JP2014005496A - マンガン回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に低品位鉱物やマンガン含有廃棄物からマンガンを回収する方法を提供する。
【解決手段】3価鉄イオンを含む処理液にマンガンを含有する被処理物と鉄還元細菌を混合し、前記鉄還元細菌によって前記3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元し、該2価鉄イオンを還元剤として前記被処理物からマンガンイオンを前記処理液に浸出させ、得られた浸出液を固液分離し、分離液中に含まれるマンガンイオンを主として酸化物として不溶化(固形物化)し、得られたマンガン酸化物を沈澱分離して回収する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マンガン成分を含有する製鉄所副生成物、低品位鉱物などから、有価金属であるマンガンを回収する技術に関する。
低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所副生成物から特定の有価金属を回収することは、従来、コスト的な理由から困難であった。しかし、近年、金属資源の枯渇や取引価格の上昇等により、このようなものから有価金属を回収することが必要とされるようになってきた。例えば、有価金属の一つであるマンガンは、産業界の多岐に亘る分野で必須の金属とされているが、将来、その需要が埋蔵量を上回ることが懸念されている。
特に、製鉄所では、製鋼原料としてマンガンを大量に消費することから、マンガン源の確保という問題は、製鉄分野において極めて深刻である。その一方で、製鉄所において大量に発生するダスト、スラッジ、スラグ等の製鉄所副生成物には、多くのマンガンが含まれている。したがって、製鉄所副生成物からマンガンを回収し、これを製鋼原料として再利用する技術を確立することにより、上記問題の大幅な解消が期待される。
ここで、鉱物から有価金属を回収する方法としては、鉱物に酸またはアルカリの処理液を接触させ、鉱物に含まれる有価金属を溶解して処理液中に浸出させ、該処理液に浸出した有価金属を選択中和することによって回収する方法が知られている。また、低品位鉱物から有価金属を回収する場合、一般的には、コスト的見地から、硫酸等の酸を用いて対象鉱物から有価金属を浸出し、回収する方法が採用されている。
しかしながら、処理液として硫酸等の酸を用いて対象鉱物から有価金属を回収する方法では、やはりコストが嵩み、場合によっては投入コストと回収される有価金属のコストがバランスしない事態も多く、適用事例が限られる。また、酸による回収では、一部の形態のマンガンが浸出しづらく、回収率が低下するという問題がある。
一方、微生物を用いて鉱物から有価金属イオンを処理液中に浸出させることにより、有価金属を回収する方法も知られている。この方法によると、大量の硫酸等を用いることなく鉱物から有価金属を処理液に浸出させることができるため、上記した問題を招来することなく鉱物から有価金属を回収することが可能となる。
また、上記の如く微生物を用いて鉱物から金属を浸出する方法は、生物浸出法(バイオリーチング)といわれ、エネルギー消費がより少なく、環境に対するリスクがより低いことが特徴である。このように、バイオリーチングは、金属浸出率の向上と低コスト化も可能であると考えられ、低品位鉱物から有価金属を浸出する有効な手段として注目されている。
例えば、特許文献1には、鉄還元細菌を作用させ、3価鉄を2価鉄に還元し、前記2価鉄を用いて、金属酸化物および金属水酸化物からなる群に含まれる金属(コバルト、ニッケル、マンガン等)を浸出させ、浸出液と残渣を生成し、前記浸出液と残渣とを分離し、所望の金属を回収する技術が提案されている。具体的には、浸出処理培地と、鉄還元細菌と、金属酸化物または金属水酸化物とを、反応器に入れて浸出処理を行う技術であり、より具体的には、バッチ式の撹拌型反応器を用い、金属酸化物などが沈降しないように培地を撹拌しながら、浸出処理中の最大pHが8.5以下、好ましくは中性(例えばpH7.5以下)になるように調整し、全体を好ましい特定のpH範囲として金属の浸出を行う技術が提案されている。そして、当該技術によると、浸出液に含まれる有価金属(コバルト、ニッケル等)を、公知の方法で回収し、所望の用途に用いることができるとされている。
特開2007−113116号公報
しかしながら、特許文献1には、浸出液に含まれる有価金属を回収する方法に関する具体的な記載がない。そのため、回収方法によっては高濃度の鉄含有溶液が使い捨てになり、不経済となることが懸念される。
すなわち、特許文献1で提案された技術に従って被処理物(金属酸化物等)に含まれるマンガンを浸出させた場合、マンガンイオンと鉄イオン(浸出処理時に2価鉄が酸化されることにより得られた3価鉄、或いは更に、酸化されずに残存した2価鉄)を含む浸出液から、マンガンを回収することが必要となる。
複数種の金属イオンを含有する浸出液から所望の金属を分離する公知の方法としては、浸出液に薬剤等を添加して、金属種を選択的に沈澱分離する方法がある。この方法を適用してマンガンイオンと鉄イオンを含む浸出液を処理しようとすると、多くの場合において、先ず、不溶性塩をつくり易い鉄イオンが沈澱分離されるため、マンガンイオンを浸出液中に残留させて鉄と分離した後、マンガンを浸出液中から分離する必要がある。このような方法では、マンガンの回収に2回の分離工程を要し、工程が煩雑となる問題を有する。また、浸出液から鉄イオンを沈澱分離してしまうと、鉄含有溶液(浸出液)を再利用することが困難となる。
一方、浸出液から有価金属を回収するに際し、電解法や、イオン交換樹脂、キレート樹脂等を吸着材として用いる吸着法を適用することも考えられる。しかしながら、通常の電解法では、前段に、鉄などと錯体を形成する物質を添加して鉄を有機溶剤可溶とし、俗に分液という水/有機溶剤により水層から鉄を有機溶剤層に抽出分離し、水槽に目的のマンガンを残す分離工程が必要であり、多量の有機溶剤を使用する必要がある。また、処理工程も増加し、なおかつ多大な電力量を消費する。更に、吸着法で用いる吸着材は一般的に高価であるうえ、吸着分離後の脱離、回収工程も必要となる。そのため、製鉄所副生成物のような大量の被処理物からマンガンを回収しようとする場合、電解法や吸着法を適用すると回収費用が莫大となる。
また、製鉄所で製鋼原料として使用されるマンガンには、銑鋼への不純物、特に炭素(C)やリン(P)の混入を防ぐために、高純度なマンガンが求められる。したがって、回収されたマンガンのCやPといった不純物の濃度によっては、製鋼原料として使用できなくなる。
以上のように、回収されたマンガンの用途によっては、その不純物含有量を充分に低減することも重要となるが、従来技術では回収されるマンガンに含まれる不純物を低減することについて検討されていない。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、マンガンを含有する被処理物に含まれるマンガンを浸出液に浸出させた後、浸出したマンガンを濃縮して回収するとともに、浸出液を繰り返し使用可能とすることで、安価に低品位鉱物やマンガン含有廃棄物・副生成物からマンガンを回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、3価鉄を含有する処理液にマンガンを含有する被処理物および鉄還元細菌を混合し、鉄還元細菌を作用させて3価鉄を2価鉄に還元し、該2価鉄が3価鉄に酸化される作用を利用してマンガンを含有する被処理物からマンガンイオンを処理液中に浸出させ、マンガンイオンが浸出した浸出液を固液分離し、固液分離後の分離液からマンガンを回収するに際し、分離液中に溶解性鉄を残存させたままで目的のマンガンを沈降分離する手段について鋭意検討した。その結果、分離液に所定の酸化処理を施し、分離液中に含まれているマンガンイオンを主にマンガン酸化物として不溶化させることにより、沈澱分離できることを知見した。
図1は、25℃の水溶液中におけるマンガンと鉄の、酸化還元電位(ORP)とpHの状態図(Eh-pH図)である。図1に示すとおり、Eh-pH図においてマンガンが沈澱する領域と鉄が沈澱する領域は、図1中○で囲った領域以外ではほぼ一致しており鉄が沈殿する領域の方が広くなっている。そのためマンガン、鉄がいずれも溶解している(イオン化している)領域から、酸化還元電位(ORP)、pHの状態を変化させると、殆どの領域において鉄が先に酸化物あるいは水酸化物として固形物化、沈殿してしまう。しかしながら、唯一、低pH・高ORPの領域(図1中、○で囲った領域)に、主にマンガンが酸化物として固形物化、沈殿する領域が存在することに思い至った。
そこで、本発明者らは、マンガンイオンと3価鉄イオンを含有する上記分離液のpHと酸化還元電位(ORP)を、Eh-pH図において主にマンガンが酸化物として固形物化、沈澱する領域(図1中、○で囲った領域)のpHと酸化還元電位(ORP)に調整することにより、液中に鉄還元細菌の基質となる鉄イオンを溶解した状態のまま残し、主にマンガンを酸化物として不溶化し、沈殿することができることに想到した。
