JP2014009183A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒の使用量に対するプロピレンオキサイドの製造量を向上させる製造方法を提供すること。
【解決手段】反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させる製造方法であって、複数回の触媒供給工程と、所定回目で供給した触媒の使用開始時から、次回の触媒の使用開始時までの期間内のうち、反応原料の供給期間において、前期および後期の平均毎時製造量がそれぞれ通期の103〜120%および80〜97%となるように反応させる反応工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応系にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法であって、触媒の使用量に対するプロピレンオキサイドの製造量を向上させる製造方法に関するものである。
プロピレンオキサイドは、プロピレンと過酸化物とを触媒存在下で反応させて得られる。例えば、特許文献1には、固定床の形を用いた触媒に、反応原料(プロピレンおよび有機過酸化物)を含有する液を通してプロピレンオキサイドを製造する方法が記載されている。
特開2008−266304号公報(2008年11月6日公開)
触媒活性は、使用開始の直後は高いが、時間の経過と共に低下する。このため、従来は、運転期間中の反応原料の供給量およびプロピレンオキサイドの製造量が常時ほぼ一定に保たれるように、触媒を供給した直後は低い反応温度で運転し、活性の低下と共に反応温度を徐々に高くしながら運転している。そして、一定の触媒活性が得られなくなると触媒を交換している。
しかしながら、触媒を交換する直前付近では副生成物が多く生じて不経済な運転となっている。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法であって、触媒の使用量に対するプロピレンオキサイドの製造量を向上させる製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は以下のものを提供する。
すなわち、本発明に係る製造方法は、反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法であって、上記触媒を上記反応系内に供給する複数回の触媒供給工程と、所定回目の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時から、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間(通期)において、当該原料供給期間(通期)におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%として、当該原料供給期間(通期)の前期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が103〜120%となり、当該原料供給期間(通期)の後期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が80〜97%となるように反応させる反応工程とを含む。
本発明に係る製造方法において、上記前期と後期とで、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を変更することによって、プロピレンオキサイドの平均毎時製造量を変更することが好ましい場合がある。
本発明に係る製造方法において、上記反応系が、連結された複数の反応器を備えて構成されており、かつ当該複数の反応器に順繰りに上記触媒供給工程を行いつつ、当該反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して上記反応工程を行う場合がある。
本発明は、触媒原単位当りのプロピレンオキサイドの製造量が従来と比較して向上するという効果を奏する。
本発明に係る製造方法の一実施形態および実施例におけるフローの概略を示す図である。 本発明に係る製造方法の一実施形態(反応器が1つの場合)を示す図である。 本発明に係る製造方法の一実施形態(反応器が3つの場合)を示す図である。
〔本発明の概要〕
本発明に係るプロピレンオキサイドの製造方法は、反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させる方法であって、
上記触媒を上記反応系内に供給する複数回の触媒供給工程と、
所定回目の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時から、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間(通期)において、当該原料供給期間(通期)におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%として、当該原料供給期間(通期)の前期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が103〜120%となり、当該原料供給期間(通期)の後期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が80〜97%となるように反応させる反応工程とを含む。
