JP2014024905A - 導電性膜用高分子分散体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硫酸イオンの副生を抑え安定化させた導電性膜用高分子分散体を提供する。
【解決手段】 導電性膜用高分子分散体として、芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物と、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)と、水とを含有する組成物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 導電性膜用高分子分散体として、芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物と、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)と、水とを含有する組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は導電性膜用の高分子分散体に関する。
π共役系導電性ポリマーは、非常に薄い塗膜で導電性を発現するため、高い透明性が確保できるため、例えば、各種ディスプレイの光学フィルム、透明電極等の導電性塗膜として利用されている。このような導電性塗膜は、π共役系導電性ポリマーを含む高分子分散体から得られるが、このようにして得られる導電性塗膜は、空気暴露された場合、必ずしも経時的に安定ではなく、導電性が低下する場合がある。
特許文献1には、所定の電解コンデンサにおいて、駆動用電解液が有機溶媒と溶質と酸化防止剤(例えば、フェノール化合物、アミン化合物、アゾ化合物、シラン化合物、キノン化合物等)とからなり、溶質の酸成分が有機酸および無機酸を有し、かつ酸成分が塩基成分よりもモル比で過剰に含有した構成にすると酸濃度がバランスし、導電性セパレータの酸化劣化を抑制し、電気伝導度の低下を抑制し得ることから、高周波領域でESRが低くかつ高信頼な電解コンデンサを提供し得ると記載されている。
しかしながら、特許文献1では、固体電解コンデンサにおいて、π共役系導電性ポリマーを付着させた導電性セパレータの酸化劣化を抑制するため、有機溶媒系の駆動用電解液に酸化防止剤が添加されているに過ぎず、導電性セパレータと酸化防止剤を含む駆動用電解液は界面で接しており、導電性セパレータ自体に導電率低下の抑制効果が付与されたものではない。また、この導電性セパレータでは、透明性の高い導電性塗膜は形成され得ない。
一方、特許文献2には、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンの複合体水溶液からの導電性コーティング膜が、空気暴露された場合、必ずしも経時的に安定ではなく、導電性が低下する場合があることから、高い透明性を有する導電性塗膜の抵抗率変化を抑制するため、用いる複合体水溶液に水溶性酸化防止剤[例えば、2個の水酸基で置換されたラクトン環を有する化合物、二糖類(但し、スクロースを除く)、チオール基を有する化合物等]を添加してから塗布することが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の複合体水溶液では、精製複合体を得た後の水溶液の状態での安定性についての記載はなく、長期保存した場合フリーの硫酸を微量副生する可能性があり、導電性膜用高分子分散体の保存安定性に未だ課題があった。
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、硫酸イオンの副生を抑え安定化させた導電性膜用高分子分散体を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ポリチオフェンとポリ(スチレンスルホン酸)との複合体を含有する(例えば、PEDOT/PSS等)の導電性膜用高分子分散体を含む水溶液について、種々の添加剤を加えたときの硫酸イオンの発生量の抑制効果を検討した。その結果、驚くべきことに、特定のアミン化合物を添加することで、簡便かつ効果的に硫酸イオンの副生を抑え安定に保存できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すとおりの導電性膜用高分子分散体に関する。
[1]芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物と、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)と、水とを含有する導電性膜用高分子分散体。
[2]芳香族第1級アミン化合物が、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1−ナフチルアミン、及び2−ナフチルアミンからなる群より選択されること、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミンが、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、及びドデシルアミンからなる群より選択されること、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミンが、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン、及びN,N−ジデシルアミンからなる群より選択されること、脂環式第1級アミンが、シクロヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルアミンからなる群より選択されること、脂環式第2級アミンが、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンからなる群より選択されること、並びに複素環式アミンがピリジンであることを特徴とするを特徴とする上記[1]に記載の導電性膜用高分子分散体。
[3]アミン化合物が、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジオクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、及びピリジンからなる群より選択される上記[1]に記載の導電性膜用高分子分散体。
[4]ポリチオフェンが、下記式(1)
で示される繰り返し単位を有する化合物であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体
[5]導電性膜用高分子分散体中の、アミン化合物の含有率が、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