そして、更に検討を進めた結果、酸を用いて上記分離液のpHを下げ、オゾンを作用させることにより上記分離液のORPを上昇させることで、安価かつ簡便に、マンガンイオンと3価鉄イオンを含有する上記分離液から主としてマンガンを優先的に酸化物として固形物化できることを知見した。
また、上記分離液には3価の鉄イオン或いは更に2価の鉄イオンが豊富に含まれている。そのため、上記分離液に含まれる鉄イオンを沈澱分離することなく、分離液中に鉄イオンを残存させることにより、上記分離液を、被処理物からマンガンイオンを浸出させるために用いる処理液として再利用することが可能となる。
更に、特定の鉄還元細菌を用いて処理液中の3価鉄を2価鉄に還元することにより、被処理物に含まれる低品位のマンガンを高速・高効率に浸出できることを知見した。
また、本発明者らは、最終的に回収されるマンガンの不純物(炭素、リン等)含有量を低減する手段について検討した。
細菌を含有する処理液を用いた生物浸出法(バイオリーチング)の場合、処理液は通常、鉄還元細菌による金属の浸出反応を促進するための複数種の成分を含有する。鉄還元細菌を含有する処理液の場合、3価鉄イオン、電子供与体、pH調整剤、pH緩衝剤等の成分を含有する。また当然のことながら、微生物である鉄還元細菌が生育するために必須の元素である炭素、リンも含有する。これらの成分が不足すると、鉄還元細菌は生育できず、結果として金属を浸出することが困難となる。そのため、処理液には回収金属の使用目的によっては不純物となりうる成分(C、P等)が含まれるのが一般的である。
本発明者らは、処理液中の不純物となりうる成分が、その存在割合に応じて回収物にも混入する問題があることを突き止めた。そして、更に検討を進めた結果、処理液中の不純物濃度を制限することにより、被処理物からのマンガンイオンの浸出は促進しながらも、処理液から回収マンガン中に移行する不純物量を低減することができ、延いては回収マンガンの不純物濃度が低減可能であることを知見した。
上記知見を得るに至った実験について述べる。
まず、3価鉄を含有する処理液として、クエン酸鉄(III)培地準拠溶液を用意した。このクエン酸鉄(III)培地準拠溶液の一般的な成分であるクエン酸鉄(III)、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムには炭素が、また、リン酸二水素ナトリウムにはリンが、更にペプトンには炭素およびリンが元素として含まれる。これらの元素はいずれも、鉄還元細菌による金属浸出反応には必須の成分であり、各種成分の濃度(または含有量)は次のとおりである。
クエン酸鉄(III)・3水和物:16.7g/L(56mM)
クエン酸ナトリウム・2水和物(錯化剤):10.3g/L(35mM)
リン酸二水素ナトリウム:0.6g/L
ペプトン:0.5g
KCl:0.1g
NH4Cl:1.5g
ウォルフェのミネラル溶液:10cm3
ウォルフェのビタミン溶液:10cm3
ギ酸ナトリウム(電子供与体):2.0g/L(30mM)
上記した各種成分の濃度(または含有量)の値は、いずれもクエン酸鉄(III)培地準拠溶液:1Lあたりの値である。なお、mMは、mmol/Lを示す。
ここで、本発明者らは、クエン酸鉄(III)培地準拠溶液(3価鉄を含有する処理液)中の炭素濃度およびリン濃度が、最終的に回収されるマンガン中の炭素濃度およびリン濃度に影響を及ぼすものと推測した。そして、上記した各種成分の濃度(または含有量)を有する処理液を基準処理液とし、この基準処理液に対して以下(A)〜(C)のように炭素濃度またはリン濃度を変更した計3種のクエン酸鉄(III)培地準拠溶液を処理液として用意し、該培地中の炭素濃度ならびにリン濃度のマンガン浸出率に及ぼす影響を調査した。
(A)リン成分であるリン酸二水素ナトリウムの濃度を、基準処理液の0.6g/Lから0 g/Lまで段階的に低減した処理液(濃度:0.6g/L、0.3 g/L、0.1 g/L、0 g/Lの計4種)。なお、リン酸二水素ナトリウム以外の成分の濃度(または含有量)は、基準処理液と同一とした。また、リン酸二水素ナトリウムの濃度を0 g/Lとした場合における処理液のリン濃度を測定したところ、5mg/L(0.16mM)であった。これは、リン酸二水素ナトリウム以外の成分由来と考えられる。
(B)炭素成分であるクエン酸鉄(III)・3水和物の濃度を、基準処理液の16.7g/L(56mM)から1.5g/Lまで段階的に低減した処理液。(濃度:16.7g/L、7.5g/L、3.0g/L、1.5g/Lの計4種)。なお、クエン酸鉄(III)・3水和物以外の成分の濃度(または含有量)は、リン酸二水素ナトリウムを無添加とし、その他の成分を基準処理液と同一とした。
(C)炭素成分であるクエン酸ナトリウム・2水和物の濃度を、基準処理液の10.3g/L(35mM)から0g/Lまで段階的に低減した処理液。(濃度:10.3g/L、2.9g/L、1.03g/L、0g/Lの計4種)。なお、クエン酸ナトリウム・2水和物以外の成分の濃度(または含有量)は、クエン酸鉄(III)・3水和物を1.5g/L、リン酸二水素ナトリウムを無添加とし、その他の成分を基準処理液と同一とした。
上記(A)〜(C)において、炭素成分またはリン成分を含むペプトンと、炭素成分を含むギ酸ナトリウムは、添加量が少ないため、それぞれの濃度(または含有量)を基準処理液と同一とした。
バッチ式の撹拌容器に、上記(A)〜(C)の各種クエン酸鉄(III)培地準拠溶液(3価鉄を含有する処理液):150cm3、製鉄所の精錬工程で発生した金属含有ダスト(Mn:69質量%,Fe:3質量%):0.75g、および鉄還元細菌Shewanella algae(103173株):1×107個/cm3を入れ、混合液の温度を約30℃に維持し、窒素ガスのバブリングと撹拌を24時間から144時間実施する浸出処理を行った。その後、固液分離によって浸出液を採取し、浸出液中のMn濃度を測定してMn浸出率を算出した。これらの結果を、表1〜3に示す。
Figure 2014005496
Figure 2014005496
Figure 2014005496
表1は、上記(A)の処理液を用いて浸出処理を24時間行った結果である。表1に示すように、リン成分であるリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)を、基準処理液のように添加する場合と添加しない場合との間で、浸出処理時間:24時間におけるマンガン浸出率に大差が見られなかった。
表2は、上記(B)の処理液を用いて浸出処理を行った結果である。表2に示すように、炭素成分を含むクエン酸鉄(III)の濃度を低減すると、初期のマンガン浸出率は低くなった。しかしながら、浸出処理時間:144時間では、炭素成分を含むクエン酸鉄(III)・3水和物の濃度を1.5g/Lに低減した場合でも、基準処理液の場合と同等のマンガン浸出率が得られた。
表3は、上記(C)の処理液を用いて浸出処理を行った結果である。炭素成分を含むクエン酸ナトリウムの濃度を低減すると、マンガン浸出率が大幅に低下し、浸出処理時間を延ばしても浸出率は低いままであった。すなわち、マンガン浸出率の観点からは、処理液中のクエン酸ナトリウム・2水和物濃度を低減せずに基準処理液の場合と同等の濃度(10.3g/L)に維持することが好ましいと云える。
そして、処理液中のクエン酸鉄(III)・3水和物濃度を1.5g/L(5mM)、クエン酸ナトリウム・2水和物濃度を10.3g/L(35mM)とした場合の処理液中の炭素濃度は、270mMであった。
更に、本発明者らが上記と同様の実験を繰り返し行い、最終的に回収されるマンガンの不純物濃度(炭素濃度およびリン濃度)を測定した。その結果、処理液中の炭素濃度を300mM以下、リン濃度が0.5mM以下に制限すれば、最終的に回収されるマンガンの不純物濃度が大幅に低下し、製鋼原料などにも適用可能な回収マンガンが得られることを知見した。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 3価鉄イオンを含む処理液に、マンガンを含有する被処理物および鉄還元細菌を混合し、前記鉄還元細菌によって前記3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元し、該2価鉄イオンを還元剤として前記被処理物からマンガンイオンを前記処理液に浸出させる浸出工程と、該浸出工程で得られた浸出液を固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程後の分離液中に含まれるマンガンイオンを酸化して不溶化する不溶化工程と、該不溶化工程で得られたマンガン成分を沈澱分離して回収する回収工程とを有することを特徴とするマンガン回収方法。
[2] 前記[1]において、前記分離液からマンガン成分を回収した3価鉄イオンを含む回収後分離液を、前記浸出工程の処理液として再利用することを特徴とするマンガン回収方法。
[3] 前記[1]または[2]において、前記不溶化工程が、前記固液分離工程後の分離液に酸性条件下でオゾンを作用させることで、マンガンイオンを酸化して不溶化する工程であることを特徴とするマンガン回収方法。
