JP2014026809A - 繊維状酸化物固体電解質及び全固体電池並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Liを含むペロブスカイト型の繊維状酸化物固体電解質の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、CH3COOLiと、La(CH3COO)3・1.5H2Oと、増粘剤と、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2とを混合することにより、前駆体ゾルを作製する工程と、作製した前駆体ゾルをエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維状の構造体を得る工程と、得られた繊維状の構造体を焼成する工程と、を有する、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質の製造方法とする。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも、CH3COOLiと、La(CH3COO)3・1.5H2Oと、増粘剤と、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2とを混合することにより、前駆体ゾルを作製する工程と、作製した前駆体ゾルをエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維状の構造体を得る工程と、得られた繊維状の構造体を焼成する工程と、を有する、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質の製造方法とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維状酸化物固体電解質及びその製造方法、並びに、繊維状酸化物固体電解質を用いた全固体電池及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、従来の二次電池よりもエネルギー密度が高く、高電圧で作動させることができる。そのため、小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の情報機器に使用されており、近年、電気自動車用やハイブリッド自動車用等としての需要も高まっている。
リチウムイオン二次電池は、正極層及び負極層と、これらの間に配置された電解質層とを有し、電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系の液体状や固体状の物質等が知られている。液体状の電解質(以下において、「電解液」という。)が用いられる場合には、電解液が正極層や負極層の内部へと浸透しやすい。そのため、正極層や負極層に含有されている活物質と電解液との界面が形成されやすく、性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。一方、難燃性である固体状の電解質(以下において、「固体電解質」という。)を用いると、上記システムを簡素化できる。それゆえ、固体電解質を含有する層(以下において、「固体電解質層」という。)が備えられる形態のリチウムイオン二次電池(以下において、「全固体電池」ということがある。)の開発が進められている。
このようなリチウムイオン二次電池に関する技術として、例えば特許文献1には、ポリビニルピロリドンを添加することにより粘度を調整された金属塩ゲル前駆体を用いて、エレクトロスピニング法により紡糸する、ペロブスカイト型酸化物材料からなる繊維状セラミック材料の製造方法が開示されている。この特許文献1では、ペロブスカイト型酸化物材料として、Fe、Mn、Co、Niの3d遷移金属、Ca、Ba、Srのアルカリ土類金属、及び、希土類金属を少なくとも2種類含む結晶性のペロブスカイト型酸化物材料を想定している。また、特許文献2には、正極合材層と負極合材層との間にリチウムイオン伝導性の繊維状固体電解質を含む層を有するリチウムイオン二次電池が開示されている。この特許文献2では、繊維状固体電解質として、Li1+x+zMx(Ge1−yTiy)2−xSizP3−zO12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)の結晶を想定している。また、特許文献3には、固体電解質又は固体電解質グリーンシートに、正極及び負極の少なくとも一方の電極グリーンシートを積層し、積層体を得る工程と、該積層体を焼結する工程と、を有し、電極グリーンシート中に固体電解質又は熱処理によって固体電解質となる繊維状材料を含有させる全固体電池の製造方法が開示されている。この特許文献3では、繊維状材料として、Li1+x+zMx(Ge1−yTiy)2−xSizP3−zO12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)の結晶を想定している。また、特許文献4には、平均繊維長が1.0〜50mm、平均直径が0.1〜20μmの繊維状固体電解質を集積して形成させたシートであって、繊維状固体電解質に曲がりが付与され、シートの厚さ方向に100〜500g/cm2のヤング率を有する固体電解質シートが開示されている。この特許文献4には、繊維状固体電解質を作製する際に、Li2S−SiS2系ガラスを原料として用いる旨、記載されている。