[6]導電性膜用高分子分散体中の、ポリスチレンスルホン酸とポリチオフェンとの複合体の含有率が、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、0.1〜20重量%の範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
[7]溶存酸素が除去されていることを特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
[8]上記[1]乃至[7]に記載の導電性膜用高分子分散体を0〜100℃の範囲の温度で保存することを特徴とする導電性膜用高分子分散体の保存方法。
[9]上記[1]乃至[8]に記載の導電性膜用高分子分散体を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被膜の製造方法。
本発明の導電性膜用高分子分散体は、硫酸イオンの副生を抑え安定に保存できるため、産業上極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性膜用高分子分散体は、芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物と、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)と、水とを含有する
本発明において、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)とは、水溶液中で、ポリスチレンスルホン酸をポリ陰イオンとするポリチオフェンとの複合体として存在する。
本発明において、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)とは、水溶液中で、ポリスチレンスルホン酸をポリ陰イオンとするポリチオフェンとの複合体として存在する。
本発明において、導電性膜用高分子分散体中に含有される溶媒は、水のみばかりでなく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等のアルコール、アセトン、アセトニトリル等の水溶性有機溶媒と水との混合溶媒であってもよい。
本発明において、導電性膜用高分子分散体中の、ポリスチレンスルホン酸とポリチオフェンとの複合体の含有率は、特に限定するものではないが、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは0.4〜5重量%の範囲である。0.1重量%以上とすることにより塗布後に良好な導電性が得られ、5重量%以下とすることで分散性が良好となる。
本発明において、ポリチオフェンとしては、例えば、上記(1)で示される構造単位を有する化合物が挙げられる。上記式(1)において、R1、R2は各々独立して、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を表す。ただし、R1、R2が結合してアルキレン基を形成してもよい。炭素数が1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。R1とR2と結合して形成されたアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1−メチル−1,2−エチレン基、1−エチル−1,2−エチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、1,2−エチレン基が特に好ましい。
具体的には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−アルコキシチオフェン)、ポリ(3−アルキル−4−アルコキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジアルキルチオフェン)、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)等が例示される。これらのうち、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
本発明において、ポリスチレンスルホン酸とポリチオフェンとの複合体の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリスチレンスルホン酸水溶液中で、チオフェン誘導体を触媒の存在下重合して、ポリスチレンスルホン酸又はその塩をポリ陰イオンとするポリチオフェンとの複合体である水分散体として得ることができる。その際、ジメチルスルホキシドと共に重合を行うことが好ましい。
上記した酸化重合反応に用いるチオフェン誘導体としては、特に限定するものではないが、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−ジアルキルチオフェン3,4−ジアルコキシチオフェン等が挙げられる。これらのうち、3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。
上記した酸化重合反応に用いる触媒としては、過硫酸塩、第二鉄塩等の一般的な酸化重合触媒を用いることができる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄等が挙げられる。これらのうち、過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄が特に好ましい。
上記した酸化重合反応において、酸化重合触媒の使用量は、特に限定するものではないが、上記チオフェン誘導体に対し、1〜5倍モルの範囲が好ましく、1〜1.5倍モルの範囲がより好ましい。
上記した酸化重合反応に用いられる溶剤としては、水系溶媒が好ましく、特に好ましくは水である。水以外に、補助的に有機溶媒を用いることも可能である。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合して使用してもよい。これらのうちでは、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。
なお、有機溶媒の使用量としては、特に限定されるものではなく、好ましくは原料のスチレンスルホン酸モノマー又はポリマーに含有される繰り返し単位中のスチレンスルホン酸のモル数(ポリスチレン換算での数平均分子量Mnから推定)に対し、0.2〜100倍モルの範囲が好ましく、更に好ましくは1〜2倍モルの範囲である。
上記した酸化重合反応において、反応温度は、水系溶媒を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではないが、例えば、0〜100℃であり、濃度変化をさせずに反応を進行させるため、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは0〜10℃の範囲である。
