JP2013249400A - 塗料組成物及び塗装物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる硬化塗膜に、透明性、光沢度等の仕上り性を低下させることなく優れた耐擦傷性を付与させることができる塗料組成物及びその塗装物品を提供すること。
【解決手段】加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)及びバインダー成分(B)を含有する塗料組成物であって、加水分解性シラン化合物(a)が一般式(I)で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)、及び一般式(II)で表されるイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含むことを特徴とする塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面が修飾されたシリカ粒子を含有する塗料組成物及び塗装物品に関する。
従来から、自動車クリヤ用塗料組成物として、水酸基含有樹脂と、架橋剤にメラミン樹脂とを使用したメラミン架橋型塗料組成物や、架橋剤にポリイソシアネート化合物とを使用したウレタン架橋型塗料組成物が汎用されている。一方、外観を重視する自動車のユーザーから、自動車の洗車機による擦傷(耐擦傷性)や鍵穴周りの引っ掻き傷(耐引っ掻き傷性)等の防止対策が望まれている。さらに、自動車クリヤ塗膜は、耐洗車擦り傷性や鍵穴周りの耐引っ掻き傷性にとどまらず、耐衝撃性、耐候性、仕上り性(透明性、光沢度等の外観)、付着性等、多くの塗膜性能を兼ね備える必要があり、塗膜の他の性能を低下させることなく、塗膜の耐擦傷性等を向上させることが求められている。
一方、塗膜の耐擦傷性を向上させる方法として、塗料組成物にシリカ粒子を添加する方法が知られている。また、透明性が高く、耐摩耗性が高い塗膜が要求される場合において、コロイダルシリカやナノシリカ粒子を使用することも知られている。
本出願人は、特許文献1において、熱硬化性樹脂組成物と該樹脂組成物の樹脂固形分100質量部あたり固形分量で3〜10質量部未満のコロイダルシリカを含有することを特徴とする有機溶剤系熱硬化性塗料組成物を提案している。この塗料は、コロイダルシリカの効果により、表面硬度が高くなることから耐擦傷性に優れるが、適用する樹脂によっては、シリカ粒子の分散性が低下し、透明性が不十分となる場合があった。
特許文献2において、ポリシロキサン変性されたシリカ粒子を含有する組成物が開示されている。この組成物は、硬化塗膜の耐擦傷性を向上させることができるが、メラミン架橋型塗料組成物に使用した場合は、シリカ粒子の分散性が低下し、透明性が不十分となる場合があった。
特開2000−136332号公報 特開2006−290725号公報
本発明の目的は、得られる硬化塗膜に、透明性、光沢度等の仕上り性を低下させることなく優れた耐擦傷性を付与させることができる塗料組成物及びその塗装物品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(I)で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)及びイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含む加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)及びバインダー成分(B)を含有する塗料組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の項の塗料組成物及び塗装物品を提供する:
項1.加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)及び
バインダー成分(B)を含有することを特徴とする塗料組成物であって、
加水分解性シラン化合物(a)が下記一般式(I)
Figure 2013249400
[式(I)中、X、X及びXは加水分解性シリル基又は水酸基を示し、これらのうち少なくとも1つは加水分解性シリル基であり、R、R及びRは同一、又は異なって2価の有機基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)、及び下記一般式(II)
Figure 2013249400
[式(II)中、Rは、炭素数1〜18の1価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含むことを特徴とする塗料組成物。
項2.加水分解性シラン化合物(a−i)が、
下記一般式(III)で表される化合物及び/又は下記一般式(IV)で表される化合物
Figure 2013249400
[式(III)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRは前記と同じである。]
Figure 2013249400
[式(IV)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。mは同一、又は異なって0〜5の整数を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]であるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物であることを特徴とする項1に記載の塗料組成物。
項3.前記一般式(IV)で表される化合物が、下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物、及び/又は下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VI)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物であることを特徴とする項1又は2に記載の塗料組成物。
Figure 2013249400
[式(V)中、Rは同一、又は異なって炭素数2〜11の2価の炭化水素基を示す。]
Figure 2013249400
[式(VI)中、Zは炭素原子数2〜14の2価の飽和炭化水素基を示す。]
Figure 2013249400
[式(VII)中、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]
項4.加水分解性シラン化合物(a−i)と加水分解性シラン化合物(a−ii)の含有比は、加水分解性シラン化合物(a−i)/加水分解性シラン化合物(a−ii)=0.05〜5.0(質量比)である項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項5.表面が修飾されたシリカ粒子(A)がシリカ微粒子(s)と加水分解性シラン化合物(a)とを反応させて得られるものである項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項6.シリカ微粒子(s)の平均一次粒子径が、1〜50nmであることを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項7.加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量が、シリカ微粒子(s)100質量部を基準に、1〜55質量部であることを特徴とする項5又は6に記載の塗料組成物。
項8.バインダー成分(B)が、水酸基含有樹脂(B−i)と架橋剤(B−ii)を含有する項1〜7のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項9.表面が修飾されたシリカ粒子(A)の固形分含有率が、バインダー成分(B)の全樹脂固形分に対して、1〜200質量%含有することを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項10.上塗りクリヤトップコート用塗料組成物である項1〜9のいずれか1項に記載の塗料組成物。
項11.項1〜10のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装して得られる塗装物品。
本発明によれば、一般式(I)で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)及びイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含む加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)を用いることにより、得られる硬化塗膜に、透明性、光沢度等の仕上り性を低下させることなく優れた耐擦傷性を付与することができる塗料組成物を得ることができる。
本発明によれば、特定の加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)を用いることにより、バインダー成分(B)とシリカ粒子の相溶性が向上することから、シリカ粒子が均一に分散し、硬化塗膜は透明性、光沢度等の仕上り性を損なうことなく、優れた耐擦傷性を有することができるという効果を奏する。
≪表面が修飾されたシリカ粒子(A)≫
本発明の塗料組成物は、加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)を含有する。
表面が修飾されたシリカ粒子(A)の原料としては、コロイダルシリカ微粒子、粉末状微粒子シリカ等のシリカ微粒子(s)が挙げられる。
コロイダルシリカ微粒子は、シリカの超微粒子を分散媒に分散させたものである。
