JP2019048738A - 酸化チタンエアロゲル粒子、酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、及び構造体 - Google Patents

酸化チタンエアロゲル粒子、酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、及び構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光領域においても高い光触媒機能を発現し、分散性に優れる酸化チタンエアロゲル粒子の提供。【解決手段】BET比表面積が120m2/g以上1000m2/g以下であり、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持ち、炭化水素基を有する金属原子が酸素原子を介して表面に結合しており、表面における炭素CとチタンTiとの元素比C/Tiが0.3以上1.5以下である酸化チタンエアロゲル粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化チタンエアロゲル粒子、酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、及び構造体に関する。
特許文献1には、ミクロポア乃至メソポアの細孔を有するポーラス材料で形成された粒状素材と、光触媒粒子を含む溶射材料を前記粒状素材の外表面に溶射して形成された溶射皮膜と、を備え、前記粒状素材の外表面に溶射付着した前記光触媒粒子と前記粒状素材の外表面との間、及び重なって溶射付着した前記光触媒粒子間には前記細孔より大きな隙間が形成されていることを特徴とする吸着剤が開示されている。
特許文献2には、酸化チタンナノ分散液、吸着材、無機化合物分散液、シリカ化合物および金属微粒子を含む塗布用の吸着材−光触媒ハイブリッド型脱臭材料であって、該無機化合物分散液は無機化合物が該吸着材の量に対して重量比で0.02〜0.2含まれてなることを特徴とする、吸着材−光触媒ハイブリッド型脱臭材料が開示されている。
特許文献3には、アンモニア分解能を有する金属粒子と、前記金属粒子の粒径よりも小さな径の細孔を有しかつ前記金属粒子と接触する多孔質材料と、を有するアンモニア分解触媒が開示されている。
特許文献4には、二酸化チタン及びチタン複合酸化物の少なくとも一方を含むハニカム状排ガス処理触媒の原料用のチタン含有粉末において、下記(a)〜(c)を備えることを特徴とするチタン含有粉末(バナジウムの酸化物を含むものを除く)が開示されている。
(a)リンをPとして0.03〜0.5質量%含むこと。
(b)アナターゼ型結晶(101)面の結晶子径は、前記チタン含有粉末が、(1)二酸化チタンのみを含有する場合は12〜40nmの範囲にあり、(2)チタン複合酸化物を含む場合には10〜38nmの範囲にあること。
(c)硫酸根を0.4〜4.0質量%の範囲で含有すること。
特許文献5には、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した一次粒子の最大粒径Dtopと平均粒径D50の比Dtop/D50が1以上3以下であることを特徴とする二酸化チタンが開示されている。
特許文献6には、可視光応答型光触媒酸化チタンと多孔質シリカとから形成された複合体であり、BET比表面積が200〜1000m2/g、細孔容積が0.10〜1.0cm3/g、細孔径が1〜10nmである、ことを特徴とする光触媒体が開示されている。
特許文献7には、多孔質基材(10)と、前記多孔質基材(10)の表面上に順次積層された酸化物粒子からなる第1のコート層(21)、第2のコート層(22)と、前記第2のコート層(22)の上に設けられた触媒成分(30)と、を備え、前記第1のコート層(21)を構成する酸化物粒子の粒径は、前記第2のコート層(22)を構成する酸化物粒子の粒径よりも大きいことを特徴とする触媒体が開示されている。
特許文献8には、金属酸化物を含有する担体に、ナノスケールの金属超微粒子を分散させた状態で固定してなることを特徴とする多孔質複合体が開示されている。
特開2017−035645号公報 特開2016−221447号公報 特開2016−064407号公報 特開2015−142917号公報 特開2011−057552号公報 特開2009−131760号公報 特開2006−281155号公報 特開2006−247524号公報
光触媒材料として普及している酸化チタン粒子は、紫外光を吸収することにより光触媒機能を発揮する。したがって、酸化チタン粒子は、紫外光を十分に確保できる晴れた日の昼間は光触媒機能を発揮できるものの、夜又は日陰では光触媒機能が低下する傾向がある。例えば、酸化チタン粒子を外壁材に用いた場合は、日向と日陰とで耐汚染性能に差が出ることがある。また、酸化チタン粒子を空気清浄機又は浄水器等に用いる際には、機器の内部に紫外線の光源となるブラックライト等を設置することが必要になる場合がある。上記事情に鑑み、可視光領域においても光触媒機能を発現する光触媒材料が求められている。
一方、光触媒機能を発現する比表面積を大きくする技術として、ゼオライト、シリカゲル等のミクロポーラス材料又はメソポーラス材料からなる多孔質材料の孔表面に光触媒粒子を付着させた光触媒材料が知られている。ただし、この光触媒材料においては、光触媒粒子が多孔質材料の孔入口を塞いだり、微細な孔内部には光が当たらなかったりして、光触媒機能が必ずしも向上しないことがある。
本発明は、上記状況のもとになされた。
本発明は、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm未満にのみに吸収を持ち、BET比表面積が120未満である酸化チタン粒子に比べて、可視光領域においても高い光触媒機能を発現し、分散性に優れる酸化チタンエアロゲル粒子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
BET比表面積が120m/g以上1000m/g以下であり、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持ち、炭化水素基を有する金属原子が酸素原子を介して表面に結合しており、表面における炭素CとチタンTiとの元素比C/Tiが0.3以上1.5以下である酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項2に係る発明は、
酸化チタンエアロゲル粒子に対して波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を20時間照射した場合の、酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiの減少量が0.01上0.3以下である、請求項1に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項3に係る発明は、
可視吸収スペクトルにおいて波長400nm以上800nm以下の全範囲に吸収を持つ、請求項1又は請求項2に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項4に係る発明は、
体積平均粒径が0.1μm以上3μm以下であり、体積粒度分布が1.5以上10以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項5に係る発明は、
前記酸化チタンエアロゲル粒子に含まれる一次粒子の平均径が1nm以上120nm以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項6に係る発明は、
前記金属原子がケイ素原子である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項7に係る発明は、
前記炭化水素基が、炭素数1以上20以下の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項8に係る発明は、
前記炭化水素基が、炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基である、請求項7に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項9に係る発明は、
前記炭化水素基が、炭素数4以上10以下の飽和脂肪族炭化水素基である、請求項8に記載の酸化チタンエアロゲル粒子である。
請求項10に係る発明は、
酸化チタンを含む多孔質粒子をゾルゲル法により造粒し、前記多孔質粒子及び溶媒を含有する分散液を調製する工程と、超臨界二酸化炭素を用いて前記分散液から前記溶媒を除去する工程と、前記溶媒を除去した後の前記多孔質粒子を、超臨界二酸化炭素中で、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物により表面処理する工程と、前記表面処理した後の前記多孔質粒子を加熱処理する工程と、を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法である。
請求項11に係る発明は、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子と、分散媒及びバインダーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物と、を含む光触媒形成用組成物である。
請求項12に係る発明は、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子を含む、又は、からなる光触媒である。
請求項13に係る発明は、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子を有する構造体である。
