JP2013535463A - タンパク質を精製するプロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、組換えタンパク質をグラム陰性細菌宿主細胞試料又はその抽出物から精製するための方法であって、前記宿主細胞が、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼDsbCを発現し、a.宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH5以下に調整して、組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させるステップ、及び、b.沈殿した組換えジスルフィドイソメラーゼDsbCを組換えタンパク質から分離して、組換えタンパク質試料を生産するステップを含む方法を提供する。

Description

本発明は、組換えタンパク質をグラム陰性宿主細胞試料又はその抽出物から精製するためのプロセスに関する。より具体的には、グラム陰性宿主細胞試料又はその抽出物を低いpHに調整して、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼの沈殿を行う。
組換えDNA技術は急速に発展しており、抗体、特に治療的抗体の生産において有用である。組換え遺伝子を発現させるための系は、当業者に周知である。これらには、哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、細菌細胞、並びにトランスジェニック動物及びトランスジェニック植物における発現が含まれる。発現系の選択は、コードされるタンパク質の特徴、例えば翻訳後修飾に応じる。他の考慮事項には、所望の量の所要の質の材料の生産に伴う時間、及び特にコストが含まれる。これらの後者の考慮事項は、規制認可に必要な質の、且つ多くの患者の治療に必要な量の治療的抗体の生産において特に重要である。
組換えタンパク質の生産に広く用いられている系は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)の発現に基づく。大腸菌の使用において直面する固有の問題は、治療に必要な量の、所要の質の材料を生産することの困難性である。特に、伴う時間及びコストは、桁違いであり得る。注目すべき1つの固有の問題は、大腸菌から抗体を精製する間の、抗体の収量において生じるロスである。
比例的に、精製コストは治療的抗体生成物の全コストの一部であるが、精製コストの割合は、上流の生産コストが安くなるほど増大する。したがって、抗体の回収及び精製の向上は、生産手段に関わらず、生産コストをさらに低下させることになる(Humphreys & Glover, Curr. Opin. Drug Discovery & Development, 2001, 4:172-185)。したがって、例えば生成物の回収の増大及び/又は生成物流の質の向上によって、時間及び/又はコストの削減を治療的抗体の生産、特に精製に導入する方法が必要とされている。
低い生成物収量は、下流の精製ステップの間に見られる特有の問題であることが多い。下流の精製における固有の問題は、治療的抗体が宿主細胞から抽出される際に放出される宿主細胞タンパク質(HCP)の分離に関連する。この問題に対処するために、多くのプロセス変更が試されてきた。このようなプロセスの例には、以下のものが含まれる。
目的のタンパク質は、沈殿し、次いで他のHCP汚染物質から分離され得る。しかし、治療的抗体の沈殿は、抗体に対して不可逆的なダメージを生じさせ得る。目的のタンパク質を特異的に沈殿させる技術は、非タンパク性の汚染物質を沈殿物内に閉じ込めて分離を無効にする結果となることが多い。
或いは、HCPは、治療的抗体から沈殿除去され得る。US7169908は、宿主細胞不純物を沈殿させるためのエタクリジンラクテート溶液の添加を記載している。しかし、エタクリジンラクテートなどの作用物質の使用は、これらが中絶剤として用いられており、且つこれが完全に除去されない場合は患者にとって有害であり得ることから、治療的タンパク質の生産には適していない。CHO細胞培養物に由来するHCPは、タンパク質を精製するために、小分子及びpH調整を用いて沈殿されている(Arunakumari A. et al. Advances in Non-Protein A Purification Processes for Human Monoclonal Antibodies Supplement to BioPharm International March 2009 p 22-26)。
このような方法は、宿主細胞汚染物質からの治療的抗体の精製の促進に寄与しているが、下流のプロセシングをさらに促進するために、治療的抗体の特性に負の影響を与えることなく、微生物宿主細胞系に由来するHCPの量を低減させるための改善された方法を提供する必要性が、依然として存在する。
さらに本発明者らが見出したことは、宿主による、特定のシャペロンタンパク質、例えばジスルフィドイソメラーゼ、例えばDsbCの発現が、抗体又はその断片の発現レベルの増大に有用であり得るということである。しかし、シャペロンタンパク質は有意なレベルで発現し、除去を必要とする大量のプロセス副産物となる。
大量の汚染物質の除去は困難であり得、それは、カラムクロマトグラフィーなどの方法によって、カラムのファウリング及び大量の試薬又は溶媒を用いる必要性に起因して、大量のタンパク質汚染物質の除去が困難であることが明らかになるためである。
単離されたDsbCを試験すると、これは、pH3などの低いpHで可溶性である。しかし、本発明者らは、驚くべきことに、5以下のpH調整を用いて、組換えジスルフィドイソメラーゼをグラム陰性細菌宿主細胞から沈殿させることができ、それによって治療的抗体などの目的の組換えタンパク質のさらなるプロセシングが促進されることを見出した。
1つの態様において、組換えタンパク質を、宿主細胞、例えば、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼを発現するグラム陰性細菌宿主細胞試料又はその抽出物から精製するための方法であって、
a.宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH5以下に調整して、組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させるステップ、及び
b.沈殿した組換えジスルフィドイソメラーゼを組換えタンパク質から分離して、組換えタンパク質試料を提供するステップ
を含む方法が提供される。
本発明はまた、組換えタンパク質をコードする発現ベクターで形質転換されたグラム陰性細菌宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH5以下に調整して、宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させ、その後、沈殿した宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼを組換えタンパク質から分離し、精製された組換えタンパク質試料を提供するステップの使用を提供する。
1つの実施形態において、組換え抗体又はその結合断片をグラム陰性細菌宿主細胞試料又は前記宿主細胞の抽出物から精製するための方法であって、前記宿主細胞が、組換え抗体又はその結合断片及び組換えジスルフィドイソメラーゼDsbCを発現し、
a.宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH範囲3.5から5に調整して、組換えDsbCを沈殿させるステップ、及び
b.沈殿した組換えDsbCを分離して、精製された組換え抗体又はその断片を含有する試料を提供するステップ
を含む方法が提供される。
驚くべきことに、このpH調整ステップは、かなりの量の宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼを溶液から沈殿させ、それによって、目的の組換えタンパク質からの宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼの分離を可能にする。これによって、クロマトグラフィーカラム上の結合部位について組換えタンパク質と競合する溶液内の宿主細胞ジスルフィドイソメラーゼを低減させることによって、下流のプロセシング、特にあらゆるその後のクロマトグラフィーステップ、例えば非アフィニティークロマトグラフィー捕捉が促進される。したがって、クロマトグラフィーカラムへのHCPのロードは最少になり、目的の組換えタンパク質の収量は、同一のサイズ及び数のクロマトグラフィーカラムを用いる場合、向上する。これによって、さらなる下流の精製の時間及びコストが低減する。
興味深いことに、純粋なDsbCは、pH範囲3.0から5では沈殿しない(図4を参照されたい)。しかし、抗体又はその結合断片を発現するグラム陰性細胞の複雑な環境に存在する場合、或いは前記細胞の内容物の一部又は全ての存在下では、DsbCは沈殿する。理論に縛られることは望まないが、通常、DsbCなどのジスルフィドイソメラーゼはpH範囲3.5から5で可溶性であっても、宿主細胞又はその抽出物の複雑なマトリクス環境は、前記タンパク質の沈殿をそのpH範囲で触媒すると仮定される。おそらく、沈殿が開始すると、それは継続し、高まる。
したがって、本開示に従った方法は、大規模での使用に適しており、したがって、抗体などのタンパク質の商業的なプロセシングにおいて非常に有用である。
対照pH6.9と比較した、pHがpH5.0、pH4.5、又はpH3.0に調整された後の宿主細胞溶液の観察された沈殿を示す図である。 対照pH7と比較した、pH5、pH4.5、又はpH3にpH調整した後の宿主細胞溶液についての、時間(T)=0での逆相HPLC分析のクロマトグラムを示す図である。 対照pH7と比較した、pH5、pH4.5、又はpH3にpH調整した後の宿主細胞溶液についての、T=0での逆相HPLC分析の個別のクロマトグラムを示す図である。 対照pH7と比較した、異なる時間間隔後の、pH3にpH調整した後のDsbCを含む溶液についての、逆相HPLC分析の個別のクロマトグラムを示す図である。 対照pH7と比較した、pH5、pH4.5、又はpH3にpH調整した後の宿主細胞溶液についての、様々な時点での逆相HPLC分析からの、DsbCについての全ピーク領域を示す図である。 対照pH7と比較した、pH5、pH4.5、又はpH3にpH調整した後の宿主細胞溶液についての、様々な時点での逆相HPLC分析からの、DBPについての全ピーク領域を示す図である。 対照pH6.9と比較した、pH5、pH4.5、又はpH3にpH調整した後の宿主細胞溶液についての、SDS−PAGE分析ゲルを示す図である。 配列番号1から16の配列を示す図である。 システイン残基を介してリシルマレイミドリンカーに共有結合している修飾された抗TNF Fab’断片を含む、CDP870と呼ばれる化合物の構造を示す図であり、化合物中、リシル残基上の各アミノ基には、nが約420であるメトキシPEG残基が共有結合で付着している。
配列の簡単な説明
配列番号1は、CDP870のCDRH1のアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、CDP870のCDRH2のアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、CDP870のCDRH3のアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、CDP870のCDRL1のアミノ酸配列を示す。
配列番号5は、CDP870のCDRL2のアミノ酸配列を示す。
配列番号6は、CDP870のCDRL3のアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、CDP870の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列及び予測されるアミノ酸配列を示す。
配列番号8は、CDP870の重鎖可変領域のヌクレオチド配列及び予測されるアミノ酸配列を示す。
配列番号9は、グラフト化された抗TNFαFab CDP870軽鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号10は、グラフト化された抗TNFαFab CDP870重鎖のアミノ酸配列を示す。
配列番号11は、ヒスタグ化されたDsbCのヌクレオチド配列である。
配列番号12は、ヒスタグ化されたDsbCのアミノ酸配列である。
配列番号13は、最初の26アミノ酸残基であるシグナル配列を含む野生型spr遺伝子の配列である。
配列番号14は、シグナル配列を有さない野生型spr遺伝子の配列である。
配列番号15は、開始コドンの上流の6つのヌクレオチドATGAATを含む突然変異したノックアウトTsp遺伝子のDNA配列である。
配列番号16は、大腸菌Fabの発現のための遺伝子間配列2(IGS2)をコードするオリゴヌクレオチドカセットを示す。
本発明をここでより詳細に説明する。
用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、文脈により別段の指示がない限り、本明細書において区別せずに用いられる。「ペプチド」は、10以下のアミノ酸を言うものとする。
用語「ポリヌクレオチド」には、DNA、cDNA、RNA、及びmRNAが含まれる。
本明細書において用いられる場合、本明細書の文脈における用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」と解釈されるべきである。
表現「細胞」、「細胞系」、「細胞培養物」、及び「株」は、区別せずに用いられる。
本明細書において用いられる宿主細胞抽出物(その抽出物)は、宿主細胞内容物の一部又は全て、すなわち、
・ 細胞から一部若しくは全ての化学的物質を抽出するための部分的又は全細胞溶解から得られる材料、又は
