JP5410888B2 - オレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ケトンと水素とを反応させてオレフィンを製造する方法に関する。詳しくは、水添触媒と固体酸触媒とを用い、単一反応工程で、ケトンと水素とを出発物質として、高選択的にオレフィンを製造する方法に関する。
ベンゼンとプロピレンとを反応させてクメンを製造する方法、クメンを酸化してクメンヒドロペルオキシドを製造する方法、クメンヒドロペルオキシドを酸分解させてフェノールとアセトンとを製造する方法は、既にそれぞれ公知である。これらの反応を組み合わせた方法は一般にクメン法と呼ばれ、現在ではフェノールの製造方法の主流となっている。
このクメン法はアセトンが併産されるという特徴がある。アセトンが同時にほしい場合には長所となるが、得られるアセトンがその需要よりも過剰である場合には原料であるプロピレンとの価格差が不利な方向へ働き、経済性を悪化させる。そこで、併産するアセトンを様々な方法を用いてクメン法の原料として再使用する方法が提案されている。
アセトンは水添することにより容易にイソプロパノールへ変換でき、このイソプロパノールからはさらに脱水反応によりプロピレンを得ることができる。このようにして得られたプロピレンをベンゼンと反応させてクメンを得るプロセス、すなわち、アセトンをクメン法の原料として再使用するプロセスが提案されている(特許文献1参照)。
上記のような再使用においては、アセトンから高選択的にプロピレンを製造する方法を工業上、実用的に確立することが必要とされている。また、プロピレンのみならず、一般的なケトンから高選択的にオレフィンを製造する方法が工業上、実用的に確立されれば他のプロセスにおいても有用である。
特開平2−174737号公報
本発明は、単一反応工程でケトンと水素とを直接反応させて高選択率でオレフィンを得るための、工業上、実用的な方法を確立することが可能な、新規なオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。特に、アセトンと水素とを直接反応させて高選択率でプロピレンを得るための、新規なプロピレンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、触媒として水添触媒と固体酸触媒とを用い、かつ水を特定量反応器に供給することで、単一反応工程で、ケトンおよび水素を出発物質として、高選択的にオレフィンを製造できることを見出した。
すなわち、本発明のオレフィンの製造方法は、水添触媒および固体酸触媒が充填された反応器に、ケトン、水素、および水を供給し、ケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法であり、前記ケトンと水との供給量のモル比(水/ケトン)が0.01〜1.0であることを特徴とする。
前記水添触媒はCuを含む水添触媒であることが好ましい。
前記Cuを含む水添触媒はさらにIIIA族、IIB族およびVIB族のうち少なくとも一つ
の元素を含むことが好ましい。
前記固体酸触媒はゼオライトであることが好ましい。
前記ゼオライトは酸素8〜12員環の細孔を有するゼオライトであることが好ましい。
前記ゼオライトはβゼオライトおよびZSM−5から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記ケトンはアセトンであり、前記オレフィンはプロピレンであることが好ましい。
反応温度は50〜300℃であることが好ましい。
前記反応器は固定床反応器であることが好ましい。
本発明によれば、単一反応工程でケトンと水素とを直接反応させて高選択率でオレフィンを得るための、工業上、実用的な方法を確立することが可能な、新規なオレフィンの製造方法が提供される。特に、アセトンと水素とを直接反応させて高選択率でプロピレンを得るための、新規なプロピレンの製造方法が提供される。
本発明のオレフィンの製造方法は、水添触媒および固体酸触媒が充填された反応器に、ケトン、水素、および水を供給し、ケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法であり、前記ケトンと水との供給量のモル比(水/ケトン)が0.01〜1.0であることを特徴とする。
本発明のオレフィンの製造方法では、水添触媒の作用により、ケトンが水素化されてアルコールが生成した後、固体酸触媒の作用により、該アルコールが脱水されてオレフィンが生成すると考えられる。例えば、プロピレンの製造方法では、水添触媒の作用により、アセトンが水素化されてイソプロピルアルコールが生成した後、固体酸触媒の作用により、該イソプロピルアルコールが脱水されてプロピレンおよび水が生成すると考えられる。すなわち、本発明のオレフィンの製造方法では、水素化および脱水反応が段階的に起こっていると考えられる。