請求項1によれば、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm未満にのみに吸収を持ち、BET比表面積が120未満である酸化チタン粒子に比べて、可視光領域においても高い光触媒機能を発現し、分散性に優れる酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項2によれば、酸化チタンエアロゲル粒子に対して波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を20時間照射した場合の、酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiの減少量が0.01未満又は0.3超えである場合に比べて、可視光領域においてもより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項3に係る発明によれば、可視吸収スペクトルにおいて波長400nm以上800nm以下の範囲の一部のみに吸収を有する酸化チタンエアロゲル粒子に比べて、可視光領域においてもより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項4に係る発明によれば、体積平均粒径が0.1μm未満若しくは3μm超、又は、体積粒度分布が1.5未満若しくは10超である場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項5に係る発明によれば、一次粒子の平均径が1nm未満又は120nm超である場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項6に係る発明によれば、前記金属原子がアルミニウム原子又はチタン原子である場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項7に係る発明によれば、前記炭化水素基の炭素数が20を超える場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項8に係る発明によれば、前記炭化水素基が炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基である場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現し、分散性により優れる酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項9に係る発明によれば、前記飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が1以上3以下である場合に比べて、可視光領域においてより高い光触媒機能を発現し、分散性により優れる酸化チタンエアロゲル粒子が提供される。
請求項10に係る発明によれば、分散液から溶媒を除去する工程を大気中で行う場合に比べて、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法が提供される。
請求項11、12又は13に係る発明によれば、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm未満にのみに吸収を持ち、BET比表面積が120未満である酸化チタン粒子に比べて、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子を用いた光触媒形成用組成物、光触媒又は構造体が提供される。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を示す模式図である。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<酸化チタンエアロゲル粒子>
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、BET比表面積が120m/g以上1000m/g以下であり、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持ち、炭化水素基を有する金属原子が酸素原子を介して表面に結合しており、表面における炭素CとチタンTiとの元素比C/Tiが0.3以上0.5以下である。
ここで、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の模式図を図1に示す。図1に示すように、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、一次粒子が多孔構造を形成しつつ凝集したエアロゲル構造を有する。
なお、「エアロゲル」とは、一次粒子が多孔構造を形成しつつ凝集した構造を指す。そして、エアロゲル粒子の内部は、3次元網目状の微細構造となっており、数nmの球状体が結合したクラスター構造を有する。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、上記構成により、可視光領域においても高い光触媒機能を発現し、また、分散性に優れる。この理由は、次のように推測される。
まず、通常、光触媒としての未処理の酸化チタン粒子は、紫外光を吸収することにより光触媒機能(光触媒活性)を発揮する。このため、未処理の酸化チタン粒子は、紫外光を十分に確保できる晴れた日の昼間は光触媒機能が発揮されるものの、夜又は日陰には十分な機能を発揮でき難い。例えば、未処理の酸化チタン粒子を外壁材に用いた場合は、日向と日陰では耐汚染性能が低下する傾向がある。また、未処理の酸化チタン粒子を空気清浄機又は浄水器等に用いた場合は、機器の内部に、紫外線の光源となるブラックライト等を設置するなど、設置空間が必要になる場合がある。
近年、可視光の光吸収で光触媒機能(光触媒活性)を発現する酸化チタン粒子も知られている。例えば、このような可視光吸収型の酸化チタン粒子としては、異種金属(鉄、銅、タングステン等)を酸化チタンに付着させた酸化チタンエアロゲル粒子、窒素元素、イオウ元素等をドーピングした酸化チタン粒子等が知られている。一方で、光触媒機能が高くなると、光触媒材料を基材表面に固定化するための有機樹脂などのバインダーを分解したり、基材そのものを劣化させるなどの問題もある。
また、これまで知られている酸化チタン系の光触媒材料は、その殆どが親水性であるため、材料を固定化するために用いる有機・無機バインダーとの親和性が低い傾向があり、粒子が凝集し易く、光触媒性能の低下やバインダーからの脱離といった問題が生じやすかった。この問題に対し表面処理剤等により材料表面を処理する方法があるが、この方法によると粒子凝集やバインダーへの分散性は向上するものの、表面処理剤が光触媒材料の表面を覆うことで光触媒性能が低下することがあった。
従って、可視光領域においても高い光触媒機能を発現し、粒子凝集性が少なくバインダーへの分散性が良好な光触媒粒子が求められている。
それに対して、BET比表面積が200m/g以上1000m/g以下であり、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持ち、表面に酸素原子を介して炭化水素基を有する金属原子が結合しており、表面における炭素CとチタンTiとの元素比C/Tiが0.3以上1.5以下であるようにする。
前記粒子表面における元素比C/Tiが0.3以上1.5以下である酸化チタンエアロゲル粒子は、炭化水素基を有する金属含有化合物により表面処理した通常の酸化チタン粒子や未処理の酸化チタン粒子と比べ、適度なC/Tiを示している。
酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiが0.3以上1.5以下であることにより、酸化チタンエアロゲル粒子表面における炭化水素基等の炭素量が適度であり、波長450nm及び750nmに十分な吸収を有し、可視光領域において高い光触媒機能を発現する。また、適度な酸化チタンエアロゲル粒子表面における炭化水素基等の炭素量により粒子凝集性が少なくバインダーへの分散性が向上する。
前記C/Tiが0.3未満であると、酸化チタンエアロゲル粒子表面における炭素量が少ないため、波長450nm及び750nmに十分な吸収が得られず、可視光領域における光触媒機能が劣り、また粒子凝集性やバインダーへの分散性が劣る。また、前記C/Ti元素比が1.5を超えると、酸化チタンエアロゲル粒子表面における炭化水素基の量が多いため、酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるチタニア等の光触媒活性部分の露出量が減少し、可視光領域における光触媒機能が劣る。
また、一般的に、未処理の酸化チタン粒子は粒径、粒径分布、及び粒子形状の制御自由度が低く、粒子凝集性が高い傾向がある。このため、樹脂中、液体中での酸化チタン粒子の分散性が悪く、1)光触媒機能が発揮されに難い、2)フィルム等の透明性、塗布液の塗膜の均一性が低下し易い傾向がある。
しかし、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、前記母粒子の表面に酸素原子を介して結合する金属原子が炭化水素基を有しているため、塗膜中における一次粒子の分散性も確保されている。このため、均一に近い塗膜が形成でき、効率良く酸化チタンエアロゲル粒子に光が当たり、光触媒機能が発揮され易くなる。また、フィルム等の透明性、塗布液の塗膜の均一性も高まりデザイン性も保たれる。その結果、例えば、外壁材、板、パイプ、不織布(セラミック等の不織布)の表面に、酸化チタンエアロゲル粒子を含む塗料を塗着するとき、酸化チタンエアロゲル粒子の凝集、塗布欠陥が抑制され、長期にわたり、光触媒機能が発揮され易くなる。
更に、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、粒子中に多くの細孔、空隙を有することから、従来の非多孔質の酸化チタン粒子よりも粒径の割に高いBET比表面積(120m/g以上1000m/g以下のBET比表面積)を有し、更に有機金属化合物が酸素原子を介して表面に結合していることが相まって、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持つ、即ち、酸化チタンエアロゲル粒子が可視光領域においても光触媒機能(つまり高い可視光応答性)を発現し、また、分散性に優れると推測される。
