JP5933759B2 - プロペラファン、送風装置、室外機 - Google Patents

プロペラファン、送風装置、室外機 Download PDF

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Description

本発明は、プロペラファン、送風装置、室外機に関するものである。
これまで、低騒音、高効率な送風機を実現するためのプロペラファンの翼形状について、幾つかの事例が提案されている。プロペラファンの低騒音化を図るためには、回転数の低減が有効であり、静圧上昇を促進することが必要である。また、流れの乱れを抑制して翼に働く圧力変動を抑制することも必要である。
例えば特許文献1には、翼の後縁部に、翼の回転方向と逆方向に突出する凸部を設けて、翼面積を増加させて静圧上昇量を増加させる翼が開示されている。また、特許文献2には、前縁部のボス寄りに回転方向に向けて凹む凹部を設けボス側の通過面積を増やし、且つ、後縁部のボス寄りにも回転方向と逆方向に突出する凸部を設けた翼が開示されている。
特開2007−024004号公報(図1、図3) 特開2002−54597号公報(図1、表1)
一般に、翼を通過した直後の気流の風速分布や静圧分布において径方向の差異が大きくなると、意図する流れ方向と別の流れ(2次流れ)により風量不足が起きたり、渦の発生により騒音増加や効率低下が生じたりする。
より詳細には、プロペラファンの翼面積は、外周側が広く、外周部を通過する気流の静圧上昇量は大きいが、内周側を通過する気流に対する翼面積は狭く、内周側を通過する気流の静圧上昇量が小さくなる。
また、翼の内周側であって上流寄りには、駆動源であるモータと翼とを固定するボスがあり、ボスを通過するときに渦の発生により乱れた流れや局所で高速になって乱れた流れが翼に流入するため、翼の前縁部で流れがはく離しやすく、はく離後の流れが翼面に沿って流れ始める(再付着)まで、静圧上昇されず、上昇量が小さくなる。
このように、内周側を通過する気流は、翼面積の問題や剥離の問題といった上記2つの問題により、静圧上昇しにくい。そして、外周側と内周側とで静圧上昇量の差が生じると、ファン下流部の静圧差が大きくなり、静圧差による2次流れ発生により、風量不足や渦を誘発して騒音増加や損失増加を招く恐れがある。
また、上述した特許文献1に記載のものでは、回転によるモーメントが大きくなる外周側の翼形状改善により、外周側を通過する気流の静圧上昇量を稼いでいる。内周側を通過する気流に対する翼面積は、相対的に小さくなり、吹出し側で2次流れを発生させる恐れがある。
また、特許文献2の技術では、前縁部及び後縁部で翼面積を増加させているものの次のような問題ある。まず、前縁部から流入する流れは遠心力で径方向の外側に向かう。しかしながら、特許文献2の構成では、後縁部の凸部はボスに近い径方向の内周部に設置されているため、気流は、通過距離が増加されている翼面上を流れず、静圧上昇量が確保できない可能性がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、内周側を通過する気流の静圧上昇量を増加させて、回転数低減による低騒音化を図ると共に、外周側と内周側との静圧分布の均一化により2次流れを抑制し、風量低下や渦を抑制して低騒音化及び高効率化を図ることができるプロペラファン等を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明のプロペラファンは、回転軸線を含むボスと、前記ボスの外周に設けられた複数の翼とを備え、前記回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、前記翼の前縁部は、ファン回転方向後方に突出した前縁凸部を有し、前記翼の後縁部は、ファン回転方向後方に突出した後縁凸部を有し、前記前縁部において、前記前縁凸部の頂点Pよりも内周側は、該前縁凸部の頂点Pよりもファン回転方向に前進しており、前記後縁凸部の頂点Qのポジション半径Rqは、前記前縁凸部の頂点Pのポジション半径Rpよりも大きく、前記後縁凸部の頂点Qのポジション半径Rqは、前記翼の外周縁の半径Roと内周縁の半径Riとの中間半径Rmよりも大きい。
本発明によれば、内周側を通過する気流の静圧上昇量を増加させて、回転数低減による低騒音化を図ると共に、外周側と内周側との静圧分布の均一化により2次流れを抑制し、風量低下や渦を抑制して低騒音化及び高効率化を図ることができる。