本発明において、ポリスチレンスルホン酸又はその塩の重量平均分子量は、通常5,000〜1,000,000の範囲であり、好ましくは10,000〜500,000の範囲であり、特に好ましくは30,000〜300,000の範囲である。重量平均分子量を5,000以上とすることで薄膜形成性及び導電性が充分に向上する。また、重量平均分子量を1,000,000以下とすることで粘性が充分に低くなり、取り扱い等の操作性が向上する。
上記した酸化重合反応において、ポリスチレンスルホン酸又はその塩の使用量は、特に限定するものではないが、上記したチオフェン誘導体100重量部に対して、50〜2,000重量部の範囲が好ましく、より好ましくは100〜500重量部の範囲であり、さらに好ましくは150〜300重量部の範囲である。
本発明において、ポリ陰イオンとして用いられるポリスチレンスルホン酸は、そのまま酸化重合反応に用いることができる。またポリスチレンスルホン酸の塩は、イオン交換を行い酸型のポリスチレンスルホン酸として用いることができる。
本発明において、芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物は、導電性膜用高分子分散体から硫酸イオンの副生を抑えるために用いられる。また、それらのアミン化合物は、比較的脂溶性の高い形態を有しているが、酸性水溶液では塩として導電性膜用高分子分散体の水溶液に均一に分散することが可能である。
ここで、芳香族第1級アミン化合物としては、例えば、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン等が好適なものとして挙げられる。
また、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン等が好適なものとして挙げられる。
また、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミンとしては、例えば、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン、N,N−ジデシルアミン等が挙げられる。
また、脂環式第1級アミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が好適なものとして挙げられる。
また、脂環式第2級アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。
さらに、複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン等が好適なものとして挙げられる。
これらのうち、汎用性が高く入手可能な点とコスト的に有利な点から、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジオクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン等がより好ましい。
更に、硫酸イオンの副生を抑える効果の面等からは、アニリン、p−フェニレンジアミン、シクロヘキシルアミン、ピペラジンが特に好ましい。
なお、上記したこれらのアミン化合物は単独で又は混合して使用してもよい。
本発明において、アミン化合物の使用量としては、特に限定するものではないが、好ましくは、ポリスチレンスルホン酸とポリチオフェンとの複合体(固形分)に対し、0.1〜10重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%の範囲である。
本発明の導電性膜用高分子分散体は、導電性の向上のため、ジメチルスルホキシドをさらに含有することが好ましい。ジメチルスルホキシドの含有率としては、特に限定するものではないが、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、好ましくは0.5〜50重量%の範囲、より好ましくは5〜10重量の範囲%である。0.5重量%以上とすることでと塗布後に良好な導電性が得ることができる。なお、50重量%を超過して加えてもそれ以上の導電率の向上は見られず経済的に不利となる。
本発明において、上記した特定アミン化合物を導電性膜用高分子分散体に添加する方法は、特に限定されない。例えば、上記の各アミン化合物をメカニカルスターラー、マグネティックスターラー、振とう機等の通常の方法で混合すればよい。
上記した混合の温度は、混合が可能な温度であれば特に限定するものではないが、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは0〜30℃の範囲である。
本発明において、上記した特定のアミン化合物を含有する導電性膜用高分子分散体の保存温度は、特に限定するものではないが、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは0〜30℃の範囲である。
本発明において、導電性膜用高分子分散体は、溶液中の溶存酸素が除去されることが望ましい。溶存酸素は、溶液を一定時間減圧に保持し、その後、窒素のような不活性ガスで常圧に戻す操作を繰り返すことで除去可能である。
本発明の導電性膜用高分子分散体を、基材表面に塗布及び乾燥することで導電性に優れる被覆物を得ることができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本実施例における生成物の収率は、単離重量で確認した。
また、本実施例における物性値の測定は下記の機器を用いて実施した。
分子量測定は、水−アセトニトリル系GPC(東ソー製、HLC−8200)、更に、導電率の測定は低抵抗率計(三菱化学社製、ロレスターGP、MCP−T600)を使用した。
製造例1.
(ポリスチレンスルホン酸の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー社製、スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液に水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は34万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
(ポリスチレンスルホン酸の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー社製、スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液に水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は34万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
製造例2.
