JP2013536099A - 再書き込み可能な書き込み表面を有する物品並びにその製造方法及び使用方法 - Google Patents

再書き込み可能な書き込み表面を有する物品並びにその製造方法及び使用方法 Download PDF

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Abstract

表面と架橋又は化学的に反応する、親水性シラン又はヒドロキシル基を有する親水性水溶性ポリマーのコーティングを含む、再書き込み可能な書き込み表面を上部に有する物品。また、かかる物品の製造方法、及びかかる物品の使用方法。
【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第61/357,372号(2010年6月22日出願)及び米国仮出願第61/416,938号(2010年11月24日出願)の優先権を主張し、これらの全体を参考として組み込む。
(発明の分野)
本発明は、再書き込み可能な書き込み表面を有する物品、例えば、乾式消去ボード、ラベル、フォルダー(file folder)、インデックスラベル(filing tab)、仕切りカード(notebook divider)等に関する。
再書き込み可能な表面を有する物品は、多様な特徴の組み合わせを提供する様々な材料により作られている。一般的に認識される実施形態として、特定のラベル材、乾式消去物品、メモ用紙、再書き込み可能な見出し付きフォルダー等が挙げられる。
堅牢な耐久性、様々な条件下における様々な筆記用具での書き込みに対する受容性、及び良好な消去性を呈する、再書き込み可能な書き込み表面に対して引き続きニーズがある。
乾式消去物品は一例である。乾式消去物品に対する継続的な課題は、容易にきれいにでき、油性マーカーで書き込むときの染み耐性があり、従来の乾式消去マーカーで書き込むとき容易に消去でき、耐久性がある等の表面を見出すことである。ガラス表面及び磁器表面は、長年にわたり乾式消去物品の書き込み表面に使われているが、改善された性能が求められている。例えば、これらの非多孔性表面は、乾式消去マーカーで容易に書き込まれ、短時間、例えば約1日以内で容易に消去されるが、時間と共に書き込みがボードに接着し、乾式イレーザーによる拭い取りでは除去が困難に、又は更には不可能になる。乾式イレーザーで除去できない乾式消去書き込みは、一般にゴースト発生と呼ばれる。更に、油性マーカーはよく接着する傾向があり、容易に除去できない。このような書き込みは、多くの場合、イソプロパノールなどの溶媒でのみ除去できる。環境及びユーザーの安全性に対する懸念があるため、市場において溶媒系クリーナーは、水、界面活性剤、及び数パーセントの低揮発性有機溶媒を含有するクリーナーに置き換わっている。このようなクリーナーは、油性マーカーによる書き込みを乾式消去ボードから常に除去できるわけではない。清浄に関して同様の問題を有する他の一般的な乾式消去表面として、コーティングされたフィルム、メラミン、並びに塗装されたプラスチック及び鋼が挙げられる。
加えて、書き込み表面を有するその他物品における再書き込み性の改善が求められる。例えば、フォルダーは一般的に、フォルダーの内容を識別するためにユーザーによって書き込まれる見出しを有し、ハンギングフォルダー用見出し、ネームタグ(names,tags)、ノート表紙、引き出し、容器等も同様である。
このような物品に関する、未だに十分対処されていない継続的な課題は、書き込み表面が、望ましい性能を提供していない、すなわち、多様な(variety fo)望ましい筆記用具による書き込みに対応しない、希望するようにきれいに、かつ容易に消去されない、及び典型的には消去した際に品質低下傾向がある等である。改善された再書き込み性を呈する再書き込み可能な表面をその上に有する物品の提供について、継続的なニーズが存在する。
本発明は、再書き込み可能な書き込み表面を有する物品、かかる物品の製造方法、及びかかる物品の使用方法を提供する。本発明の物品の書き込み表面は、堅牢な耐久性、様々な条件下における様々な筆記用具での書き込みに対する受容性、及び良好な消去性を呈する。
要約すると、本発明の物品は、表面上に本明細書に記載のコーティングを有する再書き込み可能な書き込み表面、例えば、ラベル表面、乾式消去ボードの書き込み表面等を有する。コーティングは、表面に架橋する、つまり化学的に反応する、親水性シラン又は親水性酸性化ポリビニルアルコールポリマーを含む。驚くべきことに、このようなコーティングは、驚くほど良好な再書き込み性を呈する書き込み表面を提供することが発見された。
本発明の再書き込み可能な物品は、親水性コーティングでコーティングされた書き込み表面を有する。好ましくは、かかるコーティングは、親水性化合物の少なくとも単分子層を含む。また、本発明は、コーティングされた基材の製造(すなわち基材表面の処理)方法、及び書き込み基材からの書き込み除去、例えば乾式消去マーカー及び油性マーカーの除去方法などの方法も提供する。
一実施形態では、書き込み表面の処理方法が提供される。この方法は、親水性コーティング組成物を表面に塗布し、表面上の−OH基に結合させる工程を含み、その親水性コーティング組成物は、双性イオン、アニオン、カチオン、炭水化物、又は親水性ポリマー部分に結合されるアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を含む。この方法は更に、親水性コーティング組成物を乾燥させ、シロキサン結合を介して書き込み表面に結合される親水性化合物の少なくとも単分子層を含む親水性コーティングを形成する工程を含む。
別の実施形態では、書き込み表面を処理し、本発明の再書き込み可能特性をその表面に付与する方法が提供される。この方法は、親水性コーティング組成物を表面に塗布し、表面上の−OH基に結合させる工程であって、その親水性コーティング組成物は、双性イオン、アニオン、カチオン、炭水化物、又は親水性ポリマー部分に結合されるアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を含む。親水性コーティング組成物は更に、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせも含む。この方法は更に、親水性コーティング組成物を乾燥させ、シロキサン結合を介して書き込み表面に結合される親水性化合物の少なくとも単分子層を含む親水性コーティングを形成する工程を含む。
別の実施形態では、この方法は、プライマーコーティング組成物を表面に塗布して、表面上に−OH基を有するプライマー処理された表面を形成する工程と、表面上に−OH基を有するプライマー処理された表面を親水性コーティング組成物と接触させる工程であって、その親水性コーティング組成物が、双性イオン、アニオン、カチオン、炭水化物、又は親水性ポリマー部分に結合されるアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を含む工程と、を含む。特定の実施形態では、親水性コーティング組成物は更に、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、又はこれらの組み合わせも含む。この方法は更に、親水性コーティング組成物を乾燥させ、シロキサン結合を介してプライマーコーティングに結合された親水性化合物の少なくとも単分子層を含む親水性コーティングを形成する工程を含む。
更に別の実施形態では、この方法は、プライマーコーティング組成物を表面に塗布し、ナノ粒子を含むプライマー処理された表面を形成する工程と、プライマー処理された表面を親水性官能性のコーティング組成物と接触させる工程と、を含む。特定の実施形態では、親水性コーティング組成物は更に、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、又はこれらの組み合わせも含む。この方法は、親水性官能性のコーティング組成物を乾燥させ、シロキサン結合を介してプライマーコーティングに結合される親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む親水性官能性のコーティングを形成する工程を更に含む。
特定の実施形態では、プライマーコーティング組成物を書き込み表面に塗布する工程は、基材表面をナノ粒子含有コーティング組成物と接触させる工程を含む。このナノ粒子含有コーティング組成物は、5未満のpHを有し、40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子を含む水性分散液と、≦3.5のpKaを有する酸と、を含む。その方法は、ナノ粒子含有コーティング組成物を乾燥させ、基材表面上にシリカナノ粒子のプライマーコーティングを提供する工程を更に含む。特定の実施形態では、必要に応じて、ナノ粒子含有コーティング組成物はテトラアルコキシシランを更に含む。
一実施形態では、表面上に−OH基を生成するための、化学線、コロナ、フラッシュランプ、又は火炎処理などのエネルギーで書き込み表面を処理する方法が提供される。特定の実施形態では、表面は、ナノ粒子を含有するプライマーコーティング組成物で更に処理される。この方法は更に、親水性コーティング組成物を表面に塗布して表面上の−OH基に結合させる工程であって、親水性コーティング組成物が、双性イオン、アニオン、カチオン、炭水化物、又は親水性ポリマー部分に結合されるアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を含む、工程を含む。特定の実施形態では、必要に応じて、親水性コーティング組成物は、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、又はこれらの組み合わせを含む。方法は更に、ナノ粒子含有コーティング組成物を乾燥させ、基材表面上にシリカナノ粒子のプライマーコーティングを提供する工程を含む。
一実施形態では、本発明は、磁器、ガラス、塗装された金属又は有機高分子表面を含む基材を処理し、乾式消去及び油性マーカーの除去性を改善する方法を提供する。この方法は、表面を親水性官能性のコーティング組成物と接触させる工程であって、その親水性官能性のコーティング組成物が、親水性官能性の基、並びにアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を有する化合物を含む、工程と、その親水性官能性のコーティング組成物を乾燥させて親水性官能性のコーティングを形成する工程と、を含む。
親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介して基材表面に結合される親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。一実施形態では、親水性官能性の化合物は、アルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を有する双性イオンを含む。別の実施形態では、親水性官能性の化合物は、アルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を有する双性イオン、アニオン、カチオン、炭水化物、又は親水性ポリマーを含有する。任意に、必要に応じて、親水性官能性のコーティングは、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、又はこれらの組み合わせを含んでよい。
親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介して基材表面に結合される親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。
具体的には、一実施形態では、基材表面と、シロキサン結合を介してプライマーコーティングに結合される、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、又はこれらの組み合わせと混合されたスルホネート官能性双性イオン性コーティングと、を含むコーティングされた物品が提供される。
