JP2013518813A - オルガノハロシランの調製方法 - Google Patents

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Abstract

Rが1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである式RX(I)を有する有機ハロゲン化物を、少なくとも2%(w/w)の、xが1〜5の整数であり、yが1〜8の整数である式PdSiyの(II)のケイ化パラジウム、又はzが1若しくは2である式PtSi(III)のケイ化白金を含む接触剤と、反応器中、250〜700℃の温度で組み合わせ、オルガノハロシランを形成する工程を含む、オルガノハロシランの調製方法。

Description

本発明は、Rがヒドロカルビル基であり、Xがハロ基である、式RX(I)を有する有機ハロゲン化物を、少なくとも2%(w/w)の、ケイ化パラジウム又は白金を含む接触剤と組み合わせ、オルガノハロシランを形成する工程を含む、オルガノハロシランの調製方法に関する。
オルガノハロシランの調製方法は当技術分野において知られる。一般的には、オルガノハロシランは、有機ハロゲン化物を銅触媒及び各種任意促進剤の存在下で0価シリコンに通す工程を含む、Mueller−Rochowの直接法によって、商業的に生成される。オルガノハロシランの混合物は、もっとも重要なものはジメチルジクロロシランであるが、直接法によって生成される。
直接法において用いられる0価シリコンを生成する一般的なプロセスは、電子アーク炉におけるSiOの炭素熱還元からなる。SiOを還元するには極めて高い温度が必要であり、よってプロセスは非常にエネルギー集約的である。結果として、0価シリコンの生成はオルガノハロシランを生成するための直接法のコストを増大させる。従って、0価シリコンを用いる必要性を回避又は削減する、より経済的なオルガノハロシランの生成方法の必要性がある。
本発明は、オルガノハロシランの調製方法であって、式RX(I)を有する有機ハロゲン化物(ここで、Rが1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである)と、少なくとも2%(w/w)の、式PdSi(II)のケイ化パラジウム(ここで、xが1〜5の整数であり、yが1〜8の整数である)、又は式PtSi(III)のケイ化白金(ここで、zが1若しくは2である)を含む接触剤とを、反応器中で、250〜750℃の温度で混合して、オルガノハロシランを形成する工程を具える、方法を対象とする。
本発明の方法は、0価シリコン以外のシリコン源からオルガノハロシランを生成する。本方法により生成されるオルガノハロシランは、シリコーン産業における多くの製品の前駆体である。例えば、オルガノハロシランは多くのシリコーン流体及び樹脂を生成するのに用いられる前駆体である。
本明細書において用いる「a」又は「an」の語は、1つ以上を意味する。
本明細書において用いる「整数」とは、自然数及び0を意味する。
本明細書において用いる「混合する」及び「混合される」の意味は、これに限定されないが、「反応又は結合させる」という意味を含むことを意図している。
式RX(I)を有する有機ハロゲン化物(ここで、Rが1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである)と、少なくとも2%(w/w)の、式PdSi(II)のケイ化パラジウム(ここで、xが1〜5の整数であり、yが1〜8の整数である)、又は式PtSi(III)のケイ化白金(ここで、zが1若しくは2である)を含む接触剤とを、反応器中で、250〜750℃の温度で混合して、オルガノハロシランを形成する工程を具える、オルガノハロシランの調製方法。
有機ハロゲン化物は、Rが1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである式RX(I)を有する。