分散媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のモノマーがある。なかでも、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が製造の容易さの点から好ましい。
コロイダルシリカ微粒子としては、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、PGM−ST、スノーテックス UP、 OUP、 20、 40、 40−O、 C、 N、 O、 50、 OL(以上、商品名、日産化学工業社製)等が挙げられる。
粉末状微粒子シリカの市販品としては、アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50(以上、商品名、日本アエロジル社製)、E220A、E220(以上、商品名、日本シリカ工業社製)、SYLYSIA470(以上、商品名、富士シリシア化学社製)等が挙げられる。
シリカ微粒子(s)の平均一次粒子径は、加水分解性シラン化合物(a)と反応させる際にゲル化を抑制する点及び硬化塗膜の透明性の点から1〜50nmが好ましく、8〜40nmがさらに好ましい。
本発明において、平均一次粒子径は、動的光散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)であって、例えば日機装社製のナノトラック粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
≪加水分解性シラン化合物(a)≫
本発明の塗料組成物に用いられる加水分解性シラン化合物(a)は、一般式(I)で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)、及び一般式(II)で表されるイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含むものである。
以下に詳しく説明する。
加水分解性シラン化合物(a−i)
加水分解性シラン化合物(a−i)は、下記一般式(I)
Figure 2013249400
[式(I)中、X、X及びXは加水分解性シリル基、又は水酸基を示し、これらのうち少なくとも1つは加水分解性シリル基であり、R、R及びRは同一、又は異なって2価の有機基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有するものである。
加水分解性シラン化合物(a−i)は、加水分解性シリル基を有する。
加水分解性シリル基とは、シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基である。シラノール基を生成する基としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子等が結合した基が挙げられる。ここでアルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素が挙げられる。
、R及びRは、2価の有機基である。2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜100の2価の有機基が挙げられる。得られる硬化塗膜の硬度の点から、好ましくは炭素数1〜30の2価の有機基である。2価の有機基は、炭化水素基に限定されるものではなく、例えば、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合等を有していてもよい。
本発明の塗料組成物は、加水分解性シラン化合物(a−i)が、下記一般式(III)で表される化合物及び/又は下記一般式(IV)で表される化合物
Figure 2013249400
[式(IV)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]。
Figure 2013249400
[式(IV)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。mは同一、又は異なって0〜5の整数を示す。R、R及びRは前記と同じである。]であるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物であることが、シリカ粒子の分散性及びバインダー成分(B)との相溶性の点から好ましい。
、R及びRで示されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のものが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基等が好ましい。
、R及びRで示されるアルキル基としては、炭素数1〜8のものが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等が好ましい。
、R及びRで示されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜18のものが挙げられ、フェノキシ基、キシリルオキシ基等が好ましい。
、R及びRで示されるアリール基としては、炭素数6〜18のものが挙げられ、フェニル基、キシリル基等が好ましい。
(R)(R)Si−で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。なかでも、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が好ましい。
前記式(III)で表される化合物としては、トリス[(トリアルコキシシリル)アルキル]イソシアヌレートが好適であり、例えば、トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
前記式(III)で表される化合物の製造方法は、例えば、アルカリ金属ヒドロキシド又はアルコキシド等の強塩基性触媒の存在下でシリルイソシアナートを熱処理又は加熱し、環化して三量体を形成する有機けい素基含有イソシアヌレートの製造方法(特許2612996号)等により製造することができる。
製品を用いることもでき、例えば、KBM−9659(信越化学社製、商品名)が挙げられる。
次に前記一般式(IV)で表される化合物について説明する。
前記一般式(IV)で表される化合物は、下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物、及び/又は下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VI)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物を好適に使用することできる。
Figure 2013249400
[式(V)中、Rは同一、又は異なって炭素数2〜11の2価の炭化水素基を示す。]
Figure 2013249400
[式(VI)中、Zは炭素原子数2〜14の2価の飽和炭化水素基を示す。]
Figure 2013249400
[式(VII)中、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]
式(V)中のRは、炭素数2〜11の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜4の2価の炭化水素基であることが、得られる硬化塗膜の透明性及び耐候性の点から好ましい。
上記一般式(V)で表される化合物としては、例えば、1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートが挙げられ、特に1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好適に使用できる。上記一般式(V)で表される化合物としては、市販品を使用することができ、タナック(商品名、日星産業株式会社製、1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート)等が挙げられる。
式(VI)中の前記Zは炭素原子数2〜14の2価の飽和炭化水素基を示し、mは同一、又は異なって0〜5の整数を示す。
炭素原子数2〜14の2価の飽和炭化水素基としては、炭素原子数2〜10の直鎖状の2価の飽和炭化水素基であるメチレン鎖又はこのメチレン鎖の水素原子の一部が、炭素原子数1〜4の低級アルキル基で置換された分枝状の2価の飽和炭化水素基が好ましい。
上記一般式(VI)で表されるラクトン化合物(以下ラクトン化合物と略すことがある。)としては、例えば、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、3−n−プロピル−δ−バレロラクトン、6,6−ジメチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−カプロラクトン等が挙げられる。これらの中でも、特に取り扱いのしやすさと、反応性の点から、ε−カプロラクトンが好ましい。
式(VII)中の前記Rは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
前記式(VII)で表される加水分解性シラン化合物としては、反応性の点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が好ましく使用できる。
一般式(V)で表される化合物とラクトン化合物とを反応させる場合、その反応比率は、耐候性の点から一般式(VI)で表される化合物の有する水酸基1モルに対して、ラクトン化合物のモル比が、0.05〜5.0程度、好ましくは1.0〜3.0になるようにすることが好ましい。
0.05未満では変性効果が小さく、バインダー成分(B)との相溶性が不十分となる場合があり、一方5.0を超えると、塗膜が軟化して耐候性が低下する場合がある。
