本発明は、従来技術よりも多くの利点を有している。本発明は、能動的成分が食品や医薬品の鮮度を効果的に維持するようなパッケージングシステムの形成を可能にする。本発明は、容器の機能やデザインを変えることなく、貯蔵寿命の長い、使い捨てのコーヒー容器の形成を可能にする。さらに、本発明の容器は廉価であり、本発明の容器は、吸着剤および容器のために、生分解性(生物分解性:biodegradable)の物質を利用してもよい。吸収剤は、異なった食品容器毎に、その酸素捕捉、二酸化炭素捕捉、および/または湿度吸収の必要に応じて、特に望ましい形態で提供してよい。本発明の実施例が、以下の詳細な記述および図面により明らかになるであろう。
「哺乳類が摂取可能な物質」という表現での哺乳類は、人、犬や猫等のペット、および家畜を含む。本発明の容器は、人以外の哺乳類用のスナック飲料、医薬品および食品を入れることが出来る。人以外の哺乳類は人と同じ物質または異なる物質を摂取出来る。
「人が摂取可能な物質」という表現は、インスタントスープ、インスタントコーヒー、インスタント果物ジュース、インスタント野菜ジュース、インスタント茶等の食品を含むとともに、本発明の容器から取り出した後に飲む(又は摂取する)医薬品を含む。人が摂取可能な物質を溶解または懸濁させるために通常用いられる液体は水であるが、ジュースやプラズマ(血漿、リンパ漿、乳漿)等の人が摂取可能な他の液体を用いてもよい。さらに、フレーバーウォーターやミネラルまたはビタミンを強化した水を用いてもよい。「吸着剤」または「吸収剤」という用語は、二酸化炭素、酸素または水蒸気を捕捉(吸収)する物質を示すために用いられている。
蓋となるフィルム付のカップに保存される一杯分(一回分)のすぐに入れられるコーヒーを作ることは、非常に成功している。一杯分のすぐに入れられるコーヒーに用いられる容器は、非常に複雑な容器で、ティーまたはコーヒーを保持するフィルターを有している。容器の頂部を通って容器の底部から出るように水を通すことによって、ティーまたはコーヒーを入れる。コーヒー以外の熱いドリンクに用いる場合でも、すぐに入れられる使い捨てのコーヒー用の多数のマシンと適合する容器を作ることが望ましい。フィルターを使用しなければ、コストを下げることが出来よう。容器にフィルターを使用しなければ、他のホットドリンクの多くは、低コストの容器で作ることが出来よう。しかし、こうしたマシンにおける水の注入および抽出が比較的急速に行われるため、使い捨て容器に保存される物質は、水がカップ中にある短時間のうちに急速に溶解または分散できるものでなければならない。したがって、これらの物質は、その粒子状の性質を維持し、すぐに分散または溶解できないような凝集または凝結の形態にならないことが必要がある。本発明は、フィルター無しのカップの中で、物質の特性に悪影響を及ぼすであろう成分を吸収する吸収剤を備えた容器を提供する。一般的に、哺乳類が摂取可能な物質や人が摂取可能な物質の多くは、水蒸気の作用によって凝結、または凝集する。容器中のこれらのガスの吸収は、一般的に、容器に入れて提供される、人が摂取可能な物質の風味や芳香を保つのにも役立つ。味が良好に維持され、貯蔵寿命が延びる。
本発明は、すぐに入れられる容器のデザイン変更が不要な、費用効率の高い解決策を提供する。コーヒーマシンは公知のデザインのカップを収容するように設計されているため、カップのデザインを変更することは実際的ではない。さらに、カップは一回使用しただけで廃棄されるため、生分解性材料を用いることが望ましい。フィルターに入れて浸す必要のない、人が摂取可能な物質には、インスタントコーヒー、インスタントティー、フルーツジュース、野菜ジュース、風邪薬、ブイヨン、チキンスープ、一部の麻薬およびココアが含まれる。これらの物質は、溶液または湯中の分散液として容器から出ていく。
図1および図2は、すぐに入れられる従来のコーヒー容器10の平面図および側面図である。容器10は蓋12および外側部(exterior side)14を有している。使用の際には蓋12と底16に穴を開ける。蓋12を通して水を注入し、底部16からコーヒーを取り出す。断面の線A−Aは容器10のほぼ中央を通っている。
図3は、従来の、すぐに入れられる容器10の断面図である。容器10は、符号22の位置で容器の側壁14(side wall)に溶着(seal)されたフィルター18を有している。容器内の摂取可能な物質のレベルを符号Mで示す。使用時に、容器の蓋12に図示しない手段によって穴を開け、熱い湯を容器に注入する。容器の底16にも図示しない手段によって穴を開け、湯中の摂取可能な物質を底から取り出す。フィルターはカップを二つの空間AとBに分ける。本発明はすぐに入れられるコーヒー容器、他の食品用容器および医薬品用容器の改良に関し、これら容器においてフィルターが存在しない。本発明の構造において、従来技術のカップと同等部分については、図3と同一の符号を付す。
図4は、ワッシャ形状の吸収剤72を使い捨て容器に入れた、本発明の実施例を示す。このワッシャ形状の吸収剤72は穴74を有している。容器の底部16において、上記穴74が位置している部分に穴を開け、哺乳類が摂取可能な流体をこの容器10から排出する。この吸収性ワッシャはポリマーで、ワッシャ形状の吸収剤72の形成前にポリマーに混入させた、水蒸気、酸素および二酸化炭素の少なくとも1つを吸収する吸収剤を有している。
上記ワッシャ形状の吸収剤は以下の技法で形成することが出来る。ワッシャや他の形状をなすポリマーと吸収剤の複合品は、Powersに付与された米国特許第7,595,278号の技法によって形成することができる。この米国特許は、参照により組み込まれる。米国特許第7,595,278号の実施例3および実施例4は、プロピレンと分子篩(molecular sieve)材料を含む、吸湿性の複合材料を開示していることに留意されたい。
図5は、小袋24を容器内に挿入した、本発明の実施例の断面図である。この小袋24は、酸素吸収が求められている場合、塩および電解質と組合わされた鉄等の酸素捕捉剤28を収容している。小袋24内の物質が、保存中に急速に酸素を吸収する。酸素の急速吸収は有益である。それは、インスタントのコーヒーおよびココアもまた酸素を吸収するが、小袋内の酸素捕捉剤の酸素吸収速度は、インスタントコーヒーの多数倍(何倍:many times)も速いからである。パケットの表面26は蒸気透過性を有するが、水透過性を有さない材料で形成されている。この表面は、沸騰したお湯以上の温度でも変化しない。小袋24は容器10の物質Mの上に置いても下に置いてもよい。
