JP2014043536A - カーボン/カーボンコンポジット用の中間材料 - Google Patents

カーボン/カーボンコンポジット用の中間材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 製造過程において素材内に亀裂を生じさせることなく、所定の密度を有するC/Cコンポジット材を簡素な製造プロセスで製造することができる中間材料と、その製造方法を提供することにある。
【解決手段】 連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
連続炭素繊維トウは一方向に引き揃えられると共に平面的広がりを有することによりシート状またはテープ状に配置されており、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤は、混合物を形成し、この混合物は炭素繊維の外周に配置された状態にある構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボン/カーボンコンポジット材料を製造するために有用な中間材料に関するものであり、更に詳細には、連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料に関するものである。
カーボン/カーボンコンポジット材料(以下、「C/Cコンポジット材」とも称する)は、従来の炭素材料、あるいは黒鉛材料に比べ数倍の強度、弾性率を備えると共に、耐熱性、耐摩耗性、靱性に優れていることから、宇宙往還機等のノーズキャップや翼のリーディングエッジ等、航空機、レーシングカー、新幹線車両、大型重量車両等のブレーキ、熱処理炉の炉内構造材、トレイ、ヒーター、半導体製造炉や太陽電池製造炉における製品ハンドリングフォーク、金属加工用の高温治具等に使用されてきており、その用途は一般工業用に広く拡大してきている。
このようなニーズに対応するため、一般的にC/Cコンポジット材は、レジンチャー法またはCVD法によって製造されている。
例えばレジンチャー法により板状のC/Cコンポジット材を製造する場合、典型的には以下のような工程をとる。
すなわち、
(1) 炭素繊維織物に熱硬化性樹脂を含浸し半硬化させてプリプレグを製造する工程、
(2) 上記プリプレグを複数枚重ねて、加熱・加圧し、板状に成形する工程、
(3) 上記板状成形体を加熱し炭化処理する工程、
(4) 炭化処理した板状成形体にピッチ(又は樹脂)を含浸する工程、
(5) ピッチ(又は樹脂)を含浸した板状成形体を加熱し炭化処理する工程、
(6) 板状成形体を更に加熱し黒鉛化処理する工程、
(7) (4)、(5)、(6)の工程を3〜4回繰り返す。
C/Cコンポジット材を製造する際に、このようなレジンチャー法を採用すると、その製造に多くの日数がかかり生産性が低いという問題の他に、加熱のために多大な電力を消費してしまうという問題があった。
また、一般に市販されている炭素繊維は熱硬化性樹脂との接着力を向上させるために炭素繊維表面に、官能基を生成させる表面処理をおこなっている。しかし、この官能基を有する炭素繊維を使用して、C/Cコンポジット材を製造した場合、炭素繊維と熱硬化性樹脂との結合力が強くなりすぎるために、熱処理の段階で、炭素繊維と熱硬化性樹脂(マトリックス)の境界で亀裂が発生し、更にその亀裂が進展することにより、炭素繊維が積層された層間に剥離現象が発生する。また亀裂が進展する過程で、熱硬化性樹脂と炭素繊維が強固に結合しているために、炭素繊維まで破断してしまうという問題も発生する。
そこで、炭素繊維の表面に官能基を有しない非表面処理炭素繊維を、C/Cコンポジット材の製造に使用することが提案されている(特許文献1)。 しかし、非表面処理炭素繊維を、C/Cコンポジット材の製造に使用するためには、予め不活性雰囲気中1500℃以上の温度で表面処理炭素繊維を熱処理し、炭素繊維表面に生成された官能基(カルボキシル基,カルボニル基,水酸基,アミノ基等)を分解除去することが必要になり、熱処理工程が余分に必要となってしまう。
また、CVD法により板状のC/Cコンポジット材を製造する場合、典型的には以下のような工程をとる。
すなわち、
(1) 炭素繊維又は炭素繊維織物で板状体を形成する工程、
(2) 炭素繊維板状体を炉内で高温に加熱し、次いで炭化水素ガスを炉内に導入し熱分解させ、炭素繊維表面に炭素を蒸着させることによって、炭素繊維の間の空間を蒸着した炭素で埋める工程。
しかし、CVD法によりC/Cコンポジット材を製造する場合、炉内で炭化水素ガスが適切に熱分解される条件を維持できるように炉内雰囲気を制御することが難しく、また、熱分解した炭素を炭素繊維表面に均一に蒸着させるためのガスの流れを制御することにも高度な技術を要し、単位時間当たりの炭素の蒸着量も極めて少ないものであった。
したがって、CVD法によりC/Cコンポジット材を製造するには、高密度化に長時間を要し、生産性が低いという問題があった。
特開平3−205360号公報
本発明は、かかる観点からなされたものであり、その目的は、製造過程において素材内に亀裂を生じさせることなく、所定の密度を有するC/Cコンポジット材を簡素な製造プロセスで製造することができる中間材料と、その製造方法を提供することにある。
上述したような課題を解決するために、第1の観点にかかる発明では、連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
連続炭素繊維トウは一方向に引き揃えられると共に平面的広がりを有することによりシート状またはテープ状に配置されており、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤は、混合物を形成し、この混合物は炭素繊維の外周に配置された状態にある構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とした。
また、第2の観点にかかる発明では、第1の観点にかかる発明のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料において、連続炭素繊維トウの厚みが0.2mm以下である構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とした。
