JPWO2012173148A1 - 導電性ポリマー前駆体、導電性ポリマー、及び固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
本発明は、下記一般式(1)で表される、導電性ポリマー前駆体に関する。(式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。)
Description
本発明は、導電性ポリマーの前駆体として好適な導電性ポリマー前駆体、及びこれを重合させて得られる導電性ポリマー、ならびに導電性ポリマーを含む固体電解質層を具備する固体電解コンデンサに関する。本願は、2011年6月14日に、日本に出願された特願2011−132184号、及び2012年5月14日に、日本に出願された特願2012−110285号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
多様な用途で用いられる導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリピロール系などの導電性ポリマーが知られている。
一般的に、導電性ポリマーの導電性(σ)は、キャリアの電荷(q)、キャリアの数(n)、ならびにキャリアの分子鎖間及び分子鎖内の易動度(μ)に依存し、下記式(I)より導き出される。
σ=qnμ ・・・(I)
一般的に、導電性ポリマーの導電性(σ)は、キャリアの電荷(q)、キャリアの数(n)、ならびにキャリアの分子鎖間及び分子鎖内の易動度(μ)に依存し、下記式(I)より導き出される。
σ=qnμ ・・・(I)
ポリアニリン系の導電性ポリマーの場合、キャリアの電荷(q)はキャリアの種類によって決まる固有値となるため、導電性を向上させるためには、キャリアの数(n)、及び易動度(μ)を増大させることが重要である。
易動度(μ)を増大させるには、導電性ポリマーの分子量を高くしたり、導電性ポリマー中に含まれる不純物の割合を低減したりすることなどが有効であると考えられている。
一方、キャリアの数(n)を増大させるには、スルホン酸基、カルボキシル基、などの酸性基を導入し、ドープを阻害する塩基を除去すること等が有効であると考えられている。
易動度(μ)を増大させるには、導電性ポリマーの分子量を高くしたり、導電性ポリマー中に含まれる不純物の割合を低減したりすることなどが有効であると考えられている。
一方、キャリアの数(n)を増大させるには、スルホン酸基、カルボキシル基、などの酸性基を導入し、ドープを阻害する塩基を除去すること等が有効であると考えられている。
酸性基を導入したポリアニリン系の導電性ポリマーとしては、例えば下記に示す化合物(II):2−アミノアニソール−4−スルホン酸を前駆体として重合させた導電性ポリマーが提案されている(特許文献1参照)。
また、導電性ポリマーを含む固体電解質層を具備する固体電解コンデンサは、アルミニウム、タンタル、又は、ニオブ等の弁作用金属の金属箔や金属焼結体の表面に多孔質成形体の陽極酸化被膜を形成し、前記陽極酸化被膜を誘電体として構成されるコンデンサである。前記陽極酸化被膜には電解質が接触しており、この電解質が、前記陽極酸化被膜からの電極の引き出しを行う陰極として機能する。
陰極としての電解質は、電解コンデンサの電気特性に大きな影響を及ぼすことから、従来から、様々な種類の電解質が採用された電解コンデンサが提案されている。固体電解コンデンサにおいては、固体電解質として導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が広く用いられている。さらに、コンデンサ素子を酸化剤溶液とモノマー溶液との混合溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子に酸化剤及びモノマーを含浸させて、コンデンサ素子における絶縁膜上において、酸化剤とモノマーとの重合反応を促進して固体電解質を形成する方法が知られている。
また、電解質の導電性能を高める方法として、モノマーに酸化剤及びドーパント(導電補助剤)を加え、モノマーと酸化剤とを陽極酸化被膜上で直接反応させて固体電解質層(導電性ポリマー層)を形成する、化学酸化重合法が用いられている。その製法として、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)と酸化剤及びドーパントを有機溶媒に溶解させ、陽極酸化被膜の上で反応させて導電性ポリマー層を形成する化学酸化重合法(特許文献2)が提案されている。
また、等価直列抵抗(以下、ESRと略す)を低減させた電解コンデンサの製造方法として、コンデンサ素子を、ドーピング剤を含む溶液に浸漬した後、乾燥させ、酸化重合により導電性ポリマーとなるモノマーを滴下し、該コンデンサ素子を酸化剤の水溶液に含浸することを順に経ることでコンデンサ素子内に固体電解質層を形成する方法(特許文献3)や、電気伝導度の高いドーパント剤を含んだ導電性ポリマーと電解液とを含浸した電解コンデンサ(特許文献4)が提案されている。
また、導電性ポリマーの溶液を調製し、その溶液を陽極酸化被膜に含浸させ、乾燥させて、塗膜化することで固体電解質層を形成する方法(特許文献5)が提案されている。
また、導電性ポリマーの溶液に、塩基性化合物を添加することで、耐熱性を向上させる方法が(特許文献6)が提案されている。
ところで、導電性ポリマーは、コンデンサなどの様々な用途に用いられる。例えばコンデンサに用いる場合、通常、金属電極上に導電性ポリマーを塗布し、所定の温度に加熱処理して導電性ポリマー層(電解質層)を形成する。
しかしながら、特許文献1に記載の導電性ポリマーは、優れた導電性を有するものの、熱安定性を満足するものではなかった。そのため、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に用いると、十分な導電性を発揮できなかった。
しかしながら、特許文献1に記載の導電性ポリマーは、優れた導電性を有するものの、熱安定性を満足するものではなかった。そのため、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に用いると、十分な導電性を発揮できなかった。
また、固体電解質層については、陽極酸化被膜上で固体電解質を重合させる前記方法では、陽極酸化被膜の微細な凹凸部分まで導電性ポリマー層が充分に形成されにくく、さらに、ドーパント剤を含んだ固体電解質層は電解液中において固体電解質層からドーパント剤が抜け出す(脱ドープ)現象が発生しやすいため、固体電解質層の電気伝導度が低下し、ESRが次第に高くなるという問題を有している。
一方、ドーパントとなる酸性基を分子内に有する導電性ポリマー溶液を予め調製し、塗膜化する方法では、陽極酸化被膜上で重合する方法に比べ簡便な製造方法であるが、導電性ポリマーの性能が十分とは言えず、同様な問題を有している。
また、導電性ポリマーに塩基性化合物を添加する方法も、コンデンサ等の用途に用いるには、耐熱性が十分とは言えず、同様な問題を有している。
一方、ドーパントとなる酸性基を分子内に有する導電性ポリマー溶液を予め調製し、塗膜化する方法では、陽極酸化被膜上で重合する方法に比べ簡便な製造方法であるが、導電性ポリマーの性能が十分とは言えず、同様な問題を有している。
また、導電性ポリマーに塩基性化合物を添加する方法も、コンデンサ等の用途に用いるには、耐熱性が十分とは言えず、同様な問題を有している。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーの前駆体として好適な導電性ポリマー前駆体、及び高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマー、及びこの導電性ポリマーを含む導電性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は耐熱性に優れ、かつ、等価直列抵抗が低い固体電解コンデンサを提供することも目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、酸性基を導入した導電性ポリマーを加熱すると、酸性基が脱離することが導電性低下の原因であることを突き止めた。
そこで、特定の炭素数のアルキレン基を介して酸性基を導入した繰返し単位(導電性ポリマー前駆体ともいう)を有する可溶性アニリン系導電性ポリマーとすることで、導電性を維持しつつ、導電性ポリマーの熱安定性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
そこで、特定の炭素数のアルキレン基を介して酸性基を導入した繰返し単位(導電性ポリマー前駆体ともいう)を有する可溶性アニリン系導電性ポリマーとすることで、導電性を維持しつつ、導電性ポリマーの熱安定性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、前記繰返し単位を有する可溶性のアニリン系導電性ポリマーを用いることで、耐熱性に優れ、かつ、等価直列抵抗が低い固体電解コンデンサが得られることを見出した。
また、本発明の可溶性アニリン系導電性ポリマーは、水、有機溶媒及び含水有機溶媒に対する溶解性が高く、また製膜後のドーピング工程が必要ないためコンデンサの製造方法が簡素化される。
また、本発明の可溶性アニリン系導電性ポリマーは、水、有機溶媒及び含水有機溶媒に対する溶解性が高く、また製膜後のドーピング工程が必要ないためコンデンサの製造方法が簡素化される。
本発明は、以下の態様を有する。
本発明の第1の態様は、下記一般式(1)で表される、導電性ポリマー前駆体である。
式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。
本発明の第2の態様は、前記R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち少なくとも1つは炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基である、前記第1の態様に記載の導電性ポリマー前駆体である。
本発明の第3の態様は、前記R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち1つが炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、残りが水素原子である、前記第2の態様に記載の導電性ポリマー前駆体である。
本発明の第4の態様は、前記第1〜3のいずれか1つの態様に記載の導電性ポリマー前駆体を重合させて得られる、導電性ポリマーである。
本発明の第5の態様は、下記一般式(1−A)で表される繰り返し単位を有するアニリン系導電性ポリマー(a)及び溶剤(b)を含む導電性組成物である。
式(1)中、R1、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。
本発明の第6の態様は、R1、R3、R4のうち少なくとも1つは炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基である、前記第5の態様に記載の導電性組成物である。
本発明の第7の態様は、R1、R3、R4のうち1つが炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、残りが水素原子である、前記第5の態様に記載の導電性組成物である。
本発明の第8の態様は、さらに、塩基性化合物(c)を含む前記第5〜7のいずれか1つの態様に記載の導電性組成物である。
本発明の第9の態様は、前記第4の態様に記載の導電性ポリマーより形成される塗膜を有する導電体である。
本発明の第10の態様は、前記第5〜7のいずれか1つの態様に記載の導電性組成物より形成される塗膜を有する導電体である。
本発明の第11の態様は、前記第8の態様に記載の導電性組成物より形成される塗膜を有する導電体である。
本発明の第12の態様は、弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、前記第4の態様に記載の導電性ポリマーを含む固体電解質層を具備する、固体電解コンデンサである。