本発明者らは、Liを含有する繊維状のペロブスカイト型酸化物材料を作製する際に、特許文献1に開示されている技術を用いた。その結果、繊維状の物質を部分的に析出させることは可能であったが、析出物の大半は粒子状になった。すなわち、特許文献1に開示されている技術を用いても、Liを含有する繊維状のペロブスカイト型酸化物材料を作製することは困難であった。また、特許文献2や特許文献3では繊維状固体電解質を使用しているが、これらの文献で想定している繊維状固体電解質は、ペロブスカイト型やガーネット型の酸化物ではない。また、特許文献4に開示されている技術では、繊維状固体電解質自体のイオン伝導性を高める対策については検討されていない。したがって、特許文献1乃至特許文献4に開示されている技術を用いても、Liを含むペロブスカイト型又はガーネット型の繊維状固体電解質及び該繊維状固体電解質を用いた全固体電池を得ることは困難であり、これらの製造方法を特定することも困難であった。
そこで本発明は、Liを含む結晶構造がペロブスカイト型又はガーネット型である繊維状酸化物固体電解質及び該繊維状酸化物固体電解質を用いた全固体電池、並びに、これらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、金属アルコキシドの末端官能基の形態を変えることによりゾルゲル反応の進行速度を低減した状態にされた材料と、増粘剤と、を混合した原料をエレクトロスピニング法で紡糸することにより、Liを含む結晶構造がペロブスカイト型又はガーネット型である繊維状酸化物固体電解質をシート状に形成することが可能になることを知見した。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、直径が10nm以上10μm以下であり、且つ、アスペクト比が10よりも大きい、Liを含むペロブスカイト型又はガーネット型の繊維状酸化物固体電解質である。
本発明の第1の態様は、直径が10nm以上10μm以下であり、且つ、アスペクト比が10よりも大きい、Liを含むペロブスカイト型又はガーネット型の繊維状酸化物固体電解質である。
ここに、本発明の第1の態様及び以下に示す本発明の他の態様において、「ガーネット型の繊維状酸化物固体電解質」には、結晶構造がガーネット型である繊維状酸化物固体電解質のほか、結晶構造がいわゆるガーネット型類似である繊維状酸化物固体電解質も含まれる。
粉末状の酸化物固体電解質を介して、リチウムイオンを全固体電池の電極(正極層や負極層。以下において同じ。)へと移動させる場合には、複数回に亘って隣接する粉末状の界面を跨いでリチウムイオンを移動させる必要があり、界面を跨いでリチウムイオンを移動させる際に抵抗が増大しやすい。これに対し、繊維状の酸化物固体電解質を用いることにより、跨ぐべき界面(隣接する繊維の界面)の数を低減しやすくなるので、リチウムイオン伝導抵抗を低減することが可能になる。リチウムイオン伝導抵抗を低減することにより、全固体電池の性能を高めやすくなるので、本発明の第1の態様によれば、全固体電池の性能を高めることが可能な繊維状酸化物固体電解質を提供することができる。
粉末状の酸化物固体電解質を介して、リチウムイオンを全固体電池の電極(正極層や負極層。以下において同じ。)へと移動させる場合には、複数回に亘って隣接する粉末状の界面を跨いでリチウムイオンを移動させる必要があり、界面を跨いでリチウムイオンを移動させる際に抵抗が増大しやすい。これに対し、繊維状の酸化物固体電解質を用いることにより、跨ぐべき界面(隣接する繊維の界面)の数を低減しやすくなるので、リチウムイオン伝導抵抗を低減することが可能になる。リチウムイオン伝導抵抗を低減することにより、全固体電池の性能を高めやすくなるので、本発明の第1の態様によれば、全固体電池の性能を高めることが可能な繊維状酸化物固体電解質を提供することができる。
また、上記本発明の第1の態様にかかる繊維状酸化物固体電解質は、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示されるペロブスカイト型の繊維状酸化物固体電解質であっても良い。かかる形態であっても、全固体電池の性能を高めることが可能な繊維状酸化物固体電解質を提供することができる。
本発明の第2の態様は、正極層及び負極層、並びに、正極層と負極層との間に配置された固体電解質層、を備え、正極層及び/又は負極層が、上記本発明の第1の態様にかかる繊維状酸化物固体電解質からなるシート状物と、該シート状物内の隙間に配置された活物質と、を有する、全固体電池である。
本発明の第2の態様にかかる全固体電池には、本発明の第1の態様にかかる繊維状酸化物固体電解質が用いられている。したがって、本発明の第2の態様によれば、性能を向上させることが可能な全固体電池を提供することができる。
本発明の第3の態様は、少なくとも、CH3COOLiと、La(CH3COO)3・1.5H2Oと、増粘剤と、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2とを混合することにより前駆体ゾルを作製する工程と、作製した前駆体ゾルをエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維状の構造体を得る工程と、得られた繊維状の構造体を焼成する工程と、を有する、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質の製造方法である。
