JP2013535210A - パリンドローム配列を用いた閉鎖型直鎖状dnaの生成 - Google Patents

パリンドローム配列を用いた閉鎖型直鎖状dnaの生成 Download PDF

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Abstract

プロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合し、両方向において増幅を始動することができる、プロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を増幅するための、具体的には閉鎖型直鎖状DNAを生成するためのプライマー。

Description

本発明は、プロテロメラーゼ標的配列を含むデオキシリボ核酸(DNA)鋳型を増幅するためのパリンドロームプライマーに関する。
大量のDNAを増幅するための従来の細胞ベースの方法はコストが高い。例えば、細菌の使用は、高価な発酵器での大容量でのその増殖を必要とし、培養物の汚染を防ぐために、発酵器は無菌状態に維持する必要がある。また、細菌を溶解させて、増幅されたDNAを放出させる必要もあり、DNAは他の細菌成分から清浄化および精製されなければならない。特に、DNAワクチンまたは他の治療用DNA剤を生成する場合、哺乳動物に対して毒性である内毒素の存在を排除するために高い純度が要求される。
コストの問題に加えて、多くの場合、細菌の使用は、増幅プロセスの確実性に関する困難性を示す場合がある。細菌細胞の複雑な生化学的環境では、所望のDNA産物の品質および収量を制御することは困難である。時には、細菌が、増幅されたDNA内のクローニングされた必要とされる遺伝子を変化させて、それを、必要とされる目的に対して役に立たないものにしてしまう場合がある。また、組換え事象は、対象とするDNAの確実な生成において問題をもたらす場合がある。DNAの増幅のための無細胞酵素法は、宿主細胞の使用のための要件を回避させ、したがって有利である。
例えば、医薬用DNAカセットの製造は、ほとんど、細菌プラスミドへのそれらの挿入および細菌発酵法でのそれらの増幅だけを利用する。
技術プロセスでのこの現状は、多くの点で、このようなDNA医薬の製造を改良するための機会を制限している。さらに、プラスミド製品は、本質的に、その医薬機能に必要ないヌクレオチド配列を含む点で粗精製DNA分子である。したがって、DNA医薬などのDNA製品の製造の分野では、大量のDNAを増幅するための改良された方法を提供する必要性がある。特に、閉鎖型直鎖状DNAなどの特別な形態のDNAを増幅するための改良された方法を提供する必要性がある。閉鎖型直鎖状DNA分子は、DNAの他の形態と比較して、改善された安定性および安全性を有するため、治療的用途に対して格別な有用性を有する。
本発明は、DNA鋳型を増幅するための少なくとも単一種(single species)のプライマーの使用に関する。プライマーは、直鎖状共有結合閉鎖型DNA(閉鎖型(closed)直鎖状(linear)DNA)を生成するために使用することができる。鋳型DNAは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含む。本発明のプライマーは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合し、両方向において増幅を始動する(prime)ことができる。こうして、単一種のプライマーだけが、各鋳型を始動するために必要とされる。さらに、増幅されたDNA産物の均質性に関して、他の形態のプライマーと比較して恩恵が得られる。
したがって、本発明は、以下を提供する:
プロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合し、両方向において増幅を始動することができるプライマー。
閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)を生成するためのインビトロ無細胞(cell-free)法(process)であって、
(a)少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、少なくとも1種(one species)のプライマーの存在下、該鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップであって、少なくとも1種のプライマーが、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができるステップと、
(b)閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、(a)で生成された増幅DNAを少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させるステップと
を含む方法。
デオキシリボ核酸(DNA)を増幅するためのインビトロ無細胞法であって、
少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、少なくとも1種のプライマーの存在下、別の鎖の鎖置換複製(strand displacement replication)を介して複製された鎖の置換によって該鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップであって、該少なくとも1種のプライマーが、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができるステップ
を含む方法。
さらに、本発明は、本発明の方法において必要なコンポーネントを提供するキットにも関する。したがって、本発明は、本発明による少なくとも1種のプライマー、および少なくとも1つのDNAポリメラーゼを含むキットを提供する。キットは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ、および場合により本発明の閉鎖型直鎖状DNAを増幅するための方法において使用するための使用説明書をさらに含んでもよい。
バクテリオファージにおける直鎖状共有結合閉鎖型DNAの複製およびプロテロメラーゼの役割を示す図である。A.染色体外バクテリオファージ直鎖状共有結合閉鎖型DNAの図示。*=テロメアのパリンドローム配列の中心。R配列は、L配列の逆方向パリンドローム反復である。B.宿主内でのバクテリオファージDNAの複製:バブルはDNA鎖の複製を示す。RおよびLに対する相補鎖の合成により、同一の二本鎖RL配列がもたらされる。C.プロテロメラーゼの作用により形成される産物。プロテロメラーゼはRL配列に結合し、パリンドローム配列の中心点で反対鎖を切断し、連結して、テロメアを再形成させ、元の直鎖状共有結合閉鎖型DNAの複製を完了させる。 その標的部位であるtelRLを含む環状二本鎖DNAに対する大腸菌(Escherichia coli)ファージN15プロテロメラーゼ(TelN)の作用を示す図である。TelRLは、矢印により示される28bpの右腕(telR)および左腕(telL)を有する逆方向パリンドロームである。下線部の配列は、telRLパリンドローム中の不完全な部分を示している。中央の22bpの完全逆方向パリンドロームTelOが、酵素TelNの結合に必要である。TelNはその中心点でこの22bp配列を切断し、相補鎖の末端を結合させて、共有結合閉鎖型末端を形成させる。 種々の生物で見出されるプロテロメラーゼ標的配列の比較を示す図である。四角で囲まれた配列は、完全または不完全パリンドローム配列の範囲を示す。下線は、パリンドローム中の不完全な部分を示す。強調された塩基対配列は、全てのプロテロメラーゼ標的配列に共通であり、このことは、プロテロメラーゼの結合および作用に対するその重要性を示す。A.大腸菌(Escherichia coli)ファージN15。B.クレブシエラファージPhi KO2。C.エルシニアファージPy54。D.ハロモナスファージPhi HAP。E.ビブリオファージVP882。F.ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プラスミドlpB31.16。四角で囲まれた配列は、各バクテリオファージについての完全または不完全パリンドローム配列の範囲を示す。G.バクテリオファージプロテロメラーゼの結合および作用に対するコンセンサス逆方向パリンドローム配列を示す。これは、22塩基対の完全逆方向反復配列である(切断部位のそれぞれの側に11塩基対)。コンセンサス配列は、A〜Eについて示された強調された保存残基に由来する。保存された塩基対およびパリンドローム中でのそれらの位置を示す。ダッシュは、配列組成における柔軟性を示し、すなわち、塩基はN(A、T、CまたはG)であり得る。 プロテロメラーゼTelNのパリンドローム結合配列から形成されたテロメア末端を含む閉鎖型直鎖状DNA鋳型の増幅を示す図である。DNAポリメラーゼによるDNA増幅を開始するために、テロメア末端に結合し得る単一の特定のパリンドロームプライマーの例である。 プロテロメラーゼTelN(telRL)についての逆方向パリンドローム結合配列を含む環状二本鎖DNA鋳型の増幅を示す図である。DNA増幅を開始するために、telRL部位での2つの相補的DNA鎖に特異的に結合し得る単一のパリンドロームプライマーの例である。 単一の特定のパリンドロームプライマーおよびRCA鎖置換型DNAポリメラーゼをTelNプロテロメラーゼと組み合わせて用いる、閉鎖型直鎖状DNAのインビトロ製造についての具体的な方法を示す図である。 A.閉鎖型直鎖状DNA鋳型。B.環状二本鎖DNA鋳型。RおよびLは、TelNプロテロメラーゼ結合配列の右腕および左腕のDNA配列を示す。C.環状一本鎖DNAを形成させるための開始鋳型の変性。D.単一の特異的プライマーの結合。E〜F.RCA鎖置換型DNAポリメラーゼによる一本鎖DNA鋳型からのローリングサークル増幅(rolling circle amplification)。G.プロテロメラーゼ結合配列(RL)により分離された、増幅された鋳型の単一単位を含む長いコンカテマー二本鎖DNAの形成。H.RL配列に特異的なTelNプロテロメラーゼとの接触。プロテロメラーゼは、RL部位でコンカテマーDNAを切断し、相補鎖を連結して、直鎖状共有結合閉鎖型DNA鋳型の増幅コピーを生成させる。 A.ランダムヘキサマーと単一の特異的プライマー配列である配列番号32、33、34および35を用いた、4.3kbの二本鎖環状鋳型からのphi29 DNAポリメラーゼによる30℃でのコンカテマーDNA生成の速度を示す図である。増幅されたコンカテマーDNAをPicoGreenアッセイ(Invitrogen)を用いて定量した。x軸:時間(時);y軸:DNA濃度(μg/ml)。 DNA合成の初期速度:●ランダムヘキサマープライマー(88μg/ml/時) ■配列番号32(25μg/ml/時) ▲配列番号33(10μg/ml/時) ▼配列番号34(17.5μg/ml/時) ◆配列番号35(11μg/ml/時) B.ランダムヘキサマーと単一の特異的プライマー配列である配列番号32および33を用いた、4.3kbの二本鎖環状鋳型からのphi29 DNAポリメラーゼによる34℃でのコンカテマーDNA生成の速度を示す図である。増幅されたコンカテマーDNAをPicoGreenアッセイ(Invitrogen)を用いて定量した。x軸:時間(時);y軸:DNA濃度(μg/ml)。 DNA合成の初期速度:●ランダムヘキサマープライマー(32.5μg/ml/時) ■配列番号32(15μg/ml/時) ▲配列番号33(5.2μg/ml/時) A:DNAのローリングサークル増幅における30℃での単一のオリゴヌクレオチドプライマーとランダムヘキサマーとの比較を示す図である。HindIII消化されたコンカテマーDNA産物の電気泳動ゲル。レーン1〜5は、鋳型DNA増幅の1時間後のHindIII消化された産物を示し、レーン6〜10は増幅2時間後、レーン11〜15は増幅4時間後、レーン16〜20は増幅6時間後を示す。DNA増幅反応を以下のように始動した:レーン1、6、11、16(ランダムヘキサマー)、レーン2、7、12、17(配列番号32(11マー)プライマー)、レーン3、8、13、18(配列番号33(11マー)プライマー)、レーン4、9、14、19(配列番号34(15マー)プライマー)およびレーン5、10、15、20(配列番号35(15マー)プライマー)。 分離された試料は、レーン2(125ng)、レーン3(48ng)、レーン4(90ng)、レーン5(70ng)、レーン8(100ng)、レーン9(200ng)およびレーン10(131ng)を除いて、250ngのコンカテマーDNAの消化から誘導された。4.3kbの特異的生成バンドは、矢印によって指示された各レーンにおいて明確に見られる。 B.DNAのローリングサークル増幅における34℃での単一のオリゴヌクレオチドプライマーとランダムヘキサマーとの比較を示す図である。HindIII消化されたコンカテマーDNA産物の電気泳動ゲル。レーン1〜3は、鋳型DNA増幅の1時間後のHindIII消化された産物を示し、レーン4〜6は増幅2時間後、レーン7〜9は増幅4時間後、レーン10〜12は増幅6時間後、レーン13〜15は増幅9時間後を示す。DNA増幅反応を以下のように始動した:レーン1、4、7、10、13(ランダムヘキサマー)、レーン2、5、8、11、14(配列番号32(11マー)プライマー)、レーン3、6、9、12、15(配列番号33(11マー)プライマー)。分離された試料は、レーン1(5ng)、レーン3(63ng)およびレーン6(106ng)を除いて、250ngのコンカテマーDNAの消化から誘導された。4.3kbの特異的生成バンドは、矢印によって指示された各レーンにおいて明確に見られる。 C.DNAのローリングサークル増幅における34℃での単一のオリゴヌクレオチドプライマーとランダムヘキサマーとの比較を示す図である。プロテロメラーゼTelN消化されたコンカテマーDNA産物の電気泳動ゲル。レーン1〜3は、鋳型DNA増幅の1時間後のTelN消化された産物を示し、レーン4〜6は増幅2時間後、レーン7〜9は増幅4時間後、レーン10〜12は増幅6時間後、レーン13〜15は増幅9時間後を示す。DNA増幅反応を以下のように始動した:レーン1、4、7、10、13(ランダムヘキサマー)、レーン2、5、8、11、14(配列番号32(11マー)プライマー)、レーン3、6、9、12、15(配列番号33(11マー)プライマー)。分離された試料は、レーン1(5ng)、レーン3(63ng)およびレーン6(106ng)を除いて、250ngコンカテマーDNAの消化から誘導された。4.3kbの特異的生成バンド(このケースでは閉鎖型直鎖状DNA)は、矢印によって指示された各レーンにおいて明確に見られる。 エンドヌクレアーゼ消化された増幅産物についての濃度測定量(Densitometry trace)を示す図である。矢印は4.3kbの特異的産物を示す。A.レーン11〜15の濃度測定量、図8Aにおける上部から下部パネル。B.レーン10〜12の濃度測定量、図8Bにおける上部から下部パネル。
配列の説明
配列番号1は、バチルスバクテリオファージphi29 DNAポリメラーゼの核酸配列である。
