JP2014017464A - プリント基板用積層体 - Google Patents

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Shunei Yoshitani
俊英 芳谷
Shigeo Kamihira
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Abstract

【課題】植物起源の化合物を利用することによる環境適合性を有し、低誘電率であり、しかも高い密着性と耐折れ性とを示すプリント基板用積層体、これに用いられるドープおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁層の少なくとも片面側に導電層を有するプリント基板用積層体であって、絶縁層が、内部に空孔を有する多孔質の層であり、かつデヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖の繰り返し単位に含む特定重合体を含有してなるプリント基板用積層体。
【選択図】なし

Description

本発明はプリント基板用積層体に関する。
柔軟性や省スペース化が求められる電子機器の回路部品として、フレキシブルプリント基板が広く使用されている。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置用デバイス実装基板や携帯電話・デジタルカメラ・携帯型ゲーム機などの基板間中継ケーブル、操作スイッチ部基板等、そのアプリケーションとして、いずれも生活や産業に欠かせない電気機器である。かかるフレキシブルプリント基板には、電気回路を水分から守るために低吸水性であることが好ましい。さらに、低誘電率などの電気特性や、はんだに耐える耐熱性等が求められる。
かかるフレキシブルプリント基板において、低誘電率化を考慮し、多孔質のフッ素系ポリマーを適用した例がある(特許文献1、2参照)。しかし、これは電気特性に優れていても導電層との密着性が低いという問題があった。また作製プロセスに関しても、密着成分を導入した後の銅との熱プレスなどが煩雑であったり、添加物を導入したりする必要があった。塗布型においてはポリイミド多孔体(特許文献3参照)の検討例もあるが硬化プロセスを伴うため行程が煩雑であるうえ、樹脂自体の誘電率も高い。
特開2006−229028号公報 特開2003−298196号公報 特開2011−132390号公報 特開2011−026569号公報 特開2011−074249号公報
ところで、本出願人は先に天然資源由来のアビエタン系の化合物に注目し、これを重合体とすることに成功した。そしてその重合体の物性を確認し、高耐熱性および耐湿耐水性を発現させることができることを見出した(前記特許文献4,5参照)。その後の研究開発を通じ、上記重合体を多孔質のフィルム成形体とすることに成功し、そのフィルムを利用して絶縁性及び可撓性ないし靱性を有する積層体とすることができることを見出した。その結果、この多孔質フィルム素材が、上述したフレキシブルプリント基板の絶縁層に適合することに想到し本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、植物起源の化合物を利用することによる環境適合性を有し、低誘電率であり、しかも高い密着性と耐折れ性とを示すプリント基板用積層体の提供を目的とする。
前記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕絶縁層の少なくとも片面側に導電層を有するプリント基板用積層体であって、絶縁層が、内部に空孔を有する多孔質絶縁層であり、かつデヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖の繰り返し単位に含む特定重合体を含有してなるプリント基板用積層体。
〔2〕デヒドロアビエチン酸に由来する骨格が下記式(U)で表される構造を含む〔1〕に記載のプリント基板用積層体。
(R及びRは炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数2〜6のアルケニル基を表す。nは0〜3を表す。mは0〜5を表す。環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環もしくは7員環を表す。式中、*,**は主鎖に組み込まれる結合手を表す。*はRから延びる結合手であってもよい。)
〔3〕特定重合体が下記式A1又はA2で表される繰り返し単位を主鎖に含む重合体から選ばれる〔1〕又は〔2〕に記載のプリント基板用積層体。
(式中、L11、L12、L21、L22、及びL23は、2価の連結基を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
〔4〕式A1中、連結基L11が式中2位で示される炭素原子と結合した〔3〕に記載のプリント基板用積層体。
〔5〕式A2中、連結基L23が式中2位及び2’位で示される炭素原子と結合した〔3〕に記載のプリント基板用積層体。
〔6〕式A1中のL11が、*−L13−CO−**または*−CO−L13−**(*はヒドロフェナントレン環側の結合手を表す。**はその逆の結合手を表す。)で表され、L13が、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、酸素原子、カルボニル基、又は単結合であり、L12がカルボニル基である〔3〕または〔4〕に記載のプリント基板用積層体。
〔7〕式A2中のL21及びL22がカルボニル基であり、L23が酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、単結合、又はそれらの組合せである〔3〕または〔5〕に記載のプリント基板用積層体。
〔8〕さらに、特定重合体が、ポリオール化合物由来もしくはポリカルボン酸由来の共重合成分を主鎖に含む〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔9〕さらに、特定重合体が、下記式(II)で表される共重合成分を含む〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
[Gはアルキレン基、アルカン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはこれらを組み合わせた連結基を表す。X、Y、Zはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−NR−、−(C=O)−、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NR−、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手である。mzは0〜3の整数である。Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜24のアリール基を表す。]
〔10〕式(II)が下記式(B1)で表される〔9〕に記載のプリント基板用積層体。
(Lは、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、単結合、又はこれらの組合せである。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。n1及びn2はそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。n3は0〜2の整数を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
〔11〕共重合成分が環構造を含む〔8〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔12〕導電層が銅箔である〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔13〕多孔質絶縁層に含まれる空孔が、平均孔径0.1μm以上50μm以下の独立孔もしくはハニカム構造をなす〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔14〕多孔質絶縁層の空隙率が5〜99%である〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔15〕多孔質絶縁層が相分離を利用した溶液キャスト法または結露法で形成される〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔16〕多孔質絶縁層がハニカム状多孔質層である、〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔17〕多孔質絶縁層を介して導電層と反対側に支持層を有する〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔18〕多孔質絶縁層と導電層との間にスキン層を有する〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
〔19〕絶縁層の少なくとも片面側に導電層を有するプリント基板用積層体において、絶縁層を形成するドープであって、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖の繰り返し単位に含む特定重合体を有機溶媒中に含有してなるドープ。
本発明のプリント基板用積層体及びこれを用いたフレキシブルプリント基板は、植物起源の化合物を利用したものであり、二酸化炭素の換算排出量の低減に大いに資する環境適合性を有する。さらに、低誘電率であり、しかも高い密着性と耐折れ性とを示すという優れた効果を有する。
本発明の一実施形態としての多孔質絶縁層を模式的に示した断面図である。 本発明の別の実施形態としての多孔質絶縁層を模式的に示した断面図である。 実施例(試験101)で作成した多孔質膜の断面を観察した電子顕微鏡写真(倍率:800倍)である。 実施例(試験111)で作成した多孔質膜の断面を観察した電子顕微鏡写真(倍率:1000倍)である。 実施例(試験201)で作成した多孔質膜の断面を観察した電子顕微鏡写真(倍率:500倍)である。 実施例で作製したハニカム状の絶縁層を示す顕微鏡写真(B)およびその製造過程を断面により模式的に示す説明図である。 ハニカム状の多孔絶縁層を作製する過程を模式的に示す工程説明図である。
本発明のプリント基板用積層体は、導電層の少なくとも片面側に、植物起源の化合物を利用した特定重合体からなる多孔質絶縁層を有する。これにより、低誘電率、密着性、耐折れ性のすべてが同時に実現された。この理由は未解明の点を含むが、以下のように推定される。上記特定重合体は、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を有する化学構造的に安定した3環状部分が母格として二次元的に連結している。このことにより、特有のマトリックスが樹脂中に作出されていると解される。一方、その安定性を発揮しつつ多孔質の樹脂層としたため、誘電率を低下させ、可撓性と靱性とが適度に付与され、これが寄与して高い密着性と耐折れ性とを実現したと考えられる。そして、その効果は多孔質層の空孔が独立孔もしくはハニカム構造として存在するときに特に好適に発揮される。以下、本発明の好ましい実施態様を中心に詳細に説明する。
[特定重合体]
(デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を含む繰り返し単位)
本発明の特定重合体は、デヒドロアビエチン酸又はその誘導体を原料モノマーとして使用する。これを重合させて得られる単独重合体であっても、当該原料モノマーと他のモノマーとを重合させて得られる共重合体であってもよい。すなわち、上記特定重合体は、その分子構造中にデヒドロアビエチン酸に由来する骨格を含む繰り返し単位を有してなる。ここで、本発明において「デヒドロアビエチン酸に由来する骨格」とは、上記のデヒドロアビエチン酸に由来する構造を有していればよく、言い換えれば、所望の効果を奏する範囲で、デヒドロアビエチン酸から誘導化できる構造骨格であればよい。好ましい例としては下記が挙げられる。なかでも好ましくは(AA−1)、(AA−3)、(AA−10)であり、最も好ましくは(AA−1)である。
なお、上記「デヒドロアビエチン酸に由来する骨格」はさらに置換基を有してもよい。有してもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基などが挙げられる
