JP2013508587A - 屋根裏及び壁の乾燥剤を用いた断熱 - Google Patents

屋根裏及び壁の乾燥剤を用いた断熱 Download PDF

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Abstract


建物を冷暖房するのに必要な冷房エネルギー量を減らす方法を提供する。方法は、外壁内に多孔性の断熱材料を配置し、建物の屋根裏スペースの天井を所定厚さで被覆することを含む。多孔性の断熱材料は、乾燥剤を含む。方法は、更に、乾燥剤を含有する多孔性の断熱材料に屋根裏スペースから水の湿気を吸収させ、建物の囲まれた部屋に向けて、乾燥剤を含有する多孔性の断熱材料から、吸収した水の湿気を放出させ、建物の冷暖房に必要なエネルギーの量を減少させる、ことを含む。

Description

この発明は、バットや柔らかく束ねられた断熱材料などの断熱製品、寒さが支配的な天候に対してよりよい熱的特性を持ったダクトライナ、ダクトボードなどのボード製品に関する。
殆どの住居建築物は、屋根と天井の間に屋根裏スペースを持っている。屋根を支え、天井面を形成するこの構造は、前もって組み立てられた木製のトラスでよく作られる。この構造は又、伝統的な天井野縁と屋根垂木を用いて、現場で組み立てることも可能である。屋根裏を適切に断熱することは、家庭でのエネルギー消費(「建物負荷」)を減らす上で、重要である。屋根裏を家の他の部分より熱的に分離することは、夏や冬の居住空間の快適性をも向上させる。
屋根裏の換気には、二つの目的がある。冬期の結露の防止と夏の屋根裏冷房である。暖房時期に換気を行うことは、湿気を含んだ空気を、結露する前に屋根裏から取り除くことができる。夏期の換気により、冷たい空気で屋根裏の熱を一掃することができる。一般的には、良好な換気システムは天井の上に、必要な換気領域の50パーセントの高さを、庇領域に50パーセントの高さを持つ。適切な間隔で通気口を設けることにより、屋根裏に、良好な空気循環性を持たせることができる。バットによる断熱材は長期間の断熱性能を発揮することができる。また、セルロースやグラスファイバの柔らかく束ねられた断熱材を含む、柔らかく束ねられた断熱材も使用することができる。柔らかく束ねられた断熱材は、屋根裏全体にわたり等しい厚さで配置されなければならない。隙間や窪みなどが生じないようにすべきである。
適切に屋根裏を断熱しようとしても、殆どの建物の屋根裏スペースはやっかいな場所と思われている。冬には、湿気が屋根裏の天井に結露することでカビが生えやすく、夏には、屋根裏スペースで暖まった熱が冷却負荷を増大させることとなる。通常、夜の間は、外気環境と空気が交換されることで、屋根裏の相対湿度が高くなる。通常、表面が低い相対湿度を持つ木材の枠組みを持った材料は、湿気を吸収する。日中は、屋根裏の空気の相対湿度は太陽熱によって得られる熱取得により減少する。空気の温度が高く、即ち、木製枠組み材料の表面の相対湿度が高くなるのは、木材の枠組み材料により、湿気が放出されるせいである。こうして、日中の屋根裏空間は外気環境よりも相対湿度が上昇する傾向となる。
現代の住居では、室内の天井の高さで継続的に空気の侵入を遮断したり熱を遮断したりすることはきわめて困難である。居住空間を屋根裏から切り離すために使用される空気遮断は、通常テープの張られた化粧ボードである。また、熱遮断は、その化粧ボードの上に配置された断熱材である。天井は、単なる単一な平面ではなく、一連の、水平面、垂直面(腰壁)及び傾斜壁からなり、それらが相互に交差して天井を形成している。
米国全域にわたる建築法規においては、今日屋根裏の換気が求められている。Lustiburekの、「暑い気候における通気及び密閉された屋根裏」ASHRAE
SYMPOSIUM ON ATTICS AND CATHEDRAL CEILINGS, TORONTO, (1997年6月)において、寒い気候においては、屋根裏換気の主要な目的は、雪解けによって生じる氷損傷を避けるために冷たい屋根の温度を保つことと、空気調節された空間から屋根裏に移動した湿気を換気することである(同書3ページ)。この場合、雪解けは空気調節された空間からの熱損失により生じる。雪解け水が家の暖房されていない庇の上を通過することで、氷って広がり、しばしば屋根のほうに逆行して屋根板の間に入り込む(同書)。
また、暑い気候においては、屋根裏換気の主要な目的は、屋根裏から太陽で加熱された熱い空気を排出して建物の冷却負荷を軽減することである(同書4ページ)。屋根板の温度は、屋根裏の熱負荷が増大する無風状態ではより高くなる(同書)。従って、屋根裏換気が必要なのは、屋根裏の空気を出入りさせる風の圧力が無いようなときである。
家族居住用の独立した建物における屋根からの建物加熱及び冷却負荷は、1999年のアメリカ合衆国で、加熱が446兆BTUで、冷却が128兆BTUであった。Y.J.Huang et alの「住居における加熱及び冷却負荷要素の分析」LBNL-44636, Lawrence Berkeley
National Laboratory, Berkeley, California, (1999). (屋根プラス壁プラス床を介した)全体の正味加熱及び冷却負荷を比較すると、屋根の負荷の割合は、それぞれ15.1パーセント(加熱)と15.8パーセント(冷却)である。従って、屋根の負荷を減らすことで、全体の建物の負荷を大いに減少させることができる。屋根の負荷を減少させる方法は沢山あるが、最も一般的なものは、屋根の断熱材を増やすことである。屋根裏スペースは限られているので、多くの場合、全体の建物の負荷を減少させるためにより多くの屋根用断熱材を追加することは、必ずしも可能な訳ではない。
従って、他の方法で全体のエネルギーの使用を減らすことが望まれている。
建物を冷房するのに必要な冷房エネルギーの量を減らす方法を提供する。建物は、通常、外壁、水平な上部壁板及び該上部壁板の上に露出する屋根裏スペースにより部分的に区切られた囲まれた部屋を有する。この屋根裏スペースは部屋の天井と建物の屋根によって区切られている。本方法は、以下のステップを含む。(1)前記屋根裏スペースで天井を所定深さで覆う形で多孔性の断熱材を配置する。この多孔性の断熱材は乾燥剤を含んでいる。(2)乾燥剤を有する繊維質の断熱材料に屋根裏スペースから水の湿気を吸収させる。そして(3)囲まれた部屋へ、乾燥剤を有する繊維質の断熱材料から、吸収した水の湿気を放出させて、乾燥剤を有する繊維質の断熱材料の温度を低下させ、建物を冷やすのに必要な冷房エネルギーの量を減らす。
