JP2013519699A - 因子viii融合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、修飾凝血因子に関する。特に、本発明は、例えば、抗体結合タンパク質またはFcドメインなどのポリペプチドに融合したコンジュゲート因子VIII分子に関する。

Description

本発明は、修飾凝血因子に関する。特に、本発明は、例えば、Fc受容体またはFcドメインなど、例えば、抗体結合ポリペプチドなどの相同でないポリペプチドに融合した因子VIII分子に関する。本発明はさらに、このような分子の使用のほか、このような分子を生成させる方法にも関する。
血友病Aとは、凝血因子VIII(FVIII)活性の欠損または機能不全により引き起こされる、遺伝性の出血障害である。その臨床症状は、一次止血に関するものではなく(血栓の形成は正常に行われる)、二次的なトロンビン形成が行われないために、血栓が不安定なことである。血友病Aは、血液から単離するか、または組換えを介して生産した凝血因子FVIIIの静脈内注射により治療する。
現在の治療に関する推奨は、従来のオンデマンド治療から、予防へと推移しつつある。フォンウィレブランド因子に結合した内在性FVIIIの循環における半減期は、12〜14時間であり、したがって、患者が実質的に無症状の生活を享受するには、一週間に複数回にわたり予防治療を実施するべきである。多くの患者、とりわけ、小児および若年者にとって、静脈内投与は、大きな不都合および/または痛みを伴う。
循環における半減期を顕著顕著に延長した因子VIIIバリアントの開発には、多様な方法が用いられている。これらの方法の多くは、因子VIIIの、例えば、PEG (ポリエチレングリコール)などの親水性ポリマーとのコンジュゲーションに関する。
EP0319315 米国特許第5,932,462号 米国特許第5,629,384号 WO0331464 WO2006102652 WO2007/056191
Thimら、Haemophilia、2009
したがって、当技術分野では、以下の特徴:好ましくは構造が均質であること、好ましくは安全であること、好ましくは生物学的に分解可能であること、および好ましくは毎週の因子VIII投与の回数を低減するために、循環における半減期が顕著に延長されていることのうちの1または複数を含む因子VIII活性を有する、新規の因子VIII生成物が必要とされている。
本発明は、融合タンパク質である、組換え因子VIII分子に関する。本発明はさらに、このような分子を作製する方法のほか、このような分子の使用にも関する。このような分子は、循環における半減期が改変されていることが好ましい。
定義
融合タンパク質:融合タンパク質/キメラタンパク質とは、元は個別のタンパク質をコードする、2つ以上の遺伝子を連結することにより創出されるタンパク質である。この融合遺伝子が翻訳されると、元のタンパク質の各々に由来する機能的特性を伴う単一のポリペプチドが結果としてもたらされる。本発明による因子VIII分子を、別のポリペプチドへと融合することができる。因子VIII融合タンパク質は、非融合因子VIII分子と比較して、循環における半減期が長いことが好ましい。
広範にわたる融合パートナーを、FVIII部分に連結することができる。これらの融合パートナーは、多様な機構を介して、融合タンパク質の特性を、野生型のFVIIIと比べて変化させうる。
多くの融合タンパク質が、新生児型Fc受容体(FcRn)と相互作用することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。FcRnと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、免疫グロブリンFcドメイン、ヒト血清アルブミン(hSA)、およびトランスフェリン、またはこれらのタンパク質の一部である。FcRnと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table 2 (表2)に示す。本明細書では、「Fc融合誘導体」または「Fc融合タンパク質」が、任意の抗体アイソタイプに由来しうるFcドメインに融合した、本発明によるFVIIIバリアントを包含することを意図するが、IgG抗体の循環における半減期が比較的に長いために、IgG Fcドメインが好ましいことが多い。Fcドメインは、例えば、補体への結合、および/または特定のFc受容体への結合など、特定のエフェクター機能を調節するために、さらに修飾することができる。FVIIIを、FcRn受容体との結合能を有するFcドメインと融合させると、一般に、野生型のFVIIIの半減期と比較して、該融合タンパク質の循環における半減期を延長する結果をもたらす。IgGのFcドメインにおける234、235、および237位における突然変異は一般に、FcγRI受容体への結合を低下させ、おそらくまた、FcγRIIa受容体およびFcγRIII受容体への結合も低下させる結果をもたらす。これらの突然変異は、RcRn受容体への結合は変化させず、エンドサイトーシス再循環経路により、循環における半減期の延長を促進する。本発明による融合タンパク質の修飾IgG Fcドメインは、特定のFc受容体に対するアフィニティーを結果として低下させる以下の突然変異(L234A、L235E、およびG237A)、およびC1qを介する補体結合を結果として低減する以下の突然変異(A330SおよびP331S)のそれぞれのうちの1または複数を含む。
しかし、本発明はまた、例えば、新生児型Fc受容体への結合特性を変化させたFcドメインに融合したFVIIIバリアントも包含する。例えば、Fcドメインバリアントが、例えば、新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させれば、該融合タンパク質のin vivoの循環における半減期がさらに改善されるのは妥当なことである。Fcドメインの、新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを調節すると考えられているヒトIgGにおけるアミノ酸置換の例は、T250Q、M252Y、S254T、T256E、P257I、T307A、Q311I、およびM428L (残基の番号付けは、EUインデックスによる)である。
他の融合パートナーは、免疫グロブリンと相互作用することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。免疫グロブリンと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、FcγRI (CD64)もしくはFcRn、またはこれらのタンパク質の一部である。免疫グロブリンと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table 3 (表3)に示す。
一部の融合パートナーは、クリアランス受容体との相互作用を低減することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。クリアランス受容体との相互作用を低減することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、低密度リポタンパク質受容体類縁タンパク質など、低密度リポタンパク質受容体ファミリーメンバーのFc受容体、またはこれらのタンパク質の一部、例えば、反復配列クラスター5(CR5)、6(CR6)、および/もしくは7(CR7)である。クリアランス受容体との相互作用を低減することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table4(表4)に示す。
他の融合パートナーは、血小板と相互作用することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。血小板と相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、GPIIIaなど、血小板表面上のタンパク質に結合する単鎖(SC)抗体である。SC抗体では、免疫グロブリン重鎖に由来するポリペプチド配列が、免疫グロブリン軽鎖に由来するポリペプチド配列のN末端側に位置しうる。この配列順を、HC-LCと称する。免疫グロブリン重鎖に由来するポリペプチド配列はまた、免疫グロブリン軽鎖に由来するポリペプチド配列のC末端側にも位置しうる。後者の配列順を、LC-HCと称する。血小板と相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table5(表5)に示す。
一部の融合パートナーは、血清アルブミンと相互作用することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。血清アルブミンと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、単鎖抗血清アルブミン抗体(SC抗HSA抗体)、およびABD035ポリペプチドなどのアルブミン結合ポリペプチドである。アルブミン結合ポリペプチドは、複数回にわたる反復配列の場合があり、例えば、4×ABD035融合パートナーにおいて存在する反復配列など、4回にわたる反復配列でありうる。血清アルブミンと相互作用することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table 6 (表6)に示す。
他の融合パートナーは、遮断により、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。遮断により、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、配列A(seqA)などの非疎水性アミノ酸の連なりを伴うポリペプチド、またはエラスチン様ポリペプチド(ELP)の反復、例えば、ELP60を伴うポリペプチドである。遮断により、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table7(表7)に示す。
一部の融合パートナーは、vWFに対するアフィニティーを調節することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。vWFに対するアフィニティーを調節することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、FVIIIのA3領域(野生型ヒトFVIIIのアミノ酸1649〜1689)、またはA3領域の一部であり、したがって、FVIIIに1もしくは複数の追加A3領域を付加する融合パートナーである。vWFに対するアフィニティーを調節することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table8(表8)に示す。
一部の融合パートナーは、いまだ決定されていない機構により、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。いまだ決定されていない機構により、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、増殖ホルモン結合タンパク質(GHBP)、凝血因子IX(FIX)の一部、vWFの一部、vWF結合タンパク質、絨毛性ゴナドトロピンの一部、および凝血因子X (FX)の一部である。FIXに由来する融合タンパク質の非限定的な例は、ヒトFIXのアミノ酸298〜342 (FIX298〜342)、およびヒトFIXのアミノ酸47〜125 (FIX47〜125)である。vWFに由来する融合タンパク質の非限定的な例は、ヒトvWFのアミノ酸1〜272(vWF1〜272)、ヒトvWFのアミノ酸1〜1390 (vWF1〜1390)、およびヒトvWFのアミノ酸497〜716 (vWF497〜716)である。絨毛性ゴナドトロピンに由来する融合パートナーの非限定的な例は、ヒト絨毛性ゴナドトロピンベータ鎖C末端の28アミノ酸(hCG C末端)である。FXに由来する融合パートナーの非限定的な例は、ヒトFX活性化ペプチド(F10AP)である。いまだ決定されていない機構により、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結せた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table 9 (表9)に示す。
一部の融合パートナーは、脂質に対するアフィニティーを調節することにより、in vivoにおけるFVIIIのクリアランスを遅延させると推測されている。脂質に対するアフィニティーを調節することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定される融合パートナーの非限定的な例は、FVIIIのC2ドメインであり、したがって、FVIIIに1または複数の追加C2ドメインを付加する融合パートナーである。脂質に対するアフィニティーを調節することにより、FVIIIの寿命を延長すると推定されているポリペプチドに連結させた、FVIII部分からなる融合タンパク質の非限定的な例を、Table 10 (表10)に示す。