(過酸化物)
本発明の反応に用いられる過酸化物としては、有機過酸化物が好ましく、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドまたはクメンハイドロパーオキサイドがより好ましい。
過酸化物は、精製物であっても、非精製物であってもよい。非精製物を用いる一例としては、被酸化物(例えば、エチルベンゼンまたはクメン)を酸化して過酸化物を得る酸化工程で得られた、過酸化物を含む反応混合物を精製せずに反応系内に供給することが挙げられる。
(触媒)
本発明の反応に用いられる触媒としては、目的物を高収率および高選択率で得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触媒が好ましい。これらの触媒は、固体触媒であり、かつ珪素酸化物と化学的に結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒がより好ましい。Ti−シリカ触媒としては、例えば、Ti化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法もしくはゾルゲル法でTi化合物を珪素酸化物と複合したもの、またはTiを含むゼオライト化合物等が挙げられる。
固体触媒は、スラリー状または固定床の形態で好適に用いることができ、固定床の形態がより好ましい。反応原料(プロピレンおよび過酸化物)を含有する溶媒を固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないかまたは実質的に含まれていない。スラリー状の形態においては、反応器からの触媒の流出を防止するための機能を設けることが好ましい。
本発明に係るプロピレンオキサイドの製造方法では、触媒は反応系内に複数回、供給される(触媒供給工程)。すなわち、反応系内で、所定の時間使用された触媒は、新たな触媒と交換されるか、新たな触媒が追加供給される。
(溶媒)
反応は、溶媒を用いた液相中で、プロピレンと過酸化物とを触媒に接触させることで行われる。溶媒は、反応時の温度および圧力下で液体であり、かつ反応原料および反応生成物に対して実質的に不活性なものが好ましい。過酸化物が溶液として反応系内に供給される場合、溶媒は、使用される過酸化物の溶液中に存在する物質であってもよい。例えば、エチルベンゼンまたはクメンを酸化して得られたエチルベンゼンハイドロパーオキサイドまたはクメンハイドロパーオキサイド(過酸化物)を含む溶液を反応系内に供給する場合には、別途溶媒を添加しなくても、当該溶液に含まれるエチルベンゼンまたはクメンを溶媒として用いることもできる。
上記以外の溶媒としては、例えば、芳香族単環式化合物、アルカン等が挙げられる。芳香族単環式化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。また、アルカンとしては、例えば、オクタン、デカン、ドデカン等が挙げられる。
(反応工程における反応条件)
反応工程における反応温度は、例えば0〜200℃であり、反応速度および触媒の経済的利用の観点から25〜200℃の温度が好ましく、反応選択率の観点から25〜140℃の温度がより好ましい。
反応工程における反応系内の圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分であればよい。圧力は、例えば、100〜10000kPaであり得る。
反応工程における溶媒の使用量は、溶媒/過酸化物のモル比が2/1〜10/1の範囲内であることが好ましい。
反応工程におけるプロピレンおよび過酸化物の使用量は、例えば、反応速度および触媒の経済的利用の観点から、プロピレン/過酸化物のモル比が2/1〜50/1の範囲内であることが好ましい。
反応工程では、プロピレンおよび過酸化物(反応原料)が連続的に反応系内に供給されるとともに、プロピレンオキサイド等(反応生成物)が反応系から連続的に取り出される。反応工程は、半連続法、連続法等によって実施することができる。
なお、反応工程のより詳細については後述する。
〔製造方法の詳細〕
本発明は、反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法であって、上記触媒を上記反応系内に供給する複数回の触媒供給工程と、所定回目の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時から、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間(通期)において、当該原料供給期間(通期)におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%として、当該原料供給期間(通期)の前期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が103〜120%となり、当該原料供給期間(通期)の後期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が80〜97%となるように反応させる反応工程とを含む。
「触媒の使用開始時」とは、反応系内へ供給した触媒によってプロピレンと過酸化物とが反応し始める時点を指す。例えば、触媒を反応系内へ供給した後にプロピレンおよび過酸化物を反応系内へ供給する場合には、プロピレンおよび過酸化物を供給し始める時点が触媒の使用開始時である。
