JP2014047892A - 焼結軸受 - Google Patents

焼結軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2014047892A
JP2014047892A JP2012193561A JP2012193561A JP2014047892A JP 2014047892 A JP2014047892 A JP 2014047892A JP 2012193561 A JP2012193561 A JP 2012193561A JP 2012193561 A JP2012193561 A JP 2012193561A JP 2014047892 A JP2014047892 A JP 2014047892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
rotating shaft
sintered
lubricant
motor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012193561A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6253134B2 (ja
Inventor
Shigeyuki Tanabe
重之 田辺
Tomoyasu Furukawa
智庸 古川
Shinobu Aso
忍 麻生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PORITE CORP
Original Assignee
PORITE CORP
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PORITE CORP filed Critical PORITE CORP
Priority to JP2012193561A priority Critical patent/JP6253134B2/ja
Publication of JP2014047892A publication Critical patent/JP2014047892A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6253134B2 publication Critical patent/JP6253134B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Motor Or Generator Frames (AREA)

Abstract

【課題】回転軸に与える抵抗を低減することが可能な焼結軸受を提供する。
【解決手段】本発明に係る焼結軸受は、回転軸の外周面を支持する第一軸受面21aを有する第一軸受部と、回転軸の外周面を支持する第二軸受面22aを有する第二軸受部と、第一軸受部と第二軸受部との間に設けられた中間部と、を有している。中間部の内径は、第一軸受部の内径及び第二軸受部の内径のそれぞれと比較して大きく形成されている。そして、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのうち少なくとも一方の軸受面21a,22aには、複数のディンプルdが設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属粉を金型内で圧粉成形後、焼結することにより形成され、潤滑剤が含浸される焼結軸受に関し、特に、回転軸との摩擦抵抗を低減し、かつノイズを低減することが可能な焼結軸受に関する。
焼結軸受は、安価かつ信頼性の高い軸受として、家電用モータ、車載用モータ、OA機器などに幅広く使用されている。その一例として、ファンモータは、コンピューターやテレビなど家電機器内部の冷却ファン、冷蔵庫内部の循環及び冷却用のファン、バッテリーの冷却やインカーセンサーの吸引に使用される車載用ファンなどがあり、年々需要が高まっている。
これらファンモータは、機器が長期間使用されることから、長寿命化はもとより、消費電力の低減が重要な要求特性である。特に、モバイル機器のようにバッテリーで駆動するものは、消費電力を極力抑える必要がある。
一方、前記ファンモータは、近年、特に静音化の要求レベルが高まっている。一般的に、モータの静音化のためには、焼結軸受において、第一に、回転軸と軸受とのクリアランスを狭めて、軸の暴れによるノイズを抑えること、第二に、軸受に含浸する潤滑剤の粘度を上げて、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることが有効である。
しかしながら、ファンモータのように低負荷で運転し、かつ低トルクのモータにおいては、回転軸と軸受との摩擦抵抗は、軸受に含浸する潤滑剤の流体抵抗が支配的である。したがって、回転軸と軸受とのクリアランスを狭めすぎると、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が大きくなり、モータの消費電力が増大してしまう。また、潤滑剤の粘度を上げても、流体抵抗の増大によって消費電力が高くなってしまうため、選択する潤滑剤の粘度にも制約がある。
従来、回転軸との摩擦抵抗を低減することができる焼結軸受として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
この焼結軸受では、回転軸を回転自在に支持する軸受孔において、軸方向の中間部の内径が、軸方向の両端部のそれぞれ(以下、「軸受部」とする)の内径と比較して大きく形成されている。これにより、中間部の内周面が回転軸に接触することがなくなるため、軸受孔の内周面における回転軸に対応する部分の面積(以下、「摺動面積」とする)が減少する。よって、軸受孔の内周面と回転軸との接触が抑制され、また、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗も抑制されることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。ここで、「回転軸に対応する部分」とは、回転軸が回転している際に、回転軸に常時接触している部分を意味するのではなく、回転軸に接触する可能性があり、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が強く影響する部分を意味する(以下、同様とする)。
特開平7−332363号公報
しかしながら、従来の焼結軸受では、回転軸との摩擦抵抗を低減することに限界がある。
すなわち、従来の焼結軸受では、その軸方向において中間部の範囲を広げて両軸受部の範囲を狭くするほど、摺動面積を小さくすることができる。しかしながら、各軸受部(各軸受面)の軸方向の寸法が小さくなり過ぎると、くさび効果により生じた油圧が各軸受面の軸方向の両端から逃げてしまい、油膜強度を保持することができなくなる。そして、油膜強度が低下すると、軸受面と回転軸との接触が発生し易くなり、結果として、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増加するばかりでなく、ノイズ発生を助長してしまう。従って、従来の焼結軸受では、回転軸との摩擦抵抗の低減に限界がある。