Fc受容体:Fc受容体とは、抗体のFc部分を認識し、これに結合する細胞表面受容体である。構造、細胞における分布、およびIgGに対するアフィニティーに基づき、Fc受容体は、3つのクラス: FcγRI (CD64)、FcγRII (CD32)、およびFcγRIII (CD16)に分けられる。本発明によれば、因子VIII分子に融合したFc受容体は、全長の場合もあり、部分長の場合もあるほか、これらの任意のバリアント(バリアントは、アミノ酸の置換、欠失、および付加を包含する)でもありうる。該Fc受容体が部分長の場合は、したがって、抗体に結合する能力が保持されるべきである。
フォンウィレブランド因子(vWF):vWFは、血漿中に存在する大型の単量体/多量体糖タンパク質であり、内皮(バイベル-パラーデ小体)、巨核細胞(血小板のα顆粒)、および内皮下結合組織において構成的に生成する。その主要な機能は、他のタンパク質、特に、因子VIIIへの結合であり、創傷部位への血小板の接着において重要である。
因子VIIIは、vWFに結合するが、循環中では不活性である。因子VIIIは、vWFに結合しないと、急速に分解されるか、または除去される。したがって、FVIIIにおけるvWF結合能の低減または除去は、これまでのところ、循環における半減期が延長された因子FVIIIのバリアントを得るのにまったく望ましくない手法であると考えられてきた。
本明細書では、「vWFへの結合能の低減」という用語が、vWFへの結合能を、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは100%低下させた、因子VIIIのバリアントを包含することを意図する。vWFに対するFVIIIの結合は、ELISA様のアッセイにより測定することもでき、表面プラズモン共鳴を用いる固定化vWFへの直接的な結合として測定することもできる。EP0319315において開示されている通り、vWFへの結合の原因となる因子VIII内の領域は、残基1670〜1684にわたる領域である。この領域に関わる、因子VIIIの点突然変異体および/または欠失突然変異体は、vWFに対する結合能を変化させる。本発明により特に好ましい点突然変異の例には、以下の点突然変異:Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cのうちの1または複数を含むバリアントが含まれる。
因子VIII分子:FVIII/因子VIIIとは、肝細胞が主に生成させる、大型の複合体糖タンパク質である。FVIIIは、シグナルペプチドを含めた2351アミノ酸からなり、相同性により規定される複数の異なるドメインを含有する。3つのAドメイン、単独のBドメイン、および2つのCドメインが存在する。ドメインの順序は、NH2-A1-A2-B-A3-C1-C2-COOHと列挙することができる。FVIIIは、B-A3間境界で分離される2本の鎖として、血漿中を循環する。該鎖は、二価金属イオン結合により連結される。A1-A2-B鎖を重鎖(HC)と称するのに対し、A3-C1-C2を軽鎖(LC)と称する。
in vivoにおいて、内因性の因子VIII分子は、多様なサイズのBドメインを伴う分子プールとして循環する。in vivoにおいておそらく生じることは、段階的なBドメインの酵素的除去であり、この結果、多様なサイズのBドメインを伴う分子のプールがもたらされる。Bドメインの最後の部分が除去される、740位における切断は、トロンビンの活性化と連関して生じると一般に考えられている。しかし、例えば、740位における切断部位が損なわれた因子VIIIのバリアントが、活性でありうることも除外できない。
本明細書で用いられる「因子VIII」または「FVIII」とは、内因性凝血経路のメンバーであり、血液凝固に不可欠である、ヒト血漿糖タンパク質を指す。「天然FVIII」は、配列番号1 (アミノ酸1〜2332)に示される、全長ヒトFVIII分子である。Bドメインは、配列番号1のアミノ酸741〜1648にわたる。
配列番号1:
ATRRYYLGAVELSWDYMQSDLGELPVDARFPPRVPKSFPFNTSVVYKKTLFVEFTDHLFNIAKPRPPWMGLLGPTIQAEVYDTVVITLKNMASHPVSLHAVGVSYWKASEGAEYDDQTSQREKEDDKVFPGGSHTYVWQVLKENGPMASDPLCLTYSYLSHVDLVKDLNSGLIGALLVCREGSLAKEKTQTLHKFILLFAVFDEGKSWHSETKNSLMQDRDAASARAWPKMHTVNGYVNRSLPGLIGCHRKSVYWHVIGMGTTPEVHSIFLEGHTFLVRNHRQASLEISPITFLTAQTLLMDLGQFLLFCHISSHQHDGMEAYVKVDSCPEEPQLRMKNNEEAEDYDDDLTDSEMDVVRFDDDNSPSFIQIRSVAKKHPKTWVHYIAAEEEDWDYAPLVLAPDDRSYKSQYLNNGPQRIGRKYKKVRFMAYTDETFKTREAIQHESGILGPLLYGEVGDTLLIIFKNQASRPYNIYPHGITDVRPLYSRRLPKGVKHLKDFPILPGEIFKYKWTVTVEDGPTKSDPRCLTRYYSSFVNMERDLASGLIGPLLICYKESVDQRGNQIMSDKRNVILFSVFDENRSWYLTENIQRFLPNPAGVQLEDPEFQASNIMHSINGYVFDSLQLSVCLHEVAYWYILSIGAQTDFLSVFFSGYTFKHKMVYEDTLTLFPFSGETVFMSMENPGLWILGCHNSDFRNRGMTALLKVSSCDKNTGDYYEDSYEDISAYLLSKNNAIEPRSFSQNSRHPSTRQKQFNATTIPENDIEKTDPWFAHRTPMPKIQNVSSSDLLMLLRQSPTPHGLSLSDLQEAKYETFSDDPSPGAIDSNNSLSEMTHFRPQLHHSGDMVFTPESGLQLRLNEKLGTTAATELKKLDFKVSSTSNNLISTIPSDNLAAGTDNTSSLGPPSMPVHYDSQLDTTLFGKKSSPLTESGGPLSLSEENNDSKLLESGLMNSQESSWGKNVSSTESGRLFKGKRAHGPALLTKDNALFKVSISLLKTNKTSNNSATNRKTHIDGPSLLIENSPSVWQNILESDTEFKKVTPLIHDRMLMDKNATALRLNHMSNKTTSSKNMEMVQQKKEGPIPPDAQNPDMSFFKMLFLPESARWIQRTHGKNSLNSGQGPSPKQLVSLGPEKSVEGQNFLSEKNKVVVGKGEFTKDVGLKEMVFPSSRNLFLTNLDNLHENNTHNQEKKIQEEIEKKETLIQENVVLPQIHTVTGTKNFMKNLFLLSTRQNVEGSYDGAYAPVLQDFRSLNDSTNRTKKHTAHFSKKGEEENLEGLGNQTKQIVEKYACTTRISPNTSQQNFVTQRSKRALKQFRLPLEETELEKRIIVDDTSTQWSKNMKHLTPSTLTQIDYNEKEKGAITQSPLSDCLTRSHSIPQANRSPLPIAKVSSFPSIRPIYLTRVLFQDNSSHLPAASYRKKDSGVQESSHFLQGAKKNNLSLAILTLEMTGDQREVGSLGTSATNSVTYKKVENTVLPKPDLPKTSGKVELLPKVHIYQKDLFPTETSNGSPGHLDLVEGSLLQGTEGAIKWNEANRPGKVPFLRVATESSAKTPSKLLDPLAWDNHYGTQIPKEEWKSQEKSPEKTAFKKKDTILSLNACESNHAIAAINEGQNKPEIEVTWAKQGRTERLCSQNPPVLKRHQREITRTTLQSDQEEIDYDDTISVEMKKEDFDIYDEDENQSPRSFQKKTRHYFIAAVERLWDYGMSSSPHVLRNRAQSGSVPQFKKVVFQEFTDGSFTQPLYRGELNEHLGLLGPYIRAEVEDNIMVTFRNQASRPYSFYSSLISYEEDQRQGAEPRKNFVKPNETKTYFWKVQHHMAPTKDEFDCKAWAYFSDVDLEKDVHSGLIGPLLVCHTNTLNPAHGRQVTVQEFALFFTIFDETKSWYFTENMERNCRAPCNIQMEDPTFKENYRFHAINGYIMDTLPGLVMAQDQRIRWYLLSMGSNENIHSIHFSGHVFTVRKKEEYKMALYNLYPGVFETVEMLPSKAGIWRVECLIGEHLHAGMSTLFLVYSNKCQTPLGMASGHIRDFQITASGQYGQWAPKLARLHYSGSINAWSTKEPFSWIKVDLLAPMIIHGIKTQGARQKFSSLYISQFIIMYSLDGKKWQTYRGNSTGTLMVFFGNVDSSGIKHNIFNPPIIARYIRLHPTHYSIRSTLRMELMGCDLNSCSMPLGMESKAISDAQITASSYFTNMFATWSPSKARLHLQGRSNAWRPQVNNPKEWLQVDFQKTMKVTGVTTQGVKSLLTSMYVKEFLISSSQDGHQWTLFFQNGKVKVFQGNQDSFTPVVNSLDPPLLTRYLRIHPQSWVHQIALRMEVLGCEAQDLY
本発明による因子VIII分子は、配列番号1の残基1670〜1684のvWF結合領域内には1または複数の変化もまた存在しうるが、残りのドメインは、配列番号1のアミノ酸番号1〜740および1649〜2332に示される配列に緊密に対応する、Bドメイン末端欠失因子FVIII分子でありうる。しかし、本発明によるBドメイン末端欠失分子は、配列番号1に示される配列と若干異なる場合があり、これは、例えば、vWV結合能を低減する目的で、突然変異を導入しうる事実のために、残りのドメイン(すなわち、3つのAドメインおよび2つのCドメイン)が、配列番号1に示されるアミノ酸配列(アミノ酸1〜740および1649〜2332)とは若干、例えば、約1%、2%、3%、4%、または5%など、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸異なりうることを意味する。さらに、例えば、LRP、各種の受容体、他の凝血因子、細胞表面など、他の各種の構成要素、グリコシル化部位の導入および/または除去などにより、因子VIIIの結合能を修飾するために、分子内の他の位置にアミノ酸修飾(置換、欠失など)を導入することが妥当である。
本発明による因子VIII分子は、因子VIII活性を有するが、これは、凝血カスケード内で、FVIIIと機能的に類似するかまたは同等の形で機能し、活性化血小板においてFIXaと相互作用することによりFXaの形成を誘導し、血栓の形成を支援する能力を意味する。活性化は、in vitroにおいて、例えば、血栓解析、内因性トロンビンポテンシャル解析など、当技術分野でよく知られる技法により評価することができる。本発明による因子VIII分子は、天然ヒトFVIIIのFVIII活性の少なくとも約10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、および100%であるか、または100%をさらに超えるFVIII活性を有する。
Bドメイン:因子VIIIにおけるBドメインは、配列番号1のアミノ酸741〜1648にわたる。Bドメインは、複数の異なる部位で切断され、循環する血漿FVIII分子において大きな異質性をもたらす。グリコシル化が高度なBドメインの正確な機能は、知られていない。知られていることは、Bドメインが、凝血カスケードにおけるFVIII活性には不可欠ではないことである。この見かけの機能の欠如は、Bドメイン欠失/末端欠失FVIIIが、全長の天然FVIIIについて認められる特性と同一の特性をin vivoにおいて有すると考えられる事実により裏付けられる。このことを述べた上で、Bドメインは、少なくとも無血清条件下において、細胞膜との会合を低減しうることが示唆されている。
Bドメイン末端欠失/欠失因子VIII分子:内因性の全長FVIIIは、単鎖前駆体分子として合成される。分泌される前に、前駆体は、重鎖および軽鎖へと切断される。組換えBドメイン欠失FVIIIは、2つの異なる戦略により生成させることができる。Bドメインのない重鎖および軽鎖を2つの異なるポリペプチド鎖として個別に合成する(2本鎖戦略)か、またはBドメイン欠失FVIIIを、単鎖前駆体ポリペプチド鎖として合成し(単鎖戦略)、これを、全長FVIII前駆体と同じ形で重鎖および軽鎖へと切断する。
Bドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドでは、重鎖部分と軽鎖部分とが通常、リンカーにより隔てられている。Bドメイン欠失FVIII内に免疫原性エピトープを導入する危険性を最小化するために、リンカー配列は、FVIIIのBドメインに由来することが好ましい。少なくとも、リンカーは、Bドメイン欠失FVIII前駆体ポリペプチドを重鎖および軽鎖へと切断するプロテアーゼの認識部位を含まなければならない。全長FVIIIのBドメインでは、アミノ酸1644〜1648が、この認識部位を構成する。Bドメイン欠失FVIIIが活性化するとリンカーの除去をもたらすトロンビン部位は、重鎖内に配置される。したがって、リンカーのサイズおよびアミノ酸配列が、トロンビンの活性化による、残りのFVIII分子からのリンカーの除去に影響を与える可能性は低い。Bドメインの欠失は、FVIIIを生成させるのに有利である。にもかかわらず、生成能を低下させることなく、Bドメインの一部をリンカー内に組み入れることもできる。生成能に対するBドメインの負の影響が、Bドメインの特定のサイズまたは配列に帰せられたことはない。