本発明の第3の態様では、前駆体ゾルを作製する際に、Ti源としてTi(OH)2[OCH(CH3)COOH]2を用いている。このTi源の官能基は、従来用いられていたTi源(例えばTi[OCH(CH3)2]4等)の官能基よりも、Tiと強く結合しているので、従来よりも、Li源及びLa源とTi源との反応速度を低減することができる。Li源及びLa源とTi源との反応速度を低減することにより、ゾルゲル反応の進行を抑制しやすくなるので、La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)を、粒子状ではなく繊維状で析出させやすくなる。したがって、本発明の第3の態様によれば、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示されるペロブスカイト型の繊維状酸化物固体電解質を製造することが可能になる。
本発明の第4の態様は、正極層を作製する工程と、負極層を作製する工程と、固体電解質層を作製する工程と、固体電解質層が正極層と負極層との間に配置されるように、正極層、固体電解質層、及び、負極層を積層する工程と、を有し、正極層を作製する工程、及び/又は、負極層を作製する工程が、上記本発明の第3の態様にかかる繊維状酸化物固体電解質の製造方法によって、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質を作製するステップと、作製した繊維状酸化物固体電解質内の隙間に活物質を配置するステップと、を有する、全固体電池の製造方法である。
本発明の第4の態様では、正極層及び負極層の一方又は両方を作製する際に、本発明の第3の態様にかかる繊維状酸化物固体電解質の製造方法を用いている。一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示されるペロブスカイト型の繊維状酸化物固体電解質を用いることにより、リチウムイオン伝導抵抗を低減することが可能になるので、本発明の第4の態様によれば、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能な、全固体電池の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、Liを含む結晶構造がペロブスカイト型又はガーネット型である繊維状酸化物固体電解質及び該繊維状酸化物固体電解質を用いた全固体電池、並びに、これらの製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下の説明では、主に、結晶構造がペロブスカイト型の酸化物固体電解質である、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される繊維状酸化物固体電解質及びその製造方法、並びに、当該繊維状酸化物固体電解質を用いた全固体電池及びその製造方法について言及するが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の技術的範囲には、製造時の反応メカニズムが一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される上記繊維状酸化物固体電解質と同様である他の酸化物固体電解質も含まれ、当該他の酸化物固体電解質の製造方法や、当該他の酸化物固体電解質を用いた全固体電池及びその製造方法も、本発明の技術的範囲に含まれる。そのような他の酸化物固体電解質としては、結晶構造が同種のペロブスカイト型である酸化物固体電解質や、結晶構造がガーネット型又はガーネット型類似である酸化物固体電解質を例示することができる。結晶構造が同種のペロブスカイト型である酸化物固体電解質としては、(LixLa1/3)Nb(1−x)TixO3 (x=0.1)、(Na0.54Liy)WO3、(LixLa(1−x)/3)NbO3 (x=0.1)、及び、(La(2/3−x)Li3x)TaO3 (x=0.06)等を例示することができる。また、結晶構造がガーネット型である酸化物固体電解質としては、Li7La3Zr2O12等の、Li、La、Zr、及び、O(又は、Li、La、Zr、O、及び、Al)を含む酸化物固体電解質を例示することができる。
1.繊維状酸化物固体電解質の製造方法
図1は、本発明の繊維状酸化物固体電解質(一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、結晶構造がペロブスカイト型である酸化物固体電解質。以下において同じ。)の製造方法を説明するフローチャートである。図1に示した本発明の繊維状酸化物固体電解質の製造方法は、前駆体ゾル作製工程(S11)と、紡糸工程(S12)と、焼成工程(S13)と、を有している。
図1は、本発明の繊維状酸化物固体電解質(一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、結晶構造がペロブスカイト型である酸化物固体電解質。以下において同じ。)の製造方法を説明するフローチャートである。図1に示した本発明の繊維状酸化物固体電解質の製造方法は、前駆体ゾル作製工程(S11)と、紡糸工程(S12)と、焼成工程(S13)と、を有している。
前駆体ゾル作製工程(以下において、「S11」ということがある。)は、少なくとも、Li源と、La源と、Ti源と、増粘剤とを混合することにより、後述する紡糸工程で紡糸される前駆体ゾルを作製する工程である。Li源としてはCH3COOLiを用いることができ、La源としてはLa(CH3COO)3・1.5H2Oを用いることができる。本発明の製造方法におけるS11では、繊維状の酸化物固体電解質を析出させやすくするために、ゾルゲル反応の進行速度を低減し、且つ、前駆体ゾルを高粘度化する。
