JP2014017204A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び面状発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量が大きく、外観に優れ、照明性能が高く、製造が容易な面状発光装置を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子は、透光性基板1に、第1電極7と有機発光層8と第2電極9とを有する有機発光体10が形成されたものである。有機発光体10は、透明な封止基板2によって覆われて封止されている。発光領域の平面視における形状は多角形である。電極端子3が設けられた不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明端部4bとを有している。端部4に、他の有機エレクトロルミネッセンス素子の端部4を重ねるための段部5が設けられている。段部5は、不透明端部4aにおいて段状に凹んだ基板段部5a、及び、透明端部4bにおいて段状に凹んだ封止段部5bにより構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子は、透光性基板1に、第1電極7と有機発光層8と第2電極9とを有する有機発光体10が形成されたものである。有機発光体10は、透明な封止基板2によって覆われて封止されている。発光領域の平面視における形状は多角形である。電極端子3が設けられた不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明端部4bとを有している。端部4に、他の有機エレクトロルミネッセンス素子の端部4を重ねるための段部5が設けられている。段部5は、不透明端部4aにおいて段状に凹んだ基板段部5a、及び、透明端部4bにおいて段状に凹んだ封止段部5bにより構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面状発光装置に関する。
近年、有機エレクトロルミネセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)が照明パネルなどの用途に応用されている。有機EL素子としては、透光性の第1電極(陽極)と、発光層を含む複数の層により構成される有機層と、第2電極(陰極)とが、この順で透光性基板の表面に積層形成されたものが知られている。有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、発光層で発した光が透光性の電極及び基板を通して外部に取り出される。
有機EL素子においては、より広い発光面を得るために、複数の有機EL素子を面状に配設して面状発光装置(照明パネル)を形成することが知られている(例えば特許文献1参照)。複数の有機EL素子を用いることにより発光面を大きくすることができ、また、発光量を増大させることができる。
図11は、従来の面状発光装置の一例を示している。この面状発光装置は、複数の有機EL素子Aが、縦横の方向に敷き詰めるように並べられて面状に配設されたものである。有機EL素子Aは、透光性基板1の表面に有機発光体10が形成されたものであり、この有機発光体10は、透光性基板1に接着された封止基板2によって覆われて封止されている。図11(a)は、面状発光装置の断面図を示し、図11(b)は、発光面に垂直な方向から見た面状発光装置が発光する様子を示している。図11(a)では、白抜き矢印が、光が取り出される方向となる。
有機発光体10は発光層が一対の電極(陽極及び陰極)に挟まれて構成されたものであり、平面視(発光面に垂直な方向から見た場合)において有機発光体10が形成されている領域が発光領域Pとなる。図11の形態では、複数の有機EL素子Aを面状に配設することにより、全体の発光面積を大きくすることができる。
しかしながら、図11(b)に示すように、有機EL素子Aは、封止構造上、外周部に非発光の領域が形成されるものであり、面状発光装置においては、隣り合う有機EL素子Aの発光領域Pが離間して、有機EL素子Aの境界部分に非発光領域Xが形成される。この非発光領域Xの幅は一つの素子につき封止構造上2mm以上にもなるものである。非発光領域Xが形成されると、面状発光装置全体の発光量が低下するとともに、有機EL素子の境界部分が筋状に非発光となってしまうため、非発光の格子模様などが生じるなどして照明性能が低下してしまう。
また、有機EL素子Aでは、有機発光体10に電気を供給するために、通常、各電極を有機EL素子Aの端部に引き出し、この引き出された部分(引き出し電極部)に電極端子3を設け、この電極端子3に電気を供給することが行われている。電極端子3は、透光性基板1表面における封止基板2よりもはみ出した封止外領域に設けられるものである。この電極端子3は、通常、金属層などによって構成される不透明な層である。図11(b)では、電極端子3が設けられた不透明な部分を斜線領域で示している。電極端子3を設ける部分は、外部電源と接続して電気を供給しやすくするように、所定の面積を確保する必要がある。そのため、電極端子3によって非発光の領域が大きくなってしまうおそれがあり、非発光領域Xがさらに目立ちやすくなってしまう。
ここで、非発光領域Xを小さくするために、複数の有機EL素子Aを端部を重ねて配設して面状発光装置を形成することが考えられる。特許文献1では、複数の有機EL素子を端部を重ねて配設することによって非発光の領域を小さくしようとしている。
図10(a)は、複数の有機EL素子Aを端部4を重ねて配設した面状発光装置の一例(参考例)であり、図10(b)は、図10(a)の面状発光装置に用いる有機EL素子Aの発光状態を示す一例である。図10(b)の有機EL素子Aは、発光領域Pの平面視における形状は四角形である。この四角形を構成する四つの辺に位置する四つの端部4は、有機発光体10に電気を供給するための電極端子3が設けられた不透明な不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明な透明端部4bとを有して構成されている。図10(b)では、不透明端部4aを斜線で示している。図10(a)の面状発光装置では、不透明端部4aは、有機EL素子Aを縦横に並べて面状に配設したときに発光領域の後方に隠れるように配置されている。そして、図10(a)に示すように、不透明端部4aの光取り出し側に他の有機EL素子Aの透明端部4bを重ね、隣り合う有機EL素子Aの発光領域Pの隙間が小さくなるようにして、複数の有機EL素子Aが端部4を重ねて配設されている。また、透明端部4b同士においても、端部4を重ね合わせることにより、発光領域Pの隙間を小さくすることができる。
図10の形態では、有機EL素子Aの端部4を重ね合わせているため、隣り合う有機EL素子Aの発光領域Pの離間距離を小さくしたり、失くしたりすることができる。そのため、筋状の非発光の領域を目立たなくし、あるいは消失させて、照明性能を高めることができる。しかしながら、この方法では非発光の領域を小さくするために端部4の重ね幅を大きくすると、端部4の重ね合わせによって面状発光装置の表面には大きな凹凸が形成されてしまい、また、重なり部分の厚みも厚くなってしまう。そのため、外観形状が悪化するとともに、この凹凸や重なり部分によって照明性能を低下させるおそれがある。また、複数の有機EL素子Aを重ね合わせる際に、重ね合せ幅を一定にして配設することは容易ではなく、有機EL素子Aのタイリングによる面状発光装置の作製が難しくなるおそれがある。