また、第3の観点にかかる発明では、第1又は第2の観点にかかる発明のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料において、連続炭素繊維トウは、トウを構成する複数のフィラメントを幅方向に解き分けて開繊した構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とした。
また、第4の観点にかかる発明では、第1乃至第3のいずれかの観点にかかる発明のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料において、連続炭素繊維トウが厚さ方向に複数層重ねて配置された構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とした。
更に、第5の観点にかかる発明では、連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法であって、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、粘結剤、および溶剤を混合することにより混合溶液を形成するステップと、連続炭素繊維トウに当該混合溶液を含浸し、連続炭素繊維トウを一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置するステップと、一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置された連続炭素繊維トウを乾燥させることにより、連続炭素繊維トウに含浸された混合溶液の溶剤を除去するステップとから成る構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法とした。
また、第6の観点にかかる発明では、第5の観点にかかる発明のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法において、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸するステップの前に、連続炭素繊維トウを開繊し、炭素繊維のフィラメントを幅方向に解き分けるステップを設ける構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法とした。
また、第7の観点にかかる発明では、第5又は第6の観点にかかる発明のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法において、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸するステップにおいて、混合溶液に超音波振動を加えながら連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する構成のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法とした。
本発明においては、上述したような構成のカーボン/カーボンコンポジット材料(C/Cコンポジット材)を製造するための中間材料、およびその製造方法としたことにより、C/Cコンポジット材の前駆体を製造する段階においてマトリックスとして、樹脂、例えば熱硬化性樹脂を使用することがないため、炭素繊維と熱硬化性樹脂との結合力が強くなりすぎて、熱処理の段階で、炭素繊維とマトリックスの境界で亀裂が発生することがなく、また、C/Cコンポジット材の製造段階において、ピッチ含浸やCVD法による高密度化のプロセスを行わなくとも十分な密度を有するC/Cコンポジット材を製造することが可能となる。
その結果、所定の密度を有するC/Cコンポジット材を簡素な製造プロセスで製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。 なお、ここで説明する本発明の実施の形態は、本発明を例示するものであって、これらによって限定されるものではない。
本発明で使用される炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、およびピッチ系のいずれのものであってもよく、耐炎化処理糸、炭化処理糸、黒鉛化処理糸のいずれのものでも使用することができる。 本発明において連続炭素繊維トウとは、炭素繊維の長繊維フィラメントの束を言い、1000本、3000本、6000本、12000本、24000本等のフィラメントを束ねたものを意味するが、特にフィラメントの本数に限定されるものではない。
一般に市販されている炭素繊維には、複合材料を形成する際のマトリックス樹脂との接着性を良好なものにするために、炭素繊維表面に、電解表面処理などの表面酸化処理を施したり、炭素繊維を繊維束として集束させるために、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などの官能基を有するサイジング剤を、炭素繊維表面に付着させたりしている。
本発明で使用する炭素繊維には、ここで述べたような表面処理やサイジング剤が施されていても良い。 もちろん、このような表面処理やサイジング剤の効果を除却した炭素繊維を使用することもできる。
本発明で使用する軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末としては、60〜320℃の範囲の軟化温度を有し、キノリン不溶分が0〜80重量%、及び揮発分が10〜60重量%の石油及び/又は石炭から得られる等方性、潜在的異方性、又は異方性のバインダーピッチを用いることができる。
このようなバインダーピッチとしては、石油の常圧残油、減圧残油、接触分触オイル等の石油系重質油あるいは石炭タール、オイルサンド油等の石炭系重質油を高温下(350〜500℃)で加熱処理した際に得られるピッチ類が挙げられる。 また、このピッチ類から得られるメソフェーズ小球体、あるいはそれが合体成長したバルクメソフェーズ等も有用である。
