JP2014037855A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置を複雑化することなく、組成に関わらず金属摩耗粉を確実に捕捉でき、もってオイル中に分散した金属摩耗粉に起因するギヤやベアリングの消耗を抑制できる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】前軸デフ機構21を収容したハウジング2の底面に障壁部材として5本の突条33を設ける。各突条33をデフ機構21のリングギヤ22の回転方向と直交する方向に延設し且つ回転方向に列設することにより、各突条33間にリングギヤ22の回転方向と直交する溝部34を形成する。オイル中の金属摩耗粉Pを各溝部34内に沈殿させ、リングギヤ22の回転によるオイルの流動を各突条33により妨げて、溝部34内の金属摩耗粉Pが舞い上がってオイル中に分散する現象を防止する。
【選択図】図3

Description

本発明は動力伝達装置に係り、詳しくは、動力伝達装置のオイル中に混入している金属摩耗粉に起因するギヤやベアリングの消耗を抑制する構造に関する。
例えばトランスミッション装置やファイナルドライブ装置などの動力伝達装置は、変速動作や差動動作を行いながらエンジンの動力を駆動輪側に適切に伝達する役割を果たしている。このような機能のためにトランスミッション装置やファイナルドライブ装置のハウジング内には、多数のギヤが互いに噛合した状態でベアリングにより回転可能に支持されている。ギヤやベアリングの潤滑などを目的としてハウジング内にはオイルが貯留されているが、車両が長期に亘って使用されると、ギヤの摩耗などにより発生した金属摩耗粉が次第にオイル中に混入すると共に、オイル自体の性能も劣化する。
金属摩耗粉が混入したオイル或いは劣化したオイルを使用し続けると、所期の潤滑作用が得られずにギヤ及びベアリングの消耗が急速に進行し、これらの部品を交換するための大掛かりな分解修理などが必要となってしまう。そこで、予め車種毎に設定された交換インターバルに従って定期的にオイルを交換することにより、このような事態を未然に防止している。
しかしながら、オイル交換は車両のユーザーに任されているため、ユーザーによっては指定された交換インターバルを遥かに超える走行距離に至ってもオイル交換を実施しない場合がある。よって、従来からユーザーの自主性に全てを任せることなく、動力伝達装置側に構造的な対策を施すことが望まれていた。
このような要望に応じて種々の対策が提案されており、例えば特許文献1にはファイナルドライブ装置に関する技術が開示されている。当該技術ではハウジング内に磁石を配設し、ハウジング内に貯留されたオイルをアキュムレータにより磁石の方向に送出し、オイル中に混入している金属摩耗粉を磁石に吸着させることにより交換インターバルを超えた車両の使用に対処している。
特開平08−312754号公報
しかしながら、オイル中に混入する金属摩耗粉は磁性体だけでなく、アルミなどの非磁性体の金属摩耗粉も存在する。磁石を利用した特許文献1の技術は非磁性体の金属摩耗粉に対して全く効力がないため、完全な対策とは言い難かった。また、磁石への金属摩耗粉の吸着のためにアキュムレータが必要なため、ファイナルドライブ装置の構造が複雑化するという別の問題もあった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、装置を複雑化することなく、組成に関わらず金属摩耗粉を確実に捕捉でき、もってオイル中に分散した金属摩耗粉に起因するギヤやベアリングの消耗を抑制することができる動力伝達装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ハウジング内に配設したギヤ機構を介して走行用動力源側から入力される駆動力を駆動輪側に伝達すると共に、ハウジング内に貯留されたオイルを前記ギヤ機構の一部を構成する回転部分により掻き上げてギヤ機構の潤滑に供する動力伝達装置において、ハウジング内の底面の回転部分の直下に相当する箇所に、回転部分の回転によるオイルの流動を妨げる障壁部材を配設したものである。
請求項2の発明は、請求項1において、障壁部材が、ハウジングの底面上において回転部分の回転方向と略直交する方向にそれぞれ延設され且つ回転方向に列設された複数の突条であり、各突条の間に回転部分の回転方向と略直交する方向に延びる溝部が形成されているものである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、各突条が、ハウジングの底面に設けられたドレン孔の近傍に形成され、ドレン孔に対して各溝部を連通させる連通路が形成されているものである。
