JP2013246300A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着装置の各温度センサーを順次参照する時間間隔を短くすることなく、異常発熱の検出精度を向上させる。
【解決手段】抵抗発熱体層を発熱源とし、周回走行する無端状の発熱ベルトの外周面の発熱領域に記録シートを通紙して未定着画像を熱定着させ、全体の検出範囲が、前記外周面の発熱領域の軸方向全域に及ぶ複数の温度センサーを用いて、抵抗発熱体層の異常発熱を検知する定着装置であって、一定時間毎に前記複数の何れか1つの温度センサーの検出範囲の発熱領域における温度を参照して前記異常発熱の有無を監視し(S703)、前記各温度センサーの検出範囲の発熱領域について、異常発熱が起こりやすいか否かの判定をし(S710)、所定期間の間、異常発熱が起こりやすいと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度の方が、そうでないと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度より高くなるように、温度参照動作の制御をする(S713)。
【選択図】図7

Description

本発明は、プリンター、複写機等の定着装置を備える画像形成装置に関し、特に抵抗発熱体層を発熱源とする発熱ベルトを用いて未定着画像を熱定着させる定着装置において、温度センサーを用いて抵抗発熱体層の異常発熱を検出する技術に関する。
近年、定着装置の省エネルギー化や加熱スピードの高速化を図るため、プリンター、複写機等の画像形成装置の定着装置として、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を発熱源とし、周回走行する無端状の発熱ベルトを用いて記録シート上の未定着画像を熱定着させる定着装置が提案されている。
この発熱ベルトを用いると、熱容量を小さくすることができるとともに、発熱源から記録シートまでの距離を短くすることができ、発熱源からの伝熱効率を高めることができる。その結果、定着装置の消費電力を少なくし、定着装置のウォームアップに要する加熱時間を短縮化することができる。
この発熱ベルトに用いる抵抗発熱体層は、耐熱性樹脂等の絶縁性材料中に金属等の導電性材料を分散させて構成され、感電を防止するため絶縁層で被覆されているのが一般的である。この絶縁層の厚さは数百μm程度と薄く、記録シートの通紙による発熱ベルトの磨耗や外部から混入した異物(例えば、再使用用の用紙において、除去し忘れられたホッチキス針)等との接触により、絶縁層に傷が生じる場合がある。当該傷は、絶縁層の全ての領域で生じる可能性が有り、当該傷が生じる箇所を予測することは難しい。
そして、当該傷が抵抗発熱体層にまで広がると、当該傷の端部周辺で局所的に電流密度が高まり、抵抗発熱体層の内、電流密度が高まった部分が、高温に異常発熱することになる。
この異常発熱を放置しておくと、定着装置だけでなく、周辺の装置や部品にも異常発熱による熱損傷が広がるため、異常発熱を早期に検出し、定着装置への通電を遮断する等の措置を講じて定着装置やその周辺の装置等の熱損傷がひどくならないようにする必要がある。
そして、異常発熱は、抵抗発熱体層のすべての領域において発生する可能性があるとともに、局所的に発生するため、異常発熱が発生しても、その周辺部以外の領域の温度はほとんど変化しない。このため、1個の温度検出素子(温度センサー)だけでは、検出範囲が狭く、すべての領域において発生し得る異常発熱を検出することは困難である。
従って、このような定着装置には、抵抗発熱体層の全ての領域において発生する可能性のある異常発熱を精度よく検出できるように、その全体の検出範囲が発熱ベルトの外周面上の、抵抗発熱体層によって発熱する発熱領域の軸方向全域に及ぶ、複数個(例えば、8個)の温度検出素子(温度センサー)が設けられている。
上記の温度検出素子の構成においては、各温度センサーからその検出範囲の発熱領域の温度に応じた電圧が、定着装置が備えるCPUへ出力され、当該CPUによって当該電圧について演算処理が実行されて温度に換算されることにより、発熱領域の軸方向全域の温度が取得され、監視される。CPUの演算処理の対象となる温度センサーの出力電圧の参照は、マルチプレクサ等の選択手段を用いて、一定時間毎に所定の順序で順次、出力電圧を参照すべき温度センサーを1つ選択することにより行われる。
これにより、発熱ベルトの発熱領域の軸方向全域の温度が、複数の温度センサーを用いて監視され、発熱ベルトが1周回する間に、温度センサー毎に、検出範囲内の周方向の温度が、CPUによって一定周期で複数回、取得される。そして、何れかの温度センサーの検出範囲内において異常発熱が発生した場合に、そのことを、当該検出範囲内における異常発熱が発生した部分とそうでない部分との間に生じる周方向の温度差として検出することができる。
特開2011―248116号公報
上記のように、選択手段を用いて、CPUの演算処理の対象となる温度センサーの出力電圧を、一定時間毎に所定の順序で順次参照して発熱領域の軸方向全域の温度を監視する場合、同一の温度センサーからの出力電圧が参照される参照周期は、CPUの演算処理速度によって制約される。すなわち、CPUの演算処理速度が遅くなる程、各温度センサーからの出力電圧を順次参照する時間間隔が長くなり、その結果、参照周期が長くなり、その分、温度センサーの検出範囲において異常発熱が発生した場合に、その検出が遅延し、異常発熱の検出精度が低下してしまう。
