JP2010133563A - 工作機械の回転テーブル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転機構と揺動機構とを備えた工作機械の回転テーブル装置であって、前記回転機構においてワークが載置される回転テーブルに一体に形成された主軸と、回転テーブル支持ハウジングとの間に介装される各玉軸受が、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さH(=(外輪外径D−内輪内径d)/2)との断面寸法比(B/H)を(B/H)<0.63とされる。
【選択図】図1
Description
特に、最近は、数値制御機能を有する工作機械(いわゆる、NC工作機械)がほとんどを占めており、一台の工作機械で種々の加工条件をこなせるNC旋盤、NCフライス盤やマシニングセンタ、あるいはNC旋盤にマシニングセンタの機能を付加した複合型工作機械が増加している。これらのNC工作機械や複合型工作機械は、単能型の工作機械に対して機械要素も多く、一台の機械で必要とされる床スペースが大きい。そのため、各機械要素は、上述した高精度(高回転精度)、高剛性、低トルク、低発熱の要求を満足することに加えて省スペース化を達成することが必要である。
(1)クロスローラ軸受(図24参照)
クロスローラ軸受は、内輪1と外輪2との間に円筒形の多数のころ3が転動自在に配設されており、一つの軸受でラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けられ、また、省スペース化が可能である。
しかし、クロスローラ軸受は、転動体がころであり、軌道溝1a,2aに対してころ3の転がり接触面が線接触しているので、トルクが大きく、しかも軸やハウジングに組み込んだ際のわずかな変形により、線接触部分の接触状態が不安定となり、トルクむらが発生しやすい。また、工作機械の回転テーブル用では、高精度化と高剛性化を図るために軸受に予圧をかけることが多いが、この場合、上記の変形によるトルクむらがさらに大きくなる。
4点接触玉軸受は、内輪4と外輪5との間に多数の玉6が転動自在に配設されており、一つの軸受でラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けられ、また省スペース化が可能である。
4点接触玉軸受の場合、転動体が玉なので、純アキシャル荷重を受ける場合、又はラジアル荷重よりアキシャル荷重が優勢な場合、同寸法のクロスローラ軸受よりトルクが小さい一方で、アキシャル荷重に対してラジアル荷重が優勢な場合、又は純ラジアル荷重を受ける場合、各玉6は軌道溝4a,5aと4点で接触するため玉6と各軌道溝4a,5aとのスピン滑りが大きく、やはりトルクが大きい。また、クロスローラ軸受と同様に、工作機械の回転テーブル用では、高精度化と高剛性化を図るために軸受に予圧をかけることが多いが、この場合、玉6が常に内外輪軌道溝4a,5aと4点で接触するため、トルクがさらに増加してしまう。
図26は、内輪7と外輪8との間に複数の玉9が転動可能に配設されたアンギュラ玉軸受等を2列に組合わせている。2列組合わせ玉軸受の場合、それぞれの単列軸受において、玉9と内外輪7,8の軌道溝間は2点接触であるので、低トルク化は図れるものの、単列軸受の2倍の軸方向スペースが必要となり、コンパクト化の点でクロスローラ軸受や4点接触玉軸受に劣る。
図29は、内輪21と外輪22との間に保持器23を介して複数の円すい形のころ24が転動可能に配設された円すいころ軸受20を内輪間座25及び外輪間座26を介して2列に組合わせている。円すいころ軸受は、クロスローラ軸受と同様に転動体がころであり、軌道溝に対してころ24の転がり接触面が線接触しており、また、ころ24の端部と内輪21のつば部27が滑り接触しているのでトルクが大きくなり、更に、単列軸受の2倍の軸方向スペースが必要である。また、工作機械の回転テーブル用では、高精度化と高剛性化を図るために、軸受に予圧をかけることが多いが、この場合、トルクがさらに大きくなる。
このような工作機械の場合、図31に示すように、被削材(ワーク)41を保持する回転テーブル装置40では、回転テーブル42の回転機構以外に回転テーブル42全体がテーブル水平状態を0°としたとき、−100°〜+100°程度傾斜させる揺動機構を備えており、回転テーブル42の周辺の部品スペースが増加せざるを得ないため、更なる省スペース化が要求される。また、回転テーブル42全体を揺動させるための動力をできるだけ軽減し、省エネルギー化を図るためには、回転テーブル42の回転機構のコンパクト化による軽量化も必要である。
