JP2014008719A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 配線の微細化および高密度化に対応するため、ビルドアップ法で製造する多層プリント配線板用として、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、離型性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性良好な離型フィルムを提供する。
【解決手段】 実質的にアンチモン元素を含有しないポリエステル層を両外層とする、少なくとも2層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有するフィルムであり、当該離型層表面のシリコーン移行量(100℃)が4.0kcps以下であり、当該離型層表面の算術平均粗さ(Ra(A))が1〜5nmであり、もう一方の表面の算術平均粗さ(Ra(B))が10〜50nmであり、離型層表面の十点平均粗さ(Rz(A))と前記算術平均粗さ(Ra(A))との比(Rz(A)/Ra(A))が3〜10であることを特徴とする離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、導体回路層と絶縁層とを交互に積み上げたビルドアップ方式の多層プリント配線版に好適に用いることのできる、フィルム状の絶縁層、いわゆる層間絶縁層を形成するための支持体として、離型性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性が良好な離型フィルムに関するものである。
従来、液晶テレビなどの家電、あるいはコンピューターや計測機器などにプリント配線基板が使用されている。プリント配線板の基材は、主に紙を基材とするフェノール樹脂積層板から製造されているものなどが民生用に使用され、エポキシ樹脂を用いたガラス布基材積層板などが産業用プリント配線板として使用されている。
プリント配線基板に設置されるICなど端子数が増加するに従い、限られた面積で必要な配線を収容するための手段として多層化が図られ、多層プリント配線板も量産されている。多層プリント配線板のなかでも、リジッド基板上に配線パターンを形成し、その上に絶縁層を形成し、さらにその上に配線パターンを形成し、さらに絶縁層を形成するという工程を繰り返すことでプリント配線板を形成するビルドアップ法は、携帯電話などの小型化が必要な製品や、コンピューターなどの高速動作が必要な用途に好適に使用される状況にある。
近年、更なる電子機器の小型化、高性能化が進むに伴い、ビルドアップ層もさらに多層化する傾向にあり、配線の微細化および高密度化もより一層進んでいる状況にある。
多層プリント配線板に用いられる絶縁層は、主として、ガラスクロスにエポキシ系、ポリイミド系等の樹脂を含浸させたもの、あるいはセラミック系等の材料が用いられ、配線層の信号の伝播速度やプリント配線板の特性インピーダンス等の電気特性を左右する重要なパラメーターであるため、所望する電気特性を損なわない材料選択が必要とされる。
絶縁層の形態は、小型化や高性能化に対応するための層間絶縁材として、フィルム状の支持体(例えば、ポリエステルフィルムに離型層が設けられた離型フィルムなど)に絶縁層となる熱硬化性樹脂などを塗布し、支持体フィルムと硬化させた絶縁層とを積層させたロール状とする方法等が提案されている。フィルム状態の絶縁層に関しては、絶縁性樹脂とフィラーの最適な選択などにより、レーザー加工に適合し、粗化処理後の樹脂表面がめっき密着性を向上するように設計したビルドアップ用絶縁層を有するフィルムの提案が多数なされている。
しかしながら、フィルム状の絶縁層を形成する際に使用するポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムに関しては、絶縁層の表面性、絶縁層の剥離性に大きな影響を与えるため、特許文献1等の提案にも関わらず、所望する要求レベルを満足するまで到達するのが困難な状況にあった。特に、配線の微細化および高密度化を達成するための層間絶縁層の表面粗度は、絶縁層塗布により形成する場合に重要な特性であるが、支持体に関して、低粗度化の提案がなされているが、今後、必要とされる高機能化には対応困難な状況にある。
さらに離型フィルムにおいては、離型層由来の転着成分が相手方、層間絶縁層表面に転着した場合には、層間絶縁層が本来有する接着性が低下する等の不具合を生じる場合がある。
特開平7−75274号公報 特開平7−264787号公報 特開2004−265697号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、その解決しようとする課題は、配線の微細化および高密度化に対応するため、ビルドアップ法で製造する多層プリント配線板用として、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、離型性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性良好な離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、実質的にアンチモン元素を含有しないポリエステル層を両外層とする、少なくとも2層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有するフィルムであり、当該離型層表面のシリコーン移行量(100℃)が4.0kcps以下であり、当該離型層表面の算術平均粗さ(Ra(A))が1〜5nmであり、もう一方の表面の算術平均粗さ(Ra(B))が10〜50nmであり、離型層表面の十点平均粗さ(Rz(A))と前記算術平均粗さ(Ra(A))との比(Rz(A)/Ra(A))が3〜10であることを特徴とする離型フィルムに存する。
本発明によれば、配線の微細化および高密度化に対応するため、ビルドアップ法で製造する多層プリント配線板用として、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、離型性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性良好な離型フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明における、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは少なくとも2層から構成されることを必須の要件とするものである。さらには、3層構成であってもよいし、前記以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明における、「実質的にアンチモン元素を含有しない」とは、具体的には、ポリエステル中のアンチモン金属元素量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、最も好ましくは0ppmであることをいう。