[4] 前記[1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記被処理物が、製鉄所副生成物、および/または低品位鉱石、および/または使用済み電池、および/またはマンガン含有ダスト、および/またはマンガン含有スラッジおよび/またはマンガン含有スラリーであることを特徴とするマンガン回収方法。
[5] 前記[1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記不溶化工程において、不溶化処理中の液を定期的または連続的に取り出し、取り出した液の溶液部分の色の変化を観察することで、マンガンイオンの酸化反応終点を見極めることを特徴とするマンガン回収方法。
[6] 前記[1]ないし[5]のいずれかにおいて、前記浸出工程における処理液が、炭素濃度およびリン濃度を制限した処理液であることを特徴とするマンガン回収方法。
[7] 前記[6]において、前記炭素濃度が300mM以下であり、前記リン濃度が0.5mM以下であることを特徴とするマンガン回収方法。
本発明のマンガン回収方法によれば、マンガン鉱物などに含まれるマンガン類を、室温・大気圧下という比較的穏やかな条件下で、高い濃縮率で、濃縮して回収することができるとともに、処理液を繰り返し使用可能とすることで、マンガン回収に関わる費用の低減が可能になり、産業上格段の効果を奏する。また、本発明のマンガン回収方法は、大量の被処理物から安価かつ簡便にマンガンを回収することができるため、特に製鉄所において大量に発生する製鉄所副生成物からマンガンを回収する方法として極めて有効である。
水溶液中におけるマンガンと鉄の、酸化還元電位(ORP)とpHの状態図(Eh-pH図)である。 (a)本発明のマンガン回収方法の一形態を説明するフロー図である。(b)本発明のマンガン回収方法の他の形態を説明するフロー図である。 廃乾電池破砕屑を供試した実施例のマンガン浸出率を示す図である。 実施例のマンガン浸出液に酸性条件下でオゾン散気を行った際の固形物中の組成 を示す図である。 実施例のマンガン浸出液に酸性条件下でオゾン散気を行った際のマンガン回収率 を示す図である。 本発明のマンガン浸出液を酸性条件下でオゾン散気処理した場合のマンガン回収 率とろ液の色の変化を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のマンガン回収方法は、3価鉄イオンを含む処理液に、マンガンを含有する被処理物および鉄還元細菌を混合し、前記鉄還元細菌によって前記3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元し、該2価鉄イオンを還元剤として前記被処理物からマンガンイオンを前記処理液に浸出させる浸出工程と、該浸出工程で得られた浸出液を固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程後の分離液中に含まれるマンガンイオンを酸化して不溶化する不溶化工程と、該不溶化工程で得られたマンガン成分を沈澱分離して回収する回収工程とを有することを特徴とする。また、前記分離液からマンガン成分を回収した3価鉄イオンを含む回収後分離液を、前記浸出工程で再利用してもよい。
図2(a)は、本発明の実施の一形態を示すフロー図である。図2(a)に示すように、本発明では、先ず、マンガンを含有する被処理物1を、必要に応じて破砕工程2で粉砕する。次いで、浸出工程3において、被処理物1と3価鉄イオンを含む処理液4と鉄還元細菌を混合し、浸出スラリー(浸出液)5を得る。この浸出工程3では、鉄還元細菌によって3価の鉄イオンを2価の鉄イオンに還元するとともに、この2価の鉄イオンを被処理物1中のマンガン成分に作用させることにより、被処理物1中のマンガン成分を溶解させる。
被処理物1としては、マンガンを含有するものであり、例えば、マンガン含有ダストおよび/またはマンガン含有スラッジなどの製鉄所副生成物、低品位鉱石、使用済み電池などを用いることができる。また、被処理物1の形状としては、マンガンを含有する固形物のほか、マンガン含有ダスト、および/またはマンガン含有スラッジおよび/またはマンガン含有スラリーなどを例示することができる。
使用済み電池を被処理物1として使用する場合には、予め破砕、篩い分けなどにより、筐体に使用される鉄などのメタルを分離して正極材や負極材の混合物にしておくことが望ましい。
なお、被処理物1に含まれるマンガン成分としては、MnO2、Mn2O3、Mn3O4等を例示することができる。
被処理物1は、処理液4と混合してマンガンイオンを処理液4に浸出させる浸出工程3に供されるが、浸出工程3へ移行する段階での被処理物1の粒子径が大きいと、比表面積が小さくなって固液接触面積(被処理物1と処理液4との接触面積)が減少し、浸出速度が低下する。また、浸出工程3をバッチ式の反応容器を用いて行う場合、被処理物1の粒子径が大きいと、浸出処理の際に被処理物1が沈降してしまい、十分に浸出処理ができないことも懸念される。
以上の理由により、本発明では、被処理物1が固体の場合は粒子径を小さくして浸出工程3における反応効率向上を目的として、破砕工程2を設けることが好ましい。粒子径が小さいほど、反応効率が向上し、浸出工程3における反応時間を短縮することができる。そのため、本発明では、浸出工程3へ移行する段階での被処理物1の粒子径を100mm以下とすることが好ましく、100μm以下とすることがより好ましい。但し、固液分離の容易さの観点からは、被処理物1の粒子径を1μm以上とすることが好ましい。
破砕方法としては、ジョークラッシャ、転動ミルなど、公知の破砕方法を用いることができる。なお、被処理物1の粒子径が十分小さい場合は、破砕工程2を省略しても構わない。
以上のようにして得られた被処理物1は、浸出工程3に移行される。浸出工程3では、処理液4と被処理物1を混合し、2価鉄イオンが3価鉄イオンに酸化される作用を利用して被処理物1からマンガンイオンを処理液4中に浸出させる。すなわち、浸出工程3では以下(i)の反応により、2価鉄が3価鉄に酸化されるとともに被処理物1が還元されて、マンガンイオンが処理液4に浸出する。
Fe2++Mn酸化物もしくは水酸化物(たとえばMnO2、Mn2O3、Mn3O4)
→Fe3++Mn2+(可溶性)… (i)
ここで、処理液4としては、2価鉄イオンを添加した処理液を用いることもできるが、本発明においては、3価鉄イオンを含む処理液を用い、該処理液に被処理物および鉄還元細菌を混合し、前記3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元するとともに、該2価鉄イオンを還元剤として被処理物1からマンガンイオンを処理液4中に浸出させることが好ましい。
鉄還元細菌は、電子供与体(有機物など)から電子を授受し、これを電子受容体である3価鉄イオンに供給する鉄呼吸により生育する細菌であり、以下(ii)の反応により3価鉄を2価鉄に還元する作用を有する。
Fe3++e- → Fe2+ … (ii)
そのため、3価鉄イオンを含む処理液に被処理物1と鉄還元細菌を混合すると、鉄還元細菌が、電子供与体からの電子(e-)を用いて3価鉄イオン(Fe3+)を直接還元して2価鉄イオン(Fe2+)を生成し、結果として2価鉄と鉄還元細菌を含む処理液が得られる。そして、上記(ii)の反応により生成された2価鉄が、前記(i)の反応に寄与することで、浸出工程3においてマンガンイオンを処理液4に浸出させることが可能となる。
本発明で用いる3価鉄および鉄還元細菌としては、以下に示す種類のものが例示される。また、3価鉄イオンを含む処理液には、鉄還元細菌の鉄呼吸に必要な電子受容体(上記3価鉄イオン)とともに電子供与体を添加する。更に、以下に示す酸、アルカリ、pH調整剤のいずれか1種以上、並びにpH緩衝剤を添加することにより、処理液のpHを後述する所定のpHに調整することが好ましい。また、当然のことながら、鉄還元細菌の生育に必須の元素などを共存させることが必要であることは言うまでもない。
<鉄還元細菌>
本発明の浸出工程3で用いる鉄還元細菌としては、例えば、Geobacter metallireducens Lovley et al.(ATCC 53774, DSM 7210)、Desulfomonas palmitatis Coates et al.(ATCC 51701, DSM 12931)、Desulfuromusakysingii Liesack & Finster(DSM 7343)、Pelobacter venetianus Schink & Stieb(DSM 2395)、Shewanella algae Shimidu et al. 1990(NBRC 103173, IAM 14159, ATCC 51181)、Ferrimonas balearica Rossello-Mora et al.(DSM 9799)、Aeromonas hydrophila subsp. hydrophila (Chester) Stanier(DSM 30014)、Sulfurospirillum barnesii Stolz et al.(ATCC 700032, DSM 10660)、Wolinella succinogenes (Wolin et al.) Tanner et al.(DSM 1740, ATCC 29543)、Desulfovibrio desulfuricans subsp. desulfuricans (Beijerinck) Kluyver & van Niel(DSM 642, ATCC 29577)、Geothrix fermentans Coates et al.(ATCC 700665)、Deferribacter thermophilus Greene et al.(DSM 14813)、Thermotoga maritime Stetter & Huber(DSM 3109)等を挙げることができる。