末端欠失Bドメインは、複数のO-グリコシル化部位を含有しうる。しかし、好ましい実施形態によれば、該分子が、末端欠失Bドメイン内に含むO結合オリゴ糖は、1つ、代替的に、2つ、3つ、または4つだけである。
好ましい実施形態によれば、末端欠失Bドメインが含む潜在的なO-グリコシル化部位は1つだけであり、例えば、PEGまたはアルブミン結合剤などの側鎖が、共有結合によりこのO-グリコシル化部位にコンジュゲートされる。
本発明によるBドメイン末端欠失分子におけるO結合オリゴ糖は、組換え手段により、かつ/またはBドメインの末端切除を介して「隠された」O-グリコシル化部位を露出させることにより人工的に創出されたO-グリコシル化部位に結合させることができる。いずれの場合にも、Bドメイン末端欠失因子VIIIのアミノ酸配列をデザインし、その後、このアミノ酸配列を、コンピュータによる(in silico)解析にかけ、末端欠失Bドメイン内にO-グリコシル化部位がある確率を予測することにより、このような分子を作製することができる。このようなグリコシル化部位を有する確率が比較的高い分子を、適切な宿主細胞内で合成した後、グリコシル化パターンを解析し、その後、末端欠失Bドメイン内にO結合グリコシル化を有する分子を選択することができる。
因子VIII分子はまた、多数のN結合オリゴ糖も含有し、これらのうちの各々は、疎水性側鎖基を結合させるためのアンカーとしても用いることができる。
本発明による組換え因子VIII融合タンパク質を生成させるのに適する宿主細胞は、該分子のグリコシル化を確保するため、哺乳動物起源であることが好ましい。本発明を実施する場合、細胞は哺乳動物細胞であり、より好ましくは、限定なしに、CHO細胞系、COS-1細胞系、ベビーハムスター腎(BHK)細胞系、およびHEK293細胞系を含め、確立された哺乳動物細胞系である。他の適切な細胞系には、限定なしに、ラットHep I細胞、ラットHep II細胞、TCMK細胞、ヒト肺細胞、DUKX細胞(CHO細胞系)が含まれる。また、3T3細胞、Namalwa細胞、骨髄腫細胞、および骨髄腫細胞の、他の細胞との融合細胞も有用である。一部の実施形態では、細胞が、例えば、それらが由来した細胞型とは定性的または定量的に異なるスペクトルの、タンパク質の翻訳後修飾を触媒する酵素(例えば、グリコシルトランスフェラーゼおよび/もしくはグリコシダーゼなどのグリコシル化酵素、またはプロペプチドなどのプロセシング酵素)を発現する細胞など、突然変異細胞の場合もあり、組換え細胞の場合もある。DUKX細胞(CHO細胞系)が、とりわけ好ましい。
現在のところ好ましい細胞は、HEK293細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、および骨髄腫細胞であり、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
野生型のFVIII分子におけるBドメインの長さは、約908アミノ酸である。本発明による分子における末端欠失Bドメインの長さは、例えば、約12〜500アミノ酸、約12〜400アミノ酸、12〜300アミノ酸、12〜200アミノ酸、15〜100アミノ酸、15〜75アミノ酸、15〜50アミノ酸、15〜45アミノ酸、20〜45アミノ酸、20〜40アミノ酸、または20〜30アミノ酸など、例えば、約10アミノ酸〜約700アミノ酸など、約10〜約800アミノ酸で変化しうる。末端欠失Bドメインは、重鎖および/もしくは軽鎖の断片、ならびに/または野生型FVIII分子内には見出されない、人工的に導入された配列の断片を含みうる。本明細書では、「Bドメイン末端欠失」および「Bドメイン欠失」という用語を互換的に用いることができる。
循環における半減期の改変:本発明による分子は、野生型の因子VIII分子と比較して、循環における半減期が改変され、循環における半減期が延長されることが好ましい。循環における半減期は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも125%、より好ましくは少なくとも150%、より好ましくは少なくとも175%、より好ましくは少なくとも200%、および最も好ましくは少なくとも250%または300%延長されることが好ましい。このような分子は、循環における半減期が、少なくとも400%、500%、600%、またはさらに700%延長されることがなおより好ましい。
親水性ポリマー:本発明による側鎖基は、少なくとも1つの非天然ポリマー部分を含む、非天然親水性ポリマーであることが好ましい。別の例では、非天然修飾基が、修飾炭水化物である。
本発明による例示的な親水性ポリマーには、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、ポリ(アルキレングリコール)およびその誘導体など、1または複数の個別に選択されたポリマー部分が含まれうる、水溶性ポリマーが含まれる。本発明によるポリマー修飾基には、水溶性ポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体(PEG、m-PEG)、ポリ(プロピレングリコール)およびその誘導体(PPG、m-PPG)などが含まれうる。
本発明による水溶性ポリマーのポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール) (すなわち、PEG)でありうる。本発明との関連におけるPEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、マルチアームPEG、フォーク型PEG、分枝状PEG、ペンダント型PEG (すなわち、ポリマー骨格に、1または複数の官能基を懸垂させる、PEGまたは類縁ポリマー)、またはその中に分解性結合を伴うPEGを含め、その任意の形態にあるポリ(エチレングリコール)を包含する。
ポリマー骨格は、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もある。当技術分野では、分枝状のポリマー骨格が一般的に知られている。分枝状ポリマーは、中央の分枝コア部分と、該中央の分枝コアに連結された複数の直鎖状ポリマー鎖を有することが典型的である。PEGは一般に、グリセロール、ペンタエリトリトール、およびソルビトールなど、各種のポリオールに、酸化エチレンを付加することにより調製しうる分枝形態で用いられる。中央の分枝部分はまた、リシンまたはシステインなど、複数のアミノ酸にも由来しうる。一例では、分枝状ポリ(エチレングリコール)を、R(-PEG-OH)m [式中、Rは、グリセロールまたはペンタエリトリトールなどのコア部分を表わし、mは、アーム数を表わす]としての一般形で表わすことができる。また、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号において説明されているマルチアームPEG分子などのマルチアームPEG分子も、ポリマー骨格として用いることができる。
本発明にはまた、他の多くのポリマーも適する。本発明では、非ペプチド性で水溶性であるポリマー骨格が、特に有用である。適切なポリマーの例には、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる米国特許第5,629,384号において説明されているポリマーなど、ポリ(プロピレングリコール) (「PPG」)などの他のポリ(アルキレングリコール)、エチレングリコールとプロピレングリコールなどとのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ([アルファ]-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)のほか、コポリマー、テルポリマー、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
ポリマー骨格の各鎖の分子量は変化しうるが、例えば、約5,000Da〜約100,000Daなど、約100Da〜約160,000Daの範囲内にあることが典型的である。より具体的に述べると、本発明による各コンジュゲート親水性ポリマーのサイズは、例えば、約1000Da〜約80,000Da;約2000Da〜約70,000Da;約5000〜約70,000Da;約5000〜約60,000Da;約10,000〜約70,000Da;約20,000〜約60,000Da;約30,000〜約60,000Da;約30,000〜約50,000Da;または約30,000〜約40,000Daなど、約500Da〜約80,000Daで変化しうる。これらのサイズは、正確な測定値よりも推定値を表わすことを理解されたい。好ましい実施形態によれば、本発明による分子は、例えば、10,000、40,000、または80,000Da +/-約5000、約4000、約3000、約2000、または約1000DaのサイズのPEGなど、親水性ポリマーの異質な集団とコンジュゲートされる。
側鎖/側鎖基:本発明による因子VIII分子はまた、親水性ポリマー以外の側鎖基ともコンジュゲートされうる。本発明による側鎖は、例えば、脂肪酸およびそれらの誘導体(場合によって、「アルブミン結合剤」とも称する)、ペプチドなどからなるリストのうちの1または複数から選択することができる。本発明による疎水性側鎖基は、生物学的に分解性であることが好ましい。個々の因子VIII分子には、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上など、複数の疎水性側鎖基がさらにコンジュゲートされうる。したがって、さらに、本発明による因子VIII分子を、1または複数の親水性側鎖基のほか、1または複数の疎水性側鎖基、ペプチド側鎖基などとコンジュゲートすることが可能である。
したがって、本発明による個々の因子VIII分子は、例えば、親水性の性質、および疎水性/ペプチド性の性質の両方を有する側鎖基を含みうる。にもかかわらず、該分子が、これを異なる種類の側鎖基とコンジュゲートするさらなる試みとも関連するために、このような解決法が、実際には比較的非実用的であるとわかる場合もある。したがって、本発明による分子は、1種類の側鎖(例えば、親水性/疎水性側鎖)だけを含むことが好ましい。
しかし、因子VIIIの、疎水性側鎖基とのコンジュゲーションは、これまでのところ、親水性基とのコンジュゲーションに対する魅力的な代替法であるとは考えられていない。1つの説明は、有機溶媒を用いる、労多く、かつ/または困難な化学的方法を必要とすることが予測されていることでありうる。別の説明は、通常比較的小型の疎水性分子は、(大型の)コンジュゲート因子VIII分子を、例えば、アルブミンに結合させ、おそらくこれにより該分子のクリアランスを遮断するのに有効であるとは予測されえないことでありうる。
アルブミン結合剤コンジュゲート:
アルブミン結合側鎖を用いることにより、このようなタンパク質のin vivoにおける特性を改善しうることが知られている。このような側鎖、またはアルブミン結合剤を、投与前にタンパク質に結合させ、例えば、該タンパク質をin vivoにおいて安定化させることもでき、該タンパク質のin vivoにおける半減期を改善または延長することもできる。
したがって、アルブミン結合剤は、血流によるその誘導体の循環を促進しうる。ペプチド誘導体とアルブミンとの複合体は、崩壊して医薬有効成分を放出するのがごく緩徐であるという事実のために、アルブミン結合剤は、それが結合するタンパク質の作用時間に対して延長(extendingまたはprotracting)効果を有しうる。したがって、好ましい置換基または側鎖を、全体として、アルブミン結合部分と称することができる。
アルブミン結合剤(アルブミン結合部分)は、アルブミンへの結合に特に関与性であり、これにより、血流における循環の延長に特に関与性である部分を含む場合があり、したがって、この部分を、寿命延長部分と称することができる。寿命延長部分は、ペプチドへのアルブミン結合部分の結合点と比較して、アルブミン結合部分の反対側の端部に存在するか、またはこの近傍に存在することが好ましい。
好ましい実施形態では、アルブミン結合剤が、アルブミンと非共有結合による複合体を形成することが可能な側鎖であるか、またはこのような側鎖を含む。アルブミン結合剤は、非共有結合によりアルブミンに結合する場合もあり、かつ/またはアルブミンに可逆的に結合する場合もある。アルブミン結合剤は、アルブミンに特異的に結合しうる。以下で説明する方法から明らかである通り、アルブミン結合剤は、シクロデキストリンに結合しうる。アルブミン結合剤は、非共有結合によりシクロデキストリンに結合する場合もあり、かつ/またはシクロデキストリンに可逆的に結合する場合もある。アルブミン結合剤は、シクロデキストリンに特異的に結合しうる。
