この発明は、基板へのハンダ付を行う加熱炉に関する。
表面のハンダが溶融しない温度で基板を予備加熱する予備加熱手段と、該予備加熱後に上記ハンダが溶融する温度で基板を本加熱する本加熱手段と、該本加熱後に上記ハンダが凝固する温度で基板を冷却させる冷却手段とを有する加熱炉が従来公知である(例えば特許文献1参照)。
予備加熱、本加熱及び冷却を行うことにより、基板へのハンダ付を行う加熱炉において、高品質、且つ効率的なハンダ付作業が可能であるとともに、構成も簡略化された加熱炉を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、第1に、表面のハンダが溶融しない温度で基板Bを予備加熱する予備加熱手段と、該予備加熱後に上記ハンダが溶融する温度で基板Bを本加熱する本加熱手段と、該本加熱後に上記ハンダが凝固する温度で基板Bを冷却させる冷却手段とを有する加熱炉において、作業スペース9を形成し、前記基板Bを加熱する加熱装置38を、該基板Bの直下又は直上に設け、該加熱装置38は、上記基板Bと対向した対向面側から該基板Bに熱を伝導させて加熱するように構成され、上記本加熱手段は、作業スペース9内において加熱装置38の上記対向面に前記基板Bを近接させる本加熱位置で、上記本加熱を行うように構成され、作業スペース9内に不活性ガスまたは還元ガスを導入する導入孔38bを、加熱装置38の上記対向面に形成し、本加熱位置にある基板Bと、上記対向面との間に不活性ガスまたは還元ガスの流動を許容するクリアランスSが形成されるように該本加熱位置を設定したことを特徴としている。
第2に、不活性ガスまたは還元ガスが注入される流路49を、加熱装置38内に形成し、流路49内の上記不活性ガスまたは還元ガスが作業スペース9内に噴出されるように該流路49と導入孔38bとを連通させたことを特徴としている。
第3に、加熱装置38を囲繞するガス供給装置52を備え、該ガス供給装置52を、加熱装置38の熱伝導面47に向かって不活性ガスまたは還元ガスを噴出するように構成したことを特徴としている。
第4に、前記加熱装置38を、昇降される基板Bの真下側に配置したことを特徴としている。
第5に、加熱された状態の不活性ガスまたは還元ガスが作業スペース9内に導入されることを特徴としている。
不活性ガス又は還元ガスによって、高品質、且つ効率的なハンダ付作業が可能になるとともに、不活性ガス又は還元ガスを導入する導入孔を形成する部材を別途設ける必要がなく、構成も簡略化される。特に、加熱装置における基板との対向面と、該基板との間には、不活性ガスまたは還元ガスの流動を許容するクリアランスが形成されるため、基板全体を不活性ガスまたは還元ガスが包み込むような状態になり、上記効果がさらに顕著になる。
(A),(B)は本発明を適用したハンダ付用加熱炉の正面図及び側面図である。
図1のハンダ付用加熱炉の要部正面図である。
図1のハンダ付用加熱炉の要部平面図である。
ホットプレート及び昇降機構の平面図である。
ホットプレートの平断面図である。
図4のA−A断面図である。
作業室の要部側断面図である。
制御部のブロック図である。
制御部が行うリフローハンダ付の処理手順を示すフロー図である。
基板の温度の経時変化を示すグラフである。
図1(A),(B)は本発明を適用したハンダ付用加熱炉の正面図及び側面図であり、図2,図3は、図1のハンダ付用加熱炉の要部正面図及び要部平面図である。ハンダ付用加熱炉1は、片側半部が基板Bに対してハンダ付作業を行う作業部2になり、もう片側半部が作業部2に基板Bを搬入するとともに作業部2の基板Bを取出して冷却する搬送部3になる。このハンダ付用加熱炉1は、作業部2内においてリフローハンダ溶融を行う。具体的には、シリコンウェハや金属基板やセラミック基板等の基板B上に位置決め載置されたハンダを溶融させることにより、基板Bへのハンダ付を行う。このハンダ付には、基板Bのハンダボール等のハンダを余裕させてハンダバンプを形成する作業や、電子部品の基板Bへのハンダ付作業等が含まれる。
搬送部3は、作業部2に向かって搬送経路を形成する搬送装置4と、搬送装置4によって搬送されていた基板Bが載置される水平な冷却プレートである載置台6と、載置台6の上面側の基板Bを作業部2側に搬入するとともに作業部2側の基板Bを載置台6の上面側に搬出する搬入・搬出装置7と、搬送部3側の上方全体を覆う搬送側カバー8とを備えている。
作業部2は、内部に作業室(作業スペース)9が形成された直方体状の作業ボックス11と、作業ボックス11をハンダ付用加熱炉1のメインフレーム1a側に支持する作業側フレーム2aと、作業ボックス11の上方全体を覆う作業側カバー12とを備えている。
上記搬送側カバー8及び作業側カバー12は、それぞれ自身の後端部が、上下回動自在にメインフレーム1a側に連結され、搬送側カバー8の上下回動によって、搬送部3内が開閉され、作業側カバー12の上下回動によって、作業部2側が開閉される。
上記作業ボックス11は、下側半部の固定側分割体13と、上側半部の可動側分割体14とを別体で備え、固定側分割体13と可動側分割体14の後端部同士がヒンジ等の連結具16によって回動自在に連結されており、可動側分割体14が固定側分割体13に対して、上下回動することにより、作業室9が開閉される。
この可動側分割体14は、上述した作業側カバー12とは別の上下回動し、先に作業側カバー12を開けた後、可動側分割体14を開けると、作業室9が開けられる。ちなみに、作業側カバー12は、伸縮するガススプリング17によって、開作動側に付勢され、この作業側カバー12は、解除可能に閉状態でロックされる。
また、作業ボックス11の搬送部3側面には開口部11aが形成され、この開口部11aを介して、作業室9内への基板Bの搬入が行われるとともに、作業室9からの基板Bの搬出も行われ、この開口部11a側には開閉装置18が設けられている。
開閉装置18は、閉塞板19と、該閉塞板19を移動可能に作業ボックス11側に支持する支持機構21と、閉塞板19を支持機構21により移動作動させる開閉アクチュエータ22とを有している。開閉アクチュエータ22によって、閉塞板19が、開口部11aを閉塞する閉塞位置と、開放する開放位置との何れかに切換作動される。ちなみに、作業室9でのリフローハンダ付の作業中は、作業室9の上方側は可動側分割体14によって閉じられるとともに、閉塞板19によって開口部11aが閉塞された状態になる。
上記搬送装置4は起立して互いに平行に対向する左右一対の前後方向に延びるサイドフレーム23,23と、各サイドフレーム23の左右内側の側面に回転自在に支持された複数のプーリ24と、各サイドフレーム23の左右内側の側面に配置された側面視で環状の搬送ベルト26とを備えている。
サイドフレーム23はメインフレーム1a側に設置されるとともに、左右の搬送ベルト26,26は、近い側のサイドフレーム23側に支持された複数のプーリ24に掛け回され、この左右の搬送ベルト26の上面間に架渡された状態で、基板Bが作業部2に向かって搬送される。
上記載置台6は、搬送ベルト26の搬送下流側半部に配置形成され、且つメインフレーム1a側に設置されている。この載置台6は、搬送幅中央側の水平な中央プレート27と、該中央プレート27の両脇側にそれぞれ配された一対の水平な端側プレート28,28とを有しており、中央プレート27と各端側プレート28との間には、帯状の移動スペース29が形成されている。
また、各端側プレート28上面の移動スペース29寄り部分には、搬送方向に延びる収容溝28aが凹設され、この収容溝28a内に搬送ベルト26の搬送下流側半分の上側部位を収容することが可能になる。上述した搬送装置4は、サイドフレーム23,23を含めた全体が昇降駆動可能にメインフレーム1aに支持されている。この搬送装置4を上昇させた場合、搬送ベルト26が収容溝28aから上方に変位した状態なる一方で、搬送装置4を下方させた場合、搬送ベルト26が収容溝28a内に収められた状態になる。
このため、搬送装置4が上昇した状態で、左右一対の搬送ベルト26,26によって載置台6側まで搬送された基板Bは、搬送装置4を下降駆動させて各搬送ベルト26の上述した部分を対応する収容溝28aに収容することにより、載置台6のマーク位置6a,6bに載置される。上昇した搬送ベルト26,26上又は載置台6上に手置きする場合は、載置台6に示された上記マーク6a,6bに沿って基板Bを載置する。ちなみに、マーク6aは小さいサイズの基板Bである小型基板B1を載置する載置位置を示し、マーク6bは大きいサイズの基板Bである大型基板B2を載置する載置位置を示している。