また、本発明では鉄還元古細菌を用いることも可能であり、鉄還元古細菌としては、例えば、Archaeoglobus fulgidus Stetter(ATCC 49558, DSM 4304)、Pyrococcus furiosus Fiala & Setter(ATCC 49587, DSM 3638)、Pyrodictium abyssi Pley and Stetter(ATCC 49828, DSM 6158)、Methanothermococcus thermolithotrophicus (Huber et al.) Whitman(DSM 2095, JCM 10549, ATCC 35097)等を挙げることができる。
ここで、上記した鉄還元細菌、鉄還元古細菌について、各々の括弧内には菌株番号を記載しているが、これに限定されるものではない。
また、上記菌種のシノニム等は上記菌種と同等のものであり、上記菌株が属する菌種も上記菌種と同等のものである。
なお、本明細書においては、属名(アクロニムを含む。)および種小名によって菌種を特定する場合がある。
上記において、菌株保存機関・施設の名称は、それぞれ、以下のものを表す。
ATCC:American Type Culture Collection, Manassas, VA, USA
DSM:Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Braunschweig, Germany
NBRC:NITE Biological Resource Center, Chiba, Japan
[(独)製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NITEバイオロジカルリソースセンター)]
JCM, IAM:Japan Collection of Microorganisms, RIKEN, Saitama, Japan
[(独)理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)]
鉄還元細菌としては、屋外での取扱い易さの観点から、通性嫌気性細菌であることが好ましい。例えば、上記した菌種のうち、鉄還元細菌として記載されるものを挙げることができる。
また、鉄還元細菌としては、屋外での取扱い易さの観点から、常温域で生育するものが好ましい。例えば、上記した菌種のうち、鉄還元細菌として記載されるもの(Geothrix fermentansおよびThermotoga maritimeを除く。)を挙げることができる。
更に、鉄還元細菌としては、Geobacter metallireducensまたはShewanella algaeが好ましく、Shewanella algaeがより好ましい。
鉄還元細菌の数は、特に限定されないが、浸出速度・浸出効率をより高くする観点から、浸出工程時に、初期値として、処理液中に1.0×1013個/m3以上含むことが好ましく、1.0×1013〜1.0×1015個/m3含むことがより好ましく、5.0×1013〜2.0×1014個/m3含むことがより一層好ましい。
<3価鉄イオン>
本発明の浸出工程3で用いる3価鉄イオンは、特に限定されないが、上記3価鉄イオンは水溶性の3価鉄塩として処理液に添加することが好ましい。また、上記水溶性の3価鉄塩は、無機酸塩または有機酸塩であることが好ましい。
上記無機酸塩としては、例えば、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、等を挙げることができる。一方、上記有機酸塩としては、例えば、クエン酸鉄(III)、ギ酸鉄(III)、酢酸鉄(III)等を挙げることができる。
3価鉄イオンの濃度は特に限定されないが、浸出速度・浸出効率をより高くする観点から、浸出工程時に、初期値として、処理液中に10mol/m3以上含むことが好ましく、10〜200mol/m3含むことがより好ましく、25〜100 mol/m3含むことがより一層好ましい。
<電子供与体>
電子供与体は、上記鉄還元細菌に対応して適宜選択することができる。例えば、鉄還元細菌がGeobacter metallireducensまたはShewanella algaeである場合には、電子供与体として有機物を使用することができる。
上記有機物としては、例えば、炭素数1〜7の有機物[カルボン酸塩(脂式カルボン酸塩(脂肪酸塩):蟻酸塩、酢酸塩等、芳香族カルボン酸塩:安息香酸塩等、オキソカルボン酸塩:ピルビン酸塩等、その他のカルボン酸塩:乳酸塩等)、アルコール(エタノール等)、不飽和芳香族(トルエンフェノール等)]等を挙げることができる。また、上記有機物としては、炭素、水素、酸素のほか、例えば、窒素、イオウ、その他の元素を含むものであってもよいことは云うまでもない。また、上記有機物としては、水溶性または水分散性のものに限定されず、水溶性でも水分散性でもない有機物の微粒子として含んでもよい。
電子供与体の濃度は、特に限定されないが、浸出工程時の初期値として100mol/m3以上含有することが好ましい。
<酸、アルカリ、pH調整剤>
上記処理液4には、酸、アルカリ、pH調整剤からなる群から選ばれる一つ以上を添加して処理液4のpHを後述する所定のpHに調整することができる。
上記酸は特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を使用することができる。上記アルカリも特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、これらの水溶液等を使用することができる。また、上記pH調整剤も特に限定されず、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができる。
<pH緩衝剤>
浸出工程3では、反応の進行に従いpHが変化する可能性がある。そこで、上記pH調整剤および/またはpH緩衝剤を添加してpHを適宜調整、変動を抑えてもよい。
上記処理液4に添加するpH緩衝剤は、中性pH域で緩衝能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、酢酸/酢酸ナトリウム、クエン酸/クエン酸ナトリウム、乳酸/乳酸ナトリウム、リン酸/リン酸ナトリウム、酒石酸/酒石酸ナトリウム、N−(2−アセトアミノ)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミノ)イミノ二酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸ナトリウム、2−モルホリノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、ピペラジン−1,4ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)等を挙げることができる。
上記処理液4に添加するpH緩衝剤としては、上記電子供与体としても機能し得るのを使用することができる。例えば、鉄還元細菌がShewanella algaeである場合、乳酸/乳酸ナトリウム等は、pH緩衝剤として機能し得ると同時に電子供与体としても機能し得る。また、上記処理液4に添加するpH緩衝剤としては、被処理物1から浸出させたマンガンイオンと錯体を形成し得るものを使用することができる。例えば、クエン酸/クエン酸ナトリウム等は、Mn2+と錯体を形成し得る。
なお、上記pH緩衝剤は、本発明の目的を害せず、かつ、pH緩衝作用を損なわない範囲で、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて、任意の含有量で、使用することができる。
<pH>
本発明で使用する鉄還元細菌は、菌種または菌株によって若干の相違はあるものの、生育至適pHが中性pH域にある。しかしながら、浸出工程3において、反応の進行に伴い処理液4のpHは変動する可能性がある。
したがって、上記処理液4のpHは、7.0近辺であれば、特に限定されないが、変動する場合には、5.0以上9.0以下、好ましくは6.0以上8.以下、さらに好ましくは6.5以上7.5以下に制御することで、効率のよい浸出が達成できる。
また、回収マンガンの用途によっては、該マンガン中の不純物を極力低減することが要求される。例えば、回収マンガンを製鋼原料として使用する場合には、銑鋼への炭素、リンの混入を防ぐために、高純度な回収マンガンが求められる。
本発明のマンガン回収方法において、最終的に回収されるマンガン中の炭素濃度およびリン濃度を低減するうえでは、上記処理液4を、炭素濃度およびリン濃度を制限した処理液とすることが好ましい。つまり、鉄還元細菌を添加する前の処理液の組成において炭素濃度およびリン濃度がある値以下となるような組成にすることが好ましい。