本明細書で説明されるアルブミン結合剤は一般に、疎水性基である。
アルブミン結合部分の他の部分、すなわち、寿命延長部分と、ペプチドへの結合点として用いられる部分との間の部分は、リンカー部分、リンカー、スペーサーなどと称することができる。しかし、リンカーの存在は任意選択であり、したがって、アルブミン結合部分は、寿命延長部分と同一でありうる。
特定の実施形態では、アルブミン結合部分および/または寿命延長部分が、親油性であり、かつ/または生理学的pH (7.4)で負に帯電する。
アルブミン結合部分および/または寿命延長部分は、アルキル化、アシル化、またはアミド形成などのコンジュゲーション化学反応を介して、共有結合により、ペプチドのアミノ基に結合させることもでき、エステル化、アルキル化、オキシム化などを介して、共有結合により、ヒドロキシル基に結合させることもできる。
好ましい実施形態では、アルブミン結合部分および/または寿命延長部分の活性エステルを、アミド結合の形成下において、共有結合により、シアル酸残基またはシアル酸誘導体のアミノ基に結合させる(この過程を、アシル化と称する)。
別段に明言しない限り、タンパク質のアシル化について言及するときは、アミノ基が、糖タンパク質におけるシアル酸残基に連結されるものと理解されたい。
本発明の目的では、「アルブミン結合部分」、「寿命延長部分」、および「リンカー」という用語が、これらの分子の非反応形態ならびに反応形態を包含する。一方の形態または他方の形態のいずれが意味されているかどうかは、その用語が用いられる文脈から明らかである。
アルブミン結合部分は、脂肪酸もしくは脂肪族二塩基酸、またはこれらの誘導体の場合もあり、これらを含む場合もある。
「脂肪酸」という用語は、16個の炭素原子など、4〜28個の炭素原子を有する、脂肪族モノカルボン酸を指す。炭素原子が非分枝性および/または偶数個であることが好ましく、飽和脂肪酸の場合もあり、非飽和脂肪酸の場合もある。
「脂肪族二塩基酸」という用語は、上記で定義される脂肪酸を指すが、オメガ位にさらなるカルボン酸基を伴う。したがって、脂肪族二塩基酸とは、ジカルボン酸である。
命名法は当技術分野における通常の通りであり、例えば、-COOHならびにHOOC-がカルボキシを指し、-C6H4-がフェニレンを指し、-CO-ならびに-OC-がカルボニル(O=C<)を指し、C6H5-O-がフェノキシを指す。
好ましい実施形態では、存在する場合、リンカー部分が、2〜80個のC原子、好ましくは5〜70個のC原子を有する。さらなる好ましい実施形態では、存在する場合、リンカー部分が、4〜20個のヘテロ原子、好ましくは2〜40個のヘテロ原子、より好ましくは3〜30個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子の特に好ましい例は、N原子、およびO原子である。H原子は、ヘテロ原子ではない。
別の実施形態では、リンカーが、少なくとも1つのOEG分子、および/もしくは少なくとも1つのグルタミン酸残基、またはそうではなくて対応するラジカル(OEGとは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸、すなわちこの分子のラジカル: -NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-を名指すものである)を含む。
好ましい一実施形態では、リンカー部分が、アミド結合によりシアル酸残基に連結される、ジカルボキシアミド部分を含む。好ましい例では、ジカルボキシル残基が、2〜30個のC原子、好ましくは4〜20個のC原子、より好ましくは4〜10個のC原子を有する。さらなる好ましい実施形態では、ジカルボキシル残基が、0〜10個のヘテロ原子、好ましくは0〜5個のヘテロ原子を有する。
別の好ましい例では、リンカー部分が、その遠位カルボキシル基を介して、アミド結合によりシアル酸残基に連結された、アミノ基および遠位カルボキシル基の両方を含有する基を含む。好ましい一実施形態では、この基が、OEG基である。
アミノ酸であるグルタミン酸(Glu)は、2つのカルボン酸基を含む。そのガンマ-カルボキシ基は、シアル酸残基もしくはシアル酸誘導体のアミノ基とのアミド結合、または存在する場合は、OEG分子のアミノ基とのアミド結合、または存在する場合は別のGlu残基のアミノ基とのアミド結合を形成するのに用いられることが好ましい。Gluのアミノ基は、寿命延長部分のカルボキシ基とのアミド結合、または存在する場合はOEG分子のカルボキシ基とのアミド結合、または存在する場合は別のGluのガンマ-カルボキシ基とのアミド結合を形成する。このようなGluの組入れを、場合によって簡単に、「ガンマ-Glu」と称する。
理論により拘束されることなく述べると、疎水性側鎖基を、vWF結合能が正常である因子VIII分子に結合させるのではなく、このような側鎖基を、vWF結合能を低下させた因子VIII分子に結合させることが有利でありうる理由は、大型の因子VIII/vWF複合体においては、該側鎖基の相対的サイズが、比較的小さくなることであると予測される。比較的大きな側鎖基は、遊離因子VIIIの除去を遮断するのにより効果的に機能すると仮定される。さらに、FVIIIの半減期は、vWFの半減期と関連するとも仮定される。vWFに結合する能力を低下させたFVIII分子は、通常はvWVにより遮断されていたクリアランスエピトープを露出させている可能性が極めて高い。したがって、側鎖基を結合させることにより、この「クリアランスの遮断」を回復しうると仮定される。他の場合には、例えば、該分子を、循環における半減期が比較的長いタンパク質、細胞、または血小板に結合させることにより、例えば、抗体断片などの側鎖基の結合を機能させることができる。
O結合オリゴ糖: N-グリカンおよびO-グリカンはいずれも、タンパク質を生成させる細胞を介して、タンパク質に結合する。細胞内のN-グリコシル化機構は、新たに生成するタンパク質が、リボソームから小胞体へと移出されるときに、アミノ酸鎖内のN-グリコシル化シグナル(N-X-S/Tモチーフ)を認識およびグリコシル化する(Kielyら、1976;Glabeら、1980)。
同様に、O-グリカンは、アミノ酸鎖内の特定のO-グリコシル化部位へと結合させるが、O-グリコシル化を誘発するモチーフは、N-グリコシル化シグナルよりはるかに異質性であり、アミノ酸配列内のO-グリコシル化部位を予測する能力は、いまだ不十分である(Juleniusら、2004)。したがって、人工的なO-グリコシル化部位の構築は、ある不確実性を随伴する。
疎水性側鎖基の連結:
因子VIII分子の、疎水性側鎖基とのコンジュゲーションは、化学的方法を用いても行うことができる。しかし、酵素的手法の使用と潜在的に関連する利点が多い。本発明による好ましい酵素的方法に従えば、[疎水性寿命延長基]-シアリル-CMP基質を、化学的に調製することができる。シアリルトランスフェラーゼ酵素を用いて、この基質を、因子VIIIに存在するグリカンへと酵素的に転移させることができる。本発明の発明者らは、この酵素的手法が、驚くべきことに、有機溶媒を添加せずに実施しうることを発見した。例えば、生物学的活性の喪失、環境上の懸念、有機溶媒の完全な除去を確認するためのさらなるステップの実施など、有機溶媒の使用に随伴する欠点は多い。また、シクロデキストリンの添加を回避することも可能である(シクロデキストリンとは、これもまた生物学的機能の喪失に寄与しうる洗浄剤である)。酵素的コンジュゲーション工程では、グリセロール、例えば、5〜30%のグリセロール、好ましくは10〜20%のグリセロールを添加することが有利でありうる。グリセロールが存在すると、例えば、凍結/融解工程において因子VIII分子が安定化すると考えられ、また、因子VIIIによる結晶の形成も阻止することができる。したがって、酵素的コンジュゲーションにおいて存在させるグリセロールは、コンジュゲーション工程が完了した後も除去する必要がない。
シアリルトランスフェラーゼ:シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸を、新たに生成するオリゴ糖へと転移させる酵素である。各シアリルトランスフェラーゼは、特定の糖基質に特異的である。シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸を、糖脂質(ガングリオシド)、または糖タンパク質のN結合糖鎖もしくはO結合糖鎖における末端部分に付加する。それらが作用するアクセプター構造、およびそれらが形成する糖連結の種類に基づき、約20の異なるシアリルトランスフェラーゼを識別することができる。本発明による好ましいシアリルトランスフェラーゼは、ST3GaL-I (O-グリカンに特異的)およびST3Gal-III (N-グリカンに特異的)である。したがって、例えば、特定のグリコシル化パターンにより特定のシアリルトランスフェラーゼを選択することにより、かつ/または特定のグリコシルパターンにより因子VIII分子を操作することにより、本発明によるコンジュゲート因子VIII分子の構造を操作することが可能である。
医薬組成物:本明細書では、医薬組成物が、例えば、RTU(ready-to-use)滅菌水性組成物、または、例えば、水中もしくは水性緩衝液中で再構成しうる乾燥滅菌組成物など、非経口投与に適する、本発明による因子VIII分子を含む組成物を包含することを意味することが好ましい。本発明による組成物は、各種の薬学的に許容される賦形剤、安定化剤などを含みうる。
このような組成物中のさらなる成分には、保湿剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、等張性調整剤、キレート化剤、金属イオン、油性媒体、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、またはタンパク質)、および双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リシン、およびヒスチジンなどのアミノ酸)が含まれうる。このようなさらなる成分が、本発明の医薬製剤の全体的な安定性に有害な影響をあたえるべきでないことは当然である。非経口投与は、シリンジ、場合によって、ペン型シリンジによる皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、または静脈内注射を介して実施することができる。代替的に、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。さらなる選択肢は、鼻腔内スプレーまたは肺内スプレーの形態でFVIII化合物を投与するための溶液または懸濁液でありうる組成物である。なおさらなる選択肢として、本発明のFVIII化合物を含有する医薬組成物はまた、例えば、注射針なしの注射による、もしくはパッチ、場合によって、イオントフォレーシスパッチによる経皮投与、または経粘膜投与、例えば、口腔内投与にも適合させうる。
本明細書で用いられる「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒト対象または他の動物対象に対する医学的治療を指す。前記対象は、前記特定の治療の使用が、前記ヒト対象または他の動物対象の健康に有益であることを示す一時的または決定的な診断を施した治療者による身体検診を受けていることが期待される。前記治療のタイミングおよび目的は、対象の健康状態に従い、個体により異なりうる。したがって、前記治療は、予防的治療の場合もあり、緩和的治療の場合もあり、対症的治療の場合もあり、かつ/または治癒的治療の場合もある。
第1の態様では、本発明が、因子VIII分子と、融合パートナーとを含む融合タンパク質である、組換え因子VIII分子に関する。第1の実施形態では、融合パートナーが、因子VIII分子のA3ドメインを置換する。したがって、因子VIIIの小型のA3ドメインは、融合パートナーにより完全に置換される場合もあり、部分的に置換される場合もある。第2の実施形態では、融合パートナーが、因子VIIIのBドメインに挿入される。Bドメインは、全長Bドメインでもありうるが、好ましい実施形態では、Bドメインが、顕著に末端欠失されている。したがって、融合パートナーのN末端およびC末端のいずれにおいても、Bドメインに由来するアミノ酸が、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10存在する。別の好ましい実施形態では、融合パートナーが、因子VIIIのC2ドメイン内、または該C2ドメインのC末端に挿入される。
第3の実施形態では、本発明による因子VIII分子を、例えば、Fc受容体などの抗体結合分子に融合させる。抗体結合分子の例を、以下の表に列挙する。第4の実施形態では、因子VIII分子を、ヒト血清アルブミンに結合する能力を有する分子に融合させる。別の実施形態では、因子VIIIを、トランスフェリンに融合させる。これらの例もまた、以下に示す。第5の実施形態では、因子VIII分子を、血小板に結合する能力を有する分子と融合させる(このような分子の具体例もまた、以下に示す)。さらに別の実施形態では、因子VIII分子を、因子VIIIのクリアランス受容体に結合する能力を伴う分子に融合させる。
