JP2013256445A - 単結晶シリコンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】純度の高い単結晶シリコンをマルチプリング法で得ることを可能とする技術を提供すること。
【解決手段】マルチプリング本数nが1の場合、CZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度を0.05ppta以下に保つために許容可能な多結晶シリコン塊のバルクの重金属不純物濃度の総量は759pptaであり、当該許容重金属不純物濃度総量はマルチプリング本数が増えるに従って低下し、n=5の場合には概ね150ppta(152ppta)、n=10の場合には概ね75ppta(76ppta)となる。したがって、原料としてバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計が150ppta以下である多結晶シリコン塊のみからなる多結晶シリコン塊群を用いることとすれば、純度の高い単結晶シリコンをマルチプリング法で得ることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は単結晶シリコンの製造方法に関し、より詳細には、マルチプリング法により単結晶シリコンを製造する方法に関する。
シリコン単結晶基板の原料となる多結晶シリコンの製造方法として、シーメンス法が知られている。シーメンス法は、クロロシランを含む原料ガスを加熱されたシリコン芯線に接触させることにより、該シリコン芯線の表面に多結晶シリコンをCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて気相成長させる方法である。
通常のシーメンス法による多結晶シリコンの製造は、例えば、下記のような工程により行われる。先ず、気相成長装置の反応炉内に、鉛直方向2本、水平方向1本のシリコン芯線を鳥居型に組み立て、鉛直方向の芯線の両端を導電性のホルダを介して金属電極に固定する(芯立込み工程)。
次に、金属電極から電流を導通させて鳥居型のシリコン芯線を水素雰囲気中で加熱しながら、原料ガスとして例えばトリクロロシランを反応炉内に供給して芯線上に多結晶シリコンを逆U字状に気相成長させ、所望の直径の多結晶シリコン棒を得る(気相成長工程)。
反応炉内を冷却した後、クレーン等を用いて反応炉から多結晶シリコン棒を取り出す(刈取り工程)。
反応炉外に取り出した多結晶シリコン棒全体を、粉砕装置あるいはハンマ等を用いて破砕し、CZ(Czochralski)法による単結晶シリコンインゴットの育成に使用する石英ルツボに投入しやすい大きさの多結晶シリコン塊とする(破砕工程)。
そして、最後に、多結晶シリコン塊を洗浄して表面に付着した異物や不純物を除去して、清浄な多結晶シリコンを得る(洗浄工程)。
ところで、近年では、最終製品である半導体デバイスの集積度の高まりに伴って、高集積度半導体デバイス用の基板材料であるCZ単結晶シリコンには高純度であることが厳しく求められており、必然的に、その原料となる多結晶シリコン塊に対する更なる高純度化要求も厳しくなりつつある。
多結晶シリコン塊の高純度化が不充分で、当該塊に鉄や銅といった重金属が含まれていると、これらの不純物がシリコン融液中に溶け出し、育成されるCZ単結晶シリコン中に取り込まれて高純度化の支障となる。このような多結晶シリコン塊からのシリコン融液への不純物の持ち込みは、マルチプリング法(multi pulling method)でCZ単結晶シリコンを育成する場合に特に深刻である。
マルチプリング法とは、単一のバッチにおいて、単結晶シリコンインゴットを引き上げた後に石英ルツボを加熱するヒータ電源を落とさずに残存しているシリコン融液に多結晶シリコン塊を追加投入して新たに単結晶シリコンインゴットを引き上げ、これを繰り返して複数の単結晶シリコンインゴットを得る結晶成長方法で、CZ単結晶シリコンの生産性向上と製造コストの低減を目的として考案された手法である。
一般に、鉄や銅などの重金属元素は、シリコン融液(液相)からシリコン結晶(固相)への固液界面における取り込まれ易さの指標となる偏析係数kは1よりも顕著に小さく、シリコン融液中に残存し易い。
