JP2014046822A - 車体前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピラーインナの下端部で支える荷重を増すことができ、かつ、フロントピラーインナおよびダッシュボード間の接合部から水が車室に浸入することを防止できる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造10は、フロントピラーインナ35に上インナピラー屈曲部72を備え、ダッシュボード23に上ダッシュ屈曲部78を備えている。上インナピラー屈曲部72は、ダッシュボード23との接合部において車幅方向に屈曲する部位である。上ダッシュ屈曲部78は、上インナピラー屈曲部72に対応させて屈曲する部位である。上インナピラー屈曲部72および上インナピラー屈曲部72が接合された上屈曲接合部83は、前端83aより後端83bが上方に位置するように傾斜されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、フロントピラーがフロントピラーアウタおよびフロントピラーインナにより閉断面に形成され、フロントピラーインナの車内側面にダッシュボードが接合された車体前部構造に関する。
車体は、通常、サイドシルが床部の左右側に設けられ、左右のサイドシルからフロントピラーが立設され、左右のフロントピラー間にダッシュボードが設けられている。さらに、フロントピラーから車体前方に向けてアッパメンバが延出されている。このアッパメンバはサイドシルに対して車幅方向内側にオフセットされた状態で設けられている。
フロントピラーは、フロントピラーインナおよびフロントピラーアウタで閉断面に形成され、フロントピラーインナの下端部がサイドシル間(すなわち、サイドシルインナおよびサイドシルアウタ間)に挟持されている。
フロントピラーインナの下端部にジャッキアップ用のブラケットが設けられ、このブラケットがサイドシル間に挟持された状態でサイドシルから下方に突出されている。
ここで、フロントピラーは、サイドシルから略鉛直方向に立設されている(例えば、特許文献1参照。)。一方、アッパメンバはサイドシルに対して車幅方向内側にオフセットされた状態で設けられている。
このため、フロントピラーインナの下端部をサイドシル内で車幅方向外側に折り曲げて、アッパメンバに対するサイドシルのオフセットを吸収している。
特開平10−316028号公報
従来技術のように、フロントピラーインナの下端部をサイドシル内で車幅方向外側に折り曲げた場合、ジャッキアップ用のブラケットをジャッキで持ち上げる際に、フロントピラーインナの下端部で支える荷重が制限される。
この対策として、フロントピラーインナの下端部を鉛直に形成して、フロントピラーインナの下端部で支える荷重を増す方法が考えられる。
しかし、フロントピラーインナの下端部を鉛直に形成するためには、例えば、フロントピラーをサイドシルおよびアッパメンバ間で車幅方向内側に折り曲げてアッパメンバに対するサイドシルのオフセットを吸収することが要求される。
フロントピラーをサイドシルおよびアッパメンバ間で車幅方向内側に折り曲げた場合、フロントピラーインナおよびダッシュボード間の接合部に屈曲部が形成される。このため、接合部の屈曲部を十分に密封させることが難しく、接合部の屈曲部から水が車室に浸入する懸念がある。
本発明は、ジャッキアップ用のブラケットをジャッキで持ち上げる際にフロントピラーインナの下端部で支える荷重を増すことができ、かつ、フロントピラーインナおよびダッシュボード間の接合部から水が車室に浸入することを防止できる車体前部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車幅方向外側のフロントピラーアウタ、および車幅方向内側のフロントピラーインナにより閉断面を形成するフロントピラーと、車幅方向外側の側部が前記フロントピラーインナの車内側面に接合され、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードと、を備えた車体前部構造であって、前記フロントピラーインナは、前記ダッシュボードとの接合部において車幅方向に屈曲するピラー屈曲部を備え、前記ダッシュボードは、前記ピラー屈曲部に対応させて屈曲するダッシュ屈曲部を備え、前記ピラー屈曲部および前記ダッシュ屈曲部が接合された屈曲接合部は、車体前後方向の接合幅において前端より後端が上方に位置するように傾斜されることを特徴とする。
