JP5580668B2 - オレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ケトンと水素とを反応させてオレフィンを製造する方法に関する。詳しくは、シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒とを用い、単一反応工程でケトンと水素とを出発物質とし、高選択的にオレフィンを製造する方法に関する。
ベンゼンとプロピレンとを反応させてクメンを製造する方法、クメンを酸化してクメンヒドロペルオキシドを製造する方法、クメンヒドロペルオキシドを酸分解させてフェノールとアセトンとを製造する方法は、既にそれぞれ公知である。これらの反応を組み合わせた方法は一般にクメン法と呼ばれ、現在ではフェノールの製造方法の主流となっている。
このクメン法はアセトンが併産されるという特徴がある。アセトンが同時にほしい場合には長所となるが、得られるアセトンがその需要よりも過剰である場合には原料であるプロピレンとの価格差が不利な方向へ働き、経済性を悪化させる。そこで、併産するアセトンを様々な方法を用いてクメン法の原料として再使用する方法が提案されている。
アセトンは水添することにより容易にイソプロピルアルコールへ変換でき、このイソプロピルアルコールからはさらに脱水反応によりプロピレンを得ることができる。このようにして得られたプロピレンをベンゼンと反応させてクメンを得るプロセス、すなわち、アセトンをクメン法の原料として再使用するプロセスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記のような再使用においては、アセトンから高選択的にプロピレンを製造する方法を工業上、実用的に確立することが必要とされている。また、プロピレンのみならず、一般的なケトンから高選択的にオレフィンを製造する方法が工業上、実用的に確立されれば他のプロセスにおいても有用である。
また、Cu(25%)−酸化亜鉛(35%)−酸化アルミニウム(40%)触媒の存在下、400℃でアセトンの水素化反応を行い、プロピレンを得る方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では反応温度が高いため熱効率が悪く、選択性も悪い。
特開平2−174737号公報 東ドイツ特許 DD84378号公報
本発明は、単一反応工程でケトンと水素とを直接反応させて高収率でオレフィンを得るための、工業上、実用的な方法を確立することが可能な、新規なオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。特に、アセトンと水素とを直接反応させて高収率でプロピレンを得るための、新規なオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、触媒としてCuを含む触媒
とゼオライトとを用い、単一反応工程で、ケトンおよび水素を出発物質として、オレフィンを製造する際に、ゼオライトとして、シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトを用いることで、著しくゼオライトを高活性化できることを見出した。
すなわち、本発明のオレフィンの製造方法は、以下の(1)〜(9)に関する。
(1) シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒との存在下、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法。
(2) 前記シリカ含有ゼオライトが、ゼオライト100質量%に対し、シリカを3〜30質量%含有することを特徴とする(1)に記載のオレフィンの製造方法。
(3) 前記シリカ含有ゼオライトが、下記一般式で示される構造を有する分子量120〜20万のシリコーン化合物を含有する溶液にゼオライトを浸漬し、溶媒を除去した後に焼成することにより得られることを特徴とする(1)に記載のオレフィンの製造方法。
Figure 0005580668
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基
、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基からなる群から選ばれ、nは2〜1000の範囲の値である。]
(4) 前記シリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトが、酸素10〜16員環の細孔を有するゼオライトである(1)に記載のオレフィンの製造方法。
(5) 前記反応が、固定床反応器中で行われ、該反応器の入口側にCuを含む触媒が充填されており、出口側に前記シリカ含有ゼオライトが充填されている(1)に記載のオレフィンの製造方法。
(6) 前記ケトンがアセトンであり、前記オレフィンがプロピレンであることを特徴とする(1)に記載のオレフィンの製造方法。
(7) 前記Cuを含む触媒が、さらにIIIA族、IIB族、およびVIB族のうち少なくとも一つの元素を含む(1)に記載のオレフィンの製造方法。
(8) シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒とが充填された反応器に、ケトン、水素および水を供給し、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法。
(9) 前記ケトンが、植物由来原料からイソプロピルアルコールおよびアセトンを生成しうるイソプロピルアルコール生成細菌により得られたアセトンであり、前記オレフィンがプロピレンであることを特徴とする(1)に記載のオレフィンの製造方法。
本発明のオレフィンの製造方法は、単一反応工程でケトンと水素とを直接反応させて高選択率でオレフィンを得ることが可能な方法であり、かつ工業上、実用的な方法を確立することが可能である。本発明のオレフィンの製造方法は、ケトンとしてアセトンを用いることにより、好適にアセトンと水素とを直接反応させて、高選択率でプロピレンを得ることができる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明のオレフィンの製造方法は、シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒との存在下、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させる。