本発明における軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末は、強化繊維(炭素繊維)と、骨材としての後述する軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、を結合させるために用いられるものであって、その平均粒径は0.5〜60ミクロンが好ましく、3〜20ミクロンであれば更に好ましい。
本発明における軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末は、骨材的役割を持たせるためのものであり、軟化点を有しておらず、揮発分が10重量%以下、好ましくは2重量%以下のものが使用される。 本発明で使用するコークス粉末としては、石油系あるいは石炭系のいずれのものでも使用することができ、その平均粒径は0.5〜30ミクロンが好ましく、1〜20ミクロンであれば更に好ましい。
本発明において、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末との配合比は特に限定されるものではないが、重量比でバインダーピッチ/コークス=90/10〜10/90が好ましく、70/30〜30/70であれば更に好ましい。
本発明において使用される粘結剤は、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を粘着させると共に、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤からなる混合物を炭素繊維に粘着接合するために使用されるものである。粘結剤としては、増粘安定剤(又は糊料)として工業的に使用されているものを利用することができ、天然由来の増粘安定剤および化学的に合成された増粘安定剤のいずれをも使用することができる。
本発明の粘結剤(増粘安定剤)としては、例えば、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、澱粉の中から選択することができる。あるいは粘結剤(増粘安定剤)として、これらの中の複数種類を組み合わせた混合物を選択することもできる。
なお、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤とからなる混合物に添加する溶剤としては、アルコール等の有機溶剤または水を使用することができる。
なお、本発明における炭素繊維の体積含有率は、中間材料の全体積に対し、5〜70体積%、好ましくは20〜60体積%とするのが良い。 炭素繊維の体積含有率が5体積%未満であると、得られたC/Cコンポジット材の強度が低くなり過ぎ、また70体積%を超えるとバインダーピッチの配合量が少なくなるため、バインダー不足で繊維とマトリックス間での結合が充分でなく、高い強度のC/Cコンポジット材を得ることができないからである。
次に、本発明にかかるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法について説明する。
まず、バインダーピッチ粉末、コークス粉末、粘結剤、および溶剤を所定配合比で混合することにより混合溶液を形成する。 この混合溶液を作り出すための混合方法は特に限定されるものではないが、ニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロール、2軸押出機等を使用して混合することができる。 この混合溶液には粒子成分(バインダーピッチ粉末、コークス粉末)が含まれているので、予めホモミキサー、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、超音波などで粒子成分を液状成分に拡散させておくことが望ましい。
連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する方法についても特に限定されるものではないが、以下に例示するような各種の方法によって連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸することができる。
(1) 剥離工程紙に所定の厚みで、適当な粘度を有する混合溶液を塗布したものを上下二組用意し、両剥離工程紙の混合溶液塗布面をそれぞれ連続炭素繊維トウの集合体(連続炭素繊維トウを一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置したもの)側にして、連続炭素繊維トウの集合体を挟み込むように供給して一体化させたのち、熱板、或いは加熱ローラ等により加熱、加圧して混合溶液を連続炭素繊維トウの集合体に含浸させる方法。
(2) 適当な粘度を有する混合溶液を塗布した剥離工程紙をベース用に一組用意し、混合溶液面に連続炭素繊維トウの集合体を載置した後、その上側からはフィルムのみを供給して加熱、加圧し、混合溶液を連続炭素繊維トウの集合体に含浸させる方法。
なお、剥離工程紙に混合溶液を塗布する方法として、リバースロールコーターやナイフコーターなどを使用して剥離工程紙に混合溶液を塗布することができる。
(3) 連続炭素繊維トウを混合溶液槽の中へ直接浸漬した後、剥離工程紙上に連続炭素繊維トウを一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置する方法。
(4) 剥離工程紙上に連続炭素繊維トウを一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置した後、スプレーコーターなどを用いて連続炭素繊維トウに直接混合溶液を吹き付けることにより含浸する方法などがある。
次に、混合溶液が含浸され、一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置された連続炭素繊維トウを、乾燥炉を使用して乾燥させることにより、連続炭素繊維トウに含浸された混合溶液の中の溶剤を除去する。 このように混合溶液の中の溶剤を除去することにより、混合溶液が含浸された連続炭素繊維トウの集合体は、混合溶液に配合された粘結剤によって所定のタキネスを持ったシート状の中間材料となる。