・ 細胞から発現されるタンパク質の1つ又は複数が液相内に放出されるように細胞をプロセシングすることから得られる材料
を言うために用いられる。
本明細書において用いられる、宿主細胞の内容物を形成する化学的物質及び材料は、液体、タンパク質、脂質、糖、リポ多糖、ペプチドグリカン、プラスミドDNA及び染色体DNA、RNA、小分子、例えばアミノ酸、金属イオン、レドックス活性分子、tRNA、並びに細胞内からの上記全ての断片を言う。
細胞から1つ又は複数のタンパク質を放出させるための方法には、熱処理、及び/又は細胞を非溶解圧力に晒すこと、及び/又は緩衝液、キレート剤、洗剤を含む化学物質、物理的崩壊の使用、及び/又は音波エネルギーの使用、及び/又は機械的せん断の使用が含まれる。
本明細書において用いられるグラム陰性細胞試料は、グラム陰性細胞の集団、例えば少なくとも2つのグラム陰性細胞を言うが、より具体的には、発酵プロセス、特に商業的な発酵プロセスにおいて用いられるバッチを言う。
本明細書において用いられる精製された組換え抗体又はその結合断片は、対応するプロセシングされていない形態よりも不純物及び汚染物質が少ない、抗体又は断片の形態を言うものとする。抗体又は断片は依然としてさらなる精製ステップを要し得るため、これは必ずしも絶対的な用語であるものではない。
1つの実施形態において、本発明に従った方法によって提供される精製された組換え抗体又はその結合断片は、実質的に純粋である。
本明細書において用いられる、実質的に純粋は、抗体又はその結合断片が90%の純度を超える、例えば、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の純度、特に95%の純度以上である場合を言う。
本明細書において記載される本発明は、組換えタンパク質分子をコードする発現ベクターで形質転換された宿主細胞試料を培養した後に、pHを5以下に調整するステップを用いて組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させ得、且つ、これが、タンパク質の精製に対して顕著な有利な影響を与えるという、驚くべき且つ予想外の観察に基づく。
本発明のステップa)は、宿主細胞試料又はその抽出物をpH5以下、pH5未満、pH4.5以下、又はpH3以下に調整することを要する。好ましい実施形態において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHは、pH4.5以下に、より好ましくはおよそpH4.5に調整される。本発明者らは、pH4.5が、組換えDsbCを沈殿させるため、及びその分離を可能にするために特に有利であることを見出した。
1つの実施形態において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHは、pH3未満、或いはpH3.5未満のpHに調整されない。したがって、宿主細胞試料又はその抽出物のpHは、好ましくは、pH3から4.9、pH3.5から4.9、pH3から4.5、又はpH3.5から4.5に調整される。
1つの実施形態において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHは、pH3以下に、より好ましくはおよそpH3に調整される。本発明者らは、pH3以下が、組換えDsbC及びまた宿主細胞ジペプチド結合タンパク質を沈殿させるため、及びその分離を可能にするために有利であることを見出した。
しかし、pH3以下は、DsbCタンパク質を宿主細胞又は抽出物から沈殿させるために適切であるが、低いpHは、抗体又はその結合断片のフォールディングした立体構造を改変させ得、したがって、プロセスの全てのパラメータを考慮すると、最適ではない可能性がある。
したがって、宿主細胞タンパク質を沈殿させるための最適なpHは、細胞により発現される特異的な抗体又は抗体断片に、特に、関連するpH範囲におけるそれらの安定性に応じる。
少なくとも1つのジスルフィドイソメラーゼ、例えば少なくともDsbCは、このプロセスを用いて沈殿する。1つの実施形態において、1つ又は複数の他の宿主細胞タンパク質もまた、このプロセスを用いて沈殿する。
本発明の方法のステップa)において、宿主細胞溶液又はその抽出物は、あらゆるさらなる精製ステップ、例えば遠心分離及び/若しくは濾過を行う前に、並びに/又は典型的には溶液のpHを上昇させるためのさらなるpH調整の前に、より低いpH、例えばpH5以下で、あらゆる適切な時間にわたり保持され得る。通常、宿主細胞溶液又はその抽出物は、24時間以下、12時間以下、6時間以下、5時間以下、2時間以下、1時間以下、30分以下、10分以下、又は7分以下にわたり保持される。
本発明の方法を用いた後、pHは、さらなるプロセシング、すなわちその後のプロセシング、例えばさらなる精製、例えば陰イオン交換クロマトグラフィーを用いる精製が行われる前に、例えば、pH6、6.5、又は7まで上昇し得る。
本発明の方法のステップa)は、あらゆる適切な温度で、例えば、20〜23℃などの室温で、又は1〜10℃などの低温で行うことができる。したがって、本方法を行うための適切な温度範囲には、少なくとも1から30℃が含まれる。
宿主細胞試料又はその抽出物のpHの調整は、pHを変化させ得るあらゆる適切な作用物質を用いて行うことができる。適切な作用物質の例は、氷酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、又はトリス塩基、及びその組み合わせである。作用物質は、30又は60%(v/v)の氷酢酸、1Mの水酸化ナトリウム、1Mの酢酸ナトリウム、及び2M又は3Mのトリス塩基などの、あらゆる適切な濃度であり得る。
これらの作用物質の1つ又は複数は、これらが無毒であるため、本開示に従った方法における使用に特に有利であり、例えば、治療的タンパク質の精製における組換えジスルフィドイソメラーゼの沈殿及び除去を可能にする。
ジスルフィドイソメラーゼは、タンパク質がフォールディングする際の、タンパク質内のシステイン残基間のジスルフィド結合の形成及び破壊を触媒する酵素である。タンパク質ジスルフィドイソメラーゼは、組換えタンパク質の抽出の際に宿主細胞から放出される。本発明の方法において用いられる宿主細胞は、組換えジスルフィドイソメラーゼを生産し、したがって、組換えジスルフィドイソメラーゼは、汚染宿主細胞タンパク質の大部分を構成する。本発明は、組換えジスルフィドイソメラーゼを組換えタンパク質から除去するための、時間及びコストの削減手段を提供している。DsbCなどの組換えジスルフィドイソメラーゼは、N末端及び/又はC末端にヒスチジンタグ(ヒスタグ)を含み得る。
ヒスチジンタグは、DsbC汚染が抗体又はその結合断片から除去されていることを示すための効果的なモニタリングを可能にするため、有利である。このことは重要であり、それは、標準的なポリクローナル血清はDsbCに対して反応性が乏しいか又は非反応性である傾向があり、したがって、DsbCが高レベルで過剰発現していてもDsbCを検出することが不可能であるため、野生型大腸菌に由来する細胞内容物に対するポリクローナル血清を用いる場合にはDsbCの存在を検出することが困難であり得るためである。ポリヒスなどの検出タグの存在によって、豊富に過剰発現しているDsbCの除去を、感度の高い免疫検出方法を用いて確実にモニタリング/確認することができる。
好ましい実施形態において、組換えジスルフィドイソメラーゼはDsbCである。DsbCは、大腸菌におけるジスルフィド結合の形成を触媒する、大腸菌のペリプラズムで見られる原核生物タンパク質である。DsbCは、236のアミノ酸配列長(シグナルペプチドを含む)及び25.6KDaの分子量を有する(UniProt番号P0AEG6)。DsbCは、1994年に最初に同定された(Missiakas et al. The Escherichia coli dsbC (xprA) gene encodes a periplasmic protein involved in disulfide bond formation, The EMBO Journal vol 13, no 8, p2013-2020, 1994、及びShevchik et al. Characterization of DsbC, a periplasmic protein of Erwinia chrysanthemi and Escherichia coli with disulfide isomerase activity, The EMBO Jounral vol 13, no 8, p2007-2012, 1994)。DsbCタンパク質は、N末端及び/又はC末端にヒスチジンタグ(ヒスタグ)を含み得る。
DsbCの予測されるpIは5.7であり、ヒスタグ化されたDsbCの予測されるpIは6.3である。タンパク質のpIは、様々な市販及び公開されているソフトウェア並びにExPASy ProtParamなどのオンラインpI予測設備を用いて予測することができる。
タンパク質は、溶液のpHがタンパク質のpIを通過すると沈殿することが予想され得る。しかし、図4から、DsbCの量がpH調整の後に低減しないことから、宿主細胞又は宿主細胞抽出物を有さないDsbC(ヒスタグ化された)溶液が、pH3に調整された場合に沈殿しないことが観察され得る。驚くべきことに、図3において示されるように、DsbCは、組換えDsbCを含む宿主細胞試料又はその抽出物をpH5未満にpH調整すると沈殿し、かなりの量のDsbCが、沈殿し、目的の組換えタンパク質から分離され得ることが見出された。したがって、DsbCなどのタンパク質の予測されるpIから、どのpHが宿主細胞試料又はその抽出物からの沈殿を可能にするために必要であるかを予測することは不可能である。
本明細書において用いられる場合、「組換えポリペプチド」は、組換えDNA技術を用いて構築又は生産されたタンパク質を言う。ジスルフィドイソメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、細菌細胞において見られる、ジスルフィドイソメラーゼをコードする内因性配列と同一であり得る。或いは、ジスルフィドイソメラーゼをコードする組換えポリヌクレオチド配列は、例えば制限部位が除去された、野生型ジスルフィドイソメラーゼ配列の突然変異型である。ジスルフィドイソメラーゼがDsbCである実施形態において、制限部位EcoRIが除去され得、且つ/又はヒスタグをコードする配列が付加され得る。本発明において用いるための、一例の修飾されたDsbCヌクレオチド配列は配列番号11で示され、これは、配列番号12で示されるヒスタグ化されたDsbCアミノ酸配列をコードする。
1つの実施形態において、突然変異DsbCは、−CXXC−によって表される突然変異した活性部位を有するDsbCタンパク質からなり、式中、XXは、TF、GF、HH、NY、SF、MF、VH、SH、RF、FA、GA、MA、GI、AV、PS、QA、SV、PR、PP、AL、PL、FL、TR、LL、VL、QL、LQである。
本発明の方法のステップa)の前に、本方法は、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼをコードする1つ又は複数の発現ベクターで形質転換された宿主細胞試料を培養することを含み得る。試料は、タンパク質の小規模生産から商業目的のためのタンパク質の大規模製造までの、あらゆる適切な規模であり得る。
タンパク質が抗体である1つの実施形態において、宿主細胞から生産される組換え抗体は、機能的抗体及び非機能的抗体の混合物であり得る。
宿主細胞は、細胞内に形質転換された、及び/又は宿主細胞のゲノム内に組み込まれた適切な発現ベクター上に存在し得るジスルフィドイソメラーゼをコードする組換えポリヌクレオチドを含む。好ましくは、ジスルフィドイソメラーゼをコードするポリヌクレオチドは細胞内の発現ベクター内にあり、それによって、宿主細胞のゲノムの破壊が最小になる。組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼは、同一の発現ベクター又は個別の発現ベクター上に存在し得る。
本発明において用いられる細胞は、グラム陰性細菌である。最も好ましくは、細胞は大腸菌である。細胞は、遺伝子操作されている組換え細胞である。大腸菌宿主細胞は、組換えタンパク質を生産し得る突然変異株である。組換え大腸菌宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue、及びJM109を含むあらゆる適切な大腸菌株に由来し得る。1つの例は、組換えタンパク質の発酵のための一般的に用いられる宿主株である、大腸菌W3110(ATCC27,325)である。例にはまた、修飾された大腸菌株、例えば代謝突然変異体及びプロテアーゼ欠損株が含まれる。
宿主細胞は、組換えジスルフィドイソメラーゼを生産するように遺伝子操作されている。組換えジスルフィドイソメラーゼを生産する宿主細胞は、組換えジスルフィドイソメラーゼの存在によって細胞溶解が低減し得、また組換えタンパク質のプロセシングが促進され得るため、特に有利である。
好ましい実施形態において、宿主細胞は、ヒスタグ化されたDsbCを含む組換えDsbCをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
本発明に従った宿主細胞は、1つ又は複数のさらなる遺伝子修飾を含み得る。
1つの実施形態において、宿主細胞はプロテアーゼ活性が低減している可能性があり、ここで、細胞は、プロテアーゼ活性が低減しているTspタンパク質をコードする突然変異したTsp遺伝子を含むか、又はノックアウト突然変異したTsp遺伝子である。