一般式(V)で表される化合物とラクトン化合物との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒を使用することで、ラクトン化合物と一般式(V)で表される化合物との開環付加反応を促進する効果がある。
ここで使用できる好ましい触媒としては、例えば、n−ブチル錫トリオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセテート等の有機錫化合物;塩化第一錫、塩化第二錫等のハロゲン化錫化合物;有機ジルコニウム化合物;テトラ−n−ブチルチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−エトキシチタン等の有機チタン化合物;三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化チタン等のルイス酸;フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム等のフッ化物塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら触媒は、1種を又は2種以上混合して使用してもよい。
用いる触媒の配合量は、一般式(V)で表される化合物とラクトン化合物の合計量に対して0.01〜10質量%程度、好ましくは0.02〜4.0質量%程度である。
上記開環付加反応は、無溶媒又は該反応に不活性な溶媒の存在下で、通常80〜200℃程度、好ましくは100〜180℃程度の温度範囲で、好適に行うことができる。反応時間は、通常1〜20時間程度である。
上記不活性な溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤等を挙げることができ、これらは単独使用でも2種以上を併用しても良い。
該反応に活性な溶媒、例えば水酸基を含んだ溶剤を多量に用いることは、ラクトンの変性率が低下することから望ましくない。
反応方法としては、例えば、一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表されるラクトン化合物とを混合して加熱しても良く、ラクトン化合物を添加しても良い。触媒は、あらかじめ一般式(V)で表される化合物中に入れておいても、ラクトン化合物と混合しておいて一緒に滴下しても良い。
上記のようにして一般式(V)と、下記一般式(VI)で表されるラクトン化合物とを反応させて、下記一般式(VIII)で表される化合物を製造することができる。
Figure 2013249400
[式(VIII)中、R、m、R、R、及びRは前記と同じである。]
前記一般式(IV)で表される化合物は、上記のようにして得られた前記一般式(VIII)で表される化合物及び/又は一般式(V)で表される化合物と、前記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
前記一般式(VIII)で表される化合物及び/又は前記一般式(V)で表される化合物と、前記一般式(VII)で表される化合物とを反応させる際の両者の配合割合は特に限定されるものではないが、通常、前記一般式(VIII)で表される化合物及び/又は前記一般式(V)で表される化合物の有する水酸基1モルに対して、前記一般式(VII)で表される加水分解性シラン化合物のイソシアネート基が等モル以下となるようにし、加水分解性シリル基が1当量以上導入されるように反応が行われる。
具体的な配合割合としては、表面が修飾されたシリカ粒子(A)の分散性の点から、前記一般式(VIII)で表される化合物及び/又は前記一般式(V)で表される化合物の有する水酸基1モルに対して、前記一般式(VII)で表される加水分解性シラン化合物の有するイソシアネート基を0.05〜1.0、好ましくは、0.1〜0.4モルの範囲とすることが好ましい。
この反応は、イソシアネート基と水酸基とを反応させる常法に従って行うことができる。反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは、20℃〜120℃である。また、この反応は加圧(又は減圧)しても実施できるが、0.02〜0.2MPa、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。当該反応は、通常、2〜10時間程度で終了する。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒としては、前記不活性な溶剤として例示したものを好適に使用できる。
また、前記反応では、ウレタン化触媒を使用してもよい。ウレタン硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫脂肪酸塩、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、脂肪酸亜鉛化合物、ナフテン酸コバルト、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸銅、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等の有機金属化合物;第三級アミン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合せて使用することができる。
そして、前記一般式(III)で表される化合物及び/又は前記一般式(IV)で表される化合物で表される加水分解性シラン化合物により表面が修飾されたシリカ粒子(A)を製造する際に、その製造の原料中に前記一般式(V)で表される化合物や前記一般式(VI)で表される化合物や前記一般式(VIII)で表される化合物等が含まれていても特段問題はない。
加水分解性シラン化合物(a−ii)
加水分解性シラン化合物(a−ii)は、下記一般式(II)
Figure 2013249400
[式(II)中、Rはである炭素数1〜18の1価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物である。
は炭素数1〜18の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には入手性、及び価格の点で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、その中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、デシル基、フェニル基が好ましい。
、R及びRで示される加水分解性基としては、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基、アルキル基、アリール基等挙げることができるが、アルコキシ基、オキシム基、及びオキシカルボニル基から選ばれる1種以上であることが好ましく、その中でも、入手性、及び価格の点で、アルコキシ基がより好ましく、炭素数3以下のアルコキシ基がさらに好ましい。
(R)(R)Si−で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が好ましい。
加水分解性シラン化合物(a−ii)としては、具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、これら例示した化合物中のメトキシ基をエトキシ基に置換した化合物(例えばメチルトリエトキシシラン等)も挙げられる。その中でも、分散性の点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン及び/又はメトキシ基をエトキシ基に置換した化合物が好ましい。
これらの加水分解性シラン化合物(a−ii)は1種でも2種以上併用してもかまわない。
≪表面が修飾されたシリカ粒子(A)の製造方法≫
表面が修飾されたシリカ粒子(A)は、シリカ微粒子(s)と加水分解性シラン化合物(a)とを反応させることによって得ることができる。加水分解性シラン化合物(a)は、加水分解性シラン化合物(a−i)と加水分解性シラン化合物(a−ii)とを含むものである。[以下、加水分解性シラン化合物(a)をまとめて、「加水分解性シラン」と略すことがある。]シリカ微粒子(s)と加水分解性シランとを反応させる方法としては、特に限定されない。
例えば、
[i]水を含む有機溶剤の存在下にシリカ微粒子と加水分解性シランとを混合し、加水分解縮合を行う方法、
[ii]水を含む有機溶剤の存在下で加水分解性シランを加水分解した後、加水分解性シランの加水分解物とシリカ微粒子とを縮合させる方法、
[iii]シリカ微粒子(s)と加水分解性シランとを、水、有機溶剤及びその他の成分の存在下で混合し、加水分解縮合を一度に行う方法が挙げられる。
ここで、これら製造方法において使用する水は、原材料に含まれる水、例えば、コロイダルシリカ微粒子の分散媒である水であってもよい。
表面が修飾されたシリカ粒子(A)を製造する方法についてより具体的に説明する。表面が修飾されたシリカ粒子は、例えば、シリカ微粒子(s)であるコロイダルシリカ微粒子と、加水分解性シランと、任意で低級アルコールと、コロイダルシリカ微粒子中の分散媒、及び低級アルコール(加水分解性シランを加水分解して生じた低級アルコールを含む。)を常圧又は減圧下で低級アルコールよりも高沸点の溶剤とともに共沸留出させ、分散媒を該溶剤に置換した後、加熱下で脱水縮合反応させることにより製造することができる。
この製造方法においては、シリカ微粒子(s)であるコロイダルシリカ微粒子と、加水分解性シランと、任意で低級アルコールとの混合物に常温又は加熱下で攪拌する等の常法によって、加水分解性シランの加水分解を行う。その際加水分解触媒を使用してもよい。続いて、コロイダルシリカ微粒子(s)中の分散媒、及び低級アルコールを常圧又は減圧下で低級アルコールよりも高沸点の溶剤とともに共沸留出させ、分散媒を該溶剤に置換した後、60〜150℃、好ましくは80〜130℃の温度で、通常固形分濃度を5〜50質量%の範囲に保ちながら、0.5〜10時間攪拌下で反応させる。反応後には、縮合反応又は加水分解で生ずる水及び低級アルコールを、低級アルコールよりも高沸点の溶剤とともに共沸留去することが好ましい。
