JP6724526B2 - 水溶性導電性高分子、その製造方法、その導電性高分子水溶液、及びその用途 - Google Patents

水溶性導電性高分子、その製造方法、その導電性高分子水溶液、及びその用途 Download PDF

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本発明は、新規な水溶性導電性高分子、その製造方法、その水溶性導電性高分子水溶液、及び、その用途に関する。
水溶性導電性高分子は、電子線リソグラフィーによる半導体の回路パターン形成時に使用されるレジストの帯電防止膜形成材料及びコンデンサの固体電解質等への応用が検討されている。これまでに水溶性導電性高分子として、ポリチオフェンアルカンスルホン酸(特許文献1)、ポリイソチアナフテンスルホン酸(特許文献2)、直鎖のアルキレンスルホン酸基が置換したポリ(4−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメトキシ)−1−ブタンスルホン酸)(PEDT−S)、分岐のアルキレンスルホン酸が置換したポリチオフェン等が報告されている(例えば、特許文献3及び4、非特許文献1及び2参照)。
特公平8−13873号公報 特許第3182239号明細書 特許第4974095号明細書 国際公開第2014/007299号明細書
Chemisty Materials,21,1815−1821(2009) Advanced Materials,23(38),4403−4408(2011)
背景技術に記載した固体電解コンデンサの用途においては、ポリスチレンスルホン酸(=PSS)等の水溶性高分子ドーパントの存在下に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を重合させた導電性ポリチオフェンでPEDOT:PSSの適用が検討されている。しかし、当該PEDOT:PSSは、高導電性を示すものの、粒子径が数十nm〜数百nmの分散溶液であるため、誘電体である酸化アルミナ及び酸化タンタル等の当該粒子径より小さい細孔に十分浸透することができず、その結果、静電容量、等価直列抵抗等の点で十分な性能が発揮されないという課題があった。
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、数十nm〜数百nm以下の細孔に十分浸透し、尚且つ優れた高導電性を示す、新規な水溶性の導電性高分子及びその水溶液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の分岐構造のアルキレンスペーサーを有する水溶性のチオフェン化合物から誘導される繰り返し単位とポリアニオンを含む水溶性導電性高分子が高導電性と良好な水溶性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すとおりチオフェン化合物から誘導される繰り返し単位とポリアニオンを含む水溶性導電性高分子及びその水溶液、並びに、その水溶性導電性ポリマー水溶液を乾燥して得られる導電性被膜に関するものである。
[1]
下記式(M1)で表される繰り返し単位(「チオフェンモノマー」という)を少なくとも一つ含む重合体とポリアニオンからなることを特徴とする水溶性導電性高分子。
(式中、Rは、繰返し単位ごとに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは、繰返し単位ごとに異なっていてもよく、水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。)
[2]
上記式(M1)で表されるチオフェンモノマーの繰り返し単位からなる重合体であることを特徴とする[1]に記載の水溶性導電性高分子。
[3]
重合体が下記式(M2)、(M3)、(M4)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位(「コモノマー」という)と上記式(M1)で表されるチオフェンモノマーを含んでなる共重合体であり、且つチオフェンモノマー/コモノマー(モル/モル)の比が0.1〜9999であることを特徴とする[1]に記載の水溶性導電性高分子。
[4]
ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸化合物、ポリビニルスルホン酸化合物、又はそれらを少なくとも一つ部分構造として含む水溶性高分子であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子。
[5]
水溶性導電性高分子を1重量%含む水溶液を動的光散乱法で粒子径分布を測定した場合のメジアン径(d50)が25nm以下であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子。
[6]
少なくとも、水、ポリアニオン、下記一般式(1)で表されるチオフェン、及び酸化剤を含む混合物を反応させることを特徴とする、[1]乃至[5]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子の製造法。
[上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
[7]