さらに、この載置台6は、図示しない水冷等の冷却手段によって冷却されるため、載置台6上に載置された基板Bは冷却される。具体的には、作業ボックス11でハンダ付作業が完了し、外部に取出された基板2は、まだ高温であり、手で触れることができないため、載置台6上で、基板2を手で触れる温度まで急速冷却させる。
上記搬入・搬出装置7は、側面視逆L字状に形成されて作業部2側に延びるプレート状の左右一対のトランスファ31,31と、トランスファ31が搬送方向に移動可能に支持された支持台32と、支持台32をメインフレーム1aに昇降自在に支持する支持部材33と、トランスファ31を支持台32に対して搬送方向に移動駆動させる搬送アクチュエータ34と、支持台32を昇降させる昇降アクチュエータ36とを備え、この2つのアクチュエータ34,36によって、一対のトランスファ31,31が一体的に搬送方向及び上下方向に移動駆動される。
左右のトランスファ31,31は、それぞれ、上述した左右の移動スペース29,29を介して、載置台6の上面よりも下方位置と、載置台6の真上側であって且つ上昇した搬送ベルト26よりも上方位置との間を移動可能になり、この移動スペース29を上下にすり抜けるトランスファ31の上下移動によって、載置台6上又は搬送ベルト26.26上の基板Bを左右一対のトランスファ31,31が受取ることが可能になるとともに、左右のトランスファ31,31の間に架渡された基板Bを載置台6上又は左右の搬送ベルト26,26上に載置することも可能になる。そして、このトランスファ31によって、載置台6側の基板Bを作業室9に搬入するとともに、作業室9内の基板Bを載置台6側に搬出する。
続いて、図2乃至図7に基づいて作業部2の構成について詳述する。図4は、ホットプレート及び昇降機構の平面図であり、図5は、ホットプレートの平断面図であり、図6は、図4のA−A断面図であり、図7は、作業室の要部側断面図である。作業部2は、上述した作業ボックス11、作業側フレーム2a及び作業側カバー12の他、作業室9内の基板Bを昇降させる昇降機構37と、この昇降機構37によって昇降される基板Bの直下に配置されて基板Bを加熱する水平なホットプレート(加熱装置)38と、昇降機構37によって昇降される基板Bの直上に配置されて基板Bを加熱する赤外線ヒータ(加熱装置)39と、赤外線ヒータ39側に配置された冷却装置41とを備えている。
上記昇降機構37は、作業ボックス11の直下に配置された水平な連結板(連結体)42と、連結板42から真上側に一体的に突設された複数の昇降ピン43と、連結板42を作業ボックス11に対して昇降させる昇降シリンダ(アクチュエータ)44とを備えている。
連結板42は、ホットプレート38の下方(さらに具体的には作業ボックス11の直下)に位置して全ての昇降ピン43を互いに連結して一体的に昇降させる。また、昇降ピン43は、連結板42側に取付けられる上下方向に延びる支持スリーブ43aと、支持スリーブ43aと同一軸心となり且つ支持スリーブ43aから上方に突出するピン本体43bとを有している。この昇降ピン43は、作業ボックス11の床面側を上下に貫通するとともに、ホットプレート38に穿設された上下方向の挿通孔38aに軸方向に移動自在に挿通される。
そして、昇降シリンダ44によって、昇降ピン43を上昇させると、昇降ピン43の上部がホットプレート38の上面から上方に突出した状態になる一方で、昇降ピン43を下降させると、昇降ピン43の上部が挿通孔38a内、すなわちホットプレート38内にほぼ収まった状態になる。
上記ホットプレート38は抵抗熱やその他の手段によって加熱される水平な厚板状部材であり、このホットプレート38は自身の温度によって基板Bを加熱するため、基板Bを効率的に加熱するには、ホットプレート38の基板Bとの対向面である上面に、該基板Bを接触又は近接(本例では近接)させる必要がある。このホットプレート38の上面の中心寄りには、多角形状(図示する例では、正八角形状)の設置溝46が形成され、この設置溝46よりも内側部分が、基板Bと接触又は近接して該基板Bに熱を伝導させる熱伝導面47になる。
この熱伝導面47には、上述した挿通孔38aが穿設されている他、複数の固定ピン48が上方に一体的に突設されている。
複数の挿通孔38a及び昇降ピン43は、平面視で、熱伝導面47の中央を中心とする仮想の円(可動側小径円C1a)の円周上に位置する小型用可動側グループ(グループ)と、可動側小径円C1aと同一中心となるとともに可動側小径円C1aよりも径が大きい仮想の円(可動側大径円C2a)の円周上に位置する大型用可動側グループ(グループ)とにグループ分けされる。
ちなみに、昇降ピン43及び挿通孔38aは、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2a上にそれぞれ等間隔毎(具体的には1/3周毎)に配置形成され、可動側小径円C1aの昇降ピン43及び挿通孔38aと、可動側大径円C2aの昇降ピン43及び挿通孔38aとの位相は互いに上記等間隔の半分の間隔分(具体的には1/6周囲分)ずらされている。
また、複数の固定ピン48も、平面視で、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2aと同一中心であるとともに可動側小径円C1aよりも大きく且つ可動側大径円C2aよりも径が小さい仮想の円(固定側小径円C1b)の円周上に位置する小型用固定側グループ(グループ)と、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2aと同一中心であるとともに可動側大径円C2aよりも径が若干大きい仮想の円(固定側大径円C2b)の円周上に位置する大型用固定側グループ(グループ)とにグループ分けされる。
ちなみに、固定ピン48は、固定側小径円C1b及び固定側大径円C2b上にそれぞれ等間隔毎(具体的には1/4周毎)に配置形成され、固定側小径円C1bの固定ピン48と、固定側大径径円の固定ピン48との位相は互いに上記等間隔の半分の間隔分(具体的には1/8周囲分)ずらされている。
基板Bが小型(図示する例では8インチの小型基板B1)の場合には、小型用可動側グループの複数の昇降ピン43上端で該小型基板B1を水平に支持する。この小型基板B1の周縁は、平面視で、大型用可動側グループの昇降ピン43よりも中心寄りに位置している。一方、基板Bが大型(図示する例では12インチの大型基板B2)の場合には、大型用可動側グループの複数の昇降ピン43上端で該大型基板B2を水平に支持する。この大型基板B2の周縁は、平面視で、設置溝46よりも中央寄りに位置している。
このように、基板Bを水平に支持するため、小型用可動側グループを構成する複数の昇降ピン43は、上端高さが互いに同一に設定されるとともに、大型用可動側グループを構成する複数の昇降ピン43は、上端高さが互いに同一に設定される。
この他、大型用可動側グループの昇降ピン43の上端高さは、小型用可動側グループの昇降ピン43の上端高さよりも、所定高Δhだけ高く設定されている。この所定高Δhによって、大型用可動側グループの昇降ピン43に支持された大型基板B2の下面側に、小型用可動側グループの昇降ピン43の上端側が接触して該大型基板B2が不安定になることが防止される。
固定ピン48は、昇降ピン43の上部が挿通孔38a内にほぼ収容された状態でも、基板Bが熱伝導面47に非接触になるように機能する。言換えると、この固定ピン48は、昇降ピン43が最下降した場合でも、基板Bがホットプレート38に接触することを防止する部材として機能している。ちなみに、固定ピン48の上端高さは全てほぼ同一に設定されるか、或いは、大型用固定側グループの固定ピン48の上端高さを全て同一に設定するとともに、小型用固定側グループの固定ピン48の上端高さも全て同一に設定し、且つ大型用固定側グループの固定ピン48の上端高さよりも小型用固定側グループの固定ピン48の上端高さを低く設定してもよい。
以上のような固定ピン48と昇降ピン43との配置構成及び高さ設定によって、サイズの異なる方形状や円形等(図示する例では円形)の基板Bに対して、1つのホットプレート38で対応可能になり、汎用性が向上する。そして、この昇降ピン43によって、基板Bとホットプレート38との間の隙間を調整できる。このため、加熱等で反り等が生じて非水平な状態の基板Bを、ホットプレート38に対して非接触な状態で保持させることが可能になり、均一な加熱が容易になる。