水は、ゼオライトなどの固体酸触媒の酸触媒としての活性を低下させる物質である。従って、従来から固体酸触媒を用いる反応では、酸触媒としての活性を維持するという観点から、水は反応系内に存在しない方が、つまり除去した方がよいと思われていた。
しかしながら、本発明者らは、酸触媒の活性を低下させると思われていた水を特定量反応器に供給することで、酸触媒の活性を維持しつつ、オレフィンの選択率が向上することを見出したのである。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明において使用するケトンは、目的とするオレフィンに応じて選択すればよく、例えば、オレフィンとしてプロピレンを得るためには、ケトンとしてアセトンが用いられ、
オレフィンとして1−ブテンを得るためには、ケトンとしてメチルエチルケトンが用いられる。
中でも本発明のオレフィンの製造方法は、ケトンとしてアセトンを用い、オレフィンとしてプロピレンを得る際に好適に適用することができる。
本発明において使用する水素としては、分子状の水素ガスを用いてもよく、反応条件により水素を発生するシクロヘキサンなどの炭化水素を用いてもよい。
水素は、原理的にはケトンに対して等モル以上あればよく、分離回収の点からはケトンに対して好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは1〜5倍モルあればよい。例えば、ケトンの時間あたりの供給量に対する水素の時間あたりの供給量を前記範囲に設定すればよい。ケトンの転化率を100%以下に抑えたい場合は、水素の量をケトンの量に対して1倍モルから低減させることで対応できる。また、本発明において供給される水素は、ケトンが有する酸素原子と反応して水となり、反応器出口から取り出すことが可能である。また、ケトンの当量以上の水素は好ましからざる副反応が進行しない限り、本質的には消費されないことになる。
反応器へ水素ガスを供給する場合には、通常は連続的に供給するが、この方法に特に限定されるものではない。反応開始時に水素ガスを供給した後、反応中供給を停止し、ある一定時間経過後に再度供給する間欠的な供給でもよいし、液相反応の場合には溶媒に水素ガスを溶解させて供給してもかまわない。また、リサイクルプロセスでは軽沸留分とともに塔頂から回収される水素ガスを供給してもよい。供給される水素の圧力は、反応器の圧力と同等であることが一般的であるが、水素の供給方法に応じて適宜変更すればよい。
本発明のオレフィンの製造方法では、水添触媒および固体酸触媒が充填された反応器に、前記ケトンと水とを、これらの供給量のモル比(水/ケトン)が0.01〜1.0、好ましくは0.02〜0.9、更に好ましくは0.05〜0.8となる条件で供給する。例えば、ケトンの時間あたりの供給量に対する水の時間あたりの供給量を前記範囲に設定すればよい。前記範囲の水を反応器に供給することで、酸触媒の活性を低下させることなく、オレフィンの選択率を向上させることができる。
本発明を実施する際には、反応系内に触媒および出発物質(ケトン、水素、および水)に対して不活性な溶媒または気体を供給して、前記反応を希釈した状態で行うことも可能である。
本発明のオレフィンの製造方法において、前記反応を行う場合、その方法および条件としては特に制限はなく、例えば、以下に示すような条件および方法が採用できる。
出発物質であるケトンと水素との接触や水の供給方法は、気液向流および気液併流の何れでもよく、また液およびガスの方向として、液下降−ガス上昇、液上昇−ガス下降、液ガス上昇、液ガス下降の何れでもよい。
反応温度は、本発明では特に限定されることはないが、好ましくは50〜300℃、更に好ましくは150〜250℃の範囲である。また、実施圧力は、好ましくは0.1〜500気圧、更に好ましくは0.5〜100気圧の範囲である。
《水添触媒》
水添触媒としては、一般に水素化用の触媒として用いられている、Cuを含む触媒;ニッケル系の触媒、例えば、酸化ニッケルを珪藻土、アルミナまたはシリカに担持させた後
、還元処理して調製された還元ニッケル触媒;白金族系の触媒、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム;が挙げられる。また、これらの触媒を担体に担持させて用いてもよい。
水添触媒としては、上記例示の中でも、Cuを含む水添触媒が好適に用いられる。Cuを含む水添触媒としては、Cuを金属そのものとして含むもの、金属化合物の形で含むものなどが挙げられる。前記金属化合物としては、例えば、CuO、Cu2Oなどの金属酸
化物;CuCl2などの金属塩化物が挙げられる。
Cuを含む水添触媒は、さらにIIIA族、IIB族およびVIB族のうち少なくとも一つの
元素を含むことが好ましい。IIIA族としてはAl、Inなど;IIB族としてはZnなど
;VIB族としてはCr、Moなどが好ましい元素として挙げられる。このような水添触媒としては、銅−クロム、ラネー銅、銅−亜鉛などの銅系の触媒が挙げられる。