以上から、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、上記構成により、粒子の分散性に優れ、可視光領域においても高い光触媒機能を発現すると推測される。
以下、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の詳細について説明する。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、BET比表面積が120m/g以上1000m/g以下である。BET比表面積が120m/g以上であると、量に対して表面積が大きく、光分解対象物を吸着しうる面積が大きくなり、光分解対象物を吸着しやすくなることで光触媒機能が高まる。BET比表面積が1000m/g以下であると、粗大粒子(粒径が20μmを超える粒子)の割合が少なく、後述する光触媒形成用組成物、光触媒又は構造体において粒子分散性が向上し、高い光触媒機能が発現しやすい。以上の理由により、酸化チタンエアロゲル粒子のBET比表面積を上記範囲にすると、可視光領域において高い光触媒機能を発現させやすくなる。
上記の観点から、酸化チタンエアロゲル粒子のBET比表面積は、120m/g以上1000m/g以下であり、150m/g以上900m/g以下がより好ましく、180m/g以上800m/g以下が更に好ましい。
酸化チタンエアロゲル粒子のBET比表面積は、窒素ガスを用いたガス吸着法により求める。詳細な測定方法は、後述の[実施例]に記載するとおりである。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径は、0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が0.1μm以上であると、多孔構造を形成しやすく比表面積が大きくなり、光分解対象物の吸着性が向上しやすい。それにより高い光触媒効果が発現されやすくなる。体積平均粒径が3μm以下であると、粗大粒子(粒径が20μmを超える粒子)が少なく、後述する光触媒形成組成物、光触媒または構造体において酸化チタンエアロゲル粒子の分散性が向上し、光触媒機能が高まる。以上の理由により、酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径を上記範囲にすると、可視光領域において高い光触媒機能を発現させやすくなる。
上記の観点から、酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径は、0.3μm以上2.8μm以下がより好ましく、0.5μm以上2.5μm以下が更に好ましい。
酸化チタンエアロゲル粒子の粒径とは、凝集粒子の粒径(凝集径)である。酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径とは、体積基準の粒度分布において小径側から累積50%の粒径である。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の体積粒度分布は、1.5以上10以下であることが好ましい。体積粒度分布が1.5以上であると、多孔構造を形成しやすく比表面積が大きくなり、光分解対象物の吸着性が向上しやすい。それにより高い光触媒効果が発現されやすくなる。体積粒度分布が10以下であると、粗大粒子(粒径が20μmを超える粒子)が少なく、後述する光触媒形成組成物、光触媒または構造体において酸化チタンエアロゲル粒子の分散性が向上し、光触媒機能が高まる。以上の理由により、酸化チタンエアロゲル粒子の体積粒度分布を上記範囲にすると、可視光領域において高い光触媒機能を発現させやすくなる。
上記の観点から、酸化チタンエアロゲル粒子の体積粒度分布は、1.5以上10以下が好ましく、2以上9以下がより好ましく、3以上7以下が更に好ましい。
本実施形態において酸化チタンエアロゲル粒子の体積粒度分布は、(D90v÷D10v)1/2と定義される。ここで、D90vは、体積基準の粒度分布において小径側から累積90%の粒径であり、D10vは、体積基準の粒度分布において小径側から累積10%の粒径である。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する観点から、一次粒子の平均径(平均一次粒子径)が1nm以上120nm以下であることが好ましい。前記一次粒子の平均径が1nm以上であると、凝集粒子の表面の細孔径が適度な大きさとなり、光分解対象物の吸着性が向上することにより可視光領域における光触媒機能を発現しやすい。前記一次粒子の平均径が120nm以下であると、一次粒子が多孔構造を形成しつつ凝集しやすく、凝集粒子が可視光領域において高い光触媒機能を発現しやすい。
上記の観点から、前記一次粒子の平均径は、1nm以上120nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましく、10nm以上90nm以下が更に好ましい。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持つ。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する観点から、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm、600nm及び750nmに吸収を持つことが好ましく、可視吸収スペクトルにおいて波長450nm以上750nm以下の全範囲に吸収を持つことがより好ましく、可視吸収スペクトルにおいて波長400nm以上800nm以下の全範囲に吸収を持つことが特に好ましい。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する観点から、紫外可視吸収スペクトルにおいて、波長350nmの吸光度を1としたとき、波長450nmの吸光度が0.02以上(より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上)であることが好ましく、波長600nmの吸光度が0.02以上(より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上)であることが好ましく、波長750nmの吸光度が0.02以上(より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上)であることが好ましい。
酸化チタンエアロゲル粒子の紫外可視吸収スペクトルは、波長200nm乃至900nmの範囲の拡散反射スペクトルを測定し、拡散反射スペクトルからKubelka-Munk変換により理論的に各波長における吸光度を求めて得る。
紫外可視吸収スペクトルの測定は、次に示す方法により測定される。
まず、測定対象となる酸化チタンエアロゲル粒子をテトラヒドロフランに分散させた後、ガラス基板上に塗布し、大気中、24℃で乾燥させる。測定は、拡散反射配置で測定し、Kubelka-Munk変換により理論的に吸光度を求めた。拡散反射スペクトルは、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製:U−4100)[測定条件;スキャンスピード:600nm、スリット幅:2nm、サンプリング間隔:1nm、全反射率測定モードで測定]により、波長200nm以上900nm以下の範囲を反射率で測定し、Kubelka-Munk変換をし可視吸収スペクトルを得る。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、表面における元素比C/Tiが0.3以上1.5以下であり、酸化チタンエアロゲル粒子に対して波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を20時間照射した場合の、前記紫外線照射の前後での前記酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiの減少量は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現させる観点から、0.01以上0.3以下であることが好ましく、0.02以上0.25以下であることがより好ましく、0.03以上0.2以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を20時間照射した場合の、前記紫外線照射の前後での前記酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiの減少量が0.01以上0.3以下のものが得られる。この理由は定かではないが、本実施形態における酸化チタンエアロゲル粒子は多孔質体構造を持つことで、紫外線照射時にも表面元素Cが壊されず、紫外線照射前後で構造変化が小さくなるためと推察される。
可視光領域においても高い光触媒機能を発現させる観点から、酸化チタンエアロゲル粒子は、表面における元素比C/Tiが、0.3以上1.5以下であることが好ましく、0.4以上1.3以下であることがより好ましく、0.5以上1.2以下であることが更に好ましく、0.6以上1.0以下であることが特に好ましい。
酸化チタンエアロゲル粒子表面における元素比C/Tiの測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となる酸化チタンエアロゲル粒子に対して、X線光電子分光(XPS)分析装置(日本電子(株)製JPS−9000MX)を使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mAに設定して測定し、各元素のピークの強度からC/Tiを算出する。