本発明の特定重合体においては、前記デヒドロアビエチン酸に由来する骨格として下記式(U)で表される構造を含むことが好ましい。
及びRは炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数2〜6のアルケニル基を表す。nは0〜3を表す。mは0〜5を表す。環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環もしくは7員環を表す。式中、*,**は主鎖に組み込まれる結合手を表す。*はRから延びる結合手であってもよい。Rはメチル基であることが好ましい。Rは炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、i−プロピル基であることがより好ましい。Cyはシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環であることが好ましく、シクロヘキサン環であることがより好ましい。n,mは1であることが好ましい。
上記式(U)は下記式(U1)であることが好ましい。R、R、m、nは前記式(U)と同義である。RはRと同義である。pは0〜2の整数であり、0であることが好ましい。
さらに、上記式(U)は下記式(U2)であることが好ましい。
式中、*,**は結合手を表す。
デヒドロアビエチン酸は、植物起源の松脂に含まれるロジンを構成する成分の1つである。すなわち、天然起源の材料をその基質として利用することができるため、二酸化炭素の排出量において相殺され、化石燃料起源の材料に比し、大幅にその換算排出量を削減することができる。次世代材料として望まれる環境適合型の、バイオマス資源由来の素材である。なお、上記デヒドロアビエチン酸に由来する骨格、式U、U1ないしはU2で表される骨格を総称してデヒドロアビエタン主骨格と呼ぶことがあり、これを「DHA主骨格」と省略して呼ぶことがある。
さらに、本発明の好ましい実施形態において重要な骨格構造として、下記式U3及びU4で表されるものが挙げられる。下記式U3のものをデヒドロアビエタン骨格(DA骨格)と呼び、式U4のものをデヒドロアビエチン酸骨格(DAA骨格)という。
前記特定重合体は、下記式A01又はA02で表される繰り返し単位を含む重合体から選ばれることが好ましく、式A11又はA12で表される繰り返し単位を含む重合体から選ばれることがより好ましく、A1又はA2で表される繰り返し単位を含む重合体から選ばれることが特に好ましい。なお、下記式中、R、R、R、m、n、pは前記式(U)、(U1)と同義である。RはRと同義である。
式中、L11、L12、L21、L22、及びL23は、2価の連結基を表す。*は結合手を表す。これらの連結基の好ましい範囲は、後記各重合体の好ましい実施形態の説明の中で述べるが、まとめて好ましいものを示すと下記のとおりである。
(1)ポリカルボン酸由来の繰り返し単位であるとき
11:*−CO−L13−**または*−L13−CO−**(L13は連結基を表す。その詳細は後記参照。)
12、L21、L22:カルボニル基
23:酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、単結合、又はこれらの組合せ
(2)ポリオール由来の繰り返し単位であるとき
11:*−L1A−O−**(L1Aは連結基を表す。その詳細は後記参照。)
12、L21、L22:*−CH−O−**
23:前記と同義
前記式A1中、連結基L11が式中2位で示される炭素原子と結合したことが好ましい。前記式A2中、連結基L23が式中2位及び2’位で示される炭素原子と結合したことが好ましい。
上記DHA主骨格を有する構成単位は、これ単独でホモポリマーを構成していてもよいが、本発明において好ましくは、共重合体成分ともにコポリマーを構成していることが好ましい。具体的には、下記で例示するポリカルボン酸やポリオールとともにポリエステルを形成していることが好ましい。好ましい共重合成分としては、下記式(II)で表されるものが挙げられる。
本発明における特定重合体Aは下記式(II)で表される構造単位を共重合成分として有していてもよい。
・G
はアルカン連結基(アルカンジイル、アルカントリイル、アルカンテトライル等)、アルケン連結基(アルケンジイル、アルケントリイル、アルケンテトライル等)、アリール連結基(アリールジイル、アリールトリイル、アリールテトライル等)、ヘテロアリール連結基(ヘテロアリールジイル、ヘテロアリールトリイル、ヘテロアリールテトライル等)を表す。Gがアルカン連結基またはアルケン連結基であるとき、鎖状であっても環状であってもよく、これが鎖状のとき直鎖であっても分岐であってもよい。アルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、またはヘテロアリール連結基はその一つ以上の水素原子が特定の置換基に置換されていても、無置換でもよい。置換されているときの置換基としては、後記置換基Tが挙げられ、なかでもアルキル基、アルケニル基が好ましい。また、アルカン連結基およびアルケン連結基を構成する一つ以上の炭素原子がヘテロ連結基によって置換されていてもよく、置換されているときのヘテロ連結基としては、酸素原子、イミノ基、硫黄原子、カルボニル基が挙げられ、なかでも酸素原子が好ましい(典型的にはアルキレン鎖の一部がエーテル結合に置き換わり連結された形である。)。なお、炭素数とは置換基を有する場合、その炭素原子の数を含まない意味である。
がアルカン連結基(好ましくはアルキレン基)またはアルケン連結基(好ましくはアルケニレン基)であるとき、炭素数2〜30であることが好ましく、炭素数2〜20がより好ましい。アルキレン基、アルケニレン基は、置換または無置換であってもよく、一部がヘテロ原子に置換されていてよいことは上記のとおりである。さらに具体的には、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CHRa)CH−、−CH−Rb−CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−(CHCHO)−CHCH−がより好ましい。Raは炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましく、C1837、C1633、C1225、C17、C1835、C1631、C1223、C15であることがより好ましい。Rbは炭素数4〜12のシクロアルキレン基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましい。
がアリール連結基(好ましくはアリールレン基)またはヘテロアリール連結基(好ましくはヘテロアリーレン基)であるとき、炭素数3〜24であることが好ましく、炭素数6〜12がより好ましい。具体的には置換もしくは無置換のベンゼン連結基(好ましくはフェニレン基)が挙げられる。なお、Gはアルカン連結基、アルケン連結基、アリール連結基、およびヘテロアリール連結基を組み合わせた連結基であってもよい。例えば、アルカン連結基(好ましくはアルキレン基)とアリール連結基(好ましくはアリーレン基)を組み合わせて連結した連結基等が挙げられ、−Ph−Me−Ph−(Ph:フェニレン基、Me:メチレン基)、−Ph−Pr−Ph−(Ph:フェニレン基、Pr:プロパン−2,2−ジイル基)などが挙げられる。あるいは、アリール連結基が連続した構造も好ましく、具体例としては−Ph−Ph−が挙げられる。
・X、Y、Z
X、Y、Zはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−NR−、−(C=O)−、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NR−、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。好ましくは、−O−、−(C=O)O−、−(C=O)NH−、又は−(C=O)−である。前記Rは水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基を表す。
・mz
mzは0〜3の整数を表す。
前記式(II)がポリオール由来の場合は、下記式(II−1)で表されるものが好ましい。
前記式(II)がポリカルボン酸由来の場合は、下記式(II−2)で表されるものが好ましい。
前記式(II)がポリアミン由来の場合は、下記式(II−3)で表されるものが好ましい。
前記共重合成分は環構造を含むことが好ましく、芳香族もしくは芳香族複素環構造を有することが好ましい。この環構造は前記連結基G内にあることが好ましい。なお、本明細書においては、「連結基」という用語を、2つの構造部を連結するものを広く意味し、原子や単結合を含む意味で用いる。
本発明においてGは、なかでも複数のアリール連結基が連結することのある総炭素数6〜24のアリール連結基であることが好ましく、下記式(B2)であることがより好ましい。
式中、R、R、n1、n2、n3、Lは、後記式(B1)と同義である。
(分子量等)
本発明における特定重合体は、DHA主骨格を主鎖の一部を構成するように含んでいれば、その結合態様は特に限定されるものではない。前記特定重合体の重量平均分子量は限定的でないが、好ましくは5,000〜700,000、より好ましくは10,000〜500,000である。重量平均分子量がこの範囲であることにより、フレキシブルプリント基板等に適した特性に優れ、さらに高い密着性と耐折れ性が実現され良好となる。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフェィー(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で得られた値である。なお、本明細書では特に断らない限り、キャリアとしてはもしくはN−メチル−2−ピロリドンを用い、カラムとしてはトーソー(TOSOH)株式会社製 TSK−gel Super AWM−H(商品名)用いた値で分子量を示す。
ガラス転移温度(Tg)は限定的でないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは150〜400℃、更に好ましくは150〜350℃である。ガラス転移温度がこの範囲であることにより、ポリエステル系重合体は、特に耐熱性に優れ、フレキシブルプリント基板等に好適に用いることができる。なお、前記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、30〜400℃の温度範囲について、窒素気流下に昇温速度10℃/min.の条件で観察される吸熱ピークとして測定される。なお、本明細書では特に断らない限り、TGの測定には、SII社製、商品名:DSC6300を用いて測定した値をいう。
前記特定重合体の密度は限定的でないが、好ましくは1.4g/cm以下、より好ましくは0.80g/cm〜1.3g/cm、更に好ましくは0.9g/cm〜1.25g/cmである。密度がこの範囲であることにより、高い密着性と耐折れ性とが実現され、フレキシブルプリント基板等への利用に良好となる。なお、ポリエステル系重合体の密度は、精密比重計(SHIMAZU社製、商品名:精密比重計AUW120D)を用いて25℃で測定される値をいう。なお、ここでの密度は、後記空隙率で説明する熱プレスにより成形した無孔フィルムの密度(A)と同義である。
なお、前記特定重合体には、DHA主骨格を含む繰返し単位を有するものに対して、更に化学処理等を施した誘導体も含む。
前記特定重合体を構成するDHA主骨格もしくはその二量体骨格を有する繰り返し単位(例えば、式(A1)で表される繰り返し単位及び式(A2)で表される繰り返し単位)の総含有率は特に制限されないが、繰り返し単位を構成する構造部の総量(例えば下記エステル系重合体のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位およびポリオール化合物由来の繰り返し単位の総量)に対し、密着性や耐折れ性、環境適合性の観点から、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。上限は特にないが、70モル%以下が実際的であり、50モル%以下が好ましい。
前記特定重合体は、必要に応じて、DHA主骨格を含まないその他の繰り返し単位の少なくとも1種を含んだ共重合体であってもよい。
