JP2014004786A - 印刷物の製造方法、印刷物、および放射線硬化型インクジェット印刷装置 - Google Patents

印刷物の製造方法、印刷物、および放射線硬化型インクジェット印刷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】油絵の複製物として、より原画に近い印刷物を効率的に得る。
【解決手段】放射線硬化型インクジェットプリンタを用いて、以下のように印刷物を作製する。まず、基材上に白色インク・クリアインクを吐出し(ステップS500:第1吐出工程)、その吐出したインクをすぐに放射線で硬化させる(ステップS510:第1硬化工程)。このようにして、基材全面への白色インク・クリアインクの塗布を、それらのインクの濃度が充分になるまで繰り返す(ステップS530:追加吐出工程、ステップS540:追加硬化工程)。その後、直前のステップで硬化したインク上にカラーインクを吐出し(ステップS550:第2吐出工程)、その吐出したインクをすぐに放射線で硬化させる(ステップS560:第2硬化工程)。
【選択図】図13

Description

本発明は、印刷物の製造方法に関し、詳しくは、油絵の複製に好適な、放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて行われる印刷物の製造方法に関する。
従来より、インクを基材(印刷用紙など)に噴射して印字するインクジェット方式の印刷装置(以下、「インクジェットプリンタ」という。)が知られている。インクジェットプリンタにおいては、一般的には水性インクが用いられている。しかしながら、近年、UVインク(紫外線硬化インク)を用いた紫外線硬化型インクジェットプリンタの開発が進展している。紫外線硬化型インクジェットプリンタでは、基材に吐出したUVインクにUV光(紫外線)を照射することによって、印刷が行われる。
UVインクには、UV光が照射されることによって瞬時に硬化乾燥するという特徴がある。このようにUVインクは速乾性に優れているので、紫外線硬化型インクジェットプリンタを使用することにより、生産性が向上するという効果や、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのようにインクを吸収しない基材に対しても印刷可能になるという効果が得られる。それ故、近年、様々な用途の印刷に紫外線硬化型インクジェットプリンタが採用されている。例えば美術館等においては従来より絵画の複製が行われることがあり、そのような絵画の複製にも紫外線硬化型インクジェットプリンタが採用されることがある。
なお、本件発明に関連して、以下の先行技術文献が知られている。実開平7−41551号公報には、印刷物等の表面にコーティング処理(凹凸が残存するようなコーティング処理)を施すことによって油絵風の雰囲気のある画像を得るという技術が開示されている。特開2002−38063号公報には、白色インクを記録媒体の画像形成可能な領域の全面に打ち込むことによって白色以外の地色を持つ記録媒体に対して地色の影響を受けることのない印刷を可能にするという技術が開示されている。特開2006−131837号公報には、重合性基を有するモノマーを含有するインク組成物を用いて記録材に画像を形成することによって保存安定性に優れた絵画を得るという技術が開示されている。
実開平7−41551号公報 特開2002−38063号公報 特開2006−131837号公報
ところが、油絵の複製画を作製するためにインクジェットプリンタを用いて絵画用のカンバスに直接に印刷が行われると、カンバスの目地(カンバスを構成する部材間の隙間や継ぎ目の部分)にインクが充分に入り込まず、その結果、作製された印刷物の絵柄内に図17に示すように白色の細点が残ってしまう。なお、図17では、カンバスを符号70で示し、白色の細点を符号80で示している。また、絵を見る角度(鑑賞者の視線とカンバスの面との角度)によっては、カンバス全体に白点がちりばめられているように鑑賞者に視認されることもある。仮に白色インクを下地として印刷が行われる場合、白色の細点が鑑賞者に視認されないようにするためには、白色インクの充分な重ね塗りが必要となる。しかしながら、多量の白色インクが重ね塗られた場合、インクの光沢感が必要以上に高められ、油絵が本来有する光沢感よりも不自然に高い光沢感が得られる。このため、鑑賞者は、複製物から油絵の持つ雰囲気を感じ取ることができない。
以上のようなことから、従来においては、油絵の本来有する雰囲気を感じ取ることのできる複製物を得るためには、印刷前に予めカンバスに対して加工(例えばカンバスに凹凸を設ける加工)が行われたり、印刷後にプリンタとは別の手段で印刷物に対して加工(例えば絵柄の上からニスを塗るなどして「てかり感」を出すための加工)が行われたりしている。このように、従来においては、インクジェットプリンタでの処理のみによって油絵のリアルな複製物(原画に近い複製物)を得ることは実現されていない。
そこで本発明は、油絵の複製物として、より原画に近い印刷物を効率的に得ることを目的とする。
第1の発明は、放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて行われる印刷物の製造方法であって、
基材上に白色インクおよびクリアインクを吐出する第1吐出工程と、
前記白色インクと前記クリアインクとの混合物を含む下地層が形成されるよう、前記第1吐出工程で吐出された白色インクおよびクリアインクを放射線によって硬化させる第1硬化工程と、
前記下地層上にカラーインクを吐出する第2吐出工程と、
前記第2吐出工程で吐出されたカラーインクを放射線によって硬化させる第2硬化工程と
を含むことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1硬化工程と前記第2吐出工程との間に、
前記混合物上に前記白色インクまたは前記クリアインクの少なくとも一方を吐出する追加吐出工程と、
前記下地層としての一部の層が形成されるよう、前記追加吐出工程で吐出されたインクを放射線によって硬化させる追加硬化工程と
