JP2013505308A - ニトリルゴムおよび有機溶媒中におけるその製造 - Google Patents

ニトリルゴムおよび有機溶媒中におけるその製造 Download PDF

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Abstract

本発明は、有機溶媒中、かつ特定の調節剤物質の存在下にラジカル重合の方法によってニトリルゴムを製造するための新規な方法に関する。前記重合に続けて、水素化を行って新規な水素化ニトリルゴムを製造することも可能であり、その水素化も、有利なことには、同様に有機溶媒中で起きる。そうして得られた、場合によっては水素化された、ニトリルゴムは、それらがポリマー主鎖中または末端基として、使用された調節剤物質の断片を有していることを特徴としている。広く各種の分子量および多分散性指数、特に極めて低い多分散性指数を有するニトリルゴムを製造することができる。

Description

本発明は、溶液中かつ特定の重合調節剤化合物の存在下に実施されるフリーラジカル重合によりニトリルゴムを調製するための方法、ならびにさらに、そのポリマー主鎖中またはその鎖末端にそれらの重合調節剤化合物に由来する構造要素を有する新規なニトリルゴム、そしてそのようなニトリルゴムを水素化するための方法、およびそれによって得られる水素化ニトリルゴムに関する。
ニトリルゴムは、略称の形で「NBR」とも呼ばれ、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーのコポリマーまたはターポリマーであるゴムである。水素化ニトリルゴム(「HNBR」)は、共重合されたジエン単位のC=C二重結合のいくつかまたは全部が水素化された、それらに相当するコポリマーまたはターポリマーである。
NBRおよびHNBRのいずれもが、特殊エラストマー分野において、長年にわたって堅固な地位を維持してきた。それらは、優れた耐油性、良好な耐熱性、および傑出したオゾンおよび薬品抵抗性の形で、性質面において優れており、後者においては、NBRよりもHNBRの方がさらに優れている。NBRおよびHNBRはさらに、極めて良好な機械的性質および使用性能も有している。このために、それらは、広く各種の応用分野において幅広く用途を見出しており、たとえば、自動車分野においてはシール、ホース、ベルト、制動要素の製造、そしてさらには、採油分野においてはステーター、坑井シール、およびバルブシールのため、ならびに電気産業、機械工学、および海洋工学における各種の部品のためなどにおいて採用されている。応用領域に従って、モノマー、分子量および多分散性が異なり、さらには機械的性質および物理的性質が異なった、極めて多くの各種のグレードが市場では入手可能である。標準グレートに加えて、特に、特定のターモノマー含量または特定の機能化を特徴とする特殊なグレードが求められることが多くなっている。
(H)NBRゴムの実用面においては、ゴムの加硫、すなわち特にその架橋剤系および加硫条件の重要性が増している。たとえば、すでに何十年もの間存在してきた、ペルオキシドベースおよび硫黄ベースの通常のゴム架橋系に加えて、近年では、それらに代わる架橋に対する各種の新規なアプローチ方法が開発されてきた。このタイプの架橋に対するアプローチ方法には、それらの官能基が原因で、すべての形態の架橋およびすべての架橋剤を受け付ける訳ではなく、そのため、特定の挑戦課題を有しているポリマーが含まれる。
工業的には、ニトリルゴムはほぼ全面的に、乳化重合と呼ばれる方法で製造されている。この方法のためには、得られるニトリルゴムの分子量、従って粘度を通常は、ドデシルメルカプタン、とりわけ三級ドデシルメルカプタン(「TDDM」または「TDM」と略称される)を使用して制御する。重合をさせた後に、得られたNBRラテックスを第一工程においてコアグレート化させ、NBR固形物をそれから単離する。そのニトリルゴムをさらに水素化してHNBRとすることを望むならば、従来技術の公知の方法、たとえば、均一系もしくは不均一系水素化触媒を使用して、この水素化を同様に起こさせる。それらの触媒は、典型的には、ロジウム、ルテニウム、またはチタンをベースとするものである。しかしながら、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルトまたは銅を、金属またはその他の形態、好ましくは金属化合物の形態で用いることもまた可能である。
工業的なスケールでは、このタイプのNBRからHNBRへの水素化反応は、典型的には、均一相中、すなわち有機溶媒中で実施される。この目的に好適な触媒および溶媒は、たとえば、(特許文献1)および(特許文献2)からも公知である。特に、Wilkinson触媒として知られている触媒が、有機溶媒のモノクロロベンゼン中においてニトリルゴムを選択的に水素化するには好適であることが証明されている。したがって、有機媒体中でこの水素化を実施するためには、重合の後で、水性エマルション中で得られたニトリルゴムをまず最初に単離しなければならない。これは、方法および装置両方の面で、コストも手間もかかる手順であり、そのために商業的には、全面的に魅力がある訳ではない。
このことに加えて、ニトリルゴムを水素化する過程で、かなりの(典型的には、2倍以上の)粘度上昇(ムーニー・ジャンプ(Mooney jump)として知られ、文献においてはムーニー増大比(Mooney Increase Ratio(MIR)と記載されていることも多い)が観察されうるという事実も存在する。この理由のために、水素化の前に、さらなる工程において、場合によっては(たとえばメタセシス法によって)ニトリルゴムの分子量低下させておいて、最終的に得られる水素化ニトリルゴムの分子量が高すぎたり粘度が高すぎたりするようなことがないようにしなければならない。今日までに開示され、工業的に組み入れることが可能な合成経路では、多分散性に影響を与える可能性についても、ある程度の限界も存在する。
その結果として、NBRおよびHNBRの調製方法を最適化するために広く各種の試みが既になされてきた。したがって、有機溶液中でニトリルゴムが得られるような重合法を実施するための試みもなされてきた。しかしながら、これまでのところ、それらの研究が成功する見込みはあまりなく、またそのような方法を工業的に実施するということは、現在までのところ、文献からも業界からも聞こえてこない。(非特許文献1)のアブストラクトにおいて、有機溶液中におけるアクリロニトリルと1,3−ブタジエンとの共重合に関して以下のことが観察されている(以下引用):「1589の数平均重合度、Pn(分子量(Mn)=約85 800g/mol)、40.5%の転化率とすると、その目的を達成するには、反応温度343゜Kで40時間かかった。目標転化率を下げない限り、時間を18時間に縮めるのは不可能であった。試みにした実験によると、一般的な条件下で、温度を353゜Kにまで上げても、Pn≧1400、かつ転化率40%以上を同時に達成することは不可能な範囲に入る」。反応時間が40時間以内で丁度40%の転化率が達成可能であるという制限は、そこに記載されている有機溶液重合方法が、技術的、経済的の両方の面で工業的実施に適していないということを意味している。
独国特許出願公開第A25 39 132号明細書 欧州特許出願公開第A0 471 250号明細書
C.Hollbeck、学位論文、Universitat−Gesamthochschule Essen,1995、p.II
上述のような背景があることに対して、本発明によって取り組んだ問題点は、第一に、特定のポリマー構造と微細構造の構築を可能とし、それによって、後に続く応用のための特定の性質類を設定可能とし、さらに単純な架橋もできるような、新規な、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを提供することである。それと同時に、第二には、広い分子量範囲と多分散性とを備えた、それら特定の新規なニトリルゴムを製造するための問題を解決することであり、さらにその次の過程として、極端に単純な調製方法を介して、それに相当する水素化ニトリルゴムが得られるようにすることであった。
驚くべきことには、特定のRAFT重合調節剤を使用した溶液中のフリーラジカル重合と、場合によってはそれに続く水素化反応によって、新規で、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを調製することが可能であることが見出された。
本発明は、以下のものを含む新規なニトリルゴムを提供する:
(i)少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位、ならびに
(ii)一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、または(V)の、一つまたは複数の構造要素。
[式中、
Zは、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、ヒドロキシイミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、ホスホナト、ホスフィナト、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、ニトリル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、およびイソシアニドであり、
Rは、(a)m≠0であるならば、残基Zと同じ定義を有していてよく、そして
(b)m=0であるならば、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、カルバモイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、またはイソシアニドであり、
Mは、共役もしくは非共役ジエン、アルキンおよびビニル化合物を含む1種または複数のモノ−もしくはポリ−不飽和モノマーの繰り返し単位を表すか、または、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含むポリマーをもたらす構造要素を表し、
nとmは、同様であっても異なっていてもよく、それぞれ0〜10 000の範囲であり、
tは、n=0であるならば0または1であり、n≠0であれば1であり、そして
Xは、C(Z)、N(Z)、P(Z)、P(=O)(Z)、O、S、S(=O)またはS(=O)であるが、これらの残基の中のZが、先に述べたものと同じ定義を有していることも可能である]
本明細書の目的のためには、「ニトリルゴム(単一または複数)」という用語は、広く解釈されるべきであって、ニトリルゴムのみではなく、水素化ニトリルゴムもまた包含されている。水素化ニトリルゴムに関連しては、「〜から誘導された繰り返し単位を含むニトリルゴム」という上述の表現(formulation)は、したがって、共役ジエンに由来する繰り返し単位が、ポリマー中に最初は存在していたC=C二重結合のいくぶんかまたは全部が、重合の後で、水素化反応を受ける単位であるということを意味している。
本明細書において「置換された」という用語を使用した場合には、これは、指示された残基または原子の上の水素原子が、指示された基の一つによって置換されたということを意味しているが、ただし、指示された原子の原子価が過剰にならず、そして常にこの置換反応が安定な化合物をもたらすという条件下においてのみに限定される。
本発明はさらに、ニトリルゴムを調製するための方法も提供するが、その場合
a)まず第一に、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーのフリーラジカル重合を、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の重合調節剤の存在下に実施し、そして
b)場合によっては、次いで水素化を実施するが、
それには、重合調節剤として、一般構造式(VI)の少なくとも1種の化合物を使用する。
[式中、
Zは、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、ヒドロキシイミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、ホスホナト、ホスフィナト、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、ニトリル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、およびイソシアニドであり、
Rは、(a)m≠0であるならば、残基Zと同じ定義を有していてよく、そして
(b)m=0であるならば、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、カルバモイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、またはイソシアニドであり、
Mは、共役もしくは非共役ジエン、アルキンおよびビニル化合物を含む1種または複数のモノ−もしくはポリ−不飽和モノマーの繰り返し単位を表すか、または、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含むポリマーをもたらす構造要素を表し、
nとmは、同様であっても異なっていてもよく、それぞれ0〜10 000の範囲であり、
tは、n=0であるならば0または1であり、n≠0であれば1であり、そして
Xは、C(Z)、N(Z)、P(Z)、P(=O)(Z)、O、S、S(=O)またはS(=O)であるが、これらの残基の中のZが、式(VI)について先に述べたものと同じ定義を有していることも可能である]
本発明の、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムは、ポリマー主鎖の中または末端基としてのいずれかに、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、または(V)の構造要素の一つまたは複数が存在していることを特徴としている。これらの構造要素/末端基に基づいて、このタイプの、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムは、それらの構造要素/末端基が、さらなるフラグメンテーションによって、RAFT剤として働くことができるために、他の重合性モノマーと後続の反応をすることができる。この方法で、広く各種のポリマー構造を目標に合わせて構成することが可能となる。さらには、本発明のこれらの、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムはさらに、それらの構造要素/末端基が、典型的な架橋剤、とりわけ硫黄ベースのものと構造的に類似しているために、通常のニトリルゴムよりも容易に架橋させることができる。したがって、本発明の、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを用いると、架橋剤の量を少なくしても、十分な架橋密度を得ることができる。さらに、末端基を介して架橋させることにより、加硫物中のルーズなポリマー鎖末端の数が少なくなり、その結果、たとえば動的性質のような物性が改良される。
有機溶液中でニトリルゴムを得るためのフリーラジカル重合が完全に可能であるという事実は、当業者にはまったく予想もされていなかったが、それは、NBRを溶液重合にしようとする従来の研究はすべて、合理的な成功をもたらさなかったからである。
上述の重合調節剤化合物は公知であって、RAFT法と呼ばれていた。この方法は、各種のポリマーの合成においては既に使用されている(国際公開第A−01/60792号パンフレット−、米国特許第7,230,063B1号明細書、国際公開第A−2007/003782号パンフレット−、米国特許出願公開第A−2008/0153982号明細書、国際公開第A−2005/061555号パンフレット)。
国際公開第A−98/01478号パンフレットには、広く各種のホモポリマーおよびコポリマーの調製法が記載されている。合成されたホモポリマーの例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、およびポリスチレンが挙げられる。調製されたブロックコポリマーの例としては、以下のものが挙げられる:ポリ(アクリル酸メチル−ブロック−アクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸n−ブチル−ブロック−アクリル酸)、ポリ(4−メチルスチレン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−アクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸メチル−ブロック−スチレン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−スチレン)(実施例67)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)(実施例69)など。しかしながら、共役ジエン、とりわけ1,3−ブタジエンと、α,β−不飽和ニトリル、とりわけアクリロニトリルとの共重合は、国際公開第A−98/01478号パンフレットには、記載や示唆はまったくない。