本発明の実施の形態1におけるプロペラファンを示す図である。 実施の形態1におけるプロペラファンを、その回転軸線を垂線とする面に投影して示す図であり、特に、半径Rp,Rqを説明する図である。 図2と同態様の図であり、特に、半径Ro,Rmを説明する図である。 説明例としてのプロペラファン及びその駆動機構と、気流の様子とを示す図である。 説明例としてのプロペラファンに関し、V−V線に沿う位置で展開して翼周りの流れを示す図である。 本実施の形態1に関しVI−VI線に沿う位置で展開して翼周りの流れを示す図である。 気流解析による翼面を通過する流れの様子を示す図である。 図7と同態様の図であり、内周側の流れと外周側の流れとを示す図である。 本発明の実施の形態2に関する、図2と同態様の図である。 本発明の実施の形態3に関する、図2と同態様の図である。 比較例のプロペラファンの吹出し風速分布の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態4に係るプロペラファンの斜視図である。 本実施の形態4に関しXIII−XIII線に沿う位置で展開してボスの切り欠き及び翼周りの流れを示す図である。 本発明の実施の形態5に係る室外機を吹出口側から見たときの斜視図である。 本実施の形態5に関し、上面側から室外機の構成を説明するための図である。 本実施の形態5に関し、ファングリルを外した状態を示す図である。 本実施の形態5に関し、さらに、前面パネル等を除去して、内部構成を示す図である。
以下、本発明に係るプロペラファンの実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるプロペラファンを示す図である。図2及び図3はそれぞれ、プロペラファンをその回転軸線を垂線とする面に投影して示す図であり、図2は特に半径Rp,Rqを説明する図、図3は特に半径Ro,Rmを説明する図である。プロペラファン1は、回転軸線CLを含むボス3と、そのボスの外周に設けられた複数の翼5とを備える。複数の翼5は、ボス3から径方向外側に放射状に延びており、また、相互に等角度範囲で周方向に離隔している。なお、図中矢印RDは、ファン回転方向RDを示し、矢印FDは、気流の流れ方向FDを示している。また、図は、翼5が3枚である態様を例示しているが、翼5の枚数はこれに限定されるものではない。
翼5はそれぞれ、前縁部7と、後縁部9と、外周縁11と、内周縁13とを有している。前縁部7は、ファン回転方向RDの前方に位置している。前縁部7は、前縁部7の最内周部7aにおいてボス3に接続している。後縁部9は、ファン回転方向RDの後方に位置している。後縁部9は、後縁部9の最内周部9aにおいてボス3に接続している。内周縁13は、前縁部7の最内周部7aと後縁部9の最内周部9aとの間で前後に且つ弧状に延びる部分であり、翼5はこの内周縁13においてボス3の外周に接続されている。また、外周縁11は、前縁部7の最外周部7bと後縁部9の最外周部9bとを接続するように前後に且つ弧状に延びる部分である。なお、一例であるが、本実施の形態1では、外周縁11の半径Roは、図3に示されているように、一定である。
図2及び図3に示されるように、前縁部7は、ファンの回転軸線CLを垂線とする面に投影した形状において、ファン回転方向RDの後方に向けて突出した前縁凸部15を有する。前縁凸部15の頂点P(前縁凸部で最も後退した位置)は、前縁部7の最内周部7aに一致してなく、最内周部7aよりも径方向外側に離れている。周方向の位置に関し、前縁部7の最内周部7a及び最外周部7bは、前縁凸部15の頂点Pよりもファン回転方向RDに前進している。前縁部7において、前縁凸部15の頂点Pよりも内周側は、頂点Pよりもファン回転方向RDに前進している。すなわち、前縁部7は、前縁凸部15の頂点Pから最内周部7aに向かって、最内周部7aに近づくほどファン回転方向RDに前進している。また、前縁部7は、前縁凸部15の頂点Pから最外周部7bに向かって、最外周部7bに近づくほどファン回転方向RDに前進している。最外周部7bは、最内周部7aよりもファン回転方向RDに前進している。