また、ホットプレート38の基板Bとの対向面である上面には、全体に亘り、作業室9内にガスを導入する小さな導入孔38bが縦横に並べられた状態で複数穿設され、これを言換えると、複数の導入孔38bが並べられて導入列Lが形成され、この導入列Lが互いに平行な状態で列方向と直交する方向に複数並べられている。
ホットプレート38における各導入列Lの直下には、該導入列Lと平行に直線状に延びる流路49が形成され、各導入孔38bは上下方向に形成されて直下の流路49と連通している。この流路49は、両端とも閉塞端になる。
ホットプレート38における流路49の中間部の直下には、平面視で各流路49と交差(具体的には直交)する方向に水平に延びる直線状の供給路51が形成され、この供給路51は各流路49と連通口51aを介して連通している。この供給路51の両端部には、下方に開放された供給口51b,51bがそれぞれ形成され、この供給口51b,51bに供給用の図示しない配管が接続される。
この供給路51の各供給口51bから注入されて流路49内に流入したガスは、導入孔38bから作業室9内に噴出される。この他にもホットプレート38には、水平な孔や上下方向の孔が複数形成され、この各種の孔が、ガス(具体的には不活性ガスまたは還元ガス)の供給用の流路、或いはホットプレート38を抵抗熱等によって加熱する発熱体を収容するスペースとして、利用される。
設置溝46の各辺には、直方体状のガス供給装置52が嵌合収容された状態で設置され、この複数のガス供給装置52によって、ホットプレート38の四方が囲繞された状態になる。このガス供給装置52の上面の熱伝導面47側縁部は該熱伝導面47に向かって下降傾斜した傾斜面が形成される一方で、熱伝導面47の設置溝46側縁部も該設置溝46に向かって下降傾斜した傾斜面が形成される。
各ガス供給装置52の傾斜面には、ガスを作業室9内に噴射する噴出孔52aが複数穿設されている。ちなみに、ガスの噴射方向は、上記傾斜面に対して垂直方向に設定される。言換えると、各ガス供給装置52は、熱伝導面47に向かって斜め上方にガスを噴出するように構成されている。
このようにして、噴出孔52aからは、ホットプレート38の導入孔38bと同様に、不活性ガスや還元ガスを噴出し、この噴出ガスは、上記噴出方向の設定によって、導入孔38bから噴出されたガスを、平面視で、ホットプレート38の中央側にガイドするように作用するため、これらの噴出ガスが基板Bの表裏面を包み込む状態になる(図7参照)。
さらに、このガス供給装置52へのガス供給経路について説明すると、上記供給路51と平行に形成されたガス供給路50が形成され、このガス供給路50の両端寄り部分には、上下方向に延びる供給口50a,50aが穿設され、この供給口51aの下方が開放されており、この開放端にガス供給用の配管が接続される。
一方、ホットプレート38には、ガス供給装置52毎に上方開放されたガス孔38cが穿設され、このガス孔38cからのガスがガス供給装置52に供給される。ガス供給炉50内に流入したガスは、直接的にガス孔38cからガス供給装置52に導入されるか、或いは、一または複数の流路55を介して、ガス孔38cからガス供給装置52に導入される。
上記赤外線ヒータ39は、搬入・搬出方向に対して直交する方向に形成され、該赤外線ヒータ39が搬入・搬出方向に複数配列配置されている。この各赤外線ヒータ39からの輻射熱によって、真下側に位置する基板Bが補助的に加熱される。
上記冷却装置41は、赤外線ヒータ39と平行な方向に形成され、隣接する赤外線ヒータ39間に1個づつ設置されている。言換えると、冷却装置41と赤外線ヒータ39が交互に並列配置されている。この冷却装置41はひし形の断面を有し、該冷却装置41の斜め下方を向いた一対の各面には、気体を噴射する噴射口41aが並列されて複数設置されている。
ちなみに、ホットプレート38、ガス供給装置52又は冷却装置41からの不活性ガスや還元ガスや冷却用エア等の気体を注入することによって、密閉された作業室9内の圧力は上昇するが、所定以上には圧力が上昇しないように、作業室9の天井側には一又は複数の図示しない排気用スリットが設けられ、高圧時は、このスリットから作業室9内のガスが外部に排気される。この他、この排気用スリットからは、ハンダ付中に発生したフラックスガス(排煙)等も排出され、これらの排気された気体は、排気ダクト側に効率よく放出される。
以上のように構成されたハンダ付用加熱炉1では、開閉装置18によって閉塞板19を開放位置に切換えて開口部11aを開放状態とするとともに、昇降機構37によって全昇降ピン43を下降作動させて下方に位置させた状態とし、搬入・搬出装置7の左右のトランスファ31,31は、基板Bを架渡し状態で保持し、作業室9内に基板Bを導入する。ちなみに、トランスファ31,31に受渡す基板Bは、載置台6上に載置してもよいが、本例では載置台6よりも上昇した搬送ベルト26,26上に載置される。
そして、左右のトランスファ31,31によって基板Bを作業室9に導入している状態で、昇降機構37によって、昇降ピン43を上昇させると、左右のトランスファ31,31から昇降ピン43が浮上り、トランスファ31から基板Bへの受渡が行われる。この後、搬入・搬出装置7のトランスファ31を作業室9内から引抜き、開閉装置18によって閉塞板19を閉塞位置に切換えて開口部11aを閉塞状態とすることにより、基板Bへの加熱が可能な状態になり、この際、基板Bはホットプレート38の熱伝導面47と平行に対向した状態になる。
最初に、基板Bを予備的に加熱する予備加熱処理(予備加熱手段)を行う。この予備加熱処理では、昇降機構37によって、基板Bを、熱伝導面47から所定距離離れた高い位置にある予備加熱範囲(予備加熱位置)まで上昇(昇降)させる。予備加熱範囲に位置する基板Bは、ホットプレート38からの熱では直接的には加熱されないが、赤外線ヒータ39からの輻射熱によって加熱される。この予備加熱範囲内で高い位置に上昇するほど、赤外線ヒータ39からの輻射熱の温度は上昇し、基板Bの表面温度もこれに伴って上昇する。
このようにして、作業室9内において、基板Bを予備加熱範囲内に上昇(昇降)させ、赤外線ヒータ39による輻射熱によって、基板B上のハンダを溶融させない温度で、該基板Bが加熱され、結果、ハンダ内に含まれる、或いはハンダボール下にあるフラックス液を活性化(酸化還元)させる。この予備加熱時には、導入孔38b又は噴出孔52aの一方又は両方から、還元ガス又は窒素ガスやギ酸ガス等の不活性ガスが作業室9内に導入される。ホットプレート38から導入されるガスと、ガス供給装置52から導入されるガスとは、同一種類であり、このガスは加熱された状態で、作業室9内に注入され、作業室9内にガス雰囲気が形成される。
続いて、基板Bを本加熱する本加熱処理(本加熱手段)を行う。この本加熱処理では、昇降機構37によって、基板Bを、上記予備加熱範囲よりも熱伝導面47(ホットプレート38の上面)に近づき熱伝導面47に非接触状態で接近する本加熱範囲(本加熱位置)にまで下降(昇降)させる。本加熱範囲に位置する基板Bは、ホットプレート38に近接し、直接的な熱伝導に近い状態で、急速に加熱される。
このようにして、作業室9内において、基板Bを本加熱範囲内に下降させ、作業室9内のホットプレート38による本加熱によって、基板B上のハンダが溶融する温度にまで、該基板Bが加熱される。この本加熱時にも、導入孔38b又は噴射孔52aの一方又は両方から、還元ガス又は窒素ガスやギ酸ガス等の不活性ガスが作業室9内に導入される。ホットプレート38から導入されるガスと、ガス供給装置52から導入されるガスとも、同一種類であり、このガスは加熱された状態で、作業室9内に注入される。
本加熱時、基板Bはホットプレート38に接触しないため、急激な加熱によって基板Bが破損するヒートショックを効率的に防止できる。また、本加熱範囲にある基板Bとホットプレート38の熱伝導面47との間には、ガスの流動を許容するクリアランスSが形成される。このクリアランスSを介して、ホットプレート38の導入孔38bから噴出されたガスが基板Bの表裏面を取囲むように流動するため、ガス雰囲気形成の効果がさらに高まる。ちなみに、ガス雰囲気形成の効果としては、例えば、窒素ガス等の不活性ガスや還元ガスを用いる場合には、ハンダ接合性が向上する他、高温ガスが上記輻射熱と相互作用して、基板Bを斑なく均一に加熱できるという効果がある。