RAFT法による純粋なポリアクリロニトリル(PAN)の調製は既に公知である。予備的な試みは、Macromolecules,2003,36,8537からも公知であって、そこでは、最高で16 000gm/molまでのほんの低い分子量で、約1.1の狭い分子量分布を有するポリアクリロニトリルが得られた。それ以来、その他の研究が実施されて、RAFT重合によってポリアクリロニトリルを調製して、妥当な結果が得られるようになった。この方法は、European Polymer Journal(2008),44(4),1200〜1208(Xiao−hui Liu,Gui−bao Zhang,Bai−xiang Li,Yun−gang Bai,Ding Pan,およびYue−sheng Li)も含め、各種の文献に記載されている。そこでは、RAFT法を使用し、溶液中で、インサイチュー発生重合調節剤の2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエートおよび2−シアノプロプ−2−イルジチオフェニルアセテートのための前駆体としての、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィドまたはビス(チオフェニルアセトイル)ジスルフィドを使用して、高分子量(Mn>200 000g/mol)で低多分散性指数(PDI、約1.7)のポリアクリロニトリルを得ることが可能となった。それとは対照的に、Jouranal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry(2005),44(1),490〜498に記載されているように、アクリロニトリルをホモ重合させるためのRAFT重合調節剤としてジベンジルトリチオカーボネートを使用すると、多分散性は1.02〜2.35の間ではあるものの、<30 000g/molの低分子質量(M)を有するポリマーしか得られなかった。Macromolecular Chemistry and Physics(2002),203(3),522〜537からはさらに、RAFT法によって1,3−ブタジエンをホモ重合させると、低分子量のポリマーしか得られないことも判っているが、得られた分子量(M)は、RAFT重合調節剤としてジベンジルトリチオカーボネートを用いた上述のポリアクリロニトリル調製の場合よりもさら低く、3.40の高い多分散性との組合せで、最大で10 500g/molである。実際のところ、ここで顕著に低い、最低で1.24の多分散性を得ることもまた可能ではあるが、そうすると、分子量(M)が実質的に低下して、1300g/molにまでなってしまう。
少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーの繰り返し単位を有するニトリルゴムの場合、今日にいたるまで、RAFT法を適用する可能性については、記載もなければ、どこかで示唆されたこともなかった。特に、ポリブタジエンの調製についての上述の検討(Macromolecular Chemistry and Physics(2002),203(3),522〜537)に逆らって、NBRの重合においてRAFT重合調節剤と呼ばれているものを使用すると成功の結果が得られるであろうなどということは、実際のところ、まったく予想もされていなかった。上述の検討では、分子量において、工業的に不利な桁という結果しか得られてなかった(工業的に使用可能なブタジエンベースのポリマーは一般的に、>50 000g/molの分子量Mnが必要とされ、アクリロニトリルおよびブタジエンベースのランダムコポリマーについても同じことがあてはまる)。
本発明の方法を用いれば、NBRを調製するための従来からの乳化重合で必要とされるのと同等の時間の内に、この方法を工業的な実施に適したものとする転化率を得ることが可能となる。たとえば、10時間未満の重合時間の間に、50%の転化率がすでに達成されており、それと同時に、工業的に受容可能な分子量(Mn>50 000g/mol)と、(従来からのエマルションNBRに比較して)今日まで達成することが不可能であった、2.0よりも明らかに低い低多分散性とを有している。
サンプルNBR#5を示す。 サンプルNBR#5のスペクトルの拡大図(extract)を示す。 実施例7からのRAFT−NBR#7の構造
本発明の方法では、少なくとも1種の上述の一般式(VI)の重合調節剤を使用する。
一般式(VI)の残基ZおよびRの中で記述された定義は、それぞれの場合において、単一もしくは複数の置換をされていてもよい。以下の残基は、単一もしくは複数の置換をされているのが好ましい:アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、カルバモイル、ホスホナト、ホスフィナト、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、およびエポキシ。
次いで、適切な置換基としては、(化学的に安定な化合物が形成されるならば)、Zが採用することが可能なすべての定義が挙げられる。特に好適な置換基は、ハロゲン、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、ニトリル(CN)、およびカルボキシルである。
一般式(VI)の中のZおよびRについて記述された定義には、記述された残基の塩もまた明らかに含まれるが、ただし、それらが化学的に可能であり、かつ安定である必要がある。それらは、たとえば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、または一般式(VI)の重合調節剤のプロトン化された形などであってよい。
一般式(VI)におけるZおよびRに与えられた定義にはさらに、有機金属残基も含まれるが、そのような例としては、その重合調節剤にグリニャール機能を与えるものが挙げられる。ZおよびRはさらに、対イオンとしてリチウム、亜鉛、スズ、アルミニウム、鉛、およびホウ素を有するカルボアニオンを表すか、またはそれらを含んでいてもよい。
重合調節剤におけるさらなる可能性としては、リンカーを介し、残基Rによって固相または担持物質に結合させることも挙げられる。リンカーは、当業者には公知の、Wang酸、Sasrin酸、Rink酸、2−クロロトリチル、Mannich、Safety Catch、Traceless,または感光性リンカーなどであってよい。好適な固相または担持物質の例としては、以下のものが挙げられる:シリカ、イオン交換樹脂、クレー、モンモリロナイト、架橋ポリスチレン、ポリスチレン上にグラフトさせたポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド(「Pepsyn」)、ポリエチレングリコール−アクリルアミドコポリマー(PEGA)、セルロース、綿、粒状化多孔質ガラス(CPG=controlled pore glass(細孔調節ガラス))。
たとえば、ロジウム、ルテニウム、チタン、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、鉄、または銅などの中心金属をベースとする有機金属錯体化合物のための配位子として一般式(VI)の重合調節剤を機能させることもさらに可能である。
上述の一般式(VI)において残基「M」として定義されたものが、単一もしくは複数の置換をされていてもよい。したがって、Mは、モノ−もしくはポリ−不飽和モノマー、好ましくは場合によっては単一もしくは複数の置換をされた共役もしくは非共役ジエン、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキン、または場合によっては単一もしくは複数の置換をされたビニル化合物、たとえばフッ素化されたモノ−もしくはポリ−不飽和ビニル化合物などの一つまたは複数の繰り返し単位を表していてもよいし、そうでなければ、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含む、置換もしくは非置換ポリマーから誘導された二価の構造要素を表していてもよい。したがって、これらの残基「M」の背後には、モノマー性またはポリマー性の残基が存在していてもよい。
以下のような一般式(VI)の重合調節剤を使用するのが好ましい:
ZおよびRが、一般式(VI)についての上述の定義を有しており、そして、
n、mおよびtがいずれもゼロである。
したがって、この好ましい重合調節剤は、一般的構造(VIa)を有している。
[式中、残基ZおよびRは、先に述べた一般式(VI)についての定義のいずれかを有していてよい]
トリチオカーボネート:
さらなる好ましい重合調節剤としては、一般式(VIb)の重合調節剤を使用することも可能である。
[式中、
Zは、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、
Rは、先に述べた一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
この一般式(VIb)の特に好ましい重合調節剤は、以下の条件を有する一般式(VI)の重合調節剤から得られたものである:
nおよびmが、それぞれ0であり、
tが、1であり、
Xが、硫黄であり、
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、そして
Rが、先に述べた一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している。
したがって、これら、一般式(VIb)の特に好ましい重合調節剤の場合には、所定の定義の文脈においてZおよびRが同一であるか異なっているかに依存して、トリチオカーボネートが対称であるか、または非対称となる。
以下の一般式(VIb)の重合調節剤を使用するのが特に好ましい:
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、そして
Rが、以下のものである(ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
さらには、以下の一般式(VIb)の重合調節剤を使用するのがより特に好ましい:
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しているが、ただしこの場合も同様に、それらの定義に加えて、Rが、Z−S結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという、追加の制限を有している。
その場合、そのトリチオカーボネート重合調節剤においては、両方の残基のRおよびZが、重合開始効果を有している。
さらには、以下の一般式(VIb)の重合調節剤を使用するのが極めて特に好ましい:
RとZが、同様であるかまたは異なっているが、ただし、RおよびZが、R−S結合またはZ−S結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成しており、それらが、以下のものである:
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
一般式(VIb)、そして以下の一般式(VIc)、(VId)、および(VIe)で使用されているように、「Rが、ホモリティック開裂の後に、二級もしくは三級のラジカルを形成している」という表現に関しては、以下の定義があてはまる。それらは、同様にして、「Zが、Z−S結合のホモリティック開裂の後に、二級もしくは三級のラジカルを形成している」という、対応する表現にも同じようにあてはまるが、ここでその表現は、本明細書の文脈においては、Zに関連して使用される。
一般式(VIb)において(さらには、それぞれ、以下の一般式(VIc)、(VId)および(VIe)において)、Sに対する結合を形成する残基Rの中の原子が、R−S結合のホモリティック開裂で、「三級」と呼ばれるラジカルになる場合には、(硫黄に対する結合は例外として)この原子がそれに対して、少なくとも以下のように結合している:
(i)単結合を介して三つの置換基、または
(ii)単結合を介して一つの置換基および二重結合を介してのさらなる置換基、または
(iii)三重結合を介して一つの置換基、
(上述の置換基はいずれも、必然的に水素以外のものである)。
一般式(VIb)、(VIc)、(VId)および(VIe)において、Sに対する結合を形成する残基Rの中の原子が、R−S結合のホモリティック開裂で、前記原子に結合して「二級」とみなされるラジカルになる場合には、そこには以下のものが存在している:
(i)単結合を介した二つの置換基が存在するか、または
(ii)二重結合を介した一つの置換基が存在しているが、
ここで、上述の置換基のすべてが、水素以外のものであり、かつ、さらに置換可能なものはいずれもHであることが必要である。
R−S(またはZ−S)結合のホモリティック開裂で「三級」と称されるラジカルが生成する残基RまたはZの例は、たとえば、tert−ブチル、シクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、および2−メチル−プロパンニトリル−2−イルである。
R−S(またはZ−S)結合のホモリティック開裂で「二級」と称されるラジカルが生成する残基RまたはZの例は、たとえば、sec−ブチル、イソプロピル、およびシクロアルキル、好ましくはシクロヘキシルである。
後ほど式(VId)で使用するような条件で、Zが、Z−S結合のホモリティック開裂の後に、一級ラジカルを形成する」という効果に関しては、次の定義が適用される:一般式(VId)の中のSに対する結合を生じる残基Zの中の原子が、Z−S結合のホモリティック開裂で、「一級」と呼ばれるラジカルを形成するのは、この原子がそれに対して、単結合を介して結合されているか、水素ではない置換基が無いか、1個以下の置換基を有しているときである。Z=Hの場合には、定義から、上述の条件が適合していると考える。
Z−S結合のホモリティック開裂で、「一級」と呼ばれるラジカルを生じる残基Zの例としては、たとえば、H直鎖状のC〜C20アルキル残基、OH、SH、SR、およびSに対する結合を作るC原子を超えて分岐を有するC〜C20アルキル残基が挙げられる。
ジチオエステル:
使用することが可能な、さらに好ましい重合調節剤は、一般式(VIc)の重合調節剤である:
Zは、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、
Rが、先に述べた一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している。
この一般式(VIc)の特に好ましい重合調節剤は、以下の条件を有する一般式(VI)の重合調節剤から得られたものである:
nおよびmが、それぞれ0であり、
tが、1であり、
Xが、C(Z)であり、
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、そして
Rが、先に述べた一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している。
以下の一般式(VIc)の重合調節剤を使用するのが特に好ましい:
Rが、以下のものである(ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和もしくは不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アリールアルキル残基、極めて好ましくはC−C25−(ヘテロ)アリールアルキル残基、特に好ましくはベンジル、フェニルエチル、もしくは1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
非対称トリチオカーボネート:
また別の好ましい実施態様においては、少なくとも1種の一般式(VId)の重合調節剤を使用する。
[式中、
Zは、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しているが、ただし、Zが、S−Z結合のホモリティック開裂の後に、一級のラジカルを形成するという制限を有しており、そして
Rは、一般式(VI)におけるZと同じ定義を有していてもよいが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有しており、
さらなる条件として、ZとRが、異なった定義を採用している]
この一般式(VId)の好ましい重合調節剤は、以下の条件を有する一般式(VI)の重合調節剤から得られたものである:
nおよびmがそれぞれ0であり、
tが1であり、
Xが硫黄であり、
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しているが、ただし、Zが、S−Z結合のホモリティック開裂の後に、一級のラジカルを形成するという制限を有しており、そして
Rが、一般式(VI)におけるZと同じ定義を有していてもよいが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している。
したがって、これらの特に好ましい一般式(VId)の重合調節剤は、非対称のトリチオカーボネートである。
以下のようなZを有する、上述の一般式(VId)の重合調節剤が特に好ましい:
Zが、(ただし、Zが、S−Z結合のホモリティック開裂の後で、一級のラジカルを有する)、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、極めて好ましくは相当するC〜C16アルキル残基、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロプ−1−イル、ブテ−2−エン−1−イル、n−ペンテ−1−イル、n−ヒキス−1−イル、もしくはn−ドデカン−1−イル、アラルキル、極めて好ましくはC−C25−アラルキル、特に好ましくはベンジル、アミノ、アミド、カルバモイル、ヒドロキシイミノ、アルコキシ、アリールオキシ、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、アルキルチオ、アリールチオ、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、イソシアニド、または上述の化合物の塩であり、そして
Rが、以下のものである(ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状、分岐状もしくは環状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和もしくは不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
ジチオエステル:
さらなる好ましい実施態様においては、少なくとも1種の一般式(VIe)の重合調節剤を使用する。
[式中、
Zは、先に述べた一般式(VI)の定義のいずれかを有していてよく、そして
Rは、一般式(VI)におけるZと同じ定義を有していてもよいが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
この一般式(VIe)の好ましい重合調節剤は、以下の条件を有する一般式(VI)の重合調節剤から得られたものである:
nおよびmが、それぞれ0であり、
tが、1であり、
Xが、CHであり、
Zが、先に述べた一般式(VI)についての定義を有しており、そして
Rが、一般式(VI)におけるZと同じ定義を有していてもよいが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している。
以下のようなRを有する、上述の一般式(VIe)の重合調節剤が特に好ましい:
Rが、以下のものである(ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和もしくは不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アリールアルキル残基、極めて好ましくはC−C25−(ヘテロ)アリールアルキル残基、特に好ましくはベンジル、フェニルエチル、もしくは1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
上述の重合調節剤はいずれも、従来技術から、当業者にはなじみのある方法により合成することができる。合成手順および調製の手引きに関するさらなる文献は、たとえば、Polymer,49(2008),1079〜1131、ならびに本明細書において従来技術としてすでに引用されたすべての参考文献および特許に見出すことができる。多くの重合調節剤は、既に市販されている。
本発明の方法において重合調節剤として特に好適なものとしては、以下のものが挙げられる:ドデシルプロパン酸トリチオカーボネート(DoPAT)、ジベンゾイルトリチオカーボネート(DiBenT)、クミルフェニルジチオアセテート(CPDA)、クミルジチオベンゾエート、フェニルエチルジチオベンゾエート、シアノイソプロピルジチオベンゾエート、2−シアノエチルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオフェニルアセテート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、S−チオベンゾイル−1H,1H,2−ケト−3−オキサ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカンチオール、およびS−チオベンゾイル−1−フェニル−2−ケト−3−オキサ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカンチオール。
重合開始剤1モルあたり、5〜2000mol%の重合調節剤を通常使用する。重合開始剤1モルあたり、20〜1000mol%の重合調節剤を使用するのが好ましい。
重合開始剤:
本発明の方法は、フリーラジカル重合である。重合を開始させる方法はそれほど重要ではなく、したがって、ペルオキシド系重合開始剤、アゾ重合開始剤、レドックス系、または光化学的開始が考えられる。これらの重合開始剤の内では、アゾ重合開始剤が好ましい。
使用することが可能なアゾ重合開始剤としては、たとえば以下の化合物が挙げられる:
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シアノ−2−ブタン)、ジメチル2,2’−アゾビスジメチルイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハイドレート、2,2’−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、および2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)。
アゾ重合開始剤は、典型的には10−4〜10−1mol/Lの量、好ましくは10−3〜10−2mol/Lの量で使用する。使用する重合開始剤の量の、使用する重合調節剤の量に対する比率をバランスさせることによって、反応動力学のみならず、分子構造(分子量、多分散性)にも特別に影響を与えることに成功する。
使用することが可能なペルオキシド系重合開始剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:−O−O単位を含むペルオキソ化合物、過酸化水素、ペルオキソジスルフェート、ペルオキソジホスフェート、ヒドロペルオキシド、過酸、過酸エステル、過酸無水物、および二つの有機残基を有するペルオキシド。ペルオキソニ硫酸およびペルオキソニリン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、およびアンモニウム塩を使用することが可能である。好適なヒドロペルオキシドの例としては以下のものが挙げられる:t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、およびp−メンタンヒドロペルオキシド。好適な、二つの有機残基を有するペルオキシドとしては、以下のものが挙げられる:ジベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジペルベンゾエート、t−ブチルペル−3,5,5−トリメチルヘキサノエート。p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、またはピナンヒドロペルオキシドを使用するのが好ましい。
また別の実施態様においては、分解時間が長いアゾ重合開始剤またはペルオキシド系重合開始剤が使用される。この場合においては、選択された溶媒中におけるアゾ重合開始剤またはペルオキシド系重合開始剤それぞれの、70℃〜200℃、好ましくは80℃〜175℃、より好ましくは85℃〜160℃、特に好ましくは90℃〜150℃の温度における半減期が、10時間または10時間以上となるように、重合開始剤を選択することが適切であることが見出されていた。この場合、選択された溶媒中における、70℃〜200℃、好ましくは80℃〜175℃、より好ましくは85℃〜160℃、極めて好ましくは90℃〜150℃の温度における半減期が、10時間または10時間以上であるアゾ重合開始剤が好ましい。次の構造式(Ini−1)〜(Ini−6)のアゾ重合開始剤を使用するのが特に好ましい。
式(Ini−2)および(Ini−3)の重合開始剤を使用するのがとりわけ好ましい。
上述の構造式(Ini−1)〜(Ini−6)のアゾ重合開始剤は、たとえば、和光純薬工業株式会社から市販されている。
「半減期」の概念は、重合開始剤に関連する当業者にはなじみのあるものである。単なる一例であるが、ある溶媒中で特定の温度で10時間の半減期ということは、具体的には、そのような条件下では、10時間後にはその重合開始剤の半分が、分解されているということを意味している。
比較的に高い分解温度を有する、上述の好ましい重合開始剤、とりわけ上述のアゾ重合開始剤を使用すると、比較的に高い平均分子量Mw(分子量の重量平均)およびMn(分子量の数平均)を有するニトリルゴムを合成することが可能であり、そのものは、それと同時に高い直鎖性でも特徴を有している。このことは、ISO 289、パート1&2によるか、またはそれに代えてASTM D1646によって測定したムーニー緩和が相応に低いことからも実証される。
使用可能なレドックス系は、酸化剤と還元剤とからなる下記の系である。酸化剤と還元剤の適切な量の選択は、当業者には十分になじみのあることである。
レドックス系を使用する場合においては、鉄、コバルトまたはニッケルのような遷移金属化合物の塩を、適切な錯化剤たとえば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、さらにはリン酸三ナトリウムまたは二リン酸四カリウムと組み合わせてさらに使用することが一般的である。
この状況において使用することが可能な酸化剤としては、たとえば、先にペルオキシド系重合開始剤のところで示したすべてのペルオキソ化合物が挙げられる。
本発明の方法において使用することが可能な還元剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ベンズアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、還元糖、アスコルビン酸、スルフェン酸塩、スルフィン酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、糖類、尿素、チオ尿素、キサントゲン酸塩、チオキサントゲン酸塩、ヒドラジニウム塩、アミン、およびアミン誘導体たとえば、アニリン、ジメチルアニリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン。ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
フリーラジカル重合はさらに、以下に述べるように、光化学的に開始させてもよい。この目的のためには、反応混合物に光重合開始剤を添加し、適切な波長の光に暴露させることによってその光重合開始剤を励起させて、フリーラジカル重合を開始させる。この場合、フリーラジカル重合を最適に開始させるためには、その照射時間は、照射源の出力、照射源と反応容器との間の距離、そして照射面積に依存するということに注意するべきである。しかしながら、当業者にとっては、各種の一連の試験をすることによって、最適な照射時間を決めることは容易に可能である。適切な量の重合開始剤を選択することもまた当業者にとっては問題なく可能であって、それを使用して、重合の時間/転化率挙動を調節できる。
使用することが可能な光化学的重合開始剤の例としては以下のものが挙げられる:ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロxyベンゾフェノン、4,4’−ビス[2−(1−プロペニル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチルフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、3’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−エトキシアセトフェノン、4’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−フェノキシアセトフェノン、4’−tert−ブチル−2’,6’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4,4’−ジメチルベンジル、ヘキサクロロシクロペンタジエン、またはそれらの組合せ。
溶媒:
本発明の方法は、有機溶媒の中で実施される。したがって、その反応系の中には、乳化重合の場合におけるような大量の水は存在しない。より少量の水、すなわち有機溶媒の量を基準にして5重量%まで、好ましくは1重量%までの量のオーダーの水がその反応系の中に存在していてもよい。重要なのは、生成してくるNBRポリマーの沈殿が起きないように、存在している水の量を低く維持するべきだということである。この時点で明確に宣言しておくが、本発明の方法は、乳化重合ではない。
好適な有機溶媒の例としては、以下のものが挙げられる:ジメチルアセトアミド、モノクロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、t−ブタノール、イソブチロニトリル、3−プロパノン、ジメチルカーボネート、4−メチルブタン−2−オン、およびメチルエチルケトン。15.5〜26(MPa)1/2の間の範囲にあるHildebrand溶解パラメーターδを有する極性溶媒が好ましい(δ=((ΔH−RT)/V1/2[(MPa)1/2])(V=モル体積;ΔH=蒸発エンタルピー;R=理想気体定数)。
溶媒が適切かどうかにおいて重要なのは、生成したニトリルゴムが、(通常、より低い範囲にある)その反応温度で、完全に溶液の中に留まっているべきであるということである。反応中に連鎖移動剤として妨害をするような溶媒、たとえば四塩化炭素、チオール、および、当業者にはそのタイプの溶媒であると公知のその他の溶媒を使用することはできない。
2種以上の有機溶媒の混合物を使用することも、同様に可能である。
上記の要件を満たし、アクリロニトリルの沸点よりも低い沸点を有する溶媒、たとえばメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を使用することもまた可能である。
温度:
本発明の方法は、典型的には60℃〜150℃の範囲、好ましくは70℃〜130℃の範囲、より好ましくは80℃〜120℃の範囲、特に好ましくは90℃〜110℃の範囲の温度で実施される。選択された温度がさらに低いと、重合もそれ相応に遅くなる。顕著に高い温度では、使用した重合開始剤の分解が早すぎたり、RAFT剤が分解したりする可能性がある。ペルオキシド系重合開始剤を使用した場合には特に、ある種の条件下においては、その重合調節剤が酸化されてしまう可能性もある。
反応:
ペルオキソ化合物によるか、またはアゾ重合開始剤によって開始させた場合においては、本発明の方法の実施では、典型的には、α,β−不飽和ニトリルおよび場合によっては採用される他の共重合性モノマー、溶媒、重合開始剤、さらには1種または複数の重合調節剤を反応容器に仕込み、次いで1種また複数の共役ジエンを計量仕込みするようにする。次いで温度を上げることによって、重合を開始させる。
レドックス系の手段による開始の場合においては、典型的には、酸化剤を、モノマーの内の一つと共に反応容器の中に計量仕込みする。次いで還元剤を添加することによって、重合を開始させる。
コポリマー/ターポリマーの中におけるそれぞれのモノマーを特定の比率とするためには、計量添加において適切な調節(たとえば、後の方で、より大量の個別のモノマー、より大量の重合開始剤の量、調節剤の量または溶媒を計量仕込みすることによる)を実施するのが賢明であり、また当業者にはよく知られたことである。これらの遅れての計量添加は、連続的に実施しても、あるいは個別の割合として断続的に実施してもよい。モノマーもしくは重合開始剤の遅れての計量添加も同様に、連続的に実施しても、あるいは個別の割合として断続的に実施してもよい。
適切な分子量に設定したり、所望の転化率を達成させたりする目的では、本発明の方法の一つの実施態様において、重合反応の過程の一つまたは複数の時点で、より多くの重合開始剤およびより多くの溶媒を、遅れて計量添加するのが適切であることが見出された。
ニトリルゴム:
新規な重合方法によって提供されるのは、以下のものを含む(場合によっては水素化された)ニトリルゴムである:
(i)少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位、ならびに
(ii)一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、または(V)の、一つまたは複数の構造要素。
[式中、
Zは、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、ヒドロキシイミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、ホスホナト、ホスフィナト、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、ニトリル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、およびイソシアニドであり、