本発明の第13の態様は、弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、前記第5〜7のいずれか1つの態様に記載の導電性組成物から形成された固体電解層を具備する、固体電解コンデンサである。
本発明の第14の態様は、弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、前記第8の態様に記載の導電性組成物から形成された固体電解質層を具備する、固体電解コンデンサである。
本発明の第15の態様は、下記一般式(1):
(式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である)で表される化合物の導電性ポリマー前駆体としての使用である。
本発明の第16の態様は、酸化剤存在下で、前記第1〜3のいずれか1つの態様に記載の導電性ポリマー前駆体を重合させ、下記一般式(1−A)で表される繰り返し単位を有するアニリン系導電性ポリマー(a)を製造する方法である。
式(1−A)中、R1、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。
式(1)及び式(1−A)におけるR1は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(1)及び式(1−A)におけるR2は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(1)及び式(1−A)におけるR3は、水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(1)及び式(1−A)におけるR4は、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基であることがさらに好ましく、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルコキシ基であることが特に好ましい。
式(1)及び式(1−A)におけるAは酸性基又はその塩であり、カルボキシル基、スルホン酸基又はその塩であることが好ましく、スルホン酸基又はその塩であることがさらに好ましい。
式(1)及び式(1−A)におけるnとしては、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
本発明の導電性ポリマー前駆体は、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーの前駆体として好適である。
また、本発明の導電性ポリマーは、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れる。
また、本発明の導電性ポリマー、導電性組成物を用いることによって、等価直列抵抗が低く、耐熱性に優れた高導電率の固体電解層を備えた固体電解コンデンサを製造することができる。
また、本発明の導電性ポリマーは、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れる。
また、本発明の導電性ポリマー、導電性組成物を用いることによって、等価直列抵抗が低く、耐熱性に優れた高導電率の固体電解層を備えた固体電解コンデンサを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[導電性ポリマー前駆体]
本発明の導電性ポリマー前駆体は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」という。)である。
なお、本発明において「導電性」とは、膜厚約0.1μmの塗膜が、1014Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。
[導電性ポリマー前駆体]
本発明の導電性ポリマー前駆体は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」という。)である。
なお、本発明において「導電性」とは、膜厚約0.1μmの塗膜が、1014Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。
式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基 、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基 、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘコキシ基などが挙げられる。
酸性基としては、スルホン酸基、カルボキシル基などが挙げられる。
これらは、それぞれ酸の状態(−SO3H、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態で含まれていてもよい。
これらの中でも、特に水に対する親和性を高めることができ、導電性ポリマーとなったときに、さらに高い導電性を発現できる観点で、スルホン酸基又はカルボキシル基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。
酸性基の塩としては、酸性基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩の少なくとも1種を示す。
これらは、それぞれ酸の状態(−SO3H、−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態で含まれていてもよい。
これらの中でも、特に水に対する親和性を高めることができ、導電性ポリマーとなったときに、さらに高い導電性を発現できる観点で、スルホン酸基又はカルボキシル基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。
酸性基の塩としては、酸性基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩の少なくとも1種を示す。
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
置換アンモニウムとしては、例えば脂式アンモニウム類、環式飽和アンモニウム類、環式不飽和アンモニウム類などが挙げられる。
前記脂式アンモニウム類としては、下式一般式(III)で表されるアンモニウムが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
置換アンモニウムとしては、例えば脂式アンモニウム類、環式飽和アンモニウム類、環式不飽和アンモニウム類などが挙げられる。
前記脂式アンモニウム類としては、下式一般式(III)で表されるアンモニウムが挙げられる。
式(III)中、R5〜R8はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。
このような脂式アンモニウム類としては、具体的にメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどを例示することができる。これらの中でも、溶解性の観点から、R5〜R8のうち1つが水素原子、他の3つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が最も好ましく、次いでR5〜R8のうち2つが水素原子、他の2つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい。
このような脂式アンモニウム類としては、具体的にメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどを例示することができる。これらの中でも、溶解性の観点から、R5〜R8のうち1つが水素原子、他の3つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が最も好ましく、次いでR5〜R8のうち2つが水素原子、他の2つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい。
環式飽和アンモニウム類としては、例えばピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
環式不飽和アンモニウム類としては、例えばピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
環式不飽和アンモニウム類としては、例えばピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、式(1)中、Aは酸性基又はその塩である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基、カルボキシル基を意味する。
酸性基及び酸性基の塩としては、R1〜R4の説明において先に例示した酸性基及び酸性基の塩が挙げられる。中でも、特に水に対する親和性を高めることができ、導電性ポリマーとなったときに、さらに高い導電性を発現できる観点で、Aとしてはスルホン酸基又はその塩が好ましい。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基、カルボキシル基を意味する。
酸性基及び酸性基の塩としては、R1〜R4の説明において先に例示した酸性基及び酸性基の塩が挙げられる。中でも、特に水に対する親和性を高めることができ、導電性ポリマーとなったときに、さらに高い導電性を発現できる観点で、Aとしてはスルホン酸基又はその塩が好ましい。
また、式(1)中、nは1〜20の整数である。nが1以上であれば、熱安定性に優れた導電性ポリマーが得られる。
nとしては、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
化合物(1)としては、導電性ポリマーの熱安定性が向上し、かつ化合物(1)の製造が容易である観点から、R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち少なくとも1つは炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であることが好ましく、その中でも特に、R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち1つが炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、残りが水素原子であることが好ましい。
化合物(1)は、例えば以下に示す(a)工程及び(b)工程により製造できる。
(a)工程:下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という。)を、スルホン化又はカルボキシル化して、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」という。)を得る工程。
(b)工程:化合物(3)を還元して、化合物(1)を得る工程。
(a)工程:下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という。)を、スルホン化又はカルボキシル化して、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」という。)を得る工程。
(b)工程:化合物(3)を還元して、化合物(1)を得る工程。
一般式(3)中、R1〜R4、A及びnは、一般式(1)中のR1〜R4、A及びnと同じである。また、一般式(2)中のDは脱離性を有する置換基であり、(a)工程における反応により、Aに変換される基であればよいが、具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メシル基、トシル基などが挙げられる。