ゾルゲル反応の進行速度を低減するためには、前駆体ゾルを作製する際に用いられるTi源として、従来のTi源よりもTiと強く結合した官能基を有する物質を用いること(末端官能基の一部がプロピル化されたTi源を用いること)が有効である。そこで、S11では、Ti源として、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2を用いる。S11で使用されるTi(OH)2[OCH(CH3)COOH]2は、例えば、従来用いられていたTi源であるTi[OCH(CH3)2]4から置換合成をすることによって得ることができる。このほか、市販のTi(OH)2[OCH(CH3)COOH]2を用いることも可能である。
また、前駆体ゾルを高粘度化するために、使用する増粘剤の量を調節する。S11では、前駆体ゾルの粘度が10mPa・s以上となるように増粘剤の量を調整する。増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレンオキサイド(PEO)等の水溶性ポリマーを用いることができる。
S11は、例えば、2−プロパノールと、Ti源(Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2)と、水に添加したLi源(CH3COOLi)、La源(La(CH3COO)3・1.5H2O)、及び、ポリビニルアルコールと、を混合することにより、前駆体ゾルを作製する工程、とすることができる。
紡糸工程(以下において、「S12」ということがある。)は、S11で作製した前駆体ゾルをエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維状且つシート状の構造体を作製する工程である。S12では、内径が0.3mm以上1.2mm以下であるノズル(例えば、ステンレス鋼製のノズル。)の先端と電極との距離が5cm以上20cm以下となるように、ノズルと電極とを離して配置する。そして、前駆体ゾルに15kV以上30kV以下の電圧を印加しつつ、ノズルの先端から吐出される前駆体ゾルの量が0.1ml/h以上10ml/h以下となるように、シリンジの押し出し速度を調整しながら、電極表面に繊維状且つシート状の構造体を作製することができる。S12において、電極としては、離型剤が塗布されたアルミニウム箔等を用いることができる。S12は、例えば、離型剤が塗布されたアルミニウム箔(電極)を内径0.4mmφのステンレス鋼製の針の先端から10cm離して配置し、前駆体ゾルに15kVの電圧を印加しながら、塗出量が1ml/hとなるようにシリンジを押し出すことにより、電極表面に繊維状且つ連続したシート状の構造体を作製する工程、とすることができる。
焼成工程(以下において、「S13」ということがある。)は、S12で作製した繊維状且つシート状の構造体を電極から剥離した後、この構造体を焼成することにより、繊維状且つシート状の酸化物固体電解質(結晶構造がペロブスカイト型である、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦1.05)で示される酸化物固体電解質。以下において同じ。)を作製する工程である。S13における焼成温度は、結晶化した固体電解質が得られる温度であれば特に限定されず、例えば1100℃とすることができる。S13は、例えば、昇温速度5℃/min以下で常温から450℃まで昇温し、続いて、昇温速度5℃/min以下で1100℃まで昇温した後、1100℃で10時間に亘って焼成する工程、とすることができる。このような形態で昇温することにより、繊維径が小さく且つ均一である、繊維状且つシート状の酸化物固体電解質を作製することが可能になる。
S11乃至S13を有する本発明の繊維状酸化物固体電解質の製造方法によれば、直径が10nm以上10μm以下であり、且つ、アスペクト比が10よりも大きい、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示されるペロブスカイト型の繊維状酸化物固体電解質を製造することが可能である。このような繊維状酸化物固体電解質は、物質(繊維)内を移動するリチウムイオンの距離を、粒子状の酸化物固体電解質の場合よりも長くすることができるので、これを全固体電池に用いることにより、隣接する繊維の界面を跨いでリチウムイオンが移動する頻度を、隣接する粒子の界面を跨いでリチウムイオンが移動する頻度よりも低減することができる。界面を跨いで移動する頻度を低減することにより、リチウムイオン伝導抵抗を低減しやすくなり、リチウムイオン伝導抵抗を低減することにより全固体電池の性能を高めやすくなるので、本発明の繊維状酸化物固体電解質の製造方法によれば、全固体電池の性能を高めることが可能な繊維状酸化物固体電解質を製造することができる。
2.全固体電池の製造方法
図2は、本発明の全固体電池の製造方法を説明するフローチャートである。図2に示した本発明の全固体電池の製造方法は、正極層作製工程(S21)と、負極層作製工程(S22)と、固体電解質層作製工程(S23)と、積層工程(S24)と、を有している。
図2は、本発明の全固体電池の製造方法を説明するフローチャートである。図2に示した本発明の全固体電池の製造方法は、正極層作製工程(S21)と、負極層作製工程(S22)と、固体電解質層作製工程(S23)と、積層工程(S24)と、を有している。