酸化チタンエアロゲル粒子表面に対する紫外線の照射は、波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を照射するものとする。紫外線の照射開始時の酸化チタンエアロゲル粒子の温度は15℃以上30℃以下で行うものとし、照射時間は20時間で行うものとする。
前記紫外線の照射後、前記方法により、C/Tiを測定し、前記紫外線の照射前後におけるC/Tiの減少量を算出する。
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、未処理の酸化チタンエアロゲル粒子を、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物により表面処理し、そして、加熱処理により前記炭化水素基の一部を酸化又は炭化してなる酸化チタンエアロゲル粒子であることが好ましい。本開示において、有機金属化合物により表面処理されていない酸化チタンエアロゲル粒子を「未処理の酸化チタンエアロゲル粒子」という。本開示において、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物を「有機金属化合物」という。
[未処理の酸化チタンエアロゲル粒子]
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子は、有機金属化合物により表面処理されていない酸化チタンエアロゲル粒子であり、他の表面処理を除外するものではない。本実施形態において未処理の酸化チタンエアロゲル粒子は、有機金属化合物による表面処理も、他の表面処理も、されていない酸化チタンエアロゲル粒子であることが好ましい。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子のBET比表面積は、高い光触媒機能を発現する観点から、120m/g以上1000m/g以下が好ましく、150m/g以上900m/g以下がより好ましく、180m/g以上800m/g以下が更に好ましい。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径は、高い光触媒機能を発現する観点から、0.1μm以上3μm以下が好ましく、0.3μm以上2.8μm以下がより好ましく、0.5μm以上2.5μm以下が更に好ましい。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子は、高い光触媒機能を発現する観点から、酸化チタン粒子(一次粒子)が多孔構造を形成しつつ凝集した凝集粒子であることが好ましい。この場合、酸化チタン粒子(一次粒子)の平均径は、1nm以上120nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましく、10nm以上90nm以下が更に好ましい。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法は、特に制限されないが、BET比表面積の範囲を前記範囲に制御する観点から、チタンアルコキシドを材料に用いたゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法によって製造された酸化チタンエアロゲル粒子は、分散液中において、一次粒子が凝集した多孔構造を有する二次粒子を形成しており、前記範囲のBET比表面積を実現できる。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子は、チタンアルコキシドの加水分解縮合物からなることが好ましい。ただし、チタンアルコキシドのアルコキシ基の一部が未反応のまま粒子に残留していてもよい。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子は、ケイ素やアルミニウム等のチタン以外の金属元素を少量含んでいてもよい。未処理の酸化チタンエアロゲル粒子がケイ素を含む場合、ケイ素とチタンとの元素比Si/Tiが0.05以下までのケイ素含有は、酸化チタンエアロゲル粒子が可視光領域において高い光触媒機能を発現することへの影響はない。
未処理の酸化チタンエアロゲル粒子を構成する一次粒子の結晶構造は、ブルッカイト型、アナターゼ型、ルチル型のいずれでもよく、これらの単結晶構造を有してもよく、これらが共存する混晶構造を有してもよい。酸化チタンエアロゲル粒子を構成する一次粒子の結晶構造は、加熱処理温度の高低を調整することにより制御できる。
[有機金属化合物]
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の表面には、有機金属化合物が酸素原子を介して結合している。有機金属化合物は、可視光応答性をより発現しやすい観点から、金属原子、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる金属化合物であることが好ましい。
有機金属化合物は、可視光応答性をより発現しやすい観点から、該有機金属化合物中の金属原子Mに直接結合した酸素原子Oを介して酸化チタンエアロゲル粒子の表面に結合していること、即ち、M−O−Tiなる共有結合によって酸化チタンエアロゲル粒子の表面に結合していることが好ましい。
有機金属化合物としては、可視光応答性をより発現しやすい観点から、金属原子Mと金属原子Mに直接結合した炭化水素基とを有する有機金属化合物が好ましい。該有機金属化合物は、該有機金属化合物中の金属原子Mに直接結合した酸素原子Oを介して酸化チタンエアロゲル粒子の表面に結合していることが好ましい。即ち、酸化チタンエアロゲル粒子の表面には、可視光応答性をより発現しやすい観点から、炭化水素基と、金属原子Mと、酸素原子Oと、チタン原子Tiとが共有結合で順に連なった構造(炭化水素基−M−O−Ti)が存在することが好ましい。
有機金属化合物が複数個の炭化水素基を有する場合、少なくとも1個の炭化水素基が、該有機金属化合物中の金属原子に直接結合していることが好ましい。
有機金属化合物における原子間の化学結合状態は、XPSの高分解能分析(ナロースキャン分析)を行うことにより知ることができる。
有機金属化合物の金属原子としては、ケイ素、アルミニウム又はチタンが好ましく、ケイ素又はアルミニウムがより好ましく、ケイ素が特に好ましい。
有機金属化合物が有する炭化水素基としては、炭素数1以上40以下(好ましくは炭素数1以上20以下、より好ましくは炭素数1以上18以下、更に好ましくは炭素数4以上12以下、特に好ましくは炭素数4以上10以下)の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6以上27以下(好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数6以上18以下、更に好ましくは炭素数6以上12以下、特に好ましくは炭素数6以上10以下)の芳香族炭化水素基が挙げられる。
有機金属化合物が有する炭化水素基は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、分散性の観点から、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1以上20以下が好ましく、1以上18以下がより好ましく、4以上12以下が更に好ましく、4以上10以下が特に好ましい。
有機金属化合物としては、炭化水素基を有するシラン化合物が特に好ましい。炭化水素基を有するシラン化合物としては、例えば、クロロシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シラザン化合物(ヘキサメチルジシラザン等)などが挙げられる。
酸化チタンエアロゲル粒子の表面処理に用いる、炭化水素基を有するシラン化合物としては、高い光触媒機能の発揮及び分散性の向上の観点から、式(1):R SiR で表される化合物が好ましい。
式(1):R SiR において、Rは炭素数1以上20以下の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基を表し、Rはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表し、mは1以上3以下の整数を表し、ただし、n+m=4である。nが2又は3の整数である場合、複数のRは同じ基でもよいし、異なる基でもよい。mが2又は3の整数である場合、複数のRは同じ基でもよいし、異なる基でもよい。
で表される脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、分散性の観点から、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、炭素数1以上20以下が好ましく、炭素数1以上18以下がより好ましく、炭素数4以上12以下が更に好ましく、炭素数4以上10以下が特に好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよいが、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖状アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等)、分岐鎖状アルキル基(イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーペンチル基、イソペンタデシル基等)、環状アルキル基(シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等)などが挙げられる。