を更に含むことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記追加吐出工程と前記追加硬化工程とが複数回行われることを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記追加吐出工程の前に、前記追加吐出工程によって吐出されるべきインクの吐出量を設定するインク吐出量設定工程を更に含むことを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明において、
前記第1吐出工程の開始直後に前記第1硬化工程が開始されることにより、前記第1吐出工程と前記第1硬化工程とは同時並行的に行われ、
前記第2吐出工程の開始直後に前記第2硬化工程が開始されることにより、前記第2吐出工程と前記第2硬化工程とは同時並行的に行われることを特徴とする。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明において、
前記放射線硬化型インクジェット印刷装置は、放射線として、インクが硬化する波長の紫外線を用いていることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明において、
前記基材は、絵画用のカンバスであることを特徴とする。
第8の発明は、放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて製造される印刷物であって、
基材と、
前記基材上に吐出された白色インクとクリアインクとの混合物を放射線によって硬化させることによって形成された下地層と、
前記下地層上に吐出されたカラーインクを放射線によって硬化させることによって形成されたカラー画像層と
からなることを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明において、
前記下地層には、前記混合物上に吐出されたインクであって白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方を含むインクを硬化させることによって形成された層が含まれていることを特徴とする。
第10の発明は、第8の発明において、
前記下地層には、前記混合物上に吐出されたインクであって白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方を含むインクを硬化させることによって形成された層が複数含まれていることを特徴とする。
第11の発明は、第8から第10までのいずれかの発明において、
前記基材は、絵画用のカンバスであることを特徴とする。
第12の発明は、白色インク、クリアインク、および複数のカラーインクを吐出することができるように構成された放射線硬化型インクジェット印刷装置であって、
前記白色インクと前記クリアインクとを吐出するための第1のインク吐出部と、
前記カラーインクを吐出するための第2のインク吐出部と、
吐出されたインクを放射線によって硬化させるためのインク硬化部と
を備え、
前記第2のインク吐出部による前記カラーインクの吐出前に、前記第1のインク吐出部は、前記白色インクと前記クリアインクとを基材上に吐出し、かつ、前記インク硬化部は、前記第1のインク吐出部によって吐出された白色インクおよびクリアインクを放射線によって硬化させることを特徴とする。
第13の発明は、第12の発明において、
前記第1のインク吐出部と前記第2のインク吐出部と前記インク硬化部とは、一列に配置され、かつ、一体的に前記基材の上方を移動できるように構成されていることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、印刷物の作製の際、カラー画像を形成するために基材にカラーインクが塗布される前に、白色インクとクリアインクとが基材に塗布されることによって下地層が形成される。このように、白色インクだけではなくクリアインクをも用いて印刷物の下地層が形成される。このため、印刷物として油絵の複製画の作製が行われた場合に、油絵特有の「てかり感(質感)」,「光沢感」,および「つや感」が適度に得られ、油絵の原画に近い印刷物が得られる。また、カラーインクが塗布される際に基材にインクが浸透することが防止されるので、絵画中の細線などの微細な部分の再現性が向上する。さらに、下地作製からカラー画像の印刷までの処理が1台の放射線硬化型インクジェットプリンタで行われることとなり、油絵の本来有する雰囲気を得るために印刷前後に従来行われていた加工処理が不要となる。これにより、従来よりも効率的に油絵の複製画を作製することが可能となる。以上のように、油絵の複製物として、より原画に近い印刷物を効率的に得ることが可能となる。
上記第2の発明によれば、第1吐出工程・第1硬化工程で白色インクおよびクリアインクが基材に塗布された後、白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方が更に塗布される。このため、下地層としての白色インクおよびクリアインクの濃度が高められる。これにより、布製の基材が採用されている場合に、目地にインクが充分に入り込まないことに起因して生じていた白色の細点が鑑賞者に視認されないようにすることが可能となる。
上記第3の発明によれば、白色インクおよびクリアインクの濃度が充分な濃度となるよう、白色インクおよびクリアインクを基材に複数回塗布することが可能となる。これにより、布製の基材が採用されている場合に、上述した白色の細点がより確実に鑑賞者に視認されないようにすることが可能となる。
上記第4の発明によれば、追加吐出工程によって吐出されるべき白色インクおよびクリアインクの吐出量をそれぞれ設定することが可能となる。このため、布製の基材が採用されている場合に、基材の布目に応じて(例えば、布目の粗さなどの表面状態を考慮して)好適な下地を作製することが可能となる。
上記第5の発明によれば、各インクは吐出された後に速やかに硬化する。これにより、油絵の複製画を作製するための印刷をより高速に行うことが可能となる。
上記第6の発明によれば、紫外線硬化型インクジェット印刷装置を用いて上記第1から第5までのいずれかの発明と同様の効果を得ることができる。
上記第7の発明によれば、カンバスが基材として用いられるので、油絵の複製物として、より原画らしい雰囲気を有する印刷物が得られる。