本明細書において、末尾に「化合物」と付すなどして分子ないしその構造を特定するときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の置換基を伴ったあるいは所定の形態で修飾された誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換基ないし連結基に関して「基」という語を末尾に付して特定の原子群を呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。上記、連結基にさらに有してもよい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
(連結形態)
式A01、A11、A1(以下、式A1等とまとめて呼ぶことがある。)、A02、A12、およびA2(以下、式A2等とまとめて呼ぶことがある。)には、L11、L12、L21、L22、L23の5つの連結基が存在するが、L23以外の4つの連結基については、(1)ポリエステル系重合体[I]、(2)ポリエステル系重合体[II]、(3)ポリアミド系重合体の3種においてそれぞれ好ましいものが異なる。中でも、本発明においては、(1)ポリエステル系重合体が高い性能が得られる点で好ましく、その順で以下に好ましい連結基の内容について説明する。なお、本明細書においてポリエステルとは、連結基にオキシカルボニル基があればよく、ポリカーボネート構造をとっていてもよい。ポリアミドについても同様であり、アミド基が連結基に含まれていればよく、ポリイミド構造、ポリウレア構造、ポリウレタン構造等であってもよい。
(1)ポリエステル系重合体[I]
<ポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位>
・L11
式A1等中のL11は、*−CO−L13−**または*−L13−CO−**であることが好ましい。*は5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロフェナントレン環(母核)側の結合手を表す。**はその逆の結合手を表す。
・L13
13は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、酸素原子、カルボニル基、単結合、またはこれらの組合せであることが好ましい。
前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖又は分岐鎖の鎖状であっても、環状であってもよい。L13は、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、酸素原子、カルボニル基、又は単結合、あるいはそれらの組合せであることが好ましい。より好ましくは、炭素数2〜4の鎖状のアルキレン基もしくはこれとカルボニル基との組合せ、炭素数5〜6の環状のアルキレン基もしくはこれとカルボニル基との組合せ、炭素数2〜4の鎖状のアルケニレン基もしくはこれとカルボニル基との組合せ、炭素数5〜6の環状のアルケニレン基もしくはこれとカルボニル基との組合せ、炭素数6〜10のアリーレン基もしくはこれとカルボニル基との組合せ、酸素原子、又は単結合である。
13で表される連結基の具体例として以下のものを挙げることができるが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。なお、以下の例示化学構造式では、結合手*はヒドロフェナントレン環に結合する側であり、結合手**がその反対側を意味する。
式(A1)等におけるL13としては、耐熱性の観点から、単結合、(L1−ex−4)、(L1−ex−11)又は(Ll−ex−12)であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。さらに好ましくは、L11が*−CO−**、*−COO−**、*−CO−Rd−COO−**(Rdは炭素数1〜6のアルキレン基)である。
前記式A1等中、連結基L11は式中1位〜4位のいずれの炭素原子に結合するものであってもよいが、2位もしくは4位で示される炭素原子と結合したものであることが好ましく、2位で示される炭素原子と結合したものであることがより好ましい。なお、この結合位置は、後述する(2)ポリエステル重合体[II]及び(3)ポリアミド系重合体についても同様である。なお、上記式中の炭素原子の位置番号は、アビエタンの位置番号に対して、1位が11位、2位が12位、3位が13位、4位が14位に相当する。
・L12
12は、カルボニル基であることが好ましい。
前記ポリエステル系重合体[I]の好適な態様のもう一つは、2つのデヒドロアビエタン主骨格が直接又は連結基を介して結合してなる二量体構造を、主鎖の一部として繰り返し単位中に含むものである。この二量体構造を含む繰り返し単位は、例えば、上記式(A02)、(A12)、(A2)で表される。
・L21、L22
式A2等中のL21及びL22及は、カルボニル基であることが好ましい。このことは、上記L12と同様に、本実施形態の特定重合体が、DAA骨格を含む繰り返し単位を有して構成されていることを意味する。
・L23
23は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、単結合、又はこれらの組合せであることが好ましい。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖又は分岐鎖の鎖状であっても、環状であってもよい。L23で表される連結基は、単結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、及び炭素数6〜18のアリーレン基からなる群から選択される少なくとも1種から構成されることが好ましく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭素数1〜4の鎖状のアルキレン基、炭素数5〜6の環状のアルキレン基、炭素数2〜4の鎖状のアルケニレン基、炭素数5〜6の環状のアルケニレン基、及び炭素数6〜8のアリーレン基からなる群から選択される少なくとも1種から構成される2価の連結基、又は単結合であることがより好ましい。
23で表される連結基を構成するアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は可能な場合には置換基を有していてもよい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基における置換基としては、前記置換基Tを挙げることができる。L23で表される連結基の具体例として、以下の連結基を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
23としては、(L2−ex−2)、(L2−ex−5)、(L2−ex−9)又は(L2−ex−11)であることが好ましく、(L2−ex−2)であることがより好ましい。
前記式A2等中、連結基L23は式中1位、2位、4位、1’位、2’位、4’位のいずれの炭素原子に結合するものであってもよいが、2位、4位、2’位、及び4’位で示される炭素原子と結合したものであることが好ましく(ただし、2つのヒドロフェナントレン環を連結する組合せである。)、2位及び2’位で示される炭素原子と結合したものであることがより好ましい。なお、この結合位置は、後述する(2)ポリエステル系重合体[II]及び(3)ポリアミド系重合体についても同様である。
前記ポリエステル系重合体[I]を構成するポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位中におけるDHA主骨格ないしその二量体骨格からなる繰り返し単位(例えば、式(A1)で表される繰り返し単位及び式(A2)で表される繰り返し単位)の総含有率は特に制限されないが、すべての繰り返し単位の合計を100モル%としたとき、密着性と耐折れ性、さらには環境適合性の観点から、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。なお、ポリエステル中のポリカルボン酸由来の構成単位の含有率は通常50モル%であり、典型的にはそれが上限となる。
本実施形態のポリエステル系重合体[I]は、その他のポリカルボン酸化合物との共重合体であってもよい。その他のポリカルボン酸化合物しては、ポリエステル系重合体[I]を構成するのに通常用いられるポリカルボン酸化合物を特に制限なく用いることができ、例えば、合成高分子V(朝倉書店)P.63−91等に記載のポリカルボン酸化合物を用いることができる。
その他のポリカルボン酸化合物としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類や、シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられる。前記ポリエステル系重合体[I]におけるその他のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の含有率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。例えば,その他のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の含有率は、前記ポリエステル系重合体[I]を構成するポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位中に、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。
<ポリオール化合物由来の繰り返し単位>
・環構造を含むポリオール化合物
本実施形態のポリエステル系重合体[I]は、前述の共重合成分(式II、II−1)をポリオール化合物由来の繰り返し単位として含むことが好ましい。なかでも、その共重合体成分として環構造を有するポリオール化合物由来の繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましい。前記ポリオール化合物に含まれる環構造は、ポリエステル系重合体[I]の側鎖部分に含まれていても、主鎖の一部を構成するように含まれていてもよいが、ポリオール化合物に含まれる環構造が主鎖の一部を構成していることが好ましい。
前記ポリオール化合物に含まれる環構造は、脂肪族環であっても、芳香族環であってもよく、また炭化水素環であってもヘテロ環であってもよい。さらに脂肪族環は不飽和結合を含むものであってもよい。またポリオール化合物に含まれる環の数は特に制限されないが、例えば1〜5とすることができ、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。ポリオール化合物が2以上の環構造を含む場合、2以上の単環が共有結合又は連結基で連結した構造であっても、縮環構造であってもよい。
前記環構造を有するポリオール化合物由来の繰り返し単位の具体例としては、例えば,シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン、及び4−ヒドロキシエチルフェノール等に由来する繰り返し単位や、下記式(B1)で表されるポリオール化合物由来の繰り返し単位を挙げることができる。前記環構造を有するポリオール化合物由来の繰り返し単位は、耐熱性の観点から、下記式(B1)で表されるポリオール化合物由来の繰り返し単位であることが好ましい。
式(B1)中、Lは、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、単結合、又はこれらの組合せを表す。Lが複数存在する場合、それぞれのLは同じでも異なっていてもよい。R及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。またR及びRが複数存在する場合、それぞれのR及びRは同じでも異なっていてもよい。n1及びn2はそれぞれ独立して0〜4までの整数を表し、n3は0〜2までの整数を表す。*は結合手を表す。
における2価の連結基を構成するアルキレン基は、直鎖や分岐鎖の鎖状アルキレン基であっても、環状アルキレン基であってもよい。またアルキレン基の炭素数は、耐熱性の観点から、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。なお、ここでいうアルキレン基の炭素数には、後述する置換基の炭素数を含まないものとする。さらにアルキレン基は、炭素数1〜6の鎖状又は環状アルキル基、炭素数6〜18のアリール基等の置換基を有していてもよい。アルキレン基における置換基の数は2以上であってもよく、アルキレン基が2以上の置換基を有する場合、2以上の置換基は同一でも異なっていてもよく、また互いに連結して環を形成してもよい。
及びRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を表すが、耐熱性の観点から、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜8のアルキル基、及び炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群から選ばれる置換基であることが好ましい。