以下、各工程について詳しく説明する。なお、以下に示す方法は、化合物(1)のうち、Aがスルホン酸基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩である化合物(以下、「化合物(1−1)」という。)、又はAがスルホン酸基である化合物(以下、「化合物(1−2)」という。)を製造する方法である。
また、以下に示す反応式中、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又は置換アンモニウムである。
また、以下に示す反応式中、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又は置換アンモニウムである。
<化合物(1−1)の製造>
((a)工程)
(a)工程は、以下に示す(a−1)工程を有する。
(a−1)工程:溶媒中にて化合物(2)とスルホン化剤(M2SO3)とを反応させて、下記一般式(3−1)で表される化合物(以下、「化合物(3−1)」という。)を得る工程。
((a)工程)
(a)工程は、以下に示す(a−1)工程を有する。
(a−1)工程:溶媒中にて化合物(2)とスルホン化剤(M2SO3)とを反応させて、下記一般式(3−1)で表される化合物(以下、「化合物(3−1)」という。)を得る工程。
化合物(2)とスルホン化剤との反応割合(mol比)は、1:0.5〜1:5が好ましい。スルホン化剤が少なすぎると、反応が完結しにくくなる。スルホン化剤が多すぎると、未反応のスルホン化剤を除去する必要があり、手間や製造コストがかかる。
反応温度は、0℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜12時間が好ましい。
反応温度は、0℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜12時間が好ましい。
スルホン化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなどが挙げられる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などが挙げられる。これら溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類などが挙げられる。これら溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
((b)工程)
(b)工程では、化合物(3−1)を還元して、化合物(1−1)を得る。
(b)工程では、化合物(3−1)を還元して、化合物(1−1)を得る。
(b)工程における反応条件は、ニトロ基に対する一般的な還元条件であれば、特に限定されない。具体的には、パラジウムカーボン、ラネーニッケルなどの還元剤を用いた接触水素化や、酸性条件下において亜鉛粉やスズ等の還元剤を用いた還元などの方法が挙げられる。
<化合物(1−2)の製造>
((a)工程)
(a)工程は、以下に示す(a−1)工程及び(a−2)工程を有する。
(a−1)工程:溶媒中にて化合物(2)とスルホン化剤とを反応させて、化合物(3−1)を得る工程。
(a−2)工程:化合物(3−1)をプロトン化して、下記一般式(3−2)で表される化合物(以下、「化合物(3−2)」という。)を得る工程。
((a)工程)
(a)工程は、以下に示す(a−1)工程及び(a−2)工程を有する。
(a−1)工程:溶媒中にて化合物(2)とスルホン化剤とを反応させて、化合物(3−1)を得る工程。
(a−2)工程:化合物(3−1)をプロトン化して、下記一般式(3−2)で表される化合物(以下、「化合物(3−2)」という。)を得る工程。
(a−1)工程:
(a−1)工程は、化合物(1−1)の製造工程に含まれる(a−1)工程と同じである。
(a−1)工程は、化合物(1−1)の製造工程に含まれる(a−1)工程と同じである。
(a−2)工程:
(a−2)工程は、化合物(3−1)中のスルホン酸基の塩をスルホン酸基にプロトン化する工程であり、(a−2)工程におけるプロトン化条件は、一般的なプロトン化条件であれば特に限定されないが、化合物(3−1)とプロトン化に用いる試薬(プロトン化剤)との反応割合(mol比)は、1:0.5〜1:10が好ましい。プロトン化剤が少なすぎると、反応が完結しにくくなる。プロトン化剤が多すぎると、未反応のプロトン化剤を除去する必要があり、手間や製造コストがかかる。
反応温度は、0℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜12時間が好ましい。
(a−2)工程は、化合物(3−1)中のスルホン酸基の塩をスルホン酸基にプロトン化する工程であり、(a−2)工程におけるプロトン化条件は、一般的なプロトン化条件であれば特に限定されないが、化合物(3−1)とプロトン化に用いる試薬(プロトン化剤)との反応割合(mol比)は、1:0.5〜1:10が好ましい。プロトン化剤が少なすぎると、反応が完結しにくくなる。プロトン化剤が多すぎると、未反応のプロトン化剤を除去する必要があり、手間や製造コストがかかる。
反応温度は、0℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜12時間が好ましい。
プロトン化剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、りん酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。
((b)工程)
(b)工程では、化合物(3−2)を還元して、化合物(1−2)を得る。
(b)工程では、化合物(3−2)を還元して、化合物(1−2)を得る。
(b)工程は、化合物(1−1)の製造工程に含まれる(b)工程と同じである。
なお、(a)工程で用いる化合物(2)としては、市販品を用いてもよし、合成品を用いてもよい。化合物(2)として合成品を用いる場合、化合物(2)は例えば以下に示す(c)工程を経て得られる。
(c)工程:下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という。)を、ハロゲン化、メシル化、又はトシル化などして、化合物(2)を得る工程。
(c)工程:下記一般式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という。)を、ハロゲン化、メシル化、又はトシル化などして、化合物(2)を得る工程。
(c)工程は、化合物(4)中の水酸基(アルコール)を置換基(D)に置換する工程であり、(c)工程における反応条件は、アルコールに対する一般的なハロゲン化条件、メシル化条件、又はトシル化条件であれば、特に限定されない。
また、(c)工程で用いる試薬としては、アルコールをハロゲン化する場合は、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、五臭化リン、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミドなどが挙げられる。また、アルコールをメシル化する場合は、塩化メタンスルホニルなどが挙げられる。また、アルコールをトシル化する場合は、塩化パラトルエンスルホニルなどが挙げられる。
また、(c)工程で用いる試薬としては、アルコールをハロゲン化する場合は、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、五臭化リン、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミドなどが挙げられる。また、アルコールをメシル化する場合は、塩化メタンスルホニルなどが挙げられる。また、アルコールをトシル化する場合は、塩化パラトルエンスルホニルなどが挙げられる。
なお、化合物(2)のうち、R4がR4’(アルコキシ基)であり、R1〜R3が水素原子であり、かつDがD2(ハロゲン原子)である化合物(以下、「化合物(2−1)」という。)は、例えば下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」という。)をハロアルキル化することでも得られる。
化合物(5)とハロアルキル化に用いる試薬(ハロアルキル化剤)との反応割合(mol比)は、1:0.5〜1:10が好ましい。ハロアルキル化剤が少なすぎると、反応が完結しにくくなる。ハロアルキル化剤が多すぎると、副生物が生成しやすくなり、反応後に副生物を除去する必要があり、手間や製造コストがかかる。
反応温度は、−10℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜24時間が好ましい。
反応温度は、−10℃以上が好ましく、反応時間は、0.5〜24時間が好ましい。
ハロアルキル化剤としては、例えばメトキシメチルクロリド、メトキシエチルクロリド、メトキシプロピルクロリド、塩化水素とホルマリンとの混合物などが挙げられる。
このようにして得られる本発明の導電性ポリマー前駆体は、酸性基あるいはその塩(化合物(1)中のAに相当)が特定の炭素数のアルキレン基を介して芳香環に結合している。
ところで、酸性基は電子吸引性を有するため、酸性基と結合する不飽和炭素原子上の電子密度は低下し、その結果、加熱すると酸性基と炭素原子の結合が切断されやすくなる。
よって、上述した2−アミノアニソール−4−スルホン酸のように、酸性基が芳香環に直接結合している化合物を重合して得られる導電性ポリマーの場合、加熱処理を行うと、酸性基と炭素原子の結合が切断されて酸性基が脱離し、導電性が低下すると考えられる。
よって、上述した2−アミノアニソール−4−スルホン酸のように、酸性基が芳香環に直接結合している化合物を重合して得られる導電性ポリマーの場合、加熱処理を行うと、酸性基と炭素原子の結合が切断されて酸性基が脱離し、導電性が低下すると考えられる。
しかしながら、本発明の導電性ポリマー前駆体であれば、上述したように酸性基あるいはその塩がアルキレン基を介して芳香環に結合している。そのため、アルキレン基と結合している芳香環上の炭素原子は、酸性基が芳香環に直接結合している場合と比べて電子吸引性の影響を受けにくく、電子密度の低下は軽減されると考えられる。従って、本発明の導電性ポリマー前駆体を用いた導電性ポリマーは、加熱処理しても酸性基が脱離しにくく、導電性を維持できる。特に、上記一般式(1)中、R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち少なくとも1つがアルコキシ基である導電性ポリマー前駆体、より好ましくはR2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち1つがアルコキシ基であり、残りが水素原子である導電性ポリマー前駆体であれば、より高い導電性を発現できる導電性ポリマーが得られる。
よって、本発明の導電性ポリマー前駆体は、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーの前駆体(原料)として好適である。
よって、本発明の導電性ポリマー前駆体は、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーの前駆体(原料)として好適である。
[導電性ポリマー(アニリン系導電性ポリマー(a))]
本発明の導電性ポリマー(アニリン系導電性ポリマー(a)ともいう)は、本発明の導電性ポリマー前駆体を含むアニリン系単量体成分を重合させて得られ、下記一般式(1−A)で表される繰り返し単位を有する。
本発明の導電性ポリマー(アニリン系導電性ポリマー(a)ともいう)は、本発明の導電性ポリマー前駆体を含むアニリン系単量体成分を重合させて得られ、下記一般式(1−A)で表される繰り返し単位を有する。
式(1−A)中、R1、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子よりなる群から選ばれ、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。