前記回転機構は、
ワークが載置される回転テーブルと、
該回転テーブルと一体に形成された主軸と、
該主軸の外周に内輪が外嵌されると共に、回転テーブル支持ハウジングの内周に外輪が内嵌された玉軸受と、
前記主軸の回転駆動により前記回転テーブルが回転するように構成された工作機械の回転テーブル装置であって、
前記揺動機構は、
前記回転テーブル支持ハウジングを機械本体に対して、前記主軸に直交する方向に所定角度で回動可能とすることによって前記回転テーブルを揺動するように構成されて、
前記玉軸受は、
外輪の軌道溝と内輪の軌道溝との間に多数の玉が転動自在に配設された2列組合せのアンギュラ玉軸受で構成され、
各アンギュラ玉軸受は、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さHとの断面寸法比(B/H)が(B/H)<0.63であり、
背面組合せで配設され、
各列軸受の玉の軸方向の位置(軸方向ピッチ)が、組合せ面と反対側の面よりにされ、
円環部を有し、該円環部同士を対向させた冠形保持器を有し、
背面組合せされた各軸受の外側にのみシールが配設されたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の工作機械の回転テーブル装置において、前記玉のピッチ円直径が前記内輪の内径寸法と前記外輪の外径寸法との平均値よりも大であることを特徴とする。
図1は本発明の第1の態様の実施の形態の一例である工作機械の回転テーブル装置用単列玉軸受を説明するための要部断面図、図2は図1の単列玉軸受を2列組み合わせた状態を示す要部断面図、図3〜図14は本発明の第1の態様の他の実施の形態を説明するための図、図15は本発明の第2の態様の実施の形態の一例である工作機械の回転テーブル装置用複列玉軸受を説明するための要部断面図、図16〜図18は本発明の第2の態様の他の実施の形態である複列玉軸受を説明するための要部断面図である。
まず、図31に示す工作機械の回転テーブル装置40について説明すると、この回転テーブル装置40は、例えば5面加工横形マシニングセンタの一部を構成するものであり、被削材(ワーク)41が載置される回転テーブル42と主軸43が一体とされ、主軸43の外周に玉軸受Aの内輪(回転輪)が外嵌されると共に、回転テーブル支持ハウジング44の内周に転がり軸受Aの外輪が内嵌され、主軸43の回転駆動により回転テーブル42が高精度(振れ精度)で回転する。
工作機械の回転テーブル装置40に組み込まれる玉軸受Aは、回転テーブル装置40の回転テーブル42に載置された被削材(ワーク)41を、高精度(振れ精度)で回転させること、低発熱、低トルク及び加工時の荷重に対する変位を少なくする(高剛性)ことが要求される。また、玉軸受Aは、回転テーブル42の重量に加え、加工条件に応じて発生するラジアル荷重、アキシャル荷重及びモーメント荷重、或いはこれらの荷重が重なりあった複合荷重を受けることになる。
以下、玉軸受A及び玉軸受Bの具体例を詳述する。
本発明の第1の態様の実施の形態の一例である工作機械の回転テーブル装置用単列玉軸受100は、図1に示すように、外輪101の軌道溝101aと内輪102の軌道溝102aとの間に多数の玉103が転動自在に配設された単列の総玉のアンギュラ玉軸受100において、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さH(=(外輪外径D−内輪内径d)/2)との断面寸法比(B/H)を(B/H)<0.63としている。
7940Aのアンギュラ玉軸受は、内輪内径d:φ200mm、外輪外径:Dφ280mm、軸方向断面幅(軸受単体幅)Bが38mmであるので、断面寸法比(B/H)=0.95である。したがって、本実施形態のアンギュラ玉軸受100では、断面寸法比(B/H)=0.475(内輪内径及び外輪外径はそのままで、軸方向断面幅(軸受単体幅)Bを19mmとした)としている。これにより、ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けられるのは勿論のこと、高精度化(高回転精度化)、高剛性化、低トルク化及び低発熱化を図ることができると共に、軸方向寸法で1/2の省スペース化を図ることができる。
