JP2014040924A - 軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受の組込み性・分解性の向上や軸受の剛性維持・回転精度の向上と共に、クリープを防止することができる軸受装置を提供することにある。
【解決手段】主軸旋回装置30では、軸である旋回台座32の外周面と内輪11の内周面とは、組み込み後の主軸旋回部用軸受10に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の軸受10に予圧が付与された状態において、内輪11の内周面の半径方向への収縮によってしまり嵌めとされる。一方、ハウジングである基台31の内周面と外輪12の外周面とは、組み込み後の主軸旋回部用軸受10に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の軸受10に予圧が付与された状態において、外輪12の外周面の半径方向への膨張によってしまり嵌めとされる。これにより、複数の軸受10の各中心は旋回台座32の軸心と一致する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、産業機械、ロボットの関節部や旋回機構部及び減速機構部、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、印刷機械のドラム等の回転機構部、ダイレクトモータ回転支持部、医療機器、半導体/液晶製造装置、光学及びオプトエロクトロニクス装置等の回転軸を支持する軸受装置に関する。
通常、例えば、工作機械の回転テーブル、工作機械の主軸旋回部等の回転機構部や印刷機のドラム回転軸、あるいは、ロボットの関節や旋回機構部及び減速機構部やこれらの部位に回転を与えるダイレクトモータの回転支持部等には、図17〜図20に示すように、クロスローラ軸受100、4点接触玉軸受110、組合せアンギュラ玉軸受120、組合せ円すいころ軸受130等が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
クロスローラ軸受100は、図17に示すように、内輪101と外輪102との間に円筒形の複数のころ103が転動自在に配設されており、4点接触玉軸受110は、図18に示すように、内輪111と外輪112との間に複数の玉113が転動自在に配設されている。これら軸受100,110は、一つの転がり軸受でラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けられる。
また、組合せアンギュラ玉軸受120は、図19に示すように、内輪121と外輪122との間に複数の玉123が転動自在に配設されたアンギュラ玉軸受124,124を2列に組合せたもので、同様に、組合せ円すいころ軸受130は、図20に示すように、内輪131と外輪132との間に複数の円すいころ133が転動自在に配置された円すいころ軸受134,134を内輪間座135及び外輪間座136を介して2列に組み合わせたものである。これら軸受120,130も、単列の軸受を2列組み合わせることで、ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受ける。
特許文献1に記載の玉軸受としては、軸方向のコンパクト化を図る目的で、軸方向の幅を小さくした幅狭のものが提案されている。
また、これらの軸受は、所定の予圧を付与して使用され、軸受内部のガタを無くすことにより、回転時の振動の防止、回転精度の維持向上、軸受のラジアル剛性・アキシャル剛性・モーメント剛性の増加等が図られている。
例えば、背面組合せアンギュラ玉軸受120Aでは、図21に示すように、組合せ内輪121A,121Aの対向端面間のすきま−Δを調整し、軸に組込み後、軸受ナットや内輪押え等の部材で、内輪121A,121Aを軸方向に移動させ、上記のすきま−Δをなくす(対向端面同士を密着させて、−Δを0にする)。これにより、軸受内の弾性変形によって、背面組合せアンギュラ玉軸受120Aに予圧(所謂、定位置予圧)が付加される。
さらに、これらの転がり軸受は、軸と内輪との嵌め合いやハウジングと外輪との嵌め合いをすきま嵌めやしまり嵌めとして、それぞれの部材に組み込まれている。
特開2006−105385号公報
ところで、クロスローラ軸受100の場合は、転動体が円筒形のころ103で、且つ軌道溝101a,102aに対してころ103の転がり接触面が線接触しているので、トルクが大きく、しかも、軸やハウジングに組み込んだ時のわずかな変形により、線接触部分の接触状態が不均一となり、トルクむらが発生しやすい。
また、4点接触玉軸受110では、転動体が玉113なので、純アキシャル荷重を受ける場合又はラジアル荷重よりアキシャル荷重が優勢な場合には、同寸法のクロスローラ軸受100よりトルクが小さい。一方、アキシャル荷重に対してラジアル荷重が優勢な場合、又は純ラジアル荷重を受ける場合には、各玉113は軌道溝111a,112aと4点で接触するため、玉113と軌道溝111a,112aとのスピン滑りが大きく、トルクが大きい。
さらに、これら転がり軸受において、例えば、内輪がすきま嵌めで軸に取り付けられ、内輪が一方向のラジアル荷重を受けて回転すると、内輪と軸との間で円周方向に有害な滑り(クリープと称する)を生ずることがある。このクリープと呼ばれる軌道輪の滑り現象は、はめ合い面がすきま嵌めの場合、軌道輪が回転するにつれて荷重点が円周方向に移動し、軌道輪が軸やハウジングに対して円周方向に位置ずれを生じることである。
クリープが一度起こると、はめ合い面は著しく摩耗し、軸またはハウジングを損傷させることが多い。軸やハウジングの補修や交換は、軸受のみの交換よりも大掛りとなり機械の復旧に時間を要する。また、軸受内部に摩耗粉が侵入したりして、異常発熱や振動等の原因となる。
