減圧ポンプとして機能し、燃料電池スタック21の燃料ガス流路内に残留している水素ガスを吸引する。この場合、吸引循環ポンプ26が減圧ポンプとしての機能も果たすので、減圧ポンプを独立して配設する必要がなく、燃料電池システム全体をコンパクトにすることができる。
続いて、前記FCコントロールユニット56は、この状態で燃料電池スタック21が出力する電圧があらかじめ設定された閾値、例えば、5〔V〕以下となったかを判断する(ステップS5−7)。ここで、前記閾値は、燃料ガス流路に水素ガスが残留しておらず、空気が充満しており、燃料極と酸素極との間に実質的に電位差が生じていない状態に対応する出力電圧の値である。なお、前記FCコントロールユニット56は、燃料電池スタック21が出力する電圧が閾値未満となるまで、前記判断を繰り返して行う。
そして、燃料電池スタック21の出力が前記所定電圧以下となると、前記FCコントロールユニット56はすべての補機を停止させ(ステップS5−8)、処理を終了する。また、前記FCコントロールユニット56は、吸引循環ポンプ26を停止させ、外気導入用電磁弁44を閉じ、最後に酸化剤供給源としてのファンを停止させる。これにより、燃料電池スタック21の運転が停止された状態となる。
次に、待機モード処理について説明する。待機モード処理が実行されると、燃料電池システムがあらかじめ決定された所定時間以下の短時間だけ運転を停止する一時停止が行われる。そして、FCコントロールユニット56は、待機モード命令を出力し(ステップS6−1)、燃料電池システムの運転を所定時間以下の短時間だけ停止する一時停止の動作を開始する。この場合、燃料電池スタック21の燃料ガス流路への水素ガスの供給を停止し、前記燃料ガス流路内の圧力が所定圧力値になるか、又は、前記経過時間が所定時間になると前記停止モード処理に移行して、前記燃料ガス流路内の水素ガスの空気によるパージを行う待機モードを実行する。そして、前記FCコントロールユニット56は、水素供給電磁弁CLOSEを実行し(ステップS6−2)、燃料供給電磁弁41を閉じて燃料貯蔵手段22からの水素ガスの供給を遮断する。
続いて、前記FCコントロールユニット56は、水素循環ポンプOFFを実行し(ステップS6−3)、吸引循環ポンプ26を停止させる。これにより、燃料電池スタック21の燃料ガス流路内からの水素ガスの排出を停止させる。続いて、前記FCコントロールユニット56は、水素循環切り替え電磁弁CLOSEを実行し(ステップS6−4)、水素循環電磁弁42を閉じて水素ガスの循環を停止させる。これにより、燃料電池スタック21の燃料ガス流路への水素ガスの供給が遮断され、燃料電池スタック21の燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が開始される。この場合、外気導入用電磁弁44も水素排気電磁弁43も閉止したままであるので、燃料電池スタック21の燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が維持される。
続いて、前記FCコントロールユニット56は、この状態で前記燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が所定圧力値としのて0〔kPaG〕、すなわち、大気圧となったか、又は、待機時間、すなわち、燃料電池スタック21の燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が開始されてからの経過時間が所定時間としての閾値、例えば、10分〜2時間になったか否かを判断する(ステップS6−5)。この場合、厳密には、前記燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満となったか否か、又は、経過時間が閾値を超えたか否かが判断される。なお、前記制御手段は、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満となるか、又は、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が開始されてからの経過時間が閾値を超えるまで、前記判断を繰り返して行う。また、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満となると、空気流路の空気が固体高分子電解質膜やガス拡散電極を通して燃料ガス流路に進入し、前記燃料ガス流路内の圧力が減少から増加に転じる。また、前記所定時間としての閾値は、前記燃料ガス流路内に空気が進入する時間とすることが望ましい。
そして、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満となるか、又は、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が開始されてからの経過時間が閾値を超えると、前記FCコントロールユニット56は、停止モードへ移行し(ステップS6−6)、処理を終了する。停止モードに移行すると、通常の停止を行う場合と同様に、前述した図5のステップS5−1〜S5−8の動作が実行され、燃料電池スタック21の運転が停止される。
このように、燃料電池システムの停止時間が短い一時停止を行う場合、燃料ガス流路内の水素ガスを大気中に排出しないので、水素ガスを無駄に消費することがない。また、車両から水素ガスが排出されないので、車両が屋内駐車場等のような閉ざされた場所において一時停止を行っても、安全上の問題が生じることがない。さらに、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が維持されるので、燃料ガス流路内において水素と酸素とが混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)にならず、電位シフトの発生を防止することができる。
なお、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態を維持しても、時間の経過に伴って、燃料ガス流路内の水素ガスは減少する。そして、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満になると、空気流路の空気が固体高分子電解質膜やガス拡散電極を通して燃料ガス流路に流入して、水素と酸素とが混合してしまう。そこで、燃料ガス流路内の水素ガスの圧力が大気圧未満となるか、又は、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が開始されてからの経過時間が閾値を超えると、停止モードに移行し、燃料ガス流路内の水素ガスを排出して、燃料ガス流路内に空気を充満させるようになっている。
このように、本実施の形態においては、前記ナビゲーション装置10が車両停止位置の属性に関する情報をFCコントロールユニット56に送信すると、該FCコントロールユニット56は受信した情報に基づいて、車両停止位置の属性が長時間停止する位置であるか否かを判断する。そして、長時間停止する位置である場合には、前記FCコントロールユニット56は、停止モードを選択し、停止モード処理を実行して燃料電池システムの運転を停止するための通常の制御を行う。また、長時間停止する位置でない場合、すなわち、車両停止位置が待機モード設定区域である場合には、前記FCコントロールユニット56は、待機モードを選択し、待機モード処理を実行して、燃料電池システムがあらかじめ決定された所定時間以下の短時間だけ運転を停止する一時停止を行う。
そのため、例えば、コンビニエンスストア等の店舗に立ち寄るときに、自動的に待機モード処理が実行され、一時停止が行われる。この場合、燃料ガス流路内の水素ガスを大気中に排出しないので、水素ガスを無駄に消費することがない。また、車両から水素ガスが排出されないので、車両が屋内駐車場等のような閉ざされた場所において一時停止を行っても、安全上の問題が生じることがない。さらに、燃料ガス流路に水素ガスが封入された状態が維持されるので、燃料ガス流路内において水素と酸素とが混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)にならず、電位シフトの発生を防止することができる。そのため、停止回数が多くても、電位シフトが発生せず、燃料電池スタック21の燃料ガス流路における燃料極の性能が低下することを防止することができる。
さらに、待機モードが終了しても、なお、燃料電池スタック21の運転が再開されない場合には、停止モード処理と同様の動作が実行され、燃料電池スタック21の燃料ガス流路から排出されて置換ガスとしての空気が導入される。そのため、燃料電池スタック21内において導入された空気中の酸素と混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)になることがない。この場合、燃料電池スタック21の燃料ガス流路から排出された水素ガスを水回収ドレインタンク25に収容するようになっている。そのため、燃料電池スタック21に空気が導入される時点において、燃料電池スタック21の燃料ガス流路内が真空になっていなくても、該燃料ガス流路内において残留している水素ガスが急速に水回収ドレインタンク25内に移動し、燃料電池スタック21内において導入された空気中の酸素と混合状態(水素と酸素とが互いに反応せずに偏在した状態を言う)になることがない。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。