本発明の目的とするところは、面状発光装置を形成した際に、非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量を大きくすることができ、外観に優れ、照明性能が高く、製造が容易な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。また、非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量が大きく、外観に優れ、照明性能が高く、製造が容易な面状発光装置を提供することにある。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、透光性基板に、透光性の第1電極と有機発光層と光反射性の第2電極とをこの順で有する有機発光体が形成され、前記有機発光体は、前記透光性基板に接着される透明な封止基板によって覆われて封止されている有機エレクトロルミネッセンス素子であって、当該有機エレクトロルミネッセンス素子の発光領域の平面視における形状は多角形であり、この多角形を構成する複数の辺に位置する複数の端部は、前記有機発光層に電気を供給するための電極端子が設けられた不透明な不透明端部と、前記電極端子が設けられていない透明な透明端部とを有し、前記複数の端部のうちの一以上の端部に、他の有機エレクトロルミネッセンス素子の端部を重ねるための段部が設けられており、前記段部は、前記不透明端部における前記透光性基板の素子外部側の面が段状に凹んだ基板段部、及び、前記透明端部における前記封止基板の素子外部側の面が段状に凹んだ封止段部、の少なくとも一方により構成されていることを特徴とするものである。
上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記基板段部及び前記封止段部の両方が設けられていることが好ましい。
上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記段部は、他の有機エレクトロルミネッセンス素子を重ねたときに、隣り合う有機エレクトロルミネッセンス素子の前記発光領域が、平面視において離間しないような幅で設けられていることが好ましい。
上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記複数の端部における前記段部が設けられた側とは反対側の面に、この端部の端縁に沿って端部が傾斜面となった傾斜部が設けられ、前記傾斜部は、前記不透明端部における前記封止基板の素子外部側の面の端部が傾斜した封止傾斜部、及び、前記透明端部における前記透光性基板の素子外部側の面の端部が傾斜した基板傾斜部、の少なくとも一方により構成されていることが好ましい一態様である。
上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記発光領域の平面視形状が四角形又は六角形であることが好ましい。
本発明に係る面状発光装置は、上記構成の有機エレクトロルミネッセンス素子が、複数個、前記段部が設けられた端部を重ねて配設され、隣り合う前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光領域が、平面視において離間せずに配置されていることを特徴とするものである。
上記構成の面状発光装置では、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が同一面において二以上で重ねられて面状に配設されていることが好ましい一態様である。
上記構成の面状発光装置では、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が帯状に配設されていることが好ましい一態様である。
上記構成の面状発光装置では、当該面状発光装置は、略同一形状の複数の第1の有機エレクトロルミネッセンス素子が端部を重ねて配設されるとともに、当該面状発光装置の端部に、前記第1の有機エレクトロルミネッセンス素子とは異なる形状の第2の有機エレクトロルミネッセンス素子が、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子に端部を重ねて配設されていることが好ましい一態様である。
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の端部を重ねるための段部が設けられていることにより、非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量が大きく、外観に優れ、照明性能が高く、製造が容易な面状発光装置を得ることができる。
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子A(有機EL素子A)を複数配設した面状発光装置の実施形態の一例であり、図2は、図1の面状発光装置を構成する有機EL素子Aの実施形態の一例である。図1(a)及び図2(a)では、光が取り出される方向を白抜き矢印で示している。
図2に示すように、有機EL素子Aは、透光性基板1に、透光性の第1電極7と有機発光層8と光反射性の第2電極9とをこの順で有する有機発光体10が形成されたものである。有機発光体10は、透光性基板1に接着される透明な封止基板2によって覆われて封止されている。有機EL素子Aの発光領域Pの平面視における形状は多角形であり、本形態では四角形となっている。この多角形(四角形)を構成する複数の辺に位置する複数の端部4は、有機発光層8に電気を供給するための電極端子3が設けられた不透明な不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明な透明端部4bとを有して構成されている。複数の端部4のうちの一以上の端部4に、他の有機EL素子Aの端部を重ねるための段部5が設けられている。段部5は、不透明端部4aにおける透光性基板1の素子外部側の面が段状に凹んだ基板段部5a、及び、透明端部4bにおける封止基板2の素子外部側の面が段状に凹んだ封止段部5b、により構成されている。図1(a)に示すように、面状発光装置においては、複数の有機EL素子Aは、段部5に他の有機EL素子の端部4が重ねられて配設されている。このように、有機EL素子Aの端部4を重ねるための段部5が設けられていることにより、非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量が大きく、外観に優れ、照明性能が高く、製造が容易な面状発光装置を得ることができる。以下、さらに本実施形態を説明する。
透光性基板1は、光透過性を有する透明な基板であり、ガラス基板や透明樹脂基板などを用いることができる。透光性基板1をガラス基板で構成した場合、ガラスは水分の透過性が低いので、封止領域の内部に水分が浸入することを抑制することができる。透光性基板1の表面における第1電極7との界面には、光取り出し層が設けられていてもよい。光取り出し層が設けられることにより、光取り出し性を高めることができる。光取り出し層は、ガラスよりも屈折率の高い樹脂層や、光散乱粒子を含む樹脂層や、高屈折率ガラスなどによって形成することができる。本形態では、透光性基板1は、矩形状のものが用いられている。それにより、有機EL素子Aは平面視において矩形状の素子になっている。