本発明の課題は、回転軸との摩擦抵抗を低減することが可能な焼結軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために、第一の発明に係る焼結軸受は、金属粉を金型内で圧粉成形後、焼結して形成され、回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有し、潤滑剤が含浸される焼結軸受であって、前記回転軸を支持する第一軸受面を有する第一軸受部と、前記回転軸を支持する第二軸受面を有する第二軸受部と、前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設けられた中間部と、を有し、前記中間部の内径は、前記第一軸受部の内径及び前記第二軸受部の内径のそれぞれと比較して大きく形成され、前記第一軸受面及び前記第二軸受面のうち少なくとも一方の軸受面には、複数のディンプルが設けられていることを特徴とする。
第一の発明に係る焼結軸受では、第一軸受部と第二軸受部との間に中間部が設けられており、中間部の内径が各軸受部の内径と比較して大きく形成されている。
これにより、中間部の内周面が回転軸に接触することがなくなり、軸受孔の内周面における摺動面積が減少する。よって、軸受孔の内径が軸方向の全長に亘って同一に形成されている焼結軸受(以下、「ストレート軸受」とする)と比較して、軸受孔の内周面と回転軸との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
特に、第一の発明に係る焼結軸受では、回転軸を回転自在に支持する第一軸受面及び第二軸受面のうち少なくとも一方の軸受面に、複数のディンプルが設けられている。
これにより、軸受面のうち各ディンプルが設けられている部分(範囲)については回転軸に接触することがなくなるため、軸受面における摺動面積が減少する。よって、軸受面と回転軸との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。
したがって、軸受面の軸方向の寸法を減少させることなく、軸受孔の内周面における摺動面積を減少させることができ、油膜強度の低下を抑制しつつ、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
また、第一の発明に係る焼結軸受では、軸受面に複数のディンプルが設けられていることにより、含浸された潤滑剤が各ディンプル内に貯留される。そして、回転軸が回転した際に、各ディンプル内に貯留されている潤滑剤が、軸受面と回転軸との間に引き出される。これにより、回転軸が回転した際、特に運転初期における油膜形成が容易となり、軸受面の摩擦係数を低減することが可能となる。
また、第一の発明に係る焼結軸受では、軸受面に複数のディンプルが設けられていることにより、軸受面と回転軸の外周面との間の平均クリアランスが増加する。これにより、回転軸が回転した際に、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することが可能となる。
以上のように、第一の発明に係る焼結軸受によれば、軸受面と回転軸との接触の抑制及び潤滑剤の流体抵抗の低減によって、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
特に、第一の発明に係る焼結軸受を適用することにより、駆動トルクが小さいモータの特性向上が可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、駆動トルクが小さくなるほど、軸受面と回転軸との間に生じる摩擦抵抗の大きさが、モータ特性に大きく影響してくる。具体的には、摩擦抵抗が増大すると、モータの回転数が減少して、目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。一方、第一の発明に係る焼結軸受によれば、上述のように、軸受面と回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。したがって、第一の発明に係る焼結軸受を適用することによって、モータの駆動トルクを小さくしても、モータの回転数の減少を抑制することが可能となり、同時に消費電力低減も可能となる。
また、第一の発明に係る焼結軸受を適用することにより、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスがより小さいモータを構成することが可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスが小さくなるほど、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が増加し、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増大する。すると、モータの回転数が減少して目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。一方、第一の発明に係る焼結軸受によれば、上述のように、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、第一の発明に係る焼結軸受を適用することによって、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを小さくした場合においても、モータの回転数の減少を抑制することが可能となり、また、モータの消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを小さくすることができる結果、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランス内における回転軸の暴れを抑制することができ、モータのノイズを低減することが可能となる。
さらに、第一の発明に係る焼結軸受を適用することにより、より高い粘度の潤滑剤を用いることが可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、使用する潤滑剤の粘度が高くなるほど、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗が増加する。すると、モータの回転数が減少して目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。一方、第一の発明に係る焼結軸受によれば、上述のように、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、第一の発明に係る焼結軸受を適用することによって、使用する潤滑剤の粘度を高くしても、モータの回転数の減少を抑制することが可能となり、また、モータの消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、使用する潤滑剤の粘度を高くすることができる結果、軸受の耐摩耗性を向上することができ、かつ高温下での潤滑剤の蒸発抑制、劣化抑制、漏れ抑制も可能となることから、モータ寿命を延長することが可能となる。特に、高い粘度の潤滑剤を使用することによって、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることができ、モータのノイズを低減することが可能となる。