後縁部9は、ファンの回転軸線CLを垂線とする面に投影した形状において、ファン回転方向RDの後方に向けて突出した後縁凸部17を有する。つまり、後縁部9の最内周部9aと該後縁部9の最外周部9bとの間の部分が、ファン回転方向RDの後方に向けて突出している翼形状を有しており、そのような翼形状の後縁部9が後縁凸部17を有している。さらに詳細に説明すると、後縁凸部17は、図2に示されるように後縁部9の最内周部9aと後縁部9の最外周部9bとの間の部分の全体がファン回転方向RDの後方にのみ膨らむ凸状後縁線50よりも、さらにファン回転方向RDの後方に突出している部分である。後縁凸部17の頂点Q(後縁凸部で最も後退した位置)は、後縁部9の最内周部9aに一致してなく、最内周部9aよりも径方向外側に離れている。周方向の位置に関し、後縁部9の最内周部9a及び最外周部9bは、後縁凸部17の頂点Qよりもファン回転方向RDに前進している。また、図2に示されているように、後縁凸部17の頂点Qは、ボス3に接続している後縁部9の最内周部9aと、後縁部9の最外周部9bとの間の部分のなかで、周方向の位置に関してみた場合、最もファン回転方向RDの後方に位置している部分である。
図2に示されるように、後縁凸部17の頂点Qのポジション半径Rqは、前縁凸部15の頂点Pのポジション半径Rpよりも大きい。さらに、図3に示されるように、後縁凸部17の頂点Qのポジション半径Rqは、翼5の外周縁11の半径Roと内周縁13の半径Riとの中間半径Rm[Rm=(Ro+Ri)/2]よりも大きい。なお、前縁凸部15の頂点Pは、図示例では、中間半径Rmよりも径方向内側に位置しているが、本実施の形態1では特にこれに限定するものではなく、頂点Pのポジション半径Rpが中間半径Rmよりも大きい場合も含み得る。
次に、本実施の形態1に係る翼の作用について説明する。まず、前提的な説明を行う。図4は、前提的説明のためのプロペラファン及びその駆動機構と、気流の様子とを示す図である。また、図5は、V−V線に沿う位置で展開して翼周りの流れを示す図である。図4及び図5は、説明の便宜上、翼の一部は図示省略しており、また、翼断面も簡素化して示している(翼断面の簡素化につき図6も同様)。
説明例として図4に示されるように、翼21を備えたプロペラファン23のボス25は、駆動源として例示するファンモータ27に取り付けられ、ファンモータ27の回転力で回る。ファンモータ27の回転により、気流が翼21の前縁部から流入し、翼間を通過して、後縁部から放出される。翼間を通過する気流は、翼に沿って流れるときに翼の傾きや反りにより気流方向を変えられ、運動量変化により静圧上昇する。ここで、ボス25近くの内周部に流入する流れについて説明する。翼における内周側の上流には、円筒状のボスやファンモータがある。このため、翼の前縁に流入する直前の気流には、流体がファンモータやボスを通過するときに発生した渦や、さらに、ファンモータの存在、ボスの存在、または渦の存在によって狭くなった流路を流体が通過するときに発生した局所的な高速流れが発生し、風速が不均一である乱れた流れ29が含まれる。
このような問題を図5の向きで示すと、内周側の翼の前縁部の向き31(翼断面でいう前縁部の接線方向)と流入する気流方向33とが一致せず、前縁部で流れのはく離35が発生する。はく離した流れは、前縁部で発生した渦の吸引力により翼面に再付着し(再付着部37として図示)、再付着後は翼面に沿って流れ静圧上昇はされるものの、はく離が発生すると静圧上昇に有効な翼面積は狭くなる。
一方、外周側を通過する気流については、上流部に乱れを発生させる抵抗物がないため、前縁部から翼面に沿って流れ、静圧上昇されやすい。さらに、外周側の領域は半径が大きく、内周側の領域に比べモーメントが大きくなるため、既存のプロペラファンでは、内周側の流れと外周側の流れとの間で静圧増加量の差が大きくなり、静圧差による2次流れが発生しやすかった。
これに対して、本実施の形態1では次のような流れが得られる。図6は、VI−VI線に沿う位置で展開して翼周りの流れを示す図である。本実施の形態1では、前述したように前縁凸部15の頂点Pよりも内周側で頂点Pよりもファン回転方向RDに前進している領域(図6に破線41で図示した領域)が存在するので、流れのはく離35は発生するものの、その後の再付着部43は、流れのより上流の部分(翼5の前縁部7により近い位置)に得られ、気流が再付着した箇所から後縁に至るまでの距離をより長くすることができる。これにより、気流が翼に沿う距離を長くすることができ、内周側の流れにおいて、静圧上昇量を稼ぐことができる。
また、ボスに近い領域ほど、強い乱れを含んだ流れが多く、はく離から再付着までの距離は長くなる。これに対し、本実施の形態1に関する前縁部7は、前縁凸部15の頂点Pから最内周部7aに向かって、最内周部7aに近づくほどファン回転方向RDに前進している。このため、翼5において径方向にわたって静圧上昇量を均一化することが可能となっている。