図2(b)に示すように、有機発光体10は、第1電極7、有機発光層8及び第2電極9の積層体である。有機発光体10の設けられる領域は、平面視(基板表面に垂直な方向から見た場合)において、透光性基板1の中央部の領域である。有機EL素子Aでは、平面視における有機発光体10が設けられた領域が発光領域Pとなる。なお、図1(a)及び図2(a)では、有機発光体10の積層構造を省略して記載しているが、有機発光体10は、透光性基板1側から順に、第1電極7、有機発光層8及び第2電極9が積層されたものであってよい。
第1電極7及び第2電極9は、互いに対となる電極であり、一方が陽極を構成し、他方が陰極を構成する。本形態では、第1電極7により陽極を構成し、第2電極9により陰極を構成することができるが、その逆であってもよい。第1電極7は、光透過性を有する透明な電極であり、光取り出し側の電極となる。第1電極7は、透明な導電層によって構成することができる。導電層の材料としては、ITO、IZOなどが例示される。また、第2電極9は光反射性を有する電極である。光反射性を有することにより、第2電極9側に向って発せられる発光層からの光を、第2電極9で反射させて透光性基板1側から取り出すことができる。第2電極9は、例えば、AlやAgなどにより形成することができる。第1電極7及び第2電極9の膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば、10〜300nm程度にすることができる。
有機発光層8は、発光を生じさせる機能を有する層であり、ホール注入層、ホール輸送層、発光層(発光材料を含有する層)、電子輸送層、電子注入層、中間層などから適宜選ばれる複数の機能層によって構成されるものである。有機発光層8の厚みは、特に限定されえるものではないが、例えば、60〜300nm程度にすることができる。
封止基板2は、光透過性を有する透明な封止用の基板であり、ガラス基板や透明樹脂基板などを用いることができる。封止基板2としては、ガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板を用いることにより、水分が浸入するのを抑制することができる。また、封止基板2として、有機発光体10を収納する収納凹部が表面に設けられた封止基板2を用いることができる。いわゆるキャップ状の封止材である。収納凹部を設けた封止基板2を用いることにより、有機発光体10を密封性よく封止することができる。また、封止基板2として、収納凹部が設けられていない平板状のものを用いてもよい。平板状の封止基板2を用いる場合、樹脂などで有機発光体10を収納するスペースを外周部に形成することができる。平板状の封止基板2を用いる場合、収納凹部を形成することなく簡単に封止基板2を得ることが可能である。
封止基板2は、接着材料によって透光性基板1に接着されている。図2(b)では、封止基板2が接着する領域の外縁を二点破線で示している。接着材料としては、例えば、樹脂性の接着材料を用いることができる。樹脂性の接着材料は、防湿性を有しているものが好ましい。例えば、乾燥剤を含有することにより防湿性を高めることができる。樹脂性の接着材料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂などを主成分とするものであってもよい。接着材料としては透明なものを用いることが好ましい。透明な接着材料を用いた透明シールによって封止基板2を接着することにより、光が透過可能なように端部4を透明にして封止することができる。ただし、光が透過可能であれば、接着材料は少し曇りがかった色のものであってもよい。
封止基板2は、有機発光体10の外周を取り囲む領域で透光性基板1に接着することができる。それにより、透光性基板1と封止基板2とを外周に亘って接着し、有機発光体10を密封性高く封止して外部から遮断することができる。有機発光体10の封止によって、収納凹部の空間には封止間隙11が設けられていてもよい。有機EL素子Aでは、この封止間隙11に充填剤を充填して充填密封構造にしてもよいし、封止間隙11を空洞となった封止空間にして中空構造にしてもよい。封止間隙11を封止空間にする場合には、封止空間に吸湿材を設けることができる。それにより、封止空間に水分が浸入したとしても、浸入した水分を吸収することができる。また、封止間隙11を充填剤で充填する場合には、乾燥剤を含んだ充填剤を用いることができる。それにより、素子内部に水分が浸入したとしても、浸入した水分を吸収することができる。防湿のための封止構造上、有機発光体10は、封止基板2の外縁よりも2mm以上内側に形成されることが好ましい。ただし、有機発光体10の外縁が内側に配置されすぎると、非発光の領域が大きくなってしまうため、有機発光体10の外縁は、例えば、封止基板2の外縁から10mm以内の位置であってよい。
有機EL素子では、第1電極7と第2電極9とに電圧を印加し、有機発光層8(発光材料含有層)において正孔と電子を結合させて発光を生じさせる。そのため、第1電極7及び第2電極9のそれぞれと導通する電極を基板端部に引き出して設ける必要がある。引き出された電極は、外部電極と電気的に接続するための端子である電極端子3と導通するものとなる。本形態では、透光性基板1の表面における第1電極7及び第2電極9から引き出された部分の表面に電極端子3を設け、この電極端子3から有機発光層8に電圧を印加できるようにしている。
電極端子3は、透光性基板1の端部表面(封止基板2側の面)に形成されている。電極端子3は、第1電極7と導通する端子と、第2電極9と導通する端子とによって構成されている。本形態では、電極端子3は、第1電極7を構成する導電層の表面に形成されている。
第1電極7と導通する電極端子3は、第1電極7を構成する導電層が透光性基板1の端部側に分断されずに引き出され外側に向かって延出された部分の表面に形成されている。すなわち、第1電極7を構成する導電層は、第1電極7と導通する電極端子3が設けられる基板端部では封止基板2からはみ出して透光性基板1の端縁にまで形成されている。第1電極7の引き出し部分が封止領域よりも外側にまで延出されることにより、封止領域の外部と素子内部とを電気的に接続させることが可能になる。
また、本形態では、第2電極と導通する電極端子3は、第1電極7を形成するための導電層の一部が第1電極7から分離されるとともに、透光性基板1の端部側に引き出され外側に向かって延出された部分の表面に形成されている。すなわち、第2電極9の引き出し部分を構成する導電層は、第1電極7を構成する導電層が第1電極7から分離されるとともに、封止基板2からはみ出して透光性基板1の端縁にまで形成されている。第2電極9の引き出し部分が封止領域よりも外側にまで延出されることにより、封止領域の外部と素子内部とを電気的に接続させることが可能になる。第2電極9と導通する電極端子3が形成されている導電層は、素子の内部において、積層された第2電極9と接触しており、それによりこの電極端子3と第2電極9とが導通する構造となっている。
電極端子3は、適宜の金属材料により形成することができる。例えば、Ag、Cu、Au、Alなどを用いることができる。また、合金層や、金属の複層構造で電極端子3を構成してもよい。
本形態の有機EL素子Aでは、発光領域Pの平面視における形状は四角形である。この四角形は矩形状であることが好ましい。発光領域Pが矩形状になることにより、複数の有機EL素子Aを配設する際に、発光領域Pを簡単に隙間なく配置することが容易になる。発光領域Pの形状は、長方形であることが好ましく、正方形であることも好ましい。図1(b)、図2(c)及び図2(d)では、発光領域Pを破線で示している。