上記酸素捕捉剤の代わりに、または酸素捕捉剤に加えて、上記小袋は、インスタントのコーヒーやティーから放出される二酸化炭素を吸収可能な二酸化炭素捕捉剤を収容してもよい。これにより、揮発による風味の損失を最小化する。二酸化炭素吸収性小袋を上記酸素吸収性小袋に加えて使用してもよい。水分吸収剤を単独でまたは他の吸収剤に加えて小袋に収めてもよい。
上記捕捉剤の代わりに、または捕捉剤に加えて、小袋は湿度調整剤を収容してもよい。この湿度調整剤は、インスタントコーヒー、ココア、またはインスタントティー等の他の食品の水分活性を最適水準に維持可能で、風味成分の抽出可能性に悪影響を及ぼす過度の乾燥または湿気を避けることができる。
図6の実施例において、容器には、蓋12に接着された、吸収性フィルム29が設けられている。この吸収性フィルムは、容器に蓋を付ける前に蓋材12に接着される。このフィルムは、成形、ラミネートまたは押出コーティングで蓋に装着してもよいし、あるいは、予め成形して、接着剤、超音波溶着(ultrasonic sealing)または熱溶着(heat sealing)によって蓋に接着してもよい。この実施例は、哺乳類が摂取可能な物質のパッケージング前に吸収性フィルムを蓋に付加するという利点を有している。吸収性フィルム29は、吸収剤を内層に配した多層構造を成していてもよい。このフィルムに図示しない耐摩耗性層または滑性層が設けられていてもよい。これらの層は、耐摩耗性または滑らかさを提供し、酸素、二酸化炭素および/又は酸素の吸収剤(酸素捕捉剤)が、哺乳類が摂取可能な物質によってフィルムから除去されてしまう事態を予防する。この耐性層または滑性層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドおよびそれらのコポリマーで形成されていてよい。摩擦係数を0.5以下、好ましくは0.3以下にするように、通常のスリップ剤を哺乳類摂取用物質と接する層に添加してもよい。このフィルムは、二酸化炭素吸収物質、水分吸収物質、酸素吸収物質のいかなる組み合わせを含有していてもよい。
図7の実施例においては、酸素捕捉剤その他の吸着剤がカップ10の底部16および底縁部34に配置されている。捕捉剤32は、さまざまは技法で上記場所に設置可能であるが、ホットメルト接着剤に用いられるような押し出し技法を用いれば、容器10を満たす前の製造工程で速く行うことができよう。予め形成された透過可能な捕捉性リングまたは吸収性フィルムを、カップの底部内縁部34に取り付けてもよい。吸着剤の設置は他の押し出しコーティング法によっても行うことができる。押し出し材料としては、その場で硬化するホットメルトポリマー、プラスチゾル材料等がある。
図8と図9は、本発明の容器に用いる、吸収剤のキャリア23の平面図および断面図である。サポートは溝29,33を有している。サポートにはさらに穴41が設けられている。図8の断面図では、キャリア23にはガス透過性で水不透過性のカバーシート35が設けられている。さらに、溝29,33には、粒子状の酸素捕捉材料、二酸化炭素吸収材料および水吸収材料のうちの少なくとも1つを充填する。図10は、溝29,33に粒子状の吸収剤45を満たしたキャリア23を示している。そして、吸収剤45とキャリア23をシート材料で覆う。このシート材料は、水は通さないが、酸素、二酸化炭素等のガスを通す。シートを予め寸法通りに切っていない場合には、キャリアに載せた後、シートを切り抜き、穴41を開ける。この実施例では、粒子状の吸収剤の使用が可能である。
図11は、キャリア23を容器10に挿入した、本発明の実施例の断面図を示す。このキャリア23は、溝29,33の中に、塩と電解質と組み合わせた鉄等の酸素吸収剤45を含んでいる。溝29,33は、ガス透過性で水不透過性のフィルムまたは布35で覆われている。中央の排水口36が、人が摂取可能な物質の取出部を提供する。排水穴41は透過性フィルムによって覆われてはいない。溝29,33の中の物質が、貯蔵中、酸素、二酸化炭素または水蒸気を急速に吸収する。酸素の急速吸収は有益である。なぜならば、ココアやインスタントコーヒーもまた酸素を吸収するが、キャリア23中の酸素捕捉剤はインスタントコーヒーの何倍(多数倍)も酸素吸収速度が速いからである。表面フィルム35は、水蒸気透過性であるが水不透過性の材料で形成されている。このフィルムは、沸騰するお湯の温度より高温でも変化しない。
図12および図13はキャリア40を示している。このキャリア40は、キャリアの穴41にカップ42を有している。キャリア40は多数の小さな排水孔44を有している。キャリア40には、穴41にはめ込まれたカップ42が設けられている。図13に示すとおり、キャリアは、ガス透過性のカバー48によって覆われたカップ42を有している。カップは粒子状の酸素捕捉剤、二酸化炭素捕捉剤および水蒸気吸収剤46のうちの少なくとも1つを収容している。ガス透過性のフィルムまたはカバーは、TyvekまたはGore-Texのようなガス透過性フィルムまたは不織布で形成してよい。図14はカップ42を含むキャリアを示している。粒子状の吸収剤を入れた小袋54がカップ42の中に入っている。小袋は透過性フィルムまたは布(fabric)によって形成されている。図15は、本発明の使い捨て容器に用いられるサポート40を示している。
キャリア40は、底部16に向かうにつれて細くなる使い捨てコーヒー容器10内に、重力によって保持されるように設計されている。容器の側面に、キャリアを載せる係止部(stop)を成形することも出来る。キャリア40を接着剤で保持してもよい。さらに、キャリアの縁部をギザギザ状または波状にして、使い捨て容器からのコーヒーを排出しやすいようにすることも可能である。図16はキャリア58の波状の縁を示す。図17はキャリア62のギザギザの縁を示す。溝付きキャリア23に孔を開けて、排出しやすいようにするのも望ましい。通常、孔開けは、溝に充填し、カバーで覆った後に行う必要がある。
図18は、キャリア64を示す。このキャリア64は、キャリアと一体成形されたカップ42を有する。凹状のキャリア64は、パッケージの上から見たとき凹状になるように、パッケージ内に吊設されている。凹状のキャリアは、キャリアを容器内でセンター出しするのを助ける。キャリア64の平面図である図19には、人摂取用の液状物質が通過するための複数の大きな排水穴66が示されている。カップ42は、前記の粒子状の物質を充填した後、布(fabric)で覆ってもよい。あるいは、カップが、捕捉剤および/または吸収剤を含む小袋、カプセルまたはポリマー部材を収容してもよい。カップはさらに、スナップ嵌め式のガス透過性かつ液体不透過性の蓋を有していてよい。