上記第8の発明によれば、放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて製造される印刷物に関し、基材と実際の絵柄となるカラー画像層との間には、白色インクとクリアインクとの混合物からなる下地層が形成されている。すなわち、白色インクだけではなくクリアインクをも用いて印刷物の下地層が形成されている。従って、印刷物が油絵の複製画である場合に、油絵特有の「てかり感(質感)」,「光沢感」,および「つや感」が適度に得られる。また、この印刷物の製造工程において、カラーインクが塗布される際に基材にインクが浸透することが防止される。このため、絵画中の細線などの微細な部分の再現性が向上する。以上より、油絵の複製物として、より原画に近い印刷物が実現される。
上記第9の発明によれば、上記第2の発明と同様の理由により、目地にインクが充分に入り込まないことに起因して生じていた白色の細点が鑑賞者に視認されることのない、布製の基材を用いた印刷物(油絵の複製物)が実現される。
上記第10の発明によれば、上記第3の発明と同様の理由により、上述した白色の細点がより確実に鑑賞者に視認されることのない、布製の基材を用いた印刷物(油絵の複製物)が実現される。
上記第11の発明によれば、カンバスが基材として用いられるので、油絵の複製物として、より原画らしい雰囲気を有する印刷物が得られる。
上記第12の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第13の発明によれば、基材の上方を第1のインク吐出部と第2のインク吐出部とインク硬化部とからなるユニットを移動させることによって、白色インクおよびクリアインクの吐出後にそれら白色インクおよびクリアインクを速やかに硬化させることが可能となり、また、カラーインクの吐出後にそのカラーインクを速やかに硬化させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。 上記実施形態における紫外線硬化型インクジェットプリンタの外観斜視図である。 上記実施形態において、インクヘッドユニットの構成を模式的に示す図である。 上記実施形態における紫外線硬化型インクジェットプリンタの機能構成について説明するためのブロック図である。 上記実施形態において、インクヘッドユニットの横方向への移動について説明するための図である。 上記実施形態において、インクヘッドユニットの横方向への移動について説明するための図である。 上記実施形態において、Yバーの縦方向への移動について説明するための図である。 上記実施形態において、印刷物作製の概略手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、下地作製処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、下地作製処理の終了時点における印刷物の断面を示す図である。 上記実施形態において、絵画画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、絵画画像印刷処理の終了時点における印刷物の断面を示す図である。 上記実施形態において、下地作製処理と絵画画像印刷処理とを簡単にまとめたフローチャートである。 従来の印刷物の断面図の一例である。 従来の印刷物の断面図の一例である。 上記実施形態の第1の変形例における下地作製処理の手順を示すフローチャートである。 従来例について説明するための図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
<1.構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。この印刷システムは、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10およびパソコン20によって構成されている。パソコン20は、基材に印刷されるべきデータである印刷データPDを紫外線硬化型インクジェットプリンタ10に与える。紫外線硬化型インクジェットプリンタ10は、パソコン20から送られた印刷データPDに基づいて、基材に対して印刷を行う。なお、本実施形態においては、油絵の複製物(複製画像)としての印刷物を得るために、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10が用いられている。また、本実施形態においては、絵画用のカンバスが基材として用いられている。
図2は、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10の外観斜視図である。この紫外線硬化型インクジェットプリンタ10は、テーブル11とYバー12とを有している。テーブル11は、印刷時に印刷対象の基材(本実施形態ではカンバス)を支持するためのものである。テーブル11には吸着穴(不図示)が設けられており、印刷時に内部のバキュームをオン状態にすることによって基材がテーブル11上で固定される。Yバー12は、内部にインクヘッドユニット13を備えている。インクヘッドユニット13は、カラーインク,白色インク,およびクリアインクを吐出するためのインクヘッド群30と、インクヘッド群30から吐出されたインクを紫外線によって硬化させるためのUVランプ40L,40Rとによって構成されている。インクヘッドユニット13は、Yバー12の内部において図2で符号D1の矢印で示す方向に移動可能なように構成されている。インクヘッドユニット13がYバー12内を移動しながらインクの吐出と紫外線照射によるインクの硬化とを行うことによって、基材への印刷が行われる。なお、以下においては、説明の便宜上、図2で符号D1の矢印で示す方向のことを「横方向」といい、図2で符号D2の矢印で示す方向のことを「縦方向」という。また、Yバー12に着目したとき、図2で符号A1で示す側を「右側」といい、図2で符号A2で示す側を「左側」という。Yバー12は、縦方向に移動可能なように構成されている。基材に対して1行分の印刷が行われる都度Yバー12が縦方向に1行分ずつ移動することによって、基材全面への印刷が行われる。