水溶媒中、ポリアニオンの存在下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物のみ、又は下記式(1)のチオフェン化合物と少なくとも一種の下記式(2)、(3)及び(4)から選ばれるチオフェン化合物との混合物を化学酸化重合させることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子の製造法。
[上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
[8]
水溶媒中、ポリアニオンの存在下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物のみ、又は下記式(1)のチオフェン化合物と少なくとも一種の下記式(2)、(3)から選ばれるチオフェン化合物との混合物を化学酸化重合させることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子の製造法。
[上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
[9]
ポリアニオン/[上記式(1)又は上記式(1)〜(4)のチオフェン化合物の総和](重量比)=0.01〜50の範囲で重合させることを特徴とする[7]又は[8]に記載の水溶性導電性高分子の製造方法。
[10]
[1]乃至[5]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子を含む水溶液。
[11]
[1]乃至[5]のいずれかに記載の水溶性導電性高分子を含む導電性被膜。
より詳細には、本願発明は、前記一般式(M1)で表される繰り返し単位(「チオフェンモノマー」という)を少なくとも一つ含む重合体とポリアニオンからなることを特徴とする水溶性導電性高分子及びその製造方法、並びにその用途を提供することを目的とする。
本発明によるポリチオフェン構造を有する水溶性導電性高分子は、高導電性を示し、尚且つ従来公知のPEDOT/PSSよりろ過性・浸透性に優れるという予想し得ない効果を奏する。このため、電子線リソグラフィーによる半導体の回路パターン形成時に使用されるレジストの帯電防止膜形成材料及びコンデンサの固体電解質としての使用が可能であり、産業上極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本願の水溶性導電性高分子は、下記一般式(M1)で表される繰り返し単位(「チオフェンモノマー」という)を少なくとも一つ含む重合体とポリアニオンからなることを特徴とする。
(式中、Rは、繰返し単位ごとに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは、繰返し単位ごとに異なっていてもよく、水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。)
上記式(M1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状若しくは分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。炭素数1〜6の鎖状若しくは分岐状アルキル基としては、特に限定するものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−へキシル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
上記式(M1)中、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。
前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、Liイオン、Naイオン、又はKイオンが挙げられる。
前記アミン化合物の共役酸は、アミン化合物にプロトンが付加したカチオン化合物を表す。当該アミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等(以上、一般式N(R)(R)(R)で表されるアミン化合物)のsp混成軌道を有する化合物、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンピリジン(以上、ピリジン類)、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール(以上、イミダゾール類)等のsp混成軌道を有するアミン化合物等が挙げられる。
なお、当該R〜Rは、各々独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい総炭素数1〜40のアルキル基を表わす。このうち、R〜Rは、各々独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい総炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、各々独立して、水素原子、又は直鎖若しくは分岐の炭素数1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい総炭素数1〜40のアルキル基、又は置換基を有していてもよい総炭素数1〜20のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基メトキシメチル基、エトキシメチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、ベンジル基、フェネチル基、又はアミノエチル基等が挙げられる。
