次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A〜H.各種実施形態:
I.変形例:
A.第1実施形態:
A−1:液体噴射システムの構成:
図1は、液体噴射システム10の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。図1のXYZ軸は他の図のXYZ軸にも対応している。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸を付している。液体噴射システム10は、液体収容容器としてのカートリッジ20と、液体吐出装置としてのプリンター50とを備える。液体噴射システム10では、プリンター50のホルダー60に、利用者によってカートリッジ20が着脱可能に装着される。
カートリッジ20は、内部にインクを収容する。カートリッジ20に収容されたインクは、後述する液体供給部及び液体供給管を介してヘッド54に供給される。本実施形態では、プリンター50のホルダー60には、複数のカートリッジ20が着脱可能に装着される。本実施形態では、6色(ブラック、イエロー、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアンおよびライトシアン)のインクに対応して6種類のカートリッジ20が1つずつ、すなわち合計6つのカートリッジ20がホルダー60に装着される。なお、ホルダー60に装着されるカートリッジ20の数は、6つに限定されるものではない。
プリンター50は、個人向けの小型インクジェットプリンターである。プリンター50は、ホルダー60の他、制御部51と、ホルダー60を有するキャリッジ52と、を備える。キャリッジ52はヘッド54を備える。プリンター50は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20から後述する液体供給管を介してヘッド54にインクを流通させる。ヘッド54は、圧電素子等の吐出機構を備え、紙やラベルなどの印刷媒体90に対してインクを吐出(供給)する。これにより、印刷媒体90に文字、図形および画像などのデータが印刷される。
制御部51は、プリンター50の各部を制御する。プリンター50のキャリッジ52は、ヘッド54を印刷媒体90に対して相対的に移動可能に構成されている。制御部51とキャリッジ52との間はフレキシブルケーブル53を介して電気的に接続されており、ヘッド54の吐出機構は、制御部51からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、キャリッジ52には、ヘッド54と共にホルダー60が構成されている。このように、ヘッド54を移動させるキャリッジ52上のホルダー60にカートリッジ20が装着されるプリンター50のタイプは、「オンキャリッジタイプ」とも呼ばれる。他の実施形態では、キャリッジ52とは異なる部位に、不動のホルダー60を構成し、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からインクをチューブを介してヘッド54に供給しても良い。このようなプリンターのタイプは、「オフキャリッジタイプ」とも呼ばれる。
本実施形態では、プリンター50は、キャリッジ52と印刷媒体90とを相対的に移動させて印刷媒体90に対する印刷を実現するための主走査送り機構および副走査送り機構を備える。プリンター50の主走査送り機構は、キャリッジモーター55および駆動ベルト58を備える。駆動ベルト58を介してキャリッジモーター55の動力をキャリッジ52に伝達することによって、キャリッジ52を主走査方向に往復移動させる。プリンター50の副走査送り機構は、搬送モーター56およびプラテン59を備える。搬送モーター56の動力がプラテン59に伝達されることによって、主走査方向に直交する副走査方向に印刷媒体90を搬送する。
プリンター50の印刷領域外の位置には、カートリッジ20内のインクの残量を光学的に検出するための検出部57が設けられている。検出部57の内部には、発光部および受光部が設けられている。制御部51は、キャリッジ52の移動に伴ってカートリッジ20が検出部57の上方を通過する際に検出部57の発光部を用いて光を発し、その光を検出部57の受光部が受けるか否か又は受光量によってカートリッジ20内のインク残量状態(詳細にはインクの有無)を検出する。
本実施形態では、液体噴射システム10の使用状態(「使用姿勢」ともいう。)において、印刷媒体90を搬送する副走査方向(前後方向)に沿った軸をX軸とし、キャリッジ52を往復移動させる主走査方向(左右方向)に沿った軸をY軸とし、重力方向(上下方向)に沿った軸をZ軸とする。なお、液体噴射システム10の使用状態とは、水平な面に設置された液体噴射システム10の状態であり、本実施形態では、水平な面はX軸およびY軸に平行な面(XY平面)である。
本実施形態では、副走査方向(前方向)を+X軸方向、その逆方向(後方向)を−X軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かう方向(上方向)を+Z軸方向、その逆方向(下方向)を−Z軸方向とする。本実施形態では、液体噴射システム10の右側面から左側面に向かう方向を+Y軸方向(左方向)、その逆方向を−Y軸方向(右方向)とする。本実施形態では、ホルダー60に装着された複数のカートリッジ20の配列方向はY軸に沿った方向(左右方向,「単に「Y軸方向」とも呼ぶ。)である。なお、X軸に沿った方向(前後方向)を「X軸方向」とも呼び、Z軸に沿った方向(上下方向)を「Z軸方向」とも呼ぶ。
A−2.ホルダー60の構成:
図2は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す第1の斜視図である。図3は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す第2の斜視図である。ホルダー60は、5つの壁部601,603,604,605,606を有する。壁部601の周縁部から+Z軸方向に4つの壁部603,604,605,606が延びることで、凹部が形成される。この凹部が、カートリッジ20を収容するカートリッジ収容室602(「カートリッジ装着部602」とも呼ぶ)となる。また、カートリッジ収容室602は、仕切り壁607によって、各カートリッジ20を受け入れ可能な複数のスロット(装着空間)に分割されている。このような仕切り壁607は、スロットにカートリッジ20を挿入する際のガイドとして機能するが、省略することも可能である。また、検出部57を利用して光学的にインク残量状態を検出するために、壁部601には光が通過可能なように貫通孔636が形成されている。
ホルダー60はスロット毎に、液体供給管640と、レバー64と、接点機構62と、係止孔620とを備える。各スロットの一側面(+Z軸方向側面;上面)は開口しており、この開口した一側面(上面)を介して、カートリッジ20がホルダー60に着脱される。
液体供給管640は、カートリッジ20のインクをヘッド54に流通させるための流路を形成する。液体供給管640は、カートリッジ20がプリンター50に装着された状態(装着状態)において、カートリッジ20の液体供給部に接続される。液体供給管640の周囲には、弾性部材648が設けられている。弾性部材648は、装着状態においてカートリッジ20の液体供給部の周囲を密閉する。これにより、カートリッジ20の液体供給部から周囲にインクが漏れ出すことを防止する。
レバー64は、カートリッジ20の着脱の際に利用される。また、レバー64は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態(装着状態)において、カートリッジ20を係止する。
接点機構62は、装着状態においてカートリッジ20の後述する回路基板と電気的に接続される。また、接点機構62は、制御部51と電気的に接続されている。これにより、カートリッジ20とプリンター50との間で各種情報(カートリッジ20のインク色やインク残量状態)の伝達が行なわれる。
係止孔620は、壁部604を厚さ方向に貫通する貫通孔である。係止孔620は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、後述するカートリッジ20の第2係止部が挿入される。
A−3.カートリッジ20の外観構成:
図4は、カートリッジ20の第1の外観斜視図である。図5は、カートリッジ20の第2の外観斜視図である。図6は、カートリッジ20の正面図である。図7は、カートリッジ20の背面図である。図8は、カートリッジ20の左側面図である。図9は、カートリッジ20の右側面図である。図10は、カートリッジ20の平面図である。図11は、カートリッジ20の底面図である。本実施形態のカートリッジ20は、インクの消費に伴って間欠的に外部の空気を液体収容部200に導入する、いわゆる半密閉タイプのカートリッジ20である。なお、カートリッジ20の内部構成については後述する。
図4に示すように、カートリッジ20は、内部にインクを収容するための液体収容部200と、液体収容部200のインクを外部のプリンター50に流通させるための液体供給部280と、を備える。
図4〜図11に示すように、カートリッジ20は略直方体形状の外観を有する。カートリッジ20は、6つの面(壁)201〜206を備える。6つの面201〜206は、カートリッジ20の外表面(外殻)を構成する。6つの面は、第1面201と、第2面202と、第3面203と、第4面204と、第5面205と、第6面206とからなる。各面201〜206は、概ね平面である。概ね平面とは、面全域が完全に平坦である場合と、面の一部に凹凸を有する場合を含む。つまり、面の一部に多少の凹凸があっても、カートリッジ20の外殻を構成する面や壁が把握できるような場合を含む。第1面〜第6面201〜206の平面視における外形は、いずれも長方形である。
