JP2014047892A - 焼結軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る焼結軸受は、回転軸の外周面を支持する第一軸受面21aを有する第一軸受部と、回転軸の外周面を支持する第二軸受面22aを有する第二軸受部と、第一軸受部と第二軸受部との間に設けられた中間部と、を有している。中間部の内径は、第一軸受部の内径及び第二軸受部の内径のそれぞれと比較して大きく形成されている。そして、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのうち少なくとも一方の軸受面21a,22aには、複数のディンプルdが設けられている。
【選択図】図3
Description
これらファンモータは、機器が長期間使用されることから、長寿命化はもとより、消費電力の低減が重要な要求特性である。特に、モバイル機器のようにバッテリーで駆動するものは、消費電力を極力抑える必要がある。
一方、前記ファンモータは、近年、特に静音化の要求レベルが高まっている。一般的に、モータの静音化のためには、焼結軸受において、第一に、回転軸と軸受とのクリアランスを狭めて、軸の暴れによるノイズを抑えること、第二に、軸受に含浸する潤滑剤の粘度を上げて、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることが有効である。
しかしながら、ファンモータのように低負荷で運転し、かつ低トルクのモータにおいては、回転軸と軸受との摩擦抵抗は、軸受に含浸する潤滑剤の流体抵抗が支配的である。したがって、回転軸と軸受とのクリアランスを狭めすぎると、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が大きくなり、モータの消費電力が増大してしまう。また、潤滑剤の粘度を上げても、流体抵抗の増大によって消費電力が高くなってしまうため、選択する潤滑剤の粘度にも制約がある。
従来、回転軸との摩擦抵抗を低減することができる焼結軸受として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
この焼結軸受では、回転軸を回転自在に支持する軸受孔において、軸方向の中間部の内径が、軸方向の両端部のそれぞれ(以下、「軸受部」とする)の内径と比較して大きく形成されている。これにより、中間部の内周面が回転軸に接触することがなくなるため、軸受孔の内周面における回転軸に対応する部分の面積(以下、「摺動面積」とする)が減少する。よって、軸受孔の内周面と回転軸との接触が抑制され、また、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗も抑制されることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。ここで、「回転軸に対応する部分」とは、回転軸が回転している際に、回転軸に常時接触している部分を意味するのではなく、回転軸に接触する可能性があり、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が強く影響する部分を意味する(以下、同様とする)。
すなわち、従来の焼結軸受では、その軸方向において中間部の範囲を広げて両軸受部の範囲を狭くするほど、摺動面積を小さくすることができる。しかしながら、各軸受部(各軸受面)の軸方向の寸法が小さくなり過ぎると、くさび効果により生じた油圧が各軸受面の軸方向の両端から逃げてしまい、油膜強度を保持することができなくなる。そして、油膜強度が低下すると、軸受面と回転軸との接触が発生し易くなり、結果として、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増加するばかりでなく、ノイズ発生を助長してしまう。従って、従来の焼結軸受では、回転軸との摩擦抵抗の低減に限界がある。
本発明の課題は、回転軸との摩擦抵抗を低減することが可能な焼結軸受を提供することにある。
これにより、中間部の内周面が回転軸に接触することがなくなり、軸受孔の内周面における摺動面積が減少する。よって、軸受孔の内径が軸方向の全長に亘って同一に形成されている焼結軸受(以下、「ストレート軸受」とする)と比較して、軸受孔の内周面と回転軸との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
これにより、軸受面のうち各ディンプルが設けられている部分(範囲)については回転軸に接触することがなくなるため、軸受面における摺動面積が減少する。よって、軸受面と回転軸との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。
したがって、軸受面の軸方向の寸法を減少させることなく、軸受孔の内周面における摺動面積を減少させることができ、油膜強度の低下を抑制しつつ、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
また、第一の発明に係る焼結軸受では、軸受面に複数のディンプルが設けられていることにより、軸受面と回転軸の外周面との間の平均クリアランスが増加する。これにより、回転軸が回転した際に、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することが可能となる。
以上のように、第一の発明に係る焼結軸受によれば、軸受面と回転軸との接触の抑制及び潤滑剤の流体抵抗の低減によって、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