式(I)中のRにより表されるヒドロカルビル基は一般的には1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有するアクリルヒドロカルビル基は分岐又は非分岐構造を有することができる。ヒドロカルビル基の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルのようなアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシルのようなシクロアルキル;フェニル及びナフチルのようなアリール;トリル及びキシリルのようなアルカリール;ベンジル及びフェニルエチルのようなアラルキル;ビニル、アリル及びプロぺニルのようなアルケニル;スチリル及びシンナミルのようなアラルケニル;並びに、エチニル及びプロピニルのようなアルキニルが挙げられる。
有機ハロゲン化物の例としては、これらに限定されないが、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化アリル、臭化アリル、及びヨウ化アリルが挙げられる。
有機ハロゲン化物の調製方法は当技術分野において周知であり、これらの化合物の多くは市販されている。
接触剤は、接触剤の総重量に対して、少なくとも2%(w/w)、あるいは少なくとも25%(w/w)、あるいは少なくとも50%(w/w)、あるいは少なくとも75%(w/w)、あるいは少なくとも90%(w/w)、あるいは少なくとも95%(w/w)、あるいは約100%(w/w)の、式PdSi(II)のケイ化パラジウム(xが1〜5の整数である)、又は式PtSi(III)のケイ化白金(zが1若しくは2である)を含む。
ケイ化パラジウムは、xが1〜5の整数であり、あるいはxが1、2、3、又は5であり、あるいはxが1又は2であり、あるいはxが2であり、yが1〜8の整数であり、あるいはxが1、3、4、又は5である場合yが1であり、xが2である場合yが1又は8であり、あるいはyが1である式PdSi(II)を有する。
ケイ化パラジウムの例としては、これらに限定されないが、PdSi、PdSi、PdSi、PdSi、及びPdSiが挙げられる。ケイ化パラジウムは、それぞれ式(II)を有する、単一のケイ化パラジウム又はケイ化パラジウムの混合物であってもよい。
ケイ化パラジウムは当技術分野において周知の方法により生成することができる。例えば、米国特許第US3,297,403号及び同第US2009/0275466号において開示される方法を用いることができる。ケイ化パラジウムは、例えば、Alfa Aesar及びACI Alloyから商業的に入手することができる。
ケイ化白金は、zが1又は2である式PtSi(III)を有する。ケイ化白金の例としては、PtSi及びPtSiが挙げられる。ケイ化白金は単一のケイ化白金又はPtSi及びPtSiの混合物であってもよい。
ケイ化白金は、ケイ化パラジウムについて上述したように当技術分野において周知の方法により生成することができる。ケイ化白金は、例えば、Alfa Aesar及びACI Alloyから商業的に入手することができる。
接触剤は、ケイ化パラジウムの混合物、ケイ化白金の混合物又はケイ化パラジウム及び白金の混合物を含むことができる。例えば、接触剤は、PdSi及びPdSi又はPtSi及びPtSiの混合物であってもよい。
接触剤は、接触剤の総重量に対して、最大98%(w/w)、あるいは最大75%(w/w)、あるいは最大50%(w/w)、あるいは最大25%(w/w)、あるいは最大10%(w/w)、あるいは最大5%(w/w)の0価シリコンをさらに含むことができる。別の実施形態では、接触剤は本質的に0価シリコンを含まない。本明細書において用いる「本質的に0価シリコンを含まない」とは、不純物のレベル以外で0価シリコンが存在しないことを意味することを意図している。例えば、本質的に0価シリコンが存在しないとは、接触剤の総重量に対して0〜1%(w/w)、あるいは0〜0.5%(w/w)、あるいは0%(w/w)の0価シリコンが存在することを意味する。
0価シリコンは、一般的には、化学又は冶金グレードシリコンであるが、ソーラー又は電子グレードシリコンのような異なるグレードのシリコンを用いてもよい。化学及び冶金グレードのシリコンは当技術分野において知られ、シリコン含有量により定義することができる。例えば、化学及び冶金グレードのシリコンは一般的には少なくとも98.5%(w/w)のシリコンを含む。化学及び冶金グレードのシリコンは接触剤について後述するような追加元素を含有することもできる。0価シリコンの生成方法は当技術分野において知られている。これらのグレードのシリコンは市販されている。