また、本発明のポリエステルフィルム中には、通常、チタン化合物、リン化合物より選
ばれる、少なくとも1種類の化合物を含有する。チタン元素含有量は、通常20ppm以下、好ましくは10ppm以下であり、さらに好ましくは2ppm以下である。
チタン化合物の含有量が多すぎると、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーで高度な透明性を有するフィルムを得ることができない場合がある。一方、リン元素量は通常、1ppm以上、好ましくは5ppm以上であり、上限は通常、300ppm以下、好ましくは200ppm以下である。上記したチタンを特定量含有するとともに、リン化合物を含有させることにより、含有オリゴマーの低減に対して著しい効果を発揮できる。リン化合物の含有量が多すぎると、ゲル化が起こり、異物となってフィルムの品質を低下させる原因となることがある。本発明においては、チタン化合物、リン化合物を上記した範囲で含有する場合、オリゴマーの副生も防止でき、本発明においては、顕著な効果を発現することが可能となる。
また、上記チタン化合物およびリン化合物を含有する層中には、アンチモン元素を含まないことが好ましく、通常は100ppm以下、好ましくは60ppm以下、さらに好ましくは、実質的に含まない、すなわち10ppm以下、最も好ましくは0ppmである。ポリエステルフィルム中のアンチモン元素量が多すぎると、溶融押出する際に、凝集による異物発生、あるいはフィルムが黒ずみ、透明性が損なわれる等の不具合を生じる場合があった。さらに残存するアンチモン触媒が結晶化し、フィルム表面に析出し、突起を形成する場合がある。
本発明においては、より高度なレベルで平滑なフィルム表面を設計する必要がある。そのため、前記アンチモン元素を含む化合物由来の突起形成が、従来は全く問題ないレベルであったが、近年の技術躍進に伴い、高度な平滑性を必要とされる用途に対して、対応困難な場合があった。例えば、離型層塗布工程において、はじきを発生させる、あるいは樹脂シート成形用途において、層間絶縁層表面の平滑性を損なう等の不具合を生じる場合があった。
本発明のポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後
にチップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれる
オリゴマー量が低減できるので好ましく使用される。
ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量は0.7重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下である。当該ポリエステル層中のオリゴマー量が少ない場合、本発明のポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量の低減、また、フィルム表面へのオリゴマー析出防止効果が特に高度に発揮される。
本発明においては、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなる層の少なくとも片面の表面に、当該オリゴマー含有量の少ないポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、当該構造を有する場合、本発明で得られるオリゴマー析出の抑制効果を高度に発揮できる。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、12〜250μm、好ましくは25〜188μm、さらに好ましくは38〜125μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明における離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指す。具体的には、アクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が30〜200mN/cmが好ましく、さらに好ましくは50〜150mN/cmである。離型フィルムの剥離力が上記範囲を外れる場合には。本来剥離する必要のない場面において、離型フィルムが容易に剥離する、あるいは本来剥離する必要のある場面において、剥離困難になる等の不具合を生じる場合がある。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)により、ポリエステルフィルム上に設けられることも可能である。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は層間絶縁層に対する離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有することを必須の要件とするものである。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、本発明の主旨を損なわない範囲において、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型、熱と紫外線硬化併用型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置、エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常、0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明の離型フィルムは、接着シートとしてコア基材に層間絶縁層が接着された後は、剥離され、その役割を終えるが、離型フィルム剥離後のコア基材に接着された層間絶縁層表面に影響を与える。
本発明において使用する離型フィルムの離型面の算術平均粗さ(Ra(A))は1〜5nmの範囲である必要があり、好ましくは1〜3nmの範囲である。Ra(A)が上記範囲を外れる場合には、例えば、層間絶縁層成形後、得られる絶縁層表面の平滑性が不十分となり、より高密度な回路への対応が困難になる。
本発明の離型フィルムは、より平滑な層間絶縁層を得るために、追加的要件として、離型面の十点平均粗さ(Rz(A))および算術平均粗さ(Ra(A))との比(Rz(A)/Ra(A))が3〜10の範囲にある必要があり、好ましくは3〜6である。上記範囲の上限を外れる場合には、離型フィルムの離型層表面と貼り合わせている相手方基材である、層間絶縁層表面の表面粗度が大きくなり、より高密度な回路とされる際に対応困難になる。一方、上記範囲の下限を外れる場合には離型層表面が極端に平坦になりすぎて、離型フィルムをロール状に巻き取った際にブロッキングが発生する等の不具合を生じるようになる。
