JP2019513851A - 金属表面をコーティングするための双性イオン性ポリマー含有組成物、方法、及び物品 - Google Patents

金属表面をコーティングするための双性イオン性ポリマー含有組成物、方法、及び物品 Download PDF

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Abstract

本開示は、金属表面をコーティングし、特に保護し、任意に洗浄するための、組成物及び方法、並びにこのような表面を含む物品を対象とし、組成物は、ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ポリマーと、無機ケイ酸塩と、水と、を含む。

Description

ステンレス鋼は、業務用キッチン、家庭用キッチン、オフィスビル、空港、及び様々な他の公共空間において、至る所に存在する。ステンレス鋼表面上で用いるために設計された洗浄製品の大多数は、洗浄剤及び研磨剤の両方である(鉱油及び水、又は溶媒及び鉱油の混合物を含む)。これらの製品における油は、指紋を、適用される鉱油と混合すること/適用される鉱油で被覆することにより、隠すのに役立つ。油層は、基材に光沢のある外観をもたらす。
この洗浄及び研磨の手法を利用するステンレス鋼製品は、典型的には、筋が付くこと(streaking)(例えば、筋のない(streak-free)光沢を得るのが困難である)、表面の一部の「スポット汚れ洗浄(spot clean)」が困難であること(例えば、使用者は、典型的には、全領域を洗浄し、均一なオイル層を維持しなくてはならない)、製品の乾燥がゆっくりであり、乾燥中に外観が変化すること、汚れの吸引(例えば、油が付いた表面は、糸くず及びほこりを集めやすい)、油の蓄積(例えば、表面上に残存した鉱油が蓄積する場合があり、除去が困難である)、及び洗面所に通常見られる頑固な汚れを取り除くことができないことを含む多くの欠点がある。
したがって、ステンレス鋼表面、及び他の金属表面をコーティングすることができる、より詳細には、これらの表面を保護することができ、任意に、洗浄及び保護できる組成物が必要とされている。
本開示は、この課題に対処する。本開示は、金属表面をコーティングし、より詳細には保護し、任意に、洗浄及び保護するための、組成物及び方法を、並びにまた、得られたコーティング金属表面を含む物品を対象とする。
有利なことに、特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は金属表面の保護に用いられ、これによって、金属表面のその後の洗浄が、より容易となる。このようなコーティング組成物は、双性イオン性ポリマー、無機ケイ酸塩、及び水を含む。
特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は、金属表面を(1工程で)洗浄及び保護するのに用いられる。このようなコーティング組成物は、双性イオン性ポリマー、無機ケイ酸塩、水、及び界面活性剤を含む。
双性イオン性ポリマーは、ペンダント双性イオン部分を含む。このようなポリマーは、1つ以上の双性イオン性モノマーから誘導される。いくつかの実施形態において、双性イオン性ポリマーはホモポリマーである。
いくつかの実施形態において、無機ケイ酸塩はケイ酸リチウムである。
一実施形態において、本開示は、金属表面を保護する方法であって、濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、コーティング組成物(双性イオン性ポリマー、無機ケイ酸塩、及び水を含む)を準備することと、任意に、濃縮された場合、コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、即時使用可能な組成物を金属表面に適用することと、即時使用可能な組成物を金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法を提供する。
一実施形態において、本開示は、汚染物質を有する金属表面を洗浄及び保護する方法であって、方法が、濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、コーティング組成物(双性イオン性ポリマー、無機ケイ酸塩、水、及び界面活性剤を含む)を準備することと、任意に、濃縮された場合、コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、即時使用可能な組成物を、金属表面から汚染物質を除去するのに効果的な条件下(例えば、このような条件は、拭き取り、こすり洗いなどを含む)で、金属表面に適用することと、即時使用可能な組成物を金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法を提供する。
本開示はまた、金属表面を含む物品も提供する。
一実施形態において、物品は、本開示のコーティング組成物を配置した金属表面を含む。
一実施形態において、物品は、コーティングを配置した金属表面を含み、コーティングは、本開示の方法によって適用されている。
一実施形態において、本開示は、硬化コーティングを含む金属表面を有する物品であって、硬化コーティングが親水性であり、硬化コーティングが、双性イオン性ポリマー、ケイ酸塩、及び任意の界面活性剤を含み、硬化コーティングが表面に会合的に付着している、物品を提供する。
定義
本開示のコーティング組成物は、「即時使用可能な」形態又は「濃縮」形態であってもよい。本明細書において、「即時使用可能な」組成物とは、表面のコーティング又は洗浄前に希釈されないものである。これに対し、「濃縮」組成物とは、表面のコーティング又は洗浄前に希釈されるものである。典型的に見られる希釈は、1:1〜1:500であり、1部の濃縮物が、1部の水(又は500部の水)に加えられる。
組成物に関する文脈において、「固形分」又は「全固形分」は、別途明記しない限り、液体担体なしの固形分の量を指す。
コーティングに関する文脈において、「硬化」コーティングは、水及び任意の有機溶媒の除去の際に乾燥させたものを指す。コーティングの構成成分は、互いに化学結合並びに/又は物理結合、例えばイオン結合、水素結合、及び/若しくは共有結合した、双性イオン性ポリマーとケイ酸塩とのネットワークを形成する。
本明細書において、「金属表面」は、元素金属又は金属の合金を含む表面を指す。この用語はまた、このような元素金属又は合金の表面酸化物も含む。この用語は、アルミナ、シリカなどのバルク酸化物を含まない。
表面に関する文脈において、「親水性」表面は、水溶液によって湿潤したものであり、層が水溶液を吸収するか否かを表すものではない。水又は水溶液の液滴が45°未満の前進水接触角を呈する表面を、ASTM D7334−08に従い「親水性」と呼ぶ。疎水性表面は、水接触角が90°以上である。
本開示の双性イオン性ポリマーに関する文脈において、用語「ペンダント基」は、オリゴマーでもポリマーでもない、ポリマー鎖(主鎖)から出ている側枝を指すものである。
本開示の双性イオン性ポリマーに関する文脈において、表現「双性イオン部分」は、カチオン性基及びアニオン性基の両方、又は同時に対応してイオン化する基を含む部分を示すものである。
用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式の、飽和一価炭化水素を意味する。用語「アルキレン」は、直鎖飽和二価炭化水素又は分子鎖飽和二価炭化水素である。用語「アルコキシ」は、末端酸素原子を有するアルキルを意味する。用語「オキシアルコキシ」は、1つ以上の酸素原子がアルキル鎖に存在する場合があることを除き、アルコキシについて上記で与えられた意味を本質的に有する。用語「オキシアルキル」は、1つ以上の酸素ヘテロ原子がアルキル鎖に存在する場合があり、これらのヘテロ原子が少なくとも1つの炭素によって互いに分離されていることを除き、アルキルについて上記で与えられた意味を本質的に有する。用語「オキシアルキレン」は、1つ以上の酸素ヘテロ原子がアルキレン鎖に存在する場合があり、これらのヘテロ原子が少なくとも1つの炭素によって互いに分離されていることを除き、アルキレンについて上記で与えられた意味を本質的に有する。
用語「含む(includes)」及びその変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に記載されている場合に、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記載されたある1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が包含されることを意味し、いかなる他の工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も排除されないことを意味するものと理解される。「からなる(consisting of)」により、この語句「からなる」に続くいかなるものも包含し、これらに限定されることを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であって、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」により、この語句の後に列挙されるいかなる要素も含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意に含まれ、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい、又は、しなくてもよいことを意味する。
語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る、本開示の実施形態を指す。しかしながら、同一又は他の状況下において、他の実施形態もまた、好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲内から排除することを意図するものでもない。
本明細書で用いる場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に用いられる。例えば、「a」界面活性剤(“a”surfactant)を含む組成物は、「1つ以上の」界面活性剤(“one or more”surfactants)を含み得る。
