JP2014009921A - 空気調和機の室内機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の空気調和機の室内機A1は、少なくとも上方から空気が内部に流入するように流路が形成される筐体1と、前記筐体1内に配置される貫流ファン6と、前記貫流ファン6に吸い込まれる空気流Fの上流側で前記貫流ファン6を囲むように前記筐体1内に配置される熱交換器20と、前記貫流ファン6の吸込側が規定される前記貫流ファン6の天頂部及び前方部のみに、前記貫流ファン6の回転方向と逆方向の予旋回を与える静翼14a,14bを設置したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この室内機では、空気流が静翼によって貫流ファンの翼の負圧面側に当たるように構成されている。したがって、この室内機によれば、貫流ファンの翼の負圧面での渦の発生が抑制されるので、貫流ファンを駆動するファンモータの消費電力を低減することができる。
また、空気調和機の室内機としては、貫流ファンの回転方向とは逆の方向に予旋回を付与する複数の案内羽根が、貫流ファンの吸込領域の略全域に渡って円弧状に複数配置されたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この室内機によれば、貫流ファンの吐出風量を増加させることができる。
(第1実施形態)
本実施形態に係る空気調和機の室内機は、後に詳しく説明するように、貫流ファンに対応する所定の位置にのみ、貫流ファンに対して逆予旋回の与える静翼を設けたことを主な特徴とする。以下では、室内機の全体構成について説明した後に、静翼について説明する。なお、以下の説明における前後上下の方向は、本実施形態に係る室内機を室内に通常配置した状態を示す図1に示す前後上下の方向を基準とする(以下、第2実施形態から第4実施形態において同じ)。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の室内機の側断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る室内機A1は、筐体1の内側に熱交換器20と、貫流ファン6と、を備えている。
図1中、符号Fは、空気流である。
本実施形態での横型案内羽根12の平面形状は、前記の吹出口23の開口形状に合わせて、長細い略矩形に形成されている。横型案内羽根12は、その後端縁が軸12aで軸支され、その前端縁が軸12a周りに上下方向に回動可能となっている。つまり、横型案内羽根12は、吹出口23から室内に吹き出される空気(風)の上下の方向を制御するようになっている。この横型案内羽根12の回動は、軸12aに設けられたパルスモータ等のアクチュエータ(図示省略)を駆動制御することによって行われる。この際、横型案内羽根12の回動角度は所定の角度となるように、又は回動角度が連続的に変化するように(揺動するように)駆動制御される。ちなみに、運転停止時の横型案内羽根12は吹出口23を閉じている。そして、室内機停止時にこの横型案内羽根12及び前記のフロントパネル4aが閉じられることによって、室内機A1の外観の意匠性が高められることとなる。
この貫流ファン6は、複数の略円筒形状のファンブロック(図示省略)が同心となるように仕切板(図示省略)を介して並設されたものである。ちなみに、各ファンブロックは、細長い複数の翼7が略円筒形状を形成するように周方向に並列配置されている。更に具体的には、側断面視で一方に凹面、他方に凸面となるように湾曲する翼7の当該凹面側が、図1中の右回り(時計回り)に回転する貫流ファン6の回転方向を向くように配置されている。なお、図1中、符号14a,14bは、貫流ファン6の回転方向と逆方向の予旋回(逆予旋回)を与える、後に詳しく説明する静翼である。
この貫流ファン6は、筐体1の吹出口23の左右の幅(図1参照)と略同じ長さであり、貫流ファン6の周面の一部が筐体1の吹出口23に隣接するように配置されている。
図2に示すように、本実施形態でのケーシング10(10a,10b)は、前記したように、貫流ファン6を挟み込むように配置されると共に、その下方で吹出口23を形成している。貫流ファン6の後方に配置されるケーシング10bは、貫流ファン6の後斜め上方から下方にわたって延在し、貫流ファン6に対して凹となるように湾曲している。そして、ケーシング10bは、概ね貫流ファン6の後斜め上方に対応するその上方端縁8側から吹出口23側の下端縁に向かうにしたがって、貫流ファン6との隔たりが徐々に広がっている。ちなみに、前記の後斜め上方の対応する上方端縁8近傍のケーシング10b部分をリアガイダともいう。