図3は、インクヘッドユニット13の構成を模式的に示す図である。上述したように、インクヘッドユニット13は、インクヘッド群30とUVランプ40L,40Rとによって構成されている。UVランプ40Lはインクヘッド群30の左側に設けられ、UVランプ40Rはインクヘッド群30の右側に設けられている。なお、以下においては、UVランプ40L,40Rを総称してUVランプ40ともいう。UVランプ40としては、例えばLED(発光ダイオード)が採用される。インクヘッド群30には、図3に示すように、4つのカラーインク用ヘッド31と、白色インク用ヘッド32と、クリアインク用ヘッド33とが含まれている。カラーインク用ヘッド31は、それぞれシアンインク,マゼンダインク,イエローインク,およびブラックインクを吐出するための4つのインクヘッド31C,31M,31Y,および31Kによって構成されている。白色インク用ヘッド32は、白色インクを吐出するためのインクヘッドである。クリアインク用ヘッド33は、クリアインクを吐出するためのインクヘッドである。なお、クリアインクは透明なアクリル樹脂インクであって、インク(クリアインク)塗布直後にUVランプを照射することで、ツヤ消し感が得られる。4つのカラーインク用ヘッド31C,31M,31Y,および31K,白色インク用ヘッド32,およびクリアインク用ヘッド33はそれぞれ独立して制御される。本実施形態においては、白色インク用ヘッド32およびクリアインク用ヘッド33によって第1のインク吐出部が実現され、カラーインク用ヘッド31によって第2のインク吐出部が実現され、UVランプ40によってインク硬化部が実現されている。
なお、本実施形態においてはカラーインクはシアンインク,マゼンダインク,イエローインク,およびブラックインクによって構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記4色のインクに加えて特色インクがカラーインクに含まれる構成であっても良い。また、カラーインク用ヘッド31,白色インク用ヘッド32,およびクリアインク用ヘッド33は典型的には図3に示すように一列に配置されるが、本発明はこれに限定されず、白色インク用ヘッド32およびクリアインク用ヘッド33は必ずしもカラーインク用ヘッド31と一列になるように配置されていなくても良い。
図4は、本実施形態における紫外線硬化型インクジェットプリンタ10の機能構成について説明するためのブロック図である。図4に示すように、上述のYバー12,インクヘッドユニット13,インクヘッド群30,およびUVランプ40は、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10の内部に設けられている制御部50によって制御される。制御部50は、パソコン20から送られる印刷データPDに基づいて、制御信号S1によってYバー12の動作を制御し、制御信号S2によってインクヘッドユニット13の動作を制御し、制御信号S3によってインクヘッド群30の動作を制御し、制御信号S4によってUVランプ40の動作を制御する。Yバー12は、制御信号S1に基づいて、テーブル11上を縦方向に移動する。インクヘッドユニット13は、制御信号S2に基づいて、Yバー12内を横方向に移動する。インクヘッド群30は、制御信号S3に基づいて、基材へのインクの吐出を行う。UVランプ40は、制御信号S4に基づいて、点灯状態と消灯状態との間で状態の切り替えを行う。
<2.紫外線硬化型インクジェットプリンタの基本的な動作>
次に、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10の基本的な動作について説明する。図5および図6は、インクヘッドユニット13の横方向への移動について説明するための図である。なお、図5および図6には、図2で符号D3で示す矢印の方向から見たインクヘッドユニット13の状態の時間的な推移を示している。
インクヘッドユニット13がYバー12内を右側から左側へと移動するとき、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は図5に示すように変化する。なお、このときのインクヘッドユニット13の移動方向を以下「第1方向」という。ここで、白色インクおよびクリアインクに着目する。インクヘッドユニット13が第1方向に移動するときに両者の吐出が行われると、クリアインク用ヘッド33よりも白色インク用ヘッド32の方が左側に配置されているので、カンバスへのインクの着弾の順序は「白色インク、クリアインク」となる。また、インクヘッドユニット13が第1方向に移動している間、UVランプ40は点灯状態とされる。
インクヘッドユニット13がYバー12内を左側から右側へと移動するとき、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は図6に示すように変化する。なお、このときのインクヘッドユニット13の移動方向を以下「第2方向」という。ここで、白色インクおよびクリアインクに着目する。インクヘッドユニット13が第2方向に移動するときに両者の吐出が行われると、白色インク用ヘッド32よりもクリアインク用ヘッド33の方が右側に配置されているので、カンバスへのインクの着弾の順序は「クリアインク、白色インク」となる。また、インクヘッドユニット13が第2方向に移動している間、UVランプ40は点灯状態とされる。
なお、カラーインクに着目すると(図3参照)、インクヘッドユニット13が第1方向に移動するときには、カンバスへのインクの着弾の順序は「シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインク」となり、インクヘッドユニット13が第2方向に移動するときには、カンバスへのインクの着弾の順序は「ブラックインク、イエローインク、マゼンダインク、シアンインク」となる。
以上のように、カンバスへのインクの吐出は、インクヘッドユニット13がYバー12内を移動しながら行われる。ここで、UVランプ40は、インクヘッド群30の両側に設けられている。従って、インクの吐出が開始された直後にUVランプ40を点灯させることによって、カンバスに吐出されたインクを瞬時に硬化乾燥させることができる。