本発明の、ある実施例では、乾燥剤は、冷房が優位を占める気候において、屋根裏に使用する柔らかに束ねられた(loose-fill)又はバット断熱材に加えられるシリカゲルである。夏の冷房シーズンに、屋根裏で熱エネルギーが断熱材のシリカゲルの湿気の蒸発に消費される結果、屋根裏から居住スペースへ流れる熱流は減少する。R30断熱材に20パーセントのシリカゲルを含んだ(容積比)もので、マイアミの1500平方フィートの家で、シミュレーションされ、計算された正味エネルギー節約量は、正味年間エネルギーコストを50.00ドル減少させることができる。
シリカゲル又は、例えば、モンモリロナイト粘土、合成ゼオライト(分子ふるい)、酸化カルシウム(CaO)、硫酸カルシウム(CaSO)、分子ふるいカーボン、活性アルミナ、又は活性カーボン、又はポリアクリル酸ナトリウム等の他の乾燥剤は、製造工程中に好適な鉱物繊維又はセルロース断熱材に加えられる。例えば、毛布状の鉱物繊維の断熱材に、シリカゲルを、乾燥粉が回転ファイバーグラスプラントの成形部の上部領域に吹き込まれ、及び/又は例えば、コーティングや成分として、鉱物繊維とバインダーを成形部で混ぜ合す時に、該形成部に加える(今日、混合材料が加えられる方法と同様)。水スラリー形態のシリカゲルを、成形部内の鉱物繊維断熱材に、該スラリーを熱い鉱物繊維上に噴霧することで、加えることができる。鉱物繊維が柔らかに束ねられた断熱材には、シリカゲルを、成形部内の鉱物繊維に乾燥粉として加えるか、断熱材が屋根裏又は壁に吹き付けられる前に、吹きつけ器のホッパー内の鉱物繊維に乾燥粉として加える。セルロース断熱材には、シリカゲルは、例えば製造工程中に、難燃剤を切断されたセルロースに加える際にセルロース断熱材に加えることができ、又は断熱材が屋根裏に吹き付けられる前に、吹きつけ器のホッパー内の鉱物繊維に加えることができる。
コンピュータシミュレーションモデルでは、冬の気候において、セルロース及びシリカゲルを含む乾燥剤断熱材混合物のより高い熱伝導率により、居住スペースから屋根裏に流れるマイナスの熱流束が明らかになった。また、居住スペースから屋根裏に流れるマイナスの熱流束は、冬の乾燥剤断熱材混合物の高レベル湿度により、ほんの少し減少した。これらの結果は、屋根裏スペースに置かれたセルロースだけの断熱材と、同じ気候条件で比較された。夏の月の間、シリカゲルを有するファイバーグラス断熱材は、モデルの屋根裏から居住エリアへのプラスの熱流束が減少する結果となった。これは、屋根裏の熱エネルギーが乾燥剤から湿気を蒸発させるために使われるからである。乾燥剤からの蒸発による余分な湿気が居住エリアに流れるせいで、屋根裏から居住エリアへ流れるプラスの湿流束が増加する結果となった。マイアミの冷房が支配的な気候では、屋根裏断熱材に乾燥剤を加えることで、本実施例のコンピュータモデルのトータル屋根エネルギー負荷が減少した。ボルチモア、ミネアポリス及びサンフランシスコ等の暖房が支配的な気候では、乾燥剤の断熱材への添加により、コンピュータシミュレーションのトータル屋根エネルギー負荷は、減少するよりも、増加した。
従って、屋根裏断熱材に乾燥剤を導入するいくつかの実施例では、4500と8000暖房度日の間で経験する「暖房が支配的な気候」とは対照的に、平均月気温が年間45°Fを超える、マイアミのように「冷房が支配的な気候」を援助するように設計されている。暖房が支配的な気候では、乾燥空気は外側であり、湿った空気は内側である。合衆国の南には、最も冷房が支配的な気候の建築が配置されている。条件は正反対である。エアコンは家の中に乾燥空気を生成するが、外の空気は、年中とても湿っている。
本発明の、別の実施例では、セルロース又は無機物成分からなるランダムに配向された繊維が十分な厚さに配置された建物断熱材料が供給され、建物の断熱を行う。そして、それには該断熱材料に十分な水湿気を吸収させて該断熱材料の温度を少なくとも1°F下げるに十分な量の乾燥剤が含まれている。
本発明の更に別の実施例は、溶けたガラスの流れからグラスファイバを形成し、グラスファイバと乾燥剤を結合し、該ファイバーと乾燥剤をコンベアー上で固めるステップを含む、断熱材料の製造方法を提供するものである。
本発明の、更に別の実施例は、紙の原料からセルロース繊維を形成し、難燃剤及び乾燥剤を該セルロース繊維上に形成するステップを有するセルロース断熱材料を製造する方法を提供するものである。
ある実施例では、多孔性の断熱材料は第1の層と第2の層を有し、乾燥剤は、第1の層と第2の層の間に、分かれた層として配置されている。
また、さらなる実施例は、建物を冷暖房するのに必要な冷房エネルギーの量を減らす方法を提供するものである。建物は、壁、水平な上部敷桁、該敷桁の上に配置された屋根裏スペースにより部分的に区切られている周囲が囲まれた部屋を有する。この屋根裏スペースは、部屋の天井及び建物の屋根により区切られている。壁は、内側パネルと外側パネルおよびそれらの間の壁スペースからなる。多孔性の断熱材料からなる第1の層と第2層を配置し、屋根裏スペースの天井又は壁スペース内の内側パネルを、多孔性の断熱材料の第1の層と第2の層の間に配置された乾燥剤材料からなる分かれた層で覆うことからなる方法である。乾燥剤材料を有する層は、屋根裏スペース又は壁スペースから水の湿気を吸収することができる。吸収した水の湿気を乾燥剤を有する層から周囲が囲まれた部屋に放出することができる。乾燥剤からの水の吸収と放散は建物を冷房するに必要な冷房エネルギー及び建物を暖房するのに必要な暖房エネルギーの総量を減少させることができる。
本発明の多様な実施例における上述した特徴及び他の特徴は、添付した図面に関連して、以下に詳細に述べる本発明の好適な実施例から、より理解されるであろう。
添付した図面は、本発明の好適な実施例を示すものであり、本開示に関連する他の情報も含んでいる。
図1は、建物の庇部分の部分側断面図である。