一方、CPUの演算処理を高速化すると、各温度センサーからの出力電圧を順次参照する時間間隔が短くなり、その結果、参照周期を短くすることができ、その分、温度センサーの検出範囲において異常発熱が発生した場合に、その検出を早くすることができ、異常発熱の検出精度を向上させることができるが、演算処理を高速化するために高性能のCPUを用いると製造コストが高くなってしまうという問題が生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、定着装置の各温度センサーの温度を順次参照する時間間隔を短くすることなく、異常発熱の検出精度を向上させることが可能な定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る定着装置は、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を発熱源とし、周回走行する無端状の発熱ベルトの外周面の発熱領域に記録シートを通紙して未定着画像を熱定着させ、全体の検出範囲が、前記外周面の発熱領域の軸方向全域に及ぶ複数の温度センサーを用いて、前記抵抗発熱体層の異常発熱を検知する定着装置であって、一定時間毎に前記複数の何れか1つの温度センサーの検出範囲の発熱領域における温度を参照して参照結果に基づいて前記異常発熱の有無を監視する監視手段と、前記各温度センサーの検出範囲の発熱領域について、異常発熱が起こりやすいか否かの判定をする判定手段と、所定期間の間、異常発熱が起こりやすいと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度の方が、そうでないと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度より高くなるように、前記監視手段による参照動作の制御をする制御手段と、を備える。
ここで、前記監視手段は、監視動作開始後、所定時間の間、前記複数の各温度センサーについて、一定時間毎に順次当該温度センサーの前記温度を参照して前記各温度センサーについて複数回、前記温度を参照し、前記判定手段は、前記所定時間の間に前記複数の各温度センサーについて参照された、当該温度センサーの前記温度の最高温度と最低温度との温度差によって前記判定をすることとすることができる。
又、前記判定手段は、前記複数の各温度センサーの検出範囲における発熱領域が、記録シートが通紙される領域に相当するか否かによって前記判定をし、記録シートが通紙される領域に相当する場合に、異常発熱が起こりやすいと判定する
こととすることができる。
又、前記制御手段は、前記所定期間の間、異常発熱が起こりやすくないと判定された温度センサーの前記温度を、前記監視手段の参照対象から除外することにより、前記制御をすることとすることができる。
又、前記制御手段は、前記所定期間の間における、異常発熱が起こりやすいと判定された温度センサーの前記温度の参照回数が、そうでないと判定された温度センサーの前記温度の参照回数よりも多くなるように前記制御をすることとすることができる。
又、本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える画像形成装置とすることができる。
上記構成を備えることにより、各温度センサーが検出範囲とする発熱領域について、異常発熱の起こりやすさが判定され、温度センサーの温度を参照する時間間隔を一定に保ちつつ、異常発熱が起こりやすい温度センサーの温度の参照頻度の方が、そうでない温度センサーの温度の参照頻度よりも高くなるように制御されるので、温度センサーの温度を参照する時間間隔を短縮化できないような場合であっても、異常発熱が起こりやすい温度センサーの検出範囲においては温度の参照回数を増やすことができ、その分、異常発熱の検出精度を高めることができる。
プリンターの構成を示す図である。 定着装置の主要部の構成を示す斜視図である。 発熱ベルト51の詳細な構成を示す断面図である。 赤外線センサー54と定着制御部50との関係を示すブロック図である。 制御部60の構成と制御部60による制御対象となる主要構成要素との関係を示す図である。 各温度検出素子における、出力参照回数とΔtとの関係を示すグラフである。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作を示すフローチャートの一部である。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作を示すフローチャートの別の一部である。 温度検出素子の選択順を示す選択テーブルの具体例を示す。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の変形例を示すフローチャートの一部である。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の変形例を示すフローチャートの別の一部である。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の別の変形例を示すフローチャートの一部である。 定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の別の変形例を示すフローチャートの別の一部である。
(実施の形態)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンターの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンターの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンターの構成を示す図である。同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
プリンター1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、2次転写ローラー45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、1次転写ローラー34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラー12と従動ローラー13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。又、従動ローラー13の近傍には、中間転写ベルト上に残留するトナーを除去するためのクリーナー14が配置されている。