第二の発明に係る焼結軸受は、第一の発明に係る焼結軸受において、前記複数のディンプルは、塑性加工により形成されていることを特徴とする。
第二の発明に係る焼結軸受では、複数のディンプルが、軸受面を塑性変形させることにより形成されている。これにより、各ディンプルの加工精度を向上することが可能となる。
特に、焼結軸受は、金属粉を焼結することにより形成されているため、多孔質構造を有している。このため、各ディンプルを塑性加工により形成することで、変形部分が微細孔に吸収されるため、軸受面の盛り上がりを防止することが可能となる。
また、塑性加工以外でディンプルを形成する方法としては、レーザー加工やエッチング(部分腐食)加工があるが、これらの方法には、大掛かりな設備が必要となり、加工の工程が多くなる。これに対して、塑性加工は、大掛かりな設備が必要なく、加工の工程も少なく済むため、比較的安価かつ多量に加工を行なうことができる。
第三の発明に係る焼結軸受は、第一又は第二の発明に係る焼結軸受において、前記ディンプルは、前記軸受面の軸方向の端から離間して設けられていることを特徴とする。
第三の発明に係る焼結軸受によれば、ディンプルが軸受面の軸方向の端から離間して設けられていることによって、油圧が軸受面の軸方向の端から逃げることが抑制され、油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
第四の発明に係る焼結軸受は、第一乃至第三のうちいずれか一の発明に係る焼結軸受において、前記複数のディンプルが設けられている軸受面と前記回転軸の外周面との間のクリアランスは、6μm以下に設定されていることを特徴とする。
一般的に、ファンモータのような軽負荷で駆動するモータにおいて、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μmより大きくすると、このクリアランス内において回転軸の暴れが発生し、ノイズが大きくなる恐れがある。一方、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μm以下とすると、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が増加することによって、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増加してしまう。
ここで、本発明に係る焼結軸受では、上述のように、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μm以下とした場合でも、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減でき、モータの消費電力を低く抑えることが可能となり、同時に回転軸が回転した際のノイズを低減することが可能となる。
第五の発明に係る焼結軸受は、第一乃至第四のうちいずれか一の発明に係る焼結軸受において、前記複数のディンプルが設けられている軸受面の平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることを特徴とする。
すなわち、軸受面の平均微小硬度(MHv)が50より低くなると、焼結軸受の耐摩耗性が悪くなり、耐久性が低下する。一方、軸受面の平均微小硬度(MHv)が200より高くなると、各ディンプルを形成する際に、各ディンプルの周囲が盛り上がってしまい、所定の寸法や精度を得ることができない。
したがって、複数のディンプルが設けられている軸受面の平均微小硬度(MHv)を、50〜200の範囲内とすることによって、焼結軸受の耐久性を低下することなく、かつ、焼結軸受の寸法や精度を落とすことなく、軸受面にディンプルを形成することが可能となる。
第六の発明に係る焼結軸受は、第一乃至第五のうちいずれか一の発明に係る焼結軸受において、ファンモータに適用されることを特徴とする。
第六の発明に係る焼結軸受によれば、駆動トルクが小さいファンモータの特性向上が可能となり、同時に消費電力低減も可能となる。また、軸受面と回転軸との間のクリアランスがより小さいファンモータを構成することができるため、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランス内における回転軸の暴れを抑制することができ、ファンモータのノイズを低減することが可能となる。さらに、より高い粘度の潤滑剤を用いることが可能となるため、軸受の耐摩耗性を向上することができ、かつ高温下での潤滑剤の蒸発抑制、劣化抑制、漏れ抑制も可能となることから、モータ寿命を延長することが可能となる。特に、高い粘度の潤滑剤を使用することによって、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることができ、ファンモータのノイズをさらに低減することが可能となる。
本発明に係る焼結軸受によれば、回転軸との摩擦抵抗を低減し、かつノイズを低減することが可能となる。
本発明の実施形態に係るファンモータの部分断面図である。 図1に示すファンモータが備える焼結軸受の断面図である。 図2に示す焼結軸受の軸受面の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態に係る焼結軸受20について、図面を参照しながら説明する。
焼結軸受20は、家電用、車載用等の各種モータ、OA機器など広範囲に渡って適用することが可能である。本実施形態では、焼結軸受20をファンモータ1に適用した一例を示している。
(ファンモータ1の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るファンモータの部分断面図である。図2は、図1に示すファンモータが備える焼結軸受の断面図である。図3は、図2に示す焼結軸受の軸受面の部分拡大図である。
図1に示すファンモータ1は、ハウジングホルダ2と、ハウジングホルダ2に保持された焼結軸受20と、焼結軸受20により回転自在に支持された回転軸10と、を備えている。
ハウジングホルダ2は、内部に焼結軸受20を保持する円筒部2aを有している。円筒部2aの外周面には、コイル3aを巻回して形成された積層コア(固定子)3が配設されている。
回転軸10は、金属(炭素鋼やステンレス鋼などの合金鋼)より円柱状に形成されている。回転軸10には、ロータヨーク4を介して、マグネット(回転子)5が取り付けられている。マグネット5は、ハウジングホルダ2の外周面に配設された積層コア3に対向するように配設されている。ロータヨーク4の外周には、インペラ(ファン)6が取り付けられている。また、ハウジングホルダ2の円筒部2aの内底部には、スラストプレート7が嵌め込まれ、回転軸10の反出力側端部をスラスト方向に軸支している。
