JP2014047150A - 燻煙剤及び燻煙装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)成分:銀を含む薬剤と、(B)成分:有機発泡剤と、(C)成分:界面活性剤3〜10質量%と、(D)成分:結合剤とを含有し、前記(B)成分/前記(C)成分で表される質量比は5〜30であり、前記(D)成分/前記(C)成分で表される質量比は0.3〜2.5であることよりなる。
【選択図】なし
Description
そこで、本発明は、保存後においても燻煙処理の効果に優れる燻煙剤を目的とする。
本発明の(A)成分は、銀を含む薬剤である。(A)成分を用いることで、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ等の微生物抑制効果や、消臭効果、殺虫効果等を発揮できる。加えて、(A)成分は、従来、燻煙剤に汎用されている3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメイト(IPBC)や2−イソプロピル−5−メチルフェノール(IPMP)等の有機系薬剤に比べて臭気が少ない。このため、燻煙処理時及び燻煙処理後における燻煙剤由来の臭気を低減できる。
中でも、(A)成分としては、(A)成分由来の臭気をより低減する観点から、銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩又はこれらを担体に担持させた無機薬剤が好ましい。特に銀化合物を担持したゼオライト系抗菌剤が好ましい。無機薬剤を用いることで、燻煙処理時及び燻煙処理後における(A)成分由来の臭気をより低減できる
これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
例えば、(A)成分の体積平均粒子径は、0.01〜1000μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。本発明の燻煙剤においては、このような比較的大きな粒子径の(A)成分であっても、煙化して拡散することができる。ここで、「煙化」とは、(A)成分を対象空間に拡散できる状態にすることを意味する。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA910、株式会社堀場製作所製)により求められる値をいい、次のようにして測定できる。(A)成分を固形分1質量%となるように蒸留水に分散して試料とする。この試料をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に投入し、装置内で超音波によって分散後、レーザーを照射して粒度分布を測定する。体積頻度の累積が50%(体積)となる径を平均粒子径とする。
(B)成分は、有機発泡剤である。(B)成分としては、加熱により熱分解して多量の熱を発生すると共に、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて発泡ガスという)を発生するものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、分解温度、発泡ガスの発生量等の観点から、アゾジカルボンアミドが好ましい。これら(B)成分は加熱により(A)成分及び(C)成分と発泡溶融し、(B)成分の熱分解ガスの作用によって(A)成分及び(C)成分を煙化できる。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C)成分は、界面活性剤である。燻煙剤は、(C)成分を含有することで、(A)成分の煙化率の経時的な低下を抑制できる。
(C)成分としては、通常、洗浄剤用途や食品の乳化用途に用いられている陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加物における脂肪酸の炭素数は、4〜22が好ましく、8〜18がより好ましい。上記範囲内であれば、(A)成分の煙化率の経時的な低下をより良好に抑制できる。
多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加物における多価アルコールとしては、ソルビタン、グリセリン、ショ糖が好ましく、中でも、ソルビタン、グリセリンが好ましい。
多価アルコールの脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの炭素数は、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、2(即ち、エチレンオキシド)がさらに好ましい。上記範囲内であれば、(A)成分の煙化率の経時的な低下をより良好に抑制できる。
多価アルコールの脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの平均付加モル数は、1〜30モルが好ましく、1〜20モルがより好ましい。上記範囲内であれば、(A)成分の煙化率の経時的な低下をより良好に抑制できる。
多価アルコールの脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、1種のアルキレンオキシドが付加したものであってもよいし、2種以上のアルキレンオキシドが付加したものであってもよい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノオレエート等のモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウレート等のモノラウリン酸エステルが好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリルが好ましい。