請求項2は、前記フロントピラーインナは、車幅方向に面する側壁と、該側壁の前端および後端からそれぞれ車幅方向外側に延びる前壁および後壁と、前記前壁の車外側端部から車体前方に延びるピラー前フランジと、前記後壁の車外側端部から車体後方に延びるピラー後フランジと、により断面略ハット状に形成されるハット状断面部を含み、前記ダッシュボードは、車幅方向の外側部において車体前後方向に張り出され、前記ピラー前フランジに重ね合わされた状態で接合されるダッシュフランジを備え、前記ダッシュフランジのうち前記ダッシュ屈曲部の全域、および前記ピラー前フランジのうち前記ピラー屈曲部の全域が接合されることにより前記屈曲接合部が得られることを特徴とする。
請求項3は、前記ピラー屈曲部が前記ピラー前フランジに形成され、該ピラー前フランジが上方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜されるとともに、前記前壁の車幅方向の幅寸法が上方に向かうにつれて徐々に小さくなることを特徴とする。
請求項4は、前記フロントピラーの下端部に連結され、車体前後方向に延びるサイドシルを備え、前記フロントピラーインナは、前記サイドシルに接合される下端部と、該下端部から上方に鉛直に立ち上がり、前記ピラー屈曲部に連続する鉛直面部と、を備えることを特徴とする。
ここで、フロントピラーインナの下端部には上下方向に延びる稜線が設けられていない。このため、フロントピラーインナの下端部にピラー屈曲部を直接連結させると、下端部およびピラー屈曲部の連結部が屈曲状態になり、連結部に荷重が集中することが考えられ、剛性および強度を確保することが難しい。
そこで、請求項4において、フロントピラーインナの下端部から上方に鉛直面部を鉛直に立ち上げ、鉛直面部にピラー屈曲部を直線状に連続させるようにした。
請求項5は、前記サイドシルは、車外側のサイドシルアウタと、車内側のサイドシルインナと、により閉断面を形成し、前記フロントピラーインナは、前記サイドシルアウタおよび前記サイドシルインナ間に設けられて前記サイドシルの閉断面内を複数に仕切るバルクヘッド部を備え、前記鉛直面部は、前記バルクヘッド部から上方に鉛直に延びることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ピラー屈曲部およびダッシュ屈曲部を接合して屈曲接合部とし、屈曲接合部を接合幅において前端より後端を上方に傾斜させた。よって、屈曲接合部の前端を後端に対して下方に配置することができる。
ここで、屈曲接合部の前端がエンジンルーム側に設けられ、屈曲接合部の後端が車室側に設けられている。よって、屈曲接合部のうちエンジンルーム側の部位に沿って水滴が上方から下方に滴下する。これにより、屈曲接合部の前端を下方に配置することにより、上方から下方に滴下する水滴が屈曲接合部の前端から車室内に浸入することを防止できる。
さらに、フロントピラーインナをダッシュボードとの接合部において車幅方向に屈曲するようにした。よって、フロントピラーインナおよびダッシュボードの接合部においてアッパメンバに対するサイドシルのオフセットを吸収することができる。これにより、フロントピラーインナの形状の自由度が向上する。
したがって、フロントピラーインナの下端部を鉛直に形成することができるので、ジャッキアップ用のブラケットをジャッキで持ち上げる際にフロントピラーインナの下端部で支える荷重を増すことができる。
請求項2に係る発明では、ダッシュフランジのうちダッシュ屈曲部の全域、およびピラー前フランジのうちピラー屈曲部の全域を接合することにより屈曲接合部を得るようにした。
これにより、屈曲接合部の接合面積を大きく確保できるので、屈曲接合部の前端から車室内に水が浸入することを一層確実に防止できる。
請求項3に係る発明では、ピラー前フランジを上方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜させ、かつ、前壁の車幅方向の幅寸法を上方に向かうにつれて徐々に小さくなるようにした。
よって、ピラー屈曲部において、ピラー前フランジおよび前壁で稜線を形成することによりピラー屈曲部を稜線で補強できる。これにより、ピラー屈曲部において上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になり、車体前部の剛性および強度を高めることができる。
請求項4に係る発明では、フロントピラーインナの下端部から上方に鉛直面部を鉛直に立ち上げ、鉛直面部にピラー屈曲部を直線状に連続させた。
