次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A〜C.各種実施形態:
D.変形例:
A.第1実施形態:
A−1:液体噴射システムの構成:
図1は、液体噴射システム10の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。図1のXYZ軸は他の図のXYZ軸にも対応している。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸を付している。液体噴射システム10は、液体容器としてのカートリッジ20と、液体吐出装置としてのプリンター50とを備える。液体噴射システム10では、プリンター50のホルダー60に、利用者によってカートリッジ20が着脱可能に装着される。
カートリッジ20は、内部にインクを収容する。カートリッジ20に収容されたインクは、後述する液体供給部及び液体供給管を介してヘッド54に供給される。本実施形態では、プリンター50のホルダー60には、複数のカートリッジ20が着脱可能に装着される。本実施形態では、6色(ブラック、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアンおよびライトシアン)のインクに対応して6種類のカートリッジ20が1つずつ、すなわち合計6つのカートリッジ20がホルダー60に装着される。なお、ホルダー60に装着されるカートリッジ20の数は、6つに限定されるものではない。
プリンター50は、個人向けの小型インクジェットプリンターである。プリンター50は、ホルダー60の他、制御部51と、ホルダー60を有するキャリッジ52と、を備える。キャリッジ52はヘッド54を備える。プリンター50は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20から後述する液体供給管を介してヘッド54にインクを流通させる。ヘッド54は、圧電素子等の吐出機構を備え、紙やラベルなどの印刷媒体90に対してインクを吐出(供給)する。これにより、印刷媒体90に文字、図形および画像などのデータが印刷される。
制御部51は、プリンター50の各部を制御する。プリンター50のキャリッジ52は、ヘッド54を印刷媒体90に対して相対的に移動可能に構成されている。制御部51とキャリッジ52との間はフレキシブルケーブル53を介して電気的に接続されており、ヘッド54の吐出機構は、制御部51からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、キャリッジ52には、ヘッド54と共にホルダー60が構成されている。このように、ヘッド54を移動させるキャリッジ52上のホルダー60にカートリッジ20が装着されるプリンター50のタイプは、「オンキャリッジタイプ」とも呼ばれる。他の実施形態では、キャリッジ52とは異なる部位に、不動のホルダー60を構成し、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からインクをチューブを介してヘッド54に供給しても良い。このようなプリンターのタイプは、「オフキャリッジタイプ」とも呼ばれる。
本実施形態では、プリンター50は、キャリッジ52と印刷媒体90とを相対的に移動させて印刷媒体90に対する印刷を実現するための主走査送り機構および副走査送り機構を備える。プリンター50の主走査送り機構は、キャリッジモーター55および駆動ベルト58を備える。駆動ベルト58を介してキャリッジモーター55の動力をキャリッジ52に伝達することによって、キャリッジ52を主走査方向に往復移動させる。プリンター50の副走査送り機構は、搬送モーター56およびプラテン59を備える。搬送モーター56の動力がプラテン59に伝達されることによって、主走査方向に直交する副走査方向に印刷媒体90を搬送する。
プリンター50の印刷領域外の位置には、カートリッジ20内のインクの残量を光学的に検出するための検出部57が設けられている。検出部57の内部には、発光部および受光部が設けられている。制御部51は、キャリッジ52の移動に伴ってカートリッジ20が検出部57の上方を通過する際に検出部57の発光部を用いて光を発し、その光を検出部57の受光部が受けるか否かによってカートリッジ20内のインク残量状態(詳細にはインクの有無)を検出する。
本実施形態では、液体噴射システム10の使用状態(「使用姿勢」ともいう。)において、印刷媒体90を搬送する副走査方向(前後方向)に沿った軸をX軸とし、キャリッジ52を往復移動させる主走査方向(左右方向)に沿った軸をY軸とし、重力方向(上下方向)に沿った軸をZ軸とする。なお、液体噴射システム10の使用状態とは、水平な面に設置された液体噴射システム10の状態であり、本実施形態では、水平な面はX軸およびY軸に平行な面(XY平面)である。
本実施形態では、副走査方向(前方向)を+X軸方向、その逆方向(後方向)を−X軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かう方向(上方向)を+Z軸方向、その逆方向(下方向)を−Z軸方向とする。本実施形態では、液体噴射システム10の右側面から左側面に向かう方向を+Y軸方向(左方向)、その逆方向を−Y軸方向(右方向)とする。本実施形態では、ホルダー60に装着された複数のカートリッジ20の配列方向はY軸に沿った方向(左右方向,「単に「Y軸方向」とも呼ぶ。)である。なお、X軸に沿った方向(前後方向)を「X軸方向」とも呼び、Z軸に沿った方向(上下方向)を「Z軸方向」とも呼ぶ。
A−2.ホルダー60の構成:
図2は、カートリッジ20が装着された第1実施形態のホルダー60を示す第1の斜視図である。図3は、カートリッジ20が装着された第1実施形態のホルダー60を示す第2の斜視図である。第1実施形態のホルダー60は、5つの壁部601,603,604,605,606を有する。壁部601の周縁部から+Z軸方向に4つの壁部603,604,605,606が延びることで、凹部が形成される。この凹部が、カートリッジ20を収容するカートリッジ収容室602(「カートリッジ装着部602」とも呼ぶ)となる。また、カートリッジ収容室602は、仕切り壁607によって、各カートリッジ20を受け入れ可能な複数のスロット(装着空間)に分割されている。このような仕切り壁607は、スロットにカートリッジ20を挿入する際のガイドとして機能するが、省略することも可能である。また、検出部57を利用して光学的にインク残量状態を検出するために、壁部601には光が通過可能なように貫通孔636が形成されている。
ホルダー60はスロット毎に、液体供給管640と、レバー64と、接点機構62と、係止孔620とを備える。各スロットの一側面(+Z軸方向側面;上面)は開口しており、この開口した一側面(上面)を介して、カートリッジ20がホルダー60に着脱される。
液体供給管640は、カートリッジ20のインクをヘッド54に流通させるための流路を形成する。液体供給管640は、カートリッジ20がプリンター50に装着された状態(装着状態)において、カートリッジ20の液体供給部に接続される。液体供給管640の周囲には、弾性部材648が設けられている。弾性部材648は、装着状態においてカートリッジ20の液体供給部の周囲を密閉する。これにより、カートリッジ20の液体供給部から周囲にインクが漏れ出すことを防止する。
レバー64は、カートリッジ20の着脱の際に利用される。また、レバー64は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態(装着状態)において、カートリッジ20を係止する。
接点機構62は、装着状態においてカートリッジ20の後述する回路基板と電気的に接続される。また、接点機構62は、制御部51と電気的に接続されている。これにより、カートリッジ20とプリンター50との間で各種情報(カートリッジ20のインク色やインク残量状態)の伝達が行なわれる。
係止孔620は、壁部604を厚さ方向に貫通する貫通孔である。係止孔620は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、後述するカートリッジ20の第2係止部が挿入される。