正極層作製工程(以下において、「S21」ということがある。)は、全固体電池用の正極層を作製する工程である。S21は、例えば、上記S11乃至S13によって繊維状且つシート状の酸化物固体電解質を作製するステップと、この酸化物固体電解質内の隙間に、正極活物質を充填するステップと、を経て、全固体電池用の正極層を作製する工程、とすることができる。繊維状且つシート状の酸化物固体電解質内の隙間に正極活物質を充填する際には、例えば、粉末状の正極活物質や必要に応じて添加された粉末状の導電性物質を流動状態の物質に分散させることで作製した流動状態の正極組成物を、繊維状且つシート状の酸化物固体電解質内の隙間に充填することにより、当該隙間に正極活物質を充填することができる。
負極層作製工程(以下において、「S22」ということがある。)は、全固体電池用の負極層を作製する工程である。S22は、例えば、上記S11乃至S13によって繊維状且つシート状の酸化物固体電解質を作製するステップと、この酸化物固体電解質内の隙間に、負極活物質を充填するステップと、を経て、全固体電池用の負極層を作製する工程、とすることができる。S22は、正極活物質に代えて負極活物質を用いるほかは、S21と同様の形態とすることができる。
固体電解質層作製工程(以下において、「S23」ということがある。)は、全固体電池用の固体電解質層を作製する工程である。S23は、全固体電池用の固体電解質層を作製可能であればその形態は特に限定されない。S23は、例えば、粉末状の固体電解質、又は、粉末状の固体電解質を分散させたペースト状の電解質組成物を、基材上に塗布しプレスする過程を経て、固体電解質層を作製する工程、とすることができる。
積層工程(以下において、「S24」ということがある。)は、S21で作製した正極層とS22で作製した負極層との間に、S23で作製した固体電解質層が配置されるように積層することにより、正極層及び負極層とこれらの間に配置された固体電解質層とを有する積層体、を作製する工程である。このようにして積層体を作製したら、必要に応じて積層体をプレスした後、正極端子が接続された正極集電体を正極層に接続し、負極端子が接続された負極集電体を負極層に接続し、さらに、正極端子及び正極集電体並びに負極端子及び負極集電体が接続された積層体をラミネートフィルム等の外装体で密封する工程を経て、全固体電池を作製することができる。
S21乃至S24を有する本発明の全固体電池の製造方法によれば、本発明の繊維状酸化物固体電解質を有する正極層及び負極層を備えた全固体電池を製造することができる。繊維状酸化物固体電解質は、繊維内を移動するリチウムイオンの距離を、粒子状の酸化物固体電解質内を移動する距離よりも長くすることができるので、隣接する繊維の界面を跨いでリチウムイオンが移動する頻度を低減することができる。界面を跨いで移動する頻度を低減することにより、リチウムイオン伝導抵抗を低減しやすくなるので、本発明の全固体電池の製造方法によれば、リチウムイオン伝導抵抗を低減することにより性能を高めることが可能な全固体電池を製造することができる。また、正極層や負極層に本発明の繊維状酸化物固体電解質を用いた本発明の全固体電池によれば、正極層内及び負極層内におけるリチウムイオン伝導抵抗を低減することが可能になるので、本発明によれば、リチウムイオン伝導抵抗を低減することにより性能を高めることが可能な全固体電池を提供することができる。
上記説明では、正極層を作製した後に負極層が作製され、負極層を作製した後に固体電解質層が作製される形態を例示したが、本発明の全固体電池の製造方法は、当該形態に限定されない。正極層作製工程、負極層作製工程、及び、固体電解質層作製工程は、積層工程の前に行われれば、その順番は特に限定されない。本発明の全固体電池の製造方法は、負極層を作製した後に正極層が作製される形態であっても良く、固体電解質層を作製した後に正極層や負極層が作製される形態であっても良い。
本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、正極層に用いる正極活物質の形態は特に限定されず、全固体電池に用いることが可能な公知の正極活物質を適宜使用することができる。そのような正極活物質としては、コバルト酸リチウム等を例示することができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状にすることができる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上にすることが好ましく、10nm以上にすることがより好ましい。また、正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば100μm以下にすることが好ましく、30μm以下にすることがより好ましい。さらに、このような正極活物質を用いて作製される正極層の厚さは、例えば0.1μm以上にすることが好ましく、1μm以上にすることがより好ましい。また、正極層の厚さは、例えば1mm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることがより好ましい。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、負極層に用いる負極活物質の形態は特に限定されず、全固体電池に用いることが可能な公知の負極活物質を適宜使用することができる。