このうち、置換基R〜Rとしては、上記置換基Rと同じものを例示することができ、より好ましくは水素原子、又はメチル基が挙げられる。また、R〜Rが置換基を有するアルキル基である場合の当該置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、炭素数1〜20のアリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げることができ、より好ましくは、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基等のヒドロキシ基を有するアルキル基が挙げられる。
又、前記のイミダゾール類としては、総炭素数3〜20のイミダゾール化合物が好ましく、特に限定するものではないが、例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。前記のピリジン類としては、総炭素数3〜20のピリジン化合物が好ましく、特に限定するものではないが、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン等を挙げることができる。これらのうち、より好ましくは、イミダゾールである。
本願の水溶性導電性高分子に含まれる重合体は、少なくとも上記式(M1)で表されるチオフェンモノマーの繰り返し単位を有する重合体であり、特に限定するものではないが、下記式(M2)、(M3)、(M4)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位(「コモノマー」という)とチオフェンモノマーを含んでなる共重合体であってもよい。なお、チオフェンモノマー/コモノマー(モル/モル)の比は、特に限定するものではないが、1〜9999であることが好ましい。
なお、共重合体とする場合、水溶性と誘電率の観点から、チオフェンモノマー/コモノマー(モル/モル)の比は1〜999であることがより好ましく、3〜99であることがさらに好ましい。
本願の水溶性導電性高分子におけるポリアニオンとしては、ドーパント兼水分散剤として機能するものであれば特に限定されないが、より好ましくはスルホン酸基(スルホ基やスルホナート基)を有する水溶性高分子である。特に限定されないが、ポリスチレンスルホン酸化合物、ポリビニルスルホン酸化合物、又はそれらを少なくとも一つ部分構造として有する水溶性高分子であり、ドーパントとして本願の上記式(M1)で表されるチオフェンモノマーの繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体と高分子錯体を形成していると考えられる。なお、前記ポリスチレンスルホン酸化合物、ポリビニルスルホン酸化合物、及びそれらを少なくとも一つ部分構造として有する水溶性高分子については、特に限定するものではないが、H型タイプ、金属塩、又はアミン塩を用いることができる。ここで金属塩の金属としては、特に限定するものではないが、例えば、Liイオン、Naイオン、又はKイオン等のアルカリ金属を例示することができる。また、アミン塩におけるアミンとしては、特に限定するものではないが、上述したアミン化合物の共役酸を例示することができる。
本願の水溶性導電性高分子におけるポリアニオンの重量平均分子量としては、特に限定するものではないが、ポリスチレンスルホン酸換算で通常1千〜100万の範囲であり、ポリマーから未反応のモノマーや低分子不純物及び無機塩を除去する観点から、より好ましくは1万〜20万の範囲である。
本願の水溶性導電性高分子における重合体の一つの形態は、下記式(1)で表されるチオフェン化合物の重合体である。本願の水溶性導電性高分子は、さらに具体的には、上記式(1)で表されるチオフェン化合物の側鎖のスルホ基又はスルホナート基がp型ドーパントとして作用した自己ドープ型の導電性高分子部とポリアニオン(PA)によってドーピングされた外部ドープ型の導電性高分子部を有しており、例えば、下記式(5)のように表すことができる。
上記式(5)において、上記式(A)は、下記式(1)から選ばれる少なくとも一つのチオフェン化合物に由来するものであり、上記式(B)は、チオフェン化合物の側鎖のスルホ基又はスルホネート基により上記式(A)が酸化された状態を表し、上記式(C)は、ポリアニオン(PA)中のスルホ基又はスルホネート基により上記式(A)が酸化された状態を表す。
すなわち、上記式(5)は、上記(A)又は(B)又は(C)で表される繰り返し単位を含む重合体を表し、必ずしもその単位を連続して含む共重合体に限定されず、所望の導電性を有する限りにおいては、ランダム共重合体のようにπ共役系主鎖に不連続に繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