最後に、基板Bを冷却する冷却処理(内部冷却処理,冷却手段)を行う。この冷却処理では、昇降機構37によって、基板Bを、熱伝導面47から所定距離高く且つ冷却装置41に近づいた冷却範囲(冷却位置)に上昇(昇降)させる。この冷却範囲は、上述した予備加熱範囲と近いか、或いは一部で重複している。
作業室9内において上記のように基板Bを冷却範囲内に昇降させ、冷却装置41から基板B側に向かって下方に噴射される冷却用のエア又は窒素等の気体によって、該基板Bを冷却させ、基板B上で溶融したハンダを凝固させ、加熱によるリフローハンダ付(具体的には、バンプ形状や電子部品のハンダ付)の作業を完了させる。
このようにして、リフローハンダ付が完了すると、開閉装置18によって閉塞板19を開放位置に切換えて開口部11aを開放状態とするとともに、昇降機構37によって全昇降ピン43を上昇させ、基板Bを持ち上げた状態で待機させる。トランスファ31,31を開口部11から作業室11a内に差込み、この後、昇降ピン43を下降させることにより、ホットプレート38から浮いた基板Bを、左右のトランスファ31,31の間に載置し、これによって、昇降機構37から搬入・搬出装置7に基板Bを受渡す。そして、搬入・搬出装置7は、トランスファ31,31によって、基板Bを作業室9内から搬出し、載置台6上に基板Bを載置させる。載置台6は、載置された基板Bを冷却(外部冷却処理)し、作業者が触れられる温度まで基板Bを冷却する。
以上のような予備加熱処理→本加熱処理→冷却処理の手順によって、基板Bのリフローハンダ付を行うことにより、基板Bのハンダ付を省スペースで効率的且つ高品質に行うことが可能になる。ちなみに、上述のようなリフローハンダ付作業は、具体的には、マイコン等からなる制御部53(図8参照)によって行う。
次に、図8乃至図10に基づいて、制御部53によるリフローハンダ付の処理手順の一例について説明する。なお、上述の説明と重複する部分については説明を省略する。
図8は、制御部のブロック図であり、図9は、制御部が行うリフローハンダ付の処理手順を示すフロー図であり、図10は、基板の温度の経時変化を示すグラフである。制御部53の入力側には、基板Bや作業室9等の温度を検出するセンサ等からなる温度検出手段54と、基板Bのホットプレート38の熱伝導面47からの高さを検出する昇降高さ検出手段56とが接続されている。
一方、制御部53の出力側には、昇降シリンダ44を駆動させて昇降ピン43を昇降駆動させる昇降機構制御手段57と、熱伝導面47を含むホットプレート38の温度を制御する第1加熱制御手段(加熱制御手段)58と、赤外線ヒータ39の温度を制御する第2加熱制御手段(加熱制御手段)59と、ガス供給装置52の噴射孔52aから作業室9内へのガス注入の有無を切換る制御電磁弁等からなる雰囲気用流量制御手段61と、ホットプレート38の導入孔38bから作業室9内へのガス注入量の有無を切換る制御電磁弁等からなるホットプレート側流量制御手段62と、冷却装置41から作業室9内への冷却用気体の注入量の有無を切換る制御電磁弁等からなる冷却用流量制御手段63とが接続されている。
ちなみに、昇降シリンダ44は自身に内蔵されたステッピングモータによって伸縮作動され、ステッピングモータは入力されるパルスの数によって駆動量が調整される。すなわち、昇降機構制御手段57を介して入力されるパルス信号のパルス数によって、昇降シリンダ44の伸縮長さ(すなわち、基板Bの昇降高さ)が制御される。このため、基板Bの昇降高さのフィードバック制御を行うことは必ずしも必要無く、昇降高さ検出手段56は、省略してもよい。
制御部53は、リフローハンダ付時、上述した通り予備加熱処理→本加熱処理→冷却処理の順に処理を進める。言換えると、制御部53には、予備加熱手段と、本加熱手段と、冷却手段とを有し、これらの手段を順次実行していく。
予備加熱手段では、予備加熱を行う時間と、赤外線ヒータ39の温度と、ホットプレート38の温度と、ホットプレート38からのガスの噴出量と、ガス供給装置52からのガスの噴出量と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表1に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、ホットプレート38及びガス供給装置52から供給されるガスの温度は、ホットプレート38の温度と同一に設定され、ホットプレート38から供給されるガスの圧力は0.1Mpaに設定され、ガス供給装置52から供給されるガスの圧力は0.3Mpaに設定され、基板Bの高さは、温度の調整のために、赤外線ヒータ39と接近した任意の高さまで上昇される。
本加熱手段では、本加熱を行う時間と、赤外線ヒータ39の温度と、ホットプレート38の温度と、ホットプレート38からのガスの噴出量と、ガス供給装置52からのガスの噴出量と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表2に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、ホットプレート38及びガス供給装置52から供給されるガスの温度は、ホットプレート38の温度と同一に設定され、ホットプレート38から供給されるガスの圧力は0.1Mpaに設定され、ガス供給装置52から供給されるガスの圧力は0.3Mpaに設定され、基板Bの高さは、温度の調整のために、ホットプレート38に近接した高さまで下降される。
冷却手段では、冷却を行う時間と、ホットプレート38の温度と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表3に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、冷却装置41から供給される冷却用気体の圧力は0.4Mpaに設定されている。この時、赤外線ヒータ39はOFFさせるが、ホットプレート38は、次の基板Bの処理効率を考慮してON状態で保持する。
上記設定値は一例であるが、ホットプレート38及び赤外線ヒータ39の温度を変化させることなく、基板Bの昇降によって、基板Bの加熱温度を制御できる。なお、基板Bの温度変化は、図10に示すようになり、予備加及び本加熱時には、目標温度に向かって急激に加熱した後は、温度上昇が緩やかになるように温度制御し、これによって狭い作業室9内でも迅速的且つ効率的なハンダ付を行うことが可能になる。
なお、図9のフロー図では、予備加熱、本加熱及び冷却の他、トランスファ31,31による作業室9への基板Bの「搬入」と、基板Bの「取出し」と、載置台6上での基板Bの「外部冷却」も含めて、処理手順を示している。
次に、本発明の変形例について、上述と異なる点を説明する。
上述した例では、昇降機構37によって昇降される基板Bの真上側に赤外線ヒータ39を配置するとともに真下側にホットプレート38を配置しているが、赤外線ヒータ39とホットプレート38の上下位置関係を逆にしてもよい。この場合には、赤外線ヒータ39から上方に放射される輻射熱によって該基板Bを加熱し、ホットプレート38の基板Bとの対向面となる下面に熱伝導面47が形成され、赤外線ヒータ39を避けるように昇降機構37が設置される。
また、基板Bの種類や熱容量によっては、基板Bを熱伝導面47に接触させて本加熱を行ってもよい。この場合には、ヒートショックを防止する手段としての固定ピン48は設けない。更に、ホットプレート38に密着して載置された基板Bによって、ホットプレート38上の導入孔38bが塞がれるため、この場合には、他の箇所(具体的には、ガス供給装置52)のガス供給量を増加させる。
さらに、赤外線ヒート39を省いて、ホットプレート38によって、基板Bへの予備加熱及び本加熱を行ってもよいし、或いは、ホットプレート38を省いて、基板Bの上下にそれぞれ配置した赤外線ヒート39によって、基板Bへの予備加熱及び本加熱を行ってもよい。
9 作業室(作業スペース
37 昇降機構
38 ホットプレート(加熱装置)
38b 導入孔
39 赤外線ヒータ(補助加熱装置)
41 冷却装置
42 連結板(連結体)
43 昇降ピン
44 昇降シリンダ(アクチュエータ)
47 熱伝導面