このクリープは、軸受をアキシャル方向に、軸受ナット等で締め付けただけでは防止できないことも多い。したがって、通常、軸受のはめ合いにおいては、荷重を受けて回転する軌道輪にしめしろを与えて、軸またはハウジングとしまり嵌めにて固定し、運転中のクリープを防止する。
また、しまり嵌めとする他の目的としては、回転精度の向上が挙げられる。工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部において、軸受と軸又はハウジング間のはめ合いがすきま嵌め、例えば、内輪回転で軸と内輪がすきま嵌めの場合、軸中心と内輪中心がずれ、軸が偏芯回転することで、旋盤加工では加工面の真円度のくずれや引き目不具合が生じたり、フライス加工では、加工面の形状くずれや粗さ悪化等の品位が低下する。印刷機の回転ドラムにおいては、上記の理由で回転精度が悪化すると印刷精度に影響し、カラー多重印刷の場合、色むらや文字のにじみ等の問題が発生する。
上記の理由から、軌道輪をしまり嵌めで組み込むことが多いが、しまり嵌めの場合、当然組み込む際にプレス等で圧入するか、あるいは焼き嵌め等が必要となる。上記用途では、軸受内径φ100〜φ300mm程度の比較的大型サイズの軸受が使用される場合が多く、しまり嵌めの場合、組込み作業が容易ではない。また、軸受を軸やハウジングから分解する際、しまり嵌めされた軌道輪に組み込み時とは逆方向の荷重がかかるように周辺部の構造設計をする必要もある。ダイレクト駆動モータの回転支持部用軸受では、ロータやステータが軸受の横に配置される構成も多く、分解方法も考慮した構造とする設計は難しい。
特に、アンギュラ玉軸受124の場合、図22に示すように、単体では一方向の荷重しか負荷できない構造であり、逆方向の荷重を加えると、内外輪121,122の溝肩エッジ部と玉123とが接触し玉傷が発生したり、玉軸受124が分離して再使用ができなくなるので、組込み・分解の際には充分な配慮を要する。
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、軸受の組込み性・分解性の向上や軸受の剛性維持・回転精度の向上と共に、クリープを防止することができる軸受装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1)軸と、ハウジングと、転がり軸受と、を備え、前記転がり軸受は、前記軸に外嵌される複数の内輪と、前記複数の内輪のそれぞれに対応する複数の外輪と、を有する、互いに当接する複数の軸受から構成され、前記転がり軸受を前記軸及び前記ハウジングに組み込み後に予圧が付与される軸受装置であって、
工作機械の回転テーブル又は工作機械の主軸旋回部の回転機構部、或いは印刷機のドラムの回転軸に適用され、
前記転がり軸受は、前記複数の内輪と前記複数の外輪との間にそれぞれ配置される複数の玉を有し、少なくとも2列配置された状態で定位置予圧が付与される背面組合せのアンギュラ玉軸受であり、
前記内輪の最大肉厚ti1、最小肉厚ti2、内輪内径d、有効肉厚ti=ti1−(ti1−ti2)/4、有効外径Dit=d+2tiとしたときの内輪有効肉厚比Yi=ti/Dit、
および、前記外輪の最大肉厚to1、最小肉厚to2、外輪外径Dt、有効肉厚to=to1−(to1−to2)/3、有効外径Dot=Dtとしたときの外輪有効肉厚比Yo=to/Dotを、
3%≦Yi≦5%、且つ3%≦Yo≦5%とした玉軸受であり、
前記組み込み後の玉軸受に予圧が付与される前の状態において、前記内輪又は外輪のうちの一方の対向端面は互いに当接する一方、前記内輪又は外輪のうちの他方の対向端面間には所定のすきまが設けられ、前記軸の外周面と前記各内輪の内周面及び前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面とはすきま嵌めとされ、前記組み込み後の玉軸受の前記内輪を軸方向に締め付け前記軸に固定するとともに前記外輪を軸方向に締め付け前記ハウジングに固定することで、前記対向端面間の隙間をなくし予圧が付与された状態において、前記複数の軸受内の前記各内輪及び前記各外輪の弾性変形により、前記各内輪の内周面が半径方向へ収縮して前記軸の外周面と前記各内輪の内周面とは直接嵌合してしまり嵌めとされるとともに、前記各外輪の外周面が半径方向へ膨張して前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面も直接嵌合してしまり嵌めとされ、これにより前記複数の軸受の各中心は前記軸の軸心と一致することを特徴とする軸受装置。
(2)前記軸の外周面と前記各内輪の内周面との嵌め合いすきまは、予圧付与時の前記内輪の径方向の収縮量の1/2以下に設定され、
前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面との嵌め合いすきまは、予圧付与時の前記外輪の径方向の膨張量の1/2以下に設定されることを特徴とする(1)に記載の軸受装置。
本発明の軸受装置によれば、軸の外周面と内輪の内周面とは、組み込み後の転がり軸受に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の転がり軸受に予圧が付与された状態において、内輪の内周面の半径方向への収縮によってしまり嵌めとされるので、内輪を軸に組み込む際に、プレスや焼き嵌め等を用いる必要もないので容易に組込みができ、また内輪を軸から分解する際も、軸受に負荷をかけることなくスムーズに行なえる。さらに、しまり嵌めで組み込む場合に比べて軸受周りの設計も容易となる。また、予圧付加後は内輪と軸との間はしまり嵌めとなるので、クリープの発生や回転精度の悪化も防止できる。