第二の発明に係る焼結軸受では、複数のディンプルが、軸受面を塑性変形させることにより形成されている。これにより、各ディンプルの加工精度を向上することが可能となる。
特に、焼結軸受は、金属粉を焼結することにより形成されているため、多孔質構造を有している。このため、各ディンプルを塑性加工により形成することで、変形部分が微細孔に吸収されるため、軸受面の盛り上がりを防止することが可能となる。
また、塑性加工以外でディンプルを形成する方法としては、レーザー加工やエッチング(部分腐食)加工があるが、これらの方法には、大掛かりな設備が必要となり、加工の工程が多くなる。これに対して、塑性加工は、大掛かりな設備が必要なく、加工の工程も少なく済むため、比較的安価かつ多量に加工を行なうことができる。
第三の発明に係る焼結軸受によれば、ディンプルが軸受面の軸方向の端から離間して設けられていることによって、油圧が軸受面の軸方向の端から逃げることが抑制され、油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
一般的に、ファンモータのような軽負荷で駆動するモータにおいて、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μmより大きくすると、このクリアランス内において回転軸の暴れが発生し、ノイズが大きくなる恐れがある。一方、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μm以下とすると、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が増加することによって、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増加してしまう。
ここで、本発明に係る焼結軸受では、上述のように、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μm以下とした場合でも、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減でき、モータの消費電力を低く抑えることが可能となり、同時に回転軸が回転した際のノイズを低減することが可能となる。
すなわち、軸受面の平均微小硬度(MHv)が50より低くなると、焼結軸受の耐摩耗性が悪くなり、耐久性が低下する。一方、軸受面の平均微小硬度(MHv)が200より高くなると、各ディンプルを形成する際に、各ディンプルの周囲が盛り上がってしまい、所定の寸法や精度を得ることができない。
したがって、複数のディンプルが設けられている軸受面の平均微小硬度(MHv)を、50〜200の範囲内とすることによって、焼結軸受の耐久性を低下することなく、かつ、焼結軸受の寸法や精度を落とすことなく、軸受面にディンプルを形成することが可能となる。
第六の発明に係る焼結軸受によれば、駆動トルクが小さいファンモータの特性向上が可能となり、同時に消費電力低減も可能となる。また、軸受面と回転軸との間のクリアランスがより小さいファンモータを構成することができるため、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランス内における回転軸の暴れを抑制することができ、ファンモータのノイズを低減することが可能となる。さらに、より高い粘度の潤滑剤を用いることが可能となるため、軸受の耐摩耗性を向上することができ、かつ高温下での潤滑剤の蒸発抑制、劣化抑制、漏れ抑制も可能となることから、モータ寿命を延長することが可能となる。特に、高い粘度の潤滑剤を使用することによって、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることができ、ファンモータのノイズをさらに低減することが可能となる。
焼結軸受20は、家電用、車載用等の各種モータ、OA機器など広範囲に渡って適用することが可能である。本実施形態では、焼結軸受20をファンモータ1に適用した一例を示している。
図1は、本発明の実施形態に係るファンモータの部分断面図である。図2は、図1に示すファンモータが備える焼結軸受の断面図である。図3は、図2に示す焼結軸受の軸受面の部分拡大図である。
図1に示すファンモータ1は、ハウジングホルダ2と、ハウジングホルダ2に保持された焼結軸受20と、焼結軸受20により回転自在に支持された回転軸10と、を備えている。
ハウジングホルダ2は、内部に焼結軸受20を保持する円筒部2aを有している。円筒部2aの外周面には、コイル3aを巻回して形成された積層コア(固定子)3が配設されている。
図1及び図2に示すように、焼結軸受20は、回転軸10におけるロータヨーク4とスラストプレート7との間の部分を支持している。焼結軸受20は、焼結金属(焼結合金を含む)からなり、多孔質構造を有している。焼結軸受20には、潤滑油、潤滑グリース等の潤滑剤が含浸されている。
焼結軸受20は、略円筒状に形成され、回転軸10を回転自在に支持する軸受孔hを有している。軸受孔hは、軸方向(図1に示す上下方向)に貫通するように設けられている。
第一軸受部21の内径及び第二軸受部の内径は、それぞれ、回転軸10の外径より大きい寸法で形成されている。また、第一軸受部21の内径と第二軸受部22の内径とは、略同一寸法に形成されている。本実施形態では、第一軸受部21の内径及び第二軸受部22の内径は、それぞれ、各軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスが6μm以下となるように寸法が設定されている。また、中間部23の内径は、第一軸受部21の内径及び第二軸受部22の内径のそれぞれより大きい寸法で形成されている。