請求項4の発明は、請求項1において、障壁部材を、複数のダスト孔が貫設されてハウジングの底面上に所定間隔をおいて配設された多孔プレートとしたものである。
以上説明したように請求項1の発明の動力伝達装置によれば、ハウジング内にギヤ機構を配設して走行用動力源からの駆動力を伝達すると共に、ギヤ機構の一部を構成する回転部分によりオイルを掻き上げてギヤ機構を潤滑するようにし、ハウジング内の底面の回転部分の直下に相当する箇所に、回転部分の回転によるオイルの流動を妨げる障壁部材を配設した。
ギヤ機構の停止中にはハウジングの底面にオイルが溜まり、オイル中の金属摩耗粉がハウジングの底面に沈殿する。そして、ギヤ機構の作動開始に伴って回転部分が回転するとオイルが掻き上げられるが、このときのオイルの流動が障壁部材により妨げられるため、金属摩耗粉が舞い上がってオイル中に分散する現象が防止される。そして、この作用は金属摩耗粉の組成(例えば磁性体か否か)に関わらず得られるため、オイル中に分散した金属摩耗粉に起因するギヤやベアリングの消耗を確実に抑制でき、しかも、ハウジングの底面に障壁部材を配設する簡単な構成のため、製造コストを低減することができる。
請求項2の発明の動力伝達装置によれば、請求項1に加えて、回転部分の回転方向と略直交する方向に延設され且つ回転方向に列設された複数の突条を、障壁部材としてハウジングの底面上に設け、各突条の間に溝部を形成した。
従って、オイル中の金属摩耗粉は各突条間の溝部内に沈殿し、回転部分の回転によるオイルの流動は各突条に妨げられるため、金属摩耗粉が舞い上がってオイル中に分散する現象を未然に防止することができる。
請求項3の発明の動力伝達装置によれば、請求項1または2に加えて、ハウジングの底面に設けられたドレン孔の近傍に各突条を形成し、ドレン孔に対して各溝部を連通させる連通路を各突条に形成した。
従って、オイル交換のためにドレン孔からオイルを排出する際には、各溝部内に溜まったオイルが連通孔を経てドレン孔に案内され、このオイルと共に溝部内に沈殿している金属摩耗粉もドレン孔に案内されて円滑に排出される。結果としてオイル交換時の金属摩耗粉の排出を促進でき、もってオイルを一層良好な状態に保つことができる。
請求項4の発明の動力伝達装置によれば、請求項1に加えて、複数のダスト孔が貫設された多孔プレートを、障壁部材としてハウジングの底面上に所定間隔をおいて配設した。
従って、オイル中の金属摩耗粉は各ダスト孔を経て多孔プレートの下側に沈殿し、回転部分の回転によるオイルの流動は多孔プレートにより妨げられるため、金属摩耗粉が舞い上がってオイル中に分散する現象を未然に防止することができる。
第1,2実施形態のファイナルドライブ装置を示す断面図である。 第1実施形態の第3室内に障壁部材として配設された突条を示す図1のII−II線断面図である。 同じく第3室内に配設された突条を示す図1の部分拡大断面図である。 同じく第3室内に配設された突条を示す平面図である。 第2実施形態の第3室内に障壁部材として配設された多孔プレートを示す図2に対応する断面図である。 同じく第3室内に配設された多孔プレートを示す図3に対応する断面図である。 同じく第3室内に配設された多孔プレートを示す図4に対応する断面図である。
[第1実施形態]
以下、本発明をトラック用のファイナルドライブ装置に具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態のトラックは前後2軸の後輪を備えた後輪2軸タイプの車両であり、本実施形態のファイナルドライブ装置は前軸の左右後輪間に備えられており、これとは別に後軸の左右後輪間にも別のファイナルドライブ装置が備えられている。
図1は本実施形態のファイナルドライブ装置を示す断面図であり、図中の左方が車両の前側に相当し、図示はしないがエンジン(走行用動力源)及びトランスミッション装置が搭載されている。以下、説明の便宜上、車両の前後左右に倣って図1中の左右方向を前後、紙面と直交する方向を左右と規定する。
ファイナルドライブ装置1のハウジング2は複数のハウジング部材をボルト或いは溶接により結合して構成されており、全体として前方より第1室3a、第2室3b、第3室3cの順に区画されている。これらの各室3a〜3cは完全に密閉されることなくベアリングの隙間などを介して互いに連通しており、共通のオイルにより内部のギヤやベアリングが潤滑されるようになっている。