特に、導電性や可溶性の観点から、nは、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
これは、酸性基と芳香環の間に、スペーサーを入れることにより、加熱による酸性基の脱離を抑制することができるためと考えられる。
特に、導電性や可溶性の観点から、nは、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
これは、酸性基と芳香環の間に、スペーサーを入れることにより、加熱による酸性基の脱離を抑制することができるためと考えられる。
アニリン系導電性ポリマーとしては、本発明の導電性ポリマー前駆体を必須成分として含むが、前記一般式(1−A)で表される以外の構造単位(単量体成分)として、可溶性、導電性及び性状に影響を及ぼさない限り、置換又は無置換のアニリン(他のアニリン系単量体)、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、その他二価の不飽和基及び二価の飽和基からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位(単量体成分)を含んでいてもよい。
導電性ポリマー前駆体の含有量は、アニリン系単量体成分100質量%中、1〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーが得られやすくなる。
導電性ポリマー前駆体の含有量は、アニリン系単量体成分100質量%中、1〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーが得られやすくなる。
本発明のアニリン系導電性ポリマーは、前記一般式(1−A)の繰り返し単位、すなわち芳香環に対する酸性基の含有率を、可溶性向上の観点から、70%以上含まれるものが好ましく、さらに80%以上含まれるものが好ましく、特に90%以上含まれるもの好ましい。ここで、芳香環に対する酸性基の含有率が70%以下のものは水に対する溶解性が不十分で好ましくない。また、芳香環に対する酸性基の含有率が高くなるほど溶解性は向上しコンデンサ製造に適している。
なお、導電性ポリマー前駆体は、1種単独で用いてもよく、一般式(1−A)に該当する範囲で異なる2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
なお、導電性ポリマー前駆体は、1種単独で用いてもよく、一般式(1−A)に該当する範囲で異なる2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
前記アニリン系導電性ポリマーの重量平均分子量は、導電性、成膜性及び膜強度の観点で、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、3000〜50万が好ましく、5000〜20万がより好ましく、7000〜10万のものが特に好ましい。
ここで、重量平均分子量が3000以下の場合、溶解性は優れているが成膜性及び導電性が不足しており、50万以上の場合、溶解性及び多孔質成形体への含浸性が不十分である。
また、固体電解コンデンサは、導電率がよいものほど周波数特性などの性能が良いことから、導電率が0.01S/cm以上、好ましくは0.05S/cm以上の可溶性導電性ポリマーが用いられる。
ここで、重量平均分子量が3000以下の場合、溶解性は優れているが成膜性及び導電性が不足しており、50万以上の場合、溶解性及び多孔質成形体への含浸性が不十分である。
また、固体電解コンデンサは、導電率がよいものほど周波数特性などの性能が良いことから、導電率が0.01S/cm以上、好ましくは0.05S/cm以上の可溶性導電性ポリマーが用いられる。
他のアニリン系単量体としては、本発明の導電性ポリマー前駆体と共重合可能なアニリン系単量体であれば特に限定されないが、例えばアニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トリメチルアニリン、テトラメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トリエチルアニリン、テトラエチルアニリン、プロピルアニリン、ジプロピルアニリン、トリプロピルアニリン、テトラプロピルアニリン、ブチルアニリン、ジブチルアニリン、トリブチルアニリン、テトラブチルアニリン、メトキシアニリン、ジメトキシアニリン、トリメトキシアニリン、テトラメトキシアニリン、エトキシアニリン、ジエトキシアニリン、トリエトキシアニリン、テトラエトキシアニリン、ブロモアニリン、クロロアニリン、フッ化アニリン、シアノアニリン、ヒドロキシアニリン、ニトロアニリン、ジブロモアニリン、ジクロロアニリン、ジフッ化アニリン、ジシアノアニリン、ジヒドロキシアニリン、ジニトロアニリン、ジアミノベンゼン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−n−プロピルアニリン、N−iso−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、アミノベンゼンスルホン酸、アミノベンゼンジスルホン酸、アミノフェノールスルホン酸、アミノフェノールジスルホン酸、メトキシアニリンスルホン酸、アミノ安息香酸、アミノベンゼンジカルボン酸、アミノベンゼンリン酸、アミノベンゼンジリン酸、アミノベンゼンスルホンアミド、アミノベンゼンチオール、アミノベンズアミド、アセトトルイジン、アミノアセトフェノン、アミノベンゼンチオール、アミノクロロフェノール、アミノナフタレン、アミノナフタレンスルホン酸、アミノナフタレンカルボン酸、アミノナフタレンリン酸、アミノニトロフェノール、アミノフェニル、アミノフェニルフェノール、アミノキンリン、アミノベンゾトリフルオリド、アミノベンジルアルコール、アミノフェニルボロン酸、アミノクレゾール、アミノインドール、ルミノールなどが挙げられる。
他のアニリン系単量体の含有量は、アニリン系単量体成分100質量%中、0〜99質量%が好ましく、0〜90質量%がより好ましく、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れた導電性ポリマーが得られやすくなる。
本発明の導電性ポリマーの製造方法としては特に限定されず、酸化剤による化学重合法や電解重合法など、公知の製造方法を用いることができる。
以下、本発明の導電性ポリマーの製造方法の一例について、具体的に説明する。
以下、本発明の導電性ポリマーの製造方法の一例について、具体的に説明する。
本発明の導電性ポリマーは、例えば重合溶媒中で上述したアニリン系単量体成分を酸化剤により重合させて得られる。
本発明で用いるアニリン系単量体は、スルホン基及び/又はカルボキシル基を有し、このような酸性基置換アニリン系単量体としては、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩よりなる群から選ばれる化合物が好ましい。
また、酸性基置換アニリン系単量体としては、優れた導電性を発現し、且つ水溶性を向上させるという点を考慮すると、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
本発明で用いるアニリン系単量体は、スルホン基及び/又はカルボキシル基を有し、このような酸性基置換アニリン系単量体としては、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩よりなる群から選ばれる化合物が好ましい。
また、酸性基置換アニリン系単量体としては、優れた導電性を発現し、且つ水溶性を向上させるという点を考慮すると、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
<酸化剤>
酸化剤としては、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これら酸化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤としては、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これら酸化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
酸化剤の使用量は、アニリン系単量体成分1molに対して1〜5molが好ましく、より好ましくは1〜3molである。酸化剤の使用量が上記範囲内であれば、導電性ポリマーの高分子量化や、主鎖の酸化を十分に行うことができる。
なお、触媒として、鉄、銅などの遷移金属化合物を酸化剤と併用することも有効である。
なお、触媒として、鉄、銅などの遷移金属化合物を酸化剤と併用することも有効である。
<重合溶媒>
重合溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
重合溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
<重合工程>
上述したアニリン系単量体成分を、重合溶媒中で酸化剤により化学酸化重合することで、導電性ポリマーを得る(重合工程)。
具体的には、酸化剤溶液中にアニリン系単量体成分溶液(前駆体溶液)を滴下する方法、アニリン系単量体成分溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等にアニリン系単量体成分溶液と酸化剤溶液とを同時に滴下する方法、反応容器等にアニリン系単量体成分溶液と酸化剤溶液とを連続的に供給し、押し出し流れで重合させる方法などの各種方法によって、導電性ポリマーを得る。
重合の際には、上述した重合溶媒を用いることができる。
上述したアニリン系単量体成分を、重合溶媒中で酸化剤により化学酸化重合することで、導電性ポリマーを得る(重合工程)。
具体的には、酸化剤溶液中にアニリン系単量体成分溶液(前駆体溶液)を滴下する方法、アニリン系単量体成分溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等にアニリン系単量体成分溶液と酸化剤溶液とを同時に滴下する方法、反応容器等にアニリン系単量体成分溶液と酸化剤溶液とを連続的に供給し、押し出し流れで重合させる方法などの各種方法によって、導電性ポリマーを得る。
重合の際には、上述した重合溶媒を用いることができる。
また、重合の際には、反応系内にプロトン酸を加えてもよい。
プロトン酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ホウ化フッ素酸等の鉱酸類、トリフルオロメタンスルホン酸等の超強酸類、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機スルホン酸類、及びポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ−2−メチルプロパン−2−アクリルアミドスルホン酸等の高分子酸類などが挙げられる。
プロトン酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ホウ化フッ素酸等の鉱酸類、トリフルオロメタンスルホン酸等の超強酸類、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機スルホン酸類、及びポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ−2−メチルプロパン−2−アクリルアミドスルホン酸等の高分子酸類などが挙げられる。
重合反応の内温は50℃以下が好ましく、より好ましくは−15〜50℃、さらに好ましくは−10〜20℃である。特に、重合反応の内温が20℃以下であれば、副反応の進行や、主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。また、重合反応の内温が−15℃以上であれば、十分な反応速度を維持でき、反応時間を短縮できる。
<精製工程>