49 流路
52 ガス供給装置
B 基板(ウェハ,シリコンウェハ)
S クリアランス
この発明は、基板へのハンダ付を行う加熱炉に関する。
基板の表面のハンダを溶融させることにより、該基板へのハンダ付を行う加熱炉が従来公知である(例えば特許文献1参照)。
高品質、且つ効率的なハンダ付作業が可能であるとともに、構成も簡略化された加熱炉を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、第1に、基板Bの表面のハンダを溶融させることにより、該基板Bへのハンダ付を行う加熱炉において、上記ハンダ付作業を行う作業部2内に作業スペース9を形成し、前記基板Bと対向する対向面を有して該基板Bを加熱する加熱装置38を、該基板Bの直下又は直上に設け、作業スペース9内に不活性ガスまたは還元ガスを導入する導入孔38bを、加熱装置38の上記対向面に形成し、作業スペース9内において加熱装置38の上記対向面に前記基板Bを近接させた状態で、加熱を行う際、該基板Bと、上記対向面との間に不活性ガスまたは還元ガスの流動を許容するクリアランスSが形成されるように前記作業部2を構成したことを特徴としている。
第2に、不活性ガスまたは還元ガスが注入される流路49を、加熱装置38内に形成し、流路49内の上記不活性ガスまたは還元ガスが作業スペース9内に噴出されるように該流路49と導入孔38bとを連通させたことを特徴としている。
第3に、前記加熱装置38がホットプレートであり、加熱された状態の不活性ガスまたは還元ガスが作業スペース9内に導入されることを特徴としている。
第4に、加熱装置38を囲繞するガス供給装置52を備え、該ガス供給装置52を、加熱装置38の熱伝導面47に向かって不活性ガスまたは還元ガスを噴出するように構成したことを特徴としている。
第5に、前記加熱装置38を、基板Bの真下側に配置したことを特徴としている。
第6に、表面のハンダが溶融しない温度で基板Bを予備加熱する予備加熱手段と、該予備加熱後に上記ハンダが溶融する温度で基板Bを本加熱する本加熱手段と、該本加熱後に上記ハンダが凝固する温度で基板Bを冷却させる冷却手段とを有し、本加熱手段は、上記クリアランスSが形成される状態で本加熱を行うことを特徴としている。
不活性ガス又は還元ガスによって、高品質、且つ効率的なハンダ付作業が可能になるとともに、不活性ガス又は還元ガスを導入する導入孔を形成する部材を別途設ける必要がなく、構成も簡略化される。特に、加熱装置における基板との対向面と、該基板との間には、不活性ガスまたは還元ガスの流動を許容するクリアランスが形成されるため、基板全体を不活性ガスまたは還元ガスが包み込むような状態になり、上記効果がさらに顕著になる。
(A),(B)は本発明を適用したハンダ付用加熱炉の正面図及び側面図である。
図1のハンダ付用加熱炉の要部正面図である。
図1のハンダ付用加熱炉の要部平面図である。
ホットプレート及び昇降機構の平面図である。
ホットプレートの平断面図である。
図4のA−A断面図である。
作業室の要部側断面図である。
制御部のブロック図である。
制御部が行うリフローハンダ付の処理手順を示すフロー図である。
基板の温度の経時変化を示すグラフである。
図1(A),(B)は本発明を適用したハンダ付用加熱炉の正面図及び側面図であり、図2,図3は、図1のハンダ付用加熱炉の要部正面図及び要部平面図である。ハンダ付用加熱炉1は、片側半部が基板Bに対してハンダ付作業を行う作業部2になり、もう片側半部が作業部2に基板Bを搬入するとともに作業部2の基板Bを取出して冷却する搬送部3になる。このハンダ付用加熱炉1は、作業部2内においてリフローハンダ溶融を行う。具体的には、シリコンウェハや金属基板やセラミック基板等の基板B上に位置決め載置されたハンダを溶融させることにより、基板Bへのハンダ付を行う。このハンダ付には、基板Bのハンダボール等のハンダを余裕させてハンダバンプを形成する作業や、電子部品の基板Bへのハンダ付作業等が含まれる。
搬送部3は、作業部2に向かって搬送経路を形成する搬送装置4と、搬送装置4によって搬送されていた基板Bが載置される水平な冷却プレートである載置台6と、載置台6の上面側の基板Bを作業部2側に搬入するとともに作業部2側の基板Bを載置台6の上面側に搬出する搬入・搬出装置7と、搬送部3側の上方全体を覆う搬送側カバー8とを備えている。
作業部2は、内部に作業室(作業スペース)9が形成された直方体状の作業ボックス11と、作業ボックス11をハンダ付用加熱炉1のメインフレーム1a側に支持する作業側フレーム2aと、作業ボックス11の上方全体を覆う作業側カバー12とを備えている。
上記搬送側カバー8及び作業側カバー12は、それぞれ自身の後端部が、上下回動自在にメインフレーム1a側に連結され、搬送側カバー8の上下回動によって、搬送部3内が開閉され、作業側カバー12の上下回動によって、作業部2側が開閉される。
上記作業ボックス11は、下側半部の固定側分割体13と、上側半部の可動側分割体14とを別体で備え、固定側分割体13と可動側分割体14の後端部同士がヒンジ等の連結具16によって回動自在に連結されており、可動側分割体14が固定側分割体13に対して、上下回動することにより、作業室9が開閉される。
この可動側分割体14は、上述した作業側カバー12とは別の上下回動し、先に作業側カバー12を開けた後、可動側分割体14を開けると、作業室9が開けられる。ちなみに、作業側カバー12は、伸縮するガススプリング17によって、開作動側に付勢され、この作業側カバー12は、解除可能に閉状態でロックされる。
また、作業ボックス11の搬送部3側面には開口部11aが形成され、この開口部11aを介して、作業室9内への基板Bの搬入が行われるとともに、作業室9からの基板Bの搬出も行われ、この開口部11a側には開閉装置18が設けられている。
開閉装置18は、閉塞板19と、該閉塞板19を移動可能に作業ボックス11側に支持する支持機構21と、閉塞板19を支持機構21により移動作動させる開閉アクチュエータ22とを有している。開閉アクチュエータ22によって、閉塞板19が、開口部11aを閉塞する閉塞位置と、開放する開放位置との何れかに切換作動される。ちなみに、作業室9でのリフローハンダ付の作業中は、作業室9の上方側は可動側分割体14によって閉じられるとともに、閉塞板19によって開口部11aが閉塞された状態になる。
上記搬送装置4は起立して互いに平行に対向する左右一対の前後方向に延びるサイドフレーム23,23と、各サイドフレーム23の左右内側の側面に回転自在に支持された複数のプーリ24と、各サイドフレーム23の左右内側の側面に配置された側面視で環状の搬送ベルト26とを備えている。
サイドフレーム23はメインフレーム1a側に設置されるとともに、左右の搬送ベルト26,26は、近い側のサイドフレーム23側に支持された複数のプーリ24に掛け回され、この左右の搬送ベルト26の上面間に架渡された状態で、基板Bが作業部2に向かって搬送される。
上記載置台6は、搬送ベルト26の搬送下流側半部に配置形成され、且つメインフレーム1a側に設置されている。この載置台6は、搬送幅中央側の水平な中央プレート27と、該中央プレート27の両脇側にそれぞれ配された一対の水平な端側プレート28,28とを有しており、中央プレート27と各端側プレート28との間には、帯状の移動スペース29が形成されている。
また、各端側プレート28上面の移動スペース29寄り部分には、搬送方向に延びる収容溝28aが凹設され、この収容溝28a内に搬送ベルト26の搬送下流側半分の上側部位を収容することが可能になる。上述した搬送装置4は、サイドフレーム23,23を含めた全体が昇降駆動可能にメインフレーム1aに支持されている。この搬送装置4を上昇させた場合、搬送ベルト26が収容溝28aから上方に変位した状態なる一方で、搬送装置4を下方させた場合、搬送ベルト26が収容溝28a内に収められた状態になる。
このため、搬送装置4が上昇した状態で、左右一対の搬送ベルト26,26によって載置台6側まで搬送された基板Bは、搬送装置4を下降駆動させて各搬送ベルト26の上述した部分を対応する収容溝28aに収容することにより、載置台6のマーク位置6a,6bに載置される。上昇した搬送ベルト26,26上又は載置台6上に手置きする場合は、載置台6に示された上記マーク6a,6bに沿って基板Bを載置する。ちなみに、マーク6aは小さいサイズの基板Bである小型基板B1を載置する載置位置を示し、マーク6bは大きいサイズの基板Bである大型基板B2を載置する載置位置を示している。