第1室3a内には、エンジンからの駆動力を前軸側と後軸側とに分配するインタアクスルデフ機構4(ギヤ機構)が収容されている。インタアクスルデフ機構4の入力軸5はベアリング6により回転可能に支持され、入力軸5の前端はハウジング2内から前方に突出してプロペラ軸6の後端と連結され、エンジンからの駆動力がプロペラ軸6を介して入力軸5に伝達されるようになっている。
第1室3a内において、入力軸5の後端に一体形成されたデフケース7(回転部分)には一対のピニオンギヤ8(一方のみ図示)が回転可能に支持され、両ピニオンギヤ8には前後一対のサイドギヤ9が噛合してインタアクスルデフ機構4を構成している。デフケース7の回転はピニオンギヤ8から前後のサイドギヤ9にそれぞれ伝達され、以下に述べるように差動を許容しながら後軸側及び前軸側にそれぞれ分配されるようになっている。
前側のサイドギヤ9はデフケース7内で回転可能に支持されると共に、貫通軸10の前端がスプライン結合されている。貫通軸10は第1室3a内から後方に延設されて第2室3b及び第3室3cを貫通し、その後端はベアリング12により回転可能に支持されると共に、ハウジング2から後方に突出して伝達軸11の前端に連結されている。
図示はしないが伝達軸11の後端は後軸側のファイナルドライブ装置と連結され、インタアクスルデフ機構4により後軸側に分配されたエンジンの駆動力が貫通軸10及び伝達軸11を介して後軸のファイナルドライブ装置に伝達されるようになっている。
後側のサイドギヤ9は後方に延設され、第2室3b内に配設された駆動ギヤ14(ギヤ機構)にスプライン結合されている。これらのサイドギヤ9及び駆動ギヤ14の中心を貫通するように上記貫通軸10が配設されている。駆動ギヤ14はベアリング15により回転可能に支持され、間接的に後側のサイドギヤ9も回転可能に支持されている。
第2室3b内において駆動ギヤ14の下方には被動ギヤ16(ギヤ機構、回転部分)が配設され、これらのギヤ14,16は互いに噛合してギヤ列を構成している。被動ギヤ16はピニオン軸17の前端にスプライン結合され、ピニオン軸17はベアリング18により回転可能に支持されている。
ピニオン軸17の後端は第3室3c内に突出してピニオンギヤ20が設けられ、ピニオンギヤ20は第3室3c内に収容された前軸デフ機構21(ギヤ機構)のリングギヤ22(回転部分)に噛合している。
従って、インタアクスルデフ機構4の後側のサイドギヤ9の回転は、駆動ギヤ14及び被動ギヤ16を介してピニオン軸17に伝達され、ピニオンギヤ20から前軸デフ機構21のリングギヤ22に伝達されるようになっている。
図2は前軸デフ機構21を示す図1のII−II線断面図である。前軸デフ機構21は、エンジンの駆動力を左右輪に分配する一般的なディファレンシャル機構として構成されている。第3室3c内にはベアリング23によりデフケース24が回転可能に支持され、このデフケース24に上記リングギヤ22が固定されている。
デフケース24には一対のピニオンギヤ25が回転可能に支持され、両ピニオンギヤ25にはデフケース24内に回転可能に支持された左右一対のサイドギヤ26が噛合して前軸デフ機構21を構成している。
前軸デフ機構21の左右にはそれぞれ駆動軸27が配設され、これらの駆動軸27を収容するように、ハウジング2の第3室3cは左右方向に延設されてホーシングとして機能している。そして、このホーシングの箇所の左右両端が車体フレームの左右に設けられたリーフスプリング上に固定されることにより、前軸のファイナルドライブ装置1全体がリジッドアクスルとして懸架されている。
駆動軸27の内端は左右のサイドギヤ26にスプライン結合され、図示はしないが、駆動軸27の外端にはハブが設けられて前軸の左右後輪がそれぞれ取り付けられている。従って、リングギヤ22と共にデフケース24が回転すると、その回転はピニオンギヤ25を介して左右のサイドギヤ26にそれぞれ伝達され、さらに駆動軸27を介して差動を許容しながら左右の後輪に伝達される。
詳細は説明しないが、以上の前軸のファイナルドライブ装置1と同様に、後軸のファイナルドライブ装置もリーフスプリングにより懸架されると共に、前軸デフ機構21と同一構成の後軸デフ機構が備えられている。従って、伝達軸11を介して後軸のファイナルドライブ装置に分配されたエンジンの駆動力は、後軸デフ機構により差動を許容されながら後軸の左右後輪に伝達される。
