JP2013253005A - シリカ複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程を有するシリカ複合粒子の製造方法である
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ複合粒子の製造方法に関するものである。
シリカ粒子の表面を異種金属酸化物で表面処理(被覆)する方法として、特許文献1及び2には、シリカ微粒子分散液にpHを調整した水を添加する方法、極性溶媒に溶解した金属アルコキシドに粒子を分散し、その後水を加えて反応させる方法が提案されている。
また、特許文献3には、非極性溶媒に粒子を分散させ水を加えた後、非極性溶媒に溶解させた金属アルコキシドを添加する方法が提案されている。
また、特許文献4には、金属酸化物微粒子に金属元素を含有する溶液を超臨界状態を反応場として反応させて被覆層を設ける方法が提案されている。
特開平5−257150号公報 特開平6−228604号公報 特開2007−22827号公報 特開2008−133386号公報
本発明の課題は、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程を有するシリカ複合粒子の製造方法。
請求項2に係る発明は、
前記金属原子が、Ti、及びAlから選択される金属原子である請求項1に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
請求項3に係る発明は、
疎水化処理剤により、前記金属化合物で表面処理された前記シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程を有する請求項1又は2に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
請求項4に係る発明は、
前記シリカ粒子が、ゾルゲル法により得られたシリカ粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
請求項5に係る発明は、
シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する工程と、
超臨界二酸化炭素を流通させ、前記シリカ粒子分散液から前記溶媒を除去する工程と、
超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物により、溶媒を除去した後の前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により、前記金属化合物で表面処理された前記シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
請求項1に係る発明によれば、大気環境下で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する場合に比べ、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、金属化合物の金属元素がTi及びAl以外の場合に比べ、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、疎水化処理を施さない場合に比べ、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供できる。
請求項4に係る発明によれば、ゾルゲル法により得られたシリカ粒子を適用しても、大気環境下で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する場合に比べ、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供できる。
請求項5に係る発明によれば、超臨界二酸化炭素を利用して各工程を行わない場合に比べ、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造方法を提供できる。
本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程を有する。
ここで、従来、シリコンアルコキシド(アルコキシドシラン)とシリコン以外の金属(以下、「異種金属」と称する)アルコキシドとを用いて複合化して、例えば、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア等のシリカ複合粒子を製造する方法が知られている。
このようなシリカ複合粒子の製造方法として、異種金属アルコキシドを用いて、シリカ粒子の表面を表面処理し、異種金属酸化物の処理層を形成する方法が知られている。
この方法により得られるシリカ複合粒子は、シリカ単独で構成したシリカ粒子のみでは得られない性能を発揮する点で有利である。例えば、シリカ粒子は、表面のシラノール基の影響により吸湿量の環境依存性が大きく、高温高湿下での電気抵抗や帯電量の低下、低温低湿下での電気抵抗や帯電量の上昇があり、異種金属との複合化によって、電気抵抗及び帯電性の環境安定性の改善が期待される。
しかしながら、例えば、チタンアルコキシドやアルミニウムアルコキシドなどの異種金属アルコキシドは、シリコンアルコキシドに比べて加水分解・縮合反応速度が速く、異種金属アルコキシドによる表面処理が不均一となり、電気抵抗及び帯電性の環境安定性の改善が十分に実現されていないのが現状である。
また、異種金属アルコキシドを用いない技術も知られているが、シリカ粒子と金属酸化物の処理層との化学的な結合が弱く、また表面処理も不均一となり、やはり、電気抵抗及び帯電性の環境安定性の改善が十分に実現されていないのが現状である。