第1面201と第2面202とは互いに対向する。第6面206と第5面205とは互いに対向する。第3面203と第4面204とは互いに対向する。ここで、第1面201と第2面202とが対向する方向がZ軸方向(第1の方向に沿った方向)である。第6面206と第5面205とが対向する方向がX軸方向である。第3面203と第4面204とが対向する方向がY方向である。本実施形態において、カートリッジ20をプリンター50へ装着した状態では、第1面201が底面を構成する。ここで、図11に示すように、第1面201のうち第6面206側の端部(辺)を第1端部201tとも呼ぶ。また、第1面201のうち第5面205側の端部(辺)を第2端部201sとも呼ぶ。また、カートリッジ20をプリンター50へ装着した状態では、−Z軸方向(第1の方向)が鉛直下方向となる。
第6面206は第1面201と交わる。第5面205は第1面201と交わる。第2面202は、第5面205と第6面206に交わる。第3面203は、第1面201、第2面202、第5面205及び第6面206と交わる。第4面204は、第1面201、第2面202、第5面205及び第6面206と交わる。ここで、2つの面が「交わる」とは、2つの面が相互に交差し実際に交わる状態と、一方の面の仮想の延長面が他方の面に交わる状態と、相互の仮想の延長面が交わる状態と、のいずれかの状態であることを意味する。
図4や図5に示すように、液体供給部280は、第1面201から突出して設けられている。詳細には、液体供給部280は、第1面201から−Z軸方向(第1の方向)に沿って延びる。液体供給部280は、プリンター50に接続される。図5に示すように、液体供給部280は、一端部37bが液体連通口277を有することで液体収容部200と連通し、他端部37aが開口を形成する。ここで、一端部37bに対して他端部37aは−Z軸方向側(第1の方向側)に位置する。また、液体供給部280は、第1の方向に沿った方向(Z軸方向)にインクを流通させる流路を有する。上述した液体供給部280を別の視点で以下に述べる。すなわち、液体供給部280は、カートリッジ20を構成する部材(第1面)から外方に突出する。また、液体供給部280の一端である他端部37aに開口288を有する。液体供給部280の突出方向は、−Z軸方向である。開口288を通ってプリンター50の液体供給管640が液体供給部280内に挿入される。図4に示すように、第3面203にはカートリッジ20の内部に空気を導入するための大気導入口290が形成されている。
図5及び図11に示すように、液体供給部280内には、プリンター50の液体供給管640に向かってインクが流通する液体流出部31と、液体供給部280内と外部とを連通させるための開口としての連通口32が形成されている。すなわち、連通口32は、液体供給部280の外部と内部とを繋ぐための開口である。液体流出部31はインクを保持可能に構成されている。装着状態では、液体供給管640(図2,図3)が液体供給口としての開口288から液体供給部280内に挿入されて、液体供給部280から液体供給管640へのインクの流通が可能となる。ここで、カートリッジ20がプリンター50の使用に供される前の未使用状態では、液体収容部200内から液体流出部31までの流路はインクで満たされている。また、カートリッジ20は、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路を有する。この連通路の一端は連通口32であり、他端は第3面203に形成された大気導入口290(図4)である。なお、この連通路の詳細は後述する。液体流出部31は、装着状態において、ヘッド54にインクを流通させる液体供給管640と接触する。
図5及び図11に示すように、第1面201には、プリズムユニット270が第1面201の一部を形成するように配置されている。プリズムユニット270は、いわゆる直角プリズムを備えている。プリズムユニット270の直角プリズムは、液体収容部200内に位置する。図5〜図7及び図11に示すように、プリズムユニット270は、第1面201の一部を形成する透過部としての透過面275と、略直角に交わる2つの表面(反射面)271(図6)とを備える。透過面275は、検出部57(図1)から射出された光が透過する。また、透過面275は、表面271によって反射し検出部57に向かう光が透過する。図11に示すように、透過面275は、第1面201のうち第2端部201sよりも第1端部201tに近い側に配置されている。一方で、液体供給部280は、第1面201のうち第1端部201tよりも第2端部201sに近い側に配置されている。詳細には、透過面275と液体供給部280とをできるだけ遠ざけるために、透過面275は第1端部201tに近接し、液体供給部280は第2端部201sに近接している。
また、図5や図11に示すように、第1面201において、液体供給部280とプリズムユニット270との間には、凹凸の外観形状を有する容器側第1係合部330が形成されている。容器側第1係合部330は、一対の第1容器係止部331と容器受入部333とから構成されている。
第1容器係止部331は、第6面206側が開口し、第6面206から第5面205に向かう方向に沿って形成された凹部である。一対の第1容器係止部331は、Y軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。容器受入部333は、一対の第1容器係止部331の間の空間として形成されている。図11に示すように、容器受入部333は、平面CXと交わる。平面CXは、液体供給部280の開口288のY軸方向(幅方向)の中心Cを通り、かつ、X軸とZ軸に平行な面(第3面203又は第4面204に平行な面)である。換言すると、平面CXは、中心Cを通り、かつ、第6面206から第5面205に向かう方向に平行な平面(仮想平面)である。
一対の第1容器係止部331や容器受入部333は、開口288を塞ぐためのキャップがカートリッジ20に取り付けられる場合には、キャップを開口288に対して位置決めするために用いられる。この詳細は後述する。また、図4や図11に示すように、第1面201には、第5面205と交わる端部寄りに、第1面201から第5面205に向かって傾斜する傾斜部214が形成されている。また、図5及び図11に示すように、第1面201には、凹部217が形成されている。凹部217は、第1面201から第2面202に向かう方向に形成された窪みであり、いわゆる肉盗みとして機能する。カートリッジ20の外殻(後述する本体部材22)の厚さが大きいと、部材内における気泡(ボイド)の発生や、部材が撓むおそれがある。そこで、カートリッジ20では、肉盗みを形成して本体部材22の厚さを部分的に小さく(薄く)することにより、上述した気泡の発生及び撓みの発生を抑制するようにしている。
図5に示すように、第6面206には、突起状の第1係止部210が形成されている。第1係止部210は、装着状態においてレバー64に係止される。また、図5,図6,図7,及び図9に示すように、第6面206において、第2面202との交差端部には、+Z軸方向に突出した突出部211が設けられている。突出部211は、カートリッジ20をホルダー60からとりはずす際に、ユーザーが摘む部分として機能する。図4に示すように、第5面205には、突起状の第2係止部221が形成されている。装着状態において、第2係止部221は、図2に示す係止孔620に挿入され係止される。
図4及び図8に示すように、第5面205において、第1面201の端部に近接した位置には、凹凸の外観形状を有する容器側第2係合部212が形成されている。容器側第2係合部212は、一対の凹部207と凸部213とから構成されている。凹部207は、第5面205側が開口し、第5面205から第6面206に向かう方向に沿って形成された溝として形成されている。一対の凹部207は、Y軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。凸部213は、一対の凹部207の間において、第6面206から第5面205に向かう方向に沿って形成された壁として構成されている。図8に示すように、凸部213は、前述の平面CXと交わる。一対の凹部207及び凸部213は、第5面205開口288を塞ぐためのキャップがカートリッジ20に取り付けられる場合には、キャップをカートリッジ20に取り付けるために用いられる。この詳細は後述する。
図5に示すように、第1面201と第6面206とを繋ぐ接続面208には、回路基板15が設けられている。回路基板15の表面には、装着状態において、接点機構62と接触する複数の端子が形成されている。また、回路基板15の裏面にはカートリッジ20の各種情報(インク残量状態、インク色等)を記憶する記憶装置が設けられている。
図5及び図7に示すように、第4面204において、第6面206よりも第5面205に近い周縁領域には、肉盗み216が形成されている。肉盗み216は、第4面204から第3面203に向かう方向に形成された凹状の部位(凹部)である。肉盗み216は、前述の凹部217と同様の機能を有する。
A−4.カートリッジ20の内部構成:
図12は、カートリッジ20の分解斜視図である。図13は、本体部材22の正面図である。なお、図13には、プリズムユニット270の表面271を破線で図示している。また、図13には、液体収容部200のインクが液体供給部280を通って外部へ流通する様子を矢印で示している。図12に示すようにカートリッジ20は、本体部材22と、蓋部材24とを備える。本体部材22と蓋部材24とは、カートリッジ20の外表面(外殻)を形成する。また、カートリッジ20は、弁機構40と、付勢部材としてのコイルばね294と、受圧板293と、シート部材(フィルム部材)291と、を備える。
本体部材22と蓋部材24とは、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。また、シート部材291は、合成樹脂(例えば、ナイロンとポリプロピレンを含む材料)により形成され、可撓性を有する。すなわち、シート部材291は、外力により変形可能に構成される。