Mは、共役もしくは非共役ジエン、アルキンおよびビニル化合物を含む1種または複数のモノ−もしくはポリ−不飽和モノマーの繰り返し単位を表すか、または、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含むポリマーをもたらす構造要素を表し、
nおよびmは、同様であっても異なっていてもよく、それぞれ0〜10 000の範囲であり、
tは、n=0であるならば0または1であり、n≠0であれば1であり、
Xは、C(Z)、N(Z)、P(Z)、P(=O)(Z)、O、S、S(=O)またはS(=O)であるが、これらの残基の中のZが、先に述べたものと同じ定義を有していることも可能であり、そして
Rは、(a)m≠0であるならば、残基Zと同じ定義を有していてよく、そして
(b)m=0であるならば、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、カルバモイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、またはイソシアニドである]
上述の残基ZおよびRにおいて記載された定義は、それぞれの場合において、単一または複数の置換をされていてもよい。この点に関しては、一般式(VI)の場合にZおよびRについてなされたコメントが同様に適用される。さらに、ZおよびRのためのある種の定義を含めることに関して一般式(VI)についてなされたコメント(記述された残基塩の形、有機金属錯体化合物のための配位子そしての有機金属塩の形、およびリンカーを介しての固相または担持物質への結合)は、一般的構造要素(I)〜(V)におけるZおよびRにも同様に適用される。さらに、Mの背後に横たわる定義の任意の置換に関して一般式(VI)についてなされたコメントも、一般的構造要素(I)、(II)、(IV)、および(V)にも同様に適用される。
一般式(VIb−1)および(VIb−2)の構造要素(ii)を含む、非水素化もしくは水素化ニトリルゴムが好ましい。
[式中、
Zは、先に述べた一般式(I)についての定義を有しており、そして
Rは、先に述べた一般式(I)についての定義を有しているが、ただし、Rが、ニトリルゴムにおいて隣接する結合原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
ここでは、ZとRが異なっているのが特に適していることが判明した。
これらの構造要素は、ニトリルゴムの中の末端基として存在しており、一般式(VIb)の好ましい重合調節剤を使用したときに生成する。
特に好ましいニトリルゴムは、一般的構造要素(ii)として末端基(VIb−1)および(VIb−2)を含むものであって、ここでRが以下のものである(ただし、Rが、次にある結合原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
一般的構造要素(ii)が以下のものを含む非水素化もしくは水素化ニトリルゴムが特に好ましい:
および
および/または
[式中、
Zは、一般式(I)における同じ定義を有していてよく、そして、
Rは、一般式(II)でm=0の場合と同じ定義を有していてよく、そして
RとZは同様であっても異なっていてもよいが、ただし、それぞれの場合において、RおよびZが、(場合によっては水素化された)ニトリルゴム中のそれぞれ隣接した原子に対するそれらの結合のホモリティック開裂の後に、それぞれ、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する]
上述の一般的構造要素(II)を有する非水素化もしくは水素化ニトリルゴムは、重合調節剤として一般構造式(VIb)の化合物を使用した場合に得られるが、その式の中でZは、一般式(VI)の場合と同じ定義を有し、そしてRは、先に述べた一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有していて、RとZは同様であっても異なっていてもよいが、ただし、RおよびZは、重合調節剤における最も近い硫黄に対するそれらの結合のホモリティック開裂の後に、それぞれが、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する。
一般的構造要素(ii)として、要素(III)および(II’)および/または(I’)を含む非水素化もしくは水素化ニトリルゴムが特に好ましいが、ここで、
RとZは、同様であっても異なっていてもよいが、ただし、RおよびZが、それぞれ隣接した結合原子に対するホモリティック開裂の後に、それぞれ二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成し、それは、以下のものである:
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
一般的構造要素(ii)として以下のものを含む非水素化もしくは水素化ニトリルゴムが好ましい。
および
[式中、
Zは、先に述べた一般式(I)についての定義を有しており、
Rは、先に述べた一般式(II)についての定義を有しているが、ただし、Rが、非水素化もしくは水素化ニトリルゴムにおいて隣接する原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
これらの構造要素は、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムの中の末端基として存在しており、一般式(VIc)の好ましい重合調節剤を採用したときに形成される。
一般的構造要素(ii)として、構造要素(VIc−1)および(VIc−2)を含む非水素化もしくは水素化ニトリルゴムが特に好ましいが、ここで、
Rは、以下のものである(ただしRが、非水素化もしくは水素化ニトリルゴム中の次の原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する):
− 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
− 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
− (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
− (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
− チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩。
ニトリルゴム中の共役ジエンは、いかなるタイプのものであってもよい。(C〜C)共役ジエンを使用するのが好ましい。1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物が特に好ましい。1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物がさらに特に好ましい。1,3−ブタジエンがとりわけ好ましい。
α,β−不飽和ニトリルとしては、各種公知のα,β−不飽和ニトリルを使用することができるが、(C〜C)α,β−不飽和ニトリル、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物が好ましい。アクリロニトリルが特に好ましい。
一つの特に好ましいニトリルゴムは、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンとのコポリマーである。
さらなる共重合性ターモノマーとしては、たとえば以下のものを使用することが可能である:芳香族ビニルモノマー、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンおよびビニルピリジン、フッ素含有ビニルモノマー、好ましくはフルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−フルオロメチルスチレン、ビニルペンタフルオロベンソエート、ジフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレン、またはそうでなければ共重合性老化防止性モノマー、好ましくはN−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、およびN−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリン、さらには非共役ジエン、たとえば4−シアノシクロヘキセンおよび4−ビニルシクロヘキセン、あるいは他のアルキン、たとえば1−もしくは2−ブチン。
別な方法として、さらなる共重合性ターモノマーとして、カルボキシル基を含む共重合性ターモノマーを使用することも可能であるが、その例としては以下のものが挙げられる:α,β−不飽和モノカルボン酸、それらのエステル、α,β−不飽和ジカルボン酸、それらのモノエステルもしくはジエステル、またはそれらに対応する酸無水物もしくはアミド。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸を使用することが可能である。
α,β−不飽和モノカルボン酸のエステル、好ましくはそれらのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルを採用することもまた可能である。α,β−不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル、とりわけC〜C18アルキルエステルが好ましい。特に好ましいのは以下のものである:アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル、とりわけC〜C18アルキルエステル、特に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸2−エチルヘキシル。α,β−不飽和モノカルボン酸のアルコキシアルキルエステルもまた好ましく、より好ましくはアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルコキシアルキルエステル、より好ましくはアクリル酸もしくはメタクリル酸のC〜C12アルコキシアルキルエステル、極めて好ましくはアクリル酸メトキシメチル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸メトキシメチル。アルキルエステル、たとえば上に挙げたようなものと、アルコキシアルキルエステル、たとえば上に挙げた形態のものとの混合物を使用してもよい。その中のシアノアルキル基のC原子の数が2〜12である、アクリル酸シアノアルキルおよびメタクリル酸シアノアルキル、好ましくはアクリル酸α−シアノエチル、アクリル酸β−シアノエチル、およびメタクリル酸シアノブチルを使用してもよい。その中のヒドロキシアルキル基のC原子の数が2〜12である、アクリル酸ヒドロキシアルキルおよびメタクリル酸ヒドロキシアルキル、好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびアクリル酸3−ヒドロキシプロピルを使用してもよく、さらには、フッ素置換ベンジル基含有アクリレートまたはメタクリレート、好ましくはアクリル酸フルオロベンジルおよびメタクリル酸フルオロベンジルを使用してもよい。フルオロアルキル基を含むアクリレートおよびメタクリレート、好ましくはアクリル酸トリフルオロエチルおよびメタクリル酸テトラフルオロプロピルを使用してもよい。アミノ基を含むα,β−不飽和カルボン酸エステル、たとえばアクリル酸ジメチルアミノメチルおよびアクリル酸ジエチルアミノエチルを使用してもよい。
その他の共重合性モノマーとしては、さらに、α,β−不飽和ジカルボン酸、好ましくはマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびメサコン酸を使用することもまた可能である。
さらに、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、および無水メサコン酸を使用してもよい。
さらに、α,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルまたはジエステルを使用することも可能である。
これらのα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルもしくはジエステルとしては、たとえば、アルキルエステル、好ましくはC〜C10アルキル、特に好ましくはエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、もしくはn−ヘキシルエステル;アルコキシアルキルエステル、好ましくはC〜C12アルコキシアルキル、より好ましくはC〜C−アルコキシアルキル;ヒドロキシアルキル、好ましくはC〜C12ヒドロキシアルキル、より好ましくはC〜Cヒドロキシアルキル;シクロアルキルエステル、好ましくはC〜C12シクロアルキル、より好ましくはC〜C12シクロアルキル;アルキルシクロアルキルエステル、好ましくはC〜C12アルキルシクロアルキル、より好ましくはC〜C10アルキルシクロアルキル;アリールエステル、好ましくはC〜C14アリールエステルが挙げられるが、これらのエステルはモノエステルまたはジエステルであり、また、ジエステルの場合には、そのエステルを混合エステルとすることも可能である。
特に好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸のアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、アクリル酸2−プロピルヘプチル、および(メタ)アクリル酸ラウリルである。アクリル酸n−ブチルを使用するのが、より好ましい。
特に好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸のアルコキシアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸メトキシメチルである。アクリル酸メトキシエチルを使用するのが、より好ましい。
特に好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルである。
使用されるその他のα,β−不飽和モノカルボン酸のエステルとしては、さらに、たとえば以下のものが挙げられる:ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチル)アクリルアミド、およびウレタン(メタ)アクリレート。
α,β−不飽和ジカルボン酸モノエステルの例には、以下のものが包含される:
・ マレイン酸モノアルキルエステル、好ましくはマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、およびマレイン酸モノ−n−ブチル;
・ マレイン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはマレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、およびマレイン酸モノシクロヘプチル;
・ マレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはマレイン酸モノメチルシクロペンチル、およびマレイン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ マレイン酸モノアリールエステル、好ましくはマレイン酸モノフェニル;
・ マレイン酸モノベンジルエステル、好ましくはマレイン酸モノベンジル;
・ フマル酸モノアルキルエステル、好ましくはフマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、およびフマル酸モノ−n−ブチル;
・ フマル酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはフマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、およびフマル酸モノシクロヘプチル;
・ フマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはフマル酸モノメチルシクロペンチル、およびフマル酸モノエチルシクロヘキシル;
・ フマル酸モノアリールエステル、好ましくはフマル酸モノフェニル;
・ フマル酸モノベンジルエステル、好ましくはフマル酸モノベンジル;
・ シトラコン酸モノアルキルエステル、好ましくはシトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、およびシトラコン酸モノ−n−ブチル;
・ シトラコン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはシトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、およびシトラコン酸モノシクロヘプチル;
・ シトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはシトラコン酸モノメチルシクロペンチル、およびシトラコン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ シトラコン酸モノアリールエステル、好ましくはシトラコン酸モノフェニル;
・ シトラコン酸モノベンジルエステル、好ましくはシトラコン酸モノベンジル;
・ イタコン酸モノアルキルエステル、好ましくはイタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、およびイタコン酸モノ−n−ブチル;
・ イタコン酸モノシクロアルキルエステル、好ましくはイタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、およびイタコン酸モノシクロヘプチル;
・ イタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル、好ましくはイタコン酸モノメチルシクロペンチル、およびイタコン酸モノエチルシクロヘキシル;
・ イタコン酸モノアリールエステル、好ましくはイタコンモノフェニル;
・ イタコン酸モノベンジルエステル、好ましくはイタコンモノベンジル;
・ メサコン酸モノアルキルエステル、好ましくはメサコン酸モノエチルエステル。
α,β−不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、上述のモノエステル基をベースとする類似のジエステルを使用することができ、それらのエステル基が、化学的に異なった基であってもよい。
さらなる共重合性モノマーとして、1分子あたり二つ以上のオレフィン性二重結合を含むフリーラジカル的重合性化合物を使用することもさらに可能である。そのようなジもしくはポリ不飽和化合物の例としては以下のものが挙げられる:ポリオールのジもしくはポリ不飽和アクリレート、メタクリレートまたはイタコネート、たとえば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ブタン−1,4−ジオールジアクリレート、プロパン−1,2−ジオールジアクリレート、ブタン−1,3−ジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールエタンジアクリレート、トリメチロールエタンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTA)、グリセリルジアクリレートおよびトリアクリレート、ペンタエリスリトールジ−、トリ−、およびテトラ−アクリレートもしくはメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ−、ペンタ−およびヘキサ−アクリレートもしくはメタクリレートもしくはイタコネート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサメタクリレート、ジアクリレートもしくはジメタクリレート、または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコール、または末端ヒドロキシル基を有するオリゴエステルもしくはオリゴウレタン。ポリ不飽和モノマーとしては、以下のものを使用することもまた可能である:アクリルアミド、たとえば、メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレン−1,6−ビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、またはアクリル酸2−アクリルアミドエチル。ポリ不飽和ビニル化合物およびアリル化合物の例としては以下のものが挙げられる:ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、フタル酸ジアリル、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、またはリン酸トリアリル。
このタイプのターモノマーを採用すると、重合を高い転化率とすると同時に、比較的に高い平均分子量Mw(重量平均)および/またはMn(数平均)を有し、かつゲルフリーなニトリルゴムを調製することが、有利かつ満足のいくレベルで可能である。
得られるNBRポリマーの中における共役ジエンとα,β−不飽和ニトリルとの比率は、広い範囲で変化させてもよい。共役ジエンの比率または合計は、ポリマー全体を基準にして、重量で、典型的には40〜90%の範囲、好ましくは50〜85%の範囲である。α,β−不飽和ニトリルの比率または合計は、ポリマー全体を基準にして、重量で、典型的には10〜60%、好ましくは15〜50%である。いずれの場合においても、モノマーの比率を合計したものが100重量%となる。追加のモノマーは、その1種または複数のターモノマーの性質に応じて、ポリマー全体を基準にして0%〜40重量%の量で存在させてよい。この場合、1種または複数の共役ジエンおよび/または1種または複数のα,β−不飽和ニトリルの相当する比率を、追加のモノマーの比率で置き換えるが、それぞれの場合において、全部のモノマーの比率を合計して100重量%とする。
それらのターモノマーが、三級ラジカルを形成するタイプのモノマー(たとえば、メタクリル酸)である場合には、それらを0%〜10重量%の量で使用するのが適切であることが判った。
追加のモノマーについて上に述べた、最大で40%までという限度は、モノマーの全量を、反応の開始時または途中に重合バッチの中に計量仕込みするというシナリオ(別の言い方をすれば、ランダムターポリマー系を製造する目的)の場合にのみ、あてはまるということに注意されたい。言うまでもないことであるが、場合によっては水素化されており、本発明に従って調製されたニトリルゴムには、そのポリマー主鎖および/またはその末端基の中に、1種または複数の重合調節剤の断片が含まれているという事実のために、それを、たとえば、ブロック系を生成させる目的のために適切なモノマーと反応させることによる、マクロ重合調節剤として採用すること、および各種所望の量で採用することが可能である。
本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムのガラス転移温度は、−70℃〜+20℃の範囲、好ましくは−60℃〜10℃の範囲に設定する。
本発明のプロセスを介しての重合はリビング重合としての性質を有しているので、狭い分子量分布を有するニトリルゴムを得ることが可能である。1.0〜2.9の範囲、好ましくは1.1〜2.8の範囲、より好ましくは1.15〜2.7の範囲、特に好ましくは1.2〜2.6の範囲の多分散性指数を有するニトリルゴムを調製することができる。
本発明の方法を介しての重合はリビング重合としての性質を有しているので、極端に狭い分子量分布を有するニトリルゴムを得ることさえも可能である。1.1〜2.5の範囲、好ましくは1.3〜2.4の範囲、より好ましくは1.4〜2.2の範囲、特に好ましくは1.5〜2.0の範囲、極めて好ましくは1.5〜2未満の範囲の多分散性指数を有するニトリルゴムを調製することができる。
重合調節剤の濃度を調節することによって、本発明の方法では、所望の分子量に極めて正確に調節することが可能であり、さらには、重合調節剤を使用することによって特定のポリマー骨格(たとえば、ブロックの調製、ポリマー主鎖上へのグラフト、表面結合、二つ以上のC=C二重結合を有するターモノマーの使用、さらには当業者には公知の他のポリマー変性など)を構成することもまた可能となり、そしてさらに目標とする分子量分布、極端に狭い分布から広い分布まで、およびモノモーダル分布からマルチモーダル分布までとすることもできる。これらの方法によって特別に合成されたニトリルゴムは、1.1〜8.0の範囲、好ましくは1.15〜7.0の範囲、より好ましくは1.2〜6.0の範囲、特に好ましくは1.3〜5.0の範囲の多分散性指数、PDI=Mw/Mnを有することができる(ここで、Mwは、分子量の重量平均を、Mnは数平均を表す)。
水素化:
本発明はさらに、第一の重合工程a)に続けて、直接的な水素化工程b)を実施することによる、水素化ニトリルゴムを提供するが、この場合には、従来技術において今日まで採用されているNBRの乳化重合の場合におけるように、ニトリルゴムを予め単離することは必要ない。その水素化は、重合に続けて、さらには所望によっては同一の反応器の中で、直ちに実施してよい。このことによって、実質的な単純化となり、そのために、HNBRの調製において、コスト的に有利となる。
水素化は、均一系または不均一系の水素化触媒を使用して実施してよい。採用される触媒は、典型的にはロジウム、ルテニウム、またはチタンをベースとするものではあるが、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、または銅を、金属としてまたはその他のものとして、好ましくは金属化合物の形態で使用してもよい(たとえば、米国特許第A3,700,637号明細書、独国特許出願公開第A25 39 132号明細書、欧州特許出願公開第A0 134 023、独国特許出願公開第A35 41 689号明細書、独国特許出願公開第A35 40 918号明細書、欧州特許出願公開第A0 298 386号明細書、独国特許出願公開第A35 29 252号明細書、独国特許出願公開第A34 33 392号明細書、米国特許第A4,464,515号明細書、および米国特許第A4,503,196号明細書を参照されたい)。
均一相における水素化のために好適な触媒および溶媒は、以下において記述するし、独国特許出願公開第A25 39 132号明細書および欧州特許出願公開第A0 471 250号明細書からも公知である。
選択的水素化は、たとえば、ロジウム含有またはルテニウム含有触媒の存在下で達成することができる。たとえば、次の一般式の触媒を使用してよいが、
(R B)MX
ここで、Mは、ルテニウムまたはロジウムであり、Rは、それぞれの場合で同一であっても異なっていてもよく、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C15アリール基、またはC〜C15アラルキル基であり、Bは、リン、ヒ素、硫黄またはスルホキシド基S=Oであり、Xは水素またはアニオン、好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素または臭素であり、lは2、3または4であり、mは2または3であり、そしてnは1、2または3、好ましくは1または3である。好適な触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)クロリド、およびトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)クロリド、さらには式((CP)RhHのテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム水素化物および、そのトリフェニルホスフィンの一部または全部をトリシクロヘキシルホスフィンで置換したそれに対応する化合物である。触媒の使用量は少量でよい。その量を、ポリマーの重量を基準にして、0.01〜1重量%の範囲、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、より好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲とするのが好適である。
典型的には、その触媒を助触媒と共に使用するのが賢明であるが、その助触媒は、式R Bの配位子であり、ここでR、mおよびBは、先に触媒について述べた定義を有する。好ましくは、mが3であり、Bがリンであり、残基Rは同一であっても異なっていてもよい。対象となっている助触媒は、トリアルキル、トリシクロアルキル、トリアリール、トリアラルキル、ジアリール−モノアルキル、ジアリール−モノシクロアルキル、ジアルキル−モノアリール、ジアルキル−モノシクロアルキル、ジシクロアルキル−モノアリール、またはジシクロアルキル−モノアリール残基を有しているのが好ましい。
助触媒の例は、たとえば米国特許第A4,631,315号明細書に見出される。好適な助触媒は、トリフェニルホスフィンである。助触媒は、水素化されるニトリルゴムの重量を基準にして、0.3〜5重量%の範囲、好ましくは0.5〜4重量%の範囲の量で使用するのが好ましい。ロジウム含有触媒の助触媒に対する重量比は、水素化されるニトリルゴム100重量部を基準にして、好ましくは(1:3)〜(1:55)の範囲、より好ましくは(1:5)〜(1:45)の範囲であり、また、助触媒を、水素化されるニトリルゴム100重量部あたり、適切には0.1〜33重量部、好ましくは0.5〜20、極めて好ましくは1〜5重量部、特には2重量部よりは多いが5重量部未満の助触媒を使用する。
この水素化の実施は、米国特許第A6,683,136号明細書からも、当業者には周知である。それは、典型的には、トルエンまたはモノクロロベンゼンのような溶媒の中で、100〜150℃の範囲の温度と50〜150バールの範囲の圧力で2〜10時間かけて、水素化されるニトリルゴムに水素を作用させることによって達成される。
本発明の目的のための水素化とは、元々のニトリルゴムの中に存在していた二重結合を、少なくとも50%、好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%、特別には90〜100%の程度にまで反応させることと理解されたい。
不均一系触媒を使用するならば、それは、典型的にはパラジウムをベースとする担持触媒であって、たとえば木炭、シリカ、炭酸カルシウム、または硫酸バリウムの上に担持されている。
RAFT重合調節剤の手段によって、得られるポリマーの分子量を調節することが容易となるために、低分子量かつ低ムーニー粘度のNBR反応生成物(および、さらには下流側の追加の水素化を用いた、HNBR生成物も同様に)を調製することが可能であり、HNBRの場合におけるような、水素化の前にさらなるプロセス工程において、その分子量を(たとえば、素練り、化学分解またはメタセシスによって)意図的に低下させることを自動的に実施する必要はない。言うまでもないことであるが、所望により、このタイプのさらなる分子量の低減を、特にメタセシスによって起こさせてもよいが、それについては、たとえば国際公開第A02/100941号パンフレット、さらには国際公開第A−02/100905号パンフレットから当業者には公知である。
そのニトリルゴムが乳化重合によって得られた、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムに比較すると、本発明のニトリルゴムおよびさらには水素化ニトリルゴムのいずれもが、完全にそれらが乳化剤フリーであり、さらには、乳化重合の後にニトリルゴムを沈降させる目的でラテックスをコアグレート化させるのに通常採用される種類の塩をまったく含まないという特徴を有している。
本発明はさらに、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムおよび少なくとも1種の架橋剤を含む加硫可能な混合物も提供する。一つの好ましい実施態様においては、その加硫可能な混合物が、少なくとも1種の充填剤をさらに含む。
場合によっては、このタイプの加硫可能な混合物が、当業者にはなじみのある、ゴムのための1種または複数の添加剤をさらに含んでいることも可能である。それらの添加剤としては、以下のものが挙げられる:老化防止剤、加硫戻り防止剤、光安定剤、オゾン保護剤、加工助剤、可塑剤、鉱油、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、樹脂、エクステンダー、有機酸、加硫遅延剤、金属酸化物、さらには、充填剤活性化剤たとえば、トリエタノールアミン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、もしくは脂肪族トリアルコキシシラン、またはゴム産業において公知のその他の添加剤(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451,Weinheim,1993,Vol.A23,”Chemicals and Additives”,pp.366〜417)。
好適な架橋剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:ペルオキシド系架橋剤たとえば、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブテン、4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシノニルバレレート、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシ−3−イン。
これらのペルオキシド系架橋剤に加えて、他の添加剤を同様に使用するのも有利となりうるが、それらは、架橋収率を向上させるために採用することができ、そのような添加剤の適切な例としては以下のものが挙げられる:トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アクリル酸亜鉛、二アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、二メタクリル酸亜鉛、1,2−ポリブタジエン、またはN,N’−m−フェニレンジマレイミド。