そこで、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、超臨界二酸化炭素中で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する。これにより、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造が実現される。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する際、超臨界二酸化炭素中で行うと、超臨界二酸化炭素中に金属化合物が溶解した状態となると考えられる。超臨界二酸化炭素は界面張力が極めて低いという特性を持つことから、超臨界二酸化炭素中に溶解した状態の金属化合物は、超臨界二酸化炭素と共に、シリカ粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられる。そして、これにより、シリカ粒子の表面のみならず、孔部の奥深くまで、表面処理がなされると考えられる。
このため、超臨界二酸化炭素中で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理すると、より均一に近い表面処理が実現されると考えられる。
以上から、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造が実現されると考えられる。
また、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、粗粉の発生も抑えられると考えられる。異種金属アルコキシドは、シリコンアルコキシドに比べて加水分解・縮合反応速度が速く、異種金属アルコキシド同士の凝集が制御され難く、粒子の凝集による粗粉が発生し易い。しかし、超臨界二酸化炭素中で、表面処理を行うと、異種金属アルコキシド同士の凝集が抑制されると考えられ、その結果、粗粉の発生も抑えられると考えられる。
特に、ゾルゲルシリカ粒子(ゾルゲル法により得られたシリカ粒子)は、気相法により得られるフェームドシリカ粒子や、溶融シリカ粒子に比べ、その表面や孔内部にシラノール基を多く有することから、粗粉の発生も生じやすく、また、電気抵抗及び帯電性の環境安定性が低くなる傾向になるが、表面処理を施すシリカ粒子としてゾルゲルシリカ粒子を適用しても、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、これが改善される点で有利である。
なお、表面処理を施すシリカ粒子としては、ゾルゲルシリカ粒子に限られず、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフェームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子であってもよい。
また、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、疎水化処理剤により、金属化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を疎水化処理する工程を有することがよい。疎水化処理剤による疎水化処理を施すことで、より効果的に、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造が実現される。
ここで、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、金属化合物によるシリカ粒子の表面処理工程に超臨界二酸化炭素を利用するが、シリカ複合粒子の他の製造過程(例えば、溶媒除去工程、疎水化処理工程等)において、超臨界二酸化炭素を利用してもよい。
他の製造過程において超臨界二酸化炭素を利用するシリカ複合粒子の製造方法としては、例えば、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する工程(以下、「分散液準備工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液から溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物により、溶媒を除去した後のシリカ粒子の表面を表面処理する表面処理工程(以下、「表面処理工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により、金属化合物で表面処理されたシリカ粒子の表面を疎水化処理する工程(以下、「疎水化処理工程」と称する)と、を有するシリカ複合粒子の製造方法が挙げられる。
他の製造過程において超臨界二酸化炭素を利用するシリカ複合粒子の製造方法では、より効果的に、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造が実現される。また、より効果的に、粗粉の発生が抑えられる。
この理由は定かではないが、1)シリカ粒子分散液の溶媒を除去する場合、超臨界二酸化炭素が「界面張力が働かない」という性質から、溶媒を除去する際の液架橋力による粒子同士の凝集もなく溶媒を除去できるものと考えられる点、2)超臨界二酸化炭素の「臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つ」といった性質により、比較的低温(例えば250℃以下)で、超臨界二酸化炭素に効率良く接触し、溶媒を溶解することから、この溶媒を溶解した超臨界二酸化炭素を除去することで、シラノール基の縮合による2次凝集体等の粗粉を生じることなくシリカ粒子分散液中の溶媒を除去できるものと考えられる点、3)金属化合物と同様に、疎水化処理剤によりシリカ粒子の表面を疎水化処理すると、シリカ粒子の表面のみならず、孔部の奥深くまで、疎水化処理がなされるためと考えられる点、等が理由として考えられる。
ここで、溶媒除去工程、表面処理工程、及び疎水化処理工程は、個別に行なってもよいが、連続(つまり大気圧下に開放しない状態で各工程を実施)して行うことが望ましい。これら各工程を連続して行うことと、溶媒除去工程後において、シリカ粒子が水分を吸着する機会を無くし、シリカ粒子への過剰な水分の吸着が抑えられた状態で、表面処理工程及び疎水化処理工程を行う。これにより、大量の金属化合物及び疎水化処理剤を使用したり、過剰な加熱を行い高温で反応を促進させて、表面処理工程及び疎水化処理工程を行う必要がなくなる。その結果、より効果的に、電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子の製造が実現される。また、より効果的に、粗粉の発生が抑えられる。
