JP2014041965A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化物半導体を用いた半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】窒化物半導体からなるチャネル層CHと、チャネル層CH上に形成されたAlを含有する窒化物半導体からなるバリア層BRと、バリア層BR上に形成されたソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEとを有している。バリア層BRにおいて、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域およびその近傍領域は、他の領域に比べて、アルミニウムの組成比が低く、それによって、格子定数が大きくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置に関し、例えば、窒化物半導体を用いた半導体装置に好適に利用できるものである。
GaN系窒化物半導体は、SiやGaAsに比べてワイドバンドギャップで、高電子速度であるため、高耐圧、高出力、高周波用途でのトランジスタへの応用が期待されており、近年、盛んに開発が進められている。
特開2010−056137号公報(特許文献1)および特開2002−016245号公報(特許文献2)には、GaN系窒化物半導体を用いたHEMT(高電子移動度トランジスタ)に関する技術が記載されている。
また、トランジスタの耐圧向上を目的とした技術として、例えば特開平7−66398号公報(特許文献3)がある。
特開2010−056137号公報 特開2002−016245号公報 特開平7−66398号公報
窒化物半導体を用いた半導体装置についても、できるだけ性能を向上させることが望まれる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1窒化物半導体からなるチャネル層と、前記チャネル層上に形成されたアルミニウムを含有する第2窒化物半導体からなるバリア層と、前記バリア層上に形成されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを有している。前記バリア層において、前記ゲート電極のドレイン電極側端部の直下の領域およびその近傍領域のアルミニウムの組成比は、他の領域のアルミニウムの組成比よりも低い。
また、一実施の形態によれば、半導体装置は、第1窒化物半導体からなるチャネル層と、前記チャネル層上に形成された第2窒化物半導体からなるバリア層と、前記バリア層上に形成されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極とを有し、前記バリア層において、前記ゲート電極のドレイン電極側端部の直下の領域およびその近傍領域の格子定数は、他の領域の格子定数よりも大きい。
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 HEMTのオフ動作を説明するためのバンド図である。 HEMTのオン動作を説明するためのバンド図である。 一実施の形態である半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。 比較例の半導体装置の要部断面図である。 バリア層における電界強度をシミュレーションした結果を示すグラフである。 AlGaN層とGaN層の積層構造における伝導帯のエネルギーとキャリア密度とを示すグラフである。 AlGaN層のシート抵抗のAl組成比依存性を示すグラフである。 窒化アルミニウムガリウムにおけるAlの組成比と歪の関係を示すグラフである。 一実施の形態の半導体装置の説明図である。 バリア層におけるアルミニウムの組成比を示すグラフである。 バリア層における格子定数を示すグラフである。 他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 一実施の形態および他の実施の形態の半導体装置の説明図である。 厚み方向におけるアルミニウム組成比の分布を示すグラフである。 厚み方向におけるアルミニウム組成比の分布を示すグラフである。 バリア層における電界強度をシミュレーションした結果を示すグラフである。 AlGaN層とGaN層の積層構造における伝導帯のエネルギーとキャリア密度とを示すグラフである。 厚み方向におけるアルミニウム組成比の分布を示すグラフである。 厚み方向におけるアルミニウム組成比の分布を示すグラフである。 他の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 バリア層における格子定数を示すグラフである。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
図1は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
本実施の形態の半導体装置は、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなるバリア層(電子供給層)BRが形成されている。すなわち、基板SUBの主面(上面)上に、バッファ層BUFとチャネル層CHとバリア層BRとが、下から順に形成(積層)されている。バリア層BR上には、ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEが形成されている。
基板SUBは、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板(単結晶シリコン基板)である。他の形態として、サファイア基板、あるいは炭化シリコン(SiC)基板などを、基板SUBに用いることもできる。
バッファ層BUFは、基板SUBとチャネル層CHとの格子定数差を緩和するために形成される。例えば、基板SUBを構成するシリコン(Si)とチャネル層CHを構成する窒化ガリウム(GaN)との格子定数差を、バッファ層BUFにより緩和することができる。すなわち、シリコン(Si)からなる基板SUB上に直接、窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層CHを形成した場合には、チャネル層CHに多くのクラックが発生し、良好なエピタキシャル成長層が得られず、高電子移動度トランジスタの作製が困難となる。このため、基板SUBとチャネル層CHとの間に、格子緩和を目的としたバッファ層BUFを挿入する。バッファ層BUFを形成したことにより、バッファ層BUF上に形成されるチャネル層CHに良好なエピタキシャル成長層が得られ、高電子移動度トランジスタの作製が可能となる。
バッファ層BUFは、窒化ガリウム(GaN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、または窒化アルミニウム(AlN)層、あるいはこれらの積層膜とすることができる。
チャネル層CHは、窒化物半導体からなり、好ましくは、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)からなる窒化ガリウム層である。他の形態として、チャネル層CHを、窒化インジウムガリウム(InGaN、インジウムガリウムナイトライド)層とすることもできる。
また、本実施の形態では、基板SUB上にバッファ層BUFを介してチャネル層CHを形成している。他の形態として、基板SUBに、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)などからなる窒化物半導体基板を用いることもでき、その場合、バッファ層BUFを薄く、あるいは無くして、チャネル層CHを形成することも可能である。これは、基板SUBとして、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)などからなる窒化物半導体基板を用いた場合には、窒化物半導体基板上に、窒化ガリウムなどからなるバッファ層BUF、あるいはチャネル層CHを、格子整合して形成できるためである。
バリア層(電子供給層)BRは、チャネル層CH用の窒化物半導体とは異なる窒化物半導体からなり、アルミニウム(Al)を含有する窒化物半導体により形成されている。バリア層(電子供給層)BRは、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)からなる窒化アルミニウムガリウム層である。
半導体層であるチャネル層CH上に、チャネル層CHとは異なる組成の半導体層(従ってチャネル層CHのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有する半導体層)であるバリア層BRが直接的に形成されている。すなわち、チャネル層CHとバリア層BRとが接している。このため、チャネル層CHとバリア層BRとの間には、ヘテロ接合が形成されている。バリア層BRは、電子供給層であり、キャリア発生領域として機能することができる。
ソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GEとは、それぞれ、バリア層BRの上面(表面)上に形成されているが、互いに離間している。ソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GEとは、いずれも導電体からなり、例えば金属膜(金属の単体膜または積層膜)により形成されている。ソース電極SEとドレイン電極DEとは、バリア層BRとオーミック接続されている。ソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GEとは、図1の紙面に略垂直な方向に延在している。
ゲート電極GEは、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間に位置している。すなわち、平面視で、ゲート電極GEは、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間に挟まれている。つまり、互いに離間したソース電極SEとドレイン電極DEとがバリア層BR上に形成されており、平面視でソース電極SEとドレイン電極DEとの間に挟まれるバリア層BR上にゲート電極GEが形成されている。
なお、「平面視」または「平面的に」あるいは「平面的に見て」と言うときは、基板SUBの主面(上面)に平行な平面(従ってチャネル層CHやバリア層BRの上面に平行な平面)で見た場合を言うものとする。また、平面方向とは、基板SUBの主面(上面)に平行な方向(従ってチャネル層CHやバリア層BRの上面に平行な方向)に対応する。
このようにして、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が形成されている。このような高電子移動度トランジスタにおいては、チャネル層CHとバリア層BRとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)DEGが生成(形成)される。すなわち、チャネル層CH(を構成する窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN))のバンドギャップと、バリア層BR(を構成する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN))のバンドギャップとは、相違している。このため、バンドギャップの相違に基づく伝導帯オフセットと、バリア層BRに存在するピエゾ分極と自発分極の影響により、チャネル層CHとバリア層BRとの界面近傍に、フェルミ準位よりも低いポテンシャル井戸が生成される。この結果、このポテンシャル井戸内に電子が蓄積されることになり、それによってチャネル層CHとバリア層BRとの界面近傍に2次元電子ガス(2次元電子ガス層)DEGが生成されるのである。
ソース電極SEとドレイン電極DEとは、それぞれ、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)DEGに電気的に接続されている。
なお、図1において、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)DEGは、点線で模式的に示してある。
本実施の形態では、バリア層BRは、組成が全領域で均一なわけではない。すなわち、バリア層BRは、一定の組成比を有する領域(高Al組成領域)BR1と、領域BR1とは異なる組成比を有する領域(低Al組成領域)BR2とを有している。ここで、バリア層BRにおいて、領域BR2以外の領域が、領域BR1に対応している。