本発明のオレフィンの製造方法では、ケトンと水素とを反応させ、オレフィンを得る。該反応においては、副生成物として水が得られ、該反応の中間体としては、アルコール、エーテルが存在すると考えられる。
<シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライト>
本発明に用いる、シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライト(単に、シリカ含有ゼオライトとも記す。)は、ゼオライトの外部表面にシリカが存在するゼオライトである。
ゼオライトとは結晶性の多孔質アルミノケイ酸塩の総称として用いられている名前であり、トポロジーに従った構造コードにより分類されている。各構造コードに対しては構造、組成、結晶学的データに関する情報が知られている(例えばAtlas of Zeolite Structure Types、4th Ed.、Elsevier 1996、他にCollection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites、Elsevier 1996)。ゼオライトは一般に比表面積が数百m2-1以上あるが、その大部分は結晶内部の空間に由来す
る。本発明で言う外部表面とは結晶外表面のことであり、この結晶外表面の面積は非常に細かい結晶の場合でも全表面積の数%以下と小さい。
一般にゼオライトは、多くの細孔を有し、該細孔内に分子を取り込み、反応させることが可能である。該細孔内にシリカが存在すると、シリカが存在する細孔は、触媒として充分に作用しない。このため、本発明に用いるシリカ含有ゼオライトは、実質的に全てのシリカが、ゼオライトの外部表面に存在することが好ましい。本発明に用いるシリカ含有ゼオライトは、後述の方法により調製することにより、実質的にシリカが外部表面にのみ存在させることが可能である。
前記シリカ含有ゼオライトは、ゼオライト100質量%に対し、シリカを3〜30質量%含有することが好ましい。前記範囲内では触媒活性が特に優れるため好ましい。シリカ含有ゼオライトのシリカ含有量があまりに少ない場合には、触媒活性がゼオライトと比べ、向上しない傾向があり、シリカ含有量があまりに多い場合には、ゼオライトの細孔入口がシリカで塞がる傾向があり、触媒の活性点が減少する傾向がある。
本発明でのケトンと水素とを直接反応させてオレフィンを得る反応では、水が高濃度で生成する。水は、一般に酸触媒であるゼオライトの触媒活性を著しく低下させる被毒物質である。このため、ゼオライトと、Cuを含む触媒との存在下でケトンと水素とを反応させる、従来のオレフィンの製造方法においては、多大なゼオライト量が必要となり、工業化の点で大きな問題であった。
本発明者らは、ゼオライトに変えて、前記シリカ含有ゼオライトを用いたところ、触媒活性が低下するどころか、予想に反して触媒活性が著しく向上することを見出した。本発明に用いるシリカ含有ゼオライトは、外部表面に存在するシリカの撥水性により、ゼオライトの酸触媒活性の被毒物質である水を、触媒の活性点である、ゼオライトの細孔内部から遠ざけることが可能であるため、長期間触媒活性に優れると本発明者らは推測した。
前記シリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトとしては、以下のものを用いることが
できる。
〔ゼオライト〕
本発明に用いるシリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトとしては、ケトンと水素とを反応させてオレフィンを得る際に、中間体として、存在すると考えられるアルコールおよび目的とするオレフィンの分子径により、好適なゼオライトを選択すればよい。
特にゼオライトとしては、酸素10〜16員環の細孔を有するゼオライトが好ましい。酸素10〜16員環の細孔を有するゼオライトとしては、フェリエライト、ヒューランダイト、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、NU−87、シーター1、ウェイネベアイト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY型ゼオライト、モルデナイト、脱アルミニウムモルデナイト、β−ゼオライト、MCM−22、MCM−36、MCM−56などが挙げられる。これらの中でも、β−ゼオライトが好ましい。
ゼオライトにおけるケイ素とアルミニウムとの組成比(ケイ素/アルミニウム)は、2/1〜200/1の範囲にあることが好ましく、活性および熱安定性の面から5/1〜100/1の範囲にあることが特に好ましい。さらに、ゼオライト骨格に含まれるアルミニウムを、Ga、Ti、Fe、Mn、Bなどのアルミニウム以外の金属で置換した、いわゆる同型置換したゼオライトを用いることもできる。また、ゼオライトとしては、自身を金属イオンで修飾したものを用いることもできる。
ゼオライトの形状は特に制限は無く、球状・円柱状・押し出し状・破砕状の何れでもよい。また、その粒子の大きさも特に制限は無く、通常は0.01mm〜100mmの範囲のものを反応器の大きさに応じて選定すればよい。
ゼオライトは、一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
〔シリカ含有ゼオライトの調製方法〕
本発明に用いるシリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトの調製方法としては、特に限定はないが、例えばシリコーン化合物を含有する溶液に前記ゼオライトを浸漬し、溶媒を除去し、次いで焼成する方法が挙げられ、該方法においては、シリコーン化合物が、前記ゼオライトが有する細孔に実質的に侵入しないように調製された、シリコーン化合物を含有する溶液を用いることが好ましい。
シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトの調製方法は、従来から知られており、例えばUS Patent 4,127,616、US Patent 5,689,025等に開示されている方法が挙げられる。前記シリカを外部表面に含ませる方法の従来の目的はゼオライトの細孔径を狭めて形状選択性を上げることで選択性を向上するためのものであり、前記文献に記載されたシリカ含有ゼオライトは、外部表面にシリカが存在するものの、シリカによってゼオライトの細孔入口を塞いでしまうためか、反応が阻害され、触媒としての活性自体も低下する傾向があった。
シリカ含有ゼオライトの調製方法としては、シリカがゼオライトの細孔内に入り、触媒活性が低下してしまうことがないように、シリコーン化合物が、前記ゼオライトが有する細孔に実質的に侵入しないことが好ましい。
前記ゼオライトが有する細孔径は、通常5〜10オングストロームである。
シリコーン化合物としては、前記ゼオライトが有する細孔に実質的に侵入しないシリコーン化合物を用いることが好ましい。シリコーン化合物としては具体的には、下記一般式
で示される構造を有する分子量120〜20万のシリコーン化合物を用いることが好ましい。
Figure 0005580668
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基
、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基からなる群から選ばれ、nは2〜1000の範囲の値である。]
前記一般式において、R1およびR2の少なくともいずれか一方が、1〜10個の炭素原子を有する基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。nは少なくとも2であり、一般に3〜1000の範囲の整数である。使用するシリコーン化合物の分子量は、一般に120〜20万、好ましくは130〜10万、更に好ましくは、150〜1万の範囲内である。
シリカ含有ゼオライトを得る際に用いられるシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、エチルハイドロジェンシリコーン、フェニルハイドロジェンシリコーン、メチルエチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、ポリジメチルシリコーン等が挙げられる。シリコーン化合物は必ずしも直鎖である必要はなく、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等のように環状であってもよい。またシリコーン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
シリカ含有ゼオライトを調製する際には、前記シリコーン化合物を含有する溶液にゼオライトを浸漬させることにより、ゼオライトの外部表面にシリコーン化合物を均一に被覆させた後、溶媒を除去し、焼成し、シリコーン化合物中の有機成分を分解除去することにより、シリカをゼオライトの外部表面に均一に存在させることが可能である。具体的には、シリコーン化合物が溶解可能な有機溶剤に前記シリコーン化合物を溶解させることにより得られた溶液に、ゼオライトを加え、ゼオライトを30分程度懸濁させた後、減圧下で有機溶剤を留去することにより、シリコーン化合物が外部表面に存在するゼオライトを得る。次いで、得られたシリコーン化合物が外部表面に存在するゼオライトを、空気流通下で、500〜600℃で焼成することにより、シリコーン化合物がシリカへ変化し、シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトが得られる。
前記有機溶剤としては、通常は非極性溶媒が用いられ、非極性溶媒としては例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、トルエン、ジフェニルエーテル、オクチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、中でもn−ヘキサンが好ましい。なお、有機溶剤として、非極性溶媒を用いることにより、極性物質であるシリコーン化合物を溶解した際に、溶液中で、シリコーン化合物は会合する。会合したシリコーン化合物は一般に、ゼオライトの有する細孔の細孔径よりも大きい。このため、シリコーン化合物を含有する溶液にゼオライトを浸漬した際には、シリコーン化合物は、実質的に細孔内部に侵入することがなく、実質的に外部表面のみに存在すると考えられる。そしてシリカ含有ゼオライトが含むシリカは、シリコーン化合物に由来するため、有機溶剤として非極性溶媒を用いることにより、実質的にシリカが外部表面に
のみ存在するシリカ含有ゼオライトを得ることができる。
シリコーン化合物の使用量としては特に限定はないが、得られるシリカ含有ゼオライトがゼオライト100質量%に対し、シリカを3〜30質量%含有する量で、シリコーン化合物を用いることが好ましい。具体的なシリコーン化合物の使用量としては、用いるシリコーン化合物の種類によっても異なるが、ゼオライト100質量%に対して、シリコーン化合物を通常は5〜20質量%用いることが好ましい。
有機溶剤の量としては、シリコーン化合物が完全に溶解し、ゼオライトを懸濁させるのに充分な量であれば特に限定はないが、通常は、非極性溶媒100質量%に対してシリコーン化合物が0.1〜50質量%の範囲である。
<Cuを含む触媒>
Cuを含む触媒としては、Cuを金属そのものとして含むもの、金属化合物の形で含むものなどが挙げられる。前記金属化合物としては、例えば、CuO、Cu2Oなどの金属
酸化物;CuCl2などの金属塩化物が挙げられる。また、これらの触媒を担体に担持さ
せて用いてもよい。
Cuを含む触媒は、さらにIIIA族、IIB族およびVIB族のうち少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。IIIA族としてはAl、Inなど;IIB族としてはZnなど;VIB族としてはCr、Moなどが好ましい元素として挙げられる。このような触媒としては、銅−クロム、ラネー銅、銅−亜鉛などの銅系の触媒が挙げられる。
また、PbSO4、FeCl2、SnCl2などの金属塩;K、Naなどのアルカリ金属
やアルカリ金属塩;BaSO4;などが添加されたCuを含む触媒を用いると、その活性
やオレフィンの選択率が向上する場合がある。
市場で入手できるCuを含む触媒としては、例えば、CuO−ZnO−Al23、CuO−Cr23−BaOなどが挙げられる。