接触剤は、Fe、Ca、Ti、Mn、Zn、Sn、Al、Pb、Bi、Sb、Ni、Cr、Co、及びCd並びにそれらの化合物のような他の元素を含むことができる。これらの元素のそれぞれは一般的には接触剤の総重量に対して0.0005〜0.6%(w/w)で存在する。
接触剤はさまざまな形態、形状及びのサイズ、直径最大数センチメートルであってもよく、接触剤は一般的には細粒である。本明細書において用いる細粒とは、接触剤が粉末の形態であることを意味することを意図している。
接触剤は、シリコンインゴットのようなバルクシリコンから粒子状シリコンを生成するための標準的な方法により生成することができる。例えば、摩砕、衝撃、破砕、研削、摩耗、粉砕、又は化学的方法を用いることができる。研削は一般的である。接触剤は、例えば、スクリーニングにより、又は回転分級機のような機械的空気力学分級機の使用により、粒径分布についてさらに分級することができる。
接触剤が2つ以上のケイ化物を含む場合、例えば、接触剤が少なくとも2つのケイ化物又は1つのケイ化物及び0価シリコンを含む場合、これらの成分は一般的には混合される。混合は当技術分野において知られる固体粒子を混合するための標準的技術により達成することができる。例えば、混合は撹拌又は振盪により達成することができる。さらに、混合は上で記載及び例示したような接触剤の粒径質量分布をもたらす処理において達成することができる。例えば、混合は研削プロセスにおいて達成することができる。またさらに、混合はケイ化パラジウム又はケイ化白金の生成中に達成することができる。例えば、PdSi及びPdSiは、溶融シリコンを溶融パラジウムと組み合わせるプロセスにおいて形成及び混合することができる。
本発明の方法は、直接法を行うための適切な反応器において行うことができる。例えば、封管、開管、固定床、撹拌床、及び流動床反応器を用いることができる。
有機ハロゲン化物及び接触剤は一般的には反応器に接触剤を入れた後、ガス状有機ハロゲン化物を接触剤中に流すことにより組み合わされるが、反応器にまず有機ハロゲン化物を入れた後、接触剤を導入してもよい。
有機ハロゲン化物の接触剤への添加速度は重要ではないが、流動床を用いる場合、有機ハロゲン化物は反応器床に、床を流動化するには十分だが、床を完全に水簸するには十分でない速度で導入される。その速度は床中の粒子の粒径質量分布及び流動床反応器の寸法によって決まるだろう。当業者であれば、物質を床から完全に水簸することなく、床を流動化するのに十分な有機ハロゲン化物の添加速度をどのように決定するかを知っているだろう。流動床を用いない場合、有機ハロゲン化物を床に添加する速度は一般的には接触剤反応性を最適化するように選択される。
本方法は、有機ハロゲン化物及び接触剤を不活性ガスの存在下で組み合わせる工程をさらに含むことができる。例えば、不活性ガスは有機ハロゲン化物とともに接触剤に添加することができる。有機ハロゲン化物とともに導入することができる不活性ガスの例としては、窒素、ヘリウム、アルゴン及びこれらの混合物が挙げられる。
本方法は反応物質の撹拌によって行うことができる。撹拌は気体と固体との間の触媒反応について当技術分野において知られる方法により達成することができる。例えば、反応撹拌は流動床反応器内、撹拌床反応器中、振動床反応器等で達成することができる。しかしながら、本方法は、例えば、ガスとしてハロゲン化アルキルをケイ化パラジウム又は白金を含む充填床にかけて流すことにより、反応物質の撹拌なしに行うことができる。
本方法は、大気圧条件、大気圧よりやや高い圧力条件、又は高圧条件で行うことができる。
接触剤及び有機ハロゲン化物が組み合わされる温度は250〜750℃、あるいは280〜700℃、あるいは300〜700℃、あるいは400〜700℃である。接触剤及び有機ハロゲン化物が組み合わされる温度はモノオルガノハロシラン又はジオルガノハロシランの生成方法の選択性に影響を及ぼす。選択性は実施例セクションにおいて定義するガスクロマトグラフィーにより、又は他の適切な分析技術によって決定することができる。
接触剤及び有機ハロゲン化物は一般的には、ケイ化パラジウム又は白金の有機ハロゲン化物との反応からオルガノハロシランを形成するのに十分な時間組み合わされる。例えば、バッチタイプ反応器中、接触剤及び有機ハロゲン化物は一般的には5分〜24時間、あるいは1〜7時間、あるいは4〜7時間、300〜700℃の温度で組み合わされる。連続又は半連続プロセスでは、追加接触剤を反応器に添加することができ、有機ハロゲン化物ガスを接触剤に連続的に通す場合、接触時間は一般的にはほんの一瞬〜30秒、あるいは0.01〜15秒、あるいは0.05〜5秒である。本明細書において用いる「接触時間」とは、ガスが反応器を通過する滞留時間を意味することを意図している。