図2は、アメリカ合衆国の4つの場所でセルロース系の天井断熱材に10%及び20%の割合でシリカゲルを混入させた際の、年間電力支出の減少(増加)を示す棒グラフであり、コンピュータによるモデルで作成された。
図3は、断熱材と乾燥剤を含んだ壁の側断面図である。
図4Aは、試験壁の構造を示す断面図。
図4Bは、乾燥剤を含まないガラス繊維断熱材と分散された乾燥剤を含んだガラス繊維断熱材及び別個の乾燥剤を含んだ層を有するガラス繊維断熱材を、図4Aで示した試験壁で比較したグラフ。
図4Cは、月間冷却負荷を1年間にわたり計測したヒストグラム。
図4Dは、図4Cのデータを測定した同じ1年間において、月間加熱負荷を計測したヒストグラム。
米国特許出願公開US−2010−0107550−A1、2010年5月6日、US−2008−0236078−A1、2008年10月2日は、ここで参照することで、全体が導入される。
いくつかの選択可能な方法の一つとして、ガラス繊維又はセルロース断熱材等の多孔性断熱材料に乾燥剤を混ぜることで、屋根の断熱材の特性を変えることをここに提案するものである。一般的にこの方法には、二つの大きな利点がある。第1は、乾燥剤が湿気を吸収すると天井の断熱材により多くの熱容量を加えることができ、これで、負荷がピークからオフピークにシフトするかもしれないのである。第2に、屋根裏の湿気レベルを低下させることである。乾燥剤を追加するこの方法の欠点は、ガラス繊維やほかの断熱材に比して乾燥剤の熱伝導性が高いので、断熱材の熱抵抗が幾分か減少することである。
上記した乾燥剤と断熱材の混合物の全体的な利点と欠点に加えて、天井にこの混合物を使用する最も大きな特徴の一つは、より多くの吸湿性能を与える点である。屋根裏からの湿気が吸収され、天井表面で対流する空気により居住空間に湿気が放散されることで、天井断熱材の温度を変化させることができる。従って、建物のエネルギー負荷は、天井の断熱材の温度変化により変化させることが可能となる。これにより、屋根裏と居住空間の間に流れる熱量が変化することとなる。この変化により冷却エネルギーを減らす利点があったり、逆により多くの加熱エネルギーを必要としたりすることも生じる。
乾燥剤は少なくとも約5%v/vの量で加えることができ、好ましくは、約10−20%v/vの量である(グラスファイバやセルロースの断熱材などの、断熱材に対する容積比)。例えば、シリカゲルなどの乾燥剤を、容積比で10%及び20%の割合で天井のセルロース系断熱材に追加することで、セルロース系断熱材のみの天井断熱材と比較して混合物の熱伝導性は31%及び62%増加し、熱伝導性が向上したことで、断熱材を介した天井の熱流動は増加する。しかし、シリカゲルは周囲から大量の湿気を吸収して保存することができるので、混合断熱材の湿度は上昇する。屋根裏の湿度が室内の居住空間の湿度よりも低い場合は、室内の居住空間から湿度が屋根裏スペースに流れる。セルロース断熱材のみで断熱された屋根裏の冬は、この状態である。屋根裏の断熱材にシリカゲル吸湿剤を添加すると、湿気は最初は吸収され、次いで、同じ場所である屋根裏ゾーンから放出される。屋根裏から居住空間への湿気の流れは、混合断熱材の湿度の増加により冬ではきわめて小さなレベルに減少する。従って、シリカゲル−セルロース混合断熱材が配置された屋根裏の湿気の流れは熱伝達の方向を阻害するのもではない。そして、シリカゲル−セルロース混合天井断熱材による熱伝導率の向上により熱エネルギーの使用が増加する。
通常の夏のように、屋根裏の湿度が室内の居住空間の湿度よりも高いと、相対的に高い湿度の屋根裏スペースから吸収した湿気がシリカゲル−セルロース混合断熱材から蒸発し、居住ゾーンに放出され流動する。蒸発した湿気は熱を奪い、吸湿したシリカゲルで断熱された屋根裏の天井温度を、セルロースのみで断熱した屋根裏に比して、低くする。水分の蒸発により減少する屋根裏から居住空間へ流れる熱流動の量は、混合断熱材によって増加した熱伝導性によって増加する熱流動の量よりも大きいので、全体的に混合天井断熱材から居住空間に流れ込む熱流は、セルロース系断熱材よりも小さい。従って、冷房エネルギーの使用は、シリカゲル−セルロース混合断熱材により減少することが期待できる。
図1及び図2に示すように、この実施例は建物100を冷房するのに必要な冷房エネルギーの量を減らす方法に関連する。建物100は、外壁11,水平な上部壁材12及び該上部壁材12の上方に配置された屋根裏スペース25により部分的に区切られている囲まれた部屋24を有する。屋根裏スペース25は部屋24の天井20と建物100の屋根により、区切られている。本方法は、ポリスチレン発泡体ボードや吹きつけポリスチレン発泡体のように閉鎖された気泡を持った断熱構造体ではなく、透過性を有する多孔性の断熱材10を、屋根裏スペース25の天井20を所定の深さで実質的に被覆するように配置するものである。多孔性の断熱材10は乾燥剤を含んでいる。発明の方法は、乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10は屋根裏スペース25から水分を吸収することができるように構成される。本方法の次のステップは、吸収した水分を、乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10から閉鎖された部屋24に放出することを含む。この行程により、乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10の温度は低下し、建物100を冷房するのに必要な冷房エネルギーの量が減ることとなる。図1の建物100のような典型的な建築は、下端を有する軒22及び下端から屋根裏25への空気流動15を許容する屋根裏通気孔18を有し、更に、好ましくは、換気ファン又は天井換気(図示せず)を含んでいる。空気15は、屋根裏通気孔18及び屋根を支持する一組の垂木により区切られたスペースを介して流動する。
本発明のいくつかの実施例では、多孔性の断熱材10は好ましく無機繊維又はセルロース繊維からなる。典型的な無機繊維としては、ミネラルウール、ロータリーグラスファイバー又は織られたグラスファイバがあり、典型的なセルロース繊維としては、使用前には耐火性添加物として扱われているリサイクル紙繊維などである。