つまり、貫流ファン6においては、熱交換器20(図1参照)と対向する側で、ケーシング10bの上方端縁8からケーシング10aの舌部9に渡って、空気流Fの吸込領域Inが規定される。この吸込領域Inは、特許請求の範囲にいう「吸込側」に相当する。
なお、図2中、符号7は、貫流ファン6の翼であり、符号14a及び14bは、静翼であり、符号31aは、後記する天頂部の範囲であり、符号31bは、後記する前方部の範囲である。
ちなみに、図3中の符号γは、前記の「吸込領域Inから貫流ファン6に流れ込む空気流Fの進入角度」(図2参照)である。ちなみに、図3で示される進入角度γの大きさは、図2で示される進入角度γに合わせて示したものではなく、図2に示す位相θが90°の位置において貫流ファン6の外周部30(図2参照)の接線方向に対して垂直な方向から進入する空気流Fの進入角度γを想定したものである。
ちなみに、図4及び図5は、静翼14a,14b(図2参照)を設けないと仮定した場合における、貫流ファン6(図2参照)の周方向の位相θに対する空気流Fの速度c及び空気流Fの進入角度γの関係を示すグラフである。
また、図5に示すように、貫流ファン6(図2参照)に進入する空気流F(図2参照)の進入角度γは、貫流ファン6の周方向の位相θ[°]に応じて変化している。
また、図5に示すように、貫流ファン6の周方向の位相θよりも貫流ファン6に進入する空気流Fの進入角度γが大きい場合(θ<γ)、つまり、図5中の点線よりも上側にグラフ線図が位置する場合には、貫流ファン6に進入する空気流Fは、貫流ファン6の翼7に対して回転方向と逆方向の逆予旋回の成分を与えている。
次に、本実施形態に係る室内機A1(図1参照)における静翼14a,14b(図2参照)について説明する。
再び図2に戻って、本実施形態での静翼14a,14bは、前記したように、貫流ファン6の回転方向と逆方向の予旋回(逆予旋回)を与えるものであり、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される範囲内に配置されている。更に具体的には、本実施形態での静翼14a,14bのそれぞれは、貫流ファン6の吸込領域Inが規定される貫流ファン6の天頂部31a(位相θが90°の付近)及び前方部31b(位相θが0°の付近)のみに配置されている。
ちなみに、これらの静翼14a,14bは、筐体1(図1参照)の内壁側の適所に、所定のブラケット(図示省略)を介して取り付けられることとなる。
参照する図6は、貫流ファンの周方向の位相θ[°]と、貫流ファンの翼の回転方向先端における気流成分の流入角αとの関係を示すグラフである。
一般に、静翼14a,14bによって、逆予旋回を貫流ファン6に与える場合において(後記する予旋回を貫流ファン6に与える場合においても同じ)、貫流ファン6の翼7に流入する気流成分Fb(図3参照)の流入角α(図3参照)が適正な範囲(好適流入角)であることが重要となる。ここで貫流ファン6において翼7の翼面から剥離しないように貫流ファン6に逆予旋回を与える好適流入角を25°(理想値)に設定する場合を想定する。
一方、図6に示すように、流入角αは、貫流ファン6の周方向の位相θに応じて2つのピークを生じさせるカーブを形成する。つまり、流入角αが25°の図6中の点線が前記カーブのピークを横切る位置の位相θの値で、天頂部31a及び前方部31bの限定範囲が求められる。
また、本実施形態で規定される前方部31bは、貫流ファン6(図2参照)の周方向の位相θ[°]で表すと、−10°を超え、20°未満が望ましい。
なお、図6中、符号31c,31d,31eは、後記する本発明の第2実施形態で、静翼14c,14d,14eが配置される貫流ファン6の後斜め上方部、前斜め上方部、及び前斜め下方部である。
なお、図7中、符号Faは、貫流ファン6の回転速度に応じた相対的な速度uの気流成分であり、符号Fは、静翼14a,14bの上流側の空気流Fxを静翼14a,14bが案内した空気流の成分であり、符号Fbは、気流成分Faと空気流Fとの合成によって、翼7に流入角αで流入する気流成分である。
この室内機A1では、ファンモータ(図示省略)に通電されて貫流ファン6が図1及び図2の時計回りに回転すると、舌部9付近に循環渦13(図2参照)が形成されて、貫流ファン6を通過する空気流F(図2参照)が発生する。これにより、室内の空気は、図1に示す第1吸込口2及び第2吸込口3から室内機A1の内部に流入する。そして、フィルタ5によって埃が除去された空気流Fは、熱交換器20を通過して貫流ファン6に向かう際に、熱交換器20の伝熱管21に通流する冷媒との熱交換によって、冷房時には冷却され、暖房時には加熱される。