配列番号2は、配列番号1によりコードされるバチルスバクテリオファージphi29 DNAポリメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号3は、ピロコッカス属種Deep Vent DNAポリメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号4は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼIの核酸配列である。
配列番号5は、配列番号4によりコードされるバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼIのアミノ酸配列である。
配列番号6は、ハロモナスファージphiHAP−1プロテロメラーゼ核酸配列の核酸配列である。
配列番号7は、配列番号6によりコードされるハロモナスファージphiHAP−1プロテロメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号8は、エルシニアファージPY54プロテロメラーゼの核酸配列である。
配列番号9は、配列番号8によりコードされるエルシニアファージPY54プロテロメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号10は、クレブシエラファージphiKO2プロテロメラーゼの核酸配列である。
配列番号11は、配列番号10によりコードされるクレブシエラファージphiKO2プロテロメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号12は、ビブリオファージVP882プロテロメラーゼの核酸配列である。
配列番号13は、配列番号12によりコードされるビブリオファージVP882プロテロメラーゼのアミノ酸配列である。
配列番号14は、大腸菌(Escherichia coli)バクテリオファージN15プロテロメラーゼ(telN)および二次免疫リプレッサー(cA)核酸配列の核酸配列である。
配列番号15は、配列番号14によりコードされる大腸菌(Escherichia coli)バクテリオファージN15プロテロメラーゼ(telN)のアミノ酸配列である。
配列番号16は、バクテリオファージプロテロメラーゼ標的配列中に存在する完全逆方向反復のコンセンサス核酸配列である。
配列番号17は、大腸菌(E. coli)ファージN15およびクレブシエラファージphiKO2由来の22塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号18は、エルシニアファージPY54由来の22塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号19は、ハロモナスファージphiHAP−1由来の22塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号20は、ビブリオファージVP882由来の22塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号21は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プラスミドlpB31.16由来の14塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号22は、ビブリオファージVP882由来の24塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号23は、エルシニアファージPY54由来の42塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号24は、ハロモナスファージphiHAP−1由来の90塩基の完全逆方向反復核酸配列である。
配列番号25は、プロテロメラーゼ標的配列を含む大腸菌(E. coli)ファージN15由来の核酸配列である。
配列番号26は、プロテロメラーゼ標的配列を含むクレブシエラファージphiKO2由来の核酸配列である。
配列番号27は、プロテロメラーゼ標的配列を含むエルシニアファージPY54由来の核酸配列である。
配列番号28は、プロテロメラーゼ標的配列を含むビブリオファージVP882由来の核酸配列である。
配列番号29は、プロテロメラーゼ標的配列を含むボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プラスミドlpB31.16由来の核酸配列である。
配列番号30は、配列番号25のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号31は、配列番号25のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号32は、配列番号25または配列番号26のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号33は、配列番号25または配列番号26のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号34は、配列番号25のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号35は、配列番号25のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号36は、配列番号27のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号37は、配列番号27のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号38は、配列番号28のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号39は、配列番号28のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号40は、配列番号29のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
配列番号41は、配列番号29のプロテロメラーゼ標的配列への結合に適した本発明によるプライマーの例である。
発明の詳細な説明
本発明は、プロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を増幅するための、典型的には、閉鎖型直鎖状DNA分子を生成するためのプライマー、それらのプライマーを用いた方法、およびそれらのプライマーを含むキットに関する。
閉鎖型直鎖状DNA分子は、典型的には、ヘアピンループとも記載される共有結合閉鎖型末端を含み、この場合、相補的DNA鎖間の塩基対形成は存在しない。ヘアピンループが、相補的DNA鎖の末端同士を結合させる。このタイプの構造は、典型的には、閉鎖型構造で末端ヌクレオチドを封じ込めること(sequestering)により、染色体DNAの欠失または損傷を防ぐために、染色体のテロメア末端で形成される。本明細書に記載される閉鎖型直鎖状DNA分子の例では、ヘアピンループは相補的に塩基対形成したDNA鎖に隣接し、「ドギーボーン」型構造を形成する(図1に示されている)。
本発明のプライマーは、DNA鋳型内に含まれるプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができる。プライマーは、両方向において増幅を始動することができ、そのため、鋳型あたりただ1種のプライマー分子が必要とされる。閉鎖型直鎖状DNAを生成する従来の方法は、複数のランダムプライマーを利用していた。これは複数の独立した始動事象、よって高レベルの増幅をもたらすが、プライマーはコード配列内で結合する可能性があり、したがって、このような配列を十分に増幅できない。プロテロメラーゼ標的配列への本発明のプライマーの特異的結合は、鋳型の非常に多数の完全なコピーを確実にする。
したがって、本発明者らによって得られたランダムプライマーとの比較データによって示されるように、本発明のプライマーを用いることで、産物DNAの増幅されたコピーのより均一な集団の提供が可能となる。
典型的には、本発明のプライマーは、所定のパリンドローム配列の半分にのみ結合しまたは特異的に結合して、プライマー内およびプライマー間の結合の出現を最小にする。プライマーの長さは様々であってもよく、例えば、長さにして12、15、18、20、30または50ヌクレオチドである。プライマーは、パリンドローム配列の半分の全体または一部を覆う、長さにして6〜50、12〜50、18〜50、25〜50または35〜50ヌクレオチドであってもよい。プライマーの長さは、プロテロメラーゼ酵素の結合および機能を改善するために、所定の鋳型において、存在するパリンドローム配列を超えて導入される相補的な追加のパリンドローム配列に伸長してもよい。プライマーは未標識であってもよく、または1つまたは複数の標識、例えば放射性核種もしくは蛍光色素を含んでもよい。また、プライマーは、典型的には、プライマーが加水分解に対する抵抗性を改善されるように、化学的に修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。例えば、プライマーは、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート結合を含んでもよい。
プライマー設計および製造の日常的な方法を、任意の同定されたプロテロメラーゼ標的配列に特異的に結合することができるプライマーの生成に適用してもよい。プライマーの長さ/配列は、典型的には、増幅ステップにおいて用いられる温度で鋳型に結合することができるように、温度検討に基づいて選択してもよい。
最適には、本発明のプライマーは、相補(conplementary)配列を分離するために、変性後にDNA鋳型に効率的に結合する。標準的な増幅法における変性は、典型的には、高温の「融解」ステップを伴う。したがって、プライマーは、二本鎖ヌクレオチドが一本鎖に分離する温度である融解温度、すなわちTmによって画定され得る。
本発明の方法は、プロテロメラーゼ標的配列を含む鋳型の配列を増幅するための上記プライマーを利用する。この方法は、別の鎖の鎖置換複製を介して複製された鎖の置換によって該鋳型の増幅を促進する条件下で鋳型DNAを増幅する単一のステップを含んでもよい。これは、好都合には、ランダムプライマーを用いて行われる鎖置換増幅反応において増幅された産物DNAの様々な不均質性と関連した問題に対処する。
本発明の好ましい方法は、DNA増幅ステップ、および増幅されたDNAを閉鎖型直鎖状DNAに変換するさらなるステップを包含する方法において、本発明のプライマーを利用することによって、閉鎖型直鎖状DNA分子のハイスループット生成を提供する。
本発明の方法は、インビトロ無細胞環境において行われ、例えば、限定されないが、細菌繁殖に必要な外部配列を有するDNA鋳型の使用が挙げられる。下記に概説するように、したがって、本発明の方法は、問題になるベクター配列を欠損し、特に治療的使用に適している閉鎖型直鎖状DNA分子を生成するために用いることができる。
閉鎖型DNA分子は、治療薬、すなわち、インビボで遺伝子産物を発現させるために用いることができるDNA医薬として、格別な有用性を有する。これは、それらの共有結合閉鎖型構造が、エキソヌクレアーゼなどの酵素による攻撃を防ぎ、このことが、露出したDNA末端を有する「開放型」DNA分子と比較して、遺伝子発現の増強された安定性および長期性をもたらすためである。直鎖状二本鎖開放型末端カセットは、宿主組織に導入された場合、遺伝子発現に関して不十分であることが実証されている。これは、細胞外空間でのエキソヌクレアーゼの作用によるカセットの不安定性に起因している。
また、DNA末端を共有結合閉鎖型構造の内部に封じ込めることは他の利点も有する。DNA末端がゲノムDNAに組み込まれることが防止され、したがって、閉鎖型直鎖状DNA分子は改善された安全性を有する。また、閉鎖型直鎖状構造は、宿主細胞内でのDNA分子のコンカテマー化を防ぎ、したがって、遺伝子産物の発現レベルを、より繊細に調節することができる。本発明は、鋳型特異的DNA増幅、およびプロテロメラーゼによる増幅DNAの特異的プロセシングを含む、閉鎖型直鎖状DNA分子の生成のためのインビトロ無細胞法を提供する。
典型的には、本発明の方法は、特にDNAワクチンにおける、宿主細胞でのインビトロ発現のためのDNAを生成するために用いることができる。典型的には、DNAワクチンは、感染性生物のDNAの改変型をコードする。DNAワクチンは対象に投与され、そこで次に感染性生物の選択されたタンパク質を発現し、典型的に防御的であるタンパク質に対する免疫応答を惹起する。また、DNAワクチンは、癌免疫療法アプローチにおける腫瘍抗原をコードする場合もある。
DNAワクチンは、多数の状態の治療または予防のための抗原をコードする核酸配列を含むことができ、限定されないが、状態は以下を含む:癌、アレルギー、毒性、および限定されないが、真菌、ウイルス、例えばヒトパピローマウイルス(HPV)、HIV、HSV2/HSV1、インフルエンザウイルス(A、BおよびC型)、ポリオウイルス、RSVウイルス、ライノウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス群、エンテロウイルス、アストロウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプステイン・バーウイルス、アデノウイルス、風疹ウイルス、ヒトT細胞リンパ腫I型ウイルス(HTLV−I)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、ポックスウイルス、マールブルグウイルスおよびエボラウイルス;細菌、例えばヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、クラミジア、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、シゲラ属、サルモネラ属、コレラ菌(Vibrio cholerae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、シュードモナス属、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルセラ属、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ペスト菌(Yersinia pestis)、連鎖球菌(A型およびB型)、肺炎球菌、髄膜炎菌(Meningococcus)、インフルエンザ菌(b型)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、カンピロバクター症、カタラリス菌(Moraxella catarrhalis)、ドノバン症(Donovanosis)、および放線菌症;真菌病原体、例えばカンジダ感染およびアスペルギルス症;寄生性病原体、例えばテニア属、吸虫、回虫、アメーバ症、ランブル鞭毛虫症(Giardiasis)、クリプトスポリジウム属、住血吸虫属(Schistosoma)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トリコモナス症および旋毛虫病(Trichinosis)などの病原体による感染。
