JP2013258156A - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メソフェーズカーボン小球体の黒鉛化物を基材とし、上記基材の表面の少なくとも一部に上記基材の表面よりも結晶性の低い炭素質物の付着物を有するリチウムイオン二次電池用負極材料であって、上記黒鉛化物がメソフェーズカーボン小球体を粉砕した後、黒鉛化して得た黒鉛化物であって、上記基材のd002が0.3365nm以下で、1360cm−1と1580cm−1のピーク強度との強度比(RA)が0.05〜0.3であり、かつ、上記負極材料の1360cm−1と1580cm−1のピーク強度との強度比(RB)が0.3以上であって、RA<RBであり、上記結晶性の低い炭素質物の付着物が、炭素繊維を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
【選択図】図2
Description
このように、基材の黒鉛に対する炭素材料の被覆による改質は、基材を最適な状態に調整しないと、期待する特性(放電容量、初期充放電効率、レート特性)を充分に向上させることができないばかりか、場合によっては、逆に低下させる恐れすらある。
すなわち、本発明は、メソフェーズカーボン小球体の黒鉛化物を基材とし、前記基材の表面の少なくとも一部に、前記基材の表面よりも結晶性の低い炭素質物の付着物を有するリチウムイオン二次電池用負極材料であって、前記黒鉛化物がメソフェーズカーボン小球体を粉砕した後、黒鉛化して得た黒鉛化物であって、前記基材のX線回折による炭素網面層の格子面間隔d002が0.3365nm以下で、波長514.5nmのアルゴンレーザーを用いたラマンスペクトルにおける1360cm−1のピーク強度と1580cm−1のピーク強度との強度比(RA)が0.05〜0.3であり、かつ、前記負極材料の前記ラマンスペクトルにおける1360cm−1のピーク強度と1580cm−1のピーク強度との強度比(RB)が0.3以上であって、RA<RBであり、前記結晶性の低い炭素質物の付着物が、炭素繊維を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、メソフェーズカーボン小球体の粉砕品の黒鉛化物を基材とし、前記基材の表面の少なくとも一部、好ましくは前記基材のエッジ面に、前記基材の表面よりも結晶性の低い炭素質物が付着した負極材料である。
以下、基材、付着物、負極材料、付着方法、負極、正極、非水電解質、セパレータ、リチウムイオン二次電池の順に説明する。
本発明の負極材料の基材として用いられる黒鉛化物は、メソフェーズカーボン小球体(以後、単に小球体とも記す)を粉砕して得た粉砕品を黒鉛化してなる黒鉛化物である。前記黒鉛化物は、通常、表面の少なくとも一部に、黒鉛化物の内部に比べて結晶性の低い、原料ピッチ等に由来する炭素質の極薄層を有する二層構造体である。
前記焼成はロータリーキルンなどを用いて、不活性雰囲気中で行うことができる。前記焼成時に前記小球体の表面に付着していた微量のピッチ等が炭化される。
なお、焼成生成物を粉砕、分級して粒度調整した後、黒鉛化してもよく、粉砕後の焼成生成物の分級による粗粒および塊状物、微粉の除去を前記焼成生成物の黒鉛化後に行うこともできる。
粒子径調整後の前記小球体の窒素ガス吸着BET法による比表面積は5m2/g以下、特に1m2/g以下であることが好ましい。
粉砕手段は特に限定されないが、比較的精密な粒度制御が可能なジェット粉砕などが好適である。前記粉砕条件も格別限定されない。なお、小球体の平均粒子径が100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは3〜20μmになるように条件設定する。
小球体の黒鉛化前に粉砕せずに、小球体を黒鉛化して得た黒鉛化物の粉砕品を、リチウムイオン二次電池用負極材料として用いた場合には初回充放電効率の点で劣るので、小球体の黒鉛化前に粉砕することが重要である。これは、黒鉛化後の粉砕品にはエッジ面が多く存在していることに拠るものと推定される。
前記基材に付着する付着物は、前記基材の表面より結晶性の低い炭素質物である。前記付着物は小球体の黒鉛化物が通常有する炭素質の極薄層とは結晶性が異なり、前記極薄層とは別の層を形成する。
前記炭素質物は、例えば、炭素質材料を600℃以上、好ましくは800℃以上の温度に加熱し炭化してなるものが好ましい。炭素質材料の種類は問わないが、石炭系または石油系のタールピッチ類および/または樹脂類であることが好ましい。具体的には、タールピッチ類としてコールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられる。特に好ましいのはコールタールピッチ、メソフェーズピッチなどである。樹脂類としては、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などが挙げられる。
本発明の負極材料は、前記基材(小球体)の表面に、前記表面の炭素質の極薄層より結晶性の低い炭素質物の付着物を、別の層として有する構造体である。
前記基材表面に付着する炭素質物は、基材表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、エッジ面を被覆していることが特に好ましい。また、前記付着物は膜状、繊維状、粒状などいかなる形態で付着していてもよく、これら複数の組み合わせであってもよい。
付着物による基材表面の被覆状態は特に限定されないが、全面を均一に被覆していることが好ましい。被覆率は、例えば、ラマン分光法などによって測定することができる。付着物の膜厚は特に限定されないが、100nm以下であることが好ましい。膜厚は、例えば、粒子断面の透過型電子顕微鏡による観察などによって測定することができる。