また、本実施の形態1では、後縁凸部17の頂点Qのポジション半径Rqは、翼5の外周縁11の半径Roと内周縁13の半径Riとの中間半径Rmよりも大きくなるように構成されているので、次のような利点も得られている。図7に、気流解析による翼面を通過する流れの様子を示す。なお、図7は説明の便宜上、一枚の翼だけを図示し、他の翼は図示省略している(後述する図8も同様)。
図7に示されるように、前縁部7の内周側から流入した気流45は、遠心力によって径方向外側に移動しながら後縁部9に向かって流れる。風量や圧力などファンの運転状態によって多少の差異はあるが、概して、頂点P付近よりも内周側で流入した流れは、中間半径Rmの位置かそれよりも径方向外側において、後縁部9を通過しようとする。これに対し、本実施の形態1では、前述したように、後縁凸部17の頂点Qのポジション半径Rqが中間半径Rmよりも大きくなるように構成されているので、それによっても、内周側を通過する気流の経路が延長され、内周側を通過する気流の静圧上昇量をさらに増加させることが可能となっている。すなわち、前縁部7の内周側から流入した気流45は、領域Af(前縁部において前縁凸部の頂点よりも内周側がその頂点よりもファン回転方向に前進されている)を通り、且つ、領域Ab(頂点Qのポジション半径Rqが頂点Pのポジション半径Rpよりも大きく且つ中間半径Rmよりも大きい)を通ることで、通過する気流の経路がさらに延長され、静圧上昇量もさらに増加され得る。
以上のように構成された本実施の形態1によれば、回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、前縁部及び後縁部の双方に後方に突出する凸部を設け、前縁部において前縁凸部の頂点よりも内周側がその頂点よりもファン回転方向に前進しており、後縁凸部の頂点のポジション半径が前縁凸部の頂点のポジション半径よりも大きく、且つ、後縁凸部の頂点のポジション半径が中間半径よりも大きくされているので、内周側を通過する気流の静圧上昇量を増加させることができ、回転数低減による低騒音化を図ると共に、外周側と内周側との静圧分布の均一化により2次流れを抑制し、風量低下の抑制や渦の抑制による低騒音化及び高効率化を図ることができる。また、図8を用いて、外周側と内周側との静圧分布の均一化について述べると、前縁部7に領域Afが形成され、後縁部9に領域Abが形成されていることにより、内周側を通過した気流45と外周側を通過した気流47との静圧上昇量が、領域Af、Abを持たない態様に比べて均一化され、翼5からの吹出し後の静圧P1とP2との差が小さくなり、径方向の2次流れを低減することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であるものとする。図9は、本実施の形態2に関する図2と同態様の図である。
図9に示されるように、本実施の形態2におけるプロペラファン101の翼105の後縁部9の後縁凸部117は、後縁基準線151よりも、ファン回転方向RDの後方に突出している。そして、この後縁凸部117は、その全体が、前縁凸部の頂点Pのポジション半径Rpよりも径方向の外側に位置している。後縁基準線151は、後縁部9の最内周部9aと最外周部9bとを結ぶ線であって最内周部9aから最外周部9bに向かってファン回転方向RDに徐々に進行する曲線である。具体的一例としては、後縁基準線151は、最内周部9aと最外周部9bとを結ぶ線であって、できる限り後縁部9に沿うように延びる一様半径の弧状の線である。なお、後縁基準線151は、実施の形態1における上記凸状後縁線50と一致していてもよい。
前縁凸部15の頂点P付近からの気流は、前述のように遠心力を受けて後縁に至るまでの間に径方向外側に移動しながら流れる。その為、本実施の形態2では、気流の通過経路を稼ぐための後縁凸部117は頂点Pよりも径方向外側に配置されている。これにより、実施の形態1と同様に、静圧上昇量を増加させ、回転数低減による低騒音化を図ると共に、外周側と内周側との静圧分布の均一化により2次流れを抑制し、風量低下の抑制や渦の抑制による低騒音化及び高効率化を図ることができる。