例えば、宿主細胞は、野生型細胞と比較してTspタンパク質活性が低減している可能性がある。Tsp(Prcとしても知られている)は、60kDaのペリプラズム性プロテアーゼである。Tspの最初に知られた基質は、ペニシリン結合タンパク質3(PBP3)であった(Determination of the cleavage site involved in C-terminal processing of penicillin-binding protein 3 of Escherichia coli; Nagasawa H, Sakagami Y, Suzuki A, Suzuki H, Hara H, Hirota Y. J Bacteriol. 1989 Nov;171(11):5890-3、及びCloning, mapping and characterization of the Escherichia coli Tsp gene which is involved in C-terminal processing of penicillin-binding protein 3; Hara H, Yamamoto Y, Higashitani A, Suzuki H, Nishimura Y. J Bacteriol. 1991 Aug;173 (15):4799-813)が、Tspはまたファージ尾部タンパク質を切断し得ることが後に発見され、したがって、これは尾部特異的プロテアーゼ(Tsp)と改名された(Silber et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 295-299 (1992))。
この実施形態において、細胞は、野生型細胞と比較してTspタンパク質活性が低減している。表現「野生型細胞と比較してTspタンパク質活性が低減している」は、細胞のTsp活性が野生型細胞のTsp活性と比較して低減していることを意味する。細胞は、Tspの活性を低減させるためのあらゆる適切な手段によって修飾され得る。1つの実施形態において、Tsp活性の低減は、Tspをコードする内因性ポリヌクレオチド及び/又は関連する調節性発現配列の修飾から生じる。修飾は、Tsp遺伝子の転写及び翻訳を低減若しくは停止させ得るか、又は野生型Tspタンパク質と比較してプロテアーゼ活性が低減したTspタンパク質を発現させ得る。1つの実施形態において、関連する調節性発現配列は、Tsp発現を低減させるように修飾される。例えば、Tsp遺伝子のプロモーターは、遺伝子の発現を阻害するように突然変異され得る。好ましい実施形態において、本発明に従った細胞は、プロテアーゼ活性が低減しているTspタンパク質をコードする突然変異したTsp遺伝子、又はノックアウト突然変異したTsp遺伝子を有する。好ましくは、染色体Tsp遺伝子が突然変異している。
Tsp(prc)活性の低減は、目的のタンパク質のタンパク質溶解を低減させるために望ましい。しかし、プロテアーゼprcを欠いている細胞が低浸透圧で感熱性の成長を示すことが見出された。Haraらは、遺伝子外サプレッサー(spr)突然変異を含有する熱耐性の復帰突然変異体を単離した(Hara et al., Microbial Drug Resistance, 2: 63-72 (1996))。Sprは、18kDaの膜結合型ペリプラズム性プロテアーゼであり、sprの基質は、Tsp、及び細胞分裂の間の細胞壁の加水分解に関与する外膜内のペプチドグリカンである。spr遺伝子は、UniProt KB/Swiss−Prot P0AFV4(SPR_ECOLI)と指定されている。突然変異spr遺伝子を含む、改善したプロテアーゼ欠損株が記載されている。Chenら(Chen C, Snedecor B, Nishihara JC, Joly JC, McFarland N, Andersen DC, Battersby JE, Champion KM. Biotechnol Bioeng. 2004 Mar 5;85(5):463-74)は、遺伝子の上流領域及び下流領域を増幅すること、並びにこれらを共に、選択マーカー及びsprW174R突然変異を含むベクター上でライゲーションすることによって生成する、prc(Tsp)及び別のプロテアーゼDegP内における突然変異の異なる組み合わせを有する大腸菌株の構築を記載している。大腸菌のペリプラズムにおける組換え抗体断片の高レベルの蓄積には、三重突然変異体(ΔDegP Δprc sprW174R)宿主株が必要である。
sprタンパク質の野生型アミノ酸配列は、N末端のシグナル配列を有する配列番号13及び26アミノ酸のシグナル配列を有さない配列番号14で示される(UniProt受託番号P0AFV4に従う)。本発明におけるsprタンパク質配列のアミノ酸番号付けには、シグナル配列が含まれる。したがって、sprタンパク質のアミノ酸1は、配列番号13で示される最初のアミノ酸(Met)である。
さらなる実施形態において、細胞は、突然変異したspr遺伝子を含む。sprタンパク質をコードする突然変異spr遺伝子は、C94、S95、V98、Y115、D133、V135、H145、G147、H157、及びW174から選択される1つ又は複数のアミノ酸に突然変異を有し得る。好ましくは、突然変異spr遺伝子は、C94、S95、V98、Y115、D133、V135、H145、G147、及びH157から選択される1つ又は複数のアミノ酸に突然変異を有するsprタンパク質をコードする。好ましくは、突然変異spr遺伝子は、S95、V98、Y115、D133、V135、及びG147から選択される1つ又は複数のアミノ酸に突然変異を有するsprタンパク質をコードする。spr突然変異は、突然変異したTsp遺伝子を含む細胞の成長表現型を抑制し得る。
アミノ酸C94、S95、V98、Y115、D133、V135、H145、G147、H157、及びW174の1つ又は複数は、あらゆる適切なアミノ酸に突然変異され得、その結果、突然変異したTsp遺伝子を含む細胞の表現型を抑制し得るsprタンパク質を生じさせる。例えば、S95、V98、Y115、D133、及びV135の1つ又は複数は、Gly又はAlaなどの低分子アミノ酸に突然変異され得る。好ましい実施形態において、sprタンパク質は、突然変異C94A、S95F、V98E、Y115F、D133A、V135D又はG、H145A、G147C、及びH157Aの1つ又は複数を含む。
さらなる実施形態において、突然変異したspr遺伝子は、突然変異W174Rを有するsprタンパク質をコードする。代替的な実施形態において、sprタンパク質は、突然変異W174Rを有さない。
本明細書における置換突然変異体の指定は、文字と、その後の数字と、その後の文字とからなる。最初の文字は、野生型タンパク質におけるアミノ酸を指定する。数字は、アミノ酸置換が生じているアミノ酸位置を言い、2つ目の文字は、野生型アミノ酸を置き換えるために用いられるアミノ酸を指定する。
したがって、好ましい実施形態において、本発明において用いられる細胞は、上記に定義したような、DsbC及び突然変異したspr遺伝子をコードする組換えポリヌクレオチドを含む。
さらに好ましい実施形態において、本発明において用いられる細胞は、野生型細胞と比較してTspタンパク質活性が低減しており、上記に定義したような、DsbC及び突然変異したspr遺伝子をコードする組換えポリヌクレオチドを含む。
1つの実施形態において、宿主細胞は、シャペロン活性を有しプロテアーゼ活性が低減しているDegPタンパク質をコードする突然変異したDegP遺伝子、及び/又は、プロテアーゼ活性が低減したプロテアーゼIIIタンパク質をコードするか、若しくはノックアウト突然変異したptr遺伝子である、突然変異したptr遺伝子、及び/又は、プロテアーゼ活性が低減したOmpTタンパク質をコードするか、若しくはノックアウト突然変異したOmpT遺伝子である、突然変異したOmpT遺伝子を含む。
1つの実施形態において、宿主細胞は、以下のような1つ又は複数のタンパク質を発現する。
・ FkpA、Skp、SurA、PPiA、及びPPiDなどの、タンパク質のフォールディングを促進し得る1つ又は複数のタンパク質、並びに/又は
・ SecY、SecE、SecG、SecYEG、SecA、SecB、FtsY、及びLepなどの、タンパク質の分泌若しくは転位を促進し得る1つ又は複数のタンパク質、並びに/又は
・ DsbA、DsbB、DsbD、DsbGなどの、ジスルフィド結合の形成を促進し得る1つ又は複数のタンパク質。
上記のタンパク質の1つ又は複数は、細胞のゲノム内に組み込まれ得、且つ/又は発現ベクター内に挿入され得る。
1つの実施形態において、宿主細胞は、以下のタンパク質の1つ又は複数をコードする組換えポリヌクレオチドを含まない。
・ FkpA、Skp、SurA、PPiA、及びPPiDなどの、タンパク質のフォールディングを促進し得る1つ又は複数のタンパク質、
・ SecY、SecE、SecG、SecYEG、SecA、SecB、FtsY、及びLepなどの、タンパク質の分泌若しくは転位を促進し得る1つ又は複数のタンパク質、並びに
・ DsbA、DsbB、DsbD、DsbGなどの、ジスルフィド結合の形成を促進し得る1つ又は複数のタンパク質。
1つの実施形態において、本発明において用いられる細胞は、野生型細胞と比較してTspタンパク質活性が低減しており、上記に定義したような、DsbC及び突然変異したspr遺伝子をコードする組換えポリヌクレオチドを含み、上記に定義したような、DsbC及び突然変異したspr遺伝子をコードする組換えポリヌクレオチド、並びにFkpA及び/又はSkpを含む。
本発明の方法を用いて生産される組換えタンパク質は、典型的には、タンパク質の性質及び生産規模に応じて、大腸菌宿主細胞のペリプラズム又は宿主細胞培養物の上清において発現する。タンパク質をこれらの区画に標的化するための方法は、当技術分野において周知であり、閲覧のためには、Makrides, Microbiological Reviews, 1996, 60, 512-538を参照されたい。タンパク質を大腸菌のペリプラズムに向けるための適切なシグナル配列の例には、大腸菌PhoA、OmpA、OmpT、LamB、及びOmpFシグナル配列が含まれる。タンパク質は、天然の分泌経路に依存することによって、又は外膜の限られた漏出を誘発してタンパク質の分泌を生じさせることによって、上清に標的化され得、後者の例は、pelBリーダーの使用、タンパク質Aリーダーの使用、バクテリオシン放出タンパク質の共発現の使用、培地へのグリシンの添加及び膜の透過化のためのkil遺伝子の共発現を伴う、マイトマイシン誘発性のバクテリオシン放出タンパク質の使用である。最も好ましくは、本発明の方法において、組換えタンパク質は、宿主大腸菌のペリプラズムにおいて発現する。
大腸菌宿主細胞における組換えタンパク質の発現はまた、誘導系の制御下にあり得、これによって、大腸菌における組換えタンパク質の発現は、誘導性プロモーターの制御下にある。大腸菌における使用に適した多くの誘導性プロモーターが、当技術分野において周知であり、プロモーターに応じて、組換えタンパク質の発現は、温度又は成長培地における特定の物質の濃度などの可変因子によって誘発され得る(Baneyx, Current Opinion in Biotechnology, 1999, 10:411-421; Goldstein and Doi, 1995, Biotechnol.Annu.Rev, 105-128)。誘導性プロモーターの例には、ラクトース又は加水分解不可能なラクトース類似体、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導性である大腸菌のlacプロモーター、tacプロモーター、及びtrcプロモーター、並びにそれぞれホスフェート、トリプトファン、及びL−アラビノースによって誘発されるphoAプロモーター、trpプロモーター、及びaraBADプロモーターが含まれる。発現は、例えば、誘導因子の添加、又は誘発が温度依存性である場合には温度の変化によって誘発され得る。組換えタンパク質の発現の誘発が培養物への誘導因子の添加によって達成される場合、誘導因子は、発酵系及び誘導因子に応じるあらゆる適切な方法によって、例えば、単一若しくは複数のショット添加によって、又は供給を介する誘導因子の段階的な添加によって、添加され得る。当然のことながら、誘導因子の添加とタンパク質発現の実際の誘発との間には遅延が存在し得、例えば、誘導因子がラクトースである場合、タンパク質発現の誘発が生じる前に遅延が存在し得るが、あらゆる既存の炭素源がラクトースの前に利用される。
大腸菌宿主細胞培養物(発酵物)は、大腸菌の成長及び組換えタンパク質の発現を助けるあらゆる培地内で培養することができる。培地は、本明細書において記載されるような、成長速度を制御するのに適した変更を伴う、Pirt S.J. (1975) Principles of Microbe and Cell Cultivation, Blackwell Scientific Publicationsにおいて提供されるものなどの、あらゆる化学的に規定された培地であり得る。適切な培地の例は、Humphreys et al., 2002, Protein Expression and Purification, 26:309-320によって記載されている「SM6E」である。
大腸菌宿主細胞の培養は、所要の生産規模に応じて、振とうフラスコ又は発酵槽などのあらゆる適切な容器内で行うことができる。1,000リットル超から最大約100,000リットルの最大容量を有する様々な大規模発酵槽が利用可能である。好ましくは、1,000から50,000リットルの発酵槽が用いられ、より好ましくは、1,000から10,000又は12,000リットルの発酵槽が用いられる。0.5リットルと1,000リットルとの間の最大容量を有する、より小規模の発酵槽も用いることができる。
大腸菌の発酵は、タンパク質及び所要の収量に応じて、あらゆる適切な系、例えば連続モード、バッチモード、又は流加モードで行うことができる(Thiry & Cingolani, 2002, Trends in Biotechnology, 20:103-105)。バッチモードは、所要の栄養又は誘導因子のショット添加と共に用いることができる。或いは、流加培養を用いることができ、培養物は、発酵槽内に最初から存在している栄養、及び発酵が完了するまで成長速度を制御するために用いられる1つ又は複数の栄養供給レジメを用いて持続され得る、最大の固有の成長速度での、バッチモードの事前誘発で成長している。流加モードもまた、大腸菌宿主細胞の代謝を制御するため、及びより高い細胞密度に達するようにするための事前誘発において用いることができる(Lee, 1996, Tibtech, 14:98-105)。
