JP2014038234A - 液体現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャリア液と、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されたトナー粒子と、を含有する液体現像剤である。
【選択図】なし
Description
トナー粒子と、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、グリシジル基から選ばれた任意の基を有するシリコーンオイルおよび、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物の結合の一部または全部がアセチルアセトネートと置換された有機アルミニウム化合物、またはそれらの混合物を含有する液体現像剤が記載されている。
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液と、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されたトナー粒子と、を含有する。
本実施形態に係る液体現像剤に含まれるトナー粒子は、結着樹脂を含み、必要に応じて、着色剤、離型剤等のその他成分を含んでもよい。トナー粒子は、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されたものである。
メルカプト変性シリコーン化合物としては、下記一般式(1),(2),(3)で示される化合物等が挙げられる。
(1)
(式(1)中、Xは−Y−SHを示し、Yは炭素数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、mは1以上1,500以下の整数を示し、nは0.002以上100以下を示す。)
(2)
(式(2)中、Xはそれぞれ独立して−Y−SHを示し、Yは炭素数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上1,500以下の整数を示す。)
(3)
(式(3)中、Xは−Y−SHを示し、Yは炭素数1以上10以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、Rはアルキル基を示し、nは1以上1,500以下の整数を示す。)
本実施形態において、トナー粒子が、ポリアリルアミン類により表面改質されたものであることが好ましい。トナー粒子は、例えば、ポリアリルアミン類により表面改質されて(1段目の改質)トナー粒子表面を覆うポリアリルアミンの層が形成され、さらに、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されて(2段目の改質)メルカプト変性シリコーン化合物の層が形成されたものである。トナー粒子は、好ましくは、ポリアリルアミン類により表面改質されて(1段目の改質)トナー粒子表面を覆うポリアリルアミンの層が形成され、さらに、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されて(2段目の改質)ポリアリルアミン類の層の一部を覆う斑状のメルカプト変性シリコーン化合物の層が形成されたものである。
ポリアリルアミン類はカチオン性が高い物質であり、この材料がトナー粒子の表層に存在すると、プロトン吸着層として機能することからトナー粒子が正帯電化しやすくなると考えられる。また、ポリアリルアミン類とメルカプト変性シリコーン化合物の2段階改質を行う場合、ポリアリルアミン類を1段目の改質で使用することにより、2段目で使用するメルカプト変性シリコーン化合物をトナー粒子の表層に引き寄せる役目も果たすと考えられる。
(4)
(式(4)中、nは、20以上1,000以下の整数であり、20以上500以下の整数が好ましい。)
(5)
(式(5)中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、mおよびnは、それぞれ独立して1以上1,000以下の整数を示す。)
結着樹脂は、主成分としてポリエステル樹脂を含む。ポリエステル樹脂は、酸(多価カルボン酸)成分とアルコール(多価アルコール)成分とから合成されるものであり、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。主成分とは、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して50質量部以上のことをいう。
酸由来構成成分は、特に制限はなく、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。また芳香族カルボン酸としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類の低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。また、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。さらに良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。また、前述のアルケニルコハク酸類の具体的なものとしては、ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、ステアリルコハク酸、オクチルコハク酸、オクセニルコハク酸等が挙げられる。
アルコール由来構成成分としては特に制限はないが、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどや、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が用いられる。また、良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
本実施形態に係るトナー粒子は、必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤、シリカ粉末、金属酸化物等の他の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、粒子としてトナー粒子を得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。
本実施形態で用いるトナー粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、粉砕トナーをキャリア液中で粉砕したり、もしくは液中乳化乾燥トナーや重合トナー等の製造方法で製造したトナーをキャリア液中で解砕して得られる。
本実施形態に係るトナー粒子は、例えば、トナー粒子をポリアリルアミン類により表面改質してトナー粒子表面を覆うポリアリルアミン類の層を形成する工程(1段目の改質:ポリアリルアミン層形成工程)、さらに、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質してポリアリルアミン類の層の少なくとも一部、好ましくは一部を覆うメルカプト変性シリコーン化合物の層を形成する工程(2段目の改質:メルカプト変性シリコーン化合物層形成工程)を含む方法により作製される。
(1)トナー粒子、水を含むスラリに酸(1N程度の塩酸または硝酸)を添加してpH4程度に調整してトナー粒子表面の酸サイトをできるだけ確実に酸に戻す
(2)遠心分離等により固液分離を行い、余分な酸を除去する
(3)リスラリした後、水溶性のポリアリルアミン類を添加し、例えば30〜60分程度撹拌する
(4)遠心分離等により固液分離を行い、余分なポリアミンを除去する(例えば、導電率20μS/cm以下程度となるまで)
(5)メルカプト変性シリコーン化合物を含むアニオン性のシリコーンエマルジョンを添加し、例えば30〜60分程度撹拌する
(6)遠心分離等により固液分離を行い、余分なシリコーンを除去する(例えば、導電率20μS/cm以下程度となるまで)
(7)ろ過した後、乾燥(例えば、35℃程度、最低24時間程度)し、解砕する
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。上記範囲内であることで、付着力が高く、現像性の向上が図られる。また、画像の解像性の向上も図られる。トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.8μm以上4.0μm以下の範囲であることがより好ましく、1.0μm以上3.0μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、特に制限はないが、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族炭化水素を主成分とする脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーM等)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20P等)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物等を含有させてもよい。また、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等のシリコーンオイル(シリコーン系溶剤)が挙げられる。これらのうち、今回見出した表面改質剤との親和性等の観点から、シリコーンオイルが好ましい。