以下、他の製造過程において超臨界二酸化炭素を利用するシリカ複合粒子の製造方法について、各工程別に詳細に説明する。
なお、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、これに限られるわけではなく、例えば、1)表面処理工程のみ超臨界二酸化炭素を使用する態様、2)予め乾式シリカ粒子を準備し、これに表面処理工程及び疎水化処理工程を順次行う態様、3)各工程を個別に行う態様等であってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
−分散液準備工程−
分散液準備工程では、例えば、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する。
具体的には、分散液準備工程程は、例えば、湿式(例えば、ゾルゲル法等)によりシリカ粒子分散液を作製して、これを準備する。特に、シリカ粒子分散液は、湿式としてゾルゲル法、具体的には、テトラアルコキシランを、アルコール及び水の溶媒にアルカリ触媒存在下で、反応(加水分解反応、縮合反応)を生じさせてシリカ粒子を生成し、シリカ粒子分散液を作製することがよい。
シリカ粒子の体積平均粒径は、例えば、10nm以上500nm以下であることがよく、望ましくは20nm以上300nm以下である。
シリカ粒子の体積平均粒径は、LSコールター(ベックマン-コールター社製粒度測定装置)によって測定した体積粒径の累積頻度における50%径(D50v)として得られる。
シリカ粒子の形状は、球形状、異形状のいずれであってもよいが、流動性や耐熱安定性の観点から、例えば、円形度0.5以上0.85以下の異形状がよい。
シリカ子粒子の円形度は、一次粒子の平均円形度であり、樹脂粒子の表面に付着しているシリカ子粒子の一次粒子の画像を、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて解析し、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I
〔式中、Iは画像上における粒子の周囲長を示し、Aは粒子の投影面積を表す。〕
そして、平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
分散液準備工程において、例えば、シリカ粒子を湿式により得る場合、シリカ粒子が溶媒に分散された分散液(シリカ粒子分散液)の状態で得られる。
ここで、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、そのアルコールに対する水の質量比が例えば0.1以上1.0以下であることがよく、望ましくは0.15以上0.5以下、より望ましくは0.2以上0.3以下である。
シリカ粒子分散液において、そのアルコールに対する水の質量比を上記範囲とすると、疎水化処理後にシリカ粒子の粗粉の発生が少なく、高疎水化度で良好な電気抵抗を有するシリカ粒子が得られ易くなる。
アルコールに対する水の質量比が0.1を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際のシリカ粒子表面のシラノール基の縮合が少なくなることから、溶媒除去後のシリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、疎水化処理後のシリカ粒子の電気抵抗が低くなり過ぎることがある。また、水の質量比が1.0を超えると、溶媒除去工程において、シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力によるシリカ粒子同士の凝集が生じ易く、疎水化処理後に粗粉として存在することがある。
また、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、そのシリカ粒子に対する水の質量比が例えば0.02以上3以下であることがよく、望ましくは0.05以上1以下、より望ましくは0.1以上0.5以下である。
シリカ粒子分散液において、そのシリカ粒子に対する水の質量比を上記範囲とすると、シリカ粒子の粗粉の発生が少なく、高疎水化度で良好な電気抵抗を有するシリカ粒子が得られ易くなる。
シリカ粒子に対する水の質量比が0.02を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際のシリカ粒子表面のシラノール基の縮合が極端に少なくなることから、溶媒除去後のシリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、シリカ粒子の電気抵抗が低くなり過ぎることがある。
また、水の質量比が3を超えると、溶媒除去工程において、シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力によるシリカ粒子同士の凝集が生じ易くなることがある。
また、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、当該シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が例えば0.05以上0.7以下がよく、望ましくは0.2以上0.65以下、より望ましくは0.3以上0.6以下である。
シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.05を下回ると、溶媒除去工程において、使用する超臨界二酸化炭素の量が多くなり、生産性が悪くなってしまうことがある。
また、シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.7を超えると、シリカ粒子分散液中においてシリカ粒子間距離が近くなり、シリカ粒子の凝集やゲル化による粗粉が発生し易くなることがある。