別の実施形態では、基材表面と、基材表面上に配置されるナノ粒子含有プライマーと、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合されるスルホネート官能性双性イオン性コーティングと、を含むコーティングされた物品が提供される。このナノ粒子含有プライマーは、40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子の凝集体を含み、かかる凝集体は、シリカナノ粒子の三次元多孔質ネットワークを含み、シリカナノ粒子は隣接するシリカナノ粒子に結合している。
コーティングされた物品の特定の実施形態では、基材表面として、磁器表面、ガラス表面、金属表面、塗装された金属表面、メラミン表面、及び有機高分子表面、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
コーティングされた物品の特定の実施形態では、親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合された親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。
コーティングされた物品の特定の実施形態では、ナノ粒子含有プライマーコーティングの厚さは10nm〜1,000nmである。コーティングされた物品の特定の実施形態では、親水性官能性のコーティングの厚さは10マイクロメートル以下であり、多くの場合1マイクロメートル未満である。コーティングの厚さは200nm未満であってよい。
本発明により、表面からの油性マーカー書き込みの除去方法も提供される。
表面からの油性マーカー書き込みの除去の一実施形態において、この方法は、乾式消去書き込み表面と、シロキサン結合を介して表面に結合されたケイ酸リチウムを含有するスルホネート官能性双性イオン性コーティングとを含むコーティングされた物品を入手する工程と、水で拭い取ることによって油性マーカー書き込みと、乾式消去マーカーによるゴーストとを親水性官能性の表面から除去する工程と、を含む。
表面からの油性マーカー書き込みの除去の一実施形態において、この方法は、表面上に配置されたプライマー(好ましくはナノ粒子含有プライマー)と、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合されたケイ酸リチウムを含有するスルホネート官能性双性イオン性コーティングとを含む乾式消去表面を含むコーティングされた物品を入手する工程と、水で拭い取ることにより油性マーカー書き込みと、乾式消去マーカーによるゴーストとを親水性官能性の表面から除去する工程と、を含む。
表面からの油性マーカー書き込みの除去の一実施形態において、この方法は、基材表面上に配置されたナノ粒子含有プライマーと、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合されたケイ酸リチウムを含有する親水性官能性の非双性イオン性コーティングとを含む乾式消去書き込み表面を含むコーティングされた物品を入手する工程と、水で拭い取ることによって親水性官能性の表面から油性マーカー書き込みを除去する工程と、を含む。
幾つかの実施形態では、油性マーカー書き込みと、乾式消去マーカーによるゴーストとを親水性官能性表面から除去する方法は、水及び/又は水蒸気を油性マーカー書き込みに適用する工程と、拭い取る工程と、を含む。幾つかの実施形態では、油性マーカー及び乾式消去マーカーによるゴーストは、WINDEX(商標)クリーナー(SC Johnson Co.(Racine,WI))などの水系ガラスクリーナーを適用し、拭い取ることにより除去される。
別の実施形態では、本開示は、親水性官能性の基と、アルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基とを含む双性イオン性化合物と、アルコール及び/又は水と、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせと、を含む、コーティング組成物を提供する。
別の実施形態では、本開示は、親水性官能性の基と、アルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基とを含む非双性イオン性化合物と、アルコール及び/又は水と、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせと、を含む、コーティング組成物を提供する。
本発明に従って、乾式消去ボード、接着剤付きラベル、フォルダー、容器カバー等として使用される再書き込み可能な表面を製造できる。有利には、本明細書に記載のコーティングは、選ばれた筆記用具(例えば、従来の乾式消去マーカー及び油性マーカー等)による良好な書き込み性、並びに、油性マーカー及び乾式消去マーカーによるゴーストなどのものの容易な清浄性を呈する。コーティングは、表面の乾式消去性を阻害せず、幾つかの実施形態では、実際に乾式消去マーカーを表面から容易に除去するようにする。
一実施形態では、乾式消去マーカー書き込みは、コーティングされていない元の表面と同様に、又はより良好に、再書き込み可能なコーティングされた物品から除去される。
別の実施形態では、乾式消去性に乏しい高分子フィルムに親水性コーティングを適用する。プライマー及び親水性コーティングの適用後、フィルムは改善された乾式消去性を有する。
別の実施形態では、本発明は、表面又はプライマー処理された表面への共有結合の親水性コーティングにより、耐久性がある再書き込み可能なコーティングされた物品を提供する。共有結合されたコーティングは、水、水系ガラスクリーナー、湿式ペーパータオル、乾式ペーパータオル、及び乾式消去マーカーによる除去に対して耐性がある。
一実施形態では、親水性コーティングは、ヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーを含む。コーティング組成物はpH≦3.5に酸性化され、次いで高分子フィルム上にコーティングされる。コーティングされたフィルムは、縮合反応によりポリマーを架橋し、ポリマーを非水溶性にするのに十分な温度で乾燥される。その物品に適用された油性マーカー書き込みは、水又は市販のガラスクリーナーで除去できる。このコーティングされた物品は、再書き込み可能なラベルとして有用である。
別の実施形態では、高分子フィルム表面と、基材表面上に配置されるナノ粒子含有プライマーと、ナノ粒子含有プライマー上にコーティングされたヒドロキシル基を有する酸性化親水性水溶性ポリマーと、を含むコーティングされた物品が提供される。このナノ粒子含有プライマーは、40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子の凝集体を含み、かかる凝集体は、シリカナノ粒子の三次元多孔質ネットワークを含み、シリカナノ粒子は隣接するシリカナノ粒子に結合している。ポリマーを架橋させるのに十分な時間及び温度で酸性化親水性で水溶性ポリマーを乾燥し、そのポリマーを非水溶性にする。加えて、ポリマーは縮合反応によりシリカナノ粒子と反応できる。
幾つかの実施形態では、ヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーはポリビニルアルコールである。最大約120,000の重量平均分子量を有する好適なPVAが市販されている。別の実施形態では、水溶性ポリマーはヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシルエチルセルロースである。
定義
「含む」なる用語及びその変化形は、これらの用語が説明文及び「特許請求の範囲」において用いられている場合に限定的な意味を有するものではない。
「好ましい」及び「好ましくは」なる語は、特定の状況下で特定の効果をもたらしうる本発明の実施形態のことを指して言う。しかしながら、同じ、又は他の状況下において他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを目的とするものではない。
本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1以上の」は、互換可能に使用される。
特にその内容に明示されない限り、本明細書で使用する場合の用語「又は」は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられる。用語「及び/又は」は、列挙されている要素の1つ又は全て、あるいは、列挙されている要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
本明細書で使用する場合の全ての数字は、用語「約」、及び好ましくは用語「正確に」によって修飾されると見なされる。本発明の広い範囲を示している数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例で示している数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値はそれらの試験測定値における標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本来的に含むものである。
また、本明細書における端点による数の範囲の記載には、その範囲に含まれる全ての数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、などが含まれる)。
用語「の範囲」又は「の範囲内」(及び類似の記載)は、その記載された範囲の終点を含む。
本明細書において開示されている代替要素又は実施形態のグループ化は、制限として解釈されるべきものではない。群の各構成員は、個別に参照され請求されるか、又は基の他の構成員若しくは本明細書に記載される他の要素との任意の組み合わせで参照され請求され得る。群の1つ以上の構成員は、便宜上及び/又は特許資格の理由から、1つの群に含まれてよく、あるいは1つの群から削除されてもよいことが想定される。そのような包含又は削除が生じた場合、本明細書における仕様は、改変された群を含むものと見なされ、これにより、添付の請求項に使用されるマーカッシュ群全ての記載された説明を充足する。
ある基が本明細書で記載した式中に2回以上存在するとき、各基は特に記載しようとしまいと、「独立して」選択される。例えば、式中に2つ以上のY基が存在するとき、各Y基は独立して選択される。更に、これらの基の中に含まれるサブグループも独立して選択される。例えば、各Y基がRを含むとき、各Rも独立して選択される。
本明細書で使用する場合の以下の用語は、記載の意味を有する。「有機基」は、脂肪族基、環状基、又は脂肪族及び環状基の組み合わせ(例えば、アルカリル基及びアラルキル基)に分類される炭化水素基(炭素及び水素以外の任意の元素、例えば酸素、窒素、イオウ、及びケイ素を含む)を意味し、本発明の文脈において、有機基は拭き取り乾式消去及び油性マーカー表面の形成の邪魔にならないものであり、「脂肪族基」は飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味し、この用語を用いてアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を包含し、例えば「アルキル基」は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル等を含む飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味し、「アルキレン基」は二価のアルキル基であり、「アルケニル基」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばビニル基を意味し、「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味し、「環状基」は、脂環式基、芳香族基、又は複素環式基に分類される閉環炭化水素基を意味し、「脂環式基」は、脂肪族基と類似する特性を有する環状炭化水素基を意味し、「芳香族基」又は「アリール基」は単環式又は多環式の芳香族炭化水素基を意味し、「複素環式基」は、環中の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、イオウ等)である閉環炭化水素を意味する。同じであっても異なってもよい基は、「独立して」何かであると称される。