そのような負極活物質としては、グラファイト等に代表される炭素材料等を例示することができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状にすることができる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上にすることが好ましく、10nm以上にすることがより好ましい。また、負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば100μm以下にすることが好ましく、30μm以下にすることがより好ましい。さらに、このような負極活物質を用いて作製される負極層の厚さは、例えば0.1μm以上にすることが好ましく、1μm以上にすることがより好ましい。また、負極層の厚さは、例えば1mm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることがより好ましい。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、固体電解質層に用いる固体電解質の形態は特に限定されず、公知の固体電解質を適宜用いることができる。そのような固体電解質としては、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦1.05)で示される酸化物固体電解質等を例示することができる。このような固体電解質を用いて作製される固体電解質層の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上にすることが好ましく、1μm以上にすることがより好ましい。また、固体電解質層の厚さは、例えば、1mm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることがより好ましい。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、正極層や負極層に導電性物質を用いる場合、この導電性物質の形態は特に限定されず、全固体電池に用いることが可能な公知の導電性物質を適宜用いることができる。そのような導電性物質としては、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブ等の炭素材料等を例示することができる。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、正極集電体や負極集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を適宜用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、正極端子や負極端子には、正極集電体や負極集電体と同様の材料を適宜用いることができる。
また、本発明の全固体電池の製造方法、及び、本発明の全固体電池において、積層体等を密封するラミネートフィルムとしては、樹脂製のラミネートフィルムや、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルム等、全固体電池で使用可能な公知のラミネートフィルムを適宜用いることができる。
また、本発明の全固体電池の製造方法では、流動状態の正極活物質や負極活物質、又は、ペースト状の電解質組成物を作製する際に、ブチレンゴム等の公知のバインダーや、公知の溶媒を適宜用いることができる。
<実施例>
1.繊維状酸化物固体電解質の作製
1.1.前駆体ゾルの調整
2−プロパノールと、Ti源(Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2)と、水に添加したLi源(CH3COOLi)、La源(La(CH3COO)3・1.5H2O)、及び、ポリビニルアルコールと、を混合することにより、La(2/3−x)Li3xTiO3前駆体ゾルを作製した。この前駆体ゾル作製時に用いた各物質は、質量比で、2−プロパノール:Ti源:水:Li源:La源=9:1:250:0.35:0.55となるように秤量し、これらを混合するとともに、水1gに対しポリビニルアルコール1gを添加することにより、粘度が53mPa・sである前駆体ゾル(以下において、この前駆体ゾルを「実施例の前駆体ゾル」という。)を作製した。なお、Ti源としては、マツモトファインケミカル株式会社製の「オルガチックス TC−310」を用いた。
1.繊維状酸化物固体電解質の作製
1.1.前駆体ゾルの調整
2−プロパノールと、Ti源(Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2)と、水に添加したLi源(CH3COOLi)、La源(La(CH3COO)3・1.5H2O)、及び、ポリビニルアルコールと、を混合することにより、La(2/3−x)Li3xTiO3前駆体ゾルを作製した。この前駆体ゾル作製時に用いた各物質は、質量比で、2−プロパノール:Ti源:水:Li源:La源=9:1:250:0.35:0.55となるように秤量し、これらを混合するとともに、水1gに対しポリビニルアルコール1gを添加することにより、粘度が53mPa・sである前駆体ゾル(以下において、この前駆体ゾルを「実施例の前駆体ゾル」という。)を作製した。なお、Ti源としては、マツモトファインケミカル株式会社製の「オルガチックス TC−310」を用いた。
1.2.紡糸