−溶媒除去工程−
溶媒除去工程は、例えば、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液の溶媒を除去する工程である。
つまり、溶媒除去工程では、超臨界二酸化炭素を流通させることにより、超臨界二酸化炭素をシリカ粒子分散液に接触させて、溶媒を除去する工程である。
具合的には、溶媒除去工程では、例えば、密閉反応器内に、シリカ粒子分散液を投入する。その後、密閉反応器内に、液化二酸化炭素を加えて加熱し、高圧ポンプにより反応器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応器内に超臨界二酸化炭素を導入すると共に、排出し、密閉反応器内、つまりシリカ粒子分散液に流通させる。
これにより、超臨界二酸化炭素が溶媒(アルコール及び水)を溶解しつつ、これを同伴してシリカ粒子分散液の外部(密閉反応器内の外部)へと排出され、溶媒が除去される。
ここで、超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つものである。
溶媒除去の温度条件、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、31℃以上350℃以下がよく、望ましくは60℃以上300℃以下、より望ましくは、80℃以上250℃以下である。
この温度が上記範囲未満であると、溶媒が超臨界二酸化炭素に溶解し難くなるため、溶媒の除去がし難くなることがある。また溶媒や超臨界二酸化炭素の液架橋力により粗粉が生じ易くなることがあると考える。一方、この温度が上記範囲を超えると、シリカ粒子表面のシラノール基の縮合により2次凝集体等の粗粉が生じやすくなることがあると考えらる。
溶媒除去の圧力条件、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、例えば、7.38MPa以上40MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上35MPa以下、より望ましく15MPa以上25MPa以下である。
この圧力が上記範囲未満であると、超臨界二酸化炭素に溶媒が溶解し難くなる傾向にあり、一方、圧力が上記範囲を超えると、設備が高額となる傾向となる。
また、密閉反応器内への超臨界二酸化炭素の導入・排出量は、例えば、15.4L/分/m以上1540L/分/m以下であることがよく、望ましくは77L/分/m以上770L/分/m以下である。
導入・排出量が15.4L/分/m未満であると、溶媒除去に時間がかかるため生産性が悪くなり易くなる傾向となる。
一方、導入・排出量が1540L/分/m以上であると、超臨界二酸化炭素がショートパスし、シリカ粒子分散液の接触時間が短くなってしまい、効率的に溶媒除去でき難くなる傾向となる。
−表面処理工程−
表面処理工程は、例えば、溶媒除去工程と連続して、超臨界二酸化炭素中で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程である。
つまり、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程から移行する前に、大気開放を行わず、超臨界二酸化炭素中で、金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する。
具体的には、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程における密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出を停止した後、密閉反応器内の温度、圧力を調整し、密閉反応器内に、超臨界二酸化炭素が存在する状態で、シリカ粒子に対して一定の割合の金属化合物を投入する。そして、この状態を維持した状態、つまり超臨界二酸化炭素中で、金属化合物を反応させて、シリカ粒子の表面処理を行う。
なお、溶媒除去工程において、水とアルコールを除去する前に金属化合物を添加すると金属化合物の加水分解及び縮合反応が適性に行われなくなり、凝集粒子が発生したり、金属化合物が遊離、凝集し易くなることがある。
ここで、表面処理工程は、超臨界二酸化炭素中で(つまり超臨界二酸化炭素の雰囲気下で)、金属化合物の反応を行えばよく、超臨界二酸化炭素を流通(つまり密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出)させながら表面処理を行ってよいし、非流通で表面処理を行ってもよい。
表面処理工程において、反応器の容積に対するシリカ粒子の量(つまり仕込み量)は、例えば、30g/L以上600g/L以下がよく、望ましくは50g/L以上500g/L以下、より望ましくは80g/L以上400g/L以下である。
この量が上記範囲より少ないと金属化合物の超臨界二酸化炭素に対する濃度が低くなりシリカ表面との接触確率が低下し、反応が進み難くなることがある。一方で、この量が上記範囲よりも多いと、金属化合物の超臨界二酸化炭素に対する濃度が高くなり、金属化合物が超臨界二酸化炭素へ溶解しきれず分散不良となり、粗大凝集物を発生させやすくなる。
超臨界二酸化炭素の密度は、例えば、0.10g/ml以上0.80g/ml以下がよく、望ましくは0.10g/ml以上0.60g/ml以下、より望ましくは0.2g/ml以上0.50g/ml以下)である。
この密度が上記範囲より低いと、超臨界二酸化炭素に対する金属化合物の溶解度が低下し、凝集物を発生させる傾向がある。一方で、密度が上記範囲よりも高いと、シリカ細孔への拡散性が低下するため、表面処理が不十分となる場合がある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記密度範囲での表面処理を行うことがよい。
なお、超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力等により調整される。