有機EL素子Aでは、四角形の発光領域Pの周囲には、この四角形を構成する四つの辺に対応する位置に、四つの端部4が配置されている。有機EL素子Aの端部4は、有機発光層8に電気を供給するための電極端子3が設けられた端部4と、電極端子3が設けられていない端部4との二種類の端部4で構成されている。電極端子3が設けられた端部4は、電極端子3の形成により不透明となっており、不透明端部4aを構成している。すなわち、発光面に垂直な方向から有機EL素子Aを見た場合に、不透明端部4aの部分は電極端子3によって光が遮られて反対側が見えない状態となる。電極端子3は、金属層で形成された場合、金属色を呈するが、不透明端部4aでは、その金属色が視認されてもよい。また、電極端子3が設けられていない端部4は、透光性基板1と封止基板2とが積層した部分であり、有機発光体10も存在していないため、有機EL素子Aの反対側を見ることが可能な透明端部4bを構成している。
本形態では、四角形の有機EL素子Aの四つの端部4は、二つの不透明端部4aと、二つの透明端部4bとで構成されている。不透明端部4aは四角形の隣り合う二辺に配置されており、また、透明端部4bは四角形の隣り合う二辺に配置されている。不透明端部4a及び透明端部4bがこのように配置されることにより、発光領域Pの隙間を小さくして複数の有機EL素子Aを配設することがより可能になる。
図2(c)は、有機EL素子Aの非発光時の様子を示し、図2(d)は、有機EL素子Aの発光時の様子を示している。図2(c)及び(d)では、発光面に垂直な方向に発光面側から見た有機EL素子Aの様子を示している。本形態の有機EL素子Aでは、有機発光体10が積層形成されて発光する領域、すなわち、発光領域Pは、光反射性の第2電極9が積層されているために、非発光時には有機EL素子Aの反対側を視認することができない不透明な部分になる。すなわち、第2電極9は、光反射性の電極であり、光を透過させないものであるため、この光反射性の第2電極9によって光が遮られて有機EL素子Aの反対側が視認できなくなり、有機発光体10が形成された部分は不透明となる。また、不透明端部4aは、電極端子3が形成されていることにより不透明な非発光の端部4となっている。そのため、図2(c)で示すように、非発光時においては、発光領域P及び不透明端部4aは、斜線で示される不透明な領域となる。また、透明端部4bは、有機発光体10及び電極端子3が形成されていないため、透明な領域となる。そして、図2(d)で示すように、発光時においては、発光領域Pが光って光が面状に取り出される。そのため、不透明端部4aは、斜線領域で示すように、不透明な非発光の端部4となって視認される。また、透明端部4bは、電極端子3が形成されておらず、透明な基板が重なった領域であり、透明な非発光の端部4となって視認される。
そして、本形態の有機EL素子Aにおいては、端部4に段部5が設けられている。図1(a)に示すように、段部5は、他の有機EL素子Aの端部4を重ねるためのものである。段部5の部分を重ねて複数の有機EL素子Aを配設することにより、面状発光装置の表面の凹凸を小さくして厚みを薄くすることができ、また、有機EL素子Aを重ねやすくすることができる。段部5は有機EL素子Aの外縁に沿った形状で凹ませて設けられるものであってよい。本形態では、有機EL素子Aの外縁に沿って直線状の段部5が設けられている。
図2(a)及び(b)に示すように、不透明端部4aにおいては、透光性基板1の素子外部側の面(封止基板2とは反対側の面)が、基板端部を切り欠くような形状で段状に凹んで、基板段部5aが設けられている。基板段部5aの側面(基板表面と略垂直な面)の位置は、封止基板2の接着部分よりも内側であることが好ましく、発光領域P(有機発光体10)の外縁よりも内側であることがより好ましい。基板段部5aの側面がより内側に位置することにより、発光領域Pの隙間を小さくすることができる。また、透明端部4bにおいては、封止基板2の素子外部側の面(透光性基板1とは反対側の面)が、基板端部を切り欠くような形状で段状に凹んで、封止段部5bが設けられている。封止段部5bの側面(基板表面と略垂直な面)の位置は、発光領域P(有機発光体10)の外縁よりも内側であることが好ましい。封止段部5bの側面がより内側に位置することにより、発光領域Pの隙間を小さくすることができる。図1(b)、図2(c)及び図2(d)では、封止段部5bの側面の位置(本形態の面状発光装置では不透明端部4aの端縁の位置と等しい)を二点破線で示している。
図1に示すように、面状発光装置では、端部4が重ねられて複数の有機EL素子Aが面状に配設される。このとき、図1(a)に示すように、端部4には段部5が設けられているために、この段部5に有機EL素子Aを嵌め込んで配設することができる。このように、段部5が設けられていると、複数の有機EL素子Aを面状に並べて設置する際に、段部5を噛み合わせて有機EL素子Aを配設することができ、重ね合わせの寸法幅の調整が容易になり、精度よく簡単に有機EL素子Aの端部4を重ねることができる。
本形態の有機EL素子Aでは、基板段部5aと封止段部5bの両方が設けられている。それにより、基板段部5aと封止段部5bとを重ねて隣り合う有機EL素子Aを配設することができ、容易に有機EL素子Aの端部4を重ねて面状発光装置を形成することができる。このとき、基板段部5aが形成されて発光面側が凹んだ有機EL素子Aの端部4に、封止段部5bが形成されて発光面とは反対側の面が凹んだ有機EL素子Aの端部4を重ねて嵌め込むことにより、有機EL素子Aのタイリングが容易になる。また、有機EL素子Aを二つの段部5の位置で重ねることができるので、面状発光装置の表面の凹凸をより小さくすることができる。
図2(a)に示すように、段部5は所定の幅Wで設けられている。段部5の幅Wは端部4の端縁全長に亘って同じ幅寸法であってもよい。このとき、基板段部5aの幅W1と封止段部5bの幅W2とは略同じ幅であることが好ましい。基板段部5aと封止段部5bの幅寸法が略同じになることにより、重ね幅分の段部5を両側に設けて寸法よく段部5同士を噛み合わせることができる。また、封止段部5bの幅寸法が基板段部5aよりもやや大きくてもよい。その場合、面状発光装置の光取り出し側の面で基板同士の隙間が形成されるのを抑制することができる。
段部5(基板段部5a及び封止段部5b)の凹み寸法は、特に限定されるものではないが、基板強度を確保しながら凹凸を小さくするために、例えば、各基板(透光性基板1及び封止基板2)の厚みの0.1倍から0.5倍の範囲にすることができる。また、基板段部5aの凹み寸法(段の深さ)と封止段部5bの凹み寸法(段の深さ)とは、異なっていてもよいし、同じであってもよい。
本形態の面状発光装置においては、不透明端部4aの前方(光取り出し側)には、透明端部4bが配置されている。そして、好ましくは、電極端子3が形成された不透明端部4aの前方に有機発光体10が配置されている。不透明端部4aの前方に有機発光体10を配置することにより、発光面から見た場合に、不透明端部4aを発光領域Pの後方に配置させることができ、非発光の領域を小さくすることができる。