また、本発明の軸受装置によれば、ハウジングの内周面と外輪の外周面とは、組み込み後の転がり軸受に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の転がり軸受に予圧が付与された状態において、外輪の外周面の半径方向への膨張によってしまり嵌めとされるので、外輪をハウジングに組み込む際に、プレスや焼き嵌め等を用いる必要もないので容易に組込みができ、また外輪をハウジングから分解する際も、軸受に負荷をかけることなくスムーズに行なえる。さらに、しまり嵌めで組み込む場合に比べて軸受周りの設計も容易となる。また、予圧付加後は外輪とハウジングとの間はしまり嵌めとなるので、クリープの発生や回転精度の悪化も防止できる。
即ち、軸の外周面と内輪の内周面との間、及びハウジングの内周面と外輪の外周面との間がすきま嵌めで組み込まれた場合、2列の内輪間及び外輪間で軸芯が半径方向にずれる可能性が高い。このような芯ずれが生じた状態で、転がり軸受が回転した場合、もみすり運動のような振れ回りが生じ、回転精度が悪化する。一方、本発明では、予圧後にしまり嵌めで組み込まれているので、内輪間及び外輪間で芯ずれがなくなり、回転精度を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る軸受装置である工作機械の主軸旋回装置を示す要部を断面とした側面図である。 図1に示す2列背面組合せアンギュラ玉軸受を示す断面図である。 内輪の半径方向の変形量を説明するための説明図である。 内輪の断面2次モーメントの計算方法を説明するための説明図である。 断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図である。 断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図である。 断面寸法比(B/H)と半径方向の内外輪の変形量との関係を示すグラフ図である。 断面寸法比(B/H)と断面2次モーメントIとの関係を示すグラフ図である。 本発明品の予圧荷重と内輪の半径方向収縮量・外輪の半径方向膨張量との関係を示すグラフ図である。 本発明品と従来品の予圧荷重と外輪の半径方向膨張量との関係を比較して示すグラフ図である。 本発明品の嵌め合い条件によるモーメント剛性を比較して示すグラフ図である。 (a)は、すきま嵌めで組み込まれた2列背面組合せアンギュラ玉軸受を示す断面図であり、(b)は、しまり嵌めで組み込まれた2列背面組合せアンギュラ玉軸受を示す断面図である。 本発明の変形例の薄肉アンギュラ玉軸受を示す要部断面図である。 本発明品と標準品の予圧荷重と内輪の半径方向収縮量との関係を比較して示すグラフ図である。 本発明品と標準品の予圧荷重と外輪の半径方向膨張量との関係を比較して示すグラフ図である。 本発明の定圧予圧が付与される2列背面組合せアンギュラ玉軸受の変形例を示す断面図である。 クロスローラ軸受の断面図である。 4点接触玉軸受の断面図である。 2列組合せアンギュラ玉軸受の断面図である。 2列組合せ円すいころ軸受の断面図である。 2列組合せアンギュラ玉軸受の予圧付与前の状態を示す断面図である。 アンギュラ玉軸受の荷重の付加方向を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る軸受装置及びその組立方法について、図1〜12を参照して詳細に説明する。
図1は、例えば、5軸加工マシニングセンタに使用される、本発明の軸受装置である工作機械の主軸旋回装置を示している。図中、符号30は工作機械の主軸旋回装置30であって、マシニングセンタの固定部に固定された基台(以下、「ハウジング」とも称す。)31と、この基台31に回転自在に支持された旋回台座(以下、「軸」とも称す。)32と、この旋回台座32に装着された主軸本体33と、を備え、ダイレクトモータ63による駆動方式を採用している。
基台31は、左端面中央から右側に凹設した旋回台座32を収容する収容凹部34を有し、この収容凹部34内には、旋回台座32が主軸旋回部用軸受(以下、「転がり軸受」とも称す。)10を介して回転自在に支持されている。
旋回台座32は、主軸旋回部用玉軸受10及びロータ62を保持する基部64と、この基部64にボルト締めされる主軸旋回部用玉軸受10の内輪押えを兼ねる円板部65とで構成されている。基部64は、中央部の右端から左方に重量を軽減するための凹部41を形成した突出部42を有し、円板部65は、基部64の左端面と対向し、左端に平坦な取付面36を有する。
主軸本体33は、エンドミルやドリル等の治工具(図示せず)を取付ける工具取付面51を下方として工具を回転させる回転駆動源を内装した主軸52と、旋回台座32の円板部65の取付面36にボルト締めされ、主軸52の側面に一体に形成された取付板部53とを有する。
また、主軸旋回装置30は、基台31の収容凹部34の内周面に配設したステータ61と、これに対向する旋回台座32の突出部42の外周面に配設したロータ62とで構成されるダイレクトモータ63を備え、このダイレクトモータ63で旋回台座32を直接旋回駆動する。なお、ダイレクトモータ63は、図1に示すアウタロータ型に構成する場合に限らず、突出部42の凹部41内周面にロータを配設し、このロータの内側にステータを配設するインナロータ型に構成するようにしてもよい。
主軸旋回部用玉軸受10は、幅狭のアンギュラ玉軸受14を2列背面組合せした組合せアンギュラ玉軸受である。各アンギュラ玉軸受14は、図1及び図2に示すように、旋回台座32に外嵌される内輪11と、基台31に内嵌される外輪12と、内輪11及び外輪12の各軌道面11a,12a間に接触角を持って転動自在に配置される複数の転動体である玉13と、を有する。なお、各アンギュラ玉軸受14には、保持器やシールが設けられても良い。