第6の実施形態では、本発明による因子VIII分子が、vWF結合能を低下させている。このような因子VIII分子は、配列番号1のアミノ酸1670〜1684にわたる領域内に突然変異(アミノ酸の置換、欠失、または付加)を含むことが好ましい。このような因子VIII分子は、以下の点突然変異: Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cのうちの1つを含むことが最も好ましい。
第7の実施形態では、本発明による分子を、側鎖基とコンジュゲートする。この側鎖基は、親水性ポリマー、ペプチド、および疎水性側鎖基からなるリストのうちの1または複数から選択することができる。側鎖基は、PEG基、脂肪酸誘導体、またはポリペプチドであることが好ましい。例えば、O結合グリカンおよび/またはN結合グリカンをリンカーとして用いる、WO0331464において開示される技法などの酵素法を用いて、このような側鎖基を該分子に結合させることが好ましい。
本発明の別の態様は、そのA3ドメインを置換する融合パートナーに融合したFVIII分子に関する。
一実施形態では、融合パートナーが、アルブミンである。別の実施形態では、融合パートナーがFc受容体である。別の実施形態では、Fc受容体が、FcγRIである。別の実施形態では、融合パートナーが、Fcドメインである。別の実施形態では、Fcドメインが、エフェクター機能が低下しており、かつ/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させた、突然変異Fcドメインである。別の実施形態では、融合タンパク質を、側鎖基とコンジュゲートする。別の実施形態では、側鎖基を、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンを介して、融合タンパク質に連結する。別の実施形態では、側鎖基を、シアル酸を介して、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンに連結する。別の実施形態では、側鎖基を、親水性ポリマー、ペプチド、および疎水性側鎖基からなるリストのうちの1または複数から選択する。別の実施形態では、FVIII分子が、Bドメイン末端欠失分子であり、該Bドメインが、配列番号2に示される配列を含む。別の実施形態では、融合タンパク質が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む末端欠失BドメインにおけるO結合グリカンに連結された側鎖基を含む。別の実施形態では、因子VIII分子が、vWF結合能を低下させている。別の実施形態では、vWF結合能を低下させた因子VIII分子が、Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cからなるリストから選択される突然変異を含む。
本発明の別の態様は、そのBドメインに挿入される融合パートナーに融合したFVIII分子に関する。
一実施形態では、融合パートナーが、アルブミンである。別の実施形態では、融合パートナーがFc受容体である。別の実施形態では、Fc受容体が、FcγRIである。別の実施形態では、融合パートナーが、Fcドメインである。別の実施形態では、Fcドメインが、エフェクター機能が低下しており、かつ/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させた、突然変異Fcドメインである。別の実施形態では、融合タンパク質を、側鎖基とコンジュゲートする。別の実施形態では、側鎖基を、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンを介して、融合タンパク質に連結する。別の実施形態では、側鎖基を、シアル酸を介して、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンに連結する。別の実施形態では、側鎖基を、親水性ポリマー、ペプチド、および疎水性側鎖基からなるリストのうちの1または複数から選択する。別の実施形態では、FVIII分子が、Bドメイン末端欠失分子であり、該Bドメインが、配列番号2に示される配列を含む。別の実施形態では、融合タンパク質が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む末端欠失BドメインにおけるO結合グリカンに連結された側鎖基を含む。別の実施形態では、因子VIII分子が、vWF結合能を低下させている。別の実施形態では、vWF結合能を低下させた因子VIII分子が、Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cからなるリストから選択される突然変異を含む。
本発明の別の態様は、そのC2ドメインのC末端に挿入される融合パートナーに融合したFVIII分子に関する。
一実施形態では、融合パートナーが、アルブミンである。別の実施形態では、融合パートナーがFc受容体である。別の実施形態では、Fc受容体が、FcγRIである。別の実施形態では、融合パートナーが、Fcドメインである。別の実施形態では、Fcドメインが、エフェクター機能が低下しており、かつ/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させた、突然変異Fcドメインである。別の実施形態では、融合タンパク質を、側鎖基とコンジュゲートする。別の実施形態では、側鎖基を、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンを介して、融合タンパク質に連結する。別の実施形態では、側鎖基を、シアル酸を介して、N結合グリカンおよび/またはO結合グリカンに連結する。別の実施形態では、側鎖基を、親水性ポリマー、ペプチド、および疎水性側鎖基からなるリストのうちの1または複数から選択する。別の実施形態では、FVIII分子が、Bドメイン末端欠失分子であり、該Bドメインが、配列番号2に示される配列を含む。別の実施形態では、融合タンパク質が、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む末端欠失BドメインにおけるO結合グリカンに連結された側鎖基を含む。別の実施形態では、因子VIII分子が、vWF結合能を低下させている。別の実施形態では、vWF結合能を低下させた因子VIII分子が、Y1680F、Y1680R、Y1680N、およびE1682T、およびY1680Cからなるリストから選択される突然変異を含む。
別の態様は、本発明による分子を作製する方法であって、前記分子をコードする宿主細胞を、適切な条件下でインキュベートするステップを含む方法に関する。したがって、本発明はまた、核酸分子のほか、本発明による分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターおよび宿主細胞にも関する。このような方法により得られるか、または得ることのできる分子もまた、本発明の態様である。
別の態様は、薬物としての、本発明による分子の使用に関する。
別の態様は、血友病、好ましくは血友病Aを治療するための、本発明による分子の使用に関する。
別の態様は、本発明による分子と、場合によって、1または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。
本発明の別の態様は、血友病を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、本発明による分子を投与するステップを含む方法に関する。
(実施例)
(実施例1)
FVIIIフレームワークおよび融合パートナー
本発明の融合タンパク質は、別のタンパク質に由来するポリペプチド(融合パートナー)に連結された、FVIIIタンパク質(FVIII部分)からなる。
融合タンパク質のFVIII部分は、FVIII活性を伴う任意のタンパク質でありうる。FVIII部分は、FVIII Bドメインの一部がそこから除去されている、Bドメイン欠失/末端欠失(BDD) FVIIIタンパク質でありうる。融合タンパク質のFVIII部分を構成しうるFVIIIフレームワークの非限定的な例を、Table1(表1)に示す。F8-500とは、ヒトBDD FVIIIタンパク質である。N末端から初めて、F8-500は、FVIIIのシグナルペプチド(アミノ酸-19〜-1)に続き、Bドメインを伴わないFVIII HC(アミノ酸1〜740)、21アミノ酸のリンカー(SFSQNSRHPSQNPPVLKRHQR) (配列番号2)、およびヒト野生型FVIIIのFVIII LC(アミノ酸1649〜2332)からなる。21アミノ酸のリンカーの配列は、FVIIIのBドメインに由来し、ヒト野生型全長FVIIIのアミノ酸741〜750および1638〜1648からなる。
F8-500-ΔA3は、A3領域を伴わないF8-500からなる。F8-500-ΔA3では、ヒト野生型FVIIIのアミノ酸1647〜1687が、F8-500から取り除かれている。これにより、アミノ酸1645〜1648のフリン部位が破壊されている。しかし、F8-500-ΔA3では、R1645-H1646-P1688-R1689というアミノ酸の連なりにより、フリンおよびトロンビンの複合部位が創出されている。A3領域は、FVIIIのvWFへの結合に重要であり、このため、F8-500-ΔA3のvWFに対するアフィニティーは、野生型FVIIIと比較して低下している。
F8-500-Hisは、F8-500のリンカーにHisタグが挿入されたF8-500からなる。したがって、F8-500-Hisのリンカー配列は、SFSQNSRHPSHHHHHHSQNPPVLKRHQR (配列番号3)である。
F8-500-ΔA3-Hisは、A3領域を伴わないが、F8-500のリンカーにHisタグが挿入されたF8-500からなる。したがって、F8-500-ΔA3-Hisでは、ヒト野生型FVIIIのアミノ酸1647〜1687が、F8-500から取り除かれており、リンカー配列が、SFSQNSRHPSHHHHHHSQNPPVLKRHQR (配列番号4)である。
F8-500-Y1680FおよびF8-500-Y1680Cは、ヒト野生型全長FVIIIのアミノ酸1680が、それぞれ、チロシンからフェニルアラニンへ、およびチロシンからシステインへと変化しているF8-500からなる。これらのアミノ酸置換はいずれも、FVIIIのvWF因子に対するアフィニティーを低下させる。さらに、Y1680Cアミノ酸置換は、寿命延長部分を融合タンパク質にコンジュゲートするためのハンドルとして用いうる、遊離システインも導入する。
融合パートナーは、融合タンパク質のFVIII部分の複数の位置に連結することができる。融合パートナーに接合するための、FVIIIにおける位置の非限定的な例は、FVIII HCとFVIII LCとの間のBドメインまたはBドメインに由来するリンカー、A3の位置、およびFVIII LCのC末端に存在する。
(実施例2)
FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質をコードする発現ベクターの構築
FVIIIと融合パートナーとの融合体はすべて、融合パートナーを増幅するためのPCRを伴う。用いられるPCRプライマーの端部に、制限部位を付加する。制限酵素は、融合パートナーのcDNAまたは合成DNAを、FVIII cDNAへとクローニングするのに用いる。
F8-500のBドメインにおける融合体は、アミノ酸750とアミノ酸1638との間で生じる。Bドメイン内の制限部位またはBドメインを挟む制限部位であるAvrII、NruI、AgeIおよびMluIを用いて、融合パートナーをコードするDNAを挿入する。
FVIII軽鎖のカルボキシ末端における融合体では、F8-500をコードする構築物を修飾する。部位指向突然変異誘発により、内部のBamHI部位(アミノ酸604〜606)を取り除き、可撓性の(GGGS)6リンカーをコードするDNAを、コード領域の3'側に挿入する。BamHI部位とNotI部位との間におけるC末端融合パートナーのクローニングを容易とするために、リンカーをコードするDNAの3'端に、新たなBamHI部位を導入する。その後、融合パートナーのDNAを挿入する。この構築物に由来する融合タンパク質を、Table 2〜12 (表2〜12)ではF8-500-C2連結(GGGS)6-Xと称する。(GGGS)6リンカーと同様に、最短のGSリンカー(BamHI制限部位)を、F8-500コード領域の3'端に挿入した。BamHI制限部位(GGATCC)は、GS (グリシン-セリン)の2つのコドンを形成する。この構築物に由来する融合タンパク質を、Table 2〜12 (表2〜12)ではF8-500-C2連結GS-Xと称する。PCR産物の5'端におけるF8-500コード領域のうちの最後の109bpと、3'端におけるNotI制限部位とを保有する伸長プライマーで融合体をPCR増幅することにより、リンカーを伴わないF8-500のC末端への融合体を作製した。XbaI制限部位は、F8-500の停止コドンから104〜109bpの位置に存在する。XbaI制限酵素およびNotI制限酵素を用いて、リンカーを伴わない融合パートナーをクローニングした。これらの後者の構築物に由来する融合タンパク質を、Table 2〜12 (表2〜12)ではF8-500-C2連結Xと称する。