高純度なマンガン酸化物を得るためには、上記処理液4の鉄還元細菌を添加する前の炭素濃度を300mM以下、リン濃度を0.5mM以下とすることが好ましい。また、炭素濃度を270mM以下、リン濃度を0.16mM以下とすることがより好ましい。
但し、上記炭素濃度およびリン濃度を極端に低減すると、鉄還元細菌の生育が阻害され、マンガン浸出率に悪影響を及ぼす。したがって、上記炭素濃度を100mM以上、リン濃度を0.05mM以上とすることが好ましい。
以上のような処理液4を用いて浸出工程3を実施する場合には、酸素を遮断した状態で被処理物1と処理液4を接触・混合させる。酸素が存在すると、上記鉄還元細菌が3価鉄から2価鉄への還元反応を行なわなくなることが懸念されるためである。また、処理液4の温度は、10〜35℃に保持することが好ましい。なお、浸出時間は、浸出条件により変動するが、通常24〜72時間である。
以上のように、被処理物1と鉄還元細菌と3価鉄イオンを含む処理液4を混合すると、処理液4中の3価鉄イオンは鉄還元細菌によって還元されて2価鉄イオンとなる。そして、この2価鉄イオンが被処理物1に対して還元剤として作用し、2価鉄が3価鉄に酸化するとともに被処理物1中のマンガンが処理液4中に浸出し、マンガンイオンと3価鉄イオン、或いは更に未反応の2価鉄イオンを含む浸出スラリー(浸出液)5が得られる。浸出工程3で得られた浸出スラリー(浸出液)5は、固液分離工程6に送られる。
固液分離工程6では、上記浸出スラリー(浸出液)5を固液分離する。
固液分離工程6で、上記浸出スラリー(浸出液)5を固液分離すると、上澄み成分であるマンガン成分含有浸出液(分離液)10と残渣(固形物)7が得られる。
固液分離工程6に用いる固液分離手段は、重力沈降分離、ろ過、遠心分離、フィルタプレス、膜分離などから選ばれる任意の手段とする。また、浸出スラリー5の固形物濃度が高い場合は、フィルタプレスを用いることが好ましい。
マンガン成分含有浸出液(分離液)10には、主としてマンガンイオンと鉄イオン(3価鉄イオン、或いは更に2価鉄イオン)が含まれている。また、残渣(固形物)7には、主として鉄還元細菌と、被処理物1のマンガン以外の固形性成分が含まれている。
次いで、マンガン成分含有浸出液(分離液)10は、不溶化工程11に移行される。一方、残渣(固形物)7には、多くの鉄還元細菌が含まれているため、一部を返送残渣9として浸出工程3に返送するとともに、一部を未反応残渣8として回収する(図2(a)参照)。
不溶化工程11では、固液分離工程6で得られたマンガン成分含有浸出液(分離液)10に所定の不溶化処理を施し、マンガン成分含有浸出液(分離液)10のpHと酸化還元電位(ORP)を、Eh-pH図(図1)においてマンガンが酸化物として不溶化(固形物化)・沈澱するが、鉄が沈殿しない領域(図1中、○で囲った領域)のpHと酸化還元電位(ORP)に調整する。これにより、マンガン成分含有浸出液10に溶解していたマンガンが優先的に不溶化して固体となる。この不溶化工程11は、マンガン成分含有浸出液(分離液)10に酸性条件下でオゾンを作用させる工程とすることが好ましく、例えば、マンガン成分含有浸出液(分離液)10に、酸12を添加したのち、オゾン発生装置13によりオゾンを散気することが好ましい。すなわち、酸12の添加によりマンガン成分含有浸出液(分離液)10のpHを調整するともに、オゾン散気によりマンガン成分含有浸出液(分離液)10の酸化還元電位(ORP)を調整することで、マンガン成分含有浸出液10のpHと酸化還元電位(ORP)を、Eh-pH図(図1)においてマンガンが酸化物として固形物化、沈澱するが鉄が沈殿しない領域(図1中、○で囲った領域)のpHと酸化還元電位(ORP)に調整することが好ましい。
Eh-pH線図としては、例えば、
Pourbaix, M. Atlas of electrochemical equilibria in aqueous solutions. National Association of Corrosion Engineers. (1974) 644p.
に記載のものを用いることができる。
図1から明らかであるように、Fe、Mn共に、固形物化する領域は溶液中の各成分の濃度により変動する。例えば、溶液中Fe濃度が0.05Mで、溶出したMnの溶液中Mn濃度が0.1Mであった場合には、図1において、Feは100Mと10-2Mの線の間の、10-2M寄りの境界(図1の線*1)を基準にし、Mnは100Mと10-2Mの線の中間を境界(図1、線*2)として考えればよい。
この場合、図1において、マンガンが酸化物として固形物化・沈澱する領域(図1中、○で囲った領域)のpHと酸化還元電位(ORP)は、図1のとおり、おおよそ「pH:0.1以上2.2未満」、「酸化還元電位(ORP):約+0.9V以上+1.2V以下」であることが好ましいと判る。
また図1は水温25℃の時のものであるが、水温が異なる場合には、温度補正を行えばよい。補正の方法としては、公知の方法(例えば、Van't Hoffの式による平衡乗数の補正など)で行えばよい。
したがって、固液分離工程6で得られたマンガン成分含有浸出液(分離液)10が、上記FeおよびMn濃度の場合には、この溶液に酸12を添加してpHを2.2未満に下げ、次いでオゾンを散気して酸化還元電位(ORP)を+0.9V以上に上昇させることで、マンガンが酸化物として固形物化し、沈澱させることが可能になる。
上記酸12は、一般的な酸でよく、硫酸、硝酸、塩酸、その他の酸を用いることができる。また、オゾンの散気量としては、酸化還元電位(ORP)を観察しながらオゾンを散気し、酸化還元電位(ORP)が所定値(例えば、マンガン含有浸出液の温度が25℃であり、該浸出液中のFe、Mn濃度がそれぞれFe: 0.05M、Mn:0.1Mである場合、+1V以上)となるように調整することが好ましい。なお、オゾンの必要量は、装置形状や散気時の気泡径などによって変化するため、コスト等を比較し、最も効率のよい方法を選択すればよい。
なお、上記不溶化工程11では、マンガンの酸化により生成するマンガン酸化物によって、不溶化処理中(すなわちオゾン散気処理中)のマンガン成分含有浸出液(分離液)10が黒色となり、マンガン酸化反応進行状態を目視により判別することが困難となる。不溶化工程11におけるマンガン酸化反応が不十分な場合には、マンガンイオンが固形物として沈殿せず、マンガン回収率の悪化を招く。
一方、マンガン酸化反応が過剰になると、一度生成したマンガン酸化物が、過酸化物のイオンとなって再溶解してしまい、酸化不足の場合と同様に結果としてマンガン回収率が悪化する。その理由について本発明者らが検討した結果、マンガン酸化反応が過剰になると、固形物となったマンガンの酸化物が更に酸化され、過酸化マンガンのイオンとなって溶液中に再溶解してしまうためであることを見出した。
図1において、マンガンの過酸化物(図1中の最上部、MnO4 -という物質)が主たる存在になるORPは、pH2でも+1.6V付近であり、通常、このようなORPの上昇は観察されないが、マンガン酸化反応が過剰になると、一部のマンガン酸化物がオゾンの作用により過酸化物となることが分かった。また、過酸化物が生成するのは、マンガンがほぼ全て酸化物として固形物化した後であることも分かった。
これらの事実から、マンガン酸化反応の終点の見極めが必要になるが、マンガン酸化反応の終点を反応時間で管理しようとしても、バイオリーチングなどで得られたマンガン成分含有浸出液(分離液)10などの場合には、浸出液毎に溶液の組成が異なっていることもあり、必ずしも同じ反応時間で同じ回収率が得られるとは限らない。また、酸化還元電位(ORP)による制御を考えた場合にも同様の問題が生じ、明確な反応終点の確認は困難である。
一方、過酸化マンガンイオンを含む溶液は赤紫色を呈する。したがって、溶液中におけるマンガンの過酸化物の生成は、溶液の色を観察することで容易に判別できるが、前述のように、不溶化処理中マンガン成分含有浸出液(分離液)10のようなマンガン酸化物(固形物)微粒子の共存下では、溶液全体がマンガン酸化物の色である黒色になってしまい、溶液の変色を判別できない。しかし、不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10からマンガン酸化物を分離すれば、浸出液の色の変化を観察することが可能となり、延いてはマンガンの過酸化物の生成を判別することが可能となる。
したがって、実際の運用では、オゾンによる不溶化工程11において、不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10を定期的または連続的に取り出し、取り出した液からマンガン酸化物を分離し、溶液自体の色を観察してマンガンイオンの酸化反応終点を見極めることが好ましい。具体的には、不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10を取り出し、取り出した液から、固形物であるマンガン酸化物をろ過、もしくは、静置して沈降させるなどして分離し、ろ液もしくは上澄液の色を観察し、その色が淡赤色に変色した時点をマンガン酸化反応の終点とし、不溶化工程11を終了すれば、マンガン回収率を最大にすることが可能となる。