バリア層BRにおいて、領域BR2は、領域BR2以外の領域BR1よりも、Al(アルミニウム)の組成比が低い(小さい)。すなわち、バリア層BRにおいて、領域BR2と、領域BR2以外の領域BR1とは、いずれも窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるが、領域BR2におけるAlの組成比は、領域BR2以外の領域BR1におけるAlの組成比よりも低い。従って、領域BR2の組成をAlGa1−yNと表し、領域BR2以外の領域BR1の組成をAlGa1−zNと表すと、0≦y<z≦1となる。換言すれば、領域BR2を構成するAlGa1−yNのyは、領域BR2以外の領域BR1を構成するAlGa1−zNのzよりも小さい(y<z)。
なお、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)におけるAlの組成比(Al組成比)とは、窒化アルミニウムガリウムの組成をAlGa1−xNと表したときのxの値に対応している。ここで、組成比とは、原子数の比である。
ゲート電極GEは、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間に配置されている。ここで、ゲート電極GEの端部(側面)のうち、ドレイン電極DEに対向する側の端部(側面)をドレイン電極側端部EGDと称し、ソース電極SEに対向する側の端部(側面)をソース電極側端部EGSと称することとする。すなわち、ゲート電極GEにおいて、ドレイン電極側端部EGDとソース電極側端部EGSとは、互いに反対側(ゲート長方向に反対側)の端部(側面)であり、ドレイン電極DEに近い側の端部(側面)がドレイン電極側端部EGDであり、ソース電極SEに近い側の端部(側面)がソース電極側端部EGSである。
また、ソース電極SEの端部(側面)のうち、ゲート電極GEに対向する側の端部(側面)をゲート電極側端部SE1と称することとする。すなわち、ゲート電極側端部SE1は、ソース電極SEにおけるゲート電極GE側(ゲート電極GEに対向する側)の端部である。また、ドレイン電極DEの端部(側面)のうち、ゲート電極GEに対向する側の端部(側面)をゲート電極側端部DE1と称することとする。すなわち、ゲート電極側端部DE1は、ドレイン電極DEにおけるゲート電極GE側(ゲート電極GEに対向する側)の端部である。
このため、ソース電極SEのゲート電極側端部SE1とゲート電極GEのソース電極側端部EGSとが互いに対向し、ドレイン電極DEのゲート電極側端部DE1とゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDとが互いに対向することになる。また、ゲート長方向とは、ゲート電極GEのゲート長方向のことであり、チャネル長方向と同じであり、ソース(ソース電極SE)とドレイン(ドレイン電極DG)とを結ぶ方向にも対応している。
ゲート電極GEはバリア層BR上に形成されているが、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDは、バリア層BRの領域BR2上に位置している。すなわち、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下には、バリア層BRの領域BR1ではなく、バリア層BRの領域BR2が存在している。一方、ゲート電極GEのソース電極側端部EGSは、バリア層BRの領域BR1上に位置している。すなわち、ゲート電極GEのソース電極側端部EGSの直下には、バリア層BRの領域BR2ではなく、バリア層BRの領域BR1が存在している。つまり、ゲート長方向に見ると、ゲート電極GEは、ソース電極側端部EGSがバリア層BRの領域BR1上に位置し、かつ、ドレイン電極側端部EGDがバリア層BRの領域BR2上に位置するように、領域BR1上から領域BR2上にかけて形成されている。
このため、ゲート電極GEは、領域BR2上に位置する部分と、領域BR1上に位置する部分とを有しており、領域BR2上に位置する部分は、領域BR1上に位置する部分よりも、ドレイン電極DE側にある。つまり、ゲート電極GEのうち、ドレイン電極DE側の部分(ドレイン電極側端部EGDを含む)がバリア層BRの領域BR2上に存在し、ゲート電極GEのうち、ソース電極SE側の部分(ソース電極側端部EGSを含む)がバリア層BRの領域BR1上に存在している。
一方、ソース電極SEは、バリア層BRの領域BR1上に形成され、また、ドレイン電極DEは、バリア層BRの領域BR1上に形成されている。このため、ソース電極SEおよびドレイン電極DEの直下には、バリア層BRの領域BR2ではなく、バリア層BRの領域BR1が存在している。
窒化ガリウム(GaN)と窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)とは、結晶構造は基本的には同じであり、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)は、窒化ガリウム(GaN)の結晶構造のGaサイトにAl(アルミニウム)原子が配置された結晶構造を有している。ベガード則より、Ga(ガリウム)とAl(アルミニウム)との原子半径の違いを反映して、窒化ガリウム(GaN)に比べて、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の格子定数は小さく、バンドギャップは広い。つまり、Al(アルミニウム)の組成比が高くなるほど、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の格子定数は小さく、バンドギャップは広くなる。
このため、バリア層BRにおいて、領域BR2は、領域BR2以外の領域BR1よりも、Alの組成比が低いため、バリア層BRにおいて、領域BR2の格子定数LTBR2は、領域BR2以外の領域BR1の格子定数LTBR1よりも大きくなる(すなわちLTBR2>LTBR1)。換言すれば、バリア層BRにおいて、領域BR2以外の領域BR1の格子定数LTBR1は、領域BR2の格子定数LTBR2よりも小さくなる(すなわちLTBR1<LTBR2)。従って、チャネル層CHの格子定数LTCHと領域BR2の格子定数LTBR2との差は、チャネル層CHの格子定数LTCHと領域BR1の格子定数LTBR1との差よりも、小さくなる(すなわちLTCH−LTBR2<LTCH−LTBR1)。
ここで、チャネル層CHの格子定数を、格子定数LTCHと称し、領域BR2の格子定数を、格子定数LTBR2と称し、領域BR2以外の領域BR1の格子定数を、格子定数LTBR1と称することとする。
バリア層BRにおいて、領域BR1と領域BR2とでAlの組成比が相違しているが、領域BR1内においては、Al(アルミニウム)の組成比は、ほぼ一定(均一)である。また、領域BR2内においては、Al(アルミニウム)の組成比は、ほぼ一定(均一)である。このため、バリア層BRにおいて、領域BR1と領域BR2とで格子定数は相違しているが、領域BR1内においては、格子定数はほぼ一定である。また、領域BR2内においては、格子定数はほぼ一定である。
<高電子移動度トランジスタの動作例>
HEMT(高電子移動度トランジスタ)の動作例について説明する。ここでは、ノーマリオン型のHEMTを例に挙げて、その動作について説明する。
図2は、ゲート電極にしきい値電圧以下の負電圧が印加されてHEMTがオフしている場合のバンド構造を示す図である。図2の左側にゲート電極を構成する金属のバンド構造が示されており、図2の中央部にAlGaN層のバンド構造が示されている。そして、図2の右側にGaN層のバンド構造が示されている。AlGaN層は上記バリア層BRに相当するものであり、GaN層は上記チャネル層CHに相当するものである。
ここで、ゲート電極には、GaN層に対して負電圧が印加されているため、ゲート電極(金属)のフェルミ準位εFMは、GaN層のフェルミ準位εFS2よりも印加した電圧分だけ高くなる。ゲート電極との界面でのAlGaN層の伝導帯は所定のショットキー障壁高さΦだけ高くなり、また、AlGaN層とGaN層との界面では所定の伝導帯不連続ΔEがあるため、ゲート電極のフェルミ準位εFMが高くなったのに伴い、伝導帯が引きずられて上昇する。その結果、AlGaN層とGaN層との界面には2次元電子ガスが形成されないため、ソース電極SEとドレイン電極DEを電気的に接続するチャネルが形成されない。この結果、HEMTは、ゲート電極にしきい値電圧以下の負電圧が印加されている場合、オフする。オフした状態で、ソース電極とドレイン電極との間に電位差を生じさせても、チャネルに電流は流れない、すなわちソース電極とドレイン電極との間に電流は流れない(但しリーク電流は除く)。なお、AlGaN層の伝導帯とGaN層の伝導帯のエネルギー差から、AlGaN層の伝導帯とGaN層の伝導帯との間には所定の伝導帯不連続ΔEが形成されている。
図3は、ゲート電極に0Vの電圧が印加されてHEMTがオンしている場合のバンド構造を示す図である。図3の左側にゲート電極を構成する金属のバンド構造が示されており、図3の中央部にAlGaN層のバンド構造が示されている。そして、図3の右側にGaN層のバンド構造が示されている。AlGaN層は上記バリア層BRに相当するものであり、GaN層は上記チャネル層CHに相当するものである。
ここで、ゲート電極には0Vが印加されていることから、ゲート電極を構成する金属のフェルミ準位εFMと、GaN層のフェルミ準位εFS2は等しくなる。このとき、AlGaN層の伝導帯とGaN層の伝導帯との間に形成されている伝導帯不連続ΔEに起因して、AlGaN層とGaN層との界面にフェルミ準位よりも低い位置にポテンシャル井戸が形成される。この結果、このポテンシャル井戸に電子が蓄積され、2次元電子ガスが形成される。これにより、ゲート電極に0Vの電圧が印加されている場合、AlGaN層とGaN層との界面に2次元電子ガスが形成され、ソース電極SEとドレイン電極DEとを電気的に接続するチャネルが形成されることになる。この結果、HEMTは、ゲート電極に0Vの電圧が印加されている場合、オンする。オンした状態で、ソース電極とドレイン電極との間に電位差を生じさせると、チャネルに電流が流れる(すなわちチャネルを介してソース電極とドレイン電極との間に電流が流れる)。
以上のようにして、ゲート電極に印加する電圧を制御することにより、HEMTのオン/オフ動作を実現できることがわかる。
また、ノーマリオン型のHEMTを例に挙げて、その動作について説明したが、他の形態として、ノーマリオフ型のHEMTとすることもできる。ノーマリオフ型の場合は、ゲート電極に正電圧を印加しない場合はオフする。ノーマリオフ型の場合、上記バリア層BR上に、p型キャップ層(p型半導体層)を介して上記ゲート電極GEを形成すればよく、このp型キャップ層は、p型不純物を導入した窒化ガリウム(GaN)層またはp型不純物を導入した窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層などにより形成することができる。
<半導体装置の製造工程について>
上記図1の半導体装置の製造工程の一例について、図4〜図15を参照して説明する。図4〜図15は、本実施の形態の半導体装置の製造工程の一例を示す要部断面図であり、上記図1に相当する領域の断面図が示されている。
上記図1の半導体装置を製造するには、まず、図4に示されるように、基板SUBを用意する。
基板SUBは、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板(単結晶シリコン基板)であるが、他の形態として、サファイア基板、あるいは炭化シリコン(SiC)基板などを用いることもできる。また、基板SUBとして、窒化ガリウム(GaN)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などからなる窒化物半導体基板を用いることも可能であり、この場合、基板SUBと、後で形成するチャネル層CHとが格子整合できるため、バッファ層BUFを薄く、または、無くすこともできる。
次に、図5に示されるように、基板SUB上に、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)法を用いることにより、エピタキシャル層であるバッファ層BUFを形成する。バッファ層BUFは、例えば、基板SUBと、バッファ層BUF上に形成されるチャネル層CHとの格子定数差を緩和する目的で形成される。
次に、バッファ層BUF上に、例えば、MOCVD法を用いることにより、アンドープ(ノンドープ)の窒化ガリウム(GaN)からなるエピタキシャル層であるチャネル層CHを形成する。チャネル層CHの厚みは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