n1及びn2は0〜4の整数を表すが、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。n3は0〜2の整数を表すが、0又は1であることが好ましい。
以下に式(B1)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、前記式(B2)の例示構造としては両端の酸素原子(O)を削除した構造として理解すればよい。
式(B1)で表される繰り返し単位としては、上記(B1−ex−1)、(B1−ex−2)、(B1−ex−3)、(B1−ex−4)、(B1−ex−5),(B1−ex−6)、(B1−ex−7)(B1−ex−9)又は(B1−ex−11)であることが好ましく、上記(B1−ex−1)、(B1−ex−2)又は(B1−ex−3)であることがより好ましい。
前記ポリエステル系重合体[I]を構成するポリオール化合物由来の繰り返し単位中における、環構造を有する共重合成分(例えば、式(B1)で表される繰り返し単位)の含有率は特に制限されないが、密着性と耐折れ性、さらには環境適合性の観点から、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることが更に好ましい。なお、ポリエステル中のポリオール由来の構成単位の含有率は通常50モル%であり、典型的にはそれが上限となる。
・環構造を含まないポリオール化合物
前記ポリエステル系重合体[I]は、環構造を含まないその他のポリオール化合物由来の繰り返し単位の少なくとも1種を含むものであってもよい。環構造を含まないポリオール化合物としては、ポリエステル系重合体[I]を構成するのに通常用いられるポリオール化合物を特に制限なく用いることができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1.3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等といったジオール化合物が挙げられる。
前記ポリエステル系重合体[I]における環構造を含まないポリオール化合物由来の繰り返し単位の含有率は、その好ましい範囲において、前記環構造を含むものと同様である。
本実施形態のポリエステル系重合体[I]は、耐熱性の観点から、ポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位として、下記の構造の少なくとも1つずつを有する組合せに係るものであることが好ましい。
・ポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位
式(A1)・・・L13が単結合、化学式(L1−ex−4)、(L1−ex−10)又は(L1−ex−12)、L12がカルボニル基
式(A2)・・・L23が化学式(L2−ex−2)、(L2−ex−5)、(L2−ex−9)又は(L2−ex−11)、L21及びL22がカルボニル基
・ポリオール化合物由来の繰り返し単位
化学式(B1−ex−1)、(B1−ex−2)、(B1−ex−3)、(B1−ex−4)、(B1−ex−5)、(B1−ex−6)、(B1−ex−7)(B1−ex−9)又は(B1−ex−11)
より好ましくは下記である。
・ポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位
式(A1)・・・L1、L12がカルボニル基
式(A2)・・・L23が(L2−ex−2)、L21及びL22がカルボニル基
・ポリオール化合物由来の繰り返し単位
化学式(B1−ex−1)、(B1−ex−2)、(B1−ex−3)又は(B1−ex−11)
本実施形態のポリエステル系重合体[I]を構成するポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位とポリオール化合物由来の繰り返し単位の含有比率(ポリアミドであれば、ポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位:ポリアミン化合物由来の繰り返し単位)は、特に制限されないが、通常1:1である。
(ポリエステル系重合体[I]の製造方法)
本実施形態のポリエステル系重合体[I]の製造に用いるデヒドロアビエチン酸は、例えば、ロジンから得ることができる。ロジンに含まれる構成成分は、これら採取の方法や松の産地により異なるが、一般的には、アビエチン酸(1)、ネオアビエチン酸(2)、パラストリン酸(3)、レボピマール酸(4)、デヒドロアピエチン酸(5)、ピマール酸(6)、イソピマール酸(7)等のジテルペン系樹脂酸の混合物である。これらのジテルペン系樹脂酸のうち、(1)から(4)で表される各化合物は、ある種の金属触媒の存在下、加熱処理することにより不均化を起こし、デヒドロアビエチン酸(5)と、下説構造のジヒドロアビエチン酸(8)に変性する。即ち、本発明のポリエステル系重合体[I]を製造する上で必要なデヒドロアビエチン酸(5)は、種々の樹脂酸の混合物であるロジンに適切な化学処理を施すことにより比較的容易に得ることができ、工業的にも安価に製造することができる。なお、ジヒドロアビエチン酸(8)とデヒドロアビエチン酸(5)とは、公知の方法により容易に分離できる。
例えば、上記の式(A1)又は(A2)で表される繰り返し単位及び式(B1)で表される繰り返し単位を有するポリエステル系重合体[I]を合成する工程は、式(B1)で表される繰り返し単位をなすジオール化合物と、上記の式(A1)又は(A2)で表される繰り返し単位をなすジカルボン酸化合物又はその誘導体であるジカルボン酸ハライド誘導体もしくはジエステル誘導体とを公知の方法で重縮合させることにより合成することができる。この一連の工程をスキームにすると下記スキーム1及び2の2通りに分けて説明することができる。なお、下記の反応スキームは本発明における1例であり、この説明により本発明が限定して解釈されるものではない。
重合体の具体的な合成方法としては、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成・反応(2)、78〜95頁、共立出版(1996年)に記載の方法(例えば、エステル交換法、直接エステル化法、酸ハライド法等の溶融重合法、低音溶液重合法、高温溶液重縮合法、界面重縮合法など)などが挙げられ、本発明では特に酸クロリド法及び界面重縮合法が好ましく用いられる。
エステル交換法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸エステル誘導体とを溶融状態又は溶液状態で、必要により触媒の存在下に加熱することにより脱アルコール重縮合させポリエステル系重合体[I]を合成する方法である。
直接エステル化法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸化合物とを溶融状態又は溶液状態で触媒の存在下に,加熱下において脱水重縮合させることによりポリエステル系重合体[I]を合成する方法である。
酸ハライド法は、ポリオール化合物とポリカルボン酸ハライド誘導体とを溶融状態又は溶液状態で、必要により触媒の存在下に加熱し脱ハロゲン化水素重縮合させることによりポリエステル系重合体[I]を合成する方法である。
界面重合法は、ポリオール化合物を水、前記ポリカルボン酸化合物又はその誘導体を有機溶媒に溶解させ、相問移動触媒を使用して水/有機溶媒界面で重縮合させることによりポリエステル系重合体[I]を合成する方法である。
なお、スキーム2のデヒドロアビエチン酸(DAA)の二量化体は、特開2011−26569記載の方法で合成できる。具体的には、L23を単結合で連結する場合、オキサリルクロリドを用い触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドを添加して反応を進行させることができる。L23をメチレン基とする場合には、上記オキサリルクロリドをジクロロメタンに代える方法などが挙げられる。あるいは、下記合成例のように、DAAをホルマリンと混合し、触媒量のトリフルオロ酢酸を添加することで反応を進行させてもよい。
(2)ポリエステル系重合体[II]
本実施形態においては連結基がそれぞれ以下のものであることが好ましい。
・L11
11は、*−L1A−O−**である。*はヒドロフェナントレン環側の結合手を表し、**はその逆の結合手を表す。L1Aで示される単結合もしくは二価の連結基としては特に限定的ではないが、連結基としては、例えば、−(C2n)−、−CO(C2n)−が挙げられる。ここで、nは1〜12、好ましくは1〜8の整数であり、直鎖でも分岐でも環状でもよくまた、更に置換基を有していてもよい。また、分子鎖を構成する炭素原子の1つ以上が、酸素原子に置き換わった構造であってもよい。
・L12、L21、L22
12、L21、L22は、*−CH−O−**である。*はヒドロフェナントレン環側の結合手を表し、**はその逆の結合手を表す。
・L23
23は、(1)ポリエステル系重合体[I]と同義であり、好ましい範囲も同じである。
(ポリエステル系重合体[II]の製造方法)
本実施形態の重合体は、例えば、以下のスキーム3で合成することができる。以下は、反応経路の例示であり、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。なお、下記は上記式(A1)で示される態様を例示しているが、アビエタン主骨格を2つもつ2量体とする以外同様であるので式(A2)のものについては省略する。2量体化については、前記ポリエステル系重合体[I]と同様である。
(i)のジカルボン酸体の合成は前記ポリエステルの(I)と同様にして行うことができる。アビエチン酸にカルボキシ基を導入したジカルボキシ化合物(i)からジアルコキシ化合物(ii)への反応は、通常の還元反応によればよい。例えば、水素化アルミで還元することにより、上記還元反応を速やかに進行させることができる。ジアルコキシ化合物(ii)からポリカルボン酸クロリド化合物との反応によりポリエステル(iii)を得る反応は、例えば、後述する合成例を参照することができる。
ジアルコキシ化合物にテレフタル酸ジクロリドを反応させるプロセスについては、上記ポリエステル系重合体[I]で述べたのと同様である。その他、ジカルボン酸を反応させてエステル化反応を進行させたり、エステル交換反応を行ったりしてもよく、そうした反応についても、同様に上記ポリエステル系重合体[I]で述べたのと同様である。
(3)ポリアミド系重合体
本実施形態においては連結基がそれぞれ以下のものであることが好ましい。
・L11
11は、上記(1)ポリエステル系重合体[I]におけるL11と同義であり、好ましい範囲も同じである。ただし、L1−ex−* で示したものにおいては、本実施形態では、耐熱性の観点から、単結合、(L1−ex−4)、(L1−ex−10)又は(L1−ex−12)であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
・L12、L21、L22、L23
12、L21、L22、L23は、上記(1)ポリエステル系重合体[I]におけるL12、L21、L22、L23と同義であり、好ましい範囲も同じである。
前記ポリアミド系重合体を構成するDHA主骨格もしくはその二量体骨格を有する繰り返し単位(例えば、式(A1)で表される繰り返し単位、式(A2)で表される繰り返し単位及び式(A3)で表される繰り返し単位)の総含有率は特に制限されないが、繰り返し単位を構成する構造部の総量(例えばポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位およびポリアミン化合物由来の繰り返し単位の総量)に対し、密着性や耐折れ性、環境適合性の観点から、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。上限は特にないが、75モル%以下であることが実際的であり、50モル%以下が好ましい。
前記ポリアミド系重合体は、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を含むポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の少なくとも1種を含むものであるが、必要に応じて、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を含まないその他のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の少なくとも1種を含んでいてもよい。