図1に示すように、ハウジング2の後面にはフィラー孔29が貫設されてフィラープラグ30が脱着可能に螺合しており、このフィラー孔29よりハウジング2内にオイルが注入されている。また、ハウジング2の第1〜3室3a〜3cの各底面にはドレン孔31が貫設されてドレンプラグ32が脱着可能に螺合しており、オイル交換の際には、これらのドレン孔31より劣化したオイルを排出した上で、上記フィラー孔29より新たなオイルが注入される。
一方、ハウジング2の第1室3a内はベアリング12の隙間を介して第2室3b側と連通しているため、図1中に太い破線で示すように、第1室3a内の油面はベアリング12の下側以上に保たれている。このため車両の走行によりファイナルドライブ装置1が作動しているときには、インタアクスルデフ機構4のデフケース7が軸線L1を中心として回転してオイルを掻き上げ、第1室3a内のギヤやベアリングを潤滑する。
また、ハウジング2の第2室3b内はベアリング18の隙間を介して第3室3c側と連通しているため、図1中に太い破線で示すように、第2室3b内の油面はベアリング18の下側以上に保たれている。このためファイナルドライブ装置1の作動中には、ギヤ列を構成する被動ギヤ16が軸線L2を中心として回転してオイルを掻き上げ、第2室3b内のギヤやベアリングを潤滑する。
また、ハウジング2の第3室3c内の油面は、図1中に太い破線で示すように上記フィラー孔29と対応する高さに保たれている。このためファイナルドライブ装置1の作動中には、前軸デフ機構21のリングギヤ22が軸線L3を中心として矢印方向に回転してオイルを掻き上げ、第3室3c内のギヤやベアリングを潤滑する。
ところで、[背景技術]で述べたように、オイル中にはギヤの摩耗などにより発生した金属摩耗粉が次第に混入するが、それにも拘わらず定期的なオイル交換を実施しないユーザーも存在する。このような問題を鑑みて特許文献1の技術では、ハウジング内のオイルをアキュムレータにより磁石に向けて送出し、オイル中の金属摩耗粉を磁石に吸着させる対策を講じている。しかしながら、この対策ではアルミなどの非磁性体の金属摩耗粉には効力がない上に、アキュムレータの付設により構造が複雑化するという問題がある。
ここで本発明者は、以下に述べる現象がギヤ及びベアリングの消耗の要因となっている点に着目した。
即ち、ファイナルドライブ装置1の停止中には、ハウジング2の各室3a〜3b内のオイルが底部に溜まり、さらに図2に示すようにオイル中の金属摩耗粉Pが各室3a〜3bの底面に沈殿している。そして、ファイナルドライブ装置1の作動開始に伴い、上記したデフケース7、被動ギヤ16、リングギヤの回転によりオイルが掻き上げられると、これらの回転部分の直下に沈殿している金属摩耗粉Pが舞い上がってオイル中に分散することでギヤやベアリングを消耗させる。よって、オイルが掻き上げられても金属摩耗粉Pを沈殿させ続けることができれば、結果として金属摩耗粉Pを捕捉することになってギヤやベアリングの消耗を抑制できる。
以上の観点の下に、本実施形態ではハウジング2の第1〜3室3a〜3bの各底面にオイルの掻き上げによる流動を妨げる障壁部材を配設する対策を講じている。基本的に各室の障壁部材の構成は共通するが、最も低位置となる第3室3cに金属摩耗粉Pが沈殿し易く、必然的に当該対策による効果が大きいことから、以下、代表として第3室3c内への障壁部材の配設状況及びその作用効果を説明する。
なお、このように本実施形態では全ての室3a〜3bに障壁部材を設けているが、これに限定されるものではなく、例えば第3室3cのみに当該障壁部材を設けてもよい。
図3は第3室3c内に配設された障壁部材を示す図1の部分拡大断面図、図4は同じく第3室3c内の障壁部材を示す平面図である。
第3室3cは前後方向に3つのハウジング部材2a〜2cを組み合わせて形成されており、その中央のハウジング部材2bが上記のように左右方向に延設されてホーシングとして機能している。このハウジング部材2bの底面(即ち、第3室3cの底面)には、前軸デフ機構21のリングギヤ22の直下に相当する箇所に5本の突条33が列設され、本実施形態ではこれらの突条33が障壁部材として機能する。
図1,3に矢印で示すように、リングギヤ22は第3室3c内の底面付近で前方から後方に向けて回転している。各突条33はこのリングギヤ22の回転方向と直交する左右方向にそれぞれ所定長さとなるように延設され、且つリングギヤ22の回転方向である前後方向に列設されている。ハウジング部材2bの底面は前軸デフ機構21を収容するために左右方向に湾曲しており、その湾曲面に対応して各突条33も湾曲している。