Cuを含む触媒の形状は特に制限は無く、球状・円柱状・押し出し状・破砕状などの何れでもよい。また、その粒子の大きさも特に制限は無く、通常は0.01mm〜100mmの範囲のものを反応器の大きさに応じて選定すればよい。
本発明のオレフィンの製造方法は、前記シリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒との存在下、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させる方法である。該反応は通常、前記Cuを含む触媒と、シリカ含有ゼオライトが充填された反応器に、ケトンおよび水素を供給し、反応を行う。本発明のオレフィンの製造方法としては、原料であるケトンおよび水素に加えて、水を反応器に供給することが好ましい。すなわち、本発明のオレフィンの製造方法は、前記シリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒とが充填された反応器に、ケトン、水素および水を供給し、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させる方法であることが好ましい。本発明のオレフィンの製造方法において、水を反応器に供給すると、高選択率でオレフィンを製造することができる。
なお、ケトン、水素および水を供給する場合、水とケトンとの供給量のモル比(水/ケトン)が0.1〜5.0であることが好ましい。
なお、前記Cuを含む触媒を、明細書において以下、単に水添触媒とも記す。
本発明において使用するケトンは、目的とするオレフィンに応じて選択すればよく、例
えば、オレフィンとしてプロピレンを得るためには、ケトンとしてアセトンが用いられ、オレフィンとして1−ブテンを得るためには、ケトンとしてメチルエチルケトンが用いられる。
本発明のオレフィンの製造方法は、ケトンとしてアセトンを用い、オレフィンとしてプロピレンを得る際に好適に適用することができる。
ケトンを得る方法としては特に限定はなく、フェノール製造時の副産物として得られるアセトン、2−ブタノールの脱水素により得られるメチルエチルケトン等が挙げられる。また、ケトンがアセトンである場合には、植物由来原料からイソプロピルアルコールおよびアセトンを生成しうるイソプロピルアルコール生成細菌により得られたアセトンを用いてもよい。
前記植物由来原料とは、植物から得られる炭素源であり、細菌が代謝し、イソプロピルアルコールに変換しうるものであれば特に限定はされない。本発明においては、根、茎、幹、枝、葉、花、種子等の器官、それらを含む植物体、植物器官、またはそれらの分解産物を指し、更に植物体、植物器官、またはそれらの分解産物から得られる炭素源のうち、微生物が培養において炭素源として利用しうるものも、植物由来原料に包含される。このような植物由来原料に包含される炭素源には、一般的なものとしてデンプン、グルコース、フルクトース、シュークロース、キシロース、アラビノース等の糖類、またはこれら成分を多く含む草木質分解産物やセルロース加水分解物などが例示できる。更には植物油由来のグリセリンや脂肪酸も、本発明における炭素源に該当する。本発明における植物由来原料としては、穀物等の農作物、トウモロコシ、米、小麦、大豆、サトウキビ、ビート、綿等を好ましく用いることができ、その原料としての使用形態は、未加工品、絞り汁、粉砕物等、特に限定されない。また上記の炭素源のみの形態であっても良い。
前記イソプロピルアルコール生産細菌は、前記植物由来原料からイソプロピルアルコールおよびアセトンを生成する能力を有するものであればよく、例えば培養によって植物由来原料を資化し、一定時間後に培養液中にイソプロピルアルコールおよびアセトンを分泌する細菌が例示できる。このようなイソプロピルアルコール生成細菌は、例えば、国際公開WO2009/008377号公報、中国特許出願公開第CN1043956A号、特開昭61−67493号公報、Applied and Environmental Microbiology,Vol.64、No.3、p1079−1085(1998)等の文献に記載されているものを用いることができる。中でも、国際公開WO2009/008377号公報に記載されているイソプロピルアルコール生成細菌を用いることが好ましい。
前記国際公開WO2009/008377号公報に記載されているイソプロピルアルコール生産細菌は、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性およびチオラーゼ活性が付与されたものである。
活性の「付与」とは、酵素をコードする遺伝子を宿主細菌の菌体外から菌体内に導入することの他に、宿主細菌がゲノム上に保有する酵素遺伝子のプロモーター活性を強化すること、または他のプロモーターと置換することによって酵素遺伝子を強発現させたものを含む。
前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性およびチオラーゼ活性がそれぞれ、クロストリジウム属細菌、バチルス属細菌およびエシェリヒア属細菌からなる群より選択された少なくとも1種由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであることが好ましい。
前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性およびイソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性が、クロストリジウム属細菌由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記CoAトランスフェラーゼ活性およびチオラーゼ活性が、エシェリヒア属細菌由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであることがより好ましい。