導電性ポリマーは、溶媒に溶解又は分散したポリマー溶液の状態で得られる。導電性ポリマーは、溶媒を除去した後、そのまま各種用途に用いてもよいが、ポリマー溶液には未反応のモノマー(アニリン系単量体成分)、オリゴマー、不純物などが含まれる場合がある。従って、導電性ポリマーを精製してから用いるのが好ましい(精製工程)。
導電性ポリマーを精製する方法としては、溶剤を用いた洗浄法、膜濾過法、陽イオン交換法などが挙げられる。
導電性ポリマーは、溶媒に溶解又は分散したポリマー溶液の状態で得られる。導電性ポリマーは、溶媒を除去した後、そのまま各種用途に用いてもよいが、ポリマー溶液には未反応のモノマー(アニリン系単量体成分)、オリゴマー、不純物などが含まれる場合がある。従って、導電性ポリマーを精製してから用いるのが好ましい(精製工程)。
導電性ポリマーを精製する方法としては、溶剤を用いた洗浄法、膜濾過法、陽イオン交換法などが挙げられる。
このようにして得られる導電性ポリマーは、本発明の導電性ポリマー前駆体を含むアニリン系単量体成分を重合して得られる。上述したように、本発明の導電性ポリマー前駆体は、酸性基あるいはその塩が炭素数1〜20のアルキレン基を介して芳香環に結合したモノマーであり、加熱処理しても酸性基あるいはその塩が脱離しにくい。従って、本発明の導電性ポリマーは、高い導電性を有し、かつ熱安定性に優れる。よって、加熱処理しても導電性を維持できる。
なお、本発明の導電性ポリマーは、下記一般式(6)で表されるフェニレンジアミン構造(還元型)とキノジイミン構造(酸化型)を有していると考えられる。
式(6)中、R9〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基、酸性基又はその塩、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)よりなる群から選ばれ、かつR11、R15、R19、R23のうち少なくとも1つは−(CH2)n−Aである。ここで、Aは酸性基又はその塩であり、nは1〜20の整数である。また、yは重合度を示す。
このフェニレンジアミン構造(還元型)とキノジイミン構造(酸化型)は、酸化又は還元により任意の比率で可逆的に変換させることが可能である。フェニレンジアミン構造とキノジイミン構造の比率(x)は、0.2<x<0.8の範囲が導電性及び溶解性の面から好ましく、0.3<x<0.7がより好ましい。
なお、本発明の導電性ポリマーは、単なる水、塩基及び塩基性塩を含む水、酸を含む水、又はメタノール、エタノール、iso−プロパノール等の溶媒、又はそれらの混合物に溶解することができ、加工性にも優れる。
本発明の導電性ポリマーは、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法等の簡便な手法で導電体を形成することができる。
また、本発明の導電性ポリマーを主成分とする組成物は、各種帯電防止剤、コンデンサ、電池、EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食、接着剤、繊維、帯電防止塗料、防食塗料、電着塗料、メッキプライマー、静電塗装の下地、電気防食、電池の蓄電能力向上等に適応可能である。
これらの中でも、本発明の導電性ポリマーは熱安定性に優れ、加熱処理しても導電性を維持できることから、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に好適である。
これらの中でも、本発明の導電性ポリマーは熱安定性に優れ、加熱処理しても導電性を維持できることから、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に好適である。
前記製造方法により得られるアニリン系導電性ポリマー(a)は陽イオンと塩を形成している場合があり、導電性を阻害する要因となっていることから、これら陽イオンを除去することが望ましい。
陽イオンなどの不純物を除去するには、前記導電性ポリマーの分散液又は溶解液を陽イオン交換樹脂に接触させる方法が好ましい。前記導電性ポリマーを陽イオン交換樹脂により不純物除去する場合、溶媒に分散又は溶解させた状態で用いる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類、及びこれらを混合したものが好ましい。
前記導電性ポリマーを前記溶媒に分散又は溶解させる際の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、オルガノ株式会社製の「アンバーライト」などの強酸型の陽イオン交換樹脂が好ましい。
陽イオン交換樹脂の形態については特に限定されることなく、種々の形態のものを使用でき、例えば球状細粒、膜状や繊維状などが挙げられる。
導電性ポリマーに対する陽イオン交換樹脂の量は、工業性や精製効率の観点から、導電性ポリマー1質量部に対して1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
陽イオン交換樹脂の形態については特に限定されることなく、種々の形態のものを使用でき、例えば球状細粒、膜状や繊維状などが挙げられる。
導電性ポリマーに対する陽イオン交換樹脂の量は、工業性や精製効率の観点から、導電性ポリマー1質量部に対して1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液と、陽イオン交換樹脂の接触方法としては、容器に導電性ポリマーの分散液又は溶解液と陽イオン交換樹脂を入れ、攪拌又は回転させることで、陽イオン交換樹脂と接触させる方法が挙げられる。
また、陽イオン交換樹脂をカラムに充填し、導電性ポリマーの分散液又は溶解液を、好ましくはSV=0.01〜20、より好ましくはSV=0.2〜5の流量で通過させて、陽イオン交換処理を行う方法でもよい。
ここで、空間速度SV(1/hr)=流量(m3/hr)/濾材量(体積:m3)である。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液と、陽イオン交換樹脂を接触させる時間は、精製効率の観点から、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。
なお、接触時間の上限値については特に制限されず、導電性ポリマーの分散液又は溶離液の濃度、陽イオン交換樹脂の量、後述する接触温度などの条件に併せて、適宜設定すればよい。
また、陽イオン交換樹脂をカラムに充填し、導電性ポリマーの分散液又は溶解液を、好ましくはSV=0.01〜20、より好ましくはSV=0.2〜5の流量で通過させて、陽イオン交換処理を行う方法でもよい。
ここで、空間速度SV(1/hr)=流量(m3/hr)/濾材量(体積:m3)である。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液と、陽イオン交換樹脂を接触させる時間は、精製効率の観点から、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。
なお、接触時間の上限値については特に制限されず、導電性ポリマーの分散液又は溶離液の濃度、陽イオン交換樹脂の量、後述する接触温度などの条件に併せて、適宜設定すればよい。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液と、陽イオン交換樹脂を接触させる際の温度は、工業的観点から、10〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
このようにして精製された導電性ポリマーは、オリゴマーやモノマーなどの低分子量体や、陽イオンなどの不純物が十分に除去されているので、より優れた導電性を示す。
<溶剤(b)>
前記導電性組成物に用いられる溶媒(b)としては、前記導電性ポリマー(a)を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、水及び/又は水溶性有機溶剤などが好ましい。
水溶性有機溶剤として、具体的には、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類、そして、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類などが挙げられる。
これらの中でも、工業的観点から、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が好ましい。
前記導電性組成物に用いられる溶媒(b)としては、前記導電性ポリマー(a)を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、水及び/又は水溶性有機溶剤などが好ましい。
水溶性有機溶剤として、具体的には、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類、そして、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類などが挙げられる。
これらの中でも、工業的観点から、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が好ましい。
導電性組成物の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。濃度が高いほど十分な膜厚の固体電解質層を形成することができる。一方、濃度が低いほど溶液中の導電性ポリマー及び化合物が凝集するのを抑制でき、高粘度化しにくくなり、陽極酸化被膜の微細な凹凸の内部に含浸しやすくなる。
<塩基性化合物(c)>
本発明の導電性組成物に塩基性化合物(c)が含有されることで耐熱性が向上する。その理由として、塩基性化合物(c)が導電性ポリマー(a)の分解を阻止するためと考えられる。塩基性化合物(c)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、等の無機塩基、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機水酸化物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等の1級アルキルアミン類、ベンジルアミン、アニリン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等の2級アルキルアミン類、メチルアニリン等の2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン等の3級アルキルアミン類、ジメチルアニリン等の3級アミン、2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピリジン、ピレリジン等のヘテロ環式アミン水、ベンジルアミン、メトキシエチルアミン、アミノピリジン、ヒドロキシメチルピリジン、ピリジノール、エチレンジアミン、アンモニア等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム又はアンモニアが好ましい。これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の導電性組成物に塩基性化合物(c)が含有されることで耐熱性が向上する。その理由として、塩基性化合物(c)が導電性ポリマー(a)の分解を阻止するためと考えられる。塩基性化合物(c)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、等の無機塩基、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機水酸化物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等の1級アルキルアミン類、ベンジルアミン、アニリン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等の2級アルキルアミン類、メチルアニリン等の2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン等の3級アルキルアミン類、ジメチルアニリン等の3級アミン、2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピリジン、ピレリジン等のヘテロ環式アミン水、ベンジルアミン、メトキシエチルアミン、アミノピリジン、ヒドロキシメチルピリジン、ピリジノール、エチレンジアミン、アンモニア等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム又はアンモニアが好ましい。これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