上記反応に用いられる溶媒は、例えば、前記不活性な溶剤として例示したものを好適に使用できる。
加水分解触媒としては、従来から公知の種々のものを使用することができる。具体例としては、例えば、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸等の有機酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸、トリエチルアミン等の塩基性化合物、前記ウレタン化触媒の項で記載したテトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム等のフッ化物塩等の含フッ素化合物を挙げることが出来る。
上記加水分解触媒は単独で使用しても良く、或いは複数種を併用しても良い。触媒の使用量は、シリカ微粒子(s)100質量部を基準に、0.0001〜1質量部の範囲が好ましい。これらの触媒の中でも、含フッ素化合物は、反応活性に富むシラノール基の縮合を促進する機能に優れているため、表面が修飾されたシリカ粒子(A)の塗料組成物中における貯蔵安定性が良好となることから好ましい。
反応中の固形分濃度は5〜50質量%の範囲が好ましい。固形分濃度が5質量%未満、すなわち溶剤が95質量%を超える場合、シリカ微粒子(s)と加水分解性シランとの反応が不十分となり、得られる硬化塗膜は透明性に劣る場合がある。一方、固形分濃度が50質量%を超えると、生成物がゲル化する恐れがある。
これらの製造方法によりシリカ微粒子表面のケイ素原子と、加水分解性シランのケイ素原子が酸素原子を介して結合することにより、シリカ微粒子(s)と加水分解性シランとが化学的に結合した表面が修飾されたシリカ粒子(A)が得られる。
表面が修飾されたシリカ粒子(A)を得る際の、加水分解性シラン化合物(a−i)と加水分解性シラン化合物(a−ii)の固形分含有比(固形分比率)は、分散性、仕上り、及び耐擦傷性の点から、加水分解性シラン化合物(a−i)/加水分解性シラン化合物(a−ii)=0.05〜5.0(質量比)であることが好ましいく、特に0.5〜1.5範囲がより好ましい。
加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量は、分散性、仕上り及び耐擦傷性の点から、シリカ微粒子(s)100質量部を基準に、1〜55質量部であることが好ましく、特に15〜45質量部が好ましい。
この配合量はシリカ粒子の平均粒子径によって異なるが、例えば、平均粒子径が10〜20nmの場合、加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量は、シリカ微粒子100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、より好ましくは15〜45質量部である。
また、平均粒子径が20〜30nmの場合、加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量は、シリカ微粒子100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部であり、より好ましくは15〜35質量部である。
また、平均粒子径が40〜50nmの場合、加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量は、シリカ微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは5〜15質量部である。
これらのシリカ粒子(A)の種類は、1種単独で又は2種以上使用することができる。
本発明の塗料組成物中における表面が修飾されたシリカ粒子(A)の固形分含有率は、得られる塗膜の耐擦傷性や塗膜硬度の向上及び透明性の点から、好ましくは後述するバインダー成分(B)の全樹脂固形分に対して、1〜200質量%、1〜40質量%であり、より好ましくは2〜30質量%である。
≪バインダー成分(B)≫
本発明の塗料組成物は、バインダー成分(B)を含有する。
バインダー成分とは、主たる硬化塗膜を形成し得る合成樹脂のことで、バインダー成分である合成樹脂としては、非架橋型の樹脂や、架橋型の樹脂が挙げられる。
主たる硬化被膜を形成し得る合成樹脂とは、表面が修飾されたシリカ粒子(A)を除く、硬化塗膜の形成成分のうち10質量%以上100質量%以下を占めるものをいう。
非架橋型の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
架橋型の樹脂としては、加熱によって反応し硬化する公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。中でも、耐擦傷性、耐候性、耐酸性、及び塗膜の生産性等の点から、水酸基含有樹脂(B−i)と架橋剤(B−ii)とを好適に使用することができる。
<水酸基含有樹脂(B−i)>
水酸基含有樹脂(B−i)としては水酸基を含有していれば特に限定されず、熱硬化性樹脂として公知のものを使用することができる。
例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等が挙げられるが、塗膜の耐候性や耐擦傷性の点から、水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)が好ましい。
上記水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能なその他の重合性不飽和モノマーを、共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個以上有する化合物である。
該水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物が好適であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。カプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、「プラクセルFM」(商品名、ダイセル化学社製)等が挙げられ、4−メチロールシクロヘキシルアクリレートの市販品としては、例えば、「CHDMMA」(商品名、日本化成社製)等が挙げられる。
該水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、形成される塗膜の耐擦り傷性の観点から、特に炭素原子数4〜20の水酸基含有炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー、具体的には、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシルアクリレート等を使用することが好ましい。
水酸基含有重合性不飽和モノマーに基づく水酸基は、得られる共重合体樹脂の架橋性官能基として機能する。
前記その他の共重合可能な重合性不飽和モノマーは、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー以外の、1分子中に1個以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、その具体例を以下の(1)〜(13)に列挙する。
(1)芳香族系重合性不飽和モノマー:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等。
(2)炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー:例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、3−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数10〜20の有橋脂環式炭化水素基含有重合性不飽和モノマー、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数3〜12の脂環式炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー。
(3)分岐構造を有する炭素原子数8以上の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー:例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としては、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業(株)製)。
(4)(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7の直鎖状又は分岐状アルキルエステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等。
(5)(メタ)アクリル酸の炭素数8〜22の直鎖状アルキルエステル:例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。
(6)エポキシ基含有重合性不飽和:例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等。
(7)窒素含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等。
(8)その他のビニル化合物:例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルエーテル、バーサティック酸ビニルエステルである「ベオバ9」、「ベオバ10」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)等。