「反応系」とは、プロピレンと過酸化物とが反応する場である。反応器が複数ある場合にそれらがパイプ等で連結されており、プロピレンおよび過酸化物(反応原料)がそれぞれ1箇所から流入して、プロピレンオキサイド等(反応生成物)が1箇所から排出されるような形態は、実質的に1つの反応器におけるものと同様であり、当該複数の反応器が1つの反応系を構成する。
「次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時」とは、所定回目(n回目。nは1以上の整数)の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時の後、次に(n+1回目)反応系に供給した触媒の使用開始時を指す。なお、同一の反応器内に触媒が固定された固定床が2つあり、その一方を新たな触媒に交換した場合には、この新たな触媒が次の触媒供給工程で供給した触媒に相当する。また、反応器が複数ある場合にそれらがパイプ等で連結されており、プロピレンおよび過酸化物が1箇所から流入して、プロピレンオキサイドが1箇所から排出されるような形態は、上述のとおり1つの反応系を構成しているため、何れかの反応器に新たに供給された触媒が、次の触媒供給工程で供給した触媒に相当する。
「所定回目の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時から、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間」(以下、「通期」という)とは、プロピレンと過酸化物との反応が進行している期間に相当する。
「通期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量」(以下、「通期平均製造量」という)とは、通期に製造されたプロピレンオキサイドの総量を通期の期間(時間)で除した値をいう。この「通期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量」を100%とする。
「前期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量」(以下、「前期平均製造量」という)とは、前期の間に製造されたプロピレンオキサイドの総量を前期の期間(時間)で除した値であって、通期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%とした場合の換算値とする。なお、「前期」の定義については後述する。
「後期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量」(以下、「後期平均製造量」という)とは、後期の間に製造されたプロピレンオキサイドの総量を後期の期間(時間)で除した値であって、通期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%とした場合の換算値とする。なお、「後期」の定義については後述する。
(反応系を構成する反応器が1つの場合)
まず、反応系を構成する反応器が1つの場合における一実施形態について、図2を参照しながら説明する。
触媒を反応器内に固定し、その後プロピレンおよび過酸化物を反応器(反応系)内へ連続的に供給する。これが所定回目(n回目)の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時となる。反応で得られたプロピレンオキサイド等は、反応系外に連続的に排出される。その後、プロピレンおよび過酸化物を反応器内へ供給するのを停止し、触媒を交換する(次の(n+1回目の)触媒供給工程)。そして再びプロピレンおよび過酸化物を反応器内へ連続的に供給する。この再度の供給開始時点が、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時となる。n回目の触媒使用開始時からn+1回目の触媒使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間(反応が進行している期間)は、この実施形態では、n回目の触媒使用開始時(SOR(start of run))から、プロピレンおよび過酸化物の供給を停止した時点(反応原料供給停止時,EOR(end of run))までとなる。したがって、「前期」はn回目の触媒使用開始時から、n回目の触媒使用開始時と反応原料供給停止時との中間時点(MOR(medium of run))までである。「後期」は当該中間時点から反応原料供給停止時までである。「通期」は前期と後期とを合わせた期間である。
ここで、前期平均製造量が通期平均製造量の103〜120%となるように反応させる。前期における経時的な製造量の変更の仕方としては、例えば、前期の間、一定の毎時製造量を保つ(例えば、常時105%にする)ことが挙げられる。なお、前期平均製造量が通期平均製造量の103〜120%となる限り、ある時点において120%を上回ってもよいし、あるいは103%を下回ってもよい。ただし、前期において、常時、毎時製造量が100%を上回っていることが好ましい。