図1及び図2に示すように、焼結軸受20は、回転軸10におけるロータヨーク4とスラストプレート7との間の部分を支持している。焼結軸受20は、焼結金属(焼結合金を含む)からなり、多孔質構造を有している。焼結軸受20には、潤滑油、潤滑グリース等の潤滑剤が含浸されている。
焼結軸受20は、略円筒状に形成され、回転軸10を回転自在に支持する軸受孔hを有している。軸受孔hは、軸方向(図1に示す上下方向)に貫通するように設けられている。
焼結軸受20は、第一軸受部21と、第二軸受部22と、第一軸受部21と第二軸受部22との間に設けられた中間部23と、を有している。第一軸受部21の内周面は、回転軸10の外周面を支持する第一軸受面21aとなっている。また、第二軸受部22の内周面は、回転軸10の外周面を支持する第二軸受面22aとなっている。
第一軸受部21の内径及び第二軸受部の内径は、それぞれ、回転軸10の外径より大きい寸法で形成されている。また、第一軸受部21の内径と第二軸受部22の内径とは、略同一寸法に形成されている。本実施形態では、第一軸受部21の内径及び第二軸受部22の内径は、それぞれ、各軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスが6μm以下となるように寸法が設定されている。また、中間部23の内径は、第一軸受部21の内径及び第二軸受部22の内径のそれぞれより大きい寸法で形成されている。
回転軸10は、焼結軸受20の軸受孔h内に挿通された状態で配設されている。そして、焼結軸受20では、第一軸受部21が回転軸10の出力側の端部を支持し、第二軸受部22が回転軸10の反出力側の端部を支持している。また、焼結軸受20では、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのそれぞれが回転軸10を回転自在に支持し、中間部23の内周面23aは回転軸10の外周面に接触(摺接)することはない。
図3に示すように、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのうち少なくとも一方には、複数のディンプルdが設けられている。本実施形態では、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのそれぞれにおいて、複数のディンプルdが設けられている。そして、各軸受面21a,22aでは、略全域にディンプルが設けられ、また、複数のディンプルは規則的に配置されている。なお、中間部23の内周面23aには、ディンプルdは形成されていない。
各ディンプルdは、ピーニング加工、転造加工、圧印加工等の塑性加工により形成されている。各ディンプルdは、略半球体形状、略半楕円体形状、略半円柱形状等の凹部として形成されている。本実施形態では、各ディンプルdは、短径が10〜500μmの範囲内、長径が10〜1000μmの範囲内にある略半楕円体形状に形成されている。また、各ディンプルdの最大深さは、1〜50μmの範囲内に形成されている。さらに、各ディンプルdは、周方向(軸方向に直交する方向)に沿って延びるように設けられている。
本実施形態では、各ディンプルdは、各軸受面21a,22aの軸方向の端から離間して設けられている。すなわち、各ディンプルdは、各軸受部21,22の軸方向の各端面に現れない(連通しない)ように形成されている。
ここで、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)が50より低くなると、焼結軸受20の耐摩耗性が悪くなり、耐久性が低下する。一方、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)が200より高くなると、塑性加工により各ディンプルdを形成する際に、各ディンプルdの周囲が盛り上がってしまい、所定の寸法や精度を得ることができない。したがって、各軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることが好ましい。
(焼結軸受20の製造方法)
次に、焼結軸受20の製造方法について説明する。
なお、以下において、内径中逃軸受の製法は、特開平2−8302号公報や特開平7−332363号公報に示される製法を用いる。
すなわち、焼結軸受20の製造においては、まず、原料となる金属粉末に金型潤滑剤を加え、攪拌混合する。ここで、金属粉末としては、銅粉、青銅粉、黄銅粉、洋白粉、鉄粉、銅ニッケル合金粉、銅被覆鉄粉、ステンレス粉、これらの混合粉等を用いることができる。
また、金型潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなどに代表される金属石鹸の粉末や、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミドの粉末、もしくはポリエチレンなどのワックス系潤滑剤の粉末を用いることができる。軸受の使用用途によっては、金属粉末とは別に、黒鉛、二硫化モリブデン、ボロンナイトライドなどに代表される、固体潤滑成分の粉末を添加しても良い。
なお、原料となる金属粉末と固体潤滑成分、金型潤滑剤は、これらに限定したものではない。
次に、攪拌混合した原料粉を、100〜500MPa程度の圧力で、金型内でプレス成形し、圧粉体を形成する。
さらに、圧粉体を、所定の雰囲気及び所定の温度条件で焼結し、焼結体を形成する。圧粉体を焼結することにより、隣接する金属粒子が拡散接合され、金属粒子が結合して、多孔質の焼結体が形成される。
前記雰囲気は、真空中、還元性ガス中(アンモニア分解ガス、水素ガス、エンドサーミックガスなど)、不活性ガス中(窒素ガス、アルゴンガスなど)及びこれら還元性ガスと不活性ガスの混合ガスなどで、原料組成によって適宜選択する。前記焼結温度は、600〜1200℃程度が実用的であり、例えば青銅(Cu-Sn)の場合で600〜800℃程度、鉄を主体とする材料は700〜1200℃程度で、こちらも原料組成によって適宜選択される。
また、焼結体は、金型内でサイジング(再圧縮)を施して再圧縮体を形成する。焼結体にサイジングを施すことにより、寸法精度を向上でき、表面粗さも改善することができる。
そして、圧縮成形体の軸受面21a,22aにおいて、複数のディンプルdを形成する。軸受面21a,22aへのディンプルdの形成は、ピーニング加工、転造加工、圧印加工等の塑性加工を用いる。例えば、軸受面21a,22aへのディンプルdの形成は、塑性加工用の工具を用いて行うことができる。この工具は、凸部を有するマンドレルと、マンドレルに外嵌されたリテーナと、リテーナにより保持されてマンドレルの外周面を転動する転動体と、を備えている。これにより、リテーナを軸受孔hの内周面に挿入して、マンドレルを回転させることによって、マンドレルの凸部により転動体がリテーナの外面から突出又は埋没して、突出した転動体が軸受面21a,22aを塑性変形させてディンプルを形成することができる。