A−3.カートリッジ20の外観構成:
図4は、カートリッジ20の第1の外観斜視図である。図5は、カートリッジ20の第2の外観斜視図である。図6は、カートリッジ20の正面図である。図7は、カートリッジ20の背面図である。図8は、カートリッジ20の左側面図である。図9は、カートリッジ20の右側面図である。図10は、カートリッジ20の平面図である。図11は、カートリッジ20の底面図である。本実施形態のカートリッジ20は、インクの消費に伴って間欠的に外部の空気を液体収容部200に導入する、いわゆる半密閉タイプのカートリッジ20である。なお、カートリッジ20の内部構成については後述する。
図4に示すように、カートリッジ20は、内部にインクを収容するための液体収容部200と、液体収容部200のインクを外部のプリンター50に流通させるための液体供給部280と、を備える。
図4〜図11に示すように、カートリッジ20は略直方体形状の外観を有する。カートリッジ20は、6つの面(壁)201〜206を備える。6つの面201〜206は、カートリッジ20の外表面(外殻)を構成する。6つの面は、第1面201と、第2面202と、第3面203と、第4面204と、第5面205と、第6面206とからなる。各面201〜206は、概ね平面である。概ね平面とは、面全域が完全に平坦である場合と、面の一部に凹凸を有する場合を含む。つまり、面の一部に多少の凹凸があっても、カートリッジ20の外殻を構成する面や壁が把握できるような場合を含む。第1面〜第6面201〜206の平面視における外形は、いずれも長方形である。
第1面201と第6面206とは互いに対向する。第5面205と第4面204とは互いに対向する。第3面203と第2面202とは互いに対向する。ここで、第1面201と第6面206とが対向する方向がZ軸方向(第1の方向に沿った方向)である。第5面205と第4面204とが対向する方向がX軸方向である。第3面203と第2面202とが対向する方向がY方向である。本実施形態において、カートリッジ20をプリンター50へ装着した状態では、第1面201が底面を構成する。ここで、図11に示すように、第1面201のうち第5面205側の端部(辺)を第1端部201tとも呼ぶ。また、第1面201のうち第4面204側の端部(辺)を第2端部201sとも呼ぶ。また、カートリッジ20をプリンター50へ装着した状態では、−Z軸方向(第1の方向)が鉛直下方向となる。
第5面205は第1面201と交わる。第4面204は第1面201と交わる。第6面206は、第4面204と第5面205に交わる。第3面203は、第1面201、第6面206、第4面204及び第5面205と交わる。第2面202は、第1面201、第6面206、第4面204及び第5面205と交わる。ここで、2つの面が「交わる」とは、2つの面が相互に交差し実際に交わる状態と、一方の面の仮想の延長面が他方の面に交わる状態と、相互の仮想の延長面が交わる状態と、のいずれかの状態であることを意味する。
図4や図5に示すように、液体供給部280は、第1面201から突出して設けられている。詳細には、液体供給部280は、第1面201から−Z軸方向(第1の方向)に沿って延びる。液体供給部280は、プリンター50に接続される。図5に示すように、液体供給部280は、その周りを囲む壁である周囲壁部281を有し、周囲壁部281内に設けられた一端部37bが液体連通口277を有することで液体収容部200と連通し、周囲壁部281の端部に相当する他端部37aが開口を形成する。ここで、一端部37bに対して他端部37aは−Z軸方向側(第1の方向側)に位置する。また、液体供給部280は、第1の方向に沿った方向(Z軸方向)にインクを流通させる流路を有する。上述した液体供給部280を別の視点で以下に述べる。すなわち、液体供給部280は、カートリッジ20を構成する部材(第1面)から外方に突出する。また、液体供給部280の一端である他端部37aに開口288を有する。液体供給部280の突出方向は、−Z軸方向である。開口288を通ってプリンター50の液体供給管640が液体供給部280内に挿入される。図4に示すように、第3面203にはX軸方向(第4面204から第5面205に向かう方向)に延びる多数の溝が形成されている。また、第3面203には、カートリッジ20の内部に空気を導入するための大気導入口290が形成されている。大気導入口290は、第3面203において、第3面203と第4面204とが交差する端部に比べて、第3面203と第5面205とが交差する端部に近い位置に配置されている。
図5及び図11に示すように、液体供給部280内には、プリンター50の液体供給管640に向かってインクが流通する液体流出部31と、液体供給部280内と外部とを連通させるための開口としての連通口32が形成されている。すなわち、連通口32は、液体供給部280の外部と内部とを繋ぐための開口である。液体流出部31はインクを保持可能に構成されている。装着状態では、液体供給管640(図2,図3)が液体供給口としての開口288から液体供給部280内に挿入されて、液体供給部280から液体供給管640へのインクの流通が可能となる。ここで、カートリッジ20がプリンター50の使用に供される前の未使用状態では、液体収容部200内から液体流出部31までの流路はインクで満たされている。また、カートリッジ20は、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路を有する。この連通路の一端は連通口32であり、他端は第3面203に形成された大気導入口290(図4)である。なお、この連通路の詳細は後述する。液体流出部31は、装着状態において、ヘッド54にインクを流通させる液体供給管640と接触する。
図5及び図11に示すように、第1面201には、プリズムユニット270が第1面201の一部を形成するように配置されている。プリズムユニット270は、いわゆる直角プリズムを備えている。プリズムユニット270の直角プリズムは、液体収容部200内に位置する。図5〜図7及び図11に示すように、プリズムユニット270は、第1面201の一部を形成する透過部としての透過面275と、略直角に交わる2つの表面(反射面)271(図6)とを備える。透過面275は、検出部57(図1)から射出された光が透過する。また、透過面275は、表面271によって反射し検出部57に向かう光が透過する。図11に示すように、透過面275は、第1面201のうち第2端部201sよりも第1端部201tに近い側に配置されている。一方で、液体供給部280は、第1面201のうち第1端部201tよりも第2端部201sに近い側に配置されている。詳細には、透過面275と液体供給部280とをできるだけ遠ざけるために、透過面275は第1端部201tに近接し、液体供給部280は第2端部201sに近接している。透過面275は、第1面201において、第3面203と第4面204とが交差する端部に比べて、第3面203と第5面205とが交差する端部に近い位置に配置されている。
また、図5や図11に示すように、第1面201において、プリズムユニット270(透過面275)の周囲には、第1面201から外方に向かって(第6面から第1面に向かう方向に)突出して設けられた壁部272が形成されている。壁部272は、透過面275を取り囲むように配置されている。図11に示すように、壁部272のうち、第4面204側の部分である隔壁部273は、第1面201において、液体供給部280とプリズムユニット270(透過面275)との間に位置する。
図5に示すように、第5面205には、突起状の第1係止部210が形成されている。第1係止部210は、装着状態においてレバー64に係止される。図4に示すように、第4面204には、突起状の第2係止部221が形成されている。カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、第2係止部221は、図2に示す係止孔620に挿入され係止される。また、カートリッジ20に後述するキャップが装着された状態において、第2係止部221は、後述するキャップと係合するために用いられる。