なお、本実施の形態2は、後縁凸部の頂点Qのポジション半径Rqが、中間半径Rmよりも大きくなっていることは必須ではない。すなわち、上記実施の形態1のように、頂点Qのポジション半径Rqが中間半径Rmよりも大きいことに加えて、後縁凸部117の後縁凸部117の全体が、前縁凸部の頂点Pのポジション半径Rpよりも径方向の外側に位置していてもよいし、あるいは、頂点Qのポジション半径Rq自体は中間半径Rmよりも小さいものの、後縁凸部117の全体は、依然として前縁凸部の頂点Pのポジション半径Rpよりも径方向の外側に位置しているように構成してもよい。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であるものとする。図10は、本実施の形態3に関する図2と同態様の図である。
前述したように、空気の翼面通過経路が長くなるようにすれば、気流の静圧上昇量を拡大することができる。しかしながら、前縁部の外周側や前縁部の径方向中間付近から流入した空気の翼面通過経路を長くしてしまうと、後縁外周側に向かう気流の通過経路が拡大してしまい、翼出口における径方向の静圧分布が強くなる恐れがある。このため、本実施の形態3におけるプロペラファン201の翼205では、前縁凸部215の頂点Pのポジション半径Rpは、中間半径Rmよりも小さく、すなわち、頂点Pは中間半径Rmよりも径方向内側に配置されている。また、同様のことは、後縁部による気流の翼面通過経路の延長にも言え、本実施の形態3では、後縁凸部217の頂点Qは、後縁部の最外周部9bに一致してなく、最外周部9bよりも径方向内側に離れている。
このように構成された本実施の形態3によれば、後縁外周側を通過する気流の通過経路の拡大を抑えつつ、内周側での静圧上昇量を増加させ、より理想的に、低騒音化及び高効率化を図ることができる。
ここで、図11に、比較例として図7や図8の斜線領域Af、Abを共に持たない翼に関するプロペラファンの吹出し風速分布の一例を示す。縦軸は、半径200mmのファンについての吹出し風速を示し、横軸は、半径割合を示す。なお、半径割合は、回転軸線CLを中心とした半径位置R(mm)に関して、外周縁の半径Ro(mm)に対する割合を示す無次元量(半径割合=[R]/[Ro])である。この例では、ボスの半径つまり翼の内周縁の半径位置が、外周縁の半径Roの30%であり、すなわち、図11の0.3がボスの外周部(内周縁の位置)である。また、図11の1.0が、外周縁の位置そのものである。図11に示されるように、斜線領域Af、Abのない翼では、吹出し風速が最も速い領域は外周縁の半径Roの85〜90%辺りにあり、85%以下で風速が低下する傾向にある。よって、本実施の形態3の具体的一態様としては、後縁凸部217の頂点Qのポジション半径は、翼205の外周縁の半径Roの85%の半径よりも小さくする。すなわち、頂点Qは、回転軸線CLから半径Roの85%の位置よりも径方向内側に配置される。これにより、径方向の静圧分布を均一化し、内周側の風速を増加させて均一化を図ることができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であるものとする。図12は、本実施の形態4に係るプロペラファンの斜視図である。また、図13は、本実施の形態4に関する図6と同態様の図であり、XIII−XIII線に沿う位置で展開してボスの切り欠き及び翼周りの流れを示す図である。
本実施の形態4のプロペラファン301では、上述した実施の形態1〜3の翼5,105,205の何れかと、それら翼を支持するボス303とを備えている。ボス303は、円筒状の側壁を有しており、その側壁には複数の切り欠き349が形成されている。
切り欠き349はそれぞれ、ボス303の側壁における流れ方向FDの上流側の領域であって、対応する翼の前縁部7とそのファン回転方向RDの前方の隣り合う翼の後縁部9との間の領域に形成されている。より詳細には、切り欠き349は、ボス303の側壁の上流端303aから翼の前縁部7に至り、その前縁部7からファン回転方向RDの前方の隣り合う翼の後縁部9に近づき、その後縁部9から上流端303aに至るような態様で形成されている。
このようなプロペラファン301においては、切り欠き349が設けられていることで、気流がボスを通過するときに発生する後流・渦が抑制され、局所高速流れを抑制することができる。このため、前縁部に流入する乱れが小さくなり、翼の前縁部における気流の乱れが低減され、前縁部ではく離35が小さくなる。よって、翼の内周側に流入した気流は、はく離してから再付着部43までの距離が短くなるため、上述した実施の形態よりもさらに気流が翼に沿って流れる距離が長くなり、静圧上昇量が増加する。その結果、いっそう、低騒音化及び高効率化を図ることができる。
実施の形態5.