また、ディンプルdが形成された軸受面21a,22aに回転サイジング(バニシング加工)を施しても良い。軸受面21a,22aに回転サイジングを施して、軸受孔hの内径の再仕上げを行うことによって、寸法精度を更に向上させることができるだけでなく、表面粗さ、運転初期のなじみ性等の特性を向上することができる。
そして、ディンプル形成加工後の圧縮成形体、もしくはディンプル形成加工後に回転サイジングが施された圧縮成形体に洗浄処理を施して、加工によって生じた金属屑や、サイジング用潤滑油等を除去する。
その後、洗浄された圧縮成形体に潤滑剤を含浸させることによって、焼結軸受20が完成する。
(ファンモータ1の作用効果)
次に、ファンモータ1(焼結軸受20)の作用効果について説明する。
ファンモータ1では、積層コア3のコイル3aに電流を流すことによって、回転軸10が回転され、これに伴い、回転軸10の出力側に配設されたインペラ6が回転される。
この際、焼結軸受20では、両軸受部21,22の間に設けられた中間部23の内径が各軸受部21,22の内径と比較して大きい寸法で形成されていることによって、中間部23の内周面23aが回転軸10に接触(摺接)することがなくなる。よって、ストレート軸受と比較して、軸受孔hの内周面と回転軸10との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
ここで、従来、モータにおいて、軸受と回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減する方法として、離間して配設した2つの軸受によって回転軸を支持する方法が知られている。しかしながら、この方法では、独立した2つの軸受の同軸度のバラツキ抑えることが難しく、同軸度が悪くなると、回転軸を両軸受に貫通させることができないか、貫通させることができても回転軸と内径摺動面とのクリアランスが狭くなりすぎて、流体抵抗が増大してしまい、モータの消費電力が高くなってしまう。このため、必然的にクリアランス設計を広げなければならないが、バラツキの範囲で同軸度が良いものができた場合、回転軸と内径摺動面とのクリアランスが大きくなりすぎ、回転軸の暴れによってモータのノイズが発生してしまう。ここで、同軸度とは、基準軸線と同一直線上にあるべき軸線の基準軸線からの狂いの大きさを意味する。
これに対して、焼結軸受20では、第一軸受部21及び第二軸受部22が中間部23を介して一体に形成されていることによって、両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることが可能となる。そして、両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることによって、両軸受面21a,22aと回転軸10との接触をさらに抑制することが可能となる。特に、焼結軸受20では、第一軸受部21及び第二軸受部22が一体に形成されていることによって、両軸受部21,22の同軸度を3μm以下とすることが可能となる。したがって、ファンモータ1では、両軸受部21,22の同軸度を3μm以下に形成することが好ましい。このように、両軸受部21,22のクリアランスレベル(軸受面21a,22aと回転軸10との間のクリアランス)を揃えることによって、ファンモータ1を量産するにあたって、ノイズ特性や消費電力のバラツキを抑えることができ、同等のモータ品質を得ることが可能となる。
また、焼結軸受20では、回転軸10を回転自在に支持する第一軸受面21a及び第二軸受面22aのうち少なくとも一方に、複数のディンプルdが設けられている。これにより、軸受面21a,22aのうち各ディンプルdが設けられている部分(範囲)については回転軸10に接触することがなくなるため、軸受面21a,22aにおける摺動面積が減少する。よって、軸受面21a,22aと回転軸10との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。したがって、軸受面21a,22aの軸方向の寸法を減少させることなく、軸受孔hの内周面における摺動面積を減少させることができ、油膜強度の低下を抑制しつつ、回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
また、焼結軸受20では、軸受面21a,22aに複数のディンプルdが設けられていることにより、含浸された潤滑剤が各ディンプルd内に貯留される。そして、回転軸10が回転した際に、各ディンプルd内に貯留されている潤滑剤が、軸受面21a,22aと回転軸10との間に引き出される。これにより、回転軸10が回転した際に、特に運転初期における油膜形成が容易となり、軸受面21a,22aの摩擦係数を低減することが可能となる。
また、焼結軸受20では、軸受面21a,22aに複数のディンプルdが設けられていることにより、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間の平均クリアランスが増加する。これにより、回転軸10が回転した際に、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することが可能となる。
また、焼結軸受20では、複数のディンプルdが軸受面21a,22aを塑性変形させることにより形成されていることによって、各ディンプルdの加工精度を向上することが可能となる。特に、焼結軸受は、金属粉を焼結することにより形成されているため、多孔質構造を有している。このため、各ディンプルdを塑性加工により形成することで、変形部分が微細孔に吸収されるため、軸受面21a,22aの盛り上がりを防止することが可能となる。
ここで、塑性加工以外でディンプルを形成する方法としては、レーザー加工やエッチング(部分腐食)加工があるが、これらの方法には、大掛かりな設備が必要となり、加工の工程が多くなる。これに対して、塑性加工は、大掛かりな設備が必要なく、加工の工程も少なく済むため、比較的安価かつ多量に加工を行なうことができる。
特に、焼結軸受20では、軸受面21a,22aの平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることによって、焼結軸受の耐久性を低下することなく、かつ、焼結軸受の寸法や精度を落とすことなく、軸受面にディンプルを形成することが可能となる。
また、焼結軸受20では、各ディンプルdが軸受面21a,22aの軸方向の端から離間して設けられていることによって、油圧が軸受面21a,22aの軸方向の端から逃げることが抑制され、油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
以上のように、焼結軸受20によれば、軸受面と回転軸との接触が抑制され、同時に軸回転時の潤滑剤の流体抵抗を減じることから、回転軸との間に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となっている。これによって、ファンモータ1において、以下に示す効果を奏することが可能となる。