さらに、この載置台6は、図示しない水冷等の冷却手段によって冷却されるため、載置台6上に載置された基板Bは冷却される。具体的には、作業ボックス11でハンダ付作業が完了し、外部に取出された基板2は、まだ高温であり、手で触れることができないため、載置台6上で、基板2を手で触れる温度まで急速冷却させる。
上記搬入・搬出装置7は、側面視逆L字状に形成されて作業部2側に延びるプレート状の左右一対のトランスファ31,31と、トランスファ31が搬送方向に移動可能に支持された支持台32と、支持台32をメインフレーム1aに昇降自在に支持する支持部材33と、トランスファ31を支持台32に対して搬送方向に移動駆動させる搬送アクチュエータ34と、支持台32を昇降させる昇降アクチュエータ36とを備え、この2つのアクチュエータ34,36によって、一対のトランスファ31,31が一体的に搬送方向及び上下方向に移動駆動される。
左右のトランスファ31,31は、それぞれ、上述した左右の移動スペース29,29を介して、載置台6の上面よりも下方位置と、載置台6の真上側であって且つ上昇した搬送ベルト26よりも上方位置との間を移動可能になり、この移動スペース29を上下にすり抜けるトランスファ31の上下移動によって、載置台6上又は搬送ベルト26.26上の基板Bを左右一対のトランスファ31,31が受取ることが可能になるとともに、左右のトランスファ31,31の間に架渡された基板Bを載置台6上又は左右の搬送ベルト26,26上に載置することも可能になる。そして、このトランスファ31によって、載置台6側の基板Bを作業室9に搬入するとともに、作業室9内の基板Bを載置台6側に搬出する。
続いて、図2乃至図7に基づいて作業部2の構成について詳述する。図4は、ホットプレート及び昇降機構の平面図であり、図5は、ホットプレートの平断面図であり、図6は、図4のA−A断面図であり、図7は、作業室の要部側断面図である。作業部2は、上述した作業ボックス11、作業側フレーム2a及び作業側カバー12の他、作業室9内の基板Bを昇降させる昇降機構37と、この昇降機構37によって昇降される基板Bの直下に配置されて基板Bを加熱する水平なホットプレート(加熱装置)38と、昇降機構37によって昇降される基板Bの直上に配置されて基板Bを加熱する赤外線ヒータ(加熱装置)39と、赤外線ヒータ39側に配置された冷却装置41とを備えている。
上記昇降機構37は、作業ボックス11の直下に配置された水平な連結板(連結体)42と、連結板42から真上側に一体的に突設された複数の昇降ピン43と、連結板42を作業ボックス11に対して昇降させる昇降シリンダ(アクチュエータ)44とを備えている。
連結板42は、ホットプレート38の下方(さらに具体的には作業ボックス11の直下)に位置して全ての昇降ピン43を互いに連結して一体的に昇降させる。また、昇降ピン43は、連結板42側に取付けられる上下方向に延びる支持スリーブ43aと、支持スリーブ43aと同一軸心となり且つ支持スリーブ43aから上方に突出するピン本体43bとを有している。この昇降ピン43は、作業ボックス11の床面側を上下に貫通するとともに、ホットプレート38に穿設された上下方向の挿通孔38aに軸方向に移動自在に挿通される。
そして、昇降シリンダ44によって、昇降ピン43を上昇させると、昇降ピン43の上部がホットプレート38の上面から上方に突出した状態になる一方で、昇降ピン43を下降させると、昇降ピン43の上部が挿通孔38a内、すなわちホットプレート38内にほぼ収まった状態になる。
上記ホットプレート38は抵抗熱やその他の手段によって加熱される水平な厚板状部材であり、このホットプレート38は自身の温度によって基板Bを加熱するため、基板Bを効率的に加熱するには、ホットプレート38の基板Bとの対向面である上面に、該基板Bを接触又は近接(本例では近接)させる必要がある。このホットプレート38の上面の中心寄りには、多角形状(図示する例では、正八角形状)の設置溝46が形成され、この設置溝46よりも内側部分が、基板Bと接触又は近接して該基板Bに熱を伝導させる熱伝導面47になる。
この熱伝導面47には、上述した挿通孔38aが穿設されている他、複数の固定ピン48が上方に一体的に突設されている。
複数の挿通孔38a及び昇降ピン43は、平面視で、熱伝導面47の中央を中心とする仮想の円(可動側小径円C1a)の円周上に位置する小型用可動側グループ(グループ)と、可動側小径円C1aと同一中心となるとともに可動側小径円C1aよりも径が大きい仮想の円(可動側大径円C2a)の円周上に位置する大型用可動側グループ(グループ)とにグループ分けされる。
ちなみに、昇降ピン43及び挿通孔38aは、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2a上にそれぞれ等間隔毎(具体的には1/3周毎)に配置形成され、可動側小径円C1aの昇降ピン43及び挿通孔38aと、可動側大径円C2aの昇降ピン43及び挿通孔38aとの位相は互いに上記等間隔の半分の間隔分(具体的には1/6周囲分)ずらされている。
また、複数の固定ピン48も、平面視で、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2aと同一中心であるとともに可動側小径円C1aよりも大きく且つ可動側大径円C2aよりも径が小さい仮想の円(固定側小径円C1b)の円周上に位置する小型用固定側グループ(グループ)と、可動側小径円C1a及び可動側大径円C2aと同一中心であるとともに可動側大径円C2aよりも径が若干大きい仮想の円(固定側大径円C2b)の円周上に位置する大型用固定側グループ(グループ)とにグループ分けされる。
ちなみに、固定ピン48は、固定側小径円C1b及び固定側大径円C2b上にそれぞれ等間隔毎(具体的には1/4周毎)に配置形成され、固定側小径円C1bの固定ピン48と、固定側大径径円の固定ピン48との位相は互いに上記等間隔の半分の間隔分(具体的には1/8周囲分)ずらされている。
基板Bが小型(図示する例では8インチの小型基板B1)の場合には、小型用可動側グループの複数の昇降ピン43上端で該小型基板B1を水平に支持する。この小型基板B1の周縁は、平面視で、大型用可動側グループの昇降ピン43よりも中心寄りに位置している。一方、基板Bが大型(図示する例では12インチの大型基板B2)の場合には、大型用可動側グループの複数の昇降ピン43上端で該大型基板B2を水平に支持する。この大型基板B2の周縁は、平面視で、設置溝46よりも中央寄りに位置している。
このように、基板Bを水平に支持するため、小型用可動側グループを構成する複数の昇降ピン43は、上端高さが互いに同一に設定されるとともに、大型用可動側グループを構成する複数の昇降ピン43は、上端高さが互いに同一に設定される。
この他、大型用可動側グループの昇降ピン43の上端高さは、小型用可動側グループの昇降ピン43の上端高さよりも、所定高Δhだけ高く設定されている。この所定高Δhによって、大型用可動側グループの昇降ピン43に支持された大型基板B2の下面側に、小型用可動側グループの昇降ピン43の上端側が接触して該大型基板B2が不安定になることが防止される。
固定ピン48は、昇降ピン43の上部が挿通孔38a内にほぼ収容された状態でも、基板Bが熱伝導面47に非接触になるように機能する。言換えると、この固定ピン48は、昇降ピン43が最下降した場合でも、基板Bがホットプレート38に接触することを防止する部材として機能している。ちなみに、固定ピン48の上端高さは全てほぼ同一に設定されるか、或いは、大型用固定側グループの固定ピン48の上端高さを全て同一に設定するとともに、小型用固定側グループの固定ピン48の上端高さも全て同一に設定し、且つ大型用固定側グループの固定ピン48の上端高さよりも小型用固定側グループの固定ピン48の上端高さを低く設定してもよい。
以上のような固定ピン48と昇降ピン43との配置構成及び高さ設定によって、サイズの異なる方形状や円形等(図示する例では円形)の基板Bに対して、1つのホットプレート38で対応可能になり、汎用性が向上する。そして、この昇降ピン43によって、基板Bとホットプレート38との間の隙間を調整できる。このため、加熱等で反り等が生じて非水平な状態の基板Bを、ホットプレート38に対して非接触な状態で保持させることが可能になり、均一な加熱が容易になる。