上述したように本発明はプロペラファンの高効率、低騒音化に関するものであるが、このファンを送風装置に搭載すれば、高効率で送風量を増加することができ、圧縮機と熱交換器などで構成される冷凍サイクル装置である空気調和機や給湯用室外機に搭載すれば、低騒音かつ高効率で熱交換器通過風量を稼ぐことができ、機器の低騒音化と省エネを実現することができる。本実施の形態7は、そのような一例として、上記実施の形態1〜4のプロペラファンを、送風装置を含む室外機としての空気調和装置の室外機に適用した場合について説明する。
図14は、本実施の形態5に係る室外機(送風装置)を吹出口側から見たときの斜視図であり、図15は、上面側から室外機の構成を説明するための図である。また、図16は、ファングリルを外した状態を示し、図17は、さらに、前面パネル等を除去して、内部構成を示す図である。なお、図14〜17は、代表例として、実施の形態1のプロペラファン1を図示しているが、本実施の形態5はこれに限定されず、実施の形態2〜4のプロペラファンを用いることもできる。
図14〜17に示すように、室外機本体(ケーシング)51は、左右一対の側面51a,51c、前面51b、背面51d、上面51e並びに底面51fを有する筐体として構成されている。側面51a及び背面51dは、外部から空気を吸込む(図15の矢印A参照)ために開口部分を有している。また、前面51bにおいては、前面パネル52に、外部に空気を吹出す(図12の矢印A参照)ための開口部分としての吹出口53が形成されている。さらに、吹出口53は、ファングリル54で覆われており、それにより、物体等とプロペラファン1との接触を防止し、安全が図られている。
室外機本体51内には、プロペラファン1が設置されている。プロペラファン1は、背面51d側にあるファンモータ(駆動源)61と、回転軸62を介して接続されており、このファンモータ61によって回転駆動される。
室外機本体51の内部は、仕切板(壁体)51gによって、プロペラファン1が収納・設置されている送風室56と、圧縮機64等が設置されている機械室57とに分けられている。送風室56内における側面51a側と背面51d側とには、平面視、略L字状に延びるような熱交換器68が設けられている。
送風室56に配置されたプロペラファン1の径方向外側には、ベルマウス63が配置されている。ベルマウス63は、翼5の外周端よりも外側に位置し、プロペラファン1の回転方向に沿って環状をなしている。また、ベルマウス63の一方側の側方(図15の紙面で右方)には、仕切板51gが位置し、他方側(反対方向)の側方(図15の紙面で左方)には、熱交換器68の一部が位置することとなる。
ベルマウス63の前端は、吹出口53の外周を囲むように室外機の前面パネル52と接続している。なお、ベルマウス63は、前面パネル52と一体的に構成されていてもよく、あるいは、別体としてつなげられるものとして用意されていてもよい。このベルマウス63によって、ベルマウス63の吸込側と吹出側との間の流路が、吹出口53近傍の風路として構成される。すなわち、吹出口53近傍の風路は、ベルマウス63によって、送風室56内の他の空間と区切られる。
プロペラファン1の吸込側に設けられている熱交換器68は、板状の面が平行になるように並設された複数のフィンと、その並設方向に各フィンを貫通する伝熱管とを備えている。伝熱管内には、冷媒回路を循環する冷媒が流通する。本実施の形態の熱交換器68は、伝熱管が室外機本体51の側面51aと背面51dとにかけてL字状に延び、図17に示すように複数段の伝熱管がフィンを貫通しながら蛇行するように構成される。また、熱交換器68は、配管65等を介して圧縮機64と接続し、さらに、図示省略する室内側熱交換器や膨張弁等と接続されて、空気調和装置の冷媒回路を構成する。また、機械室57には、基板箱66が配置されており、この基板箱66に設けられた制御基板67によって室外機内に搭載された機器が制御されている。
かかる本実施の形態5においても、対応する上記実施の形態1〜4と同様な利点が得られる。
なお、本実施の形態5は、送風装置を含む室外機として空気調和装置の室外機を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、給湯器等の室外機として実施することも可能であり、さらに、送風を行う装置として、広く適用することができ、室外機以外の装置や設備等に適用することも可能である。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
