JP2013519760A - ナノ結晶セルロース(ncc)に基づく熱可塑性ナノコンポジット材料 - Google Patents
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Abstract
Description
表1:ナノ結晶セルロース(NCC)と酢酸ビニル(VAc)及びメチルメタクリラート(MMA)のための最適な重合条件を示す表である。
表2:さまざまな溶媒系におけるNCC及びPMMA−g−NCC粒子の粒径を示す表である。2%CANによる重合に対するグラフト化率が記録されている。
・未使用の開始剤によって終結される。
・別の外側の末端ラジカルとの反応。2つの可能性がある。(1)その反応がモノマーのラジカルと起こる場合、それは終結される。この場合ポリマー鎖は結晶から放射状に伸びる。
・(2)然しながら反応がポリマー鎖のラジカルと起こる場合、2つの機構が可能であり:
・(a)ポリマー鎖が同じ結晶から起こっている場合、両端が結晶に結合した輪が形成される。
・(b)ポリマー鎖が異なる結晶から起こっている場合、それらの結晶は架橋される。これはあり得るけれども最小限のようであり、グラフトしたNCCが、有機溶媒中に適切に懸濁することが見いだされており、凝集体は検出されていない。
・グラフトしていない遊離ポリマーをもたらすモノマーへの移動及び重合開始。
1.PMMA−g−NCCについては、MMA:NCC重量比=1:1で66.4%
2.PVAc−g−NCCについては、VAc:NCC重量比=2:1で12.4%
モノマー重量比を増した場合、そのグラフト化率も、同じ反応条件において、増加することになろう。図7及び8は、MMA及びVAcについてその傾向を裏付けるグラフである。
ナノコンポジットを上記の手順に従って製造した。ビニルモノマーのNCCへの表面グラフト共重合の成功の証拠、即ち、PVAc又はPMMAがNCCにグラフトしているか否かの判定は、フーリエ変換赤外(FT−IR)及び/又は核磁気共鳴(NMR)を用いて行った。図1において、グラフト共重合後は、元のNCCと比較して2つのピークが特に明白である。それぞれ、1734cm−1のピークはC=O振動であり、1241cm−1のピークはエステル基中のC−O振動に相当する。PVAc及びPMMAのグラフト化の発生は、1H NMRにより更に確認される。図2において、PVAc−g−NCCについて、1.755におけるピークaは、−CH2−プロトンを示し、ピークc(1.9から1.97)は−CH3プロトンを示し、一方、4.78におけるピークbは、−CH−プロトンを与える9。PMMA−g−NCCのNMRスペクトルにおいて、ピークb(0.84及び1.02)は、炭素上のメチルのプロトンを与え、一方ピークc(3.6)は、酸素上のメチルのプロトンを与える。1.81のピークaは−CH2−プロトンを与える10。溶液NMRに加えて固体13C NMRをPMMA−g−NCC試料について実施し、NCCへの表面グラフト化の成功の決定的証拠を得た。図3において明らかなように、全ての特異ピークは文献11,12により帰属させることができる。
NCC及びPMMA−g−NCC粒子の粒径は、等価球の流体力学直径を測定する高解像度の粒径分析器(例えば、ゼータサイザー(Zetesizer))を用いて検出することができる。NCCは水中に懸濁させ、一方PMMA−g−NCCはクロロホルム又はテトラヒドロフラン(THF)中に懸濁させる。表2に示されているPMMA−g−NCCの粒径は、異なる重合法により変化させることができる。1:1のMMA:NCCを使用する場合、その生成物は溶媒中に懸濁できず、これは、NCCにグラフトしたMMAが十分にないため、適当な有機溶媒中にそれを懸濁させることができないことを意味する。他方で、より少ない開始剤が使用される場合、得られるPMMA−g−NCCは、より多くの開始剤が使用される場合より粒径がより大きい。これは、より多くの開始剤はPMMA鎖をより短くし、より小さい粒径のPMMA−g−NCC粒子をもたらす事実によって説明される。最後に、PMMA−g−NCCは、クロロホルム中よりTHF中で小さい傾向がある。表2は、効率的な首尾好いグラフト化を裏付ける2つの条件に対するグラフト化率も示している。