本発明の複合体の有機基上において、置換が予想される。本出願を通して使用される特定の専門用語の議論及び詳細説明を単純化する手段として、用語「基」及び「部分」は、置換され得る又は置換されていてもよい化学種と、置換され得ない又は置換されていなくてもよい化学種とを区別するために使用される。したがって、用語「基」を化学置換基を説明するために使用するとき、説明される化学物質は、非置換基、並びに例えば鎖中(アルコキシ基中のように)に、例えばO、N、Si又はS原子を有する基、及びカルボニル基又は他の従来の置換を含む。用語「部分」を化学化合物又は置換基を説明するために使用するとき、非置換化学物質だけを包含することを意図する。例えば、語句「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等のような純開環飽和炭化水素アルキル置換基だけではなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ等のような、当該技術分野において既知である置換基を更に有するアルキル置換基も含むことを意図する。したがって、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル等を含む。他方、語句「アルキル部分」は、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等のような純開環飽和炭化水素アルキル置換基のみの包含に限定される。
用語「一次粒径」は、凝集していない1個のシリカ粒子の平均径のことを指す。
本明細書で使用するとき「親水性」は、水溶液により湿潤される表面を指すために用いられ、層が水溶液を吸収するかどうかを表さない。水又は水溶液の液滴が50°未満の静的水接触角を示す表面を「親水性」と呼ぶ。疎水性基材は、50°以上の水接触角を有する。
本明細書で使用する場合の「親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層」は、例えば、(1)表面又は基材の表面上のプライマーに(シロキサン結合を介して)共有結合される単分子層又はそれ以上の厚さの層の分子であって、親水性官能性の化合物由来である分子、及び(2)表面又は基材の表面上のプライマーに共有結合される単分子層又はそれ以上の厚さの層の水溶性ポリマーを含む。親水性官能性の化合物が各分子の二量体、三量体、又はその他オリゴマーを含む場合、「少なくとも単分子層」は、このような二量体、三量体、若しくはその他オリゴマー、又はかかるオリゴマーとモノマーとの混合物の単分子層を含む。
本明細書で使用する場合の用語「乾式消去ボード」として、ガラス、磁器、鋼、塗装された鋼、塗装された金属、塗装された板紙、メラミン、コーティングされたフィルム、コーティングされた紙、コーティングされた繊維板シート、及び現在の商業上既知の他の乾式消去表面などの既知の乾式消去表面が挙げられる。
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示する各実施形態又はあらゆる実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明は、実例となる実施形態をより詳細に例示するものである。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組合せにおいて使用できる。それぞれの場合において記載される一覧はあくまで代表的な群として与えられるものであって、排他的な羅列として解釈されるべきものではない。
本発明は、再書き込み可能な書き込み表面を有する物品を目的とする。当然のことながら、本発明の物品は、所望の用途に応じて様々な形態で製造できる。実例として、乾式消去物品、フォルダー(例えば、上表面に本発明の書き込み表面を備える見出しを有する)、ラベル、ネームタグ、ノート(例えば、表紙が本発明の再書き込み可能な書き込み表面を有する)、ハンギングフォルダー用見出し、容器の内容ラベル、備品上の情報を伝える説明文、ドア、収納ユニット等が挙げられる。
本発明は、乾式消去ボードなどの物品で特に有用である。本明細書に記載の親水性コーティングをガラス基材及び磁器基材に適用すると、意外にも乾式消去物品の書き込み表面としての性能が改善されることがわかっている。本発明の乾式消去物品の書き込み表面は、従来の乾式消去マーカーでの優れた書き込み性を呈するにもかかわらず、水と布又はペーパータオルを用いて、その表面から油性マーカーの書き込み及び乾式消去マーカーによるゴーストを容易に除去できる。溶媒又は道具を使う必要はない。その結果、本発明の乾式消去物品は、これまで達成されていなかった有用性及び耐久性を提供する。加えて、フィルムに適用された親水性コーティングは、ボード又はラベルとして使用できる再書き込み可能な表面をもたらす。この表面は油性マーカー書き込みに対応し、その書き込みは後に水又は市販のガラスクリーナーで除去できる。要約すると、本発明の再書き込み可能な物品の実例は、ガラス、磁器、塗装された鋼、メラミン又はフィルムを含み、本明細書に記載のコーティングを有する書き込み表面を備える。加えて、本発明の乾式消去物品は、フレーム、材料及び用具、例えば筆記用具、イレーザー、布、メモ用紙等の保管手段、運搬用の取っ手、保護カバー、垂直表面への吊り下げ手段、イーゼル等などの任意要素を更に含んでよい。
実例としては更に、本明細書に記載のコーティングを有する可撓性基材、例えばフィルム、紙、コーティングされた紙、又は紙フィルム積層体を含むラベル表面も含まれる。本発明のラベル物品は、基材の裏側の接着剤コーティング、剥離ライナー、及び個々の所望の寸法のラベルが使用できるようにアセンブリ中のダイカットパターンを更に含んでよい。
重要であるのは、水又は水系ガラスクリーナーを最初に塗布して拭い取ることにより、油性マーカー書き込み及び乾式消去マーカーによるゴーストが、本発明の親水性官能性のコーティングから容易に除去できることである。水系ガラスクリーナーは、界面活性剤又は界面活性剤の混合物を含有してよい。界面活性剤は、当該技術分野において既知のカチオン性、アニオン性若しくは/及び非イオン性のもの、又は混合物であってよい。典型的には、本発明の方法は、水(例えば室温の水道水)及び/又は水系ガラスクリーナーを単に適用し、かつ拭い取ることによって、油性マーカー書き込み及び乾式消去マーカーによるゴーストを親水性官能性の表面から除去する工程を含む。本明細書において「拭い取り」は、典型的には手により、例えば、ティッシュ、ペーパータオル、又は布を用いて、高い圧をかけずに(例えば、通常は800グラム以下)、1回以上の往復又は摩擦(典型的には、ほんの数回を必要とする)で優しく拭い取ることを意味する。
具体的には、一実施形態では、基材表面と、基材表面上に配置されるプライマー(好ましくはナノ粒子含有プライマー)と、プライマー処理された表面上に配置される親水性官能性のコーティングと、を含むコーティングされた物品が提供される。
親水性官能性のコーティングは、好ましくは単分子層厚さで適用されるが、10マイクロメートルの厚さであってよい。親水性官能性のコーティングの好ましい厚さは200〜1000nmである。プライマーコーティングは、好ましくは10nm〜1,000nmの厚さ範囲内であり、多くは50nm〜250nmの厚さである。
シロキサン(Si−O−Si)結合は、直接基材表面に対しても、又はその上のプライマーコーティングに対しても、親水性官能性基を表面に化学的に結合するのに用いられる。好ましくは、各表面の親水性基に対して3つのシロキサン結合が存在することにより、1つ又は2つのシロキサン結合が形成される場合よりも、化学結合が比較的安定する。
1つの特定の実施形態では、コーティングされた物品は、基材表面と、基材表面上に配置されたナノ粒子含有プライマーと、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合された親水性官能性のコーティングと、を含む。このナノ粒子含有プライマーは、40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子の凝集体を含み、かかる凝集体は、シリカナノ粒子の三次元多孔質ネットワークを含み、シリカナノ粒子は隣接するシリカナノ粒子に結合している。プライマー中のシリカナノ粒子は、実質的に均一な寸法の単分散粒子であってよく、又は様々な寸法のナノ粒子の混合物であってよい。
一実施形態では、基材表面の処理方法が提供される。この方法は、プライマーコーティング組成物を書き込み表面に塗布して上にプラーマ処理され−OH基を有する表面を形成する工程と、プライマー処理され−OH基を有する表面に親水性官能性のコーティング組成物を接触させる工程であって、その親水性官能性のコーティング組成物が、親水性官能性の基並びにアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を有する有機化合物を含む工程と、を含む。この方法は更に、親水性官能性のコーティング組成物を乾燥させ、シロキサン結合を介してプライマーコーティングに結合した親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む親水性官能性のコーティングを形成する工程であって、乾式消去マーカー及び油性マーカーが、その乾燥した親水性官能性のコーティングから拭い取りにより、又は好ましくは水及び/又は水系ガラスクリーナーを適用した拭い取りにより、除去可能である、工程を含む。特定の実施形態では、親水性官能性の有機化合物は双性イオン性化合物であり、特定の実施形態では、非双性イオン性化合物である。特定の実施形態では、親水性官能性のコーティング組成物は、テトラアルコキシシラン、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせを含む。
本発明の親水性官能性のコーティング組成物は、例えば、ガラス表面、磁器表面、金属表面、有機高分子表面、又はこれらの組み合わせなどの様々な基材表面上で用いることができる。この方法は、ガラス、金属又は有機高分子表面を親水性官能性のコーティング組成物と接触させる工程であって、その親水性官能性のコーティング組成物が、親水性官能性の基並びにアルコキシシラン基及び/又はシラノール官能基を有する有機化合物を含む工程と、親水性官能性のコーティング組成物を乾燥させて親水性官能性のコーティングを形成する工程と、を含む。親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介して基材表面に結合された親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。特定の実施形態では、親水性官能性の有機化合物は双性イオン性化合物であり、特定の実施形態では、非双性イオン性化合物である。
有利には、油性マーカー書き込み及び乾式消去マーカーによるゴーストは、水及び/又は水系ガラスクリーナーを適用した拭い取りにより、乾燥した親水性官能性のコーティングから除去可能である。
したがって、本発明の方法を用いて、様々な種類の基材の表面上の親水性物品を作製し、これにより「拭き取り書き込み表面」を提供できる。かかる表面は、親水性官能性のコーティングをその上に有するものであり、その表面は、従来の乾式消去マーキングが乾式イレーザを用いてきれいにでき(can be cleaned of)、かつ油性マーキングが水又は市販のガラスクリーナーを表面に適用し、続いて布、ペーパータオル、ティッシュ等で優しく拭い取ることによってきれいにできる。
コーティングされた物品の特定の実施形態では、親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介して基材表面に結合された親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。特定の実施形態では、親水性官能性のコーティング組成物は更に、テトラアルコキシシラン、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせを含む。コーティングされた物品の特定の実施形態では、親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介してプライマーに結合された親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。コーティングされた物品の特定の実施形態では、親水性官能性のコーティングは、シロキサン結合を介してナノ粒子含有プライマーに結合された親水性官能性の化合物の少なくとも単分子層を含む。本発明はまた、本発明の方法で作製される親水性物品も提供する。