次に、図6に示されるように、チャネル層CH上に、例えば、MOCVD法を用いることにより、アンドープ(ノンドープ)の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるエピタキシャル層であるバリア層BR11を形成する。バリア層BR11の厚みは、例えば5〜30nm程度とすることができる。
次に、図7に示されるように、バリア層BR11上に、例えば、CVD法などを用いることにより、絶縁膜として酸化シリコン膜SOXを形成する。
次に、酸化シリコン膜SOX上に、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストパターンPR1を形成する。
次に、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて酸化シリコン膜SOXをエッチングする。これにより、酸化シリコン膜SOXに開口部OP1が形成され、開口部OP1の底部でバリア層BR11が露出される。その後、フォトレジストパターンPR1が除去されて、図8の構造が得られる。
次に、図9に示されるように、酸化シリコン膜SOXをエッチングマスク(ハードマスク)として用いてバリア層BR11をエッチングする。これにより、酸化シリコン膜SOXの開口部OP1から露出していた部分のバリア層BR11が除去されて、バリア層BR11にも開口部OP1が形成され、開口部OP1の底部でチャネル層CHが露出される。バリア層BR11の開口部OP1は、酸化シリコン膜SOXの開口部OP1とほぼ整合しているため、バリア層BR11と酸化シリコン膜SOXとの積層膜に開口部OP1が形成された状態となる。
次に、図10に示されるように、バリア層BR11の開口部OP1の底部で露出するチャネル層CH上と、バリア層BR11の開口部OP1の側壁上とに、アンドープ(ノンドープ)の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるエピタキシャル層であるバリア層BR12を選択的に成長(エピタキシャル成長)させる。この際、バリア層BR11の開口部OP1内がバリア層BR12で埋まって、バリア層BR12の上面がバリア層BR11の上面とほぼ同じ高さになるように、バリア層12を形成すれば、より好ましい。開口部OP1から露出する部分以外のバリア層BR11の上面上には、酸化シリコン膜SOXが形成されており、酸化シリコン膜SOX上にはバリア層BR12は成長しない。このため、バリア層BR12は、バリア層BR11の開口部OP1内を埋めるように形成されることになる。
バリア層BR11とバリア層BR12とは、どちらも窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるが、成膜ガスを調整することなどにより、バリア層BR12は、バリア層BR11よりも、Alの組成比が低くなるように、形成される。
次に、図11に示されるように、酸化シリコン膜SOXをエッチングなどにより除去する。これにより、バリア層BR11,BR12の上面が露出される。
バリア層BR11と、バリア層BR11の開口部OP1内を埋めるバリア層BR12とにより、上記バリア層BRが形成される。すなわち、バリア層BR11とバリア層BR12とを合わせたものが、上記バリア層BRであり、バリア層BR11が上記領域BR1となり、バリア層BR12が上記領域BR2となる。
次に、バリア層BR上に、ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEを形成する。ゲート電極GEは、例えば、ニッケル(Ni)層と金(Au)層との積層膜により形成することができる。また、ソース電極SEおよびドレイン電極DEは、例えば、チタン(Ti)層とチタン層上のアルミニウム(Al)層との積層膜により形成することができるが、チタン(Ti)層とアルミニウム(Al)層とが反応して合金化する場合もあり得る。また、ソース電極SEおよびドレイン電極DEは、アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)と金(Au)との合金により形成されていてもよい。
ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEは、例えば、導電膜をパターニングする手法や、あるいはリフトオフ法などを用いて、形成することができる。一例を挙げると、次のように行うことができる。
すなわち、まず、図12に示されるように、ソース電極SE形成予定領域およびドレイン電極DE形成予定領域に開口部OP2を有するフォトレジストパターンPR2を、フォトリソグラフィ法を用いてバリア層BR上に形成してから、フォトレジストパターンPR2上とフォトレジストパターンPR2から露出するバリア層BR上とに金属膜ME1を形成する。金属膜ME1は、例えばチタン(Ti)膜と該チタン膜上のアルミニウム(Al)膜との積層膜からなる。それから、図13に示されるように、フォトレジストパターンPR2を除去することにより、フォトレジストパターンPR2と一緒にフォトレジストパターンPR2上の金属膜ME1も除去(リフトオフ)する。これにより、バリア層BR上のソース電極SE形成予定領域およびドレイン電極DEの形成予定領域に金属膜ME1が選択的に残存することで、ソース電極SEおよびドレイン電極DEが形成される。それから、熱処理を行うことにより、ソース電極SEとバリア層BRとの間と、ドレイン電極DEとバリア層BRとの間の、オーミック接触を取る。
次に、図14に示されるように、ゲート電極GE形成予定領域に開口部OP3を有するフォトレジストパターンPR3を、フォトリソグラフィ法を用いてバリア層BR上に形成してから、フォトレジストパターンPR3上とフォトレジストパターンPR3から露出するバリア層BR上とに金属膜ME2を形成する。金属膜ME2は、例えばニッケル(Ni)膜と該ニッケル膜上の金(Au)膜との積層膜からなる。それから、図15に示されるように、フォトレジストパターンPR3を除去することにより、フォトレジストパターンPR3と一緒にフォトレジストパターンPR3上の金属膜ME2も除去(リフトオフ)する。これにより、バリア層BR上のゲート電極GE形成予定領域に金属膜ME2が選択的に残存することで、ゲート電極GEが形成される。ゲート電極GEとバリア層BRとの接触はショットキー接触となっている。
このようにして、ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEを形成することができる。寸法の一例をあげれば、ゲート電極GEのゲート長方向の寸法は、例えば500〜600nm程度とすることができ、ソース電極SEとゲート電極GEとの間隔は、例えば1000nm程度とすることができ、ドレイン電極DEとゲート電極GEとの間隔は、例えば3000〜4000nm程度とすることができる。耐圧の関係で、ドレイン電極DEとゲート電極GEとの間隔は、ソース電極SEとゲート電極GEとの間隔よりも大きいことが好ましい。
以上のようにして、図15に対応する上記図1の半導体装置を製造することができる。
また、ここでは、上記図1の半導体装置を製造する手法の一例を示したが、他の手法(製造工程)を用いて上記図1の半導体装置を製造することもできる。
<比較例について>
窒化物半導体は、SiやGaAsに比べてワイドバンドギャップで、高電子速度であるため、高耐圧、高出力、高周波用途でのトランジスタへの応用が期待されており、近年、盛んに開発が進められている。その中で、従来性能を上回る高耐圧、高出力、高効率特性が得られている一方、信頼性などに課題が生じている。
窒化物半導体は圧電性が強く、電界が印加されると、逆ピエゾ効果により歪(応力)が発生する。そのため、電界が集中する箇所(ゲート電極のドレイン電極側端部の下方)において窒化物半導体中に大きい歪(応力)が発生して、結晶欠陥が生じやすくなる。この結晶欠陥により、ドレイン電流の劣化やゲートリーク電流の増大などが引き起こされ、半導体装置の性能や信頼性の低下を招く虞がある。このため、窒化物半導体において電界が集中する箇所(ゲート電極のドレイン電極側端部の下方)での結晶欠陥の発生を抑制することが望まれる。例えば、AlGa1−xN/GaNのヘテロ接合を有する電界効果トランジスタにおいては、Alの組成比xが大きいほどGaNよりAlGa1−xNの格子定数が小さくなり、発生する歪が大きくなるので、逆ピエゾ効果による結晶欠陥が発生しやすくなる。
以下、図16の比較例の半導体装置を参照して具体的に説明する。
図16は、比較例の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に相当するものである。図17は、図16の比較例の半導体装置のバリア層BR101における電界強度をシミュレーションした結果を示すグラフである。図17は、図16のバリア層BR101における一点鎖線LN1の位置での電界強度分布が示されており、図17のグラフの縦軸は電界強度(基板SUBの主面に垂直な方向の電界の強度)に対応し、図17のグラフの横軸は、バリア層BR101における位置に対応しているが、ソース電極SE101のゲート電極側端部SE101aからの距離(ゲート長方向に沿った距離)として表されている。なお、図17には、ドレイン電極(DE101)とソース電極(SE101)との間に与えた電位差Vdsが、10Vの場合(「Vds=10V」の場合に対応)と、50Vの場合(「Vds=50V」の場合に対応)と、100Vの場合(「Vds=100V」の場合に対応)と、200Vの場合(「Vds=200V」の場合に対応)とが、それぞれ示されている。
図18は、AlGaN層(バリア層BR101)とGaN層(チャネル層CH101)の積層構造における伝導帯のエネルギーとキャリア密度とを示すグラフである。図18のグラフの横軸は、AlGaN層(バリア層BR101)とGaN層(チャネル層CH101)との積層構造における深さ位置(AlGaN層の上面からGaN層に向かう方向の深さ位置)に対応している。図18のグラフの縦軸は、伝導帯端のエネルギー、あるいはキャリア密度に対応している。すなわち、図18のグラフには、深さ方向における伝導帯端のエネルギーを示すグラフと、深さ方向におけるキャリア密度の分布を示すグラフとが一緒に記載されている。また、図18には、AlGaN層(バリア層BR101)におけるAlの組成比x(AlGaNをAlGa1−xNと表記したときのxの値)が0.25の場合と、0.2の場合と、0.15の場合とが、それぞれ示されている。
図19は、シート抵抗のAl組成比依存性を示すグラフである。図19の縦軸は、チャネルのシート抵抗に対応している。シート抵抗は、TLM(Transmission Line Model)法による測定で求めた値である。図19のグラフの横軸は、AlGaN層におけるAlの組成比であり、AlGaNをAlGa1−xNと表記したときのxの値に対応している。
図16の比較例の半導体装置では、基板SUB101上に、バッファ層BUF101を介して、窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層CH101が形成され、チャネル層CH101上に、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるバリア層(電子供給層)BR101が形成されている。バリア層BR101上には、ソース電極SE101、ドレイン電極DE101およびゲート電極GE101が、互いに離間して形成されており、ゲート電極GE101は、ソース電極SE101とドレイン電極DE101との間に配置されている。
なお、ソース電極SE101の端部(側面)のうち、ゲート電極GE101に対向する側の端部(側面)をゲート電極側端部SE101aと称し、ドレイン電極DE101の端部(側面)のうち、ゲート電極GE101に対向する側の端部(側面)をゲート電極側端部DE101aと称する。また、ゲート電極GEの端部(側面)のうち、ドレイン電極DEに対向する側の端部(側面)をドレイン電極側端部EGD101と称し、ソース電極SEに対向する側の端部(側面)をソース電極側端部EGS101と称する。ドレイン電極側端部EGD101は、上記ドレイン電極側端部EGDに対応するものであり、ソース電極側端部EGS101は、上記ソース電極側端部EGSに対応するものである。また、ゲート電極側端部SE101aは、上記ゲート電極側端部SE1に対応するものであり、ゲート電極側端部DE101aは、上記ゲート電極側端部DE1に対応するものである。