また、ホットプレート38の基板Bとの対向面である上面には、全体に亘り、作業室9内にガスを導入する小さな導入孔38bが縦横に並べられた状態で複数穿設され、これを言換えると、複数の導入孔38bが並べられて導入列Lが形成され、この導入列Lが互いに平行な状態で列方向と直交する方向に複数並べられている。
ホットプレート38における各導入列Lの直下には、該導入列Lと平行に直線状に延びる流路49が形成され、各導入孔38bは上下方向に形成されて直下の流路49と連通している。この流路49は、両端とも閉塞端になる。
ホットプレート38における流路49の中間部の直下には、平面視で各流路49と交差(具体的には直交)する方向に水平に延びる直線状の供給路51が形成され、この供給路51は各流路49と連通口51aを介して連通している。この供給路51の両端部には、下方に開放された供給口51b,51bがそれぞれ形成され、この供給口51b,51bに供給用の図示しない配管が接続される。
この供給路51の各供給口51bから注入されて流路49内に流入したガスは、導入孔38bから作業室9内に噴出される。この他にもホットプレート38には、水平な孔や上下方向の孔が複数形成され、この各種の孔が、ガス(具体的には不活性ガスまたは還元ガス)の供給用の流路、或いはホットプレート38を抵抗熱等によって加熱する発熱体を収容するスペースとして、利用される。
設置溝46の各辺には、直方体状のガス供給装置52が嵌合収容された状態で設置され、この複数のガス供給装置52によって、ホットプレート38の四方が囲繞された状態になる。このガス供給装置52の上面の熱伝導面47側縁部は該熱伝導面47に向かって下降傾斜した傾斜面が形成される一方で、熱伝導面47の設置溝46側縁部も該設置溝46に向かって下降傾斜した傾斜面が形成される。
各ガス供給装置52の傾斜面には、ガスを作業室9内に噴射する噴出孔52aが複数穿設されている。ちなみに、ガスの噴射方向は、上記傾斜面に対して垂直方向に設定される。言換えると、各ガス供給装置52は、熱伝導面47に向かって斜め上方にガスを噴出するように構成されている。
このようにして、噴出孔52aからは、ホットプレート38の導入孔38bと同様に、不活性ガスや還元ガスを噴出し、この噴出ガスは、上記噴出方向の設定によって、導入孔38bから噴出されたガスを、平面視で、ホットプレート38の中央側にガイドするように作用するため、これらの噴出ガスが基板Bの表裏面を包み込む状態になる(図7参照)。
さらに、このガス供給装置52へのガス供給経路について説明すると、上記供給路51と平行に形成されたガス供給路50が形成され、このガス供給路50の両端寄り部分には、上下方向に延びる供給口50a,50aが穿設され、この供給口51aの下方が開放されており、この開放端にガス供給用の配管が接続される。
一方、ホットプレート38には、ガス供給装置52毎に上方開放されたガス孔38cが穿設され、このガス孔38cからのガスがガス供給装置52に供給される。ガス供給炉50内に流入したガスは、直接的にガス孔38cからガス供給装置52に導入されるか、或いは、一または複数の流路55を介して、ガス孔38cからガス供給装置52に導入される。
上記赤外線ヒータ39は、搬入・搬出方向に対して直交する方向に形成され、該赤外線ヒータ39が搬入・搬出方向に複数配列配置されている。この各赤外線ヒータ39からの輻射熱によって、真下側に位置する基板Bが補助的に加熱される。
上記冷却装置41は、赤外線ヒータ39と平行な方向に形成され、隣接する赤外線ヒータ39間に1個づつ設置されている。言換えると、冷却装置41と赤外線ヒータ39が交互に並列配置されている。この冷却装置41はひし形の断面を有し、該冷却装置41の斜め下方を向いた一対の各面には、気体を噴射する噴射口41aが並列されて複数設置されている。
ちなみに、ホットプレート38、ガス供給装置52又は冷却装置41からの不活性ガスや還元ガスや冷却用エア等の気体を注入することによって、密閉された作業室9内の圧力は上昇するが、所定以上には圧力が上昇しないように、作業室9の天井側には一又は複数の図示しない排気用スリットが設けられ、高圧時は、このスリットから作業室9内のガスが外部に排気される。この他、この排気用スリットからは、ハンダ付中に発生したフラックスガス(排煙)等も排出され、これらの排気された気体は、排気ダクト側に効率よく放出される。
以上のように構成されたハンダ付用加熱炉1では、開閉装置18によって閉塞板19を開放位置に切換えて開口部11aを開放状態とするとともに、昇降機構37によって全昇降ピン43を下降作動させて下方に位置させた状態とし、搬入・搬出装置7の左右のトランスファ31,31は、基板Bを架渡し状態で保持し、作業室9内に基板Bを導入する。ちなみに、トランスファ31,31に受渡す基板Bは、載置台6上に載置してもよいが、本例では載置台6よりも上昇した搬送ベルト26,26上に載置される。
そして、左右のトランスファ31,31によって基板Bを作業室9に導入している状態で、昇降機構37によって、昇降ピン43を上昇させると、左右のトランスファ31,31から昇降ピン43が浮上り、トランスファ31から基板Bへの受渡が行われる。この後、搬入・搬出装置7のトランスファ31を作業室9内から引抜き、開閉装置18によって閉塞板19を閉塞位置に切換えて開口部11aを閉塞状態とすることにより、基板Bへの加熱が可能な状態になり、この際、基板Bはホットプレート38の熱伝導面47と平行に対向した状態になる。
最初に、基板Bを予備的に加熱する予備加熱処理(予備加熱手段)を行う。この予備加熱処理では、昇降機構37によって、基板Bを、熱伝導面47から所定距離離れた高い位置にある予備加熱範囲(予備加熱位置)まで上昇(昇降)させる。予備加熱範囲に位置する基板Bは、ホットプレート38からの熱では直接的には加熱されないが、赤外線ヒータ39からの輻射熱によって加熱される。この予備加熱範囲内で高い位置に上昇するほど、赤外線ヒータ39からの輻射熱の温度は上昇し、基板Bの表面温度もこれに伴って上昇する。
このようにして、作業室9内において、基板Bを予備加熱範囲内に上昇(昇降)させ、赤外線ヒータ39による輻射熱によって、基板B上のハンダを溶融させない温度で、該基板Bが加熱され、結果、ハンダ内に含まれる、或いはハンダボール下にあるフラックス液を活性化(酸化還元)させる。この予備加熱時には、導入孔38b又は噴出孔52aの一方又は両方から、還元ガス又は窒素ガスやギ酸ガス等の不活性ガスが作業室9内に導入される。ホットプレート38から導入されるガスと、ガス供給装置52から導入されるガスとは、同一種類であり、このガスは加熱された状態で、作業室9内に注入され、作業室9内にガス雰囲気が形成される。
続いて、基板Bを本加熱する本加熱処理(本加熱手段)を行う。この本加熱処理では、昇降機構37によって、基板Bを、上記予備加熱範囲よりも熱伝導面47(ホットプレート38の上面)に近づき熱伝導面47に非接触状態で接近する本加熱範囲(本加熱位置)にまで下降(昇降)させる。本加熱範囲に位置する基板Bは、ホットプレート38に近接し、直接的な熱伝導に近い状態で、急速に加熱される。
このようにして、作業室9内において、基板Bを本加熱範囲内に下降させ、作業室9内のホットプレート38による本加熱によって、基板B上のハンダが溶融する温度にまで、該基板Bが加熱される。この本加熱時にも、導入孔38b又は噴射孔52aの一方又は両方から、還元ガス又は窒素ガスやギ酸ガス等の不活性ガスが作業室9内に導入される。ホットプレート38から導入されるガスと、ガス供給装置52から導入されるガスとも、同一種類であり、このガスは加熱された状態で、作業室9内に注入される。
本加熱時、基板Bはホットプレート38に接触しないため、急激な加熱によって基板Bが破損するヒートショックを効率的に防止できる。また、本加熱範囲にある基板Bとホットプレート38の熱伝導面47との間には、ガスの流動を許容するクリアランスSが形成される。このクリアランスSを介して、ホットプレート38の導入孔38bから噴出されたガスが基板Bの表裏面を取囲むように流動するため、ガス雰囲気形成の効果がさらに高まる。ちなみに、ガス雰囲気形成の効果としては、例えば、窒素ガス等の不活性ガスや還元ガスを用いる場合には、ハンダ接合性が向上する他、高温ガスが上記輻射熱と相互作用して、基板Bを斑なく均一に加熱できるという効果がある。