DNAワクチンは、アデノウイルス科(例えば、ヒトアデノウイルスを含む)、ヘルペスウイルス科(例えば、HSV−1、HSV−2、EBV、CMVおよびVZVを含む)、パポバウイルス科(例えば、HPVを含む)、ポックスウイルス科(例えば、天然痘およびワクシニアを含む)、パルボウイルス科(例えば、パルボウイルスB19を含む)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルスを含む)、コロナウイルス科(例えば、SARSを含む)、フラビウイルス科(例えば、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびダニ媒介脳炎ウイルスを含む)、ピコルナウイルス科(ポリオウイルス、ライノウイルス、およびA型肝炎ウイルスを含む)、トガウイルス科(例えば、風疹ウイルスを含む)、フィロウイルス科(例えば、マールブルグウイルスおよびエボラウイルスを含む)、パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルスおよび麻疹ウイルスを含む)、ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルスを含む)、ブニヤウイルス科(例えば、ハンターンウイルスを含む)、オルトミクソウイルス科(例えば、A型、B型およびC型インフルエンザウイルスを含む)、レトロウイルス科(例えば、HIVおよびHTLVを含む)およびヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルスを含む)のメンバー由来の抗原をコードする核酸配列を含むことができる。
抗原は、獣医学的疾患に関与する病原体に由来するものであってもよく、特に、ウイルス性病原体に由来するものであってもよく、例えば、レオウイルス(アフリカウマ病ウイルスまたはブルータングウイルスなど)およびヘルペスウイルス(ウマヘルペスを含む)を含んでもよい。抗原は、口蹄疫ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、デング熱ウイルス、SARS、西ナイルウイルスおよびハンターンウイルスに由来するものであってもよい。抗原は、免疫不全ウイルスに由来するものであってもよく、例えば、SIVまたはネコ免疫不全ウイルスに由来するものであってもよい。
また、本発明の方法により生成されるDNAワクチンは、腫瘍抗原をコードする核酸配列を含んでもよい。腫瘍関連抗原の例としては、限定されないが、精巣癌抗原(cancer−testes antigen)、例えば、MAGEファミリーのメンバー(MAGE1、2、3など)、NY−ESO−1およびSSX−2、分化抗原、例えば、チロシナーゼ、gp100、PSA、Her−2およびCEA、突然変異型自己抗原およびウイルス腫瘍抗原、例えば、癌原性HPVタイプに由来するE6および/またはE7が挙げられる。特定の腫瘍抗原のさらなる例としては、MART−1、Melan−A、p97、ベータ−HCG、GalNAc、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−4、MAGE−12、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC18、CEA、DDC、P1A、EpCam、メラノーマ抗原gp75、Hker8、高分子量メラノーマ抗原、K19、Tyr1、Tyr2、pMel 17遺伝子ファミリーのメンバー、c−Met、PSM(前立腺ムチン抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、前立腺分泌タンパク質、α−フェトプロテイン、CA125、CA19.9、TAG−72、BRCA−1およびBRCA−2抗原が挙げられる。
また、本発明の方法は、他のタイプの治療用DNA分子、例えば、遺伝子治療で用いられるものを生成することができる。例えば、このようなDNA分子は、機能的遺伝子を発現するために用いることができ、この場合、対象は、その遺伝子の機能不全型により引き起こされる遺伝的障害を有する。このような疾患の例としては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、嚢胞性線維症、ゴーシェ病、およびアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症が挙げられる。遺伝子治療が有用であり得る他の疾患には、炎症疾患、自己免疫疾患、慢性疾患および感染性疾患が含まれ、例えば、AIDS、癌、神経疾患、心血管疾患、高コレステロール血症、種々の貧血、サラセミアおよび血友病をはじめとする種々の血液障害、ならびに肺気腫などの障害が挙げられる。固形腫瘍の治療のために、毒性ペプチド(すなわち、リシン、ジフテリア毒素およびコブラ毒因子などの化学療法剤)をコードする遺伝子、p53などの腫瘍抑制遺伝子、形質転換癌遺伝子に対してアンチセンスのmRNA配列をコードする遺伝子、腫瘍壊死因子(TNF)および他のサイトカインなどの抗新生物ペプチド、または形質転換癌遺伝子のトランスドミナント劣性突然変異体を発現させてもよい。
また、治療用DNA分子の他のタイプも、本発明の方法による生成について意図される。例えば、活性なRNA形態に転写されるDNA分子、例えば小分子干渉RNA(siRNA)を本発明の方法に従って生成してもよい。
治療用途を有するDNA分子の生成を対象とする実施形態において、DNA鋳型は、典型的には、1つまたは複数のプロモーターまたはエンハンサーエレメント、および対象となるmRNAもしくはタンパク質をコードする遺伝子または他のコード配列を含む発現カセットを含む。DNAワクチン分子または遺伝子治療のためのDNA分子の生成を対象とする特定の実施形態において、DNA鋳型は、対象となるタンパク質をコードする配列に作動可能に連結された真核生物プロモーター、ならびに場合によりエンハンサーおよび/または真核生物転写終結配列からなる発現カセットを含む。典型的には、DNA鋳型は、遺伝子を維持するために通常用いられるベクター、例えば、プラスミドなどの染色体外遺伝的エレメントの形態であってもよい。
「プロモーター」は、ポリヌクレオチドの転写を開始および調節するヌクレオチド配列である。プロモーターは、誘導性プロモーター(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が、分析物、補因子、調節タンパク質などにより誘導される)、抑制性プロモーター(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が、分析物、補因子、調節タンパク質などにより抑制される)、および構成的プロモーターを含み得る。「プロモーター」または「制御エレメント」なる用語は、全長プロモーター領域およびこれらの領域の機能的(例えば、転写または翻訳を制御する)セグメントを含むことが意図される。
「作動可能に連結された」とは、そのように記載された構成要素が、それらの通常の機能を果たすように構成されたエレメントの配置を意味する。したがって、核酸配列に作動可能に連結された所定のプロモーターは、適切な酵素が存在する場合、その配列の発現をもたらすことができる。その発現をもたらすように機能する限り、プロモーターは配列に連続している必要はない。したがって、例えば、翻訳されないが転写される介在配列が、プロモーター配列と核酸配列との間に存在することができ、プロモーター配列は、それでもコード配列に「作動可能に連結された」とみなすことができる。したがって、「作動可能に連結された」なる用語は、転写複合体によるプロモーターエレメントの認識に際して、対象となるDNA配列の転写の開始を可能にする、プロモーターエレメントと対象となるDNA配列とのいかなる距離または方向も包含するものと意図される。
本発明によれば、閉鎖型直鎖状DNA分子は、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含む閉鎖型直鎖状DNA鋳型から増幅されたDNAに対するプロテロメラーゼの作用によって生成される。
プロテロメラーゼ標的配列は、DNA鋳型中でのその存在が、プロテロメラーゼの酵素活性による閉鎖型直鎖状DNAへのその変換を可能にするいずれかのDNA配列である。言い換えれば、プロテロメラーゼ標的配列は、共有結合閉鎖型直鎖状DNAを形成するために、プロテロメラーゼによる二本鎖DNAの切断および再連結に必要である。
典型的には、プロテロメラーゼ標的配列は、任意の完全なパリンドローム配列、すなわち二回の回転対称を有する任意の二本鎖DNA配列(本明細書中で完全逆方向反復とも記載される)を含む。図3に示されるように、種々の中温性バクテリオファージ、および細菌プラスミドに由来するプロテロメラーゼ標的配列は全て、完全逆方向反復を含むという共通の特徴を共有する。完全逆方向反復の長さは、具体的な生物によって異なる。ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)においては、完全逆方向反復は、長さにして14塩基対である。種々の中温性バクテリオファージにおいては、完全逆方向反復は長さにして22塩基対以上である。また、いくつかのケース(例えば、大腸菌(E. coli)N15)においては、中央の完全逆方向パリンドロームが、逆方向反復配列に挟まれ、すなわち、より長い不完全逆方向パリンドロームの一部分を形成している(図2および3を参照されたい;下線部の塩基は、逆方向反復の対称性が妨げられている箇所を示す)。
本発明で用いられるプロテロメラーゼ標的配列は、好ましくは、長さにして少なくとも14塩基対の二本鎖パリンドローム(完全逆方向反復)配列を含む。好ましい完全逆方向反復配列には、配列番号16〜21の配列およびその変異体が含まれる。配列番号16(NCATNNTANNCGNNTANNATGN)は、中温性バクテリオファージ完全逆方向反復についての22塩基のコンセンサス配列である。図3に示されるように、完全逆方向反復の塩基対は、種々のバクテリオファージ間である種の位置で保存されているが、他の位置では配列の柔軟性が可能である。したがって、配列番号16は、本発明の方法におけるバクテリオファージプロテロメラーゼとの使用に関して、完全逆方向反復配列の最小限のコンセンサス配列である。
配列番号16により画定されるコンセンサス内において、配列番号17(CCATTATACGCGCGTATAATGG)は、大腸菌(E. coli)ファージN15(配列番号15)、およびクレブシエラファージPhi KO2(配列番号11)プロテロメラーゼとの使用に関して、特に好ましい完全逆方向反復配列である。また、配列番号16により画定されるコンセンサス内において、配列番号18〜20:
配列番号18(GCATACTACGCGCGTAGTATGC)、
配列番号19(CCATACTATACGTATAGTATGG)、
配列番号20(GCATACTATACGTATAGTATGC)、
は、それぞれ、エルシニアファージPY54(配列番号9)、ハロモナスファージphiHAP−1(配列番号7)、およびビブリオファージVP882(配列番号13)由来のプロテロメラーゼとの使用に関して、特に好ましい完全逆方向反復配列である。配列番号21(ATTATATATATAAT)は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プロテロメラーゼとの使用に関して、特に好ましい完全逆方向反復配列である。この完全逆方向反復配列は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)に含まれる直鎖状共有結合閉鎖型プラスミドであるlpB31.16に由来する。この14塩基の配列は、バクテリオファージの22bpのコンセンサス完全逆方向反復(配列番号16)よりも短く、これは、細菌のプロテロメラーゼ同士が、バクテリオファージプロテロメラーゼに対する特異的標的配列の要件において異なっている場合があることを示している。しかしながら、全てのプロテロメラーゼ標的配列は、完全逆方向反復という共通の構造モチーフを共有している。
完全逆方向反復配列は、本発明の方法において用いられる特異的なプロテロメラーゼの要件に応じて、長さにして22bpよりも長い場合がある。こうして、いくつかの実施形態においては、完全逆方向反復は、長さにして少なくとも30、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80または少なくとも100塩基対であってもよい。このような完全逆方向反復配列の例としては、配列番号22〜24およびその変異体が挙げられる:
配列番号22(GGCATACTATACGTATAGTATGCC)
配列番号23
(ACCTATTTCAGCATACTACGCGCGTAGTATGCTGAAATAGGT)
配列番号24
(CCTATATTGGGCCACCTATGTATGCACAGTTCGCCCATACTATACGTATAGTATGGGCGAACTGTGCATACATAGGTGGCCCAATATAGG)
配列番号22〜24およびその変異体は、それぞれ、ビブリオファージVP882(配列番号13)、エルシニアファージPY54(配列番号9)およびハロモナスファージphi HAP−1(配列番号7)に由来するプロテロメラーゼとの使用に関して特に好ましい。
完全逆方向反復には、追加の逆方向反復配列が隣接していてもよい。隣接する逆方向反復は、完全反復または不完全反復であってもよく、すなわち、完全に対称的または部分的に対称的であってもよい。隣接する逆方向反復は、中央のパリンドロームに連続または不連続であり得る。プロテロメラーゼ標的配列は、長さにして少なくとも14塩基対の完全逆方向反復配列を含む不完全逆方向反復配列を含んでもよい。一例は、配列番号29である。不完全逆方向反復配列は、長さにして少なくとも22塩基対の完全逆方向反復配列を含み得る。一例は、配列番号25である。
特に好ましいプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号25〜29の配列またはその変異体を含む。
配列番号25:
(TATCAGCACACAATTGCCCATTATACGCGCGTATAATGGACTATTGTGTGCTGATA)
配列番号26
(ATGCGCGCATCCATTATACGCGCGTATAATGGCGATAATACA)
配列番号27
(TAGTCACCTATTTCAGCATACTACGCGCGTAGTATGCTGAAATAGGTTACTG)
配列番号28:
(GGGATCCCGTTCCATACATACATGTATCCATGTGGCATACTATACGTATAGTATGCCGATGTTACATATGGTATCATTCGGGATCCCGTT)
配列番号29
(TACTAAATAAATATTATATATATAATTTTTTATTAGTA)
本発明の好ましいプライマーは、配列番号25〜29の配列のいずれか1つに特異的に結合することができる。例えば、本発明の好ましいプライマーは、以下:
配列番号30 CGCATATTACCT/CGA/TTAACACAC
配列番号31 GCGTATAATGGA/GCT/AATTGTGTG
配列番号32 GCGTATAATGG
配列番号33 CCATTATACGC
配列番号34 CACACAATA/TGC/TCCAT
配列番号35 ATGGA/GCA/TATTGTGTG
配列番号36 CGCATCATACGACTTTATCCA
配列番号37 GCGTAGTATGCTGAAATAGGT
配列番号38 CATATCATACGGCTACAATGTATACC
配列番号39 GTATAGTATGCCGATGTTACATATGG
配列番号40 TATATTAA/TAAAA/TT/AAATCAT