(11)不飽和基含有ニトリル化合物:例えば、(メタ)アクリロニトリル等。
(12)酸性官能基含有重合性不飽和モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和モノマー。
(13)アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
上記その他の共重合可能な重合性不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記水酸基含有重合性不飽和モノマー及び上記その他の重合性不飽和モノマーからなる
重合性不飽和モノマー混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)を得ることができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、耐擦傷性及び仕上り性の点から、共重合モノマー成分の全質量に基づいて、24〜50質量%、好ましくは30〜45質量%であることが適当である。
その他の重合性不飽和モノマーとして、仕上り性(特に光沢)、耐水性及び耐候性の点から、モノマー(1)を使用することが望ましく、その使用割合は、共重合モノマー成分の全質量に基づいて、3〜40質量%程度、好ましくは5〜30質量%程度であることが適当である。
また、その他の重合性不飽和モノマーとして、仕上り性及び耐水性の点から、モノマー(2)を使用することが望ましく、その使用割合は、共重合モノマー成分の全質量に基づいて、3〜40質量%程度、好ましくは5〜30質量%程度であることが適当である。
また、その他の重合性不飽和モノマーとして、被塗物へのヌレ性及び仕上り性の点から、モノマー(3)を使用することが望ましく、その使用割合は、共重合モノマー成分の全質量に基づいて、3〜40質量%程度、好ましくは8〜35質量%程度であることが適当である。
また、上記共重合モノマー成分の全質量に基づいて、塗膜の耐酸性と耐擦傷性とのいずれにも極めて優れる樹脂を得る観点から、モノマー(1)、モノマー(2)及びモノマー(3)の合計質量は、共重合モノマー成分の全質量に基づいて、35〜70質量%程度、好ましくは40〜65質量%程度の範囲内であることが適当である。
その他の重合性不飽和モノマーの内、カルボキシル基含有不飽和モノマー、スルホン酸基含有不飽和モノマー、酸性リン酸エステル系不飽和モノマー等の酸性官能基含有重合性不飽和モノマーは、得られた水酸基含有樹脂がポリイソシアネート化合物と架橋反応する時の内部触媒として作用することができるものであり、その使用量は樹脂を構成するモノマー混合物全量に基づいて、0.1〜5質量%程度の範囲内が好ましく、0.5〜3質量%程度の範囲内で使用することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
上記モノマー混合物を共重合して水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)を得るための共重合方法は、特に限定されるものではなく、公知の共重合方法を用いることができる。特に、有機溶剤中にて、重合開始剤の存在下で重合を行なう溶液重合法を用いるのが好ましい。
上記溶液重合法に際して使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、高沸点芳香族系炭化水素等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等を挙げることができる。高沸点芳香族系炭化水素の市販品としては、例えば、「スワゾール1000」(商品名、コスモ石油(株)製、高沸点石油系溶剤)を挙げることができる。
これらの有機溶剤は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。特に、有機溶剤としては、水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)は高い水酸基価を有するため、樹脂の溶解性の点から高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。また、更に、高沸点の芳香族系溶剤を組合せて使用することもできる。
水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)の共重合に際して使用できる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、2,2−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等の公知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)は、1種の共重合体からなっていてもよいが、2種以上の共重合体からなっていてもよい。
水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)の水酸基価は、耐擦傷性及び耐水性の両立の観点から、好ましくは10〜200mgKOH/g、さらに好ましくは80〜200mgKOH/g、さらに特に好ましくは120〜200mgKOH/gの範囲内である。
水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)の重量平均分子量は、耐酸性と仕上り性の観点から、好ましくは、5,000〜30,000の範囲内であり、さらに好ましくは5,000〜20,000、さらに特に好ましくは10,000〜20,000の範囲内である。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行った。
水酸基含有アクリル樹脂(B−i−1)のガラス転移温度は、塗膜硬度及び仕上り性の点から、−30℃〜30℃、特に−20℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。
なお、ガラス転移温度(℃)は、下記式によって算出した。
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・
Tg(℃)=Tg(K)−273
各式中、W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量分率、
T1、T2、・・はそれぞれのモノマーの、ホモポリマーのTg(K)を表わす。
なお、T1、T2、・・は、Polymer Handbook(4th Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)による値である。
なお、上記文献に記載(データ)のないモノマーを共重合モノマー成分として使用する場合には、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
<架橋剤(B−ii)>
水酸基含有樹脂に組合せる架橋剤(B−ii)としては、ポリイソシアネート化合物(ブロックしたものも含む)や、メラミン樹脂、グアナミン樹脂及び尿素樹脂等のアミノ樹脂を用いることができる。耐候性、耐擦傷性、塗膜硬度、付着性等により優れた塗膜を得る観点から、ポリイソシアネート化合物(B−ii−1)及び/又はメラミン樹脂(B−ii−2)が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B−ii−1)としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。
ポリイソシアネート化合物(B−ii−1)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられるが、これらのポリイソシアネート化合物をブロック化剤でブロックしたものも用いることができる。ブロックイソシアネート化合物を用いる場合には解離触媒を併用することが好ましい。
上記イソシアネート化合物の代表的な市販品の例としては、バーノックD−750、−800、DN−950、−970もしくは15−455(以上、商品名、DIC株式会社製)、スミジュール N3300、もしくはN3390(以上、商品名、住友バイエルウレタン社製)、デュラネート 24A−100、TPA−100、TLA−100、P301−75E」(以上、商品名、旭化成株式会社製)等が挙げられる。
ブロックされたイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、上記、フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物をオキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等の公知のブロック剤でブロックしたものが挙げられる。これらの代表的な市販品の例としては、バーノックD−550(商品名、DIC株式会社製)又はデュラネートSBN−70(商品名、旭化成株式会社製)等が挙げられる。
メラミン樹脂(B−ii−2)としては、例えば、メチロール化メラミンのメチロール基を炭素数1〜8の1価アルコールでエーテル化したメラミン樹脂を、好ましく使用できる。エーテル化メラミン樹脂は、メチロール化メラミンのメチロール基がすべてエーテル化されているものでもよいし、又部分的にエーテル化され、メチロール基やイミノ基が残存しているものでもよい。
エーテル化メラミン樹脂の具体例としては、例えば、メチルエーテル化メラミン、エチルエーテル化メラミン、ブチルエーテル化メラミン等のアルキルエーテル化メラミンを挙げることができる。エーテル化メラミン樹脂は、1種のみ用いてもよいし、又2種以上を併用してもよい。