その他のポリカルボン酸化合物としては、ポリアミド系重合体を構成するのに通常用いられるポリカルボン酸化合物を特に制限なく用いることができ、例えば、合成高分子V(朝倉書店)P.63−91等に記載のポリカルボン酸化合物を用いることができる。
その他のポリカルボン酸化合物としては例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類や、シクロへキサンジカルボン酸、ジシクロへキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ブラシル酸、マレイン酸、及びフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられる。
前記ポリアミド系重合体におけるその他のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の含有率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。例えば、その他のポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位の含有率は、前記ポリアミド系重合体を構成するポリカルボン酸化合物由来の繰り返し単位中に、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。
本実施形態のポリアミド系重合体は、上記DHA主骨格もしくはその二量体骨格からなる繰り返し単位を構成するモノマー(ポリカルボン酸)と、ポリアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。この重合反応は公知の反応方法を適宜利用することができる。上記ポリカルボン酸化合物を得る方法は、(1)ポリエステル系重合体[I][II]で述べたようにロジンから得たアビエチン酸から誘導することができる。
前記ポリアミド系重合体に適用することができるポリアミン化合物としては、ポリアミド系重合体の構成に通常用いられるポリアミン化合物を特に制限なく用いることができ、例えば、高分子データハンドブック基礎編(高分子学会編)(培風館)P.241〜257に記載のポリアミン化合物等が挙げられる。
前記ポリアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン化合物であっても、芳香族ポリアミン化合物であってもよい。また脂肪族ポリアミン化合物は鎖状であっても、環状であってもよい。
脂肪族ポリアミン化合物としては、鎖状のポリアミノアルキレン誘導体であっても、環状のポリアミノアルキレン誘導体であってもよく、さらに不飽和結合を含んでいてもよい。ポリアミノアルキレン誘導体の炭素数は特に制限されないが、耐熱性と成形性の観点から、2〜20であることが好ましく、2〜14であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
また芳香族ポリアミン化合物としては、ポリアミノアリーレン誘導体を挙げることができる。中でも耐熱性と成形性の観点から、炭素数6〜24のポリアミノアリーレン誘導体であることが好ましく、炭素数6〜18のポリアミノアリーレン誘導体であることがより好ましい。
更に前記ポリアミン化合物は、脂肪族モノアミノ化合物に由来する基及び芳香族モノアミノ化合物に由来する基から選ばれる2種が、2価の連結基を介して結合してなるポリアミン化合物であってもよい。2価の連結基としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を挙げることができる。
2価の連結基を構成するアルキレン基及びアルケニレン基は鎖状であっても、環状であってもよい。アルキレン基及びアルケニレン基が鎖状である場合、その炭素数は2〜6であることが好ましい。またアルキレン基及びアルケニレン基が環状である場合、その炭素数は5〜8であることが好ましい。
前記ポリアミン化合物が、脂肪族モノアミノ化合物に由来する基及び芳香族モノアミノ化合物に由来する基から選ばれる2種が2価の連結基を介して結合してなる場合、ポリアミン化合物を構成する2つの脂肪族モノアミノ化合物に由来する基又は芳香族モノアミノ化合物に由来する基は互いに連結して環を形成してもよい。
更に前記ポリアミン化合物は置換基を有していてもよく、該置換基としては前記置換基Tを挙げることができる。
以下に本発明に好ましく用いられるポリアミン化合物の具体例を示すが、発明はこれらに限定されない。
本発明におけるポリアミン化合物は、耐熱性と成形性の観点から、炭素数2〜14のポリアミノアルキレン誘導体、炭素数6〜24のポリアミノアリーレン誘導体、並びに、脂肪族モノアミノ化合物に由来する基及び芳香族モノアミノ化合物に由来する基から選ばれる2種以上が連結基を介して結合してなるポリアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、前記連結基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されることが好ましい。
前記ポリアミド系重合体における前記ポリアミン化合物由来の繰り返し単位は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリアミド系重合体が2種以上のポリアミン化合物由来の繰り返し単位を有する場合、それらの含有比率は目的に応じて適宜選択される。
上記(1)ポリエステル系重合体[I]の製造方法や化合物の詳細については、特開2011−026569号公報を参照することができる。(2)ポリエステル系重合体[II]の製造方法や化合物の詳細については、特開2011−074249号公報を参照することができる。
[多孔質絶縁層]
本発明の基板用積層体においては、上記特定重合体を含有してなる絶縁層を有する。上記絶縁層において特定重合体の含有量は特に限定されないが、固形分の全量に対して、1〜99質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましい。この量を上記上限値以下とすることで、形状が安定し、必要により他の絶縁層との積層をすることができ好ましい。一方、上記下限値以上とすることで、樹脂の特性を絶縁層に好適に付与することができ好ましい。
本発明においてその絶縁層は多孔質であり、その内部に空孔を有する。ここで空孔とは、樹脂の隔壁で囲まれた空間であり空気を含む孔(穴)のことをいう。空孔は独立孔もしくはハニカム構造であることが好ましい。独立孔とは樹脂の隔壁で閉じている(隙間がない)孔をいい、貫通孔を含まない意味である。
さらに絶縁層は、上記のようにハニカム状多孔質層であってもよい。前記ハニカム状多孔質層におけるハニカム構造とは、一定形状、一定サイズで実質的に均一の空孔が独立または連続(貫通)しながら規則的に配列している構造を意味する。この規則配列は単層の場合には二次元的であり、複層の場合は三次元的にも規則性を有する。この規則性は、例えば、図3に示すように、二次元的には1つの空孔の周囲を複数(例えば、6つ)の空孔が取り囲むように配置されていることが好ましい。三次元的には結晶構造の面心立方や6方晶のような構造を取って、最密充填されることが多いが、製造条件によってはこれら以外の規則性を示すこともある。逆に言うと、絶縁層は、空孔が不規則に連続(貫通)した構造でないことが好ましい。
ハニカム(蜂の巣)構造とは換言すると、多角格子(好ましくは六角格子)をなすよう樹脂部分が形成され、空孔を配列していることと定義することもできる。
また、本発明のハニカム状多孔質層は、両親媒性ポリマーと、疎水性有機溶媒とを含む材料溶液からなる材料層を形成し、前記フィルム材料層に相対湿度50〜95%の気体を送風し、前記疎水性有機溶媒を揮発させるとともに、前記フィルム材料層表面に結露を生成し、該結露を蒸発させることにより形成された空孔、すなわち自己組織化により形成された空孔を有することが好ましい。
前記ハニカム状多孔質層においては、前記有機溶媒が揮発する際に、潜熱を奪われて温度が下がった前記フィルム材料層表面で、前記気体中の水が結露して微小液滴となり付着する。前記フィルム材料層中の両親媒性ポリマーにおける親水性部分の働きによって、水と疎水性有機溶媒の間の表面張力が減少し、水滴の凝集が防止され、前記有機溶媒の揮発と周囲からの補填による未揮発の前記有機溶媒の流れにより液滴が移送・集積され、更に横毛管力により最密充填され、最後に水が蒸発することにより、空孔がハニカム状に並んで形成されることにより得られる。
前記空孔は、具体的には、図4A〜図4Dに示すようにして形成される。図4Aに示すように、相対湿度50〜95%の気体35中の水分(モデル的に図示している)43は、支持体26上のフィルム材料層40上で結露して液滴44となる。そして、図4Bに示すように液滴44を核として水分43が結露して液滴44を成長させる。図4Cに示すように乾燥風37がフィルム材料層40に送風されると、疎水性有機溶媒42がフィルム材料層40より揮発する。なお、この際にも液滴44からも水分が揮発するが、疎水性有機溶媒42の揮発速度の方が速い。そのため、液滴44は、疎水性有機溶媒42の揮発に伴い表面張力により略均一の形態となる。更に、乾燥が進行すると図4Dに示すように、フィルム材料層40の液滴44から水分が水蒸気48として揮発する。フィルム材料層40から液滴44が蒸発すると、液滴44を形成していた箇所が空孔となり、層の厚さに応じて、空孔が貫通した、又は空孔が貫通していないハニカム状多孔質フィルムが得られる。
上記のハニカム状多孔質フィルムについては、さらに特開2007−269923号公報の記載等を参照することができる。
両親媒性高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリルアミドを主鎖骨格とし、親油性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてカルボキシル基を併せ持つもの、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、などが挙げられる。親油性側鎖は、アルキレン基、フェニレン基等の非極性直鎖状基であり、エステル基、アミド基等の連結基を除いて、末端まで極性基やイオン性解離基などの親水性基を分岐しない構造であることが好ましい。親油性側鎖は、例えば、アルキレン基を用いる場合には5つ以上のメチレンユニットからなることが好ましい。親水性側鎖は、アルキレン基等の連結部分を介して末端に極性基やイオン性解離基、又はオキシエチレン基などの親水性部分を有する構造であることが好ましい。
前記親油性側鎖と前記親水性側鎖との比率は、その大きさや非極性、極性の強さ、疎水性有機溶媒の疎水性の強さなどに応じて異なり、一概には規定できないが、ユニット比(親油性側鎖/親水性側鎖)は3/1〜1/3が好ましい。また、コポリマーの場合には、親油性側鎖の親水性側鎖の交互重合体よりも、疎水性溶媒への溶解性に影響しない範囲で親油性側鎖と親水性側鎖がブロックを形成するブロックコポリマーであることが好ましい。
前記親油性高分子化合物及び前記両親媒性ポリマーの数平均分子量(Mn)は、1,000〜10,000,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。
上記の両親媒性ポリマーについては、さらに特開2006−70254号公報を参照することができる。
・平均孔径
前記空孔の平均孔径は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。下限値としては、平均孔径が0.1μm以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.5μm以上である。空孔の平均孔径が前記上限値以下であることで、絶縁層に支持性を付与することができ好ましい。一方、上記下限値以上とすることで、電気特性発現に十分な空隙を確保でき好ましい。なお、本発明における平均孔径とは、特に断らない限り、後記実施例で示した方法による。
ハニカム状多孔質層の場合にも上述した平均孔径及び後述する空隙率であることが好ましいが、さらに良好なハニカム状の構造を形成するよう、孔径が均一にそろっていることが好ましい。かかる観点から孔径の分布は標準偏差で0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。この下限値は特になく、0μmを超えることが実際的である。これはほぼ単分散であることを意味し、5〜10μmの空孔に対して、CV値が10%以下であることが好ましい。ここで、粒子の単分散性を示すCV値(Coefficient of Variation)はCV[%]=(σ/D)×100(σ:標準偏差、D:平均粒径)で得られ、この値が小さいほど単分散であることを示す。CV値の下限値は特にないが、0.01%以上であることが実際的である。隣接する孔間の距離は特に限定されないが、孔径の103%〜120%の長さであることが好ましく、105%〜115%の長さであることがより好ましい。