必要であれば、宿主細胞は、発酵培地から回収することができ、例えば、宿主細胞は、遠心分離、濾過、又は濃縮によって、試料から回収することができる。特に、本発明の方法は、治療的質の抗体の大規模工業生産に適している。
1つの実施形態において、本発明に従った方法は、培養ステップの後の遠心分離ステップを含み、その後、抽出緩衝液を添加することによる細胞の懸濁が行われる。
培養ステップの後、本方法は、組換えタンパク質を宿主細胞から放出させるための抽出ステップを含み得る。抽出は、機械的処理又は加圧処理による細胞溶解、凍結融解処理、浸透圧衝撃、抽出剤処理、又は熱処理などの、あらゆる適切な方法によって行うことができる。このような抽出方法は、当技術分野において周知である。
好ましい実施形態において、抽出緩衝液が試料に添加され、試料は次に、熱処理ステップに供される。熱処理ステップは、好ましくは、US5,665,866(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)において詳細に記載されているものである。熱処理ステップによって、他の抗体関連材料の除去を促進することによって、可溶性で、正確にフォールディングし、且つ組み立てられた抗体の試料を得ることが可能になる。「正確にフォールディングし、且つ組み立てられた」抗体は、非還元SDS PAGEでの、組み立てられた重鎖及び軽鎖の予想分子量に対応する単一バンドの存在によって示される。他の抗体関連材料は、典型的には、正確にフォールディングし、且つ組み立てられた抗体の部分的に分解された断片である、遊離した重鎖及び軽鎖又はその一部である。
熱処理ステップは、試料を所望の高温に晒すことによって行われる。最も好ましくは、熱処理ステップは、30℃から70℃の範囲内で行われる。温度は、要望通りに選択することができ、また、精製するためのタンパク質の安定性に応じ得る。別の実施形態において、温度は、40℃から65℃の範囲内、又は好ましくは40℃から60℃の範囲内、より好ましくは45℃から60℃の範囲内、さらに好ましくは50℃から60℃の範囲内、そして最も好ましくは55℃から60℃、58℃から60℃又は59℃である。したがって、最低温度は30℃、35℃、又は40℃であり、最高温度は60℃、65℃、又は70℃である。
熱処理ステップは、好ましくは、長時間にわたり行われる。熱処理の長さは、好ましくは、1時間と24時間との間、より好ましくは4時間と18時間との間、さらに好ましくは6時間と16時間との間、そして最も好ましくは10時間と14時間との間又は10時間と12時間との間、例えば12時間である。したがって、熱処理の最短時間は1、2、又は3時間であり、最長時間は20、22、又は24時間である。
特定の実施形態において、熱処理は、50℃から60℃で10から16時間、より好ましくは59℃で10から12時間行われる。当業者には、温度及び時間が問題の試料及び生産されるタンパク質の特徴に適するように選択され得ることが理解されよう。
抽出ステップの後、試料は、pH調整ステップの前の遠心分離及び/又は濾過のステップに供することができる。
本発明のステップa)に供される試料は、宿主細胞試料又はその抽出物である。したがって、ステップa)は、例えば、
・ 組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼを発現する宿主細胞の集団を含む溶液、
・ 宿主細胞を除去するための遠心分離及び/又は濾過の後の、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼを発現する宿主細胞の集団の上清、
・ 熱処理などの抽出ステップの後の、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼを発現する宿主細胞の集団の抽出物、或いは
・ 熱処理などの抽出ステップ並びに1つ又は複数のその後の遠心分離及び/又は濾過のステップの後の、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼを発現する宿主細胞の集団の抽出物
に対して行うことができる。
ステップa)の前に、宿主細胞溶液又はその抽出物は適切なpHであり、典型的には、宿主細胞溶液又はその抽出物のpHは、pH5から10、好ましくはpH6から8、又はおよそpH7である。ステップa)の前の宿主細胞溶液又はその抽出物のpHは、目的の組換えタンパク質のpIに応じ得る。タンパク質は、pHがタンパク質のpIに調整されるか又はタンパク質のpIを通過すると沈殿する傾向を有し得る。したがって、pH調整ステップの前の溶液のpHは、pH調整ステップによって溶液のpHが組換えタンパク質のpIになるか又は組換えタンパク質のpIを通過することが絶対にないように、組換えタンパク質のpIより低いことが好ましい。例えば、組換えタンパク質のpIが約8であれば、組換えタンパク質の沈殿を最少にするためには、溶液のpHは好ましくはpH8未満である。pHをpH5未満に低下させるステップもまた、組換えタンパク質のpIを好適に避ける。
タンパク質のpIは、それが入っている溶液のイオン強度に応じる。したがって、水又は非常に低いイオン強度の緩衝液内のタンパク質の計算されるpIは、緩衝液及びHCPを含む宿主細胞試料又はその抽出物内のタンパク質のpIと異なり得る。タンパク質のpIは、水又は非常に低いイオン強度の緩衝液内のタンパク質の測定されるpIよりも1、1.5、又は2pH単位低い場合がある。したがって、宿主細胞溶液又はその抽出物のpHは、好ましくは、水又は非常に低いイオン強度の緩衝液内で測定される目的の組換えタンパク質のpIより1、1.5、又は2pH単位低いpHに維持される。
本発明に従った方法のステップb)において、沈殿した組換えジスルフィドイソメラーゼは、組換えタンパク質から分離されて、組換えタンパク質試料が生じる。ステップb)は、典型的には、沈殿した組換えジスルフィドイソメラーゼを分離するための遠心分離及び/又は濾過を含む。
得られた組換えタンパク質試料は、ステップa)の前の組換えジスルフィドイソメラーゼの量と比較して、組換えジスルフィドイソメラーゼの量が低減している。好ましくは、ステップb)の後の組換えタンパク質試料は、組換えジスルフィドイソメラーゼを実質的に有さない。しかし、一部の組換えジスルフィドイソメラーゼが試料内に残っている可能性があり、これは、後の精製ステップによって除去され得る。当業者は、当技術分野において周知の方法を用いて、組換えジスルフィドイソメラーゼが依然として組換えタンパク質試料内に存在しているかどうかを決定することができる。例えば、ELISA分析を用いて、DsbCなどの組換えジスルフィドイソメラーゼを検出することができる。DsbCなどの組換えジスルフィドイソメラーゼに特異的な抗体を用いることができるか、又は、DsbC−ヒスタグなど、組換えジスルフィドイソメラーゼがヒスタグ化されている場合、抗ヒスタグ抗体を組換えジスルフィドイソメラーゼの検出に用いることができる。
本明細書において用いられる、実質的に有さないは、5%w/w以下、例えば4、3、2、1、又は0.5%w/w以下を含有することを言うものとする。
1つの実施形態において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHがpH3以下(例えばpH3)に調整される場合、宿主細胞タンパク質のジペプチド結合タンパク質(「DBP」とも呼ばれる)が、ステップb)において組換えタンパク質から沈殿及び分離される。この実施形態において、得られた組換えタンパク質試料はまた、宿主細胞のジペプチド結合タンパク質(DBP)の量が低減している。好ましくは、得られた組換えタンパク質試料は、DBPを実質的に有さない。
好ましくは、得られた組換えタンパク質試料はまた、ステップa)の間に同様に沈殿し得る、他の宿主細胞タンパク質の量も低減している。好ましくは、得られた組換えタンパク質試料は、他の宿主細胞タンパク質を実質的に有さない。
本発明のステップa)及びb)の後の目的の組換えタンパク質の収量は、典型的には75%以上、80%以上、85%以上、又は90%以上である。
ステップb)の後、組換えタンパク質試料のpHは、組換えタンパク質の保管又はクロマトグラフィーなどの下流の精製ステップの実施に適切なpHに調整することができる。先に論じたように、溶液のpHは、pHが組換えタンパク質のpIではないことを確実にすることによって、目的の組換えタンパク質の沈殿が最少になるように調整することができる。好ましくは、組換えタンパク質試料のpHは、pH5から7、より好ましくはpH5から6に調整される。正確な所要のpHは、タンパク質のpIを含む、組換えタンパク質の特性、及びどの下流の精製ステップが行われるかに応じる。組換えタンパク質試料のpHを調整するために、NaOH、Naアセテート、又はトリス塩基から選択される塩基などの、あらゆる適切な作用物質を用いることができる。
或いは、本方法はステップb)の後にpH調整ステップを含まない。この実施形態において、組換えタンパク質試料のpHは、組換えタンパク質の保管及び/又は1つ若しくは複数のその後の下流の精製ステップに適切であり得る。1つの実施形態において、ステップa)において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHはpH4.5に調整され、ステップb)は遠心分離及び濾過を含み、ステップb)の後の得られた組換えタンパク質溶液は、次に、pH4.5での陽イオン交換クロマトグラフィーステップに供される。
或いは、クロマトグラフィーステップは、より高いpH、例えばpH以上、例えば5から8、特に6又は7で行うことができる。
ステップb)の後、組換えタンパク質試料は、汚染物質、及び/又は抗体断片などの望ましくないタンパク質断片を除去するために、1つ又は複数のさらなる精製ステップに供され得る。典型的には、組換えタンパク質試料は、1つ又は複数のクロマトグラフィーステップに供され、ここで、クロマトグラフィーの各ステップの後に、精密濾過、ダイアフィルトレーション、又は限外濾過などの濾過ステップを行うことができる。1つ又は複数のクロマトグラフステップは、アフィニティークロマトグラフィーステップ又は非アフィニティークロマトグラフィーステップであり得る。1つの実施形態において、クロマトグラフは、陽イオン交換クロマトグラフィー又は陰イオン交換クロマトグラフィーなどの非アフィニティークロマトグラフィーステップである。
1つの実施形態において、ステップa)において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHはpH4.5に調整され、ステップb)は遠心分離及び濾過を含み、ステップb)の後の得られた組換えタンパク質溶液は、次に、pH4.5での陽イオン交換クロマトグラフィーステップに供される。
本発明の方法は、非アフィニティークロマトグラフィーステップが下流の精製において用いられる場合に特に有利である。これは、組換えジスルフィドイソメラーゼを含む大量の宿主細胞タンパク質が、これらが事前に分離していない場合に、クロマトグラフィーカラムに結合し得るためである。したがって、クロマトグラフィーカラムの所望の組換えタンパク質に結合する能力は、低減する。組換えジスルフィドイソメラーゼを含む宿主細胞タンパク質の分離は、その後の非アフィニティークロマトグラフィーカラムの能力を増大させ、これにより、組換えタンパク質のより速くより安い精製手段が提供される。
本発明のステップa)の間、組換えタンパク質は、部分的にアンフォールディングしていて良く、一方、溶液はpH5以下で保持される。しかし、タンパク質の部分的なアンフォールディングは可逆的であり、沈殿したジスルフィドイソメラーゼの分離の後、タンパク質溶液のpHは、pH5より上、好ましくはpH5から7、又はpH5から6に調整され得、タンパク質は次に、その元のフォールディングした立体構造を取り得る。したがって、全面的に、低いpHでの保持ステップによって、不純物を除去するための比較的穏やかな条件がもたらされ、最短期間の結果となる。本発明の方法によって提供される組換えタンパク質試料は、機能的タンパク質の大部分を含む。
宿主細胞によって発現される目的の組換えタンパク質は、好ましくはpI6以上を有し、より好ましくはpI7以上を有する。先に論じられているように、タンパク質が6以上のpIを有する場合、試料のpHをタンパク質のpIより低く、好ましくは水又は非常に低いイオン強度の緩衝液内のタンパク質のpIより1、1.5、又は2pH単位低く維持することによってタンパク質の沈殿を最少にすることはより容易であり、試料のpHをpH5以下に調整するステップは、溶液のpHをタンパク質のpIに調整することはない。
目的の組換えタンパク質は、好ましくは、組換え抗体である。組換え抗体は、好ましくは、pI6から10、7から10、6から9、7から9、8から9、6、7、8、又は9を有する。試料のpHは、抗体の最少の沈殿を確実にするために、ステップa)の前、間、及び後に、好ましくは、組換え抗体のpIより低く、より好ましくは組換え抗体のpIより1、1.5、又は2pH単位低く維持される。
好ましい実施形態において、組換え抗体はpI7〜9を有し、試料のpHは、ステップa)において、pH3から4.5、より好ましくはpH4.5に調整される。
組換え抗体の具体的な例は、本明細書及びWO01/094585において記載されているように、抗TNF Fab’CDP870であり、これは、pI8を有する。
1つの実施形態において、組換え抗体又はその結合断片は、抗TNF Fab’CDP870である。
本明細書において用いられる場合、「機能的抗体」には、それが対抗する抗原(同族抗原)、すなわちそれが特異的である抗原を特異的に認識するか又はそれに特異的に結合する能力を保持する、抗体分子が含まれる。機能的抗体の生産は、抗体の予想分子量に対応する非還元SDS−PAGEでの単一バンドの存在によって、又は、BIAcore若しくは当業者に知られている他の方法、例えば限定はしないがELISAを用いる直接的な結合アッセイによって示される。非機能的抗体には、その同族抗原を認識しない断片が含まれ、また、不正確にフォールディングした又は不正確に組み立てられた抗体、遊離した重鎖及び軽鎖、並びにその断片が含まれ、当該断片には、その同族抗原を認識しないか又はこれに結合しない、部分的に分解した抗体断片が含まれる。