図7は、Yバー12の縦方向への移動について説明するための図である。なお、図7には、この紫外線硬化型インクジェットプリンタ10を平面視したときのYバー12の状態の時間的な推移を示している。印刷開始時(t31)には、Yバー12はテーブル11の一端側に配置されている。印刷中においては、カンバスに対して1行分の印刷が行われる都度、Yバー12は1行分だけ他端側へと縦方向に移動する。そして、カンバス全体への印刷終了時(t35)には、Yバー12はテーブル11の他端側に配置されている。但し、カンバスのサイズによっては、印刷終了時にYバー12がt32,t33,t34などで示す位置に配置されることもある。以上のように、Yバー12が縦方向に徐々に移動することによって、カンバス全体への印刷が行われる。
<3.印刷物の作製手順(製造方法)>
次に、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10を用いて行われる、油絵の複製画像としての印刷物の作製の手順(製造方法)について説明する。
<3.1 概略>
図8は、本実施形態における印刷物作製の概略手順を示すフローチャートである。まず、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10のテーブル11上に絵画用のカンバスがセットされる(ステップS10)。このとき、カンバスがテーブル11に固定されるとともに、Yバー12の高さの調整などが行われる。テーブル11にカンバスがセットされた後、下地作製処理が行われる(ステップS20)。下地作製処理では、より油絵の原画に近い印刷物が得られるよう、白色インクおよびクリアインクがカンバスに塗布される。なお、下地作製処理についての詳しい説明は後述する。下地作製処理の終了後、絵画画像印刷処理が行われる(ステップS30)。絵画画像印刷処理では、カンバスへの絵画画像の印刷が行われる。なお、絵画画像印刷処理についての詳しい説明は後述する。絵画画像印刷処理の終了後、テーブル11からカンバスが取り外される(ステップS40)。以上の工程により、油絵の複製画像としての印刷物が作製される。
<3.2 下地作製処理>
図9は、下地作製処理の手順を示すフローチャートである。下地作製処理の開始後、まず、パソコン20から紫外線硬化型インクジェットプリンタ10に対して、下地用印刷データが投入される(ステップS200)。この下地用印刷データは、典型的には、カンバスのサイズの全面一色(例えば黒色)のデータである。但し、下地用印刷データが何色のデータであっても、この下地作製処理においては、カラーインクがカンバスに吐出されることはなく、白色インクおよびクリアインクのみがカンバスに吐出される。
次に、インクの吐出量の設定が行われる(ステップS210)。詳しくは、オペレータ(この紫外線硬化型インクジェットプリンタ10の操作者)が、カンバスの布目に応じて、白色インクおよびクリアインクの吐出量を設定する。一般的には、カンバスの布目が粗いほど白色インクおよびクリアインクの吐出量を大きくし、カンバスの布目が細かいほど白色インクおよびクリアインクの吐出量を少なくするのが好ましい。
インクの吐出量が設定された後、カンバスへの白色インクおよびクリアインクの吐出が行われる(ステップS220)。ステップS220では、インクヘッドユニット13は第1方向に移動する。従って、上述したように、「白色インク、クリアインク」の順序でカンバスへのインクの着弾が行われる。次に、UVランプ40が点灯される(ステップS230)。これにより、ステップS220でカンバスに吐出された白色インクおよびクリアインクに紫外線が照射され、それら白色インクおよびクリアインクが硬化する。なお、ステップS230では、白色インクとクリアインクとが混ざった状態のインク(混合物)が硬化することになる。
ところで、上述したように、カンバスへのインクの吐出はインクヘッドユニット13が移動しながら行われる。従って、カンバスに吐出されたインクを硬化させるために、ステップS230におけるUVランプ40の点灯は、白色インクおよびクリアインクの吐出開始直後に行われる。そして、インクヘッドユニット13の移動中、カンバスへのインク(白色インクおよびクリアインク)の吐出もUVランプ40によるインクの硬化も行われる。すなわち、ステップS220の処理とステップS230の処理は同時並行的に行われる。但し、処理の開始・終了タイミングが、ステップS230よりもステップS220の方がわずかに早い。ステップS220およびステップS230が終了すると、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は、図5でのt15における状態となる。このとき、インクヘッドユニット13はYバー12内の左端に位置しており、インクの吐出は停止された状態かつUVランプ40は消灯状態となっている。
次に、インクヘッドユニット13が第2方向に移動しながらカンバスへの白色インクおよびクリアインクの吐出が行われる(ステップS240)。ステップS240では、「クリアインク、白色インク」の順序でカンバスへのインクの着弾が行われる。次に、UVランプ40が点灯される(ステップS250)。これにより、ステップS240でカンバスに吐出された白色インクおよびクリアインクに紫外線が照射され、それら白色インクおよびクリアインクが硬化する。なお、ステップS230と同様、ステップS250においても、白色インクとクリアインクとが混ざった状態のインク(混合物)が硬化することになる。また、ステップS220,S230の処理と同様、ステップS240の処理とステップS250の処理は同時並行的に行われる。但し、処理の開始・終了タイミングが、ステップS250よりもステップS240の方がわずかに早い。ステップS240およびステップS250が終了すると、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は、図6でのt25における状態となる。このとき、インクヘッドユニット13はYバー12内の右端に位置しており、インクの吐出は停止された状態かつUVランプ40は消灯状態となっている。