従って、マルチプリング法でCZ単結晶シリコンインゴットを育成する場合には、1バッチ内で引き上げられる単結晶シリコンインゴットの本数が多くなるほど、また、1バッチ内での引上げの順番が後の単結晶シリコンインゴットになるほど、偏析係数kが1よりも小さな不純物が「濃縮」された不純物濃度の高いシリコン融液から育成される結果となり、単結晶シリコン中に取り込まれる不純物濃度は次第に高くなる。
単結晶シリコン中の重金属不純物は、OSF(Oxidation induced Stacking Fault)の発生や少数キャリアライフタイムの低下の原因となり、CZ単結晶シリコンの品質を低下させてしまうため、CZ単結晶シリコンの原料である多結晶シリコン塊からルツボ内(シリコン融液中)に持ち込まれる重金属不純物の量は、極力低減させることが重要であり、多結晶シリコン塊の十分な高純度化が必要となる。
単結晶シリコン育成用原料としての多結晶シリコン塊の高純度化を目的として、従来、様々な洗浄方法が提案されている。例えば、特開平4−357106公報(特許文献1)は、シリコンの表面にマイクロ波を照射または高温乾燥処理を施して、エッチング処理した後のシリコン表面におけるSi−H結合を減少させ、SiO2の皮膜を形成させる技術を開示する。しかし、このような処理を施しても、Si−H結合が残存箇所から、作業雰囲気(環境)中に浮遊等する金属粒を吸着してしまう虞は残る。
特開平8−67511号公報(特許文献2)は、多結晶シリコンを、酸化性の薬液、水、および酸化膜を分解し得る薬液で順次洗浄することにより、表面が鉄原子で汚染されていない高純度の多結晶シリコンを得るための洗浄方法を開示する。しかし、この洗浄方法では、酸化膜を分解し得る薬液(例えば弗酸)で多結晶シリコンを最終洗浄するため、シリコン塊の表面が化学的に活性になり、環境からの汚染の影響を受けやすい。
特開平11−168076号公報(特許文献3)は、鉄/クロム含量が極めて低い多結晶シリコンを提供するための洗浄方法として、酸化洗浄液を用いて少なくとも1段階の予備洗浄で半導体材料を洗浄すること、硝酸とフッ化水素酸を含む洗浄液を用いて更なる段階の主洗浄で該材料を洗浄すること、及び親水化過程で、酸化洗浄液を用いてなお更なる段階で該材料を洗浄することを含む方法を開示する。しかし、この洗浄方法は、鉄及びクロム以外の重金属不純物の含量の低減にも有効であるか否かは、不明である。
特開2000−128692号公報(特許文献4)は、塊状又は粒状のポリシリコンを溶存オゾン水溶液で洗浄する工程と、溶存オゾン水溶液で洗浄したポリシリコンをフッ酸で洗浄する工程とをこの順序で一回行うか又は1回以上繰り返す洗浄方法を開示する。しかし、この洗浄方法は、上述の特許文献2に開示の洗浄方法と同様に、弗酸で最終洗浄を行なうために多結晶シリコン塊の表面が化学的に活性になり、環境汚染の影響を受けやすい。
特開平5−4811号公報(特許文献5)は、CZ単結晶引上げ法の前工程として、多結晶シリコンをフッ化水素酸、過酸化水素および水の混合液で洗浄することにより、多結晶シリコン表面のFe、Cu、Ni、Crの重金属濃度を低下させる方法を開示する。しかし、この方法は、あくまでも単結晶シリコンの育成方法の一環としての洗浄方法であり、CZ単結晶引上げのために多結晶シリコン塊を石英ルツボにチャージする直前に実行する必要がある。
特開平4−357106公報 特開平8−67511号公報 特開平11−168076号公報 特開2000−128692号公報 特開平5−4811号公報
「シリコンの科学」100頁Table 5(リアライス゛社1996年)
これらの先行技術は何れも、多結晶シリコン塊の表面を清浄化するための洗浄方法に関するものであるが、多結晶シリコン塊からルツボ内(シリコン融液中)に持ち込まれる重金属不純物は、多結晶シリコン塊の表面のみに含有されているわけではなく、バルク全体に含有されている。
多結晶シリコン塊の製造工程には、バルク中に取り込まれたり表面に付着したりする虞のある重金属不純物の多数の発生源が存在し得る。例えば、気相成長装置の反応炉壁やベースプレートには耐熱性ステンレス板が使用され、該ステンレス板が腐食されるとニッケルやクロムを含む金属粒が成長雰囲気中に放散される。また、金属電極には銅あるいはステンレスが使用される。このため、ニッケル、クロム、銅が多結晶シリコンのバルク中に取り込まれやすい。