抗体の結合断片は、抗体がそれに対して特異的である抗原を結合し得る断片である。
好ましい例において、組換え抗体分子は、抗体軽鎖の少なくとも一部及び抗体重鎖の少なくとも一部であり、その結果、発現した軽鎖抗体分子及び重鎖抗体分子の少なくともいくつかが結びついて機能的抗体を形成し得る。
本明細書において用いられる場合、PCT/GB2008/003331において記載されているように、「抗体」は、完全長の重鎖及び軽鎖を有する抗体;その機能的に活性な断片、結合断片、誘導体、又は類似体を含み、限定はしないが、VH、VL、VHH、Fab、修飾されたFab、改変されたヒンジFab、Fab’、F(ab’)、又はFv断片;軽鎖又は重鎖の単量体又は二量体;単鎖抗体、例えば、重鎖及び軽鎖の可変ドメインがペプチドリンカーによって連結されている一本鎖Fv、Fab−Fv、又は二重特異的抗体、例えばFab−dAbであり得る。
抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二価抗体、三価抗体、若しくは四価抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であり得る。これらの抗体及びその断片は、天然抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はCDRグラフト化された抗体であり得、標準的な分子生物学的技術を用いて、アミノ酸又はドメインを要望通りに修飾、付加、又は欠失させることができる。ヒト化抗体は、非ヒト種に由来する1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を有する、非ヒト種に由来する抗体分子である(例えば、US5,585,089を参照されたい)。本発明の方法を用いて精製された抗体分子は、あらゆるクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)又はサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。
これらの抗体分子を生成するための方法は、当技術分野において周知である(例えば、Shrader et al., WO 92/02551; Ward et al., 1989, Nature, 341:544; Orlandi et al., 1989, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 86:3833; Riechmann et al., 1988, Nature, 322:323; Bird et al, 1988, Science, 242:423; Queen et al., US 5,585,089; Adair, WO91/09967; Mountain and Adair, 1992, Biotechnol. Genet. Eng. Rev, 10:1-142; Verma et al., 1998, Journal of Immunological Methods, 216:165-181を参照されたい)。
モノクローナル抗体は、当技術分野において知られているあらゆる方法、例えば、ハイブリドーマ技術(Kohler & Milstein, 1975, Nature, 256:495-497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., 1983, Immunology Today, 4:72)、及びEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp77-96, Alan R Liss, Inc., 1985)によって調製することができる。
キメラ抗体は、軽鎖及び重鎖の遺伝子が異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構成されるように遺伝子操作されている免疫グロブリン遺伝子によってコードされる抗体である。これらのキメラ抗体は、あまり抗原性ではないと考えられる。二価抗体は、当技術分野において知られている方法によって作製することができる(Milstein et al., 1983, Nature 305:537-539; WO 93/08829, Traunecker et al., 1991, EMBO J. 10:3655-3659)。二価抗体、三価抗体、及び四価抗体は、複数の特異性を含み得るか、又は単一特異的であり得る(例えば、WO 92/22853を参照されたい)。
抗体配列はまた、Babcook, J. et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(15):7843-7848によって、及びWO 92/02551において記載されているように、分子クローニングと、特異的抗体の生産のために選択された単一リンパ球から生成した免疫グロブリン可変領域のcDNAの発現とに基づく、単一リンパ球抗体法を用いて生成することができる。後者の方法は、次いでクローン的に増殖される個別の抗体生産細胞の単離、その後の、その同族抗原を認識する抗体を生産するクローンについてのスクリーニング、並びに、必要に応じて、その可変重鎖(V)及び可変軽鎖(V)の遺伝子の配列のその後の同定に依存する。或いは、その同族抗原を認識する抗体を生産する細胞を共に培養し、その後、スクリーニングすることができる。
抗体は、あらゆる標的抗原に特異的であり得る。抗原は、細胞関連タンパク質、例えば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞、若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面タンパク質であり得るか、又は、可溶性タンパク質であり得る。目的の抗原はまた、あらゆる医学的に関連のあるタンパク質、例えば、疾患又は感染の間に上方調節されるタンパク質、例えば、受容体及び/又はその対応するリガンドであり得る。細胞表面タンパク質の特定の例には、接着分子、例えばインテグリン、例えばβ1インテグリン、例えば、VLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン、又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD40L、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、CSF1又はCSF1受容体、DPCR1、DPCR1、dudulin2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI抗原及びMHCクラスII抗原、KDR及びVEGF、PD−1、DC−SIGN、TL1A、IL−7受容体A、並びに適切である場合にはその受容体が含まれる。
可溶性抗原には、インターロイキン、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−13、IL−14、IL−16、又はIL−17、例えばIL17A及び/又はIL17F、ウイルス抗原、例えば、呼吸器合胞体ウイルス抗原又はサイトメガロウイルス抗原、免疫グロブリン、例えばIgE、インターフェロン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、又はインターフェロンγ、腫瘍壊死因子TNF(以前は腫瘍壊死因子−αとして知られており、本明細書においてはTNF又はTNFαと呼ばれる)、腫瘍壊死因子−β、コロニー刺激因子、例えばG−CSF又はGM−CSF、及び血小板由来増殖因子、例えばPDGF−α及びPDGF−β、WISP−1、並びに適切な場合にはその受容体が含まれる。他の抗原には、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、ウイルス、例えばインフルエンザ、EBV、HepA、B、及びC、バイオテロ剤、放射性核種及び重金属、並びにヘビ及びクモの毒液及び毒素が含まれる。
1つの実施形態において、抗体は、目的の抗原の活性を機能的に改変するために用いることができる。例えば、抗体は、前記抗原の活性を、直接的又は間接的に、中和し得るか、それに拮抗し得るか、又は作動させ得る。
好ましい実施形態において、抗体は抗TNF抗体であり、より好ましくは、WO01/094585(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)において記載されているような、抗TNF Fab’CDP870である。
1つの実施形態において、ヒトTNFαに対する特異性を有する抗体は重鎖を含み、その可変ドメインは、CDRH1について配列番号1で示される配列、CDRH2について配列番号2で示される配列、又はCDRH3について配列番号3で示される配列を有するCDRを含む。
1つの実施形態において、抗体は軽鎖を含み、その可変ドメインは、CDRL1について配列番号4で示される配列、CDRL2について配列番号5で示される配列、又はCDRL3について配列番号6で示される配列を有するCDRを含む。
1つの実施形態において、抗体は、可変ドメインがCDRH1について配列番号1で示される配列、CDRH2について配列番号2で示される配列、又はCDRH3について配列番号3で示される配列を有するCDRを含む重鎖、並びに可変ドメインがCDRL1について配列番号4で示される配列、CDRL2について配列番号5で示される配列、又はCDRL3について配列番号6で示される配列を有するCDRを含む軽鎖を含む。
1つの実施形態において、抗体は、CDRH1についての配列番号1、CDRH2についての配列番号2、CDRH3についての配列番号3、CDRL1についての配列番号4、CDRL2についての配列番号5、及びCDRL3についての配列番号6を含む。
抗体は、好ましくは、CDRグラフト化された抗体分子であり、典型的には、可変ドメインは、ヒトのアクセプターフレームワーク領域及び非ヒトのドナーCDRを含む。
好ましくは、抗体は、軽鎖可変ドメインCDP870(配列番号7)及び重鎖可変ドメインCDP870(配列番号8)を含む。
好ましくは、抗体は、修飾されたFab断片であり、ここで修飾は、エフェクター分子又はレポーター分子の付着を可能にするための、その重鎖のC末端への1つ又は複数のアミノ酸の付加である。好ましくは、さらなるアミノ酸は、エフェクター分子又はレポーター分子が付着し得る、1つ又は2つのシステイン残基を含有する、修飾されたヒンジ領域を形成する。このような修飾されたFab断片は、好ましくは、配列番号10で示される配列を含むか又はこれからなる重鎖、及び配列番号9で示される配列を含むか又はこれからなる軽鎖を有する。
本発明において用いられる宿主細胞は、抗体をコードするDNA配列を含む。好ましくは、DNA配列は、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする。
1つの好ましい実施形態において、DNA配列は軽鎖をコードし、配列番号7若しくは配列番号9で示される配列(CDP870)又はその縮重同等物を含む。
代替的な好ましい実施形態において、DNA配列は重鎖をコードし、配列番号8若しくは配列番号10で示される配列(CDP870)又はその縮重同等物を含む。
DNA配列は、例えば化学的プロセシングにより生産される合成DNA、cDNA、ゲノムDNA、又はあらゆるその組み合わせを含み得る。
抗体の定常領域ドメインは、存在する場合、抗体分子の提案される機能、特に、所要であり得るエフェクター機能の観点から選択することができる。例えば、定常領域ドメインは、ヒトのIgAドメイン、IgDドメイン、IgEドメイン、IgGドメイン、又はIgMドメインであり得る。特に、抗体分子が治療的使用を目的とされており、抗体のエフェクター機能が所要である場合には、特にIgG1アイソタイプ及びIgG3アイソタイプの、ヒトIgG定常領域ドメインを用いることができる。或いは、抗体分子が治療目的のものであり、抗体エフェクター機能が所要ではない場合、例えば、TNFα活性をブロックするだけの場合では、IgG2アイソタイプ及びIgG4アイソタイプを用いることができる。
組換えタンパク質を発現させるための方法は、当技術分野において周知である。組換え抗体分子を発現させるための宿主細胞の適切な例には、グラム陽性細菌若しくはグラム陰性細菌などの細菌、例えば大腸菌若しくは酵母細胞、例えばサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、又は哺乳動物細胞、例えばCHO細胞、及び骨髄腫細胞系若しくはハイブリドーマ細胞系、例えばNSO細胞が含まれる。最も好ましくは、本発明の方法において、組換え抗体は、細菌、例えば大腸菌において生産される(Verma et al., 1988, J. Immunol. Methods 216:165-181; Simmons et al., 2002, J. Immunol. Methods 263:133-147を参照されたい)。
発現の後、抗体はさらに、例えば、エフェクター分子などの別の実体へのコンジュゲーションによって、プロセシングされ得る。したがって、本発明に従った方法は、エフェクター分子を抗体に付着させるさらなるステップを含み得る。
本明細書において用いられる用語エフェクター分子には、例えば、抗腫瘍剤、薬剤、毒素(例えば、細菌又は植物由来の酵素的に活性な毒素及びその断片、例えば、リシン及びその断片)、生物学的に活性なタンパク質、例えば酵素、他の抗体又は抗体断片、合成又は天然のポリマー、核酸及びその断片、例えば、DNA、RNA、及びその断片、放射性核種、特に放射性ヨウ素、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子、及びレポーター基、例えば蛍光化合物又はNMR若しくはESR分光法によって検出され得る化合物が含まれる。エフェクター分子は、あらゆる適切な方法によって抗体又はその断片に付着され得、例えば、抗体断片は、WO05/003171又はWO05/003170(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)において記載されているように、少なくとも1つのエフェクター分子を付着するように修飾され得る。WO05/003171又はWO05/003170はまた、適切なエフェクター分子を記載している。