ファンモータ1のように、駆動トルクが小さいモータの特性向上が可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、駆動トルクが小さくなるほど、軸受面と回転軸との間に生じる摩擦抵抗の大きさが、モータ特性に大きく影響してくる。摩擦抵抗が増大すると、モータの回転数が減少して、目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、ファンモータ1の駆動トルクを小さくしても、ファンモータ1の回転数の減少を抑制することが可能となり、同時に消費電力低減も可能となる。
また、ファンモータ1において、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスをより小さくすることが可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスが小さくなるほど、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が増加し、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増大する。すると、モータの回転数が減少して目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを小さくしても、ファンモータ1の回転数の減少を抑制することが可能となり、また、ファンモータ1の消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを小さくすることができる結果、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランス内における回転軸10の暴れを抑制することができ、上述した両軸受部21,22の同軸度の値を小さくすることができることと相俟って、モータのノイズを低減することが可能となる。
一般的に、ファンモータのような軽負荷で駆動するモータにおいて、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μmより大きくすると、このクリアランス内において回転軸の暴れが発生し、ノイズが大きくなる恐れがある。一方、軸受面と回転軸の外周面との間のクリアランスを6μm以下とすると、軸回転時の潤滑剤の流体抵抗が増加することによって、回転軸との間に生じる摩擦抵抗が増加してしまう。これに対して、ファンモータ1では、焼結軸受20を適用することにより、軸受面21a,22aと回転軸10との間に生じる摩擦抵抗を低減することができるため、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを6μm以下とすることができる。したがって、ファンモータ1では、ノイズ低減のために、軸受面21a,22aと回転軸10の外周面との間のクリアランスを6μm以下とすることが好ましい。
さらに、ファンモータ1において、より高い粘度の潤滑剤を用いることが可能となる。すなわち、一般的に、モータでは、使用する潤滑剤の粘度が高くなるほど、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗が増加する。すると、モータの回転数が減少して目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加する。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、使用する潤滑剤の粘度を高くしても、回転数の減少を抑制することが可能となり、また、消費電力の増加を抑制することが可能となる。そして、使用する潤滑剤の粘度を高くすることができる結果、軸受の耐摩耗性を向上することができ、かつ高温下での潤滑剤の蒸発抑制、劣化抑制、漏れ抑制も可能となることから、モータ寿命を延長することが可能となる。特に、高い粘度の潤滑剤を使用することによって、内径摺動面に発生する油膜強度を高めることができ、モータのノイズを低減することが可能となる。
一般的に、駆動トルクが小さいモータには、潤滑剤の流体抵抗を低減するために、32mm/s以下の潤滑剤を用いる。これに対して、ファンモータ1では、焼結軸受20を適用することにより、潤滑剤の流体抵抗を低減することができるため、モータの規定電流値の範囲内で、使用する潤滑剤の粘度を最大70mm/sまで高めることができる。一方、潤滑剤の粘度を10mm/sより低くすると、潤滑剤の蒸発特性が低下する。したがって、ファンモータ1では、潤滑剤の粘度を、10〜70mm/sの範囲内とすることが好ましい。ここでの粘度(mm/s)は、40℃での値を意味する。
さらに、ファンモータ1において、低温から高温までの使用温度範囲を広げることができる。すなわち、一般的に、モータでは、使用温度が低くなるほど、潤滑剤の粘度が大幅に増加して、軸受面と回転軸との間に存在する潤滑剤の流体抵抗が増加する。すると、モータの回転数が減少して目標とする回転数を達成することができなくなるとともに、モータの消費電力が増加し、特に低トルクのモータである場合には、最悪、起動不良(起動しない状態)が発生する恐れがある。逆に、モータの使用温度が高くなると、潤滑剤の粘度が大幅に低下し、軸受内径摺動面に発生する油膜強度が下がることで、軸受の耐摩耗性の低下やモータのノイズが発生し易くなる。また、潤滑剤の蒸発、劣化、漏れも起り易くなるため、モータ寿命が低下する。
これに対して、焼結軸受20では、上述のように、軸受面21a,22aと回転軸10との間に存在する潤滑剤の流体抵抗を低減することができる。したがって、焼結軸受20をファンモータ1に適用することによって、低温で潤滑剤の粘度が高くなっても、回転数の減少を抑制することが可能となり、また、消費電力の増加を抑制することが可能となる。ここで、従来の軸受と同じ粘度の潤滑剤を選択した場合には、モータの高温特性を維持しつつ、低温特性を向上することが可能となる。一方、従来の軸受より高い粘度の潤滑剤を選択した場合には、モータの低温特性を維持しつつ、高温特性を向上することが可能となる。
例えば、焼結軸受20は、冷蔵庫のファンモータへの適用に適している。すなわち、最近の冷蔵庫では、霜を取るために定期的に温度を上げる霜取り制御が行われる。これによって、冷蔵庫に使用されるファンモータでは、潤滑剤の粘度が高いと起動不良が発生する恐れがある一方で、潤滑剤の粘度があまりにも低いと、霜取り制御が行われた際に、潤滑剤の蒸発や劣化、漏れが起り易くなり、寿命が低下する恐れがある。これに対して、より広い範囲の温度において使用することが可能なファンモータ1を冷蔵庫に使用することによって、起動不良の発生を防止しつつ、寿命の低下を抑制することが可能となる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態では、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、第一軸受面21a及び第二軸受面22aのそれぞれにおいて、複数のディンプルdが設けられている。しかしながら、両軸受面21a,22aのうち第一軸受面21aにおいてのみ複数のディンプルdが設けられていても構わず、両軸受面21a,22aのうち第二軸受面22aにおいてのみ複数のディンプルdが設けられていても構わない。特に、両軸受面21a,22aのうち第二軸受面22aにおいてのみ複数のディンプルdを設けることにより、荷重が高くなる出力側の第一軸受面21aにおける油膜強度の低下を防止しつつ、荷重が低くなる反出力側の第二軸受面22aにおける摩擦係数を低減することが可能となる。