図20〜22は、本発明のキャリア70の実施例を示している。このキャリア70は、排水のためのスロット72を有している。図21はキャリアを上方から見た斜視図であり、図22はキャリアを下方から見た斜視図である。キャリア70は容器の底部に載せる設計になっており、キャリアの外輪78の底面76が容器の底部16に接するようになっている。輪78の上面は面77である。カップ42に入れた吸収剤または捕捉剤を封止するために、カップ42は、面82に貼り付けたガス透過性フィルムを有していてよい。蒸気透過性材料のスナップ式キャップが好ましい実施例である。カップ42は、酸素捕捉剤、二酸化炭素吸収剤、水吸収剤、または人が摂取可能な物質のためのその他の処理剤のうち、少なくとも1つを収容する。カップ42のキャップ82は、カップ42に溶接されていても、スナップ式に留められていても、接着剤で接合されていてもよい。さらに、キャリア70に開口を設け、予め形成された処理材の缶を、好ましくはスピン溶接で接合させてもよい。キャリアの形成を容易にするため、カップ42にガス透過性のスナップ嵌め式キャップ82を用いるのが好ましい。
図23は、キャリア70を用いた容器の断面図である。図に示すとおり、キャリア70は、キャリアの面76で容器の底部16に載っている。カップ42は透過性キャップ82を有している。カップ42は吸収性部材84を含んでいる。キャリア70は、容器10の底部の中央に排水用の穴を開けることの妨げにならない。
上記の図面は粒子状吸収剤を示しているが、吸収剤をプラスチックフィルムの中に一体化したり、透過性カプセルの中に入れたり、タブレット状に圧縮成形することも可能である。このタブレットをガス透過性のフィルムまたはコーティングで覆うことが出来る。タブレット、フィルム片、押出されたポリマーまたは図示した小袋を、キャリアのカップに入れることが出来る。
カップ42はキャリア40に挿入された別体の部材として示されている。スピン溶接、超音波溶接または圧入により、カップをキャリアに保持してもよい。しかし、別の好ましい実施形態においては、カップを吸収剤キャリアと一体に成型することが出来る。さらに、キャリア自体を、酸素捕捉剤、二酸化炭素吸収剤および除湿材の少なくとも1つを含有するポリマーで形成することも可能である。サポート自体を、酸素および/または二酸化炭素を吸収する材料で形成する場合は、サポートに排水用の穴を形成すること、および/またはキャリアの縁部を変則的な形態にすることのみが必要となろう。カップは不要となる。さらに、いくつかの実施例で、カップの高さがサポートの厚さとほぼ同じであるように描かれているが、より多くの吸収剤を入れるために、より深くすることが出来る。さらに、カップをプラグや嵌め込み式のカバーで閉じることが出来る。カップはまた、予め形成されたガス透過性の缶をキャリアに接着したものであってもよい。
図26、図27および図28は、本発明のもっとも好ましい実施例によるキャリア90を示している。図26はキャリア90の平面図であるが、このキャリア90は、穴92の周りに補強リングを有している。キャリア90は有孔領域102を有している。この有孔領域102は、ポリマー104によって離間された孔96を有する。有孔領域102の孔は、円錐形の形を保持するのに十分なポリマー104だけを残して、多数形成されている。使用時は、キャリア90を容器の底部に、下部リング98が接するように載せる。キャリアは容器の上部から見ると凸状を成している。水蒸気吸収のための好ましいキャリアを形成する際、好ましいポリマーは、酸化カルシウムおよび/または分子篩材料を混合したプロピレンである。キャリア90はまた、酸素または二酸化炭素の吸収剤をポリマーに入れれば、これらの気体の吸収に用いることも出来る。
摂取可能な飲料用の容器として、酸素、水蒸気および/または二酸化炭素等のガスを透過可能な容器を利用することも可能である。その後、これら容器を酸素、二酸化炭素、水蒸気の透過性の無い袋の中に密封する。密封前に、その袋の中に酸素吸収剤および/または二酸化炭素吸収剤および/または水分吸収剤を入れる。使用直前に袋を開けることとし、ココアのような摂取可能な飲料が使用前に鮮度を失わないようにする。容器内の吸収剤は、袋が開けられた後に各容器が使用までに貯蔵されている間、劣化を防止する。この透過性の容器は、ポリ乳酸(PLA)、またはPLAとポリエチレン系、アクリル系等の他のポリマーとのコポリマーのような、生分解性物質で形成することができる。あるいは、カップは、酸素、二酸化炭素および水蒸気の透過性を有する、薄い、廉価な、または非常に薄いポリマーで作ることもできる。袋はホイル、ポリビニルアルコール、または高密度ポリエチレンで形成することができ、好ましくは、袋のバリア性能を最も高める層構造にする。
本発明において、酸素捕捉剤その他の吸着剤を担持するポリマーとしては、適した樹脂であれば何を用いてもよい。ポリマーは、容器の使用中にコーヒーまたは他の食品に吸着剤が入り込まないようにするようにしつつ、ガスが吸着剤に到達できるように、吸着剤を担持する。酸素捕捉品および吸着品を作るために用いられるポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)等のありふれたポリオレフィン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびその派生物またはコポリマー等でよい。
本発明に適した生分解性ポリマーは、再生可能資源から作られた通常のポリマーと、ポリ乳酸コポリマー、熱可塑性でんぷん等のでんぷんベースのポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)等の生物分解性ポリマーとを含む。ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール(PVOH)等の石油ベースの生分解性ポリマーもまた含まれる。
本発明においては、押出成形、射出成形、押出コーティング、ラミネーション、タブレット成形および混合を含む一般的なプラスチック物品の製造工程を用いて、酸素捕捉剤、二酸化炭素吸収剤および湿度調整剤を含む吸着剤構造を形成する。
インスタントコーヒー、インスタントティー、ココア用の容器に関して本発明を述べてきたが、本発明の概念および容器は、他の用途にも適している。開示された容器は、水その他の液体を容器に収容された物質に加え、その食品を溶解または拡散させた後に、その変化した液体を取り出すような、他の食品での使用にも適している。そのような物質の典型としては、茶、スープ、ミルク成分およびスープブロスが挙げられよう。この容器はまた医薬品にも用いることができる。すなわち、固体または濃縮物として出荷され、キャリヤー液を容器に通し、濃縮液または固体品に通し、医療用液体を作る。この例としては、モルヒネおよび塩酸メタドン等の粉末状の麻薬、放射線トレーサーとして用いられる物質等の薬品が挙げられる。この容器はまた、アルコールミキサーにも利用できる。