1,101,201,301 プロペラファン、3,303 ボス、5,105,205 翼、7 前縁部、9 後縁部、11 外周縁、13 内周縁、15 前縁凸部、17,117 後縁凸部、51 室外機本体(ケーシング)、61 ファンモータ(駆動源)、68 熱交換器、151 後縁基準線、349 切り欠き。

Claims (9)

  1. 回転するボスと、
    前記ボスの外周に設けられた複数の翼とを備え、
    前記翼は回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、後縁部の最内周部と該後縁部の最外周部との間の部分が、ファン回転方向RDの後方に向けて突出している翼形状を有しており、該翼形状の前記後縁部が後縁凸部を有しており、
    前記翼の前縁部は、前記回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、ファン回転方向後方に突出した前縁凸部を有しており、
    前記前縁部において、前記前縁凸部の頂点Pよりも内周側は、該前縁凸部の頂点Pよりもファン回転方向に前進しており、
    前記後縁凸部の頂点Qの半径Rqは、前記前縁凸部の頂点Pの半径Rpよりも大きく、
    前記後縁凸部の頂点Qの半径Rqは、前記翼の外周縁の半径Roと内周縁の半径Riとの中間半径Rmよりも大きい、
    プロペラファン。
  2. 前記後縁部の最内周部と最外周部とを結ぶ線であって該最内周部から該最外周部に向かってファン回転方向に徐々に進行する曲線を、後縁基準線としたとき、前記後縁凸部は、前記後縁基準線よりも、ファン回転方向の後方に突出し、且つ、前記後縁凸部の全体が、前記前縁凸部の頂点Pの半径Rpよりも径方向の外側に位置している、
    請求項1のプロペラファン。
  3. 回転するボスと、
    前記ボスの外周に設けられた複数の翼とを備え、
    前記翼は回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、後縁部の最内周部と該後縁部の最外周部との間の部分が、ファン回転方向RDの後方に向けて突出している翼形状を有しており、該翼形状の前記後縁部が後縁凸部を有しており、
    前記翼の前縁部は、前記回転軸線を垂線とする面に投影した形状において、ファン回転方向後方に突出した前縁凸部を有しており、
    前記前縁部において、前記前縁凸部の頂点Pよりも内周側は、該前縁凸部の頂点Pよりもファン回転方向に前進しており、
    前記後縁凸部の頂点Qの半径Rqは、前記前縁凸部の頂点Pの半径Rpよりも大きく、
    前記後縁部の最内周部と最外周部とを結ぶ線であって該最内周部から該最外周部に向かってファン回転方向に徐々に進行する曲線を、後縁基準線としたとき、前記後縁凸部は、前記後縁基準線よりも、ファン回転方向の後方に突出し、且つ、前記後縁凸部の全体が、前記前縁凸部の頂点Pの半径Rpよりも径方向の外側に位置している、
    プロペラファン。
  4. 前記後縁凸部は、前記後縁部の最内周部と該後縁部の最外周部との間の部分の全体がファン回転方向RDの後方にのみ膨らむ凸状後縁線よりも、さらにファン回転方向RDの後方に突出している部分である、
    請求項1〜3の何れか一項のプロペラファン。
  5. 前記前縁凸部の頂点Pの半径Rpは、前記翼の外周縁の半径Roと内周縁の半径Riとの中間半径Rmよりも小さく、且つ、前記後縁凸部の頂点Qは、前記後縁部の最外周部に一致してなく、該最外周部よりも径方向内側に離れている、
    請求項1〜4の何れか一項のプロペラファン。
  6. 前記後縁凸部の頂点Qの半径は、前記外周縁の半径Roの85%の半径よりも小さい、
    請求項1〜5の何れか一項のプロペラファン。
  7. 前記ボスには、複数の切り欠きが形成されており、
    前記複数の切り欠きはそれぞれ、対応する前記翼の前縁部と、そのファン回転方向RDの前方の隣り合う前記翼の後縁部との間の領域に形成されている、
    請求項1〜6の何れか一項のプロペラファン。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項のプロペラファンと、
    前記プロペラファンに駆動力を付与する駆動源と、
    前記プロペラファン及び前記駆動源を収容するケーシングと
    を備えた送風装置。
  9. 熱交換器と、
    請求項1乃至7の何れか一項のプロペラファンと、
    前記プロペラファンに駆動力を付与する駆動源と、
    前記プロペラファン、前記駆動源及び前記熱交換器を収容するケーシングと
    を備えた室外機。
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