以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の要部構成、すなわち、走行駆動用の内燃機関とその燃料供給および燃料パージを行う燃料系システムの機構を示している。本実施形態の内燃機関は、揮発性の高い燃料を使用するもので、例えば4輪の自動車に走行駆動用に搭載されている。
まず、構成について説明する。
図1にその要部構成を示すように、本実施の形態に係る車両1は、エンジン2と、燃料タンク31を有する燃料供給機構3と、蒸発燃料処理装置を構成する燃料パージシステム4とを含んで構成されている。
エンジン2は、火花点火式の多気筒内燃機関、例えば4サイクルの直列4気筒エンジンによって構成されている。
エンジン2の複数の気筒2a(図1中に1つのみ図示する)には、それぞれピストン11が設けられて燃焼室13が形成されており、吸気バルブ16および排気バルブ17が装着されている。また、複数の気筒2aの吸気ポート部分には、それぞれインジェクタ21(燃料噴射弁)が装着されており、複数のインジェクタ21は、デリバリーパイプ22に接続されている。
デリバリーパイプ22には、燃料タンク31内の後述する燃料ポンプ32から、揮発性の高い燃料(例えばガソリン)がエンジン2に要求される燃圧(燃料圧力)に加圧されて供給されるようになっている。
エンジン2の吸気ポート部分2bには吸気管23が接続されており、この吸気管23には、吸気脈動や吸気干渉を抑える所定容積のサージタンク23aが設けられている。
吸気管23の内部には吸気通路23bが形成されており、吸気通路23b上には、スロットルアクチュエータ24aにより開度調整可能に駆動されるスロットルバルブ24が設けられている。このスロットルバルブ24は、吸気通路23bの開度を調整することにより、エンジン2に吸入される吸入空気量を調整するようになっている。
燃料供給機構3は、車両に搭載された燃料タンク31と、この燃料タンク31内に設置された燃料ポンプ32と、燃料タンク31および燃料ポンプ32を接続する燃料供給管33と、燃料ポンプ32の上流側に設けられたフィルタ34付きの吸入配管35とを含んで構成されている。
燃料タンク31は、車両1の車体の下部側に給油による燃料補給ができるように配置された所定容積の燃料貯留容器であり、エンジン2で消費される燃料を貯留するようになっている。そして、燃料タンク31の所定位置に、フィードポンプとしての燃料ポンプ32が配置され図示しない支持機構によって支持されている。
燃料ポンプ32は、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて所定のフィード燃圧以上に加圧することができる吐出能力(吐出量および吐出圧)可変タイプのもので、例えば円周流ポンプで構成されている。この燃料ポンプ32は、詳細な内部構成を図示しないが、ポンプ作動用の羽根車と、その羽根車を駆動する内蔵モータとを有している。
そして、燃料ポンプ32は、その内蔵モータの駆動電圧と負荷トルクとに応じてポンプ作動用の羽根車の回転速度および回転トルクのうち少なくとも一方を変化させることで、その単位時間当りの吐出能力を変化させることができるようになっている。
また、燃料供給管33は、燃料ポンプ32およびデリバリーパイプ22を相互に接続するよう、燃料タンク31内の一端からエンジン2の近傍の他端まで延びている。
吸入配管35は、燃料タンク31の上流側に図示しない吸入通路を形成するとともに、その吸入通路の最上流部分に燃料フィルタ34が配置されている。この燃料フィルタ34は、燃料ポンプ32に吸入される燃料をろ過する公知のものである。
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、燃料タンク31内で燃料供給管33から分岐する分岐管33bにフィード燃圧を制御するプレッシャレギュレータ36(設定圧で開弁するリリーフ弁、あるいは減圧弁でもよい)が設けられており、燃料供給機構3の燃料ポンプ32は専らその吐出量のみを変化させるものとする。ここで、分岐管33bおよびプレッシャレギュレータ36は、燃料ポンプ32からの燃料の吐出圧に応じて燃料タンク31内に余剰燃料を還流させることができる。
一方、燃料タンク31には、燃料タンク31から車両の側方または後方側に延びるように、給油管37が突出して設けられている。そして、給油管37の突出方向の先端には、給油口37aが設けられており、給油口37aはキャップ37bにより閉止されている。また、給油口37aは、車両1のボディ(詳細図示せず)に設けられたフュエルインレットボックス38内に配置されている。そして、フュエルインレットボックス38は、給油時に開放され、非給油時にはフュエルリッド39によって閉塞されるようになっている。
給油管37には、少なくとも自重により(図示しないスプリングからの付勢力により)閉弁姿勢をとることで、燃料タンク31の内部から給油管37内の上流部分への燃料の逆流・流出を阻止する逆流阻止弁37vが設けられている。この逆流阻止弁37vは、給油時の流下燃料等により開弁操作されるとき、燃料タンク31の内部と給油管37内の上流部とを連通させることができるようになっている。