本発明に係る製造方法では、主反応(プロピレンオキサイドの生成反応)の選択率がより高い触媒の使用開始時付近に反応をより多く行わせ(すなわち、製造量をより多くする)、時間の経過と共に反応をより少なくする(すなわち、製造量をより少なくする)ことで、通期の平均毎時製造量の減少およびプロピレン、クメン等の有効成分のロスを悪化させることなく、触媒の使用期間を延長することができる。つまり、触媒原単位が従来と比較して向上できる。したがって、触媒の使用開始時の毎時製造量を最も多くし、中間時点(前期の終了時)まで段階的に毎時製造量を減らしていくことが好ましい。
一方、後期平均製造量が通期平均製造量の80〜97%となるように反応させる。後期における経時的な製造量の変更の仕方としては、例えば、後期の間、一定の毎時製造量を保つ(例えば、常時95%にする)ことが挙げられる。なお、後期平均製造量が通期平均製造量の80〜97%となる限り、ある時点において97%を上回ってもよいし、あるいは80%を下回ってもよい。ただし、前期から後期に移行する時点を除いて、常時、毎時製造量が100%を下回っていることが好ましい。
前期の場合と同様に触媒の活性(主反応の選択率)の観点から、中間時点(後期の開始時)の毎時製造量を最も多くし、反応原料供給停止時まで段階的に減らしていくことが好ましい。
また、前期および後期の両方を合わせた全期間(通期)を通した経時的な製造量の変更の仕方としては、前期の場合と同様に触媒の活性(主反応の選択率)の観点から、触媒の使用開始時の毎時製造量を最も多くし、反応原料供給停止時まで段階的に減らしていくことが好ましい。そして、毎時製造量における段階的な減少の勾配を大きくすることがより好ましい。
このように、主反応の選択率がより高い前期に反応をより多く行わせ(すなわち、製造量をより多くする)、後期に反応をより少なくする(すなわち、製造量をより少なくする)ことで、通期平均製造量の減少およびプロピレン、クメン等の有効成分のロスを悪化させることなく、触媒の使用期間を延長することができる。つまり、触媒原単位が従来と比較して向上できる。
触媒の使用開始時の直後では製造量の違いによる反応選択率の差が小さく、製造量を多くさせても主反応の選択率の低下の幅が小さいが、反応原料供給停止時の直前では反応選択率の製造量依存性が高く、副生成物が多く生成する。そのため、本発明の方法によって、上記の効果が得られると考えられる。
(反応系を構成する反応器が複数の場合)
次に、複数の反応器がパイプ等で連結されており、プロピレンおよび過酸化物がそれぞれ1箇所から流入して、プロピレンオキサイドが1箇所から排出される場合について説明する。ここでは3つの反応器(第一反応器、第二反応器および第三反応器)がパイプで連結されている一実施形態について、図3を参照しながら説明する。なお、上述のとおり、3つの反応器が1つの反応系を構成している。
3つの反応器は触媒を供給する時期をずらして用いられる。各反応器において触媒を使用していない期間(新たな触媒と交換している期間)は、当該反応器にプロピレンおよび過酸化物が流入しないようにバルブが閉じられ、残りの2つの反応器にのみ流入するようになっている。すなわち、プロピレンおよび過酸化物は、反応系に対して常時連続的に供給され、触媒交換を行っている反応器を除いた2つの反応器内に順次流入することでプロピレンオキサイドの生成反応が行われている。各反応器はおおよそ半期(後述の1サイクルに相当:反応器がn個(nは3以上の整数)の場合、1/(n−1)期)ずつずらして、第一反応器、第三反応器、第二反応器、第一反応器、第三反応器と順繰りに触媒を供給(交換)している。
この例では、各反応器の使用が開始される時点(すなわち、触媒交換を完了した後にプロピレンおよび過酸化物を流入させる時点)が触媒の使用開始時に相当する。したがって、第一反応器の使用が開始される時点を基準とすると、「前期」は、第一反応器での触媒の使用開始時(SOR)から当該時点と第三反応器での触媒の使用開始時との中間時点(MOR)までとなる。そして、「後期」は、当該中間時点から第三反応器での触媒の使用開始時(EOR:次サイクルのSOR)となる。
第三反応器の触媒使用開始時から次のサイクルの前期が始まり、第三反応器での触媒の使用開始時と第二反応器での触媒の使用開始時との中間時点から当該サイクルの後期が始まる。このように一つの反応器は、使用期間中に前期と後期を交互に2回繰り返すこととなる。何れの前期でも前期平均製造量がそれぞれ通期平均製造量の103〜120%となり、何れの後期でも後期平均製造量がそれぞれ通期平均製造量の80〜97%となるように反応させる。なお、「通期」とは、1サイクルにおける1回の前期および1回の後期を合わせたものを指す。したがって、通期平均製造量は各サイクルで異なってもよい。ここで、各反応器はパイプで連結されており、プロピレンおよび過酸化物が連続的にそれぞれ1箇所から流入して、プロピレンオキサイドが1箇所から排出される。そのためプロピレンオキサイドの製造量とは、プロピレンおよび過酸化物が流入する全ての反応器で製造されたプロピレンオキサイドの合計の量であり、各反応器における製造量は同じである必要はない。前期および後期、ならびに通期における経時的な製造量の変更の仕方については、反応系を構成する反応器が1つの場合と同様である。
このように、主反応の選択率がより高い前期に反応をより多く行わせ(すなわち、製造量をより多くする)、後期に反応を少なくする(すなわち、製造量をより少なくする)ことで、通期平均製造量の減少およびプロピレン、クメン等の有効成分のロスを悪化させることなく、触媒の使用期間を延長することができる。つまり、触媒原単位が従来と比較して向上できる。
(反応工程におけるプロピレンオキサイドの毎時製造量の調節方法)
