JP3812467B2 - 遠心送風機の羽根車及びそれを用いた遠心送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心送風機、特に主板の上下において風向が対向している遠心送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ターボファンなどの遠心送風機において、主板の上下における風向が対向しているものがある。例えば、図4に示される空気調和機の室内機1の中央部に設けられている従来用いられていたターボファン102において、中央上部に設けられているターボファン102を駆動する駆動モータ122を冷却する冷却風Vが流れているものがある。このとき、冷却風Vは、ターボファン102の主板125の上面を中心方向に流れ込んでいる。この冷却風Vによって駆動モータ122の発熱が抑制されるため、駆動モータ122は、オーバーヒートを抑えられて連続稼動することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図5には、図4のターボファン102の外周縁部の拡大図を示す。
ターボファン102の翼127が回転することにより、図4及び図5に示されるような主流Xが生じる。冷却風Vは、主板125の外周縁部において、この主流Xと流れる方向が逆であり、対向することになる。このため、主板125の外周縁部では、図5に示されるような乱流Rが生じることになる。この乱流Rの発生により、騒音、室内機1の内部に生じる抵抗、ファン性能の低下など様々な問題が生じることになる。
【0004】
本発明の課題は、遠心送風機の主板の外周縁部近傍に生じる乱流を抑制することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の遠心送風機の羽根車は、主板、複数の翼、及びシュラウドを備える。主板は、回転軸を中心として回転する。複数の翼は、回転軸を中心として回転可能に配置され、それぞれの一端が主板に固定されている。シュラウドは、複数の翼の他端を結び、内周側に開口を有する。また、主板は、外周縁部の厚みがその内側に比べて増している。
【0006】
遠心送風機は、羽根車が回転することにより、中心にある空気を翼によってその外方に押し出すことにより送風する。このため、概半径方向に向かって流れる主流が生じる。また、主板の外側(翼と反対側)には、主流と逆方向に流れる副流が流れている。この副流は、たとえば遠心送風機の中央部に設けられる駆動手段の冷却風などである。
【0007】
ここでは、主板の外周縁部が、その内側に比べて厚くなっている。これにより、主板の外周縁部の外側近傍で生じやすい主流と副流の衝突が緩和されるため、乱流の発生が抑制される。よって、乱流の発生により生じる騒音、送風機内の抵抗、送風機性能の低下を抑えて、低騒音化、性能向上を図ることができる。
請求項2に記載の遠心送風機の羽根車は、請求項1に記載の遠心送風機の羽根車であって、主板は、外周縁部が丸みを帯びている。
【0008】
ここでは、主板の外周縁部の外側近傍での主流及び副流の流れを双方滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。請求項3に記載の遠心送風機の羽根車は、請求項1または2に記載の遠心送風機の羽根車であって、主板の外周縁部の翼側が膨らんでいる。
ここでは、主流の流れを滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。
【0009】
請求項4に記載の遠心送風機の羽根車は、請求項1または2に記載の遠心送風機の羽根車であって、主板の外周縁部の翼と反対側が膨らんでいる。
ここでは、副流の流れを滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。
請求項5に記載の遠心送風機は、請求項1から4のいずれかに記載の羽根車、主板を回転させる駆動手段、及びシュラウドの内周側の開口に対向する吸込口を備える。
【0010】
ここでは、主板の外周縁部の外側近傍での乱流の発生が抑えられる羽根車を用いているため、遠心送風機の低騒音化及び性能向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係るターボファン2を内蔵した空気調和機の室内機1の外観斜視図(天井は省略)を図1に示す。室内機1は、室内に設置されており、室内の空気をターボファン2により吸込口12からケーシング11の内部に取り込み、熱交換等の空気調和された後、空気調和された空気を吹出口13からケーシング11の外部に吹き出して、室内に供給するものである。
【0012】
<全体の構成>
室内機1は、その外部がケーシング11により覆われている。
ケーシング11は、略直方体形状の外形を有している。ケーシング11の外部は、化粧パネル11a、天板11b、吸込口12、吹出口13などが設けられている。一方、ケーシング11の内部には、図2に示される室内機1の断面図から分かるように、ターボファン2、ベルマウス21、熱交換器31などが備えられている。
【0013】
化粧パネル11aは、ケーシング11の底部に設けられている。
天板11bは、ケーシング11の上部に設けられている。
吸込口12は、図1に示されるように、化粧パネル11aの中央部に設けられており、室内の空気を取り込む。
吹出口13は、化粧パネル11aの辺部近傍に設けられており、室内機1の内部で空気調和された空気を吹き出す。
【0014】
ターボファン2は、室内機1の中央部に設けられており、吸込口12からベルマウス21を経た空気を熱交換器31を経て吹出口13から吹き出すような空気の流れを生じさせる。ターボファン2は、駆動モータ22、伝達軸23、羽根車24を有している。駆動モータ22は、ターボファン2の中央上部に配置されており、伝達軸23を経て羽根車24を回転させる。羽根車24は、駆動モータ22により回転されることにより、内部の空気を外部に押し出す。羽根車24は、主板25、ボス26、複数の翼27、及びシュラウド28を有している。主板25は、羽根車24の上部に設けられている。また、主板25は、ボス26及び翼27と接続されている(図2参照)。また、主板25の外周縁部25aは、主板25の中央部よりも厚みが増している。この膨らみは、主板25の上下に設けられている(図3(a)参照)。ボス26は、伝達軸23と接続されており、駆動モータ22の回転を主板25に伝達する。翼27は、羽根車24の外周縁部に複数設けられており、主板25の回転によって風を起こし、羽根車24の内部の空気を外部に押し出す。シュラウド28は、羽根車24内部の整流を行う。シュラウド28は、翼27と接続されており、その中央部が開口となっている。