本明細書で用いる場合、用語「又は」は、内容において別途明示されていない限り、概して「及び/又は」を含む意味で用いられている。用語「及び/又は」は、列挙された要素の1つ若しくは全て、又は列挙された要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
本明細書で用いる場合、全ての数は、用語「約」、また、特定の実施形態において、用語「正確に」によって修飾されるものとみなされる。本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に示した数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、全ての数値は、これらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、一定の誤差を本質的に含む。
また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。本明細書において、「最大」数字(“up to”a number)(例えば、最大50(up to 50))は、その数(例えば、50)を含む。
用語「の範囲(in the range)」又は「の範囲内(within a range)」(及び類似の記載)は、その記載された範囲の端点を含む。
本明細書に開示の代替要素又は実施形態の群分けは、限定と解釈するものではない。各群のメンバーは、個々に、又は、その群の他のメンバー若しくはその群の中に見出される他の要素との任意の組み合わせで、言及及び特許請求することができる。便宜上及び/又は特許性の理由から、群の1つ以上のメンバーが群に含まれ得るか、又は、群から削除され得ることが見込まれる。任意のこのような包含又は削除が生じた場合、本明細書は、本明細書において改変された群を含むものとみなされ、したがって、添付の特許請求の範囲で用いられた全てのマーカッシュ群の記載内容を実現する。
ある基が本明細書に記載の式中に1回よりも多く存在する場合、具体的に記載されているか否かに関わらず、各基は「独立して」選択される。例えば、式中に1つよりも多いY基が存在する場合、各Y基は独立して選択される。更に、これらの基内に含まれる下位の基も独立して選択される。例えば、各Y基がRを含む場合、各Rもまた、独立して選択される。
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」などの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所にこのような語句が記載されている場合、必ずしも、本発明の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
本開示の上記の概要は、本発明の各開示された実施形態又は全ての実施の記載を意図するものではない。以下の説明では、例示的な実施形態をより詳細に例示する。本出願を通し、数箇所において、例の列挙を通して指針が提供されており、これらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。各事例において、記載した列挙は代表的な群としての役割をするのみであり、排他的な列挙と解釈してはならない。
本開示は、金属表面をコーティングし、より詳細には保護し、任意に、洗浄及び保護するための、組成物及び方法、並びにこのような表面を含む物品、特に、例えば、キッチンにおける物品を対象とする。
本開示のコーティング組成物は、双性イオン性ポリマー、無機ケイ酸塩、及び水を含む。用途に応じ、本開示の組成物は、1つ以上の任意の構成成分、例えば、界面活性剤、有機溶媒、アルカリ性源、水質調整剤、漂白剤、及び他の任意の添加剤(例えば、染料、香料、腐食抑制剤、酵素、及び/又は増粘剤)を含んでもよい。特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は、非双性イオン性シランを含まない。特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は、非双性イオン性アニオン性シランを含まない。
特定の実施形態において、コーティング組成物は、界面活性剤を含み、洗浄及び保護に有用である。特定の実施形態において、コーティング組成物は、非洗浄性組成物である。このようなコーティング組成物は界面活性剤を含まず、保護のために用いられる。
特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は、双性イオン性ポリマー及び無機ケイ酸塩を、少なくとも10:90、又は少なくとも20:80、又は少なくとも30:70、又は少なくとも40:60の重量比の範囲で含む。特定の実施形態において、本開示のコーティング組成物は、双性イオン性ポリマー及び無機ケイ酸塩を、最大90:10、又は最大80:20、又は最大70:30、又は最大60:40、又は最大50:50、又は最大40:60の重量比の範囲で含む。
本開示のコーティング組成物は、金属表面(例えば、金属表面及び/又は金属酸化物表面)のコーティング及び保護に用いることができる。特定の実施形態において、これらは、金属表面を1工程で洗浄及び保護するのに用いることができる。
有利なことに、汚れが、本開示のコーティング組成物で処理した金属表面上に集まる場合、より容易に(例えば、汚れのひどさに応じて、簡易的な濡れた布、水洗い、又は水浸漬を用いて)洗浄することができる。
本開示のコーティング組成物は、即時使用可能な水性組成物又は濃縮水性組成物の形態であってもよい。本明細書で用いる場合、用語「水性組成物」は、水を含有する組成物を指す。このような組成物は、典型的には溶液であり、水を唯一の溶媒又は液体担体として用いてもよいか、又は、これらは、水と、アルコール及びアセトンなどの有機溶媒との組み合わせを、例えば、凍解安定性を改善するために用いてもよい。
本開示のコーティング組成物は、好ましくは、水なしで即時使用可能な組成物を用い、金属表面に適用される。濃縮コーティング組成物は、典型的には水で希釈し、即時使用可能なコーティング組成物を形成する必要があってもよい。
いくつかの実施形態において、本開示のコーティング組成物(すなわち、組成物)は、水を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、少なくとも80重量パーセント(重量%)、多くの場合少なくとも90重量%の量で含む。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、固形分(例えば、液体担体なしの双性イオン性ポリマー及びケイ酸塩)を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、最大20重量%、又は最大10重量%、又は最大8重量%、又は最大6重量%、又は最大4重量%、又は最大2重量%、又は最大1重量%、又は最大0.1重量%、又は最大0.001重量%の量で含む。好ましい即時使用可能な組成物は、2重量%の固形分を含む。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、固形分(例えば、液体担体なしの双性イオン性ポリマー及びケイ酸塩)を、濃縮組成物の総重量に基づいて、20重量%超、又は30重量%超、又は40重量%超、又は50重量%超の量で含む。好ましい濃縮組成物は、50重量%の固形分を含む。
本開示の組成物は、様々な粘度で提供され得る。したがって、例えば、粘度は、水のように低いものから、のりのように高いものまで様々であり得る。これらはまた、ゲル、固体、又は粉末の形態で提供され得る。
本開示の組成物は、様々な手法、例えば、スプレー、ブラッシング、ローリング、ディッピング、ナイフコーティング、ダイコーティング、又はこれらの組み合わせを用い、金属表面に適用できる。表面の洗浄については、汚染物質は、これらの方法の1つによって除去できるか、又は、追加の拭き取り若しくはこすり洗いが必要となる場合がある。組成物は、単純に水を蒸発させることにより、又は、熱、放射線、若しくはこれらの組み合わせの適用により、乾燥及び硬化(hardened)(及び任意に硬化(cured))することができる。
金属表面は、元素金属若しくは金属の合金を含む表面及び/又はこのような金属表面の表面酸化物を指す。例としては、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、銅、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせ(合金など、例えば、黄銅)が挙げられる。
本開示はまた、金属表面を含む物品も提供する。このような物品の例としては、家庭用又は商業用キッチンにおける物品(例えば、冷蔵庫、食器洗浄機、ストーブ若しくはコンロ、オーブン、電子レンジ、排気フード、揚げ鍋、グリーストラップ、調理テーブル、キャビネット)、洗面所における物品(例えば、トイレ区画パーティション、小便器パーティション)が挙げられる。このような物品の例としては、エレベータ若しくはエスカレータにおける/上の装飾的若しくは機能的壁貼り、空港、病院、地下鉄の駅、鉄道の駅、モール、又は他の商業用建物における壁もまた挙げられる。このような物品の例としては、自動車における装飾的又は機能的パネル(例えば、自動車内装の装飾的金属部品)もまた挙げられる。このような物品の例としては、消費者向け電子機器、例えば電子物品(例えば、電話機、タブレット、及びコンピュータ)用の金属ケースなどが挙げられる。このような物品の例としては、製造装置、及びツールもまた挙げられる。
一実施形態において、本開示の水性(例えば、未硬化)コーティング組成物を配置した金属表面を含む物品が提供される。別の実施形態において、コーティングを配置した金属表面を含み、コーティングが、本開示の方法によって適用されている物品が提供される。別の実施形態において、硬化コーティングが配置された金属表面を含み、硬化コーティングが双性イオン性ポリマー及び無機ケイ酸塩を含み、硬化コーティングが表面に会合的に付着し、かつ親水性(すなわち、前進水接触角が45度未満、又は好ましくは30度未満、又は10度未満)である、物品が提供される。
典型的な硬化コーティングは、1000nm未満の厚さ、又は500nm未満の厚さ、又は200nm未満の厚さ、又は100nm未満の厚さ、又は50nm未満の厚さ、又は10nm未満の厚さである。
双性イオン性ポリマー