塩基性化合物(c)は、酸性基置換アニリン等、導電性ポリマー(a)の原料となる単量体を溶液中で酸化重合する際に用いられたものが残存して導電性組成物に含有されてもよいし、それ以外に、それと同種又は異種の塩基性化合物が導電性組成物に添加されていてもよい。
また、塩基性化合物(c)の添加量は、導電性及び/又は耐熱性の観点から、導電性ポリマー(a)の繰り返し単位1molに対して、0.01〜2.0molが好ましく、0.1〜1.5molがより好ましく、0.15〜1.0molがさらに好ましく、0.2〜0.65molが特に好ましい。
また、塩基性化合物(c)の添加量は、導電性及び/又は耐熱性の観点から、導電性ポリマー(a)の繰り返し単位1molに対して、0.01〜2.0molが好ましく、0.1〜1.5molがより好ましく、0.15〜1.0molがさらに好ましく、0.2〜0.65molが特に好ましい。
<固体電解質層(導電性ポリマー層)>
本発明において、固体電解質層は、前記アニリン系導電性ポリマーと溶剤を混合して得られた導電性組成物から形成される。
本発明において、固体電解質層は、前記アニリン系導電性ポリマーと溶剤を混合して得られた導電性組成物から形成される。
固体電解質層の形成方法としては、ディップコート法、刷毛塗り法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、スプレーコート法、フローコート法、スクリーン法印刷、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などが挙げられる。中でも、操作が容易である点で、ディップコート法が好ましい。
ディップコート法により導電性組成物を塗布する場合、作業性の観点から、導電性組成物への浸漬時間は、1〜30分が好ましい。また、ディップコートする際に、減圧時にディップさせて常圧に戻す、あるいは、ディップ時に加圧するなどの方法も有効である。
ディップコート法により導電性組成物を塗布する場合、作業性の観点から、導電性組成物への浸漬時間は、1〜30分が好ましい。また、ディップコートする際に、減圧時にディップさせて常圧に戻す、あるいは、ディップ時に加圧するなどの方法も有効である。
固体電解質層を形成した後の乾燥方法としては、加熱乾燥が好ましいが、例えば、風乾や、スピンさせて物理的に乾燥させる方法などを用いてもよい。
また、乾燥条件は、前記導電性ポリマー(a)や前記溶剤(b)の種類により決定されるが、通常、乾燥温度は乾燥性の観点から50℃〜190℃が好ましく、乾燥時間は1〜120分が好ましい。
また、乾燥条件は、前記導電性ポリマー(a)や前記溶剤(b)の種類により決定されるが、通常、乾燥温度は乾燥性の観点から50℃〜190℃が好ましく、乾燥時間は1〜120分が好ましい。
<巻回型固体電解コンデンサの製造方法>
本発明の実施の形態において、巻回型固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成工程の他、公知の技術により製造される。
例えば、アルミニウム箔の表層近傍をエッチングにより多孔質体化した後、陽極酸化により陽極酸化被膜を形成し、本実施の形態による固体電解質層を含む固体電荷質を形成した後、陰極部を形成し、陽極部及び陰極部には外部端子を接続し外装を施して、本実施の形態にかかる巻回型固体電解コンデンサを得ることが出来る。
前記陽極酸化被膜は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ニッケル等の金属材料(被膜形成金属)からなる電極(弁作用金属体)を陽極酸化して形成されたものである。多孔質の弁作用金属体を陽極酸化して形成される陽極酸化被膜は、弁作用金属体の表面状態を反映し、表面が微細な凹凸構造と成っている。この凹凸の周期は弁作用金属体の種類などに依存するが、通常、200nm以下程度である。
また、凹凸を形成する凹部(細孔部)の深さは、弁作用金属体の種類などに特に依存しやすいので一概には決められないが、例えば、アルミニウムを用いる場合、凹部の深さは数十nm〜1μm程度である。
本発明の実施の形態において、巻回型固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成工程の他、公知の技術により製造される。
例えば、アルミニウム箔の表層近傍をエッチングにより多孔質体化した後、陽極酸化により陽極酸化被膜を形成し、本実施の形態による固体電解質層を含む固体電荷質を形成した後、陰極部を形成し、陽極部及び陰極部には外部端子を接続し外装を施して、本実施の形態にかかる巻回型固体電解コンデンサを得ることが出来る。
前記陽極酸化被膜は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ニッケル等の金属材料(被膜形成金属)からなる電極(弁作用金属体)を陽極酸化して形成されたものである。多孔質の弁作用金属体を陽極酸化して形成される陽極酸化被膜は、弁作用金属体の表面状態を反映し、表面が微細な凹凸構造と成っている。この凹凸の周期は弁作用金属体の種類などに依存するが、通常、200nm以下程度である。
また、凹凸を形成する凹部(細孔部)の深さは、弁作用金属体の種類などに特に依存しやすいので一概には決められないが、例えば、アルミニウムを用いる場合、凹部の深さは数十nm〜1μm程度である。
<積層型固体電解コンデンサの製造方法>
本発明の実施の形態において、積層型固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成工程の他、公知の技術により製造される。
例えば、アルミニウム箔などの弁作用金属体の表層近傍をエッチングにより多孔質体化した後、陽極酸化により陽極酸化被膜を形成する。ついで、陽極酸化被膜上に固体電解質層を形成した後、これをグラファイト液に浸漬させて、又はグラファイト液を塗布して固体電解質層上にグラファイト層を形成し、さらにグラファイト層上に金属層を形成する。さらに、陰極部及び陽極部に外部端子を接続して外装することで、本実施の形態にかかる積層型固体電解コンデンサを得ることが出来る。
本発明の実施の形態において、積層型固体電解コンデンサは、固体電解質層の形成工程の他、公知の技術により製造される。
例えば、アルミニウム箔などの弁作用金属体の表層近傍をエッチングにより多孔質体化した後、陽極酸化により陽極酸化被膜を形成する。ついで、陽極酸化被膜上に固体電解質層を形成した後、これをグラファイト液に浸漬させて、又はグラファイト液を塗布して固体電解質層上にグラファイト層を形成し、さらにグラファイト層上に金属層を形成する。さらに、陰極部及び陽極部に外部端子を接続して外装することで、本実施の形態にかかる積層型固体電解コンデンサを得ることが出来る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における測定・評価方法は、以下の通りである。
なお、実施例及び比較例における測定・評価方法は、以下の通りである。
(NMRの測定)
1H−NMRスペクトルの測定により化合物の同定を行った。この測定は、FT−NMR(日本電子株式会社製、「JNM−GX270」)を用いて、重水素化ジメチルスルホキシドに、濃度が約5質量%になるように測定サンプルを溶解したものを、直径5mmΦの試験管に入れ、測定温度25℃、測定周波数270MHz、シングルパルスモードにて64回の積算回数で行った。
1H−NMRスペクトルの測定により化合物の同定を行った。この測定は、FT−NMR(日本電子株式会社製、「JNM−GX270」)を用いて、重水素化ジメチルスルホキシドに、濃度が約5質量%になるように測定サンプルを溶解したものを、直径5mmΦの試験管に入れ、測定温度25℃、測定周波数270MHz、シングルパルスモードにて64回の積算回数で行った。
(導電性ポリマーの質量平均分子量の測定)
まず、水(超純水)とメタノールを、容積比が水:メタノール=8:2となるように混合した混合溶媒に、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを、それぞれの固形分濃度が20mmol/L、30mmol/Lになるように添加して、溶離液を調製した。得られた溶離液は、25℃でのpHが10.8であった。この溶離液に、導電性ポリマーを固形分濃度が0.1質量%となるように溶解させ、試験溶液を調製した。
得られた試験溶液について、ゲル浸透クロマトグラフを備えた高分子材料評価装置を使用して分子量分布を測定した。
ついで、得られたクロマトグラムについて、保持時間をポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の分子量(M)へと換算し、導電性ポリマーの質量平均分子量を求めた。
まず、水(超純水)とメタノールを、容積比が水:メタノール=8:2となるように混合した混合溶媒に、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを、それぞれの固形分濃度が20mmol/L、30mmol/Lになるように添加して、溶離液を調製した。得られた溶離液は、25℃でのpHが10.8であった。この溶離液に、導電性ポリマーを固形分濃度が0.1質量%となるように溶解させ、試験溶液を調製した。
得られた試験溶液について、ゲル浸透クロマトグラフを備えた高分子材料評価装置を使用して分子量分布を測定した。
ついで、得られたクロマトグラムについて、保持時間をポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の分子量(M)へと換算し、導電性ポリマーの質量平均分子量を求めた。
(熱安定性及び導電性の評価)
スピンコータを用いて導電性ポリマー溶液をガラス基板上に塗布し、ホットプレート上で、所定温度で5分間加熱して、塗膜(膜厚:約100nm)がガラス基板上に形成された試験片を得た。
得られた試験片の表面抵抗値を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、「ハイレスタIP」)に2探針プローブを装着して測定した。
スピンコータを用いて導電性ポリマー溶液をガラス基板上に塗布し、ホットプレート上で、所定温度で5分間加熱して、塗膜(膜厚:約100nm)がガラス基板上に形成された試験片を得た。
得られた試験片の表面抵抗値を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、「ハイレスタIP」)に2探針プローブを装着して測定した。
(電気容量測定・等価直列抵抗測定)
電気容量及び等価直列抵抗は、LCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社製E4980A プレシジョンLCRメータ)を用いて周波数120Hzにて電気容量、100kHzにて等価直列抵抗を測定した。
電気容量及び等価直列抵抗は、LCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社製E4980A プレシジョンLCRメータ)を用いて周波数120Hzにて電気容量、100kHzにて等価直列抵抗を測定した。
(導電性ポリマーの繰り返し単位(モノマーユニット)[mol])