シート部材291には、通気口292が形成されている。これにより、カートリッジ20は、大気導入口290、通気口292、貫通孔47(後述)を通って液体収容部200に空気を液体収容部200に取り込むことができる。
本体部材22は、液体収容部200と液体供給部280とを形成するための部材である。本体部材22は、凹状形状であり一側面が開口している。本体部材22の一側面の開口を覆うようにシート部材291が本体部材22に貼り付けられる。詳細には、図13に示すように、本体部材22の開口を形成する端面22tや、液体収容部200内のリブの端面22pにシート部材291が気密に貼り付けられる。これにより、インクを収容するための液体収容部200が形成される。すなわち、液体収容部200は、内部空間を区画する壁部の一部が変形可能なシート部材291で形成されている。これにより、液体収容部200は容積を変化できる。なお、図13では、理解の容易のために、シート部材291が貼り付けられる部分をクロスハッチングで示し、液体収容部200が形成される部分をシングルハッチングで示している。
また、図13に示すように、本体部材22の+Y軸方向側の端面のうち、シート部材291が貼り付けられる領域よりも外側の領域には熱溶着等により蓋部材24が取り付けられる。そして、本体部材22のうち、液体収容部200が形成される領域よりも外側には、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路の一部である第1連通室242が形成されている。
シート部材291と蓋部材24との間には空間が形成される。この空間は、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路の一部を形成する。
受圧板293は、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。受圧板293は、シート部材291に接触して配置されている。コイルばね294は、液体収容部200内に配置される。詳細には、受圧板293と、本体部材22の面のうち受圧板293と対向する面(対向面)に当接する。コイルばね294は、液体収容部200の容積を拡大する方向に受圧板293を付勢する。コイルばね294は、Y軸方向に沿って伸縮(移動)する。
弁機構40は、液体収容部200のインクの消費に伴って間欠的に液体収容部200に空気を導入するための機構である。図12に示すように、弁機構40は、バネ部材42と、レバーバルブ44と、カバーバルブ46とを備える。カバーバルブ46は、本体部材22のうち、第5面205と第2面202とが交わるコーナー部分209(図13)に収容され、本体部材22に取り付けられる。カバーバルブ46は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂により形成される。カバーバルブ46は凹状形状であり、開口を形成する端面41にはシート部材291が気密に貼り付けられている。カバーバルブ46の凹部は、通気口292と連通している。また、カバーバルブ46の凹部の底部にはカバーバルブ46の裏側まで貫通した貫通孔47が形成されている。
レバーバルブ44は、バネ部材42によってカバーバルブ46に押し付けられ、貫通孔47を塞いでいる。レバーバルブ44は、受圧板293が変位することで当接する部分を有する。レバーバルブ44は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成しても良い。また、レバーバルブ44は、エラストマー等の弾性部材とポリプロピレン等の合成樹脂を用いて2色成型により形成しても良い。
液体供給部280は、液体収容部200と連通している。図12に示すように、液体供給部280は、内部に供給用部材30を備える。供給用部材30は、押圧部材35とフォーム(多孔質部材)34とシート部材(フィルター部材)36とを備える。液体供給部280の一端部37bから他端部37aに向かう順に、押圧部材35とフォーム34とシート部材36が配置されている。押圧部材35は、例えば、金属により形成されている。押圧部材35は、バネ部35aを有し、かかるバネ部35aを利用してフォーム34を下方(−Z軸方向)に付勢(押圧)する。フォーム34やシート部材36は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂により形成されている。シート部材36は、装着状態では液体供給管640(図2)に接触し、インクをプリンター50側へ流通させる。すなわち、シート部材36は、液体流出部31を形成する。
A−5.連通路及びカートリッジ20の動作:
図14は、カートリッジ20の動作を説明するための第1の図である。図15は、カートリッジ20の動作を説明するための第2の図である。図16は、カートリッジ20の動作を説明するための第3の図である。なお、図14〜図16は、カートリッジ20の内部の状態を理解しやすいように説明するための模式図である。
カートリッジ20の動作説明の前に、液体供給部280内と外部とを連通させる連通路310について説明する。連通路310は、一端部が連通口32であり、他端部が大気導入口290である。連通路310は、連通口32から大気導入口290に向かう流体の流れ方向において、途中に一端側流路33、第1連通室242、空気室220と、を順に備える。一端側流路33は、液体供給部280内に形成された流路である。空気室220は、蓋部材24とシート部材291との間の空間である。
このように、カートリッジ20は、連通路310を備えることで液体供給部280内(詳細には、液体供給部280のうち開口288を含む空気が存在する部分)の圧力が外部の圧力と極端に異なることを抑制できる。
例えば、カートリッジ20をプリンター50に装着する際(装着動作時)には、ホルダー60の弾性部材648(図2)が液体供給部280の開口288の周囲を密閉する。ここで、開口288の周囲を密閉する際には、弾性部材648の一部が液体供給部280内に食い込むことで、液体供給部280内の容積が減少し液体供給部280内の圧力が上昇する。一般に、液体収容部200から液体流出部31までの流路は、液体流出部31から外部にインクが漏れ出さないようにするために流路抵抗が高い部分が存在する。本実施形態では、例えば、液体のメニスカスを形成し、液体を保持可能なシート部材36や、フォーム34によって流路抵抗が高くなっている。よって、開口288の周囲が密閉され、液体供給部280内の容積が減少した直後の状態では、減少した分の空気は液体収容部200には十分に流通しない。しかしながら、連通路310によって減少した分の空気を外部に逃がすことができ、外部と液体供給部280内の圧力を略一定に維持できる。
仮に、カートリッジ20に連通路310が設けられていない場合は、例えば液体供給部280内の圧縮された空気が、カートリッジ20の装着後に徐々に液体収容部200に流入する。これにより、液体収容部200内に予期しない空気が侵入し、液体収容部200内を適切な圧力範囲に維持できない虞が生じる。また、例えば、液体供給部280内の上昇した圧力と、液体収容部200内の圧力が均衡するまで液体供給部280内の空気が液体収容部200に流入すると、液体収容部200内の圧力は空気が流入する前の状態に比べ上昇する。この状態で利用者がカートリッジ20をホルダー60から取り外した場合、液体供給部280内の圧力は大気圧になる。すなわち、液体供給部280内の圧力は低下し、圧力が高い液体収容部200から供給用部材30を介して外部にインクが漏れ出すことになる。
また、例えば、カートリッジ20の未使用状態では、インクが外部に漏れ出すことを抑制するために、開口288を塞ぐためのカバー(フィルムやキャップ)が開口288に取り付けられる場合がある。また、カートリッジ20の未使用状態では、カートリッジ20は大気圧よりも低い圧力に減圧された包装パックの中に収容される場合がある。カバーが取り付けられた状態で、包装パックにカートリッジ20を収容し包装パック内を減圧すると、空気室220も減圧される。すると、液体収容部200内の負圧の絶対値が大きくなる(すなわち、より負圧になる)。一方で、液体供給部280内は外部との気体の流通が抑制された空間であるため、減圧パック直後は大気圧を維持する。これにより、液体供給部280内と液体収容部200の圧力に不均衡が生じ、次第に液体供給部280内から液体収容部200内に空気が流入する。また、減圧パックからカートリッジ20を取り出すと、空気室220が大気圧に戻り、液体収容部200内の負圧の絶対値も小さくなる(元の設定された負圧となる)。一方、液体供給部280内は減圧された状態を維持し、これにより液体収容部200から液体供給部280側へとインクが漏れ出す虞がある。
次に、カートリッジ20の動作について説明する。図14に示すように、レバーバルブ44は、貫通孔47を塞ぐための弁部43と、弁部43の開閉を行うためのレバー部49とを備える。カートリッジ20の未使用状態(新品の状態)では、液体収容部200はインクで満たされている。この状態では、レバーバルブ44の弁部43がバネ部材42に付勢されて貫通孔47を塞いでいる。また、コイルばね294は、液体収容部200の容積を拡大する方向(+Y軸方向)に受圧板293を付勢する。これにより、液体収容部200内の圧力は大気圧よりも低い圧力(負圧)に維持される。
図15に示すように、液体収容部200のインクが消費され、受圧板293が第4面204側に近づくと、受圧板293がレバー部49を第4面204側に押す。これにより、弁部43が貫通孔47から離れ、外部の空気と液体収容部200とが一時的に連通する。すなわち、レバーバルブ44が開弁状態となる。そして、外部の空気が大気導入口290、空気室220、通気口292、貫通孔47を通って液体収容部200に流入する。これにより、図16に示すように空気が導入された分だけ液体収容部200の容積が大きくなる。同時に、液体収容部200内の負圧は少し小さくなる(大気圧に近づく)。そして、図16に示すように、液体収容部200にある程度の空気が導入されると、受圧板293がレバー部49から離れる。これにより、弁部43が再び貫通孔47を塞ぐ。すなわち、レバーバルブ44が閉弁状態となる。このように、液体収容部200のインクの消費に伴って、液体収容部200内の負圧が大きくなると一次的にレバーバルブ44が開弁状態になることで液体収容部200内の圧力を適切な圧力範囲に維持することが可能となる。