近年の空気調和機の室内機は、省エネ性能向上のために、より大きな熱交換器を搭載する傾向にある。そのため、室内機の奥行寸法が大きくなって、室内機内では、主に貫流ファンの上方から流れ込むこととなる。更には、フロントパネルが開放されることによって筐体の前方から流れ込む空気流についても、主に上方から下方に向かう流れとなる。
したがって、本実施形態に係る室内機A1によれば、貫流ファン6の昇圧効果が高まるので、貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
前記実施形態では、天頂部31aに1つの静翼14aを配置し、前方部31bに1つの静翼14bを配置する構成としたが、本発明は天頂部31aに複数の静翼14aを配置することができるし、前方部31bに複数の静翼14bを配置することができる。
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る室内機は、貫流ファンに対応する所定の位置にのみ、貫流ファンに対して予旋回の与える静翼を設けたことを主な特徴とし、これ以外の構成は前記の第1実施形態に係る室内機A1(図1及び図2参照)と同様である。したがって、以下では、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。参照する図8は、本発明の第2実施形態に係る空気調和機の室内機における貫流ファン付近の部分拡大図である。なお、図8中、図2の定義と同じであるθ及びγの記載は省略している。
ちなみに、これらの静翼14c,14d,14eは、筐体1(図1参照)の内壁側の適所に、所定のブラケット(図示省略)を介して取り付けられることとなる。
なお、図8中、符号30は、貫流ファン6の外周部である。
しかしながら、前記の第1実施形態において貫流ファン6(図2参照)に与えた適度な逆予旋回は、貫流ファン6に対する昇圧効果を高めるが、過度の逆予旋回は翼7(図2参照)の負圧面に大きな剥離を生じさせる。また、図4に示すように、位相θが50°の付近の「空気流の速度c」は、位相90°付近と同程度の高い速度cとなっており、前記の剥離が生じた際の昇圧効果の損失も大きい。
具体的には、図6に示す前記第1実施形態での天頂部31aの上限を規定した位相92°を超える領域、及び前記第1実施形態での前方部31bの下限を規定した位相−10°を下回る領域では、図4に示すように、空気流Fの速度cが小さくなる。そのために、元々、翼7の負圧面に剥離が生じやすくなっているところ、逆予旋回が生じているとその剥離が更に生じ易くなる。
ちなみに、位相θが20°の位置、及び60°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
なお、後斜め上部31cの上限を103°で規定したのは、図5の逆予旋回を与える位相θの上限が103°であることに基づくものである。
ちなみに、位相θが92°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
なお、後斜め上部31cの下限を−35°で規定したのは、本実施形態の舌部9の位置で規定される吸込領域Inの下限に対応させたものである。
ちなみに、位相θが−10°の位置には、予旋回及び逆予旋回のいずれの静翼も配置されない。
なお、図7中、符号Faは、貫流ファン6の回転速度に応じた相対的な速度uの気流成分であり、符号Fは、静翼14c,14d,14eの上流側の空気流Fxを静翼14c,14d,14eが案内した空気流の成分であり、符号Fbは、気流成分Faと空気流Fとの合成によって、翼7に流入角αで流入する気流成分である。
前記第2実施形態では、後方斜め上部31cに静翼14cが配置され、前方斜め上部31dに静翼14dが配置され、前方斜め下部31eに静翼14eが配置される構成となっているが、本発明は、貫流ファン6の後方斜め上部31c、前方斜め上部31d、及び前方斜め下部31eの領域のうちから選択される1つの領域のみ、又は2つの領域のみに、予旋回を与える静翼14c,14d,14eを設置することができる。
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る空気調和機の室内機における貫流ファン付近の部分拡大図である。なお、本実施形態において前記第1実施形態及び前記第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、図10中、図2の定義と同じであるθ及びγの記載は省略している。
なお、図10中、符号30は、貫流ファン6の外周部である。
また、本実施形態に係る室内機A3によれば、前斜め上部31dに配置される静翼14dによって、翼7の負圧面での気流成分の剥離を防止することで貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