面状発光装置においては、有機EL素子Aが同一面において二以上で重ねられて面状に配設されていることが好ましい。本形態では、図1(a)及び(b)に示すような端部4の重ね合わせを縦方向及び横方向に行って、有機EL素子Aの上に、同一面において二以上の他の有機EL素子Aが重ねられている。いわば、複数の有機EL素子Aが、うろこ状に配設されている。本形態において、うろこ状とは、連続する略同形状の板状体が敷き詰めて並べられた場合に、ある板状体が、ある端部において他の板状体の上に配置されるとともに、他の端部において別の他の板状体の下に配置されるような形状であってよい。本形態の有機EL素子Aは、電極端子3が形成された不透明端部4aを隣り合う二辺に配置しているため、うろこ状に簡単に重ねて不透明端部4aの前方に有機発光体10を配置することができる。そして、図1の形態の面状発光装置を構成している一の有機EL素子Aにおいては、不透明端部4aの上に他の有機EL素子Aの透明端部4bが重ねられており、また、透明端部4bが別の他の有機EL素子Aの不透明端部4aの上に重なっている。このため、うろこ状の配置となっている。なお、面状発光装置の端部に配置された有機EL素子Aにおいては、もちろん、他の有機EL素子Aが重なっていない端部4を有していてもよい。
図1(b)は、光が取り出される方向から見た面状発光装置の発光状態の様子を示している。面状発光装置においては、複数の有機EL素子Aが縦横の方向に面状に配設されており、発光領域Pが面状に並べられて、全体として面状の発光を得ることができる。そして、本形態の面状発光装置では、不透明端部4aの前方に、有機発光体10によって構成される発光領域Pが配置されているために、発光領域P間に形成される非発光の領域を小さくしたり、消失したりすることができるものである。図1(b)では、隣り合う有機EL素子Aにおける各発光領域Pが切れ目なく配設されている。すなわち、図1(b)では不透明端部4aにより形成される不透明部分を斜線領域で示しているが、有機EL素子Aが敷き詰められた部分では、不透明端部4aは、前方に透明端部4bが重ねられて有機発光体10が配置しているため、発光領域Pの後方に隠れている。そして、隣り合う有機EL素子Aにおいては、有機発光体10同士が平面視において隙間なく配置され、発光領域Pが切れ目なく敷き詰められている。そのため、発光した際には、複数の有機EL素子Aの発光領域Pは連続したものとなり、全体として一体化した面状の発光を得やすくすることができる。したがって、非発光の領域を減らすことができ、照明性能の高い面状発光装置を形成することができる。
段部5は、本形態のように、他の有機EL素子Aを重ねたときに、隣り合う有機EL素子の発光領域Pが、平面視において離間しないような幅で設けられていることが好ましいものである。それにより、発光領域Pを切れ目なく連続させて配置することができ、非発光の領域のない一体化された面状の発光を得やすくすることができる。
図3は、有機EL素子Aの端部4の重なりを説明するものである。面状発光装置においては、有機EL素子Aが、複数個、段部5が設けられた端部4を重ねて配設された場合に、隣り合う有機EL素子Aの発光領域Pが、平面視において離間せずに配置されていることが好ましいものである。それにより、切れ目のない一体化された面状の発光を得やすくすることができる。また、面内の発光割合を増加させることができる。
図3(a)の形態では、隣り合う有機EL素子Aの有機発光体10の間には平面視において離間した離間領域S1が形成されている。この離間領域S1は、発光させたときに、発光領域Pの隙間の非発光の領域になる。このように離間領域S1が形成されると、離間領域S1によって非発光の部分が形成されるために一体化した面状の発光が得られにくくなる。
一方、図3(b)の形態においては、隣り合う有機EL素子Aでは、有機発光体10の外縁の位置が平面視において同じ位置になっており、有機発光体10の間には離間領域が形成されていない。そのため、発光させたときに、発光領域Pが連続して一体化した面状の発光を得やすくすることができる。
また、図3(c)の形態においては、隣り合う有機EL素子Aでは、有機発光体10が平面視において重複しており、有機発光体10の重複領域S2が形成されている。本形態でも、発光させたときに、発光領域Pが連続して一体化した面状の発光を得やすくすることができる。ただし、重複領域S2が大きいと、発光が無駄になるおそれがあるので、図3(b)のように、隣り合う有機発光体10の外縁(発光領域Pの外縁)が平面視においてほぼ同じ位置か、図3(c)のように発光領域Pがやや重なるように配置することが好ましい。発光領域Pが重なる場合、重なり幅は、段部5の幅より小さいものであってよい。
ところで、図1(b)のように、複数の有機EL素子Aを面状に配設した場合、四角形(多角形)の角部においては有機EL素子Aが三つ以上重なることがある。図1の形態では、面状発光装置の内部においては有機EL素子Aの角部が四つ重なる部分が形成される。ここで、四角形の有機EL素子Aでは、各端部4に対応した四つの辺によって四つの角部が形成される。図2(d)で示されるように、四つの角部は、不透明端部4aの辺と不透明端部4aの辺とで構成される角部、透明端部4bの辺と透明端部4bの辺とで構成される角部、及び、不透明端部4aの辺と透明端部4bの辺とで構成される二つの角部で構成される。そして、各角部には、端部4において延伸する段部5が形成されている。すなわち、不透明端部4aの辺と不透明端部4aの辺とで構成される角部には、基板段部5aが形成されている。また、透明端部4bの辺と透明端部4bの辺とで構成される角部には封止端部5bが形成されている。また、不透明端部4aの辺と透明端部4bの辺とで構成される角部には、基板端部5a及び封止端部5bの両方が形成されている。したがって、面状発光装置を形成する際に、有機EL素子4を角部で四つ重ねて配設したとしても、表面が盛り上がりすぎるようなことを抑制して、有機EL素子を配設することができるものである。なお、角部での盛り上がりをさらに抑制するために、角部における段部5の凹み寸法(段の深さ)を、角部以外の段部5の凹み寸法よりも大きくしてもよい。その際、角部で端部4が重ねられた厚みの合計が、角部以外で端部4が重ねられた厚みの合計と略等しくなるように、角部における段部5の凹み寸法が調整されていてもよい。
ここで、電極端子3は、発光領域Pの多角形の角部を跨いで連続して形成される部分以外の角部C1(電極端子3の端部)においては、発光領域Pの多角形における透明端部4b側に配置される辺を延伸させた直線L1をはみ出さずに形成されていることが好ましい。これにより、角部C1において電極端子3が透明端部4b側にはみ出して形成されなくなり、タイリングした際に電極端子3をより面状発光装置の背面(後面)に配置しやすくすることができ、非発光の部分を形成させにくくすることができる。この電極端子3の端部が配置される角部C1は、透明端部4bと不透明端部4aとの境界部分に配置される角部C1であってよい。そして、この角部C1を透明にして透明端部4bで構成することが好ましいものである。また、透明端部4bと不透明端部4aとの境界線(電極端子3の外縁)は、発光領域Pの多角形における透明端部4b側に配置される辺を延伸させた直線L1上であることが好ましい。それにより、電極端子3をより大きくすることができ、通電性を高めることができる。