A−6.キャップの構成:
図17は、キャップが装着されたカートリッジ20の斜視図である。なお、図17のカートリッジ20は、ホルダー60から取り外された状態を示す。カートリッジ20がホルダー60から取り外された状態において、キャップ70は、液体供給部280の開口288を覆うように着脱自在にカートリッジ20に取り付けられている。なお、キャップ70は、カートリッジ20がホルダー60に装着される前に、カートリッジ20から取り外される。キャップ70は、開口288を覆うためのキャップ本体74と、キャップ70をカートリッジ20から取り外すために用いられるレバーとしてのキャップレバー72とを備える。カートリッジ20をホルダー60に装着する際には、キャップレバー72を利用者が摘まんでカートリッジ20から取り外す。図17に示すように、キャップレバー72は、カートリッジ20の外表面よりも外側に突出する。詳細には、キャップレバー72は、第5面205よりも外側(−X軸方向側)に突出する。ここで、キャップレバー72と連通口32とは、液体流出部31に対して同じ側(−X軸方向側)に位置する。なお、本実施形態では、キャップレバー72を省略することもできる。
図18は、キャップ70の第1の斜視図である。図19は、キャップ70の第2の斜視図である。図20は、キャップ70が装着されたカートリッジ20の部分断面図である。なお、図20は、図10のF9−F9断面の一部を表している。
図18及び図19に示すように、キャップ本体74は凹形状の土台部75と、土台部75の底部に配置され、カートリッジ20の他端部37aと密着し開口288を覆うための第1キャップ部材79とを備える。第1キャップ部材79は、エラストマー等によって形成され弾性を有する。また、土台部75とキャップレバー72とは、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。
土台部75は、第1係合部84を備えている。第1係合部84は、土台部75において、キャップレバー72と接続する側とは反対側(+X軸方向側)の端部に配置されている。第1係合部84は、挿入片71aと、挿入片71aを挟んでY軸方向に間隔を開けて配置された一対の第1突起部71bとにより構成されている。第1突起部71bは、土台部75の内側に向かって(換言すると、キャップレバー72に向かう方向に)突出した部位を有する。挿入片71aは、一対の第1突起部71bの間に配置されている。挿入片71aは、一対の第1突起部71bと同様に、土台部75の内側に向かって(換言すると、キャップレバー72に向かう方向に)突出した部位を有する。一対の第1突起部71bは、第1容器係止部331に係止される。詳細には、一対の第1突起部71bの一部は、キャップ70がカートリッジ20に装着された場合に、カートリッジ20の第1容器係止部331に挿入され、第1突起部71bは、第1容器係止部331に係止される。これにより、キャップ70のカートリッジ20に対するX軸方向(カートリッジ20の第1面201の長手方向)の位置決めが行なわれる。詳細には、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、キャップ70がカートリッジ20に対して−X軸方向に動こうとすると、第1容器係止部331が第1突起部71bに当たり−X軸方向の動きが規制される。なお、挿入片71aは、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、前述の平面CX(図8,図11)と交わる。
挿入片71aは、容器受入部333に受け入れられることで、キャップ70のカートリッジ20に対するY軸方向(カートリッジ20の第1面201の短手方向)の位置決めが行なわれる。詳細には、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、キャップ70がカートリッジ20に対してY軸方向に動こうとすると、容器受入部333(詳細には、一対の第1容器係止部331によって形成された面)に当たりY軸方向の動きが規制される。
ここで、挿入片71aは、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、一対の第1突起部71bに比べて、第6面206から第5面205に向かう方向(−X軸方向)に沿って、より長く突出するように形成されている。これにより、キャップ70がカートリッジ20に装着される際に、先ず、第1係合部84のうちの挿入片71aをカートリッジ20の容器側第1係合部330(容器受入部333)に係合させて、位置決めを行うことができる。したがって、その後、挿入片71aよりも−X軸方向に短い2つの第1突起部71bをカートリッジ20の容器側第1係合部330(第1容器係止部331)に係合させる際に、容易に係合させることができる。
キャップレバー72は、X軸方向と+Z軸方向との間の所定の方向に沿って斜めに延びる接続部73と、接続部73と繋がり+Z方向に延設された立位部850と、立位部850と繋がりX軸方向と+Z軸方向との間の所定の方向に沿って斜めに延びる操作部852とを備えている。上述した「斜めに延びる」とは、換言すると、土台部75(後述する受入部76)に対して所定の角度で傾斜して配置されていることを意味する。接続部73は、土台部75において、挿入片71a及び一対の第1突起部71bが形成された側とは反対側(−X軸方向側)に接続されている。操作部852は、キャップ70をカートリッジ20から取り外す際に、ユーザーが指で摘むための突起として機能する。
立位部850は、接続部73及び操作部852と繋がる薄板状の部位であり、+Z軸方向に突出するように配置されている。この立位部850は、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の第5面205に対向する。立位部850の+Z軸方向の端部寄りには、第2係合部85が形成されている。第2係合部85は、位置決め部71dと、位置決め部71dを挟んでY軸方向に間隔を開けて配置された一対の第2突起部71cとを備えている。位置決め部71dは、一対の第2突起部71cの間に形成された凹部として構成されている。一対の第2突起部71cは、それぞれ+X軸方向に突出した凸状の外観形状を有しており、互いに位置決め部71dのY軸方向の長さだけ間隔を開けて配置されている。キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、一対の第2突起部71cはカートリッジ20の第5面205に設けられた対応する凹部207に挿入される。また、位置決め部71dには、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の第5面205に設けられた凸部213が挿入される。これにより、第2配置部材79tがカートリッジ20の開口288を形成する他端部37aに気密に当接し、開口288が封止される(キャッピングされる)。位置決め部71dは、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、前述の平面CXと交わる。
図20に示すように、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、接続部73は、傾斜部214に沿って傾斜して配置されている。一般に、傾斜部214のように、面と面(第1面201と第5面205)との境界(角)に当たる部分は脆弱となり易い。そこで、接続部73は、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、傾斜部214に沿って配置されるように予め傾斜して構成されている。これにより、傾斜部214は、接続部73によって補強される。また、接続部73は、傾斜部214に沿って配置されるように予め傾斜して構成されているので、キャップ70がカートリッジ20に装着される際の位置決めに利用され得る。より詳細には、キャップ70がカートリッジ20に装着される際に、接続部73が傾斜部214に当接することで、キャップ70の+X軸方向へのずれが規制される。このため、キャップ70がカートリッジ20に対してずれることなく装着され得るので、液体流出部31から流出したインクがキャップ70の外部へと漏れ出ることを抑制できる。
図18〜図20に示すように、第1キャップ部材79は、封止部762と、受入部76とを有する。封止部762は、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、連通口32を覆う。受入部76は、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、液体流出部31(シート部材36)を受け入れる。受入部76は凹形状である。
第1キャップ部材79は、さらに、封止部762と受入部76との間に位置する第2段差部としてのキャップ段差部766を有する。キャップ段差部766は、受入部76の周縁部764によって形成されている。キャップ段差部766は凸部766aを備える。凸部766aは、受入部76の底部765や封止部762よりも一端部37b側(+Z軸方向側)に延びる。
図20に示すように、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、受入部76はシート中央部368の少なくとも一部と接触する。また、周縁部764は、液体流出部31の傾斜部368tが傾斜する方向に沿って傾斜する対向部766bを有する。対向部766bは、周縁部764の周方向に亘って形成されている。言い換えれば、対向部766bは、受入部76の底部765の周縁から立設する部分である。ここで、傾斜部368tと対向部766bとは第1の方向(−Z軸方向)に対して同じ傾斜角度である必要はなく、同じ向きに傾斜していれば良い。本実施形態では、傾斜部368tと対向部766bとは、互いに対向する面は略平行である。