よって、フロントピラーインナの下端部およびピラー屈曲部の連結部に荷重が集中することを防ぐことができる。これにより、フロントピラーにおいて上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になり、車体前部の剛性および強度を一層高めることができる。
請求項5に係る発明では、サイドシルの閉断面内にバルクヘッド部を備えた。ここで、フロントピラーインナは下端部がサイドシルに接合されている。よって、フロントピラーインナの下端部にバルクヘッド部を設けることができる。さらに、バルクヘッド部から上方に下インナ鉛直面部を鉛直に延出させた。
これにより、フロントピラー(下端部)において上下方向の荷重をバルクヘッド部に好適に伝達(分散)することが可能になり、車体前部の剛性および強度を一層高めることができる。
本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。 図1の車体前部構造を示す分解斜視図である。 図1の3矢視図である。 図1の4−4線断面図である。 図1の5−5線断面図である。 図2の車体前部構造からサイドシルアウタを除去した状態を示す斜視図である。 図6の7−7線断面図である。 図3の8矢視図である。 図8の9部拡大図である。 図9の10−10線断面図である。 本発明に係る車体前部構造のインナ前フランジの前辺に沿って水滴が滴下する例を説明する図である。 本発明に係る車体前部構造のジャッキアップ用のブラケットをジャッキで持ち上げる例を説明する図である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
実施例に係る車体前部構造10について説明する。
図1、図2に示すように、車体前部構造10は、車幅方向左側(車幅方向外側)において車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム11と、フロントサイドフレーム11の後端11aから車幅方向左側に張り出されたアウトリガー12と、アウトリガー12の左端12aから車体後方向に延びるサイドシル13とを備えている。
さらに、車体前部構造10は、サイドシル13の前端13aから上方に立ち上げられたフロントピラーユニット15と、フロントピラーユニット15のピラー鉛直部16(上端16a)から車体前方に延びるアッパメンバ19と、ピラー鉛直部16に接合されてエンジンルーム21と車室22とを仕切るダッシュボード23とを備えている。
以下、車体前部構造10の構成の理解を容易にするために、ピラー鉛直部16を「フロントピラー16」として説明する。
図3に示すように、アッパメンバ19はサイドシル13に対して車幅方向内側にW1寸法オフセットされた状態に設けられている。
アッパメンバ19およびサイドシル13間のオフセット寸法W1を吸収するために、フロントピラー16が車幅方向内側に屈曲されている。このフロントピラー16がダッシュボード23に接合されている。
図4に示すように、サイドシル13は、フロントピラー16の下端部16bに連結され、車体の床部(フロアパネル)29に沿って車体前後方向に延びる骨格部材である。
サイドシル13は、車外側のサイドシルアウタ27と、車内側のサイドシルインナ28とを備えている。サイドシルアウタ27は上下のフランジ27a,27bを備え、サイドシルインナ28は上下のフランジ28a,28bを備えている。
上下のフランジ27a,27bが、それぞれ上下のフランジ28a,28bに接合されることにより、サイドシルアウタ27およびサイドシルインナ28で中空部31を有する閉断面が形成されている。
図3、図4に示すように、フロントピラー16は、下端部16bがサイドシル13の前端13aに設けられている。このフロントピラー16は、車幅方向外側に設けられたフロントピラーアウタ34と、車幅方向内側に設けられたフロントピラーインナ35とを備えている。
フロントピラーアウタ34およびフロントピラーインナ35が接合されることにより、フロントピラー16が中空部36(図5参照)を有する閉断面に形成されている。
図5に示すように、フロントピラーアウタ34は、車幅方向に面するアウタ側壁37と、アウタ側壁37の前端および後端からそれぞれ車幅方向外側に延びるアウタ前壁38およびアウタ後壁39とを有する。
さらに、フロントピラーアウタ34は、アウタ前壁38の車内側端部から車体前方に延びるアウタ前フランジ41と、アウタ後壁39の車内側端部から車体後方に延びるアウタ後フランジ42とを有する。