したがって、本実施形態に係る室内機A3によれば、前記第1実施形態に係る室内機A1及び前記第2実施形態に係る室内機A2と比較して、より貫流ファン6の送風性能を向上させることができる。
これにより、本実施形態に係る室内機A3によれば、吸込領域Inの略全域に渡って一様に逆予旋回を与える静翼のみを設ける従来の室内機(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)と異なって、効率よく送風性能を向上させることができる。
前記第3実施形態では、前斜め上部31dのみに予旋回を与える静翼14dを配置したが、本発明はこの静翼14dに加えて、後斜め上部31c、及び前斜め下部31eのうちの少なくとも1つに静翼14c及び静翼14eのうちの少なくとも1つを配置する構成とすることができる。
また、本発明は、前斜め上部31dの静翼14dに代えて、後斜め上部31c、及び前斜め下部31eのうちの少なくとも1つに静翼14c及び静翼14eのうちの少なくとも1つを配置する構成とすることもできる。
次に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。
前記第1実施形態に係る室内機A1では、静翼14a,14bが貫流ファン6の長手方向(図1の紙面に垂直な方向)の略全体に渡って配置されるものを想定しているが、静翼14a,14bは、貫流ファン6の長手方向の一部の区間に設けられる構成することもできる。図11は、本発明の第4実施形態に係る空気調和機の室内機の貫流ファン及び静翼を上方から見下ろした様子を示す平面図である。なお、本実施形態において、前記第1実施形態から前記第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
前記第4実施形態では、第1実施形態における静翼14a,14bの変形例に相当するが、本発明は第2実施形態から第3実施形態における静翼14a,14b,14c,14d,14eが、貫流ファン6の両端部にのみ設けられた構成とすることもできる。
2 第1吸込口
3 第2吸込口
5 フィルタ
6 貫流ファン
7 翼
9 舌部
10 ケーシング
14a 静翼
14b 静翼
14c 静翼
14d 静翼
14e 静翼
20 熱交換器
31a 天頂部
31b 前方部
31c 後方斜め上部
31d 前方斜め上部
31e 前方斜め下部
A1 室内機
A2 室内機
A3 室内機
A4 室内機
F 空気流
In 吸込領域
Claims (4)
- 少なくとも上方から空気が内部に流入するように流路が形成される筐体と、
前記筐体内に配置される貫流ファンと、
前記貫流ファンに吸い込まれる空気流の上流側で前記貫流ファンを囲むように前記筐体内に配置される熱交換器と、
前記貫流ファンの吸込側が規定される前記貫流ファンの天頂部のみ、又は天頂部及び前方部のみに、前記貫流ファンの回転方向と逆方向の予旋回を与える静翼を設置したことを特徴とする空気調和機の室内機。 - 少なくとも上方から空気が内部に流入するように流路が形成される筐体と、
前記筐体内に配置される貫流ファンと、
前記貫流ファンに吸い込まれる空気流の上流側で前記貫流ファンを囲むように前記筐体内に配置される熱交換器と、
前記貫流ファンの吸込側が規定される前記貫流ファンの後方斜め上部、前方斜め上部、及び前方斜め下部の領域のうちから選択される1つの領域のみ、2つの領域のみ、又は3つの領域のみに、前記貫流ファンの回転方向と同方向の予旋回を与える静翼を設置したことを特徴とする空気調和機の室内機。 - 少なくとも上方から空気が内部に流入するように流路が形成される筐体と、
前記筐体内に配置される貫流ファンと、
前記貫流ファンに吸い込まれる空気流の上流側で前記貫流ファンを囲むように前記筐体内に配置される熱交換器と、
前記貫流ファンの吸込側が規定される前記貫流ファンの天頂部のみ、又は天頂部及び前方部のみに、前記貫流ファンの回転方向と逆方向の予旋回を与える静翼を設置すると共に、
前記貫流ファンの吸込側が規定される前記貫流ファンの前方斜め上部のみに、前記貫流ファンの回転方向と同方向の予旋回を与える静翼を設置したことを特徴とする空気調和機の室内機。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機の室内機において、
前記静翼が前記貫流ファンの回転軸方向に沿うように前記貫流ファンの両側のみに設置されていることを特徴とする空気調和機の室内機。
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