そして、各内輪11は、旋回台座32に形成された段部38に外嵌された状態で、内輪押えを兼ねる円板部65をボルト44で締め付けることにより、段部38に固定される。一方、各外輪12は、基台31の収容凹部34に形成した段部45に内嵌された状態で、基台31の左端面側に配設された外輪押え46をボルト47によってボルト締めすることにより、基台31に固定される。また、円板部65をボルト締結することで、各内輪11の対向端面間の軸方向すきまを0とし、軸受内の弾性変形によって玉軸受10に定位置予圧が付与される。この時、内輪11の対向端面間の軸方向すきまが0となった状態で、旋回台座32と円板部65との軸方向すきまΔ1(図1参照。)を確保できるようにするのが好ましい。内輪11への押付力のばらつきを抑え、適切な予圧を付加させるためには、Δ1は通常、0.01〜0.05mm程度が適切である。
各幅狭のアンギュラ玉軸受14は、軸方向の省スペース化を図るため、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さH(=(外輪外径D−内輪内径d)/2)との断面寸法比(B/H)を(B/H)<0.63としている。なお、B/Hは理論的にはB/H>0であるが、現実的には、使用する玉や保持器、シールの設計、選定等と加味すると、B/H>0.10、好ましくはB/H>0.20、より好ましくはB/H>0.30が望ましい。
また、国際標準化機構(ISO)で決められている標準玉軸受の場合、B/Hが1.0前後のものが多くを占める。したがって、B/H<0.5に設定すれば標準玉軸受約1列分の幅方向スペースで2列の幅狭玉軸受を配設させることができ、省スペース化が図られる。また、アンギュラ玉軸受の場合、1列では一方向の軸方向荷重しか受けられず、また、モーメント荷重を受けることはできないが、2列以上組み合わせることで、両方向の軸方向荷重やモーメント荷重の負荷が可能となる。また予圧を付加することもできるので、省スペース化と共にラジアル剛性やアキシャル剛性及びモーメント剛性なども大きくすることができる。また、B/H<0.25に設定すれば、4列の幅狭玉軸受を配設させることができ、さらに剛性の向上が可能である。
ここで、図5及び図6はそれぞれ標準的に使用されている極薄肉玉軸受(軸受内径:φ38.1mm,軸受外径:φ47.625mm,軸受幅:4.762mm,前記断面寸法比(B/H)=1)を基準とし、軸受外径及び軸受幅を変えずに、軸受内径を変化させた場合(即ち、(B/H)の値を変化させた場合)の内外輪リングの半径方向の変形特性(図3参照:内輪を例示)及び半径方向の断面2次モーメントI(図4参照:I=bh/12で計算)を比較した結果を示している。
また、図7及び図8についてもそれぞれ標準的に使用されている極薄肉玉軸受(軸受内径:φ63.5mm,軸受外径:φ76.2mm,軸受幅:6.35mm,前記断面寸法比(B/H)=1)を基準とし、軸受外径及び軸受幅を変えずに、軸受内径を変化させた場合(即ち、(B/H)の値を変化させた場合)の内外輪リングの半径方向の変形特性及び半径方向の断面2次モーメントIを比較した結果を示している。
いずれの軸受も(B/H)=0.63未満で、剛性の増加率勾配の変化が顕著に出ている。すなわち、断面2次モーメントIの増加は顕著になり、半径方向の内外輪リングの変形量の減少は飽和状態となる。これにより、従来の極薄肉軸受で問題となる内外輪製作時の旋盤加工や研磨加工時の加工力による軸受変形を防止することができ、真円度や偏肉等の軸受精度を向上させることができる。
また、軸32やハウジング31に組み込んだ場合(特に、軸32やハウジング31とすきま嵌合で組み込んだ場合)、円板部65や外輪押え46等で軸受10を固定した時の内外輪11,12の変形(特に真円度の悪化)を抑制することができると共に、変形によって生じるトルク不良や回転精度不良、あるいは、発熱増大、摩耗や焼付き等の不具合を防止することができる。
さらに、幅寸法が従来の標準単列玉軸受の約半分となることで、玉径も従来の玉軸受の半分程度となるが、逆に1列あたりの玉数が増加し、軸受剛性は従来の玉軸受に対して増加する。
また、国際標準化機構(ISO)で決められている寸法系列が18(例えば、6824)、19(例えば、6936)、10(例えば、7020A)、02(例えば、7240C)、03(例えば、7360A)の標準玉軸受では、軸受内径寸法がφ5mm〜φ500mmにおいては、断面寸法比(B/H)はB/H=0.63〜1.17となっているが、本実施形態のアンギュラ玉軸受14は、軸方向に幅狭とした、上述の断面寸法比に該当しないものとなる。
ここで、本実施形態では、上述したように、円板部65をボルト締結することで、軸受内の弾性変形によって玉軸受10に定位置予圧が付与されるが、転がり軸受10に予圧が付与される前の状態において、旋回台座32の外周面と内輪11の内周面との間、及び、基台31の内周面と外輪12の外周面との間の各嵌め合いは、すきま嵌めとされている。そして、転がり軸受10に予圧が付与された状態において、内輪11の内周面の半径方向への収縮、外輪12の外周面の半径方向への膨張によって、各嵌め合いはしまり嵌めとなる。
具体的に、転がり軸受10の旋回台座32及び基台31への組立方法について説明すると、まず、旋回台座32の段部38に2列のアンギュラ玉軸受14を背面組合せの状態で挿入する。この状態で、旋回台座32の外周面と内輪11の内周面との間の嵌め合いは、すきま嵌めとされている。なお、外輪押え46は、一方(図1の左側)のアンギュラ玉軸受14の外輪12に嵌めておく。