前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性がクロストリジウム・アセトブチリカム由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性がクロストリジウム・ベイジェリンキ由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであり、前記CoAトランスフェラーゼ活性およびチオラーゼ活性が、エシェリヒア・コリ由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであることが特に好ましい。
前記アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、イソプロピルアルコールデヒドロゲナーゼ活性、CoAトランスフェラーゼ活性、およびチオラーゼ活性がそれぞれ、クロストリジウム属細菌由来の酵素をコードする遺伝子の導入により得られたものであることも好ましい。
前記イソプロピルアルコール生成細菌が大腸菌(Escherichia coli)であることが好ましい。
植物由来原料から、イソプロピルアルコール生成細菌によって、イソプロピルアルコールおよびアセトンを生成することが可能であるが、該生成においては、通常水、カルボン酸等の他の副生成物が同時に得られる。本発明に用いるケトンとして、植物由来原料からイソプロピルアルコール生成細菌によって得られるアセトンを用いる場合には、生成物中のイソプロピルアルコール、水、他の副生成物等を除去する精製を行った、純度の高いアセトンを用いてもよい。
また、得られた生成物中の、イソプロピルアルコールおよびアセトンを高濃度化し、他の副生成物を除去したものを用いてもよい。このような場合には、アセトンと同時に、イソプロピルアルコールおよび水を反応器中に供給することになる。イソプロピルアルコールが供給された場合には、前記シリカ含有ゼオライトにより、イソプロピルアルコールは脱水されてプロピレンおよび水が生成する。
本発明において使用する水素としては、分子状の水素ガスを用いてもよく、反応条件により水素を発生するシクロヘキサンなどの炭化水素を用いてもよい。
水素は、原理的にはケトンに対して等モル以上あればよく、分離回収の点からはケトンに対して好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは1〜6倍モルあればよい。例えば、ケトンの時間あたりの供給量に対する水素の時間あたりの供給量を前記範囲に設定すればよい。ケトンの転化率を100%以下に抑えたい場合は、水素の量をケトンの量に対して1倍モルから低減させることで対応できる。また、本発明において供給される水素は、ケトンが有する酸素原子と反応して水となり、反応器出口から取り出すことが可能である。また、ケトンの当量以上の水素は好ましからざる副反応が進行しない限り、本質的には消費されないことになる。
反応器へ水素ガスを供給する場合には、通常は連続的に供給するが、この方法に特に限定されるものではない。反応開始時に水素ガスを供給した後、反応中供給を停止し、ある一定時間経過後に再度供給する間欠的な供給でもよいし、液相反応の場合には溶媒に水素
ガスを溶解させて供給してもかまわない。また、リサイクルプロセスでは軽沸留分とともに塔頂から回収される水素ガスを供給してもよい。供給される水素の圧力は、反応器の圧力と同等であることが一般的であるが、水素の供給方法に応じて適宜変更すればよい。
本発明を実施する際には、反応系内に触媒および出発物質(ケトンおよび水素、または、ケトン、水素および水)に対して不活性な溶媒または気体を供給して、前記反応を希釈した状態で行うことも可能である。
本発明のオレフィンの製造方法において、前記反応を行う場合、その方法および条件としては特に制限はなく、例えば、以下に示すような条件および方法が採用できる。
出発物質であるケトンと水素との接触や水の供給方法は、気液向流および気液併流の何れでもよく、また液およびガスの方向として、液下降−ガス上昇、液上昇−ガス下降、液ガス上昇、液ガス下降の何れでもよい。
反応温度は、50〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは150〜200℃の範囲である。また、実施圧力は、好ましくは0.1〜500気圧、更に好ましくは0.5〜100気圧の範囲である。
<Cuを含む触媒、シリカ含有ゼオライトの使用形態>
本発明のオレフィンの製造方法では、前記Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトが充填された反応器に、前記ケトンおよび水素を供給し、ケトンと水素とを反応させる。反応器に充填された前記Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトの合計量(以下「触媒量」とも記す)は特に限定されないが、例えば、固定床反応器を備えた固定床流通装置を用いて反応を行う場合、出発物質であるケトンの時間あたりの供給量(重量)を触媒量(重量)で割った値、すなわちWHSVで示すと、好ましくは0.1〜200/h、更に好ましくは0.2〜100/hの範囲である。
シリカ含有ゼオライトとCuを含む触媒との量比は特に限定されないが、シリカ含有ゼオライト:Cuを含む触媒(重量比)が、通常は1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.05〜1:50である。あまりにもシリカ含有ゼオライトの使用量が小さいと脱水反応が充分に行われず、オレフィン収率が低下するため、経済的ではない。また、あまりにもシリカ含有ゼオライトの使用量が大きいとケトンの転化率が低下するため、これもまた経済的ではない。
前記反応がある時間経過した後において触媒の活性が低下する場合には、公知の方法で再生を行い、Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトの活性を回復することができる。
本発明においては、触媒として前記シリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒との2成分を用いればよく、その触媒の使用方法としては、特に限定はないが、触媒の使用方法としては、酸触媒成分である、前記シリカ含有ゼオライトと、前記Cuを含む触媒とをセンチメートルサイズの触媒粒子レベルで物理混合したものを用いてもよいし、両者を微細化し混合した後に、改めてセンチメートルサイズの触媒粒子へ成形してもよいし、前記シリカ含有ゼオライトを担体として、その上に前記Cuを含む触媒を担持してもよいし、前記Cuを含む触媒を担体として、その上に前記シリカ含有ゼオライトを担持してよい。また、前記Cuを含む触媒と、前記シリカ含有ゼオライトとを混合等することなく、各々を用いてもよい。