配列番号41 ATATAATT/ATTTT/AA/TTTAGTA
から選択される配列を含んでもよく、またはその配列からなってもよい。
配列番号30〜35の配列は、配列番号25への特異的な結合に適している。これらのプライマーのうち、配列番号32は、大腸菌(E. coli)ファージN15プロテロメラーゼ認識配列と組み合わせて、本発明の方法における使用に特に好ましい。これは、1を超えるアニーリング温度での最良のDNA増幅率を与えることが示されたためである。
また、配列番号32および33の配列は、配列番号26への特異的な結合に適している。配列番号36および37の配列は、配列番号27への特異的な結合に適している。配列番号38および39の配列は、配列番号28への特異的な結合に適している。配列番号40および41の配列は、配列番号29への特異的な結合に適している。
配列番号25〜29の配列は、上記の完全逆方向反復配列を含み、さらに、関連する生物に由来する隣接配列を含む。配列番号25の配列またはその変異体を含むプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号15の大腸菌(E. coli)N15 TelNプロテロメラーゼおよびその変異体との組み合わせにおける使用に好ましい。配列番号26の配列またはその変異体を含むプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号11のクレブシエラファージPhi K02プロテロメラーゼおよびその変異体との組み合わせにおける使用に好ましい。配列番号27の配列またはその変異体を含むプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号9のエルシニアファージPY54プロテロメラーゼおよびその変異体との組み合わせにおける使用に好ましい。配列番号28の配列またはその変異体を含むプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号13のビブリオファージVP882プロテロメラーゼおよびその変異体との組み合わせにおける使用に好ましい。配列番号29の配列またはその変異体を含むプロテロメラーゼ標的配列は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プロテロメラーゼとの組み合わせにおける使用に好ましい。
上記のパリンドロームまたはプロテロメラーゼ標的配列のいずれかの変異体には、そのホモログまたは突然変異体が含まれる。突然変異体には、天然の配列に対する、切断、置換または欠失が含まれる。変異体配列は、DNA鋳型中のその存在が、プロテロメラーゼの酵素活性による閉鎖型直鎖状DNAへのその変換を可能にするいずれかの配列である。これは、閉鎖型直鎖状DNAの形成に関する適切なアッセイの使用によって容易に決定することができる。当該技術分野において説明されているいずれかの適したアッセイを用いることができる。適切なアッセイの例には、Denekeら,PNAS(2000)97,7721−7726に記載されている。好ましくは、変異体は、天然の配列で観察されるのと同等のプロテロメラーゼ結合性および活性を可能にする。本明細書中に記載されるパリンドローム配列の好ましい変異体の例としては、完全反復構造を保存し、閉鎖型直鎖状DNAの形成を可能にする能力を保持している、切断型パリンドローム配列が挙げられる。しかしながら、変異体プロテロメラーゼ標的配列は、それらがプロテロメラーゼ活性に対する基質として機能することができれば、もはや完全なパリンドロームを保存していないように改変することができる。
当業者は、上記で概説した原理に基づいて、本発明における使用のための適切なプロテロメラーゼ標的配列を同定し適当なプライマーを設計することが容易にできることを理解すべきである。候補プロテロメラーゼ標的配列は、上記のアッセイを用いて、閉鎖型直鎖状DNAの形成を促進するそれらの能力についてスクリーニングすることができる。
DNA鋳型は、1を超えるプロテロメラーゼ標的配列、例えば、2、3、4、5、10またはそれを超えるプロテロメラーゼ標的配列を含むことができる。複数のプロテロメラーゼ標的配列の使用は、より長いDNA分子からの、対象となる配列を含む短い閉鎖型直鎖状DNAの切り出しを可能にすることができる。特に、DNA鋳型中の1つまたは複数の対象となる配列には、いずれかの側(すなわち、5’および3’)で、プロテロメラーゼ標的配列が隣接していることができる。次に、2つの隣接するプロテロメラーゼ配列は、プロテロメラーゼの作用のもとで、増幅されたDNAから閉鎖型直鎖状DNAとしての対象となるそれぞれの短い配列の切り出しを媒介することができる。DNA鋳型は、いずれかの側でプロテロメラーゼ標的配列が隣接している1つまたは複数の対象となる配列(好ましくは、発現カセット)を含むことができる。DNA鋳型は、上記のようにプロテロメラーゼ標的配列が隣接している、2、3、4、5またはそれを超える対象となる配列を含むことができる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、いずれかの側でプロテロメラーゼ標的配列が隣接している発現カセットを含むDNA鋳型を用いる。発現カセットは、好ましくは、対象となるコード配列に作動可能に連結された真核生物プロモーター、および場合により真核生物転写終結配列を含む。この実施形態においては、鋳型DNAの増幅、および本発明によるプロテロメラーゼとの接触に続いて、発現カセットが、増幅された鋳型から閉鎖型直鎖状DNAとして放出される。鋳型DNA中の不要な配列は、同時に、結果として産物から除去される。
このような不要なまたは外部配列(細菌配列またはベクター配列とも記載される)としては、細菌性複製起点、細菌性選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、および非メチル化CpGジヌクレオチドを挙げることができる。このような配列の除去は、外来性の遺伝的物質を含まない「最小限の」発現カセットを作り出す。また、上記のタイプの細菌性配列は、いくつかの治療的アプローチでは問題を引き起こす場合がある。例えば、哺乳動物細胞内では、細菌/プラスミドDNAは、クローニングされた遺伝子を不活性化させ、対象となるタンパク質の持続的な発現を達成することができないようにする場合がある。また、細菌繁殖で用いられる抗生物質耐性遺伝子は、ヒトの健康に対してリスクをもたらす場合がある。さらに、細菌プラスミド/ベクターDNAは、望ましくない非特異的な免疫応答を引き起こし得る。細菌性DNA配列の特異的な特徴であるメチル化されていないシトシン−グアニンジヌクレオチド(典型的には、CpGモチーフとして知られる)の存在もまた、望ましくない免疫応答をもたらす場合がある。
特に、閉鎖型直鎖状DNA産物がDNAワクチンであるいくつかの実施形態においては、産物の配列中にCpGモチーフを残すことができる。これは、CpGモチーフが、コードされるタンパク質に対する免疫応答に有利なアジュバント効果を有し得るためである。
上記で概説したように、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むいずれのDNA鋳型が本発明の方法に従って増幅してもよい。したがって、DNAワクチンおよび他の治療用DNA分子の生成が好ましいが、本発明の方法は、いずれのタイプの閉鎖型直鎖状DNAを生成するためにも用いることができる。DNA鋳型は、二本鎖(ds)DNAまたは一本鎖(ss)DNAであり得る。二本鎖DNA鋳型は、開環状二本鎖DNA、閉環状二本鎖DNA、開放型直鎖状二本鎖DNAまたは閉鎖型直鎖状二本鎖DNAであってもよい。好ましくは、鋳型は、閉環状二本鎖DNAである。閉環状dsDNA鋳型は、RCA DNAポリメラーゼとの使用のために特に好ましい。環状dsDNA鋳型は、細菌繁殖のための遺伝子の維持のために典型的に用いられるプラスミドまたは他のベクターの形態であり得る。したがって、本発明の方法は、いずれかの市販のプラスミドまたはその他のベクター、例えば市販のDNA医薬を増幅し、次に、増幅されたベクターDNAを閉鎖型直鎖状DNAに変換するために用いることができる。
DNAポリメラーゼがニック入りDNA鎖から増幅を開始することができる鎖置換型ポリメラーゼである場合、開環状dsDNAを鋳型として用いることができる。この実施形態においては、鋳型を、1つまたは複数の部位で鋳型中のDNA鎖にニックを入れる1つまたは複数の酵素とともに予めインキュベートすることができる。
また、閉鎖型直鎖状dsDNAを鋳型として用いることもできる。閉鎖型直鎖状DNAを鋳型として用いる場合、鋳型DNAの増幅を促進する条件の前またはその間に、鋳型DNAを変性条件でインキュベートし、一本鎖環状DNAを形成させることができる。閉鎖型直鎖状dsDNA鋳型(出発材料)は、閉鎖型直鎖状DNA産物と同一であってもよい。したがって、鋳型は、それ自体が、閉鎖型直鎖状DNAを生成するためのインビトロ無細胞法、例えば、本発明による方法の産物である閉鎖型直鎖状DNAであってもよい。閉鎖型直鎖状DNAを生成するための方法は、典型的には、
(a)少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、少なくとも1種のプライマーの存在下、前記鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップと、
(b)閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、(a)で生成された増幅DNAを少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させるステップと
を含むことができる。
好ましくは、ステップ(a)における少なくとも1種のプライマーは、本発明によるプライマーである。すなわち、少なくとも1種のプライマーは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができる。
換言すると、本発明による方法は、
(a)少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、1種または複数種のプライマーの存在下、前記鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップと、
(b)閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、(a)で生成された増幅DNAを少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させるステップと、
(c)ステップ(a)を繰り返すステップであって、DNA鋳型がステップ(b)の閉鎖型直鎖状DNA産物であるステップと、
(d)(c)で生成された増幅DNAについてステップ(b)を繰り返すステップと、場合により、
(e)さらなるラウンドのステップ(c)および(d)を行うステップであって、ステップ(c)の各繰り返しについての鋳型がステップ(d)の従前の繰り返しの産物を含むステップと
を含んでもよい。
承認されるであろうが、ステップ(c)〜(e)の追加は、産物および鋳型が同じである循環反応を提供し、これは、少量の出発鋳型からこの方法を容易にスケールアップすることができる。
好ましくは、ステップ(a)および(c)における少なくとも1種のプライマーは、本発明によるプライマーである。すなわち、少なくとも1種のプライマーは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができる。
閉鎖型直鎖状DNA鋳型は、典型的には、対応する直鎖状鋳型よりも狭い温度範囲で融解し再アニーリングし、これは、相補鎖が各末端で互いに結合され、それにより再アニーリングがより容易となるためである。したがって、本発明の好ましいプライマーは、この狭い温度範囲内でパリンドローム配列に高い親和性で結合する。温度範囲は、典型的には、50℃〜95℃である。したがって、本発明のプライマーのTmは、好ましくは、45℃〜60℃、55℃〜70℃、65℃〜80℃または75℃〜95℃である。
上記で概説した通り、DNA鋳型は、典型的には、上記の通りの発現カセットを含み、すなわち、対象とするタンパク質をコードする配列に作動可能に連結された真核生物プロモーター、および場合により真核生物転写終結配列を含む、それらからなる、または本質的にそれらからなる発現カセットを含む。場合により、発現カセットは、上記に定義される最小限の発現カセットであってもよく、すなわち、典型的には以下のもの:(i)細菌性複製起点;(ii)細菌性選択マーカー(典型的には抗生物質耐性遺伝子)および(iii)非メチル化CpGモチーフからなる群より選択される、1つまたは複数の細菌配列またはベクター配列を欠いていてもよい。
DNA鋳型は、当該技術分野において知られている任意の方法によって、その方法における使用に十分な量で提供することができる。例えば、DNA鋳型は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成することができる。DNA鋳型がdsDNAである場合、少なくとも94℃の温度で予めインキュベートすることにより、変性した一本鎖として増幅ステップに供することができる。したがって、本発明の方法は、好ましくは、dsDNA鋳型を変性させて、一本鎖DNAを提供するステップを含む。あるいは、dsDNA鋳型は、二本鎖形態で提供することができる。DNA鋳型の全体または選択された一部を反応中に増幅することができる。
DNA鋳型の増幅を促進する条件下で、該鋳型を少なくとも1つのDNAポリメラーゼと接触させる。任意のDNAポリメラーゼを本発明の閉鎖型直鎖状DNAを増幅するための方法において用いることができる。任意の市販のDNAポリメラーゼが本発明のこの方法における使用に適している。2、3、4、5またはそれを超える異なるDNAポリメラーゼを用いることができ、例えば、その1つはプルーフリーディング機能を備え、1つまたは複数の他のものは備えていない。異なるメカニズムを有するDNAポリメラーゼを用いることができ、例えば、鎖置換型ポリメラーゼおよび他の方法によりDNAを複製するDNAポリメラーゼを用いることができる。鎖置換活性を有しないDNAポリメラーゼの適した例は、T4 DNAポリメラーゼである。
DNAポリメラーゼが非常に安定であり、その結果、その活性がプロセス条件下での長時間のインキュベーションによって実質的に低下しないことが好ましい。したがって、好ましくは、酵素は、限定されないが、温度およびpHを含むプロセス条件の範囲で長い半減期を有する。また、DNAポリメラーゼが、製造プロセスに適した1つまたは複数の特性を有することが好ましい。好ましくは、DNAポリメラーゼは、例えばプルーフリーディング活性を有しながら、高い忠実度を有する。さらに、DNAポリメラーゼが、高い処理能力、高い鎖置換活性、ならびにdNTPおよびDNAに対して低いKmを示すことが好ましい。DNAポリメラーゼが、非特異的エキソヌクレアーゼ活性を示さないことが好ましい。
当業者は、所定のDNAポリメラーゼが、市販のDNAポリメラーゼ、例えば、phi29、DeepVent(登録商標)およびバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)DNAポリメラーゼI、それぞれ配列番号2、3および5により示される特性と比較して、上記で画定された特性を示すか否かを決定することができる。Bst DNAポリメラーゼIは、New England Biolabs,Inc.から市販されている。高い処理能力に言及する場合、これは、典型的には、鋳型との結合/解離あたりにDNAポリメラーゼ酵素により付加されるヌクレオチドの平均数、すなわち、1回の結合事象から得られるプライマー伸長の長さを意味する。