本発明による、上述のような捕捉剤物質を容器に設置する方法は、湿気に敏感な製品のパッケージングにも用いることができる。そのような製品には、多数の医薬品および食品が含まれる。小麦粉、飲料の素、ゼラチンデザートの素および塩等の調味料等の食品は、容器中に湿気が存在すると、劣化し易い。米国特許第5,322,701号(Cullen)に開示されたような吸湿物質は、参照により組み込まれるが、そのような物質の長期保存を可能にするため、容器に入れてもよい。適した吸湿剤は、酸化カルシウム、シリカゲル、分子篩(molecular sieve)、セルロース繊維である。
本発明に用いられる固体の酸素吸収性組成物(composition)またはコーティングの製造方法を以下に記す。
酸素捕捉剤は、小袋内の粉末混合物、または粒子と結合剤を圧縮して得られた加圧固形体の形態を有していてもよい。圧縮または加圧された酸素吸収性のディスク、タブレット、ウエハー、ワッシャまたはカプセルの製造方法は、以下のとおりである。鉄粉をベースとする粉末吸収剤と、電解質としての塩化ナトリウムと、シリカゲルと、あまり高温に加熱する必要のない結合剤(バインダー)との混合物を作る。この結合剤としては、1平方インチ(6.45cm2)当たり3,000〜50,000ポンド(1,359〜22,650Kg)の圧力下で軟化するポリエチレン微粉末を用いることができる。上記配合物を加熱して、上記結合剤を凝固または硬化させることもできるが、湿気をキャリア内に保持するために、水の沸点以上に加熱することはできない。好ましい配合の重量比は、ポリエチレン約18%、鉄粉約40%、シリカゲル約30%、水約8%、塩化ナトリウム約2%である。軟化点が水の沸騰する温度よりも高い樹脂結合剤を用いるのが最適である。
酸素吸収コンパウンドの1つの製造方法は、酸素吸収組成物を熱可塑性材料に入れ、これにより、その酸素吸収コンパウンドを液体のリングとして容器内に充填し、凝固または硬化させることができるようにする方法である。その重量による組成は、熱可塑性樹脂約40%、鉄粉約30%、シリカゲル約20%、水約9%、塩化ナトリウム約1%である。樹脂の多孔性を増し、酸素吸収速度を高めるために、CaCO3、粘土、タルク等の添加剤を用いてもよい。この吸収剤組成物は、容器内に沈着させることができ、またはテープ状にして容器の内側に配置できるようにしてもよい。熱可塑性樹脂は、酢酸ビニル、エチル酢酸ビニル、ポリウレタンまたはこれらの組合せであってよい。
酸素吸収組成物のもう1つの製造方法は、酸素吸収組成物をポリ塩化ビニルプラスチゾルに分散させる方法である。これらのプラスチゾルは、キャップの裏打ち材およびキャップやジャーの蓋のガスケットとして用いられる。そして、この酸素吸収プラスチゾル組成物を、裏打ち材、リングまたはコーティングとして、カップの側面または底部の縁に沿って、カップ内に配置することができる。この組成物は半液体で、カップに充填し、凝固させることができる。このプラスチゾルは、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、アクリル・酢酸ビニル・エチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニルホモポリマー、酢酸エチレンコポリマー、可塑化塩化ビニル、酸化ポリエチレンホモポリマー、およびポリウレタンの中から選択してよい。好ましいプラスチゾルはポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは、食品と反応せず、沸騰するお湯の温度に耐性を有するからである。上記酸素吸収組成物を重量で75%まで配合してよく、残り25%はポリマーとする。配合の一例は、ポリ塩化ビニルプラスチゾル10.35g、2重量%の塩化ナトリウムを含む鉄粉12.51gである。
プラスチゾル物質の実例として、10.35gのポリビニルプラスチゾルを、2重量%の塩化ナトリウムを含む12.51gの200メッシュ鉄粉と混合した。混合は、電動高速ミキサーで行った。その結果生成された組成物のサンプルを容器のキャップにコーティングした。時間経過に伴う酸素吸収速度を測定した。
試験容器は空気500ccまたは酸素100ccを含んでいた。試験は室温で、試験容器の中に湿気の源を置いて行った。
った。
もう一つの発明の組成物は、吸着剤組成物を、乳濁(エマルジョン;emulsion)、分散(dispersion)、懸濁(suspension)等による混合物のような多成分キャリアに分散させて成る。このような多成分系に吸着剤を分散させることによって得られる組成物は、酸素捕捉剤または吸着剤のコーティングとして、カップに簡単に塗布することができる。これらコーティングタイプは、より多くの酸素吸収組成物を含有することができ、より高い酸素透過性を備えることができる。上記水ベースの系を完全に乾燥させないことによって、自己活性化、自己反応性の酸素吸収コーティングを得ることができる。ブドウ糖酸化酵素(グルコースオキシダーゼ)は、鉄の代わりに用いることができる。キサンタンガムのエマルジョン、アルギン酸のエマルジョンまたは微結晶性セルロース系を用いてもよい。この系に鉄ベースの酸素吸収系中の水が含まれていてもよい。水中でのアクリルポリマーのエマルジョン、水中でのポリ酢酸ビニルのエマルジョン、水中での酢酸ビニルエチレンコポリマーのエマルジョン等の、接着剤ベースのエマルジョン(乳濁液)を用いることもできる。酸素吸収組成物は、鉄粉に電解質としての塩化ナトリウムおよび水分キャリアを加えたものである。水分キャリアはシリカゲル、ヒドロゲル等、水分を保持できるものであれば、いかなる水分キャリアでもよい。鉄粉において、コーティング中にいくらかの水分を残すことにより、エマルジョンを完全乾燥して水分を抜き切ってしまわないようにすることができる。アルギン酸ゲルは、アルギン酸ナトリウムが2.25重量%、ポリソルベート80が1.0重量%、プロピオ酸ナトリウムが0.2重量%、蒸留水が96.55重量%である。キサンタンガムのエマルジョンは、キサンタンガム2.0重量%、イソプロピルアルコール43重量%、水55重量%である。これら2つのエマルジョンを、エマルジョン1部に対して、鉄粉99%と電解質としての塩化ナトリウム1%から成る酸素吸収組成物1部の割合で混ぜ合わせる。酸素吸収組成物は、酸素吸収コーティングまたは酸素吸収コンパウンドの透明度を高めるため、粒子サイズ2−5ミクロンほどの微鉄粉にすることができる。薄膜層またはコーティングを上記最終的なコーティングを覆うように配して、酸素吸収成分または吸収剤が時間経過に伴って出て行くことを確実に防いでもよい。この薄膜カバーは、酢酸セルロースポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、酢酸ビニルホモポリマー、酢酸エチレンコポリマー、可塑化塩化ビニルポリマー、アクリルポリマー、または酸化ポリエチレンホモポリマーであってよい。