特に、Cuを含む触媒を用い、かつシリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトとして
β−ゼオライトを用いることが好ましい。例えば、Cuを含む触媒は、シリカ含有ゼオライトに担持されていてもよい。その調製方法としては、Cuの硝酸塩などの水溶液にシリカ含有ゼオライトを含浸させ、焼成する方法;Cuを有機溶媒に可溶にするため、配位子とよばれる有機分子をCuと結合させた錯体として、有機溶媒中に添加し、溶液を調製し、該溶液にシリカ含有ゼオライトを含浸させ、焼成する方法;さらに錯体のうちあるものは真空下で気化するため、蒸着などでシリカ含有ゼオライトに担持させる方法などが挙げられる。
また、Cuを含む触媒は、シリカ含有ゼオライト以外の担体に担持されていてもよい。Cuを含む触媒を担持しうる担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、シリカマグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、カーボン(活性炭)、酸性白土、けいそう土などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、シリカマグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、カーボン(活性炭)のうち少なくとも1つを選択することが好ましい。
本発明において使用される反応器としては、固定床反応器、流動床反応器などが挙げられるが、触媒の磨耗や粉化を防止するという観点から、固定床反応器が好ましい。
本発明において、反応器に前記Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトを充填する方法は特に限定されないが、反応器として固定床反応器を用いる場合、Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトの充填方法は反応成績に大きな影響を与えることがある。前述のように、本発明では水素化と脱水反応とが段階的に起こっていると考えられる。従って、反応の各段階に応じた適当な触媒種を順番に反応器に充填することは、触媒を効率よく使用するという意味で、また目的としない副反応を抑制するという意味で好ましい充填方法である。
特に反応速度を上げるために水素圧や反応温度を上昇させる場合、低い水素圧や低い反応温度では見られなかった好ましくない副反応が起こることは、一般的な化学反応においてよく見られる挙動である。このような場合においては、特に触媒の充填方法が反応成績に大きな影響を与える可能性がある。
従って、反応の各段階に応じた適当な触媒種を順番に反応器に充填してもよく、Cuを含む触媒とシリカ含有ゼオライトとの混合比に傾斜をつけて反応器に充填してもよい。Cuを含む触媒とシリカ含有ゼオライトとを反応器に充填する方法としては、例えば、反応器に、(1)Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトを混合して充填する方法、(2)Cuを含む触媒からなる層(上流側即ち、入口側)と、シリカ含有ゼオライトからなる層(下流側即ち、出口側)とを形成するように充填する方法、(3)Cuを含む触媒を担持したシリカ含有ゼオライトを充填する方法、(4)Cuを含む触媒からなる層(上流側即ち、入口側)と、シリカ含有ゼオライトおよびCuを含む触媒からなる層(下流側即ち、出口側)とを形成するように充填する方法、(5)Cuを含む触媒からなる層(上流側即ち、入口側)と、Cuを含む触媒を担持したシリカ含有ゼオライトからなる層(下流側即ち、出口側)とを形成するように充填する方法、(6)Cuを含む触媒およびシリカ含有ゼオライトからなる層(上流側即ち、入口側)と、シリカ含有ゼオライトからなる層(下流側即ち、出口側)とを形成するように充填する方法、(7)Cuを含む触媒を担持したシリカ含有ゼオライトからなる層(上流側即ち、入口側)と、シリカ含有ゼオライトからなる層(下流側即ち、出口側)とを形成するように充填する方法が挙げられる。なお、上流側とは、反応器の入口側、すなわち出発物質が反応の前半に通過する層を示し、下流側とは、反応器の出口側、すなわち出発物質、中間体および反応生成物などが反応の後半に通過する層を示す。なお、出発物質とは、ケトンおよび水素を意味するが、気液向流でケトンおよび水素を反応器に供給する場合には、前記上流側(入口側)とは、ケトンが反
応の前半に通過する層を意味する。
オレフィンの生産量を維持するために、反応器を2つまたは3つ並列に並べ、1つの反応器内の触媒が再生している間に、残った1つまたは2つの反応器で反応を実施するメリーゴーランド方式をとっても構わない。さらに反応器が3つある場合には、他の反応器2つを直列につなぎ、生産量の変動を少なくする方法をとってもよい。また、流動床流通反応方式や移動床反応方式で実施する場合には、反応器から連続的または断続的に、一部または全部の触媒を抜き出して相当する分を補充することにより、一定の活性を維持することが可能である。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔調製例1〕
(シリカ含有ゼオライト1の調製)
200mlのナスフラスコにn−ヘキサン100mlを入れ、これにフェニルメチルシリコーン(分子量1686)3.58gを加え溶解させた。さらにβ−ゼオライト(触媒化成社製)10.1gを10回に分けて加えた。このナスフラスコをロータリーエバポレーターに取り付け、大気圧下、室温で30分間回転し攪拌した。さらに100mmHgの減圧下、溶媒を留去し固体粉末を得た。これを焼成炉に入れ、空気気流下、1℃/分の速度で室温から538℃まで昇温し、538℃で7時間保持した。放冷後、白色粉末11.5g(シリカ含有ゼオライト1:β−ゼオライト100質量%に対して、シリカ14質量%)を得た。
〔調製例2〕
(シリカ含有ゼオライト2の調製)