融合パートナーをコードするDNAを、A3の位置に挿入し、これにより、コードされるタンパク質において、A3を融合パートナーで置換するには、SacII制限部位を、A3のコード領域の3'側に導入する。このように、AgeI部位とSacII部位との間、またはAvrII部位とSacII部位との間に挿入することにより、融合パートナーコードDNAを導入することができる。
hFc(配列番号5)
htcppcpapeaegepsvflfppkpkdtlmisrtpevtcvvvdvshedpevkfnwyvdgvevhnaktkpreeqyqstyrvvsvltvlhqdwlngkeykckvsnkalpapiektiskakgqprepqvytlppsrdeltknqvsltclvkgfypsdiavewesngqpennykttppvldsdgsfflyskltvdksrwqqgnvfscsvmhealhnhytqkslslspgk
mFc(配列番号6)
kpcppckcpapnaegepsvfifppkikdvlmislspmvtcvvvdvseddpdvqiswfvnnvevltaqtqthredyqstlrvvsalpiqhqdwmsgkefkckvnnkalpapiertiskpkgsvrapqvyvlpppeeemtkkqvtltcmvtdfmpediyvewtnngktelnykntepvldsdgsyfmysklrvekknwvernsyscsvvheglhnhhttksfsrtpgk
ヒト血清アルブミン(HSA)(配列番号7)
Dahksevahrfkdlgeenfkalvliafaqylqqcpfedhvklvnevtefaktcvadesaencdkslhtlfgdklctvatlretygemadccakqepernecflqhkddnpnlprlvrpevdvmctafhdneetflkkylyeiarrhpyfyapellffakrykaafteccqaadkaacllpkldelrdegkassakqrlkcaslqkfgerafkawavarlsqrfpkaefaevsklvtdltkvhtecchgdllecaddradlakyicenqdsissklkeccekpllekshciaevendempadlpslaadfveskdvcknyaeakdvflgmflyeyarrhpdysvvlllrlaktyettlekccaaadphecyakvfdefkplveepqnlikqncelfeqlgeykfqnallvrytkkvpqvstptlvevsrnlgkvgskcckhpeakrmpcaedylsvvlnqlcvlhektpvsdrvtkccteslvnrrpcfsalevdetyvpkefnaetftfhadictlsekerqikkqtalvelvkhkpkatkeqlkavmddfaafvekcckaddketcfaeegkklvaasqaalgl
トランスフェリン(配列番号8)
VPDKTVRWCAVSEHEATKCQSFRDHMKSVIPSDGPSVACVKKASYLDCIRAIAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYAVAVVKKDSGFQMNQLRGKKSCHTGLGRSAGWNIPIGLLYCDLPEPRKPLEKAVANFFSGSCAPCADGTDFPQLCQLCPGCGCSTLNQYFGYSGAFKCLKDGAGDVAFVKHSTIFENLANKADRDQYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTVVARSMGGKEDLIWELLNQAQEHFGKDKSKEFQLFSSPHGKDLLFKDSAHGFLKVPPRMDAKMYLGYEYVTAIRNLREGTCPEAPTDECKPVKWCALSHHERLKCDEWSVNSVGKIECVSAETTEDCIAKIMNGEADAMSLDGGFVYIAGKCGLVPVLAENYNKSDNCEDTPEAGYFAVAVVKKSASDLTWDNLKGKKSCHTAVGRTAGWNIPMGLLYNKINHCRFDEFFSEGCAPGSKKDSSLCKLCMGSGLNLCEPNNKEGYYGYTGAFRCLVEKGDVAFVKHQTVPQNTGGKNPDPWAKNLNEKDYELLCLDGTRKPVEEYANCHLARAPNHAVVTRKDKEACVHKILRQQQHLFGSNVTDCSGNFCLFRSETKDLLFRDDTVCLAKLHDRNTYEKYLGEEYVKAVGNLRKCSTSSLLEACTFRRP
hFcγRI(CD64)配列番号9)
qvdttkavitlqppwvsvfqeetvtlhcevlhlpgssstqwflngtatqtstpsyritsasvndsgeyrcqrglsgrsdpiqleihrgwlllqvssrvftegeplalrchawkdklvynvlyyrngkafkffhwnsnltilktnishngtyhcsgmgkhrytsagisvtvkelfpapvlnasvtspllegnlvtlscetklllqrpglqlyfsfymgsktlrgrntsseyqiltarredsglywceaatedgnvlkrspelelqvlglqlptp
FcRn(配列番号10)
aeshlsllyhltavsspapgtpafwvsgwlgpqqylsynslrgeaepcgawvwenqvswywekettdlrikeklfleafkalggkgpytlqgllgcelgpdntsvptakfalngeefmnfdlkqgtwggdwpealaisqrwqqqdkaankeltfllfscphrlrehlergrgnlewkeppsmrlkarpsspgfsvltcsafsfyppelqlrflrnglaagtgqgdfgpnsdgsfhasssltvksgdehhyccivqhaglaqplrvelespakss
FcRn-H166K(配列番号11)
aeshlsllyhltavsspapgtpafwvsgwlgpqqylsynslrgeaepcgawvwenqvswywekettdlrikeklfleafkalggkgpytlqgllgcelgpdntsvptakfalngeefmnfdlkqgtwggdwpealaisqrwqqqdkaankeltfllfscphrlreklergrgnlewkeppsmrlkarpsspgfsvltcsafsfyppelqlrflrnglaagtgqgdfgpnsdgsfhasssltvksgdehhyccivqhaglaqplrvelespakss
LRP-CR5-6 (配列番号12)
tcppnqfscasgrcipiswtcdldddcgdrsdesascayptcfpltqftcnngrcininwrcdndndcgdnsdeagcsh
LRP-CR6-7(配列番号13)
tcfpltqftcnngrcininwrcdndndcgdnsdeagcshscsstqfkcnsgrcipehwtcdgdndcgdysdethanctnqatr
LRP-CR6(配列番号14)
tcfpltqftcnngrcininwrcdndndcgdnsdeagcsh
SC 抗GPIIIaの1-HC-LC (配列番号15)
mdilmtqspssmsvslgdtvsitchasqgissnigwlqqkpgksfmgliyygtnlvdgvpsrfsgsgsgadysltissldsedfadyycvqyaqlpytfgggtkleklggggsggggsggggsnsvqlqqsgaelvkpgasvklsctasgfnikdtyvhwvkqrpeqglewigridpangytkydpkfqgkatitadtssntaylqlssltsedtavyycvrplydyyamdywgqgtsvtvss
リンカーSC抗GPIIIaの1-HC-LC(配列番号16)
mdilmtqspssmsvslgdtvsitchasqgissnigwlqqkpgksfmgliyygtnlvdgvpsrfsgsgsgadysltissldsedfadyycvqyaqlpytfgggtkleklggggsggggsggggsnsvqlqqsgaelvkpgasvklsctasgfnikdtyvhwvkqrpeqglewigridpangytkydpkfqgkatitadtssntaylqlssltsedtavyycvrplydyyamdywgqgtsvtvssggggsggggsggggs
SC抗GPIIIaの2-HC-LC(配列番号17)
qvqlqqsgaelvrpgtsvkisckasgytftnywlgwvkqrpghglewigdiypgggynkynenfkgkatltadtssstaymqlssltsedsavyfcareygnydyamdswgqgtsvtvssggggsggggsggggsdivmtqaapsvpvtpgesvsiscrssrsllhsngntylcwflqrpgqspqlliyrmsnlasgvpdrfsgsgsgtaftlrisrveaedvgvyycmqhleypftfgsgtkleikr
SC抗GPIIIaの2-LC-HC(配列番号18)
divmtqaapsvpvtpgesvsiscrssrsllhsngntylcwflqrpgqspqlliyrmsnlasgvpdrfsgsgsgtaftlrisrveaedvgvyycmqhleypftfgsgtkleikrggggsggggsggggsqvqlqqsgaelvrpgtsvkisckasgytftnywlgwvkqrpghglewigdiypgggynkynenfkgkatltadtssstaymqlssltsedsavyfcareygnydyamdswgqgtsvtvss
ABD035(配列番号19)
laeakvlanreldkygvsdfykrlinkaktvegvealklhilaalp
配列A(配列番号20)
GSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGTSESATPESGPGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSPAGSPTSTEEGSPAGSPTSTEEGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSPAGSPTSTEEGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGTSESATPESGPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGTSTEPSEGSAPG

ELP80(配列番号21)
gvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpgagvpgvgvpgggvpgvgvpgvgvpga

Extra a3(配列番号22)
eitrttlqsdqeeidyddtisvemkkedfdiydedenqspr
GHBP(配列番号23)
fsgseataailsrapwslqsvnpglktnsskepkftkcrsperetfschwtdevhhgtknlgpiqlfytrrntqewtqewkecpdyvsagenscyfnssftsiwipycikltsnggtvdekcfsvdeivqpdppialnwtllnvsltgihadiqvrweaprnadiqkgwmvleyelqykevnetkwkmmdpilttsvpvyslkvdkeyevrvrskqrnsgnygefsevlyvtlpqmsq
FIX298-342(配列番号24)
iflkfgsgyvsgwarvfhkgrsalvlqylrvplvdratclrstkf
FIX47-125(配列番号25)
Ddgdqcesnpclnggsckddinsyecwcpfgfegknceldvtcnikngrceqfcknsadnkvvcsctegyrlaenqksce
VWF1-272(配列番号26)
slscrppmvklvcpadnlraeglectktcqnydlecmsmgcvsgclcppgmvrhenrcvalercpcfhqgkeyapgetvkigcntcvcrdrkwnctdhvcdatcstigmahyltfdglkylfpgecqyvlvqdycgsnpgtfrilvgnkgcshpsvkckkrvtilveggeielfdgevnvkrpmkdethfevvesgryiilllgkalsvvwdrhlsisvvlkqtyqekvcglcgnfdgiqnndltssnlqveedpvdfgnswkvssqcadtr
VWF1-1390(配列番号27)