図2に示す有機EL素子Aは、透光性基板1及び封止基板2に段部5を適宜の方法で設けることによって形成することができる。段部5は、有機発光体10を積層形成する前の基板材料の状態のときに形成してもよいし、有機発光体10を積層して封止した後に有機EL素子Aを端部加工することにより形成してもよい。ただし、有機発光体10にダメージを与えにくくするためには、基板材料の状態のときに段部5を形成することが好ましい。段部5は、例えば、エッチング液などによる化学的なエッチングや、研磨や粒子の噴き付けなどによる物理的なエッチングや、レーザや切断刃などによる物理的なカッティングなどによって形成することができる。あるいは、透光性基板1や封止基板2を構成する基板材料を熱により軟化させて加圧成形して段部5を形成してもよい。例えば、封止基板2においては、加熱プレス成形することにより、有機発光体10を収納する収納凹部と封止段部5bとを同時に形成することが可能であり、効率よく段部5を形成することができる。なお、有機発光体10の積層や封止は、通常の方法により行うことができる。
図1に示す面状発光装置は、図2に示すような有機EL素子Aを、複数個、端部4を重ねて面状に敷き詰めるようにして配設することによって形成することができる。このとき、段部5を重ねることにより、端部4の重ね幅を容易に調節することができ、有機EL素子Aのタイリングが容易になる。また、面状発光装置の形成にあたっては、隣り合う有機EL素子Aの端部4を接着剤により接着して固定することが好ましい。それにより、複数の有機EL素子Aが固着して一体化されるため、有機EL素子Aが個別にずれたりすることのない一体化した面状発光装置を得ることができる。また、重ね合わせ部分において有機EL素子Aの間に隙間が形成されたとしても、この隙間を接着剤で塞ぐことができるため、隙間のないパネル状の面状発光装置を得ることができる。光を透過させるためには、接着剤は透明なものが好ましい。
図4は、面状発光装置の実施形態の他の一例である。図1の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図4の形態の面状発光装置を構成する有機EL素子Aでは、複数の端部4における段部5が設けられた側とは反対側の面に、この端部4の端縁に沿って端部4が傾斜面となった傾斜部6が設けられている。傾斜部6を設けることにより、面状発光装置の表面の凹凸をより小さくすることができる。
傾斜部6は、不透明端部4aにおける封止基板2の素子外部側の面の端部4が傾斜した封止傾斜部6a、及び、透明端部4bにおける透光性基板1の素子外部側の面の端部4が傾斜した基板傾斜部6b、の少なくとも一方により構成することができる。図4の形態では、封止傾斜部6a及び基板傾斜部6bの両方が形成されている。それにより、面状発光装置の光取り出し側の面(前面)と、面状発光装置の背面(後面)の両方において凹凸を小さくすることができる。また、両面に傾斜部6を形成すると、装置を薄型化することができる。
傾斜部6の傾斜角度は、特に限定されるものではないが、面状発光装置全体の表面に平行な面となる角度であってよい。それにより、凹凸をより小さくすることができる。
有機EL素子Aに傾斜部6が設けられる場合、傾斜部6として、封止傾斜部6a及び基板傾斜部6bの一方が形成されたものであってもよい。基板傾斜部6bを形成した場合、光取り出し側の面における凹凸を小さくして外観を向上させることができるとともに、照明性能を高めることができる。また、封止傾斜部6aを形成した場合、装置の背面における凹凸を小さくして、電極端子3に電気配線を接続しやすくしたり、面状発光装置を他の部材に取り付けやすくしたりすることができる。ただし、両面の凹凸を小さくするためには、封止傾斜部6a及び基板傾斜部6bの両方を形成することがより好ましい。
傾斜部6の形成は、段部5と同様の方法で形成することができる。ここで、段部5と傾斜部6とを、同時に又は連続して形成するようにすれば、効率よく傾斜部6を形成することができる。
図5は、面状発光装置の実施形態の他の一例である。図1の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図5の形態の面状発光装置を構成する有機EL素子Aでは、段部5として、上記で示した形態と同様の封止段部5bが設けられているが、基板段部5aが設けられていない点が、図1及び図2の形態とは異なっている。
図5に示すように、本形態においても、段部5(封止段部5b)に、隣り合う有機EL素子Aの端部4が重ねられることにより複数の有機EL素子Aが配設されて、面状発光装置が構成されている。図5の形態では、透光性基板1の端部4(不透明端部4a)の角が封止段部5bに嵌まり込んでいる。そして、有機EL素子Aの端部4の重なりにより、不透明端部4aの前方に有機発光体10を配置することができるため、非発光の領域を小さくすることができる。本形態では、透光性基板1には段部5を設けずに、封止基板2に段部5(封止段部5b)を設ければよいので、図1の形態よりも段部5の形成が容易になる。ただし、図5の形態では、図1の形態のように基板段部5aを設けていないため、図1の形態よりも凹凸が大きくなるおそれがあり、薄型化のためには、図1の形態の方が有利である。
図6は、面状発光装置の実施形態の他の一例である。図1の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図6の形態の面状発光装置を構成する有機EL素子Aでは、段部5として、上記で示した形態と同様の基板段部5aが設けられているが、封止段部5bが設けられていない点が、図1及び図2の形態とは異なっている。
図6に示すように、本形態においても、段部5(基板段部5a)に、隣り合う有機EL素子Aの端部4が重ねられることにより複数の有機EL素子Aが配設されて、面状発光装置が構成されている。図6の形態では、封止基板2の端部4(透明端部4b)の角が基板段部5aに嵌まり込んでいる。そして、有機EL素子Aの端部4の重なりにより、不透明端部4aの前方に有機発光体10を配置することができるため、非発光の領域を小さくすることができる。本形態では、封止基板2には段部5を設けずに、透光性基板1に段部5(基板段部5a)を設ければよいので、図1の形態よりも段部5の形成が容易になる。ただし、図6の形態では、図1の形態のように封止段部5bを設けていないため、図1の形態よりも凹凸が大きくなるおそれがあり、薄型化のためには、図1の形態の方が有利である。
図7(a)は、面状発光装置の実施形態の他の一例であり、図7(b)は、図7(a)の面状発光装置を構成する有機EL素子Aの一例を示している。図1の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7(b)に示すように、本形態の有機EL素子Aでは、発光領域Pの平面視における形状は六角形に形成されている。この六角形は、面状に配設することができる形状であれば、縦長又は横長の六角形形状であってもよいが、有機EL素子Aを面状に簡単に配設するためには、線対称性を有することが好ましい。線対称は上下と左右の2方向の線対称であることがより好ましい。発光領域Pの六角形形状は、好ましくは、正六角形である。それにより、面状に容易に配設して発光領域Pの隙間を小さくすることができる。
図7(a)の形態の面状発光装置の断面形状は、図1(a)と同様のものであってもよく、有機EL素子Aの断面形状は、図2(a)と同様のものであってもよい。すなわち、有機EL素子Aにおいては、発光領域Pの六角形を構成する六つの辺に位置する六つの端部4は、電極端子3が設けられた不透明な不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明な透明端部4bとを有して構成されている。そして、一以上の端部4に、他の有機EL素子Aの端部4を重ねるための段部5が設けられている。この段部5は、不透明端部4aにおける透光性基板1の素子外部側の面が段状に凹んだ基板段部5a、及び、透明端部4bにおける封止基板2の素子外部側の面が段状に凹んだ封止段部5bにより構成されている。