【0015】
ベルマウス21は、室内機1の中央部で羽根車24の下方且つ吸込口12の上方に設けられている。ベルマウス21は、シュラウド28の中央部の開口に進入しており、吸込口12からの空気を羽根車24の内部に導く。
熱交換器31は、その内部を通風する空気と熱交換を行うことにより、空気調和を行う。熱交換器31は、室内機1の内部でターボファン2の周囲を覆うように設けられている。
【0016】
<動作>
図示しない空気調和機のリモコンにより、室内の空気調和を行う命令がなされると、熱交換器31が冷却または加熱されると共に、ターボファン2が回転することにより室内の空気を室内機1に取り込み、空気調和を行った空気を室内に還流する。
【0017】
次に、ターボファン2が回転することにより生じる空気の流れについて図2及び図3に基づいて説明する。
室内の空気は、吸込口12から矢印Wのように吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ベルマウス21により中央部に収束され、シュラウド28の中央部から羽根車24に進入する。羽根車24に進入した空気は、羽根車24が回転することにより生じる圧力勾配により、シュラウド28及び主板25の形状に従って、図3(a)の矢印Xのようにターボファン2の外部に押し出される。
【0018】
この後に、大半の空気は、熱交換器31を通ることにより空気調和される。空気調和された空気は、吹出口13から矢印Yのように室内に還流される。上記のような空気の流れが継続されることにより、室内の空気が空気調和される。
一方、ターボファン2の外部に押し出された空気のうちの一部は、図3(b)の矢印Vのようにターボファン2の中央部へ流れる。この流れは、ターボファン2の中央部に設けられている駆動モータ22を冷却する流れである。
【0019】
<特徴>
主板25の上下を流れる、矢印Xの流れと、矢印Yの流れとは、逆方向の風向となっている。このため、主板25の外周縁部25aの近傍にて乱流Rが生じやすくなっている。しかし、本実施形態に係る室内機1では、外周縁部25aにおいて厚みが増している。この膨らみによって、矢印Xの流れは、羽根車24から外部に押し出されるときに主板25の近傍から離れる。他方、矢印Yの流れも同様に、外周縁部25aの付近において離れる流れとなる。これにより、外周縁部25aの近傍における矢印Xの流れと矢印Yの流れとの衝突が抑えられる。よって、乱流Rの発生が抑制される。これに従い、乱流の発生により生じる騒音が抑えられると共に、乱流による機内抵抗やターボファン2の性能低下などを抑制することが可能となる。
【0020】
<他の実施例>
上記の実施形態に係る室内機1では、主板25の外周縁部25aにおいて上下とも膨らみが設けられている。しかし、外周縁部25aの近傍において、対向する空気の流れの衝突が抑えられればよい。よって、図3(b)及び(c)のように外周縁部25aの上側または下側に膨らみを生じさせても良い。
【0021】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る遠心送風機の羽根車では、主板の外周縁部がその内側に比べて厚くなっている。これにより、主板の外周縁部の外側近傍で生じやすい主流と副流の衝突が緩和されるため、乱流の発生が抑制される。よって、乱流の発生により生じる騒音、送風機内の抵抗、送風機性能の低下を抑えて、低騒音化、性能向上を図ることができる。
【0022】
本発明の請求項2に係る遠心送風機の羽根車では、主板の外周縁部の外側近傍での主流及び副流の流れを双方滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。
本発明の請求項3に係る遠心送風機の羽根車では、主流の流れを滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。
【0023】
本発明の請求項4に係る遠心送風機の羽根車では、副流の流れを滑らかに回避させることが可能となる。よって、乱流の発生をより抑えることができる。
本発明の請求項5に係る遠心送風機の羽根車では、主板の外周縁部の外側近傍での乱流の発生が抑えられる羽根車を用いているため、遠心送風機の低騒音化及び性能向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和機の室内機の外観斜視図。
【図2】空気調和機の室内機の断面図。
【図3】ターボファンの羽根車の外周縁部の模式図。
【図4】従来の空気調和機の室内機の断面図。
【図5】従来の空気調和機の室内機の外周縁部の模式図。
【符号の説明】
1 室内機
2 ターボファン
11 ケーシング
11a 化粧パネル
11b 天板
12 吸込口
13 吹出口
21 ベルマウス
22 駆動モータ
23 伝達軸
24 羽根車
25 主板
25a 外周縁部
26 ボス
27 翼
28 シュラウド
31 熱交換器
Claims (5)
- 回転軸を中心として回転する主板(25)と、
前記回転軸を中心として回転可能に配置され、それぞれの一端が前記主板(25)に固定されている複数の翼(27)と、
前記複数の翼(27)の他端を結び、内周側に開口を有するシュラウド(28)と、
を備え、
前記主板(25)は、外周縁部(25a)の厚みがその内側に比べて増している、
遠心送風機(2)の羽根車(24)。 - 前記主板(25)は、前記外周縁部(25a)が丸みを帯びている、請求項1に記載の遠心送風機(2)の羽根車(24)。
- 前記主板(25)の前記外周縁部(25a)の前記翼(27)側が膨らんでいる、請求項1または2に記載の遠心送風機(2)の羽根車(24)。
- 前記主板(25)の前記外周縁部(25a)の前記翼(27)と反対側が膨らんでいる、請求項1または2に記載の遠心送風機(2)の羽根車(24)。
- 請求項1から4のいずれかに記載の羽根車(24)と、
前記主板(25)を回転させる駆動手段(22)と、
前記シュラウド(28)の内周側の開口に対向する吸込口(12)と、
を備える、遠心送風機(2)。
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- 2002-03-14 JP JP2002069662A patent/JP3812467B2/ja not_active Expired - Lifetime
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