図16の比較例の半導体装置では、バリア層BR101は、Alの組成比が、バリア層BR101内で一定(均一)である。このため、バリア層BR101の格子定数は、バリア層BR101内でほぼ一定である。
図16の比較例の半導体装置では、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるバリア層BR101と、窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層CH101との間にヘテロ接合が形成されている。このようなヘテロ接合(AlGaN/GaNヘテロ接合)を有する電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)において、基板SUB101の主面に垂直な方向の電界がバリア層BR101(AlGaN層)に印加されると、逆ピエゾ効果により、電界強度に比例してバリア層BR101(AlGaN層)内に基板SUB101の主面に平行な方向に歪(応力)が発生する。窒化ガリウム(GaN)系半導体は、圧電性が強く、電界がかかると逆ピエゾ効果により歪(応力)が発生するからである。歪が大きくなると結晶欠陥が発生し、トランジスタ素子の劣化につながるため、歪を抑制することが望まれる。
バリア層BR101(AlGaN層)に発生する歪は、バリア層BR101(AlGaN層)とチャネル層CH101(GaN層)との格子定数差によって発生する歪と、印加された電界により逆ピエゾ効果によって発生する歪との和になる。
バリア層BR101において、電界が集中しやすいのは、図17からも分かるように、ゲート電極GE101のドレイン電極側端部EGD101の直下の領域とその近傍領域であり、図16において、点線DLで囲まれた領域にほぼ対応している。このため、バリア層BR101において、ゲート電極GE101のドレイン電極側端部EGD101の直下の領域とその近傍領域では、電界が集中することにより引っ張り歪(引っ張り応力)が生じて、結晶欠陥が発生しやすくなる。これは、ドレイン電流の劣化や、ゲートリーク電流が増大するなど、トランジスタ素子の特性の劣化につながる。
ここで、バリア層BR101における引っ張り歪(引っ張り応力)を減らすために、バリア層BR101におけるAl組成比を減少させた場合、オン抵抗が高くなるという不具合が発生する。図18から分かるように、AlGaN層(バリア層BR101)全体のAl組成を低くすると、チャネル層CH101とバリア層BR101との間の伝導帯不連続が減少するのに加え、自発性分極やピエゾ分極により発生する分極電荷が小さくなるため、AlGaN層(バリア層BR101)中に発生する電界が小さくなり、GaN層(チャネル層CH101)に形成される2次元電子ガスの濃度(キャリア濃度)が下がる。この結果、チャネル抵抗が増加しオン抵抗が増加してしまう。この抵抗増加は、図19のグラフからも実際に確認される。
<本実施の形態の主要な特徴について>
上述のように、バリア層BRでは、基板SUBの主面に垂直な方向の電界が印加されることにより、逆ピエゾ効果が発生してバリア層BRに引っ張り歪(引っ張り応力)が発生する。逆ピエゾ効果により発生する歪は電界に比例するため、電界が集中する箇所があると、その電界集中箇所で、逆ピエゾ効果は最も大きくなって、引っ張り歪(引っ張り応力)も大きくなる。すなわち、電界が小さい箇所に比べて電界が大きい箇所では、逆ピエゾ効果による歪が大きくなるため、電界が集中する箇所で歪が最も大きくなる。
本実施の形態では、バリア層BRにおいて、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域では、電界が集中して引っ張り歪(引っ張り応力)が大きくなるため、Alの組成比を小さくし、電界が印加されていない状態での引っ張り歪(引っ張り応力)を小さくしている。Alの組成比を調整するのは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の格子定数は、Alの組成比が大きいほど、小さくなるためである。バリア層BRにおいて、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域では、Alの組成比を低くしたことにより、格子定数を大きくすることができる。
すなわち、本実施の形態では、上記図1に示されるように、バリア層BRに、Alの組成比が相対的に低い領域(従って格子定数が相対的に大きい領域)である領域BR2を局所的に設け、この領域BR2上に、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDが位置するようにしている。つまり、バリア層BRにおいて、逆ピエゾ効果が生じやすい領域は、他の領域(逆ピエゾ効果があまり生じない領域)に比べて、Alの組成比を低くして(従って格子定数を大きくして)引っ張り歪(引っ張り応力)をあらかじめ小さくしておく。バリア層BRにおいて、逆ピエゾ効果が生じやすい領域とは、電界が集中しやすい領域であり、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域である。この領域を、Alの組成比が相対的に低い領域BR2にする。それ以外の領域は、領域BR2よりもAlの組成比が高い領域BR1にする。
ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下に電界が集中しやすい(従って逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が発生しやすい)ため、予めゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域(すなわち領域BR2)では、Alの組成比を低くして格子定数を大きくしておくことで、チャネル層CHとの格子定数差により発生する引っ張り歪(引っ張り応力)と電界集中による逆ピエゾ効果に起因した引っ張り歪(引っ張り応力)との和を小さくすることができる。そして、電界が集中しない領域BR1では、領域BR2よりもAl組成比を高くしているため、領域BR1の直下のチャネル抵抗を低くすることができる。この結果、バリア層BR全体のAl組成を下げる場合と比較し、オン抵抗が悪化するのを抑制することができる。
図20は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のAlの組成比と歪の関係を示すグラフである。
図20のグラフの横軸は、窒化アルミニウムガリウムをAlGa1−xNと表記したときのxの値に対応している。このxの値が大きいほど、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)におけるAlの組成比が高いことになる。
図20の縦軸は、GaN(窒化ガリウム)を基準にしたときの、AlGa1−xN中に発生する歪であり、任意単位(a.u.:arbitrary unit)で表記してある。具体的には、図20の縦軸の歪は、GaN(窒化ガリウム)を基準にしたときの、AlGa1−xN中に発生する引っ張り歪に対応している。
また、図20のグラフには、AlGa1−xNに電界を印加しなかった場合(「0V/cm」の場合に対応)と、1MV/cmの電界を印加した場合と、3MV/cmの電界を印加した場合とが、それぞれ示されている。
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の格子定数は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)におけるAlの組成比に依存しており、Alの組成比が高くなるほど、格子定数が小さくなる。すなわち、窒化アルミニウムガリウムをAlGa1−xNと表記すると、AlGa1−xNにおけるxが大きくなるほど、AlGa1−xNの格子定数は小さくなる。このため、図20のグラフに示されるように、AlGa1−xNにおけるxが大きくなるほど、図20のグラフの縦軸の歪は大きくなる。
一方、AlGa1−xNのxが同じ場合に、そのAlGa1−xNに電界を印加すると、逆ピエゾ効果が起きて引っ張り歪が大きくなり、印加される電界が大きいほど、引っ張り歪は大きくなる。このため、図20のグラフに示されるように、電界を印加しない場合(「0V/cm」の場合に対応)に比べて、電界を印加した場合(「1MV/cm」の場合と「3MV/cm」の場合に対応)は、AlGa1−xN中に発生する引っ張り歪は大きくなり、図20のグラフの縦軸の歪は大きくなる。また、印加する電界が小さい場合(「1MV/cm」の場合に対応)に比べて、印加する電界が大きい場合(「3MV/cm」の場合に対応)の方が、AlGa1−xN中に発生する引っ張り歪はより大きくなり、図20のグラフの縦軸の歪は、より大きくなる。
AlGaN層(より特定的にはAlGa1−xN層)に均一に電界が印加された場合には、逆ピエゾ効果により、AlGaN層全体でほぼ均一な歪が発生するが、AlGaN層において、電界が集中する箇所があると、そこだけ局所的に逆ピエゾ効果による歪が大きくなる。このため、均一なAl組成のAlGaNバリア層においては、電界が集中した箇所で局所的に大きな歪が発生するので、その層において結晶欠陥が発生することにつながる。この結晶欠陥により、AlGaN層を用いた半導体装置の性能や信頼性を低下させてしまう虞がある。
それに対して、AlGaN層(より特定的にはAlGa1−xN層)において、電界集中が予想される箇所についてAlの組成比を局所的に低くしておけば、電界集中が予想される箇所の格子定数は、他の領域(電界集中が予想されない領域)の格子定数に比べて大きくなり、発生する引っ張り歪(引っ張り応力)を小さくしておくことができる。これにより、電界を印加したときのAlGaN層において、電界が集中した箇所に発生するトータルの歪を小さくすることができる。これは、電界集中が予想される箇所でAlの組成比を低くして電界印加前の引っ張り歪(引っ張り応力)を小さくしていたためである。
つまり、AlGaN層内でAlの組成比が一定である場合に比べて、AlGaN層において電界集中が予想される箇所でAlの組成比を局所的に低くした場合の方が、AlGaN層に電界が印加されたときに、電界が集中した箇所と他の領域(電界が集中しない領域)とに発生する歪の差を小さくすることができる。別の見方をすると、AlGaN層内で格子定数が一定である場合に比べて、電界集中が予想される箇所で格子定数を局所的に大きくしていた場合の方が、AlGaN層に電界が印加されたときに、電界が集中した箇所と他の領域(電界が集中しない領域)との歪の差を小さくすることができる。これにより、電界集中する箇所における歪(トータルの歪)を抑制することができ、結晶欠陥が発生することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。
これを受けて、本実施の形態の設計思想は、次の2つがある。
第1の観点として、バリア層BRにおいて、電界印加時に電界集中が予想される箇所の格子定数を、他の領域(電界集中が予想されない領域)の格子定数よりも大きくしておくことである。
第2の観点として、アルミニウム(Al)を含有するバリア層BRにおいて、電界印加時に電界集中が予想される箇所のAlの組成比を、他の領域(電界集中が予想されない領域)のAlの組成比よりも低くしておくことである。
アルミニウムを含有するバリア層BRにおいて、Alの組成比が低いことは、格子定数が大きいことにつながるため、上記第1の観点と上記第2の観点とは、設計思想は基本的に同じである。すなわち、バリア層BRにおける格子定数の分布に着目したのが、上記第1の観点であり、バリア層BRにおけるAlの組成比の分布に着目したのが、上記第2の観点である。すなわち、上記第2の観点を満たすようにバリア層BRを形成すれば、上記第1の観点を達成することができる。
図21は、本実施の形態の半導体装置の説明図であり、上記図1のうち、チャネル層CHよりも上の構造(すなわちチャネル層CHとバリア層BRとソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GE)を示し、基板SUBとバッファ層BUFとの図示を省略したものである。なお、図21は、断面図であるが、図面を見やすくするために、ハッチングは省略してある。また、図22は、バリア層BRにおけるAlの組成比を示すグラフであり、図23は、バリア層BRにおける格子定数を示すグラフである。図22のグラフの縦軸は、バリア層BRにおけるAlの組成比に対応し、図23のグラフの縦軸は、バリア層BRにおける格子定数に対応している。図22および図23の各グラフの横軸は、バリア層BRにおける位置に対応しており、バリア層BRをゲート長方向(ゲート電極GEのゲート長方向)に沿って見たときの位置が示されている。