酸素吸収剤の代わりに、吸水剤および二酸化炭素吸収剤をポリマー内に入れてもよい。水蒸気吸収剤としては、シリカゲルまたは分子篩材料が望ましい。
適した遷移金属(これは通常、亜鉛、銅、鉄、コバルト、ジルコニア等である)であればいかなるものであっても、本発明の酸素捕捉剤に用いてもよい。好ましい酸素捕捉剤である還元鉄粉は、好ましくは平均粒子サイズ1〜200um、より好ましくは平均粒子サイズ5〜50um、最も好ましくは平均粒子サイズ10〜40umである。鉄を、塩、または異なる電解質と酸性化成分の組合せと混合することができる。好ましい実施例においては、鉄粒子に電解質の塩をコーティングしてもよい。鉄粒子にコーテングされる活性化電解質成分と酸性化成分の組合せおよび相対的割合は、米国特許第6,899,822号および、本願と同一出願人による米国公開公報第2005/0205841号および第2007/020456号の教示に従って選ぶことができる。これらの文献は参照により組み込まれる。コーティングとしては、上記文献に記載されたドライコーティングが好ましい。
上記塩は、ナトリウム、カリウム、またはカルシウムをベースとする水溶性のイオン化合物等、いかなる塩であってもよい。典型例としては、NaCl、Kcl、Na2HPO4等がある。先行技術に開示されているように、組成物(formulation)中に、別々の電解質塩成分と酸性化塩成分の混合物を使用するのが有利である。有効性およびコストの低さから、塩化ナトリウムが好ましい。
酸素捕捉加工品は、シリカゲル、分子篩、活性炭、粘土その他の鉱物をベースにした湿度調整剤を含んでいてよい。この化合物は0.01〜0.85の範囲の水分活性を達成するため、さまざまなレベルの水を含んでいてよい。
本発明で使用されるフィルム/テープ/リボン/ウエハー/ワッシャは、2009年4月1日に出願された、本願と同一出願人の米国特許出願番号第12/416,685号および2010年10月7日に発行された米国特許公報2010−0255231号に開示されているような、多孔性のまたは中実の、単層または多層フィルムで、鉄ベースの酸素捕捉剤と電解質を含むものであってよい。これら文献は参照により組み込まれる。フィルムは、任意で、選択された水分活性を有する湿度調整剤を含むものであってもよい。フィルムは、折り曲げられた片として、容器に嵌めることのできる円形または細長い片であってもよい。酸素捕捉剤または他の吸収剤をフィルム内に埋め込んで、フィルム表面に曝されることのないようにした多層フィルムが好ましい。酸素、二酸化炭素、水蒸気を吸収する速度を速めるため、ある程度の孔または空洞を有するフィルムが好ましい。押し出し時または押し出し後の処理中に、湿度調整剤をフィルムに組み込むことができる。フィルムは蓋または容器側面にラミネートすることができる。
挿入物は、図4に示すように、リング形状の酸素捕捉性物品であってよい。この場合、リング径は、容器内に平らに入れられるよう、容器の底部よりも小径のものとする。この挿入物は、上記フィルムの打ち抜きによって製造することができ、または射出成形、圧縮等の他の加工方法によっても製造することができる。
図7に示すように、あるいはカップ42内において、ストランド(撚り糸、線:strand)/ペーストを用いた実施例においては、酸素捕捉剤、塩および湿度調整剤から成る、細長いまたは成形した酸素捕捉性材料の断片を用いてよい。そのようなストランドは、溶融押し出しによって作成する。ポリマーは、ポリエチレン、ワックス、ポリエチレングリコール、セルロースポリマー、ポリ乳酸およびでんぷんベースのコポリマーである。湿度調整剤は、塩、シリカゲル、粘土、分子篩等の、あるレベルの湿度を含むものである。
パッケージ内の二酸化炭素を除去する方法では、二酸化炭素吸収のために特に設計された捕捉剤を用いる。放出ガスを吸収するため、ガス透過性のポリオレフィンフィルムから作られ二酸化炭素吸収微粒子を収容したパケットを、使い捨て容器にパッケージングする。好ましいパケットは高いガス透過性を有し、水蒸気透過性は低い。吸収剤は高濃度の二酸化炭素を吸収可能であり、人が摂取可能な物質の芳香成分には影響を及ぼさない。二酸化炭素吸収剤は、他の成分とともに、所定量の水酸化カルシウム、シリカゲルおよび水等を含むことができる。任意で、水酸化カルシウムを、他の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはこれらと他の水酸化物との混合物等)で置き換えてもよい。任意で、水酸化物と共に、あるいは水酸化物の代わりに、アルカリ、アルカリ土類、または金属の酸化物を用いてもよい。この酸化物は酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムを含むがこれに限定されない。これらの酸化物は、混合して使用してよい。二酸化炭素吸収剤として利用しやすい範囲および処方は、Multiform Desiccants, Inc.社に譲渡された米国特許第5,322,701号に記載されている。この文献は参照により組み込まれる。
酸素吸収性物質について上述したとおり、酸素捕捉組成物および二酸化炭素捕捉組成物はパケット以外の形態でパッケージしてもよい。二酸化炭素捕捉組成物を酸素または二酸化炭素透過性のカプセルまたはタブレットに封入し、そのカプセルまたはタブレットに透過性または半透過性のポリマー材料をコーティングしてよい。タブレットのコーティングには、酸素および/または二酸化炭素を透過する樹脂またはポリマーであれば何を用いてもよい。タブレットを水性高分子(water base polymer)でコーティングすることが好ましい。好ましいコーティングのポリマーは、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースまたはアクリル系水性コーティング剤である。上記組成物をワッシャ、ウエハー、ディスクまたは小板等のコンパクトな形状に作成し、ガス透過性または半透過性のコーティングまたはポリマーフィルムで包んでもよい。ディスク、小板、またはタブレット作成時のコーティング方法は、ディップコーティング、スプレーコーティング、フラッシュコーティング、スピンコーティングその他、製品作成に適応可能ないかなる公知の方法をも含むことができる。フィルム形成方法はオーバーコーティング、ラミネーション、多層形成後の打ち抜き、その他のフィルム積層品を作ることのできるいかなる公知の方法をも含むことができる。上記の酸素吸収材の形成方法は二酸化炭素吸収剤用および酸素吸収剤用の吸着材の形成に用いてよい。