また、PbSO4、FeCl2、SnCl2などの金属塩;K、Naなどのアルカリ金属
やアルカリ金属塩;BaSO4;などが添加されたCuを含む水添触媒を用いると、その
活性やオレフィンの選択率が向上する場合がある。
市場で入手できるCuを含む水添触媒としては、例えば、CuO−ZnO−Al23、CuO−Cr23−BaOなどが挙げられる。
水添触媒の形状は特に制限は無く、球状・円柱状・押し出し状・破砕状などの何れでもよい。また、その粒子の大きさも特に制限は無く、通常は0.01mm〜100mmの範囲のものを反応器の大きさに応じて選定すればよい。
水添触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
《固体酸触媒》
固体酸触媒としては、通常の固体酸である、ゼオライト;シリカ;アルミナ、シリカアルミナ、γアルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物などが挙げられる。これらの中では、ゼオライトが好ましい。
ゼオライトとしては、前記反応において中間体として存在すると考えられるアルコールおよび目的とするオレフィンの分子径により、好適なゼオライトを選択すればよい。
特にゼオライトとしては、酸素8〜12員環の細孔を有するゼオライトが好ましい。酸素8〜12員環の細孔を有するゼオライトとしては、チャバサイト、エリオナイト、フェリエライト、ヒューランダイト、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、NU−87、シーター1、ウェイネベアイト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY型ゼオライト、モルデナイト、脱アルミニウムモルデナイト、βゼオライト、MCM−22、MCM−36、MCM−56などが挙げられる。これらの中でも、βゼオライトおよびZSM−5から選択される少なくとも1種が好ましい。
ゼオライトにおけるケイ素とアルミニウムとの組成比(ケイ素/アルミニウム)は、2/1〜200/1の範囲にあることが好ましく、活性および熱安定性の面から5/1〜100/1の範囲にあることが特に好ましい。さらに、ゼオライト骨格に含まれるアルミニウムを、Ga、Ti、Fe、Mn、Bなどのアルミニウム以外の金属で置換した、いわゆる同型置換したゼオライトを用いることもできる。また、ゼオライトとしては、自身を金属イオンで修飾したものを用いることもできる。
固体酸触媒の形状は特に制限は無く、球状・円柱状・押し出し状・破砕状の何れでもよい。また、その粒子の大きさも特に制限は無く、通常は0.01mm〜100mmの範囲のものを反応器の大きさに応じて選定すればよい。
固体酸触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
《水添触媒および固体酸触媒の使用形態》
本発明のオレフィンの製造方法では、前述の水添触媒および固体酸触媒が充填された反応器に、前記ケトン、水素、および水を供給し、ケトンと水素とを反応させる。反応器に充填された水添触媒および固体酸触媒の合計量(以下「触媒量」とも記す)は特に限定されないが、例えば、固定床反応器を備えた固定床流通装置を用いて反応を行う場合、出発物質であるケトンの時間あたりの供給量(重量)を触媒量(重量)で割った値、すなわちWHSVで示すと、好ましくは0.1〜200/h、更に好ましくは0.2〜100/hの範囲である。
固体酸触媒と水添触媒との量比は特に限定されないが、固体酸触媒:水添触媒(重量比)が、通常は1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.05〜1:50である。あまりにも固体酸触媒の使用量が小さいと脱水反応が充分に行われず、オレフィン収率が低下するため、経済的ではない。また、あまりにも固体酸触媒の使用量が大きいとケトンの転化率が低下するため、これもまた経済的ではない。
本発明を実施する際には、反応器内の水分含有量を厳密に調整するという観点から、水添触媒および固体酸触媒を公知の方法で脱水することが望ましい。反応器として固定床反応器を用いる場合には、水添触媒および固体酸触媒が充填された固定床反応器へ不活性ガス(例:窒素、ヘリウム)を流通させながら、300℃以上の温度に10分以上保持すればよい。さらに水添触媒の活性を発現させるために、脱水処理後、水素気流下での処理を行うこともできる。
前記反応がある時間経過した後において触媒の活性が低下する場合には、公知の方法で再生を行い、水添触媒および固体酸触媒の活性を回復することができる。