バリア層BRにおいて、電界印加時に電界が集中する箇所は、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域である。このため、上記第1の観点と第2の観点を満たすようにバリア層BRを設計するには、次のようにすることが好ましい。
図21に示されるように、バリア層BRは、第1領域RG1と第2領域RG2と第3領域RG3とを有している。上記第2の観点で言うと、第3領域RG3は、第1領域RG1および第2領域RG2よりも、Al(アルミニウム)の組成比が低く(図22参照)、また、上記第1の観点で言うと、第3領域RG3は、第1領域RG1および第2領域RG2よりも、格子定数が大きい(図23参照)。
つまり、第3領域RG3のAl組成比は、第1領域RG1のAl組成比および第2領域RG2のAl組成比よりも低く、従って、第3領域RG3の格子定数は、第1領域RG1の格子定数および第2領域RG2の格子定数よりも大きい。
ここで、第3領域RG3は、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下およびその近傍の領域である。第1領域RG1は、ソース電極端SE1の直下から、第3領域RG3よりもソース電極SE側の領域である。第2領域RG2は、ドレイン電極端DE1の直下から、第3領域RG3よりもドレイン電極DE側の領域である。この第3領域RG3は、上記領域BR2であり、第1領域RG1は上記領域BR1の一部であり、第2領域RG2は上記領域BR1の他の一部である。
バリア層BRの断面において、第1領域RG1と第2領域RG2と第3領域RG3とは、具体的には、次のような範囲にある。ここで、「バリア層BRの断面」とは、ソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GEとをゲート長方向(ゲート電極GEのゲート長方向)に横切るような断面に対応し、上記図1の断面や図21の断面も、これに対応する。
すなわち、バリア層BRの断面において、第1領域RG1は、ソース電極SEのゲート電極側端部SE1の直下から、ゲート電極GEにおけるゲート長方向の途中の第1位置P1の直下までの領域である。また、バリア層BRの断面において、第2領域RG2は、ドレイン電極DEのゲート電極側端部DE1の直下から、ゲート電極GEとドレイン電極DEとの間の第2位置P2の直下までの領域である。また、バリア層BRの断面において、第3領域RG3は、第1位置P1の直下から、第2位置P2の直下までの領域である。
第1位置P1は、ゲート長方向に沿って見たときの第1領域RG1と第3領域RG3との境界の位置であり、ゲート電極GEにおけるゲート長方向の途中に位置している。また、第2位置P2は、ゲート長方向に沿って見たときの第3領域RG3と第2領域RG2との境界の位置であり、ゲート電極GEとドレイン電極DEとの間に位置している。
このため、バリア層BRの表面において、ゲート長方向に沿って見ると、第1位置P1(すなわち第1領域RG1と第3領域RG3との境界の位置)は、ゲート電極GEのソース電極側端部EGSとドレイン電極側端部EGDとの間にある。また、バリア層BRの表面において、ゲート長方向に沿って見ると、第2位置P2(すなわち第3領域RG3と第2領域RG2との境界の位置)は、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDとドレイン電極DEのゲート電極側端部DE1との間にある。
また、バリア層BRの断面において、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下には、第3領域RG3が存在しており、ゲート電極GEのソース電極側端部EGSの直下には、第1領域RG1が存在している。
また、バリア層BRの断面において、ゲート長方向に沿って見たときに、第3領域RG3は、第1領域RG1と第2領域RG2との間にあり、第1領域RG1と第2領域RG2との両方に隣接している。
本実施の形態では、第1領域RG1および第2領域RG2よりも第3領域RG3を、低Al組成とし、それによって、第3領域RG3の格子定数を、第1領域RG1および第2領域RG2の格子定数よりも大きくする。
バリア層BRにおいて、電界印加時に電界が集中する箇所は、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDの直下の領域とその近傍領域(すなわち第3領域RG3)である。従って、バリア層BRにおいて、第3領域RG3に電界が集中し、他の領域(第1領域RG1および第2領域RG2)では、第3領域RG3に比べて電界が集中しない。このため、電界印加により発生する逆ピエゾ効果による歪は、第3領域RG3以外の領域(第1領域RG1および第2領域RG2を含む)に比べて、電界が集中する第3領域RG3において大きくなる。
本実施の形態とは異なり、電界が集中しやすい第3領域RG3について、第1領域RG1および第2領域RG2と同じAl組成比にした場合、第3領域RG3の電界印加前の歪が第1領域RG1および第2領域RG2の電界印加前の歪と同じになり、電界が印加されたときに、電界が集中した第3領域RG3に発生するトータルの歪が、第1領域RG1および第2領域RG2に比べ非常に大きくなる。
それに対して、本実施の形態では、電界が集中しやすい第3領域RG3について、第1領域RG1および第2領域RG2よりもAl組成を低くし(従って第3領域RG3の格子定数を第1領域RG1および第2領域RG2の格子定数よりも大きくし)、それによって、第3領域RG3の電界印加前の歪を、第1領域RG1および第2領域RG2の電界印加前の歪よりも小さくする。これにより、電界を印加したときの第3領域RG3に発生するトータルの歪を抑制することができる。このため、電界が印加されたときに、バリア層BR内において結晶欠陥が発生することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、歪による結晶欠陥の発生を抑制または防止できることで、逆ピエゾ効果により結晶欠陥が発生する電界強度を高くすることができる。このため、バリア層BRに対して、より高い電界を印加することが可能になり、高電圧動作が可能になる。すなわち、ソース電極SEとドレイン電極DEとの電位差Vdsを、より高く設定することが可能になる。
また、上記図18および図19からも分かるように、AlGaNからなるバリア層全体のAl組成比を低くすると、バリア層とチャネル層との間の伝導帯不連続の減少に加え、自発性分極やピエゾ分極により発生する分極電荷が小さくなることによりバリア層中に発生する電界が小さくなる。この結果、チャネル層に形成される2次元電子ガスの濃度(キャリア濃度)が下がり、チャネル抵抗が増加してしまう。
本実施の形態では、第3領域RG3のAl組成比よりも、第1領域RG1のAl組成比と第2領域RG2のAl組成比を高くしている。第1領域RG1のAl組成比と第2領域RG2のAl組成比とが高くなっているため、第1領域RG1および第2領域RG2の直下に形成される2次元電子ガス濃度を高めることができる。その結果、バリア層全体のAl組成比を低くする場合と比較し、チャネル抵抗を低くすることができる。チャネル抵抗の低減により、高周波特性を向上させることが可能となる。
ここで、第1領域RG1および第2領域RG2のAl組成比をそれぞれ一定にした上で、第3領域RG3のAlの組成比を低下させることが好ましい。すなわち、第1領域RG1および第2領域RG2のAl組成比がそれぞれ一定ではなく、第1領域RG1および第2領域RG2内に、Al組成比が高い箇所と低い箇所とがあると、Al組成比が低い箇所に起因した2次元電子ガス濃度の低下を招き、抵抗の増加につながる虞がある。
それに対して、第1領域RG1および第2領域RG2のAl組成比が一定であれば、第1領域RG1および第2領域RG2内に相対的に低Al組成比の箇所が生じないため、2次元電子ガスの濃度(キャリア濃度)を高いレベルに維持することができ、抵抗低減(ソース抵抗の低減、ドレイン抵抗の低減、およびチャネル抵抗の低減)を図ることができる。このため、出力パワーまたは出力効率などを向上することができ、半導体装置の性能を更に向上することができる。
つまり、本実施の形態では、第1領域RG1および第2領域RG2のAl組成比をそれぞれ一定(均一)にしながら、電界集中が予想される第3領域RG3だけを低Al組成比にすることが好ましい。換言すれば、バリア層BRにおいて、電界集中が予想される第3領域RG3だけを低Al組成比にし、他の領域は、Alの組成比を一定(均一)にすることが好ましい。これにより、2次元電子ガスの濃度を高いレベルに維持しながら、電界印加時の歪(応力)に起因した結晶欠陥の発生を抑制または防止することができ、半導体装置の性能を、より向上させることができるようになる。
このような観点から、バリア層BRの第1領域RG1のAl組成比は、一定(特にゲート長方向の組成分布が一定)であり、かつ、バリア層BRの第2領域RG2のAl組成比は、一定(特にゲート長方向の組成分布が一定)であることが好ましい。すなわち、バリア層BRの第1領域RG1の格子定数は一定(特にゲート長方向の格子定数の分布が一定)であり、バリア層BRの第2領域RG2の格子定数は一定(特にゲート長方向の格子定数の分布が一定)であることが好ましい。更に、バリア層BRの第1領域RG1と第2領域RG2とで、Al(アルミニウム)の組成比が同じであることが好ましい。これにより、2次元電子ガスの濃度を高いレベルに維持することができるため、半導体装置の性能を、より向上させることができる。なお、バリア層BRの第1領域RG1と第2領域RG2とで、Alの組成比が同じであれば、第1領域RG1と第2領域RG2とで格子定数は同じになり、電界を印加していないときに第1領域RG1と第2領域RG2とで発生する歪は同じになる。
また、第1領域RG1および第2領域RG2でそれぞれAl組成比を一定にし、かつ、第1領域RG1のAlの組成比と第2領域RG2のAlの組成比とを同じにすれば、バリア層BRの形成が容易になる。例えば、第1領域RG1と第2領域RG2とを、共通の半導体層により形成することができるようになる。
このように、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間において、バリア層BRにおけるAl(アルミニウム)の組成比は、ソース電極SEから位置P1までと、位置P2からドレイン電極DEまでとは、一定の値であり、位置P1から位置P2までは、それよりも低いAl組成比となっていることが好ましい。従って、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間において、バリア層BRにおける格子定数は、ソース電極SEから位置P1までと、位置P2からドレイン電極DEまでとは、一定の値であり、位置P1から位置P2までは、それよりも大きな格子定数となっていることが好ましい。
また、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第1位置P1までの距離L1と、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第2位置P2までの距離L2とは、それぞれ50nm以上であることが好ましい(すなわちL1≧50nm、L2≧50nm)。ここで、距離L1,L2は、バリア層BRの表面(上面)に沿って、ゲート電極GEのゲート長方向に測ったときの距離である。距離L1,L2が短すぎると、領域RG3よりも外側の領域(すなわち第1領域RG1および第2領域RG2の一部)でも高電界が印加される領域が発生してしまい、電界印加時の逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が増加する虞がある。上記図17からも分かるように、電界が集中するのは、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDからのゲート長方向の距離が概ね50nm以内の領域である。
このため、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第1位置P1までの距離L1と、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第2位置P2までの距離L2とを、それぞれ50nm以上(すなわちL1≧50nm、L2≧50nm)に設定すれば、電界が集中する領域を領域RG3内に収めることができる。領域RG3よりも外側の領域(すなわち第1領域RG1および第2領域RG2)では、電界があまり集中しなくなるため、電界印加時の逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)に起因した結晶欠陥の発生を、的確に抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能を、的確に向上させることができる。