・膜厚
絶縁層の厚さは特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。上限は特にないが、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。この厚さを上記上限値以下とすることで、プリント基板の薄膜化に対応することができ好ましい。一方、上記下限値以上とすることで、空隙の効果を十分に付与することができ好ましい。本発明における膜厚は、特に断らない限り、後記実施例で示した方法による
・比重
絶縁層を構成する多孔膜の比重が大きすぎる、すなわち空隙率が小さくなりすぎると、電気特性が悪化する。かかる観点から、多孔膜の比重は0.7以下が好ましく、0.4以下であることがより好ましい。比重の下限は特に制限はないが、良好な独立孔ないしハニカム構造を保持する観点から0.05以上であることが好ましい。
本発明において比重は精密比重計AUW120D(SHIMADZU社製)で測定した値とする。
・空隙率
前記絶縁層を構成する多孔膜の空隙率は特に限定されないが、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。上限値は特にないが、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。この空隙率を上記上限値以下とすることで絶縁層に支持性を付与することができ好ましい。一方、上記下限値以上とすることで、所望の電気特性を付与することができ好ましい。
なお、空隙率の測定方法は、特に断らない限り、後記実施例で採用した方法によるものとする。
・比誘電率
本発明において絶縁層の比誘電率は特に限定されず、上限値は特にないが、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。この比誘電率を上記上限値以下とすることで信号の伝送速度を十分に向上させることができ好ましい。上記の比誘電率は高周波から低周波の各領域でその範囲であることが好ましく、本発明においては、特に、広い周波数領域(例えば、1MHz〜10GHz)におい上記の範囲の低誘電率が達成される点で好ましい。広い周波数領域で低誘電率が達成できると、種々波長のおいて高速で信号を送信できる汎用性の高いプリント基板とすることができる。比誘電率の下限値は特にないが、0.1以上であることが実際的である。
なお、比誘電率の測定方法は、特に断らない限り、後記実施例で採用した方法によるものとする。
(製膜方法)
本発明の積層体における多孔質の層は溶液キャスト法によって形成することができる。溶液キャスト法については特公昭55−38366号公報を参照することができる。
多孔膜は通常ポリマー溶液中から相分離させる方法が使用されるが、本発明においてもこの方法が好ましく使用される。多孔膜は相分離(スピノーダル分解)、コアセルベーションを経て形成される。このようなプロセスは単一の親溶媒の揮発過程で形成される場合もあれば、親溶媒/貧溶媒の混合溶媒の揮発過程で形成される場合もある、さらに熱(冷却)によって誘起される場合もある。また親溶媒のポリマー溶液に対して非溶媒の誘起によって相分離を促進させることも可能である。非溶媒による誘起は、非溶媒蒸気による暴露もしくは非溶媒剤への浸漬、またはその両方の組み合わせが用いられる。ここで、親溶媒は上記特定重合体を十分溶解しうる溶媒を、貧溶媒は上記特定重合体を実質的に溶解しないが膨潤させる溶媒、非溶媒は上記特定重合体を実質的に溶解、膨潤させない溶媒である。なお、各溶媒をその物性で敢えて定義するとすれば、下記のとおりである。
良溶媒:25℃で溶質を5〜99質量%溶解させる溶媒
貧溶媒:25℃で溶質を0.1〜5質量%未満溶解させる溶媒
非溶媒:25℃で溶質を0.1質量%溶媒溶解させない溶媒(全く溶解しないものを含む)
特定重合体、親溶媒、貧溶媒及び非溶媒の溶解混合方法は特に制限されず、例えば特定重合体を親溶媒に溶解した後、貧溶媒と非溶媒を加える方法、特定重合体を親溶媒と貧溶媒の一部の混合物に加えて溶解し、この溶液に残りの貧溶媒を加え、さらに非溶媒を加える方法など数十種類の方法があって、そのいずれの方法も用いることができる。その他、各溶媒の混合比率、混合時の温度(溶媒の沸点以下が好ましいという条件はある)などの条件には何ら特殊な制約はない。さらに、ある場合は、貧溶媒と非溶媒の一方が使用されないことがある。すなわち、無機塩などを使用することによって親溶媒と、貧溶媒又は非溶媒を組合せればよいこともある。しかしながら、調製された特定重合体溶液が安定であれば、以後の操作が簡単になるので、安定な溶液となるように溶解、混合を行うことが望ましい。安定な溶液とは、特定重合体が溶液中でゲル化や相分離することのない溶液であり、そのためには溶媒中の親溶媒の量を他の溶媒のそれぞれの量より多くしたり、あるいは特定重合体を親溶媒の全部と貧溶媒の一部との混合物に加えて溶解させたりするなどの手段を採用すればよい。
特定重合体溶液に用いる有機溶媒にはキシレン、ナフタレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジオクチルフタレート、ジメトキシオキシエチルフタレートあるいはジメチルフタレート等のフタル酸エステル、トリフェニルフォスフェート、あるいはトリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル類、グリセロールトリアセテート、エチルフタリルエチルグリコレートあるいはメチルフタリルエチルグリコレート等の多価アルコールエステル類、灯油やケロシン等の鉱油、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メチレンクロライド、クロロホルムあるいは1,1−ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチルあるいは酢酸エチル等のエステル類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の窒素化合物などがある。
これらの溶媒を単独あるいは二つ以上の溶媒による混合溶媒として用いることができる。使用する特定重合体の連結基や重合度によって、適切な溶媒を選択しなければならない。この特定重合体溶液において特定重合体濃度としては、特定重合体の種類や溶媒の種類によっても異なるが、連続した多性膜を形成する関係からある程度濃度が高い方が好ましく、例えば15質量%前後が好ましい。特定重合体の溶解度は高くはないが、膜を形成する関係で高い方が好ましい。
このようにして調製した特定重合体溶液はアプリケーターを用いてガラス板、プラスチックフィルムあるいは金属板等の支持体上に50〜3000μmの厚さに流延(引き延)される。親溶媒、もしくは親溶媒/貧溶媒の混合溶媒の揮発過程で相分離が起こる場合は、溶媒揮発後、膜を支持体から剥離・乾燥すれば多孔膜が得られる。
非(貧)溶媒の誘起により相分離を促進する場合は、塗布後、直ちにあるいは溶媒の一部を揮発させた後、もしくは一定時間、非(貧)溶媒の蒸気に暴露した後、非(貧)溶媒中に支持体ごと浸漬して相分離を誘起し、多孔膜を形成する。非(貧)溶媒は親溶媒と相互に溶解性が高く、且つ特定重合体に対して貧溶媒あるいは非溶媒が使用される。上記要件を満たせば何でも使用可能であるが、取扱い性のよさ、安価であることや安全性などから、メタノール、エタノールあるいはイソプロパノール等のアルコール類や水が好ましい。流延する時の樹脂溶液温度は室温であることが一般的だが、使用する溶媒系によっては100℃前後の高温で流延し、空気中で冷却したりあるいは室温あるいは室温以下の低温に冷却した凝固液中に浸漬して急冷したりすることも行われる。
別の好ましい実施形態に係るフィルムの製造方法においては、有機溶媒と高分子化合物とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成し、空隙が形成されたフィルムを製造する方法において、前記膜中に液滴を形成し、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記フィルムを製造する。なお、液滴を形成するものとしては水及び前記有機溶媒と混合しない溶媒を用いることができる。前記膜中に液滴を形成し、前記有機溶媒及び前記液滴を蒸発させて前記フィルムを製造する際に、前記膜の表面温度をTL(℃)とした場合に、露点がTD1(℃)であり且つTD1(℃)−TL(℃)≧0℃となる第1ゾーンに前記膜を搬送して通過させることが好ましい。第1ゾーンでは、膜の表面温度TLと露点TD1とが80℃≧TD1(℃)−TL(℃)の条件を満たすことが好ましく、第1ゾーンに入るときの膜の表面温度TLと、第1ゾーンの直前の露点と、第1ゾーンの直後の露点との各ばらつきが、いずれも±3℃以内であることが好ましい。前記第1ゾーンで、前記膜に風を送り前記風中の水分を結露させて液滴を形成し、前記風と搬送される前記膜との相対速度が、0.1m/s以上20m/s以下の範囲であることが好ましい。そして、相対速度のばらつきを相対速度の平均値に対して±20%以内とすることが好ましい。
前記膜を前記第1ゾーンに通過させた後に、露点がTD2(℃)であり且つTL(℃)−TD2(℃)≧1℃となる第2ゾーンに前記膜を搬送して通過させることが好ましい。第2ゾーンでは、膜の表面温度TLと露点TD2とが80℃≧TL(℃)−TD2(℃)の条件を満たすことが好ましく、第2ゾーンに入るときの膜の表面温度TLと、第2ゾーンの直前のエリアの露点と、第2ゾーンの直後のエリアの露点との各ばらつきが、いずれも±3℃以内であることが好ましい。第1ゾーン内に前記膜が通過する時間を0.1秒以上100秒以下の範囲で調整することにより、前記空隙の形態を調整することが好ましい。前記第1ゾーンでの前記膜の搬送角度が、水平方向に対して±10°以内であることが好ましい。第1ゾーンに至る前記膜の搬送路と水平方向とのなす角は10°以内であることが好ましく、第2ゾーンでは、前記膜に風を送ることにより前記液滴と前記溶媒とを前記膜中から蒸発させることが好ましい。前記第1ゾーンまたは前記第2ゾーンの風の給気口の塵埃度が、クラス1000以下であることが好ましい。
本発明においては、上記の溶液キャスト法や結露法以外にも、常用の方法で前記多孔質の層を形成することができる。例えば、特許庁編「標準技術集」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/organicpolymer/mokuji.htm)などを参考にすることができる。当該標準技術集に掲載されている製膜方法について、その目次に挙げられた項目名称のみを下記に列挙しておく。相分離法、溶融法、溶融法、抽出法、化学的処理法、延伸法、フィラー、照射エッチング法、中性子線(ポリカーボネート、トラックエッチング膜)、融着法、発泡法、表面処理、複合法などが挙げられている。
なお、樹脂を熱プレスによりフィルム化した場合には、通常、多孔質にはならない。空隙率として敢えて述べるならば、自由体積として存在する空隙を考慮して、2%以下となる。前記特許文献4(特開2011−026569号公報)の段落[0157]、特許文献5(特開2011−074249号公報)の段落[0172]では、デヒドロアビエチン酸に由来する構成単位を有する重合体を用い熱プレスにより製膜を行っている。したがって、そこで得られたフィルムは多孔質のものではないと解される。
<フレキシブルプリント基板>
図1−1は本発明の一実施形態における積層体10を模式的に示した断面図である。1は絶縁層、2は導電材層(金属箔層)を示す。ただし、本発明はこれに限定されず、フレキシブルプリント基板(FPC)として採用され得る任意の積層構成とすることができる。例えば、両層の間に別の機能層を介在させたものや、両層の外側にさらに別の層を適用したものを用いてもよい。本発明においては、絶縁層1が上述した特定重合体を含有させた多孔質の膜で構成されていることが好ましい。
・導体層
本実施形態に用いられる導体層としては、回路基板に使用可能な任意の導電性材料が使用可能であり、材質としては、例えば、銅箔、金箔、アルミニウム箔、スチール箔、およびニッケル箔等を挙げることができ、これらを複合した複合金属箔や亜鉛やクロム化合物等の他の金属で処理した金属箔についても用いることができる。またITO等の透明導電膜を用いることで透明の導体層を形成することも可能である。導体層としては特に銅箔が好ましい。