作製した実施例の前駆体ゾルを、内径が0.4mmであるステンレス鋼製のノズルを有するシリンジ内に入れ、前駆体ゾルに15kVの電圧を印加しながら、塗出速度が1ml/hとなるようにシリンジを押し出すことにより、ノズル先端から10cmの距離に配置された電極(シリコン系離型剤を塗布したアルミニウム箔。以下において同じ。)表面に、エレクトロスピニング法で繊維状且つシート状の構造体(以下において、「実施例の構造体」という。)を作製した。
作製した実施例の前駆体ゾルを、内径が0.4mmであるステンレス鋼製のノズルを有するシリンジ内に入れ、前駆体ゾルに15kVの電圧を印加しながら、塗出速度が1ml/hとなるようにシリンジを押し出すことにより、ノズル先端から10cmの距離に配置された電極(シリコン系離型剤を塗布したアルミニウム箔。以下において同じ。)表面に、エレクトロスピニング法で繊維状且つシート状の構造体(以下において、「実施例の構造体」という。)を作製した。
1.3.焼成
作製した実施例の構造体を電極から剥離した後、大気雰囲気において、昇温速度5℃/min以下で常温から450℃まで昇温し、続いて、昇温速度5℃/min以下で1100℃まで昇温した後、1100℃で10時間に亘って焼成することにより、結晶化した繊維状且つシート状の酸化物固体電解質(以下において、「実施例の電解質」という。)を得た。
作製した実施例の構造体を電極から剥離した後、大気雰囲気において、昇温速度5℃/min以下で常温から450℃まで昇温し、続いて、昇温速度5℃/min以下で1100℃まで昇温した後、1100℃で10時間に亘って焼成することにより、結晶化した繊維状且つシート状の酸化物固体電解質(以下において、「実施例の電解質」という。)を得た。
2.SEM観察
走査型電子顕微鏡(JSM−7001F、日本電子株式会社製。以下において同じ。)を用いて、実施例の構造体、及び、実施例の電解質を観察した。実施例の構造体の観察結果を図3に、実施例の電解質の観察結果を図4A及び図4Bに、それぞれ示す。図3及び図4Bは倍率10000倍の写真であり、図4Aは倍率1000倍の写真である。
図4A及び図4Bに示したように、実施例の電解質は、直径が2μm程度の繊維状の電解質を多く含んでいた。今回観察された繊維の直径は、例えば、1.4μm、2.0μm、2.5μmであり、これらはすべて、10nm以上10μm以下の範囲に含まれていた。
また、図4A及び図4Bから繊維のアスペクト比を算出した。その結果、アスペクト比は例えば、12、14、20であり、すべて10よりも大きかった。
走査型電子顕微鏡(JSM−7001F、日本電子株式会社製。以下において同じ。)を用いて、実施例の構造体、及び、実施例の電解質を観察した。実施例の構造体の観察結果を図3に、実施例の電解質の観察結果を図4A及び図4Bに、それぞれ示す。図3及び図4Bは倍率10000倍の写真であり、図4Aは倍率1000倍の写真である。
図4A及び図4Bに示したように、実施例の電解質は、直径が2μm程度の繊維状の電解質を多く含んでいた。今回観察された繊維の直径は、例えば、1.4μm、2.0μm、2.5μmであり、これらはすべて、10nm以上10μm以下の範囲に含まれていた。
また、図4A及び図4Bから繊維のアスペクト比を算出した。その結果、アスペクト比は例えば、12、14、20であり、すべて10よりも大きかった。
3.X線回折
X線回折装置(smart Lab、株式会社リガク製)を用いて、実施例の電解質の結晶性を評価した。結果を図5に示す。図5の縦軸はIntensityであり、横軸は回折角2θ[deg]である。
図5に示したように、実施例の電解質は、La(2/3−x)Li3xTiO3系のペロブスカイト型の結晶構造であり、元素組成の異なるLi0.35La0.55TiO3、Li0.125La0.625TiO3、及び、TiO2が含まれていることが確認された。
X線回折装置(smart Lab、株式会社リガク製)を用いて、実施例の電解質の結晶性を評価した。結果を図5に示す。図5の縦軸はIntensityであり、横軸は回折角2θ[deg]である。
図5に示したように、実施例の電解質は、La(2/3−x)Li3xTiO3系のペロブスカイト型の結晶構造であり、元素組成の異なるLi0.35La0.55TiO3、Li0.125La0.625TiO3、及び、TiO2が含まれていることが確認された。
4.リチウムイオン伝導度測定
交流インピーダンス測定により、実施例の電解質のリチウムイオン伝導度を測定した。その結果、リチウムイオン伝導度は8.0×10−6S/cmであった。
交流インピーダンス測定により、実施例の電解質のリチウムイオン伝導度を測定した。その結果、リチウムイオン伝導度は8.0×10−6S/cmであった。
<比較例>
2−プロパノールと、(CH3)2COOHと、Ti源(Ti[OCH(CH3)2]4)と、水に添加したLi源(CH3COOLi)及びLa源(La(CH3COO)3・1.5H2O)と、必要に応じて増粘剤(ポリビニルピロリドン)と、を混合することにより、Li0.35La0.55TiO3前駆体ゾルを作製した。この前駆体ゾル作製時に用いた各物質は、質量比で、2−プロパノール:(CH3)2COOH:Ti源:水:Li源:La源=20:10:1:50:0.35:0.55となるように秤量し、これらを混合した。そして、添加する増粘剤の量を、0mg/L、50mg/L、及び、1g/Lの3通りで変えることにより、粘度が4mPa・s、30mPa・s、及び、92mPa・sである前駆体ゾルを調整した。