本発明のいくつかの実施例では、水分が、乾燥剤を含有する多孔性の断熱材10から囲まれた居住空間24内に、天井20を介して対流による物質移動により放散される。これらの方法は、年間を通して月平約気温が約45ºF程度以上のような、冷房が支配的な気候の元では、きわめて良好に作用する。例えば、南フロリダのような冷房が支配的な気候において、屋根裏スペース25の相対湿度は居住空間24の相対湿度よりも通常高く、建物は、通常一年間の殆どが、外気温が72ºFよりも高い状態にある。こうした建物では、典型的な建築では、上部壁材12の上に、間隔を開けて屋根裏床根太を配置し、建物100の屋根を支持するために、その下に間隔を開けて屋根垂木17を配置する。本発明のいくつかの実施例では、乾燥剤を含有する多孔性の断熱材10を少なくとも屋根裏床根太の間に配置する。また、この実施例の乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10は、天井20と屋根の間が比較的狭い屋根裏スペースの、カテドラル型天井を支持する根太の間にも配置することができる。屋根裏換気のための十分な空間または屋根裏があって、空気15をそこを介して流動させることができる場合には、本実施例の乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10は、屋根裏スペース又は屋根と天井20との間の領域の相対湿度レベルを低下させることができる。また、建物建築において、複数の平行な間柱、外羽目板及び内側の化粧ボード層によって規定される外壁には、その外羽目板及び内側の化粧ボード層間に乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10を、更に配置することができる。
乾燥剤を含有した多孔性の断熱材10の別の好ましい実施例では、セルロース又は無機物成分からなるランダムな方向を向いた繊維が、建物100の断熱のために、十分な厚さで配置される。断熱材に十分な量の水分を吸収及び放出させて、乾燥剤を含有した断熱材を通した熱流を減らせるように、所定の量の乾燥剤を断熱材10に供給する。
むしろ、吸収された水が対流による熱移動で居住空間24内に放出されると、天井20の温度も低下する。こうした建物の断熱材10は、毛布状、綿状(Loose fill)又はバット状の製品として配置することができる。本発明の好適な実施例では、乾燥剤は超多孔性の固形吸収材料であり、その周囲から湿気を吸収すると共に、大きな水分貯蔵能力を有する。好ましい乾燥剤は、以下の原料から一つ以上を含むものである:モンモリロナイト粘土、シリカゲル、合成ゼオライト(分子ふるい)、酸化カルシウム(CaO)、硫酸カルシウム(CaSO)、分子ふるいカーボン、活性アルミナ、又は活性カーボン、又はポリアクリル酸ナトリウム。典型的な乾燥剤は、シリカゲルである。シリカゲルは、例えば、POLYLAM
Products, Corporationのビーズ状及び粉状シリカであり、また、Grays Davidson Syloid®及び、Sylox®粉、及びLudox®コロイドシリカ分散液である。他の乾燥剤としては、ニューメキシコ州、アルバカーキのNanoPore, Inc.が販売する、表面変性を施した炭素をベースにした乾燥剤で、粒子サイズが50及び500ミクロンの間のもの、ニューヨーク州、バッファローの、Multisorb
Technologies, Inc.が販売する、NatraSorb S シリカゲル、Multisorb NatraSorb M
Montmorillonite 粘土、Multisorb Drikette包、及びNanoPore カーボンをベースにしたフェルト包乾燥剤も使用可能である。
乾燥剤は、好ましくは、通常、繊維がランダム配置された断熱材又は、それ以外の多孔性断熱材の乾燥重量に対して、少なくとも1重量パーセント、好ましくは少なくとも5重量パーセント、より好ましくは10から20重量パーセント含有されている。乾燥剤は、均一な乾燥したシリカゲルの混合状態の形で供給されるか、水に投入してスラリーとし、ランダム配置された繊維内に導入するようにすることもできる。乾燥形態では、ガラスバット製造工程の回転する繊維を集める工程でよく使用されるコンベアーの上で、断熱繊維と乾燥剤を一体化させることができる。乾燥剤が繊維に投入されるときは、グラスファイバはまだ熱い状態か、あるいは、周囲温度に向けて冷却中である。乾燥形態では、乾燥剤は回転グラス製造プラントの吸引装置の上部領域に吹き付けることができる。または、乾燥剤は水スラリーに添加され、回転グラス製造プラントの形成区画内の熱い材料繊維上にスプレーされる。
セルロース繊維に乾燥剤を添加する好ましい方法には、セルロース繊維をスプレーする方法、液体乾燥剤にセルロース繊維を浸す方法、乾燥剤と難燃剤の両方をセルロース繊維に、同時にもしくは順次加える方法、などがある。一つの実施例は、乾燥した乾燥剤を、難燃剤を含んだセルロース繊維が、建物の屋根裏空間や、壁空間、又は狭い空間内に吹き付けられる前に、吹きつけ機のホッパー内の当該難燃剤を含んだセルロース繊維中に加えるものである。

コンピュータシミュレーション例
コンピュータモデリング研究(Lixing Gu “Contract
Report: Examine Potential Energy Savings Using Ceiling Insulation Mixed with
Desiccant”
December 19, 2005 (unpublished))が、熱流及び建物負荷に関する乾燥剤−断熱材混合物の影響を決定するために行われた。目的は、建物のシミュレーションをすることで、乾燥剤をセルロース天井-屋根裏断熱材に異なる量を加えた際の潜在的なエネルギー節約量を決定し、天井の断熱材に加える熱量による、天井のピーク負荷のズレを検証するものである。また、湿気の吸収と加えた乾燥剤からの放散による屋根裏の湿度レベルを作成することである。
シールされた屋根裏の影響を評価するために、暑さが支配的な天候と寒さが支配的な天候において、コンピュータモデリング研究は、マイアミ、ボルチモア、ミネアポリス及びサンフランシスコで行われた。使用されたコンピュータモデルは、FSCE 3.0プログラム(Florida Solar Energy Center, 1992, “FSEC 3.0 User’s Manual,”