次に、内輪押えを兼ねた円板部65を軸である旋回台座32に組み付け後、ボルト44により、軸受に予圧が付加されない程度に、円板部65を旋回台座32に軽く仮締めする。軽く仮締めする事で、2つのアンギュラ玉軸受14は組合せ軸受となり、図22(b)に示すような逆方向の荷重が負荷しなくなる。また、組合せアンギュラ玉軸受10をハウジングである基台31の収容凹部34の端部穴に挿入する。基台31の内周面と外輪12の外周面との間の嵌め合いもすきま嵌めとされている。
そして、円板部65のボルト44を適正なトルクで締め付け、内輪11が固定されると、初めて設定予圧が組合せアンギュラ玉軸受10に付与される。その後、外輪押え46のボルト47を、適正トルクで締め付ける。
この予圧が付与された状態で、内輪11の内周面が半径方向に収縮し、外輪12の外周面が半径方向に膨張するため、旋回台座32の外周面と内輪11の内周面との間、及び、基台31の内周面と外輪12の外周面との間の各嵌め合いがしまり嵌めとなる。これにより、組み込み前にあったすきまがなくなり、クリープや回転振動等の不具合を防止することができる。
なお、予圧が付与される前の状態での、旋回台座32と内輪11、及び基台31と外輪12との各嵌め合いすきまは、設定予圧荷重、予圧荷重と内輪及び外輪の半径方向の膨張収縮量との関係、予圧付与後の嵌め合いすきま(しめしろ)等を考慮して設定される。また、内輪11及び外輪12の半径方向の膨張収縮により、軸受内部のラジアルすきま量も変化することから、予圧すきまは、設定予圧荷重に加え、このラジアルすきまの変化量を考慮して設定される。
以下、表1に示す本発明品A(幅狭品)の軸受10を用いた場合の、本実施形態の嵌め合いすきま、予圧すきまの設定について説明する。表1は、本発明品Aと従来品の軸受の詳細寸法の比較を示す。
Figure 2014040924
また、図9は、本発明品Aの軸受の定位置予圧における予圧荷重と外輪の半径方向の直径膨張量及び内輪の半径方向の直径収縮量の関係を示し、図10は、本発明品Aと従来品との外輪の半径方向の直径膨張量の比較を示す。図10により、本発明品Aは、従来品に比べ、軌道輪の半径方向の膨張収縮量が多いのが分かる。
本実施形態では、設定予圧荷重を15000Nとしたので、軸32及びハウジング31と軸受10とのはめ合いを、図9により、以下のように設定した。
軸32と内輪11との初期はめ合い :0.024mm未満のすきま
ハウジング31と外輪12との初期はめ合い:0.026mm未満のすきま
本条件にすれば、各すきまがほぼ最大値(軸と内輪:≒0.024mm、ハウジングと外輪:≒0.026mm)になっても、組込み予圧付加後の嵌め合いすきまは、略0mm(ややしまり嵌め)となり、当初あったすきまがほぼなくなり、クリープ等の不具合を防止することができる。
また、軌道輪の半径方向の膨張収縮による剛性低下(予圧減少)をより防止したい場合は、必要に応じて、例えば、軸32又はハウジング31と軸受10間の嵌め合いすきまを、それぞれ、軌道輪の半径方向の膨張収縮量の約1/2程度以下(本実施形態では、軸32と内輪11間のすきま:0.001〜0.010mm、或いは、ハウジング31と外輪12間のすきま:0.001〜0.015mm)程度に設定するとよい。このように設定しておけば、軸受の膨張収縮量を抑制し、かつ予圧付加後は、適度なしまり嵌めとなるので、剛性を確保できる。また、クリープや回転時の振動をより防止することができる。
図11は、本発明品Aにおいて、初期設定想定予圧を15000Nとし、内輪11と軸32との嵌め合い及び外輪12とハウジング31とのはめ合いをそれぞれすきま0.005mmとした場合(嵌め合い条件A)と、予圧付加後も内外輪11,12と軸32・ハウジング31間にすきまが残っている場合(嵌め合い条件B)の、両者のモーメント剛性の比較結果を示す。嵌め合い条件Aでは、内外輪11,12の膨張収縮量が0.005mmに規制されるので、モーメント剛性が確保できる。
また、予圧すきまは、内外輪11,12の膨張収縮によって減少する予圧量分だけ、予め大きく設定しても良い。即ち、外輪外径が膨張すると、ほぼ同値だけ外輪軌道溝部も半径方向に膨張する。同様に内輪内径が収縮すると、ほぼ同値だけ内輪軌道溝部も半径方向に収縮する。この結果、軌道溝の膨張収縮分だけ軸受内部ラジアルすきまが増加することになり、予圧を付加するために必要な予圧すきまも少なくなる。つまり、予圧荷重は膨張収縮がないとした理論値に対して減少する。このため、例えば、初期設定の想定予圧による内外輪11,12の半径方向の膨張収縮による軸受内部ラジアルすきま増加量の合計がΔr1の場合、以下に示す式(1)により、予圧すきまをΔa1だけ多くしておく。
2列組み合わせアンギュラ玉軸受10の半径方向すきまと軸方向の予圧すきまの変化量の関係式は、以下の式で表わされる。
Δa1≒Δr1×cotα ・・・・(1)
ここで、
Δa1:軸方向の予圧すきま変化量(mm)
Δr1:半径方向の内部ラジアルすきま変化量(mm)
(≒内外輪の膨張収縮による内部ラジアルすきま変化量)
α :軸受接触角(°)
また、補正後の初期設定予圧すきまΔa´(mm)は、下記条件において計算される。
(計算条件)
必要予圧荷重:15000N(理論予圧すきま:Δa=−0.038mmとする)
軸と内輪の初期はめ合いすきま :0.005mm設定
ハウジングと外輪の初期はめ合いすきま:0.005mm設定
上記の条件の場合、予圧荷重によって、内外輪11,12の総膨張収縮量は、0.010mmになる。つまり、0.010mmの膨張収縮の時点で、しまり嵌めとなりそれ以上変形しなくなる。なお、軸32・ハウジング31に挿入しない条件では、内外輪11,12の総膨張収縮量は、内輪側:0.025mm+外輪側:0.027mm=0.052mmとなってしまう。