親水性官能性のコーティング
親水性官能性のコーティングを親水性官能性の化合物から調製できる。これらの化合物は、基材表面に結合するためにアルコキシシラン官能基及び/又はシラノール官能基を有する。これらはまた、基材表面を親水性にするための親水性基も含む。
特定の実施形態では、親水性含有化合物は双性イオン性であり、特定の実施形態では、非双性イオン性である。
例として、米国特許第4,152,165号(Langagerら)及び同第4,338,377号(Beckら)に開示されるものなどの非双性イオン性スルホネート−有機シラノール化合物が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の溶液及び組成物中で用いられる非双性イオン性スルホネート−有機シラノール化合物は、次式(I)を有する。
[(MO)(Q)Si(XCHSO 3−n]Y2/nr +r (I)
(式中、
各Qは、ヒドロキシル、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基から独立してに選択され、
Mは、水素、アルカリ金属、及び平均分子量150未満かつpKa 11超の強有機塩基の有機カチオンから選択され、
Xは有機連結基であり、
Yは、水素、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウムなど)、平均分子量200未満かつpKa 11未満のプロトン化弱塩基(例えば、4−アミノピリジン、2−メトキシエチルアミン、ベンジルアミン、2,4−ジメチルイミダゾール、3−[2−エトキシ(2−エトキシエトキシ)]プロピルアミン)の有機カチオン、アルカリ金属、及び平均分子量150未満かつpKa 11超の強有機塩基(例えば、N(CHN(CHCH)の有機カチオンから選択され、ただしYが水素、アルカリ土類金属、及びかかるプロトン化弱塩基の有機カチオンのときにはMは水素であり、
rはYの価数に等しく、
nは1又は2である。)
好ましくは、式(I)の非双性イオン性化合物はアルコキシシラン化合物である(例えば、Qが1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基)。
これら式(I)の化合物中の酸素の重量パーセントは、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%である。最も好ましくは酸素の重量パーセントは45%〜55%の範囲内である。これらの化合物中のケイ素の重量パーセントは15%以下である。これらのパーセントはそれぞれ、水を含まない酸性型の化合物の重量に基づく。
式(I)の有機連結基Xは、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル置換シクロアルキレン基、ヒドロキシ置換アルキレン基、ヒドロキシ置換モノオキサアルキレン基、モノオキサ主鎖置換を有する二価の炭化水素基、モノチア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、モノオキサ−チア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、ジオキソ−チア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基、及び置換アルキルアリーレン基から選択される。最も好ましくは、Xは、アルキレン基、ヒドロキシ置換アルキレン基、及びヒドロキシ置換モノオキサアルキレン基から選択される。
式(I)の非双性イオン性化合物の好適な例は、米国特許第4,152,165号(Langagerら)及び同第4,338,377号(Beckら)に記載されており、例えば以下のものが挙げられる。
(HO)Si−CHCHCH−O−CH−CH(OH)−CHSO
(HO)Si−CHCH(OH)−CHSO
(HO)Si−CHCHCHSO
(HO)Si−C−CHCHSO
(HO)Si−[CHCHSO
(HO)−Si(CH−CHCHSO
(NaO)(HO)Si−CHCHCH−O−CH−CH(OH)−CHSO Na、及び
(HO)Si−CHCHSO
双性イオン性スルホネート−官能性化合物の例として、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)、並びに国際公開WO 2007/146680及び同WO 2009/119690に開示されるものが挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の溶液及び組成物中で用いられる双性イオン性スルホネート−有機シラノール化合物は、次式(II)を有する。
(RO)−Si(R−W−N(R)(R)−(CH−SO (II)
(式中、
各Rは独立して水素、メチル基、又はエチル基であり、
各Rは独立してメチル基又はエチル基であり、
各R及びRは独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の有機基であり、これらは互いに、任意に基Wの原子と結合して環を形成してよく、
Wは有機連結基であり、
p及びmは1〜3の整数であり、
qは0又は1であり、
p+qは3である。)
式(II)の有機連結基Wは、好ましくは飽和又は不飽和の、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の有機基から選択される。連結基Wは好ましくはアルキレン基であり、カルボニル基、ウレタン基、尿素基、酸素、窒素、及び硫黄などのヘテロ原子、並びにこれらの組み合わせを含んでよい。好適な連結基Wの例として、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキル置換シクロアルキレン基、ヒドロキシ置換アルキレン基、ヒドロキシ置換モノオキサアルキレン基、モノオキサ主鎖置換を有する二価の炭化水素基、モノチア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、モノオキソ−チア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、ジオキソ−チア主鎖置換を有する二価の炭化水素基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基、及び置換アルキルアリーレン基が挙げられる。
式(II)の双性イオン性化合物の好適な例は、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)並びに国際公開WO 2007/146680及び同WO 2009/119690に記載されており、次の双性イオン性官能基(−W−N(R)(R)−(CH−SO )が挙げられる。
Figure 2013536099
特定の実施形態では、本発明の溶液及び組成物中で用いられるスルホネート−有機シラノール化合物は、次式(III)を有する。
(RO)−Si(R−CHCHCH−N(CH−(CH−SO (III)
(式中、
各Rは独立して水素、メチル基、又はエチル基であり、
各Rは独立してにメチル基又はエチル基であり、
p及びmは1〜3の整数であり、
qは0又は1であり、
p+qは3である。)
式(III)の双性イオン性化合物の好適な例は、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)に記載されており、例えば以下のものが挙げられる。
(CHO)Si−CHCHCH−N(CH−CHCHCH−SO 、及び
(CHCHO)Si(CH)−CHCHCH−N(CH−CHCHCH−SO
実施例の項で例示する標準的技法を用いて製造可能な好適な双性イオン性化合物のその他の例として、以下のものが挙げられる。
Figure 2013536099
シランに好適なその他の親水性官能性基として、ホスホネート、カルボキシレート、グルコンアミド、糖、ポリビニルアルコール、及び四級アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のコーティング組成物及びコーティングの調製に用いる好適な親水性官能性の化合物の好ましい例は、実施例の項に記載される。
親水性官能性のコーティング組成物は、典型的には親水性官能性の化合物を、コーティング組成物の総重量に基づき少なくとも0.1重量%、多くの場合少なくとも1重量%の量で含む。親水性官能性のコーティング組成物は、典型的には親水性官能性の化合物を、コーティング組成物の総重量に基づき20重量%以下、多くの場合5重量%以下の量で含む。一般に単分子層コーティングの厚さに対しては、相対的に希釈されたコーティング組成物が用いられる。別の方法としては、相対的に濃縮されたコーティング組成物を用いて、その後すすぎ洗いしてもよい。
親水性官能性のコーティング組成物は、好ましくはアルコール、水、又はヒドロアルコール性溶液(すなわちアルコール及び/又は水)を含む。典型的には、かかるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール(例えば、C〜Cのアルコール、より典型的にはC〜Cのアルコール)である。好ましくは、親水性官能性のコーティング組成物は水溶液である。本明細書で用いられるとき、用語「水溶液」は水を含有する溶液を意味する。このような溶液は、水を唯一の溶媒として使用してよく、又はアルコールとアセトンなど、水と有機溶媒の組み合わせを使用してもよい。また、凍結融解安定性を向上するために、親水処理用組成物に有機溶媒を含めてもよい。典型的には、溶媒は、組成物の最大50重量%、好ましくは組成物の5〜50重量%の範囲の量で存在する。
親水性官能性のコーティング組成物は、酸性、塩基性、又は中性であってよい。コーティングの耐久性能は、pHの影響を受け得る。例えば、スルホネート官能性双性イオン性化合物を含有するコーティング組成物は、好ましくは中性である。
親水性官能性のコーティング組成物は、様々な粘度で提供されてよい。したがって、例えば粘度は、水様の低いものから、ペースト様の高いものまで可変であり得る。また、ゲル形態で提供されてもよい。更に、様々なその他の成分を組成物に組み込んでもよい。
したがって、例えば、従来の界面活性剤、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤を用いることができる。洗剤及び湿潤剤もまた使用できる。典型的には、以下のプライマー組成物について記載したもののような、アニオン性界面活性剤、洗剤、及び湿潤剤も、本発明の親水性官能性のコーティング組成物に有用である。
特定の実施形態では、親水性官能性のコーティング組成物は、耐久性の向上をもたらし得る、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラエチルオルトシリケート(「TEOS」))、そのオリゴマー、例えばアルキルポリシリケート(例えば、ポリ(ジエトキシシロキサン))、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせを更に含む。カップリング剤は、存在するとき、典型的には、コーティング組成物の0.1〜20重量パーセント、より好ましくはコーティング組成物の約1〜15重量パーセントの濃度で組成物に添加される。任意に、硝酸などの強酸を加え、pHを約2にしてよい。
親水性官能性のコーティング組成物は、バー、ロール、カーテン、輪転グラビア、スプレー、ワイプ又はディップのコーティング技術等の従来の技術を用いて物品上にコーティングされることが好ましい。好ましい方法としては、スプレー、バー及びロールコーティングが挙げられる。