本開示の組成物は、ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、このようなポリマーはホモポリマーであり、1種類の双性イオン性モノマーから誘導される。いくつかの実施形態において、このようなポリマーはコポリマーであり、2種類以上の双性イオン性モノマーから誘導される。
本開示に関する文脈において、用語「ペンダント基」は、オリゴマーでもポリマーでもない、ポリマー鎖(主鎖)から出ている側枝を指すものである。本開示に関する文脈において、表現「双性イオン部分」は、カチオン性基及びアニオン性基の両方を含む部分、又は同様の同時にイオン化する基を含む部分を示すものである。
特定の実施形態において、双性イオン性ポリマーは、
a)ペンダント双性イオン部分を含む繰り返しモノマー単位と、
b)任意に、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アルコキシシラン基、カルボン酸基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能基を含むペンダント基を含む二次繰り返しモノマー単位と、を含み、
双性イオン性ポリマーの繰り返しモノマー単位は、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基を独立して含む。
特定の実施形態において、本開示の双性イオン性ポリマーは、ペンダント双性イオン部分を含む繰り返しモノマー単位を第1の技術的特徴として含む。本明細書で用いるための双性イオン部分は、特に限定されない。当該技術分野で既知の任意の双性イオン部分を、本開示のコンテクストにおいて用いることができる。本明細書で用いるための好適な双性イオン部分は、本明細書に鑑みて、当業者により容易に特定されるであろう。
本開示の特定の態様において、本明細書で用いるための双性イオン部分は、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能基を含む。
別の特定の態様において、本明細書で用いるための双性イオン部分は、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基から選択される負に帯電した基とを含む。
本開示の双性イオン性ポリマーの好ましい態様によると、双性イオン部分は、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基及びリン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む。
有利な態様によると、本明細書で用いるための双性イオン部分は、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む。
別の有利な態様によると、本明細書で用いるための双性イオン部分は、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、リン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む。
本開示の好ましい態様において、本明細書で用いるためのペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、一般式(I):
X−A−Y−B−Z (I)
[式中、
Xは、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基であり、
A及びBは、同一又は異なる部分であり、独立して、アルキレン基又はオキシアルキレン基の群から選択される連結基であり、
Y及びZは、互換的に、双性イオン部分の、正に帯電した基又は負に帯電した基である]を有する。
本開示の別の好ましい態様において、本明細書で用いるためのペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、一般式(I)
[式中、Xは、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基であり、
A及びBは、独立して、アルキレン基、特に1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基の群から選択され、
Y及びZは、互換的に、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される]を有する。
本開示の更に別の好ましい態様において、本明細書で用いるためのペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、一般式(I)
[式中、Xは、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基であり、
A及びBは、独立して、1〜6個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基の群から選択され、
Y及びZは、互換的に、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び四級アンモニウム基からなる群から選択される]を有する。
より好ましい態様によると、本明細書で用いるためのペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、一般式(I)
[式中、Xは、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基であり、
A及びBは、独立して、1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基の群から選択され、
Yはアンモニウ厶基からなる群から選択され、
Zはスルホン酸基からなる群から選択される]を有する。
別のより好ましい態様によると、本明細書で用いるためのペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、一般式(I)
[式中、Xは、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基であり、
A及びBは、独立して、1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基の群から選択され、
Yはリン酸基からなる群から選択され、
Zはアンモニウム基からなる群から選択される]を有する。
更により好ましい態様によると、ペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、2−(N−3−スルホプロピル−N,N−ジアルキルアンモニウム)エチルアクリレート、2−(N−3−スルホブチル−N,N−ジアルキルアンモニウム)エチルアクリレート及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンからなる群から選択される。
本開示の非常に好ましい態様によると、ペンダント双性イオン部分を含むモノマー単位は、2−(N−3−スルホプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルアクリレート及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンからなる群から選択される。
例示的なモノマーは、下記の式(II)及び/又は(III)を有するペンダント双性イオン部分を含む。
Figure 2019513851
本開示の特定の実施によると、双性イオン性ポリマーは、任意に、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アルコキシシラン基、カルボン酸基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能基を含むペンダント基を含む二次繰り返しモノマー単位を含む場合がある。
理論による束縛を望むものではないが、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アルコキシシラン基及びカルボン酸基からなる群から選択される繰り返しペンダント官能基は、処理した基材によって表面固定を有利に改善する、固定基をもたらすものと考えられる。
双性イオン性ポリマーの有利な態様において、任意の二次繰り返しモノマー単位は、リン酸基及びアルコキシシラン基からなる群から選択される官能基を含むペンダント基を含む。
本明細書で用いるための有利なアルコキシシラン基は、これらに限定されるものではないが、式Si(OR)[式中、Rは独立して、水素又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である]を有するものが挙げられる。好ましくは、本明細書で用いるためのアルコキシシラン基は、トリメトキシシリル及びトリエトキシシリルの群から選択される。
本開示の好ましい一態様によると、官能基を含むペンダント基を含む二次繰り返しモノマー単位は、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートであるように選択される。
本開示の別の好ましい態様によると、官能基を含むペンダント基を含む二次繰り返しモノマー単位は、2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスフェートであるように選択される。
本開示のコンテクストにおいて、理論による束縛を望むものではないが、リン酸基の群から選択される官能基を含むペンダント基を含む二次繰り返しモノマー単位を用いると、コーティングの機械的耐久性の改善もまた、金属基材、特にステンレス鋼上に得ることができるものと考えられる。
本開示の双性イオン性ポリマーは、双性イオン性ポリマーの繰り返しモノマー単位が、独立して、(メタ)アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基を含むことを、更に特徴とする。好ましい態様において、双性イオン性ポリマーの繰り返しモノマー単位は、独立して、アクリレートエステル含有基の群から選択されるエチレン性不飽和重合性基を含む。典型的な態様において、繰り返しモノマー単位のエチレン性不飽和重合性基は、好適な重合反応の際に双性イオン性ポリマーの主鎖を形成するように設計される。
典型的な態様によると、本開示の双性イオン性ポリマーは架橋されていない。有利なことに、双性イオン性ポリマーの架橋は、双性イオン性ポリマーが、処理された表面に有益な保護性をもたらすのに必要ではない。したがって、有利な態様において、本開示の双性イオン性ポリマーは、いかなる架橋性モノマー単位も含まない。