本願の水溶性導電性高分子における重合体のもう一つの形態は、下記式(1)で表されるチオフェン化合物と下記式(2)、下記式(3)、及び下記式(4)から選ばれる少なくとも一つのチオフェン化合物との共重合体である。本願の水溶性導電性高分子は、さらに具体的には、上記式(1)で表されるチオフェン化合物の側鎖のスルホ基又はスルホナート基がp型ドーパントとして作用した自己ドープ型の導電性高分子部とポリアニオン(PA)によってドーピンされた外部ドープ型の導電性高分子部を有しており、例えば、下記式(6)のように表すことができる。
(式中、R、Mは上記式(M1)と同義を示す。又、Zは、上記式(M2)、(M3)又は(M4)に示したコモノマーの置換基部分を表す。m、nはm+n=100及び0.5≦m/n≦9999を満たす実数である。)
(6)において、上記式(D)は、夫々、下記式(2)、(3)及び(4)から選ばれる少なくとも一つのチオフェン化合物に由来するものであり、上記式(E)は、チオフェン化合物の側鎖のスルホ基又はスルホネート基により上記式(D)が酸化された状態を表し、上記式(F)は、ポリアニオン(PA)中のスルホ基又はスルホネート基により上記式(A)が酸化された状態を表す。また、上記式(A)は、下記式(1)で表されるチオフェン化合物に由来するものであり、上記式(B)はチオフェン化合物の側鎖のスルホ基又はスルホナート基により上記式(A)が酸化された状態を表す。さらに、上記式(C)はポリアニオン(PA)中のスルホ基又はスルホネート基により上記式(A)が酸化された状態を表す。
すなわち、上記式(6)は、上記(A)又は(B)又は(C)で表される繰り返し単位と、(D)又は(E)又は(F)で表される繰り返し単位とを含む共重合体を表し、必ずしもその単位を連続して含む共重合体に限定されず、所望の導電性を有する限りにおいては、ランダム共重合体のようにπ共役系主鎖に不連続に繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
本願の水溶性導電性高分子のメジアン径(d50)は、水溶性導電性高分子を1重量%含む水溶液を動的光散乱法で粒子径分布を測定した場合に100nm以下である。より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下である。
本発明の水溶性導電性高分子は、少なくとも、水、ポリアニオン、前記一般式(1)で表されるチオフェン、及び酸化剤を含む混合物を反応させることによって製造することができる。
[上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
また、本願の水溶性導電性高分子は、水溶媒中、ポリアニオンの存在下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物のみ、又は下記式(1)のチオフェン化合物と少なくとも一種の下記式(2)、(3)及び(4)から選ばれるチオフェン化合物との混合物を化学酸化重合させることによって製造することができる。
[上記式(1)中、Rは一般式(M1)のRと同義。]
また、本発明の水溶性導電性高分子において、上記式(1)、(2)、(3)、及び(4)で表されるチオフェン化合物の比率は特に限定されないが、上記式(2)〜(4)で表されるチオフェン化合物の量が、上記式(1)〜(4)で表されるチオフェン化合物の総和量に対して、0.01mol%以上90mol%以下であることが好ましい。
上記式(2)〜(4)で表されるチオフェン化合物の量が0.01mol%未満の場合、その導電率は上記式(1)で表されるチオフェン化合物のみから合成される場合と比較して大差なく、また、90mol%を超える場合、得られる導電性高分子は水に対して難溶解性となる。
また、本発明の水溶性導電性高分子を製造する際のポリアニオンの添加量としては、上記式(1)又は上記式(1)〜(4)の総量に対して、重量比で0.01〜50の範囲である。より好ましくは0.5〜25の範囲である。
本発明の水溶性導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定するものではないが、ポリスチレンスルホン酸換算で通常1千〜100万の範囲であり、ポリマーから未反応のモノマーや低分子不純物及び無機塩を除去する観点から、より好ましくは1千〜20万の範囲である。
本発明の水溶性導電性高分子は、水溶媒中、酸化剤の存在下に上記式(1)で表されるチオフェン化合物のみと、又は上記式(1)で表されるチオフェン化合物と、上記式(2)、(3)、及び(4)から選ばれる少なくとも一種のチオフェン化合物とを化学酸化重合させることにより製造できる。
なお、上記式(1)で表されるチオフェン化合物と上記式(2)〜(4)で表されるチオフェン化合物を用いる場合には、特に限定されないが、[上記式(1)で表されるチオフェン化合物の量/上記式(2)〜(4)で表されるチオフェン化合物の総量]=1〜9999(モル比)の割合で重合させることが、重合体の導電率及び水溶性の観点から好ましい。