ステップS220からステップS250までの処理によって1行分の印刷が終了すると、カンバス全面への印刷が終了したか否かが判定される(ステップS260)。なお、このステップS260での判定は、制御部50(図4参照)によって行われる。判定の結果、カンバス全面への印刷が終了していればステップS270に進み、そうでなければステップS261に進む。ステップS261では、次の行の印刷が可能となるようYバー12が1行分だけ縦方向に移動する。ステップS261の終了後は、ステップS220に戻る。そして、カンバス全面への印刷が終了するまで、ステップS220からステップS261までの処理が繰り返される。
ステップS270では、カンバスに塗布された白色インクおよびクリアインクの濃度が充分であるか否かが判定される。なお、このステップS270での判定はオペレータ等によって行われる。判定の結果、白色インクおよびクリアインクの濃度が充分であれば下地作製処理は終了し、そうでなければステップS271に進む。ステップS271では、オペレータによって、紫外線硬化型インクジェットプリンタ10に対して再印刷の指示が行われる。再印刷の指示が行われた場合には、ステップS210に戻り、インクの吐出量の設定が行われる。このとき、カンバスに塗布されている白色インクおよびクリアインクの濃度に応じて、インクの吐出量が設定されると良い。なお、再印刷の際には、白色インクのみが吐出されても良いし、クリアインクのみが吐出されても良いし、白色インクおよびクリアインクの双方が吐出されても良い。その後、インクの吐出量の設定に応じて、カンバス全面にインク(白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方)が塗布される。なお、下地作製処理の終了後は、絵画画像印刷処理(図8のステップS30)に進む。
以上のようにして、白色インクおよびクリアインクの濃度が充分になるまで、カンバス全面に対する白色インクおよびクリアインクの塗布が行われる。そして、下地作製処理の終了時点における印刷物の断面は、図10に示すようなものとなる。すなわち、基材としてのカンバス70の上に、白色インクとクリアインクとが混ざった状態のインク(混合物)が硬化乾燥することによりできた下地層71が形成されている。
<3.3 絵画画像印刷処理>
下地作製処理の終了後、絵画画像印刷処理が行われる。図11は、絵画画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。絵画画像印刷処理の開始後、まず、パソコン20から紫外線硬化型インクジェットプリンタ10に対して、絵画画像用印刷データが投入される(ステップS300)。この絵画画像用印刷データは、ここでは、複製対象の油絵の画像データである。
絵画画像用印刷データの投入後、カンバスへのカラーインクの吐出が行われる(ステップS310)。本実施形態においては、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクがカンバスに吐出される。ステップS310では、インクヘッドユニット13は第1方向に移動する。次に、UVランプ40が点灯される(ステップS320)。これにより、ステップS310でカンバスに吐出されたカラーインクに紫外線が照射され、カラーインクが硬化する。なお、ステップS310の処理とステップS320の処理は同時並行的に行われる。但し、処理の開始・終了タイミングが、ステップS320よりもステップS310の方がわずかに早い。ステップS310およびステップS320が終了すると、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は、図5でのt15における状態となる。このとき、インクヘッドユニット13はYバー12内の左端に位置しており、インクの吐出は停止された状態かつUVランプ40は消灯状態となっている。
次に、インクヘッドユニット13が第2方向に移動しながらカンバスへのカラーインクの吐出が行われる(ステップS330)。そして、UVランプ40が点灯される(ステップS340)。これにより、ステップS330でカンバスに吐出されたカラーインクに紫外線が照射され、カラーインクが硬化する。なお、ステップS310,S320の処理と同様、ステップS330の処理とステップS340の処理は同時並行的に行われる。但し、処理の開始・終了タイミングが、ステップS340よりもステップS330の方がわずかに早い。ステップS330およびステップS340が終了すると、テーブル11とインクヘッドユニット13との位置関係は、図6でのt25における状態となる。このとき、インクヘッドユニット13はYバー12内の右端に位置しており、インクの吐出は停止された状態かつUVランプ40は消灯状態となっている。
ステップS310からステップS340までの処理によって1行分の印刷が終了すると、カンバス全面への印刷が終了したか否かが判定される(ステップS350)。なお、このステップS350での判定は、制御部50によって行われる。判定の結果、カンバス全面への印刷が終了していれば絵画画像印刷処理は終了し、そうでなければステップS351に進む。ステップS351では、次の行の印刷が可能となるようYバー12が1行分だけ縦方向に移動する。ステップS351の終了後は、ステップS310に戻る。そして、カンバス全面への印刷が終了するまで、ステップS310からステップS351までの処理が繰り返される。なお、絵画画像印刷処理の終了後は、図8のステップS40に進み、この紫外線硬化型インクジェットプリンタ10のテーブル11からカンバスが取り外される。
以上のようにして、カンバス全面に対するカラーインクの塗布が行われる。ところで、この絵画画像印刷処理においては、カラーインクは下地層の上層に塗布される。従って、絵画画像印刷処理終了時点における印刷物の断面は、図12に示すようなものとなる。すなわち、基材としてのカンバス70の上に白色インクとクリアインクとの混合物からなる下地層71が形成され、その下地層71の上にカラー画像層72が形成されている。
<3.4 処理手順のまとめ>
下地作製処理から絵画画像印刷処理までの処理を簡単にまとめると以下のようになる。図13は、下地作製処理と絵画画像印刷処理とを簡単にまとめたフローチャートである。まず、基材(本実施形態においてはカンバス)上に白色インクおよびクリアインクを吐出する第1吐出工程が行われ(ステップS500)、次に、第1吐出工程で吐出された白色インクとクリアインクとの混合物を放射線(本実施形態においては紫外線)によって硬化させる第1硬化工程が行われる(ステップS510)。ここで、第1吐出工程と第1硬化工程は同時並行的に行われる。なお、ステップS500は図9におけるステップS220,S240に相当し、ステップS510は図9におけるステップS230,S250に相当する。