ここで、金属化合物は、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物である。
電気抵抗及び帯電性の環境安定性に優れたシリカ複合粒子を得る観点から、金属原子としては、Ti、及びAlから選択される金属原子であることがよい。つまり、金属化合物は、Ti、及びAlから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物であることがよい。
金属化合物としては、具体的には、例えば、アルコキシド類(例えばメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、i−プロポキシド、n−ブトキシド、i−ブトキシド、sec−ブトキシド、tert−ブトキシド等)、キレート類やアシレート類(例えばアセチルアセトナート等のβ−ジケトン類;、エチルアセトアセテート等のβ−ケトエステル類;、トリエタノールアミン等のアミン類;、酢酸、酪酸、乳酸、クエン酸等のカルボン酸類;等)の金属化合物が挙げられる。
但し、金属化合物は、金属原子MとSi原子とのSi−O−M結合を促進する点、反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、アルコキシ基を1個以上(望ましくは2個以上)有する金属化合物であることがよい。つまり、金属化合物は、アルコキシ基(酸素を介して金属原子に結合するアルキル基)が金属原子に1個以上(望ましくは2個以上)結合している金属化合物であることがよい。
なお、アルコキシ基の炭素数は、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、8以下がよく、望ましくは1以上4以下である。
金属化合物のうち、チタン化合物としては、例えば、テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシチタン・ジアセテート、ジ−i−プロポキシチタン・ジプロピオネートが挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば。トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・モノ−sec−ブトキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシアルミニウム・エチルアセトアセテートが挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウムが挙げられる。
バナジウム化合物としては、例えば、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリ−n−プロポキシド、バナジウムオキシトリ−i−プロポキシド、バナジウムオキシトリ−n−ブトキシド、バナジウムオキシトリ−i−ブトキシド、バナジウムオキシトリ−sec−ブトキシドが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシウムエトキシドが挙げられる。
金属化合物の使用量(添加量)は、金属化合物中の金属原子を金属酸化物に換算した質量(例えばチタン化合物であればTiO、アルミニウム化合物であればAlO3/2、ジルコニウム化合物であればZrO、バナジウム化合物であればVO5/2、マグネシウム化合物であればMgO)で、シリカ粒子に対して0.01質量%以上10質量%であることがよく、望ましくは0.1質量%以上5質量%、より望ましくは0.2質量%以上3質量%以下である。
金属化合物の使用量が上記範囲より少ないと、電気抵抗及び帯電性の環境安定性が改善され難くなることがある。金属化合物の使用量が上記範囲を越えると、電気抵抗の低下が見られたり、未反応の金属化合物の遊離や金属化合物の縮合反応による凝集物の発生が生じることがある。
なお、金属化合物は、単独で使用してもよいが、金属化合物が溶解しやすい溶媒との混合液として使用してもよい。この溶媒としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
ここで、表面処理の温度条件(反応下の温度条件)、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは100℃以上250℃以下、より望ましくは120℃以上200℃以下である。
この温度が上記範囲未満であると、金属化合物とシリカ粒子表面との反応性が低下することがある。一方で、温度が上記範囲を超えると、シリカ粒子のシラノール基間による縮合反応が進み、粒子凝集が発生することがある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記温度範囲での表面処理を行うことがよい。
一方、疎水化処理の圧力条件(反応下の温度条件)、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、上記密度を満足する条件であればよいが、例えば、8MPa以上30MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上25MPa以下、より望ましく15MPa以上20MPa以下である。
−疎水化処理工程−
疎水化処理工程は、表面処理工程と連続して、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤によりシリカ粒子の表面を疎水化処理する工程である。
つまり、疎水化処理工程では、例えば、表面処理工程から移行する前に、大気開放を行わず、超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤によりシリカ粒子の表面を疎水化処理する。