FSEC-GP-47-92;プログラムは液体の水による伝達はシミュレートしていない)である。この一次元有限要素プログラムは、熱伝導、対流、放射による熱伝達を含む組み合わされた熱と熱移動と、Effective
Penetration Depth Methodによってモデル化された一団の湿気を計算する(Kerestecioglu, A., M. Swami;
1990, “Theoretical
and Computational Investigation of Simultaneous Heat and Moisture Transfer in
Buildings: Effective Penetration Depth Theory.” ASHRAE Winter Meeting, Atlanta, GA.)。
使用するシミュレーションツールを決定した後、現在の研究における居住用建物として、一体基礎を有するプロトタイプハウスが選択された。プロトタイプハウスは、二つのASHRAE研究プロジェクト、
Figure 2013508587
で使用されたものである。これら全ては、ここで参照することで、全体が本明細書に導入される。それは、1層のL字形をした、解放リビングを持った、一体コンクリート基礎床を有する、空調された空間が139m(1500
ft)の平屋建ての家である。ガレージエリアは、42.4m(456 ft)であり、リビングゾーンの上に屋根裏容積が107m(3769
ft)あり、ガレージの上に、56.5m(1996 ft)の屋根裏容積がある。屋根裏エリアはそれらを仕切るベニヤ板により複数の分離されたスペースとしてモデル化されている。家の縦横比は、東西に走る長軸に対して、1:1:6となっている。
Figure 2013508587
外装建築は、以下に示す通りである。
外装フレーム壁:内側に12.7 mm (½")石膏壁板、R-19のバット断熱材、及び、日射吸収率が0.75で、遠赤外線放射率が0.9の11
mm (7/16")煉瓦外装羽目板。
屋根:屋根裏に露出した12.7 mm (½")のベニヤ板、日射吸収率が0.85で、放射率が0.9の6.4
mm (1/4")屋根板。屋根の傾きは、5:12である。
床:内側に12.7 mm
(1/2")のカーペットを敷いた0.1m (4")のコンクリート。
天井:12.7 mm (1/2")石膏壁板及び10-20%の乾燥剤を混ぜたR−30断熱材。
暖房及び冷房のサーモスタットの設定温度は、ぞれぞれ22.2°C (72°) 及び 25.6°C (78°F)である。
HVACシステム:冷房:SEER(年間エネルギー効率)10、0.75の顕熱比を有するエアコンディショナー;暖房:電気ヒータ。
選択された乾燥剤は、シリカゲルであった。本例の目的のために、乾燥剤はファイバーグラス又はセルロース断熱材にその断熱材の容積を変化させることなく添加されたものとし、二つの個々の材料は完全にミックスされたものとする。上記した仮定を用いることで、容積比及び重量比をベースとした当該混合物の効果的な材料特性を記述することができる。2005年ASHRAE(米国加熱・冷凍・エアコンデイショニング工学会)のHandbook of Fundamentals(基本ハンドブック)の表4によれば、R−30ファイバーグラス又はバットの熱伝導率及び密度は、それぞれ0.475
(W/m.K)及び 19.2 (kg/m3 平均)である。シミュレーションプログラムで要求される熱特性の全セットを使用するために、ファイバーグラスバットに代えてばら詰め(loose
fill)セルロース系断熱材を用いた。ばら詰め(loose fill)セルロース系断熱材とファイバーグラスバットには、密度の違いがある。大きな密度の相違は、熱容量により負荷の変化が生じる可能性がある。しかし、ファイバーグラスとセルロース断熱材は共に軽量なことから、密度の相違による負荷変動の熱的な影響は無視しうるものと考えられる。例えば、ファイバーグラス断熱材の熱抵抗は、DOE−2やEnergyPlusのような殆どのシミュレーションプログラムで使用されており、密度や比熱は要求されない。密度と比熱の入力を省く主な理由は、熱性能に関して断熱材料の熱容量の影響は無視しうるからである。それに、ファイバーグラスを有するこれらの断熱材は、セルロース断熱材にも全般的に当てはまるものである。従って、この研究におけるセルロース断熱材の計算及びシミュレーション結果は、ファイバーグラス断熱材の結果と同様なものであると考えられる。セルロース断熱材から得られた結論は、ファイバーグラス天井断熱材にも適用することができる。

熱特性
以下の表に、セルロース断熱材とシリカゲルの熱特性を示す。
Figure 2013508587
シリカゲルが混合された天井断熱材の有効熱特性は、容積比をベースに得ることができる。以下の式は、有効熱特性を計算するために使用される。
Figure 2013508587
ここで、
Pe =熱伝導率、密度及び比熱を含んだ有効特性
P fiber =セルロース系断熱材の熱特性
P desi =乾燥剤の熱特性
ratio =容積比
セルロース断熱材の空間領域にシリカゲルを加えると、空気のスペースが減る。これは、断熱材をわずかに圧縮したことと同じである。しかし、セルロース断熱材の密度は変化せず、圧縮により、熱伝導率が僅かに上昇する。計算を簡単にするために、セルロース系断熱材の熱特性は、圧縮しないものと同じとする。
本研究に使用した、有効熱特性及びパーセント特性の変化は、以下の表に示すとおりである。
Figure 2013508587
セルロースだけの断熱材と比して、天井断熱材の10%シリカゲル混合物では、熱伝導率、密度及び比熱が31%, 111% 、及び 8% 増加し、天井断熱材の20%シリカゲル混合物では、熱伝導率、密度及び比熱が62%,
222%、及び 8% 増加している。

湿気特性
本研究における混合物の湿気特性の主な関心事は、吸着曲線(絶対湿度対相対湿度)で表される湿気の吸収と放散である。セルロースとシリカゲルの吸着曲線は知られているが、その混合物の吸着曲線は知られていない。しかし、混合物の吸着曲線は、既知のセルロースとシリカゲルの湿気特性から推定することができ、混合物の有効かさ密度は、上の表2に示されている。