本発明の親水性官能性のコーティングは、必要に応じて基材の両表面にコーティングされてよい。別の方法としては、本発明のコーティングは、基材の片側にコーティングされ得る。一旦コーティングされると、親水性官能性の物品は典型的には再循環オーブン内にて30℃〜200℃の温度で乾燥される。不活性ガスが循環してもよい。乾燥プロセスを加速させるために更に温度を上げてもよいが、基材への損傷を避けるために注意を払わなければならない。乾燥により、親水性コーティングと基材の表面上の−OH基との間の縮合反応が推進される。
親水性ポリマーコーティング
本発明の特定の実施形態では、再書き込み可能なラベル、フォルダー、容器等の製造のため、親水性ポリマーコーティングを高分子基材に適用する。
親水性ポリマーコーティングは、ヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーから調製できる。これらのポリマー上のヒドロキシル基は酸の存在下で縮合し、非水溶性コーティングを形成できる。ヒドロキシル基は、シリカナノ粒子プライマー上のシラノール基とも反応できる。
ヒドロキシ基を有する好適な親水性ポリマーとして、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
親水性ポリマーコーティング組成物は、典型的には親水性ポリマーを、コーティング組成物の総重量に基づき少なくとも0.1重量%、多くの場合に少なくとも1重量%の量で含む。親水性官能性のコーティング組成物は、典型的には親水性ポリマー化合物を、コーティング組成物の総重量に基づき20重量%以下、多くの場合に5重量%以下の量で含む。一般に単分子層コーティングの厚さに対しては、相対的に希釈されたコーティング組成物が用いられる。別の方法としては、相対的に濃縮されたコーティング組成物を用いて、その後すすぎ洗いしてよい。
親水性ポリマーコーティング組成物は、好ましくはアルコール、水、又はヒドロアルコール性溶液(すなわちアルコール及び/又は水)を含む。典型的には、かかるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノールなどの低級アルコール(例えば、C〜Cのアルコール、より典型的にはC〜Cのアルコール)である。好ましくは、親水性ポリマーコーティング組成物は水溶液である。本明細書で用いられるとき、用語「水溶液」は水を含有する溶液を意味する。このような溶液は、水を唯一の溶媒として使用してよく、又はアルコール及びアセトンなどの有機溶媒と水との組み合わせを使用してもよい。また、凍結融解安定性を向上するために、親水処理用組成物に有機溶媒を含めてもよい。典型的には、溶媒は、組成物の最大50重量%、好ましくは組成物の5〜50重量%の範囲の量で存在する。
親水性ポリマーコーティング組成物は、架橋を促進し、コーティングをより耐久性にするために、pH≦3.5に酸性化される。有用な酸としては、有機酸及び無機酸の両方が挙げられ、シュウ酸、クエン酸、HSO、HPO、CFCOH、HCl、HBr、HI、HBrO、HNO、HClO、HSO、CHSOH、CFSOH、CFCOH、及びCHSOOHを例示することができる。最も好ましい酸としては、HCl、HNO、及びHPOが挙げられる。
親水性ポリマーコーティング組成物は、様々な粘度で提供されてよい。したがって、例えば粘度は、水様の低いものから、ペースト様の高いものまで可変であり得る。また、親水性ポリマーコーティング組成物はゲル形態で提供されてもよい。更に、様々なその他の成分を組成物に組み込んでもよい。したがって、例えば、従来の界面活性剤、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤を用いることができる。洗剤及び湿潤剤もまた使用できる。典型的には、下記のプライマー組成物について記載したもののような、アニオン性界面活性剤、洗剤、及び湿潤剤も、本発明の親水性ポリマーコーティング組成物に有用である。
特定の実施形態では、親水性ポリマーコーティング組成物は更に、耐久性の向上をもたらし得るテトラアルコキシシラン(例えば、テトラエチルオルトシリケート(「TEOS」))、そのオリゴマー、例えばアルキルポリシリケート(例えば、ポリ(ジエトキシシロキサン))、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせを含む。カップリング剤は、存在するとき、典型的には、コーティング組成物の0.1〜20重量%、より好ましくはコーティング組成物の約1〜15重量%の濃度で組成物に添加される。任意に、硝酸などの強酸を加え、pHを約2にしてよい。
親水性ポリマーコーティング組成物は、バー、ロール、カーテン、輪転グラビア、スプレー、ワイプ又はディップコーティング技術等の従来の技術を用いて物品上にコーティングされることが好ましい。好ましい方法としては、スプレー、バー及びロールコーティングが挙げられる。
本発明の親水性ポリマーコーティングは、必要に応じて基材の両表面にコーティングされてよい。別の方法としては、本発明のコーティングは、基材の片側にコーティングされ得る。一旦コーティングされると、親水性ポリマー物品は典型的には再循環オーブン内にて30℃〜200℃の温度で乾燥される。不活性ガスが循環してもよい。乾燥プロセスを加速させるために更に温度を上げてもよいが、基材への損傷を避けるために注意を払わなければならない。乾燥により、親水性コーティングと基材の表面上の−OH基との間の縮合反応が推進される。
プライマーコーティング
本発明の特定の実施形態では、基材表面上にプライマーコーティングが形成される。かかるプライマーコーティングは、基材表面上に−OH基を提供する。好ましくは、このようなプライマーコーティングは、基材表面上にコーティングされ、乾燥されるナノ粒子含有コーティング組成物から形成される。
その他のプライマー組成物又はプロセスを用いて−OH基を提供してよい。かかる組成物の例としては、テトラアルコキシシラン、そのオリゴマー、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、本発明に記載される表面は、従来の蒸着、つまり気相堆積プロセスにより表面改質され、米国特許第4,338,377号(Beckら)に記載されるSiO又はSiOの薄層プライマーを形成することができる。基材の表面改質には、アルコキシシランの蒸着、つまり気相堆積も含まれ得る。以下の議論においてはナノ粒子含有プライマーコーティングに注目するが、記載される様々な特徴(例えば、コーティング厚さ)は、他のプライマーコーティングに応用される。
特定の実施形態では、ナノ粒子含有プライマーコーティング組成物は、5未満のpHを有し、40ナノメートル以下の平均粒径を有するシリカナノ粒子を含む水性分散液と、≦3.5のpKa(好ましくは<2.5、最も好ましくは1未満)を有する酸と、を含む。
これらの酸性化シリカナノ粒子プライマーコーティング組成物は、有機溶媒又は界面活性剤のいずれも用いることなしに、疎水性有機基材及び無機基材上に直接コーティングすることができる。ポリエチレンテレフタレート(「PET」)又はポリカーボネート(「PC」)等の疎水性表面上におけるこれらの無機ナノ粒子水性分散液の湿潤特性は、分散液のpHと酸のpKaとの関数である。プライマーコーティング組成物は、pH=2〜3に、更には幾つかの実施形態では5に、HClで酸性化されると、疎水性有機基材上にコーティング可能である。対照的に、中性又は塩基性pHでは、プライマーコーティング組成物は有機基材上で玉になって付着する。
このプライマー組成物で用いられるシリカナノ粒子は、水中又は水/有機溶媒混合液中のサブミクロンサイズのシリカナノ粒子の分散液である。一般的に、シリカナノ粒子は、40ナノメートル以下、好ましくは20ナノメートル以下、より好ましくは10ナノメートル以下の一次粒子平均粒径を有する。平均粒径は、透過電子顕微鏡を用いて測定することができる。本発明に記載されるナノシリカは、球状であっても非球状であってもよい。シリカナノ粒子は、表面改質されていないことが好ましい。
20ナノメートル以下のこれらのより小さなナノ粒子は、一般的に、酸性化されると、テトラアルコキシシラン、界面活性剤、又は有機溶媒等の添加剤を必要とせずに、優れたプライマーコーティングを提供する。更に、ナノ粒子が一般に有する表面積は、150m/gを超え、好ましくは200m/gを超え、より好ましくは400m/gを超える。粒子は好ましくは、狭い粒度分布、すなわち2.0以下、好ましくは1.5以下の多分散度(すなわち粒径分布)を有する。必要に応じて、選択された基材上における組成物の被覆性を有害に低下させることなく、かつ親水性を低下させることのない量で、より大きなシリカ粒子を添加してもよい。
水性媒体中の無機シリカゾルは、当該技術分野において周知であり、市販されている。水又は水−アルコール溶液中のシリカゾルは、LUDOX(E.I.duPont de Nemours and Co.,Inc.(Wilmington,DE))、NYACOL(Nyacol Co.(Ashland,MA))、又はNALCO(Ondea Nalco Chemical Co.(Oak Brook,IL))などの商標名で市販されている。有用なシリカゾルの1つとして、平均粒径が5ナノメートル、pH 10.5、及び固形分が15重量%のシリカゾルであるNALCO(商標)2326がある。本発明で用いるのに好適な他の市販シリカナノ粒子として、NALCO Chemical Co.のNALCO(商標)1115及びNALCO(商標)1130、Remet Corp.のREMASOL(商標)SP30、並びにE.I.Du Pont de Nemours Co.,Inc.のLUDOX SM、並びにNissan Chemical CoのSNOWTEX(商標)ST−OUP、SNOWTEX(商標)ST−UP、SNOWTEX(商標)ST−PS−S、並びにSilco International Inc.のLi518が挙げられる。
非水性シリカゾル(シリカオルガノゾルとも呼ばれる)を使用することも可能であり、これは液相が有機溶媒又は水性有機溶媒であるシリカゾル分散液である。本発明の実施においては、シリカゾルはその液相が典型的には水性溶媒又は水性有機溶媒であるように選択される。しかし、ナトリウム安定化シリカナノ粒子は、エタノール等の有機溶媒で希釈する前に先ず酸性化する必要があると分かっている。酸性化前に希釈すると、質の劣った又は不均一なコーティングが生じる可能性がある。アンモニウム安定化シリカナノ粒子は、一般的に、いずれの順序で希釈及び酸性化してもよい。
プライマーコーティング組成物は、それぞれpKa(HO)が≦3.5、好ましくは<2.5、最も好ましくは1未満の酸又は酸の組み合わせを含有する。有用な酸としては、有機酸及び無機酸の両方が挙げられ、シュウ酸、クエン酸、HSO、HPO、CFCOH、HCl、HBr、HI、HBrO、HNO、HClO、HSO、CHSOH、CFSOH、CFCOH、及びCHSOOHを例示することができる。最も好ましい酸としては、HCl、HNO、及びHPOが挙げられる。幾つかの実施形態では、有機酸と無機酸との混合物を提供することが望ましい。幾つかの実施形態では、≦3.5(好ましくは<2.5、最も好ましくは1未満)のpKaを有する酸と、任意に>0のpKaを有する少量の他の酸とを含む酸の混合物を用いてよい。酢酸等の>4のpKaを有する弱酸は、透過率、清浄性、及び/又は耐久性の望ましい特性を有する均一なコーティングを提供しないことが見出されている。具体的には、酢酸等の弱酸を含むプライマーコーティング組成物は、典型的には、基材の表面上で玉になって付着する。
プライマーコーティング組成物は、一般的に、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満のpHをもたらすのに十分な酸を含有する。幾つかの実施形態では、コーティング組成物のpHは、pHを5未満に低下させた後、pH 5〜6に調整し得ることが見出されている。これにより、pH感受性の高い基材をコーティングすることが可能になる。
テトラアルコキシカップリング剤、特にテトラアルコキシシラン、例えばテトラエチルオルトシリケート(「TEOS」)、及びテトラアルコキシシランのオリゴマー形態、例えばアルキルポリシリケート(例えば、ポリ(ジエトキシシロキサン))も、シリカナノ粒子間の結合を改善するために有用である場合がある。カップリング剤の最適量は、実験的に決定され、カップリング剤の固有性、分子量、及び屈折率に依存する。カップリング剤は、存在するとき、典型的には、シリカナノ粒子の0.1〜50重量パーセント(wt−%)、より好ましくはシリカナノ粒子の1〜15重量パーセントの濃度で組成物に添加される。