従って、予圧すきまの補正分(Δa1)は、
Δa1=Δr1×cotα=0.010×cot35°=0.0143mm
となり、以上より、初期設定予圧すきまは、
Δa´(−0.0523)=Δa(−0.038)+Δa1(−0.0143)(mm)となる。
以上の設定によって、軸受組込み後、想定した必要予圧荷重(15000N)が確保でき、剛性低下を防止することができる。
以上説明したように、本実施形態の主軸旋回装置30では、軸である旋回台座32の外周面と内輪11の内周面とは、組み込み後の主軸旋回部用軸受10に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の軸受10に予圧が付与された状態において、内輪11の内周面の半径方向への収縮によってしまり嵌めとされるので、内輪11を旋回台座32に組み込む際に、プレスや焼き嵌め等を用いる必要もないので容易に組込みができ、また内輪11を旋回台座32から分解する際も、軸受10に負荷をかけることなくスムーズに行なえる。さらに、しまり嵌めで組み込む場合に比べて軸受周りの設計も容易となる。また、予圧付加後は内輪11と旋回台座32との間はしまり嵌めとなるので、クリープの発生や回転精度の悪化も防止できる。
また、本実施形態の主軸旋回装置30では、ハウジングである基台31の内周面と外輪12の外周面とは、組み込み後の主軸旋回部用軸受10に予圧が付与される前の状態において、すきま嵌めとされ、組み込み後の軸受10に予圧が付与された状態において、外輪12の外周面の半径方向への膨張によってしまり嵌めとされるので、外輪12を基台31に組み込む際に、プレスや焼き嵌め等を用いる必要もないので容易に組込みができ、また外輪12を基台31から分解する際も、軸受10に負荷をかけることなくスムーズに行なえる。さらに、しまり嵌めで組み込む場合に比べて軸受周りの設計も容易となる。また、予圧付加後は外輪12と基台31との間はしまり嵌めとなるので、クリープの発生や回転精度の悪化も防止できる。
また、本実施形態の主軸旋回装置30の組立方法によれば、軸である旋回台座32の外周面と内輪11の外周面との間、及びハウジングである基台31の内周面と外輪12の外周面との間の少なくとも一方をすきま嵌めとした状態で、旋回台座32及び基台31に軸受10を組み込む工程と、組み込み工程後、軸受10に所定の予圧を付加する工程と、を備え、予圧付与工程は、軸受10に所定の予圧を付与したとき、旋回台座32の外周面と内輪11の内周面との間をしまり嵌めとする内輪11の内周面の半径方向への収縮と、基台31の内周面と外輪12の外周面との間をしまり嵌めとする外輪12の外周面の半径方向への膨張の少なくとも一方を発生するので、旋回台座32や基台31に軸受10を組み込む際、プレスや焼き嵌め等を用いる必要もないので容易に組込みができ、また軸受10を分解する際も、軸受10に負荷をかけることなくスムーズに行なえる。さらに、しまり嵌めで組み込む場合に比べて軸受周りの設計も容易となる。また、予圧付加後は軸受10と旋回台座32・基台31間はしまり嵌めとなるので、クリープの発生や回転精度の悪化も防止できる。
回転精度の悪化防止の効果の一つは、以下の理由によるものである。
即ち、軸(旋回台座)32の外周面と内輪11の内周面との間、及びハウジング(基台)31の内周面と外輪12の外周面との間がすきま嵌めで組み込まれた場合、図12(a)に示すように、2列の内輪11,11間及び外輪12,12間で軸芯が半径方向にずれる可能性が高い。このような芯ずれが生じた状態で、転がり軸受が回転した場合、もみすり運動のような振れ回りが生じ、回転精度が悪化する。一方、本発明では、予圧後にしまり嵌めで組み込まれているので、図12(b)のように、内輪11,11間及び外輪12,12間で芯ずれがなくなり、回転精度を向上することができる。
さらに他の効果として、軸受予圧付加時に外輪12の外周面が膨張、あるいは内輪11の内周面が収縮するので、設計上の理論予圧荷重(内外輪11,12の軌道溝と玉13間の弾性接触変形より計算される)が軸受10に付加されず、理論上の剛性が確保できなくなる。本実施形態のように、嵌めあいを適正値にすることにより、内外輪11,12の膨張収縮を最小限に抑えることができ、予圧荷重の低下による剛性低下も最小限に抑制することが可能となる。
特に、本実施形態では、断面寸法比を0.1<B/H<0.63とした幅狭のアンギュラ玉軸受14が用いられているので、内外輪11,12の軸方向断面肉厚が薄く、予圧による内外輪11,12の膨張収縮変形も大きくなるので、その効果が大きい。つまり、標準寸法の転がり軸受の場合には、内外輪11,12の断面肉厚が厚く、また、用途上の必要予圧荷重も小さかったので、予圧を付加しても内外輪11,12の膨張収縮量はわずかであったので、嵌めあいすきまの影響は少なかった。しかし、幅狭のアンギュラ玉軸受14では、これに比べて予圧による内外輪11,12の膨張収縮変形が大きく、今回のような発明が必要となる。
加えて、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、印刷機のドラム回転部等は高剛性を必要とし、かつ省スペース化が必要となるので、幅狭のアンギュラ玉軸受14は、これらの構造に有効である。また、剛性増加のため、設定する予圧荷重も、数千N以上と大きいので膨張収縮変形も大きくなり、上記効果をより発揮できる。
(変形例)
また、本実施形態の変形例として、上記実施形態で使用した幅狭のアンギュラ玉軸受14の代わりに、図13に示すような特殊寸法の薄肉のアンギュラ玉軸受80を使用してもよい。このアンギュラ玉軸受80は、旋回台座32に外嵌される内輪81と、基台31に内嵌される外輪82と、内輪81及び外輪82の各軌道面81a,82a間に接触角を持って転動自在に配置される複数の玉83と、を有する。