最後に、基板Bを冷却する冷却処理(内部冷却処理,冷却手段)を行う。この冷却処理では、昇降機構37によって、基板Bを、熱伝導面47から所定距離高く且つ冷却装置41に近づいた冷却範囲(冷却位置)に上昇(昇降)させる。この冷却範囲は、上述した予備加熱範囲と近いか、或いは一部で重複している。
作業室9内において上記のように基板Bを冷却範囲内に昇降させ、冷却装置41から基板B側に向かって下方に噴射される冷却用のエア又は窒素等の気体によって、該基板Bを冷却させ、基板B上で溶融したハンダを凝固させ、加熱によるリフローハンダ付(具体的には、バンプ形状や電子部品のハンダ付)の作業を完了させる。
このようにして、リフローハンダ付が完了すると、開閉装置18によって閉塞板19を開放位置に切換えて開口部11aを開放状態とするとともに、昇降機構37によって全昇降ピン43を上昇させ、基板Bを持ち上げた状態で待機させる。トランスファ31,31を開口部11から作業室11a内に差込み、この後、昇降ピン43を下降させることにより、ホットプレート38から浮いた基板Bを、左右のトランスファ31,31の間に載置し、これによって、昇降機構37から搬入・搬出装置7に基板Bを受渡す。そして、搬入・搬出装置7は、トランスファ31,31によって、基板Bを作業室9内から搬出し、載置台6上に基板Bを載置させる。載置台6は、載置された基板Bを冷却(外部冷却処理)し、作業者が触れられる温度まで基板Bを冷却する。
以上のような予備加熱処理→本加熱処理→冷却処理の手順によって、基板Bのリフローハンダ付を行うことにより、基板Bのハンダ付を省スペースで効率的且つ高品質に行うことが可能になる。ちなみに、上述のようなリフローハンダ付作業は、具体的には、マイコン等からなる制御部53(図8参照)によって行う。
次に、図8乃至図10に基づいて、制御部53によるリフローハンダ付の処理手順の一例について説明する。なお、上述の説明と重複する部分については説明を省略する。
図8は、制御部のブロック図であり、図9は、制御部が行うリフローハンダ付の処理手順を示すフロー図であり、図10は、基板の温度の経時変化を示すグラフである。制御部53の入力側には、基板Bや作業室9等の温度を検出するセンサ等からなる温度検出手段54と、基板Bのホットプレート38の熱伝導面47からの高さを検出する昇降高さ検出手段56とが接続されている。
一方、制御部53の出力側には、昇降シリンダ44を駆動させて昇降ピン43を昇降駆動させる昇降機構制御手段57と、熱伝導面47を含むホットプレート38の温度を制御する第1加熱制御手段(加熱制御手段)58と、赤外線ヒータ39の温度を制御する第2加熱制御手段(加熱制御手段)59と、ガス供給装置52の噴射孔52aから作業室9内へのガス注入の有無を切換る制御電磁弁等からなる雰囲気用流量制御手段61と、ホットプレート38の導入孔38bから作業室9内へのガス注入量の有無を切換る制御電磁弁等からなるホットプレート側流量制御手段62と、冷却装置41から作業室9内への冷却用気体の注入量の有無を切換る制御電磁弁等からなる冷却用流量制御手段63とが接続されている。
ちなみに、昇降シリンダ44は自身に内蔵されたステッピングモータによって伸縮作動され、ステッピングモータは入力されるパルスの数によって駆動量が調整される。すなわち、昇降機構制御手段57を介して入力されるパルス信号のパルス数によって、昇降シリンダ44の伸縮長さ(すなわち、基板Bの昇降高さ)が制御される。このため、基板Bの昇降高さのフィードバック制御を行うことは必ずしも必要無く、昇降高さ検出手段56は、省略してもよい。
制御部53は、リフローハンダ付時、上述した通り予備加熱処理→本加熱処理→冷却処理の順に処理を進める。言換えると、制御部53には、予備加熱手段と、本加熱手段と、冷却手段とを有し、これらの手段を順次実行していく。
予備加熱手段では、予備加熱を行う時間と、赤外線ヒータ39の温度と、ホットプレート38の温度と、ホットプレート38からのガスの噴出量と、ガス供給装置52からのガスの噴出量と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表1に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、ホットプレート38及びガス供給装置52から供給されるガスの温度は、ホットプレート38の温度と同一に設定され、ホットプレート38から供給されるガスの圧力は0.1Mpaに設定され、ガス供給装置52から供給されるガスの圧力は0.3Mpaに設定され、基板Bの高さは、温度の調整のために、赤外線ヒータ39と接近した任意の高さまで上昇される。
本加熱手段では、本加熱を行う時間と、赤外線ヒータ39の温度と、ホットプレート38の温度と、ホットプレート38からのガスの噴出量と、ガス供給装置52からのガスの噴出量と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表2に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、ホットプレート38及びガス供給装置52から供給されるガスの温度は、ホットプレート38の温度と同一に設定され、ホットプレート38から供給されるガスの圧力は0.1Mpaに設定され、ガス供給装置52から供給されるガスの圧力は0.3Mpaに設定され、基板Bの高さは、温度の調整のために、ホットプレート38に近接した高さまで下降される。
冷却手段では、冷却を行う時間と、ホットプレート38の温度と、冷却装置41からの冷却用気体の噴出量と、昇降機構37によって制御される熱伝導面47からの基板Bの相対高さとを、一例として、下記表3に示すように設定している。この際の作業室9の酸素濃度は同表に示すようになり、冷却装置41から供給される冷却用気体の圧力は0.4Mpaに設定されている。この時、赤外線ヒータ39はOFFさせるが、ホットプレート38は、次の基板Bの処理効率を考慮してON状態で保持する。
上記設定値は一例であるが、ホットプレート38及び赤外線ヒータ39の温度を変化させることなく、基板Bの昇降によって、基板Bの加熱温度を制御できる。なお、基板Bの温度変化は、図10に示すようになり、予備加及び本加熱時には、目標温度に向かって急激に加熱した後は、温度上昇が緩やかになるように温度制御し、これによって狭い作業室9内でも迅速的且つ効率的なハンダ付を行うことが可能になる。
なお、図9のフロー図では、予備加熱、本加熱及び冷却の他、トランスファ31,31による作業室9への基板Bの「搬入」と、基板Bの「取出し」と、載置台6上での基板Bの「外部冷却」も含めて、処理手順を示している。
次に、本発明の変形例について、上述と異なる点を説明する。
上述した例では、昇降機構37によって昇降される基板Bの真上側に赤外線ヒータ39を配置するとともに真下側にホットプレート38を配置しているが、赤外線ヒータ39とホットプレート38の上下位置関係を逆にしてもよい。この場合には、赤外線ヒータ39から上方に放射される輻射熱によって該基板Bを加熱し、ホットプレート38の基板Bとの対向面となる下面に熱伝導面47が形成され、赤外線ヒータ39を避けるように昇降機構37が設置される。
また、基板Bの種類や熱容量によっては、基板Bを熱伝導面47に接触させて本加熱を行ってもよい。この場合には、ヒートショックを防止する手段としての固定ピン48は設けない。更に、ホットプレート38に密着して載置された基板Bによって、ホットプレート38上の導入孔38bが塞がれるため、この場合には、他の箇所(具体的には、ガス供給装置52)のガス供給量を増加させる。
さらに、赤外線ヒート39を省いて、ホットプレート38によって、基板Bへの予備加熱及び本加熱を行ってもよいし、或いは、ホットプレート38を省いて、基板Bの上下にそれぞれ配置した赤外線ヒート39によって、基板Bへの予備加熱及び本加熱を行ってもよい。
2 作業部
9 作業室(作業スペース
37 昇降機構
38 ホットプレート(加熱装置)
38b 導入孔
39 赤外線ヒータ(補助加熱装置)
41 冷却装置
42 連結板(連結体)
43 昇降ピン
44 昇降シリンダ(アクチュエータ)
47 熱伝導面
49 流路
52 ガス供給装置
B 基板(ウェハ,シリコンウェハ)
S クリアランス