また、負極材料の強度比RBが基材の強度比RAより大きい(RA<RB)と、前記負極材料の最表面に位置する負極材料の結晶性が基材の結晶性(RAが0.05以上)より低いことを意味し、初回充放電効率が向上するので好ましい。より好ましいのは0.05≦RA<RB≦1.0である。
本発明の負極材料の比表面積は5m2/g以下、特に3m2/g以下、さらに2m2/g以下であることが好ましい。前記範囲内であれば、初回充放電効率が向上する。
本発明の負極材料のタップ密度は1.0g/m3以上、特に1.3g/m3以上、さらに1.4g/m3以上であることが好ましい。最も好ましくは1.45g/m3以上である。前記範囲内であれば、初回充放電効率が向上する。
なお、タップ密度とは150cm3の容器に試料を充填し、300回タップした後の密度を言う。
また、本発明の負極材料における基材と付着物との境界に、組成が傾斜的に変化する界面層が存在してもよい。例えば、付着処理にメカノケミカル処理を用いる場合、付着するピッチの研磨効果で、基材表面の極薄層の最表面の結晶性がやや乱される(結晶性が低下する)ことがあり得る。
本発明における炭素質物の基材表面への付着は、いかなる方法によってもよいが、気相法、液相法、固相法によるのが好ましく、特に固相法によるのが好ましい。また、これらの複数の組み合わせであってもよい。本発明の代表的な炭素質物の基材表面への付着方法を以下に示す。
炭素質材料については前述したが、特に好ましいのはコールタールピッチ、メソフェーズピッチなどである。
液相法としては炭素質材料の溶液に基材を分散したのち、溶媒を除去する方法が挙げられる。
本発明は、前記負極材料を含有するリチウムイオン二次電池用負極であり、該負極を用いるリチウムイオン二次電池である。
本発明の負極は、通常の負極の成形方法に準じて作製されるが、本発明の負極材料の電池特性を充分に引き出し、かつ賦型性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる成形方法であれば何ら制限されない。
負極の作製時には、本発明の負極材料に結合剤を加えて調製した負極合剤を用いることが好ましい。結合剤としては、非水電解質に対して、化学的および電気化学的に安定なものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤全量中の1〜20質量%程度の割合で用いられる。
着強度をさらに高めることができる。
負極の作製に用いる集電材の形状は、特に限定されないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状物などが好ましい。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電材の厚みは、箔状の場合は好ましくは5〜20μmである。
正極は、例えば正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電材の表面に塗布することにより形成される。正極材料(正極活物質)は、充分量のリチウムを吸蔵/脱離し得るものを選択するのが好ましく、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式 MXMO6S8−Y(式中、Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦X≦1の範囲の数値である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、LiM1 1−XM2 XO2(式中、M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦1の範囲の数値である)、またはLiM1 1−YM2 YO4(式中、M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Yは0≦Y≦1の範囲の数値である)で示される。
バナジウム酸化物はV2O5、V6O13、V2O4、V3O8で示されるものである。
集電材の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電材の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
本発明に用いられる非水電解質は、通常の非水電解液に使用される電解質の塩である。例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3CH2OSO2)2、LiN(CF3CF2OSO2)2、LiN(HCF2CF2CH2OSO2)2、LiN[(CF3)2CHOSO2]2、LiB[C6H3(CF3)2]4、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩を用いることができる。特にLiPF6、LiBF4が酸化安定性の点から好ましく用いられる。
非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lが好ましく、0.5〜3.0mol/l がより好ましい。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが好ましい。