導電性ポリマーの粉末に対し、粉末の重量を高分子の繰り返し単位の分子量で除して、導電性ポリマーの繰り返し単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液の場合、溶解液又は分散液を100℃で1時間乾燥し、残存した固形分を導電性ポリマーの粉末として、同様に導電性ポリマーの繰り返し単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
導電性ポリマーの粉末に対し、粉末の重量を高分子の繰り返し単位の分子量で除して、導電性ポリマーの繰り返し単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
導電性ポリマーの分散液又は溶解液の場合、溶解液又は分散液を100℃で1時間乾燥し、残存した固形分を導電性ポリマーの粉末として、同様に導電性ポリマーの繰り返し単位(モノマーユニット)[mol]を求めた。
[実施例1]
<導電性ポリマー前駆体の合成>
(c)工程:3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライドの合成
3−ニトロ−4−メトキシベンジルアルコール(4−1)4.8g(26.2mmol)を塩化メチレン48mLに溶解した溶液に、塩化チオニル6.2g(52.4mmol)を添加した。この溶液を20時間室温で攪拌した後、トルエン30mLを加え、減圧濃縮した。得られた固体をヘキサンに懸濁した後、これを濾過し、残渣を乾燥することで、3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライド(2−2)5.13gを得た(収率97.2%)。
<導電性ポリマー前駆体の合成>
(c)工程:3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライドの合成
3−ニトロ−4−メトキシベンジルアルコール(4−1)4.8g(26.2mmol)を塩化メチレン48mLに溶解した溶液に、塩化チオニル6.2g(52.4mmol)を添加した。この溶液を20時間室温で攪拌した後、トルエン30mLを加え、減圧濃縮した。得られた固体をヘキサンに懸濁した後、これを濾過し、残渣を乾燥することで、3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライド(2−2)5.13gを得た(収率97.2%)。
(a)工程:3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸の合成
水6mLに3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライド(2−2)3.00g(14.9mmol)、亜硫酸ナトリウム3.48g(9.21mmol)を混合し、100℃で3時間加熱還流した((a−1)工程)。
反応液を冷却後、析出した固体(3−3)に水を加えて溶解させ、これに50質量%硫酸6.18gを加えた。この溶液を減圧濃縮し、さらにエタノール80mLを加え再度減圧濃縮した。得られた固体をメタノールに懸濁した後、これを減圧濾過した。濾液を減圧濃縮することで、3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(3−4)2.64gを得た((a−2)工程)(収率71.7%)。
水6mLに3−ニトロ−4−メトキシベンジルクロライド(2−2)3.00g(14.9mmol)、亜硫酸ナトリウム3.48g(9.21mmol)を混合し、100℃で3時間加熱還流した((a−1)工程)。
反応液を冷却後、析出した固体(3−3)に水を加えて溶解させ、これに50質量%硫酸6.18gを加えた。この溶液を減圧濃縮し、さらにエタノール80mLを加え再度減圧濃縮した。得られた固体をメタノールに懸濁した後、これを減圧濾過した。濾液を減圧濃縮することで、3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(3−4)2.64gを得た((a−2)工程)(収率71.7%)。
得られた3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(3−4)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。
1H−NMR(270MHz in DMSO):δ7.79(s,1H)、δ7.58(d,1H,J=8.37Hz)、δ7.27(d,1H,J=8.37Hz)、δ3.90(s,3H)、δ3.73(s,2H).
1H−NMR(270MHz in DMSO):δ7.79(s,1H)、δ7.58(d,1H,J=8.37Hz)、δ7.27(d,1H,J=8.37Hz)、δ3.90(s,3H)、δ3.73(s,2H).
(b)工程:3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸の合成
3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(3−4)2.2g(8.9mmol)をメタノール27.7mLに溶解し、これにパラジウムカーボン(Pd−C)0.22gを加えた。反応容器を水素置換し、室温(25℃)にて3時間攪拌した後、反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮することで、3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(1−3)1.95gを得た(収率90%)。
3−ニトロ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(3−4)2.2g(8.9mmol)をメタノール27.7mLに溶解し、これにパラジウムカーボン(Pd−C)0.22gを加えた。反応容器を水素置換し、室温(25℃)にて3時間攪拌した後、反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮することで、3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(1−3)1.95gを得た(収率90%)。
得られた3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(1−3)の1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。
1H−NMR(270MHz in DMSO):δ6.65(d,1H,J=9.99Hz)、δ6.64(s,1H)、δ6.44(d,1H,J=9.99Hz)、δ3.72(s,3H)、δ3.51(s,2H).
1H−NMR(270MHz in DMSO):δ6.65(d,1H,J=9.99Hz)、δ6.64(s,1H)、δ6.44(d,1H,J=9.99Hz)、δ3.72(s,3H)、δ3.51(s,2H).
[実施例2]
<導電性ポリマー(a)の製造>
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(分子量224.20)2.24g(100mmol)を25gの水に攪拌溶解し、酸化剤溶液を調製した。
別途、3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(分子量217.24)2.17g(100mmol)からなるアニリン系単量体成分を水25gに溶解し、アニリン系単量体成分溶液(前駆体溶液)を調製した。
酸化剤溶液を氷浴にて冷却し攪拌しながら、前駆体溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、氷冷下で2時間攪拌を継続した。次いで室温(25℃)で2時間攪拌を継続し重合反応を行い、黒色沈殿物を得た。
得られた黒色沈殿を濾過し、残渣を水にて洗浄した後、減圧乾燥し、導電性ポリマー(ポリ(3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸))(a)1.5gを得た。得られたポリ(3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸)の質量平均分子量は25000であった。
<導電性ポリマー(a)の製造>
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(分子量224.20)2.24g(100mmol)を25gの水に攪拌溶解し、酸化剤溶液を調製した。
別途、3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸(分子量217.24)2.17g(100mmol)からなるアニリン系単量体成分を水25gに溶解し、アニリン系単量体成分溶液(前駆体溶液)を調製した。
酸化剤溶液を氷浴にて冷却し攪拌しながら、前駆体溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、氷冷下で2時間攪拌を継続した。次いで室温(25℃)で2時間攪拌を継続し重合反応を行い、黒色沈殿物を得た。
得られた黒色沈殿を濾過し、残渣を水にて洗浄した後、減圧乾燥し、導電性ポリマー(ポリ(3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸))(a)1.5gを得た。得られたポリ(3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸)の質量平均分子量は25000であった。
得られたポリ(3−アミノ−4−メトキシフェニルメタンスルホン酸)(a)を0.2mol/Lのアンモニア水に溶解し、導電性ポリマー溶液を調製した。
この導電性ポリマー溶液を用いて熱安定性及び導電性の評価を行った。
なお、試験片は加熱温度を変更して合計で7つ作製し、各試験片について表面抵抗値を測定した。得られた結果から、X軸に加熱温度(℃)、Y軸に試験片の表面抵抗値(Ω/□)をプロットしたグラフを作成した。該グラフを図1に示す。
この導電性ポリマー溶液を用いて熱安定性及び導電性の評価を行った。
なお、試験片は加熱温度を変更して合計で7つ作製し、各試験片について表面抵抗値を測定した。得られた結果から、X軸に加熱温度(℃)、Y軸に試験片の表面抵抗値(Ω/□)をプロットしたグラフを作成した。該グラフを図1に示す。
[比較例1]
<導電性ポリマー前駆体(a´)の合成>
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(分子量224.20)2.24g(100mmol)を10gの水及びアセトニトリルの混合溶媒(体積比=1:1)に攪拌溶解し、酸化剤溶液を調製した。
別途、東京化成工業株式会社から市販されている2−アミノアニソール−4−スルホン酸(分子量203.22)2.03g(100mmol)とトリエチルアミン1.1gを、10gの水及びアセトニトリルの混合溶媒(体積比=1:1)に溶解し、前駆体溶液を調製した。
これらの酸化剤溶液及び前駆体溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして重合反応を行い、得られた黒色沈殿を濾過し、残渣を水にて洗浄した後、減圧乾燥し、導電性ポリマー(ポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸))(a´)1.2gを得た。得られたポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸)の質量平均分子量は23000であった。
得られたポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸)を室温(25℃)で水に溶解し、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)にてイオン交換処理を行い、これを導電性ポリマー溶液(a´−2)とした。
得られた導電性ポリマー溶液を用いて、実施例2と同様にして熱安定性及び導電性の評価を行った。結果を図1に示す。