気相成長終了後においては、多結晶シリコン棒の刈り取りのためにクレーンを用いると、当該クレーンからは鉄粉が発生する。また、多結晶シリコン棒の破砕にジョークラッシャやロールクラッシャあるいはハンマを用いると、これらの破砕手段に用いられている超硬合金が多結晶シリコンと接触することとなるが、当該超硬合金としてタングステンカーバイドをコバルト合金で焼結した材料が用いられているため、多結晶シリコン塊の表面に鉄とコバルトが付着しやすい。
さらに、多結晶シリコンの析出反応終了後に反応炉内を作業雰囲気に開放する際、反応炉内からニッケル、クロム、銅を含む金属粒が作業雰囲気中に放散され、これらの金属粒が多結晶シリコン塊の表面に付着しやすい。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、単結晶シリコンの品質低下を招く重金属不純物であるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの含有量の総計が低い清浄な高純度の多結晶シリコン塊を原料として用い、これにより純度の高い単結晶シリコンをマルチプリング法で得ることを可能とする技術を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明に係る単結晶シリコンの製造方法は、マルチプリング法により単結晶シリコンを製造する方法であって、バルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計が150ppta以下である多結晶シリコン塊のみからなる多結晶シリコン塊群を原料として用い、n回(nは5以上の整数)のマルチプリングの最終プリング時の固化率を0.9としたときに、前記n回のマルチプリングで得られるn本の単結晶シリコンインゴットのバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各不純物濃度を何れも0.05ppta以下とする。
例えば、前記nは10以上であり、前記多結晶シリコン塊のバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計は75ppta以下である。
前記不純物濃度は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法により求めることが可能である。本発明の多結晶シリコン塊の表面は、シリコン酸化膜で被覆されていることが好ましい。
本発明では、原料としてバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計が150ppta以下である多結晶シリコン塊のみからなる多結晶シリコン塊群を用いることとしたので、純度の高い単結晶シリコンをマルチプリング法で得ることが可能となる。
マルチプリング法で育成されるCZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度を0.05ppta以下に保つために許容可能な多結晶シリコン塊中の重金属不純物濃度の総量を知るために行なった理論算出結果を纏めたものである。 シーメンス法で多結晶シリコン塊を製造する際の多結晶シリコン塊の母材となるシリコン多結晶棒の態様の一例を示す概略図である。 本発明の多結晶シリコン塊の製造工程例を説明するためのフローチャートである。 シリコン多結晶棒の部位の電極側端からの距離と当該部位に含有されているクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルト各重金属不純物の濃度ならびにその合計との関係を示すグラフの一例である。 洗浄工程の一例を示すフローチャートである。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
CZ単結晶シリコン中の重金属不純物は、酸化誘起積層欠陥(OSF)の発生や少数キャリアライフタイムの低下の原因となることが知られている。具体的には、CZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅の各濃度を0.05ppta以下とすればOSFの発生が抑制される(「シリコンの科学」100頁Table 5、1996年リアライズ社発行:非特許文献1)。
また、クロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度が0.05ppta以下であれば、少数キャリアライフタイムの低下は実質的に認められない。従って、OSFが発生し難く少数キャリアライフタイムの長い高品質なCZ単結晶シリコンを得るためには、CZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度を0.05ppta以下とする必要がある。