アンギュラ玉軸受の薄肉度を表わす指標としては、内輪81(又は外輪82)の径方向の断面肉厚(いわゆる、有効肉厚:t)と、内輪81(又は外輪82)の径方向寸法(いわゆる、有郊外径:Dt)と、の比である有効肉厚比:Y(=t/Dt)が一般的に適用される。
具体的には、図13に示すように、内輪有効肉厚比Yiは、内輪81の最大肉厚ti1、最小肉厚ti2、内輪内径dとしたとき、有効肉厚ti=ti1−(ti1−ti2)/4と有効外径Dit=d+2tiとの比(ti/Dit)で表される。また、外輪有効肉厚比Yoは、外輪の最大肉厚to1、最小肉厚to2、外輪外径Dtとしたとき、有効肉厚to=to1−(to1−to2)/3と、有効外径Dot=Dtとの比(to/Dot)で表される。
有効肉厚比Y(Yi、Yo)が小さいと、リングの半径方向剛性が小さくなるため、幅狭のアンギュラ玉軸受14と同様、大きな予圧荷重を負荷した際、内外輪81,82の膨張収縮量が大きくなる。そして、表2に示す標準寸法のアンギュラ玉軸受、及び本発明の特殊寸法薄肉アンギュラ玉軸受(本発明品B,C)に予圧荷重を負荷したときの内外輪の膨張収縮変形の計算結果を図14及び図15に示す。
Figure 2014040924
図14及び図15に示すように、一般用途(工作機械主軸など)で、標準予圧条件が適用される領域では、本発明品B,Cと標準品A,Bとの間に膨張収縮量の大きな差は認められないが、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、或いは、ロボットの間接部や旋回機構部及び減速機構部などでは、非常に高い剛性が要求されるため、超重予圧が適用される場合が多い。この条件下では、両者の膨張収縮量差は非常に大きくなる。
図14及び図15に示すように、有効肉厚比Yとして、5%以下の薄肉アンギュラ玉軸受(本発明品)を適用した場合、膨張収縮量が非常に大きく、仮に、15000Nの予圧荷重を設定した場合、外輪膨張量は約35μm以上、内輪収縮量は31μm以上となる。
そして、本変形例の薄肉のアンギュラ玉軸受80を表3に示す嵌め合い条件下で、軸32及びハウジング31に組み込むことで、予圧付加前はすきま嵌め、予圧付加後はしまり嵌めとなり、本発明の効果を達成することができる。
Figure 2014040924
また、表3に示すアンギュラ玉軸受80の精度P5は、標準的な適用条件であり、また、軸32及びハウジング31の寸法許容差も一般的な選定条件(基本公差IT6:g6、H6)であり、適用に際してなんら問題はない。このように、本発明の有効肉厚比を5%以下とした特殊寸法の薄肉アンギュラ玉軸受80を使用し、ごく一般的に採用されている適正な軸受精度及び軸・ハウジングの寸法精度を組み合わせることで、上記第1実施形態の主軸旋回装置30と同様の効果を発揮することが可能となる。
また、図14及び図15に示すように、標準品A,Bの場合、予圧荷重15000Nでの外輪膨張量は約20μm、内輪収縮量は20μmとなり、軸受と軸・ハウジングとの嵌合レンジを20μm以下にしないと、本発明の「予圧付加前はすきま嵌めで、予圧付加後はしまり嵌め」という条件を満足することはできない。この条件を達成するには、軸及びハウジングの精度を、2段階上の基本公差IT4以下にする必要があり、加工精度確保が非常に困難であり、精密加工工程の追加や、加工コストの大幅な増加などの大きな問題が生じる。
また、有効肉厚比Yが5%以下の軸受であれば、本発明の効果を発揮することができるが、表2に示す極薄肉標準品のように、有効肉厚比Yが小さすぎると(外輪有効肉厚比Yo=2.4、内輪有効肉厚比Yi=2.8)、予圧荷重15000Nでの膨張収縮量が極端に大きくなり、100μm(外輪膨張量60μm+内輪収縮量55μm)を越えてしまう。
つまり、内外輪81,82のリング剛性が極端に低下し、軸32やハウジング31に組込み後、リング変形が大きくなり、軸受80の動トルク変動や回転精度が悪化してしまうなどの不具合が生じる。特に、工作機械の回転テーブルや旋回機構部などの用途では回転精度が問題となる。また、ロボットの間接部などでは安定したトルク特性が非常に要求されるため、やはり問題となる。従って、上記の問題を鑑み、有効肉厚比Y(外輪有効肉厚比Yo、内輪有効肉厚比Yi)としては、3%≦Y≦5%とするのがよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
なお、本発明の軸受装置は、本実施形態の用途以外、例えば、工作機械の回転テーブル・ロボットの旋回機構部や関節部及び減速機構部・印刷機械のドラム等の回転機構部、ダイレクトモータ回転支持部等でも、同様の効果を発揮できる。特に、工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、ダイレクトモータ回転支持部、ロボットの関節部や旋回機構部及び減速機構部等においては、省スペース化と高剛性化を両立させる必要があり、軸方向に幅狭のアンギュラ玉軸受、及び薄肉アンギュラ玉軸受を使用すれば、予圧荷重による軌道輪の膨張収縮量が大きいので、さらに上記の作用効果が向上する。
本発明の転がり軸受としては、本実施形態のアンギュラ玉軸受以外に、円すいころ軸受、深溝玉軸受、クロスローラ軸受、4点接触玉軸受等が適用できる。また、組合せ軸受の場合、必要に応じで、2列以上、例えば、3列組合せや4列組合せアンギュラ玉軸受としても良い。
さらに、モーメント剛性を向上させるため、組み合わせた軸受間に内輪間座や外輪間座を挿入してもよい。また、組合せ方法も、図2に示すような、接触角の向きをハの字形とした背面組合せではなく、逆ハの字形とした正面組合せとしてもよい。