本明細書に記載の双性イオン性ポリマーは、概して、米国特許第8,680,038号に開示のものなどの、当業者に公知の任意の従来の方法に従い、調製することができる。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、双性イオン性ポリマーを、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.2重量パーセント(重量%)、又は少なくとも0.4重量%の量で含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、双性イオン性ポリマーを、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、最大1.8重量%、又は最大1.6重量%、又は最大1.4重量%、又は最大1.2重量%、又は最大1.0重量%、又は最大0.8重量%の量で含む。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、双性イオン性ポリマーを、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも5重量パーセント(重量%)の量で含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、双性イオン性ポリマーを、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大45重量%、又は最大20重量%の量で含む。
無機ケイ酸塩
本開示のコーティング組成物は1つ以上の無機ケイ酸塩を含み、無機ケイ酸塩は、架橋によってコーティングに耐久性の向上をもたらすことができ、これによって金属表面に保護をもたらす。
好適な無機ケイ酸塩の例としては、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。洗浄剤にはケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムが用いられる場合が多いが、水に再溶解可能なケイ酸ナトリウムとは対象的に、ケイ酸リチウムは、一旦乾燥すると水への再溶解が容易ではないため、概して望ましくない(例えば、米国特許第3,459,500を参照)。しかしながら、本開示のコーティング組成物において、所望は、水によって容易に除去されない保護コーティングを提供することであるため、これは問題ではない。したがって、特定の実施形態では、ケイ酸リチウムが好ましいケイ酸塩である。
いくつかの実施形態において、無機ケイ酸塩は、3.5〜7.5の範囲内でSiO/MO比を構成する。いくつかの実施形態において、無機ケイ酸塩は、4.5〜7.5の範囲内でSiO/MO比を構成する。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、無機ケイ酸塩を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、0重量パーセント(重量%)超、又は少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.4重量%、又は少なくとも0.6重量%、又は少なくとも0.8重量%、又は少なくとも1.0重量%、又は少なくとも1.2重量%の量で含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、無機ケイ酸塩を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、最大1.8重量%、又は最大1.6重量%、又は最大1.4重量%の量で含む。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、無機ケイ酸塩を、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、又は少なくとも20重量%の量で含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、無機ケイ酸塩を、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大45重量の量で含む。
任意の界面活性剤
本開示の組成物はまた、任意に、1つ以上の界面活性剤を含む場合がある。界面活性剤は、洗浄及び保護のための組成物で用いるのに特に望ましい。
各種の界面活性剤、例えばアニオン性、非イオン性、カチオン性、及び双性イオン性界面活性剤などを、組成物において用いることができる。用いられ得る好適な界面活性剤は、多数の供給元より市販されている。好適な界面活性剤の説明については、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 8,pages 900〜912を参照されたい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレンオキシドポリマーを界面活性剤分子の一部として有するものが挙げられる。このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アルコールの、塩素−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−及び他の同様のアルキルキャップ化ポリエチレングリコールエーテル;アルキルポリグリコシドなどの、ポリアルキレンオキシドを含まない非イオン性界面活性剤;ソルビタンエステル及びショ糖エステル、並びにこれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレートなどのアルコールアルコキシレート;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテルなど;グリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、エトキシル化脂肪酸及び脂肪酸のグリコールエステルなどのカルボン酸エステル;ジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどのカルボン酸アミド;並びに商標名PLURONIC(BASF−Wyandotte)で市販されているものなどの、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを含むポリアルキレンオキシドブロックコポリマー;並びに他の同様の非イオン性化合物が挙げられる。商標名ABIL B8852で入手可能なものなどのシリコーン界面活性剤もまた、用いることができる。
好ましい界面活性剤は、広範な各種の非イオン性エチレンオキシド(EO)含有界面活性剤の任意のものである。多くの非イオン性エチレンオキシド誘導体界面活性剤は水溶性であり、本開示の組成物について意図される使用温度よりも低い曇点を有する。加えて、組成物が生分解性であることが好ましい場合、消泡剤もまた生分解性であるよう選択される。
本開示の組成物において用いられ得るエチレンオキシド誘導体界面活性剤のいくつかの例としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルコールアルコキシレート、低分子量EO含有界面活性剤など、又はこれらの誘導体が挙げられる。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーのいくつかの例としては、以下の式
Figure 2019513851
[式中、EOはエチレンオキシド基を表し、POはプロピレンオキシド基を表し、x及びyは、ブロックコポリマー組成物全体における各アルキレンオキシドモノマーの平均分子割合を反映する]を有するものが挙げられる。いくつかの実施形態において、xは10〜130の範囲であり、yは15〜70の範囲であり、x+yは25〜200の範囲である。1分子において、各x及びyが異なり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーの総ポリオキシエチレン構成成分は、ブロックコポリマーの少なくとも20モルパーセント(モル%)であり得、いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーの少なくとも30モル%であり得る。いくつかの実施形態において、材料は、分子量が400超、いくつかの実施形態では500超であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、材料は、分子量が500〜7000以上の範囲、又は950〜4000以上の範囲、又は1000〜3100以上の範囲、又は2100〜6700以上の範囲であり得る。
上記の例示的なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー構造は3〜8個のブロックを有するが、非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、3又は8個よりも多い又は少ないブロックを含む場合があることを理解されたい。加えて、非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、例えばブチレンオキシド繰り返し単位などの追加の繰り返し単位を含む場合がある。更に、本開示によって用いられ得る非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、ヘテロ−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとして特徴付けられる場合がある。好適なブロックコポリマー界面活性剤のいくつかの例としては、商標名PLURONIC及びTETRONICでBASFより入手可能な界面活性剤などの市販品が挙げられる。例えば、PLURONIC 25−R4は、BASFより市販されている有用なブロックコポリマー界面活性剤の一例であり、生分解性でGRAS(一般に安全であると認められている(generally recognized as safe))である。