前記固体電解質中の非水溶媒(可塑剤)の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低くなり、90質量%超であると機械的強度が低下し、製膜しにくくなる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータは特に限定されるものではないが、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記の少なくともリチウムと合金化可能な金属と黒鉛化物を含む負極材料において、前記金属と黒鉛化物が、炭素質材料以外の導電性材料で結合または被覆された負極、正極および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、二次電池の外装材内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に非水電解質を配するようにしてもよい。
高分子固体電解質電池や高分子ゲル電解質電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
[負極材料の作製]
フリーカーボン(QI)を0.5質量%含有するコールタールを、350℃で0.5時間加熱した後、さらに450℃で0.2時間加熱してメソフェーズカーボン小球体を生成させた。加熱後のコールタールから、タール重油(沸点:200〜300℃)を用いてピッチを抽出し、ピッチマトリックスから濾過により、メソフェーズカーボン小球体を分離した。得られた小球体をロータリーキルンを用い500℃で焼成し、得られた焼成生成物を200メッシュ(篩目:75μm)の振動篩を用いて、粗粒(凝集体)を除去した。得られた粒度調整品をジェット粉砕機[(株)セイシン企業製;型式コジェットシステムα−mkIV]を用いて粉砕し、平均粒子径が15μmの粉砕品を得た。得られた粉砕品を黒鉛るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下、昇温速度1000℃/時間で昇温し、3000℃で3時間懸けて黒鉛化し、小球体の黒鉛化物(基材)を得た。
前記基材と前記メソフェーズピッチの粉砕品を質量比100:5で混合し、乾式粉体複合化装置[メカノフュージョンシステム、型式AMS、ホソカワミクロン(株)製]を用いて、回転ドラムの周速20m/秒、回転ドラムと内部部材との距離5mmで60分間圧縮力、剪断力を繰返し付与してメカノケミカル処理し、前記基材の表面に前記メソフェーズピッチの粉砕品が付着した基材を得た。得られた基材を1300℃で加熱し、付着した前記メソフェーズピッチの粉砕品を炭化し、負極材料を作製した。得られた負極材料の外観を示す走査型電子顕微鏡写真を図2に示した。
前記負極材料90質量%とポリフッ化ビニリデン10質量%をN−メチルピロリドンに入れ、ホモミキサーを用いて2000rpmで30分間攪拌混合し、負極合剤のペーストを調製した。
前記負極合剤ペーストを、集電体の銅箔(厚み15μm)上に均一な厚さで塗布した後、真空中90℃でN−メチルピロリドンを揮発させて乾燥した。前記銅箔上に形成された負極合剤層をハンドプレスによって加圧し圧着した。ついで、直径15.5mmの円柱に打抜いて、負極材料が銅箔に密着した作用電極(対極)(厚み70μm)を作製した。
リチウム金属箔(厚み0.5mm)をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、前記集電体に密着したリチウム金属箔からなる対極(正極)を作製した。
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解質液が含浸したセパレータを作製した。
評価電池は、図1に示す構造のボタン型二次電池であり、下記のように作製した。
外装カップ1と外装缶3は、その周縁部において絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。その外装缶3に内面から順に、ニッケルネットからなる集電体7a、リチウム箔よりなる円柱状の対極4、電解液が含浸したセパレータ5、作用電極2、銅箔からなる集電体7bが積層された電池である。
電解液を含浸したセパレータ5を、集電体7bと集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、集電体7bを外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合せ、さらに、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉し作製した。
〔ラマン分光〕
負極材料等のラマン分光によるR値は、ラマン分光分析器[NR-1100:日本分光(株)製]を用い、励起光は波長514.5nmのアルゴンレーザーで、照射面積は30μmφで分析し、Dバンド1360cm−1ピークの強度(ID)、Gバンド1580cm−1のピーク強度(IG)を測定した。そして強度比ID/IGをR値としたことは前述した。
CuKα線をX線源、高純度シリコンを標準物質に使用して、基材等に対し(002)回折ピークを測定し、そのピーク位置およびその半値幅から、それぞれd002、Lcを算出した。算出方法は学振法(日本学術振興会第117委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には「炭素繊維」(大谷杉郎著、近代編集社、昭和61年3月発行)の733〜742頁などに記載されている方法に拠ったことは前述した。
負極を250MPaでプレスし、打ち抜いた直径15.5mmの円柱を試料とした。
CuKα線をX線源、高純度シリコンを標準物質に使用して、負極の(004)面のピーク強度(I004)と(110)面のピーク強度(I110)を測定し、強度比RをI004/I110で算出し、配向度とした。