露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラー(図1では、作像部3Yに対応する一次転写ローラーのみ符号34Yを付し、他の1次転写ローラーについては、符号を省略している。)により、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、2次転写ローラー45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。トナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラー71により排紙トレイ72に排出される。
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートを2次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラー44などを備えている。給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。
記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHP(Over
Head Projector)シートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複
数ある場合には、異なる大きさ又は厚さ又は材質の記録シートを複数の給紙カセ
ットに収納することとしてもよい。
繰り出しローラー42、タイミングローラー44等の各ローラーは、搬送モーター(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モーターとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモーターが使用される。記録シートは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から2次転写位置46に搬送され、2次転写ローラー45により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置の主要部の構成を示す斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、発熱ベルト51と、定着ローラー52と、加圧ローラー53と、発熱ベルト51(後述する抵抗発熱体層513)の両端部に電圧を印加して通電させる電源部500と、発熱ベルト51(後述する電極511、512)に給電するための給電部材501、502と、赤外線センサー54等を有する。定着装置5の全体動作は、後述する定着制御部50によって制御される。
発熱ベルト51は、周回走行する無端状のベルトであり、その両端部に給電用の電極511、512が設けられ、両電極には電源部500から給電部材501、502を介して電圧が印加され、給電が行われる。給電部材としては、例えば、給電ブラシや給電ローラーを用いることができる。給電部材からの給電により、両電極間に電流が流れて、発熱ベルト51がジュール発熱する。
図3は、発熱ベルト51の詳細な構成を示す断面図である。同図に示すように、符号301で示す画像領域においては、発熱ベルト51は、抵抗発熱体層513、補強層514、弾性層515、離型層516が、この順に積層されて構成されている。ここで、「画像領域301」は、記録シート上の画像が通紙される範囲に対応する発熱ベルト51上の軸方向の領域を示す。なお、図2に示す画像領域についても同様である。
抵抗発熱体層513は、電源部500から電極511、512を通じて給電されることにより、ジュール熱を発熱する層である。抵抗発熱体層513は、耐熱性樹脂中に、繊維状、針状又はフレーク状の導電性フィラーが軸方向に配向するように分散されて構成されている。
抵抗発熱体層513に用いる耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル-イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ-p-キシリレノン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂等を用いることができる。その中でも、ポリイミド樹脂は、耐熱性、絶縁性及び機械的強度等に優れた特性を示すので、ポリイミド樹脂を用いるのが望ましい。
導電性フィラーとしては、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等の金属、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル等を用いることができ、2種類以上の導電性フィラー(例えば、カーボンナノ材料と金属)を用いることとしてもよい。
導電性フィラーの形状は、同一含有量で導電性フィラー同士が線状に絡み合い、互いに接触しやすくして、接触確率を高めるため、繊維状、針状又はフレーク状の形状が望ましい。これにより、均一な電気抵抗を有する抵抗発熱体層513を成型することができる。
抵抗発熱体層513の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。抵抗発熱体層513の体積抵抗率は、1.0×10-6〜1.0×10-2Ω・m程度の範囲に設定することができるが、当該体積抵抗率は、1.0×10-5〜5.0×10-3Ω・mの範囲内であることが望ましい。
補強層514は、抵抗発熱体層513の強度を補強するための層であり、例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。補強層514の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。弾性層515は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層515を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層515の材料としては、耐熱性と弾性とを有するゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを材料として用いることができる。