抗体には、重金属原子又は毒素、例えばリシンをキレート化するための大員環が、共有結合による架橋構造によって付着している。或いは、組換えDNA技術の手順を用いて、完全な免疫グロブリン分子のFc断片(CH2、CH3、及びヒンジドメイン)、CH2ドメイン及びCH3ドメイン、又はCH3ドメインが、機能的な非免疫グロブリンタンパク質、例えば酵素分子又は毒素分子によって置き換えられているか、又はこれらにペプチド結合によって付着している、抗体分子を生産することができる。抗体が、エフェクター分子又はレポーター分子の付着を可能にするためにその重鎖のC末端に1つ又は複数のアミノ酸を有する、修飾されたFab断片である実施形態において、さらなるアミノ酸は、好ましくは、エフェクター分子又はレポーター分子が付着し得る1つ又は2つのシステイン残基を含有する、修飾されたヒンジ領域を形成する。
好ましいエフェクター基は、修飾されたFab断片に付着してインビボでのその半減期を増大させ得るポリマー分子である。
ポリマー分子は、通常、合成又は天然のポリマー、例えば、任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖のポリアルキレンポリマー、ポリアルケニレンポリマー、若しくはポリオキシアルキレンポリマー、又は分岐した若しくは分岐していない多糖、例えばホモ多糖若しくはヘテロ多糖であり得る。
上記の合成ポリマー上に存在し得る特定の任意選択の置換基には、1つ又は複数のヒドロキシ基、メチル基、又はメトキシ基が含まれる。合成ポリマーの特定の例には、任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、又はその誘導体、特に、任意選択で置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体が含まれる。特定の天然ポリマーには、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、又はその誘導体が含まれる。本明細書において用いられる「誘導体」は、反応性の誘導体、例えばチオール選択性の反応性基、例えばマレイミドなどを含むものである。反応性基は、直接的に、又はリンカーセグメントを介して、ポリマーに連結し得る。このような基の残基が、場合によって、抗体断片とポリマーとの間の結合基として生成物の一部を形成することが理解されよう。
ポリマーのサイズは要望通りに変化させ得るが、通常は、500Daから50,000Da、好ましくは5000から40,000Da、より好ましくは25,000から40,000Daの平均分子量範囲である。ポリマーサイズは、特に、生成物の目的の使用に基づいて選択され得る。したがって、例えば、生成物が、例えば腫瘍の治療における使用のために、循環を離れ組織に侵入することを目的としている場合、例えばおよそ5,000Daの分子量を有する、低分子量ポリマーを用いることが有利であり得る。生成物が循環内に残る適用では、例えば25,000Daから40,000Daの範囲の分子量を有する、高分子量ポリマーを用いることが有利であり得る。
特に好ましいポリマーには、ポリアルキレンポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)、又は特にメトキシポリ(エチレングリコール)若しくはその誘導体、特に約25,000Daから約40,000Daの範囲の分子量を有するものが含まれる。
修飾された抗体断片に付着した各ポリマー分子は、断片内に位置するシステイン残基の硫黄原子に共有結合し得る。共有結合は、通常、ジスルフィド結合、又は特に、硫黄−炭素結合である。
所望であれば、抗体断片には、1つ又は複数のエフェクター分子又はレポーター分子が付着していてよい。エフェクター分子又はレポーター分子は、断片内に位置するあらゆる利用可能なアミノ酸側鎖又は末端のアミノ酸官能基、例えばあらゆる遊離したアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基を介して、抗体断片に付着し得る。1つ又は複数のエフェクター分子又はレポーター分子は、抗体の重鎖及び/又は軽鎖のC末端にあるか又はこれに向いているアミノ酸に付着し得る。
活性化されたポリマーは、上記のポリマー修飾型抗体断片の調製における出発材料として用いることができる。活性化されたポリマーは、チオール反応性基、例えばα−ハロカルボン酸又はα−ハロカルボン酸エステル、例えばヨードアセトアミド、イミド、例えばマレイミド、ビニルスルホン、又はジスルフィドを含有するあらゆるポリマーであり得る。このような出発材料は、商業的に得ることができる(例えば、Shearwater Polymers Inc.、Huntsville、AL、USAから)か、又は、従来の化学的手順を用いて、市販されている出発材料から調製することができる。
付着しているポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に関して、"Poly(ethyleneglycol) Chemistry, Biotechnical and Biomedical Applications", 1992, J. Milton Harris (ed), Plenum Press, New York, "Poly(ethyleneglycol) Chemistry and Biological Applications", 1997, J. Milton Harris and S. Zalipsky (eds), American Chemical Society, Washington DC、及び"Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences", 1998, M. Aslam and A. Dent, Grove Publishers, New Yorkが参照される。
エフェクター分子又はレポーター分子に連結した抗体断片を得ることが望ましい場合、これは、抗体断片が、必要に応じて活性化ポリマーとの反応の前又は後に直接的に又はカップリング剤を介してエフェクター分子又はレポーター分子に連結される、標準的な化学的手順又は組換えDNA手順によって調製することができる。特定の化学的手順には、例えば、WO 93/62331、WO 92/22583、WO 90,195、及びWO 89/1476において記載されているものが含まれる。或いは、エフェクター分子又はレポーター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合、連結は、例えばWO 86/01533及びEP-A-0392745において記載されているような組換えDNA手順を用いて達成され得る。
好ましくは、本発明の方法によって提供される修飾されたFab断片は、EP-A-0948544において開示されている方法に従ってペグ化されている(すなわち、PEG(ポリ(エチレングリコール))が共有結合によって付着している)。好ましくは、抗体は、図9において示されるように、ペグ化された、修飾されたFab断片である。図2において示されるように、修飾されたFab断片は、重鎖の修飾されたヒンジ領域のC末端にあるシステイン残基の一つに、リシルマレイミド由来の基を付着しており、ここで、リシル残基の2つのアミノ基のそれぞれには、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基が共有結合しており、その結果、メトキシポリ(エチレングリコール)残基の全平均分子量は約40,000Daとなっており、より好ましくは、リシルマレイミド由来の基は、[1−[[[2−[[3−(2、5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−1−オキソプロピル]アミノ]エチル]アミノ]−カルボニル]−1、5−ペンタンジイル]ビス(イミノカルボニル)である。リシン残基は、マレイミド基に共有結合している。リシン残基上のアミン基のそれぞれには、およそ20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーが付着している。エフェクター分子全体の全分子量は、したがって、およそ40,000Daである。
したがって、本発明に従った方法は、好ましくは、重鎖のC末端にあるシステイン残基の1つにリシルマレイミド基を付着させることを含み、ここで、リシル残基の各アミノ基には、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)残基が共有結合している。
好ましくは、図9において示される化合物において、抗体部分の重鎖は、配列番号10で示される配列を有し、軽鎖は配列番号9で示される配列を有する。この化合物は、本明細書においてCDP870と呼ばれる。
本発明の各実施形態の好ましい特徴は、他の実施形態のそれぞれに関して必要な変更を加えたものである。本明細書において引用される、限定はしないが特許及び特許出願を含む全ての刊行物は、それぞれの個別の刊行物が、本明細書において参照されることによって完全に説明されているかのように具体的に且つ個別に組み込まれることが示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、整数の特定の組み合わせを含む実施形態を明確に開示する。本開示はまた、整数の前記組み合わせからなる又は基本的にこれからなる実施形態にまで拡張される。
好適例及び/又は実施形態は、技術的に実行可能なものとして組み合わせることができる。
本発明は、ここで、以下の実施例を参照して記載され、これらの実施例は例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
(例1)
組換えDsbC及び組換え抗体を発現する宿主細胞系の生成
全ての実験で、大腸菌細胞系W3110を親野生型細胞系として用いた。
以下の突然変異を有する細胞系を生成した:
a.突然変異したTsp遺伝子、
b.突然変異したTsp遺伝子及び運搬組換えDsbC、
c.突然変異したTsp遺伝子及び突然変異したspr遺伝子、
d.突然変異したTsp遺伝子及び突然変異したspr遺伝子及び運搬組換えDsbC。
突然変異したTsp遺伝子MXE001を有する細胞系(ΔTsp)の生成
MXE001株を以下のように生成した:
Tspカセットを、SalI制限断片、NotI制限断片として、同様に制限されたpKO3プラスミド内に移動させた。pKO3プラスミドは、染色体組み込み事象を起こして選択するためのクロラムフェニコールマーカーと共に、pSC101複製起点(RepA)の温度感受性の突然変異体を用いる。レバンスクラーゼをコードするsacB遺伝子は、ショ糖上で成長した大腸菌に対して致死的であり、したがって、(クロラムフェニコールマーカー及びpSC101起点と共に)脱組み込み事象及びプラスミドキュアリング事象を起こして選択するために用いられる。この方法論は、以前に記載されている(Hamilton et al., 1989, Journal of Bacteriology, 171, 4617-4622、及びBlomfield et al., 1991, Molecular Microbiology, 5, 1447-1457)。pKO3系は、挿入された遺伝子を除いて全ての選択マーカーを宿主ゲノムから除去する。
以下のプラスミドを構築した。
EcoRI制限マーカー及びAseI制限マーカーを含む、配列番号15で示されるノックアウト突然変異したTsp遺伝子を含むpMXE191。
プラスミドを次に、Miller, E.M. and Nickoloff, J.A., "Escherichia coli electrotransformation," in Methods in Molecular Biology, vol. 47, Nickoloff, J.A. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ, 105 (1995)において見られる方法を用いて調製されたエレクトロコンピテントコンピテント大腸菌W3110細胞内に形質転換した。
1日目 40μlの大腸菌細胞を、冷蔵されたBioRad0.2cmエレクトロポレーションキュベット内で(10pgの)1μlのpKO3 DNAと混合し、その後、2500V、25μF、及び200Ωでエレクトロポレーションした。1000μlの2×PYを直ちに添加し、細胞を、インキュベーター内で30℃で1時間、250rpmで振とうすることによって回収した。細胞を2×PY内で1/10連続希釈し、その後、100μlのアリコートを取り出して、30℃及び43℃で事前に温められた20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する2×PY寒天プレート上にプレーティングした。プレートを30℃及び43℃で一晩インキュベートした。
2日目 30℃で成長したコロニーの数によって、エレクトロポレーション効率を推定し、一方、43℃での成長を生き抜いたコロニーは、潜在的な組み込み事象に相当する。43℃のプレートから単一コロニーを採取し、10mlの2×PY内に再懸濁した。これを100μl取り出して、30℃に事前に温められた5%(w/v)ショ糖を含有する2×PY寒天プレート上にプレーティングし、単一コロニーを生成させた。プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
3日目 コロニーはここで、潜在的な同時の脱組み込み事象及びプラスミドキュアリング事象に相当する。脱組み込み事象及びキュアリング事象が成長の初期に生じた場合、コロニー塊のバルクはクローン性である。単一コロニーを採取し、20μg/mlのクロラムフェニコール又は5%(w/v)のショ糖を含有する2×PY寒天上にレプリカプレーティングした。プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