<導電性ポリマー前駆体(a´)の合成>
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(分子量224.20)2.24g(100mmol)を10gの水及びアセトニトリルの混合溶媒(体積比=1:1)に攪拌溶解し、酸化剤溶液を調製した。
別途、東京化成工業株式会社から市販されている2−アミノアニソール−4−スルホン酸(分子量203.22)2.03g(100mmol)とトリエチルアミン1.1gを、10gの水及びアセトニトリルの混合溶媒(体積比=1:1)に溶解し、前駆体溶液を調製した。
これらの酸化剤溶液及び前駆体溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして重合反応を行い、得られた黒色沈殿を濾過し、残渣を水にて洗浄した後、減圧乾燥し、導電性ポリマー(ポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸))(a´)1.2gを得た。得られたポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸)の質量平均分子量は23000であった。
得られたポリ(2−アミノアニソール−4−スルホン酸)を室温(25℃)で水に溶解し、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)にてイオン交換処理を行い、これを導電性ポリマー溶液(a´−2)とした。
得られた導電性ポリマー溶液を用いて、実施例2と同様にして熱安定性及び導電性の評価を行った。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、実施例2で得られた導電性ポリマーは、加熱温度が高くなっても、表面抵抗値が安定しており、高い導電性を維持できた。従って、本発明の導電性ポリマー前駆体から得られる導電性ポリマーは、200℃以上の高温に加熱処理しても熱安定性に優れ、高い導電性を有することが示された。
一方、酸性基あるいはその塩がアルキレン基を介さずに芳香環に結合したモノマーから得られた導電性ポリマー(比較例1)は、加熱温度が高くなるにつれて表面抵抗値が高くなり、導電性が低下した。
一方、酸性基あるいはその塩がアルキレン基を介さずに芳香環に結合したモノマーから得られた導電性ポリマー(比較例1)は、加熱温度が高くなるにつれて表面抵抗値が高くなり、導電性が低下した。
[実施例3]
<導電性組成物の製造>
得られた導電性ポリマー(a)5質量部を水95質量部に室温で溶解させ、導電性ポリマー溶液(a−1)を得た。
なお、「室温」とは、25℃のことである。
得られた導電性ポリマー水溶液(a−1)100質量部に対して、50質量部となるように酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライト」)をカラムに充填し、該カラムに導電性ポリマー溶液(a−1)をSV=8の流量で通過させて陽イオン交換処理を行い、精製された導電性ポリマー溶液(a−2)を得た。
得られた導電性ポリマー溶液(a−2)において、導電性ポリマーの割合は4.5質量%であった(溶剤100質量部に対して、4.7質量部)。また導電性ポリマー溶液(a−2)中に含まれる塩を形成している塩基性化合物(トリエチルアミン及びアンモニア)の含有量は0.1質量%以下であった。
<導電性組成物の製造>
得られた導電性ポリマー(a)5質量部を水95質量部に室温で溶解させ、導電性ポリマー溶液(a−1)を得た。
なお、「室温」とは、25℃のことである。
得られた導電性ポリマー水溶液(a−1)100質量部に対して、50質量部となるように酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライト」)をカラムに充填し、該カラムに導電性ポリマー溶液(a−1)をSV=8の流量で通過させて陽イオン交換処理を行い、精製された導電性ポリマー溶液(a−2)を得た。
得られた導電性ポリマー溶液(a−2)において、導電性ポリマーの割合は4.5質量%であった(溶剤100質量部に対して、4.7質量部)。また導電性ポリマー溶液(a−2)中に含まれる塩を形成している塩基性化合物(トリエチルアミン及びアンモニア)の含有量は0.1質量%以下であった。
[実施例4]
実施例3で得られた導電性ポリマー溶液(a−2)を用いて、導電性組成物溶液を調製した。アルミコンデンサの陽極酸化被膜に、前記導電性組成物溶液を2分間浸漬させた後、熱風乾燥機により120℃、30分間乾燥させ、更に180℃、120分間加熱処理を行い、陽極酸化被膜上に固体電解質層を形成させた。得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
実施例3で得られた導電性ポリマー溶液(a−2)を用いて、導電性組成物溶液を調製した。アルミコンデンサの陽極酸化被膜に、前記導電性組成物溶液を2分間浸漬させた後、熱風乾燥機により120℃、30分間乾燥させ、更に180℃、120分間加熱処理を行い、陽極酸化被膜上に固体電解質層を形成させた。得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
[比較例2]
比較例1で得られた導電性ポリマー溶液(a´−2)を用いた以外は、実施例4と同様に行い、得られた固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に合わせて示す。
比較例1で得られた導電性ポリマー溶液(a´−2)を用いた以外は、実施例4と同様に行い、得られた固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に合わせて示す。
[実施例5]
実施例3で得られたポリマー溶液(a−2)に、塩基性化合物としてジエタノールアミンを添加した以外は、実施例4と同様の方法により、固体電解質層を形成し、得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
実施例3で得られたポリマー溶液(a−2)に、塩基性化合物としてジエタノールアミンを添加した以外は、実施例4と同様の方法により、固体電解質層を形成し、得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
[実施例6]
また、実施例3で得られたポリマー溶液(a−2)に、塩基性化合物として水酸化リチウムを添加した以外は、実施例4と同様の方法により、固体電解質層を形成し、得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
また、実施例3で得られたポリマー溶液(a−2)に、塩基性化合物として水酸化リチウムを添加した以外は、実施例4と同様の方法により、固体電解質層を形成し、得られた巻回型固体電解コンデンサの等価直列抵抗を表1に併せて示す。
表1中の耐熱性の評価は、下記基準で行った。
A:120℃×30分間加熱乾燥した時の等価直列抵抗値に比べ、更に180℃×120分間加熱処理した時の等価直列抵抗値の増加が、5倍未満である。
B:120℃×30分間加熱乾燥した時の等価直列抵抗値に比べ、更に180℃×120分間加熱処理した時の等価直列抵抗値の増加が、5倍以上である。
A:120℃×30分間加熱乾燥した時の等価直列抵抗値に比べ、更に180℃×120分間加熱処理した時の等価直列抵抗値の増加が、5倍未満である。
B:120℃×30分間加熱乾燥した時の等価直列抵抗値に比べ、更に180℃×120分間加熱処理した時の等価直列抵抗値の増加が、5倍以上である。
表1より、導電性ポリマー(a)を含有する導電性ポリマー溶液(a−2)を用いた実施例4は、加熱処理しても、等価直列抵抗の増加が抑制され、加熱処理後に優れた耐熱性を示した。
また、塩基性化合物(c)として、ジエタノールアミン、水酸化リチウムを各々添加した実施例5、実施例6も、加熱処理しても、等価直列抵抗の増加が抑制されていた。
一方、導電性ポリマー(a)とは異なり、酸性基が芳香環に直結する導電性高ポリマー(a´)を含有する導電性ポリマー溶液(a´−2)を用いた比較例2は、加熱により等価直列抵抗が著しく増加し、加熱処理後は耐熱性が悪かった。
また、塩基性化合物(c)として、ジエタノールアミン、水酸化リチウムを各々添加した実施例5、実施例6も、加熱処理しても、等価直列抵抗の増加が抑制されていた。
一方、導電性ポリマー(a)とは異なり、酸性基が芳香環に直結する導電性高ポリマー(a´)を含有する導電性ポリマー溶液(a´−2)を用いた比較例2は、加熱により等価直列抵抗が著しく増加し、加熱処理後は耐熱性が悪かった。
本発明の導電性ポリマー前駆体は、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途に用いられる導電性ポリマーの前駆体として特に好適であり、実用上有用である。
また、本発明の導電性ポリマーは、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途にも好適に用いることができる。
また、本発明の導電性ポリマーは、製造過程に加熱処理工程を含むコンデンサなどの用途にも好適に用いることができる。
20 固体電解コンデンサ
21 陽極
22 陰極
23 セパレータ
24 外部端子
21 陽極
22 陰極
23 セパレータ
24 外部端子
Claims (15)
- 前記R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち少なくとも1つは炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基である、請求項1に記載の導電性ポリマー前駆体。
- 前記R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち1つが炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、残りが水素原子である、請求項2に記載の導電性ポリマー前駆体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリマー前駆体を重合させて得られる、導電性ポリマー。
- 前記R2が水素原子であり、R1、R3、R4のうち少なくとも1つは炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基である、請求項5に記載の導電性組成物。
- R1、R3、R4のうち1つが炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルコキシ基であり、残りが水素原子である、請求項5に記載の導電性組成物。
- さらに、塩基性化合物(c)を含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の導電性組成物。
- 請求項4に記載の導電性ポリマーより形成される塗膜を有する導電体。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載の導電性組成物より形成される塗膜を有する導電体。
- 請求項8に記載の導電性組成物より形成される塗膜を有する導電体。
- 弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、請求項4に記載の導電性ポリマーを含む固体電解質層を具備する、固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、請求項5〜7のいずれか一項に記載の導電性組成物から形成された固体電解質層を具備する、固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属体上に形成した陽極酸化被膜上に、請求項8に記載の導電性組成物から形成された固体電解質層を具備する、固体電解コンデンサ。
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