不飽和脂肪族炭化水素基としては、アルケニル基(ビニル基(エテニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ドデセニル基、ペンテニル基等)、アルキニル基(エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ヘキシニル基、2−ドデシニル基等)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、置換された脂肪族炭化水素基も含む。脂肪族炭化水素基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、メルカプト基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
で表される芳香族炭化水素基は、炭素数6以上20以下が好ましく、より好ましくは炭素数6以上18以下、更に好ましくは炭素数6以上12以下、特に好ましくは炭素数6以上10以下である。
芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換された芳香族炭化水素基も含む。芳香族炭化水素基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、メルカプト基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましい。
で表されるアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上8以下、より好ましくは3以上8以下)のアルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、置換されたアルコキシ基も含む。アルコキシ基に置換し得る置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボニル基等が挙げられる。
式(1):R SiR で表される化合物は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、Rが飽和脂肪族炭化水素基である化合物が好ましい。特に、式(1):R SiR で表される化合物は、Rが炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基であり、Rがハロゲン原子又はアルコキシ基であり、nが1以上3以下の整数であり、mが1以上3以下の整数であり、ただし、n+m=4であることが好ましい。
式(1):R SiR で表される化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、デシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン(以上、n=1、m=3);
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン(以上、n=2、m=2);
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン(以上、n=3、m=1);
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(以上、Rが、置換された脂肪族炭化水素基又は置換された芳香族炭化水素基である化合物);
などのシラン化合物が挙げられる。シラン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(1)で表されるシラン化合物における炭化水素基は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。上記シラン化合物における炭化水素基は、高い光触媒機能の発現及び分散性の向上の観点から、炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1以上18以下の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数4以上12以下の飽和脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数4以上10以下の飽和脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
有機金属化合物の金属原子がアルミニウムである化合物としては、例えば、ジ−i−プロポキシアルミニウム・エチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤;などが挙げられる。
有機金属化合物の金属原子がチタンである化合物としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタネート系カップリング剤;ジ−i−プロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシチタンジアセテート、ジ−i−プロポキシチタンジプロピオネート等のチタニウムキレート;などが挙げられる。
有機金属化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機金属化合物が表面に結合した酸化チタンエアロゲル粒子は、可視光領域においても高い光触媒機能を発現することに加えて、下記の観点からも有利である。
一般的に、酸化チタン粒子は、樹脂中又は溶媒中での分散性がよくなく、それ故、塗膜の均一性が低く、光触媒機能が発揮されにくい傾向がある。
これに対して、有機金属化合物が表面に結合した酸化チタンエアロゲル粒子は、表面に有機金属化合物に由来する炭化水素基を有する故に、樹脂中又は溶媒中での分散性がよい。したがって、均一に近い塗膜が形成でき、効率よく酸化チタンエアロゲル粒子に光が当たり、光触媒機能が発揮されやすい。また、外壁材、板、パイプ、不織布等の表面に、酸化チタンエアロゲル粒子を含む塗料を塗着するとき、酸化チタンエアロゲル粒子の凝集又は塗布欠陥が抑制され、長期にわたり光触媒機能が発揮されやすい。
また、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子は、可視光領域における光触媒機能の観点から、炭素(カーボン)を含むことが好ましい。例えば、炭化水素基を有する金属含有化合物により表面処理した酸化チタンエアロゲル粒子を、加熱等の処理により一部の炭化水素基を酸化分解することで作製される。このような酸化チタンエアロゲル粒子は、酸化チタンエアロゲル粒子の細孔の内部に炭化水素基、炭化水素基が酸化したもの、及び、炭化水素基が炭化した炭素(カーボン)が存在し、つまり酸化チタンエアロゲル粒子の表層から内部にかけて炭化水素基、炭化水素基が酸化したもの、及び、炭化水素基が炭化した炭素(カーボン)が取り込まれていると考えられる。
一方、取り込まれた炭素は、紫外光と共に可視光の光吸収を有し、電荷分離物質及び助触媒として機能すると考えられる。
<酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法>
本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法は、特に制限はない。例えば、ゾルゲル法により酸化チタンを含む多孔質粒子を得て、この多孔質粒子を有機金属化合物により表面処理することにより得られる。この場合、表面処理した後に多孔質粒子を加熱処理して、加熱処理後の多孔質粒子を、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子とすることが好ましい。
以下、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法の形態例を説明する。
酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法は、少なくとも下記の(1)、(2)及び(3)を含むことが好ましく、更に(4)を含むことがより好ましい。
(1)酸化チタンを含む多孔質粒子をゾルゲル法により造粒し、前記多孔質粒子及び溶媒を含有する分散液を調製する工程(分散液調製工程)。
(2)超臨界二酸化炭素を用いて前記分散液から前記溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)。
(3)前記溶媒を除去した後の前記多孔質粒子を、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物により表面処理する工程(表面処理工程)。好ましくは、前記溶媒を除去した後の前記多孔質粒子を、超臨界二酸化炭素中で、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物により表面処理する工程。
(4)前記表面処理した後の前記多孔質粒子を加熱処理する工程(加熱処理工程)。
[(1)分散液調製工程]
分散液調製工程は、例えば、チタンアルコキシドを材料にして、チタンアルコキシドの反応(加水分解及び縮合)を生じさせて酸化チタンを生成し、酸化チタンを含む多孔質粒子が溶媒に分散した分散液を得る工程である。
分散液調製工程は、具体的には、例えば下記の工程とする。
アルコールにチタンアルコキシドを添加し、撹拌下、そこに酸水溶液を滴下してチタンアルコキシドを反応させて酸化チタンを生成し、酸化チタンを含む多孔質粒子がアルコールに分散した分散液(多孔質粒子分散液)を得る。
分散液調製工程のチタンアルコキシド添加量により、一次粒子の粒径及び多孔質粒子の粒径を制御することができ、チタンアルコキシド添加量が多いほど一次粒子の粒径及び多孔質粒子の粒径が大きくなる。チタンアルコキシド添加量は、アルコール100質量部にして4質量部以上65質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。