有機ハロゲン化物が液体又は固体である場合、本方法は、反応器中へ導入する前に有機ハロゲン化物を予備加熱及びガス化する工程をさらに含むことができる。
本方法は、有機ハロゲン化物と接触させる前に、接触剤を不活性雰囲気中、最大700℃、あるいは最大400℃、あるいは280〜525℃の温度で予備加熱する工程さらに含むことができる。
本方法は、追加接触剤又は0価シリコンを反応器中に導入し、有機ハロゲン化物と反応し、オルガノハロシランを形成したシリコンを置き換える工程をさらに含むことができる。
本方法は、生成されたオルガノハロシランを回収する工程をさらに含むことができる。オルガノハロシランは、例えば、ガス状オルガノハロシランを反応器から除去した後、凝結を行う工程により回収することができる。オルガノハロシランの混合物を回収し、蒸留により分離することができる。
本方法に従って調製されたオルガノハロシランは一般的には、式RSiX4−aを有し、式中、各Rは独立してH又は有機ハロゲン化物について上で記載及び例示したとおりであり、Xは有機ハロゲン化物について上で記載及び例示したとおりであり、下付き文字「a」は1〜3の整数である。
本方法に従って調製されたオルガノハロシランの例としては、これらに限定されないが、ジメチルジクロロシラン(すなわち、(CHSiCl)、ジメチルジブロモシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジブロモシラン、トリメチルクロロシラン(すなわち、(CHSiCl)、メチルトリクロロシラン(すなわち、(CH)SiCl)、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、及びメチルヒドロジクロロシラン(すなわち、(CH)HSiCl)が挙げられる。本方法は、少量の、テトラメチルシラン、トリクロロシラン、及びテトラクロロシランのような、ハロシラン及びオルガノシラン生成物を生成することもできる。
本発明の方法は、0価シリコン以外のシリコン源からオルガノハロシランを生成し、触媒として銅の添加を必要とせず、商業的に望ましいオルガノハロシランを良好な収率及び望ましくないシランに対する良好な割合で生成する。
本方法により生成されるオルガノハロシランは、シリコーン産業におけるほとんどの製品の前駆体である。例えば、ジメチルジクロロシランは加水分解し、線状及び環状ポリジメチルシロキサンを生成することができる。本方法により生成される他のオルガノハロシランはシリコーン樹脂のような他のシリコン含有物質を生成するのに用い、又はさまざまな産業にさまざまな用途のために販売することもできる。
以下の実施例は本発明の方法をより良く説明するために提示するものであって、添付の特許請求の範囲において表す本発明を限定するとはみなされない。とくに指示のない限り、すべての部及び割合は実施例において重量により報告されている。実施例では以下の方法及び物質を用いた:
反応生成物は、Agilent Technologiesの6890N Network GC systemを5975B inert XL EI/CI MSD(GC−MS)とともに用いるガスクロマトグラフィー−質量分析により分析し、選択性を決定した。
シリコン及び他の元素の濃度を誘導結合プラズマ−原子発光分析(ICP−AES)により割り出した。その方法は、固体をHF中に溶解させ、水溶液中の濃度を既知量の関心のあるいずれかの元素を含有する適当な基準に対して決定する、固体試料の元素分析について知られる一般的な手順とした。
ヨウ化メチル(99+%)、重水素化ヨウ化メチル(99+%)、及び臭化メチル(99+%)はSigma−Aldrich(ウィスコシン州ミルウォーキー)から市販されている。塩化メチル(>99.9%(w/w)純度)はAirgasから市販されている。ケイ化パラジウム及び白金はAlfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)及びACI Alloy(カリフォルニア州サンノゼ)から市販されている。