また、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第1位置P1までの距離L1と、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第2位置P2までの距離L2とは、それぞれ250nm以下であることが好ましい(すなわちL1≦250nm、L2≦250nm)。距離L1,L2が長すぎると、低Al組成比である領域RG3のゲート長方向の寸法が大きくなり、2次元電子ガスの濃度が低下する虞がある。
製造工程の変動などに起因して、バリア層BRにおける領域RG3の形成位置がずれる場合があるが、そのずれの程度は200nm以下に抑えることが可能である。このため、製造時の位置ずれを考慮したとしても、位置ずれのマージンは200nmよりも大きくしなくてよい(すなわち、位置ずれのマージンは200nm以下とすることができる)。例えば、設計時に距離L1,L2をそれぞれ250nm(L1=250nm、L2=250nm)に設定しておけば、たとえ最大200nmの位置ずれが生じても、電界集中が生じる領域(ドレイン電極側端部EGDからのゲート長方向の距離が50nm以内の領域)を領域RG3内に収めることができる。従って、ゲート長方向に見て、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDからの距離が250nmよりも大きい領域は、Al組成比が高い(従って格子定数が小さい)領域である第1領域RG1および第2領域RG2とすることが好ましく、これにより、2次元電子ガスの濃度の低下を防止できる。これを別の見方をすると、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第1位置P1までの距離L1と、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第2位置P2までの距離L2とは、それぞれ250nm以下であることが好ましい(すなわちL1≦250nm、L2≦250nm)ことになる。また、ゲート長方向における領域RG3の寸法(第1位置P1から第2位置P2までの距離であり、距離L1と距離L2との合計に対応)は、500nm以下が好ましい(L1+L2≦500nm)。
従って、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第1位置P1までの距離L1と、ゲート電極GEのドレイン電極側端部EGDから第2位置P2までの距離L2とは、それぞれ50nm以上で250nm以下であることが、最も好ましい(すなわち50nm≦L1≦250nm、50nm≦L2≦250nm)。
このように、低Al組成比の第3領域RG3のゲート長方向における寸法(距離L1と距離L2との合計に対応)を増やすことは、2次元電子ガスの濃度(キャリア濃度)を低くし、抵抗増加につながる。このため、ゲート長方向における第3領域RG3の寸法(第1位置P1から第2位置P2までの距離であり、距離L1と距離L2との合計に対応)は、逆ピエゾ効果による結晶欠陥の発生を抑制できる範囲で、可能な限り狭める(小さくする)ことが望ましく、具体的には、100nm以上で500nm以下とすることが好ましい(100nm≦L1+L2≦500nm)。
また、バリア層BRにおいて、第1領域RG1よりも外側(第3領域RG3側とは反対側)の領域RG4は、第1領域RG1と同じAl組成比であることが好ましく、また、第2領域RG2よりも外側(第3領域RG3側とは反対側)の領域RG5は、第2領域RG2と同じAl組成比であることが好ましい。領域RG4は、バリア層BRにおけるソース電極SEの直下の領域とみなすともでき、領域RG5は、バリア層BRにおけるドレイン電極DEの直下の領域とみなすこともできる。
つまり、バリア層BRにおいて、第3領域RG3だけが低Al組成比であり、第3領域RG3以外の領域(第1領域RG1、第2領域RG2、領域RG4および領域RG5)は、第3領域RG3よりも高Al組成比でかつほぼ一定のAl組成比を有していることが好ましい。別の見方をすると、バリア層BRにおいて、第3領域RG3だけが相対的に大きな格子定数を有し、第3領域RG3以外の領域(第1領域RG1、第2領域RG2、領域RG4および領域RG5)は、第3領域RG3よりも小さな格子定数でほぼ一定の格子定数を有していることが好ましい。これにより、電界印加時の逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)に起因した結晶欠陥の発生を抑制または防止することができるとともに、2次元電子ガスの濃度を高いレベルに維持することができ、また、バリア層BRの形成が容易になる。従って、半導体装置の性能を的確に向上させることができるとともに、半導体装置を製造しやすくなる。
また、バリア層BRにおいて、領域BR2(第3領域RG3)の組成をAlGa1−yNと表し、領域BR2以外の領域BR1(第1領域RG1および第2領域RG2)の組成をAlGa1−zNと表した場合、領域BR1におけるAl組成比zと領域BR2におけるAl組成比yとの差は、0.02以上(すなわちz−y≧0.02)が好ましい。上記図20のグラフからも分かるように、Al組成比xを0.02だけ小さくすると、3MV/cmの電界が印加されたときの逆ピエゾ効果を相殺することができる。
このため、領域BR2の組成をAlGa1−yNと表し、領域BR1の組成をAlGa1−zNと表した場合、領域BR1のAl組成比zと領域BR2のAl組成比yとの差を0.02以上(z−y≧0.02)とすることにより、3MV/cmの電界が印加されたときの逆ピエゾ効果を相殺して、逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が追加されたときのトータルの歪を的確に抑制できる。これにより、引っ張り歪(引っ張り応力)による結晶欠陥の発生を的確に抑制または防止することができ、半導体装置の性能や信頼性を的確に向上させることができる。
(実施の形態2)
図24は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に対応するものである。図25は、上記実施の形態1の図1と本実施の形態2の図24とに対応する半導体装置の説明図であり、チャネル層CHよりも上の構造(すなわちチャネル層CHとバリア層BRとソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GE)を示し、基板SUBとバッファ層BUFとの図示を省略してある。図25は、断面図であるが、図面を見やすくするためにハッチングは省略してある。
図26および図27は、チャネル層CHとバリア層BRとの積層構造における厚み方向のAlの組成比の分布を示すグラフであり、図26は上記実施の形態1の場合に対応し、図27は本実施の形態2の場合に対応している。図26および図27の各グラフの縦軸は、Al組成比に対応している。図26および図27の各グラフの横軸は、チャネル層CHとバリア層BRとの積層構造における深さ位置(厚み方向の位置)に対応しており、バリア層BRの表面からの深さが示されている。
なお、図26には、上記実施の形態1の半導体装置において、図25の二点鎖線LN3に沿った位置でのAl組成比の分布が実線で示されている。すなわち、上記実施の形態1の半導体装置において、バリア層BRの第3領域RG3からチャネル層CHにかけてのAl組成比の分布が、図26のグラフに実線で示されている。また、図26には、上記実施の形態1の半導体装置において、図25の二点鎖線LN4,LN5,LN6,LN7に沿った位置でのAl組成比の分布が点線で示されている。なお、二点鎖線LN3はバリア層BRの第3領域RG3を通過し、二点鎖線LN4はバリア層BRの第1領域RG1を通過し、二点鎖線LN5はバリア層BRの第2領域RG2を通過し、二点鎖線LN6はバリア層BRの領域RG4を通過し、二点鎖線LN7はバリア層BRの領域RG5を通過している。上記実施の形態1の半導体装置において、二点鎖線LN4,LN5,LN6,LN7に沿ってみた場合、Al組成比の分布は共通である。また、図26のグラフにおいて、チャネル層CHの範囲内では、実線に重なって点線が存在している。
また、図27には、本実施の形態2の半導体装置において、図25の二点鎖線LN3に沿った位置でのAl組成比の分布が実線で示されている。すなわち、本実施の形態2の半導体装置において、バリア層BRの第3領域RG3からチャネル層CHにかけてのAl組成比の分布が、図27のグラフに実線で示されている。また、図27には、本実施の形態2の半導体装置において、図25の二点鎖線LN4,LN5,LN6,LN7に沿った位置でのAl組成比の分布が点線で示されている。本実施の形態2の半導体装置において、二点鎖線LN4,LN5,LN6,LN7に沿ってみた場合、Al組成比の分布は共通である。また、図27のグラフにおいて、チャネル層CHの範囲内では、実線に重なって点線が存在している。
図24と上記図1とを比べると分かるように、本実施の形態2の半導体装置(図24)が、上記実施の形態1の半導体装置(図1)と相違しているのは、バリア層BRにおいて、上記実施の形態1の上記領域BR2を、本実施の形態2では、領域BR2a,BR2bに置き換えた点である。本実施の形態2の半導体装置の他の構成は、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略し、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
本実施の形態では、バリア層BRにおいて、上記領域BR2を2つの領域BR2a,BR2bに置き換えている。すなわち、本実施の形態では、バリア層BRにおいて、上記第3領域RG3を、領域BR2a,BR2bにより形成している。
領域BR2a,BR2bのうち、領域BR2aが上側(すなわち表面側)であり、領域BR2bが下側(すなわち裏面側)であり、領域BR2aは領域BR2b上に形成され、領域BR2bは領域BR2aの下に形成されている。ここで、バリア層BRにおいて、チャネル層CH側が下側(裏面側)であり、ゲート電極GE側が上側(表面側)である。従って、上記実施の形態1では、第3領域RG3は、領域BR2の一層により形成されていたが、本実施の形態2の場合は、第3領域RG3は、領域BR2aと領域BR2bとの二層により形成される。
上記実施の形態1では、領域BR2におけるAlの組成比は一定であった。すなわち、上記実施の形態1では、第3領域RG3におけるAlの組成比は、一定であった(図26参照)。
それに対して、本実施の形態2では、領域BR2aと領域BR2bとは、Alの組成比が同じではなく、領域BR2aにおけるAlの組成比は、領域BR2bにおけるAlの組成比よりも低い(小さい)。換言すれば、領域BR2bにおけるAlの組成比は、領域BR2aにおけるAlの組成比よりも高い(大きい)。従って、領域BR2aの組成をAlαGa1−αNと表し、領域BR2bの組成をAlβGa1−βNと表すと、0≦α<β≦1となる。換言すれば、領域BR2aを構成するAlαGa1−αNのαは、領域BR2bを構成するAlβGa1−βNのβよりも小さい(α<β)。
従って、本実施の形態2では、第3領域RG3におけるAlの組成比は、領域BR2aに相当する上層部側で低く、領域BR2bに相当する下層部側で高くなっている(図27参照)。つまり、上記実施の形態1における領域BR2(すなわち第3領域RG3)を、上層側の領域BR2aと下層側の領域BR2bとの2層に分け、上層側の領域BR2aを低Al組成とし、下層側の領域BR2bを領域BR2aよりも高Al組成としたものが、本実施の形態2に相当する。
Alの組成比が高いほど格子定数は小さくなるため、領域BR2aの格子定数は、領域BR2bの格子定数よりも大きくなる。換言すれば、領域BR2bの格子定数は、領域BR2aの格子定数よりも小さくなる。
下層側の領域BR2bのAlの組成比は、領域BR2a,BR2b以外の領域BR1のAlの組成比以下である。従って、領域BR2aの組成をAlαGa1−αNと表し、領域BR2bの組成をAlβGa1−βNと表し、領域BR2a,BR2b以外の領域BR1の組成をAlGa1−zNと表すと、0≦α<β≦z≦1となる。従って、領域BR2bのAlの組成比は、第1領域RG1および第2領域RG2のAlの組成比以下になる。
このため、領域BR2bの格子定数は、領域BR2a,BR2b以外の領域BR1の格子定数以上になる。従って、領域BR2bの格子定数は、第1領域RG1および第2領域RG2の格子定数以上になる。