図4及び図8に示すように、第4面204において、第1面201の端部に近接した位置には、一対の凹部207が形成されている。各凹部207は、第4面204側が開口し、第4面204から第5面205に向かう方向に沿って形成された溝として形成されている。一対の凹部207は、Y軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。
図5に示すように、第1面201と第5面205とを繋ぐ接続面208には、回路基板15が設けられている。回路基板15の表面には、装着状態において、接点機構62と接触する複数の端子が形成されている。また、回路基板15の裏面にはカートリッジ20の各種情報(インク残量状態、インク色等)を記憶する記憶装置が設けられている。
図5及び図7に示すように、第2面202には、肉盗みが形成されている。肉盗みは、第2面202から第3面203に向かう方向に形成された凹状の部位(凹部)である。カートリッジ20の外殻(後述する本体部材22)の厚さが大きいと、部材内における気泡(ボイド)の発生や、部材が撓むおそれがある。そこで、カートリッジ20では、肉盗みを形成して本体部材22の厚さを部分的に小さく(薄く)することにより、上述した気泡の発生及び撓みの発生を抑制するようにしている。
A−4.カートリッジ20の内部構成:
図12は、カートリッジ20の分解斜視図である。図13は、本体部材22の正面図である。なお、図13には、プリズムユニット270の表面271を破線で図示している。また、図13には、液体収容部200のインクが液体供給部280を通って外部へ流通する様子を矢印で示している。図12に示すようにカートリッジ20は、本体部材22と、蓋部材24とを備える。本体部材22と蓋部材24とは、カートリッジ20の外表面(外殻)を形成する。また、カートリッジ20は、弁機構40と、付勢部材としてのコイルばね294と、受圧板293と、シート部材(フィルム部材)291と、を備える。
本体部材22と蓋部材24とは、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。また、シート部材291は、合成樹脂(例えば、ナイロンとポリプロピレンを含む材料)により形成され、可撓性を有する。すなわち、シート部材291は、外力により変形可能に構成される。
シート部材291には、通気口292が形成されている。これにより、カートリッジ20は、大気導入口290、通気口292、貫通孔47(後述)を通って液体収容部200に空気を液体収容部200に取り込むことができる。
本体部材22は、液体収容部200と液体供給部280とを形成するための部材である。本体部材22は、凹状形状であり一側面が開口している。本体部材22の一側面の開口を覆うようにシート部材291が本体部材22に貼り付けられる。詳細には、図13に示すように、本体部材22の開口を形成する端面22tや、液体収容部200内のリブの端面22pにシート部材291が気密に貼り付けられる。これにより、インクを収容するための液体収容部200が形成される。すなわち、液体収容部200は、内部空間を区画する壁部の一部が変形可能なシート部材291で形成されている。これにより、液体収容部200は容積を変化できる。なお、図13では、理解の容易のために、シート部材291が貼り付けられる部分をクロスハッチングで示し、液体収容部200が形成される部分をシングルハッチングで示している。
また、図13に示すように、本体部材22の+Y軸方向側の端面のうち、シート部材291が貼り付けられる領域よりも外側の領域には熱溶着等により蓋部材24が取り付けられる。そして、本体部材22のうち、液体収容部200が形成される領域よりも外側には、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路の一部である第1連通室242が形成されている。
シート部材291と蓋部材24との間には空間が形成される。この空間は、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路の一部を形成する。
受圧板293は、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。受圧板293は、シート部材291に接触して配置されている。コイルばね294は、液体収容部200内に配置される。詳細には、受圧板293と、本体部材22の面のうち受圧板293と対向する面(対向面)に当接する。コイルばね294は、液体収容部200の容積を拡大する方向に受圧板293を付勢する。コイルばね294は、Y軸方向に沿って伸縮(移動)する。
弁機構40は、液体収容部200のインクの消費に伴って間欠的に液体収容部200に空気を導入するための機構である。図12に示すように、弁機構40は、バネ部材42と、レバーバルブ44と、カバーバルブ46とを備える。カバーバルブ46は、本体部材22のうち、第4面204と第6面206とが交わるコーナー部分209(図13)に収容され、本体部材22に取り付けられる。カバーバルブ46は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂により形成される。カバーバルブ46は凹状形状であり、開口を形成する端面41にはシート部材291が気密に貼り付けられている。カバーバルブ46の凹部は、通気口292と連通している。また、カバーバルブ46の凹部の底部にはカバーバルブ46の裏側まで貫通した貫通孔47が形成されている。
レバーバルブ44は、バネ部材42によってカバーバルブ46に押し付けられ、貫通孔47を塞いでいる。レバーバルブ44は、受圧板293が変位することで当接する部分を有する。レバーバルブ44は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成しても良い。また、レバーバルブ44は、エラストマー等の弾性部材とポリプロピレン等の合成樹脂を用いて2色成型により形成しても良い。
液体供給部280は、液体収容部200と連通している。図12に示すように、液体供給部280は、内部に供給用部材30を備える。供給用部材30は、押圧部材35とフォーム(多孔質部材)34とシート部材(フィルター部材)36とを備える。液体供給部280の一端部37bから他端部37aに向かう順に、押圧部材35とフォーム34とシート部材36が配置されている。押圧部材35は、例えば、金属により形成されている。押圧部材35は、バネ部35aを有し、かかるバネ部35aを利用してフォーム34を下方(−Z軸方向)に付勢(押圧)する。フォーム34やシート部材36は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂により形成されている。シート部材36は、装着状態では液体供給管640(図2)に接触し、インクをプリンター50側へ流通させる。すなわち、シート部材36は、液体流出部31を形成する。
A−5.連通路及びカートリッジ20の動作:
図14は、カートリッジ20の動作を説明するための第1の図である。図15は、カートリッジ20の動作を説明するための第2の図である。図16は、カートリッジ20の動作を説明するための第3の図である。なお、図14〜図16は、カートリッジ20の内部の状態を理解しやすいように説明するための模式図である。
カートリッジ20の動作説明の前に、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路310について説明する。連通路310は、一端部が連通口32であり、他端部が大気導入口290である。連通路310は、連通口32から大気導入口290に向かう流体の流れ方向において、途中に一端側流路33、第1連通室242、空気室220と、を順に備える。一端側流路33は、液体供給部280内に形成された流路である。空気室220は、蓋部材24とシート部材291との間の空間である。
このように、カートリッジ20は、連通路310を備えることで液体供給部280内(詳細には、液体供給部280のうち開口288を含む空気が存在する部分)の圧力が外部の圧力と極端に異なることを抑制できる。