上記酸素捕捉剤の代わりに、または酸素捕捉剤に加えて、上記小袋、溝、フィルムまたはカップは、コーヒーから放出される二酸化炭素を吸収可能な二酸化炭素捕捉剤を含んでいてもよい。この二酸化炭素捕捉剤は、コーヒーを焙煎後短時間でパッケージすることを可能にし、それにより、揮発による風味の損失を最小化する。二酸化炭素吸収性小袋を上記酸素吸収性小袋に加えて使用してもよい。
上記捕捉剤の代わりに、または捕捉剤に加えて、小袋、溝、フィルムまたはカップは湿度調整剤を含んでいてもよい。この湿度調整剤は、インスタントコーヒー、またはインスタントティー等の他の食品の水分活性を最適水準に維持可能で、風味成分の抽出可能性に悪影響を及ぼす過度の乾燥または湿気を避けることができる。
容器は、カップ42内の酸素吸収性フィルムその他の吸着性フィルム29を装備することができる。このフィルムは、上記カップ42内に成形、積層または押出コーティングしてもよいし、あるいは、予め成形して、接着剤、超音波溶着(ultrasonic sealing)または熱溶着(heat sealing)によってカップに接着してもよい。酸素吸収性フィルムは、酸素吸収剤を内層に配した多層構造を成していてもよい。このフィルムに図示しない耐摩耗性層または滑性層が設けられていてもよい。これらの層は、耐摩耗性または滑らかさを提供し、酸素吸収剤(酸素捕捉剤)がフィルムの動きによってフィルムから除去されてしまう事態を予防する。この耐性層または滑性層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドおよびそれらのコポリマーで形成されていてよい。摩擦係数を0.5以下、好ましくは0.3以下にするように、通常のスリップ剤をコーヒーと接する層に添加してもよい。酸素吸収フィルムに関して述べてきたが、二酸化炭素吸収物質だけ、または水分吸収物質だけを含むフィルムであってもよい。さらに、二酸化炭素吸収物質と酸素吸収物質と水分吸収物質の組み合わせを含むフィルムであってもよい。
酸素捕捉剤その他の吸着剤を種々の技法でカップ42内に設置してもよいが、ホットメルト接着剤に用いられるような押し出し技法を用いれば、速く、サポート40が容器に設置される前の製造過程で、行うことができよう。押し出し材料としては、上述したプラスチゾル材料は勿論のこと、その場で硬化するホットメルトポリマーがある。
本発明において、酸素捕捉剤、二酸化炭素吸収剤、水分吸収剤その他の吸着剤を担持するキャリアおよび吸収性フィルムのポリマーとしては、適した樹脂であれば何を用いてもよい。ポリマーは、容器の使用中にインスタントコーヒー、ココアその他の食品の中に吸着剤が入り込まないように、吸着剤を保持する。酸素捕捉および吸着品を作るために用いられるポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)等のありふれたポリオレフィン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびその派生物またはコポリマー等でよい。
本発明の容器およびキャリアに適した生分解性ポリマーは、再生可能資源から作られた通常のポリマーと、ポリ乳酸コポリマー、熱可塑性でんぷん等のでんぷんベースのポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)等の生物分解性ポリマーとを含む。ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール(PVOH)等の石油ベースの生分解性ポリマーもまた含まれる。
本発明においては、押出成形、射出成形、押出コーティング、ラミネーション、タブレット成形および混合を含む一般的なプラスチック物品の製造工程を用いて、酸素捕捉剤、二酸化炭素吸収剤および湿度調整剤を含む吸着剤構造を形成する。
酸素捕捉性の製品は、シリカゲル、分子ふるい、活性炭、粘土その他の鉱物をベースにした湿度調整剤を含んでいてよい。この化合物は0.01〜0.85の範囲の水分活性を達成するため、さまざまなレベルの水を含んでいてよい。哺乳類が摂取可能な物質の水蒸気による劣化の防止のみが求められる場合には、酸素捕捉剤または二酸化炭素吸収剤は用いずに、吸収剤および湿度調整剤としてのシリカゲル、分子ふるい、活性炭、粘土、その他の鉱物を用いてよい。シリカゲルは低コストで有効かつ安全であるため、好ましい。米国特許第5,322,701号(Cullen)に開示されたような吸湿性物質を、湿気感受性物質の長期貯蔵を可能にするため、容器に入れてもよい。本特許は参照によりここに組み込まれる。
本発明のカップ42内で使用されるフィルム/テープ/リボンは、2009年4月1日に出願された、本願と同一出願人の米国特許出願番号第12/416,685号に開示されているような、多孔性のまたは中実の、単層または多層フィルムで、鉄ベースの酸素捕捉剤と電解質を含むものであってよい。この文献は参照により組み込まれる。フィルムは、任意で、選択された水分活性を有する湿度調整材からなるものであってもよい。水蒸気吸収剤、二酸化炭素吸収剤、酸素捕捉剤の少なくとも一つをフィルム内に埋め込み、フィルム表面に曝さない場合は、多層フィルムが好ましい。吸収速度を速めるため、ある程度の孔または空洞を有するフィルムが好ましい。押し出し時または押し出し後の処理中に、湿度調整剤をフィルムに組み込むことができる。
以下の例は、本発明の一部を示すために用いられる。これらの例は本発明の実施例を示すものであるが、限定するものではない。比やパーセンテージは特に記載のない限り、重量ベースである。実施例においては、酸素捕捉の有効性を示すための試験材として、挽いたコーヒーを用いた。これらは挽いたコーヒーにおいて有効であるので、本発明の容器においても有効であろう。
実施例1.コーヒーと一緒にパッケージされた酸素捕捉フィルム
酸素捕捉組成物を含有する押し出しフィルムを、本願と同一出願人により2009年4月1日に出願された米国特許出願番号第12/416,685号の方法に従って作成し、コーヒーの存在下での酸素捕捉性能を試験する。この文献は参照により組み込まれる。フィルムは、鉄、塩化ナトリウムおよび低密度ポリエチレンの重量比17/3/80の混合物を、フィルム押し出し工程により、押し出すことにより得た。これらの材料を容器内で予め混合し、2軸押出機に入れた。押出機とダイの温度は220℃に設定した。約9ミル(0.228mm)の厚さのフィルムを6インチ(15.24cm)のダイから押し出して、スプールに集めた。9ミル(0.228mm)のフィルムのサンプルを約1平方インチ(6.45cm2)の小片に切り、そのフィルムの表面に水滴を落とし、滴る水を拭き取って除去することにより、湿気を与えた。このフィルムを、Tyvek(登録商標)の通気性フィルムバッグに封入した約8.8gの挽いたコーヒーのパッケージと一緒に、7インチ(17.78cm)×7インチのプラスチック製のバリアバッグに入れた。バリアバッグをホットシールして、O2/N2混合ガス150ccを注入し、初期酸素濃度3%以下にした。酸素捕捉速度を、MOCON社製PacCheck Model 450ヘッドスペースアナライザーを用いて測定した。