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えば、ブチル化メラミン樹脂(三井化学株式会社製;ユーバン20SE−60、ユーバン225、DIC株式会社製;スーパーベッカミンG840、スーパーベッカミンG821等)、メチル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ株式会社製;サイメル303、住友化学株式会社製;スミマールM−100、スミマールM−40S等)、メチルエーテル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ株式会社製;サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、住友化学製スミマールM55等)、メチル化、ブチル化混合エーテル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ株式会社製;サイメル253、サイメル202、サイメル238、サイメル254、サイメル272、サイメル1130、住友化学株式会社製;スミマールM66B等)、メチル化、イソブチル化混合エーテル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズサイメルXV805等)等のメラミン樹脂を用いることができる。
架橋剤(B−ii)の配合割合は、塗膜が硬化し充分な性能を有するように適宜配合すればよいが、得られる塗膜の硬化性の観点から、水酸基含有樹脂/架橋剤の比率は質量比で80/20〜50/50の範囲が好適である。
架橋剤(B−ii)にポリイソシアネート化合物を使用する場合その配合割合は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と、本発明の塗料組成物中の水酸基含有樹脂の水酸基との当量比(NCO/OH)が、通常0.5〜2.0、特に0.7〜1.5の範囲内が好適である。
<その他の成分>
本発明の塗料組成物は、さらに、硬化触媒、顔料、紫外線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等)、光安定剤(例えば、ヒンダードピペリジン類等)、増粘剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤等をそれぞれ単独でもしくは2種以上組合せて含有させることができる。
前記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジ
ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒、第三級アミン等を挙げることができる。これらは単独
で又は2種以上組合せて使用することができる。
本発明の塗料組成物が、硬化触媒を含有する場合、硬化触媒の配合量は、バインダー成分(B)の樹脂固形分100質量部を基準として、0.05〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.2〜3質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の塗料組成物が、紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の配合量は、バインダー成分(B)の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜2質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の塗料組成物が、光安定剤を含有する場合、光安定剤の配合量は、バインダー成分(B)の固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜2質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の塗料組成物は、一液型塗料であってもよいし、二液型塗料等の多液型塗料であってもよい。本発明の塗料組成物において、バインダー成分(B)の架橋剤(B−ii)として、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を使用する場合には、貯蔵安定性の観点から、水酸基含有樹脂(B−i)を含む主剤及び架橋剤(B−ii)を含有する硬化剤からなる二液型塗料とし、使用直前に両者を混合して使用することが好適である。
<塗料組成物の調整>
本発明の塗料組成物の形態は、特に限定されるものではないが、有機溶剤溶液型もしくは非水分散液型が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
これらは、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組合せて使用することができる。
本発明の塗料組成物の固形分は特に限定されるものではない。例えば、硬化塗膜の平滑性及び乾燥時間の短縮化の点で、粘度を15〜60秒/フォードカップ#4/20℃の範囲内に秒程度の粘度範囲となるように、上記有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
本明細書において固形分とは、揮発成分を除いた残存物を意味するものであり、残存物としては常温で固形状であっても液状であっても差し支えない。固形分質量は、乾燥させた時の残存物質量の乾燥前質量に対する割合を固形分率とし、固形分率を乾燥前の試料質量に乗じることで算出することができる。
<塗装方法>
本発明の塗料組成物を適用される被塗物としては、特に限定されるものではない。例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等を挙げることができる。またこれらにより形成された自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体であってもよい。
また、被塗物としては、上記金属基材や車体の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記金属基材や車体等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜が形成されたものであってもよく、該下塗り塗膜及び中塗り塗膜が形成されたものであってもよく、下塗り塗膜、中塗り塗膜及びベースコート塗膜が形成されたものであってもよく、下塗り塗膜、中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜が形成されたものであってもよい。
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法が挙げられ、これらの方法によりウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法では、必要に応じて、静電印加してもよい。これらのうちでは、エアスプレー塗装又は回転霧化塗装が特に好ましい。
本発明の塗料組成物の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜50μm程度となる量とするのが好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装を行う場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
被塗物に本発明の塗料組成物を塗装してなるウエット塗膜の硬化は、加熱することにより行われ、加熱は公知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を使用することができる。加熱温度は、60〜180℃、好ましくは90〜150℃の範囲内にあるのがよい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、10〜60分間、好ましくは15〜30分間の範囲内であるのが好適である。
本発明の塗料組成物は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性及び塗膜外観のいずれにも優れる硬化塗膜を得ることができることから、上塗りトップクリヤコート塗料組成物として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
<複層塗膜形成方法>
本発明の塗料組成物が上塗りトップクリヤコート塗料として塗装される複層塗膜形成方法としては、被塗物に順次、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを含む複層塗膜形成方法を挙げることができる。
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度のプレヒートを行い、この未硬化のベースコート塗膜上にクリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコートとクリヤコートを一緒に硬化させる、2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法を挙げることができる。
また、本塗料を3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式の上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
上記で用いられるベースコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂系等の基体樹脂にアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を基体樹脂が含有する反応性官能基と適宜組合せてなる塗料を使用することができる。