図3に示すように、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのうち少なくとも一方には、複数のディンプルdが設けられている。本実施形態では、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのそれぞれにおいて、複数のディンプルdが設けられている。そして、各軸受面21a,22aでは、略全域にディンプルが設けられ、また、複数のディンプルは規則的に配置されている。なお、中間部23の内周面23aには、ディンプルdは形成されていない。
本実施形態では、各ディンプルdは、各軸受面21a,22aの軸方向の端から離間して設けられている。すなわち、各ディンプルdは、各軸受部21,22の軸方向の各端面に現れない(連通しない)ように形成されている。
ここで、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)が50より低くなると、焼結軸受20の耐摩耗性が悪くなり、耐久性が低下する。一方、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)が200より高くなると、塑性加工により各ディンプルdを形成する際に、各ディンプルdの周囲が盛り上がってしまい、所定の寸法や精度を得ることができない。したがって、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることが好ましい。
次に、焼結軸受20の製造方法について説明する。
なお、以下において、内径中逃軸受の製法は、特開平2−8302号公報や特開平7−332363号公報に示される製法を用いる。
すなわち、焼結軸受20の製造においては、まず、原料となる金属粉末に金型潤滑剤を加え、攪拌混合する。ここで、金属粉末としては、銅粉、青銅粉、黄銅粉、洋白粉、鉄粉、銅ニッケル合金粉、銅被覆鉄粉、ステンレス粉、これらの混合粉等を用いることができる。
また、金型潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなどに代表される金属石鹸の粉末や、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミドの粉末、もしくはポリエチレンなどのワックス系潤滑剤の粉末を用いることができる。軸受の使用用途によっては、金属粉末とは別に、黒鉛、二硫化モリブデン、ボロンナイトライドなどに代表される、固体潤滑成分の粉末を添加しても良い。
なお、原料となる金属粉末と固体潤滑成分、金型潤滑剤は、これらに限定したものではない。
さらに、圧粉体を、所定の雰囲気及び所定の温度条件で焼結し、焼結体を形成する。圧粉体を焼結することにより、隣接する金属粒子が拡散接合され、金属粒子が結合して、多孔質の焼結体が形成される。
前記雰囲気は、真空中、還元性ガス中(アンモニア分解ガス、水素ガス、エンドサーミックガスなど)、不活性ガス中(窒素ガス、アルゴンガスなど)及びこれら還元性ガスと不活性ガスの混合ガスなどで、原料組成によって適宜選択する。前記焼結温度は、600〜1200℃程度が実用的であり、例えば青銅(Cu-Sn)の場合で600〜800℃程度、鉄を主体とする材料は700〜1200℃程度で、こちらも原料組成によって適宜選択される。
また、焼結体は、金型内でサイジング(再圧縮)を施して再圧縮体を形成する。焼結体にサイジングを施すことにより、寸法精度を向上でき、表面粗さも改善することができる。
また、ディンプルdが形成された軸受面21a,22aに回転サイジング(バニシング加工)を施しても良い。軸受面21a,22aに回転サイジングを施して、軸受孔hの内径の再仕上げを行うことによって、寸法精度を更に向上させることができるだけでなく、表面粗さ、運転初期のなじみ性等の特性を向上することができる。
その後、洗浄された圧縮成形体に潤滑剤を含浸させることによって、焼結軸受20が完成する。
次に、ファンモータ1(焼結軸受20)の作用効果について説明する。
ファンモータ1では、積層コア3のコイル3aに電流を流すことによって、回転軸10が回転され、これに伴い、回転軸10の出力側に配設されたインペラ6が回転される。
この際、焼結軸受20では、両軸受部21,22の間に設けられた中間部23の内径が各軸受部21,22の内径と比較して大きい寸法で形成されていることによって、中間部23の内周面23aが回転軸10に接触(摺接)することがなくなる。よって、ストレート軸受と比較して、軸受孔hの内周面と回転軸10との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
これに対して、焼結軸受20では、第一軸受部21及び第二軸受部22が中間部23を介して一体に形成されていることによって、両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることが可能となる。そして、両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることによって、両軸受面21a,22aと回転軸10との接触をさらに抑制することが可能となる。特に、焼結軸受20では、第一軸受部21及び第二軸受部22が一体に形成されていることによって、両軸受部21,22の同軸度を3μm以下とすることが可能となる。したがって、ファンモータ1では、両軸受部21,22の同軸度を3μm以下に形成することが好ましい。このように、両軸受部21,22のクリアランスレベル(軸受面21a,22aと回転軸10との間のクリアランス)を揃えることによって、ファンモータ1を量産するにあたって、ノイズ特性や消費電力のバラツキを抑えることができ、同等のモータ品質を得ることが可能となる。