好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシレート(カルボン酸塩)及びポリカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレートなどのカルボキシレート;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホン化脂肪酸エステルなどのスルホネート;硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキルサルフェート、スルホサクシネート、アルキルエーテルサルフェートなどのサルフェート;並びにアルキルリン酸エステルなどのリン酸エステルなどが挙げられる。例示的なアニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホネート、及び脂肪族アルコールサルフェートが挙げられる。
好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、アミン、例えばC18アルキル鎖又はアルケニル鎖を有する一級、二級及び三級モノアミン、エトキシ化アルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレート、イミダゾール、例えば1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン、2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンなど;並びに四級アンモニウム塩、例えば、アルキル四級アンモニウムクロリド界面活性剤、例えばn−アルキル(C12〜C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、n−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ナフチレン置換四級アンモニウムクロリド、例えばジメチル−1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤は、殺菌特性をもたらすために用いることができる。
好適な双性イオン性界面活性剤としては、例えば、ベタイン、イミダゾリン、及びプロピネート(propinate)が挙げられる。
本開示の組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、既に使用の組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%、又は少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%、又は少なくとも3重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、又は最大5重量%、又は最大3重量%、又は最大1重量%の量で含まれ得る。
本開示の組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.001重量%、又は少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大50重量%、又は最大20重量%、又は最大10重量%、又は最大5重量%の量で含まれ得る。
任意の有機溶媒
本開示の組成物の特定の実施形態は、任意に、1つ以上の有機溶媒を含む場合がある。これらは、構成成分の可溶化を補助し、かつ/又は、組成物の洗浄能力を高めるために加えることができる。
代表的な溶媒及び溶媒系としては、1つ以上の異なる溶媒、例えばアセトン、脂肪族又は芳香族アルコール、アルカノールアミン、エーテルアミン、エステル、及びこれらの混合物を挙げることができる。代表的な溶媒としては、アセトン、アセトアミドフェノール、アセトアニリド、アセトフェノン、2−アセチル−l−メチルピロール、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、α−フェニルエタノール、安息香酸ベンジル、ベンジルオキシエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(DOWANOL EPhとしてDow Chemical Co.より市販)、プロピレングリコールフェニルエーテル(DOWANOL PPhとしてDow Chemical Co.より市販)、酢酸アミル、アミルアルコール、ブタノール、3−ブトキシエチル−2−プロパノール、酢酸ブチル、プロピオン酸n−ブチル、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジエトキシエタノール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジイソブチルカルビノール、ジイソブチルケトン、ジメチルヘプタノール、ジプロピレングリコールtert−ブチルエーテル、エタノール、2−ブトキシエタノール、酢酸エチル、2−エチルヘキサノール、プロピオン酸エチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ヘキサノール、イソブタノール、酢酸イソブチル、イソブチルヘプチルケトン、イソホロン、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルアミルアルコール、メチルn−アミルケトン、2−メチル−I−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−ペンタノール、プロピオン酸n−ペンチル、1−プロパノール、酢酸n−プロピル、プロピオン酸n−プロピル、プロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル(DOWANOL TPMとしてDow Chemical Co.より市販)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DOWANOL TPNBとしてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート(酢酸ブチルカルビトール(CARBITOL)としてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトールとしてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート(酢酸ブチルセロソルブ(CELLOSOLVE)としてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブとしてDow Chemical Co.より市販)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(ブチルDIPROPASOLTMとしてDow Chemical Co.より市販)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(ブチルPROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)、3−エトキシプロピオン酸エチル(UCARエステルEEPとしてDow Chemical Co.より市販)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(UCAR Filmer IBTとしてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトールとしてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルセロソルブとしてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトールとしてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(カルビトールとしてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(酢酸メチルセロソルブとしてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブとしてDow Chemical Co.より市販)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メチルDIPROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(酢酸メチルPROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メチルPROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルカルビトールとしてDow Chemical Co.より市販)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルセロソルブとしてDow Chemical Co.より市販)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルDIPROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PROPASOLとしてDow Chemical Co.より市販)を挙げることができる。代表的な炭酸ジアルキルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル及び炭酸ジブチルが挙げられる。代表的な油としては、ベンズアルデヒド、ピネン(α、βなど)、テルピネオール、テルピネン、カルボン、シンナムアルデヒド(cinnamealdehyde)、ボルネオール及びそのエステル、シトラール、イオネン、ジャスミン油、リモネン、ジペンテン、リナロール及びそのエステルが挙げられる。代表的な二塩基性エステルとしては、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジブチル並びに商標名DBE、DBE−3、DBE−4、DBE−5、DBE−6、DBE−9、DBE−IB、及びDBE−MEでDuPont Nylonより入手可能な製品が挙げられる。代表的なフタル酸エステルとしては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチルへキシル及びフタル酸ジエチルが挙げられる。