プライマー処理された物品は、シリカナノ粒子凝集体の連続ネットワークを有する基材表面を含む。その粒子は、好ましくは40ナノメートル以下の一次粒子平均粒径を有する。平均粒径は、透過電子顕微鏡を用いて測定することができる。本明細書で使用するとき、「連続」という用語は、ゲル状ネットワークが適用される領域に実質的に不連続又はギャップを有することなく基材の表面を被覆することを指す。「ネットワーク」という用語は、共に結合して多孔質三次元ネットワークを形成するナノ粒子の凝結又は凝集を指す。用語「一次粒径」は、凝集していない1個のシリカ粒子の平均径のことを指す。
用途に応じて、プライマーコーティング層の厚さをより厚く、例えば、数マイクロメートルの厚さにしてもよい。機械的特性は、コーティング厚さが増加したとき改善されると予測することができる。
水性系から疎水性基材上にプライマー組成物を均一にコーティングするためには、基材の表面エネルギーを増加させる及び/又はコーティング組成物の表面張力を低下させることが望ましい場合がある。表面エネルギーは、コロナ放電、化学線照射又は火炎処理法を用いてコーティングする前に基材表面を酸化させることにより増加させることができる。これらの方法はまた、コーティングの基材への接着を高めることができる。物品の表面エネルギーを増加させることができる他の方法としては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)の薄いコーティング等の有機高分子プライマーの使用が挙げられる。あるいは、コーティン組成物の表面張力は、低級アルコール(C〜C)の添加により低下させることができる。しかし、場合によっては、所望の特性を目指してコーティングの親水性を高めるために、かつ水性又はヒドロアルコール性溶液から物品に均一にコーティングすることを確実にするために、典型的には界面活性剤である湿潤剤をプライマー組成物に添加することが有益である場合もある。
本明細書で使用するとき「界面活性剤」という用語は、コーティング溶液の表面張力を低下させることができる、同一分子に親水性(極性)及び疎水性(非極性)領域を含む分子を表す。有用な界面活性剤として、米国特許第6,040,053号(Scholzら)に開示されるものが挙げられる。
シリカナノ粒子の典型的な濃度では(例えば総コーティング組成物に対して0.2〜15重量パーセント)、コーティングの反射防止特性を保つために、大部分の界面活性剤はコーティング組成物の0.1重量パーセント未満、好ましくは0.003〜0.05重量パーセントで含まれる。幾つかの界面活性剤では、防曇特性を得るのに必要な濃度を超える濃度において、むらのあるコーティングが生じることに留意すべきである。
プライマーコーティング組成物中のアニオン性界面活性剤は、添加されるとき、得られるコーティングの均一性を高めることが好ましい。有用なアニオン性界面活性剤としては、(1)C〜C20のアルキル、アルキルアリール、及び/若しくはアルケニル基などの少なくとも1つの疎水性部分、(2)親水性サルフェート、ホスフェート、ポリオキシエチレンサルフェート、親水性ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンホスフェートなどの少なくとも1つのアニオン性基、並びに/又は(3)これらのアニオン性基の塩であって、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第三級アミノ塩などを含むもの、を含む分子構造を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。有用なアニオン性界面活性剤の代表的な市販例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(例えばHenkel Inc.(Wilmington,DE)のTEXAPON(商標)L−100、又はStepan Chemical Co(Northfield,IL)のPOLYSTEP(商標)B−3);ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(例えばStepan Chemical Co.(Northfield,IL)のPOLYSTEP(商標)B−12);ラウリル硫酸アンモニウム(例えばHenkel Inc.(Wilmington,DE)のSTANDAPOL(商標)A);及び親水性ドデシルベンゼンナトリウム(例えばRhone−Poulenc,Inc.(Cranberry,NJ)のSIPONATE(商標)DS−10)が挙げられる。
プライマーコーティング組成物が界面活性剤を含まない場合、又は向上したコーティング均一性が望ましい場合には、水性又は水性アルコール溶液からの物品の均一なコーティングを確実にするために、耐久性のある防曇特性が与えられないものなどの別の湿潤剤を添加すると、効果的である場合がある。有用な湿潤剤の例としては、ポリエトキシレート化アルキルアルコール(例えば、ICI Americas,Inc.のBRIJ(商標)30及びBRIJ(商標)35、並びにUnion Carbide Chemical and Plastics Co.のTERGITOL(商標)TMN−6(商標)Specialty Surfactant)、ポリエトキシレート化アルキルフェノール(例えば、Union Carbide Chemical and Plastics Co.のTRITON(商標)X−100、BASF Corp.のICONOL(商標)NP−70)、及びポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(例えば、TETRONIC(商標)1502ブロックコポリマー界面活性剤、TETRONIC(商標)908ブロックコポリマー界面活性剤、及びPLURONIC(商標)F38ブロックコポリマー界面活性剤、全てがBASF,Corp.より入手)が挙げられる。当然のことながら、添加される湿潤剤はいずれも、コーティングの反射防止又は防曇特性(これらの特性が望まれる場合)を損なわない濃度で含有される必要がある。一般的に湿潤剤は、シリカナノ粒子の量によるが、コーティング組成物の0.1重量パーセント未満、好ましくはコーティング組成物の0.003〜0.05重量パーセントの量で用いられる。コーティングされた物品を水ですすぎ洗いする又は水中に浸漬することが、過剰な界面活性剤又は湿潤剤を除去するために望ましい場合がある。
プライマーコーティング組成物は、バー、ロール、カーテン、輪転グラビア、スプレー、又はディップコーティング技法等の従来の技術を用いて物品上にコーティングされることが好ましい。均一コーティング及びフィルムの湿潤性を確保するために、コロナ放電、プラズマ、化学線照射又は火炎処理法を使用して、コーティング前に基材表面を酸化させることが望ましいことがある。物品の表面エネルギーを増加させることができる他の方法としては、ポリ塩化ビニリデン(「PVDC」)等のプライマーの使用が挙げられる。
本発明のプライマーコーティングは、コーティングにおける可視干渉色の変化を避けるために、約20nm未満、より好ましくは10nm未満で変動する均一な平均厚さで適用されることが好ましい。最適な平均乾燥コーティング厚さは、具体的なプライマーコーティング組成物に依存するが、一般的にコーティングの平均厚さは、10nm〜1,000nm、好ましくは50nm〜250nm、より好ましくは75nm〜200nm、更により好ましくは100〜150nmである。プライマー厚さは、楕円偏光計、例えばGaertner Scientific Corp.型番L115C楕円偏光計を用いて測定できる。
本発明のプライマーコーティングは、必要に応じて基材の両表面にコーティングされてよい。別の方法としては、本発明のコーティングは、基材の片側にコーティングされ得る。
一旦コーティングされると、プライマー処理された物品は典型的には再循環オーブン内にて20℃〜150℃の温度で乾燥される。不活性ガスが循環してもよい。乾燥プロセスを加速させるために更に温度を上げてもよいが、基材への損傷を避けるために注意を払わなければならない。無機基材に対して、硬化温度は200℃超であってよい。プライマーコーティング組成物を基材に適用し乾燥させた後、コーティングは、好ましくは60〜95重量パーセント(より好ましくは70〜92重量パーセント)のシリカナノ粒子(典型的には凝集した)、0.1〜20重量パーセント(より好ましくは10〜25重量パーセント)のテトラアルコキシシラン、及び所望により0〜5重量パーセント(より好ましくは0.5〜2重量パーセント)の界面活性剤、及び所望により最大5重量パーセント(好ましくは0.1〜2重量パーセント)の湿潤剤を含む。
幾つかの実施形態では、プライマーコーティング組成物自体は、基材及び下層の基材を引っ掻き、摩耗、及び溶媒等で引き起こされる損傷から保護する丈夫な摩耗耐性層を提供する。
多くの実施形態では、本発明のプライマーコーティング組成物は、保存安定性があり、例えば、ゲルを形成せず、不透明にならず、あるいは別に、著しく劣化しない。更に、多くの実施形態では、プライマー処理された物品は耐久性があり、かつ摩耗耐性がある。
表面処理剤
幾つかの実施形態では、再書き込み可能な物品は、表面上に−OH又は類似の官能基を生成するために、エネルギー放射により処理される。このような放射線として、コロナ、プラズマ、化学線、フラッシュランプ、及び火炎処理が挙げられる。幾つかの実施形態では、プライマーを再書き込み可能な物品に結合させるために、エネルギー放射による処理をプライマー処理前に実施する。
コーティングされた物品
幾つかの実施形態では、本発明の乾式消去物品の書き込み表面は、ヒドロキシル基を含有する基材、例えば、磁器、セラミックス、及びガラスなどを含む。別の実施形態では、乾式消去物品の書き込み表面は、透明から不透明の、高分子、紙、又は金属の、平坦、曲線状、又は複雑な形状を有し、好ましくは凝集したシリカナノ粒子の連続ネットワークがその上に形成されている、事実上いずれの構成であってもよい基材、好ましくはプライマー処理された表面を有する基材を含む。
幾つかの実施形態では、乾式消去物品の書き込み表面として、ガラス、琺瑯鋼、塗装された鋼、塗装された金属、塗装された板紙、メラミン、コーティングされたフィルム、コーティングされた紙、コーティングされた繊維板シートなどの乾式消去表面、及び現在の商業上既知の他の乾式消去表面が挙げられる。別の実施形態では、書き込み表面は、ラベル用支持体、フォルダー等として使用するコーティングされたフィルム又はコーティングされた紙である。両方の実施形態では、ポリマー基材は、高分子シート、フィルム、又は成形材料を含む。
本発明の好ましいプライマーコーティング組成物、親水性官能性のコーティング組成物、及び親水性ポリマーコーティング組成物は、基材に親水性をもたらす。
他の実施形態では、高い親水性が望ましい場合、基材は最初は疎水性であってもよい。組成物は、種々のコーティング方法により広範な基材に適用することができる。本明細書で使用する場合、「親水性」は、水溶液により湿潤される表面を指すために用いられ、層が水溶液を吸収するかどうかを表さない。水又は水溶液の液滴の静的水接触角が50°未満である表面は「親水性」と呼ばれる。疎水性基材の水接触角は50°以上である。
本発明の再書き込み可能な物品の製造に使用できる基材は、必要に応じて、可視光線に対して透明又は半透明であってよい。本明細書で用いられる基材は、必要に応じて可撓性又は非可撓性であってよい。好適な基材の実例として、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ホモエポキシポリマー、ポリジアミンとのエポキシ付加ポリマー、ポリジチオール、ポリエチレンコポリマー、フッ素化表面、酢酸エステル及び酪酸エステルなどのセルロースエステル、ガラス、セラミックス、磁器、コーティングされた紙、金属、有機及び無機複合材表面などが挙げられる(これらのブレンド及び積層体を含む)。