また、焼結軸受20では、軸受面21a,22aに複数のディンプルdが設けられていることにより、含浸された潤滑剤が各ディンプルd内に貯留される。そして、回転軸10が回転した際に、各ディンプルd内に貯留されている潤滑剤が、軸受面21a,22aと回転軸10との間に引き出される。これにより、回転軸10が回転した際に、特に運転初期における油膜形成が容易となり、軸受面21a,22aの摩擦係数を低減することが可能となる。
ここで、塑性加工以外でディンプルを形成する方法としては、レーザー加工やエッチング(部分腐食)加工があるが、これらの方法には、大掛かりな設備が必要となり、加工の工程が多くなる。これに対して、塑性加工は、大掛かりな設備が必要なく、加工の工程も少なく済むため、比較的安価かつ多量に加工を行なうことができる。
特に、焼結軸受20では、軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることによって、焼結軸受の耐久性を低下することなく、かつ、焼結軸受の寸法や精度を落とすことなく、軸受面にディンプルを形成することが可能となる。
また、焼結軸受20では、各ディンプルdが軸受面21a,22aの軸方向の端から離間して設けられていることによって、油圧が軸受面21a,22aの軸方向の端から逃げることが抑制され、油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
ファンモータ1のように、駆動トルクが小さいモータの特性向上が可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、駆動トルクが小さくなるほど、軸受面と回転軸との間に生じる摩擦抵抗の大きさが、モータ特性に大きく影響してくる。摩擦抵抗が増大すると、モータの回転数が減少して、目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、ファンモータ1の駆動トルクを小さくしても、ファンモータ1の回転数の減少を抑制することが可能となり、同時に消費電力低減も可能となる。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを小さくしても、ファンモータ1の回転数の減少を抑制することが可能となり、また、ファンモータ1の消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを小さくすることができる結果、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランス内における回転軸10の暴れを抑制することができ、上述した両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることができることと相俟って、モータのノイズを低減することが可能となる。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、使用する潤滑剤の粘度を高くしても、回転数の減少を抑制することが可能となり、また、消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、使用する潤滑剤の粘度を高くすることができる結果、軸受の耐摩耗性を向上することができ、かつ高温下での潤滑剤の蒸発抑制、劣化抑制、漏れ抑制も可能となることから、モータ寿命を延長することが可能となる。特に、高い粘度の潤滑剤を使用することによって、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることができ、モータのノイズを低減することが可能となる。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、低温で潤滑剤の粘度が高くなっても、回転数の減少を抑制することが可能となり、また、消費電力の増加を抑制することが可能となる。ここで、従来の軸受と同じ粘度の潤滑剤を選択した場合には、モータの高温特性を維持しつつ、低温特性を向上することが可能となる。一方、従来の軸受より高い粘度の潤滑剤を選択した場合には、モータの低温特性を維持しつつ、高温特性を向上することが可能となる。
例えば、焼結軸受20は、冷蔵庫のファンモータへの適用に適している。すなわち、最近の冷蔵庫では、霜を取るために定期的に温度を上げる霜取り制御が行われる。これによって、冷蔵庫に使用されるファンモータでは、潤滑剤の粘度が高いと起動不良が発生する恐れがある一方で、潤滑剤の粘度があまりにも低いと、霜取り制御が行われた際に、潤滑剤の蒸発や劣化、漏れが起り易くなり、寿命が低下する恐れがある。これに対して、より広い範囲の温度において使用することが可能なファンモータ1を冷蔵庫に使用することによって、起動不良の発生を防止しつつ、寿命の低下を抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態では、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのそれぞれにおいて、複数のディンプルdが設けられている。しかしながら、両軸受面21a,22aのうち第一軸受面21aにおいてのみ複数のディンプルdが設けられていても構わず、両軸受面21a,22aのうち第二軸受面22aにおいてのみ複数のディンプルdが設けられていても構わない。特に、両軸受面21a,22aのうち第二軸受面22aにおいてのみ複数のディンプルdを設けることにより、荷重が高くなる出力側の第一軸受面21aにおける油膜強度の低下を防止しつつ、荷重が低くなる反出力側の第二軸受面22aにおける摩擦係数を低減することが可能となる。