具体的には、疎水化処理工程では、例えば、表面処理工程における密閉反応器内の温度、圧力を維持したまま、又は疎水化処理に適する密閉反応器内の温度、圧力を調整した後、密閉反応器内に、超臨界二酸化炭素が存在する状態で、シリカ粒子に対して一定の割合の疎水化処理剤を投入する。そして、この状態を維持した状態、つまり超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤を反応させて、シリカ粒子の疎水化処理を行う。なお、反応終了後は、密閉反応器内を減圧、冷却させる。
ここで、疎水化処理工程は、超臨界二酸化炭素中で(つまり超臨界二酸化炭素の雰囲気下で)、疎水化処理を行えばよく、超臨界二酸化炭素を流通(つまり密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出)させながら疎水化処理を行ってよいし、非流通で疎水化処理を行ってもよい。
疎水化処理工程において、反応器の容積に対するシリカ粒子の量(つまり仕込み量)は、例えば、30g/L以上600g/L以下がよく、望ましくは50g/L以上500g/L以下、より望ましくは80g/L以上400g/L以下である。
この量が上記範囲より少ないと疎水処理剤の超臨界二酸化炭素に対する濃度が低くなりシリカ表面との接触確率が低下し、疎水化反応が進み難くなることがある。一方で、この量が上記範囲よりも多いと、疎水処理剤の超臨界二酸化炭素に対する濃度が高くなり、疎水処理剤が超臨界二酸化炭素へ溶解しきれず分散不良となり、粗大凝集物を発生させやすくなる。
超臨界二酸化炭素の密度は、例えば、0.10g/ml以上0.80g/ml以下がよく、望ましくは0.10g/ml以上0.60g/ml以下、より望ましくは0.2g/ml以上0.50g/ml以下)である。
この密度が上記範囲より低いと、超臨界二酸化炭素に対する疎水処理剤の溶解度が低下し、凝集物を発生させる傾向がある。一方で、密度が上記範囲よりも高いと、シリカ細孔への拡散性が低下するため、疎水化処理が不十分となる場合がある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記密度範囲での疎水化処理を行うことがよい。
なお、超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力等により調整される。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を持つ公知の珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する珪素化合物が好適である。
疎水化処理剤の使用量は、特に限定はされないが、疎水化の効果を得るためには、例えば、シリカ粒子に対し、例えば、0.1質量%以上60質量%以下がよく、望ましくは0.5質量%以上40質量%以下、より望ましくは1質量%以上30質量%以下である。
ここで、疎水化処理の温度条件(反応下の温度条件)、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは100℃以上250℃以下、より望ましくは120℃以上200℃以下である。
この温度が上記範囲未満であると、疎水化処理剤とシリカ粒子表面との反応性が低下することがある。一方で、温度が上記範囲を超えると、シリカ粒子のシラノール基間による縮合反応が進み、凝集粒子が発生することがある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカに対しては上記温度範囲での疎水化処理を行うことがよい。
一方、疎水化処理の圧力条件(反応下の温度条件)、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、上記密度を満足する条件であればよいが、例えば、8MPa以上30MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上25MPa以下、より望ましく15MPa以上20MPa以下である。
以上説明した各工程を経て、シリカ複合粒子が得られる。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、「部」は特に断りがない限り「質量部」を示す。
<実施例A>
[実施例A1]
以下に示すようにして、シリカ粒子に対して、金属化合物による表面処理、及び疎水化処理剤による疎水化処理を行った。なお、表面処理及び疎水化処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
まず、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、体積平均粒径12nmの親水性ヒュームドシリカ粒子の粉末20部を投入した。
次に、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を150℃、15MPaの超臨界状態とした。そして、撹拌機を100rpmで回転させた後、テトラ-i-プロポキシチタニウム2部(TiO換算で0.56部)をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら30分間保持した後、さらにヘキサメチルジシラザン3部をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら30分間保持した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、金属化合物による表面処理、疎水化処理剤による疎水化処理を順次行い、シリカ複合粒子を得た。
[実施例A2]
テトラ-i-プロポキシチタニウム2部を、テトラ-n-ブトキシチタニウム4部(TiO換算で0.94部)に変えた以外は、実施例A1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[実施例A3]
テトラ-i-プロポキシチタニウム2部を、ジ-i-プロポキシアルミニウム・エチルアセトアセテート2部(AlO2/3換算で0.37部) に変えた以外は、実施例A1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
<実施例B>
[実施例B1]
(シリカ粒子分散液Aの調製)