他の実施形態では、基材は透明である必要はない。組成物は、ラベル用途で用いられる可撓性フィルムなどの基材に容易にきれいにできる表面を提供することがわかっている。可撓性フィルムは、PETなどのポリエステル、又はPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びPVC(ポリ塩化ビニル)などのポリオレフィンから作られてよい。基材は、基材樹脂をフィルムに押し出し、所望により押し出されたフィルムを一軸又は二軸配向すること等の従来のフィルム作製技術を用いてフィルムに形成され得る。基材とプライマーコーティングとの間の接着を改善するために、例えば、化学処理、空気又は窒素コロナなどのコロナ処理、プラズマ、火炎又は化学線照射を用いて基材を処理することができる。必要に応じて、任意の連結層を基材とプライマーコーティング組成物との間に適用して、層間接着を高めることもできる。基材の他の側も上記処理を用いて処理して、基材と接着剤との間の接着を高めることもできる。基材は、当該技術分野で既知であるように文字又は記号等のグラフィックスと共に提供されてもよい。
更に別の実施形態では、基材はアルミニウム又はステンレス鋼などの金属であってよく、又は金属表面(例えば、蒸着金属)を有してよい。
本発明は、以下の例示的な非限定的実施例により更に説明される。量は、特に指示のない限り全て重量による。
試験方法
以下の試験方法を実施例において用いた。
水及びガラスクリーナーによる油性マーカーの除去:記載の通り、6種の油性マーカー(3つのブランドで各ブランド2色ずつ)、すなわち、AVERY(商標)MARKS−A−LOT(商標)、BIC(商標)油性マーカー、及びSHARPIE(商標)マーカーで表面にマークを付けた。各ブランドで1色は黒色とした。2色目は、BIC(商標)マーカーは青色、AVERY(商標)MARKS−A−LOT(商標)及びSHARPIE(商標)マーカーは赤色とした。マーカーの名称を各表面上に記載した。室温で24時間熟成後、実験台上の水平に配向させたサンプルについて、スプレーボトルを用いて書き込みに水を吹き付けた。20秒後、清潔なペーパータオルを用いて、数回の拭い取りで可能な限り多くの書き込みを除去した。この手順を1回繰り返し、合計2回の水による洗浄を行った。
油性マーカー書き込みの除去について表面を調べた。水で完全に除去された油性マーカー書き込みの割合を目視で評価した。表面上にマーカー線全体の薄い像つまりゴースト像が残った場合、0%除去と記録した。
任意の書き込みが表面上に残った場合、すなわち、上記の水での拭い取りによる除去が100%未満であった場合、WINDEX(商標)ガラスクリーナーを書き込み上に噴霧した。20秒後、濡れた表面をペーパータオルで拭った。WINDEX(商標)による洗浄及び拭い取りを2回行った後、除去されたマーカー書き込みの割合を目視で評価した。
乾式消去マーカー書き込み性:記載の通り、14種の異なる乾式消去マーカー(7つのブランドの乾式消去マーカー)、すなわち、AVERY(商標)MARKS−A−LOT(商標)、BEIFA(商標)プライベートブランドマーカー、BIC(商標)Dry Eraseマーカー、DIXON(商標)Dry Erase Marker、EXPO(商標)Bold、EXPO(商標)Low Odor、及びQUARTET(商標)Markerで数枚の表面にマークを付けた。各ブランドから2色のマーカー、1つは黒色、もう1つは赤色、緑色、又は青色を選択した。典型的な乾式消去材サンプルは、紙1枚ほどの大きさとした。各ブランドのマーカーについて、試料上に約2.5cmの水平幅の余白を、そのブランドのマーカー用として確保した。第1のマーカーを用いて、水平幅2.5cmの余白の左側にマーカーのブランド名を書き込み、第2のマーカーを用いて、水平幅2.5cmの余白の右側に同じマーカーのブランド名を書き込んだ。このようにして、各ブランドのマーカーによる全ての書き込みを、1回で消せる水平線に並べた。
本発明の乾式消去表面を作製してから、各インクの線の濡れ不足(dewetting)について検査した。乾式消去インクの濡れ不足又は玉形成(beadingup)が、インク線中のずれ、又はインク線の縮みの出現により実証された。濡れ不足を起こしたマーカーの総数を記録した。14種それぞれのマーカーを書き込み試験で用い、濡れ不足スコアの範囲は0〜14となり得る。マーカーの濡れ不足がなかった場合、濡れ不足スコアをゼロとした。10箇所のマーカーに濡れ不足があった場合、スコアを10とした。
乾式消去マーカー書き込みの除去:乾式消去マーカー書き込みを24時間の滞留時間で表面上に放置し、その後EXPO(商標)乾式イレーザーで消去した。2.5kgの平坦な真鍮製のおもりをイレーザー上部に置いた。このおもりはイレーザーと同じ長さ及び幅とした。おもりを付けたイレーザーをマーカーによる第1の書き込み行の直前に置いた。イレーザーを手で更に押さえずに、そのマーカーの行全体に渡ってイレーザーを押し進めた。十分に書き込みが除去され、マーカーの名称が読めなくなった場合、そのマーカーが1回の通過で消去されると見なした。そうではなかった場合、再び書き込み上でイレーザーを通過させた。マーカーの名称が読めなくなるまでこれを続けた。7行の乾式消去マーカー書き込みのそれぞれの消去に要したイレーザーの合計通過回数を記録した。最低乾式消去スコアは7回である。
摩耗試験:1分あたり93回の通過の速度で、標準的なEXPO(商標)乾式イレーザーを表面に渡って多数回通過させることが可能な機械装置を組み立てた。イレーザー用のハウジングは約250gの重量であった。このハウジングに、更に5lb(2.25kg)のおもりを付け、イレーザー上の総重量を約2.5kgとした。サンプル上のイレーザーの通過回数は、装置の電源コードに取り付けた秒読みタイマーで制御した。提示の回数後、装置を止めた。タイマーは、イレーザーが1000回通過したら止るようにセットした。
材料
実施例及び比較例で用いたマーカー、材料、及び原液を、それぞれ表1、2及び3に示す。
Figure 2013536099
Figure 2013536099
Figure 2013536099
コーティング組成物以下のように調製した。特に記載しない限り、量は全て重量部(parts w by weight)で表す。
コーティング組成物1は、双性イオン性シランであり、
Figure 2013536099

溶液を以下のように調製した。3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(49.7g、239mmol)をねじぶた付き容器に加え、その後脱イオン(「DI」)水(82.2g)及び1,4−ブタンサルトン(32.6g、239mmol)を加えた。反応混合物を75℃に加熱して14時間混合した。加熱後、この反応混合物を水で2重量%まで希釈し、最終コーティング溶液を得た。
コーティング組成物2は、コーティング組成物1:LS1:NPS3(61:19:20w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物3は、コーティング組成物1:NPS3(80:20w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物4:ヒドロキシスルホネートシランである
Figure 2013536099

コーティング溶液の調製は、米国特許第4,338,377号に記載されるように調製し、2重量%に希釈した。
コーティング組成物5(ホスホネートシラン)は、3−(トリヒドロキシシリル)−プロピルメチル−ホスホネート、一ナトリウム塩を水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物6(カルボキシレートシラン)は、カルボキシ−エチルシラントリオール、ナトリウム塩を水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物7(プロパンスルホン酸)は、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸を水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物8(糖シラン)は、N−(3−トリエトキシ−シリルプロピル)グルコンアミドを水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物9(アンモニウムシラン)は、N−トリメトキシ−シリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリドを水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物10(ポリエチレングリコールシラン)は、2−[メトキシ−(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシランを水で2重量%溶液に希釈して調製した。
コーティング組成物11は、コーティング組成物4:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物12は、コーティング組成物5:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物13は、コーティング組成物6:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物14は、コーティング組成物7:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物15は、コーティング組成物8:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物16は、コーティング組成物9:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物17は、コーティング組成物10:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物18は、コーティング組成物1:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製した。
コーティング組成物19は、コーティング組成物1:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 5に酸性化した。
コーティング組成物20は、コーティング組成物8:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 4.5に酸性化した。
コーティング組成物21は、コーティング組成物6:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 4.5に酸性化した。
コーティング組成物22は、コーティング組成物5:LS2(65:35w/w)のブレンドの2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 3に酸性化した。
コーティング組成物23は、POVAL(商標)R3109の2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 3に酸性化した。
コーティング組成物24は、POVAL(商標)R1130の2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 3に酸性化した。
コーティング組成物25は、POVAL(商標)R2105の2重量%水溶液として調製し、0.8M HNOでpH 3に酸性化した。
(実施例1)
指定したコーティング組成物によるコーティング前に、琺瑯鋼シートを洗浄し、表面から吸着有機物を除去して遊離のOH基を露出させた。各磁器シート上で、ALCONOX(商標)洗剤のペーストを濡らしたペーパータオルでこすり付けた。続いてこのシートを水ですすいだ。水が玉形成しないでシート上を流れ落ちた場合に、シートが清浄であるとみなした。
約20.3cm×25cmの清浄な琺瑯鋼シートに、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、NPS1溶液を3回コーティングした。サンプルを室温で乾燥させ、次に150℃で15分間加熱した。続いてサンプルに、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、コーティング組成物2を3回コーティングした。サンプルを室温で乾燥させ、次に150℃で15分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすいだ。