いくつかの実施形態において、有機溶媒が含まれる場合、本開示の組成物は、アルコール及び/又は他の有機溶媒を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、多くの場合少なくとも2重量%の量で含む。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、アルコール及び/又は他の有機溶媒を、即時使用可能な組成物の総重量に基づいて、最大50重量%、多くの場合最大25重量%の量で含む。
本開示の組成物が有機溶媒を含む場合、アルコール及び/又は他の有機溶媒は、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量パーセント(重量%)、多くの場合少なくとも10重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物が有機溶媒を含む場合、アルコール及び/又は他の有機溶媒は、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大90重量%、多くの場合最大60重量%の量で含まれ得る。
任意のアルカリ性源
本開示の組成物の特定の実施形態は、任意に、1つ以上のアルカリ性(すなわち、アルカリ)源を含む場合がある。
本開示による組成物で用いるのに好適なアルカリ源の例としては、アミン、アルカノールアミン、炭酸塩、及びケイ酸塩が挙げられる。例えば、アルカリ性源としては、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ホウ酸カリウム、炭酸カリウム、ケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、リン酸リチウム、ポリリン酸リチウム、ホウ酸リチウム、炭酸リチウム、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、混合イソプロパノールアミン、モルホリン、n,n−ジメチルエタノールアミン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
本開示の組成物がアルカリ性源を含む場合、アルカリ性源は、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも1重量%、又は少なくとも5重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物がアルカリ性源を含む場合、アルカリ性源は、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大40重量%、又は最大30重量%、又は最大10重量%の量で含まれ得る。
任意の水質調整剤
本開示の組成物の特定の実施形態は、任意に、1つ以上の水質調整剤を含む場合がある。水質調整剤は、金属化合物の除去及び用水中の硬度成分の有害な効果の低減を補助する。
例示的な水質調整剤としては、キレート剤、金属イオン封鎖剤、及び阻害剤が挙げられる。多価金属カチオン若しくは化合物、例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、モリブデンなど、カチオン若しくは化合物、又はこれらの混合物が、用水中及び複合汚れ中に存在する場合がある。このような化合物又はカチオンは、洗浄適用中の洗浄又はすすぎ組成物の有効性の妨げとなる場合がある。水質調整剤は、効果的に錯体を形成してこのような化合物又はカチオンを汚れた表面から除去することができ、本開示の非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含む活性成分との不適切な相互作用を低減又は排除することができる。有機水質調整剤及び無機水質調整剤の両方が一般的であり、用いることができる。無機水質調整剤としては、トリポリリン酸ナトリウム並びに他の高級直鎖及び環式ポリリン酸種などの化合物が挙げられる。有機水質調整剤としては、ポリマー性水質調整剤及び小分子水質調整剤の両方が挙げられる。有機小分子水質調整剤は、典型的には、有機カルボン酸化合物水質調整剤又は有機リン酸水質調整剤である。ポリマー性阻害剤は、通常、ポリアクリル酸化合物などのポリアニオン性組成物を含む。小分子有機水質調整剤としては、これらに限定されるものではないが、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、N−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、並びにこれらそれぞれのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(NTA)、エタノールジグリシン二ナトリウム塩(EDG)、ジエタノールグリシンナトリウム塩(DEG)、並びに1,3−プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、メチルグリシン−N N−二酢酸三ナトリウム塩(MGDA)、並びにイミノジコハク酸ナトリウム塩(IDS)が挙げられる。好適な水質調整剤は市販されている。
本開示の組成物が水質調整剤を含む場合、水質調整剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物が水質調整剤を含む場合、水質調整剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大40重量%、又は最大20重量%、又は最大10重量%、又は最大5重量%の量で含まれ得る。
任意の漂白剤
本開示の組成物の特定の実施形態は、任意に、1つ以上の漂白剤を含む場合がある。漂白剤は、基材を明るくする又は白くするために含まれ得る。
好適な漂白剤の例としては、洗浄プロセス中に典型的に遭遇する条件下で、活性ハロゲン種(Cl、Br、OCl、及び/又はOBrなど)を遊離させることができる漂白化合物が挙げられる。本組成物で用いるのに好適な漂白剤としては、例えば、塩素、次亜塩素酸塩、及びクロラミンなどの塩素含有化合物が挙げられる。例示的なハロゲン放出化合物としては、ジクロロイソシアヌル酸アルカリ金属、塩素化リン酸三ナトリウム、次亜塩素酸アルカリ金属、モノクロラミン及びジクロラミンなどが挙げられる。カプセル化塩素源もまた、組成物中の塩素源の安定性を高めるために用いることができる(例えば、米国特許第4,830,773号(Olson)を参照)。漂白剤はまた、過酸化物又は活性酸素源、例えば、過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウム過酸化水素化物、ホスフェート過酸化水素化物、一過硫酸カリウム、並びに過ホウ酸ナトリウム一水和物及び過ホウ酸ナトリウム四水和物であって、テトラアセチルエチレンジアミンなどの活性化剤を有するもの及び有さないものであってもよい。
本開示の組成物が漂白剤を含む場合、漂白剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%、又は少なくとも3重量%の量で含まれ得る。本開示の組成物が漂白剤を含む場合、漂白剤は、濃縮組成物の総重量に基づいて、最大60重量%、又は最大20重量%、又は最大8重量%、又は最大6重量%の量で含まれ得る。
他の任意の添加剤
本開示の組成物の特定の実施形態は、任意に、1つ以上の他の添加剤を含む場合がある。本開示による好適な添加剤としては、例えば、染料(製品安全性/識別)、香料、腐食抑制剤、酵素、及び/又は増粘剤を挙げることができる。好適な増粘剤としては、例えば、ガム(例えば、キサンタン、カラギーナンなど)、ポリマー(例えば、ポリアクリレート及び類似の変性ポリマー)、及び無機粒子(例えば、LAPONITEなどの粘土ケイ酸塩)を挙げることができる。
本開示による使用に好適な各種の更なる添加剤が、米国特許第6,916,773号(Griese et al.)及び同第8,772,215号(Ryther et al.)、並びに米国特許出願公開第2010/0317559号(Ryther et al.)、同第2012/0295829号(Peitersen et al.)、及び同第2013/0023458号(Hodge et al.)に開示されている。
例示的な実施形態
実施形態1は、ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ポリマー(特定の実施形態ではホモポリマー)と、無機ケイ酸塩(特定の実施形態ではケイ酸リチウム)と、水と、を含む、コーティング組成物である。
実施形態2は、無機ケイ酸塩がアルカリ金属ケイ酸塩である、実施形態1に記載の組成物である。
実施形態3は、アルカリ金属ケイ酸塩が、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態2に記載の組成物である。
実施形態4は、アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウムである、実施形態3に記載の組成物である。
実施形態5は、無機ケイ酸塩が、3.5〜7.5の範囲内であるSiO/MO比を構成する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の組成物である。
実施形態6は、無機ケイ酸塩が、4.5〜7.5の範囲内であるSiO/MO比を構成する、実施形態5に記載の組成物である。
実施形態7は、無機ケイ酸塩が、即時使用可能なコーティング組成物の総重量に基づいて、0.2重量%〜1.8重量%(又は1.2重量%〜1.8重量%)の量で存在する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の組成物である。
実施形態8は、双性イオン部分が、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の組成物である。
実施形態9は、双性イオン部分が、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、実施形態8に記載の組成物である。
実施形態10は、双性イオン部分が、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基及びリン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、実施形態9に記載の組成物である。