200mlのナスフラスコにn−ヘキサン100mlを入れ、これにフェニルメチルシリコーン(分子量1686)1.30gを加え溶解させた。さらにβ−ゼオライト(触媒化成社製)10.1gを10回に分けて加えた。このナスフラスコをロータリーエバポレーターに取り付け、大気圧下、室温で30分間回転し攪拌した。さらに100mmHgの減圧下、溶媒を留去し固体粉末を得た。これを焼成炉に入れ、空気気流下、1℃/分の速度で室温から538℃まで昇温し、538℃で7時間保持した。放冷後、白色粉末10.6g(シリカ含有ゼオライト2:β−ゼオライト100質量%に対して、シリカ5質量%)を得た。
〔実施例1〕
高圧用フィードポンプ、高圧用水素マスフロー、高圧用窒素マスフロー、電気炉、触媒充填部分を有する反応器、背圧弁を設置した固定床反応装置を用い、ダウンフローによる加圧液相流通反応を行った。
内径1cmのSUS316製反応器に、反応器の出口側からまず、銅−亜鉛触媒(SudChemie社製、製品名ShiftMax210、元素質量%Cu 32〜35%、Zn 35〜40%、Al 6〜7%)粉末(250〜500μへ分級したもの)を上流側の触媒層として1.0g充填した。触媒層を分離するため石英ウールを詰めた後、調製例1で調製したシリカ含有ゼオライト1(20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)1.0gを下流側の触媒として充填した。
水素で2.5Mpaまで加圧した後、反応器入口側より20ml/分の水素気流下、180℃でアセトンを0.60g/Hrで流通させた。
反応器出口と背圧弁の中間に高圧窒素マスフローにより200ml/分の窒素を導入した。背圧弁以降のラインにGCを設置し、オンラインで生成物を定量した。反応結果は表1に示した。後述する比較例1と比べてシリカ修飾によりシリカ含有ゼオライト1の触媒活性の指標となるイソプロパノール、ジイソプロピルエーテルの残存量が大きく減少しており、β−ゼオライトと比べて、シリカ含有ゼオライト1は、触媒活性が大きく向上していることがわかった。
〔実施例2〕
高圧用フィードポンプ、高圧用水素マスフロー、高圧用窒素マスフロー、電気炉、触媒充填部分を有する反応器、背圧弁を設置した固定床反応装置を用い、ダウンフローによる加圧液相流通反応を行った。
内径1cmのSUS316製反応器に、反応器の出口側からまず、銅−亜鉛触媒(SudChemie社製、製品名ShiftMax210、元素質量%Cu 32〜35%、Zn 35〜40%、Al 6〜7%)粉末(250〜500μへ分級したもの)を上流側の触媒層として1.0g充填した。触媒層を分離するため石英ウールを詰めた後、調製例2で調製したシリカ含有ゼオライト2(20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)1.0gを下流側の触媒として充填した。
水素で2.5Mpaまで加圧した後、反応器入口側より20ml/分の水素気流下、180℃でアセトンを0.60g/Hrで流通させた。
反応器出口と背圧弁の中間に高圧窒素マスフローにより200ml/分の窒素を導入した。背圧弁以降のラインにGCを設置し、オンラインで生成物を定量した。反応結果は表1に示した。後述する比較例1と比べてシリカ修飾によりシリカ含有ゼオライト2の触媒活性の指標となるイソプロパノール、ジイソプロピルエーテルの残存量が大きく減少しており、β−ゼオライトと比べて、シリカ含有ゼオライト1は、触媒活性が大きく向上していることがわかった。
〔比較例1〕
実施例1において、下流側の触媒を、シリカ含有ゼオライト1から、シリカを含まないβ−ゼオライト(触媒化成社製、20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)に変えた以外は同様に反応を行った。反応結果は表1に示す。
Figure 0005580668
なお前記表中、「選択率(%)/アセトン」は、原料アセトン量に対する、生成した各成分のアセトン換算量(モル百分率)を意味し、「選択率(%)/(アセトン−IPA−
DIPE)」は、原料アセトン量から生成したIPAおよびDIPEのアセトン換算量を差し引いた量に対する、生成した各成分のアセトン換算量(モル百分率)を意味する。ここで、IPAおよびDIPEは、上述した水素化および脱水反応の一連の反応における中間体に相当する。
〔実施例3〕
実施例1においてアセトンを、アセトンに対し0.4倍molの水を加えた含水アセトンに変えた以外は、同様に反応を行った。反応結果は表2に示した。含水アセトンを用いるとプロピレンの選択率が向上し、また後述する比較例2と比べて、シリカを含まないβ−ゼオライトとシリカ修飾したシリカ含有ゼオライト1との触媒活性の差が顕著に大きくなることがわかった。
〔比較例2〕
実施例3において、下流側の触媒をシリカを含まないβ−ゼオライト(触媒化成社製、20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)に変えた以外は同様に反応を行った。反応結果は表2に示す
Figure 0005580668
〔実施例4〕
(イソプロピルアルコールおよびアセトンの製造)
WO2009/008377の実施例4に記載のイソプロピルアルコール生産大腸菌(エシェリヒア・コリpGAP-Iaaa/B株)を用いてイソプロピルアルコールおよび
アセトンを生産した。本実施例では、WO2009/008377号パンフレット図1に示される生産装置10を用いて処理を行った。培養槽及びトラップ槽には3リットル容のものを使用した。培養槽、トラップ槽、注入管、連結管、排出管は、すべてガラス製のものとした。トラップ槽には、トラップ液としての水(トラップ水)が1.8Lの量で注入されている。更にトラップ水は10℃に冷却して使用した。
なお、培養槽には廃液管を設置し、糖や中和剤の流加により増量した培養液を適宜培養槽外に排出した。
pGAP-Iaaa/B株を前培養としてアンピシリン50μg/mLを含むLB B
roth, Miller培養液(Difco244620)25mLを入れた100mL容三角フラスコ植菌し、一晩、培養温度35℃、120rpmで攪拌培養を行った。前培養液全量を、以下に示す組成の培地1475gの入った3L容の培養槽(ABLE社製培養装置BMS−PI)に移し、培養を行った。培養は大気圧下、通気量1.5L/min、撹拌速度550rpm、培養温度35℃、pH7.0(NH3水溶液で調整)で行っ