本形態では、有機EL素子Aは六角形に形成されており、この六角形の辺を構成する六つの端部4は、三つの不透明端部4aと、三つの透明端部4bとで構成されている。不透明端部4aは六角形の隣り合う三辺に配置されており、また、透明端部4bは六角形の隣り合う三辺に配置されている。不透明端部4a及び透明端部4bがこのように配置されることにより、発光領域Pの隙間を小さくして複数の有機EL素子Aを配設することがより可能になる。
そして、図7(a)の形態においては、複数の有機EL素子Aを端部4を重ねて配設したときには、図1の形態と同様に、不透明端部4aの前方に他の有機EL素子Aの有機発光体10を配置させることができるため、発光領域Pの隙間を小さくすることができる。そして、発光領域Pの離間領域を失くした場合には、一体化した面状の発光を得やすくすることができる。また、基板段部5aと封止段部5bとを重ねて配置することができるため、表面の凹凸を小さくすることができる。また、段部5を利用して有機EL素子Aを重ね合わせるため、端部4の重ね合わせが容易になる。
ここで、電極端子3は、発光領域Pの多角形の角部を跨いで連続して形成される部分以外の角部C1(電極端子3の端部)においては、発光領域Pの多角形における透明端部4b側に配置される辺を延伸させた直線L1をはみ出さずに形成されていることが好ましい。これにより、角部C1において電極端子3が透明端部4b側にはみ出して形成されなくなり、タイリングした際に電極端子3をより面状発光装置の背面(後面)に配置しやすくすることができ、非発光の部分を形成させにくくすることができる。この電極端子3の端部が配置される角部C1は、透明端部4bと不透明端部4aとの境界部分に配置される角部C1であってよい。そして、この角部C1を透明にして透明端部4bで構成することが好ましいものである。また、透明端部4bと不透明端部4aとの境界線(電極端子3の外縁)は、発光領域Pの多角形における透明端部4b側に配置される辺を延伸させた直線L1上であることが好ましい。それにより、電極端子3をより大きくすることができ、通電性を高めることができる。
なお、図7の形態においても、図5又は図6の形態のように、段部5として基板段部5a及び封止段部5bのいずれか一方を設け、この段部5に有機EL素子Aを重ねるようにしてもよい。また、図4の形態のように、傾斜部6として封止傾斜部6a及び基板傾斜部6bの一方又は両方を設けて、表面の凹凸を小さくするようにしてもよい。
面状発光装置に用いる有機EL素子Aにおいては、その形状は多角形であればよく、四角形や六角形に限定されるものではない。例えば、三角形、五角形、八角形などの形状や、異種の形状の多角形が混在するものであってもよい。要するに、端部4に設けられた段部5を利用して有機EL素子Aの端部4を重ねて、発光領域Pの離間距離を小さくできる形状であればよく、適宜の形状により構成することができるものである。
図8は、面状発光装置の実施形態の他の一例である。上記の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図8の形態の面状発光装置では、略同一形状の複数の第1の有機EL素子A1が端部4を重ねて配設されている。そして、この面状発光装置の端部に、第1の有機EL素子A1とは異なる形状の第2の有機EL素子A2が、第1の有機EL素子A1に端部4を重ねて配設されている。本形態では、第1の有機EL素子A1は、六角形形状であり、図7の形態で示した有機EL素子Aと同様のものを用いることができる。第2の有機EL素子A2は、全体の発光面の形状を所望の形状(図8の形態では矩形状)にするために、第1の有機EL素子A1が配設された外周部に配置される有機EL素子Aである。図8に示すように、第2の有機EL素子A2の形状、及び、その発光領域Pの形状は、三角形や四角形や五角形の形状などであってよい。また、第2の有機EL素子Aは、複数の種類の形状により構成されるものであってよい。ただし、第1の有機EL素子Aに重ねて配設されたときに、発光領域Pが離間しないような形状であることが好ましい。
図8の形態においても、有機EL素子Aには、端部4を重ねるための段部5が設けられており、段部5で有機EL素子Aが重ねられて発光領域Pが一体化されるため、隙間のない面状の発光を得ることが可能である。また、段部5が設けられることにより、複数の有機EL素子Aを重ね合わせやすくすることができる。
なお、第1の有機EL素子Aは、四角形であってもよいし、四角形や六角形以外の他の形状であってももちろんよい。
図8の形態では、第2の有機EL素子A2を用いることにより、発光面の形状を適宜の形状にすることができ、所望の発光形状を形成することが可能な照明性能の高い面状発光装置を得ることができる。
図9(a)は、有機EL素子Aの実施形態の他の一例であり、図9(b)及び(c)は、図9(a)の有機EL素子Aを複数個用いた面状発光装置の実施形態の一例である。上記の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
本形態では、有機EL素子Aが、一方向に端部4が重ねられて帯状に配設されている。すなわち、図9(b)に示すように、有機EL素子Aは一方向(本図では横方向)に並設されているが、縦方向には設置されていない。
図9(a)の有機EL素子Aでは、発光領域Pの平面視における形状は四角形となっている。この四角形を構成する複数(四つ)の辺に位置する複数(四つ)の端部4は、有機発光層8に電気を供給するための電極端子3が設けられた不透明な不透明端部4aと、電極端子3が設けられていない透明な透明端部4bとを有して構成されている。複数の端部4のうちの一以上の端部4に、他の有機EL素子Aの端部を重ねるための段部5が設けられている。
図9(a)の形態では、不透明端部4aは二つ設けられ、透明端部4bは二つ設けられている。二つの不透明端部4aは四角形の対向する辺に配置されている。また、二つの透明端部4bは四角形の対向する辺に配置されている。
そして、本形態では、段部5として、一方の透明端部4bにおいて封止基板2の素子外部側の面が段状に凹んだ封止段部5bが設けられ、他方の透明端部4bにおいて透光性基板1の素子外部側の面が段状に凹んだ基板段部5cが設けられている。封止段部5bと基板段部5cとは、四角形の対向する辺にそれぞれ設けられている。すなわち、両側部に配置される透明端部4bにおいては、一方の透明端部4bに基板段部5bが設けられ、他方の透明端部4bに基板段部5cが設けられている。なお、図2の形態における基板段部5aとは異なり、基板段部5cは、透明端部4bに設けられる段部5(透明端部4bの基板段部)である。
図9の形態に示す面状発光装置においては、複数の有機EL素子Aは、段部5に他の有機EL素子の端部4が重ねられて配設されている。図9(b)及び(c)に示すように、本形態では、透明端部4bの上に透明端部4bが重ねられている。このとき、一の有機EL素子Aの基板段部5cと他の有機EL素子Aの封止段部5bとが噛み合わされて端部4が重ねられている。そして、有機EL素子Aの端部4の重なりにより、発光領域Pの隙間が小さくなり、あるいは消失する。このように、有機EL素子Aの端部4を重ねるための段部5が設けられていることにより、非発光領域が目立ちにくくなるとともに発光量が大きく、外観に優れ、照明性能が高い面状発光装置を得ることができる。また、段部5を利用して重ね合わせることができるので、容易に端部4を重ねて有機EL素子Aを配設して面状発光装置を作製することができる。