これらの突条33は鋼材より単体で製作された後に、ハウジング部材2bの製造時にその底面に溶接されている。但し、突条33の形状や数、或いはその形成方法などはこれに限るものではない。例えば、ボルトにより各突条33をハウジング部材2bの底面に固定してもよいし、ハウジング部材2bを鋳鉄製とした場合には、その鋳造時に各突条33を一体形成してもよい。また、各突条33を合成樹脂で製作して、ハウジング部材2bの底面に接着してもよい。
図2,3に示すように各突条33は断面四角状をなして前後方向に所定間隔をおいて互いに離間しており、結果として各突条33の間には、断面凹状をなして左右方向に延びる溝部34がそれぞれ形成されている。上記ドレン孔31は前方より3つ目の突条33と4つ目の突条33との間に位置しており、これらの突条33にはドレンプラグ32との干渉を回避するための逃げ部33aが形成されている。
上記のように第3室3cの底面は左右方向に湾曲しており、ドレン孔31はオイルの円滑な排出のために底面の最下位置に配設されている。図3,4に示すように各突条33の下面と第3室3cの底面との間には、左右方向でドレン孔31と一致する位置に逆U字状の連通孔35がそれぞれ形成され、これらの連通孔35を介して各溝部34がドレン孔31に対して連通している。
そして、これらの連通孔35も左右方向において第3室3cの底面の最下位置にあるため、ドレン孔31からのオイルの排出時には、各溝部34内に溜まったオイルが連通孔35を経てドレン孔31より排出される。
但し、各突条33に対するドレン孔31の配置状態、或いは各突条33に対する各連通孔35の配置状態は上記に限るものではない。例えば、ドレン孔31と各突条33とを別の位置に配置したり、連通孔35を省略したりしてもよい。
次に、以上の前軸のファイナルドライブ装置1に設けられた突条33による作用を説明する。
ファイナルドライブ装置1の停止中には第3室3c内の底部にオイルが溜まり、さらにオイル中の金属摩耗粉Pが第3室3cの底面に沈殿する。本実施形態では、第3室3cの底面に突条33が配設されて各突条33間に溝部34が形成されているため、金属摩耗粉Pの大半は溝部34内に沈殿し、残りの金属摩耗粉Pは各突条33の上面などに沈殿する。
そして、ファイナルドライブ装置1の作動開始に伴ってリングギヤ22が回転すると、オイルはリングギヤ22の歯面に押されて、図3中に矢印で示す後方やや下方に向けて流動する。この流動によりオイルが掻き上げられて潤滑に供されるのであるが、一方ではリングギヤ22の直下に沈殿している金属摩耗粉Pを舞い上げる要因にもなる。
本実施形態では、リングギヤ22の直下において大半の金属摩耗粉Pが溝部24内に沈殿しており、リングギヤ22の回転により生起されたオイルの流動は、その回転方向に直交する各突条33に妨げられて金属摩耗粉Pにはほとんど届かない。このため、金属摩耗粉Pが舞い上がってオイル中に分散する現象が未然に防止される。
また、各突条33の上面などに沈殿した一部の金属摩耗粉Pはリングギヤ22の回転により舞い上がるが、その大半は次のファイナルドライブ装置1の停止時に各溝部34内に沈殿する。よって、この作動・停止の過程を繰り返すことにより、ほとんどの金属摩耗粉Pが溝部34内に沈殿し続けて捕捉されることなり、オイル中に分散した金属摩耗粉Pに起因するギヤやベアリングの消耗を確実に抑制することができる。特に上記したピニオンギヤ20とリングギヤ22とは潤滑条件が厳しいハイポイドギヤとして構成されているが、このようなギヤに対しても消耗を抑制して長寿命化を達成することができる。
また、オイルの流動を突条33で妨げることにより金属摩耗粉Pの舞い上がりを防止する構成のため、その作用は金属摩耗粉Pの組成に関わらず得られる。よって、磁性体の金属摩耗粉Pに限定される特許文献1の技術に比較して、一層確実にギヤやベアリングの消耗を抑制することができる。
加えて、以上の説明から明らかなように、第3室3cの底面に障壁部材として5本の突条33を配設しただけの構成であり、オイルを送出するアキュムレータが必要な特許文献1の技術に比較すると、非常に簡単な構成で実施できることからコスト低減にも大きく貢献する。