分散液調製工程に用いるチタンアルコキシドとしては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のアルコキシ基の一部をキレート化したアルコキシチタンキレートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多孔質粒子は、ケイ素やアルミニウム等のチタン以外の金属元素を少量含んでいてもよい。ケイ素又はアルミニウムを含有させるために分散液調製工程に用いる材料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のアルキルジアルコキシシラン、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。多孔質粒子がケイ素元素を含む場合、分散液調製工程に用いる上記材料は、ケイ素とチタンとの元素比Si/Tiが0以上0.05以下の範囲になるように用いることが好ましい。
分散液調製工程に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散液調製工程に用いる酸水溶液の酸としては、シュウ酸、酢酸、塩酸、硝酸等が挙げられる。酸水溶液の酸濃度は0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.01質量%以下がより好ましい。
分散液調製工程おける酸水溶液の滴下量は、チタンアルコキシド100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下が好ましい。
分散液調製工程によって得られる多孔質粒子分散液は、固形分濃度が1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
[(2)溶媒除去工程]
溶媒除去工程は、超臨界二酸化炭素を、多孔質粒子及び溶媒を含有する分散液に接触させて、溶媒を除去する工程である。超臨界二酸化炭素による溶媒除去処理は、加熱による溶媒除去処理に比べて、多孔質粒子の孔のつぶれや閉塞を起しにくい。溶媒除去工程が超臨界二酸化炭素によって溶媒を除去する工程であることにより、BET比表面積が120m/g以上の酸化チタンエアロゲル粒子を得ることができる。
溶媒除去工程は、具体的には、例えば以下の操作によって行う。
密閉反応器に多孔質粒子分散液を投入し、次いで液化二酸化炭素を導入した後、密閉反応器を加熱すると共に高圧ポンプにより密閉反応器内を昇圧させ、密閉反応器内の二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応器に液化二酸化炭素を流入させ、密閉反応器から超臨界二酸化炭素を流出させることで、密閉反応器内において多孔質粒子分散液に超臨界二酸化炭素を流通させる。多孔質粒子分散液に超臨界二酸化炭素が流通する間に、溶媒が超臨界二酸化炭素に溶解し、密閉反応器外へ流出する超臨界二酸化炭素に同伴して溶媒が除去される。
上記の密閉反応器内の温度及び圧力は、二酸化炭素を超臨界状態にする温度及び圧力とする。二酸化炭素の臨界点が31.1℃/7.38MPaであるところ、例えば、温度50℃以上200℃以下/圧力10MPa以上30MPa以下の温度及び圧力とする。
[(3)表面処理工程]
表面処理工程は、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物(本開示において「有機金属化合物」ともいう。)と多孔質粒子の表面とを反応させる工程である。表面処理工程において、有機金属化合物中の反応性基(例えば、ハロゲノ基、アルコキシ基等の加水分解性基)と、多孔質粒子の表面に存在する反応性基(例えば、水酸基)とが反応し、多孔質粒子の表面処理がなされる。表面処理工程は、大気中または窒素雰囲気下で行うことができる。表面処理工程は、超臨界二酸化炭素中で表面処理工程を行うことにより、有機金属化合物が多孔質粒子の細孔の奥深くまで到達し、多孔質粒子の細孔の奥深くまで表面処理がなされることから、超臨界二酸化炭素中で行うことが好ましい。
表面処理工程は、例えば、有機金属化合物と多孔質粒子とを、撹拌下、超臨界二酸化炭素中で混合し反応させることで行われる。ほかに、表面処理工程は、例えば、有機金属化合物と溶媒とを混合してなる処理液を調製し、撹拌下、超臨界二酸化炭素中で多孔質粒子と処理液とを混合することで行われる。多孔質粒子の細孔構造を保ち比表面積を大きくするためには、(2)の工程の終了後に引き続き超臨界二酸化炭素中に有機金属化合物を投入し、超臨界二酸化炭素中で有機金属化合物を多孔質粒子の表面と反応させることが好ましい。
表面処理工程の温度及び圧力は、二酸化炭素を超臨界状態にする温度及び圧力とする。例えば、温度50℃以上200℃以下/圧力10MPa以上30MPa以下の雰囲気で表面処理工程を行う。撹拌を持続する時間は、10分間以上24時間以下が好ましく、20分間以上120分間以下がより好ましく、30分間以上90分間以下が更に好ましい。
表面処理に用いる有機金属化合物は、前述のとおりである。有機金属化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機金属化合物と溶媒とを混合してなる処理液を用いる場合、処理液の調製に用いる溶媒としては、有機金属化合物と相溶性のある化学物質であれば特に制限されない。処理液の調製に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、酢酸エチル、アセトンなどの有機溶剤が好ましい。
前記処理液において、有機金属化合物の量は、溶媒100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、20質量部以上180質量部以下がより好ましく、50質量部以上150質量部以下が更に好ましい。
表面処理に用いる有機金属化合物の量は、多孔質粒子100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、20質量部以上180質量部以下がより好ましく、30質量部以上150質量部以下が更に好ましい。有機金属化合物の量を10質量部以上にすると、可視光領域においても高い光触媒機能がより発現しやすく、また、分散性も高まる。有機金属化合物の量を200質量部以下にすると、多孔質粒子の表面に存在する、有機金属化合物に由来する炭素量が過剰になることを抑え、余剰の炭素による光触媒機能の低下が抑制される。
表面処理後は、余剰の有機金属化合物や前記処理液の溶媒等の残渣を除去する目的で乾燥処理を行うことがよい。乾燥処理は、噴霧乾燥、棚段乾燥等の公知の方法を用いることができるが、超臨界二酸化炭素を用いて、多孔質粒子を含む分散液から溶媒を除去する工程が好ましく、(3)の表面処理工程終了後に引き続き、超臨界二酸化炭素中で超臨界二酸化炭素を流通させて溶媒を除去する工程がより好ましい。具体的な操作は、前記(2)について述べた操作と同様でよい。
[(4)加熱処理工程]
加熱処理工程により、酸化チタンエアロゲル粒子の可視光における光触媒機能がより向上する。詳細な機序は不明であるが、粒子表面及び細孔内に結合している有機金属化合物が有する炭化水素基の一部が加熱処理により酸化されることによって可視光に吸収を持つようになり、紫外光と共に可視光の光吸収によっても光電荷分離機能が働くことで光触媒機能が発現すると考えられる。これは、酸化チタンエアロゲル粒子が可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmの各波長に吸収を持つことを示している。つまり、酸化チタンエアロゲル粒子の表面及び細孔内に存在する酸化した炭化水素基により紫外光と共に可視光の光吸収によって選択的に電子を捕捉する作用が働く。これにより光吸収によって発生した電子と正孔が再結合する確率を低くしており、効率的に電荷の分離を促進し、この電荷分離の促進により酸化チタンエアロゲル粒子の可視光応答性が高まると推測される。
加熱処理の温度は、光触媒機能の向上の観点から、180℃以上500℃以下が好ましく、200℃以上450℃以下がより好ましく、250℃以上400℃以下が更に好ましい。加熱処理の時間は、光触媒機能の向上の観点から、10分間以上24時間以下が好ましく、20分間以上300分間以下がより好ましく、30分間以上120分間以下が更に好ましい。
加熱処理の温度を180℃以上500℃以下とすることにより、可視光領域においても高い光触媒機能を発現する酸化チタンエアロゲル粒子が効率的に得られる。180℃以上500℃以下で加熱処理すると、酸化チタンエアロゲル粒子の表面に存在する有機金属化合物由来の炭化水素基が適度に酸化し、炭化水素基のC−C結合などの一部が、C−O結合又はC=O結合に変化すると推測される。
加熱処理は、酸素濃度(体積%)が1%以上21%以下の雰囲気で行われることが好ましい。この酸素雰囲気で加熱処理を行うことにより、酸化チタンエアロゲル粒子の表面に存在する有機金属化合物由来の炭化水素基の酸化を、適度に且つ効率よく行うことができる。酸素濃度(体積%)は、3%以上21%以下がより好ましく、5%以上21%以下が更に好ましい。
加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、気炉、焼成炉(ローラーハースキルン、シャトルキルン等)、輻射式加熱炉、ホットプレート等による加熱;レーザー光、赤外線、UV、マイクロ波等による加熱;など公知の加熱方法を適用する。
以上の工程を経て、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子が得られる。
<光触媒形成用組成物>
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子と、分散媒及びバインダーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを含む。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物の態様としては、例えば、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子及び分散媒を含む分散液;本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子及び有機又は無機バインダーを含む組成物;などが挙げられる。分散液は、粘度が高いペースト状のものであってもよい。