(実施例2)
実施例2では、20.3cm×20.3cmのフロートガラスプレートをALCONOX(商標)洗剤のペーストで洗浄し、水が玉形成せずにプレートを流れ落ちるようにした。清浄なガラスプレートを、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、コーティング組成物2でコーティングした。コーティングされたガラスプレートを空気気流中室温で乾燥させ、次いで150℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、ペーパータオルで乾燥させた。
(実施例3)
コーティング前に、ALCONOX(商標)洗剤を用いて塗装された鋼シートを洗浄した。続いてこのシートを、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いてNPS1で3回コーティングした。サンプルを空気気流中室温で乾燥させ、次に150℃で15分間加熱した。続いてサンプルを、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、コーティング組成物2で3回コーティングした。サンプルを室温で乾燥させ、次に150℃で15分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、ペーパータオルで乾燥させた。
(実施例4)
この実施例では、フィルムは、4ミル(0.10mm)のPVDCプライマー処理の透明ポリエステル(PET)フィルム(3M Company)とした。NPS2溶液とメイヤー(Meyer)ロッド(#6)を用いて、PETフィルムをシリカナノ粒子でコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させた後、120℃で5分間加熱した。シリカナノ粒子コーティングの形成に用いたものと同じ方法で、これらのフィルムをコーティング組成物3でコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させた後、120℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、ペーパータオルで乾燥させた。
(実施例5)
この実施例のベースフィルムは、Protect−all,Inc.より入手した、UV硬化済みアクリルコーティングを有する2ミル(0.05mm)の白色ポリエステルとした。米国特許第5,244,780号(Strobelら)の実施例8に記載の方法で、乾式消去フィルムを火炎処理した。火炎処理後、#7のメイヤーロッドを用いて、フィルムをNPS2溶液中のシリカナノ粒子でコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させた後、120℃で15分間加熱した。続いて乾燥したフィルムを、#7メイヤーロッドを用いてコーティング組成物3でコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させた後、150℃で15分間加熱した。フィルムを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、ペーパータオルで乾燥させた。
比較例C1
受理状態の琺瑯鋼パネル。
比較例C2
受理状態のフロートガラスプレート。
比較例C3
受理状態の塗装された鋼パネル。
比較例C4
受理状態の、両表面をPVDCでプライマー処理した透明ポリエステルフィルム。
比較例C5
受理状態の、白色ポリエステル乾式消去フィルム。
Figure 2013536099
実施例1では、2種類の乾式イレーザー(EXPO(商標)乾式イレーザー及び3M(商標)ホワイトボードイレーザー)を用いて、摩耗耐性について試験した。表5に示すように、試験方法の項に記載の摩耗試験装置を用いて、イレーザーをサンプルについて5000回通過させた。摩耗後、各サンプルは、水及びWindexブランドの窓用クリーナーによる油性マーカー除去について試験した。
Figure 2013536099
(実施例6〜17)
実施例6〜17では、20.3cm×20.3cmの一連のフロートガラスプレートをALCONOX(商標)洗剤のペーストでまず洗浄し、水がガラスプレート上で玉形成しないようにした。清浄なガラスプレートを、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、コーティング組成物1及び4〜10でそれぞれコーティングした。コーティングされたガラスプレートを室温で乾燥させ、150℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、室温で乾燥させてから試験を行った。
Figure 2013536099
比較例C6〜C11
20.3cm×20.3cmの一連のフロートガラスプレートをALCONOX(商標)洗剤のペーストでまず洗浄した。プレートを水ですすぎ、空気気流中で乾燥させた。洗浄及び乾燥後、それらのプレートをKIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、コーティング組成物7、9、10、16、及び17でそれぞれコーティングした。コーティングされたガラスプレートを室温で乾燥させ、次いで150℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、乾燥させてからマーカー試験を行った。結果を表7に示す。
Figure 2013536099
(実施例17〜22)
20cm×25cmの一連の琺瑯鋼パネルをALCONOX(商標)洗剤のペーストでまず洗浄した。プレートを水ですすぎ、空気気流中で乾燥させた。洗浄及び乾燥後、KIMWIPE(商標)ティッシュペーパーを用いて、表7に示すコーティング組成でコーティングした。コーティングされた磁製プレートを室温で乾燥させ、次いで150℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、乾燥させてからマーカー試験を行った。
Figure 2013536099
乾式イレーザーに対する摩耗耐性について実施例17〜22の試験を行った。試験方法の項に記載の摩耗試験装置を用いて、EXPO(商標)乾式イレーザーを各サンプルについて1000回通過させた。摩耗後、水及びWindexによる油性マーカー除去について各サンプルを試験した。
Figure 2013536099
繰り返しの書き込み、及び同一場所の消去の影響について、実施例17〜22の試験を行った。黒色のSHARPIE(商標)、AVERY(商標)、及びBIC(商標)マーカーで各サンプル上に書き込んだ。書き込みの乾燥後、サンプルにWINDEX(商標)ブランドの窓用クリーナーを噴霧し、ペーパータオルできれいに拭い取った。各実施例について書き込み及び洗浄を100回実施した。続いて、各実施例について油性マーカー除去試験を行った。
Figure 2013536099
(実施例23〜30)
この実施例では、フィルムは、4ミル(0.10mm)のPVDCプライマー処理済みの透明ポリエステル(PET)フィルム(3M Company)とした。NPS2溶液とメイヤーロッド(#6)を用いて、PETフィルムをシリカナノ粒子でコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させてから、120℃で5分間加熱した。シリカナノ粒子コーティングの形成に用いたものと同じ方法で、コーティング組成物3でこれらのフィルムをコーティングした。コーティングされたフィルムを室温で乾燥させてから、120℃で10分間加熱した。サンプルを室温まで冷却した後、DI水(600mL/分)で60秒間すすぎ、ペーパータオルで乾燥させた。
Figure 2013536099
(実施例31)
3gのPVAを97gのDI水に溶解し、60℃で一晩攪拌することにより、ポリビニルアルコール水溶液(98モル%鹸化品、重量平均分子量(「WAMW」)約31,000〜50,000)を調製した。続いてこの溶液を、濃HNOでpH 3に酸性化した。実施例23〜30の手順に従って、ポリエステルフィルムをシリカナノ粒子でプライマー処理した。シリカナノ粒子でプライマー処理したポリエステル上に、#6メイヤーバーでPVAの酸性化溶液をコーティングした。コーティングされたフィルムを120℃で5〜10分間硬化した。
(実施例32)
3gのPVAを97gのDI水に溶解し、60℃で一晩攪拌することにより、ポリビニルアルコール水溶液(98モル%鹸化品、WAMW約31,000〜50,000)を調製した。続いてこの溶液を、濃HNOでpH 3に酸性化した。シリカナノ粒子でプライマー処理してないポリエステルフィルム上に、#6メイヤーバーでPVAの酸性化溶液をコーティングした。コーティングされたフィルムを120℃で5〜10分間硬化した。
Figure 2013536099
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な発明は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

Claims (11)

  1. 書き込み可能な表面を有する物品であって、前記再書き込み可能な表面が、親水性シラン又はヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーを含むコーティングを含む、物品。
  2. 前記親水性シランが、双性イオン性シラン、ヒドロキシルスルホネートシラン、ホスホネートシラン、カルボキシレートシラン、グルコンアミドシラン、ポリヒドロキシルアルキル、アリールシラン、ヒドロキシルポリエチレンオキシドシラン、ポリエチレンオキシドシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
  3. 前記コーティングが、1つ以上の親水性シラン及びテトラアルコキシシラン、それらのオリゴマー、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
  4. 前記コーティングが、1つ以上の親水性シラン及びテトラアルコキシシラン、それらのオリゴマー、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、100nm未満の粒径を有するナノシリカ粒子、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
  5. 前記コーティングが、ヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の物品。
  6. 前記ポリマーが、ポリビニルアルコール、ヒドロキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、グアーガム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
  7. 親水性シラン又はヒドロキシル基を有する水溶性ポリマーを含むコーティングを、物品表面の一部に提供する工程を含む、書き込み表面の作製方法。
  8. (a)請求項1に記載の物品を提供する工程と、(b)前記書き込み表面に筆記用具で初期説明文を書き込む工程と、(c)前記初期説明文を除去する工程とを含む、再書き込み可能な書き込み表面を有する物品の使用方法。
  9. 前記初期説明文を除去した後に、前記書き込み表面に書き込む工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記筆記用具が、鉛筆、ペン、及びフェルトペンマーカーからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  11. 前記初期説明文を除去する工程が、(1)例えばイレーザー又は布で前記書き込み表面を拭い取る工程、(2)水、有機溶媒等からなる群から選択される液体洗浄剤で、前記書き込み表面を処理する工程、の中の1つ又は2つ以上を含む、請求項8に記載の方法。
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