例1A.酸素捕捉剤無しのコーヒー
対照として、容器から取り出し1時間以上周囲の温度と環境条件に置いた、挽いたコーヒー約8.8gからなるTyvek通気性フィルムバッグを、捕捉剤無しで別のバリアバッグに密閉し、同じ時間経過に伴う酸素濃度の変化を調べた。
図24は時間経過に伴う酸素濃度の変化の結果を、2つの異なる捕捉剤投入量について示している。使用された捕捉剤の純重量が増えるにつれて酸素捕捉速度は増加する。フィルム中に捕捉剤0.52gを含む開始時の酸素濃度1.98%のサンプルでは、88時間後には0.04%に減少した。フィルム中に捕捉剤0.17gを含む酸素濃度2.21%のサンプルでは、1.08%に減少した。捕捉剤を含まないコーヒーパケットのみのサンプルの酸素濃度は、多少変動しつつ、同じ時間経過後に2.45%から2.37%に減少した。この例は、捕捉剤が、コーヒーと背景物質の組合せよりもはるかに高い酸素吸収速度を与えることを実証した。酸素捕捉能は、使用する捕捉剤の量と作成方法によって調節することができる。
例2.コーヒーの蓋にラミネートされた酸素捕捉フィルム
酸素捕捉フィルムは、鉄/塩化ナトリウム/PLAの重量比5.1/0.9/94の混合物を押し出すことにより得られた。PLAとしては、NatureWorks社製のPLA 2002D樹脂を用いた。鉄は例1と同じである。ポリ(乳酸)樹脂(PLA)の組成物を、押し出し前に60℃の乾燥炉で4時間以上予備乾燥させた。この混合物を2軸押出機で押し出し、幅4インチ(10.2cm)で厚さ4ミル(0.10mm)のフィルムを作成した。グリーンマウンテン55ccカップコーヒーから剥がした、蓋のホイルフィルムを用いてラミネート試験を行った。ダウ・ケミカル社の IntegralTM801粘着フィルムを、ラミネート試験の接着剤として用いた。上記の押し出された鉄/PLAフィルムと上記粘着フィルムと上記蓋フィルムとを積み重ねて、鉄/PLA―接着剤―蓋のサンドイッチ構造を形成した。この構造を熱融着機で熱プレスして、酸素捕捉蓋構造を作成した。
例3.コーヒーと共にパッケージングされた酸素捕捉小袋
鉄ベースの酸素捕捉組成物と湿度調整剤を収容したパケットを用いて試験を行った。このパケットは、約1インチ(2.54cm)×0.5インチ(1.27cm)のサイズで、ポリオレフィンフィルムで構成されている。このパケットは、マルチソーブテクノロジーズ社が特許を取得した鉄ベースの捕捉剤と湿度保持物質を収容していた。このパケットは重量比で鉄約40%、塩化ナトリウム約10%、シリカゲル約50%と幾分かの水分から成る。このパケットの水分活性は0.4〜0.8の範囲であった。このパケットをコーヒーと一緒に150ccのバリアバッグに入れ、例1で記載したように試験を行った。MOCON社製PacCheck Model 450ヘッドスペースアナライザーを用いて酸素捕捉特性を測定した。図25は酸素捕捉結果を示す。この結果は、酸素濃度が時間と共に急速に減少したことを実証した。捕捉速度は、例1で示した、コーヒーと背景物質の酸素吸収速度よりもはるかに速かった。
例4.酸素捕捉性アクリルコーティング剤
Zeneca Resins社製のNeocryl A-5117を用いて、アクリルエマルジョンを作成した。このアクリルエマルジョン50重量%と、塩化ナトリウム2重量%を含む200メッシュ電解鉄還元鉄50重量%から成る組成物を、8平方インチ(20平方センチ)のポリプロピレン基材にコーティングして、熱で乾燥させた。コーティングの重量は1平方インチ(6.45cm2)当たり0.135gであった。次にこの酸素捕捉コーティングを、空気500ccまたは酸素100ccが入っている試験容器に、水分飽和状態にある2平方インチ(12.9cm2)の吸い取り紙と共に入れた。3つのサンプルについて試験を行った。
例5.酸素捕捉性ポリ酢酸ビニルコーティング
水エマルジョン中のポリ酢酸ビニルは、Air Products社製のVinac XX-210を使った。このポリビニルエマルジョン43重量%と、鉄混合物57重量%とを組み合わせた。鉄混合物は、塩化ナトリウム2重量%と200メッシュ電解還元鉄を含む。次にこの組成物を、8平方インチ(51.6cm2)のポリプロピリン基材に、1平方インチ(6.45cm2)当たり0.026gの重量でコーティングした。次に、その結果得られたコーティングを、空気500ccまたは酸素100ccが入っている試験容器に入れた。サンプルと共に湿度の源も試験容器内に入れた。3つのサンプルについて試験を行った。
例6.押し出された二酸化炭素捕捉シート
水酸化カルシウム(Ca(OH)2)粉としてのVitaCal-Hを、Mississippi Lime Company社から入手した。入手したままの粉を、挽いたシリカゲル(SG)粉と混合した。このシリカゲル粉の平均粒子サイズは約6ミクロンで、Vita-CalH/SGの重量混合比は75/25であった。次にこの混合物を、LynodellBasell Industries社から入手した低密度ポリエチレン樹脂としてのPetrothene GA502024と混合し、以下の混合重量比を得た:Ca(OH)2/SG/LDPE=30/10/60および40/10/50。
シート材を作るために、これらの混合物を、フラットシートダイを取り付けた単軸押出機で押し出した。ある押出し工程では、Reedy International Co. 社から入手したSAFOAM FPN3-40を添加し、空洞または孔を含むサンプルを作製した。この押出機を160〜220℃の温度範囲に設定し、ダイを220℃に設定した。押し出されたシートは厚さ約30〜40ミル(0.76mm〜10.16mm)であり、空冷して、ロールに巻きつけた。