フロースルー型金属反応器管装置は、垂直に又は水平に配置した0.25インチのステンレス鋼管で構成される。試験するケイ化物を管の真ん中に配置し、有機ハロゲン化物を垂直配向した管の上端から及び水平配向した管の端部の1つから導入した。生成物及び未反応有機ハロゲン化物を有機ハロゲン化物導入の反対の管の端部から除去し、−78℃の冷却トラップに通した。有機ハロゲン化物をガスシリンダーから質量制御器を通って反応器中に供給する。
シリコン変換は、反応前のシリコンの出発重量マイナス反応後に残ったシリコンの量を反応前のシリコンの出発重量で割り、100をかけたものである。
本明細書において用いる「g」はグラムの略記であり、「mg」はミリグラムの略記であり、「mL」はミリリットルの略記であり、「μL」はマイクロリットルの記号である。
実施例1
厚肉ガラス反応器管に、PdSi(110mg)及びヨウ化メチル(75μL)の試料を23℃で入れた。管を−196℃で空にし、密封した後、室温まで温めた。管を300℃のオーブンに入れた。2時間後、反応器管の温度を23℃まで到達させた後、液体窒素(−196℃)で凍結させた。三角やすりを用い、管を切断し、室温まで温めた後、分析のため液体試料を回収した。ガスクロマトグラフィー−質量分光分析による分析のため試料は直接注入され、唯一のオルガノハロシランであるMeSiIの選択的形成を示した。
実施例2
厚肉ガラス反応器管に、PdSi(110mg)及びヨウ化メチル(75μL)の試料を23℃で入れた。管を−196℃で空にし、密封した後、室温まで温めた。管をオーブン中に保持し、300℃で加熱した。5時間後、反応器管の温度を23℃まで冷却させた後、液体窒素(−196℃)で凍結させた。三角やすりを用い、管を切断し、室温まで温めた後、分析のため液体生成物の試料を回収した。ガスクロマトグラフィー−質量分光分析による分析のため試料が直接注入され、オルガノハロシランMeSiI及びMeSiIの選択的形成を示した。微量のSiIも検出された。観察されたオルガノハロシラン間での選択性は、MeSiI(72%(w/w))、MeSiI(26%(w/w))及びSiI(2%(w/w))だった。
実施例3
開口ガラス管に、500mgのPdSiを入れた。管を330℃までアルミニウム加熱ブロックで加熱した。MeBrを7時間、管にポンプで通した。反応生成物を管の冷却トラップ下流において回収した。ヘッドスペースガスクロマトグラフィー−質量分光分析を、回収された液体を含有するバイラル上で行った。主な生成物はMeSiBr及びMeSiBrであった。多数の他のオルガノハロシラン及びシロキサンは少量で見られた。
実施例4
PdSi(2.018g)の試料をガラス反応器管に入れ、一晩アルゴンで予備処理した。次に、MeCl(6mL/分)を200〜500℃で2.5時間、PdSiに流し、生成物ストリームをオンラインGCにより分析した。300℃で、生成物ストリームは50/50%(w/w)SiCl/MeSiClを含有し;400℃で、生成物ストリームは50/50%(w/w)SiCl/MeSiClを含有し;500℃で、生成物ストリームは80/10/10%(w/w)MeSiCl/SiCl/MeSiClを含有した。
実施例5
PdSi(150.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で7時間、PdSiに流した。管に残った固体をICP−AESにより分析し、35%(w/w)のSi変換を示した。生成物はGCにより分析し、MeSiCl(31%(w/w))、MeSiCl(58%(w/w))、及びSiCl(11%(w/w))を含有することを見出した。
実施例6
PdSi(200.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で4時間、450℃で1.5時間、及び500℃で2時間、継続的に触媒床に流した。管に残った固体をICP−AESにより分析し、Si変換は82.8%(w/w)であると割り出された。MeSiClは、GCにより割り出されるように、生成物中唯一のオルガノハロシランだった。
実施例7
PtSi(0.5g)をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)を500℃で2時間、触媒床に流した。GC分析は、MeSiCl及びMeSiClを含む生成物を示した。
実施例8