表3は、年間シミュレーション結果の概略を表すものである。最初の二つの列は、項目の記述である。3番目の列は、セルロースだけの天井断熱材を持った基礎ケースにつていの年間結果である。4番目と5番目の列はシリカゲルをそれぞれ10%及び20%の割合で混合した天井断熱材についての年間結果である。最後の2列は、基礎ケースと比較した、シリカゲルを10%及び20%の割合で混合した天井断熱材についての、百分率による相違を示すものである。マイナス及びプラスの印は、基礎ケースに対する増加及び減少をそれぞれ示す。
Figure 2013508587
表3に示した項目は、一年間の居間及び屋根裏ゾーンの平均した屋内温度(T aver.)及び相対湿度(RH)からなる。暖房及び冷房エネルギーは(KWh)で示し、トータルエネルギーは、暖房と冷房のエネルギーの総計である。居間のゾーンと該居間のゾーンに露出した天井壁板表面間の年間天井熱流束(KW/m2)及び天井湿流(Kg/s.m2)は、表3に示す。天井熱流束の'cold'は、天井壁板表面の温度が居間のゾーンの空気温度よりも低いことを表し、暖房シーズンやシーズンの変わり目(冷暖房無し)の部分に生じる一方、'hot'は、天井壁板表面の温度が居間のゾーンの空気温度よりも高いことを表し、冷房シーズンやシーズンの変わり目(冷暖房無し)の部分に生じる。天井湿流の'dry'は、居間スペースに露出した天井壁板表面の湿度が居間ゾーンの空気湿度レベルよりも低いことを表し、'wet'は、居間スペースに露出した天井壁板表面の湿度が居間ゾーンの空気湿度レベルよりも高いことを表す。
セルロース断熱材のみの基礎ケースと比して、シリカゲルの混ぜた断熱材を有するマイアミの平均した居間エリアの温度は、僅かに、0.3%以内で低い。この違いは無視しうるものである。しかし、シリカゲル混合断熱材の場合の、年間平均の居間ゾーンの相対湿度のレベルは、シリカゲル混合割合が、10%
及び20%で、それぞれ5.3%及び13.7%増加している。主な理由は、屋根裏から混合断熱材に吸収された高湿度の内容物は居間のスペースに流れ込む高湿度の天井湿流となり、基礎ケースに比して、室内の相対湿度のレベルは上昇するからである。混合断熱材の年間平均屋根裏温度は、基礎ケースよりも、僅かに1.2%の範囲で、高い。しかし、混合断熱材の屋根裏の相対湿度のレベルは、基礎ケースよりよ、かなり低く、10%の混合率で、20%低下し、20%の混合率で、21%低下する。
以下の表4は、コンピュータ建物シミュレーションにより、米国の4カ所で3タイプの天井断熱材(基礎のR−30断熱材のみ、10%のシリカゲルを混合したR30及び20%のシリカゲルを混合したR30)を使用した場合の年間冷暖房エネルギー使用を示すものである。
Figure 2013508587
シミュレーションの結果、及び図2の棒グラフに図示されるように、マイアミのような特に“冷房が支配的な気候”では、年間冷房エネルギー使用は減少している一方で、天井−屋根裏断熱材のシリカゲルの混合率が増加すると、年間暖房エネルギー使用は増加する。屋根裏断熱材に含まれる乾燥剤は、屋根裏の湿度レベルを低下させものと結論づけることができ、それは屋根板やベニヤ板の屋根材料の寿命を延ばすことができる。
Figure 2013508587

結論
屋根裏断熱材に含まれる乾燥剤は、屋根裏の湿度レベルを低下させることができ、それは屋根板やベニヤ板の屋根材料の寿命を延ばすことができる。
屋根裏断熱材に含まれた乾燥剤は天井の湿度レベルを上昇させ、天井の石膏天井板の寿命を短くするかもしれないが、湿度の増加量は天井板に悪影響を与えるほど高くはない。
屋根裏断熱材に含まれた乾燥剤は暖房エネルギー消費を増加させるかもしれないので、天井混合断熱材は、暖房が支配的な気候では有効でないかもしれない。
屋根裏断熱材に含まれた乾燥剤は冷房エネルギー消費を減少させるかもしれないので、天井混合断熱材は、冷房が支配的な気候では有効であろう。
ピーク負荷のシフトは、乾燥剤を天井の断熱材に加える際には、重要なことではないように思われる。その主な理由は、加えられる乾燥剤の容量は、それほど大きくないからである。
壁の空隙に乾燥剤を含ませることは、冷房及び暖房エネルギー使用に際して、屋根裏断熱材に含まれた乾燥剤と同様な効果をもたらす。壁の冷房負荷は、天井の冷房負荷に比して、全体の冷房負荷の小さな部分であるので、冷房エネルギー使用の効果は、小さなものとなる。しかし、壁の暖房負荷はより大きい。従って、暖房負荷に関する効果はより大きなものとなる。壁構造物内の乾燥剤の使用については、図4A及び4Bの議論の中で、以下に述べる。
セルロース断熱材がシミュレーションで使用されたが、セルロースとファイバーグラスの熱特性の相違は無視しうるので、セルロース断熱材で得られた結論は、ファイバーグラスの布状、ルースフィル状及びバッド状の断熱材にも適用することができる。
また、上述の例では、屋根裏に配置された断熱材材料について述べたが、他の実施例では、乾燥剤を含有する断熱材は、建物の外側壁に、又は屋根裏及び外側壁に設けることができる。
更に、上述の例では、断熱材材料に乾燥剤材料を分散させた例を述べたが、居間のスペースに近い側や、外部環境に近い側、又は多孔性の断熱材料の内部層と外部層の間の中間位置に、乾燥剤を別な層として配置することもできる。
図3は、図1に示す建物に使用するに好適な外壁11の一例を示す詳細図である。建物は、壁11,水平な上部敷桁12(図1)及び、該上部敷桁の上に配置された屋根裏スペース25(図1)により部分的に区切られる形の囲まれた部屋24を有する。屋根裏スペース25は、部屋24の天井20と建物の屋根により区切られている。図3に示すように、壁11は、内側パネル202及び外側パネル204、その間の壁スペース205から構成される。
実施例では、多孔性の断熱材料からなる第1層206及び第2層208が配置され、壁スペース205内で内側パネル202を被覆している。また、多孔性の断熱材料の第1及び第2層206,208の間に、乾燥剤からなる分離層207が設けられている。実施例では、断熱材層206,208及び乾燥剤層207は、壁スペース205を満たしている。ある実施例では、多孔性の断熱材料の第1層206及び第2層208は、屋根裏スペース25内で天井20を被覆している。ある実施例では、天井20と1個以上の内側パネル202の両方が断熱材材料206及び208、その間に配置された乾燥剤材料からなる分離層207から構成される3層断熱材により覆われ、壁スペース205は充填されている。