なお、図20に示すように、第1キャップ部材79は、受入部76や封止部762を形成する第1配置部材79sと、他端部37aに当接する第2配置部材79tとを備える。
上述したキャップ70は、請求項におけるカバーおよびキャップに相当する。また、挿入片71aは請求項における位置決め部に、第1容器係止部331は請求項における容器側係止部に、第1突起部71bは請求項における凸部に、容器側第1係合部330は請求項における容器側係合部に、第2係止部221は請求項における係止部に、それぞれ相当する。
A−7.効果:
上記第1実施形態では、キャップ70は、カートリッジ20に装着された状態において、カートリッジ20の開口288を覆う。これにより、カートリッジ20の運搬時等に開口288からインクが漏れ出す可能性を低減できる。また、連通口32とキャップレバー72とは、液体流出部31に対して同じ側に位置する。これにより、キャップレバー72が下側となる状態で利用者がカートリッジ20を所定面に置こうとしても、姿勢が安定しない。よって、キャップレバー72が下側となる状態でカートリッジ20が所定面に置かれることを防止できる。これにより、液体流出部31からインクが漏れ出した場合でも、漏れ出したインクが連通口32に到達する可能性を低減できる。また、キャップ70は封止部762を有する。これにより、インクが連通口32を介して連通路310に流入する可能性を低減できる。
また、キャップ70は、キャップ段差部766を有する。これにより、キャップ段差部によってインクの流通を阻害できるため、受入部76を伝って封止部762にインクが到達する可能性を低減できる。ここで、キャップ段差部766は、受入部76の周縁部764によって形成されている。これにより、別途に段差を設けるための部材を設ける必要がない。また、受入部76を凹形状とし、受入部76の外側に封止部762を配置することで、周縁部764によって容易にキャップ段差部766を形成できる。
また、キャップ70の対向部766bは、液体流出部31の傾斜部368tが傾斜する方向に沿って傾斜している。これにより、液体供給部280とキャップ70によって形成される空気を収容する内部室Spの容積を小さくできる。これにより、キャップ70をカートリッジ20に取り付ける際に、内部室Spが圧縮され内部室Spの空気が液体収容部200に逆流した場合でも、液体流出部31を介して液体収容部200に流入する空気の量を制限できる。ここで内部室Spとは、液体供給部280とキャップ70とによって形成された空間のうち、液体流出部31よりも開口288側(下流側)に位置する空間である。また、ここで上流側と下流側は、液体供給部280の一端部37bから他端部37aへと流れる流体の流れ方向を基準にしている。
また、受入部76は、シート中央部368の少なくとも一部と接触することから、空気が存在する内部室Spの容積をさらに小さくできる。これにより、内部室Spから液体流出部31を介して液体収容部200に流入する空気の量をさらに制限できる。
また、キャップ70は、傾斜部368tが傾斜する方向に対応して傾斜する対向部766bを有する(図20)。この対向部766bは、受入部76の周縁部(キャップ段差部766)によって形成されている。対向部766bを有することで、液体流出部31から漏れ出したインクが、キャップ70の外側に流出する可能性を低減できる。言い換えれば、キャップ70は、液体流出部31と対向する面の周縁から、液体流出部側(+Z軸方向側)に立設する部分766を有する。これにより、液体流出部31から漏れ出したインクが、キャップ70のうち、液体流出部31と対向する面に付着して流れた場合でも、受入部76内でインクを保持できる。よって、受入部76よりも外側にインクが流出することを抑制できる。
また、第1係合部84及び第2係合部85は、キャップ70をカートリッジ20に係合させる機能を有すると共に、カートリッジ20に対するキャップ70の装着位置を決める機能を有する。したがって、キャップ70をカートリッジ20に対して確実に(ずれがなく)装着することができるので、キャップ70を用いて開口288を確実に覆うことができる。また、これにより、受入部76に液体流出部31を受け入れてインクが受入部76よりも外側に流出する可能性、及び液体流出部31からのインクの蒸発の可能性を低減できる。
また、第1係合部84の係合先となるカートリッジ20における容器側第1係合部330は、第1面201においてプリズムユニット270(透過面275)と液体供給部280との間に配置されている。したがって、受入部76から外部にインクが漏れ出た場合でも、第1係合部84と容器側第1係合部330との係合部分によりインクを堰き止めて、透過面275側(+X軸方向側)にインクが流出することを抑制できる。このため、透過面275がインクによって汚れてしまうことを抑制できる。
また、キャップ70の挿入片71aは、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、液体供給部280の開口288のY軸方向(幅方向)の中心Cを通り、かつ、X軸とZ軸に平行な面(面CX)と交わる。また、挿入片71aは、第1面201に形成された容器受入部333に挿入される。これにより、キャップ70とカートリッジ20との幅方向の装着位置の位置決めを確実に実行することができる。
また、キャップ70の位置決め部71dは、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、液体供給部280の開口288のY軸方向(幅方向)の中心Cを通り、かつ、X軸とZ軸に平行な面(面CX)と交わる。また、位置決め部71dには、第5面205に形成された凸部213が挿入される。これにより、キャップ70とカートリッジ20との幅方向の装着位置の位置決めを確実に実行することができる。
また、接続部73は、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、傾斜部214に沿って配置されるように予め傾斜して(土台部75に対して傾斜して)形成されている。したがって、キャップ70がカートリッジ20に装着された状態において、傾斜部214を接続部73により補強することができる。加えて、キャップ70がカートリッジ20に装着される際に、接続部73が傾斜部214に当接することで、キャップ70の+X軸方向へのずれを規制することができる。したがって、キャップ70がカートリッジ20に対してずれることなく確実に装着し得るので、液体流出部31から流出したインクがキャップ70の外部へと漏れ出ることを抑制できる。
また、第1係合部84において、挿入片71aは、隣り合う2つの第1突起部71bに比べて、−X軸方向(キャップ70がカートリッジ20に装着された状態における第6面206から第5面205に向かう方向)に沿って、より長く構成されている。このため、キャップ70がカートリッジ20に装着される際に、先ず挿入片71aを容器側第1係合部330(容器受入部333)に係合させて位置決めを行うことができる。したがって、その後、2つの第1突起部71bを容器側第1係合部330(第1容器係止部331)に係合させる際に、容易に係合させることができる。
B.第2実施形態:
B−1.カートリッジの構成:
図21は、第2実施形態のカートリッジ20aの斜視図である。図22は、第2実施形態のキャップ70aが装着されたカートリッジ20aの斜視図である。第2実施形態のカートリッジ20aは、第1実施形態のカートリッジ20よりもY軸方向の寸法が大きい。カートリッジ20aは、ホルダー60(図2,図3)の2つ分のスロットを用いてホルダー60に装着される。カートリッジ20aは、第1実施形態のカートリッジ20よりも多くの量のインクを収容できる。
図21に示すように、カートリッジ20aは、第1面201から突出する2つの液体供給部280aを有する。2つの液体供給部280aは、それぞれ第1実施形態の液体供給部280と同様の構成である。すなわち、第2実施形態のカートリッジ20aは、内部のインクが分岐して2つの液体供給部280aからプリンター50側にインクが供給される。
図22に示すように、カートリッジ20aには、2つの開口288を塞ぐ単一のキャップ70aが装着される。キャップ70aは、第1実施形態のカートリッジ20と同様にキャップ本体74とキャップレバー72aとを備える。キャップレバー72aは第1実施形態と同様に第5面205よりも外側に突出している。
図23は、キャップ70aの第1の斜視図である。図24は、キャップ70aの第2の斜視図である。第2実施形態のキャップ70aは、凹形状の土台部75aと、土台部75aの凹部に配置され、開口288を塞ぐための第1キャップ部材79aとを備える。第1キャップ部材79aは第1実施形態と同様にゴム等の弾性を有する部材である。第1実施形態の第1キャップ部材79と異なる点は、第2配置部材79t上に2つの液体供給部280aに対応した2つの第1配置部材79sが配置されている点である。各第1配置部材79sは、上記の第1実施形態と同様の構成であり、例えば、それぞれ封止部762やキャップ段差部766や受入部76を有する。
キャップ70aの面に沿って2つの封止部762を結ぶ線上L1(最短線上L1)の間には、第1段差部としての段差部769が形成されている。段差部769は、封止部762を形成する第1配置部材79sを液体供給部280a毎に用意し、同一面上(第2配置部材79tの面上)に第1配置部材79sを配置することで形成されている。
B−2.効果:
上記第2実施形態では、1つの封止部762にインクが到達した場合でも、段差部769によって1つの封止部762に到達したインクが、他の封止部762に到達することを抑制できる。また、上記第1実施形態と同様の構成を備える点については、第1実施形態と同様の効果を奏する。
C.第3実施形態:
C−1.カートリッジ20およびキャップ70bの構成:
図25及び図26は、第3実施形態のキャップ70bの斜視図である。図27は、キャップ70bが装着されたカートリッジ20の断面図である。図28は、図27の一部を拡大した図である。