また、上記実施形態では、第一軸受面21aに形成されているディンプルdと第二軸受面22aに形成されているディンプルdとは、形状、寸法及び最大深さが同一となっている。しかしながら、第一軸受面21aに形成されているディンプルdと第二軸受面22aに形成されているディンプルdとで、形状、寸法及び最大深さのうち少なくとも一つを異ならせても構わない。例えば、荷重が高くなる出力側の第一軸受面21aでは、ディンプルdの寸法及び最大深さのうち少なくとも一方を小さくし、荷重が低くなる反出力側の第二軸受面22aでは、ディンプルdの寸法及び最大深さのうち少なくとも一方を大きくしても構わない。
また、両軸受面21a,22aでディンプルdが設けられている範囲、密度等を異ならせても構わない。例えば、荷重が高くなる出力側の第一軸受面21aでは、ディンプルdが設けられている範囲又は密度を小さくし、荷重が低くなる反出力側の第二軸受面22aでは、ディンプルdが設けられている範囲又は密度を大きくしても構わない。ここで、密度とは、単位面積当たりのディンプルの数を意味する(以下、同様とする)。
また、上記実施形態では、各軸受面21a,22aの略全域において、複数のディンプルdが設けられている。しかしながら、各軸受面21a,22aの一部において、ディンプルdが設けられていない領域を設けても構わない。例えば、各軸受面21a,22aの軸方向の両端部のうち少なくとも一方においてディンプルdが設けられていない領域を設けることによって、各軸受面21a,22aにおける油膜強度の低下を抑制することが可能となる。
また、上記実施形態では、各ディンプルdは、略半楕円体形状(投影面の形状が楕円形状)に形成されている。しかしながら、各ディンプルdは、投影面の形状が、円形、扇形、三角形、四角形、菱形に形成されていても構わない。
また、上記実施形態では、各軸受面21a,22aに設けられている複数のディンプルdでは、形状、寸法及び最大深さが同一となっている。しかしながら、各軸受面21a,22aに設けられている複数のディンプルdにおいて、形状、寸法及び最大深さのうち少なくとも一つが異なるものを混在させても構わない。
また、上記実施形態では、各軸受面21a,22aにおいて、複数のディンプルdが規則的に配置されている。しかしながら、各軸受面21a,22aにおいて、複数のディンプルdが不規則的に配置されていても構わない。
また、上記実施形態では、各ディンプルdは、周方向に沿って延びるように設けられている。しかしながら、各ディンプルdは、軸方向に沿って延びるように設けられていても、軸方向及び周方向のそれぞれに対して所定角度で傾斜する方向に沿って延びるように設けられていても構わない。
さらに、上記実施形態では、焼結体にサイジング(再圧縮)を施した後に、圧縮成形体の軸受面21a,22aにおいて複数のディンプルdを形成している。しかしながら、焼結体の軸受面21a,22aにおいて複数のディンプルdを形成した後に、サイジング(再圧縮)を施しても構わない。
また、上記実施形態では、焼結軸受20をファンモータ1に適用した一例を示したが、焼結軸受20は、以下のように、広範囲な用途に適用が考えられ、その中でも特に、高速回転のモータへの適用が好適と考えられる。
[家電用]
コンピューター,テレビ,デジタルビデオ,プロジェクター,LED照明などの冷却ファン、DLP用カラーホイールモータ、デジタルカメラやデジタルビデオなどの小径ステッピングモータ、冷蔵庫用ファン、電子レンジ用ファン、扇風機、換気扇、エアコン、ドライヤー、掃除機、ジューサーミキサー、フードプロセッサー、振動モータ、ODD用スピンドルモータ、HDD用スピンドルモータなど。
[車載用]
バッテリー冷却用ファン、温度調節シート用ファン、インカーセンサー用ファン、オーディオやナビゲーション機器用冷却ファン、ブロワー、エアコン用アクチュエータ、ウォッシャーポンプ、ドアミラー、ドアクローザ、シートリクライニング、シートスライド、パワーウィンドー、ワイパー、スタータ、ETCやEGRなどの吸排気機構のモータ、EPS(電動パワーステアリング)、EPB(電子制御パーキングブレーキ)など。
[OA機器用]
ポリゴンミラースキャナーモータ、ステッピングモータなど。
1 ファンモータ
2 ハウジングホルダ
2a 円筒部
3 積層コア
3a コイル
4 ロータヨーク
5 マグネット
6 インペラ
7 スラストプレート
10 回転軸
20 焼結軸受
21 第一軸受部
22 第二軸受部
23 中間部
21a 第一軸受面
22a 第二軸受面
23a 内周面
h 軸受孔
d ディンプル

Claims (6)

  1. 金属粉を金型内で圧粉成形後、焼結して形成され、回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有し、潤滑剤が含浸される焼結軸受であって、
    前記回転軸を支持する第一軸受面を有する第一軸受部と、
    前記回転軸を支持する第二軸受面を有する第二軸受部と、
    前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設けられた中間部と、を有し、
    前記中間部の内径は、前記第一軸受部の内径及び前記第二軸受部の内径のそれぞれと比較して大きく形成され、
    前記第一軸受面及び前記第二軸受面のうち少なくとも一方の軸受面には、複数のディンプルが設けられていることを特徴とする焼結軸受。
  2. 前記複数のディンプルは、塑性加工により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結軸受。
  3. 前記ディンプルは、前記軸受面の軸方向の端から離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結軸受。
  4. 前記複数のディンプルが設けられている軸受面と前記回転軸の外周面との間のクリアランスは、6μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
  5. 前記複数のディンプルが設けられている軸受面の平均微小硬度(MHv)は、50〜200の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
  6. ファンモータに適用されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の焼結軸受。
JP2012193561A 2012-09-03 2012-09-03 焼結軸受 Active JP6253134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012193561A JP6253134B2 (ja) 2012-09-03 2012-09-03 焼結軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012193561A JP6253134B2 (ja) 2012-09-03 2012-09-03 焼結軸受