本発明では、前記反応の触媒として、水添触媒および固体酸触媒を用いる。その利用方法については特に制限はないが、水添触媒と固体酸触媒とをセンチメートルサイズの触媒粒子レベルで物理混合してもよいし、両者を微細化して混合した後に改めてセンチメートルサイズの触媒粒子へ成型してもよいし、さらには固体酸触媒を担体としてその担体上に水添触媒を担持させてもよいし、逆に水添触媒を担体としてその担体上に固体酸触媒を担持させてもよい。
特に、水添触媒としてCuを含む水添触媒を用い、かつ固体酸触媒としてゼオライトを用いることが好ましい。例えば、Cuを含む水添触媒は、ゼオライトに担持されていてもよい。その調製方法としては、Cuの硝酸塩などの水溶液にゼオライトを含浸させ、焼成する方法;Cuを有機溶媒に可溶にするため、配位子とよばれる有機分子をCuと結合させた錯体として、有機溶媒中に添加し、溶液を調製し、該溶液にゼオライトを含浸させ、焼成する方法;さらに錯体のうちあるものは真空下で気化するため、蒸着などでゼオライトに担持させる方法などが挙げられる。また、ゼオライトを対応する金属塩から得る際に、水添触媒となるCuの塩を共存させて、担体合成と水添触媒の担持とを同時に行う共沈法を採用することもできる。
その他、水添触媒を担持しうる担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、シリカマグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、カーボン(活性炭)、
酸性白土、けいそう土などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、シリカマグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、カーボン(活性炭)のうち少なくとも1つを選択することが好ましい。なお、これらの担体の中には、固体酸触媒として機能するものもあり、その場合には、固体酸触媒を担体としてその担体上に水添触媒を担持させることになる。
本発明において使用される反応器としては、固定床反応器、流動床反応器などが挙げられるが、触媒の磨耗や粉化を防止するという観点から、固定床反応器が好ましい。
本発明において、反応器に水添触媒および固体酸触媒を充填する方法は特に限定されないが、反応器として固定床反応器を用いる場合、水添触媒および固体酸触媒の充填方法は反応成績に大きな影響を与えることがある。前述したように、本発明では水素化と脱水反応とが段階的に起こっていると考えられる。従って、反応の各段階に応じた適当な触媒種を順番に反応器に充填することは、触媒を効率よく使用するという意味で、また目的としない副反応を抑制するという意味で好ましい充填方法である。
特に反応速度を上げるために水素圧や反応温度を上昇させる場合、低い水素圧や低い反応温度では見られなかった好ましくない副反応が起こることは、一般的な化学反応においてよく見られる挙動である。このような場合においては、特に触媒の充填方法が反応成績に大きな影響を与える可能性がある。
従って、反応の各段階に応じた適当な触媒種を順番に反応器に充填してもよく、水添触媒と固体酸触媒との混合比に傾斜をつけて反応器に充填してもよい。このような方法としては、例えば、反応器に、(1)水添触媒および固体酸触媒を混合して充填する方法、(2)水添触媒からなる層(上流側)と、固体酸触媒からなる層(下流側)とを形成するように充填する方法、(3)水添触媒を担持した固体酸触媒を充填する方法、(4)水添触媒からなる層(上流側)と、固体酸触媒および水添触媒からなる層(下流側)とを形成するように充填する方法、(5)水添触媒からなる層(上流側)と、水添触媒を担持した固体酸触媒からなる層(下流側)とを形成するように充填する方法、(6)水添触媒および固体酸触媒からなる層(上流側)と、固体酸触媒からなる層(下流側)とを形成するように充填する方法、(7)水添触媒を担持した固体酸触媒からなる層(上流側)と、固体酸触媒からなる層(下流側)とを形成するように充填する方法が挙げられる。なお、上流側とは、反応器の入口側、すなわち出発物質が反応の前半に通過する層を示し、下流側とは、反応器の出口側、すなわち出発物質、中間体および反応生成物などが反応の後半に通過する層を示す。
オレフィンの生産量を維持するために、反応器を2つまたは3つ並列に並べ、1つの反応器内の触媒が再生している間に、残った1つまたは2つの反応器で反応を実施するメリーゴーランド方式をとっても構わない。さらに反応器が3つある場合には、他の反応器2つを直列につなぎ、生産量の変動を少なくする方法をとってもよい。また、流動床流通反応方式や移動床反応方式で実施する場合には、反応器から連続的または断続的に、一部または全部の触媒を抜き出して相当する分を補充することにより、一定の活性を維持することが可能である。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
高圧用フィードポンプ、高圧用水素マスフロー、高圧用窒素マスフロー、電気炉、触媒