これらの各重金属元素の偏析係数は既に知られているから、CZ単結晶シリコン中の不純物濃度を上述の値以下とするために許容される多結晶シリコン塊のバルクの重金属不純物濃度は理論的に求めることができる。
表1は、CZ単結晶シリコンをマルチプリング法で育成する場合の、CZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度を0.05ppta以下に保つために許容可能な多結晶シリコン塊のバルクの重金属不純物濃度を知るために行なった理論算出結果を纏めたものであり、図1は、表1に示した結果をグラフ化したものである。なお、この算出に際しては、マルチプリングの最終本数の固化率を0.9とした。
表1に示すように、マルチプリング本数nが1の場合(事実上、マルチプリングを行なわない場合)、CZ単結晶シリコン中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各濃度を0.05ppta以下に保つために許容可能な多結晶シリコン塊のバルクの重金属不純物濃度の総量は759pptaであり、当該許容重金属不純物濃度総量はマルチプリング本数が増えるに従って低下し、n=5の場合には概ね150ppta(152ppta)、n=10の場合には概ね75ppta(76ppta)となる。
Figure 2013256445
つまり、多結晶シリコン塊から検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度(バルクから検出される重金属不純物濃度の総量)が150ppta以下の多結晶シリコン塊を原料としてマルチプリング法によりCZ単結晶シリコンを育成すれば、マルチプリング本数が5本以下の場合にOSFの発生しない結晶を得ることができる。
また、このような低不純物濃度のCZ単結晶中では、深い準位の欠陥が形成され難いため、少数キャリアのライフタイムが長くなり、太陽電池用のシリコン基板の製造にも好適である。
また、多結晶シリコンから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度が100ppta以下の多結晶シリコン塊を原料としてマルチプリング法によりCZ単結晶シリコンを育成すれば、マルチプリング本数が7本以下の場合にOSFの発生しない結晶を得ることができる。
さらに、マルチプリング本数が10本以下の場合にOSFの発生しない結晶を得るためには、多結晶シリコンから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度が75ppta以下の多結晶シリコン塊を原料とすればよい。
多結晶シリコン塊中の重金属不純物濃度は、例えばICP−MS(Inductivity Coupled Plasma-Mass Spectrometry:誘導結合プラズマ質量分析)法を用いて検出することができる。ICP−MS法では、分析試料となる多結晶シリコン片を少量のフッ化水素水と硝酸の混酸で溶解した後に蒸発乾固させ、その残渣を5%硝酸で溶解した水溶液中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの濃度を分析する。
図2は、シーメンス法で多結晶シリコン塊を製造する際の多結晶シリコン塊の母材となるシリコン多結晶棒100の態様の一例を示す概略図である。また、図3は、本発明の多結晶シリコン塊の製造工程例を説明するためのフローチャートである。
シリコン多結晶棒100は、略平行に配置された第1のシリコン芯線31と第2のシリコン芯線32とを有し、第1のシリコン芯線31および第2のシリコン芯線32の間が接続用シリコン芯線33で接続され、これら芯線上に多結晶シリコン10が気相反応により析出して形成される。
第1のシリコン芯線31および第2のシリコン芯線32の一端部はそれぞれ、例えばカーボン製の導電性ホルダ51および52に挿入され、該導電性ホルダ51,52は気相成長装置(不図示)の反応炉内に設けられた銅製あるいはステンレス製の金属電極61,62に固定される。このとき、第1のシリコン芯線31および第2のシリコン芯線32は、鉛直方向に略平行に配置される。そして、第1のシリコン芯線31および第2のシリコン芯線32の他端部に接続用シリコン芯線33を配置し、第1および第2のシリコン芯線31,32の間を接続する(芯立込み工程:S101)。なお、気相成長装置の反応炉壁には、耐食性ステンレスが使用される。