燃料の給油時には、車室内の図示しないフュエルリッド開放要求レバーが操作され、そのレバー操作に応じてフュエルリッド39が開放される。そして、給油口37aに着脱可能に取り付けられたキャップ37bを取り外すことにより、給油口37aから燃料タンク31内に燃料を注入できるようになっている。
燃料パージシステム4は、燃料タンク31と吸気管23との間に介装されており、詳しくは、燃料タンク31とサージタンク23aとに配管接続されている。
この燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で発生する蒸発燃料(燃料蒸気ともいう)を吸着・保持することができるキャニスタ41(吸着器)と、このキャニスタ41から燃料を脱離させて吸気管23内に放出させるパージ機構42と、そのパージ機構42の動作を制御するパージ制御機構45とを含んで構成されている。
また、燃料パージシステム4は、燃料タンク31内で発生する蒸発燃料をエンジン2の吸気時に吸気通路23bに放出させて燃焼させることができるようになっている。
キャニスタ41は、機密性を有するキャニスタケース41aの内部に活性炭等の吸着材41bを内蔵したものであり、燃料タンク31内にその内底面31bからわずかに離間するよう設置されている。このキャニスタ41の内部(吸着材収納空間)は、エバポ配管61および気液分離バルブ62を介して燃料タンク31内の上部空間に連通するようになっている。したがって、キャニスタ41は、燃料タンク31内で燃料が蒸発し、燃料タンク31内の上部空間に蒸発燃料が溜まるとき、吸着材41bによって蒸発燃料を吸着することができる。また、燃料タンク31内の燃料の液面上昇や液面変動時には、逆止弁機能を有する気液分離バルブ62が浮上してエバポ配管61の先端部を閉止するようになっている。
パージ機構42は、キャニスタ41の内部を吸気管23の吸気通路23bのうちサージタンク23aの内部部分に連通させるパージ通路配管43と、キャニスタ41の内部を大気側、例えばフュエルインレットボックス38の内方の大気圧空間に開放させる大気通路配管44とを有している。
パージ機構42は、エンジン2の運転時にサージタンク23aの内部に負圧が発生するとき、キャニスタ41の内部の一端側にパージ通路配管43を通して負圧を導入させつつ、キャニスタ41の内部の他端側に大気通路配管44を通して大気を導入させることができる。したがって、パージ機構42は、キャニスタ41の吸着材41bに吸着されてキャニスタ41内に保持されている燃料を、キャニスタ41から脱離(放出)させてサージタンク23aの内部に吸入させることができる。
パージ制御機構45は、パージ用の負圧切替電磁弁(以下、パージ用VSVという)46と、このパージ用VSV46を制御する電子制御ユニット(以下、ECUという)47と、キャニスタ41の温度を検知するキャニスタ温度センサ48と、燃料タンク31内の燃料残量を計測するセンダーゲージ49(残量不足を検出するセンサや残量算出プログラム等でもよい)と、外気温度センサ66とを含んで構成されている。
パージ用VSV46は、パージ通路配管43の途中に設けられている。このパージ用VSV46は、パージ通路配管43の途中の開度を変化させることで、キャニスタ41から脱離させる燃料量を可変制御できるようになっている。具体的には、パージ用VSV46は、その励磁電流をデューティ制御されることで開度を変化させることができ、そのデューティ比に応じたパージ率で、吸気管23内の吸気負圧によりキャニスタ41から脱離した燃料を空気と共にパージガスとしてサージタンク23a内に吸入させることができる。
ECU47は、各種センサ情報に基づいて、パージ用VSV46の開度(例えば、デューティ比)を制御することにより、パージ率を制御することができる。
このように、燃料パージシステム4は、燃料タンク31からエンジン2への燃料供給機構3、特に燃料タンク31内で生じた蒸発燃料を吸着するキャニスタ41と、そのキャニスタ41に空気を通してキャニスタ41から燃料を脱離させ、その燃料および空気を含むパージガスを吸気管23内に放出させるパージ動作を実行するパージ機構42と、パージ用VSV46によりパージガスの吸気管23内への吸入量を制御してエンジン2における空燃比の変動を抑制するパージ制御機構45と、を備えている。
この燃料パージシステム4は、エンジン2が停止している状態であっても、燃料タンク31内で気化した燃料ベーパをキャニスタ41に吸着させることができる。また、燃料パージシステム4は、例えばエンジン2の所定の運転状態下でスロットルバルブ24の開度が予め設定された設定開度より小さい状態となるとき、パージ用VSV46を開弁させるようになっている。
一方、キャニスタ41は、燃料タンク31の内部に配置されたケース部材50に収納されており、このケース部材50を介して燃料ポンプ32と共に燃料タンク31内の所定位置に支持されている。
このケース部材50には、エンジン2に吸入される吸入空気を通す冷却通路51と、燃料タンク31内に貯留された燃料の一部を収容する燃料収容室52と、パージ通路配管43および大気通路配管44を通す配管挿入路53,54とが、それぞれに形成されている。