さらに、本発明の離型フィルムにおいては、フィルムの巻き取り性、あるいは搬送性等を考慮し、離型層が設けられていない面(B面)の算術平均粗さRa(B)は10〜50nmである必要があり、好ましくは15〜30nmがよい。Ra(B)が10nm未満の場合、離型フィルムをロール状に巻き取った際に、ブロッキングの発生等の不具合を生じるようになる。また、Ra(B)が50nmを超える場合には、層間絶縁層表面への表面突起の転写、いわゆる裏写りが生じるようになる。
本発明の離型フィルムにおいては、相手方、層間絶縁層表面への離型層由来の転着を抑制するため、100℃における離型層表面のシリコーン移行量(Si(100℃))は4.0kcps以下、好ましくは3.5kcps以下である。Si(100℃)が上記範囲を外れる場合には、層間絶縁層が本来有する接着性が低下する等の不具合を生じるようになる。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
次に本発明における離型フィルムの離型面上に形成される層間絶縁層について、以下に説明する。
本発明における層間絶縁層を構成する硬化性樹脂は、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムの離型層上で樹脂層を形成することができ、十分な絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用することができる。具体例として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリシアネート樹脂、ポリエステル樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂などが例示される。また、これらを2種類以上併用する、あるいは多層構造とすることも可能である。
また、層間絶縁層を離型フィルムの離型層上に形成する方法は、上記熱硬化性樹脂などを溶媒に溶解した樹脂組成物ワニスを離型面上に塗布、乾燥させると同時に樹脂を硬化させる方法等、従来から公知の方法で作製することができる。
本発明においては、層間絶縁層となる硬化性樹脂層をポリエステルフィルム基材から構成される離型フィルム上に設け、ロール状製品とする。ロール状製品とする際は、そのままロール状態のままでもよいし、硬化性樹脂の表面保護を目的として、さらに保護フィルムを貼り合わせた状態でもよく、ロール状態で保管できれば、特に限定されるわけではない。また、保護フィルムで保護することにより、層間絶縁層表面へのゴミの付着、あるいはキズ防止を図ることが可能となる利点を有する。使用する保護フィルムに関しては、層間絶縁層表面を保護する機能を有していれば特に限定されるわけではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムが用いられる。
層間絶縁層の厚さは、導体層の厚さ以上とするのが好ましい。回路基板の導体層の厚さは、通常、5〜70μmの範囲が好ましく、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みが好ましい。
かくして得られる層間絶縁層の使用方法として、一例を挙げると、導電層をパターン加工して回路を形成する時に接着フィルムとして、層間絶縁層の保護フィルムが剥がされ、コア基板に積層される。コア基材/層間絶縁層/離型フィルムの構成、またはコア基材の両面を層間絶縁層で挟む、離型フィルム/層間絶縁/コア基材/層間絶縁層/離型フィルムの構成で加熱処理などを行い、コア基材と層間絶縁層を接着させ、離型フィルムからなる支持体が剥がされる。
層間絶縁層をコア基材に接着する方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルムおよび回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cmとし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また、導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等によりあらかじめ粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように層間絶縁層としての接着フィルムを回路基板にラミネートした後、離型フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30分〜120分である。絶縁層を形成した後、硬化前に離型フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。
次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルム中のオリゴマー(環状三量体)含有量
所定量のポリエステルをクロロホルム/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(混合比:3/2)混合溶液に溶解した後、クロロホルム/メタノール(混合比:2/1)で再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液中の溶媒を、エバポレータを用いて蒸発させ、得られた析出物を所定量のDMFに溶解させた。得られたDMFを、液体クロマトグラフィー(島津LC−2010C)に供給してポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量を求め、この値を測定に用いたポリエステル量で割って、ポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量とした。液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体)量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を秤量し、秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
《測定条件》
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:島津(株)製 Shim−pack VP ODS
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)離型フィルムの算術平均粗さ((Ra(A)、Ra(B))の測定