(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とからなる複合体を含む水分散体の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、製造例1で得られたポリスチレンスルホン酸の5%水溶液18.6g、ジメチルスルホキシド0.26g、過硫酸アンモニウム0.77g、硫酸第二鉄0.02gを仕込み、水を加えて全量を100gとし撹拌溶解させた。続いて強撹拌下で3,4−エチレンジオキシチオフェン0.47gを添加し、室温で24時間重合させた。得られた重合液を、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、UT−300T)で20分間分散処理した後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIR120B)10gと陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA96SB)10gを加え、1時間撹拌した。その後、この分散液をろ紙(東洋濾紙社製No.2)でろ過してイオン交換樹脂を陽イオン、陰イオンと共に除去した。次に、このろ液に水400mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製、撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約400mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、遊離の低分子成分を除去した。更に、この処理液をメンブランフィルター(孔径0.45μm)に通し、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とからなる複合体(以下、「PEDOT−PSS」と略記する。)を含む水分散体を得た。以上の操作で得られた水分散体にジメチルスルホキシドを5%添加し、ガラス板上に流延塗布し、室温で5時間乾燥後、更に、130℃で30分間乾燥して導電性の膜を作成した。この膜の導電率を低抵抗率計(三菱化学社製、ロレススターGP、MCP−T600)で測定したところ、493S/cmの導電率を示した。
(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とからなる複合体を含む水分散体の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、製造例1で得られたポリスチレンスルホン酸の5%水溶液18.6g、ジメチルスルホキシド0.26g、過硫酸アンモニウム0.77g、硫酸第二鉄0.02gを仕込み、水を加えて全量を100gとし撹拌溶解させた。続いて強撹拌下で3,4−エチレンジオキシチオフェン0.47gを添加し、室温で24時間重合させた。得られた重合液を、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、UT−300T)で20分間分散処理した後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIR120B)10gと陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA96SB)10gを加え、1時間撹拌した。その後、この分散液をろ紙(東洋濾紙社製No.2)でろ過してイオン交換樹脂を陽イオン、陰イオンと共に除去した。次に、このろ液に水400mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製、撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約400mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、遊離の低分子成分を除去した。更に、この処理液をメンブランフィルター(孔径0.45μm)に通し、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とからなる複合体(以下、「PEDOT−PSS」と略記する。)を含む水分散体を得た。以上の操作で得られた水分散体にジメチルスルホキシドを5%添加し、ガラス板上に流延塗布し、室温で5時間乾燥後、更に、130℃で30分間乾燥して導電性の膜を作成した。この膜の導電率を低抵抗率計(三菱化学社製、ロレススターGP、MCP−T600)で測定したところ、493S/cmの導電率を示した。
(安定性試験)
上記で得られたPEDOT−PSS複合体の水溶液中に安定化剤である種々のアミン化合物を添加し、90℃に加温して加速試験で安定性を確認した。その際、副生する硫酸イオン量は、所定量の分散液を限外ろ過膜で処理後に得られたろ液中の硫酸イオン量を過塩素酸バリウム−ジメチルスルホ等(III)滴定法で定量して算出した。
上記で得られたPEDOT−PSS複合体の水溶液中に安定化剤である種々のアミン化合物を添加し、90℃に加温して加速試験で安定性を確認した。その際、副生する硫酸イオン量は、所定量の分散液を限外ろ過膜で処理後に得られたろ液中の硫酸イオン量を過塩素酸バリウム−ジメチルスルホ等(III)滴定法で定量して算出した。
実施例1.
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてアニリン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.2ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1に示す。
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてアニリン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.2ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1に示す。
アミン化合物としてp−フェニレンジアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてp−フェニレンジアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体中の硫酸イオンの定量を行った。0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.2ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例3.
アミン化合物としてピペラジン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてピペラジン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.2ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてピペラジン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてピペラジン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.2ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例4.
アミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.7ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを1.7ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例5.
アミン化合物としてヘキシルアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてヘキシルアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III))滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを3.8ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてヘキシルアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてヘキシルアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III))滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを3.8ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例6.
アミン化合物としてピリジン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてピリジン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/LのL過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを8.4ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてピリジン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてピリジン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/LのL過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを8.4ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例7.