導体層となる導体層の厚みについては特に限定はないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、回路の充分な電気的性能が得られにくい場合があり、一方で、厚さが厚すぎる場合には、回路作製時の加工能率等が低下する場合がある。
・スキン層
本発明の積層体においては、前記絶縁層と導電層の間にスキン層を有していてもよい。スキン層は絶縁層の製膜時に導電層側に偏折する成分により形成されることがある。このような、導電層を構成する材料との親和性のある成分の偏折を利用するなどして所型のスキン層を形成し、アプリケーションに応じた積層構造とすることができる。スキン層の厚さは特に限定されないが、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。
・支持層(均一層)
本発明のプリント基板用積層体においては、前記多孔質絶縁層を介して前記導電層と反対側に支持層3を有する構成とすることも好ましい(図1−2参照)。このとき、支持層には本発明の重合体の均一層の他、この種の製品に適用可能な樹脂層を用いることができ、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、セルロースエステル(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース)からなるフィルムが挙げられる。支持層の厚さは特に制限されないが、10〜300μm程度のものが実際的である。支持層(均一層)を用いる場合には、その製造形態として、前記のように導電層の片側に多孔質層を設けておくことのほか、支持層の片側にこれを設けておくことができる。具体的には、溶液キャスト法等により支持層の片面多孔質層を形成し、さらにその多孔質層の開放された面に、蒸着、メッキ等により導電層を製膜することができる。このように支持層を設けることにより、基板用積層体の強度を向上させることができ好ましい。
プリント基板を構成する際の金属(銅箔)の積層等は、特開2006−229028号公報、特開2003−298196号公報、特開2011−132390号公報等を参照することができる。また、所望の前記導電材層と絶縁層とを有する積層体としたのちに、導電層を所望の形状に加工して配線化する工程は、この種の製品に適用される通常の加工方法を適宜適用すればよい。
以下に、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
<合成例1> DAAモノマー合成
デヒドロアビエチン酸重合体の合成に用いる12−カルボキシデヒドロアビエチン酸(a−1)を、下記合成経路に従って合成した。
92%デヒドロアビエチン酸((A),荒川化学工業製)60.0gと塩化メチレン120mlの混合物に、塩化オキサリル26.8gを室温で滴下した。3時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、そこにメタノール32.0gを滴下した。室温で3時間撹拌後、過剰のメタノールを減圧留去し、化合物(B)の白色結晶62.8gを得た。
化合物(B)62.8g、塩化アセチル18.8gおよび塩化メチレン160mlの混合物に無水塩化アルミニウム58.6gを少量ずつ3〜5℃で加えた。5〜8℃で2時間撹拌した後、反応液を1000gの氷水に注いだ。酢酸エチル400mlを加えて有機層を抽出した。食塩水で洗浄、無水塩化マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、残渣に冷メタノール100mlを加えて析出した化合物(C)の白色結晶をろ取した(収量65.6g)。
水酸化ナトリウム64.0gを水200mlに溶かし、そこに臭素51.2gを8〜10℃で滴下した。さらに、化合物(C)35.6gをジメトキシエタン200mlに溶かした液を10〜12℃で滴下した。室温で2時間攪拌した後、反応液を6N冷希塩酸に注いで酸性とし、析出した白色結晶を濾取した。結晶をメタノールから再結晶して化合物(D)の結晶29.8gを得た。
化合物(D)20.4gに対して10wt%水酸化ナトリウム水100gを加えて攪拌した。その後、反応系を外設130℃にて昇温し、緩やかに還流させた。そのまま3時間攪拌し、反応を薄層クロマトグラフィーにてチェックした後、反応系の温度を室温まで冷却した。冷却した1N塩酸250mLに反応系の内容物をゆっくりと添加し、酸析させた。そのものをヌッチェにてろ取し、水をかけ洗いすることでろ液を中性にした。固体を取り出し、乾燥させることで12−カルボキシデヒドロアビエチン酸(a−1)19.2gを得た。
<合成例2>
化合物(a−1)の結晶13.76gを塩化メチレン160mlに分散し、塩化オキサリル11.18gおよびジメチルホルムアミド0.6mlを加えて5時間加熱還流した。この間結晶は完全に溶解した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチル20mlとn−ヘキサン60mlを加え、化合物(a−1)の酸クロリド(a−1’)の白色沈殿を濾取、減圧乾燥した。収量は13gであった。
ジカルボン酸(a−2)を、下記合成経路に従って合成した。
92%デヒドロアビエチン酸(上記化学式(A)、荒川化学工業製)120g、36%ホルマリン20ml及び塩化メチレン200mlの混合物に、10〜15℃でトリフルオロ酢酸200mlを滴下した。15〜20℃で8時間攪拌した後、塩化メチレンとトリフルオロ酢酸を減圧留去した。残渣に水2lを加え、灰白色結晶を濾過、十分に水洗した。乾燥後、1lの熱n−ヘキサンを加えて1時間攪拌し、放冷後、(a−2)の白色結晶を濾取した。収量は118gであった。
<合成例3>
500ml三口ナスフラスコに、化合物A(デヒドロアビエチン酸)(42.0g,0.140mol)、無水コハク酸(20.7g,0.207mol)を入れ、塩化メチレン(240ml)に溶解させた。反応系に無水塩化アルミニウム(63.6g,0.477mol)を10〜15℃で少量ずつ加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を氷水に添加し、塩化メチレンで抽出、分液、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、濃縮残留物にメタノールを加えて晶析、かけ洗いし、化合物(a−3)(48.0g,0.120mol,85.7%)を得た。
<合成例4>
1L三口フラスコにデヒドロアビエチン酸ジメチルエステル(a−1”)58.1g(0.156mol)及びテトラヒドロフラン500mlを加え、窒素雰囲気下、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(Sigma−Aldrich製)を108g(0.374mol)を滴下した。滴下時は水冷にて30℃程度に反応系内の温度を保った。室温にて3時間攪拌したのち、酢酸エチル/希塩酸水にて分液洗浄を行った。硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムを用いて、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒にて精製を行うことで、化合物(b−6)43.0gを得た(収率87%)。
<合成例5> ポリマーの合成
以下のスキームに従ってポリエステル系重合体(PE−1)を合成した。
ハイドロキノン5.78g、N,N’−ジメチルアミノピリジン13.5gをNMP(N−メチルピロリドン)150mlに溶解させた。系内の温度を10℃まで冷却し、そこに上記で得られたジカルボン酸化合物(a−1)の酸クロリド誘導体(a−1’)20.0gを少量ずつ加えた。反応液は徐々に粘稠となった。室温で8時間撹拌した後、反応液にメタノール1Lを加え、生成したポリマーを濾別、メタノールで洗浄した。得られたものを乾燥後、THF100mlに加熱溶解し、メタノール1000mlに少量ずつ注いで再沈殿させた。再沈殿物を回収し、乾燥後、PE−1の白色固体21.5gを得た。得られたポリエステル系重合体(デヒドロアビエチン酸重合体、PE−1)のGPC測定(溶媒:NMP)による重量平均分子量は68000であった。
上記PE−1の合成例において、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物を下記表1に記載した化合物にそれぞれ変更したこと以外は同様にして、ポリエステル系重合体(PE−2)〜(PE−10)を得た。
(合成例7)
ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン(c−1)3.78gをNMP180mlに加え、窒素雰囲気下、45℃に加熱して溶解させた。この液を15℃まで冷却し、そこに上記ジカルボン酸化合物(a−1)の酸クロリド誘導体(a−1’)13.35gを少量ずつ加えた。反応液は徐々に粘稠となった。室温で2時間撹拌した後、反応液にメタノール200mlを加え、生成したポリマーを濾別、メタノールで洗浄した。このものを乾燥後、ジメチルホルムアミド100mlに加熱溶解し、メタノール1000mlに少量ずつ注いで再沈殿させた。乾燥後、PA−1の白色固体14.3gを得た。
上記の合成例において、ジアミン化合物を下表に記載した化合物に変更したこと以外は、上記の方法と同様にして、ポリアミド系重合体(PA−2)及び(PA−3)を得た。
*1 ジカルボン酸化化合物については酸クロリド誘導体として合成に用いた。
*2 PA−1〜PA−3はジアミン化合物を用いた。
表1中、ジカルボン酸化合物、ジオール化合物、ジアミン化合物における括弧内の数字は、ポリエステル系重合体およびポリアミド系重合体製造時の仕込み量(モル%)を示す。なお、ジカルボン酸化合物、ジオール化合物、ジアミン化合物の総量を100モル%とした。また以下にジカルボン酸化合物、ジオール化合物、ジアミン化合物の構造を示す。
(実施例1・比較例1)
ポリマーPE−1 3gをメチレンクロライド[親溶媒]/メタノール[貧溶媒](85/15)混合溶媒に12質量%の濃度で溶解させ、これを濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で加圧ろ過しドープを作製した。
これとは、別に、厚さ18μm、幅×長さ=150mm×300mmの銅箔基材を用意した。
ドクターブレードを用い、作製したドープをクリアランス0.4mmで前記銅箔基板上に流延した。流延後、室温で6時間静置し、40℃で30分、100℃で30分加熱乾燥させ、その後140℃、1Torrで1時間真空乾燥させフィルムを作製した。導電層側に形成された多孔層の膜厚は68μm、空気界面側に形成された均一層の厚みは19μmであった。
ポリマーおよび製膜方法を変えた以外は上記と同様にしてフィルムを作製した。膜厚等は表2に示した。
<製膜方法>
[A]実施例1と同様に、メチレンクロライド及びメタノールの混合溶媒を用い、溶液キャスト法により製膜した。流延後は上記温度で乾燥することにより、膜を硬化させた。
[B]製膜方法[A]における溶媒をメチレンクロライド及びメタノールの混合溶媒から、テトラヒドロフランに変え、延流後に加湿下(60℃/60%RH)で乾燥を行った以外同様にして、製膜した。
[C]製膜方法[A]における溶媒をメチレンクロライド及びメタノールの混合溶媒から、DMAc:N,N−ジメチルアセトアミドもしくは、DMF:N,N−ジメチルホルムアミドに変え、延流後に加湿を行った以外同様にして、製膜した。
[D]製膜方法[A]における溶媒をメチレンクロライド及びメタノールの混合溶媒から、DMF:ジメチルホルムアミドに変え、延流後に加湿を行った以外同様にして、製膜した。
[E]熱プレス法
特開2006−229028の実施例をもとにフレキシブルプリント基板を作製した。
[F]現像法
特開2011−132390の実施例をもとにフレキシブルプリント基板を作製した。
[G]結露法
PE−1と下記構造式で表される両親媒性ポリマーを質量比で10:1の割合で混合した塩化メチレン溶液(ポリマー濃度として0.4質量%)0.5mLを調製した。
次いで、外気の影響を受けない閉鎖空間にて2℃に保温した銅箔上に全量展開し、相対湿度70%の恒湿空気を毎分2Lの定常流量で基板面に対して45°の方向から吹き付け、塩化メチレンを蒸発させることによって、均一ハニカム構造体を得た。このハニカム構造体表面に、75μmの接着層付きPET(ポリエチレンテレフタレート)を貼り合わせて銅張積層版を得た。ここで、恒湿空気は、市販の除塵エアーフィルタ(ろ過度:0.3μm)を設置した日立工機株式会社製のコンプレッサSC−820にヤマト科学株式会社製の湿度発生装置を接続して供給した。なお、吹き付け部の空気の流速を実測したところ、0.3m/sであった。また、前記仮支持体表面の水接触角は、固液界面解析装置(協和界面科学社製、DropMaster300)により測定したところ、70°であった(以下の例も同じ)。