キャニスタ41のキャニスタケース41aは、ケース部材50の素材以上の伝熱特性(具体的には熱伝導率、空気との間の熱伝達率、および、燃料との間の熱伝達率)を有する素材からなり、その外周壁部41cを冷却通路51および燃料収容室52のそれぞれの内部に熱伝達可能に露出させている。
具体的には、ケース部材50は、キャニスタ41を収納する外筒壁部50aと、その外筒壁部50aの内方に一定の離間距離を隔てて同軸的に配置された内筒壁部50bと、これら外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間で両筒壁部50a,50bの径方向および軸方向に延びる少なくとも一対の分離壁50cと、を有している。
そして、このケース部材50の外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間で少なくとも一対の分離壁50cによって複数に分割された分割筒状(図2(a)、図2(b)中ではそれぞれ半円筒状横断面)の内室部分55a,55bに、冷却通路51および燃料収容室52が形成されている。ここで、一方の大気側の内室部分55aは、燃料タンク31の内部空間からは遮断されており、燃料タンク31の外部の大気圧空間およびエンジン2の吸気通路23bにのみ連通可能である。他方の内室部分55bは、燃料タンク31の内部空間に連通可能である。
具体的には、内室部分55aに形成される冷却通路51は、図2(c)に示すように、外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間の複数の通路壁50e,50fによって、複数回折り返すように蛇行する通路形状をなしている。また、内室部分55bに形成される燃料収容室52は、図2(b)に示すように、外筒壁部50aに等角度間隔に形成された複数の連通口55hによって燃料タンク31の内部に貯留された燃料が出入り自由となっている。
さらに、給油管37の下流側部分37dは、外筒壁部50aのうちケース部材50の内室部分55aを覆う半円筒部分に連結されており、給油管37を通して燃料タンク31内に給油燃料が注入されるとき、その燃料を燃料収容室52内に流入させるようになっている。したがって、燃料タンク31内の燃料温度が比較的高い状態であっても、燃料収容室52内に流入する燃料の温度が給油燃料温度に近い低温となり、燃料収容室52内にキャニスタケース41aの外周壁部41cの一部を露出させるキャニスタ41が、燃料収容室52内の低温の燃料によって効果的に冷却されるようになっている。
なお、ケース部材50の燃料収容室52は、その下部側で複数の連通口55hによって燃料タンク31の内部に連通するのに加えて、その上部側でもケース部材50の上端開口部55jを通して燃料タンク31の内部に連通している。
一対の分離壁50cは、キャニスタ41の上下で一体に連結して内室部分55a,55bを気密的に仕切る構成であれば、図1に示すように、燃料収容室52側の内筒壁部50bを無くしてもよい。この場合、外筒壁部50aと半円筒状の内筒壁部50bおよび一対の分離壁50cとによって内室部分55aが形成される。
また、図2(a)に示すように、外筒壁部50aおよび内筒壁部50bを略同一長さの円筒形状とし、キャニスタ41の上下に円板状の空間を形成することもできる。パージ通路配管43および大気通路配管44のキャニスタ41への接続位置は、それぞれ任意である。
キャニスタケース41aの外周壁部41cのうち冷却通路51内に露出する冷却壁面部分41c1(図2(b)参照)は、冷却空気との間の熱伝達率がケース部材50の冷却通路51の内壁面部51aのそれ以上(同等かそれより大きい熱伝達率)に大きく設定されている。また、キャニスタケース41aの外周壁部41cのうち燃料収容室52内に露出する冷却壁面部分41c2は、燃料との間の熱伝達率がケース部材50の燃料収容室52の内壁面部52aのそれ以上に大きく設定されている。
そして、キャニスタ41が燃料吸着時の発熱(活性炭の燃料吸着時の発熱)等によって外気温度より高温になっているときに、エンジン2に吸入される吸入空気がケース部材50の冷却通路51を通過させると、冷却通路51中にキャニスタケース41aの外周壁部41cの一部(冷却壁面部分41c1)を露出させているキャニスタ41が、吸入空気によって冷却される。
また、キャニスタ41の内部の温度が燃料吸着時の発熱等によって燃料タンク31内の燃料の温度より高温になるとき、燃料収容室52中にキャニスタケース41aの外周壁部41cの一部(冷却壁面部分41c2)を露出させているキャニスタ41が、燃料タンク31内の燃料によって効果的に冷却される。
さらに、燃料タンク31内の燃料の温度およびキャニスタ41が共に外気温度より高温になっているとき、エンジン2に吸入される吸入空気がケース部材50の冷却通路51を通過すると、キャニスタ41が冷却されるだけでなく、燃料タンク31内の燃料のうちキャニスタ41に直接接触する燃料収容室52内の燃料がキャニスタ41と共に冷却される。
したがって、キャニスタ41の内部温度や燃料タンク31内の燃料の温度が外気温度より高いとき、ケース部材50の冷却通路51に冷却空気を通したりその通過流量を増加させたりすることで、キャニスタ41を的確に冷却することができる。