後に、乾燥剤を含んだ多孔性層207は屋根裏スペース25又は壁スペース205から湿気を吸収し、吸収された湿気は、乾燥剤を含んだ多孔性層207から囲まれた部屋24に放出される。その結果、乾燥剤を含んだ多孔性層207の温度は低下し、建物を冷房するのに必要な冷房エネルギー量が減る。
乾燥剤を含んだ多孔性層207は、乾燥剤を染み込ませたりした薄いフェルト又は不織マットでも、屋根裏に配置した布状の断熱材、又は柔らかに束ねられ、又は吹きつけ形成された断熱材の、上、下、又は中間に配置された乾燥剤を有する、薄いフェルト又は不織マットでもよい。ある実施例では、フェルト層は、ポリプロピレン紙に表面変性を施した炭素から構成される。ある実施例では、フェルト層は、ニューメキシコ州、アルバカーキのNanoPore, Inc.で販売されている、40%-60%の表面変性を施した炭素、40%-60%のバインダーからなる,ポリプロピレン紙に表面変性を施した炭素から構成される。乾燥剤層は、ニューヨーク州、バッファローのMultisorb
Technologies, Inc.が販売するMultisorb Drikette(登録商標)乾燥剤を紙に含ませたものでもよい。
更に、乾燥剤層207は、一つ以上のバット、柔らかに束ねられた、及び又はセル状に形成された壁断熱材の、内側208,外側206に接していても、また、厚さの真ん中(図示せず)に配置してもよい。乾燥剤を染み込ませたフェルト層に代えて、乾燥剤を鉱物繊維からなるバットの中央に設けてもよい。乾燥剤は、壁スペース205に設置された成形バットの全厚に渡り、分散させてもよい。また、乾燥剤は、壁スペース205に吹き付けられた柔らかに束ねられた断熱材(a loose fill insulation)内に分散されてもよく、壁スペース205に開放形スプレー気泡(open cell
spray foam)によって吹き付けられた断熱材と前述の吹きつけによる断熱材を組み合わせたものに、分散しもてよい。
ある実施例では、製造設備内で、乾燥剤を染み込ませた薄いフェルト又は不織マット207、又は、薄い乾燥剤を染み込ませたバットを、二つの繊維性又は、開放形スプレー気泡の断熱材層206,208間に接着させて3層のバットを形成することもできる。次いで、3層のバットを断熱施工時に壁スペース内に、単一のバットとして設置し、バットの断熱工程を一度で済ませることもできる。また、建物の外壁の建築又はリフォームに際して、壁スペース内に、施工者が、乾燥剤を染み込ませた薄いフェルト又は不織マットからなる第1断熱材層及第2断熱材層を設置することもできる。
層になった乾燥剤の形態に関して、乾燥剤を染みこませた薄いフェルト状の形態の乾燥剤を、鉱物繊維のバットからなる2層の間の壁空隙内に配置したり、壁空隙内の、鉱物繊維バット又はスプレー気泡の内側、又は外側表面上に配置したりするようにもできる。
層になった乾燥剤の形態に関して、乾燥剤を染みこませた薄いフェルト状の形態の乾燥剤を、鉱物繊維のバットの上及び/又は下表面に積層設置することもできる。乾燥剤を染みこませたフェルトは、ファイバーグラスの製造工程で、ファイバーグラスバットの二つの層の間に挿入して積層させることも可能である。
層になった乾燥剤の形態に関して、乾燥剤は、ファイバーグラス断熱バット又は布の上端層に粉の形態で供給し、撒くことができ、断熱材の表面に乾燥剤を配置した前後に、該布の上表面に噴霧するホットメルト接着剤のような噴霧接着剤で保持される。別の実施例では、ファイバーグラス断熱材の別の層が乾燥剤の層を持った布の上に置かれ、積層される。この方法では、乾燥剤は鉱物繊維断熱材の二つの層の間に設けられる。
使用される乾燥剤の例としては、ニューヨーク州、ウイリアムズビルのPoly Lam Products社が販売する、ホワイトビーズ及び粉シリカゲルや、メリーランド州、コロンビアのGRACE Davison
Chemical (W. R. Grace & Co.-Conn.)社が製造するSyloid® 及び Sylox®粉、及びLudox® Colloidal Silica散布剤、表面変性を施した炭素をベースにした乾燥剤は、粒径が50から500ミクロンの間で、ニューメキシコ州、アルバカーキのNanoPore,
Inc.社が販売している。また、ニューヨーク州、バッファローのMultisorb Technologies, Inc.が販売するNatraSorb Sシリカゲル及び、Multisorb
NatraSorb Mモンモリロナイト粘土がある。
図4Aは、冷暖房負荷試験に使用したテスト壁の構造を示す断面図であり、乾燥剤を有さない断熱材料と二つの異なる実験壁を比較するためのものである。二つの実験壁は:(A)柔らかに束ねられた断熱材料に乾燥剤が散布された壁と、(B)バット断熱材の二つの層の間に乾燥剤の層を設けた壁である。テスト壁300は、0.5インチの石膏ボードからなる内部壁板302;断熱材料層306;0.5インチの配向性ストランドボード(OSB)304;2層の建築用防水紙308;及び外部漆喰層310を有する。
図4Bに、7日間に渡って収集した実験データを示すグラフで、70ºF (21 ºC)で 50%の相対湿度の内側の部屋で、3つの異なるテスト壁300の冷房エネルギー使用を比較するものである。壁300は、互いに同じように作られており(外側が、2"
x 4"の木製スタッドを有する化粧漆喰、内側がプラスターボード)、各壁の内部空洞の断熱材306のタイプが異なるだけである。三角形は、乾燥剤が入らない断熱材306を有するサンプル(R13ファイバーグラスバット)の時間熱流束を示す。菱形は、噴霧された乾燥剤の粉が混ぜられた、ペンシルベニア州、フォージバレー(Valley