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016158806A Division JP6267294B2 (ja) 2016-08-12 2016-08-12 焼結軸受の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014047892A true JP2014047892A (ja) 2014-03-17
JP6253134B2 JP6253134B2 (ja) 2017-12-27

Family

ID=50607773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012193561A Active JP6253134B2 (ja) 2012-09-03 2012-09-03 焼結軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6253134B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016116446A (ja) * 2014-12-15 2016-06-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 電動機と電動機を備える冷凍機器

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07119737A (ja) * 1993-10-28 1995-05-09 Ntn Corp 軸受装置
JPH08291823A (ja) * 1995-04-20 1996-11-05 Asmo Co Ltd 焼結含油軸受及び回転軸
JPH11236604A (ja) * 1998-02-23 1999-08-31 Ntn Corp 焼結含油軸受およびその製造方法
JP2002070845A (ja) * 2000-08-29 2002-03-08 Daido Steel Co Ltd 軸受機構、それを用いたハードディスク駆動機構及びポリゴンミラー駆動機構
JP2006226398A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 Nidec Sankyo Corp 軸受装置及び軸受装置の製造方法
JP2011042817A (ja) * 2009-08-19 2011-03-03 Oiles Corp 鉄系焼結摺動部材及びその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07119737A (ja) * 1993-10-28 1995-05-09 Ntn Corp 軸受装置
JPH08291823A (ja) * 1995-04-20 1996-11-05 Asmo Co Ltd 焼結含油軸受及び回転軸
JPH11236604A (ja) * 1998-02-23 1999-08-31 Ntn Corp 焼結含油軸受およびその製造方法
JP2002070845A (ja) * 2000-08-29 2002-03-08 Daido Steel Co Ltd 軸受機構、それを用いたハードディスク駆動機構及びポリゴンミラー駆動機構
JP2006226398A (ja) * 2005-02-17 2006-08-31 Nidec Sankyo Corp 軸受装置及び軸受装置の製造方法
JP2011042817A (ja) * 2009-08-19 2011-03-03 Oiles Corp 鉄系焼結摺動部材及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016116446A (ja) * 2014-12-15 2016-06-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 電動機と電動機を備える冷凍機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP6253134B2 (ja) 2017-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005003042A (ja) 動圧軸受装置
TWI339246B (ja)
JP2010216639A (ja) 冷凍機用圧縮機の軸受装置
KR20150103439A (ko) 아우터 로터 타입 모터, 이를 이용한 냉기 순환 팬 및 이를 이용한 냉장고
JP6267294B2 (ja) 焼結軸受の製造方法
JP6253134B2 (ja) 焼結軸受
US7800266B2 (en) Electric motor
KR102449381B1 (ko) 소결 베어링
CN104895926B (zh) 烧结轴承
CN205178723U (zh) 电动机以及具备电动机的冷冻设备
TWI624318B (zh) 燒結軸承
KR101141332B1 (ko) 유체 동압 베어링 어셈블리
KR102137424B1 (ko) 소결 베어링
JP6961332B2 (ja) 動圧軸受およびその製造方法
JP2006292161A (ja) 軸受ユニットおよびその製造方法
JP2000087953A (ja) 動圧型焼結含油軸受ユニット
JPH11182551A (ja) 動圧型多孔質含油軸受
JP2009525016A (ja) オイル漏出防止機能を有するオイルレスベアリング型モータ
JPH07119737A (ja) 軸受装置
JP2001152174A (ja) 焼結含油軸受
JP2917414B2 (ja) 軸流ファンモータ
JP7094118B2 (ja) 焼結金属製動圧軸受
JP2005003105A (ja) 玉軸受及びモータ
KR100814717B1 (ko) 모터
JP3602325B2 (ja) 動圧型多孔質含油軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20151106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160812

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160812

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160902

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20160930

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6253134

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250