鎖置換型ポリメラーゼは、本発明の閉鎖型直鎖状DNAを増殖するための方法における使用に好ましい。鎖置換型ポリメラーゼは、プロテロメラーゼの使用を必要としない本発明のDNA増幅のための方法でも用いられる。好ましい鎖置換型ポリメラーゼは、Phi29(配列番号2)、Deep Vent(登録商標)(配列番号3)およびBst DNAポリメラーゼI(配列番号5)またはそれらのいずれかの変異体である。配列番号2、3および5の変異体は、プロテロメラーゼ酵素との関連で、下記で定義する通りのものであってもよい。「鎖置換」なる用語は、DNA合成中に二本鎖DNAの領域に遭遇した際に、相補鎖を置換するDNAポリメラーゼの能力を説明するために、本明細書中で用いられる。
鎖置換型増幅法は、新規のDNA鎖の合成を継続するために、二本鎖DNAは障害とならないため、変性サイクルは効率的なDNA増幅に本質的でないという点において、PCRベースの方法とは異なることを理解すべきである。対照的に、PCR法は、二本鎖DNAを融解し、新規の一本鎖鋳型をもたらすために、増幅プロセスの各サイクルにおける変性ステップ(すなわち、94℃以上まで温度を上昇させること)を必要とする。
本発明の方法に使用される鎖置換型DNAポリメラーゼは、好ましくは、少なくとも20kb、より好ましくは少なくとも30kb、少なくとも50kb、もしくは少なくとも70kbまたはそれを超える処理能力(プライマー伸長の長さ)を有する。特に好ましい実施形態においては、鎖置換型DNAポリメラーゼは、phi29 DNAポリメラーゼに匹敵するまたはそれを超える処理能力を有する。
好ましい鎖置換複製プロセスは、ローリングサークル増幅(RCA)である。RCAなる用語は、ハイブリダイズしたプライマーを伸長させながら、環状DNA鋳型鎖の周囲を連続的に進行するRCA型DNAポリメラーゼ(本明細書中ではRCAポリメラーゼとも称される)の能力を説明する。これは、増幅されたDNAの複数の反復を有する直鎖状の一本鎖産物の形成をもたらす。これらの直鎖状の一本鎖産物は、多重ハイブリダイゼーション、プライマー伸長および鎖置換事象の基礎として働き、コンカテマー二本鎖DNA産物(これもまた増幅されたDNAの複数の反復を含む)の形成をもたらす。したがって、コンカテマー二本鎖DNA産物中には、それぞれの増幅された「単一単位」DNAの複数コピーがある。
RCAポリメラーゼは、本発明の方法における使用に特に好ましい。RCA型鎖置換複製プロセスの産物は、慣用的には、単一単位DNAを放出させるための複雑な処理を必要とする。有利なことに、本発明によれば、プロテロメラーゼ触媒機能の使用は、この処理を単一のステップで行うことを可能にする。また、プロテロメラーゼの使用は、この構造を有する分子を形成させるために追加の処理ステップ(複数可)を必要とすることなく、所望の閉鎖型直鎖状DNA構造を直接的に生成させる。
DNA鋳型のDNAポリメラーゼおよび少なくとも1種の本発明のプライマーとの接触は、DNA鋳型へのプライマーのアニーリングを促進する条件下で行う。条件には、プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする一本鎖DNAの存在が含まれる。また、条件には、鋳型へのプライマーのアニーリングを可能にする温度および緩衝液も含まれる。適切なアニーリング/ハイブリダイゼーション条件は、プライマーの性質に応じて選択してもよい。本発明で用いられる好ましいアニーリング条件の例としては、30mM Tris−HCl pH7.5、20mM KCl、8mM MgClの緩衝液が挙げられる。アニーリングは、変性に続いて、所望の反応温度までの非常に制御された段階的な冷却により行ってもよい。1分あたりの摂氏温度の典型的な冷却速度は、1.0〜5.0であるが、好ましくは0.1〜1.0、0.3〜1.0、0.5〜1.0、または0.7〜1.0である。冷却中、温度は、1〜10分間の冷却範囲内の特定の温度で保持されて、鋳型アニーリングプロセスにとって、プライマーについて最適な温度プロフィールを作り出すことができる。これは、鋳型自体の復元前に、鋳型へのプライマーの最大結合を可能にするのに有利である。
DNA鋳型がDNAポリメラーゼおよび1種または複数種のプライマーに接触すると、次いで、該鋳型の増幅を促進する条件下でのインキュベーションステップが行われる。好ましくは、条件は、別の鎖の鎖置換複製を介して複製された鎖の置換によって、該鋳型の増幅を促進する。条件は、通常は20〜90℃の範囲内の、DNAの増幅を可能にする任意の温度の使用を含む。好ましい温度範囲は、約20〜約40℃または約25〜約35℃であり得る。
典型的には、適切な温度は、具体的なDNAポリメラーゼが至適活性を有する温度に基づいて選択される。この情報は、一般的に利用可能であり、当業者の一般的知識の一部を形成する。例えば、phi29 DNAポリメラーゼを用いる場合、適した温度範囲は、約25〜約35℃、好ましくは約30℃となる。当業者は、本発明の方法による効率的な増幅のための適した温度を慣習的に特定することができる。例えば、方法は、ある範囲の温度にて行うことができ、増幅されたDNAの収量をモニタリングして、所与のDNAポリメラーゼに関する至適温度範囲を同定することができる。
DNA鋳型の増幅を促進する他の条件は、DNAポリメラーゼおよび1つまたは複数のプライマーの存在を含む。また、条件には、4種類全てのdNTP、ATP、TTP、CTPおよびGTP、適した緩衝剤/pHおよび酵素の性能または安定性に必要とされる他の因子の存在も含まれる。適した条件には、当該技術分野において知られているDNAポリメラーゼ酵素の活性をもたらすために用いられる任意の条件が含まれる。
例えば、pHは、3〜10の範囲内、好ましくは5〜8または約7、例えば約7.5であり得る。pHは、1つまたは複数の緩衝剤の使用により、この範囲内に維持することができる。このような緩衝液としては、限定されないが、MES、Bis−Tris、ADA、ACES、PIPES、MOBS、MOPS、MOPSO、Bis−Trisプロパン、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、トリズマ、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、Gly−Gly、ビシン、HEPBS、TAPS、AMPD、TABS、AMPSO、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、CABS、リン酸塩、クエン酸−リン酸水素ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム−酢酸、イミダゾールおよび炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウムが挙げられる。また、反応物は、二価金属の塩、限定されないが、塩化物、酢酸塩および硫酸塩を含む、例えばマグネシウム(Mg2+)およびマンガン(Mn2+)の塩を含んでもよい。また、一価金属の塩も含めることができ、それは、例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩、例えば、塩化カリウムである。含めることができる他の塩は、アンモニウム塩、特に硫酸アンモニウムである。
さらに、界面活性剤を含めることができる。適した界面活性剤の例としては、Triton X−100、Tween 20およびそのいずれかの誘導体が挙げられる。また、安定化剤を反応物に含めることができる。任意の適した安定化剤、特に、ウシ血清アルブミン(BSA)および他の安定化タンパク質を用いることができる。また、反応条件は、DNAを弛緩させ、鋳型の変性をより容易にする薬剤を添加することによっても改善することができる。このような薬剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、グリセロールおよびベタインが挙げられる。
当業者は、それらの一般的知識に基づいて、本発明の方法のために増幅およびインキュベーション条件を改変し、最適化することができることを理解すべきである。同様に、特定の薬剤の具体的な濃度は、当該技術分野における従前の例に基づいて選択することができ、一般的知識に基づいてさらに最適化することができる。一例として、当該技術分野におけるRCAベースの方法で用いられる適切な反応緩衝液は、50mM Tris HCl、pH 7.5、10mM MgCl、20mM(NHSO、5%グリセロール、0.2mM BSA、1mM dNTPである。本発明のRCA増幅で用いられる好ましい反応緩衝液は、35mM Tris−HCl、50mM KCl、14mM MgCl、10mM(NHSO、4mM DTT、1mM dNTPである。この緩衝液は、phi29 RCAポリメラーゼを用いる使用に特に適切である。
また、反応条件は、1つまたは複数の追加のタンパク質の使用を含んでもよい。DNA鋳型は、少なくとも1つのピロホスファターゼ、例えば、酵母無機ピロホスファターゼの存在下で増幅してもよい。2、3、4、5種類またはそれを超える種類のピロホスファターゼを用いることができる。これらの酵素は、鎖複製中にdNTPからDNAポリメラーゼにより生成されるピロリン酸塩を分解することができる。反応物におけるピロリン酸塩の形成は、DNAポリメラーゼの阻害を引き起こす場合があり、DNA増幅の速度および効率を低下させる場合がある。ピロホスファターゼは、ピロリン酸塩を非阻害的リン酸塩に分解することができる。本発明の方法における使用に適したピロホスファターゼの例は、New England Biolabs,Incから市販されているサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)ピロホスファターゼである。
一本鎖DNAを安定化させるために、任意の一本鎖結合タンパク質(SSBP)を本発明の方法に用いることができる。SSBPは、生存細胞の本質的な成分であり、ssDNAに関わる全てのプロセス、例えば、DNA複製、修復および組換えに関与する。これらのプロセスにおいて、SSBPは、形成されたssDNAに一時的に結合し、ssDNA構造の安定化を助けることができる。本発明の方法における使用に関して適したSSBPの例は、New England Biolabs,Inc.から市販されているT4遺伝子32タンパク質である。
増幅ステップに加えて、閉鎖型直鎖状DNAの増幅に関する本発明の方法は、閉鎖型直鎖状DNAの生成のための処理ステップもまた含む。増幅されたDNAを、閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させる。プロテロメラーゼに基づくこの単純な処理ステップは、閉鎖型直鎖状DNA分子の生成のために用いられる他の方法と比較して有利である。増幅ステップおよび処理ステップは、同時にまたは並行して行うことができる。しかしながら、好ましくは、増幅ステップおよび処理ステップは、処理ステップが増幅ステップに続いて(すなわち、増幅されたDNAに対して)行われるように逐次的に行う。
本発明で用いられるプロテロメラーゼは、共有結合閉鎖型直鎖状DNA分子を生成するために、プロテロメラーゼ標的部位を含む鋳型を切断し、再結合させることができる任意のポリペプチドである。したがって、プロテロメラーゼは、DNA切断機能および連結機能を有する。プロテロメラーゼ型の活性を有する酵素は、テロメアリゾルバーゼとしても説明されている(例えば、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)において)。プロテロメラーゼに対する典型的な基質は、環状二本鎖DNAである。このDNAがプロテロメラーゼ標的部位を含む場合、酵素はこの部位でDNAを切断し、末端を連結して、直鎖状二本鎖共有結合閉鎖型DNA分子を作り出すことができる。プロテロメラーゼ標的部位の要件は、上記で検討している。これもまた上記で概説したように、所定のポリペプチドがプロテロメラーゼ標的部位を含む鋳型からの閉鎖型直鎖状DNAの生成を触媒する能力は、当該技術分野において説明されている任意の適したアッセイを用いて決定することができる。
プロテロメラーゼ酵素は、バクテリオファージにおいて説明されている。いくらかの溶原菌においては、バクテリオファージは、共有結合閉鎖型末端を有する直鎖状二本鎖を含む染色体外DNAとして存在する。このDNAの複製および共有結合閉鎖型末端(またはテロメア末端)の維持は、この酵素、プロテロメラーゼの活性に依存する。ウイルスDNAの複製におけるプロテロメラーゼの役割を図1に図示する。この触媒活性の例は、大腸菌(Escherichia coli)に感染するバクテリオファージであるN15由来の酵素TelNによりもたらされる。TelNは、環状二本鎖DNA中の特異的ヌクレオチド配列を認識する。この配列は、22塩基対の逆方向完全反復(telO)が連なる2つの半分であるtelRおよびtelLを含む、telRLと称される若干不完全な逆方向パリンドローム構造である(図2を参照されたい)。2つのtelRL部位は、直鎖状プロファージDNAに作用する特異的DNAポリメラーゼの最初の活性によって環状二本鎖DNAにおいて形成される。TelNは、この環状DNAを2つの同一の直鎖状プロファージDNA分子に変換し、複製サイクルを完了させる。telRおよびtelLは、直鎖状プロファージDNAの閉鎖型末端を含み、DNAが同様にしてさらに複製されるのを可能にする。
閉鎖型直鎖状DNAの増幅に関する本発明の方法は、少なくとも1つのプロテロメラーゼの使用を必要とする。本発明のこの方法は、2、3、4、5種類またはそれを超える種類のプロテロメラーゼなどの1を超えるプロテロメラーゼの使用を含むことができる。適切なプロテロメラーゼの例としては、ハロモナス・アクアマリナ(Halomonas aquamarina)由来のphiHAP−1(配列番号7)、エルシニア・エンテロリティカ(Yersinia enterolytica)由来のPY54(配列番号9)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)由来のphiKO2(配列番号11)およびビブリオ属種(Vibrio sp.)由来のVP882(配列番号13)、ならびに大腸菌(Escherichia coli)由来のN15(配列番号15)などのバクテリオファージに由来するもの、またはそれらの任意の変異体が挙げられる。バクテリオファージN15プロテロメラーゼ(配列番号15)またはその変異体の使用が、特に好ましい。
配列番号7、9、11、13および15の変異体には、そのホモログまたは突然変異体が含まれる。突然変異体には、天然の配列に対して切断、置換または欠失が含まれる。変異体は、上記のようにプロテロメラーゼ標的部位を含む鋳型から閉鎖型直鎖状DNAを生成しなければならない。