基材等の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径とした。
負極材料等の比表面積は、窒素ガス吸着によるBET法により求めた。
負極材料等のタップ密度は、150cm3の容器に試料を充填した後、300回タップした後の体積と質量より求めた。
負極材料等の層厚は、マイクロメーターの計測により求めた。
前記のように作製された評価電池について、25℃の温度で下記のような充放電試験を行い、放電容量を測定し初回充放電ロス、2C放電率を計算した。評価結果を表1に示した。
次いで、充電電流を0.5C、放電電流を2Cとして前記と同様に充放電を行い、放電容量(2C電流値における放電容量)を求めた。そして、次式(2)から2C放電率を計算した。なお、1Cとは、対象とする負極が満充電状態にあるとき、その電気量を1時間で放出するときの電流値、0.5Cは2時間で放出するときの電流値、2Cは30分で放出するときの電流値を言う。
なお、この試験では、リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、負極材料からリチウムイオンが脱離する過程を放電とした。
初回充放電ロス=第一サイクルの充電容量−第一サイクルの放電容量 (1)
2C放電率(%)=2C電流値における放電容量/第一サイクルの放電容量
×100 (2)
参考例1において、メカノケミカル処理の代わりに、粉砕し黒鉛化した基材を、コールタールピッチ[JFEケミカル(株)製、残炭率:60%]にタール中油を混合して調整したコールタールピッチ混合液に分散させ、二軸加熱ニーダーを用いて150℃で1時間混練し、混練生成物を得た。その際、固形分比率が基材:コールタールピッチ=92:8になるように調整した。混練生成物を真空にしてタール中油等の溶媒を除去した。得られた混練生成物を1300℃で3時間加熱し、コールタールピッチの炭化物が基材を被覆した負極材料を作製した。
前記負極材料を用い、参考例1と同様な方法と条件で、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、基材とメソフェーズピッチとの比率を100:3に変えてメカノケミカル処理する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、基材とメソフェーズピッチとの比率を100:10に変えてメカノケミカル処理する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、粉砕した基材の平均粒子径を10μmに変える以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、粉砕した基材の平均粒子径を3μmに変える以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、粉砕した基材の平均粒子径を25μmに変える以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メカノケミカル処理を省略する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メソフェーズ小球体の焼成生成物の粉砕を省略する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。該負極材料の外観を示す走査型電子顕微鏡写真を図3に示した。
フリーカーボン(QI)を0.5質量%含有するコールタールを、350℃で0.5時間加熱した後、さらに450℃で0.2時間加熱してメソフェーズカーボン小球体を生成させた。加熱後のコールタールから、タール重油(沸点:200〜300℃)を用いてピッチを抽出し、ピッチマトリックスから濾過により、メソフェーズカーボン小球体を分離した。得られた小球体をロータリーキルンを用い500℃で焼成し、得られた焼成生成物を200メッシュ(篩目:75μm)の振動篩を用いて、粗粒(凝集体)を除去した。得られた粒度調整品を粉砕することなく、黒鉛るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下、昇温速度1000℃/時間で昇温し、3000℃で3時間懸けて黒鉛化し、基材(平均粒子径25μm)を得た。
前記基材を用い、メカノケミカル処理を省略する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メソフェーズカーボン小球体の焼成後の粉砕品の代わりに、粉砕した鱗片状黒鉛(天然黒鉛、平均粒子径25μm)を用いる以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メソフェーズカーボン小球体の焼成後の粉砕品の代わりに、粉砕した鱗片状黒鉛(天然黒鉛、平均粒子径25μm)を用い、メカノケミカル処理を省略する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メソフェーズカーボン小球体の焼成後の粉砕品の代わりに、粉砕した鱗片状黒鉛をさらに球状化加工したもの(平均粒子径15μm)を用いる以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、メソフェーズカーボン小球体の焼成後の粉砕品の代わりに、粉砕した鱗片状黒鉛をさらに球状化加工したもの(平均粒子径15μm)を用い、メカノケミカル処理を省略する以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