また、ベースコート塗料としては、例えば、水性塗料、有機溶剤系塗料、粉体塗料を用いることができる。
複層塗膜形成方法において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、最上層以外のクリヤコート塗料としては、従来から公知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
本発明の塗料組成物を塗装することによって得られる硬化塗膜は耐擦り傷性、及び塗膜外観に優れる。これは、イソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)、及びイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物を含む加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)を用いることにより、バインダー成分(B)とシリカ粒子の相溶性が向上することから、シリカ粒子が均一に分散し、硬化塗膜は透明性、光沢度等の仕上り性を損なうことなく、優れた耐擦傷性を有することができるという効果を奏する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
固形分(%)は、試料2gをブリキ皿に秤量し、130℃で30分乾燥させた時の残存物質量の乾燥前質量に対する割合を固形分とし、乾燥後の残存物質量を乾燥前の試料質量に乗じることで算出した。
また、イソシアネート価の測定は、試料1gに0.1mol/Lジブチルアミン溶液10mlを加えて反応させ、滴定指示薬としてブロモフェノールブルーを用い残余のジブチルアミンを塩酸水溶液で滴定することによりおこなった。
(製造例1)加水分解性シラン化合物No.1の製造
還流冷却器、温度計、空気導入管及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに
タナック(注1) 100部及び
プラクセル M(注2) 327部を入れ、
窒素を吹き込みながら100℃まで昇温させ攪拌した。
さらにテトラ−n−ブトキシチタン(注3)を0.06部追加し、170℃で4時間反応させた。
その後80℃まで冷却、
KBE−9007(注4) 95部を1時間かけて滴下した。
この際、フラスコ内の反応物の温度が80℃を超えないように制御した。続いて、80℃で攪拌し、イソシアネート価が0になったことを確認後、溶媒として、プロピレングリコールモノブチルエーテル 130部を追加し、加水分解性シラン化合物(a−i)である、固形分80%の加水分解性シラン化合物No.1溶液を得た。
(注1)タナック:商品名、日星産業株式会社製、1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
(注2)プラクセル M:商品名、ダイセル社製、ε−カプロラクトン、
(注3)テトラ−n−ブトキシチタン:触媒
(注4)KBE−9007:商品名、信越化学社製、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン。
(製造例2)加水分解性シラン化合物No.2の製造
還流冷却器、温度計、空気導入管及び攪拌機を備えた4つ口フラスコにタナック(注1) 100部と溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 95部を添加し攪拌した。窒素を吹き込みながら85℃まで昇温させ、30分間攪拌し、タナックが溶解したことを確認し、その後80℃まで冷却した。
その後、KBE−9007(注4) 284部を1時間かけて滴下した。
この際、フラスコ内の反応物の温度が80℃を超えないように制御した。続いて、80℃で7時間攪拌後、ジブチル錫ジラウレート(触媒)を 0.02部添加した。イソシアネート価が0になったことを確認し、加水分解性シラン化合物(a−i)である、固形分80%の加水分解性シラン化合物No.2溶液を得た。
(製造例3) 水酸基含有アクリル樹脂No.1の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに3−エトキシプロピオン酸エチル 31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記に示すモノマーと重合開始剤からなる組成配合のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
4−ヒドロキシブチルアクリレート 42.0部、
スチレン 20.0部、
イソボルニルアクリレート 20.8部、
2−エチルヘキシルアクリレート 16.2部、
アクリル酸 1.0部、及び
ジ−tert−アミルパーオキサイド 4.0部、
ついで、155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、バインダー成分である、固形分60%の水酸基含有アクリル樹脂No.1溶液を得た。また、この共重合体の重量平均分子量は13,000、水酸基価は164mgKOH/g、ガラス転移温度は−12.0℃であった。
(製造例4) 水酸基含有アクリル樹脂No.2の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに3−エトキシプロピオン酸エチル 31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記に示すモノマーと重合開始剤からなる組成配合のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
2−ヒドロキシプロピルアクリレート 24.0部、
スチレン 20.0部、
イソボルニルアクリレート 20.8部、
2−エチルヘキシルアクリレート 34.2部、
アクリル酸 1.0部、及び
ジ−tert−アミルパーオキサイド 4.0部、
ついで、155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、バインダー成分である、固形分60%の水酸基含有アクリル樹脂No.2溶液を得た。また、この共重合体の重量平均分子量は13,000、水酸基価は103mgKOH/g、ガラス転移温度は−11.0℃であった。
(製造例5)表面が修飾されたシリカ粒子(A−1)の製造
還流冷却器、温度計及び攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、
コロイダルシリカNo.1(注5) 333部(固形分100部)及び
脱イオン水 10部を配合した後、
製造例1で得られた加水分解性シラン化合物No.1 25部(固形分20部)、加水分解性シラン化合物No.4(注8) 5部を添加し、80℃で2時間攪拌しながら脱水縮合反応を行った後、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム 0.03部を加えて更に1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、減圧状態で揮発成分を留出させ、さらに3−エトキシプロピオン酸エチル 350部を加えて共沸留出することで3−エトキシプロピオン酸エチルに溶剤を置換し、表面が修飾されたシリカ粒子(A−1)の固形分30%の溶液を得た。
(製造例6〜17)表面が修飾されたシリカ粒子(A−2)〜(A−13)の製造
製造例5において、各成分の配合を表1に示す配合とする以外は製造例5と同様にして、固形分30%の表面が修飾されたシリカ粒子(A−2)〜(A−13)溶液を得た。なお、表1に示す配合は各成分の固形分質量比である。
(製造例18)表面が修飾されたシリカ粒子(A−14)の製造
還流冷却器、温度計及び攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、
コロイダルシリカNo.1(注6) 250部(固形分100部)及び
プロピレングリコールモノメチルエーテル 250部
続いて、製造例1で得られた加水分解性シラン化合物No.1 25部(固形分20部)、加水分解性シラン化合物No.4(注8) 5部を添加し、攪拌しながら60度まで昇温後、減圧蒸留にて反応系内の溶剤を置換した。その後60℃で2時間攪拌しながら脱水縮合反応を行った後、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム 0.03部を加えて更に1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、減圧状態で揮発成分を留出させ、さらに3−エトキシプロピオン酸エチル 350部を加えて共沸留出することで3−エトキシプロピオン酸エチルに溶剤を置換し、表面が修飾されたシリカ粒子(A−14)の固形分30%の溶液を得た。
(製造例19〜20)比較例用:
表面が修飾されたシリカ粒子(A’−1)及び(A’−2)の製造
製造例5において、各成分の配合を表1に示す配合とする以外は製造例5と同様にして、比較用の固形分30%の表面が修飾されたシリカ粒子(A’−1)及び(A’−2)溶液を得た。なお、表1に示す配合は各成分の固形分質量比である。
(注5)コロイダルシリカNo.1:PGM−ST、商品名、日産化学工業社製、シリカ平均一次粒子径;15nm、シリカ濃度;30質量%、分散媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル
(注6)コロイダルシリカNo.2:スノーテックス O−40、商品名、日産化学工業社製、シリカ平均一次粒子径;25nm、シリカ濃度;40質量%、分散媒;水
(注7)加水分解性シラン化合物No.3:KBM−9659、商品名、信越化学工業社製、トリス[(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、有効成分100%