1種または複数の架橋剤の全量は、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを基準にして、典型的には1〜20phrの範囲、好ましくは1.5〜15phrの範囲、より好ましくは2〜10phrの範囲である。
架橋剤としては、元素状で、可溶性または不溶性の形態にある硫黄、または硫黄供与体を使用することもまた可能である。
好適な硫黄供与体としては、たとえば以下のものを挙げることができる:ジモルホリルジスルフィド(DTDM)、2−モルホリノジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、およびテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)。
本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを硫黄加硫する場合においても同様に、架橋収率の向上に寄与することが可能な他の添加剤を使用することもできる。しかしながら、原則的には、硫黄または硫黄供与体のみを用いて架橋を起こさせるのがよい。
逆に、本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムの架橋を、上述の添加剤の存在下のみにおいて、別の言い方をすれば、元素の硫黄または硫黄供与体を添加することなく、起こさせてもよい。
採用することが可能な、架橋収率を向上させるのに寄与する適切な添加剤の例としては以下のものが挙げられる:ジチオカルバミン酸塩、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、キサントゲン酸塩、グアニジン誘導体、カプロラクタム、およびチオ尿素誘導体。
使用することが可能なジチオカルバミン酸塩としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEPC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(Z5MC)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、およびジイソノニルジチオカルバミン酸亜鉛。
使用することが可能なチウラムとしては、たとえば以下のものが挙げられる:テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、およびテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)。
使用することが可能なチアゾールとしては、たとえば以下のものが挙げられる:2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、および銅2−メルカプトベンゾチアゾール。
使用することが可能なスルフェンアミド誘導体としては、たとえば以下のものが挙げられる:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(DCBS)、2−モルホリノチオベンゾチアゾール(MBS)、N−オキシジエチレンチオカルバミル−N−tert−ブチルスルフェンアミド、およびオキシジエチレンチオカルバミル−N−オキシエチレンスルフェンアミド。
使用することが可能なキサントゲン酸塩としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジブチルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルジブチルキサントゲン酸亜鉛、およびジブチルキサントゲン酸亜鉛。
使用することが可能なグアニジン誘導体としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジフェニルグアニジン(DPG)、ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、およびo−トリルビグアニジン(OTBG)。
使用することが可能なジチオリン酸塩としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(アルキル残基の鎖長:C〜C16)、ジアルキルジチオリン酸銅(アルキル残基の鎖長:C〜C16)、およびジチオホスホリルポリスルフィド。
カプロラクタムとしては、たとえばジチオビスカプロラクタムを使用することができる。
チオ尿素誘導体としては、たとえば以下のものを使用することができる:N,N’−ジフェニルチオ尿素(DPTU)、ジエチルチオ尿素(DETU)、およびエチレンチオ尿素(ETU)。
同様に添加剤として好適なものとしては、たとえば以下のものが挙げられる:亜鉛ジアミンジイソシアネート、ヘキサメチレンテトラミン、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、および環状ジスルファン。
前記添加剤、およびさらには架橋剤は、個別に使用することも、あるいは混合物中で使用することも可能である。ニトリルゴムを架橋するためには、以下の物質を使用するのが好ましい:硫黄、2−メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジモルホリルジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、およびジチオビスカプロラクタム。
架橋剤および上述の添加剤は、それぞれの場合において、(場合によっては水素化された)ニトリルゴムに対して、約0.05〜10phr、好ましくは0.1〜8phr、特に好ましくは0.5〜5phrの量で使用してよい(それぞれの場合において、その活性物質を基準にして、個別に計量添加)。
本発明の硫黄架橋の場合においては、架橋剤および上述の添加剤に加えて、さらなる有機および/または無機物質も同様に使用してもよいが、そのような物質の例としては以下のものが挙げられる:酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、飽和もしくは不飽和の有機脂肪酸およびそれらの亜鉛塩、ポリアルコール、アミノアルコールたとえば、トリエタノールアミン、およびさらには、アミンたとえば、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルエチルアミン、およびポリエーテルアミン。
本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムが、1種または複数のカルボキシル含有ターモノマーの繰り返し単位を有すゴムである場合には、ポリアミン架橋剤を使用し、好ましくは架橋性加硫促進剤の存在下に架橋を起こさせてもよい。ポリアミン架橋剤には制限はないが、ただし、(1)2個以上のアミノ基を有する化合物であるか(場合によっては、塩の形態であってもよい)、または(2)架橋反応の際に、インサイチューで、2個以上のアミノ基を形成する化合物を形成する化学種である必要がある。その中で少なくとも2個の水素原子がアミノ基で置換されているか、そうでなければヒドラジド構造(後者は、「C(=O)NHNH」の構造である)で置換されている、脂肪族または芳香族炭化水素化合物を使用するのが好ましい。
このタイプのポリアミン架橋剤(ii)の例としては以下のものが挙げられる:
・ 脂肪族ポリアミン、好ましくはヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタアミン、ヘキサメチレンジアミン−シンナムアルデヒドアダクト、またはヘキサメチレンジアミンジベンゾエート;
・ 芳香族ポリアミン、好ましくは2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、または4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン);
・ 少なくとも二つのヒドラジド構造を有する化合物、好ましくはイソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、またはセバシン酸ジヒドラジド。
ヘキサメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
加硫可能な混合物の中におけるポリアミン架橋剤の量は、100重量部の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを基準にして、典型的には0.2〜20重量部の範囲、好ましくは1〜15重量部の範囲、より好ましくは1.5〜10重量部の範囲である。
架橋性加硫促進剤としては、ポリアミン架橋剤と組み合わせて、当業者には公知の各種のもの、好ましくは塩基性の架橋性加硫促進剤を使用することが可能である。たとえば、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン(DOTG)、o−トリルビグアニジン、およびジカテコールホウ酸のジ−o−トリルグアニジン塩などが使用できる。アルデヒド−アミン架橋性加硫促進剤たとえば、n−ブチルアルデヒド−アニリンを使用してもよい。架橋性加硫促進剤として特に好ましいのは、少なくとも1種の2環式または多環式アミン塩基である。それらは、当業者には公知である。特に好適なのは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デス−5−エン(TBD)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デス−5−エン(MTBD)である。
この場合における架橋性加硫促進剤の量は、100重量部の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを基準にして、典型的には0.5〜10重量部、好ましくは1〜7.5重量部、特に好ましくは2〜5重量部の範囲である。
本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムをベースとする加硫可能な混合物は、原則的には、加硫開始遅延剤も含んでいてもよい。そのようなものとしては、シクロヘキシルチオフタルイミド(CTP)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、無水フタル酸(PTA)およびジフェニルニトロソアミンが挙げられる。シクロヘキシルチオフタルイミド(CTP)が好ましい。
架橋剤または架橋剤の添加とは別に、本発明の(場合によっては水素化された)ニトリルゴムには、慣用されるさらなるゴム添加剤を混合してもよい。
使用することが可能な充填剤としては、たとえば以下のものを使用することができる:カーボンブラック、シリカ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、タルク、カオリン、ベントナイト、カーボンナノチューブ、Teflon(後者は粉体の形状にあるのが好ましい)、またはケイ酸塩。
好適な充填剤活性化剤としては、特に、たとえば以下のような有機シランが挙げられる:ビニルトリメチルオキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、または(オクタデシル)メチルジメトキシシラン。さらなる充填剤活性化剤としては、たとえば、トリエタノールアミンおよび74〜10 000g/molの分子量を有するエチレングリコールのような表面活性物質が挙げられる。充填剤活性化剤の量は、典型的には、100phrの(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを基準にして、0〜10phrである。
老化防止剤としては、文献から公知の、加硫可能な混合物の老化防止剤を添加することが可能である。それらの防止剤は、(場合によっては水素化された)ニトリルゴム100phrあたり、典型的には約0〜5phr、好ましくは0.5〜3phrの量で使用する。
好適なフェノール系老化防止剤としては、以下のものが挙げられる:アルキル化フェノール、スチレン化フェノール、立体障害フェノールたとえば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、エステル基を含む立体障害フェノール、チオエーテル含有の立体障害フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(BPH)、およびさらには立体障害チオビスフェノール。
ニトリルゴムの変色がさほど重要ではない場合には、アミン系の老化防止剤も同様に使用されるが、その例は、ジアリール−p−フェニレンジアミン(DTPD)、オクチル化ジフェニルアミン(ODPA)、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、フェニル−β−ナフチルアミン(PBN)の混合物であるが、フェニレンジアミンをベースとしたものが好ましい。フェニレンジアミンの例としては、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(7PPD)、およびN,N’−ビス−1,4−(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PD)などが挙げられる。
その他の老化防止剤としては、ホスファイトたとえばトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛メチルメルカプトベンズイミダゾール(ZMMBI)などが挙げられる。ホスファイトは、一般的には、フェノール系老化防止剤と組み合わせた形で使用される。加硫をペルオキシド系で起こさせる場合には、とりわけTMQ、MBI、およびMMBIが使用される。
離型剤としては、たとえば以下のものが考えられる:飽和もしくは部分的に不飽和な脂肪酸およびオレイン酸およびそれらの誘導体(脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド)(それらは、混合物の構成成分として使用するのが好ましい)、さらには、型表面に塗布することが可能な製品、たとえば、低分子質量シリコーン化合物をベースとする製品、フルオロポリマーをベースとする製品、およびフェノール樹脂をベースとする製品。
混合物の一成分として、100phrの(場合によっては水素化された)ニトリルゴムを基準にして、離型剤を、約0〜10phr、好ましくは0.5〜5phrの量で使用する。
米国特許第A4,826,721号明細書の教示に従って、ガラスの補強材(繊維)を用いて補強することも可能であり、同様に、脂肪族および芳香族ポリアミド(Nylon(登録商標)、Aramid(登録商標))、ポリエステル、および天然繊維製品のコード、織布、繊維によっても補強される。
本発明はさらに、上述の加硫可能な混合物を架橋させることを特徴とする、加硫物を製造するための方法も提供する。架橋は、典型的には、少なくとも1種の架橋剤によるか、そうでなければ光化学的な活性化によるかのいずれかで実施される。
光化学的な活性化による架橋の場合においては、UV活性化剤として、当業者には典型的に公知な活性化剤を使用することが可能であるが、それらの例としては以下のものが挙げられる:ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロxyベンゾフェノン、4,4’−ビス[2−(1−プロペニル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチルフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、3’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−エトキシアセトフェノン、4’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−フェノキシアセトフェノン、4’−tert−ブチル−2’,6’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4,4’−ジメチルベンジル、ヘキサクロロシクロペンタジエン、またはそれらの組合せ。
加硫は、典型的には、好ましくは射出成形プロセスを採用した成形プロセスの一部として、起こさせる。
したがって、本発明はさらに、上述の加硫プロセスによって得ることが可能な特定の成形物もまた提供する。製造することが可能な多くの成形物が存在しているが、それらの例としてはシール、キャップ、ホース、または膜などが挙げられる。例えば、以下のようなものを製造することが可能である:O−リングシール、フラットシール、ひだ付きガスケット、シーリングスリーブ、シーリングキャップ、ダスト保護キャップ、プラグシール、断熱ホース(PVCの添加有りおよび無し)、油冷却器ホース、空気取り入れホース、サーボ制御ホース、またはポンプのダイヤフラム。
実施例
以下の実施例においては、本発明のニトリルゴムが、ポリマー鎖の末端基として、使用した重合調節剤に基づく重合調節剤の断片を含んでいるということを明確に示すために、質量分析法(MS)を使用した。さらに、このようにして調製され、マクロ重合調節剤としてさらに使用される重合調節剤の断片を含むポリマーの活性を、NBR−ブロック−ポリスチレン系を製造することにより、明白に実証した。