た。培養開始から8時間後までの間、45wt/wt%のグルコース水溶液を7.5g/L/時間の流速で添加した。その後は45wt/wt%のグルコース水溶液を15g/L/時間の流速で添加した。培養開始130時間後のトラップ水をGC分析した結果、アセ
トンが1.6重量%、イソプロピルアルールは5.6重量%含有されていることがわかった。
<培地組成>
コーンスティープリカー(日本食品化工製):20g/L
Fe2SO4・7H2O:0.09g/L
2HPO4:2g/L
KH2PO4:2g/L
MgSO4・7H2O:2g/L
(NH42SO:2g/L
アデカノールLG126(旭電化工業製)0.6g/L
残部:水
(プロピレンの製造)
上記イソプロピルアルコールおよびアセトンを含む水溶液(培養開始130時間後のトラップ水)から蒸留により、イソプロピルアルコール、アセトンを高濃度化し取り出した。
具体的には最初に上記水溶液1947.0gを陽イオン交換樹脂(オルガノ製、アンバーリスト31WET)240mlを充填したカラムに流速500ml/hで通液し、残存するアンモニアを除去した。この処理液を常圧下蒸留した。沸点53〜81.6℃の留分を取り出し、後述するプロピレン製造における原料とした。この液をGC分析した結果、アセトン22.6重量%、イソプロピルアルコール58.7重量%、残りは水であった。
前記留分を原料とし、高圧用フィードポンプ、高圧用水素マスフロー、高圧用窒素マスフロー、電気炉、触媒充填部分を有する反応器、背圧弁を設置した固定床反応装置を用い、ダウンフローによる加圧液相流通反応を行った。
内径1cmのSUS316製反応器に、反応器の出口側からまず、銅−亜鉛触媒(SudChemie社製、製品名ShiftMax210、元素質量%Cu 32〜35%、Zn 35〜40%、Al 6〜7%)粉末(250〜500μへ分級したもの)を上流側の触媒層として1.0g充填した。触媒層を分離するため石英ウールを詰めた後、調製例1で調製したシリカ含有ゼオライト1(20MPaで圧縮成型後、250〜500μへ分級したもの)1.0gを下流側の触媒層として充填した。
水素で2.5Mpaまで加圧した後、反応器入口側より20ml/分の水素気流下、180℃で、反応器入口側より上記アセトン、イソプロパノールと水の混合液を0.60g/Hrで流通させた。
反応器出口と背圧弁の中間に高圧窒素マスフローにより200ml/分の窒素を導入した。背圧弁直後のラインに気液分離管を設置し、採取したガス成分、液成分をそれぞれGC分析して生成物を定量した。反応結果を表3に示したように大量の水を含んだアセトンとイソプロピルアルコールを用いた場合でも、高転化率でプロピレンが生成することがわかった。
Figure 0005580668
本発明により、ケトンと水素を直接反応させて、単一反応工程で高選択的にオレフィンを得るための工業上、実用的な方法を提供することができる。本発明のオレフィンの製造方法を用いれば、クメン法によるフェノール製造時に併産されるアセトンから、直接プロピレンを得ることができる。

Claims (9)

  1. シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、
    Cuを含む触媒との存在下、
    反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法であり、
    前記シリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトの粒子の大きさが0.01mm〜100mmの範囲であるオレフィンの製造方法。
  2. 前記シリカ含有ゼオライトが、ゼオライト100質量%に対し、シリカを3〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  3. 前記シリカ含有ゼオライトが、下記一般式で示される構造を有する分子量120〜20万のシリコーン化合物を含有する溶液にゼオライトを浸漬し、溶媒を除去した後に焼成することにより得られることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
    Figure 0005580668
    [式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基からなる群から選ばれ、nは2〜1000の範囲の値である。]
  4. 前記シリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトが、酸素10〜16員環の細孔を有するゼオライトである請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  5. 前記反応が、固定床反応器中で行われ、該反応器の入口側にCuを含む触媒が充填されており、出口側に前記シリカ含有ゼオライトが充填されている請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  6. 前記ケトンがアセトンであり、前記オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  7. 前記Cuを含む触媒が、さらにIIIA族、IIB族、およびVIB族のうち少なくとも一つの元素を含む請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
  8. シリカの少なくとも一部が外部表面に存在するシリカ含有ゼオライトと、Cuを含む触媒とが充填された反応器に、ケトン、水素および水を供給し、反応温度50〜300℃の範囲でケトンと水素とを反応させるオレフィンの製造方法であり、
    前記シリカ含有ゼオライトを構成するゼオライトの粒子の大きさが0.01mm〜100mmの範囲であるオレフィンの製造方法。
  9. 前記ケトンが、植物由来原料からイソプロピルアルコールおよびアセトンを生成しうるイソプロピルアルコール生成細菌により得られたアセトンであり、前記オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの製造方法。
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