例えば、カートリッジ20をプリンター50に装着する際(装着動作時)には、ホルダー60の弾性部材648(図2)が液体供給部280の開口288の周囲を密閉する。ここで、開口288の周囲を密閉する際には、弾性部材648の一部が液体供給部280内に食い込むことで、液体供給部280内の容積が減少し液体供給部280内の圧力が上昇する。一般に、液体収容部200から液体流出部31までの流路は、液体流出部31から外部にインクが漏れ出さないようにするために流路抵抗が高い部分が存在する。本実施形態では、例えば、液体のメニスカスを形成し、液体を保持可能なシート部材36や、フォーム34によって流路抵抗が高くなっている。よって、開口288の周囲が密閉され、液体供給部280内の容積が減少した直後の状態では、減少した分の空気は液体収容部200には十分に流通しない。しかしながら、連通路310によって減少した分の空気を外部に逃がすことができ、外部と液体供給部280内の圧力を略一定に維持できる。
仮に、カートリッジ20に連通路310が設けられていない場合は、例えば液体供給部280内の圧縮された空気が、カートリッジ20の装着後に徐々に液体収容部200に流入する。これにより、液体収容部200内に予期しない空気が侵入し、液体収容部200内を適切な圧力範囲に維持できない虞が生じる。また、例えば、液体供給部280内の上昇した圧力と、液体収容部200内の圧力が均衡するまで液体供給部280内の空気が液体収容部200に流入すると、液体収容部200内の圧力は空気が流入する前の状態に比べ上昇する。この状態で利用者がカートリッジ20をホルダー60から取り外した場合、液体供給部280内の圧力は大気圧になる。すなわち、液体供給部280内の圧力は低下し、圧力が高い液体収容部200から供給用部材30を介して外部にインクが漏れ出すことになる。
また、例えば、カートリッジ20の未使用状態では、インクが外部に漏れ出すことを抑制するために、開口288を塞ぐためのカバー(フィルムやキャップ)が開口288に取り付けられる場合がある。また、カートリッジ20の未使用状態では、カートリッジ20は大気圧よりも低い圧力に減圧された包装パックの中に収容される場合がある。カバーが取り付けられた状態で、包装パックにカートリッジ20を収容し包装パック内を減圧すると、空気室220も減圧される。すると、液体収容部200内の負圧の絶対値が大きくなる(すなわち、より負圧になる)。一方で、液体供給部280内は外部との気体の流通が抑制された空間であるため、減圧パック直後は大気圧を維持する。これにより、液体供給部280内と液体収容部200の圧力に不均衡が生じ、次第に液体供給部280内から液体収容部200内に空気が流入する。また、減圧パックからカートリッジ20を取り出すと、空気室220が大気圧に戻り、液体収容部200内の負圧の絶対値も小さくなる(元の設定された負圧となる)。一方、液体供給部280内は減圧された状態を維持し、これにより液体収容部200から液体供給部280側へとインクが漏れ出す虞がある。このようにして液体供給部280側に漏れ出したインクは、連通口32に入り込み、連通路310を通って大気導入口290から外部へと漏れ出す虞がある。
次に、カートリッジ20の動作について説明する。図14に示すように、レバーバルブ44は、貫通孔47を塞ぐための弁部43と、弁部43の開閉を行うためのレバー部49とを備える。カートリッジ20の未使用状態(新品の状態)では、液体収容部200はインクで満たされている。この状態では、レバーバルブ44の弁部43がバネ部材42に付勢されて貫通孔47を塞いでいる。また、コイルばね294は、液体収容部200の容積を拡大する方向(+Y軸方向)に受圧板293を付勢する。これにより、液体収容部200内の圧力は大気圧よりも低い圧力(負圧)に維持される。
図15に示すように、液体収容部200のインクが消費され、受圧板293が第2面202側に近づくと、受圧板293がレバー部49を第2面202側に押す。これにより、弁部43が貫通孔47から離れ、外部の空気と液体収容部200とが一時的に連通する。すなわち、レバーバルブ44が開弁状態となる。そして、外部の空気が大気導入口290、空気室220、通気口292、貫通孔47を通って液体収容部200に流入する。これにより、図16に示すように空気が導入された分だけ液体収容部200の容積が大きくなる。同時に、液体収容部200内の負圧は少し小さくなる(大気圧に近づく)。そして、図16に示すように、液体収容部200にある程度の空気が導入されると、受圧板293がレバー部49から離れる。これにより、弁部43が再び貫通孔47を塞ぐ。すなわち、レバーバルブ44が閉弁状態となる。このように、液体収容部200のインクの消費に伴って、液体収容部200内の負圧が大きくなると一次的にレバーバルブ44が開弁状態になることで液体収容部200内の圧力を適切な圧力範囲に維持することが可能となる。
カートリッジ20には、後述するキャップが装着される。キャップが装着されることにより、液体供給部280が覆われ、液体供給部280からのインクの漏出が抑制される。ここで、上述のように包装パックからカートリッジ20を取り出す際に液体供給部280から漏れ出たインクや、運搬時の衝撃により液体供給部280から漏れ出たインクは、連通路310を通って大気導入口290に達して外部へと漏れ出す虞等が有る。しかしながら、後述するキャップがカートリッジ20に装着されることにより、インクが外部へと漏れ出した場合であっても、インクのプリズムユニット270(透過面275)への付着や大気導入口290からZ軸方向へのインクの拡散を抑制するようにしている。
A−6.キャップの構成:
図17は、第1実施形態のキャップの第1の外観斜視図である。図18は、第1実施形態のキャップの第2の外観斜視図である。図19は、第1実施形態のキャップの正面図である。図20は、第1実施形態のキャップの背面図である。図21は、第1実施形態のキャップの左側面図である。図22は、第1実施形態のキャップの右側面図である。図23は、第1実施形態のキャップの平面図である。図24は、第1実施形態のキャップの底面図である。キャップ900は、カートリッジ20に装着され、液体供給部280(開口288)を覆う。キャップ900は、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。なお、図17では、理解の容易のために、キャップ900の内側(カートリッジ20が装着された際に、カートリッジ20と接する側)の構成を破線で示している。
図17及び図18に示すように、キャップ900は、底部901と、第1側壁部902と、第2側壁部903と、第3側壁部904とを備えている。底部901は、厚さ方向(Z軸方向)に見て長方形の外観形状を有する薄板状の部位である。底部901には、下方(−Z軸方向)に突出した凸部930が形成されている。
第1側壁部902は、底部901の一方の長辺(+Y軸方向の端部)に沿って+Z軸方向に立位した薄板状の部位である。第1側壁部902は、厚さ方向(Y軸方向)に見てほぼL字型の外観形状を有する。第1側壁部902の+X軸方向の端側には、第1側壁部902の他の部分に比べて+Z軸方向に突出した第1立位部910aが形成されている。第1立位部910aの上端(+Z軸方向端部)には、第1天面爪部910aが形成されている。図21及び図22に示すように、第1天面爪部910aは、第1側壁部902の厚さ方向(+Y軸方向)に突出した爪状の外観形状を有する。第1天面爪部910aは、カートリッジ20にキャップ900が装着された状態において、カートリッジ20の第6面206と接する。
図17、図21及び図22に示すように、第1立位部910aにおいて、第2側壁部903と対向する面には、第1側面爪部920aが形成されている。図21及び図22に示すように、第1側面爪部920aは、第1側壁部902の厚さ方向(+Y軸方向)に突出した爪状の外観形状を有する。第1側面爪部920aは、カートリッジ20にキャップ900が装着された状態において、カートリッジ20の第5面205と接する。