アウタ側壁37、アウタ前壁38、アウタ後壁39、アウタ前フランジ41およびアウタ後フランジ42によりフロントピラーアウタ34が断面略ハット状に形成されている。
図4、図5に示すように、アウタ前フランジ41は、サイドシルアウタ27の前端27cに外方から接合されるアウタ下端部44と、アウタ下端部44から略鉛直に立ち上げられた下アウタ鉛直面部45と、下アウタ鉛直面部45から車幅方向内側に向けて車幅方向に屈曲された下アウタピラー屈曲部46とを有する。
さらに、アウタ前フランジ41は、下アウタピラー屈曲部46から車幅方向内側に向けて上り勾配に延出されたアウタ傾斜部47と、アウタ傾斜部47から略鉛直に向けて車幅方向に屈曲された上アウタピラー屈曲部48と、上アウタピラー屈曲部48から略鉛直に向けて略鉛直に立ち上げられた上アウタ鉛直面部49とを有する。
図4、図6に示すように、フロントピラーインナ35は、フロントピラーアウタ34とともに閉断面を形成するピラーインナ本体52と、ピラーインナ本体52のインナ下端部(下端部)57に設けられたバルクヘッド部53およびジャッキアップ用のブラケット54とを備えている。
図6、図7に示すように、ピラーインナ本体52は、サイドシル13に接合されるインナ下端部57と、インナ下端部57の上端部に設けられて断面略ハット状に形成されてハット状断面部58と、ハット状断面部58の上端に設けられたインナ上端部59とを有する。
ハット状断面部58は、インナ下端部57の上端に設けられて車幅方向に面するインナ側壁(側壁)62と、インナ側壁62の前端および後端からそれぞれ車幅方向外側に延びるインナ前壁(前壁)63およびインナ後壁(後壁)64とを有する。
さらに、フロントピラーインナ35は、インナ前壁63の車外側端部から車体前方に延びるインナ前フランジ(ピラー前フランジ)65と、インナ後壁64の車外側端部から車体後方に延びるインナ後フランジ(ピラー後フランジ)66とを有する。
すなわち、インナ側壁62、インナ前壁63、インナ後壁64、インナ前フランジ65およびインナ後フランジ66によりハット状断面部58が断面略ハット状に形成されている。
ここで、ハット状断面部58のインナ前壁63は、インナ傾斜部71(後述する)に相当する部位において、車幅方向の幅寸法W2(図4も参照)が上方に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。
インナ前壁63の幅寸法W2を徐々に小さく形成した理由については後で詳しく説明する。
フロントピラーアウタ34のアウタ前フランジ41およびアウタ後フランジ42が、それぞれフロントピラーインナ35のインナ前フランジ65およびインナ後フランジ66に接合されている。
これにより、フロントピラーアウタ34およびフロントピラーインナ35で中空部36を有する閉断面が形成されている。
図4、図6に示すように、インナ下端部57は、略平坦な平板状に形成され、サイドシル13に挟持された状態で略鉛直状に設けられている。
具体的には、インナ下端部57の上端57aがサイドシルアウタ27およびサイドシルインナ28の各上フランジ27a,28aに挟持された状態で接合される。また、インナ下端部57の下端57bがサイドシルアウタ27およびサイドシルインナ28の各下フランジ27b,28bに挟持された状態で接合されている。
インナ下端部57を略平坦な平板状に形成し、かつ、略鉛直状に設けることにより、荷重を好適に伝達することが可能になる。
さらに、ピラーインナ本体52のインナ下端部57にジャッキアップ用のブラケット54が設けられている。
ジャッキアップ用のブラケット54は、サイドシルアウタ27およびサイドシルインナ28の各下フランジ27b,28bに挟持された状態で接合され、インナ下端部57に沿って略鉛直に設けられている。
この状態において、ブラケット54の下端54aがサイドシル13から下方に突出されている。
インナ下端部57を略平坦で、かつ鉛直に設けることにより、ブラケット54をジャッキで持ち上げる際に、インナ下端部57で支える荷重を増すことができる。
図3に戻って、インナ前フランジ65は、ダッシュボード23のダッシュフランジ(車幅方向外側の側部)25に接合する部位において車幅方向に屈曲するように形成されている。
図4、図6に示すように、インナ前フランジ65は、インナ下端部57の前上端57cから上方に鉛直に立ち上げられた下インナ鉛直面部(鉛直面部)68と、下インナ鉛直面部68から車幅方向内側に向けて屈曲された下インナピラー屈曲部(ピラー屈曲部)69とを有する。