本発明では、カーボン/カーボンコンポジット用の中間材料として、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末をマトリックスの主要成分としているため、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散するように混合溶液を連続炭素繊維トウに含浸することが、極めて重要である。
バインダーピッチ粉末とコークス粉末が炭素繊維フィラメントの間に均一に分散するように混合溶液が含浸されていない中間材を使用してカーボン/カーボンコンポジット材を製造しても、炭素繊維フィラメントの間にマトリックス層が十分に形成されず、十分な強度、例えばせん断強度、曲げ強度、圧縮強度等が得られなくなるからである。
バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させるための評価試験を行ったところ、混合溶液を含浸する前の連続炭素繊維トウの厚さを小さくすることが極めて有効であることが見いだされた。
特に連続炭素繊維トウの厚さを0.2mm以下とすることにより、上述した(1)〜(4)の連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸するいずれの方法であっても、バインダーピッチ粉末とコークス粉末が炭素繊維フィラメントの間にほぼ均一に分散されることが分かった。 また、連続炭素繊維トウの厚さを0.1mm以下とすることにより、バインダーピッチ粉末とコークス粉末が炭素繊維フィラメントの間に更に均一に分散されることが分かった。
本発明において使用する連続炭素繊維トウとして、厚さの厚いトウを使用する場合には、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する前に、トウを構成する複数のフィラメントを幅方向に解き分けて開繊するようにしても良い。
連続炭素繊維トウを開繊する方法としては、例えば、複数の炭素繊維フィラメントの集合体である連続炭素繊維トウを一定のオーバーフィード状態が生ずるようにフィード制御しながら給糸部から巻取部へ供給しつつ、炭素繊維フィラメントに対し交差方向に気流を通過させて炭素繊維フィラメントを風下方向へ弓なりに撓ませることにより、フィラメントを幅方向に解き分けて開繊する方法がある。
バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させるために、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する際に、超音波振動を混合溶液に加え、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させるようにすることも効果的である。
前述した、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する方法の内、(1)および(2)で説明した方法では、熱板、或いは加熱ローラ等に超音波トランスデューサを組み込み、熱板、或いは加熱ローラ等を加振してバインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させることができる。
連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する方法の内、(3)で説明した方法では、混合溶液槽に超音波トランスデューサを組み込み、混合溶液を超音波加振することにより、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させることができる。
連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する方法の内、(4)で説明した方法では、スプレーコーターなどを用いて連続炭素繊維トウに直接混合溶液を吹き付けた後、一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置された連続炭素繊維トウに、超音波トランスデューサを使用して、混合溶液を超音波加振することにより、バインダーピッチ粉末とコークス粉末を炭素繊維フィラメントの間に均一に分散させることができる。
以上説明したカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料は、混合溶液が含浸された連続炭素繊維トウが、一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置された状態にある。 言い換えれば、混合溶液が含浸された連続炭素繊維トウは厚さ方向に1層だけ配置されたシート状またはテープ状の形態を有するものであるが、このような形態に限定されるものではない。
連続炭素繊維トウが厚さ方向に2層以上の複数層重ねて配置されたシート状またはテープ状の形態を有するカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料とすることもできる。 このような複数層からなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料は、単層のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を複数枚貼りあわせて製造することもできるし、連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸したあと複数層重ねて配置することによって製造することもできる。
このように、複数層重ねて配置されたシート状またはテープ状の形態を有するカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を使用すれば、肉厚の大きなカーボン/カーボンコンポジット材を容易に製造することができるようになる。