以下において、一部で、次の略称を使用している:
ACN:アクリロニトリル
1,3−BD:1,3−ブタジエン
DMAc:ジメチルアセトアミド
MCB:モノクロロベンゼン
DoPAT:ドデシルプロパン酸トリチオカーボネート
VAm110:1,1’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(Wako Pure Chemical Industries Ltd)
V30:1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(Wako Pure Chemical IndustriesLtd)
Vazo(登録商標)88:1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(DuPont)
:重量平均分子量
:数平均分子量
PDI:多分散性指数(M対Mの比)
アクリロニトリル含量:
アクリロニトリル含量を求めるために、本発明のニトリルゴムの窒素含量を、DIN 53 625に従ってKjeldahl法によって測定した。実施例24および25の場合にのみ、そのアクリロニトリル含量を、ガラス転移温度から、「Gordon−Taylorの式」、Tg=1.4564*[ACN]−77.147の手段によって求めた。
ガラス転移温度:
ガラス転移温度、ならびにその開始点および終了点は、ASTM E 1356−03またはDIN 11357−2に従って、示差走査熱量測定(DSC)の手段によって求める。
分子量および多分散性指数:
数平均分子量(M)および重量平均分子量(M)の形の分子量と、さらには多分散性指数とは、DIN 55672−1(パート1:溶媒としてテトラヒドロフランTHF)に従って、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の手段によって求めた。
ゲル含量:
不溶性画分(「ゲル含量」と呼ばれている)の測定は、室温でメチルエチルケトン(MEK)溶媒中、ポリマー濃度10g/Lでサンプルを22時間溶解させておいてから、25℃で20 000rpmの超遠心に1時間かけて行った。
微細構造:
個々のポリマーの微細構造は、1H NMR(装置:Bruker DPX400、XWIN−NMR3.1ソフトウェア、記録周波数400MHz、溶媒CDCl)の手段により求めた。
表1、2および5に列記された化学物質は、化学物質市場から得たものか、または本出願人の製造設備から得たものである。使用した「DoPAT」重合調節剤(ドデシルプロパン酸トリチオカーボネート、配合は以下に示す)は、Macromolecules,(2005),38(6),2191〜2204に記載の調製方法に従って実験室で合成した。
実施例1〜5(本発明実施例):
各種の有機溶媒中、各種の重合調節剤濃度を用いたニトリルゴム(「NBR」)の調製
以下の一連の実施例で使用するニトリルゴムのNBR#1〜#5は、表1に示した基本配合に従って調製したが、それらの成分はすべて、モノマー混合物100重量部あたりの重量部で表示されている。表1にはさらに、所定の重合条件も明記している。
すべての装置は、1,3−ブタジエンと接触させるより前に、真空排気とアルゴンを用いたフラッシングを3回繰り返すことによって、酸素フリーの状態とする。
実施例1においては、以下のようにして重合を実施した:
284.9mgのVazo(登録商標)88(1.17mmol、0.31phmに相当)および204mgのDoPAT(0.583mmol、0.22phmに相当)を50mL(51phm)のジメチルアセトアミドの中に溶解させ、43mLのアクリロニトリル(653.3mmol、37phmに相当)を添加し、アルゴンを用いて10分間かけて、その溶液を脱気した。そのモノマー/重合開始剤溶液を反応器に移し、密閉し、真空排気/アルゴンを用いたフラッシングを3回繰り返すことによって酸素フリーの状態とした。加圧ビュレットを使用して、90mLの1,3−ブタジエン(1077mmol、63phmに相当)を3バールの圧力で計量仕込みし、100℃に加熱することによって反応を開始させた。この温度に到達したところで、重合の開始とみなした。随時にサンプリングする方法で、転化率を重量分析して、重合の進行をモニターした。9時間の重合時間の後、熱源を取り去り、反応器を冷却してから、空気を吹き込んで過剰の1,3−ブタジエンを除去し、表1に示したような量の、安定剤としてのピロカテコール/ヒドロキノンを含むエタノールから沈殿させることによってポリマーを得た。次いで、そのポリマーを高真空下に乾燥させた。
実施例2〜5の重合も同様にして実施したが、ただし、重合調節剤の量、重合開始剤、および溶媒の性質を変化させた(表1参照)。重合条件が実施例1のそれと異なっている場合も、表1に同様に示している。
実施例6(本発明実施例):
有機溶媒中における、ターモノマーとしてアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)を含むNBRターポリマーの調製
先に実施例1で示した一般的な合成の説明に従って、ターポリマーNBR#6を合成した。使用したモノマーの量だけを修正したが、成分の個々の量は表1に見ることができる。アクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)およびアクリロニトリル(ACN)を溶媒に添加してから、アルゴンを用いて脱気した。6時間後に反応を停止させた(最終転化率、39%)。
実施例7および8(本発明実施例):
有機溶媒中における、NBR−ブロック−スチレンターポリマーの調製
実施例7においては、意識的に低分子質量NBR(NBR#7)を調製し、次いでそれを実施例8においてRAFTマクロマーとして使用した。この重合は、実施例1に示した一般的な合成の説明に従ってNBR#7を得たが、ただし、重合調節剤の量を調節した(低分子量を得る目的で、2.22phmに増やした)。成分の個々の量は表1に見ることができる。9時間後に、最終転化率48%のところで反応を停止させ、先の記載(実施例1〜5)のようにして、ポリマーを単離した。
次いで、実施例8においては、2.74gの、実施例7において得られたNBR#7のRAFTマクロマー(Mn=12 000g/mol)を、2gのDMAcの中に溶解させ、2.79gのスチレン(26.8mmol、50phmに相当)を混合した。セプタムを用いてその反応容器を密閉し、カニューレの手段により、アルゴンを用いて10分間かけて、その反応溶液を脱気した。加熱したオイルバス(T=100℃)の中に浸漬させることによって反応を開始させ、13時間後に最終転化率が9.2%のところで空気を入れることによって停止させ、MeOH中で沈殿させた。上澄みをデカントで除去し、そのポリマーサンプルNBR#8を高真空下に乾燥させた。
比較例AおよびB:
TDMを使用し、エマルション中におけるNBRの調製
以下の一連の例で使用するニトリルゴムのNBR#Aおよび#Bは、表2に示した基本配合に従って調製したが、それらの成分はすべて、モノマー混合物100重量部あたりの重量部で表示されている。表2にはさらに、それぞれの重合条件も示している。
ニトリルゴムは、アジテーター機構を備えた5Lのオートクレーブ中バッチ方式で製造した。オートクレーブのバッチ方式では、それぞれのケースで、1.25kgのモノマー混合物と、合計して2.1kgの量の水を使用した。この量の水の内の、1.9kgは、Edenor(登録商標)HtiCT乳化剤および水酸化ナトリウムと共に最初のオートクレーブ仕込みの中に含まれており(セッケン溶液のpH:11.0±1.0)、窒素の流れでフラッシュさせた。次いで、蒸留ずみモノマーおよび表2に示した量の分子量調節剤TDMを添加し、反応器を密閉した。反応器の内容物の温度調節をしてから、活性化剤溶液およびパラ−メンタンヒドロペルオキシド(Trigonox NT50)の形態にある水溶液を添加することによって重合を開始させた。
転化率を重量分析する方法により、重合の進行をモニターした。転化率が表2に示したレベルに達したら、ジエチルヒドロキシルアミンの水溶液を添加することによって重合を停止させた。水蒸気蒸留の手段によって、未反応モノマーおよびその他の揮発性成分を除去した。
それぞれのNBRラテックスをコアグレート化させる前に、それぞれのケースにおいて、Vulkanox(登録商標)BKFの50%分散体と混合した(NBR固形分を基準にして0.3重量%のVulkanox(登録商標)BKF)。それに続けて、コアグレーション、得られた塊状物の洗浄、および乾燥を行った。
ポリマー中で使用された重合調節剤の構造要素を検出するための、NBR#5についての質量スペクトル分析:
装置システム:
ESI MSスペクトル(エレクトロスプレーイオン化−質量スペクトル)は、ThermoFischer Scientific(San Jose,CA,USA)製のLXQ質量分析計で記録した。この装置は、アトマイザー中大気圧下で、エレクトロスプレーモードで運転されるイオン源を備えている。その装置は、195〜1822m/zの範囲で較正されている。使用される較正物質は、カフェイン、Met−Arg−Phe−Alaアセテート(MRFA)およびフルオロ化ホスファゼンの混合物(Ultramark 1621)の混合物である(すべての物質が、Aldrich製)。使用されるイオン化電圧は4.5kVであり、フラッシングガスとして2の無次元フラックスを有する窒素(約3L/分)を用い、キャリヤーガスとしては12の流速(約1L/分)を用いた。キャピラリー電圧110V,キャピラリー温度275℃の範囲で、150〜2000m/zの範囲のスペクトルを記録する。LXQシステムを、以下の構成要素、すなわちG1322Aデガッサー、二重ポンプ(G1312A)、サンプルコレクター(G1367B)および、温度調節したカラムチャンバーを備えた、1200 HPLCシステム(Agilent,Santa Barbara,CA,USA)と連結する。30℃で、2本のSECカラム(Polymer Laboratories,Mesopore 250×4.6mm、粒径3μm、およびMesopore 50×4.6mm(前置カラム))の上で、分離させる。使用した溶出液はTHFで、流量は0.3mL/分である。質量分析計を、RI検出器(G1362AプラスSS420×A/D)と並列にカラムと接続する。溶出液を、RI検出器には直接0.27mL/分で流し、30μL/分をエレクトロスプレー源に導入するが、それに続けて微量流量HPLCポンプ(Teledyne ISCO,Model 100DM)を使用してメタノール中ヨウ化ナトリウムの100μM溶液を20μL/分の流量で添加する。
サンプル処理:
サンプルは、THF中2mg/mLのポリマー濃度で調製し、0.45μmのPTFEフィルターを使用して精製する。この溶液の20μLをシステムに供給する。
スペクトルの解釈:
図1/3および2/3はそれぞれ、サンプルNBR#5と、そのスペクトルの拡大図(extract)を示している。表5に示した理論m/z値は、絶対モル質量と、使用したDoPAT重合調節剤のZまたはR末端基がポリマー鎖の末端に位置しているという仮定を使用して計算したものである。計算上のm/z値と、これら実際の測定値とを比較すると、0.1m/z未満の偏差しかなく、この方法がきわめて良く一致していることがわかる。したがって、重合調節剤に由来するポリマー末端基が、極めて明瞭に検出可能である。
実施例9〜16(本発明実施例):
実施例9のための手順:
表5に示した、重合開始剤および重合調節剤それぞれの量を、95mL(129phm)のジメチルアセトアミドの中に溶解させ、34mLのアクリロニトリル(519mmol、38phmに相当)を添加し、アルゴンを用い10分間かけてその混合物を脱気した。そのモノマー/重合開始剤溶液を反応器に移し、密閉し、真空排気/アルゴンを用いたフラッシングを3回繰り返すことによって酸素フリーの状態とした。加圧ビュレットを使用して、71mLの1,3−ブタジエン(847mmol、62phmに相当)を、3バールの圧力下に計量仕込みし、100℃に加熱することによって反応を開始させた。この温度に到達したところで、重合の開始とみなした。随時にサンプリングする方法で、転化率を重量分析して、重合の進行をモニターした。22時間の重合時間の後、熱源を取り去り、反応器を冷却してから、空気を吹き込んで過剰の1,3−ブタジエンを除去し、表1に示したような量の、安定剤としてのピロカテコール/ヒドロキノンを含むエタノールから沈殿させることによってポリマーを得た。エタノール性安定剤溶液が得られた。次いで、そのポリマーを高真空下に乾燥させた。
実施例10〜16の重合も同様にして実施したが、ただし、重合開始剤の量、重合調節剤、溶媒、および反応時間を変化させた(表5)。重合条件が実施例9のそれと異なっている場合には、表5に同様に示している。
実施例17〜23(本発明実施例):
(実施例17〜21では、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA)またはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)を追加使用、実施例22および23では、ターモノマー使用せず)
実施例17〜23においては、表7に示した量のVazo(登録商標)88重合開始剤およびDoPAT RAFT重合調節剤を、記載された容積のDMAc溶媒の中に溶解させ、同様に表7に記載されている量のアクリロニトリルと、さらに実施例17〜21においては追加のHDODA、および実施例21においてはそれに加えた追加のHEAを添加し、アルゴンを用いて10分間かけてその溶液を脱気した。このモノマー/重合開始剤溶液を反応器に移し、密閉し、真空排気/アルゴンを用いたフラッシングを3回繰り返すことによって酸素フリーの状態とした。次いで、加圧ビュレットを使用して、3バールの圧力下に、表7に示した量の1,3−ブタジエンを計量仕込みし、100℃に加熱することによって反応を開始させた。この温度に到達したところで、重合の開始とみなした。随時にサンプリングする方法で、転化率を重量分析して、重合の進行をモニターした。
実施例18、20および23においては、2.5時間および6時間の重合時間の後に、それぞれ、いずれの場合も5mLのジメチルアセトアミドの溶液中の128mgのVazo(登録商標)88(0.523mmol、0.15phmに相当)を、次いでその反応混合物の中に計量仕込みした。
すべての実施例において、9時間後に、熱源を取り去り、反応器を冷却してから、空気を吹き込んで過剰の1,3−ブタジエンを除去し、表1に示したような量の、安定剤としてのピロカテコール/ヒドロキノンを含むエタノールから沈殿させることによってポリマーを得た。次いで、そのポリマーを高真空下に乾燥させた。
実施例24〜25(本発明実施例):
(RAFT重合調節剤として、ジベンゾイルトリチオカーボネート(DiBenT)およびクミルフェニルジチオアセテート(CPDA)の使用)
Vazo(登録商標)88および表8に示した所定のRAFT重合調節剤の量を、50mL(51phm)のジメチルアセトアミドに溶解させ、35.6gのアクリロニトリル(671.0mmol、38phmに相当)を添加し、アルゴンを用いて10分間かけてその溶液を脱気した。このモノマー/重合開始剤溶液を反応器に移し、密閉し、真空排気/アルゴンを用いたフラッシングを3回繰り返すことによって酸素フリーの状態とした。加圧ビュレットを使用して、57.3gの1,3−ブタジエン(1059.90mmol、62phmに相当)を計量仕込みし、100℃に加熱することによって反応を開始させる。転化率を重量分析することにより、重合の進行をモニターした。9時間後に、熱源を取り去り、反応器を冷却してから、空気を吹き込んで過剰の1,3−ブタジエンを除去し、エタノール性安定剤溶液から沈殿させることによってポリマーを得た。次いで、そのポリマーを高真空下に乾燥させた。

Claims (18)

  1. ニトリルゴムであって、
    (i)少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位、ならびに
    (ii)一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、または(V)の、一つまたは複数の構造要素、を含むニトリルゴム。
    [式中、
    Zは、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、ヒドロキシイミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、ホスホナト、ホスフィナト、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、ニトリル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、およびイソシアニドであり、
    Rは、(a)m≠0であるならば、前記残基Zと同じ定義を有しており、そして
    (b)m=0であるならば、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、カルバモイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、またはイソシアニドであり、