ステップS500およびステップS510によって基材全面への印刷が行われた後、基材に塗布された白色インクおよびクリアインクの濃度が充分であるか否かが判定される(ステップS520)。判定の結果、白色インクおよびクリアインクの濃度が充分であればステップS550に進み、そうでなければステップS530に進む。ステップS550に進む場合、ステップS520までの処理で基材上に形成された層が下地層となる。なお、ステップS520は図9におけるステップS270に相当する。
ステップS530に進むと、白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方を吐出する追加吐出工程が行われる。追加吐出工程においては、白色インクのみが吐出されても良いし、クリアインクのみが吐出されても良いし、白色インクおよびクリアインクの双方が吐出されても良い。これについては、基材全面への印刷が終了したときの白色インクおよびクリアインクの濃度に応じて決定されれば良い。追加吐出工程における各インクの吐出量についても、基材全面への印刷が終了したときの白色インクおよびクリアインクの濃度に応じて決定されれば良い。追加吐出工程の終了後、追加吐出工程で吐出されたインクを放射線によって硬化させる追加硬化工程が行われる(ステップS540)。追加硬化工程の終了後、再度、基材に塗布された白色インクおよびクリアインクの濃度が充分であるか否かが判定される(ステップS520)。そして、その判定結果に応じて、処理はステップS530またはステップS550に進む。上述したように、ステップS550に進む場合、ステップS520までの処理で基材上に形成された層が下地層となる。なお、ステップS530(追加吐出工程)は図9における再印刷時のステップS220,S240に相当し、ステップS540(追加硬化工程)は図9における再印刷時のステップS230,S250に相当する。
ステップS550に進むと、下地層上にカラーインクを吐出する第2吐出工程が行われる。次に、第2吐出工程で吐出されたカラーインクを放射線によって硬化させる第2硬化工程が行われる(ステップS560)。ここで、第2吐出工程と第2硬化工程は同時並行的に行われる。なお、ステップS550は図11におけるステップS310,S330に相当し、ステップS560は図11におけるステップS320,S340に相当する。
以上のようにして、放射線硬化型インクジェット印刷装置としての紫外線硬化型インクジェットプリンタ10を用いて、下地作製処理と絵画画像印刷処理とが行われる。
<4.作製される印刷物の構造>
ここで、以上のような手順(製造方法)で作製される印刷物の構造について説明する。本実施形態によって作製される印刷物の構造(図12参照)は、図14に示す印刷物の構造や図15に示す印刷物の構造とは異なっている。図14に示す印刷物は、カンバス(基材)70上に下地層75となるべき白色インク,コーティング層76となるべきクリアインク,およびカラー画像層72となるべきカラーインクが順次に塗布されて作製されたものである。図15に示す印刷物は、カンバス(基材)70上にコーティング層76となるべきクリアインク,下地層75となるべき白色インク,およびカラー画像層72となるべきカラーインクが順次に塗布されて作製されたものである。これに対して、本実施形態によって作製される印刷物においては、カンバス(基材)70上に白色インクとクリアインクとが混ぜ合わされて得られる下地層71が形成され、その下地層71の上にカラー画像層72が形成されている。このように、本実施形態においては、カンバス(基材)70と実際の絵柄となるカラー画像層72との間に白色インクとクリアインクとの混合物からなる下地層71が設けられた印刷物が得られる。
<5.効果>
本実施形態によれば、油絵の複製物(複製画像)としての印刷物が作製される際、まず基材としてのカンバス70に白色インクとクリアインクとを塗布することにより下地層71が形成され、その下地層71の上層にカラー画像層72が形成される。その結果、印刷物の断面は図12に示したようなものとなる。このように、白色インクだけではなくクリアインクをも用いて下地層71が形成されているので、油絵特有の「てかり感(質感)」,「光沢感」,および「つや感」が適度に得られ、油絵の複製物として、原画に近い印刷物を得ることが可能となる。また、カラーインクが塗布された際に、カンバスの布地上でインクが滲むことが防止されるので、絵画中の細線などの微細な部分の再現性が向上する。
また、カンバスに塗布された白色インクおよびクリアインクの濃度が充分な濃度となるまで何度でも白色インクおよびクリアインクをカンバスに塗布することができるので、従来の手法において目地にインクが充分に入り込まないことに起因して生じていた白色の細点(図17参照)が鑑賞者に視認されないようにすることが可能となる。
さらに、インクジェットプリンタにおいてはインクの吐出量の制御が容易であるところ、本実施形態においては印刷前に白色インクおよびクリアインクのそれぞれについてインクの吐出量を設定することができるので、カンバスの布目に応じて(例えば、布目の粗さなどの表面状態を考慮して)好適な下地を作製することが可能となる。
さらにまた、下地作製からカラー画像の印刷までの処理を1台の紫外線硬化型インクジェットプリンタ10で行うことが可能となるので、油絵の本来有する雰囲気を得るために印刷前後に従来行われていた加工処理が不要となる。これにより、従来よりも効率的に油絵の複製物の作製を行うことが可能となる。
<6.変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
<6.1 第1の変形例>
上記実施形態においては、下地作製処理の際、白色インクおよびクリアインクのカンバス全面への塗布が、白色インクおよびクリアインクの濃度が充分になるまで繰り返されていた(図9参照)。しかしながら、本発明はこれに限定されない。ステップS210においてインクの吐出量が好適な量に設定されるのであれば、白色インクおよびクリアインクのカンバス全面への塗布が常に1回だけ行われるようにしても良い。すなわち、図9に示したフローチャートからステップS270,S271の処理を除いても良い(図16参照)。