本形態では、電極端子3を四角形の両側の辺に配設することができるため、面内に均一な発光を得やすくすることができる。また、帯状に長い発光面を形成することができるため、線状の発光を得たい場合に有利である。なお、本形態の変形例として、不透明端部4aを一つの辺に設け、透明端部4bを三つの辺に設けるようにしてももちろんよい。
本形態のように、透明端部4bにおいて、透光性基板1の素子外部側の面(封止基板2とは反対側の面)を段状に凹ませて、基板段部5cを設けることも好ましい形態の一つである。それにより、透明端部4b同士を重ねて有機EL素子Aを配設した際に、透明端部4bの近傍に配置された隣り合う発光領域Pの外縁を近づけることができ、発光領域Pの離間領域を小さくすることができる。
透明端部4bに段部5を設けて重ね合わせる形態(透明端部4bの基板段部5cを設ける形態)は、図1及び図2のように、うろこ状の配設される形態に適用してもよい。例えば、図1及び図2の形態において、不透明端部4aを一つにするとともに、透明端部4bを三つにした場合には、少なくとも一つの透明端部4bにおいて、図9の形態に示すような透明端部4bの基板段部5cを設けるようにすれば、うろこ状に有機EL素子Aを配設しやすくすることができる。
1 透光性基板
2 封止基板
3 電極端子
4 端部
4a 不透明端部
4b 透明端部
5 段部
5a 基板段部
5b 封止段部
5c 基板段部
6 傾斜部
6a 封止傾斜部
6b 基板傾斜部
7 第1電極
8 有機発光層
9 第2電極
10 有機発光体
11 封止間隙
A 有機エレクトロルミネッセンス素子
P 発光領域
2 封止基板
3 電極端子
4 端部
4a 不透明端部
4b 透明端部
5 段部
5a 基板段部
5b 封止段部
5c 基板段部
6 傾斜部
6a 封止傾斜部
6b 基板傾斜部
7 第1電極
8 有機発光層
9 第2電極
10 有機発光体
11 封止間隙
A 有機エレクトロルミネッセンス素子
P 発光領域
Claims (9)
- 透光性基板に、透光性の第1電極と有機発光層と光反射性の第2電極とをこの順で有する有機発光体が形成され、前記有機発光体は、前記透光性基板に接着される透明な封止基板によって覆われて封止されている有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
当該有機エレクトロルミネッセンス素子の発光領域の平面視における形状は多角形であり、この多角形を構成する複数の辺に位置する複数の端部は、前記有機発光層に電気を供給するための電極端子が設けられた不透明な不透明端部と、前記電極端子が設けられていない透明な透明端部とを有し、
前記複数の端部のうちの一以上の端部に、他の有機エレクトロルミネッセンス素子の端部を重ねるための段部が設けられており、
前記段部は、前記不透明端部における前記透光性基板の素子外部側の面が段状に凹んだ基板段部、及び、前記透明端部における前記封止基板の素子外部側の面が段状に凹んだ封止段部、の少なくとも一方により構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記基板段部及び前記封止段部の両方が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記段部は、他の有機エレクトロルミネッセンス素子を重ねたときに、隣り合う有機エレクトロルミネッセンス素子の前記発光領域が、平面視において離間しないような幅で設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記複数の端部における前記段部が設けられた側とは反対側の面に、この端部の端縁に沿って端部が傾斜面となった傾斜部が設けられ、
前記傾斜部は、前記不透明端部における前記封止基板の素子外部側の面の端部が傾斜した封止傾斜部、及び、前記透明端部における前記透光性基板の素子外部側の面の端部が傾斜した基板傾斜部、の少なくとも一方により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記発光領域の平面視形状が四角形又は六角形であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が、複数個、前記段部が設けられた端部を重ねて配設され、隣り合う前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光領域が、平面視において離間せずに配置されていることを特徴とする面状発光装置。
- 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が同一面において二以上で重ねられて面状に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の面状発光装置。
- 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が帯状に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の面状発光装置。
- 当該面状発光装置は、略同一形状の複数の第1の有機エレクトロルミネッセンス素子が端部を重ねて配設されるとともに、当該面状発光装置の端部に、前記第1の有機エレクトロルミネッセンス素子とは異なる形状の第2の有機エレクトロルミネッセンス素子が、第1の有機エレクトロルミネッセンス素子に端部を重ねて配設されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の面状発光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012155689A JP2014017204A (ja) | 2012-07-11 | 2012-07-11 | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び面状発光装置 |
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JP2012155689A JP2014017204A (ja) | 2012-07-11 | 2012-07-11 | 有機エレクトロルミネッセンス素子及び面状発光装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015198011A (ja) * | 2014-04-01 | 2015-11-09 | 株式会社小糸製作所 | 車輌用灯具 |
US20170141076A1 (en) * | 2014-07-23 | 2017-05-18 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Light emitting device |
-
2012
- 2012-07-11 JP JP2012155689A patent/JP2014017204A/ja active Pending
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