本明細書中で言及される任意のホモログは、典型的には機能的ホモログであり、典型的には天然のタンパク質の関連領域に対して少なくとも40%相同である。相同性は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、UWGCGパッケージは、(例えば、その初期設定で用いて)相同性を算出するために用いることができるBESTFITプログラムを提供する(Devereuxら(1984)Nucleic Acids Research 12,387−395)。例えば、Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290−300;Altschul,S,Fら(1990)J Mol Biol 215:403−10に記載されているように、PILEUPアルゴリズムおよびBLASTアルゴリズムは、(典型的にはその初期設定で)相同性を算出するまたは配列同士を並べるために用いることができる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/))を通して公衆に利用可能である。
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的解析を行う;例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の一致が偶然に起こる確率を示す。例えば、第1の配列と第2の配列との比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合に、ある配列が別の配列に類似しているとみなされる。
変異体ポリペプチドは、天然のタンパク質に対して少なくとも40%の同一性を有する配列を含む(またはそれからなる)。好ましい実施形態において、変異体配列は、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、例えば少なくとも40、60、100、200、300、400個もしくはそれを超える連続するアミノ酸にわたって、または変異体の全体配列にわたってさえ、天然のタンパク質の特定の領域に対して少なくとも55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、より好ましくは少なくとも95%、97%または99%相同であり得る。あるいは、変異体配列は、全長天然タンパク質に対して、少なくとも55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、より好ましくは少なくとも95%、97%または99%相同であり得る。典型的には、変異体配列は、少なくとも2、5、10、20、40、50または60個またはそれ未満の突然変異(そのそれぞれが、置換、挿入または欠失であり得る)によって、天然のタンパク質の関連領域とは異なる。本発明の変異体配列は、上記で言及した配列の長さのいずれかにわたって、具体的な相同性%値のいずれかと同じである、全長天然タンパク質の特定の領域との同一性%を有し得る(すなわち、少なくとも40%、55%、80%または90%、より好ましくは少なくとも95%、97%または99%の同一性を有し得る)。
また、天然のタンパク質の変異体には切断も含まれる。変異体がなおも上記の閉鎖型直鎖状DNAを生成することができる限り、任意の切断を用いることができる。切断は、典型的には、触媒活性に本質的ではなく、かつ/またはフォールディングしたタンパク質のコンホメーション、特に活性部位のフォールディングに影響しない配列を除去するためになされる。また、切断は、プロテロメラーゼポリペプチドの溶解性を改善するためにも選択してもよい。適切な切断は、N末端またはC末端からの種々の長さの配列の体系的な切断によって、慣用的に特定することができる。
さらに、天然のタンパク質の変異体は、天然のタンパク質の特定の領域に対する1つまたは複数の、例えば、2、3、4、5〜10、10〜20、20〜40、またはそれを超えるアミノ酸挿入、置換または欠失を有する突然変異体を含む。欠失および挿入は、好ましくは、触媒ドメインの外側でなされる。挿入は、典型的には、例えば、組換え発現の目的で、天然のタンパク質に由来する配列のN末端またはC末端でなされる。置換もまた、典型的には、触媒活性に本質的ではなく、かつ/またはフォールディングしたタンパク質のコンホメーションに影響しない領域でなされる。このような置換は、酵素の溶解性または他の特性を改善するために行うことができる。一般的には好ましくないが、置換はまた、活性部位でまたは第2スフェアで、すなわち、活性部位のアミノ酸のうち1つまたは複数の位置もしくは方向に影響するまたはそれに接触する残基で行うことができる。これらの置換は、触媒特性を改善するために行うことができる。
好ましくは、置換は、1つまたは複数の保存的変化を導入するものであり、保存的変化は、類似の化学構造、類似の化学的特性または類似の側鎖体積の他のアミノ酸で、アミノ酸を置換する。導入されたアミノ酸は、それが置換したアミノ酸に対して、類似の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性、中性または電荷を有し得る。あるいは、保存的変化は、既存の芳香族または脂肪族アミノ酸の代わりに、芳香族または脂肪族である別のアミノ酸を導入するものであり得る。保存的アミノ酸変化は、当該技術分野において周知であり、表Aに規定されるように20種の主要なアミノ酸の特性に従って選択することができる。
Figure 2013535210
変異体が、天然のタンパク質に匹敵するまたは同じ効率で、上記のように閉鎖型直鎖状DNAを生成することができることが特に好ましい。
上記で概説したように、本発明の方法によるDNAの増幅は、鎖置換型DNAポリメラーゼ、より好ましくはRCA DNAポリメラーゼによって行うことが好ましい。インビトロ無細胞法におけるRCA DNAポリメラーゼとプロテロメラーゼとの組み合わせは、閉鎖型直鎖状DNAの生成において驚くべき効率および簡潔性を可能にする。
上記で検討したように、長い直鎖状一本鎖DNA分子を、最初に鎖置換反応で形成させ、これが続いて新たな鋳型として働き、その結果二本鎖分子が形成される(図4)。二本鎖分子は、鎖置換型ポリメラーゼの前進作用により形成された増幅DNAのタンデム単位の連続的な連なりを含む(コンカテマー)。これらのコンカテマーDNA産物は、増幅された鋳型DNAの複数の反復を含む。したがって、本発明の方法で生成されるコンカテマーは、DNA鋳型から増幅された配列の複数単位を含む。コンカテマーは、増幅される対象の単一単位の長さに応じて、増幅された配列の10、20、50、100、200、500もしくは1000またはそれを超える単位を含み得る。コンカテマーは、少なくとも5kb、少なくとも10kb、少なくとも20kb、より好ましくは少なくとも30kb、少なくとも50kb、もしくは少なくとも70kbまたはそれを超える大きさであってもよい。
多くの実施形態において、例えばDNA医薬の製造では、増幅されたDNAは、単一単位としての使用のために必要とされる。したがって、このようなコンカテマーは、増幅されたDNAの単一単位を放出するためのプロセシングを必要とする。このコンカテマーDNAを増幅されたDNAの単一単位に変換するために、正確に切断することが必要であり、対になった鎖の末端は再連結を必要とする。
本発明によれば、これは、DNA鋳型への制限エンドヌクレアーゼ部位の組み込みによって行ってもよい。すなわち、制限エンドヌクレアーゼをコンカテマーとともにインキュベートして、その認識部位で切断し、単一単位を放出してもよい。次に、制限エンドヌクレアーゼの作用によって形成された開放型直鎖状二本鎖DNAをDNAリガーゼ酵素とともにインキュベートして、単一単位DNAを共有結合的に閉鎖させてもよい。当業者に知られている任意の適した制限エンドヌクレアーゼを用いてもよい。例えば、適した制限エンドヌクレアーゼには、HindIII、EcoRI、NdeI、XmnI、PvuI、BsaI、BciVIおよびAlwNIまたは任意の他の鋳型適合性単一部位特異的酵素が挙げられる。制限エンドヌクレアーゼおよびDNAリガーゼ酵素を用いた使用に適した条件は、当業者に知られている。
しかしながら、本発明によれば、閉鎖型直鎖状単一単位DNAへのコンカテマーDNAのプロセシングは、好ましくは、単一の酵素、プロテロメラーゼの使用により達成する。これは、閉鎖型直鎖状DNA分子の生成のための方法での有利な簡潔性および経済性を表す。第1に、単一単位の切断および再連結が、単一の酵素とのインキュベーションによって達成される。第2に、単一単位はまた、所望の閉鎖型直鎖状構造を有して放出され、したがって、(すなわち、共有結合閉鎖型環状単一単位DNAから)この構造を生成するための追加の処理ステップを必要としない。
したがって、好ましくは、DNA鋳型から増幅されたDNAを、閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、少なくとも1つのプロテロメラーゼとともにインキュベートする。言い換えれば、この条件は、ヘアピン末端を有する共有結合閉鎖型直鎖状DNAを形成させるための、プロテロメラーゼ標的配列を含む二本鎖DNAの切断および再連結を促進する。閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件は、一般には20〜90℃の範囲において、閉鎖型直鎖状DNAの生成を可能にする任意の温度の使用を含む。温度は、好ましくは、25〜40℃の範囲内、例えば、約25〜約35℃、または約30℃であってもよい。具体的なプロテロメラーゼに対する適切な温度は、DNAポリメラーゼのための温度条件との関連で上記に概説した原則に従って選択することができる。配列番号15の大腸菌(E. coli)バクテリオファージTelNプロテロメラーゼとの使用のために適した温度は、約25〜約35℃、例えば約30℃である。
また、閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件は、プロテロメラーゼおよび適切な緩衝剤/pH、ならびに酵素の性能または安定性に必要とされる他の因子の存在も含む。適切な条件には、当該技術分野において知られているプロテロメラーゼ酵素の活性をもたらすために用いられる任意の条件が含まれる。例えば、大腸菌(E. coli)バクテリオファージTelNプロテロメラーゼを用いる場合、適した緩衝液は、20mM TrisHCl, pH7.6;5mM CaCl;50mMグルタミン酸カリウム;0.1mM EDTA;1mMジチオスレイトール(DTT)であってもよい。また、最適な活性および安定性を維持するための薬剤および条件は、DNAポリメラーゼについて列挙されたものから選択することもできる。
いくつかの実施形態においては、プロテロメラーゼの活性のために、DNA増幅のために用いるのと同じ条件を用いることが可能であり得る。特に、同じ条件の使用は、DNA増幅およびプロテロメラーゼによる処理が同時にまたは並行して行われる場合に説明される。他の実施形態においては、最適なDNAポリメラーゼ活性をもたらすために用いられる条件が、次善のプロテロメラーゼ活性をもたらす場合、反応条件を変化させることが必要であり得る。特定の薬剤の除去および反応条件の変更は、ろ過、透析および当該技術分野において知られている他の方法によって達成可能であり得る。当業者は、最適なDNAポリメラーゼ活性および/またはプロテロメラーゼ活性を可能にする条件を容易に同定することができる。
特に好ましい実施形態においては、RCA DNAポリメラーゼ、好ましくはphi29によるDNAの増幅での使用のために、DNA増幅は、25〜35℃、例えば、約30℃の温度にて35mM Tris−HCl、50mM KCl、14mM MgCl、10mM(NHSO、4mM DTT、1mM dNTPと実質的に同一であるまたは本質的にそれらからなる緩衝条件下で行う。次に、プロテロメラーゼでの処理ステップは、好ましくは、TelNを用いて、かつ/または好ましくは25〜35℃、例えば約30℃の温度にて、20mM TrisHCl、pH7.6;5mM CaCl;50mMグルタミン酸カリウム;0.1mM EDTA;1mMジチオスレイトール(DTT)と実質的に同一であるまたは本質的にそれらからなる緩衝条件下で行うことができる。
本発明の方法での使用における全ての酵素およびタンパク質は、組換え的に、例えば細菌中で生成することができる。組換え発現を可能にする、当業者に知られている任意の手段を用いることができる。対象タンパク質をコードする核酸配列を含むプラスミドまたは他の形態の発現ベクターを細菌に導入することができ、その結果、それはコードされたタンパク質を発現する。例えば、配列番号2、5、7、9、11、13または15の発現のために、ベクターは、それぞれ、配列番号1、4、6、8、10、12または14の配列を含むことができる。典型的には、続いて、発現されたタンパク質は、例えばアフィニティータグを用いて十分な量で精製され、本発明の方法における使用に適した形態で提供される。組換えタンパク質生成のためのこのような方法は、その一般な知識に基づいて、当業者には慣用的に利用可能である。上記の議論は、本明細書中で論じたいずれのタンパク質の供給にも適用される。
DNA鋳型をDNAポリメラーゼと接触させることによって得られる増幅されたDNAは、プロテロメラーゼまたは他の酵素との接触の前に精製することができる。したがって、本発明の方法は、DNA鋳型から増幅したDNAを精製するステップをさらに含むことができる。しかしながら、好ましい実施形態において、該方法は、プロテロメラーゼまたは他の酵素との接触に先立つ増幅DNAの精製を含むことなしに行われる。これは、増幅ステップおよび処理ステップを、典型的には同じ容器または溶液中で、連続的に行うことができることを意味する。このようないくつかの実施形態においては、該方法は、プロテロメラーゼ活性をもたらす緩衝液の添加(すなわち、閉鎖型直鎖状DNAの形成を促進する条件を提供するために)を含む。同様に、制限エンドヌクレアーゼ活性をもたらす緩衝液は、適切な場合に添加してもよい。
プロテロメラーゼの作用による閉鎖型直鎖状DNAの生成に続いて、閉鎖型直鎖状DNAの増幅に関する本発明の方法は、直鎖状共有結合閉鎖型DNA産物を精製するステップをさらに含むことができる。同様に、本発明の他のプロセスに従って増幅されたDNAもまた精製してもよい。上記で言及した精製は、典型的には、任意の望ましくない産物を除去するために行われる。精製は、当該技術分野において知られている任意の適切な手段によって行うことができる。例えば、増幅されたDNAまたは直鎖状共有結合閉鎖型DNAの処理は、フェノール/クロロホルム核酸精製または核酸を選択的に結合するカラム(例えば、Qiagenから市販されているもの)の使用を含むことができる。当業者は、増幅されたDNAの単離における使用のための適した精製技術を慣用的に同定することができる。
直鎖状共有結合閉鎖型DNAまたは本発明に従って生成されたDNAの別の形態が生成され、十分な量で精製されると、本発明の方法は、DNA組成物、例えば、治療用DNA組成物としてのその製剤化をさらに含んでもよい。治療用DNA組成物は、上記で言及したタイプの治療用DNA分子を含む。このような組成物は、所望の経路による投与に適した形態、例えば、噴霧、注射用組成物または経口投与、粘膜投与もしくは局所投与に適した製剤において治療上有効量のDNAを含む。
慣用の医薬調製物としてのDNAの製剤化は、当業者に利用可能な標準的な製薬製剤化学および方法を用いて行うことができる。任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を用いてもよい。補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などは、賦形剤またはビヒクル中に存在してもよい。これらの賦形剤、ビヒクルおよび補助物質は、一般には、不適切な毒性なしに投与することができる製薬用物質であり、ワクチン組成物の場合には、該組成物を受ける個体における免疫応答を誘導しないものである。適した担体は、リポソームであってもよい。