攪拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール205部、10%アンモニア水33部を添加して混合し、アルカリ触媒溶液を得た。このアルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、攪拌しながら、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対してNH量が0.27molになるように流量を調整し、テトラメトキシシラン100部と3.8%アンモニア水79部とを同時に添加を開始した。そして、60分かけて滴下を行い、体積平均粒径120nm、円形度0.82の異形状の親水性シリカ粒子分散液(固形分濃度9.5質量%)を得た。なお、テトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液におけるアルコールのモル数に対して、0.0018mol/(mol・min)とした。
その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR−ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮した。この濃縮したものをシリカ粒子分散液Aとした。
(シリカ複合粒子の作製)
以下に示すようにして、シリカ粒子分散液の溶媒除去工程と共に、シリカ粒子に対して、金属化合物による表面処理、及び疎水化処理剤による疎水化処理を行った。なお、表面処理及び疎水化処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
まず、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、シリカ粒子分散液Aを300部投入し、攪拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内を液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を150℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら二酸化炭素ポンプより超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液Aからメタノールと水を除去した。
次に、流通した超臨界二酸化炭素の流通量(積算量:標準状態の二酸化炭素の流通量として測定)が100部となった時点で、超臨界二酸化炭素の流通を停止した。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、テトラ-i-プロポキシチタニウム4部(TiO換算で1.12)をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら、30分間保持した後、さらにヘキサメチルジシラザン24部をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら、30分間保持した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、金属化合物による表面処理、疎水化処理剤による疎水化処理を順次行い、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B2]
テトラ-i-プロポキシチタニウム4部を、ジ-i-プロポキシアルミニウム・エチルアセトアセテート3.2部(AlO2/3換算で0.59部) に変えた以外は。実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B3]
テトラ-i-プロポキシチタニウム4部を、ジ-i-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム8部(TiO換算で1.76部) に変えた以外は、実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B4]
テトラ-i-プロポキシチタニウム4部を、テトラ-i-プロポキシジルコニウム2部(ZrO換算で0.75部)をトルエン5部に溶解したテトラ-i-プロポキシジルコニウム溶液に変えた以外は、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B5]
テトラ-i-プロポキシチタニウム4部を、バナジウムオキシトリ-i-プロポキシド2部 (VO5/2換算で0.75部)に変えた以外は、実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B6]
テトラ-i-プロポキシチタニウム4部を、マグネシウムエトキシド2部 (MgO換算で0.58部)に変えた以外は、実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[実施例B7]
実施例B1において、ヘキサメチルジシラザン24部を加えないこと以外は実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
<比較例>
[比較例1]
実施例A1において、金属化合物による表面処理を大気開放下で行った以外は、実施例A1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
[比較例1]
実施例B1において、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、シリカ粒子分散液Aを300部投入した後、攪拌機を100rpmで回転させながら、テトラ-i-プロポキシチタニウム4部(TiO換算で1.12)を投入し金属化合物による表面処理を大気開放下で行った後で、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入しオートクレーブ内を15MPaに保ちながら二酸化炭素ポンプより超臨界二酸化炭素を流通させ、メタノールと水を除去した以外は実施例B1と同様にして、シリカ複合粒子を得た。