図27に示すように、第3実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、キャップ70bが装着され得る。第3実施形態のカートリッジ20は、第1実施形態のカートリッジ20と同じ構成である。また、第3実施形態のキャップ70bの外観を形成する外部構造(外観形状)は、第1実施形態のキャップ70(図17〜図19)と同じ構成である。さらに、図25に示すように、キャップ70bは、第1係合部84及び第2係合部85を有する点等で第1実施形態のキャップ70と共通する。第3実施形態のキャップ70bと、第1実施形態のキャップ70とで異なる点は、主に、第1キャップ部材79bが一体成形されている点と、封止部762を有さない点と、液体吸収材81が設けられている点である。よって、第1実施形態のキャップ70と同様の構成は同一符号を付すと共に説明を省略する。なお、第1キャップ部材79bは一体成形されていなくても良い。
図25に示すように、受入部76及びキャップ段差部766には、インクを吸収する部材である液体吸収材81が配置されている。図28に示すように、液体吸収材81は、液体流出部31(シート部材36)と対向する位置に配置されている。液体吸収材81は、液体流出部31から漏れ出したインクが他の部分に流れ出すことを防止する。液体吸収材81は、インクを保持する機能を有する部材であれば良い。インクを保持する機能を有する部材としては、多孔質体、例えば、ベルイーター(アイオン社製)等が挙げられる。
図25及び図26に示すように、液体吸収材81は、受入部76からキャップ段差部766を乗り上げて、受入部76の外側まで延びている。詳細には、液体吸収材81の端部82が、キャップ段差部766よりも連通口32側にまで位置する。液体吸収材81は、シート状である。液体吸収材81は、キャップ70bがカートリッジ20に装着された状態(以下、単に「取付状態」とも呼ぶ)において、液体流出部31(シート部材36)を受入部76及びキャップ段差部766と共に受け入れる。すなわち、受入部76の少なくとも一部の壁面が、液体吸収材81で形成されているとも言える。
図28に示すように、本実施形態では、取付状態において、液体吸収材81のうち受入部76上に配置された部分(「対向部分」ともいう。)は、液体流出部31(シート部材36)を構成する第1中央部368vと接触することなく間隔を開けて配置されている。また、取付状態において、液体吸収材81の対向部分と液体流出部31(シート部材36)とは、Z軸方向に対向して配置されている。すなわち、取付状態において、液体吸収材81の対向部分と液体流出部31(シート部材36)とは、Z軸方向に平行な平面(XY平面)に投影した場合に、重なる位置関係にある。
また、図28に示すように、取付状態において、液体吸収材81のうちキャップ段差部766上に配置された部分(「吸収材段差部分」とも呼ぶ。)は、液体流出部31(シート部材36)を構成する4つの傾斜部368tのうち、連通口32側に位置する傾斜部368tと接触するように配置される。言い換えれば、液体吸収材81は、キャップ段差部766と液体流出部31の傾斜部368tとによって挟まれるように配置される。
さらに、図28に示すように、液体吸収材81の少なくとも一部は、連通口32とZ軸方向おいて対向する。すなわち、取付状態において、液体吸収材81と連通口32とは、Z軸方向に平行な平面(XY平面)に投影した場合に、少なくとも一部が重なる位置関係にある。また、液体吸収材81(詳細には、端部82)が連通口32と接触することなく間隔をあけて配置されている。
C−2.効果:
上記第3実施形態のキャップ70bは、液体吸収材81を備える。これにより、キャップ70bが装着された状態でカートリッジ20が運搬される際等に液体流出部31(シート部材36)からインクが漏れ出した場合であっても、液体吸収材81によって漏れ出したインクを吸収することができる。その結果、カートリッジ20が使用される際、キャップ70bがカートリッジ20から取り外されても外部にインクが漏れ出す可能性を低減できる。これにより、例えば、ユーザーの手元がインクで汚れる可能性を低減できる。
また、取付状態において、液体吸収材81が、シート部材36を構成する第1中央部368vと接触することなく間隔をあけて配置され、且つ、Z方向において少なくとも一部が対向するように配置される。したがって、インクをプリンターに流出させる第1中央部368vに損傷を与えることなく、第1中央部368vから漏れ出したインクを吸収することができる。
また、取付状態において、液体吸収材81のうちキャップ段差部766上に配置された部分(吸収材段差部分)は、液体流出部31(シート部材36)を構成する4つの傾斜部368tのうち、連通口32側に位置する傾斜部368t(連通口側傾斜部368t)と接触するように配置される(図28)。したがって、液体吸収材81によって吸収したインクは、連通口側傾斜部368tを介して液体流出部31に流通可能となる。よって、
液体吸収材81によって吸収したインクを液体流出部31(シート部材36)に戻すことができる。その結果、カートリッジ20が使用される際、キャップ70bがカートリッジ20から取り外されても外部にインクが漏れ出す可能性を低減できる。これにより、例えば、ユーザーの手元がインクで汚れる可能性を低減できる。また、使用できないインクの量を低減することができる。さらには、液体吸収材81は、キャップ段差部766と液体流出部31の傾斜部368tとによって挟まれるように配置されているため(図28)、液体流出部31から連通口32へインクが流出する流路を狭くすることができる。これにより、連通口32にインクが流入する可能性を低減することができる。
また、取付状態において、液体吸収材81と連通口32とは、Z軸方向に平行な平面(XY平面)に投影した場合に、少なくとも一部が重なる位置関係にある(図28)。したがって、仮に連通口32とキャップ70bから構成される空間83(図28)にインクが流出した場合であっても、連通口32にインクが流入する可能性を低減することができる。また、液体吸収材81は、その一部が連通口32と接触することがないように間隔をあけて配置されることで、液体吸収材81が保持しているインクが直接に連通口32に流入する可能性を低減することができる。なお、第1実施形態と同様の構成を備える点については、第1実施形態と同様の効果を奏する。
C−3.第3実施形態の変形例:
上記第3実施形態では、インクを保持(吸収)する機能を有する部材として液体吸収材81を採用したが(図25)、これに代えて、受入部76自体にインクを保持(吸収)する機能(構造)を持たせても良い。インクを保持できる構造として、受入部76の表面に形成される溝を含む凹凸形状が挙げられる。凹凸形状によって毛細管力を発生させ、インクを受入部76によって保持することができる。
上記第3実施形態において、受入部76およびキャップ段差部766に、液体吸収材81を配置したが、受入部76のみ、又は、キャップ段差部766のみに液体吸収材81を配置しても良い。これにより、液体流出部31から漏れ出したインクを吸収することができる。この場合において、キャップ70bの内面において、キャップ70bのうち液体流出部31と対向する部分から連通口32と対向する部分までの少なくとも一部に液体吸収材81が配置されることが好ましい。これにより、液体流出部31から漏れ出したインクが連通口32に流入する可能性を低減できる。
上記第3実施形態において、取付状態では、液体吸収材81のうち受入部76上に配置された部分(対向部分)は、液体流出部31(シート部材36)を構成する第1中央部368vと接触することなく間隔をあけて配置されているが、接触するように配置してもよい。両者81,368vを接触させて配置することで、液体吸収材81によってインクをより吸収することができる。
上記第3実施形態において、取付状態では、液体吸収材81のうちキャップ段差部766上に配置された部分(吸収材段差部分)は、液体流出部31(シート部材36)を構成する4つの傾斜部368tのうち、連通口32側に位置する傾斜部368tと接触するように配置していた。しかし、4つの傾斜部368tのうち、少なくとも1つに接触するように配置すればよく、複数と接触するように配置してもよい。また、両者81,368tを接触させなくてもよい。このようにしても、キャップ段差部766と液体流出部31の傾斜部368tとの間の空間を狭くすることで、インクが外部に流出する可能性を低減できる。さらには、液体吸収材81は、キャップ段差部766と液体流出部31の傾斜部368tとによって挟まれるように配置されているとしていた。しかし、液体吸収材81は、キャップ段差部766と取付部362(図19)とによって挟まれるように配置してもよい。このようにしても、キャップ段差部766と液体流出部31の傾斜部368tとの間の空間を狭くすることで、インクが外部に流出する可能性を低減できる。
上記第3実施形態において、取付状態では、液体吸収材81は、XY平面に投影した場合に、少なくとも一部が連通口32と重複するように配置していたが、重複しなくてもよい。連通口32へと繋がる空間83に液体吸収材81の一部が存在すれば良い。このようにしても、連通口32へ流入するインクの量を低減することができる。
上記第3実施形態において、取付状態では、液体吸収材81の端部82が連通口32と接触することがないように液体吸収材81が配置されていたが、接触するようにしてもよい。両者82,32が接触することで、連通口32へと繋がる空間83に漏れ出したインクが連通口32に流入しようとする際に、インクを液体吸収材81によって吸収することができる。