芯立込み工程の終了後、反応炉内の雰囲気を窒素、水素の順に置換し、第1および第2のシリコン芯線31,32ならびに接続用シリコン芯線33の加熱を水素雰囲気中で開始する。金属電極61,62から導電性ホルダ51,52を介して、第1および第2のシリコン芯線31,32ならびに接続用シリコン芯線33に通電して加熱し、所望の温度(例えば900℃〜1100℃)に到達後、トリクロロシラン等の原料ガスを成長炉内に供給して多結晶シリコン10を気相成長し、多結晶シリコン棒100を形成する(気相成長工程:S102)。
多結晶シリコン10が所望の直径(例えば120mm)まで成長後、原料ガスの供給を停止し、反応炉内の温度を低下させ、反応炉内の雰囲気を水素から窒素に置換し、反応炉を大気開放する。
水素雰囲気中で気相成長された多結晶シリコン棒100の表面は水素終端(H2-terminate)の状況にあるため、特に、後工程である刈取り工程と破砕工程でクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトなどの金属粒を吸着しやすい。
そこで、逆U字状に形成された多結晶シリコン棒100の刈取り作業を行なう前に、多結晶シリコン棒100の表面を金属汚染防止用の袋状の部材で被覆し(S103)、その状態で反応炉から取り外す。このようにすると、刈取りに用いられるクレーン等から発生する鉄粉あるいはステンレス製の反応炉壁から飛散するクロムやニッケルの粒子が多結晶シリコン棒100に付着することを大幅に抑制できる。
加えて、耐衝撃性が高く破損し難い袋等を用いて被覆しておけば、刈取り作業中に多結晶シリコン棒100が折れた場合でも、折れた部分が袋内に保持されるため、多結晶シリコン10がベースプレートや電極上に落下してクロム、ニッケルまたは銅の汚染をすることを防止できる。破損し難い金属汚染防止用の袋としては、例えばポリエチレン製の袋がある。
また、刈取り後に多結晶シリコン棒100を略水平に配置し、該多結晶シリコン棒100を被覆した金属汚染防止用の袋の開口部を封止することとすると、該開口部からの袋内への金属粒の混入および当該金属粒の多結晶シリコン棒100への付着を防止することができる。
なお、反応炉内に複数の多結晶シリコン棒100が存在する場合には、多結晶シリコン棒100の全数を予め金属汚染防止用の袋で包んだ後に刈り取り作業を開始することにより、多結晶シリコン棒100への金属付着をより確実に低下させることができる。
多結晶シリコン棒100は、金属汚染防止用の袋で被覆された状態でクレーン等を用いて刈り取られ、反応炉から取り出される(刈取り工程:S104)。この金属汚染防止用の袋は、破砕工程に投入されるまでの間、多結晶シリコン棒100を被覆する。
反応炉内から取り出した多結晶シリコン棒100は、気相成長装置を設置している部屋から速やかに退避させ、環境汚染レベルの低いクリーンルーム内に保管することにより、多結晶シリコン棒100の表面をできるだけ清浄に保つ。上述したように、金属汚染防止用の袋の開口部を封止しておくと、多結晶シリコン棒100をより一層清浄に保つことができる。
気相成長装置のベースプレートには耐熱性ステンレス板が使用されるが、高温の塩素含有雰囲気中では徐々にステンレス板の腐食が進行する。ステンレス板が腐食されるとニッケルやクロムを含む金属粒が成長雰囲気中に放散される。また、金属電極には銅あるいはステンレスが使用される。そして、多結晶シリコン棒100の電極側ほどベースプレートと金属電極に近いため、上記金属による汚染可能性が高くなる。さらに表面での汚染においても、刈取り工程S104中に多結晶シリコン棒100を金属汚染防止用の袋で被覆した場合であっても、多結晶シリコン棒100の電極側は袋が開口しているので、多結晶シリコン棒100の電極側ほどバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度が高くなる傾向がある。
そこで、破砕工程に先立ち、反応炉外に取り出した多結晶シリコン棒100の電極側端から所定の範囲の多結晶シリコン部分を除去することが不純物濃度低減に有効である。