ケース部材50の冷却通路51を通過する冷却空気の流量は、冷却通路51の途中に配置された冷却制御バルブ56の開度に応じて可変制御できるようになっており、この冷却制御バルブ56は、ECU47によって開閉制御または開度制御(以下、いずれかの制御を指して単に開閉制御という)されるようになっている。
これら冷却制御バルブ56およびECU47は、冷却通路51に冷却空気を通過させるようケース部材50に接続された上流側および下流側の冷却配管57a,57bと共に、吸着器温度調節機構58を構成している。
この吸着器温度調節機構58は、キャニスタ41の温度が外気温度センサ66により検出される外気温度より高いときには冷却通路51に吸入空気を流すことを許容する一方、キャニスタ41の温度が外気温度より低いときには冷却通路51中の吸入空気の流れを制限する流量制御部として、冷却制御バルブ56およびECU47を有している。
また、ECU47は、例えば燃料タンク31内の燃料残量を計測するセンダーゲージ49等の検出情報から一定走行距離内に燃料残量が不足することが予測される場合に、残量不足を警告する警告システムの機能を併有している。
このECU47は、燃料残量の低下を警告する警告発生状態(燃料警告等が点灯している状態等)が発生すると、キャニスタ41の温度が外気温度センサ66により検出される外気温度より高いか否かを判定する。そして、キャニスタ41の温度が外気温度センサ66により検出される外気温度より高いと判定したときには、その警告状態下で車両が停止するまでの走行期間中において冷却制御バルブ56を開弁させ、冷却通路51を通過する冷却空気によりキャニスタ41の冷却を実行させるようになっている。
なお、ECU47は、何らかのセンサ情報に基づき、残量警告状態下で燃料タンク31への給油が実行されるか否かあるいはその給油実行の蓋然性が高くなるか否かを判定し、燃料タンク31への給油がなされる(給油実行の蓋然性が高い)と判定したときに、燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタ41を冷却させるものでもよい。また、エンジン2の停止時に他の動力源により空気吸引機構を作動させて、冷却通路51を通過する冷却空気によりキャニスタ41の冷却を実行させるようにすることも考えられる。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の蒸発燃料処理装置では、エンジン2に吸入される吸入空気を通す冷却通路51中にキャニスタ41のキャニスタケース41aの外周壁部41cの一部を露出させていることから、適時に、例えばキャニスタ41の温度が外気温度より高いときに、冷却通路51中に吸入空気が流される。一方、キャニスタ41は、蒸発燃料の吸着によって専らその周囲の温度度より高温となり、燃料ポンプ32やプレッシャレギュレータ36が設けられた燃料タンク31内の燃料も、エンジン2の運転中に比較的高温となる。したがって、エンジン2の吸入空気を用いる簡単な吸着器温度調節機構58によりキャニスタ41および燃料タンク31内の燃料を冷却し、キャニスタ41の温度上昇を抑えて燃料吸着性能を従来より高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタの温度を給油時に十分に低下させたりすることができる。しかも、エンジン2の吸気負圧を利用するので、空冷のために圧縮機等の他の機器や負圧源を別設する必要がない。
また、本実施形態では、吸着器温度調節機構58のECU47が、キャニスタ41の温度が燃料吸着による吸着材41bの発熱等によって外気温度よりも高くなっているときに冷却通路51に吸入空気を流すことを許容する一方、キャニスタ41の温度が外気温度より低くなっているときに冷却制御バルブ56と協働して冷却通路51中の吸入空気の流れを制限する。したがって、冷却通路51に外気が導入されるときには、キャニスタ41が確実に冷却可能となる。
さらに、本実施形態では、燃料タンク31内の燃料残量の低下を警告する警告発生状態が発生すると、キャニスタ41の温度が外気温度より高いか否かを判定し、キャニスタ41の温度が外気温度より高いと判定したときに、その警告状態下で車両が停止するまでの走行期間中は冷却制御バルブ56を開弁させて、冷却通路51を通過する冷却空気によりキャニスタ41の冷却を実行させる。したがって、キャニスタ41の温度を給油開始時やその直後には十分に低下させ、給油時の燃料蒸気の放散を有効に抑制することができる。
加えて、給油時には、給油管37を通して燃料タンク31内に給油燃料が優先的に注入されるので、燃料タンク31内の燃料温度が比較的高い状態であっても、燃料収容室52内に流入する燃料の温度が給油燃料温度に近い低温となる。その結果、燃料収容室52内にそのキャニスタケース41aの外周壁部41cの一部を露出させるキャニスタ41を、特にその内部の吸着材41bを、燃料収容室52内の低温の燃料によって直接に効果的に冷却することができ、キャニスタ41の燃料吸着性能を高めることができる。