4日目 ショ糖上で成長し、クロラムフェニコール上で死んだコロニーは、潜在的な染色体置き換え事象及びプラスミドキュアリング事象に相当する。これらを採取し、突然変異特異的なオリゴヌクレオチドを用いてPCRによってスクリーニングした。正確なサイズの陽性PCRバンドを生じさせたコロニーを排除して、5%(w/v)ショ糖を含有する2×PY寒天上に単一コロニーを生成させ、プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
5日目 PCR陽性の、クロラムフェニコール感受性の、及びショ糖耐性の大腸菌の単一コロニーを用いて、化学的にコンピテントな細胞であるグリセロールストックを作製し、5’及び3’隣接オリゴを用いるPCR反応のためのPCR鋳型として用いて、Taqポリメラーゼを用いる直接的なDNA配列決定のためのPCR産物を生成させた。
細胞株MXE001を、オリゴヌクレオチドプライマーを用いる非天然AseI制限部位を含むTsp遺伝子の領域のPCR増幅による、突然変異したTsp遺伝子を有するゲノムDNAの修飾の成功を確認するために試験した。DNAの増幅された領域を次に、AseI制限酵素とのインキュベーションの前及び後にゲル電気泳動によって分析して、突然変異した遺伝子における非天然AseI制限部位の存在を確認した。
溶解物を、細胞の単一コロニーを20ulの1×PCR緩衝液内で95℃で10分間にわたり加熱することによって調製した。混合物を室温まで冷却させ、次に、13,200rpmで10分間、遠心分離した。上清を除去し、「細胞溶解物」とラベル付けした。
各株を、Tspオリゴ対を用いて増幅した。
DNAを、標準的なPCR手順を用いて増幅した。
5ul 緩衝液×10(Roche)
1ul dNTPミックス(Roche、10mMミックス)
1.5ul 5’オリゴ(5pmol)
1.5ul 3’オリゴ(5pmol)
2ul 細胞溶解物
0.5ul TaqDNAポリメラーゼ(Roche 5U/ul)
38.5ul H2O
PCRサイクル
94℃ 1分
94℃ 1分)
55℃ 1分)30サイクル反復
72℃ 1分)
72℃ 10分
反応が完了したら、25ulを新たな微量遠心管に取り出して、AseIで消化した。25ulのPCR反応物に、19ulのHO、5ulの緩衝液3(NEB)、1ulのAseI(NEB)を添加し、混合し、37℃で2時間インキュベートした。
残りのPCR反応物に、5ulのローディングバッファー(×6)を添加し、20ulを、0.8%TAE 200mlアガロースゲル(Invitrogen)にエチジウムブロマイド(5ulの10mg/mlストック)を加えたものにロードし、100ボルトで1時間泳動した。10ulのサイズマーカー(Perfect DNAマーカー0.1〜12Kb、Novagen)を、最終レーンにロードした。
AseI消化が完了したら、10ulのローディングバッファー(×6)を添加し、20ulを、0.8%TAEアガロースゲル(Invitrogen)にエチジウムブロマイド(5ulの10mg/mlストック)を加えたものにロードし、100ボルトで1時間泳動した。10ulのサイズマーカー(Perfect DNAマーカー0.1〜12Kb、Novagen)を最終レーンにロードした。両ゲルを、UVトランスイルミネーターを用いて視覚化した。
増幅されたゲノム断片は、Tspについて2.8Kbの正確なサイズのバンドを示した。AseIで消化した後、これによって、Tsp欠損株MXE001において導入されたAseI部位の存在が確認されたが、W3110対照においては確認されなかった。
MXE001: Tspプライマーセットを用いて増幅されたゲノムDNA及び得られたDNAをAseIで消化して、2.2及び0.6Kbpのバンドを生じさせた。
W3110のPCR増幅されたDNAは、AseI制限酵素によって消化されなかった。
突然変異したspr遺伝子を有する細胞系並びに突然変異したTsp遺伝子及び突然変異したspr遺伝子を有する細胞系の生成
spr突然変異を生じさせ、相補性アッセイの使用に選択した。
spr遺伝子を、Clontech(登録商標)ランダム突然変異生成多様性PCRキットを用いて突然変異させ、これによって、1000bp当たり1から2個の突然変異が導入された。突然変異したsprPCR DNAを、spr突然変異体と共にCDP870 Fab’を発現する誘導性発現ベクター[pTTO CDP870]内にクローニングした。このライゲーションを次に、Miller, E.M. and Nickoloff, J.A., "Escherichia coli electrotransformation," in Methods in Molecular Biology, vol. 47, Nickoloff, J.A. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ, 105 (1995)において見られる方法を用いて調製された大腸菌株MXE001(ΔTsp)内に電気的形質転換した。以下のプロトコルを用い、40ulのエレクトロコンピテントMXE001、2.5ulのライゲーション(100pgのDNA)を0.2cmのエレクトロポレーションキュベットに添加し、電気的形質転換を、2500V、25μF、及び200Ωという条件でBioRad Genepulser Xcellを用いて行った。電気的形質転換の後、1mlのSOC(Invitrogen)(37℃まで事前に温められた)を添加し、細胞を、穏やかに撹拌しながら37℃で1時間、回収のために放置した。
細胞を、低張寒天(5g/Lの酵母抽出物、2.5g/Lのトリプトン、15g/Lの寒天(全てDifco))上にプレーティングし、40℃でインキュベートした。コロニーを形成した細胞をHLB上に43℃で再びプレーティングして、高温の低浸透圧条件下でMXE001株に成長する能力の回復を確認した。プラスミドDNAを、選択されたクローンから調製し、配列決定して、spr突然変異を同定した。
この方法を用いて、以下の、ΔTsp表現型を補完した、sprタンパク質における5つの単一突然変異及び1つの二重突然変異を単離した。
1.V98E
2.D133A
3.V135D
4.V135G
5.G147C
6.S95F及びY115F
sprの上記で同定された個別の突然変異及び3つの触媒性の三つ組突然変異(C94A、H145A、H157A)及びW174Rを用いて、新たな株が生成され、野生型W3110E大腸菌株(遺伝子型:F−LAM−IN(rrnD−rrnE)1rph1(ATCC番号27325))を用いてspr突然変異株を生成させるか、又は例1のMXE001株を用いて、組み合わされたΔTsp/突然変異spr株を作製した。
以下の突然変異大腸菌細胞株を、MXE001の生成について例1において記載されているように、pKO3相同組換え/置き換えプラスミドを用いる遺伝子置き換えベクター系を用いて生成した(Link et al., 1997, Journal of Bacteriology, 179, 6228-6237)。
突然変異spr組み込みカセットを、SalI制限断片、NotI制限断片として、同様に制限されたpKO3プラスミド内に移動させた。
このプラスミドは、染色体組み込み事象を起こして選択するためのクロラムフェニコールマーカーと共に、pSC101複製起点(RepA)の温度感受性の突然変異体を用いる。レバンスクラーゼをコードするsacB遺伝子は、ショ糖上で成長した大腸菌に対して致死的であり、したがって、(クロラムフェニコールマーカー及びpSC101起点と共に)脱組み込み事象及びプラスミドキュアリング事象を起こして選択するために用いられる。この方法論は、以前に記載されている(Hamilton et al., 1989, Journal of Bacteriology, 171, 4617-4622、及びBlomfield et al., 1991, Molecular Microbiology, 5, 1447-1457)。pKO3系は、挿入された遺伝子を除いて全ての選択マーカーを宿主ゲノムから除去する。
クローンの同定のために、SalI制限部位を除去するspr配列内でのサイレント突然変異を含む突然変異したspr遺伝子を含む、以下に列挙するpK03ベクターを構築した。
pMXE336、pK03 spr S95F(−SalI)
pMXE337、pK03 spr Y115F(−SalI)
pMXE338、pK03 spr G147C(−SalI)
pMXE339、pK03 spr D133A(−SalI)
pMXE340、pK03 spr V135D (−SalI)
pMXE341、pK03 spr V135G(−SalI)
pMXE342、pK03 spr V98E(−SalI)
pMXE343、pK03 spr C94A(−SalI)
pMXE344、pK03 spr H145A(−SalI)
pMXE345、pK03 spr H157A(−SalI)
pMXE346、pK03 spr W174R(−SalI)
これらのプラスミドを、次に、Miller, E.M. and Nickoloff, J.A., "Escherichia coli electrotransformation," in Methods in Molecular Biology, vol. 47, Nickoloff, J.A. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ, 105 (1995)において見られる方法を用いて調製された化学的にコンピテントな大腸菌W3110細胞内に、又は例1のMXE001株内に形質転換して、表1において示されるような組み合わされたΔTsp/突然変異spr株を作製した。
1日目 40μlのエレクトロコンピテント大腸菌細胞又はMXE001細胞を、冷蔵されたBioRad0.2cmエレクトロポレーションキュベット内で(10pgの)1μlのpKO3 DNAと混合し、その後、2500V、25μF、及び200Ωでエレクトロポレーションした。1000μlの2×PYを直ちに添加し、細胞を、インキュベーター内で30℃で1時間、250rpmで振とうすることによって回収した。細胞を2×PY内で1/10連続希釈し、その後、100μlのアリコートを取り出して、30℃及び43℃で事前に温められた20μg/mlのクロラムフェニコールを含有する2×PY寒天プレート上にプレーティングした。プレートを30℃及び43℃で一晩インキュベートした。
2日目 30℃で成長したコロニーの数によって、エレクトロポレーション効率を推定し、一方、43℃での成長を生き抜いたコロニーは、潜在的な組み込み事象に相当する。43℃のプレートから単一コロニーを採取し、10mlの2×PY内に再懸濁した。これを100μl取り出して、30℃に事前に温められた5%(w/v)ショ糖を含有する2×PY寒天プレート上にプレーティングし、単一コロニーを生じさせた。プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
3日目 コロニーはここで、潜在的な同時の脱組み込み事象及びプラスミドキュアリング事象に相当する。脱組み込み事象及びキュアリング事象が成長の初期に生じた場合、コロニー塊のバルクはクローン性である。単一コロニーを採取し、20μg/mlのクロラムフェニコール又は5%(w/v)ショ糖を含有する2×PY寒天上にレプリカプレーティングした。プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
4日目 ショ糖上で成長し、クロラムフェニコール上で死んだコロニーは、潜在的な染色体置き換え事象及びプラスミドキュアリング事象に相当する。これらを採取し、PCR及び制限消化によって、SalI部位の欠失についてスクリーニングした。正確なサイズの陽性PCRバンド及びSalIによる消化に対する耐性を生じさせたコロニーを排除して、5%(w/v)ショ糖を含有する2×PY寒天上に単一コロニーを生成させ、プレートを、30℃で一晩インキュベートした。
5日目 PCR陽性の、クロラムフェニコール感受性の、及びショ糖耐性の大腸菌の単一コロニーを用いて、化学的にコンピテントな細胞であるグリセロールストックを作製し、5’及び3’隣接オリゴを用いるPCR反応のためのPCR鋳型として用いて、Taqポリメラーゼを用いる直接的なDNA配列決定のためのPCR産物を生成させて、正確な突然変異を確認した。
Fab’及びDsbCの発現のためのプラスミドの生成
抗TNF Fab’の重鎖配列及び軽鎖配列とDsbCをコードする配列との両方を含有するプラスミドを構築した。
ジシストロン性のメッセージは、WO01/94585において記載されている抗TNFαFab’断片(CDP870と呼ばれる)から生じた。上流のシストロンは、抗体の軽鎖(配列番号9)をコードし、一方、下流のシストロンは、抗体の重鎖(配列番号10)をコードした。OmpAシグナルペプチドをコードするDNA配列を、軽鎖及び重鎖のそれぞれをコードするDNAの5’末端に融合して、ペリプラズムへの効率的な分泌を可能にした。配列番号16で示される遺伝子間配列(IGS)2を用いた。
CDP870 Fab’(抗TNF Fab’)及びDsbC(ペリプラズム性ポリペプチド)の発現ベクターである、プラスミドpDPH358(pTTO 40.4 CDP870 IGS2)を、Sambrook et al 1989, Molecular cloning: a laboratory manual. CSHL press, N.Yにおいて見ることができる従来の制限クローニング方法を用いて構築した。プラスミドpDPH358は、強力なtacプロモーター配列及びlacオペレーター配列という特徴を含んでいた。このプラスミドは、Fab’重鎖のコード領域の後に、固有のEcoRI制限部位を含有し、その後に非コード配列を含有し、次いで、固有のNdeI制限部位を含有していた。DsbC遺伝子を、W3110粗染色体DNAを鋳型として用いてPCRクローニングし、その結果、PCR産物は、5’EcoRI部位と、その後の強力なリボソーム結合と、その後の、C末端のヒスタグで終結している、DsbCの非変性開始コドン、シグナル配列、及び成熟配列と、最後に非コードNdeI部位とをコードしていた。EcoRI−NdeI PCR断片を制限し、発現ベクター内にライゲーションし、その結果、全ての3つのポリペプチド、すなわちFab’軽鎖、Fab’重鎖、及びDsbCは、単一のポリシストロン性mRNA上でコードされた。