小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3500)を用い、JIS−B−0601−1994に準じて測定する。フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次の数式〔数1〕で与えられた値を(μm)で表す。そして、算術平均粗さは、試料フィルムの測定面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の算術平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(5)離型フィルムの十点平均粗さ(Rz(A),Rz(B))
小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3500)を用い、JIS−B−0601−1994に準じて測定する。断面曲線から基準長さ(2.5mm)だけを抜き取った部分において、平均線に平行かつ断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値(μm)を表したものである。なお、測定条件は(3)項と同様にて測定を行った。
(6)離型フィルムの剥離力(F)測定
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(7)層間絶縁層からの離型フィルム剥離性評価(実用特性代用評価)
《樹脂組成ワニス》
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」) 28部
ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「EXA-4700」) 28部
メチルエチルケトン(以下、MEKと略す) 15部
シクロヘキサノン 15部
上記組成物を加熱溶解させた。そこへ、下記添加剤を順次混合した。
フェノール系硬化剤
ナフタレン構造のノボラック樹脂(東都化成(株)製「SN485」の固形分50%
のMEK溶液) 110部
硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」) 0.1部
球形シリカ(平均粒径0.5μm、「SOC2」アドマテックス社製) 77部
コアシェルゴム粒子(平均粒子径0.5μm、「AC-3816N」ガンツ化成(株)社製) 9部
フェノキシ樹脂ワニス(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL6954BH30」) 27部
その後、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成ワニスを作製した。
《離型フィルムへの樹脂組成ワニス塗布:層間絶縁層の形成》
上記方法で作製した樹脂組成ワニスを離型フィルムの離型層上に、樹脂層厚み(乾燥後)が70μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、120℃、6分間熱処理を行い、離型フィルムを支持体とする層間絶縁層を作製した。次に絶縁樹脂層表面にポリオレフィン系フィルム(厚み50μm、M−6:タマポリ製)を貼り合わせた。
《片面フレキシブル基板の作製》
離型フィルム/層間絶縁層/ポリオレフィン系フィルムの構成からなる貼合わせ品から、ポリオレフィン系フィルムを剥離した後、電解銅箔(厚み18μm、F1−WS:古河サーキットフォイル社製)の粗面側に層間絶縁層を重ねて真空プレスを用いて90℃、0.5MPaで1分ラミネートし、片面フレキシブル基板を作製した。
《層間絶縁層から離型フィルムを剥離》
その後、層間絶縁層から離型フィルムを剥離する際の剥離状況に関して、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:スムーズに剥離可能。(実用上、問題ないレベル)
△:若干、剥離感は重いが、剥離可能。(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:剥離困難。あるいは容易に剥離する。(実用上、問題になるレベル)
(8)離型層の塗布量(Si)の測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、試料フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CHのユニットとしての塗布量(Si)(g/m2)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
(9)離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルム中の金属元素およびリン元素量の定量
蛍光X線分析装置((株)島津製作所社製型式「XRF−1500」を用いて、フィルムFP法により単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。なお、本方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
(10)離型フィルムの移行性評価(Si(100℃))
試料フィルムの離型面と未処理PETフィルム(三菱樹脂製ダイアホイル「T100タイプ−50μm」)を積層後、100℃、10kg/cm、60分間熱プレス処理をした。その後、(8)項の要領にて試料フィルムの離型面から未処理PETフィルム表面へのシリコーン量を測定した。なお、測定前にあらかじめ、使用する試料フィルムおよび未処理PETフィルムの珪素元素量は測定しておく。
(11)離型フィルムのブロッキング性評価
試料フィルムを10cm角に断裁した後、離型面と離型層が設けられていない面が合わさるように10枚重ね、100℃、1時間、10kg/cm2 の条件下でプレスした後、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
○:ブロッキングが発生していない(実用上、問題ないレベル)
×:ブロッキングが発生している(試料サンプル同士剥離時に明らかに剥離感が重く、実用上、問題あるレベル)
(12)層間絶縁層表面の平滑性評価(実用特性代用評価)
(7)項で得られた層間絶縁層から離型フィルムを剥離した後、離型面と接する側の層間絶縁層表面(測定対象面積:1m)を非接触の走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製)により表面観察を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
*深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)発生状況
○:層間絶縁層表面に深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が1個/m以下