本実施形態に係る液体現像剤は、上記トナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な撹拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態に係る液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、を備える。
(トナー粒子の調製)
本実施例のトナーは、以下の方法により得られる。すなわち、下記の樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液をそれぞれ調製した。次いで、これらを所定量混合撹拌しながら、これに無機金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させ、上記各粒子の凝集体を形成させて、所望のトナー粒子径を得た。次いで、無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から中性の範囲に調整後、当該樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱し、合一融合させた。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナー粒子を得た。
5L(リットル)のフラスコに、セバシン酸1982質量部、エチレングリコール1490質量部、イソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウム59.2質量部、およびジブチルスズオキシド0.8質量部を、窒素雰囲気下、180℃で5時間反応させ、続いて、減圧下220℃で縮合反応を行った。途中ポリマーをサンプリングし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量がMw(重量平均分子量)=20,000、Mn(数平均分子量)=8,500になったところで、反応を止め、結晶性ポリエステル樹脂を得た。溶解温度(DSCのピーク温度)は71℃であった。NMRによるイソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウムの含有量の測定結果は1モル%(対全構成成分)であった。
結晶性ポリエステル樹脂160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、75℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、10℃/分の降温速度にて40℃まで降温し、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチル200質量部と、1,3−ブタンジオール85質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3質量部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気とし、機械撹拌にて180rpmで5時間撹拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、非結晶性ポリエステル樹脂(芳香族ジカルボン酸由来構成成分の含有量が100構成モル%である酸由来構成成分と、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が100構成モル%であるアルコール由来構成成分と、を含む非結晶性ポリエステル樹脂)240部を合成した。
非結晶性ポリエステル樹脂(1)160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、1℃/分の降温速度にて40℃まで降温し脱溶剤することにより非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、大日精化製) 45質量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散
し、体積平均粒径170nmの着色剤分散液を得た。
アルキルワックスFNP0085(溶解温度86℃、日本精蝋社製) 45質量部
カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を90℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザで分散処理し、体積平均粒径200nm、固形分量24.3質量%の離型剤分散液を得た。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 15質量部
非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 80質量部
着色剤分散液 18質量部
離型剤分散液 18質量部
以上の成分に固形分量16質量%となるようイオン交換水を添加し、丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合、分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら47℃まで加熱した。47℃で60分保持した後、ここに非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を緩やかに46質量部を追加した。その後、0.55モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3.5時間保持した。この時の粒子径を測定したところ体積平均粒径は2.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、数平均粒度分布指標GSDpは1.30であった。上記処理終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで撹拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液の電気伝導度が9.7μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo4Aろ紙を用いて固液分離を行った。
得られたトナー粒子100質量部をイオン交換水900質量部に加えスラリー(固形分濃度10質量%)を調製した。そのスラリに1N塩酸を添加してpH4に調整して、10分間撹拌した後、遠心分離により固液分離を行って上澄み液を捨て、余分な酸を除去した。その後、イオン交換水900質量部を添加してリスラリ化を行い、このスラリにポリアリルアミンPAA−25(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=265、重量平均分子量25,000)の10質量%水溶液10質量部を添加し、60分撹拌した。この後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なポリアミンを除去した。洗浄液の導電率が20μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、10分の撹拌、遠心分離を繰り返した。次に、イオン交換水900質量部を添加してリスラリ化を行い、このスラリにメルカプト変性シリコーン化合物(上記式(1)において、Y=1、m=110、n=50、重量平均分子量=10,000)を10質量%含むアニオン性のシリコーンエマルジョンであるX−52−8001(信越化学工業社製)を20質量部添加し、60分撹拌した。遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なシリコーン化合物を除去した。洗浄液の導電率が20μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、10分の撹拌、遠心分離を繰り返した。ろ紙(アドバンテック社製、No4A)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄した後、35℃で24時間乾燥し、解砕して、表面改質トナー粒子を得た。
上記で得られた表面改質トナー粒子60質量部を、シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96 20cs)140質量部と混合し、固形分濃度30質量%の液体現像剤を得た。