また、コストや設置スペース等の関係において許容されるのであれば、分光光度計を設け、ろ液もしくは上澄液の吸光度を測定することでマンガン酸化反応の終点を決定してもよい。過酸化マンガンイオンは、赤紫色を呈することから525〜545nm付近に最大吸収波長を有し、ろ液もしくは上澄液の過酸化マンガンイオン濃度が増加すると525〜545nm付近の波長での吸光度が急激に増大する。したがって、ろ液もしくは上澄液について、525〜545nm付近の波長での吸光度を測定することで、ろ液もしくは上澄液の着色、反応終点を客観的に決定できる。
実際の運用においては、マンガンイオンを酸化する不溶化工程前のマンガン成分含有浸出液(分離液)10について予め525〜545nm付近の吸光度を測定しておき、この吸光度を1とした場合、ろ液もしくは上澄液の吸光度がどの程度上昇したかを測定することにより、反応の終点を決定すればよい。
上記のようにしてマンガンイオンの酸化反応終点を見極める場合には、不溶化工程11において、例えば図2(b)に示すように分離・観察槽19を設けることができる。このような場合、例えば不溶化工程11の反応槽(図示せず)から不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10を少量、定期的または連続的に分離・観察槽19に取り出し、取り出した液を静置してマンガン酸化物を沈澱分離し、上澄液の色(すなわち溶液自体の色)を観察する。観察後は、マンガン回収率をあげるため、上澄液および沈澱分離したマンガン酸化物を不溶化工程11の反応槽に戻してもよいが、上澄液および/またはマンガン酸化物を反応槽に戻す操作は必須ではない。このような作業を、マンガンイオンの酸化反応終点が確認されるまで(すなわち、上澄液が淡赤色に変化するまで)繰り返し実施すればよい。
なお、上記では、分離・観察槽19において、不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10を少量取り出して静置することでマンガン酸化物を沈澱分離する方法について説明した。しかし、本発明では、上記した沈澱分離による方法に限らず、他の方法により不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10とマンガン酸化物とを分離してもよい。例えば、分離・観察槽19において、取り出した液をろ過し、ろ液の色を観察してマンガンイオンの酸化反応終点を見極めるようにしてもよい。このような場合には、観察後、マンガン回収率をあげるため、ろ液および/またはろ過により分離したマンガン酸化物を不溶化工程11の反応槽に戻してもよいが、ろ液および/またはマンガン酸化物を反応槽に戻す操作は必須ではない。
また、不溶化処理中のマンガン成分含有浸出液(分離液)10を取り出してその色を観察するに際しては、取り出した溶液とマンガン酸化物とを必ずしも完全に分離する必要はない。すなわち、両者の分離状態は、取り出した溶液自体の色が観察できる程度であってもよい。
以上の工程により、マンガン成分含有浸出液(分離液)10に溶解していたマンガンが優先的に不溶化して固体となり、鉄イオン(3価鉄イオン、或いは更に2価鉄イオン)の殆どはマンガン成分含有浸出液(分離液)10に溶解した状態となる。そして、続く回収工程14では、不溶化工程11後の分離液10を固液分離することで、濃縮された高濃度のマンガン酸化物15が回収される。なお、固液分離する際に用いる固液分離手段は、重力沈降分離、ろ過、遠心分離、フィルタプレス、膜分離などから選ばれる任意の手段とすることができる。
一方、マンガン酸化物15が回収された回収後分離液10aには、鉄イオン(3価鉄イオン、或いは更に2価鉄イオン)が豊富に含まれている。そのため、本発明では、回収後分離液10aを中和工程16で中和し、これを浸出工程3で用いる処理液4として再利用することができる。
中和工程16に送られた回収後分離液10aは、アルカリ18によって中和される。中和のために用いるアルカリ18は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、中和工程16では、塩などの濃縮を防ぐ目的で、一部をブロー水17として系外に引き抜くことが好ましい。
中和工程16を経た回収後分離液10aは、その後、浸出工程3の処理液4に混合される。すると、回収後分離液10a中の3価鉄イオンは、処理液4に含まれている鉄還元細菌により2価鉄イオンに還元され、該2価鉄イオンが被処理物1の還元剤として作用することになる。3価鉄イオンを含む処理液4に被処理物1と鉄還元細菌を混合する本発明によると、回収工程14の後工程として中和工程16を設け、中和した回収後分離液10aを浸出工程3の処理液4に混合する簡便な処理によって、処理液を再利用することができる。なお、中和工程16を経た回収後分離液10aを浸出工程3の処理液4に混合するに際しては、鉄分以外の培地成分が微生物によって消費され減少しているため、必要に応じて新規の処理液を追加することができる。
以上のように、鉄還元細菌を作用させることで3価鉄を2価鉄に還元し、該2価鉄を用いてマンガンを含む被処理物を還元すると、被処理物に含まれるマンガンを短時間でしかも安価かつ簡便に浸出させることができる。また、マンガンが浸出した浸出液から残渣を分離し、分離後の浸出液を酸性条件下でオゾンを作用させることにより、主にマンガンを優先的に不溶化させてマンガン酸化物として沈殿分離してマンガンを回収するとともに、沈澱を分離した後の(例えば上澄みとして)残った浸出液を繰り返し使用することができる。
すなわち、浸出工程3で用いる処理液4を、3価鉄イオンを含む処理液とし、これに被処理物および鉄還元細菌を混合すると、先ず鉄還元細菌が処理液中の3価鉄イオンを還元し、前記(ii)の反応(Fe3++e- → Fe2+)により2価鉄が生成する。次いで、浸出工程3において、前記(i)の反応(Fe2++(「Mn酸化物、水酸化物など」または「たとえばMnO2、Mn2O3、Mn3O4」)→Fe3++Mn2+)によりマンガンイオンと3価鉄イオンが生成し、マンガンイオンと3価鉄イオンを含有する浸出液(浸出スラリー)5が得られる。更に、浸出液(浸出スラリー)5を固液分離し、固液分離後の分離液10からマンガンを回収し、回収後分離液10aを中和し、これを浸出工程3で用いる処理液4に混合すると、処理液4中の鉄還元細菌がマンガン回収分離液10a中の3価鉄イオンを還元し、前記(ii)の反応(Fe3++e- → Fe2+)により2価鉄イオンが生成する。そして、上記(i)および(ii)の反応を繰り返すことにより、マンガンを回収するとともに浸出液を再利用することができる。
このように、浸出工程3で用いる処理液4を、3価鉄イオンを含む処理液とし、これにマンガンを含有する被処理物と鉄還元細菌を混合して被処理物からマンガンイオンを浸出させる方法を採用すると、マンガンの回収工程14後のマンガン回収分離液10aを、中和工程16で中和したのち、特別の処置を講ずることなく浸出工程3の処理液4に混合することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
1)鉄還元細菌によるマンガンの浸出
以下に示す鉄還元細菌、処理液、マンガンを含有する被処理物を用いて実施した。
<鉄還元細菌>
Shewanella algae NBRC 103173株
(NITEバイオロジカルリソースセンター)
<処理液>
表4の配合成分を有する溶液に、上記鉄還元細菌を添加した処理液。
溶液量と鉄還元細菌の濃度は以下のとおりである。
溶液量:3000cm3
初期鉄還元細菌濃度:5×1013個/m3(5×107個/cm3
なお、表4中の「ミネラル溶液」は表5の配合成分を有するウォルフェのミネラル・ソリューション(Wolfe's Mineral Solution)とし、表4中の「ビタミン溶液」は表6の配合成分を有するウォルフェのビタミン・ソリューション(Wolfe's Vitamin Solution)とした。
なお、表4、5、6中のイオン交換水の「全量で1000cm3」は、溶液全量で1000cm3となるように調整することを意味する。
<被処理物>
アルカリ電池屑(マンガン含有量:32質量%)
Figure 2014005496
Figure 2014005496
Figure 2014005496
上記処理液および被処理物を、反応容器内で混合し、以下の条件で浸出処理を行った。
試料(g)−処理液(cm3)混合比: 22 g / 1000cm3
処理液の温度:25℃
処理液のpH:7
処理時間:24hr
雰囲気:嫌気的条件
上記浸出処理中、得られたマンガン浸出液をサンプリングし、直ちに0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した。ろ過したサンプル(ろ液)のマンガン濃度を、ICP発光分析法により定量した。定量値を元に、被処理物中のマンガンに対する浸出したマンガンの割合(浸出率)を算出した結果を図3に示す。
24時間の浸出処理後のろ液のマンガン濃度は、0.1mol/1000cm3であり、本発明によると、図3のとおり、80%程度の高いマンガン浸出率が得られた((0.1mol/1000cm3)÷(22g/1000cm3×32質量%÷Mn分子量55g/mol)≒80%)。