<評価>
各例で得られたシリカ複合粒子の特性を評価した。各特性は以下の通りである。結果を表1に示す。
[電気抵抗の環境依存性]
電気抵抗の環境依存性の評価は、次のようにして行った。
20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となるシリカ複合粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、シリカ複合粒子層を形成する。この上に前記同様の20cmの電極板を載せシリカ複合粒子粉末層を挟み込む。シリカ複合粒子間の空隙をなくすため、シリカ複合粒子層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてからシリカ複合粒子層の厚み(cm)を測定する。シリカ複合粒子層上下の両電極には、エレクトロメーターおよび高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が所定の値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、シリカ複合粒子の体積抵抗率(Ω・cm)を計算する。シリカ複合粒子の体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
・式:ρ=E×20/(I−I)/L
なお、式中、ρはシリカ複合粒子の体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、Iは印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはシリカ複合粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表し、求めた体積抵抗率(Ω・cm)のlog値を「体積抵抗値」とし、本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。なお、測定環境は、高温高湿環境(28℃、85%RH)と低温低湿環境(10℃、15%RH)それぞれで測定し、その比で体積抵抗の環境依存性を評価した。
・体積抵抗の環境依存性=(高温高湿環境の体積抵抗値)÷(低温低湿環境の体積抵抗値)
評価基準は、以下の通りである。
A:体積抵抗値の環境依存性が0.8以上
B:体積抵抗値の環境依存性が0.7以上0.8未満
C:体積抵抗値の環境依存性が0.6以上0.7未満
D:体積抵抗値の環境依存性が0.5以上0.6未満
E:体積抵抗値の環境依存性が0.5未満
[帯電性の環境依存性]
帯電性の環境依存性の評価は、次のようにして行った。
体積平均粒径8μmの球形スチレン/アクリル酸ブチル(85/15)共重合樹脂粒子(分子量Mw60,000)100部に対して、シリカ複合粒子3部をサンプルミルで60秒間混合しシリカ複合粒子付着樹脂粒子を作製した。このシリカ複合粒子付着樹脂粒子3部を、体積平均粒径50μmのフェライトキャリア30部とターブラミキサーで120秒間混合した後、高温高湿環境(28℃、85%RH)と低温低湿環境(10℃、15%RH)にそれぞれ1晩放置し、ブローオフ帯電量を測定した。
・帯電性の環境依存性=(高温高湿環境の帯電量)÷(低温低湿環境の帯電量)
評価基準は、以下の通りである。
A:帯電性の環境依存性が0.8以上
B:帯電性の環境依存性が0.7以上0.8未満
C:帯電性の環境依存性が0.6以上0.7未満
D:帯電性の環境依存性が0.5以上0.6未満
E:帯電性の環境依存性が0.5未満
[粗粉割合]
粗粉割合は、LSコールターより測定し、1μm以上の粒子の割合として求めた。
評価基準は、以下の通りである。
A:1μm以上の粗大粒子の割合が1体積%以下
B:1μm以上の粗大粒子の割合が5体積%以下
C:1μm以上の粗大粒子の割合が10体積%以下
D:1μm以上の粗大粒子の割合が20体積%以下
E:1μm以上の粗大粒子の割合が20体積%を超える。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、電気抵抗の環境依存性、帯電性の環境依存性、祖粉割合の評価について、共に良好な結果が得られたことがわかる。

Claims (5)

  1. 超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程を有するシリカ複合粒子の製造方法。
  2. 前記金属原子が、Ti、及びAlから選択される金属原子である請求項1に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
  3. 疎水化処理剤により、前記金属化合物で表面処理された前記シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程を有する請求項1又は2に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
  4. 前記シリカ粒子が、ゾルゲル法により得られたシリカ粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
  5. シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する工程と、
    超臨界二酸化炭素を流通させ、前記シリカ粒子分散液から前記溶媒を除去する工程と、
    超臨界二酸化炭素中で、Ti、Al、Zr、V、及びMgから選択される金属原子が酸素原子を介して有機基と結合している金属化合物により、溶媒を除去した後の前記シリカ粒子の表面を表面処理する工程と、
    超臨界二酸化炭素中で、疎水化処理剤により、前記金属化合物で表面処理された前記シリカ粒子の表面を疎水化処理する工程と、
    を有するシリカ複合粒子の製造方法。
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