上述の(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(D)成分の結合剤は、(C)成分と併用されることで、(A)成分の煙化率の経時的な低下を抑制できる。加えて、後述する燻煙方法において、燻煙開始時間を良好に制御できる。
(D)成分としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類、デンプン、スターチ等のデンプン類、アラビアゴム等の天然高分子化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物等が挙げられる。中でも、(D)成分としては、天然高分子化合物が好ましく、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類が好ましい。これらの(D)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
燻煙剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で(A)〜(D)成分以外の任意成分を含有できる。任意成分としては、例えば、安定剤、賦形剤、香料、色素等の添加剤が挙げられる。これらの任意成分の内、安定剤及び賦形剤のいずれか1種以上を含有することが好ましい。
本発明の燻煙剤は、粉状、粒状、錠剤等の固形製剤として調製される。燻煙剤の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。例えば、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等、公知の造粒物の製造方法が用いられる。
押出し造粒法による製造方法としては、燻煙剤の各成分を、ニーダー等により混合し、さらに適量の水を加えて混合し、得られた混合物を任意の開孔径を有するダイスを用い、前押出しあるいは横押出し造粒機で造粒するものが挙げられる。該造粒物をさらにカッター等で任意の大きさに切断し乾燥してもよい。
乾燥温度は、特に限定されず、例えば、50〜100℃とされる。
乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。
乾燥した後の燻煙剤の水分含量は、特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。上記上限値超では、(A)成分の煙化率が低下するおそれがある。
本発明の燻煙方法としては、従来公知の方法が挙げられ、例えば、金属製容器、セラミック製容器等の任意の容器に燻煙剤を収容し、燻煙剤を直接的又は間接的に加熱する方法が挙げられ、中でも、間接的に加熱する方法が好ましい。燻煙剤を間接的に加熱することで、燻煙剤の燃えカス等による屋内汚染を低減できるためである。また、後述する燻煙装置とし、対象空間に燻煙処理を施してもよい。
対象空間としては、特に限定されず、例えば、浴室、居室、押入れ、トイレ等が挙げられる。
加熱方法としては、従来のものを用いることができ、例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法;鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合し、又は金属と該金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤とを混合し、その酸化反応熱を利用する方法等が挙げられる。水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましく、酸化カルシウムと水との反応熱を利用する方法がより好ましい。なお、本稿において、上記加熱方法を開始する操作(例えば、水と接触して発熱する物質と、水とを接触させる操作)を加熱操作という。
燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されず、1時間以上が好ましく、1.5時間以上がより好ましい。
本発明の燻煙装置は、燻煙剤が収容され、収容された燻煙剤を加熱する加熱手段を備えるものである。
本発明の一実施形態に係る燻煙装置について、以下に図1を参照して説明する。
図1の燻煙装置10は、間接加熱式の燻煙装置であり、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とで概略構成されている。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30には燻煙剤が収容され燻煙剤部32が形成されている。
燻煙装置10においては、加熱部20が加熱手段である。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
対象空間に拡散した(A)成分及び(C)成分は、カビ等の微生物に作用し、微生物抑制効果を発揮する。
ただし、燻煙剤自体を燃焼させる炎の発生がないため、間接加熱式の燻煙装置が好ましい。
<(A)成分:銀を含む薬剤>
A−1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(商品名:ゼオミックAJ10N、体積平均粒子径2.5μm、真密度2g/cm3(20℃)、嵩密度0.4g/cm3(20℃)、銀含量2.5質量%、株式会社シナネンゼオミック製)。
A−2:銀担持シリカ・アルミナ系無機抗菌剤(商品名:ATOMY BALL−(UA)、体積平均粒子径15nm、銀含量0.07質量%、日揮触媒化成株式会社製)。