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)をPdSi床に流し、400〜700℃での生成物の発生をGC及びGC−MS技術の組み合わせにより分析した。揮発性オルガノハロシラン生成物は400〜600℃では観察されなかった。700℃で、SiCl(68%)及びMeSiCl(31%)を含む生成物が生成された。反応を700℃でさらに30分間継続させ、SiCl(97%)及びMeSiCl(3%)を含む生成物をもたらした。
実施例9
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400〜700℃と温度を変えてPdSi床に流し、生成物をGC及びGC−MSにより分析した。揮発性オルガノハロシラン生成物は400〜500℃では観察されなかった。600℃で、SiCl(62%)及びMeSiCl(38%)が観察された。700℃で30分後、SiCl(77%)及びMeSiCl(23%)を含む生成物が生成され、700℃で60分後、SiCl(97%)及びMeSiCl(3%)を含む生成物が生成された。
実施例10
PdSi(0.51g)の試料をフロースルー型金属反応器に入れた。MeClを400℃及び500℃でPdSi床に流し、生成物をGC及びGC−MSにより分析した。400℃で、9.5%(w/w)のMeSiCl、59.3%(w/w)のMeSiCl、及び30.4%(w/w)のSiClが生成され、500℃で、2.1%のMeHSiCl、1.7%のMeSiCl、29.2%のMeSiCl、0.5%のHSiCl、66.2%のSiCl、残部の他のシランが生成された。
実施例11
PdSi及び0価Siの、PdSi対0価Siの1:22の重量比での試料を、フロースルー型金属反応器に入れた。MeClを400℃の温度で24時間流した。反応器に残った生成物を6及び24時間後GC及びGC−MSにより分析した。6時間後、76%(w/w)のMeHSiCl、4%(w/w)のMeSiCl、17%(w/w)のMeSiClが生成され、24時間後、62%のMeHSiCl、16%(w/w)のMeSiCl、残部の他のシランが生成された。総Si変換は2.4%だった。
実施例12
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で2時間、PdSi床に流した。生成物はGCにより分析し、MeSiCl(73.5%(w/w))、及びMeSiCl(26.5%(w/w))を含有することを見出した。
実施例13
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で4時間、PdSi床に流した。生成物はGCにより分析し、MeSiCl(57.3%(w/w))、及びMeSiCl(42.7%(w/w))を含有することを見出した。Si変換は5.6%だった。
実施例14
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で6時間、PdSi床に流した。生成物はGCにより分析し、MeSiCl(46.5%(w/w))、及びMeSiCl(53.5%(w/w))を含有することを見出した。Si変換は8.5%だった。
実施例15
粉末PdSi(500.0mg;粒径<50ミクロン)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で処理した。次に、MeCl(30mL/分)を400℃で5時間、PdSi床に流した。生成物はGCにより分析し、MeHSiCl(2.0%(w/w))、SiCl(10.2%(w/w))、MeSiCl(14.8%(w/w))、MeSiCl(72.3%(w/w))及び(MeO)SiCl(0.5%(w/w))を含有することを見出した。Si変換は14.0%だった。
比較例1
開口ガラス管にNiSi(0.5g)を入れた。管を330℃までアルミニウム加熱ブロックで加熱し、MeBrを次に7時間、管にポンプで通した。−78℃の下流冷却トラップにおいて回収された物質におけるGC−MSにより、オルガノハロシランは検出されなかった。
比較例2
開口ガラス管にCoSi(0.5g)を入れた。試料を250℃で45分間、Nで予備処理した後、MeCl(25〜40mL/分)を330℃で3〜5.5時間、システムに流した。下流冷却トラップ(−78℃)に液体は回収されなかった。オルガノハロシランは検出されなかった。