実施形態11は、双性イオン部分が、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、実施形態9に記載の組成物である。
実施形態12は、双性イオン性ポリマーが、即時使用可能なコーティング組成物の総重量に基づいて、0.2重量%〜1.8重量%(又は0.2重量%〜0.8重量%)の量で存在する、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のコーティング組成物である。
実施形態13は、双性イオン性ポリマー及び無機ケイ酸塩が、コーティング組成物中に10:90〜90:10の重量比で(又は10:90〜40:60の重量比で)存在する、実施形態1〜12のいずれか1つに記載のコーティング組成物である。
実施形態14は、界面活性剤を更に含む、実施形態1〜13のいずれか1つに記載のコーティング組成物である。
実施形態15は、金属表面に保護をもたらす、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のコーティング組成物である。
実施形態16は、ステンレス鋼表面に保護をもたらす、実施形態15に記載のコーティング組成物である。
実施形態17は、金属表面を保護する方法であって、
濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のコーティング組成物を準備することと、
任意に、濃縮された場合、コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、
即時使用可能な組成物を金属表面に適用することと、
即時使用可能な組成物を金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法である。
実施形態18は、金属表面が、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態17に記載の方法である。
実施形態19は、金属表面がステンレス鋼表面を含む、実施形態18に記載の方法である。
実施形態20は、汚染物質を有する金属表面を洗浄及び保護する方法であって、方法が、
濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、実施形態14に記載のコーティング組成物を準備することと、
任意に、濃縮された場合、コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、
即時使用可能な組成物を、金属表面から汚染物質を除去するのに効果的な条件下で、金属表面に適用することと、
即時使用可能な組成物を金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法である。
実施形態21は、金属表面が、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態20に記載の方法である。
実施形態22は、金属表面がステンレス鋼表面を含む、実施形態21に記載の方法である。
実施形態23は、実施形態1〜16のいずれか1つに記載のコーティング組成物を配置した金属表面を含む、物品である。
実施形態24は、金属表面がステンレス鋼表面を含む、実施形態23に記載の物品である。
実施形態25は、コーティングを配置した金属表面を含む物品であって、コーティングが、実施形態17〜19のいずれか1つに記載の方法によって適用されている、物品である。
実施形態26は、コーティングを配置した金属表面を含む物品であって、コーティングが、実施形態20〜22のいずれか1つに記載の方法によって適用されている、物品である。
実施形態27は、硬化コーティングを配置した金属表面を含む物品であって、硬化コーティングが親水性であり、硬化コーティングが、ペンダント双性イオン性ペンダント基を含む双性イオン性ポリマー(特定の実施形態では双性イオン性ホモポリマー)、及び無機ケイ酸塩(特定の実施形態ではケイ酸リチウム)を含み、硬化コーティングが金属表面に会合的に付着している、物品である。
実施形態28は、金属表面が、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態27に記載の物品である。
実施形態29は、金属表面がステンレス鋼表面を含む、実施形態28に記載の物品である。
実施形態30は、ステンレス鋼表面が、冷蔵庫、食器洗浄機、ストーブ若しくはコンロ、オーブン、電子レンジ、排気フード、揚げ鍋、グリーストラップ、調理テーブル、キャビネット、トイレ区画パーティション、小便器パーティション、エレベータ若しくはエスカレータにおける又はエレベータ若しくはエスカレータ上の装飾的又は機能的壁貼り、商業用建物における壁、自動車における装飾的又は機能的パネル、電子物品用の金属ケース、製造装置の部品、又はツールの少なくとも一部を形成する、実施形態29に記載の物品である。
本発明の様々な実施形態の目的及び利点を、以下の実施例により更に示すが、これらの実施例に記載の特定の材料及びその量は、他の条件及び詳細と同様に、本発明を不当に限定するものと解釈してはならない。これらの実施例は、単に例示を目的としたものに過ぎず、添付の特許請求の範囲の限定を意図したものではない。
材料
ポリ(2−(N−3−スルホブチル−N,N−ジアルキルアンモニウム)エチルアクリレート)(双性イオン性ポリマー、Zwit−Polymer)。N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)1グラム(1g;0.007モル)をテトラヒドロフラン(THF、Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)9gに溶解した。溶液を窒素でパージした後、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)0.010gを加え、反応混合物を、窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌した。1,4−ブタンスルトン(Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)0.9g(0.007モル)を加えた後、混合物を80℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、終夜撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。
LSS−35、LSS−45、LSS−75、ケイ酸リチウム水溶液(有効成分21〜24%)を、Nissan Chemical America Corporation(Houston,TX)より入手した。
ヒマワリ油(商標名TiPでReal(スーパーマーケット)(Germany)より入手可能)。
Oil Red O、1−[2,5−ジメチル−4−(2,5−ジメチルフェニルアゾ)フェニルアゾ]−2−ナフトール(Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)。
ステンレス鋼基材、1.4301型(AISI 304型)、ブラシ表面仕上げ(150×50×1mm)(Rocholl GmbH(Germany)より入手可能)。
イソプロパノール(IPA)(Sigma−Aldrich(Germany)より入手可能)。
水酸化カリウム(KOH)(Merck(Germany)より入手可能)。
Taberクロックメータキットを備えたTABER Reciprocating Abraser−Model5900(Taber Industries(North Tonawanda,NY,USA)より入手可能)。
接触角測定システム、モデルOCA 15Pro(DataPhysics Instruments GmbH(Filderstadt,Germany)より入手可能)。
予備実施例溶液の調製
双性イオン性ポリマー(Zwit−Polymer)を室温で適量の脱イオン水に撹拌しながら溶解することにより、コーティング溶液を調製した。異なるケイ酸リチウム溶液(LSS)を、継続して撹拌しながら加えた。最後に、混合した溶液を15分間撹拌した後、基材上にコーティングした。溶液は、双性イオン性ポリマーのケイ酸リチウムに対する固形分重量比(Zwit−Polymer/LSS)を変更して調製した。予備実施例の概要は、表1に見出すことができる。
Figure 2019513851
比較例C1〜C6及び実施例E1〜E24
基材の調製及びコーティングの適用
ステンレス鋼基材をKOH/IPA(50:50体積%の混合物、濃度(KOH)=1モル/L)槽に終夜浸漬して洗浄した後、大量の脱イオン水ですすぎ、室温で乾燥した。
コーティング溶液(PE1〜22)を使い捨てピペットを用いて基材上に滴下し(3滴)、糸くずを含まないティッシュ(34567クリーニングティッシュ,3M(Germany))を用い、上下動によって表面上に均等に塗りつけた。残留水を蒸発させた。このコーティング手順を更に4回繰り返した。室温で24時間硬化させた後、試料を油負荷試験(oil challenge tests)において検査した。
ヒマワリ油除去試験
実施例E1〜E18及び比較例C1〜C5の試料を、洗浄性(ヒマワリ油の除去)及び繰り返し汚染試験を施した際のコーティングの寿命について試験した。試験用に、ヒマワリ油の液滴を、実施例E1〜E18及び比較例C1〜C5の試料のコーティング表面に適用し、試料を室温で5分未満の時間放置した。
10mLの使い捨てピペットを用い、ヒマワリ油を規定の体積(10〜20mL)の脱イオン水ですすぎ落とした。すすいだ基材を、圧縮空気を吹き付けて乾燥し、目視検査した。ヒマワリ油が完全に除去された場合、1回のすすぎサイクルでヒマワリ油がそれ以上除去できなくなるまで、試料に再度試験を施した。油が完全に除去されたサイクル数を計数した。コーティング組成物の耐久性及び保護性能がより良好であるほど、試料は、より多くのすすぎサイクルを経ることができた。例えば、実施例7について、油は2サイクルにおいて完全に除去された。これらの試験の結果を、表2に示す。
Figure 2019513851
表2のデータは、双性イオン性ポリマー及びケイ酸リチウムを含むコーティング組成物により、水ですすぐことによって、コーティングしたステンレス鋼表面から油を繰り返し除去するのが可能となることを明確に示している。
油膜除去試験