上記第3実施形態のキャップ70bは、複数の液体供給部280を有するカートリッジにも適用できるように変形しても良い。図29は、変形例としてのキャップ70cの第1の斜視図である。図30は、変形例としてのキャップ70cの第2の斜視図である。上記第3実施形態のキャップ70bの変形例であるキャップ70cは、第2実施形態のカートリッジ20a(図21)に取り付けることができる。キャップ70cは、第3実施形態の第1キャップ部材79bよりもY軸方向の幅が広い第1キャップ部材79cを備える。また、第1キャップ部材79cは、カートリッジ20a(図21)の2つの液体供給部280aに対応して、2つの受入部76と、2つのキャップ段差部766と、2つの液体吸収材81とを備える。また、第2実施形態のキャップ70a(図23)と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。変形例のキャップ70cにおいても、第2実施形態のキャップ70bと同様の構成については同様の効果を奏する。
D.第4実施形態:
D−1.カートリッジ20およびキャップ70dの構成:
図31は、第4実施形態のキャップ70dが装着されたカートリッジ20の斜視図である。図32は、キャップ70dの第1の斜視図である。図33は、キャップ70dの第2の斜視図である。
図31に示すように、第4実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、キャップ(キャップ70d)が装着され得る。第4実施形態のカートリッジ20は、第1実施形態のカートリッジ20と同じ構成である。第4実施形態のキャップ70dは、一対の壁部800を有する点において、第1実施形態のキャップ70と異なり、他の構成については、第1実施形態のキャップ70と同じであるので説明を省略する。
第4実施形態のキャップ本体74bは、土台部75及び第1キャップ部材79に加えて、一対の壁部800を有する。一対の壁部800は、いずれも平面視四角形の形状を有する平板状の部位である。一対の壁部800のうち、一方は、土台部75において最も−Y軸方向に位置する壁の+Z軸方向の端面に接続されており、他方は、土台部75において最も+Y軸方向に位置する壁の+Z軸方向の端面に接続されている。換言すると、一対の壁部800Xは、互いに土台部75のY軸方向の長さ(幅)だけ間隔を開けて配置され、かつ、いずれもX軸及びZ軸と平行となるように配置されている。一対の壁部800は、土台部75と同様にポリプロピレン等の合成樹脂により形成されており、Y軸方向への可撓性を有する。このため、一対の壁部800は、キャップ70dがカートリッジ20に装着される際にY軸方向(+Y軸方向及び−Y軸方向)に撓んで、カートリッジ20及びキャップ70dの損傷を抑制することができる。
一対の壁部800は、いずれも、土台部75と接続する端部とは反対の端部(+Z軸方向の端部)において、第3係合部801を備えている。第3係合部801は、断面視(+X軸方向又は−X軸方向に見て)略三角形の形状を有している。第3係合部801の厚さ(Y軸方向の長さ)は、壁部800の厚さに比べて大きい(長い)。このような構成により、図31に示すように、キャップ70dがカートリッジ20に装着された状態において、第3係合部801は、第2面202に係合(接触)する。したがって、カートリッジ20は、キャップ70dにより上下方向に保持(挟持)される。
D−2.効果:
上記第4実施形態のキャップ70dは、キャップ70dがカートリッジ20に装着された状態において、第2面202に係合(接触)する第3係合部801を備えている。このため、キャップ70dがカートリッジ20に装着される際のY軸方向のずれを規制することができる。したがって、キャップ70dを用いて開口288を確実に塞ぐことができ、受入部76に液体流出部31を受け入れてインクが受入部76よりも外側に流出する可能性、及び液体流出部31からのインクの蒸発の可能性を低減できる。また、第1実施形態と同様の構成を備える点については、第1実施形態と同様の効果を奏する。
D−3.第4実施形態の変形例:
上記第4実施形態のキャップ70dは、複数の液体供給部280を有するカートリッジにも適用するように変形してもよい。図34は、変形例としてのキャップ70eの第1の斜視図である。図35は、変形例としてのキャップ70eの第2の斜視図である。上記第4実施形態のキャップ70dの変形例であるキャップ70eは、第2実施形態のカートリッジ20a(図21)に取り付けることができる。なお、第2実施形態のキャップ70a及び第4実施形態のキャップ70dと同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。変形例のキャップ70eにおいても、第2実施形態のキャップ70a及び第4実施形態のキャップ70dと同様な構成については同様の効果を奏する。
E.第5実施形態:
E−1.キャップ70fの構成:
図36は、第5実施形態のキャップ70fが装着されたカートリッジ20の背面図である。図36に示すように、第5実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、キャップ(キャップ70f)が装着され得る。第5実施形態のカートリッジ20は、第1実施形態のカートリッジ20と同じ構成である。第5実施形態のキャップ70fは、立位部850に代えて立位部850aを備えている点において、第1実施形態のキャップ70(図17〜図19)と異なり、他の構成については、第1実施形態のキャップ70と同じであるので説明を省略する。
キャップ70fの立位部850aは、+Z軸方向により長く延伸されている点、及び一対の挟持部854を備えている点において、第1実施例のキャップ70の立位部850と異なる。
図37は、キャップ70fが装着されたカートリッジ20の部分断面図である。図37は、カートリッジ20の第5面205とキャップ70fのキャップレバー72bとの接触部分を−X軸方向に見た断面図である。図36及び図37に示すように、立位部850aの+Z軸方向の端部寄り(接続部73が接続されている端部とは反対の端部寄り)には、一対の挟持部854が形成されている。一対の挟持部854は、いずれもX軸方向を長手方向とする平面視長方形の薄板部材である。また、一対の挟持部854は、いずれも土台部75や接続部73等と同様に、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。
図37に示すように、一方の挟持部854は、立位部850aの+Y軸方向の端部に接続され、他方の挟持部854は、立位部850aの−Y軸方向の端部に接続されている。したがって、一対の挟持部854は、Y軸方向に所定の間隔(カートリッジ20の幅とほぼ同じ長さ)だけ開けて配置されている。一対の挟持部854は、一方の挟持部854が第4面204に接し、他方の挟持部854が第3面203に接することにより、カートリッジ20を保持(挟持)する。
図37に示すように、第4面204と接する側の挟持部854は、立位部850aとの接続箇所を基準として、第4面204に形成された肉盗み216を+X軸方向に超えて第4面204と接している。換言すると、挟持部854のX軸方向の長さは、第5面205から肉盗み216の+X軸方向の端部までの長さよりも長い。挟持部854の+X軸方向の端部が肉盗み216に配置されると、一対の挟持部854によるカートリッジ20の保持力(挟持力)が弱くなる。そこで、第5実施形態では、挟持部854が肉盗み216を超えて配置されるように構成することで、一対の挟持部854によりカートリッジ20の保持力(挟持力)を向上させている。
E−2.効果:
上記第5実施形態のキャップ70fは、キャップ70fがカートリッジ20に装着された状態において第3面203及び第4面204と接する一対の挟持部854を備えている。このため、一対の挟持部854によりキャップ70fのY軸方向(幅方向)の位置決めが確実に行われ得るため、キャップ70fを用いて開口288を確実に覆うことができる。加えて、一対の挟持部854のうち、第4面204と接する側の挟持部854は、肉盗み216を+X軸方向に超えて第4面204と接している。したがって、第4面204と接する側の挟持部854の端部が肉盗み216に位置する構成に比べて、一対の挟持部854によるカートリッジ20の保持力(挟持力)を向上させることができる。また、第1実施形態と同様の構成を備える点については、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、図示は省略するが、上述した第5実施例のキャップ70fは、複数の複数の液体供給部280を有するカートリッジ(例えば、図21のカートリッジ20a)にも適用するように変形してもよい。
F.第6実施形態:
F−1.キャップ70gの構成:
図38は、第6実施形態のキャップ70gが装着されたカートリッジ20の背面図である。図38に示すように、第6実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、キャップ(キャップ70g)が装着され得る。第6実施形態のカートリッジ20は、第1実施形態のカートリッジ20と同じ構成である。第6実施形態のキャップ70gは、一対の挟持部854に代えて、一対の挟持部856を備えている点において、第5実施形態のキャップ70fと異なり、他の構成については、第5実施形態のキャップ70fと同じであるので説明を省略する。
図39は、キャップ70gが装着されたカートリッジ20の部分断面図である。図39は、カートリッジ20の第5面205とキャップ70gのキャップレバー72cとの接触部分を−X軸方向に見た断面図である。図38及び図39に示すように、一対の挟持部856(挟持部856a及び挟持部856b)のX軸方向の長さは、第5実施形態のキャップ70fの一対の挟持部854のX軸方向の長さに比べて短い。より具体的には、図39に示すように、一対の挟持部856のうち、第4面204と接する側の挟持部856aは、+X軸方向の端部が肉盗み216に対応する位置に配置されている。なお、一対の挟持部856のうち、第3面203と接する側の挟持部856bのX軸方向の長さは、挟持部856aのX軸方向の長さと同じである。