上記式(1)で表されるチオフェン化合物としては、具体的に、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−エチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−プロピル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ブチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ペンチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−ヘキシル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソプロピル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソブチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−イソペンチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−フルオロ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸カリウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸アンモニウム、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム等が挙げられる。
なお、上記式(1)に例示したチオフェン化合物は、公知の方法(例えば、引用文献4)に従い、チエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン−2−メタノールと分岐したスルトン化合物から容易に合成できる。
本重合反応に用いる溶媒は、水溶媒であることが好ましい。水としては、例えば、純水が挙げられ、蒸留水、イオン交換水でもよい。また、当該溶媒としては水以外のものを含んでいてもよく、例えば、アルコール溶媒を含んでいても良い。アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。また、溶媒を脱気や窒素等の不活性ガスで置換していてもよい。
本重合反応に用いる溶媒量は、例えば、上記式(1)で表されるチオフェン化合物、又は上記式(1)と上記式(2)、(3)、及び(4)から選ばれる少なくとも一種のチオフェン化合物とが溶解する量であり、特に限定するものではないが、上記式(1)で表されるチオフェン化合物又は上記式(1)で表されるチオフェン化合物(1)と上記式(2)〜(4)で表されるチオフェン化合物の総仕込量に対して0.1〜100重量倍の範囲が好ましく、1〜20重量倍の範囲がより好ましい。
本重合反応に用いる酸化剤は、酸化的脱水素化反応による酸化重合を進行させるものであり、特に限定するものではないが、例えば、過硫酸類、鉄塩(III)、過酸化水素、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、硫酸セリウム(IV)、酸素等が挙げられ、これらを単独で又は二種以上を混合して使用しても良い。
ここで、過硫酸類としては、具体的には、過硫酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が例示される。
また、鉄塩(III)としては、具体的には、FeCl、Fe(SO、過塩素酸鉄、パラ−トルエンスルホン酸鉄(III)等が例示される。これらは無水物を使用しても、水和物を使用してもよい。
また、過マンガン酸塩としては、具体的には、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸マグネシウム等が例示される。
また、重クロム酸塩としては、具体的には、重クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム等が例示される。
これらの酸化剤のうち、FeCl、Fe(SO、又は過硫酸塩と鉄塩(III)との併用系が特に好ましい。
本重合反応に用いる酸化剤の量としては、特に限定するものではないが、上記式(1)で表されるチオフェン化合物、又は上記式(1)で表されるチオフェン化合物と上記コモノマーの仕込モル数に対して、0.5〜50倍モルである。より好ましくは、1〜20倍モルである。更に好ましくは、1〜10倍モルである。
本重合反応の圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよい。
本重合反応の反応雰囲気は、大気中であっても、窒素やアルゴン等の不活性ガス中であってもよい。より好ましくは不活性ガス中である。
本重合反応の反応温度は、例えば、上記式(1)〜(4)で表されるチオフェン化合物を酸化重合できる温度であり、特に限定するものではないが、−10〜150℃の範囲が好ましく、5〜100℃の範囲が更に好ましい。
本重合反応の反応時間は、例えば、上記式(1)で表されるチオフェン化合物、又は上記式(1)で表されるチオフェン化合物と、上記式(2)、(3)、及び(4)から選ばれる少なくとも一種のチオフェン化合物との酸化重合が十分進行する時間であり、特に限定するものではないが、0.5〜200時間の範囲が好ましく、0.5〜80時間の範囲が更に好ましい。