比較例3と同様に粉砕することなく黒鉛化物を得た。この黒鉛化物を粉砕した基材(平均粒子径15μm)を用いて、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例2において、粉砕し黒鉛化した基材を、コールタールピッチ[JFEケミカル(株)製、残炭率:60%](基材に対して3質量%)とアセチレンブラック〔電気化学工業(株)製〕(基材に対して2質量%)にタール中油を混合して調整したコールタールピッチ混合液に分散させ、二軸加熱ニーダーを用いて150℃で1時間混練し、混練生成物を得た以外は、参考例2と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例2と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例2において、粉砕し黒鉛化した基材を、コールタールピッチ[JFEケミカル(株)製、残炭率:60%](基材に対して3質量%)と気相成長炭素繊維〔VGCF、昭和電工(株)製〕(基材に対して2質量%)にタール中油を混合して調整したコールタールピッチ混合液に分散させ、二軸加熱ニーダーを用いて150℃で1時間混練し、混練生成物を得た以外は、参考例2と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例2と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1の粉砕し黒鉛化した基材を石英管に封入し、ヒーターで加熱して900℃に保持した。石英管内に窒素ガスでバブリングしたベンゼンを2時間流通して基材にベンゼンを蒸着させた。前記蒸着生成物を用いて、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、黒鉛化温度を3100℃に変える以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、黒鉛化温度を2800℃に変える以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、基材とメソフェーズピッチとの比率を100:1に変えてメカノケミカル処理すること以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1において、基材とメソフェーズピッチとの比率を100:15に変えてメカノケミカル処理すること以外は、参考例1と同様な方法と条件で、負極材料、負極合剤、負極、評価電池の作製を行い、参考例1と同様な方法と条件で、測定、評価を行った。結果を表1に示した。
参考例1と比較例2との対比から、基材としてメソフェーズカーボン小球体の焼成生成物を粉砕して黒鉛化した黒鉛化物を用いた場合、粉砕せずに黒鉛化した黒鉛化物を用いた場合に比べ、評価電池の2C放電率が優れることが明らかである。
参考例1と比較例6との対比から、基材としてメソフェーズカーボン小球体の焼成生成物を粉砕して黒鉛化した黒鉛化物を用いた場合、鱗片状黒鉛の球状化品を用いた場合に比べ、評価電池の初回充放電ロス、2C放電率が優れることが明らかである。
参考例1と比較例8との対比から、基材としてメソフェーズカーボン小球体の焼成生成物を粉砕して黒鉛化した黒鉛化物を用いた場合、メソフェーズカーボン小球体を黒鉛化した後、粉砕して得た黒鉛化物を用いた場合に比べ、評価電池の初回充放電ロス、2C放電率が優れることが明らかである。
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 電解質溶液含浸セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a,7b 集電体
Claims (5)
- メソフェーズカーボン小球体の黒鉛化物を基材とし、前記基材の表面の少なくとも一部に、前記基材の表面よりも結晶性の低い炭素質物の付着物を有するリチウムイオン二次電池用負極材料であって、前記黒鉛化物がメソフェーズカーボン小球体を粉砕した後、黒鉛化して得た黒鉛化物であって、
前記基材のX線回折による炭素網面層の格子面間隔d002が0.3365nm以下で、波長514.5nmのアルゴンレーザーを用いたラマンスペクトルにおける1360cm−1のピーク強度と1580cm−1のピーク強度との強度比(RA)が0.05〜0.3であり、かつ、前記負極材料の前記ラマンスペクトルにおける1360cm−1のピーク強度と1580cm−1のピーク強度との強度比(RB)が0.3以上であって、RA<RBであり、前記結晶性の低い炭素質物の付着物が、炭素繊維を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- メソフェーズカーボン小球体を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で得られたメソフェーズカーボン小球体の粉砕品を加熱する黒鉛化工程と、前記黒鉛化工程で得られたメソフェーズカーボン小球体の黒鉛化物の表面の少なくとも一部に炭素質材料および炭素繊維を付着させる付着工程と、前記付着工程で得られた炭素質材料が付着したメソフェーズカーボン小球体の黒鉛化物を加熱し、前記炭素質材料を炭化する炭化工程を有することを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を製造する、リチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
- 前記付着工程が、液相法によることを特徴とする、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
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