なお、図27のグラフでは、領域BR2bにおけるAl組成比β(AlβGa1−βNと表したときのβの値)が、領域BR2a,BR2b以外の領域BR1のAl組成比z(AlGa1−zNと表したときのzの値)よりも小さい場合(すなわちβ<zの場合)を示しているが、両者を同じにする(すなわちβ=zにする)ことも可能である。
領域BR2a,BR2bは、例えば、上記バリア層BR12を形成する際に、高Al組成の領域BR2bと低Al組成の領域BR2aとを作り分ければよい。また、上記図9の工程でバリア層BR11をエッチングしてバリア層BR11に開口部OP1を形成する際に、開口部OP1がバリア層BR11を貫通する前にエッチングを終了して開口部OP1の底部にバリア層BR11の一部を層状に残し、これを領域BR2bとすることもできる。この場合は、領域BR2bと領域BR1とがバリア層BR11により形成されることになるため、領域BR2bのAlの組成比は、領域BR1のAlの組成比と同じになる。
図28は、上記図16の比較例の半導体装置のバリア層BR101における電界強度をシミュレーションした結果を示すグラフである。図28のグラフの縦軸は、上記図17のグラフの縦軸と同様、電界強度(基板SUBの主面に垂直な方向の電界の強度)に対応している。図28のグラフの横軸は、上記図17のグラフの横軸と同様、バリア層BR101における位置に対応しており、ソース電極SE101におけるゲート電極側端部SE101aからの距離(ゲート長方向に沿った距離)として表されている。但し、上記図17は、上記図16のバリア層BR101における一点鎖線LN1の位置での電界強度分布が示されていたが、図28は、上記図16のバリア層BR101における一点鎖線LN1の位置での電界強度分布を実線で示し、上記図16のバリア層BR101における二点鎖線LN2の位置での電界強度分布を点線で示している。なお、図28の分布は、ドレイン電極(DE101)とソース電極(SE101)との間に与えた電位差Vdsが、100Vの場合(Vds=100Vの場合)が示されている。
上記図16のバリア層BR101において、一点鎖線LN1の位置はバリア層BR101の表面に近い位置にあり、二点鎖線LN2の位置は一点鎖線LN1の位置よりも下側(チャネル層CH101に近い側)にある。このため、図28のグラフにおいて実線で示された分布は、バリア層BR101の表層付近での分布に対応し、図28のグラフにおいて点線で示された分布は、バリア層BR101の内部付近での分布に対応する。
上述のように、バリア層BRにおいて、電界印加時に電界が集中する箇所は、ゲート電極GE101のドレイン電極側端部EGD101の直下の領域とその近傍領域である。しかしながら、図28のグラフからも分かるように、バリア層BR101において、表面付近(一点鎖線LN1の位置)よりも内部(二点差線LN2の位置)の方が、ドレイン電極側端部EGD101の直下における電界強度が小さくなっている。すなわち、ゲート電極GE101のドレイン電極側端部EGD101の直下の領域とその近傍領域に電界が集中するが、その電界強度は、表層付近で高く、内部では低くなっている。このことから、逆ピエゾ効果による結晶欠陥の発生は、バリア層BR101の表面側で主として起こると考えられる。つまり、バリア層の厚さによっては、高電界が集中する表面側のみAl組成比を下げれば逆ピエゾ効果による結晶欠陥の発生を抑制することができる。
図29は、AlGaN層(バリア層)とGaN層(チャネル層)の積層構造における伝導帯のエネルギーとキャリア密度とを示すグラフである。図29のグラフの横軸は、AlGaN層とGaN層との積層構造における深さ位置(AlGaN層の上面からGaN層に向かう方向の深さ位置)に対応している。図29のグラフの縦軸は、伝導帯端のエネルギー、あるいはキャリア密度に対応している。すなわち、図29のグラフには、深さ方向における伝導帯端のエネルギーを示すグラフと、深さ方向におけるキャリア密度の分布を示すグラフとが一緒に記載されている。
また、図29には、AlGaN層(バリア層)におけるAlの組成比x(AlGaNをAlGa1−xNと表記したときのxの値)について、AlGaN層の深さ位置によらずx=0.20で一定の場合が、点線で示されている。また、図29には、AlGaN層(バリア層)におけるAlの組成比x(AlGa1−xNのxの値)について、AlGaN層の表面からAlGaN層の厚みの中央(図29のグラフの一点鎖線の位置に対応)までx=0.20であり、かつ、AlGaN層の厚みの中央からAlGaN層の裏面(GaN層に接する側の面)までがx=0.25である場合が、実線で示されている。
図29のグラフの実線で示される分布からも分かるように、AlGaN層(バリア層)において、表面側のAl組成比xを0.20とし、裏面側(GaN層に近い側)のAl組成比xを0.25にした場合、Al組成比xが0.20の領域とAl組成比xが0.25の領域との界面にはマイナスの分極電荷が発生し、バンドが持ち上がるが、AlGaN層とGaN層との界面に発生するプラスの分極電荷は、Al組成比xが高い方が大きくなり、ΔEcも大きくなる。このため、AlGaN層(バリア層)において、厚み方向にAl組成比xが0.20で一定の場合に比べて、AlGaN層(バリア層)において、表面側のAl組成比xを0.20とし、裏面側(GaN層に近い側)のAl組成比xを0.25にした場合の方が、GaN層に生成される2次元電子ガス層において、高いキャリア濃度を得ることができる。
すなわち、本実施の形態2と上記実施の形態1とを比べると、上記実施の形態1における領域BR2のAlの組成比と本実施の形態2における領域BR2aのAlの組成比とが同じ場合には、本実施の形態2の方が、2次元電子ガスの濃度(キャリア濃度)を、より高くすることができる。
従って、本実施の形態2では、電界が集中しやすい領域BR2a(第3領域RG3の上層部分)について、領域BR1よりも(従って第1領域RG1および第2領域RG2よりも)、Alの組成比を低くし、それによって、格子定数を大きくすることで、領域BR2aの電界印加前の歪を、領域BR1の電界印加前の歪よりも小さくしておく。これにより、電界印加時に逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が追加されたときに領域BR2aに発生するトータルの歪を抑制することができ、その引っ張り歪(引っ張り応力)により結晶欠陥が発生することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。
更に、本実施の形態2では、領域BR2a(第3領域RG3の上層部分)よりも領域RGBR2b(第3領域RG3の下層部分)を、高Al組成としていることで、チャネル層CHに生成される2次元電子ガス層において、高いキャリア濃度を得ることができる。従って、チャネル部とソース・ドレイン間の抵抗を、より低減することができる。これにより、半導体装置の性能を、更に向上させることができる。すなわち、本実施の形態2では、逆ピエゾ効果による結晶欠陥を抑制しつつ、チャネル部とソース・ドレイン間の抵抗の上昇を抑制することができる。
図30および図31は、本実施の形態2の変形例の場合での、チャネル層CHとバリア層BRとの積層構造における厚み方向のAlの組成の分布を示すグラフであり、上記図27の変形例に対応している。図30および図31の各グラフの縦軸および横軸は、上記図27のグラフの縦軸および横軸と同じである。なお、図30および図31には、上記図25の二点鎖線LN3に沿った位置でのAlの組成比の分布が実線で示され、また、上記図25の二点鎖線LN4,LN5,LN6,LN7に沿った位置でのAlの組成比の分布が点線で示されている。なお、図30および図31の各グラフにおいて、チャネル層CHの範囲内では、実線に重なって点線が存在している。
本実施の形態2では、第3領域RG3を領域BR2aと領域BR2bとの二層により形成する場合について説明したが、本実施の形態2の変形例として、図30に示されるように、第3領域RG3を三層以上の領域により形成することもできる(図30の場合は5層の例を示してある)。この場合、第3領域RG3を構成する複数層の領域について、バリア層BRの表面側に近くなるほど、Alの組成比を低くすればよい。換言すれば、第3領域RG3を構成する複数層の領域について、チャネル層CHに近くなるほど、Alの組成比を高くする。この場合、バリア層BRの厚み方向に見たときの、第3領域RG3のAlの組成比の分布は、図30に示されるように、表面側から裏面側(チャネル層CH側)に向かってAlの組成比が階段状に(段階的に)増加する分布となる。
また、本実施の形態2の更に他の変形例として、図31に示されるように、バリア層BRの厚み方向に見たときの、第3領域RG3のAlの組成比の分布を、表面側から裏面側(チャネル層CH側)に向かってAlの組成比が連続的に(なだらかに)増加する分布とすることもできる。
(実施の形態3)
図32は、本実施の形態3の半導体装置の要部断面図であり、上記図1に対応するものである。図33は、本実施の形態3の半導体装置のバリア層BRにおける格子定数を示すグラフであり、上記図23に対応するものである。図33のグラフの縦軸は、上記図23のグラフと同様、バリア層BRにおける格子定数に対応している。図33のグラフの横軸は、上記図23のグラフと同様、バリア層BRにおける位置に対応しており、バリア層BRをゲート長方向(ゲート電極GEのゲート長方向)に沿って見たときの位置が示されている。
上記実施の形態1では、バリア層BRは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層であった。それに対して、本実施の形態3では、バリア層BRとして、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN、インジウムアルミニウムガリウムナイトライド)層を用いている。すなわち、本実施の形態3では、領域BR1,BR2は、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)により形成されている。
本実施の形態3においても、上記実施の形態1で説明したように、バリア層BRにおいて、電界が集中しやすい領域BR2(すなわち第3領域RG3)の格子定数を、領域BR2以外の領域BR1(従って第1領域RG1および第2領域RG2)の格子定数よりも大きくしておく(図33参照)。これは、領域BR2(すなわち第3領域RG3)の組成を、領域BR1の組成(従って第1領域RG1および第2領域RG2の組成)と異ならせることにより、実現できる。窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)の格子定数は、アルミニウム(Al)の組成比とインジウム(In)の組成比とに依存して変化する。このため、領域BR1および領域BR2を構成する窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)におけるインジウム(In)とアルミニウム(Al)の一方または両方の組成比を調整することにより、領域BR2の格子定数を、領域BR1の格子定数よりも大きくすることができる。従って、領域BR2と領域BR1とは、インジウム(In)とアルミニウム(Al)の一方または両方の組成比が相違している。領域BR2内では、組成はほぼ均一とし、また、領域BR1内では、組成はほぼ均一とされている。
本実施の形態3の半導体装置の他の構成は、上記実施の形態1の半導体装置とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略する。
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態3においても、電界が集中しやすい領域BR2(すなわち第3領域RG3)について、領域BR1よりも(従って第1領域RG1および第2領域RG2よりも)、格子定数を大きくする。これにより、上記実施の形態1で説明したように、電界印加時の逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が追加されたときに領域BR2に発生するトータルの歪を抑制することができ、その引っ張り歪(引っ張り応力)により結晶欠陥が発生することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。