反応工程において、プロピレンオキサイドの前期平均製造量が通期平均製造量の103〜120%となり、後期平均製造量が通期平均製造量の80〜97%となるように反応させる(すなわち、プロピレンオキサイドの毎時製造量を調節する)ための具体的な方法について説明する。以下の方法は1つの反応系を構成する反応器の個数に関係なく適用することができる。
プロピレンオキサイドの毎時製造量を調節する方法としては、プロピレンおよび過酸化物(反応原料)の少なくとも一方の毎時供給量(すなわち、単位時間当りの供給量)を前期と後期とで変更することによってプロピレンオキサイドの毎時製造量を変更することが挙げられる。プロピレンまたは過酸化物の供給量とは、それぞれプロピレンまたは過酸化物の物質量(モル)を指す。プロピレンオキサイドの毎時製造量は、反応原料であるプロピレンおよび過酸化物の毎時供給量に依存する。具体的には、例えば過酸化物の毎時供給量のみを変更する場合で説明すると、過酸化物の毎時供給量を増加することで、プロピレンオキサイドの毎時製造量を増加させることができる。反対に、過酸化物の毎時供給量を減少させることで、プロピレンオキサイドの毎時製造量を減少させることができる。プロピレンの毎時供給量のみを変更する場合、およびプロピレンおよび過酸化物の両方の毎時供給量を変更する場合も、過酸化物の場合で説明したのと同様の方法で増加または減少させる。
プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を調節する方法として、例えば、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の供給流速を変更することが挙げられる。この場合、プロピレンおよび過酸化物の濃度を一定にしたまま、供給流速を調節する。具体的には、供給流速を増加させて、反応原料の毎時供給量を増加させる。反対に、供給流速を減少させて、反応原料の毎時供給量を減少させる。
プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を変更する方法として、上記の他に、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の濃度を変更することが挙げられる。この場合、プロピレンおよび過酸化物の供給流速を一定にしたまま、濃度を調節する。具体的には、濃度を高くして、反応原料の毎時供給量を増加させる。反対に、濃度を低くして、反応原料の毎時供給量を減少させる。
触媒活性の低下に応じた制御のしやすさの観点からは、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を変更することが好ましい。より好ましい態様は、反応速度の向上および制御のしやすさの観点で、プロピレン/過酸化物のモル比率が一定のプロピレン過剰率を維持するように両方の毎時供給量を変更することで、過酸化物の供給量に比例してプロピレンオキサイドの毎時製造量を変更することである(実施例も参照)。
過酸化物としてクメンハイドロパーオキサイドを用いた場合、例えば、図1に示すように、クメンを酸化してクメンハイドロパーオキサイドを得る工程(酸化工程)を経た後、連続した工程として当該クメンハイドロパーオキサイドをプロピレンと反応させる場合がある(引用文献1も参照)。このような場合、酸化工程におけるクメンの毎時供給量を変更することで、クメンハイドロパーオキサイドの毎時製造量を変更し、それゆえプロピレンとの反応に用いるクメンハイドロパーオキサイドの毎時供給量を変更することができる。具体的には、クメンの毎時供給量を増加することで、クメンハイドロパーオキサイドの毎時製造量を増加させることができ、反対に、クメンの毎時供給量を減らすことで、クメンハイドロパーオキサイドの毎時製造量を減少させることができる。酸化工程におけるクメンの毎時供給量は、例えば、クメンの濃度を一定にしたまま、酸化工程への供給流速を調節することで変更することができる。あるいは、クメンの供給流速を一定にしたまま、濃度を調節することで変更することができる。その両方によって変更することもできる。
また、プロピレンオキサイドの毎時製造量を調節する方法として、上記の他に、温度を変更することが挙げられる。具体的には、前期の反応温度を高くし、後期の反応温度を低くする。つまり、触媒活性のより高い時期には反応温度を上げて反応を活発にさせ、後期には反応温度を下げて反応を下げる。具体的な温度は、例えば、上記で説明した範囲内とすることができる。
温度を変更する場合、プロピレンおよび過酸化物の毎時供給量も変更することが好ましい。具体的には、温度を高くする場合には反応速度の上昇に応じてプロピレンおよび過酸化物の毎時供給量を増加させ、温度を低くする場合には反応速度の低下に応じてプロピレンおよび過酸化物の毎時供給量を減少させる。好ましくは、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を変更し、かつ反応工程で得られる反応液に含まれる未反応過酸化物の濃度が20〜5000重量ppmとなるように反応温度を調整する。
このようにプロピレンオキサイドの毎時製造量を調節することにより、前期平均製造量が通期平均製造量の103〜120%となり、後期平均製造量が通期平均製造量の80〜97%となるように反応させることができる。なお、上記に挙げたプロピレンオキサイドの毎時製造量を調節する具体的な方法は適宜組み合わせて用いてもよい。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