表面改質トナー粒子におけるメルカプト基の検出は赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−4100)を用いて行った。メルカプト基は、赤外吸収スペクトルにおいて2550cm−1〜2600cm−1付近に吸収特性がある。例えば特許第4022814号に記載のような現像液作製時にメルカプト変性シリコーンオイルを添加する従来法では、キャリア液中に遊離したメルカプト変性シリコーンが存在するが、メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されたトナー粒子の場合は、トナー粒子表面にメルカプト変性シリコーン化合物が化学的に結合しているためキャリア中に遊離することがほとんどなく、トナー粒子を分析しない限りメルカプト基はほとんど検出されない。
表面改質トナー粒子におけるポリアリルアミンの検出は赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−4100)を用いて行った。ポリアリルアミンの検出は、赤外吸収スペクトルにおいて1650cm−1、1570cm−1付近に吸収特性がある。
[現像効率]
図1に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vでほぼ均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の5段階の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
A:現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる
B:現像効率が91%以上96%未満であり、現像効率に優れる
C:現像効率が85%以上91%未満であり、実用上問題のない
D:現像効率が55%以上85%未満であり、現像効率に劣る
E:現像効率が55%よりも小さく、現像効率に特に劣る
図1に示すような画像形成装置を用いて、各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(富士ゼロックス社製、上質紙C2)上に形成した。その後、定着の設定温度を130℃として、熱定着を行った。その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(トンボ鉛筆社製、砂消しゴム「ES−512A」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite 530」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
A:画像濃度残存率が96%以上(非常に良い)
B:画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)
C:画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)
D:画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)
E:画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、14日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の5段階の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
A:沈降した深さが0mm
B:沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下
C:沈降した深さが2mmよりも大きく、4mm以下
D:沈降した深さが4mmよりも大きく、6mm以下
E:沈降した深さが6mmよりも大きい
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を50,000枚の記録紙(富士ゼロックス社製、上質紙C2)上に形成した。この画像形成は、各色の液体現像剤タンクから対応する各色の撹拌装置への液体現像剤の供給を停止した状態で行った。50,000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が30質量%となるように、撹拌装置に回収されたトナー粒子を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、以下の方法で試験を行い、リサイクルについての適応性(リサイクル性)を評価した。
A:沈降した深さが1mm以下
B:沈降した深さが1mmよりも大きく、3mm以下
C:沈降した深さが3mmよりも大きく、5mm以下
D:沈降した深さが5mmよりも大きく、7mm以下
E:沈降した深さが7mmよりも大きい
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−1112(ニットーボーケミカル社製、上記式(5)において、R1=メチル基、R2=メチル基、m=9、n=8、重量平均分子量1,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−01(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=30、重量平均分子量1,600)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−03(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=55、重量平均分子量3,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−05(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=90、重量平均分子量5,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−08(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=140、重量平均分子量8,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをPAA−15(ニットーボーケミカル社製、上記式(4)において、n=265、重量平均分子量15,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を130質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001の使用量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンPAA−25の使用量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンPAA−25を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンPAA−25の代わりにポリエチレンイミン(Polysciences製、重量平均分子量25,000)を使用した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリアリルアミンをポリエチレンイミン(Polysciences製、重量平均分子量25,000)に変更し、アニオン性シリコーンエマルジョンを、アクリル系分散剤(KP−578、信越化学工業社製)0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アクリル系分散剤KP−578を使用しなかった以外は、比較例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
ポリエチレンイミンを使用しなかった以外は、比較例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
実施例1で得た表面改質前のトナー粒子を使用した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
アニオン性シリコーンエマルジョンX−52−8001による処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、表面改質トナー粒子、液体現像剤を得た。以下、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
Claims (7)
- キャリア液と、
メルカプト変性シリコーン化合物により表面改質されたトナー粒子と、
を含有することを特徴とする液体現像剤。 - 前記トナー粒子が、ポリアリルアミン類により表面改質されたものであることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記キャリア液が、ジメチルシリコーンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されていることを特徴とする現像剤カートリッジ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、
前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
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