第2側壁部903は、底部901の他方の長辺(−Y軸方向の端部)に沿って+Z軸方向に立位した薄板状の部位である。換言すると、第2側壁部903は、底部901を挟んで第1側壁部902と対向する。第2側壁部903は、第1側壁部902と同様に、厚さ方向(Y軸方向)に見てほぼL字型の外観形状を有する。第2側壁部903の+X軸方向の端側には、第2側壁部903の他の部分に比べて+Z軸方向に突出した第2立位部910bが形成されている。第2立位部910bの上端(+Z軸方向端部)には、第2天面爪部910bが形成されている。第2天面爪部910bは、第1天面爪部910aに対してY軸方向に対向する位置に配置されている。第2天面爪部910bは、第2側壁部903の厚さ方向(−Y軸方向)に突出した爪状の外観形状を有する。第2天面爪部910bは、第1天面爪部910aと同様に、カートリッジ20にキャップ900が装着された状態において、カートリッジ20の第6面206と接する。
図18、図21及び図22に示すように、第2立位部910bにおいて、第1側壁部902と対向する面には、第2側面爪部920bが形成されている。第2側面爪部920bは、第1側面爪部920aに対してY軸方向に対向する位置に配置されている。第2側面爪部920bは、第2側壁部903の厚さ方向(−Y軸方向)に突出した爪状の外観形状を有する。第2側面爪部920bは、第1側面爪部920aと同様に、カートリッジ20にキャップ900が装着された状態において、カートリッジ20の第5面205と接する。
図17、図23及び図24に示すように、第3側壁部904は、底部901の一方の短辺(−X軸方向の端部)に沿って+Z軸方向に立位した薄板状の部位である。第3側壁部904は、厚さ方向(X軸方向)に見て長方形の外観形状を有する。第3側壁部904において、底部901と接する端部に対して垂直に交わる2つの端部は、第1側壁部902及び第2側壁部903とそれぞれ接する。換言すると、第3側壁部904は、底部901と、第1側壁部902と、第2側壁部903とに、それぞれ垂直に接する。第3側壁部904は、底部901と接する端部の反対側の端部寄りに、係合孔921を備えている。係合孔921は、第3側壁部904を厚さ方向に貫く貫通孔として形成されている。係合孔921には、カートリッジ20の第2係止部221が挿入され得る。
キャップ900において、底部901と対向する側、及び第3側壁部904と対向する側は、いずれも開放されている。これらの開放された部分を利用してカートリッジ20がキャップ900に装着され、また、カートリッジ20がキャップ900から取り外される。なお、第1側壁部902は、底部901及び第3側壁部904と接しているが、第1側壁部902の+Z軸方向の端部及び+X軸方向の端部は、いずれの部材とも接していない。これにより、第1側壁部902のうちの少なくとも第1立位部910aは、−Y軸方向に撓むことができる。同様に、第2側壁部903のうちの少なくとも第2立位部910bは、+Y軸方向に撓むことができる。
A−7.キャップ900が装着されたカートリッジ20:
図25は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の第1の外観斜視図である。図26は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の第2の外観斜視図である。図27は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の正面図である。図28は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の背面図である。図29は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の左側面図である。図30は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の右側面図である。図31は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の平面図である。図32は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の底面図である。図33は、キャップ900が装着されたカートリッジ20の正面透視図である。図32では、理解の容易のために、カートリッジ20を破線で表している。図33では、カートリッジ20においてキャップ900の第2側壁部903に隠れている部分を透かして表している。
図25、図29、図31及び図32に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の第2係止部221は、キャップ900(第3側壁部904)の係合孔921に挿入され、先端がキャップ900(第3側壁部904)から−X軸方向に露出している。このとき、図25及び図29に示すように、係合孔921の鉛直上端(第3側壁部904の内部に形成されて係合孔921を形成する壁面であって、X軸及びY軸と平行な壁面)922には、第2係止部221の鉛直上方の端面が当接している。
図25、図29、図30及び図31に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、2つの第1天面爪部910a,910bは、カートリッジ20の第6面206に接している。また、図33に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の第1面201は、キャップ900の底部901に接している。したがって、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20は、2つの天面爪部910a,910bと、底部901とにより挟持されている。これにより、キャップ900とカートリッジ20とのZ軸方向の位置決めが確実に行われる。
図26及び図30に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、2つの第1側面爪部920a,920bは、カートリッジ20の第5面205に接している。また、図25、図31及び図33に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の第4面204は、第3側壁部904に接している。したがって、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20は、2つの側面爪部920a,920bと、第3側壁部904とにより挟持されている。これにより、キャップ900とカートリッジ20とのX軸方向の位置決めが確実に行われる。
図33に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の透過面275は、大気導入口290に対して、鉛直下方(−Z軸方向)に位置する。図33に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の液体供給部280は、キャップ900の凸部930と第1側壁部902と第2側壁部903とで囲まれる空間に収容され、液体供給部280(周囲壁部281)は凸部930に接する。これにより、周囲壁部281は、キャップ900(凸部930)によって覆われる。
図34は、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態における第1面201及び壁部272と底部901との境界部分の一部を拡大して示す説明図である。なお、図34では、第1面201と底部901との境界部分の一部を模式的に示している。図34に示すように、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の壁部272は、キャップ900の底部901と接している。隔壁部273は、X軸方向において、液体供給部280と透過面275との間に配置されている。また、隔壁部273は、底部901と接している。したがって、インクが液体供給部280から液体供給部280の外部(底部901と第1面201との間の空間)に漏れ出たとしても、隔壁部273によってインクは堰き止められ、透過面275に達することが抑制される。