予圧の付加方法としては、2列以上の軸受の組合せによる定位置予圧方式の他、図16に示すようなばね70を利用し、適正な予圧荷重を付加できる定圧予圧方式等を採用してもよい。予圧の付加方法や構造は適時、本発明の範囲で選定可能である。
また、本実施形態の主軸旋回装置においては、基台31に形成した収容凹部34内に旋回台座32を回転自在に支持する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、基台31の外側に旋回台座32を主軸旋回部用玉軸受10を介して回転自在に支持するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、軸32の外周面と内輪11の内周面との間、及びハウジング31の内周面と外輪12の外周面との間の各嵌め合いは、転がり軸受10に予圧が付与される前の状態においてすきま嵌めとし、転がり軸受10に予圧が付与された状態においてしまり嵌めとしているが、本発明は、これら嵌め合いの少なくとも一方が、転がり軸受10に予圧が付与された状態においてしまり嵌めとされればよく、一方の嵌め合いが予圧付与後にすきま嵌めの状態のままであってもよい。
また、本発明は、これら嵌め合いの少なくとも一方が、転がり軸受10に予圧が付与される前の状態においてすきま嵌めであればよく、一方の嵌め合いが予圧付与前からしまり嵌めであってもよい。その場合、すきま嵌めとした他方の嵌め合いが、予圧付与後にしまり嵌めとされる。
また、軸受の寸法安定性や耐摩耗性などの機械的性質を向上させるために、内輪及び外輪の少なくとも一方に、サブゼロ処理を施してもよい。
サブゼロ処理の方法としては、例えば、焼入れ直後に、液体窒素を用いて−150℃程度の雰囲気とし、本サブゼロ処理後に焼戻しを行なう。そして、サブゼロと焼戻しを数回繰り返す。冷却媒体として、液体窒素使用のサブゼロ処理では、繰り返し回数は多くとも3回程度でかまわない。サブゼロ処理によって、組織中の残留オーステナイト(γR)がマルテンサイトに変態する。併せて、結晶粒の安定化も促進されるので、これにより経時寸法変化の防止と耐摩耗性などの機械的性質が向上する。
本軸受の場合、内輪及び外輪の軸方向幅が狭い、或いは、有効肉厚が薄いので、そりや真円度不良など経時寸法変化が発生しやすい傾向がある。
したがって、サブゼロ処理により、それらを抑制することができ、特に、軸受精度が必要な工作機械の回転テーブルや主軸旋回機構部、印刷機械のドラム等の回転機構部などに、本軸受を使用する場合、軸受精度劣化による機器の精度不具合を防止でき長期的に機能を保持することができる。
10 主軸旋回部用軸受(転がり軸受)
11,81 内輪
12,82 外輪
13,83 玉(転動体)
14,80 アンギュラ玉軸受
30 主軸旋回装置(軸受装置)
31 基台(ハウジング)
32 旋回台座(軸)

Claims (2)

  1. 軸と、ハウジングと、転がり軸受と、を備え、前記転がり軸受は、前記軸に外嵌される複数の内輪と、前記複数の内輪のそれぞれに対応する複数の外輪と、を有する、互いに当接する複数の軸受から構成され、前記転がり軸受を前記軸及び前記ハウジングに組み込み後に予圧が付与される軸受装置であって、
    工作機械の回転テーブル又は工作機械の主軸旋回部の回転機構部、或いは印刷機のドラムの回転軸に適用され、
    前記転がり軸受は、前記複数の内輪と前記複数の外輪との間にそれぞれ配置される複数の玉を有し、少なくとも2列配置された状態で定位置予圧が付与される背面組合せのアンギュラ玉軸受であり、
    前記内輪の最大肉厚ti1、最小肉厚ti2、内輪内径d、有効肉厚ti=ti1−(ti1−ti2)/4、有効外径Dit=d+2tiとしたときの内輪有効肉厚比Yi=ti/Dit、
    および、前記外輪の最大肉厚to1、最小肉厚to2、外輪外径Dt、有効肉厚to=to1−(to1−to2)/3、有効外径Dot=Dtとしたときの外輪有効肉厚比Yo=to/Dotを、
    3%≦Yi≦5%、且つ3%≦Yo≦5%とした玉軸受であり、
    前記組み込み後の玉軸受に予圧が付与される前の状態において、前記内輪又は外輪のうちの一方の対向端面は互いに当接する一方、前記内輪又は外輪のうちの他方の対向端面間には所定のすきまが設けられ、前記軸の外周面と前記各内輪の内周面及び前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面とはすきま嵌めとされ、前記組み込み後の玉軸受の前記内輪を軸方向に締め付け前記軸に固定するとともに前記外輪を軸方向に締め付け前記ハウジングに固定することで、前記対向端面間の隙間をなくし予圧が付与された状態において、前記複数の軸受内の前記各内輪及び前記各外輪の弾性変形により、前記各内輪の内周面が半径方向へ収縮して前記軸の外周面と前記各内輪の内周面とは直接嵌合してしまり嵌めとされるとともに、前記各外輪の外周面が半径方向へ膨張して前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面も直接嵌合してしまり嵌めとされ、これにより前記複数の軸受の各中心は前記軸の軸心と一致することを特徴とする軸受装置。
  2. 前記軸の外周面と前記各内輪の内周面との嵌め合いすきまは、予圧付与時の前記内輪の径方向の収縮量の1/2以下に設定され、
    前記ハウジングの内周面と前記各外輪の外周面との嵌め合いすきまは、予圧付与時の前記外輪の径方向の膨張量の1/2以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
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