薬学的に許容される賦形剤としては、限定されないが、水、生理食塩水、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロールおよびエタノールなどの液体が挙げられる。また、薬学的に許容される塩をそれに含めることができ、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱物酸塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩を挙げることができる。また、必要ではないが、調製物が、ペプチド、タンパク質または他の同様の分子が組成物中に含まれる場合特にそれらに対する安定化剤として働く薬学的に許容される賦形剤を含むことも好ましい。ペプチドに対する安定化剤としても作用する適した担体の例としては、限定されないが、製薬等級のデキストロース、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが挙げられる。他の適切な担体としては、これもまた限定されないが、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。薬学的に許容される賦形剤、ビヒクルおよび補助物質の詳細な検討は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub.Co.,N.J.1991)(参照により本明細書中に組み入れられる)において利用可能である。
本発明の方法は、インビトロの無細胞環境において行われる。すなわち、この方法は、宿主細胞の不存在下で行われ、典型的には、精製された酵素成分の使用を含む。したがって、適用可能である場合にはプロテロメラーゼまたは他の酵素による処理を含めた鋳型DNAの増幅は、典型的には、適切な容器内の溶液中で反応成分を接触させることにより行われる。場合により、特定の成分を固体支持体に結合させたものなどの固定化形態で提供してもよい。
本発明の方法は、任意のスケールで行うことができることを理解すべきである。しかしながら、この方法が、商業的または産業的スケールで、すなわち、ミリグラム以上の量で増幅されたDNAを生成するスケールでDNAを増幅するために行われることが好ましい。該方法により、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも20ミリグラム、少なくとも50ミリグラムまたは少なくとも100ミリグラムの増幅されたDNAが生成されることが好ましい。好ましくは、本発明の閉鎖型直鎖状DNAを増幅するための方法において増幅されたDNAに由来する最終的な閉鎖型直鎖状DNA産物をミリグラム以上の量で生成することもできる。該方法により、少なくとも1ミリグラム、少なくとも2ミリグラム、少なくとも5ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも20ミリグラム、少なくとも50ミリグラム、または少なくとも100ミリグラムの閉鎖型直鎖状DNAが生成されることが好ましい。
さらに、本発明は、本発明の方法を実施するために必要なコンポーネントを含むキットを提供する。このキットは、本発明による少なくとも1種のプライマー、および少なくとも1つのDNAポリメラーゼを含む。好ましくは、DNAポリメラーゼは、鎖置換型DNAポリメラーゼである。キットは、少なくとも1つのプロテロメラーゼ、および場合により本明細書中に記載された閉鎖型直鎖状DNAを増幅するための方法において使用するための使用説明書をさらに含んでもよい。
キットは、2、3、4、5種類またはそれを超える種類のDNAポリメラーゼを含むことができる。好ましくは、キットは、少なくとも1つの鎖置換型DNAポリメラーゼ、さらにより好ましくはRCA DNAポリメラーゼを含む。キットが、phi29 DNAポリメラーゼ(配列番号2)、Deep Vent(登録商標)DNAポリメラーゼ(配列番号3)もしくはBst 1 DNAポリメラーゼ(配列番号5)またはそれらの任意の変異体を含むことが特に好ましい。いくつかの実施形態において、他の方法によってDNAを複製するDNAポリメラーゼを含めてもよい。
キットは、好ましくは、少なくとも1つのプロテロメラーゼを含む。キットは、2、3、4種類またはそれを超える種類のプロテロメラーゼを含んでもよい。プロテロメラーゼは、配列番号5、7、9、11、13もしくは15またはそれらの任意の変異体のいずれかから選択することができる。キットが、大腸菌(E. coli)N15 TelN(配列番号15)またはその変異体を含むことが特に好ましい。
キットは、上述されるものなどの制限エンドヌクレアーゼを含み、好ましくは鎖置換型DNAポリメラーゼと組み合わせてもよい。
キットは、好ましくは、以下から選択される配列を含むまたはそれらの配列からなる少なくとも1つのプライマーを含んでもよい:
配列番号30 CGCATATTACCT/CGA/TTAACACAC
配列番号31 GCGTATAATGGA/GCT/AATTGTGTG
配列番号32 GCGTATAATGG
配列番号33 CCATTATACGC
配列番号34 CACACAATA/TGC/TCCAT
配列番号35 ATGGA/GCA/TATTGTGTG
配列番号36 CGCATCATACGACTTTATCCA
配列番号37 GCGTAGTATGCTGAAATAGGT
配列番号38 CATATCATACGGCTACAATGTATACC
配列番号39 GTATAGTATGCCGATGTTACATATGG
配列番号40 TATATTAA/TAAAA/TT/AAATCAT
配列番号41 ATATAATT/ATTTT/AA/TTTAGTA
また、キットは、少なくとも1つの一本鎖結合タンパク質(SSBP)を含んでもよい。好ましいSSBPは、New England Biolabs,Inc.から市販されているT4遺伝子32タンパク質である。2、3、4種類またはそれを超える種類のSSBPをキットに含めることができる。キットは、ピロホスファターゼをさらに含むことができる。好ましいピロホスファターゼは、New England Biolabs,Inc.から市販されているサッカロミセス・セレビジエ(S. cerevisiae)ピロホスファターゼである。いくつかの実施形態において、2、3、4、5種類またはそれを超える種類のピロホスファターゼを含めることができる。キットは、本明細書中に記載されている任意のDNAポリメラーゼ、プロテロメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、SSBPまたはピロホスファターゼを含むことができる。また、キットは、dNTP、適切な緩衝液、ならびに本明細書中に記載されるDNAポリメラーゼおよび/もしくはプロテロメラーゼ酵素性能または安定性に必要な他の因子も含むことができる。
[実施例1]
二本鎖環状DNA鋳型からの閉鎖型直鎖状DNAの生成
プロテロメラーゼTelN結合配列を含む二本鎖環状DNAをDNA鋳型として用いる。プロテロメラーゼTelN結合部位を含むパリンドローム配列の半分の部分に相補的な単一のパリンドロームオリゴヌクレオチドを用いて、両鎖を特異的に始動する。適切なプライマーの例には、配列番号30〜35が含まれる。二本鎖環状鋳型の変性、および単一のプライマーのアニーリングは、例えば、30mM Tris−HCl pH7.5、20mM KCl、2.5mM MgClを含むアニーリング/変性緩衝液中で行われる。変性は、95℃まで加熱し、この温度にて1〜10分間維持し、続いて、特異的プライマーの鋳型への最大結合のために最適化された、注意深く制御された冷却プロフィールによって行われる。次に、温度は、適切なDNAポリメラーゼによるDNA増幅に最適となるように下げられる。適切な酵素は、30℃にて最適に作用する枯草菌(Bacillus subtilis)ファージphi29から単離されたphi29である。
次に、酵素phi29およびPPi(酵母無機ピロホスファターゼ)を含む適切な容量の反応緩衝液をアニーリングされたDNA/プライマー反応に添加する。反応混合物は、約30℃にて5〜20時間の間、またはそれより長期間インキュベートされる。適切な反応緩衝液は、典型的には、35mM Tris−HCl、50mM KCl、2.5mM MgCl、10mM( NHSO、4mM DTT、1mM dNTPを含む。
続いて、RCAによって増幅されたコンカテマーDNAは、30℃にてプロテロメラーゼTelNとともに、適切な緩衝液、例えば、10mM Tris HCl pH7.6、5mM CaCl、50mMグルタミン酸カリウム、0.1mM EDTA、1mM DTT中で、反応が完了するまでインキュベートされる。得られた閉鎖型直鎖状DNA産物は、例えば、精製される量に応じて、ゲル電気泳動または適切なクロマトグラフィー法によって精製してもよい。
[実施例2]
閉鎖型直鎖状DNA鋳型からの閉鎖型直鎖状DNAの生成
プロテロメラーゼTelNの結合配列を含むテロメア末端を含有する閉鎖型直鎖状DNAをDNA鋳型として用いる。鋳型のテロメア末端を含むパリンドローム配列の半分の部分に相補的な単一のパリンドロームオリゴヌクレオチドを特異的プライマーとして用いる。プライマーは、DNA鋳型上の2つの同一部位に結合する。適切なプライマーの例には、配列番号30〜35が含まれる。
閉鎖型直鎖状DNA鋳型の変性、および単一のプライマーのアニーリングは、例えば、30mM Tris−HCl pH7.5、20mM KCl、2.5mM MgClを含むアニーリング/変性緩衝液中で行われる。変性は、95℃まで1分間加熱し、この温度にて1〜10分間維持し、続いて、特異的プライマーの鋳型への最大結合のために最適化された、注意深く制御された冷却プロフィールによって行われる。次に、温度は、適切なDNAポリメラーゼによるDNA増幅に最適となるように下げられる。適切な酵素は、30℃にて最適に作用する枯草菌(Bacillus subtilis)ファージphi29から単離されたphi29である。
次に、酵素phi29およびPPi(酵母無機ピロホスファターゼ)を含む適切な容量の反応緩衝液をアニーリングされたDNA/プライマー反応に添加する。反応混合物は、約30℃にて5〜20時間の間、またはそれより長期間インキュベートされる。適切な反応緩衝液は、典型的には、35mM Tris−HCl、50mM KCl、2.5mM MgCl、10mM(NHSO、4mM DTT、1mM dNTPを含む。
続いて、RCAによって増幅されたコンカテマーDNAは、30℃にてプロテロメラーゼTelNとともに、適切な緩衝液、例えば、10mM Tris HCl pH7.6、5mM CaCl、50mMグルタミン酸カリウム、0.1mM EDTA、1mM DTT中で、反応が完了するまでインキュベートされる。得られた閉鎖型直鎖状DNA産物は、例えば、精製される量に応じて、ゲル電気泳動または適切なクロマトグラフィー法によって精製してもよい。
実施例2の方法は、産物が鋳型と同一である環状反応を提供し、したがって、方法のステップの追加のサイクルを行うことによって、非常に少量の鋳型から反応を容易にスケールアップさせる方法を提供する。
[実施例3および4](材料および方法)
DNA増幅のための条件
プロテロメラーゼTelN結合配列およびHindIII制限エンドヌクレアーゼ部位を含む4.3kbの環状二本鎖DNAをDNA鋳型として用いた。TelN結合配列は、逆方向パリンドロームを構成する。パリンドロームTelN結合部位の半分における配列に相補的な異なる長さのオリゴヌクレオチドを単一の特異的プライマーとして用いた。このようなプライマーは、DNA鋳型のTelN配列内の反対鎖上の同一部位に結合し、反対方向にDNA合成を開始する。こうして、ただ単一のオリゴヌクレオチドが、各鎖を始動するために必要とされる。試験されるプライマーの例には、配列番号30〜42から選択される。
環状二本鎖DNA鋳型の変性および単一のプライマーの初期アニーリングは、1ng DNA鋳型、30mM Tris−HCl pH7.5、30mM KCl、および15mM MgClを含む、50μl体積の緩衝液において行われた。単一プライマーの濃度は10mMであったが、比較の目的のために含められたランダムヘキサマーの濃度は50mMであった。変性は、95℃まで1分間加熱し、次に、2分間、25℃に急速に冷却することによって行われた。続いて、温度は、枯草菌(Bacillus subtilis)ファージphi29DNAポリメラーゼを用いたDNA増幅のために選択された温度に変化させた。phi29DNAポリメラーゼは、25〜35℃の範囲内で、最適には30℃にて機能する。
DNA増幅は、酵素phi29(0.04μM)および酵母無機ピロホスファターゼ(0.5U/ml)を含む50μl反応緩衝液(30mM Tris−HCl、30mM KCl、15mM MgCl、5mM(NH4)SO、2mM DTT、0.5mM dNTP)をアニーリングされたDNA/プライマー反応混合物に添加することによって行われた。反応は、最大20時間、30℃および34℃にて行われた。
次に、ローリングサークル増幅反応(RCA)におけるphi29酵素によって生成されたコンカテマーDNAは、プロテロメラーゼTelNまたはHindIII制限エンドヌクレアーゼのいずれかを用いて処理された。両酵素は、鋳型と同一サイズの産物を生成するようにコンカテマーDNAを切断するが、TelN産物は共有結合閉鎖型末端を有する。反応条件は以下の通りであった:
HindIII反応条件
HindIII消化について、コンカテマーDNAの反応試料は、PicoGreenアッセイ(Invitrogen)を用いて定量され、可能であれば、40U HindIII制限酵素、20mM Tris−OAc、pH7.9、50mM KOAc、10mM Mg(OAc)および1mMジチオスレイトールを含む20μlの緩衝液/酵素あたり250ngに調整された。反応物を30分間、37℃にてインキュベートした。
TelN反応条件
TelN切断/結合について、コンカテマーDNAの試料は、PicoGreenアッセイ(Invitrogen)を用いて定量され、可能であれば、8pmol TelNプロテロメラーゼ、10mM Tris HCl pH7.6、5mM CaCl、50mMグルタミン酸カリウム、0.1mM EDTA、1mMジチオスレイトールを含む20μlの緩衝液/酵素あたり250ngに調整された。反応物を30℃にて1.5時間インキュベートした。
ゲル電気泳動
20μlの消化されたDNA産物は、4μlのゲルローディング緩衝液と混合され、0.8%アガロースゲルにローディングされた。混合物を電気泳動によって分離し、DNAを視覚化するために臭化エチジウムを用いて染色した。参照のための5μl DNAラダーのローディングは、4.3kb DNA産物の同定を可能にした。
ゲル画像化
画像分析は、SynGene GeneSnapソフトウェアを用いて、UV条件下で行われた。ゲル画像の濃度測定量は、ImageJ分析ソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij/)を用いて行われた。濃度測定画像は、ランダムヘキサマーと比較して、単一の特異的プライマー由来の4.3kb産物の純度のより明確な比較を可能にする。
[実施例3]
30℃でのDNAのローリングサークル増幅における単一のオリゴヌクレオチドプライマーとランダムヘキサマーとの比較