また、上記実施の形態2に、本実施の形態を適用することもできる。この場合、上記実施の形態2において、バリア層BR(従って領域BR1,BR2a,BR2b)は窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)により形成されることになる。この場合、領域BR1,BR2a,BR2bを構成する窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)におけるインジウム(In)とアルミニウム(Al)の一方または両方の組成比を調整することにより、上記実施の形態2で説明したような格子定数の関係を得ればよい。
なお、バリア層BRに窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)を用いた場合においても、第3領域RG3の厚み方向におけるアルミニウム(Al)の組成比の分布は、上記図27のグラフまたは上記図30のグラフのように、表面側から裏面側(チャネル層CH側)に向かってアルミニウム(Al)の組成比が階段状に(段階的に)増加する分布とすることもできる。あるいは、上記図31のグラフのように、表面側から裏面側(チャネル層CH側)に向かってアルミニウム(Al)の組成比が連続的に(なだらかに)増加する分布とすることもできる。
また、本実施の形態3では、バリア層BRを窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)により形成した場合について説明した。更に他の形態として、バリア層BR(従って領域BR1,BR2)を窒化アルミニウムインジウム(AlInN、アルミニウムインジウム)により形成することもできる。
バリア層BR(従って領域BR1,BR2)を窒化アルミニウムインジウム(AlInN)により形成した場合においても、上記実施の形態1または上記実施の形態2と同様に、電界が集中しやすい領域BR2,BR2a(第3領域RG3)について、領域BR1よりも(従って第1領域RG1および第2領域RG2よりも)、アルミニウムの組成比を低くし、それによって、格子定数を大きくする。これにより、上記実施の形態1で説明したように、電界印加時の逆ピエゾ効果による引っ張り歪(引っ張り応力)が追加されたときに領域BR2,BR2aに発生するトータルの歪を抑制することができ、その引っ張り歪(引っ張り応力)により結晶欠陥が発生することを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。
バリア層BRを窒化アルミニウムインジウム(AlInN)により形成した場合、AlIn1−xNはAl組成比xが約0.83のときにGaNと格子整合する。このとき、格子整合をしているためピエゾ分極は発生しないが、自発性分極が−0.07C/mと非常に大きい。この値は、AlGa1−xNのAl組成比xが0.45のときのAlGaN/GaN(AlGaN層とGaN層との積層)で発生する自発性分極とピエゾ分極との和と、同等である。このため、チャネル部には、1013cm−2台の高いキャリア濃度が誘起される。AlIn1−xN/GaN(AlIn1−xN層とGaN層との積層)のAl組成比xを0.83より更に増やせば、自発性分極の増加と、AlInN層中に発生する引っ張り応力によるピエゾ分極の発生とにより、更に高いキャリア濃度を誘起することが可能となる。しかしながら、格子定数差による歪が発生するため、逆ピエゾ効果による結晶欠陥が発生しやすくなる。
このため、逆ピエゾ効果による結晶欠陥を抑制しつつ、低オン抵抗化を実現するためには、AlIn1−xNからなるバリア層BRにおける領域BR1のAl組成比xを0.83以上で1以下(0.83≦x≦1)とし、高電界が集中する領域BR2(ドレイン電極側端部EGDの直下とその近傍領域)のAl組成比xを、領域BR1のAl組成比xよりも小さくすることが好ましい。すなわち、バリア層BRに窒化アルミニウムインジウム(AlInN)を用いる場合は、領域BR2の組成をAlx2In1−x2Nと表し、領域BR1の組成をAlx1In1−x1Nと表したとき、x1の値を0.83以上で1以下(すなわち0.83≦x1≦1)にするとともに、x2の値をx1の値よりも小さく(すなわちx2<x1)することが好ましい。Al組成比x(AlIn1−xNのxの値)を0.83以下にするとAlInN層に圧縮応力が働くが、これは逆ピエゾ効果により発生する引っ張り応力を打ち消す方向であるため、逆ピエゾ効果による結晶欠陥の発生を抑制することが可能となる。ただし、圧縮応力が働くようにAl組成比x(AlIn1−xNのxの値)を0.83より低くすると、自発性分極を打ち消す方向にピエゾ分極が発生してしまうため、2次元電子ガス層に誘起されるキャリアが減少してしまう。バリア層BRに窒化アルミニウムインジウム(AlInN)を用いる場合、第3領域RG3の厚み方向におけるアルミニウムの組成比の分布は、上記図22のグラフのように、一定(均一)とするか、あるいは、上記図27、図30または図31のグラフのように、表面側でAl組成比を小さく、裏面側(チャネル層CH側)でAl組成比を大きくすることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
BR,BR11,BR12,BR101 バリア層
BR1,BR2,BR2a,BR2b 領域
BUF,BUF101 バッファ層
CH,CH101 チャネル層
DE,DE101 ドレイン電極
DE1,DE101a ゲート電極側端部
DEG 2次元電子ガス
DL 点線
GE,GE101 ゲート電極
EGD,EGD101 ドレイン電極側端部
EGS,EGS101 ソース電極側端部
LN1 一点鎖線
LN2,LN3,LN4,LN5,LN6,LN7 二点鎖線
ME1,ME2 金属膜
OP1 開口部
P1,P2 位置
RG1 第1領域
RG2 第2領域
RG3 第3領域
RG4 領域
RG5 領域
PR1,PR2 フォトレジストパターン
SE,SE101 ソース電極
SE1,SE101a ゲート電極側端部
SOX 酸化シリコン膜
SUB,SUB101 基板

Claims (19)

  1. 電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、
    前記電界効果トランジスタは、
    第1窒化物半導体からなるチャネル層と、
    前記チャネル層上に形成された、アルミニウムを含有する第2窒化物半導体からなるバリア層と、
    前記バリア層上に形成されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、
    を有し、
    前記ゲート電極は、互いに離間する前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置されており、
    前記バリア層は、第1領域および第2領域と、前記第1および第2領域よりもアルミニウムの組成比が低い第3領域とを有し、
    前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記ゲート電極をゲート長方向に横切る前記バリア層の断面において、
    前記第1領域は、前記ソース電極における前記ゲート電極側の第1端部の直下から、前記ゲート電極におけるゲート長方向の途中の第1位置の直下までの領域であり、
    前記第2領域は、前記ドレイン電極における前記ゲート電極側の第2端部の直下から、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間の第2位置の直下までの領域であり、
    前記第3領域は、前記第1位置の直下から、前記第2位置の直下までの領域であり、
    前記ゲート電極の前記ドレイン電極側の第3端部の直下には、前記第3領域がある半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置であって、
    前記第1窒化物半導体は、窒化ガリウムまたは窒化インジウムガリウムであり、
    前記第2窒化物半導体は、窒化アルミニウムガリウムである半導体装置。
  3. 請求項2に記載の半導体装置であって、
    前記バリア層の前記第1領域においてアルミニウムの組成比は一定であり、
    前記バリア層の前記第2領域においてアルミニウムの組成比は一定である半導体装置。
  4. 請求項3に記載の半導体装置であって、
    前記バリア層の前記第1領域と前記第2領域とで、アルミニウムの組成比が同じである半導体装置。
  5. 請求項4に記載の半導体装置であって、
    前記第3端部から前記第1位置までの距離と、前記第3端部から前記第2位置までの距離とは、それぞれ50nm以上である半導体装置。
  6. 請求項5に記載の半導体装置であって、
    前記第1位置から前記第2位置までの距離は、500nm以下である半導体装置。
  7. 請求項6に記載の半導体装置であって、
    前記チャネル層は、基板上に直接またはバッファ層を介して形成されている半導体装置。
  8. 請求項7に記載の半導体装置であって、
    前記電界効果トランジスタは、高電子移動度トランジスタである半導体装置。
  9. 請求項4に記載の半導体装置であって、
    前記第3領域においては、前記バリア層の表面側のアルミニウム組成比よりも、前記バリア層の裏面側のアルミニウム組成比が大きい半導体装置。
  10. 請求項4に記載の半導体装置であって、
    前記第3領域の組成をAlGa1−yNと表し、前記第1領域および前記第2領域の組成をAlGa1−zNと表した場合、z−y≧0.02である半導体装置。
  11. 電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、
    前記電界効果トランジスタは、
    第1窒化物半導体からなるチャネル層と、
    前記チャネル層上に形成された第2窒化物半導体からなるバリア層と、
    前記バリア層上に形成されたソース電極、ドレイン電極およびゲート電極と、
    を有し、
    前記ゲート電極は、互いに離間する前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置されており、
    前記バリア層は、第1領域および第2領域と、前記第1および第2領域よりも格子定数が大きい第3領域とを有し、
    前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記ゲート電極をゲート長方向に横切る前記バリア層の断面において、
    前記第1領域は、前記ソース電極における前記ゲート電極側の第1端部の直下から、前記ゲート電極におけるゲート長方向の途中の第1位置の直下までの領域であり、
    前記第2領域は、前記ドレイン電極における前記ゲート電極側の第2端部の直下から、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間の第2位置の直下までの領域であり、
    前記第3領域は、前記第1位置の直下から、前記第2位置の直下までの領域であり、
    前記ゲート電極の前記ドレイン電極側の第3端部の直下には、前記第3領域がある半導体装置。
  12. 請求項11に記載の半導体装置であって、
    前記第1窒化物半導体は、窒化ガリウムまたは窒化インジウムガリウムであり、
    前記第2窒化物半導体は、窒化アルミニウムガリウムまたは窒化インジウムアルミニウムガリウムである半導体装置。
  13. 請求項12に記載の半導体装置であって、
    前記バリア層の前記第1領域の格子定数は一定であり、
    前記バリア層の前記第2領域の格子定数は一定である半導体装置。
  14. 請求項13に記載の半導体装置であって、
    前記バリア層の前記第1領域と前記第2領域とで、格子定数が同じである半導体装置。
  15. 請求項14に記載の半導体装置であって、
    前記第3端部から前記第1位置までの距離と、前記第3端部から前記第2位置までの距離とは、それぞれ50nm以上である半導体装置。
  16. 請求項15に記載の半導体装置であって、
    前記第1位置から前記第2位置までの距離は、500nm以下である半導体装置。
  17. 請求項16に記載の半導体装置であって、
    前記チャネル層は、基板上に直接またはバッファ層を介して形成されている半導体装置。
  18. 請求項17に記載の半導体装置であって、
    前記電界効果トランジスタは、高電子移動度トランジスタである半導体装置。
  19. 請求項14に記載の半導体装置であって、
    前記第3領域においては、前記バリア層の表面側の格子定数よりも、前記バリア層の裏面側の格子定数が小さい半導体装置。
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