また、燃料吸着によってキャニスタ41の温度が上昇するとともに、燃料タンク31内の燃料のうちキャニスタ41に直接接触する燃料収容室52内の燃料の温度も上昇したときに、冷却通路51に吸入空気を流すことによって、キャニスタ41のみならず燃料収容室52内の燃料も効果的に冷却できるとともに、燃料タンク31内であってケース部材50外の燃料からキャニスタ41に直接的に熱伝達されることがない。その結果、燃料タンク31内であってケース部材50外の燃料の温度が高い状態であっても、キャニスタ41が高温の燃料によって暖められることを有効に抑制してその温度上昇を有効に抑制することができる。
このように、本実施形態の蒸発燃料処理装置においては、圧縮機等の他の機器を用いることなく、エンジン2の吸入空気を用いてキャニスタ41および燃料タンク31内の燃料を給油時や走行時に適時にかつ効果的に冷却できるようにしているので、キャニスタ41の温度を低下させてその燃料吸着性能を高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタ41の温度を給油時に十分に低下させたりすることができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る蒸発燃料処理装置における吸着器温度調節機構の要部構成を示している。なお、本実施形態の蒸発燃料処理装置は、吸着器温度調節機構の構成が前述の第1実施形態と相違するものの、他の構成は第1実施形態と同様なものである。したがって、第1実施形態と同様の構成については、図3中に図1および図2中と同様の符号を付し、以下、主に第1実施形態と相違する点について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置においては、ケース部材50の外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間で少なくとも一対の分離壁50cによって複数に分割された分割筒状の内室部分55a,55bに、第1実施形態と同様の冷却通路51および燃料収容室52が形成されている。
吸着器温度調節機構58は、冷却通路51のうちキャニスタ41より上流側の上流側通路部分51uで吸入空気の流量を制御可能な上流側の流量制御弁56Aと、冷却通路51のうちキャニスタ41より下流側の下流側通路部分51dで吸入空気の流量を制御可能な下流側の流量制御弁56Bと、上流側および下流側の冷却配管57a,57bとを有している。また、吸着器温度調節機構58は、上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bの間の閉止可能通路区間51p(図3(b)参照)内の空気圧力を検出する圧力センサ67と、エンジン2の運転状態やキャニスタ温度センサ48、センダーゲージ49、外気温度センサ66および圧力センサ67の検出情報等に基づいて上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを制御するECU47とを有している。
なお、本実施形態においては、下流側の流量制御弁56Bよりさらに下流側に、第1実施形態の蒸発燃料処理装置における冷却制御バルブ56に相当する最下流側の冷却制御バルブ56Cが併設されている。ただし、下流側の流量制御弁56Bと最下流側の冷却制御バルブ56Cを兼用する1つの冷却制御バルブとしてもよい。
吸着器温度調節機構58のECU47は、キャニスタ41の温度が外気温度センサ66により検出される外気温度より高いときには冷却通路51に吸入空気を流すことを許容する一方、キャニスタ41の温度が外気温度より低いときには冷却通路51中の吸入空気の流れを制限するように、上流側の流量制御弁56A、下流側の流量制御弁56Bおよび最下流側の冷却制御バルブ56Cを制御するようになっている。
また、流量制御部としてのECU47は、少なくとも上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを異なるタイミングで開閉制御することにより、冷却通路51中の吸入空気の流れを制限するだけでなく、その制限時に、冷却通路51のうち少なくとも上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bの間の閉止可能通路区間51p内の空気圧力を可変制御するようになっている。
すなわち、ECU47は、まず、上流側の流量制御弁56Aを開度縮小状態、例えば閉弁状態に切り替える。そして、その開度縮小状態下で、上流側の流量制御弁56Aと下流側の流量制御弁56Bとの間の閉止可能通路区間51pを予め設定された負圧状態(大気圧より低圧の空気圧)に保持するよう、圧力センサ67の検出情報に基づいて下流側の流量制御弁56Bの開度を制御する。さらに、ECU47は、閉止可能通路区間51pの負圧状態を保持しつつ、上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを全閉させて、冷却通路51内の空気の流れを停止させるとともに、閉止可能通路区間51pの負圧状態を保持させるようになっている。