以上、説明したカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を使用してカーボン/カーボンコンポジット材を製造する方法としては、種々のものが考えられるが、代表的な方法として、ホットプレスを使用した製造方法が挙げられる。
ホットプレスによって、例えば1500℃まで熱処理を行い、炭化処理する方法について簡単に説明する。
まず、シート状またはテープ状の形態を有するカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を所定の形状に裁断し、複数枚重ね合わせる。 このとき、一方向に引き揃えられた連続炭素繊維トウの方向を層毎に変えて重ね合わせるようにしても良い。 重ね合わせた複数枚のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を、ホットプレス用の金型の中に入れ、加圧・加熱することによって、軟化性を有するバインダーピッチ粉末を溶融させて炭素繊維、コークス粉末の周りに十分に浸透させた後、不融体化させ、所定の形状に賦形する。
このようにして賦形したカーボン/カーボンコンポジット材の前駆体を、更に不活性ガスの中で、例えば1500℃まで熱処理を行い、炭化処理する。 また、必要があれば、この前駆体を、例えば2500℃まで熱処理を行い、黒鉛化処理することもできる。
本発明にかかるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料を使用してカーボン/カーボンコンポジット材を製造すると、中間材にはカーボン/カーボンコンポジット材のマトリックスを形成することになるバインダーピッチ粉末のみならず、炭化収率の高いコークス粉末が予め配合されているため、気泡の少ないマトリックスを上述した簡素な工程で形成することができ(言い換えれば、簡素な工程で十分な密度、強度を有するカーボン/カーボンコンポジット材を形成でき)、極めて生産性の高いカーボン/カーボンコンポジット材の製造方法を提供することができる。
本発明にかかるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料は、十分な密度、強度を有するカーボン/カーボンコンポジット材を簡素な工程で製造できるようにするものであり、カーボン/カーボンコンポジット材の低コスト化を実現することにより、カーボン/カーボンコンポジット材の優れた高温特性や、摩擦特性、そして寸法安定性を生かした幅広い分野への適用の拡大が見込まれる。


Claims (7)

  1. 連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
    当該連続炭素繊維トウは一方向に引き揃えられると共に平面的広がりを有することによりシート状またはテープ状に配置されており、
    当該バインダーピッチ粉末、コークス粉末、および粘結剤は、混合物を形成し、当該混合物は炭素繊維の外周に配置された状態にあることを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料。
  2. 請求項1に記載のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
    前記連続炭素繊維トウの厚みが0.2mm以下であることを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料。
  3. 請求項1又は2に記載のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
    前記連続炭素繊維トウは、トウを構成する複数のフィラメントを幅方向に解き分けて開繊したものであることを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料であって、
    前記連続炭素繊維トウが厚さ方向に複数層重ねて配置されたものであることを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料。
  5. 連続炭素繊維トウと、軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピッチ粉末と、軟化性を有しない石油及び/又は石炭系コークス粉末と、粘結剤とからなるカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法であって、
    バインダーピッチ粉末、コークス粉末、粘結剤、および溶剤を混合することにより混合溶液を形成するステップと、
    連続炭素繊維トウに当該混合溶液を含浸し、連続炭素繊維トウを一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置するステップと、
    一方向に引き揃えると共に幅方向に並べて配置された連続炭素繊維トウを乾燥させることにより、連続炭素繊維トウに含浸された混合溶液の溶剤を除去するステップとから成ることを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法。
  6. 請求項5に記載のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法であって、
    連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸する前記ステップの前に、連続炭素繊維トウを開繊し、炭素繊維のフィラメントを幅方向に解き分けるステップを設けたことを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載のカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法であって、
    連続炭素繊維トウに当該混合溶液を含浸するステップにおいて、混合溶液に超音波振動を加えながら連続炭素繊維トウに混合溶液を含浸することを特徴とするカーボン/カーボンコンポジット用の中間材料の製造方法。


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