比較例3
開口ガラス管にCrSi(0.5g)を入れた。試料を250℃で45分間、Nで予備処理した後、MeCl(25〜40mL/分)を330℃で3〜5.5時間、システムに流した。下流冷却トラップ(−78℃)に液体は回収されず、GC−MSによりオルガノハロシランは検出されなかった。
比較例4
開口ガラス管にWSi(0.5g)を入れた。試料を250℃で45分間、Nで予備処理した後、MeCl(25〜40mL/分)を330℃で3〜5.5時間、システムに流した。下流冷却トラップ(−78℃)に液体は回収されず、GC−MSによりオルガノハロシランは検出されなかった。
比較例5
開口ガラス管にTaSi(0.5g)を入れた。試料を250℃で45分間、Nで予備処理した後、MeCl(25〜40mL/分)を330℃で3〜5.5時間、システムに流した。下流冷却トラップ(−78℃)に液体は回収されず、GC−MSによりオルガノハロシランは検出されなかった。
比較例6
厚肉ガラス反応器管に、NiSi(110m)及びヨウ化メチル(75μL)の試料を23℃で入れた。管を−196℃で空にし、密封した後、室温まで温めた。管をオーブン中に保持し、300℃で加熱した。5時間後、反応器管の温度を23℃まで到達させた後、液体窒素(−196℃)で凍結させた。三角やすりを用い、管を切断し、室温まで温めた後、分析のため液体試料を回収した。ガスクロマトグラフィー−質量分光分析のために液体試料の直接注入を行い、オルガノハロシランは検出されなかった。
比較例7
PdSi(500.0mg)の試料をフロースルー型金属反応器に入れ、一晩150℃で、窒素で予備処理した。次に、MeCl(30mL/分)をPdSi床に流し、400〜600℃で発生する生成物をGC−MSにより分析した。オルガノハロシランは検出されなかった。600〜700℃で、SiClのみの発生が観察された。

Claims (12)

  1. 式RX(I)を有する有機ハロゲン化物(ここで、Rが1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードである)と、少なくとも2%(w/w)の、式PdSi(II)のケイ化パラジウム(ここで、xが1〜5の整数であり、yが1〜8の整数である)、又は式PtSi(III)のケイ化白金(ここで、zが1若しくは2である)を含む接触剤とを、反応器中で、250〜750℃の温度で混合して、オルガノハロシランを形成する工程を具える、オルガノハロシランの調製方法。
  2. 前記ヒドロカルビル基が1〜6個の炭素原子を有し、Xがクロロである、請求項1の方法。
  3. 前記有機ハロゲン化物が、塩化メチル、臭化メチル、又はヨウ化メチルである、請求項1又は2の方法。
  4. 前記接触剤が、PdSi、PdSi、PdSi、PdSi、PdSi、PtSi、及びPtSiから選択される、少なくとも90%(w/w)のケイ化物を含む、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
  5. 前記ケイ化物がPdSi、PdSi、PdSi及びPtSiから選択される、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
  6. 前記反応器が、流動床反応器、振動床反応器、及び撹拌床反応器から選択される、請求項1の方法。
  7. 前記オルガノハロシランが、式RSiX4−a(各Rが独立してH又は1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xがフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードであり、aが1〜3の整数である)を有する、請求項1の方法。
  8. Rがメチルであり、Xがクロロである、請求項7の方法。
  9. 前記オルガノハロシランを回収する工程をさらに具える、請求項1の方法。
  10. 前記反応器に、前記オルガノハロシランが生成される際、0価シリコン又は接触剤を補充する工程をさらに具える、請求項1の方法。
  11. 前記接触剤が本質的に0価シリコンを含まない、請求項1の方法。
  12. 前記温度が250〜700℃である、請求項1〜11のいずれか1項の方法。
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