これら3種類の前駆体ゾルを、実施例の構造体を作製する際に用いた装置と同じ装置に入れ、前駆体ゾルに15kVの電圧を印加しながら、塗出速度が1ml/hとなるようにシリンジを押し出すことにより、ノズル先端から10cmの距離に配置された電極の表面に、エレクトロスピニング法で繊維状の構造体の作製を試みた。作製した構造体を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図6乃至図8に示す。図6は、粘度4mPa・sの前駆体ゾル(増粘剤を添加しなかった前駆体ゾル)を用いて作製した構造体の観察写真である。また、図7は、増粘剤を50mg/L添加することにより粘度が30mPa・sに調整された前駆体ゾルを用いて作製した構造体の観察写真である。また、図8は、増粘剤を1g/L添加することにより粘度が92mPa・sに調整された前駆体ゾルを用いて作製した構造体の観察写真である。
図6乃至図8に示したように、使用する前駆体ゾルの粘度が高まるにつれて析出する粒子の径が大きくなる傾向がみられ、増粘剤を1g/L添加した前駆体ゾルを用いた構造体では、繊維状の構造体が一部に認められたものの、大半は粒子状に析出した。これより、増粘剤を用いて前駆体ゾルの粘度を高めるだけでは、繊維状の酸化物固体電解質を作製することは困難であった。
2−プロパノールと、(CH3)2COOHと、Ti源(Ti[OCH(CH3)2]4)と、水に添加したLi源(CH3COOLi)及びLa源(La(CH3COO)3・1.5H2O)と、必要に応じて増粘剤(ポリビニルピロリドン)と、を混合することにより、Li0.35La0.55TiO3前駆体ゾルを作製した。この前駆体ゾル作製時に用いた各物質は、質量比で、2−プロパノール:(CH3)2COOH:Ti源:水:Li源:La源=20:10:1:50:0.35:0.55となるように秤量し、これらを混合した。そして、添加する増粘剤の量を、0mg/L、50mg/L、及び、1g/Lの3通りで変えることにより、粘度が4mPa・s、30mPa・s、及び、92mPa・sである前駆体ゾルを調整した。
これら3種類の前駆体ゾルを、実施例の構造体を作製する際に用いた装置と同じ装置に入れ、前駆体ゾルに15kVの電圧を印加しながら、塗出速度が1ml/hとなるようにシリンジを押し出すことにより、ノズル先端から10cmの距離に配置された電極の表面に、エレクトロスピニング法で繊維状の構造体の作製を試みた。作製した構造体を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図6乃至図8に示す。図6は、粘度4mPa・sの前駆体ゾル(増粘剤を添加しなかった前駆体ゾル)を用いて作製した構造体の観察写真である。また、図7は、増粘剤を50mg/L添加することにより粘度が30mPa・sに調整された前駆体ゾルを用いて作製した構造体の観察写真である。また、図8は、増粘剤を1g/L添加することにより粘度が92mPa・sに調整された前駆体ゾルを用いて作製した構造体の観察写真である。
図6乃至図8に示したように、使用する前駆体ゾルの粘度が高まるにつれて析出する粒子の径が大きくなる傾向がみられ、増粘剤を1g/L添加した前駆体ゾルを用いた構造体では、繊維状の構造体が一部に認められたものの、大半は粒子状に析出した。これより、増粘剤を用いて前駆体ゾルの粘度を高めるだけでは、繊維状の酸化物固体電解質を作製することは困難であった。
Claims (5)
- 直径が10nm以上10μm以下であり、且つ、アスペクト比が10よりも大きい、Liを含むペロブスカイト型又はガーネット型の繊維状酸化物固体電解質。
- 一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、請求項1に記載の繊維状酸化物固体電解質。
- 正極層及び負極層、並びに、前記正極層と前記負極層との間に配置された固体電解質層、を備え、
前記正極層及び/又は前記負極層が、請求項1又は2に記載の繊維状酸化物固体電解質からなるシート状物と、該シート状物内の隙間に配置された活物質と、を有する、全固体電池。 - 少なくとも、CH3COOLiと、La(CH3COO)3・1.5H2Oと、増粘剤と、Ti(OH)2[OCH(CH3)COOH]2とを混合することにより前駆体ゾルを作製する工程と、
作製した前記前駆体ゾルをエレクトロスピニング法で紡糸することにより、繊維状の構造体を得る工程と、
得られた前記繊維状の構造体を焼成する工程と、を有する、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質の製造方法。 - 正極層を作製する工程と、
負極層を作製する工程と、
固体電解質層を作製する工程と、
前記固体電解質層が前記正極層と前記負極層との間に配置されるように、前記正極層、前記固体電解質層、及び、前記負極層を積層する工程と、を有し、
前記正極層を作製する工程、及び/又は、前記負極層を作製する工程が、
請求項4に記載の繊維状酸化物固体電解質の製造方法によって、一般式:La(2/3−x)Li3xTiO3(0.05≦x≦0.15)で示される、繊維状酸化物固体電解質を作製するステップと、
作製した前記繊維状酸化物固体電解質内の隙間に活物質を配置するステップと、を有する、全固体電池の製造方法。
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- 2012-07-26 JP JP2012165509A patent/JP2014026809A/ja active Pending
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