本重合反応の反応方法は、特に限定するものではないが、例えば、上記式(1)で表されるチオフェン化合物、又は上記式(1)で表されるチオフェン化合物と、上記式(2)、(3)、及び(4)から選ばれる少なくとも一種のチオフェン化合物をあらかじめ水に溶解させ、これに酸化剤を一度に又はゆっくりと滴下してもよく、逆に酸化剤の固体又は水溶液に上記式(1)で表されるチオフェン化合物と、上記式(2)、(3)、及び(4)から選ばれる少なくとも一種のチオフェン化合物の水溶液を一度に又はゆっくりと滴下してもよい。また、2種以上の酸化剤を用いる場合には、各酸化剤を順次添加してもよい。
本重合反応で得られた本発明の水溶性導電性高分子の精製法としては、特に限定するものではないが、例えば、溶媒洗浄、再沈殿、遠心沈降、限外ろ過、透析、イオン交換樹脂処理等が挙げられる。それぞれ単独で行っても又は組み合わせても良い。
本発明の水溶性導電性高分子の典型的な単離精製方法は、例えば、以下のとおりである。
まず、重合反応後の水溶液をアセトン等の貧溶媒に添加し、水溶性導電性高分子を沈殿させた後、減圧ろ過で得た共重合体を当該貧溶媒でろ液が無色透明になるまで洗浄する。また別の方法として、重合反応後の水溶液を限外ろ過や透析により脱塩を行う方法でもよい。
このようにして得られたNa塩型水溶性導電性高分子を、引き続き、Mが水素イオンであるH型水溶性導電性高分子体に変換する場合には、陽イオン交換樹脂で処理する。処理方法としては、例えば、得られたNa塩型水溶性導電性高分子の水溶液を陽イオン交換樹脂が充填されたカラムに通液させる方法や、陽イオン交換樹脂を水溶液に添加するボディーフィード法等が挙げられる。この場合、処理後にろ紙で陽イオン交換樹脂を除去することが好ましい。このようにして得られた水溶液を粗濃縮し、アセトン等の貧溶媒に添加して沈殿させ、減圧ろ過して得た固体を当該貧溶媒でよく洗い、減圧乾燥してH型水溶性導電性高分子が得られる。
更に、各種アンモニウム塩との塩を形成させる場合には、例えば、H塩型水溶性導電性高分子の水溶液に、各種アミン化合物又はアンモニウム塩の原液若しくはその水溶液又はその他適当な溶媒で希釈したものを加えることで容易にMがNH であるアンモニウム塩型水溶性導電性高分子に変換することができる。例えば、アンモニア水で処理した場合には、反応液を粗濃縮し、その水溶液をアセトン等の貧溶媒に添加して共重合体を沈殿させた後、減圧濾過により得た固体を当該貧溶媒で洗浄し、減圧乾燥することでアンモニウム塩型水溶性導電性高分子が得られる。
重合後処理の各工程では必要に応じて、遠心沈降、ホモジナイズ処理を行ってもよい。これにより、ろ過効率の改善を図ることができる。更に、重合酸化剤として過硫酸塩を使用した場合には、無機塩の除去として限外ろ過や透析、陽・陰イオン交換樹脂混合処理を行う。
本発明の水溶性導電性高分子を含む導電性高分子水溶液にすることで、各種用途への成型加工が可能となる。
導電性高分子水溶液の調製方法は、特に限定するものではないが、室温や加温下(100℃以下が好ましい)で水と混合溶解させることで達成される。その際、スターラーチップや攪拌羽根による一般的な混合溶解操作を用いることもできるし、その他の方法として、超音波照射、ホモジナイズ処理(例えば、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザ−、高圧ホモジナイザー等の使用)を行ってもよい。ホモジナイズ処理する場合には、ポリマーの熱劣化を防ぐため、冷温しながら行うことが好ましい。
導電性高分子水溶液中の、本発明の水溶性導電性高分子の濃度は、特に限定するものではないが、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、粘性の観点からより好ましくは10重量%以下である。
本発明の水溶性導電性高分子を用いて導電性被膜を製造することができる。例えば、上記した水溶性導電性高分子水溶液を、基材に塗布・乾燥することで導電性被膜が簡単に得られる。基材としては、例えば、ガラス、プラスチック、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、レジスト基板等が挙げられる。塗布方法としては、例えば、キャスティング法、ディッピング法、バーコード法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、インクジェット印刷法等が挙げられる。膜厚としては特に限定するものではないが、102〜10μmの範囲が好ましい。得られる塗膜の表面抵抗値としては特に限定するものではないが、1〜10Ω/□の範囲のものが好ましい。
なお、本発明において、各種用途への成型加工に十分な水溶性とは、室温又は加温下で調製した10重量%以下のポリマー水溶液において、粒度分布測定装置で測定した粒子径(D50)が5nm以下であり、且つ0.02μmのフィルターを通液する程度の水溶性をいう。
また、本発明において、良好な導電性とは、フィルム状態での導電率(電気伝導度)が10−3S/cm以上の導電性をいう。
以下に本発明のポリチオフェン及びチオフェンモノマーに関する実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
[表面抵抗率測定]
装置:三菱化学社製ロレスタGP MCP−T600
[膜厚測定]
装置:BRUKER社製 DEKTAK XT
[粒子径測定]
装置:日機装社製 Microtrac Nanotrac UPA−UT151
実施例1 下式(7)で表される水溶性導電性高分子(H型ポリマーP)の合成.