slscrppmvklvcpadnlraeglectktcqnydlecmsmgcvsgclcppgmvrhenrcvalercpcfhqgkeyapgetvkigcntcvcrdrkwnctdhvcdatcstigmahyltfdglkylfpgecqyvlvqdycgsnpgtfrilvgnkgcshpsvkckkrvtilveggeielfdgevnvkrpmkdethfevvesgryiilllgkalsvvwdrhlsisvvlkqtyqekvcglcgnfdgiqnndltssnlqveedpvdfgnswkvssqcadtrkvpldsspatchnnimkqtmvdsscriltsdvfqdcnklvdpepyldvciydtcscesigdcacfcdtiaayahvcaqhgkvvtwrtatlcpqsceernlrengyecewrynscapacqvtcqhpeplacpvqcvegchahcppgkildellqtcvdpedcpvcevagrrfasgkkvtlnpsdpehcqichcdvvnltceacqepgglvvpptdapvspttlyvedisepplhdfycsrlldlvflldgssrlseaefevlkafvvdmmerlrisqkwvrvavveyhdgshayiglkdrkrpselrriasqvkyagsqvastsevlkytlfqifskidrpeasrialllmasqepqrmsrnfvryvqglkkkkvivipvgigphanlkqirliekqapenkafvlssvdeleqqrdeivsylcdlapeappptlppdmaqvtvgpgllgvstlgpkrnsmvldvafvlegsdkigeadfnrskefmeeviqrmdvgqdsihvtvlqysymvtveypfseaqskgdilqrvreiryqggnrtntglalrylsdhsflvsqgdreqapnlvymvtgnpasdeikrlpgdiqvvpigvgpnanvqelerigwpnapiliqdfetlpreapdlvlqrccsgeglqiptlspapdcsqpldvillldgsssfpasyfdemksfakafiskanigprltqvsvlqygsittidvpwnvvpekahllslvdvmqreggpsqigdalgfavryltsemhgarpgaskavvilvtdvsvdsvdaaadaarsnrvtvfpigigdrydaaqlrilagpagdsnvvklqriedlptmvtlgnsflhklcsgfvricmdedgnekrpgdvwtlpdqchtvtcqpdgqtllkshrvncdrglrpscpnsqspvkveetcgcrwtcpcvctgsstrhivtfdgqnfkltgscsyvlfqnkeqdlevilhngacspgarqgcmksievkhsalsvelhsdmevtvngrlvsvpyvggnmevnvygaimhevrfnhlghiftftpqnnefqlqlspktfasktyglcgicdengandfmlrdgtvttdwktlvqewtvqrpgqtcqpileeqclvpdsshcqvlllplfaechkv
vWF497-716-R545A(配列番号28)
edisepplhdfycsrlldlvflldgssrlseaefevlkafvvdmmerlaisqkwvrvavveyhdgshayiglkdrkrpselrriasqvkyagsqvastsevlkytlfqifskidrpeasrialllmasqepqrmsrnfvryvqglkkkkvivipvgigphanlkqirliekqapenkafvlssvdeleqqrdeivsylcdlapeappptlppdmaqvtvg
vWF結合タンパク質(配列番号29)
npelkdfneeeqlkcdlelnklenqilmlgktfyqnyrddveslyskldlimgykdeerankkavnkrmlenkkedletiideffsdidktrpnnipvledekqeeknhknmaqlksdteaaksdeskrskrskrslntqnhkpasqevseqqkaeydkraeerkarfldnqkikktpvvsleydfehkqridnendkklvvsaptkkptspttytetttqvpmptverqtqqqiiynapkqlaglngeshdfttthqspttsnhthnn

hCG C末端(配列番号30)
sssskapppslpspsrlpgpsdtpilpq
F10AP(配列番号31)
svaqatsssgeapdsitwkpydaadldptenpfdlldfnqtqpergdnnl
(実施例3)
FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質の一過性発現
0.7mg/lのプラスミド、および1.4ml/lのトランスフェクション剤である293Fectin (Invitrogen)による複合体を、密度0.9〜1.1×106個/mlのHKB11細胞にトランスフェクトした。このトランスフェクション用複合体は、プラスミドおよびトランスフェクション剤をOPTIMEM (Invitrogen)内で個別に希釈し、2つの溶液を混合し、この混合物を室温で20分間にわたりインキュベートすることにより調製する。この複合混合物を、細胞懸濁液に添加し、この懸濁液を、36.5℃および5% CO2のシェーカーインキュベーター内で5日間にわたりインキュベートした。細胞培養回収物を、0.22μmの膜フィルターで濾過する。FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質は、実施例5で説明する通り、細胞培養回収物から精製する。
(実施例4)
融合タンパク質を発現する安定的な細胞
無血清適合CHO-DUKX-B11細胞に、F8-500-アルブミン-ΔA3融合タンパク質をコードする発現プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクト細胞は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ系により選択し、限界希釈によりクローニングした。ELISAおよび比色活性アッセイにより、FVIIIの生成について、クローンをスクリーニングした。クローンJsJH009を選択し、スケールアップにかけた。細胞を、バイオリアクターへと移した。F8-500-アルブミン-ΔA3融合体は、実施例5で説明する通り、細胞培養回収物から精製した。
(実施例5)
FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質の精製
カラムにVIIISelect (GE Healthcare)樹脂を充填し、直径1.6cmおよびベッド高4cmの寸法により8mLとし、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2+0.01%のTween80+250mMのNaCl、pH7.3により、500cm/時間で平衡化した。実施例3で説明した通りに調製した培養濾過物をカラムに適用し、その後、カラムを、まず、平衡化緩衝液により、次いで、20mMのイミダゾール+10mMのCaCl2+0.01%のTween80+1.5MのNaCl、pH7.3により洗浄した。結合したFVIIIを、20mMのイミダゾール+10mMのCaCl2 + 0.01%のTween80 + 2.5MのNaCl + 6.5Mのプロピレングリコール、pH7.3により、90cm/時間、均一濃度で溶出させた。FVIIIを含有する画分をプールし、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2+0.01%のTween80、pH7.3で1:10に希釈し、F25-Sepharoseを充填したカラムに適用した(Thimら、Haemophilia、2009)。カラムの寸法は、直径1.6cmおよびベッド高2cmとし、カラム容量を4mLとした。カラムを、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2 + 0.01%のTween80 + 150mMのNaCl + 1Mのグリセロール、pH7.3により、180cm/時間で平衡化してから適用した。適用した後、カラムを、まず、平衡化緩衝液により、次いで、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2 + 0.01%のTween80+650mMのNaCl、pH7.3により洗浄した。結合したFVIIIを、20mMのイミダゾール+10mMのCaCl2+0.01%のTween80 + 2.5MのNaCl+50% (v/v)のエチレングリコール、pH7.3により、30cm/時間、均一濃度で溶出させた。FVIIIを含有する画分をプールし、A3ドメインを欠失させたFVIIIバリアントを同じ緩衝液中で1:45に希釈したことを除き、20mMのイミダゾール+10mMのCaCl2+0.01%のTween80、pH7.3で1:15に希釈した。希釈したプールを、Poros 50HQ(PerSeptive Biosystem)を充填したカラムへと適用した(カラムの寸法は、直径0.5cmおよびベッド高5cmとし、カラム容量を1mLとした)。カラムを、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2+0.01%のTween80+50mMのNaCl+1Mのグリセロール、pH7.3により、300cm/時間で平衡化してから適用した。平衡化緩衝液でカラムを洗浄してから、平衡化緩衝液から20mMのイミダゾール+10mMのCaCl2+0.01%のTween80+1MのNaCl+1Mのグリセロール、pH7.3までの5カラム容量にわたる直線勾配を用いて溶出させた。FVIIIを含有する画分をプールし、このプールを、使用まで-80℃で保存した。典型的な精製による収量についてのデータを、Table 11 (表11)に示す。
HISタグを伴うFVIIIバリアントは、本質的に上記で説明した通りに精製したが、第2の精製ステップ(F25-sepharoseによるステップ)を、2カラム容量の1M NiS04を搭載したChelating Sepharose FF (GE Healthcare)に変更した。カラムの寸法は、直径0.5cmおよびベッド高5cmとし、カラム容量を1mLとした。カラムを、30mMのイミダゾール+10mMのCaCl2 + 0.01%のTween80+1.5MのNaCl、pH7.3により、180cm/時間で平衡化してから適用した。適用した後、30カラム容量の平衡化緩衝液でカラムを洗浄してから、250mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2 + 0.01%のTween80 + 1.5MのNaCl、pH7.3までの5カラム容量にわたる直線勾配を用いて溶出させた。FVIIIを含有する画分をプールし、20mMのイミダゾール+ 10mMのCaCl2+0.01%のTween80、pH7.3で1:30に希釈した。上記で説明した通りに、最終精製ステップ(Poros 50HQによるステップ)を実施した。
(実施例6)
比色アッセイにより測定された、細胞培養回収物におけるFVIII:C
以下の通りに、Coatest SP試薬(Chromogenix)を用いるFVIII比色アッセイにおいて、細胞培養回収物(上清画分)におけるrFVIII化合物のFVIII活性(FVIII:C)を評価した: Coatestアッセイ緩衝液(防腐剤を伴う、50mMのトリス、150mMのNaCl、1%のBSA、pH7.3)中で、rFVIII試料およびFVIII基準物質(凝血基準物質;Technoclone)を希釈した。50μlの試料、基準物質、および緩衝液による陰性対照を、96ウェルマイクロ滴定プレート(Spectraplates MB; Perkin Elmer)に添加した。すべての試料は、1:100、1:400、1:1600、および1:6400に希釈して調べた。Coatest SPキットによる因子IXa/因子X試薬、リン脂質試薬、およびCaCl2を、5:1:3 (容量:容量:容量)で混合し、このうちの75μlを、ウェルに添加した。室温で15分間にわたるインキュベーション後、50μlの因子Xa基質S-2765/トロンビン阻害剤I-2581ミックスを添加し、反応物を室温で5分間にわたりインキュベートしてから、pH3の1Mクエン酸25μlを添加した。620nmにおける吸光度を基準波長として用いるEnvisionマイクロ滴定プレートリーダー(Perkin Elmer)上で、405nmにおける吸光度を測定した。陰性対照による値を、すべての試料から減じ、FVIII濃度と対比してプロットした吸光度値の線形回帰により、検量線を作成した。試料の活性を、ELISAにより決定されるタンパク質濃度で除することにより、比活性を計算した。結果を、Table 1〜10 (表1〜10)に示す。
(実施例7)
FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質の精製
実施例5で説明した通りに精製したF8-500-アルブミン-ΔA3を、水中におけるイミダゾール(20mM)、塩化カルシウム(10mM)、Tween80(0.02%)、塩化ナトリウム(500mM)、およびグリセロール(1M)、pH7.3からなる緩衝液中で融解させた。
アルトロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)に由来するシアリダーゼ9μg(7マイクロリットルの緩衝液中に1.9U)、280マイクログラムのシアリルトランスフェラーゼ(112マイクロリットル中; His-ST3Gal-I;2.5mg/ml; EC2.4.99; WO2006102652)、および59ミリグラムのシチジン一リン酸N-5'-PEG-グリセロール-ノイラミン酸(290マイクロリットル中; WO2007/056191を参照されたい)を添加し、HCl (1M)を用いて、pHを6.9に調整した。最終容量を2.7mLとした。次いで、結果として得られる混合物を、摂氏22〜25度(室温)で22時間にわたり放置した。