図35は、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態における蓋部材24とキャップ900との接触部分の一部を拡大して示す模式図である。図35に示すように、蓋部材24において第3面203を形成する面には、溝を形成する凸部223と凹部224とがZ軸に沿って交互に並んで形成されている。凸部223は、+Y軸方向(第2面202から第3面203に向かう方向)に突出しており、X軸方向に延設されている。凹部224は、凸部223に比べて−Y軸方向に後退して(窪んで)おり、X軸方向に延設されている。これらの形状は、凸条又は凹条形状、櫛歯形状、鋸歯形状、波線形状、ギザギザ形状等と換言できる。キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、第2側壁部903は、凸部223と接している。これにより、第2側壁部903と凸部223と凹部224とで囲まれた空間225が多数形成されている。空間225はそれぞれX軸方向に延設されており、互いに平行に配置されている。また、各空間225は、Z軸方向において互いに凸部223によって隔てられている。
キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において大気導入口290から外部にインクが漏れ出すと、第3面203に沿って鉛直下方(−Z軸方向)に流れて、第2側壁部903と蓋部材24との間に流入する虞がある。第2側壁部903と蓋部材24との間に流入したインクは、空間225に溜まるため、インクが鉛直下方に流れることが抑制される。また、隣り合う空間225同士は凸部223によって隔てられているため、インクが鉛直下方に流れることが抑制される。これにより、大気導入口290から漏れ出たインクが第1面201の透過面275に達することが抑制される。また、インクが鉛直上に流れることも抑制されうる。これにより、大気導入口290から漏れ出たインクが拡散、飛散することが抑制される。
図36は、第1実施形態において、キャップ900がカートリッジ20から取り外される際の様子を模式的に示す説明図である。図36では、−Y軸方向に見たカートリッジ20及びキャップ900を表している。なお、図36では、カートリッジ20の外観(輪郭)を模式的に表している。
図36上段に示すようにキャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、ユーザーが、キャップ900の第1立位部910aを−Y軸方向に撓ませ、また、キャップ900の第2立位部910bを+Y軸方向に撓ませると、2つの天面爪部910a,910bは、カートリッジ20の第6面206から離れ、また、2つの側面爪部920a,920bは、カートリッジ20の第5面205から離れる。この状態でユーザーがキャップ900を固定したままカートリッジ20を持ち上げようとすると(キャップ900から離れるように移動させようとすると)、図36中段に示すように、カートリッジ20は、第2係止部221と係合孔921とが接触する部分を回転中心として回転移動する。詳細には、カートリッジ20は、図25及び図29に示す仮想線CY1を回転中心として、X軸及びZ軸に平行な面と平行に、キャップ900から離れる方向に回転移動する。
図36中段に示すように、カートリッジ20が回転移動する途中で大気導入口290からインクが漏れ出ると、漏れ出たインクD1は、鉛直下方(−Z軸方向)に移動して、透過面275に向かって流れる。しかしながら、図36下段に示すように、カートリッジ20がさらにキャップ900から離れる方向に回動すると、大気導入口290から漏れ出たインクD1は、透過面275から離れる方向に向かって流れる。
図37は、カートリッジ20がホルダー60に装着された様子を模式的に示す説明図である。図37では、−Y軸方向に見たカートリッジ20及びホルダー60を表している。図37では、カートリッジ20及びホルダー60の外観(輪郭)を模式的に表している。
前述の図36下段に示す状態から、キャップ900がカートリッジ20から完全に取り外され、ホルダー60に装着されると、図37に示す状態となる。図37に示すように、大気導入口290から漏れ出たインクD1は、透過面275よりも第4面204寄りの位置に存在し、かかる位置において鉛直下方(−Z軸方向)に流れ落ちることとなる。したがって、インクD1は、透過面275に付着しないので、貫通孔636から光を当てた場合に、インクの有無の誤検出は抑制される。
なお、上述した液体流出部31は請求項における液体供給部に相当する。また、周囲壁部は請求項における周囲壁部に、連通口32は請求項における連通口に、蓋部材24の凸部223は請求項における凸部に、キャップ900の凸部930は請求項における被覆部に、第2側壁部903のうちの蓋部材24の凸部223と接する部分は請求項における第1カバー部に、プリズムユニット270は請求項における検出用部材に、透過面275は請求項における露出部に、隔壁部273は請求項における突出部に、底部901のうちの隔壁部273と接する部分は請求項における第2カバー部に、第2係止部221は請求項における容器側係合部に、係合孔921は請求項におけるカバー側係合部に、仮想線CY1は請求項における仮想線に、それぞれ相当する。
A−8.効果:
上記第1実施形態では、キャップ900(凸部930)は、カートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の開口288を塞ぐ。これにより、カートリッジ20の運搬時等に開口288からインクが漏れ出す可能性を低減できる。加えて、キャップ900がカートリッジ20に装着された状態において、キャップ900の第2側壁部903は、第3面203(蓋部材24)に形成された溝の凸部223に接触するので、第2側壁部903と凸部223と凹部224とで囲まれた空間225を形成することができる。したがって、大気導入口290からインクが漏れ出して第2側壁部903と蓋部材24との間に入り込んだ場合に、空間225にインクを溜めることができる。加えて、Z軸方向に隣り合う空間225同士は、凸部223によって隔てられるので、隣り合う空間255にインクが移動することを抑制することができる。このため、インクが大気導入口290から鉛直下方(−Z軸方向)に流れ落ちることを抑制でき、大気導入口290から漏れ出たインクが透過面275に到達することを抑制できる。それゆえ、透過面275にインクが付着することによるインクの有無の誤検出を抑制できる。
また、カートリッジ20の第1面201には、透過面275を囲むように−Z軸方向に突出した壁部272が形成されている。壁部272は、液体供給部280と透過面275との間に位置する隔壁部273を有する。したがって、液体供給部280から漏れ出たインクが透過面275に向かって移動した場合であっても、隔壁部273によりインクを堰き止めることができるので、透過面275にインクが到達することを抑制できる。
また、大気導入口290及び透過面275は、いずれもカートリッジ20において、第3面203と第4面204との交差端部に比べて、第3面203と第5面205との交差端部に近い位置に配置されている。加えて、キャップ900がカートリッジ20から取り外される際に、キャップ900とカートリッジ20とは、キャップ900の係合孔921の上端を通りY軸方向に延びる仮想線CY1を回転中心として、互いに離れるように相対的に回転する。したがって、第1側壁部902が水平面となるようにキャップ900を固定して、カートリッジ20を回転させた際に、大気導入口290からインクが漏れ出したとしても、漏れ出したインク(図36のインクD1)を、第4面204に向かうように移動させて、透過面275から離すことができる。このため、大気導入口290から漏れ出たインクが透過面275に到達することを抑制できる。
B.第2実施形態:
図38は、カートリッジ20が装着された第2実施形態のホルダー60aを示す斜視図である。第2実施形態のホルダー60aは、各スロット毎に一対のホルダー係合部621を備えている点において、図2及び図3に示す第1実施形態のホルダー60と異なり、他の構成は第1実施形態のホルダー60と同じである。ホルダー係合部621は、爪状の外観形状を有し、壁部604の内側(凹部に面する側)において、壁部604から壁部603に向かう方向に突出している。一対のホルダー係合部621は、カートリッジ20が装着された状態において、カートリッジ20の凹部207に挿入される。換言すると、カートリッジ20の凹部207は、ホルダー60aのホルダー係合部621に係合する。これにより、ホルダー60aとカートリッジ20とは確実に係止されることになる。
図39は、第2実施形態のキャップの外観斜視図である。図39では、理解の容易のために、第2実施形態のキャップ900aの内側(カートリッジ20が装着された際に、カートリッジ20と接する側)の構成を破線で示している。
図39に示すように、第2実施形態のキャップ900aは、係合孔921が省略されている点と、第3側壁部904の内側に一対のカバー側係合部940を備えている点とにおいて、図17等に示す第1実施形態のキャップ900と異なり、他の構成は第1実施形態のキャップ900と同じである。なお、図示は省略するが、第2実施形態のカートリッジは、第2係止部221を有していない点において、第1実施形態のカートリッジ20と異なり、他の構成は第1実施形態のカートリッジ20と同じである。一対のカバー側係合部940は、爪状の外観形状を有し、第3側壁部904の内側において、+X方向に突出している。一対のカバー側係合部940は、前述のホルダー60aの一対のホルダー係合部621とほぼ同じ外観形状を有している。
図40は、第2実施形態のキャップ900aが装着されたカートリッジ20の外観斜視図である。図40では、理解の容易のため、キャップ900aのカバー側係合部940及びカートリッジ20の凹部207を破線で示している。
図40に示すように、キャップ900aがカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の一対の凹部207には、キャップ900aの一対のカバー側係合部940が挿入される。これにより、カートリッジ20とキャップ900aとの間の幅方向(Y軸方向)の位置決めが確実に行われる。詳細には、キャップ900aがカートリッジ20に装着された状態において、キャップ900aがカートリッジ20に対して+Y軸方向に動こうとすると、一方のカバー側係合部940(−Y軸方向側のカバー側係合部940)が一対のカバー側係合部940の間の壁に当たり、+Y軸方向の動きが規制される。同様に、キャップ900aがカートリッジ20に装着された状態において、キャップ900aがカートリッジ20に対して−Y軸方向に動こうとすると、他方のカバー側係合部940(+Y軸方向側のカバー側係合部940)が一対のカバー側係合部940の間の壁に当たり、−Y軸方向の動きが規制される。
図40において、仮想線CY2は、凹部207における鉛直上端を通り、Y軸方向(第2面202から第3面203に向かう方向)に延びる。
図41は、第2実施形態において、キャップ900aがカートリッジ20から取り外される際の様子を模式的に示す説明図である。図41では、図36と同様に、−Y軸方向に見たカートリッジ20及びキャップ900aを表している。なお、図41では、図36と同様に、カートリッジ20の外観(輪郭)を模式的に表している。
図41上段に示すようにキャップ900aがカートリッジ20に装着された状態において、ユーザーが、キャップ900aの第1立位部910aを−Y軸方向に撓ませ、また、キャップ900aの第2立位部910bを+Y軸方向に撓ませると、2つの天面爪部910a,910bは、カートリッジ20の第6面206から離れ、また、2つの側面爪部920a,920bは、カートリッジ20の第5面205から離れる。この状態でユーザーがキャップ900aを固定したままカートリッジ20を持ち上げようとすると(キャップ900aから離れるように移動させようとすると)、図41中段に示すように、カートリッジ20は、カートリッジ20の凹部207とキャップ900aのカバー側係合部940とが接触する部分を回転中心として回転移動する。詳細には、カートリッジ20は、図40に示す仮想線CY2を回転中心として、X軸及びZ軸に平行な面と平行に、キャップ900aから離れる方向に回転移動する。
図41中段に示すように、カートリッジ20が回転移動する途中で大気導入口290からインクが漏れ出ると、漏れ出たインクD2は、鉛直下方(−Z軸方向)に移動して、透過面275に向かって流れる。しかしながら、図41下段に示すように、カートリッジ20がさらにキャップ900aから離れる方向に回動すると、大気導入口290から漏れ出たインクD2は、透過面275から離れる方向に向かって流れる。
このように、第2実施形態におけるキャップ900aがカートリッジ20から取り外される様子は、回転中心が若干−Z軸方向にずれている点において、図36に示す第1実施形態におけるキャップ900がカートリッジ20から取り外される様子と異なり、他の動作は第1実施形態と同じである。したがって、キャップ900aがカートリッジ20から完全に取り外された後にホルダー60aに装着された場合、図37に示す第1実施形態においてカートリッジ20がホルダー60に装着された様子と同様な状況となる。このため、大気導入口290から漏れ出たインクD2は、第1実施形態のインクD1と同様に、透過面275よりも第4面204寄りの位置に存在し、かかる位置において鉛直下方(−Z軸方向)に向かって流れることとなる。それゆえ、インクD2は透過面275に付着せず、貫通孔636から光を当てた場合にインクの有無の誤検出は抑制される。
なお、第2実施形態では、前述の一対の凹部207は、請求項における容器側係合部に相当する。また、第2実施形態では、一対のカバー側係合部940は、請求項におけるカバー側係合部に相当する。以上説明した第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
C.第3実施形態:
図42は、第3実施形態のカートリッジ20aの斜視図である。図43は、第3実施形態のキャップ900bが装着されたカートリッジ20aの斜視図である。第3実施形態のカートリッジ20aは、第1実施形態のカートリッジ20よりもY軸方向の寸法が大きい。カートリッジ20aは、ホルダー60(図2,図3)の2つ分のスロットを用いてホルダー60に装着される。カートリッジ20aは、第1実施形態のカートリッジ20よりも多くの量のインクを収容できる。
図42に示すように、カートリッジ20aは、第1面201から突出する2つの液体供給部280aを有する。2つの液体供給部280aは、それぞれ第1実施形態の液体供給部280と同様の構成である。すなわち、第3実施形態のカートリッジ20aは、内部のインクが分岐して2つの液体供給部280aからプリンター50側にインクが供給される。
図43に示すように、カートリッジ20aには、2つの開口288を塞ぐ単一のキャップ900bが装着される。第3実施形態のキャップ900bは、第1実施形態のキャップ900よりもY軸方向の寸法が大きい。詳細には、第3実施形態の900bの底部901aは、第1実施形態の底部901よりもY軸方向の寸法が大きい。また、第3実施形態のキャップ900bの凸部930aは、第1実施形態のキャップ900の凸部930よりもY軸方向の寸法が大きい。第3実施形態のキャップ900bにおける他の構成は、第1実施形態のキャップ900と同じであるので説明を省略する。以上説明した第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
D.変形例:
D−1.第1変形例:
上記実施形態では、いわゆる半密閉タイプのカートリッジを例に説明を行ったが、他のタイプのカートリッジに本発明を適用して良い。例えば、液体収容部200が外部と常に連通しているタイプのインクカートリッジや、液体収容部200が常に密閉されているタイプのインクカートリッジ(いわゆるインクパック)にも本発明は適用可能である。
D−2.第2変形例:
上記実施形態では、キャップ900,900a,900bを用いて液体供給部280(開口288)を覆っていたが、キャップ900,900a,900bに代えて、シート状の部材(フィルム)を用いて液体供給部280を覆うこともできる。具体的には、合成樹脂(例えば、ナイロンとポリプロピレンを含む材料)により形成されたシート部材を、カートリッジ20,20aの第1面201と、第3面203と、第6面206と、第2面202とに巻きつけて、液体供給部280を覆うこともできる。すなわち、一般には、液体供給部280を覆い、かつ、第1面201に形成された壁部272と接し得る任意のカバーを、本発明のカバーとして採用することができる。
D−3.第3変形例:
上記実施形態では、蓋部材24において第3面203を形成する面には、溝を形成する凸部223と凹部224とがZ軸方向に交互に並んで形成されていると表現したが、単に凸部223が形成されている又は凹部224が形成されている、とも表現できる。凸部223が形成されていると表現する場合、第2側壁部903と、凸部223とで空間225が形成されていると表現することができる。また、凹部224が形成されていると表現する場合、第2側壁部903と、凹部224とで空間225が形成されていると表現することができる。
D−4.第4変形例:
上記実施形態では、キャップ900、900a、900bがカートリッジ20、20aに装着された状態において、第2側壁部903は、凸部223に接していたが、凸部223に接することに代えて、凸部223に接することなく凸部223が形成された領域を覆うだけでもよい。第2側壁部903が凸部223を覆うことで、第2側壁部903と凸部223との間に毛細管力が働き、インク(液体)を保持することができる。すなわち、第2側壁部903が、第2側壁部903と凸部223との間に液体を保持できる程度に凸部223を覆う構成を採用することができる。
また、上記第3変形例のように、蓋部材24において第3面203を形成する面に凸部223ではなく凹部224が形成されていると表現した場合、第2側壁部903が、凹部224が形成された領域を覆うだけでもよい。第2側壁部903が凹部224を覆うことで、第2側壁部903と凹部224との間に毛細管力が働き、インク(液体)を保持することができるからである。すなわち、第2側壁部903が、第2側壁部903と凹部224との間に液体を保持できる程度に凹部224を覆う構成を採用することができる。
D−5.第5変形例:
上記実施形態では、凸部223は、X軸方向に延設されていると表現したが、大気導入口290を通りZ軸に平行な仮想面に交差する方向、第4面から第5面に向かう方向、又は第5面から第4面に向かう方向、とも表現できる。第2側壁部903と蓋部材24との間に流入したインクが、空間225に保持され、インクが鉛直上下方向に流れることが抑制されればよいからである。
D−6.第6変形例:
上記実施形態では、大気導入口290は、キャップ900,900a,900bがカートリッジ20,20aに装着された場合及び装着されていない場合のいずれの場合においても、開放されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、大気導入口290に蓋部材を挿入して、大気導入口290を閉塞することができる。また、例えば、上記変形例1に記載したシート状部材をカートリッジ20,20aに巻きつけて大気導入口290を覆うこともできる。このような構成によれば、大気導入口290が覆われるので、大気導入口290からのインクの漏洩を抑制することができる。
なお、このような構成においては、前述の蓋部材やシート状部材を、キャップ900,900a,900bよりも先にカートリッジ20,20aから取り外すことが好ましい。蓋部材やシート状部材がキャップ900,900a,900bよりも先に取り外されると、大気導入口290が開放されるため、大気導入口290と連通する液体供給部280内の圧力が低下し、高圧の液体収容部200から液体供給部280内にインクが漏れ出すおそれがある。しかしながら、キャップ900,900a,900bはカートリッジ20,20aに装着されているので、液体供給部280内に漏れ出たインクが利用者やプリンター50に付着することを抑制できる。なお、カートリッジ20,20aに巻きつけたシート状部材が、キャップ900,900a,900bよりも先に取り外されることを実現するために、例えば、キャップ900,900a,900bがカートリッジ20,20aに装着された状態において、キャップ900,900a,900bの少なくとも一部を、シート状部材により覆う構成を採用できる。
D−7.第7変形例:
本発明は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を消費する任意の液体吐出装置及びそれらの液体吐出装置に用いられるカートリッジ(液体収容容器)にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置に用いられるカートリッジとして本発明は適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体消費ヘッドを備える液体噴射装置
なお、「液滴」とは、液体吐出装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体吐出装置が消費できるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
D−8.第8変形例:
上記実施形態や上記変形例では、カートリッジ20,20aとキャップ900,900a,900bとを別体であるものとして説明したが、キャップ900,900a,900bを含めてカートリッジ20,20aとみなすこともできる。すなわち、本発明のカバーが装着された液体収容容器を、液体収容容器とみなすこともできる。
D−9.第9変形例:
上記実施形態では、プリズムユニット270を用いて液体収容部200内のインクの有無を検出していたが、これに代えて、周知の検出用部材を用いてインク残量を光学的に検出することもできる。
D−10.第10変形例:
上記第1実施形態のキャップ900及び第3実施形態のキャップ900bにおいて、係合孔921を省略することもできる。この構成では、カートリッジ20,20aの第2係止部221が、キャップ900の内側に当接することとなる。この構成においても、一対の天面爪部910a,910bと、一対の側面爪部920a,920bとにより、キャップ900とカートリッジ20、並びにキャップ900bとカートリッジ20aをそれぞれ確実に係合することができる。同様に、第2実施形態のキャップ900aにおいて、一対のカバー側係合部940を省略することもできる。この構成では、カートリッジ20がキャップ900aに装着された際に、カートリッジ20の凹部207には何も挿入されないこととなる。この構成においても、一対の天面爪部910a,910bと、一対の側面爪部920a,920bとにより、キャップ900aとカートリッジ20を確実に係合することができる。
D−11.第11変形例:
上記実施形態では、大気導入口290は、第3面203に形成されていたが、第3面203に代えて、第2面202、第5面205、第4面204のいずれかの面に形成することもできる。
D−12.第12変形例:
上記実施形態では、インクが収容されている部位は、カートリッジ20,20a内の液体収容部200であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジ20,20aが液体収容部200を備えず、カートリッジ20,20aに装着可能なインク供給ユニット内に液体収容部を設ける構成とすることもできる。この構成においては、インク供給ユニット内の液体収容部と液体供給部280とを連通させて、液体収容部から液体供給部280にインクを供給させることができる。
なお、上記実施形態及び変形例において、当接、接触、接する等との表現は、一方が他方に当接、接触、接している状態のみを表すのではなく、一方が他方に接触することなく単に覆う状態も含む広い概念を表す。すなわち、封止、当接することにより実現できる機能、具体的には、液体が飛散する可能性を低減する等の機能を少なからず発揮できうる状態を含む概念を表す。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。