前記分散媒としては、水、有機溶媒等が好ましく用いられる。水としては、例えば、水道水、蒸留水、純水などが挙げられる。有機溶媒としては、特に制限はなく、例えば、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒等が挙げられる。前記分散液は、分散安定性及び保存安定性の観点から、分散剤及び界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。分散剤及び界面活性剤としては、公知の化学物質が用いられる。分散液は、バインダーをエマルションとして含んでいてもよい。
前記組成物に用いられるバインダーとしては、特に制限はないが、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリサルファイド樹脂、ポリフェノール樹脂、これらの複合物、これらをシリコーン変性又はハロゲン変性させた樹脂等の有機系バインダー;ガラス、セラミック、金属粉などの無機系バインダー;が挙げられる。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、上記以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、公知の添加剤が用いられ、例えば、助触媒、着色剤、充填剤、防腐剤、消泡剤、密着改良剤、増粘剤などが挙げられる。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物における本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子の含有量は、特に制限はなく、分散液、樹脂組成物等の各種態様、及び、所望の光触媒量等に応じて、適宜選択すればよい。
本実施形態に係る光触媒形成用組成物を用いる光触媒又は光触媒を有する構造体の製造方法としては、特に制限はなく、公知の付与方法が用いられる。本実施形態に係る光触媒形成用組成物の付与方法としては、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り法、スポンジ塗り法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが挙げられる。
<光触媒、構造体>
本実施形態に係る光触媒は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を含む、又は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子からなる。本実施形態に係る構造体は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を有する。
本実施形態に係る光触媒は、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子のみからなる光触媒であってもよいし、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子に助触媒を混合した光触媒であっても、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を接着剤や粘着剤により所望の形状に固めた光触媒であってもよい。
本実施形態に係る構造体は、光触媒として、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を有することが好ましい。本実施形態に係る構造体は、光触媒活性の観点から、本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を少なくとも表面に有することが好ましい。
本実施形態に係る構造体は、基材表面の少なくとも一部に本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子を有する構造体であってもよいし、また、基材表面の少なくとも一部に本実施形態に係る光触媒形成用組成物を付与して形成された構造体であってもよい。前記構造体において、本実施形態に係る光触媒形成用組成物を付与する量は、特に制限はなく、所望に応じて選択すればよい。
本実施形態に係る構造体においては、基材表面に本実施形態に係る酸化チタンエアロゲル粒子が付着した状態であっても、固定化されていてもよいが、光触媒の耐久性の観点から、固定化されていることが好ましい。固定化方法は、特に制限はなく、公知の固定化方法が用いられる。
本実施形態に用いられる基材は、無機材料、有機材料を問わず種々の材料が挙げられ、その形状も限定されない。基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリート、繊維、布帛、木、紙、これらの組合せ、これらの積層体、これらの表面に少なくとも一層の被膜を有する物品が挙げられる。用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、外装材、窓枠、窓ガラス、鏡、テーブル、食器、カーテン、レンズ、プリズム、乗物の外装及び塗装、機械装置の外装、物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレールの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ポリマーフィルム、ポリマーシート、フィルター、屋内看板、屋外看板、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、空気清浄器、浄水器、医療用器具、介護用品などが挙げられる。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて質量基準である。
<実施例1>
[分散液調製工程]
反応容器にメタノール115.4部とテトラブトキシチタン14.3部を仕込み混合した。混合液をマグネティックスターラーにより100rpm(回転/分)で撹拌しながら、0.009質量%シュウ酸水溶液7.5部を30秒かけて滴下した。そのまま撹拌しながら30分間保持し、分散液(1)を137.2部(固形分:3.4部、液相分:133.9部)得た。
[溶媒除去工程]
反応槽に分散液(1)を137.2部投入し、85rpmで撹拌しながらCOを入れて150℃/20MPaまで昇温昇圧した。そのまま撹拌しながらCOを流入及び流出させ、60分かけて液相を132部除去した。
[表面処理工程]
液相を除去した後に残った固相に、イソブチルトリメトキシシラン3.4部とメタノール3.4部との混合物を5分かけて添加し、85rpmで撹拌しながら150℃/20MPaのまま30分間保持した。そのまま撹拌しながらCOを流入及び流出させ、30分かけて液相を8.5部除去した。30分かけて大気圧まで減圧し、粉を3.7部回収した。
[加熱処理工程]
SUS容器に粉を0.5部計量し、ホットプレートに設置した。380℃まで昇温し、60分間保持した後、30℃になるまで放冷し、粉(酸化チタンエアロゲル粒子)を0.5部回収した。
<比較例1乃至比較例7、並びに、実施例2乃至実施例21>
表1又は表2に記載のように材料又は処理条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、各酸化チタンエアロゲル粒子を作製した。
<比較例8>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(SSP−20、堺化学工業(株)製、体積平均粒径12nm)を、そのまま、酸化チタン粒子とした。
<比較例9>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(SSP−20、堺化学工業(株)製、体積平均粒径12nm)に対して、電気炉で400℃、60分間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子を得た。
<比較例10>
市販のアナターゼ型酸化チタン粒子(SSP−20、堺化学工業(株)製、体積平均粒径12nm)をメタノールに分散した分散液に、酸化チタンエアロゲル粒子に対して100質量%のイソブチルトリメトキシシランを滴下し、40℃で1時間反応させた後、出口温度120℃で噴霧乾燥し、酸化チタン粒子を得た。
<酸化チタンエアロゲル粒子の物性の測定>
各例で得られた酸化チタンエアロゲル粒子について、下記の測定方法に従って各物性を測定した。表1乃至表3に、その結果を示す。表1乃至表3中「UV−Vis特性」は、波長350nmの吸光度を1としたときの、波長450nm、波長600nm及び波長750nmそれぞれの吸光度である。
[BET比表面積]
比表面積測定装置としてマウンテック社製「MacsorbHMmodel−1201」を使用し、50mgの試料に脱気のために30℃/120分の前処理を行い、純度99.99%以上の窒素ガスを用いたBET多点法にてBET比表面積を求めた。
[一次粒子の平均径(平均一次粒子径)]
体積平均粒径8μmの樹脂粒子(スチレン−アクリル酸ブチル共重合体粒子、共重合比(質量比)80:20、重量平均分子量13万、ガラス転移温度59℃)100部と、酸化チタンエアロゲル粒子1.0部とを、サンプルミル(型式SK−M2型、協立理工株式会社製)を用いて13000rpmで2分間混合した。
樹脂粒子に分散させた酸化チタンエアロゲル粒子を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4100)により観察して画像を撮影した。この際、図1に示すように凝集粒子を形成している個々の粒子を一次粒子とし、走査型電子顕微鏡を一次粒子が画像解析できる倍率に調整して画像を撮影した。撮影した画像を画像解析装置(株式会社ニレコ製、LUZEXIII)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を求め、面積から円相当径(nm)を算出し、円相当径の平均を平均一次粒子径(nm)とした(表1乃至表3中「Dp」と表記する。)。平均一次粒子径は、一次粒子10個から50個程度を解析して求めた。