また、両軸受面21a,22aでディンプルdが設けられている範囲、密度等を異ならせても構わない。例えば、荷重が高くなる出力側の第一軸受面21aでは、ディンプルdが設けられている範囲又は密度を小さくし、荷重が低くなる反出力側の第二軸受面22aでは、ディンプルdが設けられている範囲又は密度を大きくしても構わない。ここで、密度とは、単位面積当たりのディンプルの数を意味する(以下、同様とする)。
また、上記実施形態では、各軸受面21a,22aの略全域において、複数のディンプルdが設けられている。しかしながら、各軸受面21a,22aの一部において、ディンプルdが設けられていない領域を設けても構わない。例えば、各軸受面21a,22aの軸方向の両端部のうち少なくとも一方においてディンプルdが設けられていない領域を設けることによって、各軸受面21a,22aにおける油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
また、上記実施形態では、各ディンプルdは、略半楕円体形状(投影面の形状が楕円形状)に形成されている。しかしながら、各ディンプルdは、投影面の形状が、円形、扇形、三角形、四角形、菱形に形成されていても構わない。
また、上記実施形態では、各軸受面21a,22aにおいて、複数のディンプルdが規則的に配置されている。しかしながら、各軸受面21a,22aにおいて、複数のディンプルdが不規則的に配置されていても構わない。
また、上記実施形態では、各ディンプルdは、周方向に沿って延びるように設けられている。しかしながら、各ディンプルdは、軸方向に沿って延びるように設けられていても、軸方向及び周方向のそれぞれに対して所定角度で傾斜する方向に沿って延びるように設けられていても構わない。
[家電用]
コンピューター,テレビ,デジタルビデオ,プロジェクター,LED照明などの冷却ファン、DLP用カラーホイールモータ、デジタルカメラやデジタルビデオなどの小径ステッピングモータ、冷蔵庫用ファン、電子レンジ用ファン、扇風機、換気扇、エアコン、ドライヤー、掃除機、ジューサーミキサー、フードプロセッサー、振動モータ、ODD用スピンドルモータ、HDD用スピンドルモータなど。
[車載用]
バッテリー冷却用ファン、温度調節シート用ファン、インカーセンサー用ファン、オーディオやナビゲーション機器用冷却ファン、ブロワー、エアコン用アクチュエータ、ウォッシャーポンプ、ドアミラー、ドアクローザ、シートリクライニング、シートスライド、パワーウィンドー、ワイパー、スタータ、ETCやEGRなどの吸排気機構のモータ、EPS(電動パワーステアリング)、EPB(電子制御パーキングブレーキ)など。
[OA機器用]
ポリゴンミラースキャナーモータ、ステッピングモータなど。
2 ハウジングホルダ
2a 円筒部
3 積層コア
3a コイル
4 ロータヨーク
5 マグネット
6 インペラ
7 スラストプレート
10 回転軸
20 焼結軸受
21 第一軸受部
22 第二軸受部
23 中間部
21a 第一軸受面
22a 第二軸受面
23a 内周面
h 軸受孔
d ディンプル
Claims (6)
- 金属粉を金型内で圧粉成形後、焼結して形成され、回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有し、潤滑剤が含浸される焼結軸受であって、
前記回転軸を支持する第一軸受面を有する第一軸受部と、
前記回転軸を支持する第二軸受面を有する第二軸受部と、
前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設けられた中間部と、を有し、
前記中間部の内径は、前記第一軸受部の内径及び前記第二軸受部の内径のそれぞれと比較して大きく形成され、
前記第一軸受面及び前記第二軸受面のうち少なくとも一方の軸受面には、複数のディンプルが設けられていることを特徴とする焼結軸受。 - 前記複数のディンプルは、塑性加工により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結軸受。
- 前記ディンプルは、前記軸受面の軸方向の端から離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結軸受。
- 前記複数のディンプルが設けられている軸受面と前記回転軸の外周面との間のクリアランスは、6μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
- 前記複数のディンプルが設けられている軸受面の平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
- ファンモータに適用されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
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