後述するように反応系内へのクメンハイドロパーオキサイドの毎時供給量を変更した以外は、特許文献1に記載された実施例1と同様の工程で、プロピレンからプロピレンオキサイドを得た。図1に基づいて具体的に説明すると、酸化工程でクメンを含酸素ガス(空気)で酸化して31重量%のクメンハイドロパーオキサイドを含む酸化反応液(1)を得た。酸化反応液(1)とプロピレンとをエポキシ化工程(反応工程)でチタン含有珪素酸化物触媒を充填した反応器に通液しエポキシ化反応を行い、プロピレンオキサイドおよびクミルアルコール、未反応プロピレンおよびクメンを主とするエポキシ化反応液(2)を得た。得られた反応液(2)から未反応のプロピレン(3)を分離除去し、プロピレン回収後の反応液(4)を得た。
プロピレン回収後の反応液(4)はプロピレンオキサイド精製工程で、まずクミルアルコールおよびクメンを主とする液(5)の区分と、プロピレンオキサイドを主とする区分とに分離した。次いで製品品質を満たすように抽出蒸留を含む複数の蒸留塔で精留して製品プロピレンオキサイドを得た。一方、クミルアルコールおよびクメンを主とする液(5)の区分は、クミルアルコールを水素化工程で脱水反応および水素化反応によってクメンとして、酸化工程へリサイクルした。
ここで、本実施例では、触媒の使用開始時(SOR)〜中間時点(MOR)の酸化工程へのクメン流量を通期(SOR〜EOR)の平均クメン流量の約103%に調整した。MOR〜次の触媒の使用開始時(EOR)の酸化工程へのクメン流量を通期の平均クメン流量の約97%に調整した。酸化工程の温度および含酸素ガス供給量を調節し、酸化反応液中のクメンハイドロパーオキサイドの濃度は常に31重量%に維持した。これによって、反応系内へのクメンハイドロパーオキサイドの毎時供給量を、SOR〜MORの間は通期供給量の約103%に、MOR〜EORの間は通期供給量の約97%に調整した。
エポキシ化工程は、複数の反応器を連結した反応系で行い(図3参照)、供給する酸化反応物とプロピレンとの流量比は、常に一定に維持した。プロピレンは常時過剰量を供給して、クメンハイドロパーオキサイドの毎時供給量に比例してプロピレンオキサイドの毎時製造量が調整されるようにした。反応温度を25〜140℃の範囲で調整し、反応終了後の反応液中の有機過酸化物の濃度は0.2重量%以下を維持した。反応圧力は約6MPaに維持した。
上記の調整を行い、SOR〜MORでは通期平均製造量の103%、MOR〜EORでは通期平均製造量の97%の量の製品プロピレンオキサイドを得た。
このとき、プロピレン、プロピレンオキサイド、クメン等の有効成分のロスを増加させずに、本実施例では特許文献1に記載の実施例1と比較して、触媒の交換頻度を0.87倍に減少させた。なお、特許文献1に記載の実施例1では、酸化工程へのクメン流量を常時一定に保つことで、反応系内へのクメンハイドロパーオキサイドの毎時供給量が一定とした。反応系へのクメンハイドロパーオキサイドの総供給量、およびプロピレンオキサイドの総生産量は、本実施例と同じである。
本発明は、反応系内にプロピレンおよび過酸化物を供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法において、触媒の使用量に対するプロピレンオキサイドの製造量を向上させるために利用することができる。
(1)・・・酸化反応液
(2)・・・エポキシ化反応液
(3)・・・未反応のプロピレン
(4)・・・プロピレン回収後の反応液
(5)・・・クミルアルコールおよびクメンを主とする液
(6)・・・リサイクルクメン

Claims (3)

  1. 反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して、触媒存在下で反応させるプロピレンオキサイドの製造方法であって、
    上記触媒を上記反応系内に供給する複数回の触媒供給工程と、
    所定回目の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時から、次の触媒供給工程で供給した触媒の使用開始時までの期間内であって、プロピレンおよび過酸化物を供給している原料供給期間(通期)において、当該原料供給期間(通期)におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量を100%として、当該原料供給期間(通期)の前期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が103〜120%となり、当該原料供給期間(通期)の後期におけるプロピレンオキサイドの平均毎時製造量が80〜97%となるように反応させる反応工程とを含む、製造方法。
  2. 上記前期と後期とで、プロピレンおよび過酸化物の少なくとも一方の毎時供給量を変更することによって、プロピレンオキサイドの平均毎時製造量を変更する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記反応系が、連結された複数の反応器を備えて構成されており、かつ当該複数の反応器に順繰りに上記触媒供給工程を行いつつ、当該反応系内にプロピレンおよび過酸化物を連続的に供給して上記反応工程を行う、請求項1または2に記載の製造方法。
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