より具体的には、ECU47は、上流側の流量制御弁56Aの閉弁状態下で圧力センサ67の検出圧力が大気圧から予め設定された閾値圧力(ケース部材50の強度やシール性能の面から好ましい負圧値)まで低下したときに、下流側の流量制御弁56Bを閉弁させる。なお、ECU47は、キャニスタ41の温度および外気温度と燃料タンク31内の燃料温度とに基づいて上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを制御してもよい。そして、例えばキャニスタ41の温度が外気温度より若干高いものの燃料温度より低温であるときに、上流側の流量制御弁56Aを開度縮小状態に切り替えたり、上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを全閉させたりしてもよい。
このような本実施形態においても、エンジン2の吸入空気を用いてキャニスタ41および燃料タンク31内の燃料を給油時等に冷却できるようにしているので、キャニスタ41の温度を低下させてその燃料吸着性能を高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタ41の温度を給油時に十分に低下させたりすることができる。
しかも、本実施形態では、キャニスタ41の温度が外気温度等より低くなると、まず、上流側の流量制御弁56Aの開度が小さくなって高温の外気の導入が制限され、その状態下で下流側の流量制御弁56Bの開度が小さくなるまでの間に、上流側および下流側の流量制御弁56A,56Bの間の冷却通路51内に負圧を発生させることができる。
さらに、上流側および下流側の流量制御弁56A,56Bの開度制御によって、上流側および下流側の流量制御弁56A,56Bの間の冷却通路51内に発生する負圧や空気流量を最適値に制御しつつその状態を必要な時間だけ持続させることができる。
したがって、燃料タンク31内の燃料とキャニスタ41との間に温度差があっても、キャニスタ41が燃料吸着時にケース部材50外のタンク内燃料により暖められたり、燃料脱離時にケース部材50外のタンク内燃料により冷却されたりし難くなる。その結果、キャニスタ41の温度を適温に保持して、キャニスタ41の吸着性能や脱離性能を安定確保することができる。
加えて、本実施形態では、上流側の流量制御弁56Aの閉弁状態下で冷却通路51の閉止可能通路区間51pの圧力が予め設定された閾値圧力に達したとき、下流側の流量制御弁56Bを閉弁させるので、冷却通路51が形成されたケース部材50を保護しつつ、エンジン2が過負荷となるのを回避することができる。
(第3実施形態)
図4および図5は、本発明の第3実施形態に係る蒸発燃料処理装置を搭載した車両の、走行駆動用の内燃機関とその燃料系システムとを含む要部の概略構成を示している。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、吸着器温度調節機構における冷却通路の配策形態が前述の第2実施形態と相違するものの、他の構成は第2実施形態と略同様なものである。したがって、第2実施形態と同様の構成については、図4および図5中に図1〜図3中と同様の符号を付し、以下、主に第2実施形態と相違する点について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置においては、第2実施形態と同様に、冷却通路51のうちキャニスタ41より上流側の上流側通路部分51uで吸入空気の流量を制御可能な上流側の流量制御弁56Aが上流側の冷却配管57aに装着され、冷却通路51のうちキャニスタ41より下流側の下流側通路部分51dで吸入空気の流量を制御可能な下流側の流量制御弁56Bが下流側の冷却配管57bに装着されている。
しかし、本実施形態では、図5に示すように、上流側の冷却配管57aがその上流端側で大気通路配管44に接続され、下流側の冷却配管57bがその下流端側でパージ通路配管43に接続されている。
すなわち、大気通路配管44は、上流側では大気圧空間に開放される1本の管となっているが、下流側ではキャニスタ41に接続するキャニスタ側大気配管部44bと上流側の冷却配管57aとに分岐している。一方、パージ通路配管43は、下流側ではサージタンク23a内に開放される1本の管となっているが、上流側ではキャニスタ41に接続するキャニスタ側パージ配管部43bと下流側の冷却配管57bとに分岐している。
これにより、上流側の冷却配管57aおよび下流側の冷却配管57bの配管長さを短縮しつつ、大気圧空間から内室部分55aを通って吸気通路23bに連通する所要の冷却通路51が形成されている。
本実施形態においても、吸着器温度調節機構58のECU47は、キャニスタ41の温度が外気温度センサ66により検出される外気温度より高いときには冷却通路51に吸入空気を流すことを許容する一方、キャニスタ41の温度が外気温度より低いときには冷却通路51中の吸入空気の流れを制限するように、上流側の流量制御弁56A、下流側の流量制御弁56Bおよび最下流側の冷却制御バルブ56Cを制御する。