(注8)加水分解性シラン化合物No.4:KBM−13、商品名、信越化学工業社製、メチルトリメトキシシラン
(注9)加水分解性シラン化合物No.5:KBM−3063、商品名、信越化学工業社製、ヘキシルトリメトキシシラン
(注10)加水分解性シラン化合物No.6:KBM−3103、商品名、信越化学工業社製、デシルトリメトキシシラン。
Figure 2013249400
(実施例1)塗料組成物No.1の製造
表面が修飾されたシリカ粒子(A−1) 333.3(固形分100部)、
水酸基含有アクリル樹脂No.1 116.7部(固形分70部)、及び
架橋剤No.1(注13) 30.0部(固形分30部)
を配合し、塗料固形分が40%になるように3−エトキシプロピオン酸エチルで希釈攪拌して塗料組成物 No.1を得た。
(実施例2〜16)塗料組成物No.2〜16の製造
実施例1において、各成分の配合を表に示す配合とする以外は実施例1と同様にして、実施例2〜16の塗料固形分40%の塗料組成物No.2〜16を得た。なお、表2に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。
(比較例1〜3)塗料組成物No.17〜19の製造
実施例1において、各成分の配合を表に示す配合とする以外は実施例1と同様にして、実施例17〜19の塗料固形分40%の比較用塗料組成物No.17〜19を得た。なお、表2に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。
≪試験板の作製≫
下記各塗料組成物No.1〜19の粘度を、酢酸ブチルを添加してフォードカップ#No.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整し、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックTP−65−2(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上に溶剤ベースコートネオアミラック US−300(C)No202(関西ペイント社製、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車用上塗ベースコート塗料、黒塗色)を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、該硬化塗膜上に上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱し硬化させることにより試験板を得た。得られたそれぞれの試験板を常温で7日間静置してから下記塗膜性能試験を行なった。
塗膜性能評価結果を表2に示す。
(注11)表面が修飾されたシリカ粒子(A’−3):NANOBYK−3652:BYK社製、商品名、直鎖アルキル基変性ポリジメチルシロキサン変性シリカ粒子分散液、中極性、平均粒子径20nm、固形分濃度31%(シリカ濃度25質量%)、比較例用。
(注12)表中「−」は塗膜の外観が×のため、評価することができなかった。
(注13)架橋剤No.1:スミジュール N3300、商品名、住友バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物、固形分含有率100%、
(注14)架橋剤No.2:サイメル303、商品名、日本サイテックインダストリー社製、メチル化メラミン樹脂、固形分含有率100%。
(注15)NACURE 5543:商品名、KING INDUSTRIES社製、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩、固形分含有率35%、触媒。
<塗膜性能>
(注16)仕上り性:
各試験板について下記外観(目視評価)と光沢度測定により仕上り性を評価した。
<外観(目視)>
各試験板を目視にて観察し、塗膜に白濁(透明性)とゆず肌がないかを確認し、下記基準で評価した。
○:塗膜に白濁、ゆず肌は認められない
×:塗膜に白濁、又はゆず肌が認められる
<光沢度>
各試験板のJIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度(20度)に準じて各塗面の光沢度を測定した。目安として、20度光沢値の値が86以上であれば、仕上り外観(光沢)は良好である。
(注17)耐擦傷性:
ルーフにニチバン社製耐水テープにて試験板を貼りつけた自動車を、20℃の条件下、洗車機で2回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する試験後の光沢度を光沢保持率(%)として求め、下記基準により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦傷性が良好であることを表わす。洗車機は、ヤスイ産業社製「PO20 FWRC」を用いた。
○:光沢保持率90%以上
△:光沢保持率80%以上90%未満
×:光沢保持率80%未満。
Figure 2013249400

Claims (11)

  1. 加水分解性シラン化合物(a)により表面が修飾されたシリカ粒子(A)及び
    バインダー成分(B)を含有することを特徴とする塗料組成物であって、
    加水分解性シラン化合物(a)が下記一般式(I)
    Figure 2013249400
    [式(I)中、X、X及びXは加水分解性シリル基又は水酸基を示し、これらのうち少なくとも1つは加水分解性シリル基であり、R、R及びRは同一、又は異なって2価の有機基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物(a−i)、及び下記一般式(II)
    Figure 2013249400
    [式(II)中、Rは炭素数1〜18の1価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]で表されるイソシアヌレート環構造を有さない加水分解性シラン化合物(a−ii)を含むことを特徴とする塗料組成物。
  2. 加水分解性シラン化合物(a−i)が、
    下記一般式(III)で表される化合物及び/又は下記一般式(IV)で表される化合物
    Figure 2013249400
    [式(III)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRは前記と同じである。]
    Figure 2013249400
    [式(IV)中、Rは同一、又は異なって炭素数が2〜11の2価の炭化水素基を示す。mは同一、又は異なって0〜5の整数を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]であるイソシアヌレート環構造を有する加水分解性シラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記一般式(IV)で表される化合物が、下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物、及び/又は下記一般式(V)で表される化合物と、下記一般式(VI)で表される化合物と、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料組成物。
    Figure 2013249400
    [式(V)中、Rは同一、又は異なって炭素数2〜11の2価の炭化水素基を示す。]
    Figure 2013249400
    [式(VI)中、Zは炭素原子数2〜14の2価の飽和炭化水素基を示す。]
    Figure 2013249400
    [式(VII)中、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示す。R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。]
  4. 加水分解性シラン化合物(a−i)と加水分解性シラン化合物(a−ii)の含有比は、加水分解性シラン化合物(a−i)/加水分解性シラン化合物(a−ii)=0.05〜5.0(質量比)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  5. 表面が修飾されたシリカ粒子(A)がシリカ微粒子(s)と加水分解性シラン化合物(a)とを反応させて得られるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  6. シリカ微粒子(s)の平均一次粒子径が、1〜50nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  7. 加水分解性シラン化合物(a)の固形分配合量が、シリカ微粒子(s)100質量部を基準に、1〜55質量部であることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  8. バインダー成分(B)が、水酸基含有樹脂(B−i)と架橋剤(B−ii)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  9. 表面が修飾されたシリカ粒子(A)の固形分含有率が、バインダー成分(B)の全樹脂固形分に対して、1〜200質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  10. 上塗りクリヤトップコート用塗料組成物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装して得られる塗装物品。
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