さらに、インナ前フランジ65は、下インナピラー屈曲部69から車幅方向内側に向けて上り勾配に延出されたインナ傾斜部71と、インナ傾斜部71から略鉛直に向けて屈曲された上インナピラー屈曲部(ピラー屈曲部)72と、上インナピラー屈曲部72から略鉛直に向けて略鉛直に立ち上げられた上インナ鉛直面部73とを有する。
このように、インナ前フランジ65に下インナピラー屈曲部69および上インナピラー屈曲部72を設けることにより、インナ傾斜部71を上方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜させることができる。
下インナ鉛直面部68および下アウタ鉛直面部45が接合され、下インナピラー屈曲部69および下アウタピラー屈曲部46が接合されている。また、インナ傾斜部71およびアウタ傾斜部47が接合され、上インナピラー屈曲部72および上アウタピラー屈曲部48が接合されている。さらに、上インナ鉛直面部73および上アウタ鉛直面部49が接合されている。
これにより、インナ前フランジ65およびアウタ前フランジ41が接合されている。
ここで、ピラーインナ本体52のうち、下インナ鉛直面部68、下インナピラー屈曲部69、インナ傾斜部71および上インナピラー屈曲部72に相当する部位にハット状断面部58(図7も参照)が形成されている。
よって、下インナピラー屈曲部69、インナ傾斜部71および上インナピラー屈曲部72をハット状断面部58で補強できるので、インナ前フランジ65において上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になる。
図5、図6に示すように、インナ前フランジ65の前辺65aがダッシュボード23に車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
ダッシュボード23は、エンジンルーム21と車室22とを仕切るダッシュ本体24と、ダッシュ本体24の車幅方向の外側部において車体前後方向に張り出されたダッシュフランジ25とを備えている。
ダッシュフランジ25にフロントピラーインナ35の車内側面、すなわちインナ前フランジ65(前辺65a)の車内側面65bが接合されている。
図3、図8に示すように、ダッシュフランジ25は、ダッシュ本体24の車幅方向の外側部に沿って車幅方向内側に向けて折り曲げられたフランジである。
このダッシュフランジ25は、下ダッシュ鉛直面部75、下ダッシュ屈曲部(ダッシュ屈曲部)76、ダッシュ傾斜部77、上ダッシュ屈曲部(ダッシュ屈曲部)78および上ダッシュ鉛直面部79を有する。
図9、図10に示すように、下ダッシュ鉛直面部75は、下インナ鉛直面部68に対応させて略鉛直に立設された部位である。下ダッシュ鉛直面部75の全域に下インナ鉛直面部68の全域が車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
下ダッシュ屈曲部76は、下インナピラー屈曲部69に対応させて下ダッシュ鉛直面部75から車幅方向内側に向けて屈曲された部位である。
下ダッシュ屈曲部76の全域に下インナピラー屈曲部69の全域が車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
下ダッシュ屈曲部76の全域および下インナピラー屈曲部69の全域が接合されることにより下屈曲接合部(屈曲接合部)82が得られる。
ダッシュ傾斜部77は、インナ傾斜部71に対向させて下ダッシュ屈曲部76から車幅方向内側に向けて上り勾配に延出された部位である。ダッシュ傾斜部77の全域にインナ傾斜部71の全域が車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
上ダッシュ屈曲部78は、上インナピラー屈曲部72に対応させてダッシュ傾斜部77から略鉛直に向けて屈曲された部位である。上ダッシュ屈曲部78の全域に上インナピラー屈曲部の全域が車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
上ダッシュ屈曲部78の全域および上インナピラー屈曲部72の全域が接合されることにより上屈曲接合部(屈曲接合部)83が得られる。
上ダッシュ鉛直面部79は、上インナ鉛直面部73に対応させて上ダッシュ屈曲部78から略鉛直に向けて略鉛直に立ち上げられた部位である。上ダッシュ鉛直面部79の全域に上インナ鉛直面部73の全域が車幅方向外側から重ね合わされた状態で接合されている。
ここで、上屈曲接合部83は、車体後方に向けて上り勾配の傾斜線85に沿って形成されている。すなわち、上屈曲接合部83は、車体前後方向の接合幅寸法(接合幅)W3において前端83aより後端83bが上方に位置するように傾斜されている。