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを仕込み、攪拌下に15ヘクトパスカルに減圧し15秒保持した後に窒素ガスで常圧にもどした。この操作を合計3回行い水分散体中の溶存酸素を除いた。次に窒素ガス雰囲気下90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンは検出されなかった。また、結果を表1にまとめて示した。
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを仕込み、攪拌下に15ヘクトパスカルに減圧し15秒保持した後に窒素ガスで常圧にもどした。この操作を合計3回行い水分散体中の溶存酸素を除いた。次に窒素ガス雰囲気下90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンは検出されなかった。また、結果を表1にまとめて示した。
実施例8.
製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体に、アミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを仕込み、25℃で30日間静置保存した。放置後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンは検出されなかった。また、結果を表1にまとめて示した。
製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体に、アミン化合物としてシクロヘキシルアミン0.065gを仕込み、25℃で30日間静置保存した。放置後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンは検出されなかった。また、結果を表1にまとめて示した。
比較例1.
アミン化合物を添加しない以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを18.1ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物を添加しない以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを18.1ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
比較例2.
アミン化合物としてエチレンジアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてエチレンジアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを25.3ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてエチレンジアミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3重量%)100gとアミン化合物としてエチレンジアミン0.065gとを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを25.3ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
比較例3.
アミン化合物としてトリエチレンテトラミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3wt%)100gとアミン化合物としてトリエチレンテトラミン0.065gを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを25.1ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
アミン化合物としてトリエチレンテトラミン0.065gを用いた以外は、実施例1と同一の方法で加熱攪拌した。冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体(固形分1.3wt%)100gとアミン化合物としてトリエチレンテトラミン0.065gを仕込み、90℃で18時間加熱攪拌した。攪拌後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを25.1ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
比較例4.
製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体にアミン化合物を添加せずに、25℃で30日間静置保存した。放置後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを3.5ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
製造例2で得られたPEDOT−PSS水分散体にアミン化合物を添加せずに、25℃で30日間静置保存した。放置後の水分散体10.0gを限外ろ過膜で処理し、0.0025mol/Lの過塩素酸バリウム水溶液−ジメチルスルホ等(III)滴定法を用いて滴定したところ、硫酸イオンを3.5ppm副生していたことが分かった。また、結果を表1にまとめて示した。
本発明の導電性膜用高分子分散体は、保存中に発生する硫酸イオンの副生を抑えて安定的に保存することができる。
本発明の導電性膜用高分子分散体は、ポリチオフェンとポリ(スチレンスルホン酸)との複合体(例えば、PEDOT/PSS等)を含有するため、基材表面に塗布及び乾燥することで導電性に優れる被覆物を得ることができ、帯電防止剤、電解コンデンサ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等への利用が期待される。
Claims (9)
- 芳香族第1級アミン化合物、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミン、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミン、脂環式第1級アミン、脂環式第2級アミン、及び複素環式アミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアミン化合物と、ポリチオフェンと、ポリ(スチレンスルホネート)と、水とを含有する導電性膜用高分子分散体。
- 芳香族第1級アミン化合物が、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1−ナフチルアミン、及び2−ナフチルアミンからなる群より選択されること、炭素数6〜12の直鎖状脂肪族第1級アミンが、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、及びドデシルアミンからなる群より選択されること、炭素数4〜10の直鎖状脂肪族第2級アミンが、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン、及びN,N−ジデシルアミンからなる群より選択されること、脂環式第1級アミンが、シクロヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルアミンからなる群より選択されること、脂環式第2級アミンが、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンからなる群より選択されること、並びに複素環式アミンがピリジンであることを特徴とする請求項1に記載の導電性膜用高分子分散体。
- アミン化合物が、アニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジオクチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、及びピリジンからなる群より選択される請求項1に記載の導電性膜用高分子分散体。
- 導電性膜用高分子分散体中の、アミン化合物の含有率が、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
- 導電性膜用高分子分散体中の、ポリスチレンスルホン酸とポリチオフェンとの複合体の含有率が、溶媒を含む分散体全量に占める割合として、0.1〜20重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
- 溶存酸素が除去されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の導電性膜用高分子分散体。
- 請求項1乃至請求項7に記載の導電性膜用高分子分散体を0〜100℃の範囲の温度で保存することを特徴とする導電性膜用高分子分散体の保存方法。
- 請求項1乃至請求項8に記載の導電性膜用高分子分散体を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被膜の製造方法。
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