メカニカルスターラーを装着した200ml丸底フラスコに、窒素雰囲気下、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム 3.00g(9.08mmol)を水 45gに溶解させた後、18重量%ポリスチレンスルホン酸水溶液(アルドリッチ社製)9.29gを攪拌しながら加えた。次に、室温下、無水塩化鉄(III) 0.88g(5.45mmol)を加えて20分攪拌し、次いで、過硫酸ナトリウム 4.32g(30.2mmol)と水 30gからなる混合溶液を反応液温度が30℃以下を保持しながら滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、水 108gを加えた。この得られた反応液を670mLのアセトンに添加して黒色のポリマーを得た。ポリマーを濾過・真空乾燥することで、本発明の導電性高分子のNa型の粗ポリマーを5.25g得た。
更に、前記Na型の粗ポリマー 5.25gに、水 372gを加えた後、日本精機製US−300T超音波ホモジナイザーを用いて均一溶液とした。得られた均一溶液を、陽イオン交換樹脂Lewatit MonoPlus S100(H型)1200gを充填したカラムに通液(空間速度=0.7)することによりH型に変換し、更にクロスフロー式限外ろ過(ろ過器=ビバフロー200,分画分子量=10,000、透過倍率=15)により精製することによりH型ポリマーPを2.0重量%含む200.7gの濃青色水溶液を得た(粘度5.6mPa・s@20℃)。尚、ポリマー粒子径は1nm以下であり、0.02μmのフィルターを通液した。
上記H型ポリマーPの水溶液を無アルカリガラス板(25mm×75mm)にキャスト後、150℃、30分アニール処理して膜を作製した。得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、458Ω/□、3.66μm、6S/cmであった。また、キャストに使用する液量に対して5wt%相当のエチレングリコールを添加して同様にキャスト膜を作製し、得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、36.4Ω/□、8.60μm、32S/cmであった。
実施例2 下式(8)で表される水溶性導電性高分子(H型ポリマーQ)の合成(m/n=83.3/16.7モル比相当)
メカニカルスターラーを装着した200ml丸底フラスコに、窒素雰囲気下、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム 5.00g(15.14mmol)、3,4―エチレンジオキシチオフェン 0.43g(3.03mmol)、水 104gに溶解させた後、18%ポリスチレンスルホン酸水溶液(アルドリッチ社製) 5.98gを攪拌しながら加えた。次に、室温下、無水塩化鉄(III) 1.77g(10.90mmol)を加えて20分攪拌し、次いで、過硫酸ナトリウム 7.21g(30.2mmol)と水 50gからなる混合溶液を反応液温度が30℃以下を保持しながら滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、水 116gを加えた。この得られた反応液を670mLのアセトンに添加して黒色のポリマーを得た。ポリマーを濾過・真空乾燥することで、本発明の導電性高分子のNa型の粗ポリマーを9.42g得た。
更に、前記Na型の粗ポリマー 9.42gに、水 776gを加えた後、日本精機製US−300T超音波ホモジナイザーを用いて均一溶液とした。得られた均一溶液を、陽イオン交換樹脂Lewatit MonoPlus S100(H型)1200gを充填したカラムに通液(空間速度=0.5)することによりH型に変換し、更にクロスフロー式限外ろ過(ろ過器=ビバフロー200,分画分子量=10,000、透過倍率=15)により精製することによりH型ポリマーQを0.63重量%含む964gの濃青色水溶液を得た。尚、ポリマー粒子径は1nm以下であり、0.02μmのフィルターを通液した。
上記H型ポリマーQの水溶液を無アルカリガラス板(25mm×75mm)にキャスト後、150℃、30分アニール処理して膜を作製した。得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、23.3Ω/□、4.4μm、98S/cmであった。また、キャストに使用する液量に対して5wt%相当のエチレングリコールを添加して同様にキャスト膜を作製し、得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、13.6Ω/□、4.4μm、168S/cmであった。
実施例3 下式(9)で表される水溶性導電性高分子(H型ポリマーR)の合成(m/n=62.5/37.5モル比相当)
メカニカルスターラーを装着した200ml丸底フラスコに、窒素雰囲気下、3−[(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イル)メトキシ]−1−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム 3.00g(9.08mmol)、3,4―エチレンジオキシチオフェン 0.77g(5.45mmol)、水 145gに溶解させた後、18%ポリスチレンスルホン酸水溶液(アルドリッチ社製) 10.76gを攪拌しながら加えた。次に、室温下、無水塩化鉄(III)1.41g(8.72mmol)を加えて20分攪拌し、次いで、過硫酸ナトリウム4.32g(18.16mmol)と水 19gからなる混合溶液を反応液温度が30℃以下を保持しながら滴下した。滴下終了後3時間攪拌した後、水 76gを加えた。この得られた反応液を670mLのアセトンに添加して黒色のポリマーを得た。ポリマーを濾過・真空乾燥することで、本発明の導電性高分子のNa型の粗ポリマーを7.98g得た。