A−3:銀担持ケイ酸塩系無機抗菌剤(商品名:AIS−NAZ320、体積平均粒子径2μm、銀含量1.2質量%、日揮触媒化成株式会社製)。
B−1:アゾジカルボンアミド(ADCA)(商品名:ダイブローAC.2040(C)、大日精化工業株式会社製)。
C−1:ソルビタンモノオレエート(商品名:エマゾールO−10V、花王株式会社製)、融点;−13℃。
C−2:モノカプリル酸グリセリル(商品名:MG−80、第一工業製薬株式会社製)、融点;12℃。
C−3:ソルビタンモノラウレート(商品名:エマゾールL−10V、花王株式会社製)、融点;13℃。
C−4:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(エチレンオキシド平均20モル付加物)(商品名:エマゾールO−120V、花王株式会社製)、融点;−23℃。表中、POE(20)ソルビタンモノオレエートと記載。
D−1:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(商品名:メトローズ60SH−50、重量平均分子量100,000、信越化学工業株式会社製)。
D−2:カルボキシメチルセルロース(CMC)(商品名:CMC1260、重量平均分子量80,000、ダイセルファインケム株式会社製)。
D−3:ポリビニルピロリドン(PVP)(商品名:ルビスコールK90、重量平均分子量1,200,000、BASFジャパン株式会社製)。
賦形剤:クレー(商品名:NK−300、昭和KDE株式会社製)。
<燻煙開始時間>
「水ではじめるバルサン[6−8畳用]」(商品名、ライオン株式会社製)の容器を用意し、前記容器内の燻煙剤容器に各例の燻煙剤5gを収容し、同容器内の加熱剤収容部に酸化カルシウム37gを収容して、図1の燻煙装置10と同様の各例の燻煙装置を作製した。
23mLの水を入れた給水用プラスチック容器に、燻煙装置を入れた(加熱操作)。加熱操作から発煙までの時間を測定し、これを燻煙開始時間とした。燻煙開始時間が20〜40秒であれば、燻煙開始時間が適切であると判断した。
「<燻煙開始時間>」と同様にして、各例の燻煙装置を製造した。
製造直後の燻煙装置を、23mLの水を入れた給水用プラスチック容器内に入れ(加熱操作)、燻煙させた。
燻煙した後、燻煙剤容器内の残渣を全て回収し、この残渣を5質量%希硝酸に入れて銀成分を溶出させて測定試料とした。この測定試料をIPC発光分析により定量することにより、煙化されずに残っている銀の量を求めた。
また、燻煙前の燻煙剤について、前記の残渣と同様にして銀の量(燻煙剤5g中)を求め、下記(1)式により煙化率を算出した。得られた煙化率を下記評価基準に従って分類した。
◎:煙化率が60質量%以上。
○:煙化率が40質量%以上60質量%未満。
△:煙化率が20質量%以上40質量%未満。
×:煙化率が20質量%未満。
「<保存前煙化率>」で製造した各例の燻煙装置を40℃、75%RHで6ヶ月間保存した(保存処理)。保存処理後の燻煙装置について、「<保存前煙化率>」と同様にして、煙化率(保存後煙化率)を求め、下記(2)式により、変動値を求めた。求めた変動値を下記評価基準に分類して、保存後の煙化率変動を評価した。
◎:変動値が5質量%未満。
○:変動値が5質量%以上10質量%未満。
×:変動値が10質量%以上。
表1〜3に示す組成に従い、20℃の条件下において、粉体成分である(A)成分、(B)成分、(D)成分及びクレーをニーダー(S5−2G型、株式会社モリヤマ製)で攪拌混合した。次いで、(C)成分及び水((A)〜(D)成分及び任意成分の合計100質量部に対し10質量部の水)の混合液を、前記ニーダーに加え混合して混合物を得た。
得られた混合物を直径2mmの開孔径を有するダイスの前押出し造粒機(EXK−1、株式会社不二パウダル製)を用い造粒し造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(FL300、株式会社不二パウダル製)により長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(RT−120HL、アルプ株式会社製)により、表に記載の水分となるように乾燥時間を調整し、粒状の燻煙剤を得た。得られた燻煙剤について、燻煙開始時間、保存前煙化率及び保存後の煙化率変動を評価し、その結果を表中に示す。
これに対し、(D)成分を含有しない比較例1、(C)成分の含有量が2質量%である比較例2、D/C比が0.1である比較例4、B/C比が31.8である比較例5、及び(C)成分を含有しない比較例6は、保存後の煙化率変動が「×」であった。(C)成分の含有量が12質量%である比較例3は、保存前煙化率が「△」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、保存後においても優れた燻煙処理の効果を発揮できることが判った。
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
Claims (2)
- (A)成分:銀を含む薬剤と、(B)成分:有機発泡剤と、(C)成分:界面活性剤3〜10質量%と、(D)成分:結合剤とを含有し、
前記(B)成分/前記(C)成分で表される質量比は5〜30であり、
前記(D)成分/前記(C)成分で表される質量比は0.3〜2.5であることを特徴とする燻煙剤。 - 請求項1に記載の燻煙剤が収容され、前記燻煙剤を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする燻煙装置。
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