よって、上屈曲接合部83の前端83aを後端83bに対して下方に配置することができる。
上屈曲接合部83の前端83aがエンジンルーム21側に設けられ、上屈曲接合部83の後端83bが車室22(図1も参照)側に設けられている。よって、上屈曲接合部83のうちエンジンルーム21側の部位に沿って水滴が上方から下方に滴下する。
これにより、上屈曲接合部83の前端83aを下方に配置することにより、水滴が上屈曲接合部83の前端83aから上屈曲接合部83(上ダッシュ屈曲部78および上インナピラー屈曲部72間)の接合面を経て車室22内に浸入することを防止できる。
さらに、上ダッシュ屈曲部78の全域および上インナピラー屈曲部72の全域を接合することにより、上屈曲接合部83の接合面積Sを大きく確保できる。
これにより、上屈曲接合部83の前端83aから上屈曲接合部83(上ダッシュ屈曲部78および上インナピラー屈曲部72間)の接合面を経て車室22内に水が浸入することを一層確実に防止できる。
図8に示すように、下屈曲接合部82も上屈曲接合部83と同様に、前端82aより後端82bが上方に位置するように傾斜されている。
よって、水滴が下屈曲接合部82の前端82aから車室22内に浸入することを防止できる。
さらに、下屈曲接合部82も上屈曲接合部83と同様に、下屈曲接合部82の接合面積Sを大きく確保できる。
これにより、下屈曲接合部82の前端82aから車室22内に水が浸入することを一層確実に防止できる。
ところで、図4、図6に示すように、インナ前フランジ65のインナ傾斜部71は、上方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜されている。また、ピラーインナ本体52のうち、下インナ鉛直面部68、下インナピラー屈曲部69、インナ傾斜部71および上インナピラー屈曲部72に相当する部位にハット状断面部58(図7も参照)が形成されている。
さらに、ハット状断面部58のインナ前壁63は、インナ傾斜部71に相当する部位において、車幅方向の幅寸法W2が上方に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。
よって、インナ傾斜部71(下インナピラー屈曲部69、上インナピラー屈曲部72も含む)において、インナ前フランジ65およびインナ前壁63で稜線87を形成することができる。
この稜線87によりインナ傾斜部71(下インナピラー屈曲部69、上インナピラー屈曲部72も含む)を補強できる。
これにより、インナ傾斜部71(下インナピラー屈曲部69、上インナピラー屈曲部72も含む)において上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になり、フロントピラー16(すなわち、車体前部)の剛性および強度を高めることができる。
さらに、インナ前フランジ65は、インナ下端部57の前上端57cから下インナ鉛直面部68が上方に鉛直に立ち上げられ、下インナ鉛直面部68が下インナピラー屈曲部69に連続されている。すなわち、インナ下端部57および下インナピラー屈曲部69間に下インナ鉛直面部68が介在されている。
ここで、インナ下端部57に下インナピラー屈曲部69を直接連結した場合、連結部が屈曲状態になるため、インナ下端部57および下インナピラー屈曲部69の連結部に荷重が集中することが考えられる。
これに対して、インナ下端部57および下インナピラー屈曲部69間に下インナ鉛直面部68を介在させることにより、インナ下端部57および下インナ鉛直面部68の連結部を直線状に保つことができる。よって、インナ下端部57および下インナ鉛直面部68の連結部に荷重が集中することを防ぐことができる。
これにより、フロントピラー16において上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になり、車体前部の剛性および強度を高めることができる。
ところで、ピラーインナ本体52のうち、下インナ鉛直面部68、下インナピラー屈曲部69、インナ傾斜部71および上インナピラー屈曲部72に相当する部位にハット状断面部58(図7も参照)が形成され、ハット状断面部58で各部68,69,71,72が補強されている。これにより、インナ前フランジ65において上下方向の荷重を好適に伝達することが可能になる。