また、ECU47が、キャニスタ温度センサ48、センダーゲージ49、外気温度センサ66および圧力センサ67等の検出情報に基づいて、上流側の流量制御弁56Aおよび下流側の流量制御弁56Bを開閉制御することにより、冷却通路51の閉止可能通路区間51p内の空気圧力を可変制御したり負圧状態に保持したりするようになっている。
このような本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、エンジン2の吸入空気を用いてキャニスタ41および燃料タンク31内の燃料を適時に冷却できるので、キャニスタ41の温度を低下させてその燃料吸着性能を高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタ41の温度を給油時に十分に低下させたりすることができる。
しかも、本実施形態では、上流側の冷却配管57aおよび下流側の冷却配管57bの配管長さを短縮するとともに、燃料タンク31の外部の配管数を増やすことなく、キャニスタ41を空冷するための冷却通路51を形成することができ、低コストでキャニスタ41の性能を向上させた蒸発燃料処理装置となる。
(第4実施形態)
図6および図7は、本発明の第4実施形態に係る蒸発燃料処理装置における吸着器温度調節機構の要部構成を示している。なお、本実施形態の蒸発燃料処理装置は、燃料供給機構の構成および吸着器温度調節機構の冷却通路形態が前述の第1実施形態と相違するものの、他の構成は第1実施形態と同様なものである。したがって、第1実施形態と同様の構成については、図6中に図1および図2中と同様の符号を付し、以下、主に第1実施形態と相違する点について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置においては、燃料タンク31内で燃料供給管33から分岐する分岐管33bの途中に減量弁76(開弁駆動信号により強制開弁可能な電磁式のリリーフ弁であってもよい)が設けられている。そして、分岐管33bおよび減量弁76は、ECU47と共に、燃料ポンプ32から吐出された燃料の一部(単位時間内の吐出量のうち少なくとも一部、以下同様)を燃料タンク31内に選択的に還流させる燃料還流機構77を構成している。具体的には、ECU47は、パージ制御機構45のパージ用VSV46を開弁させてパージ機構42によるパージ動作を実行させるに際して、そのパージ動作を開始する所定時間前からパージ動作開始までの第1期間(パージ動作を実行させる前)とパージ動作が実行される第2期間(パージ動作を実行させるとき)とのうち少なくとも一方の期間中に、燃料ポンプ32から吐出された燃料の一部を燃料タンク31内に還流させるように減量弁76を開弁させるようになっている。
また、燃料供給機構3の燃料ポンプ32は、この燃料還流機構77の減量弁76と協働して、エンジン2側への燃料供給量および燃料供給圧力を変化させ得る構成となっており、ECU47が、エンジン2の運転状態に応じた燃料供給量および燃料供給圧力の要求値に基づいて、燃料ポンプ32の吐出能力および減量弁76の開度(開弁デューティ)を制御するようになっている。
ここで、燃料ポンプ32および燃料還流機構77は、それぞれ燃料タンク31内に設置されており、キャニスタ41を収納するケース部材50も燃料タンク31内に設置されている。
そして、ケース部材50には、前述の冷却通路51と併せて、燃料還流機構77が燃料ポンプ32から吐出された燃料の一部を燃料タンク31内に還流させるときにその燃料を収容する燃料収容室52が形成され、その燃料収容室52内には、キャニスタ41の外周壁部41cの一部が熱伝達可能に露出している。
なお、図6中では、給油管37の下流側部分37dが、外筒壁部50aのうちケース部材50の内室部分55aを覆う半円筒部分に連結されていないが、第1実施形態と同様に給油管37を通して燃料タンク31内に給油燃料が注入されるとき、その燃料を燃料収容室52内に流入させるようにすることができることはいうまでもない。
図7(a)から図7(c)に示すように、ケース部材50の外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間を分割筒状の内室部分55a,55bに分割する一対の分離壁50cは、キャニスタ41の上下で一体化され、キャニスタ41を鉛直面に沿って取り囲む一枚の板状をなしている。また、内室部分55b側では、内筒壁部50bはキャニスタ41のキャニスタケース41aの外周壁部41cをなす部分のみとなっており、燃料収容室52はキャニスタ41の上下に及びつつ分離壁50cの片面側でキャニスタ41の表面全域に接する凹状となっている。
一方、内室部分55a側では、内筒壁部50bはキャニスタ41の上面より上方まで延びており、図7(a)に示すように、キャニスタ41の上方に、半円筒状の内筒壁部50bと分離壁50cとで取り囲まれ大気通路配管44を通して大気圧空間に連通する半円板状の上部空間50jが形成されている。また、図7(b)に示すように、キャニスタ41の下方には、内筒壁部50bと分離壁50cとで取り囲まれパージ通路配管43を通してサージタンク23a内に連通する半円板状の下部空間50kが形成されている。そして、キャニスタ41の大気導入口41eが上部空間50j内に開放され、キャニスタ41のパージガス出口41gが下部空間50k内に開放されている。