一方、オイル交換に際してドレンプラグ32を取り外すと、第3室3c内のオイルはドレン孔31から排出される。各突条33の連通孔35は左右方向に湾曲した第3室3cの底面の最下位置にあるため、このとき各溝部34内に溜まったオイルが連通孔35を経てドレン孔31に円滑に案内されてドレン孔31より排出され、各溝部34内に沈殿している金属摩耗粉Pもオイルと共にドレン孔より排出される。
上記のようにオイル中に金属摩耗粉Pが混入していても、各突条33の作用により金蔵摩耗粉Pの舞い上がりが防止されるものの、オイル中への金属摩耗粉Pの混入は極力避けることが望ましい。各突条33に連通孔35を設けることによりオイル交換時の金属摩耗粉Pの排出を促進できることから、結果としてオイルを一層良好な状態に保つことができる。
以上で第3室3c内に配設した突条33についての説明を終える。第1,2室内の障壁部材も5本の突条33として形成されており、以下に概略のみを説明する。
上記説明から明らかなように、突条33によりオイルの流動を妨げるには、デフケース7や被動ギヤ16の回転方向に対し略直交する方向に各突条33を列設する必要がある。第1室3a内の底面付近ではデフケース7が左右方向(詳しくは左方から右方)に回転しており、第2室3b内の底面付近では被動ギヤ16が左右方向(詳しくは右方から左方)に回転している。
そこで、これらの第1,2室3a,3b内では、各突条33がデフケース7や被動ギヤ16の回転方向と直交する前後方向にそれぞれ延設され、且つデフケース7や被動ギヤ16の回転方向である左右方向に列設されている。そして、これらの突条33の間には、図示はしないが左右方向に延びる溝部がそれぞれ形成されている。なお、上記と同じく各突条33の形成方法、或いは突条33の形状や数などは任意に変更可能である。
従って、第1,2室3a,3bにおいても各突条33により第3室3cと同様の作用が奏される。よって、重複する説明はしないが、デフケース7や被動ギヤ16の回転によるオイルの流動を各突条33で妨げることにより、各溝部内に沈殿している金属摩耗粉Pの舞い上がりを防止でき、ギヤやベアリングの消耗を抑制できるなどの種々の作用効果が得られる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別のトラック用のファイナルドライブ装置1に具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態の前軸のファイナルドライブ装置1の全体構成は第1実施形態のものと共通し、相違点は障壁部材の構成にある。そこで、共通する構成の箇所は同一の部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
本実施形態においてもハウジング2の各室3a〜3cの障壁部材の構成は共通しているため、代表として第3室3c内の障壁部材について説明する。
図5は第3室3c内に配設された障壁部材を示す第1実施形態の図2に対応する断面図、図6は同じく第3室3c内に配設された障壁部材を示す第1実施形態の図3に対応する断面図、図7は同じく第3室3c内に配設された障壁部材を示す第1実施形態の図4に対応する断面図である。
第3室3c内において前軸デフ機構21のリングギヤ22の直下には、障壁部材として多孔プレート41が配設されている。多孔プレート41は平面視で四角板状をなし、左右方向に湾曲したハウジング部材2bの底面に倣って湾曲形成され、その四隅に一体形成された脚部41aをハウジング部材2bの底面に溶接されている。これにより多孔プレート41はハウジング部材2bの底面に対して所定の間隔をおいて離間した状態で保持されている。多孔プレート41の全面には円形状をなす多数のダスト孔41bが分散して配置され、各ダスト孔41bを介して多孔プレート41の上下が連通している。
上記のようにファイナルドライブ装置1の停止時にはオイル中の金属摩耗粉Pが沈殿し、ファイナルドライブ装置1の作動開始によりリングギヤ22が回転すると、沈殿している金属摩耗粉Pはオイルの流動を受けて舞い上げられる。各ダスト孔41bの内径は、装置停止時に多くの金属摩耗粉Pを多孔プレート41の下側に導いて沈殿させることができ、且つ装置作動時にオイルの流動が多孔プレート41の下側に及ばない程度の大きさに設定されている。
なお、多孔プレート41の形状や配置状態、或いは各ダスト孔41bの内径などは上記に限るものではない。例えば多孔プレート41を湾曲させることなく平板状とし、その左右両端をハウジング部材2bの底面に固定することにより底面との間に所定の間隔を形成してもよい。