図4に示されている熱重量分析(TG)データは、PVAc−g−NCC及びPMMA−g−NCCが両方共元のNCCよりもより熱的に安定であることを明示している。これはこれらのナノコンポジットを通常のポリマー加工技術、例えば押出しを用いて加工することが可能であることを示す。図5において、示差走査熱量測定(DSC)データは、PVAc−g−NCCについては検出可能な勾配変化がなく、又一方、PMMA−g−NCCについては100℃付近に明らかな勾配の変化があり、これはPMMAに対するTgである。これは、多分、グラフトしたPVAcの量がDSCによって検出されるほど十分に多くないためである。然しながら、NCCについては、勾配は160℃を超えると変化するが、その理由は恐らく、160℃より上の温度でNCCの分解が始まり、そのためDSC曲線に発熱応答があることである。図4におけるNCCについてのTG曲線は、NCCの分解が160℃を超えるとすぐに始まることを裏付けている。
NCCとPMMA−g−NCCの両方の表面疎水性を決定するために、水接触角の測定を採用している。図6は、PMMA−g−NCCのナノコンポジットの水接触角が、元のNCCに対する値より二倍を超えて増大しており、この新たなナノコンポジット材料が改良された疎水性を表していることを示す。
Claims (20)
- ナノ結晶セルロース(NCC)と重合した疎水性ビニルモノマーとの疎水性ナノコンポジットを製造するための方法であって、少なくとも一つの疎水性ビニルモノマーのNCC粒子の存在下での重合を含む上記方法。
- 重合が水性媒体中である請求項1に記載の方法。
- 前記水性媒体が、酸性である請求項2に記載の方法。
- 前記水性媒体が、1〜4のpHを有する請求項3に記載の方法。
- 前記重合が、室温(約20℃)〜90℃で1〜24時間にわたって行われる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記重合が、40℃〜70℃の温度で1〜4時間にわたって行われる、請求項5に記載の方法。
- 前記重合が、ラジカル開始剤の存在下で行われる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記重合が、NCCへのビニルモノマーのグラフト化、及び前記モノマーの重合による、NCCから伸びるポリマーの形成を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記重合の完了後に、前記ビニルモノマーの遊離ポリマーの抽出及び疎水性ナノコンポジットの回収を更に含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記疎水性ビニルモノマーが、約1.5〜約3g/100mlの水溶解度を有するものである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記ビニルモノマーが、酢酸ビニル、メチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート及びそれらの混合物から選択される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
- ナノ結晶セルロース(NCC)と重合した疎水性ビニルモノマーとの疎水性ナノコンポジットであって、前記重合した疎水性ビニルモノマーが、前記NCCにグラフトされている上記疎水性ナノコンポジット。
- 前記ビニルモノマーが、約1.5〜約3g/100mlの水溶解度を有するものである、請求項12に記載の疎水性ナノコンポジット。
- 前記ビニルモノマーが、酢酸ビニル、メチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート及びそれらの混合物から選択される、請求項12に記載の疎水性ナノコンポジット。
- 前記ビニルモノマーが、NCC上のヒドロキシル及びビニルモノマーの開かれたオレフィン結合を介した酸化物結合により前記NCCにグラフトしている、請求項12から14までのいずれか一項に記載の疎水性ナノコンポジット。
- 前記重合したビニルモノマーが、ホモポリマーである、請求項12から15までのいずれか一項に記載の疎水性ナノコンポジット。
- 前記重合したビニルモノマーが、コポリマーである、請求項12から15までのいずれか一項に記載の疎水性ナノコンポジット。
- 請求項12から17までのいずれか一項に記載のナノコンポジットを含む組成物であって、高分子量のポリマーと組み合わされ又は混合されている上記組成物。
- 前記高分子量のポリマーが、ポリメチルメタクリラート、ポリ酢酸ビニル、及びポリスチレンからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
- 前記ビニルモノマーが、酢酸ビニル、メチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート及びそれらの混合物から選択される、請求項18に記載の組成物。
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