Forge)のCertainTeed Corporationが販売する"OPTIMA®"という、柔らかに束ねられたグラス断熱材が壁の空隙に詰められた形の断熱材306を有するサンプルであり、同じ期間の時間熱流束を示す。OPTIMAと噴霧された乾燥剤を含んだ断熱材の壁の熱流は、乾燥剤を有さない壁の熱流束よりも低い(約40%低い)。四角は、乾燥剤を染みこませたフェルトをその中央に配置したR13バットが空隙に充填された断熱材306を有する壁サンプルであり、同じ期間の時間熱流束を示す。これは、重量で10%の乾燥剤粉を有する"OPTIMA®"という柔らかに束ねられた断熱材と、重量で20%の、ファイバーグラスと乾燥剤フェルトを組み合わせたものからなる、28グラム/ft2の乾燥剤を染みこませたフェルトを用いたR13バットから構成される。熱流束は、乾燥剤を有さない壁の熱流束よりも低く、(約45%低い)更に、"OPTIMA®"という、柔らかに束ねられたファイバーグラス断熱材よりも、5%低い。実験は、分離した形で乾燥剤を染みこませたフェルト層が、乾燥剤を有さない壁や均一に散布された乾燥剤を有する壁よりも、熱流束が低くなることを示した(これは、冷房負担の減少につながる)。
表5は、図4のデータを取った後、12ヶ月以上の期間にわたって、集めた3つのテスト壁に関する実験データである。柔らかに束ねられた(loose fill)断熱材と、その中心に乾燥剤を染みこませたフェルトを有するR13バットは、乾燥剤を有さない構成に比して、同様に年間熱流束が11%減少している。しかし、柔らかに束ねられた断熱材の冷房時の熱流束の減少(17%)と、その中心に乾燥剤を染みこませたフェルトを有するバットの冷房時の熱流束の減少(29%)の間には、乾燥剤を有さない構成に比して明らかな相違がある。別な言い方をすれば、乾燥剤を有する二つの構成は、寒い月の暖房の量は同じであるが、より熱い月では、乾燥剤フェルトをその中心に有するR13バットは冷房負荷をかなり低下させることができる。図4Cは、表5のデータの毎月の冷房負荷を示す。図4Dは、表5のデータの毎月の暖房データを示す。
Figure 2013508587
上述の実施例では、建物の壁及び/又は屋根裏の鉱物繊維、セルロース断熱材、又は開放形スプレー気泡に乾燥剤を添加することにより、建物のエネルギー消費を抑えることが出る。夏の冷房シーズンの、主に冷房の気候において、建物の外側から内側に流れる熱エネルギーは、居住スペースに流れ込むよりも、むしろ乾燥剤に吸収された湿気を蒸発させるために使用される。暖房シースンでは、建物の内部からの熱エネルギーの流れは、建物の外側に流れ出すよりも、むしろ乾燥剤に吸収された湿気を蒸発させるために使用される。
本発明を例示的な実施例によって説明したが、本発明は、それに限られるものではない。むしろ、添付したクレームは、本発明の均等の範囲から離れることなく、当業者によりなされる本発明の他の変形や実施例を広く含むように解釈されるべきである。

Claims (15)

  1. 建物を冷房するのに必要な冷房エネルギーの量を減少させる方法であって、該建物は、壁、水平な上部敷桁及び該上部敷桁の上に配置された屋根裏スペースにより部分的に区分された囲まれた部屋を有し、前記屋根裏スペースは前記部屋の天井及び建物の屋根により区分されており、前記壁は、内部パネル、外部パネル及びそれらの間の壁スペースを有しており
    前記方法は、以下のステップから構成される、
    a)多孔性の断熱材料からなる第1の層と第2層を配置して、前記屋根裏スペースの天井及び前記壁スペース内の前記内部パネルからなるグループの少なくとも一つを、多孔性の断熱材料の第1の層と第2層の間に配置された乾燥剤材料からなる分離した層で被覆し、
    b)前記乾燥剤材料からなる層に前記屋根裏スペース又は壁スペースからの水の湿気を吸収させ、
    c)前記吸収された水の湿気を、前記乾燥剤材料からなる層から前記囲まれた部屋に放出させて、前記建物を冷房するのに必要な冷房エネルギーの量を減らす。
  2. 前記分離した層は、乾燥剤を染み込ませたフェルト層である、請求項1記載の方法。
  3. 前記フェルト層は、ポリプロピレン紙に表面変性された炭素を有する、請求項2記載の方法。
  4. 前記第1の層、第2の層及び乾燥剤を有する分離した層は、前記壁スペース内で内部パネルに配置され、ステップc)で、建物の暖房に使用するエネルギーの量を減らすようにした、請求項1記載の方法。
  5. 前記フェルト層は、ポリプロピレン紙内で表面変性された炭素を有するか、又は、モンモリロナイト粘土、又は合成ゼオライト(分子ふるい)、又は酸化カルシウム(CaO)、又は硫酸カルシウム(CaSO)、又は分子ふるいカーボン、又は活性アルミナ、又はシリカゲルを、紙、フェルト、不織布に染みこませたものを有する、請求項1記載の方法。
  6. 前記断熱材料は、柔らかに束ねられた断熱材料であり、前記乾燥剤は、表面変性された炭素、モンモリロナイト粘土、又は合成ゼオライト(分子ふるい)、又は酸化カルシウム(CaO)、又は硫酸カルシウム(CaSO)、又は分子ふるいカーボン、又は活性アルミナである、請求項1記載の方法。
  7. ステップc)での、前記乾燥剤からの前記吸収された水の湿気の放出は、対流物質移動を介して行う、請求項1記載の方法。
  8. 前記乾燥剤は、シリカゲルである、請求項1記載の方法。
  9. 前記シリカゲルは、乾燥粉として配置される、請求項8記載の方法。
  10. 前記建物は、冷房が支配的な気候に位置しており、
    前記建物は、空調されており、
    前記屋根裏スペースは、前記部屋の相対湿度よりも高い相対湿度を有し、
    前記建物は、72°F (22°C)よいりも高い外部温度に晒されている、
    請求項1記載の方法。
  11. 前記建物は、前記上部敷桁上に、間隔を開けて設けられた屋根裏根太、及び前記建物の前記屋根の下に配置され、該屋根を支持する、間隔を開けて設けられた屋根の垂木を有する、
    請求項1記載の方法。
  12. 前記乾燥剤を有する多孔性の断熱材料は、少なくとも前記根太の間に配置されている、
    請求項11記載の方法。
  13. ステップb)は、前記屋根裏スペースの相対湿度レベルを低下させる、
    請求項1記載の方法。
  14. 前記建物は、空調されており、冷房が支配的な気候中に配置されている、
    請求項1記載の方法。
  15. 前記多孔性の断熱材料は、柔らかに束ねられた材料である、
    請求項1記載の方法。
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