充填部分を有する反応器、背圧弁を設置した固定床反応装置を用い、ダウンフローによる加圧液相流通反応を行った。
内径1cmのSUS316製反応器に、反応器の出口側からまず、水添触媒として銅−亜鉛触媒(SudChemie社製、製品名ShiftMax210、元素質量% Cu:32〜35%、Zn:35〜40%、Al:6〜7%)粉末(250〜500μへ分級したもの)を上流側の触媒層として1.0g充填した。触媒層を分離するため石英ウールを詰めた後、固体酸触媒としてβゼオライト(触媒化成社製、20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)1.0gを下流側の触媒層として充填した。
水素で2.5MPaまで加圧した後、反応器入口側より20ml/分の水素気流下、200℃で3時間還元処理を行った。20ml/分の水素気流下のまま、180℃へ降温し、ここに反応器入口側よりアセトンを0.60g/Hrで、水を水/アセトン(モル比)が0.1となる量0.019g/Hrで流通させた。
反応器出口と背圧弁との中間に高圧用窒素マスフローにより50ml/分の窒素を導入した。背圧弁以降のラインにGCを設置し、オンラインで生成物を定量した。反応結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、水を、水/アセトン(モル比)が0.3となる量0.056g/Hrで流通させたこと以外は実施例1と同様に行った。反応結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、水を、水/アセトン(モル比)が0.4となる量0.074g/Hrで流通させたこと以外は実施例1と同様に行った。反応結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、水を、水/アセトン(モル比)が1.0となる量0.186g/Hrで流通させたこと以外は実施例1と同様に行った。反応結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、反応器入口側よりアセトンを0.60g/Hrで流通させ、水を流通させなかったこと以外は実施例1と同様に行った。反応結果を表1に示す。
Figure 0005410888
表1において、「選択率(%)/アセトン」は、原料アセトン量に対する、生成した各成分のアセトン換算量(モル百分率)を意味し、「選択率(%)/(アセトン−IPA−DIPE)」は、原料アセトン量から生成したIPAおよびDIPEのアセトン換算量を差
し引いた量に対する、生成した各成分のアセトン換算量(モル百分率)を意味する。ここで、IPAおよびDIPEは、上述した水素化および脱水反応の一連の反応における中間体に相当する。
表1の結果から明らかなように、本発明の製造方法によれば、プロピレン2量体などの目的としない副反応生成物の生成を抑制でき、プロピレンを高選択的に製造できることがわかる。
本発明は、ケトンと水素を直接反応させて、単一反応工程で高選択的にオレフィンを得るための工業上、実用的な方法を提供するものである。この方法を用いれば、クメン法によるフェノール製造時に併産されるアセトンから、直接プロピレンを得ることができる。

Claims (9)

  1. 水添触媒および固体酸触媒が充填された反応器に、ケトン、水素、および水を供給し、ケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法であり、
    前記ケトンと水との供給量のモル比(水/ケトン)が0.01〜1.0であることを特徴とするオレフィンの製造方法。
  2. 前記水添触媒が、Cuを含む水添触媒である請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  3. 前記Cuを含む水添触媒が、さらにIIIA族、IIB族およびVIB族のうち少なくとも一
    つの元素を含む請求項2に記載のオレフィンの製造方法。
  4. 前記固体酸触媒が、ゼオライトである請求項1〜3の何れか一項に記載のオレフィンの製造方法。
  5. 前記ゼオライトが、酸素8〜12員環の細孔を有するゼオライトである請求項4に記載のオレフィンの製造方法。
  6. 前記ゼオライトが、βゼオライトおよびZSM−5から選択される少なくとも1種である請求項4に記載のオレフィン製造方法。
  7. 前記ケトンがアセトンであり、前記オレフィンがプロピレンである請求項1〜6の何れか一項に記載のオレフィンの製造方法。
  8. 反応温度が、50〜300℃である請求項1〜7の何れか一項に記載のオレフィンの製造方法。
  9. 前記反応器が、固定床反応器である請求項1〜8の何れか一項に記載のオレフィン製造方法
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