さらに、内室部分55aに形成される冷却通路51は、図7(c)に示すように、外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間の複数の通路壁50e,50fによって、複数回折り返すように蛇行する通路形状をなしている。また、内室部分55bに形成される燃料収容室52は、例えば図7(b)に示すように、外筒壁部50aに等角度間隔に形成された複数の連通口55hによって燃料タンク31の内部に貯留された燃料が出入り自由となっている。
本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、エンジン2の吸入空気を用いてキャニスタ41および燃料タンク31内の燃料を適時に冷却できるので、キャニスタ41の温度を低下させてその燃料吸着性能を高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタ41の温度を給油時に十分に低下させたりすることができる。
しかも、本実施形態では、燃料還流機構77が燃料ポンプ32からの吐出燃料の一部を燃料タンク31内に還流させるとき、特にパージ機構42によりパージ動作が実行されるとき、燃料ポンプ32中で昇温したその燃料が燃料収容室52に収容されるので、燃料収容室52内に露出したキャニスタ41が燃料収容室52内の燃料によって暖められる。したがって、燃料ポンプ32が作動するエンジン2の運転時、特にパージ動作実行時に、燃料収容室52内の燃料によってキャニスタ41の温度を上昇させ、キャニスタ41の脱離性能を高めることができる。
なお、本実施形態においては、冷却通路51を形成するための配管とパージ用の通路を形成する配管とを独立して設けていたが、冷却通路51に大気通路配管44からの大気を導入しつつ、冷却通路からパージ通路配管43を通してサージタンク23a内に吸入空気を通過させるように、第3実施形態の上流側および下流側の冷却配管57a,57bで形成される分岐通路相当部分と内室部分55a内の冷却通路51とをケース部材50内の通路として形成するようにしてもよい。
すなわち、図8(a)にそのような通路配策形態の変形例を示すように、内筒壁部50bの上端側に、キャニスタ41の上方で内筒壁部50bの内外を連通させる切欠き部56nを形成するとともに、キャニスタ41の大気導入口41eを上部空間50j内に開放させてもよい。また、図8(b)に示すように、内筒壁部50bの下端側に、キャニスタ41の下方で内筒壁部50bの内外を連通させる切欠き部56qを形成するとともに、キャニスタ41のパージガス出口41gを下部空間50k内に開放させてもよい。
さらに、ケース部材50内を分割筒状の内室部分55a,55bに分割する分離壁50cは、図9(a)に示すように、内室部分55a,55bを各一対の四分円筒状に分割するもの(外筒壁部50aおよび内筒壁部50bの間の複数対の分離壁50cとなる)であってもよい。すなわち、分離壁50cの数は任意である。
また、内室部分55aにおいて冷却通路51を折り返し形状とする複数の通路壁50e,50fは、鉛直方向に延びるものに限定されず、鉛直方向から外れる任意の方向、例えば図9(b)に示すように水平方向に延びる形状であってもよい。
なお、上述の各実施形態においては、燃料残量の低下を警告する警告発生状態が発生すると、キャニスタ41の温度が外気温度より高いと判定されたときに、その警告状態下で車両が停止するまでの走行期間中において冷却制御バルブ56を開弁させて、冷却通路51を通過する冷却空気によりキャニスタ41の冷却を実行するようにしていたが、実際の給油の開始を、例えば残量検知用のセンダーゲージ49等のセンサによって検出し、警告発生状態が発生しないものの給油の蓋然性が高い状態か否かを過去の給油時の残量値等の履歴情報から判定して、一定確率以上の給油の可能性が生じたときには、その時点から車両が停止するまでの走行期間中において冷却制御バルブ56を開弁させるといったことも考えられる。
また、給油口37aのキャップ37bを覆う開閉式のフュエルリッド39を開放するための開蓋操作がされたことを検出したり、そのフュエルリッド39や給油口キャップ37bの開放を検出したりすることによっても給油の開始直前であることを検出してから、エンジン2以外の他の負圧源や圧縮機等の他の機器を併用して冷却通路51内に冷却空気を導入するといったこと(給油前の空冷と併用する場合を含む)も考えられる。勿論、給油の蓋然性が高いことを示す他の何らかのセンサ情報から把握することも考えられる。
以上説明したように、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、内燃機関の吸入空気を用いてキャニスタおよび燃料タンク内の燃料を適時に冷却することができ、キャニスタの温度上昇を抑えて燃料吸着性能を高めたり、給油時の燃料蒸気の放散を抑えるべくキャニスタの温度を給油時に十分に低下させたりすることができるという作用効果を奏する。したがって、本発明は、蒸発燃料処理装置、特に燃料タンクに接続する吸着器の温度を調節して吸着器の性能向上を図るようにした蒸発燃料処理装置全般に有用である。