次に、以上のように前軸のファイナルドライブ装置1に設けられた多孔プレート41による作用を説明する。
ファイナルドライブ装置1の停止中には第3室3c内の底部にオイルが溜まり、さらにオイル中の金属摩耗粉Pが多孔プレート41上に沈殿する。このとき各ダスト孔41bの箇所では金属摩耗粉Pがダスト孔41bを経て多孔プレート41の下側、即ちハウジング部材2bの底面に沈殿することになる。
そして、ファイナルドライブ装置1の作動開始によりリングギヤ22が回転すると、オイルはリングギヤ22の歯面に押されて、図6中に矢印で示す後方やや下方に向けて流動する。このオイルの流動は多孔プレート41に妨げられて下側の沈殿している金属摩耗粉Pにはほとんど届かない。このため、金属摩耗粉Pが舞い上がってオイル中に分散する現象が未然に防止される。
多孔プレート41の上面に沈殿した金属摩耗粉Pはリングギヤ22の回転により舞い上がるが、その一部は次のファイナルドライブ装置1の停止時に各ダスト孔41bを経て多孔プレート41の下側に沈殿する。よって、この過程を繰り返すことにより、ほとんどの金属摩耗粉Pが多孔プレート41の下側に沈殿し続けて捕捉されることになり、オイル中に分散した金属摩耗粉Pに起因するギヤやベアリングの消耗を確実に抑制することができる。
当然であるが第1実施形態と同じく、以上の作用が金属摩耗粉Pの組成に関わらず得られるため、ギヤやベアリングの消耗を一層確実に抑制でき、また多孔プレート41を配設するだけの非常に簡単な構成のため、製造コストを抑制することもできる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では後輪2軸タイプのトラックに搭載された前軸ファイナルドライブ装置1として具体化したが、走行用動力源からの駆動力を駆動輪側に伝達する動力伝達装置であれば、上記に限定されるものではない。
従って、例えばバスや乗用車の動力伝達装置に適用してもよいし、トランスミッション装置や四輪駆動車のトランスファー装置に適用してもよい。さらに上記実施形態のトラックにおいて、後軸のファイナルドライブ装置に備えられた後軸デフ機構に適用してもよい。
また上記第1実施形態では障壁部材として突条33を配設し、第2実施形態では障壁部材として多孔プレート41を配設したが、本発明の障壁部材はこれらに限定されるものではない。例えば多孔プレート41に代えて網状のプレートを同様の配置状態で設けてもよく、この場合でも多孔プレート41と同様の作用効果が得られる。
2 ハウジング
4 インタアクスルデフ機構(ギヤ機構)
7 デフケース(回転部分)
14 駆動ギヤ(ギヤ機構)
16 被動ギヤ(ギヤ機構、回転部分)
21 前軸デフ機構(ギヤ機構)
22 リングギヤ(回転部分)
31 ドレン孔
33 突条(障壁部材)
34 溝部
35 連通孔
41 多孔プレート(障壁部材)
41b ダスト孔

Claims (4)

  1. ハウジング内に配設したギヤ機構を介して走行用動力源側から入力される駆動力を駆動輪側に伝達すると共に、上記ハウジング内に貯留されたオイルを前記ギヤ機構の一部を構成する回転部分により掻き上げて該ギヤ機構の潤滑に供する動力伝達装置において、
    上記ハウジング内の底面の上記回転部分の直下に相当する箇所に、該回転部分の回転による上記オイルの流動を妨げる障壁部材を配設したことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 上記障壁部材は、上記ハウジングの底面上において上記回転部分の回転方向と略直交する方向にそれぞれ延設され且つ回転方向に列設された複数の突条であり、各突条の間に上記回転部分の回転方向と略直交する方向に延びる溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
  3. 上記各突条は、上記ハウジングの底面に設けられたドレン孔の近傍に形成され、該ドレン孔に対して上記各溝部を連通させる連通路が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の動力伝達装置。
  4. 上記障壁部材は、複数のダスト孔が貫設されて上記ハウジングの底面上に所定間隔をおいて配設された多孔プレートであることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
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