なお、本実施形態では、玉103のピッチ円直径は次式(1)のとおりとしているが、軸受1列あたりの玉数を増やして更にモーメント剛性を増加させたい場合は、次式(2)を採用して、玉103のピッチ円直径を外輪側にずらして図3に示す構造としてもよいし、必要に応じて次式(3)を採用して逆に玉103のピツチ円直径を内輪102側にずらしてもよい(図示せず)。
玉のピッチ円直径=(内輪内径+外輪外径)/2 …(1)
玉のピッチ円直径>(内輪内径+外輪外径)/2 …(2)
玉のピッチ円直径<(内輪内径+外輪外径)/2 …(3)
軸方向の一方の端部に環状シール体104を装着したアンギュラ玉軸受100を2列組み合わせて機械等に取り付けた後(シール取り付け面を外側に向けて組み合わせる)は、軸受使用中に外部からの異物やごみ等の侵入及び封入グリースの外部への洩れを防止することが可能である。環状シール体104は、この実施の形態では、外輪101のシール溝104aに押し込んで挿入する非接触型(内輪102と非接触)で金属芯金105の補強タイプのゴムシール(例えばニトリルゴム・アクリルゴムやフッ素ゴム)106とし、組み合わせ端面と反対側のみ環状シール体104を装着して省スペース化を図っている。
軸方向の両端部に環状シール体104を装着したアンギュラ玉軸受100を機械等に取り付けた後は、軸受使用中に外部からの異物やごみ等の侵入を防止すると共に、軸受取扱い時や軸やハウジングヘの組込み時においても、異物やごみ等の侵入及び封入グリースの外部への洩れを防止することが可能となる。組み合わせについては、2列でモーメント剛性を増加させるためには、モーメントの作用点距離が大きくとれる背面組み合わせ(図2等で接触角がハの字の向きとなっている)を採用するのが望ましい。
更には、モーメント荷重や両方のアキシャル荷重を負荷するためには、2列以上の組み合わせ軸受とする必要があるが、荷重条件や方向に応じて使用条件上で可能であれば、単列軸受で使用してもかまわない。
図10は、軸方向の一方の端部(組合せ側端面と反対側の端部)に環状シール体104を装着し、且つ玉103を転動可能に保持する保持器110を備えたアンギュラ玉軸受100を2列背面組み合わせたものである。
保持器付きの軸受は、回転が1方向の連続回転や大きなモーメント荷重が加わる条件等、各玉の接触角の変化による公転速度のばらつきが発生しやすい条件等で、総玉軸受を使用した場合の玉間の接触や玉つまりが生じやすい用途で低トルク、低発熱等の点で、より良い効果を発揮する。
保持器の形状は、本実施形態に限定されず、各玉103間に配置するセパレータタイプの保持器の他、いずれの方式でもよい。また、材料も合成樹脂材ではなく、金属材料でもかまわない。
このような構造を採用することで、保持器と内外輪との熱膨張係数差及び保持器の寸法精度や真円度のばらつき(特に、軸受サイズが大きい場合)により、転動体ピッチ円径と保持器のピッチ円径がずれた場合でも、片持ち形状であることによる半径方向の柔軟性と、各切断面間のすき間による円周方向の弾力的変形(円周方向の柔軟性)を兼ね備えることとなるため、玉103とポケット部113間の突っ張り力を緩衝して、保持器の損傷や摩耗を防止すると共に、玉103とポケット部113内面とのすべり接触抵抗によるトルクむらや発熱をより軽減することができる。
従って、本発明では、従来の極薄肉軸受で問題となる内外輪製作時の旋盤加工や研磨加工時の加工力による軸受変形を防止することができ、真円度や偏肉等の軸受精度を向上させることができる。
つまり、従来使用されている極薄肉玉軸受に比較して、省スペース化と同時に高精度化を両立させることが可能である。
したがって、これらの玉軸受の断面寸法比(B/H)の最大値1.17の約1/2倍、すなわち0.63未満に設定することで、従来の標準単列玉軸受で最も幅狭の玉軸受より幅狭で、且つ従来の標準単列玉軸受の軸方向スペース以内に、単列の玉軸受を2列組み合わせて配置することができる。
なお、単列玉軸受は、1列では、予圧をかけたりモーメント荷重を負荷することは困難であるが、2列以上の多列組合せとすることで、ラジアル荷重・アキシャル荷重及びモーメント荷重を負荷することが可能となる。
さらに、幅寸法が従来の標準単列玉軸受の約半分となることで、玉径も従来の玉軸受の半分程度となるが、逆に1列あたりの玉数が増加し、軸受剛性は従来の玉軸受に対して増加する。また、工作機械の回転テーブルの回転支持部に用いる場合においては、低速回転、または揺動回転条件が大部分の比率を占めているので、玉径を小さくしたことにより軸受の負荷容量が低下しても転がり疲れ寿命時間が実用上で問題となることはない。