2)酸性オゾン散気処理によるマンガンの回収
浸出液からのマンガン濃縮精製・回収を試験するために、1)で得られたろ過後のマンガン浸出液を用いて実験を行った。1)で得られた浸出液を反応槽に移し、下記条件にて硫酸酸性下、オゾン散気し、マンガンを酸化物として固形物化する実験を実施した。
浸出液(ろ過後)の液量:500mL
オゾン発生装置:EZ-OG-R4(エコデザイン社製)
反応槽のスターラー回転数:800rpm
オゾン発生装置電流:電流3.8A
オゾン散気量:1L/min
使用酸:硫酸
酸濃度:0.1N〜3Nまで変化
オゾン散気時間:150分
実験後、0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形物を50℃で3日間乾燥させた後秤量した。
ろ液、固形物ともにICP発光分析法でマンガン濃度および鉄濃度を定量した。また、固形物については、燃焼イオンクロマトグラフィー法にて硫黄濃度も定量した。結果を図4および図5に示す。
また、各硫酸濃度における浸出液(オゾン散気処理前の浸出液)のpHについて測定した結果を、表7に示す。なお、硫酸濃度が高い場合にはpHの値がゼロ以下になった。本実施例においては通常のガラス電極式pHメーターにてpHを測定しているため測定結果が負の場合には正確な値ではないが、表中に測定値として記載した。
Figure 2014005496
図4に示すように、浸出液を酸性にするために添加した硫酸の濃度が高いほど、マンガンと共に沈殿する鉄の含有率が減少しており、マンガンと鉄との分離が向上していることが分かる。
また、これ以外の成分は、マンガンは二酸化マンガンと考えられるため、マンガンに結合している酸素と、形態の変化を避けるために低温長時間乾燥をしているため、水分が残っていると考えられる。
また、浸出液を酸性にするために添加した硫酸由来の硫黄分も、固形物中には殆ど含まれていないことも確認された。
また、硫酸濃度が0.3N以上の領域では、沈殿物中の鉄の含有率が10%未満であり、マンガンと鉄が良好に分離できているといえる。硫酸濃度が0.1Nの条件では、鉄が10%以上沈殿物中に混入しており、本発明者らが当初設定した目標値10%未満を上回った。
更に、図5に示すように、マンガンは、浸出液中のマンガン量に対し80%以上固形物に移行している。一方、ろ液側のマンガンは浸出液中のマンガン量に対して1%未満しか検出されていない。残りのマンガンは殆ど回収ロスで、実際には、浸出液中のマンガン量に対してほぼ100%のマンガンが固形物化して固形物に移行しているものと考えられる。なお、回収ロスの要因としては、マンガンがオゾンにより酸化されて固形物になる際、反応容器に薄膜状にこびり付くこと等が考えられる。
一方、鉄に着目すると、硫酸濃度が低いほど鉄の沈殿物への移行比率が上昇しており、マンガンと鉄との分離が不充分となる傾向になった。特に硫酸添濃度0.1Nの条件では、浸出液中の鉄の50%以上が沈殿物に移行してしまっており、鉄の分離が十分とは言えない結果であった。
3)酸性オゾン散気処理におけるマンガン酸化反応終点の見極め(1)
1)で得られた浸出液を反応槽に移し、浸出液のサンプリングをしながらオゾン散気する点、酸濃度を1Nとする点、およびオゾン散気時間を190分とする点を除き、上記2)と同じ条件にて硫酸酸性下、オゾン散気し、マンガンを酸化物として固形物化する実験を実施した。
浸出液のサンプリングは、オゾン散気直前と、オゾン散気処理中に行った。なお、オゾン散気処理中のサンプリングは、オゾン散気時間経過とともに数回行なった。浸出液をサンプリングする際には浸出液が充分に攪拌され均一な状態になっていることを確認し、50cm3ずつサンプリングした。サンプリングした浸出液を0.22μmのメンブレンフィルターでろ過してマンガン酸化物を分離し、ろ液(溶液部分)の色を観察した。
また、サンプリングした浸出液より、上記2)と同様の方法にて各々のマンガン回収率を測定した。オゾン散気直前にサンプリングした浸出液に含まれる全マンガン量(質量)を100%とした。
オゾン散気直前にサンプリングした浸出液には沈殿(固形物)がなかった。また、固形物マンガンは、前述のように反応容器に薄膜状にこびり付き、定量性に誤差を生じるため、オゾン散気処理直前サンプルのろ液中マンガン濃度と、オゾン散気処理中サンプルのろ液側のマンガン濃度をもとにマンガン回収率(質量ベース)を算出した。なお、ろ液中のマンガン濃度は、ICP発光分析法で定量した。
実験結果を図6に示す。
図6は、オゾン散気時間の経過に伴うろ液の色、およびマンガン回収率の変化を表す。図6に示すように、オゾンを作用させてしばらくは、培地成分に起因すると思われる浸出液中有機物がオゾンを消費していると考えられ、マンガン酸化物生成は生じなかった。100分程度経過後、マンガン酸化物が生成し始め、それと共に浸出液は急激に黒色に変化した。しかしながらこの時点では、ろ過を行ってマンガン酸化物を除去すると、マンガン酸化物が除去されたろ液(溶液部分)の色は培地成分に起因すると思われる淡黄色になっていた。また、マンガン酸化物が生成し始めると、オゾン散気時間の経過と共にマンガン回収率は短時間で急速に上昇し、オゾン散気時間:150分の付近で99%以上のマンガン回収率が達成された。
しかしながら、オゾン散気時間:150分が経過した後、そのままオゾン散気を継続すると、マンガン回収率は低下した。このとき、ろ液の色は、マンガンの過酸化物の色である赤〜赤紫色に変化した。これらの結果から、オゾン散気時間:150分経過後にマンガンの過酸化物が生成し、マンガン過酸化物がイオンになって反応液中に再溶解してしまうため、マンガン回収率が低下したと結論付けることができる。
4)酸性オゾン散気処理におけるマンガン酸化反応終点の見極め(2)
上記3)の実験結果が示すように、酸性オゾン散気処理においては、高マンガン回収率を得るうえで最適なオゾン散気時間が存在する。しかしながら、最適なオゾン散気時間は、反応溶液の組成、反応器形状、気泡径、攪拌速度等の影響を受け易い。そのため、鉄還元細菌の種類や、被処理物のマンガン含有量、他の酸性オゾン散気処理条件(オゾン散気量、酸濃度等)に基づき最適なオゾン散気時間を事前に決定することは極めて困難である。
表8は、オゾン散気時間を150分、すなわち上記3)で得られた高マンガン回収率に最適なオゾン散気時間とする点を除き、上記3)と同じ条件にて硫酸酸性下、オゾン散気し、マンガンを酸化物として固形物化する実験を、4回実施し、それらの結果(バッチNo.1A〜4A)を示したものである。なお、表8中の「波長525.5nmにおける吸光度の増加割合」は、オゾン散気開始時(オゾン散気時間:0分)の浸出液ろ液の波長525.5nmにおける吸光度(A0)を測定するとともに、オゾン散気終了時(オゾン散気時間:150分)の浸出液ろ液の波長525.5nmにおける吸光度(A150)を測定し、オゾン散気開始時の吸光度に対するオゾン散気終了時の吸光度の比率(A150/A0)を算出した値である。上記吸光度(A0,A150)の測定にはいずれも、日本分光株式会社製分光光度計(商品名:V-650)を用いた。
Figure 2014005496
表8に示すように、オゾン散気時間およびその他の条件を同一にしても、マンガン回収率はばらついており、99%を超える回収率が得られたのは、ろ液の色が淡赤色を呈した「バッチNo.1A」の1度のみであった。「バッチNo.2A,3A」は、ろ液の色が淡黄色であることから、マンガンの酸化反応が不充分であったと推測される。一方、「バッチNo.4A」は、ろ液の色が赤紫色であることから、マンガンの酸化反応が進行し過ぎたものと推測される。
このとき、過酸化マンガンイオンの生成により浸出液(ろ液)が着色され、その生成量に応じて吸光度が増大していることが確認できる。なお、「バッチNo.1A」では過酸化マンガンイオンの生成は微量であったため高い回収率を維持したが、「バッチNo.4A」では過酸化マンガンイオンの生成が過剰になり、回収率の低下量が大きくなったと考えられる。
以上のように、オゾン散気時間管理では、マンガン回収率を安定して最大にすることが困難である。
一方、表9は、ろ液の色が淡黄色から淡赤色に変化した時点を「マンガン酸化反応終点」と判断して「オゾン散気時間」を決定した点を除き、上記3)と同じ条件にて硫酸酸性下、オゾン散気し、マンガンを酸化物として固形物化する実験を4回実施し、それらの結果(バッチNo.1B〜4B)を示したものである。すなわち、本実験では、ろ液の色が淡黄色から淡赤色に変化した時点で酸性オゾン散気処理を終了している。なお、表9中の「波長525.5nmにおける吸光度の増加割合」は、オゾン散気開始時(オゾン散気時間:0分)の浸出液ろ液の波長525.5nmにおける吸光度(A0)を測定するとともに、オゾン散気終了時(オゾン散気時間:135分、155分、170分、195分)の浸出液ろ液の波長525.5nmにおける吸光度(A)を測定し、オゾン散気開始時の吸光度に対するオゾン散気終了時の吸光度の比率(A/A0)を算出した値である。上記吸光度(A0,A)の測定にはいずれも、日本分光株式会社製分光光度計(商品名:V-650)を用いた。