    Mは、共役もしくは非共役ジエン、アルキンおよびビニル化合物を含む1種または複数のモノ−もしくはポリ−不飽和モノマーの繰り返し単位を表すか、または、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含むポリマーをもたらす構造要素を表し、
    nとmは、同様であっても異なっていてもよく、それぞれ0〜10 000の範囲であり、
    tは、n=0であるならば0または1であり、n≠0であれば1であり、そして
    Xは、C(Z)、N(Z)、P(Z)、P(=O)(Z)、O、S、S(=O)またはS(=O)であるが、これらの残基の中のZが、先に述べたものと同じ定義を有していることも可能である]
  2. 前記残基ZおよびRのそれぞれが、好ましくは、Zに適用された定義のすべてを採用することが可能な1種または複数の置換基によって、より好ましくは、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、アルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、カルバモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、およびエポキシからなる群から選択される1種または複数の置換基によって、単一もしくは複数の置換をされている、請求項1に記載のニトリルゴム。
  3. 一般的構造要素(ii)として、以下のものを含む、請求項1に記載のニトリルゴム。
    [式中、
    Zは、請求項1に与えられた定義を有し、そして
    Rは、請求項1に与えられた定義を有するが、ただしRが、前記非水素化もしくは水素化ニトリルゴムにおいて隣接する結合原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
  4. Rが、前記ニトリルゴムにおいて隣接する原子に対するホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという条件下で、Rが代わりに、
    − 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
    − 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
    − (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
    − (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
    − チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩、
    である、請求項3に記載のニトリルゴム。
  5. 下記の一般的構造要素(ii)を有する、請求項1に記載のニトリルゴム。
    および
    および/または
    [式中、
    Zは、請求項1に記載と同じ定義を有し、そして
    Rは、請求項1において、m=0であるケースb)におけると同じ定義を有し、そして
    RとZは同様であっても異なっていてもよいが、ただし、それぞれの場合において、RおよびZが、前記ニトリルゴム中のそれぞれ隣接した原子に対するそれらの結合のホモリティック開裂の後に、それぞれ、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成する]
  6. RとZは同様であっても異なっていてもよいが、ただしRおよびZが、前記ニトリルゴム中のそれぞれ隣接した原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、それぞれ、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成し、RおよびZが、
    − 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
    − 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
    − (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
    − (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
    − チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩、
    である、請求項5に記載のニトリルゴム。
  7. 下記の一般的構造要素(ii)を有する、請求項1に記載のニトリルゴム。
    または
    [式中、
    Zは、請求項1に与えられた定義を有し、そして
    Rは、請求項1に与えられた定義を有するが、ただしRが、前記ニトリルゴムにおいて隣接する原子に対する結合のホモリティック開裂の後に、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
  8. Rが、前記ニトリルゴムにおいて隣接する原子に対するホモリティック開裂の後に、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという条件下で、Rが、
    − 直鎖状もしくは分岐状、飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたアルキル残基、好ましくはC〜C20−アルキル残基に相当するもの、特に好ましくはsec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、1−ブテン−3−イル、2−クロロ−1−ブテン−2−イル、プロピオン酸−2−イル、プロピオニトリル−2−イル、2−メチルプロパンニトリル−2−イル、2−メチルプロピオン酸−2−イル、または1H,1H,2−ケト−3−オキソ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカニル、または
    − 飽和またはモノ−もしくはポリ−不飽和、場合によっては単一もしくは複数の置換をされたカルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基、特に好ましくはシクロヘキシル、クミル、またはシクロヘキサン−1−ニトリル−1−イル、
    − (ヘテロ)アリール残基、極めて好ましくはC〜C24−(ヘテロ)アリール残基、特に好ましくはフェニル、ピリジニル、またはアントラセニル、
    − (ヘテロ)アラルキル残基、極めて好ましくはベンジル、フェニルエチル、または1−メチル−1−フェニルエテ−2−イル、または
    − チオカルボキシル、カルボニル、カルボキシル、オキソ、チオキソ、エポキシ、ならびに上述の化合物の塩、
    である、請求項7に記載のニトリルゴム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のニトリルゴムであって、少なくとも1種の(C〜C)共役ジエンの共役ジエンとして、好ましくは1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレンまたはそれらの混合物を使用し、そして、少なくとも1種の(C〜C)α,β−不飽和ニトリルのα,β−不飽和ニトリルとして、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物を使用し、そして場合によっては、芳香族ビニルモノマー、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンおよびビニルピリジン、フッ素含有ビニルモノマー、好ましくはフルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−フルオロメチルスチレン、ビニルペンタフルオロベンソエート、ジフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレン、共重合性老化防止性モノマー、好ましくはN−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、およびN−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリン、非共役ジエン、好ましくは4−シアノシクロヘキセンおよび4−ビニルシクロヘキセン、アルキン、好ましくは1−ブチンおよび2−ブチン、α,β−飽和モノカルボン酸、それらのエステルおよびアミド、α,β−不飽和ジカルボン酸、それらのモノエステルおよびジエステル、それらに対応する酸無水物およびアミドからなる群から選択される1種または複数のさらなる共重合性ターモノマーを使用する、ニトリルゴム。
  10. 1.0〜2.9、好ましくは1.1〜2.8、より好ましくは1.15〜2.7、特には1.2〜2.6の範囲にある多分散性指数(=Mw/Mn;ここで、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のニトリルゴム。
  11. ニトリルゴムを調製するための方法であって、
    a)まず第一に、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および場合によっては1種または複数のさらなる共重合性モノマーのフリーラジカル重合を、少なくとも1種の有機溶媒および少なくとも1種の重合調節剤の存在下に実施し、そして
    b)場合によっては、次いで水素化を実施するが、
    ここで、工程a)における重合調節剤として、少なくとも1種の一般構造式(VI)の化合物を使用する、方法。
    [式中、
    Zは、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、ヒドロキシイミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、ホスホナト、ホスフィナト、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、シリル、シリルオキシ、ニトリル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、ボレート、セレネート、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、およびイソシアニドであり、
    Rは、(a)m≠0であるならば、前記残基Zと同じ定義を有しており、そして
    (b)m=0であるならば、H、直鎖状もしくは分岐状、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和アルキル残基、飽和、モノ−もしくはポリ−不飽和カルボシクリル残基もしくはヘテロシクリル残基、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、カルバモイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、スルファニル、チオカルボキシル、スルフィニル、スルフォノ、スルフィノ、スルフェノ、スルホン酸、スルファモイル、カルボニル、カルボキシル、オキシカルボニル、オキシスルホニル、オキソ、チオキソ、エポキシ、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、チオイソシアネート、またはイソシアニドであり、
    Mは、共役もしくは非共役ジエン、アルキンおよびビニル化合物を含む1種または複数のモノ−もしくはポリ−不飽和モノマーの繰り返し単位を表すか、または、ポリエーテル、特に好ましくはポリアルキレングリコールエーテルおよびポリアルキレンオキシド、ポリシロキサン、ポリオール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイソシアネート、多糖類、ポリエステル、およびポリアミドを含むポリマーをもたらす構造要素を表し、
    nとmは、同様であっても異なっていてもよく、それぞれ0〜10 000の範囲であり、
    tは、n=0であるならば0または1であり、n≠0であれば1であり、そして
    Xは、C(Z)、N(Z)、P(Z)、P(=O)(Z)、O、S、S(=O)またはS(=O)であるが、これらの残基の中のZが、式(VI)について先に述べたものと同じ定義を有している]
  12. 工程a)において、
    (i)一般式(VIa)の重合調節剤
    [式中、残基ZおよびRは、請求項11に記載の定義のすべてを採用することが可能である]
    (ii)一般式(VIb)の重合調節剤
    [式中、
    Zは、先に述べた請求項11における一般式(VI)についての定義を有しており、
    Rは、先に述べた請求項11における一般式(VI)でm=0であるケースb)についての定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
    (iii)一般式(VIc)の重合調節剤
    [式中、
    Zは、請求項11において一般式(VI)について述べた定義を有しており、
    Rは、請求項11において一般式(VI)でm=0であるケースb)について述べた定義を有しているが、ただし、Rが、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに、二級、三級もしくは芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限を有している]
    (iv)一般式(VId)の重合調節剤
    [式中、
    Zは、請求項11において述べた定義を有しているが、ただし、Zは、S−Z結合のホモリティック開裂の後に一級のラジカルを形成するという制限があり、そして
    Rは、請求項11におけるZと同じ定義を有しているが、ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに二級、三級または芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限があり、そして
    さらなる条件として、ZとRが、異なった定義を採用している]、ならびに
    (v)一般式(VIe)の重合調節剤
    [式中、
    Zは、請求項11に記載されたすべての定義を有することが可能であり、そして
    Rは、請求項11におけるZと同じ定義を有しているが、ただし、Rは、S−R結合のホモリティック開裂の後に、代わりに二級、三級または芳香族的に安定化されたラジカルを形成するという制限がある]
    からなる群から選択される重合調節剤が使用される、請求項11に記載の方法。
  13. 工程a)における重合調節剤として、ドデシルプロパン酸トリチオカーボネート(DoPAT)、ジベンゾイルトリチオカーボネート(DiBenT)、クミルフェニルジチオアセテート(CPDA)、クミルジチオベンゾエート、フェニルエチルジチオベンゾエート、シアノイソプロピルジチオベンゾエート、2−シアノエチルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオフェニルアセテート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、S−チオベンゾイル−1H,1H,2−ケト−3−オキサ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカンチオール、またはS−チオベンゾイル−1−フェニル−2−ケト−3−オキサ−4H,4H,5H,5H−ペルフルオロウンデカンチオールを使用する、請求項11に記載の方法。
  14. 以下の構造式(Ini−1)〜(Ini−6)のアゾ重合開始剤を使用して、工程a)を実施する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程a)における有機溶媒として、ジメチルアセトアミド、モノクロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、t−ブタノール、イソブチロニトリル、3−プロパノン、ジメチルカーボネート、4−メチルブタン−2−オン、メチルエチルケトン、またはメチルtert−ブチルエーテルを使用する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のニトリルゴム、少なくとも1種の架橋剤、場合によっては少なくとも1種の充填剤、および場合によっては1種または複数のさらなるゴム添加剤を含む、加硫可能な混合物。
  17. 加硫物を製造するための方法であって、好ましくは少なくとも1種の架橋剤を添加するか、または光化学的活性化によって、請求項16に記載の前記加硫可能な混合物を架橋させることを特徴とする、方法。
  18. 請求項17に記載の方法によって得ることが可能な加硫物、好ましくは成形物。
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