△:層間絶縁層表面に深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が1個/mを越えて、3個/m未満。
×:層間絶縁層表面に深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が3個/m以上
○および△は実用上問題のないレベルである。
(13)総合評価
実施例および比較例において製造した各離型フィルムを用いて、剥離性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性の各評価項目につき、下記判定基準により総合評価を行った。
《判定基準》
○:剥離性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性の全てが○(実用上、問題ないレベル)
△:剥離性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性の内、少なくとも一つが△(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:剥離性、移行性、ブロッキング性、表面平滑性の少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエステルA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、テトラブトキシチタネート0.02部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.58のポリエステルを得た。
さらに得られたポリエステルを真空下220℃で固相重合し、極限粘度0.70のポリエステルA1を得た。
製造例2(ポリエステルA2)
製造例1において、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム粒子を1.2部添加する以外は製造例1と同様にして製造し、固有粘度0.70のポリエステルA2を得た。
製造例3(ポリエステルA3)
製造例2において、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム粒子添加量を1.8部に変更する以外は製造例2と同様に製造し、固有粘度0.70のポリエステルA3を得た。
製造例4(ポリエステルA4)
製造例2において、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム粒子添加量を2.4部に変更する以外は製造例2と同様に製造し、固有粘度0.70のポリエステルA4を得た。
製造例5(ポリエステルA5)
製造例2において、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム粒子を1.2部添加する代わりに平均粒径3.4μmの二酸化珪素粒子を0.3部添加する以外は製造例2と同様にして製造し、固有粘度0.70のポリエステルA5を得た。
製造例6(ポリエステルA6)
製造例2において、テトラブトキシチタネート0.02部を添加する代わりに三酸化二アンチモン0.03部を添加する以外は製造例2と同様にして製造し、固有粘度0.70のポリエステルA6を得た。
製造例7(ポリエステルA7)
製造例6において、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム粒子1.2部を追加で添加する以外は製造例6と同様に製造し、固有粘度0.70のポリエステルA7を得た。
製造例8(ポリエステルA8)
製造例6において、平均粒径3.4μmの二酸化珪素粒子を追加で0.3部添加する以外は製造例6と同様に製造し、固有粘度0.70のポリエステルA8を得た。
製造例9(ポリエステルA9)
製造例6において、平均粒径3.4μmの二酸化珪素粒子を追加で1.0部添加する以外は製造例6と同様に製造し、固有粘度0.70のポリエステルA9を得た。
製造例10(ポリエステルA10)
製造例1において、固相重合をしない以は製造例1と同様に製造し、固有粘度0.58のポリエステルA10を得た。
製造例11(ポリエステルB1)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を0.02部添加した後、テトラブトキシチタネートを加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.57に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルを得た。得られたポリエステルを真空下220℃で固相重合し、極限粘度0.70のポリエステル(B1)を得た。
製造例12(ポリエステルフィルムF1の製造)
ポリエステルA2、B1をそれぞれ40%、60%の割合でブレンドした原料を表層(離型面側)原料とし、ポリエステルA1=100%の原料を中間層の原料とし、もう一方の表層(反離型面側)原料として、ポリエステルA5,B1をそれぞれ50%、50%の割合でブレンドした原料を用いて、3台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
このフィルムを85℃で縦方向に4.2倍延伸した後、テンターに導き、120℃で横方向に5.2倍延伸し、220℃で3秒間、熱処理した後、180℃で幅方向に5%の弛緩を加え、厚さ38μm(厚み構成比=2μm/34μm/2μm)、オリゴマー(環状三量体)含有量が0.42重量%のポリエステルフィルムF1を得た。
製造例13(ポリエステルフィルムF2の製造)〜製造例18(ポリエステルフィルムF7の製造)
製造例12において、ポリエステル原料を下記表1に記載のポリエステルの種類、配合比率が異なる以外は製造例11と同様にして製造し、各ポリエステルフィルムを得た。得られた各ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例1:
<離型フィルムの製造>
ポリエステルフィルムF1に下記離型剤組成を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるように、オフラインにて、リバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理して離型フィルムを得た。
<離型剤組成>
硬化型シリコーン樹脂(LTC750A:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 2部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
以上より、得られた離型フィルの特性を表1〜3に示す。
実施例2:
実施例1において、離型剤組成を下記に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