更に、前記Na型の粗ポリマー7.98gに、水 391gを加えた後、日本精機製US−300T超音波ホモジナイザーを用いて均一溶液とした。得られた均一溶液を、陽イオン交換樹脂Lewatit MonoPlus S100(H型)1200gを充填したカラムに通液(空間速度=0.5)することによりH型に変換し、更にクロスフロー式限外ろ過(ろ過器=ビバフロー200,分画分子量=10,000、透過倍率=15)により精製し、さらに、日本精機製US−300T超音波ホモジナイザー処理を行って、H型ポリマーRを1.05重量%含む532gの濃青色水溶液を得た。本ポリマー粒子径は1nm以下であり、0.02μmのフィルターを通液した。
上記H型ポリマーRの水溶液を無アルカリガラス板(25mm×75mm)にキャスト後、150℃、30分アニール処理して膜を作製した。得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、21.2Ω/□、7.9μm、60S/cmであった。また、キャストに使用する液量に対して5wt%相当のエチレングリコールを添加して同様にキャスト膜を作製し、得られた膜の表面抵抗、膜厚及び導電率は、6.0Ω/□、7.32μm、216S/cmであった。
本発明による新規な共重合体及びその水溶液は、その高い導電性と十分な水溶性のため、電子線リソグラフィー時に、レジストの帯電を抑制するための帯電防止膜形成材料としての使用が期待される。また、水溶液とした場合にポリマー粒子径が非常に小さいことから、例えば、アルミ固体電解コンデンサの化成処理されたエッチドアルミ箔への浸透性が良いことが考えられ、それにより導電性高分子による被覆面積が向上し、静電容量のアップと低ESR化等コンデンサの性能改善が期待される。さらには有機EL等に用いられるバッファ層として利用することも可能である。

Claims (7)

  1. 下記式(M1)で表されるチオフェンモノマーの繰り返し単位からなる重合体、又は下記式(M2)、(M3)、及び(M4)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位(「コモノマー」という)と下記式(M1)で表されるチオフェンモノマーを含んでなる共重合体であり、且つチオフェンモノマー/コモノマー(モル/モル)の比が1〜999である共重合体、ポリスチレンスルホン酸化合物からなることを特徴とする水溶性導電性高分子。
    (式中、Rは、繰返し単位ごとに同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは、繰返し単位ごとに異なっていてもよく、水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。)
  2. 水溶性導電性高分子を1重量%含む水溶液を動的光散乱法で粒子径分布を測定した場合のメジアン径(d50)が25nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性導電性高分子。
  3. 水溶媒中、ポリアニオンの存在下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物のみ、又は下記式(1)のチオフェン化合物と少なくとも一種の下記式(2)、(3)及び(4)から選ばれるチオフェン化合物との混合物を化学酸化重合させることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性導電性高分子の製造法。
    [上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
  4. 水溶媒中、ポリアニオンの存在下、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物のみ、又は下記式(1)のチオフェン化合物と少なくとも一種の下記式(2)、(3)から選ばれるチオフェン化合物との混合物を化学酸化重合させることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性導電性高分子の製造法。
    [上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の鎖状、分岐状アルキル基、又はフッ素原子を表す。Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、又はアミン化合物の共役酸を表す。]
  5. ポリアニオン/[上記式(1)又は上記式(1)〜(4)のチオフェン化合物の総和](重量比)=0.01〜50の範囲で重合させることを特徴とする請求項又は請求項に記載の水溶性導電性高分子の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の水溶性導電性高分子を含む水溶液。
  7. 請求項1又は2に記載の水溶性導電性高分子を含む導電性被膜。
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