Fabの軽鎖遺伝子、重鎖遺伝子、及びDcbC遺伝子を、単一のポリシストロン性メッセージとして転写した。大腸菌OmpAタンパク質に由来するシグナルペプチドをコードするDNAを、軽鎖遺伝子配列及び重鎖遺伝子配列の両方の5’末端に融合し、これは、大腸菌ペリプラズムへのポリペプチドの転位を指示した。転写を、二重転写ターミネーターrrnB t1t2を用いて終結させた。lacIq遺伝子は、構成的に発現したLacIリプレッサータンパク質をコードした。これは、脱抑制がアロラクトース又はIPTGの存在によって誘発されるまで、tacプロモーターからの転写を抑制した。用いられた複製起点はp15Aであり、これは、少ないコピー数を維持した。プラスミドは、抗生物質の選択のためのテトラサイクリン耐性遺伝子を含有していた。
抗TNF Fab’及びDsbCの発現
MXE008株を、Fab’軽鎖、Fab’重鎖、及びDsbCをコードするプラスミドで形質転換した。
株の形質転換は、Chung C.T et al Transformation and storage of bacterial cells in the same solution. PNAS 86:2172-2175 (1989)において見られる方法を用いて行った。
抗TNF Fab’の発現
株MXE008を、Sambrook et al 1989, Molecular cloning: a laboratory manual. CSHL press, N.Y.において見ることができる従来の制限クローニング方法を用いて構築された、CDP870のFab’(配列番号9で示される軽鎖配列及び配列番号10で示される重鎖配列を有する抗TNF Fab’)の発現ベクターである、プラスミドpMXE117(pTTO CDP870又は40.4 IGS2)で形質転換した。プラスミドpMXE117(pTTO CDP870又は40.4 IGS2)は、強力なtacプロモーター配列及びlacオペレーター配列という特徴を含んでいた。Fabの軽鎖遺伝子及び重鎖遺伝子を、単一のジシストロン性メッセージとして転写した。大腸菌OmpAタンパク質に由来するシグナルペプチドをコードするDNAを、軽鎖遺伝子配列及び重鎖遺伝子配列の両方の5’末端に融合し、これは、大腸菌ペリプラズムへのポリペプチドの転位を指示した。転写を、二重転写ターミネーターrrnB t1t2を用いて終結させた。lacIq遺伝子は、構成的に発現したLacIリプレッサータンパク質をコードした。これは、脱抑制がアロラクトース又はIPTGの存在によって誘発されるまで、tacプロモーターからの転写を抑制した。用いられた複製起点はp15Aであり、これは、少ないコピー数を維持した。プラスミドは、抗生物質の選択のためのテトラサイクリン耐性遺伝子を含有していた。
株の形質転換は、Chung C.T et al Transformation and storage of bacterial cells in the same solution. PNAS 86:2172-2175 (1989)において見られる方法を用いて行った。
(例2)
組換え抗体抗TNF Fab’を発現する宿主細胞の成長
例1において生産されたMXE008株を、抗TNFαFab’を発現させるための発酵実験において用いた。
抗TNF Fab’及びDsbCを発現するMXE008を、標準的な発酵条件及び培地を用いて発酵させた。発酵の後、得られた宿主細胞試料を遠心分離し、細胞ペレットを保存のために凍結した。
(例3)
大腸菌株からの抗TNFαFab’の抽出及びpH調整
例2からの凍結ペレット細胞ペレットを次いで解凍し、抽出緩衝液(0.1MのTris/10mMのEDTA、pH7.4)内に再懸濁させた。抽出は、60℃で一晩行った。
抽出ステップの後、抽出試料を、4200rpmで4℃で1時間、遠心分離した。遠心分離後、試料を、0.45um+0.22umの濾過を介して清澄化した。
濾過の後、pH6.9を有する得られた宿主細胞試料抽出物を、3つの10mLのアリコートに分け、30%(v/v)の氷酢酸を用いてpH5.0、4.5、又は3.0に調整した。個別のアリコートを、対照試料としてpH6.9で保持した。
図1において見られるように、pHが低下するにつれて沈殿レベルの増大が観察された。宿主細胞タンパク質のほとんどの沈殿物はpH3.0で見られ、その後pH4.5で見られ、次にpH5.0で見られた。
(例4)
逆相HPLCによるpH調整の後の宿主細胞試料抽出物の分析
pH5.0、4.5、若しくは3.0へのpH調整の後の各宿主細胞試料抽出物試料、又は対照試料(pH調整なし、pH7)を、時点(T)=0、T=1時間、T=2時間、T=4.5時間、T=8時間、及びT=24時間の時間経過にわたって採取し、リアルタイムの分析を、逆相HPLCを介して行った。逆相HPLCは、疎水性に基づくタンパク質の分離を可能にし、適切なHPLCカラム(Agilent Technologiesの、Poroshell(商標)300SB−C8、5ミクロン、2.1×75mm)を用いて行われた。試料を分析の前に濾過した(0.22um)。
結果を図2、3、5、及び6に示す。図2は、pH調整後の宿主細胞試料抽出物についての、T=0での逆相HPLC分析での、重ね合わせたクロマトグラムを示す(T=0は、pH調整後、分析を行うことが可能な限りすぐを意味し、典型的にはpH調整のおよそ7分後である)。図3は、pH調整後の宿主細胞試料抽出物についての、T=0での逆相HPLC分析での、個別のクロマトグラムを示す。Fab’の軽鎖(LC)、Fab’の重鎖(HC)、Fab’全体、DsbC−ヒス(ヒスタグ化されたDsbC)、及びジペプチド結合タンパク質(DBP)に対応するピークは、pH7について、並びにpH3.0、pH4.5、及びpH5.0へのpH調整について示される。図2及び図3から、DsbC−ヒスの量が、pH7の対照と比較して、pH5へのpH調整の後に低く、DsbC−ヒスの量が、pH4.5又はpH3.0へのpH調整の後に有意にさらに低下することが分かる。また、DBPの量が、pH3へのpH調整の後に有意に低下することも分かる。DBPのpIは5.7である。したがって、宿主細胞抽出物において、pHは、DBPの沈殿を生じさせるために、有意に低下しなくてはならなかった。Fab’の量は、pH調整によって有意には影響されない。
図5は、pH3.0、4.5、及び5.0へのpH調整の後の逆相HPLCクロマトグラムからのDsbC−ヒスの全ピーク領域を示す。図2及び図3において見られるように、DsbCの量は、pH5.0への調整の後に低減し、pH4.5又は3.0への調整の後にさらに低減する。
図6は、pH3.0、4.5、及び5.0へのpH調整の後の逆相HPLCクロマトグラムからのDBPの全ピーク領域を示す。図2及び図3において見られるように、DBPの量は、pH3.0への調整の後に低減する。
精製されたDsbC−ヒス溶液を、混合モードの陽イオン交換クロマトグラフィーによって、株MXE008の宿主細胞抽出物から得た。DsbC−ヒスを含むこの精製された溶液の分析は、T=0、1、8、及び24時間の後に、pH7及びpH3.0で行った。結果を図4に示し、これは、T=0、1、8、及び24時間の後の、pH7及びpH3.0での、DsbC−ヒスを含む精製された溶液の逆相HPLC分析のクロマトグラムを示す。図4から、pH調整が、溶液からのDsbC−ヒスの沈殿及び除去に対して影響を有さなかったことが分かる。
(例5)
試料のSDS−PAGE分析
非還元SDS−PAGE分析を、pH7、pH5.0、pH4.5、及びpH3.0での長期保存の後に行った。図7は、SDS−PAGE分析ゲルを示す。図7から、DBPの量が、pH3へのpH調整の後に低減していることが分かる。DsbC及びFab’の重鎖(HC)は、ゲル上で同一の分子量を示すが、DsbC及びHCのバンドが、DsbCの低減に起因して、pH5、pH4.5、及びpH3へのpH調整の後に低減していることが分かり、このことにより、DsbC−ヒス及びDBPの量がpH調整後に低減していることが確認される。
上記の実施例においてpH4.5へのpH調整の後に試験された抗TNF Fab’CDP870が、Biacore分析によって試験され、TNFに対する親和性を保持していることが分かった(データは示していない)。

Claims (25)

  1. 組換えタンパク質をグラム陰性細菌宿主細胞試料又はその抽出物から精製するための方法であって、前記宿主細胞が、組換えタンパク質及び組換えジスルフィドイソメラーゼDsbCを発現し、
    a.宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH5以下に調整して、組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させるステップ、及び
    b.沈殿した組換えジスルフィドイソメラーゼを組換えタンパク質から分離して、組換えタンパク質試料を生産するステップ
    を含む上記方法。
  2. 宿主細胞試料又はその抽出物のpHがpH4.5以下に調整される、請求項1に記載の方法。
  3. 宿主細胞試料又はその抽出物のpHがpH4.5から3.0に調整される、請求項2に記載の方法。
  4. 宿主細胞試料又はその抽出物のpHがpH3以下に調整される、請求項2に記載の方法。
  5. ステップa)において宿主細胞ジペプチド結合タンパク質がさらに沈殿し、ステップb)において宿主細胞ジペプチド結合タンパク質がさらに組換えタンパク質から分離される、請求項4に記載の方法。
  6. ジスルフィドイソメラーゼがヒスチジンタグを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
  7. グラム陰性細菌宿主細胞が大腸菌(E.coli)である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  8. 宿主細胞がFkpa及び/又はSkpを含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップa)において、宿主細胞試料又はその抽出物のpHが、氷酢酸を用いてpH5未満に調整される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
  10. 宿主細胞試料又はその抽出物がpH5以下で1時間以下にわたり保持される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
  11. ステップb)における分離が遠心分離及び/又は濾過を含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
  12. ステップb)の後に、組換えタンパク質試料をクロマトグラフィーに供するさらなる精製ステップを含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
  13. クロマトグラフィーがイオン交換クロマトグラフィーである、請求項11に記載の方法。
  14. ステップb)の後に、組換えタンパク質試料のpHがpH5から7に調整される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
  15. ステップa)の前に、抽出緩衝液が宿主細胞試料又はその抽出物に添加され、宿主細胞試料又はその抽出物が熱処理ステップに供される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
  16. 組換えタンパク質がpI6から9を有する、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
  17. 組換えタンパク質がpI8から9を有する、請求項16に記載の方法。
  18. 組換えタンパク質が組換え抗体である、請求項1から17までのいずれか一項に記載の方法。
  19. 組換え抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、若しくはキメラ抗体、又はその断片、例えばその結合断片である、請求項18に記載の方法。
  20. 組換え抗体がFab断片又はFab’断片である、請求項18又は請求項19に記載の方法。
  21. 組換え抗体がヒトTNFαに特異的である、請求項18から20までのいずれか一項に記載の方法。
  22. 抗体が、可変ドメインがCDRH1について配列番号1、CDRH2について配列番号2、及びCDRH3について配列番号3で示される配列を有するCDRを含む重鎖、並びに可変ドメインがCDRL1について配列番号4、CDRL2について配列番号5、及びCDRL3について配列番号6で示される配列を有するCDRを含む軽鎖を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 抗体が、配列番号7で示される軽鎖可変領域配列及び配列番号8で示される重鎖可変領域を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 抗体がFab断片であり、配列番号10で示される配列を有する重鎖及び配列番号9で示される配列を有する軽鎖を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 組換えタンパク質をコードする発現ベクターで形質転換されたグラム陰性細菌宿主細胞試料又はその抽出物のpHをpH5以下に調整して、宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼを沈殿させ、沈殿した宿主細胞組換えジスルフィドイソメラーゼを組換えタンパク質から分離し、精製された組換えタンパク質試料を生産するステップの使用。
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