<6.2 第2の変形例>
また、上記実施形態においては、下地作製処理で再印刷の指示(図9のステップS271)がなされたとき、処理はステップS210に戻っていたが、本発明はこれに限定されない。ステップS271の後に処理がステップS220に戻るようにして、再印刷の際のインク(白色インクおよびクリアインク)の吐出量が最初の印刷の際のインクの吐出量と同じになるようにしても良い。
<6.3 その他>
上記実施形態においては、印刷物(油絵の複製画像)の作製が紫外線硬化型インクジェットプリンタ10を用いて行われる例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。インクを瞬時に硬化乾燥させることができるものであれば、紫外線以外の放射線によってインクを硬化させるインクジェットプリンタが用いられていても良い。
10…紫外線硬化型インクジェットプリンタ
11…テーブル
12…Yバー
13…インクヘッドユニット
20…パソコン
30…インクヘッド群
31…カラーインク用ヘッド
32…白色インク用ヘッド
33…クリアインク用ヘッド
40,40L,40R…UVランプ
50…制御部
70…カンバス(基材)
71…下地層
72…カラー画像層

Claims (13)

  1. 放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて行われる印刷物の製造方法であって、
    基材上に白色インクおよびクリアインクを吐出する第1吐出工程と、
    前記白色インクと前記クリアインクとの混合物を含む下地層が形成されるよう、前記第1吐出工程で吐出された白色インクおよびクリアインクを放射線によって硬化させる第1硬化工程と、
    前記下地層上にカラーインクを吐出する第2吐出工程と、
    前記第2吐出工程で吐出されたカラーインクを放射線によって硬化させる第2硬化工程と
    を含むことを特徴とする、印刷物の製造方法。
  2. 前記第1硬化工程と前記第2吐出工程との間に、
    前記混合物上に前記白色インクまたは前記クリアインクの少なくとも一方を吐出する追加吐出工程と、
    前記下地層としての一部の層が形成されるよう、前記追加吐出工程で吐出されたインクを放射線によって硬化させる追加硬化工程と
    を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 前記追加吐出工程と前記追加硬化工程とが複数回行われることを特徴とする、請求項2に記載の印刷物の製造方法。
  4. 前記追加吐出工程の前に、前記追加吐出工程によって吐出されるべきインクの吐出量を設定するインク吐出量設定工程を更に含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の印刷物の製造方法。
  5. 前記第1吐出工程の開始直後に前記第1硬化工程が開始されることにより、前記第1吐出工程と前記第1硬化工程とは同時並行的に行われ、
    前記第2吐出工程の開始直後に前記第2硬化工程が開始されることにより、前記第2吐出工程と前記第2硬化工程とは同時並行的に行われることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記放射線硬化型インクジェット印刷装置は、放射線として、インクが硬化する波長の紫外線を用いていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  7. 前記基材は、絵画用のカンバスであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
  8. 放射線硬化型インクジェット印刷装置を用いて製造される印刷物であって、
    基材と、
    前記基材上に吐出された白色インクとクリアインクとの混合物を放射線によって硬化させることによって形成された下地層と、
    前記下地層上に吐出されたカラーインクを放射線によって硬化させることによって形成されたカラー画像層と
    からなることを特徴とする、印刷物。
  9. 前記下地層には、前記混合物上に吐出されたインクであって白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方を含むインクを硬化させることによって形成された層が含まれていることを特徴とする、請求項8に記載の印刷物。
  10. 前記下地層には、前記混合物上に吐出されたインクであって白色インクまたはクリアインクの少なくとも一方を含むインクを硬化させることによって形成された層が複数含まれていることを特徴とする、請求項8に記載の印刷物。
  11. 前記基材は、絵画用のカンバスであることを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項に記載の印刷物。
  12. 白色インク、クリアインク、および複数のカラーインクを吐出することができるように構成された放射線硬化型インクジェット印刷装置であって、
    前記白色インクと前記クリアインクとを吐出するための第1のインク吐出部と、
    前記カラーインクを吐出するための第2のインク吐出部と、
    吐出されたインクを放射線によって硬化させるためのインク硬化部と
    を備え、
    前記第2のインク吐出部による前記カラーインクの吐出前に、前記第1のインク吐出部は、前記白色インクと前記クリアインクとを基材上に吐出し、かつ、前記インク硬化部は、前記第1のインク吐出部によって吐出された白色インクおよびクリアインクを放射線によって硬化させることを特徴とする、放射線硬化型インクジェット印刷装置。
  13. 前記第1のインク吐出部と前記第2のインク吐出部と前記インク硬化部とは、一列に配置され、かつ、一体的に前記基材の上方を移動できるように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の放射線硬化型インクジェット印刷装置。
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