図4は、本発明者らが実験により求めた、多結晶シリコン棒100の部位の電極側端からの距離と当該部位に含有されているクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルト各重金属不純物の濃度ならびにその合計との関係を示すグラフの一例である。クロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度は、電極側端からの距離が50mm、100mm、220mmの部位において、それぞれ、198ppta、112ppta、54pptaである。また、これら合計濃度の実測値を曲線近似して求めると、電極側端からの距離が70mm、155mmの部位の合計濃度は、それぞれ、149ppta、74pptaである。
そこで、本発明においては、多結晶シリコン棒100の破砕工程に先立ち、反応炉外に取り出した多結晶シリコン棒100の電極側端から少なくとも70mmまでの多結晶シリコン部分を除去する足切工程を設ける(S105)。これにより、バルク中のクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度が150ppta以上の多結晶シリコン部分を除去することができる。より低不純物濃度の多結晶シリコン塊を得るためには、少なくとも155mmまでの多結晶シリコン部分を除去すればよい。これにより、上記合計濃度が75ppta以上の多結晶シリコン部分が除去される。
一旦多結晶シリコン棒100が破砕されてしまうと多結晶シリコン塊は混合されてしまうため、重金属不純物濃度の高い領域Hをその他の領域から分別することが困難になる。また、破砕時に金属粒が重金属不純物濃度の高い領域Hからその他の領域に飛散することもある。このため、重金属不純物濃度の高い領域Hの除去は、破砕工程の前に行うことが望ましい。重金属不純物濃度の高い領域Hの除去は、例えば回転刃を用いた切断により行うことができる。
続いて、ジョークラッシャあるいはハンマを用いて多結晶シリコン棒100を破砕し、多結晶シリコン塊を形成する(破砕工程:S106)。なお、ジョークラッシャやハンマには、多結晶シリコンとの接触部にタングステンカーバイドをコバルト合金で焼結した超硬合金(WC−Co合金)製を用いることが好ましい。
この破砕工程において、多結晶シリコン棒100の表面に付着していたクロム、鉄、ニッケルまたは銅を含む金属粒子が多結晶シリコン塊の表面に移行するとともに、WC−Co合金からのコバルト粒子も多結晶シリコン塊の表面に付着する。そこで、次の洗浄工程(S107)で、多結晶シリコン塊の表面に付着したクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトなどの金属粒を除去する。
なお、タングステン(W)は、その偏析係数が1.7×10-8と非常に小さいため、融液からのCZ単結晶シリコン中への取り込みは実質的には生じないため、タングステンの検出量は上記5種類の金属と同レベルに厳しく管理する必要はない。
図5は、洗浄工程の一例を示すフローチャートである。まず、多結晶シリコン塊を洗浄用の籠に入れ、純水中で揺動しながら多結晶シリコン塊の表面に付着している多結晶シリコン粒を大まかに取り除く(前洗浄ステップ:S201)。
次に、周知の洗浄液を用いて、多結晶シリコン塊の表面に形成された自然酸化膜をエッチング除去する(S202)。洗浄液としては、例えば、フッ化水素水と過酸化水素水と水の混合溶液(フッ酸過水)あるいはフッ化水素水と硝酸の混合溶液(フッ硝酸)を用いることができる。本実施例では、フッ化水素水と過酸化水素水と水とを混合した第1薬液槽中に多結晶シリコン塊を浸漬し、揺動しながら多結晶シリコン塊の表面に形成された自然酸化膜をエッチング除去する。
フッ酸過水は、多結晶シリコン塊の表面に形成された自然酸化膜をエッチング除去し、自然酸化膜中あるいは該自然酸化膜上に付着した金属粒を自然酸化膜とともにエッチング除去する一方、多結晶シリコン自体を殆どエッチングしないので、歩留りの低下を抑制することができる。
また、フッ硝酸は、表面に形成された自然酸化膜のみならず多結晶シリコン自体もエッチング除去することができるので、例えば多結晶シリコン塊の凹部に付着した金属粒を除去する場合に有効である。金属粒の除去能力はエッチング代が大きいほど高いが、20μm以上エッチングすることにより多結晶シリコン塊の表面に付着した金属粒を十分に除去することができる。