加えて、フロントピラーインナ35は、インナ下端部57にバルクヘッド部53を備えている。バルクヘッド部53は、サイドシルアウタ27およびサイドシルインナ28間に設けられてサイドシル13の閉断面内を複数に仕切る部材である。
サイドシル13の閉断面内をバルクヘッド部53で複数に仕切ることによりバルクヘッド部53でサイドシル13を補強することができる。
また、インナ下端部57にバルクヘッド部53を設け、バルクヘッド部53から上方に下インナ鉛直面部68を鉛直に延出させた。
よって、フロントピラー16のインナ下端部57において上下方向の荷重を好適にバルクヘッド部53に伝達(分散)することが可能になる。このように、バルクヘッド部53に荷重を伝達(分散)することにより、車体前部の剛性および強度を一層高めることができる。
さらに、図3、図4に示すように、フロントピラーインナ35をダッシュボード23との接合部において車幅方向に屈曲するようにした。よって、フロントピラーインナ35およびダッシュボード23のダッシュフランジ(接合部)25においてアッパメンバ19に対するサイドシル13のオフセット寸法W1を吸収することができる。これにより、フロントピラーインナ35の形状の自由度が向上する。
したがって、インナ下端部57を鉛直に形成することができるので、ジャッキアップ用のブラケット54をジャッキで持ち上げる際にインナ下端部57で支える荷重を増すことができる。
つぎに、インナ前フランジ65の前辺65aに沿って水滴が滴下する例を図11に基づいて説明する。
図11に示すように、上ダッシュ屈曲部78および上インナピラー屈曲部72が接合される上屈曲接合部83が上り勾配の傾斜線85に沿って形成されている。よって、上屈曲接合部83の前端83aが後端83bに対して下方に配置されている。
ここで、インナ前フランジ65の前辺65aに沿って水滴が矢印Aの如く下方に向けて上屈曲接合部83の前端83aまで滴下する。
上屈曲接合部83の前端83aが後端83b下方に配置されているので、上屈曲接合部83の前端83aまで滴下した水が、前端83aから上屈曲接合部83(すなわち、上ダッシュ屈曲部78および上インナピラー屈曲部72間)に浸入することを防止できる。
よって、上屈曲接合部83の前端83aまで滴下した水は前端83aの下方に向けて矢印Bの如く滴下する。これにより、水滴が上屈曲接合部83の前端83aから車室22内に浸入することを防止できる。
さらに、上ダッシュ屈曲部78の全域および上インナピラー屈曲部72の全域が接合されている。これにより、上屈曲接合部83の接合面積Sを大きく確保して、上屈曲接合部83の前端83aから車室22内に水が浸入することを一層確実に防止できる。
ついで、ジャッキアップ用のブラケット54をジャッキで持ち上げる例を図12に基づいて説明する。
図12に示すように、フロントピラーインナ35のインナ下端部57が略平坦な平板状に形成され、かつ、略鉛直状に設けられている。
さらに、フロントピラーインナ35のインナ傾斜部71にはインナ前フランジ65およびインナ前壁63で稜線87(図6参照)が形成され、インナ傾斜部71が稜線87で補強されている。
加えて、インナ下端部57および下インナピラー屈曲部69間に下インナ鉛直面部68を介在させることにより、インナ下端部57および下インナ鉛直面部68の連結部を直線状に保つようにした。よって、インナ下端部57および下インナ鉛直面部68の連結部に荷重が集中することを防ぐことができる。
また、インナ下端部57にバルクヘッド部53を設けることにより、上下方向の荷重をバルクヘッド部53に好適に伝達(分散)させるようにした。
このように、インナ下端部57を略平坦な平板状に形成し、インナ傾斜部71を稜線87で補強し、インナ下端部57および下インナ鉛直面部68の連結部を直線状に保ち、バルクヘッド部53で荷重を分散させることにより、フロントピラー16において上下方向の荷重を好適に伝達させることができる。
これにより、ジャッキアップ用のブラケット54をジャッキで矢印Cの如く持ち上げる際にインナ下端部57で支える荷重を増すことができる。
なお、本発明に係る車体前部構造10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、ダッシュ本体24の車幅方向の外側部に沿わせてダッシュフランジ25を車幅方向内側に折り曲げた例について説明したが、これに限らないで、ダッシュフランジ25を車幅方向外側に折り曲げることも可能である。