RCAによる鋳型DNA増幅反応は、30℃にてランダムヘキサマー、11マーのプライマー(配列番号32および33)(各プライマーについて融解温度は約32℃)、および15マーのプライマー(配列番号34および35)(融解温度は36℃〜39℃)を用いて行われた。
反応物は、1時間、2時間、4時間、6時間および9時間後に分析された。反応物からのコンカテマーDNA試料をHindIII処理に供し、従前に記載したようにゲル電気泳動によって産物を分離した。記載されるようにSynGene GeneSnap分析ソフトウェアを用いてゲルを分析した。結果を図7A、8Aおよび9Aに示す。各プライマーについてのphi29によるRCA反応速度は、PicoGreen法を用いることによって、各時間点でコンカテマーDNA定量から計算された。
結果
図7Aに示されるように、30℃にて、単一の特異的プライマー(11マーの配列番号32と33、および15マーの配列番号34と35)の各々は、phi29 DNAポリメラーゼによる4.3kbの環状二本鎖DNA鋳型の増幅を始動することができた。各プライマーについての反応速度を示す。使用された単一のプライマーの濃度(10mM)にて、プライマーの配列番号32(11マー)および配列番号34(15マー)は、プライマーの配列番号33(11マー)および配列番号35(15マー)よりも良好に機能した。プライマーの配列番号32と34を用いたDNA増幅の速度は、ランダムヘキサマーと比較して遅かったが、それらは同じ最終DNA収量に達した。
ランダムヘキサマープライマーは、最良の単一のプライマー(配列番号32)よりも良好な反応速度を与えたが、使用された濃度(50mM)は、単一の始動反応について使用した濃度(10mM)よりも5倍大きかったことに気付くべきである。プライマーの二量体形成を防ぐために、単一プライマーの濃度を最適化することは、反応のより高い速度を生成する場合がある。
また、反応は、HindIII制限エンドヌクレアーゼを用いたphi29反応のコンカテマーDNA産物を処理することによって形成された開放型末端直鎖状二本鎖の4.3kb産物の純度を比較することによってモニターされた(図8A)。比較された試料は、各々、250ngのDNA消化物由来であった。ランダムヘキサマーと単一の11マーのプライマー(配列番号32)を用いて行われた増幅のウェル内に残存するDNAは、ほぼ確実に、HindIIIを用いて切断することができない、メッシュされた(meshed)一本鎖DNAであった。これは、共通して、phi29ポリメラーゼを用いたRCA反応において観察される(レーン1、6、11、16および17)。
図8Aにおけるデータ(レーン11〜20)は、30℃にて、単一の特異的プライマーの各々が、少ない無関係なバンドと4.3kb産物バンド周辺のより低レベルのスメアを示すランダムヘキサマープライマーよりも明確な4.3kb産物を生じさせたことを明示する。例えば、レーン11とレーン12〜15、およびレーン16とレーン17〜20を比較されたい。また、これは図9Aの濃度測定データからも観察することができる。
ヘキサマープライマーが、DNA鋳型に対してランダムにDNA合成を開始し、結果として、phi29ポリメラーゼがより多様なコンカテマーの長さを作り出すことができるため、この驚くべき観察を説明することができる。したがって、より多くのDNAの不用な断片がHindIIIによる処理後に形成され、これは、電気泳動ゲルにおいて余剰なバンドとスメアによって現れる。
これは、DNA生成法において特に重要である。鎖置換型ローリングサークルDNAポリメラーゼ(例えばphi29)を用いた単一の特異的プライマーの使用は、基質の産物へのより効率的な変換をもたらす。さらに、産物は、より容易にかつコスト効率よく精製される。こうして、単一の特定のパリンドロームプライマーは、ランダムヘキサマーなどのプライマーの混合物と比較して重要な利点を有する。
[実施例4]
34℃でのDNAのローリングサークル増幅における単一オリゴヌクレオチドプライマーとランダムヘキサマーとの比較
RCAによる鋳型DNA増幅反応は、ランダムヘキサマー、ならびに11マーのプライマー(配列番号32および33)(融解温度は約32℃である)を用いて、34℃にて行われた。反応物は、1時間、2時間、4時間、6時間および9時間後に分析された。反応物からの別々のコンカテマーDNA試料をHindIIIおよびプロテロメラーゼTelN処理に供し、従前に記載したようにゲル電気泳動によって産物を分離した。記載した通りに画像分析ソフトウェアを用いてゲルを分析した。結果は、HindIII消化物については図8Bに示され、TelN消化されたコンカテマーDNAについては図8Cに示される。
結果
34℃は、ランダムヘキサマーのアニーリングよりも鋳型に対する11マーのアニーリングについてより最適な温度であることが期待されたが、phi29 DNAポリメラーゼ活性については最適な30℃を超える。
ランダムヘキサマープライマーおよび各々の単一の特異的プライマー(11マーの配列番号32および33)は、phi29 DNAポリメラーゼによる4.3kbの環状二本鎖DNA鋳型の増幅を始動することができた。各プライマーの反応速度を図7Bに示す。使用された単一のプライマー濃度(10mM)にて、プライマーの配列番号32(11マー)は、プライマーの配列番号33(11マー)よりも良好に機能したが、ランダムヘキサマーによって達成された速度には達しなかった。再度、従前に記載した通り、10mMの単一プライマーの濃度は、ランダムヘキサマー(50mM)について使用された濃度と比較して、反応に対して次善であったことが考えられる。これは、観察されたより低い反応速度を説明するものである。
全3つのプライマータイプを用いて、34℃におけるDNA合成の速度は、30℃においてよりも有意に低く、これは、恐らく、この温度において次善に作用する酵素に起因していた。
また、反応は、HindIII制限エンドヌクレアーゼを用いたphi29反応のコンカテマーDNA産物を処理することによって形成された開放型末端直鎖状二本鎖の4.3kb産物の純度を比較することによってモニターされた(図8B)。比較された試料は、各々、250ngのDNA消化物由来であった。ランダムヘキサマーと単一の11マーのプライマー(配列番号32)を用いて行われた増幅のウェル内に残存するDNAは、ほぼ確実に、HindIIIを用いて切断することができない、メッシュされた一本鎖DNAであった(レーン7および10)。
図8Bにおけるデータ(レーン7〜15)は、34℃にて、単一の特異的プライマーの各々がやはり、少ない無関係なバンドと4.3kb産物バンド周辺のより低レベルのスメアを有するランダムヘキサマープライマーよりも明確な4.3kb産物を生じさせたことを明示する。また、これは図9Bの濃度測定データからも観察することができる。これは、これらの3つのタイプのプライマーを用いた、30℃で行われた観察と類似している。
さらに、phi29酵素のDNAコンカテマー産物がプロテロメラーゼTelNにより消化され、閉鎖型直鎖状の4.3kb産物を生成した場合、結果は、ランダムヘキサマープライマーおよび2つの11マーのプライマー(配列番号32および33)による同一の性能を示した(図8C)。比較された試料は、再度、250ngのDNA消化物由来であった。
得られた結果は、単一の特定のオリゴヌクレオチドプライマーが、最終生成物の質に関して、ランダムヘキサマープライマーの混合物より性能が優れていたものとなり得ることを示す。
本発明の配列
Figure 2013535210
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Claims (19)

  1. 閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)を生成するためのインビトロ無細胞法であって、
    (a)少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、少なくとも1種のプライマーの存在下、前記鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップであって、前記少なくとも1種のプライマーが、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができるステップと、
    (b)閉鎖型直鎖状DNAの生成を促進する条件下で、(a)で生成された増幅DNAを少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させるステップと
    を含む方法。
  2. 前記DNA鋳型が、別の鎖の鎖置換複製を介して複製された鎖の置換によって前記鋳型の増幅を促進する条件下でインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNAポリメラーゼが配列番号2のphi29もしくはその変異体であり、かつ/または前記プロテロメラーゼが配列番号15のバクテリオファージN15 TelNもしくはその変異体である、請求項1または2に記載の方法。
  4. デオキシリボ核酸(DNA)を増幅するためのインビトロ無細胞法であって、
    少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含むDNA鋳型を、少なくとも1つのDNAポリメラーゼと、少なくとも1種のプライマーの存在下、別の鎖の鎖置換複製を介して複製された鎖の置換によって前記鋳型の増幅を促進する条件下で接触させるステップであって、前記少なくとも1種のプライマーが、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合することができ、両方向において増幅を始動することができるステップ
    を含む方法。
  5. 前記鋳型の増幅が、ローリングサークル増幅(RCA)によって行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記鋳型の増幅が、単一種のプライマーの存在下で行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記プライマーが、下記:
    配列番号30 CGCATATTACCT/CGA/TTAACACAC
    配列番号31 GCGTATAATGGA/GCT/AATTGTGTG
    配列番号32 GCGTATAATGG
    配列番号33 CCATTATACGC
    配列番号34 CACACAATA/TGC/TCCAT
    配列番号35 ATGGA/GCA/TATTGTGTG
    配列番号36 CGCATCATACGACTTTATCCA
    配列番号37 GCGTAGTATGCTGAAATAGGT
    配列番号38 CATATCATACGGCTACAATGTATACC
    配列番号39 GTATAGTATGCCGATGTTACATATGG
    配列番号40 TATATTAA/TAAAA/TT/AAATCAT
    配列番号41 ATATAATT/ATTTT/AA/TTTAGTA
    から選択される配列からなる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 増幅されたDNAが、前記DNA鋳型から増幅されたDNA配列のタンデム単位を含むコンカテマーを含む、先行のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜3に従属している場合、または請求項1〜3に従属している請求項5〜7に従属している場合、前記コンカテマーが、前記プロテロメラーゼによって増幅されたDNA配列の単一単位に分解される、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項4に従属している場合、または請求項4に従属している請求項5〜7に従属している場合、前記コンカテマーが、制限エンドヌクレアーゼによって増幅されたDNA配列の単一単位に分解される、請求項8に記載の方法。
  11. プロテロメラーゼ標的配列内のパリンドローム配列に特異的に結合し、両方向において増幅を始動することができるプライマー。
  12. 場合によりホスホロチオエート結合を含む、長さにして6〜50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドである、請求項11に記載のプライマー。
  13. 前記パリンドローム配列の半分にのみ特異的に結合する、請求項11または12に記載のプライマー。
  14. 配列番号25〜29の配列のいずれか1つに結合することができる、請求項11〜13のいずれか一項に記載のプライマー。
  15. 下記:
    配列番号30 CGCATATTACCT/CGA/TTAACACAC
    配列番号31 GCGTATAATGGA/GCT/AATTGTGTG
    配列番号32 GCGTATAATGG
    配列番号33 CCATTATACGC
    配列番号34 CACACAATA/TGC/TCCAT
    配列番号35 ATGGA/GCA/TATTGTGTG
    配列番号36 CGCATCATACGACTTTATCCA
    配列番号37 GCGTAGTATGCTGAAATAGGT
    配列番号38 CATATCATACGGCTACAATGTATACC
    配列番号39 GTATAGTATGCCGATGTTACATATGG
    配列番号40 TATATTAA/TAAAA/TT/AAATCAT
    配列番号41 ATATAATT/ATTTT/AA/TTTAGTA
    から選択される配列からなる、請求項11〜14のいずれか一項に記載のプライマー。
  16. 請求項11〜15のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプライマー、および少なくとも1つのDNAポリメラーゼを含むキット。
  17. (a)前記DNAポリメラーゼが、鎖置換型DNAポリメラーゼであり、かつ/または
    (b)キットが、少なくとも1つのプロテロメラーゼ、および場合により請求項1〜3、もしくは請求項1〜3に従属している請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法において使用するための使用説明書をさらに含む、
    請求項16に記載のキット。
  18. 宿主における抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、
    前記抗原をコードする前記DNA鋳型を用いて、請求項1〜3または請求項1〜3に従属している請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法を行うステップと、
    前記抗原が前記宿主において発現され、前記抗原に対する免疫応答を誘導するように、前記抗原をコードする、得られた閉鎖型直鎖状DNAを前記宿主に投与するステップと
    を含む方法。
  19. 閉鎖型直鎖状DNA分子を含む医薬組成物を製造するための方法であって、請求項1〜3または請求項1〜3に従属している請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法を行うステップと、薬学的に許容される担体または賦形剤とともに、得られた閉鎖型直鎖状DNAを製剤化するステップとを含む方法。
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