押し出したシートから約0.4〜0.7gのサンプルを切り出し、二酸化炭素捕捉試験に用いた。サンプルに水で予め水分を含ませ(水和させ)、含水量約1〜5%を得た。その後、サンプルをホイルパウチに密閉した。このホイルパウチには、二酸化炭素約25〜20%と窒素を含む気体600ccが充填された。MOCON社製 Model 333 PacCheckアナライザーを用いて、時間経過に伴う二酸化炭素の濃度を測定した。吸収された二酸化炭素の量(cc)を捕捉試験データとして表4に示す。表示された「組成」は、Ca(OH)2/SG/LDPEの重量比を意味する。追加パーセントとして、SAFOAM FPN3-40を添加した。データは、24時間から72時間と時間が経過するにつれて、二酸化炭素が効果的に吸収されたことを示した。
例7.射出成形された二酸化炭素捕捉ディスク
例7と同じCa(OH)2およびシリカゲルを用いた。International Fiber Company社から木質繊維としてSolka-flocを入手した。ポリプロピレンはSunoco CP360H樹脂である。エラストマーとしてKratonG 1657をKraton Polymers社から入手した。これらの材料を混合して、次の重量比を得た。Ca(OH)2/SG/Solka-floc/PP/Kraton 1657=48/6/6/36/4。
上記材料を2軸混練機で200〜250度の温度で混練し、ヒモ状に押し出して、水中で冷まし、ペレットにした。混練したペレットをシングルショット射出成形機で射出成形し、直径1.3インチ(3.3cm)のディスクを形成した。前述の手順にしたがい、ディスクの二酸化炭素捕捉性能を試験した。試験データは、試験時間の経過とともに、ディスクが徐々に二酸化炭素を吸収したことを示した。水分付与(水和)前にディスク表面を紙やすりでざらざらに荒らすと、吸収率が上昇した。表5は、試験前にやすりをかけ、1%の水を付与した射出成形ディスクのデータを示している。
例8.コーティングされた二酸化炭素捕捉板紙
上述と同じ吸着剤成分を用いてコーティング組成物を作成した。ポリビニルピロリドン(PVP)としてのLuvitec K30(BASF)とポリエチレングリコール6000(Aldrich Chemical社製)を用いて、コーティング溶液を作成した。PVPを水に溶かして、17重量%溶液を作成した。PEGを水に溶かして、48重量%溶液を作成した。両水溶液は透明で、残留物はなかった。水中の樹脂含有量が約45%となるように、PEG溶液とPVP溶液を90/10の比で合わせて混合液を作った。この溶液をCa(OH)2およびSGと混合して、次のコーティング組成から成るコーティング溶液を作った。Ca(OH)2/SG/(PEG/PVP)=40/10/50。
この溶液を20ミル(0.51mm)の板紙の基材にコーティングし、115℃の炉で2時間以上乾燥させて、水分を除去した。コーティングされたサンプルをカットし、濡れたスポンジで水分を与え(水和させ)、これを用いて、前記と同じ試験方法で二酸化炭素捕捉試験を行った。試験データを表6に示す。試験時間の間に、二酸化炭素が急速に吸収されたことが分かる。
ヒドロキシプロピルセルロース樹脂(Hercules Klucel EF)を水に溶かして、均一な別のコーティング溶液を作成した。Ca(OH)2とSGをこの溶液に混ぜ、重量比約Ca(OH)2/SG/Klucel=70/10/20のペースト状組成物を作った。Klucelはこの固形組成物の結合剤の役を果たした。このペースト状組成物を同じ板紙に加圧し、乾燥させて、多孔性のコーティングを形成した。この加圧されたコーティングは脆弱ではあるが、試験の支障にはならなかった。濡れたスポンジで水分を与え(水和させ)、重量の増加を記録した。この高固体負荷(high solid loading)のサンプルの二酸化炭素捕捉性能を試験した。表7に示す試験データは、高い吸収能により、試験時間の間に二酸化炭素が急速に吸収されたことを示した。
例9.二酸化炭素吸収混合剤を充填したカプセル
プラスチックカプセルにマルチソーブテクノロジーズ社の二酸化炭素吸収剤(半乾燥の流動性を有する顆粒)を手で充填し、二酸化炭素の無い環境を作った。このカプセルは通気性があり、半剛性で、熱湯に対してある程度耐性を有している。このデバイス(カプセル)は、さまざまな温度で貯蔵されたコーヒー充填容器から二酸化炭素を徐々に吸収することを可能にする。この二酸化炭素カプセルは、通気性の無いカップの(コーヒーからの二酸化炭素放出による)膨張を抑え、焙煎したてのコーヒーの粉および顆粒の芳香および油分を増加または維持する。このカプセルに封入された組成物の比は、Ca(OH)2/SG=67/33で、水を含有したシリカゲルを含んでいる。正味の組成は、重量比Ca(OH)2/SG/H2O=67/20/13である。この混合物はカプセルに含有されたさらさらの粉状である。二酸化炭素捕捉データを表8に示す。
例10.二酸化炭素捕捉剤から成るタブレット
例10で用いられた組成物を、通常のコールドプレス機またはホットプレス機の金型で圧縮してタブレットにした。その後で、タブレットの表面にポリエチレンの粉をコーティングした。コーティングされたタブレットを加熱室で、ポリエチレンの融点よりも低いけれども、コーティングした粉の粒子を溶解するのに十分な温度で加熱した。コーティングされたタブレットを相対湿度80%の室温の環境に16時間置いて調整した。タブレットは表9に示す二酸化炭素捕捉特性を示した。
例11.焼結構造を有する二酸化炭素捕捉ディスク/要素
例7と同じCa(OH)2およびシリカゲルを用いた。International Fiber Company社から木質繊維としてSolka-flocを入手した。ポリプロピレンはSunoco CP360H樹脂である。エラストマーとしてKraton G1657をKraton Polymers社から入手した。これらの材料を混合して、次の重量比の材料を作った。Ca(OH)2/SG/Solka-floc/PP/Kraton 1657=48/6/6/36/4。
上記材料を2軸混練機で200〜250℃の温度で混練し、水中で冷まし、ペレットにした。その後、このペレットを挽いて、比較的小さな粒子サイズの粉にする。すると、活性成分の一部が露出される。この露出が吸収速度を速める。挽かれた活性材料を金型内で熱と圧力をかけて溶解する。その結果、活性表面積が増加した、多孔性の焼結構造ができる。
上記例1〜11の物質を、本発明において、捕捉剤または吸収剤として用いてよい。水蒸気吸収剤を、シリカゲルおよび分子ふるい材料を用いて、類似の技法で作ることが出来る。
現時点で好ましい実施例に特に言及して、本発明を詳細に述べてきたが、本発明の精神および範囲内で変形および変更が可能であるということが理解されよう。したがって、ここに開示されている実施例は、あらゆる点において描写的なものであり、限定的なものではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の請求項によって示され、その意味とその均等の範囲内での変更は、添付の請求項に含まれる。