エッチング工程終了後、多結晶シリコン塊をリンス槽中に浸漬し、純水でリンスする。必要に応じ、複数のリンス槽を用いる。
このエッチング工程後の多結晶シリコン塊をIPC−MS法で分析した結果、何れの塊についても、バルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度は75ppta以下であった。
多結晶シリコン塊の表面を一旦清浄化しても、その後に金属粒が多結晶シリコン塊の表面に再び付着するようでは洗浄の効果が減じてしまう。そこで、本発明では、洗浄工程の最終ステップで、多結晶シリコン塊の表面をオゾン水で酸化処理することにより、多結晶シリコン塊をシリコン酸化膜で被覆する。この時、オゾン水は多結晶シリコン塊の表面に付着した有機物も分解除去する。
多結晶シリコン塊の表面をシリコン酸化膜で被覆すると、多結晶シリコン塊の表面は不活性になるので、金属粒が再付着し難くなる。また、シミと呼ばれる汚れが発生し難くなる。さらに、金属粒が付着する場合でもシリコン酸化膜を介して多結晶シリコン塊に付着するので金属粒と多結晶シリコンとの結合力は弱く、多結晶シリコン塊は上述の5元素金属の合計濃度が75ppta以下の清浄な状態に保たれる。
本実施例では、オゾン水中に多結晶シリコン塊を浸漬し、清浄化された多結晶シリコン塊の表面をシリコン酸化膜で被覆する(酸化ステップ:S203)。そして最後に、清浄な温風または真空乾燥により多結晶シリコン塊を乾燥する(乾燥ステップ:S204)。これにより、多結晶シリコン塊の表面が清浄なシリコン酸化膜で被覆された状態で洗浄工程が終了する。
このようにして得られたクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの合計濃度が75ppta以下の多結晶シリコン塊を原料として用いることとすれば、単一バッチで少なくとも10本の単結晶シリコンインゴットを引き上げるマルチプリング法により単結晶育成した場合でも、OSF発生と少数ライフタイム低下が抑制されたCZ単結晶シリコンを得ることができる。
本発明では、単結晶シリコンの品質低下を招く重金属不純物であるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの含有量の総計が低い清浄な高純度の多結晶シリコン塊を原料として用いる。これにより純度の高い単結晶シリコンをマルチプリング法で得ることを可能とする技術が提供される。
10 多結晶シリコン
31 第1のシリコン芯線
32 第2のシリコン芯線
33 接続用シリコン芯線
51,52 導電性ホルダ
61,62 金属電極
100 多結晶シリコン棒
H 重金属不純物濃度の高い領域

Claims (4)

  1. マルチプリング法により単結晶シリコンを製造する方法であって、
    バルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計が150ppta以下である多結晶シリコン塊のみからなる多結晶シリコン塊群を原料として用い、
    n回(nは5以上の整数)のマルチプリングの最終プリング時の固化率を0.9としたときに、前記n回のマルチプリングで得られるn本の単結晶シリコンインゴットのバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの各不純物濃度を何れも0.05ppta以下とする、単結晶シリコンの製造方法。
  2. 前記nは10以上であり、前記多結晶シリコン塊のバルクから検出されるクロム、鉄、ニッケル、銅、コバルトの不純物濃度の総計は75ppta以下である、請求項1に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  3. 前記不純物濃度は誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法による分析値である請求項1又は2に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  4. 前記多結晶シリコン塊の表面はシリコン酸化膜で被覆されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の単結晶シリコンの製造方法。
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