Figure 2014005496
表9に示すように、浸出液のろ液の色を観察し、マンガン酸化反応終点(オゾン散気時間)を決定することで、常に99%を超える回収率を得ることができた。また、吸光度の測定結果から、いずれの場合にも過酸化マンガンイオンの生成が低く抑えられており、過不足なくマンガン酸化反応が行われることで、回収率が最大となっていることが確認された。また、表8、表9に示した結果より、波長525.5nmにおける吸光度を測定し、オゾン散気前(0分)の吸光度に対する比が30〜49になった時に反応を終了させると、非常に高いMn回収率が得られることがわかった。
先述のとおり、オゾンによるマンガン酸化反応は、反応溶液の組成、反応器形状、気泡径、攪拌速度などに影響を受けるため、必ずしも同一の反応時間(オゾン散気時間)で同一のマンガン回収率が得られる訳ではない。特に微生物を利用したマンガン浸出液を使用する場合などには、浸出液の組成が微生物の活性や、菌数などによって大きく変動することが考えられるため、反応時間による管理は、困難であり、現実的とは言えない。これに対し、例えば浸出液の組成が微生物の活性や、菌数などによって大きく変動する場合であっても、浸出液を少量抜き出してろ液、或いは上澄液の色を観察することにより、安定して高いマンガン回収率を得ることが可能となる。
5)処理液成分の制限
まず、以下に示す鉄還元細菌、処理液、マンガンを含有する被処理物を用いて、鉄還元細菌によるマンガンの浸出を行った。
<鉄還元細菌>
Shewanella algae NBRC 103173株
(NITEバイオロジカルリソースセンター)
<処理液>
処理液A:表4の配合成分を有する溶液に、上記鉄還元細菌を添加した処理液。
処理液B:表10の配合成分を有する溶液に、上記鉄還元細菌を添加した処理液。なお、表10中のイオン交換水の「全量で1000cm3」は、溶液全量で1000cm3となるように調整することを意味する。
溶液量と鉄還元細菌の濃度は処理液A、B共に以下のとおりである。
溶液量:500cm3
初期鉄還元細菌濃度:5×1013個/m3(5×107個/cm3
なお、表4、10中の「ミネラル溶液」は表5の配合成分を有するウォルフェのミネラル・ソリューション(Wolfe's Mineral Solution)とし、表4、10中の「ビタミン溶液」は表6の配合成分を有するウォルフェのビタミン・ソリューション(Wolfe's Vitamin Solution)とした。
鉄還元細菌を添加する前の処理液A、Bにおける炭素濃度およびリン濃度を、高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)により定量し、処理液中の各元素の濃度とした。定量結果を表11に示す。
<被処理物>
製鉄所の精錬工程で発生した金属含有ダスト(Mn:69質量%,Fe:3質量%)
Figure 2014005496
上記処理液および被処理物を、反応容器内で混合し、以下の条件で浸出処理を行った。
試料(g)−処理液(cm3)混合比:5g / 1000cm3
処理液の温度:25℃
処理液のpH:7
処理時間:24hr
雰囲気:嫌気的条件
上記浸出処理終了後、得られたマンガン浸出液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した。ろ過したサンプル(ろ液)中に含まれるマンガンの濃度を、高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)により定量した。定量結果を表11に示す。
次いで、得られたろ過後のマンガン浸出液を用い、オゾン散気処理によるマンガン回収を行った。なお、オゾン散気処理条件は、酸濃度を1Nとした点を除き上記2)と同じ条件とし、オゾン散気によりマンガンを酸化物として固形物化する処理を実施した。
処理後、0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形物を50℃で3日間乾燥させた後秤量した。
次いで、固形物を酸にて溶解して、ICP発光分析法でマンガン、炭素およびリンの定量をすることで、固形物のマンガン濃度、炭素濃度およびリン濃度を定量した。定量結果を表11に示す。
Figure 2014005496
表11に示すように、鉄還元細菌を添加する前の処理液A、Bにおける炭素濃度およびリン濃度は、処理液Aでは600mM、5.2mMであるのに対し、処理液Bでは270mM、0.16 mMであった。
処理液Bを用いてマンガンを浸出させた場合、24時間浸出処理後の浸出液のマンガン濃度は42mMであり、75%以上の高いマンガン浸出率が得られた。また、表11に示すように処理液Bを用いてマンガンを浸出させた場合のマンガン浸出率は、処理液Aを用いてマンガンを浸出した場合と同等であった。
更に、オゾン散気処理により回収したマンガンを含む固形物中のマンガンと炭素とリンの含有量は、処理液Aを用いた場合には、マンガン:45質量%、炭素:0.14質量%、リン:0.8質量%であるのに対し、処理液Bを用いた場合には、マンガン:45質量%、炭素:0.07質量%、リン:0.03質量%となり、マンガン含有率に対する炭素およびリンの含有率が大幅に低下している。
1 … 被処理物
2 … 破砕工程
3 … 浸出工程
4 … 処理液
5 … 浸出スラリー(浸出液)
6 … 固液分離工程
7 … 残渣
8 … 未反応残渣
9 … 返送残渣
10 … マンガン成分含有浸出液(分離液)
10a… 回収後分離液
11 … 不溶化工程
12 … 酸
13 … オゾン発生装置
14 … 回収工程
15 … マンガン酸化物
16 … 中和工程
17 … ブロー水
18 … アルカリ
19 … 分離・観察槽
[4] 前記[1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記被処理物が、製鉄所副生成物、低品位鉱石、使用済み電池のうちの1種以上から選択されることを特徴とするマンガン回収方法。
[5] 前記[1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記被処理物の形状が、マンガン含有ダスト、マンガン含有スラッジ、マンガン含有スラリーのいずれか1種以上であることを特徴とするマンガン回収方法。
] 前記[1]ないし[]のいずれかにおいて、前記不溶化工程において、不溶化処理中の液を定期的または連続的に取り出し、取り出した液の溶液部分の色の変化を観察することで、マンガンイオンの酸化反応終点を見極めることを特徴とするマンガン回収方法。
] 前記[1]ないし[]のいずれかにおいて、前記浸出工程における処理液が、炭素濃度およびリン濃度を制限した処理液であることを特徴とするマンガン回収方法。
] 前記[]において、前記炭素濃度が300mM以下であり、前記リン濃度が0.5mM以下であることを特徴とするマンガン回収方法。

Claims (7)

  1. 3価鉄イオンを含む処理液に、マンガンを含有する被処理物および鉄還元細菌を混合し、前記鉄還元細菌によって前記3価鉄イオンを2価鉄イオンに還元し、該2価鉄イオンを還元剤として前記被処理物からマンガンイオンを前記処理液に浸出させる浸出工程と、該浸出工程で得られた浸出液を固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程後の分離液中に含まれるマンガンイオンを酸化して不溶化する不溶化工程と、該不溶化工程で得られたマンガン成分を沈澱分離して回収する回収工程とを有することを特徴とするマンガン回収方法。
  2. 前記分離液からマンガン成分を回収した3価鉄イオンを含む回収後分離液を、前記浸出工程の処理液として再利用することを特徴とする請求項1に記載のマンガン回収方法。
  3. 前記不溶化工程が、前記固液分離工程後の分離液に酸性条件下でオゾンを作用させることで、マンガンイオンを酸化して不溶化する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載のマンガン回収方法。
  4. 前記被処理物が、製鉄所副生成物、および/または低品位鉱石、および/または使用済み電池、および/またはマンガン含有ダスト、および/またはマンガン含有スラッジおよび/またはマンガン含有スラリーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマンガン回収方法。
  5. 前記不溶化工程において、不溶化処理中の液を定期的または連続的に取り出し、取り出した液の溶液部分の色の変化を観察することで、マンガンイオンの酸化反応終点を見極めることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマンガン回収方法。
  6. 前記浸出工程における処理液が、炭素濃度およびリン濃度を制限した処理液であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマンガン回収方法。
  7. 前記炭素濃度が300mM以下であり、前記リン濃度が0.5mM以下であることを特徴とする請求項6に記載のマンガン回収方法。
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