「スポット汚れ洗浄(spot-clean)」性を、実施例19〜24及び比較例C6について評価した。この試験において、コーティングしたステンレス鋼基材をヒマワリ油で満たした結晶皿上に30分間入れ、最高200℃まで加熱することにより、コーティングしたステンレス鋼基材を油濃縮物膜で被覆した。油濃縮物膜は、表面上の暗色の付着物として明確に視認できた。次いで、コーティングし、油膜で汚染した基材を、クロックメータキットを備えたTABER Reciprocating Abraser−Model5900を用い、湿らせた木綿のクロックメータティッシュで研磨した。10往復の研磨に対し、10N重量及び30サイクル/分の速度を適用した。
研磨後、研磨した領域の輪郭を視覚的に評価した。研磨した領域の輪郭が明確に視認され、研磨した領域自体にスポット汚れがなく、研磨した領域の色が油を含まない領域の色と比べて同一である場合、「スポット洗浄」性について高い数値を付与した。評価:4=研磨した領域に明確な輪郭があり、暗色のスポット汚れがない、3=部分的に明確な輪郭があり、暗色のスポット汚れがない、2=研磨した領域に部分的に明確な輪郭があるが、暗色のスポット汚れがある、1=研磨した領域に変化がない。結果を表3に示す。
Figure 2019513851
表3のデータは、双性イオン性ポリマー及びケイ酸リチウムを含むコーティング組成物により、湿式の拭き取りによる、コーティングしたステンレス鋼表面からの油濃縮物膜の「スポット汚れ洗浄」が可能となることを示している。
ケイ酸リチウム2重量%のみでコーティングしたステンレス鋼基材(C2、C3及びC4と同様)を、油研磨試験(oil abrasion tests)において試験した。結果は、表3のE20と同様であった。しかしながら、ケイ酸リチウムを単独で適用した場合、ケイ酸リチウムを双性イオン性ポリマーと組み合わせて含むコーティングを適用した場合と比べ、ステンレス鋼基材に、望ましくない、より暗色の外観が観察された。また、ポリマーのみを含有するコーティングは水ですすぐと除去されてしまい、湿式研磨は、より高負荷の試験となるため、双性イオン性ポリマーのみでコーティングしたステンレス鋼基材は試験しなかった。
接触角測定
実施例E25及びE26並びに比較例C7の試料の静的水接触角を、DataPhysics Instruments GmbH(Filderstadt,Germany)より入手可能なContact Angle Measuring System,Model OCA 15Proを用いて測定した。コーティングした基材上に定置させた水滴(Millipore水)3μLの接触角測定を、液滴法を用い、Young−Laplaceフィッティングによって実施した。報告した値は、少なくとも5つの別個の測定値の平均である。結果を表4に示す。
Figure 2019513851
結果は、コーティングにより、裸のステンレス鋼表面が親水性となることを示しており、この親水性は、水滴又は水溶液の液滴が45°未満の前進水接触角を呈する表面を「親水性」とする、親水性表面の定義の通りである。
本明細書で言及した、特許、特許文献、及び出願公開の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたもののように、これらの全容を参照により組み込む。本発明に対する様々な改変及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、このような実施例及び実施形態は例としてのみ提示されており、本発明の範囲は、本明細書で以下の通り記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図しているものと理解されたい。

Claims (30)

  1. ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ホモポリマーと、
    無機ケイ酸塩と、
    水と、
    を含む、コーティング組成物。
  2. 前記無機ケイ酸塩がアルカリ金属ケイ酸塩である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記アルカリ金属ケイ酸塩が、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記無機ケイ酸塩が、即時使用可能なコーティング組成物の総重量に基づいて、0.2重量%〜1.8重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記双性イオン部分が、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記双性イオン部分が、四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記双性イオン部分が、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基及びリン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記双性イオン部分が、四級アンモニウム基から選択される正に帯電した基と、スルホン酸基から選択される負に帯電した基と、を含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記双性イオン性ポリマーが、即時使用可能なコーティング組成物の総重量に基づいて、0.2重量%〜1.8重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記双性イオン性ポリマー及び無機ケイ酸塩が、前記コーティング組成物中に10:90〜90:10の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
  11. ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ポリマーと、
    ケイ酸リチウムと、
    水と、
    を含む、コーティング組成物。
  12. 前記ケイ酸リチウムが、3.5〜7.5の範囲内でSiO/MO比を構成する、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記ケイ酸リチウムが、4.5〜7.5の範囲内でSiO/MO比を構成する、請求項12に記載の組成物。
  14. 界面活性剤を更に含む、請求項11に記載の組成物。
  15. 金属表面に保護をもたらす、請求項11に記載の組成物。
  16. ステンレス鋼表面に保護をもたらす、請求項15に記載の組成物。
  17. 金属表面を保護する方法であって、
    濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、請求項11に記載のコーティング組成物を準備することと、
    任意に、濃縮された場合、前記コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、
    前記即時使用可能な組成物を金属表面に適用することと、
    前記即時使用可能な組成物を前記金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法。
  18. 前記金属表面が、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせ、を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記金属表面がステンレス鋼表面を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 汚染物質を有する金属表面を洗浄及び保護する方法であって、前記方法が、
    濃縮されてもよく又は即時使用可能な組成物であってもよい、請求項14に記載のコーティング組成物を準備することと、
    任意に、濃縮された場合、前記コーティング組成物を即時使用可能な組成物へと希釈することと、
    前記即時使用可能な組成物を、前記金属表面から汚染物質を除去するのに効果的な条件下で、前記金属表面に適用することと、
    前記即時使用可能な組成物を前記金属表面上で乾燥させることと、を含む、方法。
  21. 前記金属表面が、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、チタン、亜鉛、銀、クロム、これらの表面酸化物、又はこれらの組み合わせ、を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記金属表面がステンレス鋼表面を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1に記載のコーティング組成物を配置した金属表面を含む、物品。
  24. 前記金属表面がステンレス鋼表面を含む、請求項23に記載の物品。
  25. 請求項11に記載のコーティング組成物を配置した金属表面を含む、物品。
  26. 前記金属表面がステンレス鋼表面を含む、請求項25に記載の物品。
  27. コーティングを配置した金属表面を含む物品であって、前記コーティングが、請求項17に記載の方法によって適用されている、物品。
  28. コーティングを配置した金属表面を含む物品であって、前記コーティングが、請求項20に記載の方法によって適用されている、物品。
  29. 硬化コーティングを配置したステンレス鋼表面を含む物品であって、前記硬化コーティングが親水性であり、前記硬化コーティングが、
    ペンダント双性イオン部分を含む双性イオン性ポリマー、及び
    無機ケイ酸塩を含み、
    前記硬化コーティングが前記ステンレス鋼表面に会合的に付着している、物品。
  30. 前記ステンレス鋼表面が、冷蔵庫、食器洗浄機、ストーブ若しくはコンロ、オーブン、電子レンジ、排気フード、揚げ鍋、グリーストラップ、調理テーブル、キャビネット、トイレ区画パーティション、小便器パーティション、エレベータ若しくはエスカレータにおける又はエレベータ若しくはエスカレータ上の装飾的又は機能的壁貼り、商業用建物における壁、自動車における装飾的又は機能的パネル、電子物品用の金属ケース、製造装置の部品、又はツールの少なくとも一部を形成する、請求項29に記載の物品。
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