ここで、挟持部856aは、第4面204と対向する面に突出部857を備えている。突出部857は、挟持部856aにおける第4面204と対向する面において、+Y軸方向に延設されている。突出部857は、肉盗み216に挿入されている。これにより、第4面204において、第5面205寄りの周縁部に形成されたリブ(肉盗み216と第5面205との間の部分)は、突出部857と立位部850aとにより挟持される。これにより、キャップ70gのX軸方向の位置決めが実行される。加えて、一対の挟持部856によりカートリッジ20が挟持されるので、第5実施形態のキャップ70fと同様に、キャップ70gのY軸方向の位置決めが実行される。
F−2.効果:
上記第6実施形態のキャップ70gは、キャップ70fがカートリッジ20に装着された状態において第3面203及び第4面204と接する一対の挟持部856を備えている。このため、一対の挟持部856によりキャップ70gのY軸方向(幅方向)の位置決めが確実に行われ得るため、キャップ70gを用いて開口288を確実に覆うことができる。加えて、一対の挟持部856のうち、第4面204と接する側の挟持部856aは、肉盗み216に挿入される突出部857を備えている。これにより、肉盗み216と第5面205との間のリブを、突出部857と立位部850aとで挟持することができ、キャップ70gのX軸方向の位置決めを確実に行うことができる。
なお、図示は省略するが、上述した第7実施例のキャップ70gは、複数の複数の液体供給部280を有するカートリッジにも適用するように変形してもよい。
G.第7実施形態:
G−1.カートリッジ20およびキャップ70hの構成:
図40は、第7実施形態のキャップ70hが装着されたカートリッジ20の斜視図である。図41は、キャップ70hの第1の斜視図である。図42は、キャップ70hの第2の斜視図である。
図40に示すように、第7実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、キャップ70hが装着され得る。第7実施形態のカートリッジ20は、第1実施形態のカートリッジ20と同じ構成である。第7実施形態のキャップ70hは、立位部850に代えて立位部850bを有する点において、第1実施形態のキャップ70と異なり、他の構成については、第1実施形態のキャップ70と同じであるので説明を省略する。
第7実施形態のキャップ70hの立位部850bは、第1実施形態のキャップ70の立位部850に比べて、+Z軸方向の長さがより長く形成されている。図41及び図42に示すように、立位部850bは、+Z軸方向の端部近傍に係合孔851を備えている。係合孔851は、立位部850bを厚み方向に貫通する貫通孔である。図40に示すように、キャップ70hがカートリッジ20に装着された状態において、係合孔851には、第2係止部221が挿入される。第2係止部221は、係合孔851に挿入されることにより、係合孔851と係合する。
G−2.効果:
第7実施形態のキャップ70hは、係合孔851を有し、キャップ70hがカートリッジ20に装着された状態においてカートリッジ20の第2係止部221が係合孔851に挿入されて係合する。したがって、キャップ70hとカートリッジ20との係合をより密にすることができる。加えて、カートリッジ20の第2係止部221を、ホルダー60との係合と、キャップ70hとの係合とに兼用することができる。このため、カートリッジ20において、第2係止部221及び容器側第2係合部212とは別に、キャップ70hとの係合に用いる構成要素を用意する構成に比べて、カートリッジ20の構成をシンプルにすることができ、カートリッジ20の製造コストを抑えることができる。また、第1実施形態と同様の構成を備える点については、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、図示は省略するが、上述した第7実施例のキャップ70hは、複数の液体供給部280を有するカートリッジにも適用するように変形してもよい。
H.第8実施形態:
図示は省略するが、第8実施形態のカートリッジ20には、第1実施形態のカートリッジ20と同様にキャップ(第8実施形態のキャップ)が装着され得る。第8実施形態のカートリッジ20は、第1実施例のカートリッジ20と同じ構成である。第8実施形態のキャップは、容器側第1係合部330とは異なる部位においてカートリッジ20と係合する点と、土台部75が、液体供給部280に加えて、第1面201のうちの容器側第1係合部330から第1端部201tまでの間の少なくとも一部を覆う点とにおいて、第1実施形態のキャップ70と異なり、他の構成は第1実施形態のキャップ70と同じである。
第8実施形態のキャップは、第5面側係合部と、第6面側係合部とを有する。第5面側係合部は、カートリッジ20の第5面205と係合する部位であり、例えば、カートリッジ20の容器側第2係合部212及び第2係止部221のうちの少なくとも一方と係合することができる。第6面側係合部は、カートリッジ20の第6面206と係合する部位であり、例えば、第6面206の第1係止部210及び突出部211のうちの少なくとも一方と係合することができる。
上記構成を有する第8実施形態のキャップは、第1実施形態のキャップ70と同様な効果を有する。加えて、第8実施形態のキャップは、第1面201において、容器側第1係合部330から第1端部201tまでの間の少なくとも一部を覆う。容器側第1係合部330から第1端部201tまでの間の部位は、キャップ70がカートリッジ20に装着され、かつ、第1面201が鉛直下方に第2面202が鉛直上方にそれぞれ位置するようにキャップ70及びカートリッジ20が置かれた状態において、大気導入口290に対して鉛直下方に位置する。このような装着状態において大気導入口290からインクが漏れ出た場合、インクは、第3面203に沿って、第1面201において容器側第1係合部330から第1端部201tまでの間の部位に向かって流れる。しかしながら、かかる部位は、第8実施形態のキャップにより覆われているので、プリズムユニット270(透過面275)にインクが付着することを抑制できる。また、第8実施形態のキャップがカートリッジ20に装着されていない場合、大気導入口290から漏れ出たインクは、第1面201に到達して凹部217内に入り込む虞がある。この場合、凹部217内に入り込んだインクが固化し(粘度が増加して)、透過面275に付着する虞や、カートリッジ20がプリンター50に装着される際に液体供給管640に付着する虞がある。しかしながら、第8実施形態のキャップがカートリッジ20に装着されることにより、大気導入口290から漏れ出たインクが凹部217内に入り込むことを抑制できるので、固化したインク(増粘インク)が、透過面275や液体供給管640に付着することを抑制できる。したがって、インクの有無の誤検出や、インクの吐出不良の発生を抑制できる。
I.変形例:
I−1.第1変形例:
上記実施形態では、いわゆる半密閉タイプのカートリッジを例に説明を行ったが、他のタイプのカートリッジに本発明を適用して良い。例えば、液体収容部200が外部と常に連通しているタイプのインクカートリッジや、液体収容部200が常に密閉されているタイプのインクカートリッジ(いわゆるインクパック)にも本発明は適用可能である。
I−2.第2変形例:
上記実施形態では、キャップ70,70a〜70hを用いて液体供給部280(開口288)を覆っていたが、キャップ70,70a〜70hに代えて、シート状の部材(フィルム)を用いて液体供給部280を覆うこともできる。具体的には、合成樹脂(例えば、ナイロンとポリプロピレンを含む材料)により形成されたシート部材を、容器側第1係合部330に掛けつつ液体供給部280を覆うようにして、第1面201と、第3面203と、第2面202と、第4面204とに巻きつけて、液体供給部280を覆うこともできる。すなわち、一般には、容器側第1係合部330と係合し、かつ、液体供給部280を覆うことができる任意のカバーを、本発明のカバーとして採用することができる。
I−3.第3変形例:
本発明は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を消費する任意の液体吐出装置及びそれらの液体吐出装置に用いられるカートリッジ(液体収容容器)にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置に用いられるカートリッジとして本発明は適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体消費ヘッドを備える液体噴射装置
なお、「液滴」とは、液体吐出装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体吐出装置が消費できるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
I−4.第4変形例:
上記実施形態や上記変形例では、カートリッジ20,20aとキャップ70,70a〜70hとを別体であるものとして説明したが、キャップ70,70a〜70hを含めてカートリッジ20,20aとみなすこともできる。すなわち、本発明のカバーが装着された液体収容容器を、液体収容容器とみなすこともできる。
I−5.第5変形例:
上記実施形態では、インクが収容されている部位は、カートリッジ20,20a内の液体収容部200であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジ20,20aが液体収容部200を備えず、カートリッジ20,20aに装着可能なインク供給ユニット内に液体収容部を設ける構成とすることもできる。この構成においては、インク供給ユニット内の液体収容部と液体供給部280とを連通させて、液体収容部から液体供給部280にインクを供給させることができる。
なお、上記実施形態及び変形例において、当接、接触、接する等との表現は、一方が他方に当接、接触、接している状態のみを表すのではなく、一方が他方に接触することなく単に覆う状態も含む広い概念を表す。すなわち、封止、当接することにより実現できる機能、具体的には、液体が飛散する可能性を低減する等の機能を少なからず発揮できうる状態を含む概念を表す。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。