糖PEG化の後、混合物を、緩衝液A (水中におけるトリス(25mM)、塩化カルシウム(10mM)、Tween 80 (0.02%)、およびグリセロール(1M)、pH7.5)により50mlまで希釈した。希釈した混合物を、Source30Qカラム(GE Healthcare Bio-Sciences、Hillerod、Denmark;カラム容量1.1mL)へと投入した。次いで、固定化された物質を、緩衝液A (4カラム容量)で洗浄し、その後、0〜100%の緩衝液B (水中におけるトリス(25mM)、塩化カルシウム(10mM)、Tween80(0.02%)、塩化ナトリウム(0.7M)、およびグリセロール(1M)、pH7.5)による勾配を用いて、カラムから溶出させた。勾配: 8カラム容量にわたり5〜10%の緩衝液B、13.5カラム容量にわたり10〜100%の緩衝液B、および3カラム容量にわたり100%の緩衝液Bとした。
早期に溶出する2.5mLのピーク画分を、1.2ミリグラムのシチジン一リン酸N-5'-アセチル-ノイラミン酸(12マイクロリットル中)および62マイクログラムのシアリルトランスフェラーゼ(52マイクロリットル中; MBP-SBD-ST3Gal-III; EC2.4.99.6; WO2006102652を参照されたい)と混合した。
この混合物を、摂氏22〜25度(室温)で22時間にわたり放置し、Superdex200pgカラム(GE Healthcare Bio-Sciences、Hillerod、Denmark;カラム容量120ml)へと投入した。次いで、生成物を、水中におけるL-ヒスチジン(1.5g/L)、L-メチオニン(55mg/L)、塩化カルシウム(250mg/L)、Tween80(0.1g/L)、塩化ナトリウム(18g/L)、およびスクロース(1.5g/L)、pH 6.9からなる緩衝液を用いて溶出させた。最初の生成物含有画分(12mL)を単離およびプールした。生成物濃度は、約0.06mg/mLであった。
最後に、Amicon Centriprep YM-50(カットオフ:50kDa)内で遠心分離することにより、生成物を濃縮した。濃縮後の容量は、1.7mLであり、0.35mg/mLの糖PEG化F8-500-アルブミン-ΔA3(純度>90%)を含有した。この化合物を、Table 12 (表12)では40K-PEG-O- F8-500-アルブミン-ΔA3と称する。
(実施例8)
比色アッセイにより測定された、精製試料におけるFVIII:C
以下の通りに、Coatest SP試薬(Chromogenix)を用いるFVIII比色アッセイにおいて、精製rFVIII化合物(実施例5で開示した通りに単離した)のFVIII活性(FVIII:C)を評価した: Coatestアッセイ緩衝液(防腐剤を伴う、50mMのトリス、150mMのNaCl、1%のBSA、pH7.3)中で、FVIII試料およびFVIII基準物質(例えば、NIBSCによる、国際FVIII基準物質第7版に照らして較正した精製野生型rFVIII)を希釈した。50μlの試料、基準物質、および緩衝液による陰性対照を、96ウェルマイクロ滴定プレート(Nunc)に二連で添加した。Coatest SPキットによる因子IXa/因子X試薬、リン脂質試薬、およびCaCl2を、5:1:3 (容量:容量:容量)で混合し、このうちの75μlを、ウェルに添加した。室温で15分間にわたるインキュベーション後、50μlの因子Xa基質S-2765/トロンビン阻害剤I-2581ミックスを添加し、反応物を室温で10分間にわたりインキュベートしてから、pH3の1Mクエン酸25μlを添加した。620nmにおける吸光度を基準波長として用いるSpectramaxマイクロ滴定プレートリーダー(Molecular Devices)上で、415nmにおける吸光度を測定した。陰性対照による値を、すべての試料から減じ、FVIII濃度と対比してプロットした吸光度値の線形回帰により、検量線を作成した。試料の活性を、HPLCにより決定されるタンパク質濃度で除することにより、比活性を計算した。HPLCでは、軽鎖に対応するクロマトグラム中のピーク下面積を積分し、並行する野生型rFVIIIについての解析(濃度をアミノ酸解析により決定した)における同じピークによる面積と比較することにより、試料濃度を決定した。結果を、Table 1〜10(表1〜10)に示す。
(実施例9)
一段階血栓アッセイにおいて測定された、精製試料におけるFVIII:C
以下の通り、一段階FVIII血栓アッセイにより、rFVIII化合物のFVIII:Cをさらに評価した。HBS/BSA緩衝液(1%のBSAを伴う、20mMのhepes、150mMのNaCl、pH7.4)中で、rFVIII試料およびFVIII基準物質(例えば、NIBSCによる、国際FVIII基準物質第7版に照らして較正した精製野生型rFVIII)を、約10U/mlまで希釈した後、VWF(Dade Behring)を含有するFVIII欠損血漿中で10倍に希釈した。その後、試料を、HBS/BSA緩衝液中で希釈した。単一因子プログラムを用いて、ACL300R測定器またはACL5000測定器(Insturumentation Laboratory)上で、APTT血栓形成時間を測定した。VWF(Dade Behring)を伴うFVIII欠損血漿をアッセイ血漿として用い、SynthASil (HemosIL(商標);Instrumentation Laboratory)をaPTT試薬として用いた。血栓測定器では、希釈した試料または基準物質を、37℃で、FVIII欠損血漿、aPTT試薬と混合した。塩化カルシウムを添加し、血栓形成までの時間を、濁度により決定した。FVIII基準物質の希釈液による血栓形成時間の検量線に基づき、試料中のFVIII:Cを計算した。結果を、Table 1〜10 (表1〜10)に示す。
(実施例10)
FVIII欠損マウスおよびvWF欠損マウスにおける、FVIIIフレームワークおよびFVIII融合タンパク質の薬物動態
rFVIIIバリアントの薬物動態を、FVIII欠損マウス(Taconic M&Bにおいて飼育された、C57Bl/6のバックグラウンドを有する、FVIIIエクソン16ノックアウト(KO)マウス)またはvWF欠損マウス(Charles River、Germanyで飼育された、C57Bl/6のバックグラウンドを有する、vWFエクソン4+ 5 KOマウス)において評価した。vWF-KOマウスのFVIII:Cが13%で正常であった(実施例6を参照されたい)のに対し、FVIII-KOマウスは、FVIII:Cが検出可能でなかった。体重約25グラムで16〜28週齢の範囲の雄および雌の混合集団(約1:1)を用いた。マウスには、尾静脈に単回の静脈内rFVIII (280IU/kg)注射を施した。投与の64時間後までの時点において、コーティングなしのガラス細管を用いて、眼窩静脈叢から血液を採取した。各マウスから3回ずつ試料を採取し、各時点において2〜4例ずつの試料を採取した。クエン酸ナトリウムにより、血液を速やかに安定化させ、4倍濃度のFVIII Coatest SP緩衝液(実施例6を参照されたい)中で希釈してから、4000×gで5分間にわたる遠心分離にかけた。希釈した血液から得た血漿を、ドライアイス上で凍結させ、-80℃で保存した。実施例6で説明した通り、比色アッセイにおいて、FVIII:Cを決定した。WinNonlin Pro version 4.1ソフトウェアを用いる、ノンコンパートメント法(NCA)により、薬物動態解析を実施した。結果を、Table 12 (表12)に示す。融合タンパク質による延長倍数は、融合タンパク質の半減期を、融合パートナーを伴わないFVIIIフレームワークの半減期で除することにより計算する。
(実施例11)
融合タンパク質の血小板への結合についての解析
融合タンパク質による血小板への結合は、フローサイトメトリーにより調べることができる。末梢血の血小板を精製することもでき、全血液を用いることもできる。血小板は、活性化している場合もあり、休眠中の場合もある。血小板を、融合タンパク質と共に、15〜30分間にわたりインキュベートする。融合タンパク質は、フルオロフォアで直接標識することもでき、蛍光標識した二次抗体を用いて検出することもできる。
融合タンパク質の結合に干渉しない、蛍光標識した血小板特異的抗体を添加して、融合タンパク質に結合する粒子が、実際に血小板であるかどうかを評価することができる。インキュベーション後、細胞を洗浄して融合タンパク質を除去し、フローサイトメーターにより試料を解析する。フローサイトメーターは、非標識細胞および細胞に結合する蛍光標識分子を検出するものであり、したがって、これを用いて、融合タンパク質が血小板(または他の細胞)にどの程度結合するかを具体的に解析することができる。
例えば、過剰量の非標識抗体(直接に標識した融合タンパク質を用いる場合)を添加することにより、結合の特異性を評価することができる。例えば、過剰量のアネキシンVまたはFVIIIを添加することにより、FVIII部分の血小板への結合を評価することができる。
例えば、血小板を、直接に標識した融合タンパク質と共にインキュベートした後、表面に結合した(すなわち、内部化していない)融合タンパク質からのシグナルを減殺する抗体と共にインキュベートすることにより、休眠中の血小板による融合タンパク質の内部化を評価することができる。これにより、内部化された融合タンパク質だけが、フローサイトメトリーにより検出される。活性化した血小板は、内部化させた融合タンパク質を、血栓形成部位において放出すると仮定することができる。
(実施例12)
GPIIIaトランスジェニックマウスにおける、GPIIIaを標的とする融合タンパク質の薬物動態
GPIIIaを標的とする融合タンパク質は、血小板におけるヒトGPIIb/IIIa (インテグリンα2β3)受容体には結合するが、マウスGPIIb/IIIaは認識できないことから、野生型のマウスを薬物動態解析には用いることができない。マウスGPIIbと会合するヒトGPIIIa (融合タンパク質の該受容体への結合を可能とする)を発現するトランスジェニックマウスにおいては、GPIIIaを標的とする融合タンパク質の薬物動態プロファイルを解析することができる。融合タンパク質を、GPIIIaトランスジェニックマウスに静脈内注射し、注射後の様々な時点(例えば、0.5、24、72、288時間後)において採血する。注射した融合タンパク質(遊離の融合タンパク質および/または血小板に結合した融合タンパク質)は、ELISAにより定量化することもでき、放射線標識または蛍光標識して検出することもできる。
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Claims (15)

  1. 融合パートナーに融合したFVIII分子であって、融合パートナーがFVIII分子のA3ドメインを置き換えているFVIII分子。
  2. 融合パートナーが、アルブミンである、請求項1に記載の分子。
  3. 側鎖基とコンジュゲートしている、請求項2に記載の分子。
  4. 融合パートナーに融合したFVIII分子であって、融合パートナーがFVIII分子のBドメインに挿入されているFVIII分子。
  5. 融合パートナーに融合したFVIII分子であって、融合パートナーがFVIII分子のC2ドメインのC末端に挿入されているFVIII分子。
  6. 配列番号2に示される配列を有するBドメインを含むBドメイン末端欠失バリアントであり、融合パートナーがFcドメインである、請求項5に記載のFVIII分子。
  7. 前記Fcドメインが、エフェクター機能が低下しており、かつ/または新生児型Fc受容体に対するアフィニティーを増大させた突然変異Fcドメインである、請求項6に記載の分子。
  8. 因子VIII分子がFc受容体に融合している、請求項1、4、または5のいずれか一項に記載の分子。
  9. 前記Fc受容体が、FcγRIである、請求項8に記載の分子。
  10. 因子VIII分子が、vWF結合能を低下させた、請求項1から9のいずれか一項に記載の分子。
  11. FVIII融合タンパク質が、側鎖基とコンジュゲートしている、請求項1から10のいずれか一項に記載の分子。
  12. 側鎖基が、親水性ポリマー、ペプチド、および疎水性側鎖基からなるリストのうちの1または複数から選択される、請求項11に記載の分子。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の分子を作製する方法であって、前記分子をコードする宿主細胞を、適切な条件下でインキュベートするステップを含む方法。
  14. 血友病を治療するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の分子の使用。
  15. 請求項1から12のいずれか一項に記載の分子を含む、医薬組成物。
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