得られた膜の構造を、電解放出走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S4300)で観察したところ、孔径6μmの空孔がヘキサゴナル状に規則配列したハニカム構造体が確認できた。隣接する空孔の中心間の間隔はほぼ6.7μmであった。空孔はキャストした周辺の一部を除き、ほぼ全面にわたって分布しており、きれいな球形をしていた(図3B)。
−評価方法−
実施例及び比較例の積層体について、下記の測定、評価を行った。
(膜厚測定)
得られたフィルムの厚さをデジタルリニアゲージDG−525H(小野測器社製)にて測定した。測定は3箇所行い、その平均値を求めた。
(空隙率)
樹脂の密度をA(25℃)、多孔フイルムの密度をB(25℃)としたとき、空隙率=(1−B/A)×100として特定した。
(密度)
フィルム(樹脂)の密度A,Bは精密比重計AUW120D(SHIMADZU社製)用い、空気中と水中の重量から計算した(浮力法)。このときのフィルムは前記熱プレス法(E)により製造したものとする。
ρ=(Wa/Wa−Wl)×ρl
ρ:試料の密度
Wa:空気中で測定した試料の重量
Wl:水中で測定した試料の重量
Ρl:水の密度(25℃)
穴が開放されているハニカムフィルムでは水がフィルム内に浸入しこの方法は用いられない。よってフィルムの重量より計算にて算出した。膜厚dμmで10cm*10cmのハニカムフィルムの重量は実測できその値をXとする。一方、同じく膜厚dμmで10cm*10cmの均一(孔のない)フィルムでの重量Yは樹脂の密度Aを用いると、
Y=A*d/100 (g)
となり、ハニカムフィルムの空隙率=(1−X/Y)*100 で表される。
(平均孔径)
多孔膜の断面をSEMで観察し、ランダムに20個の空隙を選んでその径を平均した値とした。各孔の直径の算定は、SEM画像を基に円相当直径を求めることで決定した。なお、ハニカムフィルムでは、1つの空孔が独立していなことがあるが、その球形の形状から近似して仮想円を想定し、その面積から円相当径を求め評価した。
(独立孔の判別)
JIS K 3832,ASTM F316−86に基づく多孔質材料の貫通細孔径評価であるバブルポイント法にて孔径を評価した。測定値が得られない結果をもって貫通孔でない、すなわち独立孔であると判断した。
(誘電率)
以下、誘電率は導電層を持たない多孔膜単体にて測定を行った。なお、以下の測定は室温(約23℃)で行うことを前提とする。
<誘電率(LCR法)>
得られたフィルムについて表面に直径20mmの金電極を蒸着、誘電緩和測定はAlpha−Aアナライザ(Novocontrol社製)を用い、1MHzにおける誘電率と誘電正接を求めた。
<誘電率(空洞共振器摂動法)>
得られたフィルムについて1.5mm×80mmを切り出し、ネットワークアナライザ E8363B (アジレントテクノロジー製)、空洞共振器 CP431(1GHz用)、CP531(10GHz用)(関東電子応用開発製)を用い、1GHz、10GHzにおける誘電率を求めた。
<耐折性>
銅張積層板を幅5cm、長さ10cmに裁断し、多孔質絶縁層を外側に180℃折り曲げを行い、200gの錘をのせ、元に戻して再度200gの錘を3秒間のせた後、クラックの有無を光学顕微鏡にて観察した。この作業を繰り返し、下記評価基準により耐折性を評価した。結果を下記表2に示す。なお、前記の折り曲げは、室温(約23℃)で行った。
〔評価基準〕
A:クラック発生までの折り曲げ回数が10回以上
B:クラック発生までの折り曲げ回数が7〜9回
C:クラック発生までの折り曲げ回数が6回以下
<密着性>
導電層と多孔質絶縁層との密着性は以下の方法により、JIS K5400碁盤目試験 100マスに基づいて評価した。
多孔質絶縁層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、付着して5分以内に60°に近い角度で、0.5〜1.0秒で引き離した。剥がれの有無を目視で観察した。
また260℃、2minリフロー炉を通した後、及び10回の折り曲げ試験後の剥がれの有無も観察した。
得られた結果を下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
0:まったく剥れが認められない
1:切込みの交点に微小な剥れが認められる
2:切込みの交点に剥れが認められる
3:切込みの升目を占める剥れが幾つか認められる
4:切込みの升目を占める剥れが多く認められる
5:4を超えた剥れが認められる
*1:多孔形成手法・・・本文中に説明を記載
*2: 260℃/2min リフロー後
*1:多孔形成手法・・・本文中に説明を記載
*2: 260℃/2min リフロー後
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(東レ社製:トヨフロン)
PI:ポリイミド(特開2011−132390の実施例1に記載の化合物)
CA:セルロースアシレート(ダイセル社製:L70)
上記の結果からわかるとおり実施例(本発明の積層膜)によれば、植物起源の化合物を利用することによる環境適合性を有し、しかも導電層との密着性および耐折れ性が良好である。また、広い周波数領域で低誘電率を達成しており、フレキシブルプリント基板等のアプリケーションに好適に対応することができることがわかる。なお、比較例C01,C03のフィルムは、図1に示したような不規則な状態で空孔が連続(貫通)していた。
(実施例2・比較例2)
試験101に用いたPE−1を下表のとおりに変えた以外同様にして、折れ性試験および密着性試験を行った。その結果、いずれの試験体においても、折れ性においてリフロー後でも「A」の結果が得られ、密着性は折り曲げ後において「1」〜「2」の結果が得られた。なお、下表では、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物の一部については、同化合物由来の繰り返し単位として、一般式およびその連結基により当該構成単位を特定している。
以上の結果より、デヒドロアビエタン骨格を有する化合物においては、連結基が異なっていても、本発明の優れた効果が発現することを確認した。
1 絶縁層
2 導電材層
3 支持層(均一層)
10、20 絶縁積層体

Claims (19)

  1. 絶縁層の少なくとも片面側に導電層を有するプリント基板用積層体であって、前記絶縁層が、内部に空孔を有する多孔質絶縁層であり、かつデヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖の繰り返し単位に含む特定重合体を含有してなるプリント基板用積層体。
  2. 前記デヒドロアビエチン酸に由来する骨格が下記式(U)で表される構造を含む請求項1に記載のプリント基板用積層体。
    (R及びRは炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数2〜6のアルケニル基を表す。nは0〜3を表す。mは0〜5を表す。環Cyはヘテロ原子を含んでもよい飽和もしくは不飽和の6員環もしくは7員環を表す。式中、*,**は主鎖に組み込まれる結合手を表す。*はRから延びる結合手であってもよい。)
  3. 前記特定重合体が下記式A1又はA2で表される繰り返し単位を主鎖に含む重合体から選ばれる請求項1又は2に記載のプリント基板用積層体。
    (式中、L11、L12、L21、L22、及びL23は、2価の連結基を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
  4. 前記式A1中、連結基L11が式中2位で示される炭素原子と結合した請求項3に記載のプリント基板用積層体。
  5. 前記式A2中、連結基L23が式中2位及び2’位で示される炭素原子と結合した請求項3に記載のプリント基板用積層体。
  6. 式A1中のL11が、*−L13−CO−**または*−CO−L13−**(*はヒドロフェナントレン環側の結合手を表す。**はその逆の結合手を表す。)で表され、L13が、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、酸素原子、カルボニル基、又は単結合であり、L12がカルボニル基である請求項3または4に記載のプリント基板用積層体。
  7. 式A2中のL21及びL22がカルボニル基であり、L23が酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、単結合、又はそれらの組合せである請求項3または5に記載のプリント基板用積層体。
  8. さらに、前記特定重合体が、ポリオール化合物由来もしくはポリカルボン酸由来の共重合成分を主鎖に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  9. さらに、前記特定重合体が、下記式(II)で表される共重合成分を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
    [Gはアルキレン基、アルカン連結基、アリール連結基、ヘテロアリール連結基、またはこれらを組み合わせた連結基を表す。X、Y、Zはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−NR−、−(C=O)−、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NR−、及びこれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手である。mzは0〜3の整数である。Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜24のアリール基を表す。]
  10. 前記式(II)が下記式(B1)で表される請求項9に記載のプリント基板用積層体。
    (Lは、酸素原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基、単結合、又はこれらの組合せである。R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。n1及びn2はそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。n3は0〜2の整数を表す。*は主鎖に組み込まれる結合手を表す。)
  11. 前記共重合成分が環構造を含む請求項8〜10のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  12. 前記導電層が銅箔である請求項1〜11のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  13. 前記多孔質絶縁層に含まれる空孔が、平均孔径0.1μm以上50μm以下の独立孔もしくはハニカム構造をなす請求項1〜12のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  14. 前記多孔質絶縁層の空隙率が5〜99%である請求項1〜13のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  15. 前記多孔質絶縁層が相分離を利用した溶液キャスト法または結露法で形成される請求項1〜14のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  16. 前記多孔質絶縁層がハニカム状多孔質層である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  17. 前記多孔質絶縁層を介して前記導電層と反対側に支持層を有する請求項1〜16のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  18. 前記多孔質絶縁層と前記導電層との間にスキン層を有する請求項1〜17のいずれか1項に記載のプリント基板用積層体。
  19. 絶縁層の少なくとも片面側に導電層を有するプリント基板用積層体において、前記絶縁層を形成するドープであって、デヒドロアビエチン酸に由来する骨格を主鎖の繰り返し単位に含む特定重合体を有機溶媒中に含有してなるドープ。
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