この複列総玉アンギュラ玉軸受200は、外輪201の複列軌道溝201a,201bと内輪202の複列軌道溝202a,202bとの間に多数の玉203が転動自在に配設され、軸方向断面幅B2と半径方向断面高さH2(=(外輪外径D2−内輪内径d2)/2)との断面寸法比(B2/H2)が(B2/H2)<1.2とされており、玉ピッチ円直径が半径方向断面高さの中央に設定されている。
7940Aは、内輪内径φ200mm、外輪外径φ280mm、軸方向断面幅(軸受単体幅):Bが38mmであるので、断面寸法比(B/H)=0.95である。したがって、本実施形態のアンギュラ玉軸受200では、断面寸法比(B2/H2)=0.95(内輪外径及び外輪外径はそのままで、軸方向断面幅(軸受単体幅):B2を38mmとした)としている。これにより、ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重、モーメント荷重を受けられるのは勿論のこと、高精度化(高回転精度化)、高剛性化、低トルク化及び低発熱化を図ることができると共に、軸方向寸法で1/2の省スペース化を図ることができる。
なお、図16は、モーメント剛性をあげるため、複列総玉アンギュラ玉軸受200で玉ピッチ円直径を外径側にずらした例であり、図17は、複列総玉アンギュラ玉軸受200で各列の玉径や玉ピッチ円直径を変えた例であり、図18は、軸方向の両端部に環状シール体104を装着した複列総玉アンギュラ玉軸受200で、モーメント剛性をあげるため、玉ピッチ円直径を外径側にずらした例である。
ここで、図23は、各種軸受の計算モーメント剛性の比較である。同一サイズ(計算例は、軸受名番7906A(接触角30°)相当で、内外径寸法が同じ場合:内輪内径φ30mm、外輪外径φ47mm)では、単列の幅狭アンギュラ玉軸受(接触角30°:総玉軸受の計算例)を2列組合わせ、且つ内外輪の軌道溝曲率半径を変化させた本発明例A〜Eは、いずれもクロスローラ軸受、標準2列組合わせアンギュラ玉軸受及び4点接触玉軸受に比べてモーメント剛性が大きくなっている。例えば、本発明例Bは、クロスローラ軸受の2.4倍、標準2列組合わせアンギュラ玉軸受の1.9倍、4点接触玉軸受の3.3倍のモーメント剛性を保持させることが可能である。
さらに、本発明をアンギュラ玉軸受に適用した場合、軸受の接触角は必要な剛性(例えば、モーメント剛性)及び要求トルクにより選ばれるが、おおむね10〜60°の範囲が望ましい。
さらには、内外輪軌道溝の曲率半径は、要求される剛性やトルク特性に応じて、51〜60%Da(Da:玉径)、好ましくは52〜56%Da、より好ましくは52〜54%Da程度とする。また、内外輪のそれぞれの軌道溝の曲率半径は同一でなくてもよいし、組み合される単列軸受間や複列軸受の各列間で異なってもよい。
42 回転テーブル
100 単列玉軸受
101 外輪
101a 外輪軌道溝
102 内輪
102a 内輪軌道溝
103 玉
200 複列玉軸受
201 外輪
201a,201b 外輪軌道溝
202 内輪
202a,202b 内輪軌道溝
203 玉
Claims (2)
- 回転機構と揺動機構とを備え、
前記回転機構は、
ワークが載置される回転テーブルと、
該回転テーブルと一体に形成された主軸と、
該主軸の外周に内輪が外嵌されると共に、回転テーブル支持ハウジングの内周に外輪が内嵌された玉軸受と、
前記主軸の回転駆動により前記回転テーブルが回転するように構成された工作機械の回転テーブル装置であって、
前記揺動機構は、
前記回転テーブル支持ハウジングを機械本体に対して、前記主軸に直交する方向に所定角度で回動可能とすることによって前記回転テーブルを揺動するように構成されて、
前記玉軸受は、
外輪の軌道溝と内輪の軌道溝との間に多数の玉が転動自在に配設された2列組合せのアンギュラ玉軸受で構成され、
各アンギュラ玉軸受は、軸方向断面幅Bと半径方向断面高さHとの断面寸法比(B/H)が(B/H)<0.63であり、
背面組合せで配設され、
各列軸受の玉の軸方向の位置が、組合せ面と反対側の面よりにされ、
円環部を有し、該円環部同士を対向させた冠形保持器を有し、
背面組合せされた各軸受の外側にのみシールが配設されたことを特徴とする工作機械の回転テーブル装置。 - 前記玉のピッチ円直径が前記内輪の内径寸法と前記外輪の外径寸法との平均値よりも大であることを特徴とする請求項1に記載の工作機械の回転テーブル装置。
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