また、前記実施例で示した車体前部構造、サイドシル、フロントピラー、ダッシュボード、ダッシュフランジ、バルクヘッド部、インナ下端部、ハット状断面部、インナ側壁、インナ前壁、インナ後壁、インナ前フランジ、インナ後フランジ、下インナ鉛直面部、上下のインナピラー屈曲部、上下のダッシュ屈曲部および上下の屈曲接合部などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明の車体前部構造は、フロントピラーがピラーインナおよびピラーアウタで閉断面に形成され、ピラーインナにダッシュボードが接合された自動車への適用に好適である。
10…車体前部構造、13…サイドシル、16…フロントピラー、16b…フロントピラーの下端部、21…エンジンルーム、22…車室、23…ダッシュボード、25…ダッシュフランジ(車幅方向外側の側部)、27…サイドシルアウタ、28…サイドシルインナ、34…フロントピラーアウタ、35…フロントピラーインナ、53…バルクヘッド部、57…インナ下端部(下端部)、58…ハット状断面部、62…インナ側壁(側壁)、63…インナ前壁(前壁)、64…インナ後壁(後壁)、65…インナ前フランジ(ピラー前フランジ)、65b…車内側面、66…インナ後フランジ(ピラー後フランジ)、68…下インナ鉛直面部(鉛直面部)、72,69…上下のインナピラー屈曲部(ピラー屈曲部)、78,76…上下のダッシュ屈曲部(ダッシュ屈曲部)、83,82…上下の屈曲接合部(屈曲接合部)、83a…上屈曲接合部の前端、83b…上屈曲接合部の後端、W2…車幅方向の幅寸法、W3…接合幅寸法(接合幅)。

Claims (5)

  1. 車幅方向外側のフロントピラーアウタ、および車幅方向内側のフロントピラーインナにより閉断面を形成するフロントピラーと、
    車幅方向外側の側部が前記フロントピラーインナの車内側面に接合され、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードと、を備えた車体前部構造であって、
    前記フロントピラーインナは、
    前記ダッシュボードとの接合部において車幅方向に屈曲するピラー屈曲部を備え、
    前記ダッシュボードは、
    前記ピラー屈曲部に対応させて屈曲するダッシュ屈曲部を備え、
    前記ピラー屈曲部および前記ダッシュ屈曲部が接合された屈曲接合部は、車体前後方向の接合幅において前端より後端が上方に位置するように傾斜されることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記フロントピラーインナは、
    車幅方向に面する側壁と、該側壁の前端および後端からそれぞれ車幅方向外側に延びる前壁および後壁と、前記前壁の車外側端部から車体前方に延びるピラー前フランジと、前記後壁の車外側端部から車体後方に延びるピラー後フランジと、により断面略ハット状に形成されるハット状断面部を含み、
    前記ダッシュボードは、
    車幅方向の外側部において車体前後方向に張り出され、前記ピラー前フランジに重ね合わされた状態で接合されるダッシュフランジを備え、
    前記ダッシュフランジのうち前記ダッシュ屈曲部の全域、および前記ピラー前フランジのうち前記ピラー屈曲部の全域が接合されることにより前記屈曲接合部が得られることを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
  3. 前記ピラー屈曲部が前記ピラー前フランジに形成され、
    該ピラー前フランジが上方に向かうにつれて車幅方向内側に傾斜されるとともに、前記前壁の車幅方向の幅寸法が上方に向かうにつれて徐々に小さくなることを特徴とする請求項2記載の車体前部構造。
  4. 前記フロントピラーの下端部に連結され、車体前後方向に延びるサイドシルを備え、
    前記フロントピラーインナは、
    前記サイドシルに接合される下端部と、該下端部から上方に鉛直に立ち上がり、前記ピラー屈曲部に連続する鉛直面部と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車体前部構造。
  5. 前記サイドシルは、
    車外側のサイドシルアウタと、車内側のサイドシルインナと、により閉断面を形成し、
    前記フロントピラーインナは、
    前記サイドシルアウタおよび前記サイドシルインナ間に設けられて前記サイドシルの閉断面内を複数に仕切るバルクヘッド部を備え、
    前記鉛直面部は、
    前記バルクヘッド部から上方に鉛直に延びることを特徴とする請求項4記載の車体前部構造。
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