<離型剤組成>
硬化型シリコーン樹脂(LTC750A:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 2部
剥離コントロール剤(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製) 10部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
実施例3:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF2を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
実施例4:
実施例1において、離型剤組成を下記に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
<離型剤組成>
硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 2部
剥離コントロール剤(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製) 30部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
実施例5:
ポリエステルA2、B1をそれぞれ40%、60%の割合でブレンドした原料を表層(離型面側)原料とし、ポリエステルA1=100%の原料を中間層の原料とし、もう一方の表層(反離型面側)原料として、ポリエステルA5,B1をそれぞれ50%、50%の割合でブレンドした原料を用いて、3台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
このフィルムを85℃で縦方向に4.2倍延伸した後、下記離型剤組成からなる離型層を塗布量(乾燥後)が0.06g/m2になるように塗布した後、テンターに導き、120℃で横方向に5.2倍延伸し、220℃で3秒間、熱処理した後、180℃で幅方向に5%の弛緩を加え、厚さ38μm(厚み構成比=2μm/34μm/2μm)、オリゴマー(環状三量体)含有量が0.42重量%の離型フィルムを得た。
〈離型剤組成〉
硬化型シリコーン樹脂:DEHESIVE D400E(旭化成ワッカー社製) 90重量%
架橋剤:V72(旭化成ワッカー社製) 10重量%
上記離型層組成をイオン交換水で希釈して、10重量%に調製した。
実施例6:
実施例5において、離型剤組成を下記組成に変更する以外は実施例5と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
〈離型剤組成〉
硬化型シリコーン樹脂:DEHESIVE D430(旭化成ワッカー社製) 70重量%
硬化型シリコーン樹脂:DEHESIVE D440(旭化成ワッカー社製) 20重量%
剥離コントロール剤: CRA491(旭化成ワッカー社製) 10重量%
上記離型層組成をイオン交換水で希釈して、10重量%に調製した。
実施例7:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF10を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。なお、使用したポリエステルフィルムF10中のオリゴマー量は0.62重量%であった。
比較例1:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF3を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例2:
実施例1において、離型剤組成を下記に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
<離型剤組成>
硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 2部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
比較例3:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF4を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例4:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF5を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例5:
実施例1において、離型層を設けない以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例6:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF6を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの離型層表面には粒子以外に、ポリエステルに使用しているアンチモン触媒に由来する粗大突起の形成が確認された。従来の離型フィルムであれば、全く問題とならないレベルであるが、本発明のように非常に高度なレベルで平滑性を必要とする場合には不適当となる。
比較例7:
実施例1において、ポリエステルフィルムF1の代わりにポリエステルフィルムF7を使用する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例、および比較例で得られた各離型フィルムの特性を下記表1および表2に示す。
Figure 2014008719
Figure 2014008719
本発明における離型フィルムは、例えば、導体回路層と絶縁層とを交互に積み上げたビルドアップ方式の多層プリント配線版に用いられるフィルム状の絶縁層成形用支持体として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 実質的にアンチモン元素を含有しないポリエステル層を両外層とする、少なくとも2層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有するフィルムであり、当該離型層表面のシリコーン移行量(100℃)が4.0kcps以下であり、当該離型層表面の算術平均粗さ(Ra(A))が1〜5nmであり、もう一方の表面の算術平均粗さ(Ra(B))が10〜50nmであり、離型層表面の十点平均粗さ(Rz(A))と前記算術平均粗さ(Ra(A))との比(Rz(A)/Ra(A))が3〜10であることを特徴とする離型フィルム。
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