[酸化チタンエアロゲル粒子の体積平均粒径及び体積粒度分布]
体積平均粒径8μmの樹脂粒子(スチレン−アクリル酸ブチル共重合体粒子、共重合比(質量比)80:20、重量平均分子量13万、ガラス転移温度59℃)100部と、酸化チタンエアロゲル粒子1.0部とを、サンプルミル(型式SK−M2型、協立理工株式会社製)を用いて13000rpmで2分間混合した。
混合粒子をビーカーに0.1g入れ、陰イオン性界面活性剤(テイカパワーBN2060、テイカ株式会社製)をイオン交換水にて濃度12%に希釈した界面活性剤水溶液を1.5g添加し、混合粒子を充分にぬらした。次いで、純水5gを添加し、超音波分散機で30分間分散した後、No.5Cの濾紙にて樹脂粒子を除去し、酸化チタンエアロゲル粒子分散液を得た。酸化チタンエアロゲル粒子分散液中の粒子の粒径を動的光散乱式粒度測定装置(ナノトラックUPA−ST、マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定し、体積基準の粒度分布を得た。小径側から累積50%となる粒径D50vを求め、D50vを体積平均粒径(μm)とした(表1乃至表3中「Da」と表記する。)。また、小径側から累積10%となる粒径D10vと、小径側から累積90%となる粒径D90vとを求め、体積粒度分布GSDv=(D90v÷D10v)1/2を算出した。
[紫外可視吸収スペクトル]
酸化チタンエアロゲル粒子をテトラヒドロフランに分散させた後、ガラス基板上に塗布し、大気中、24℃で乾燥させた。分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、スキャンスピード:600nm、スリット幅:2nm、サンプリング間隔:1nmに設定して、拡散反射配置で、波長200nm乃至900nmの範囲の拡散反射スペクトルを測定した。拡散反射スペクトルから、Kubelka-Munk変換により理論的に各波長における吸光度を求め、紫外可視吸収スペクトルを得た。
なお、実施例1乃至実施例21の酸化チタンエアロゲル粒子は、波長400nm以上800nm以下の全範囲に吸収を有していた。
[元素比C/Ti]
各例で得られた粒子表面に、波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を照射開始時25℃において20時間照射した前後において、XPSによる粒子表面における元素比C/Tiを以下の条件に従って測定し、前記紫外線の照射前後における元素比C/Tiの減少量を算出した。
<酸化チタンエアロゲル粒子の性能評価>
[ガス吸着性とガス分解性]
各例で得られた酸化チタンエアロゲル粒子の活性として、下記のとおり、ガス吸着性と、可視光照射によるガス分解性とを評価した。表1乃至表3に、その結果を示す。
各例で得られた酸化チタンエアロゲル粒子を固形分濃度が4質量%になるように、メタノールに分散させた。その分散液を顕微鏡用ガラスプレートの半分(面積10cm)に0.25g塗布した後、充分に乾燥し、ガラスプレートの表面(半分)に均一に粒子を付着させた試験片を作製した。試験片は、各例の酸化チタンエアロゲル粒子ごとに2つずつ作製した。
試験片を作製後ただちに容量1Lの1つ口コック付きテドラーバックに入れ(テドラーバック1つにつき試験片を1つ入れた。)、テドラーバック内の空気を押し出し密封した後、塗布面を上にして暗所に置き、性能評価試験まで保管した。
性能評価試験は、以下の手順で行った。
先ず、試験片入りテドラーバックのコックから内部の残存エアーを吸引器で全て排出し、次いで、100ppm濃度のアンモニアガスを800ml注入した。次いで、同種2つの、試験片入りテドラーバックの一方には、波長400nm以上800nm以下の可視光を照射する発光ダイオード(LED)を使用して可視光(試験片表面で6,500LX(ルクス))を連続照射した。同種2つの、試験片入りテドラーバックのもう一方は、光の当たらない暗箱に入れ1時間保管した。
可視光45分間連続照射後の試験片入りテドラーバック、暗箱で45分間保管した試験片入りテドラーバック、それぞれのテドラーバック内のアンモニアガス濃度を、検知管(ガステック社製)を用いて測定した。そして、下記の式から、アンモニアガス吸着性の指標ΔAと、可視光照射によるアンモニアガス分解率ΔSとを求めた。
・S1=可視光1時間連続照射後のテドラーバック内のアンモニアガス濃度(ppm)
・S2=暗箱で1時間保管した後のテドラーバック内のアンモニアガス濃度(ppm)
・アンモニアガス吸着性の指標ΔA(ppm)=100−S2
・アンモニアガス分解率ΔS(%)=(S2−S1)÷S2×100
上記の値から、ガス吸着性とガス分解性を下記のとおり評価した。
−ガス吸着性−
G1(◎):90≦ΔA、吸着性が非常に良好。
G2(○):70≦ΔA<90、吸着性が良好。
G3(△):50≦ΔA<70、吸着性がやや良好。
G4(×):ΔA<50、吸着性が不良。
−ガス分解性−
G1(◎):30≦ΔS、分解性が非常に良好。
G2(○):15≦ΔS<30、分解性が良好。
G3(△):5≦ΔS<15、分解性がやや良好。
G4(×):ΔS<5、分解性が不良。
[粗大粒子の量(分散性)]
目開き20μmの篩を用意し、その重量を0.01g単位まで精密計量した。酸化チタンエアロゲル粒子1.00gを集塵機で吸引しながら前記篩を通過させた。その際、篩上の凝集物を刷毛を使って解砕しながら篩を通過させ、解砕されない強固な凝集物を篩上に残した。酸化チタンエアロゲル粒子を通過させる前後の篩の重量(g)から、下記式により粗大粒子指数を算出した。粗大粒子指数が小さいほど、分散性に優れる。表1乃至表3に、その結果を示す。
粗大粒子指数(%)=(通過後の篩の重量−通過前の篩の重量)÷1.00×100
G1(○):粗大粒子指数が1%以下。
G2(△):粗大粒子指数が1%超、5%以下。
G3(×):粗大粒子指数が5%超。
表1乃至表3に記載の有機金属化合物のうち、一部の詳細は、下記の通りである。
・アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート:味の素(株)製、プレンアクトAL−M
・イソプロピルトリイソステアロイルチタネート:味の素(株)製、プレンアクトTTS
表1乃至表3に示した性能評価の結果から、本実施例は、比較例に比べて、可視光領域において光触媒活性に優れ、また、分散性が確保されていることがわかる。

Claims (13)

  1. BET比表面積が120m/g以上1000m/g以下であり、
    可視吸収スペクトルにおいて波長450nm及び750nmに吸収を持ち、
    炭化水素基を有する金属原子が酸素原子を介して表面に結合しており、
    表面における炭素CとチタンTiとの元素比C/Tiが0.3以上1.5以下である
    酸化チタンエアロゲル粒子。
  2. 酸化チタンエアロゲル粒子に対して波長352nm、照射強度1.3mW/cmの紫外線を20時間照射した場合の、酸化チタンエアロゲル粒子表面におけるC/Tiの減少量が0.01以上0.3以下である、請求項1に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  3. 可視吸収スペクトルにおいて波長400nm以上800nm以下の全範囲に吸収を持つ、請求項1又は請求項2に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  4. 体積平均粒径が0.1μm以上3μm以下であり、体積粒度分布が1.5以上10以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  5. 前記酸化チタンエアロゲル粒子に含まれる一次粒子の平均径が1nm以上120nm以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  6. 前記金属原子がケイ素原子である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  7. 前記炭化水素基が、炭素数1以上20以下の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  8. 前記炭化水素基が、炭素数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基である、請求項7に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  9. 前記炭化水素基が、炭素数4以上10以下の飽和脂肪族炭化水素基である、請求項8に記載の酸化チタンエアロゲル粒子。
  10. 酸化チタンを含む多孔質粒子をゾルゲル法により造粒し、前記多孔質粒子及び溶媒を含有する分散液を調製する工程と、
    超臨界二酸化炭素を用いて前記分散液から前記溶媒を除去する工程と、
    前記溶媒を除去した後の前記多孔質粒子を、超臨界二酸化炭素中で、金属原子及び炭化水素基を有する金属化合物により表面処理する工程と、
    前記表面処理した後の前記多孔質粒子を加熱処理する工程と、
    を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子と、
    分散媒及びバインダーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物と、
    を含む光触媒形成用組成物。
  12. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子を含む、又は、からなる光触媒。
  13. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化チタンエアロゲル粒子を有する構造体。
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