弾性層515の厚さは、10〜800μm、さらに望ましくは50〜300μmの範囲内のものとする。弾性層515の厚さが10μm未満では厚さ方向の十分な弾力性を得ることが難しい。また、この厚さが800μmを超えていると、抵抗発熱体層513で発生した熱を発熱ベルト51の外周面まで到達させることが難しく、伝熱効率が悪いので好ましくない。
離型層516は、発熱ベルト51の最外層をなし,発熱ベルト51と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層516の材料としては、定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。離型層516の厚さは5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。
一方、図3の符号302a、302bで示す両端部の非画像領域においては、発熱ベルト51は、符号303a、303bで示す露出領域と、符号304a、304bで示す重複領域とから構成されている。ここで、「非画像領域302a、302b」は、記録シート上の画像が通紙されない範囲に対応する発熱ベルト51上の軸方向の領域を示す。図2に示す非画像領域についても同様である。
露出領域303a、303bにおいては、電極511、512がそれぞれ単層で露出し、重複領域304a、304bにおいては、電極511、512がそれぞれ抵抗発熱体層513で被覆され、電極511と抵抗発熱体層513との両層、電極512と抵抗発熱体層513との両層がそれぞれ、重なり合って重複するように構成されている。さらに、両層の上に補強層514、弾性層515、離型層516が、この順に積層されている。発熱ベルト51における画像領域301と重複領域304a、304bを合わせた領域(図3の両矢印で示す領域)が抵抗発熱体層531によりジュール発熱する発熱領域を構成する。
電極511、512は、導電性の材料から構成される。電極の材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ステンレス(SUS)、真鍮、リン青銅等の金属を用いることができるが、体積抵抗率が低く、耐熱性、対酸化性に優れたニッケル、ステンレス、アルミニウム等の使用が望ましい。電極の厚さは、厚い方が、剛性が高く、破壊に対して抵抗力が高いが、加圧部材により形成される定着ニップ部において変形し難くなるため、柔軟性とのバランスを考慮すると、10〜100μm、更には30〜70μm程度が望ましい。
図2の説明に戻って、給電部材501及び502には、給電部材を発熱ベルト51の周回経路内側の方向に押圧する付勢部材5011、5021がそれぞれ設けられている。付勢部材としては、例えば、圧縮ばねを用いることができる。付勢部材5011、5021の押圧力により、給電部材が露出領域において電極に圧接される。
定着ローラー52と加圧ローラー53は、芯金522、532の軸方向両端部521、531が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。加圧ローラー53は、駆動モーター(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラー53の回転に伴って発熱ベルト51と定着ローラー52が矢印A方向に従動回転する。なお、加圧ローラー53を回転駆動させる駆動モーターの駆動は、後述する定着制御部50によって制御される。
定着ローラー52は、長尺で円筒状の芯金522の周囲を断熱層523で被覆されてなり、発熱ベルト51の周回経路の内側に配され、軸方向の長さが、発熱ベルト51の両端部の露出領域において電極511、512がそれぞれ対応する給電部材と圧接する圧接位置間の軸方向の長さより長くなるように構成されている。芯金522は、定着ローラー52を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金522の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
断熱層523は、発熱ベルト51が発熱した熱を芯金522に逃がさないようにするための層である。断熱層523の材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いるのが望ましい。発熱ベルト51のたわみを許容し、ニップ幅を広くすることができるからである。断熱層523を、ソリッド体とスポンジ体との2層構造にしてもよい。シリコンスポンジ材を断熱層523として用いる場合には、その厚さを1〜10mmとするのが望ましい。さらに望ましくは、2〜7mmとするのがよい。
加圧ローラー53は、円筒状の芯金532の周囲に、弾性層533を介して離型層534が積層されてなり、発熱ベルト51の周回経路外側に配置され、発熱ベルト51の外側から発熱ベルト51の外周面を介して定着ローラー52を押圧して、発熱ベルト51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップ領域が形成される。
芯金532は、加圧ローラー53を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金532の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。弾性層533は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。離型層534は、離型層516と同様に、加圧ローラー53と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層516と同様の材料及び厚さで構成することができる。
赤外線センサー54は、発熱ベルト51の外周面と非接触に対向するように配置され、発熱ベルト51の外周面の表面温度を検出し、検出結果を後述する定着制御部50に出力する。具体的には、赤外線センサー54は、発熱ベルト51の外周面の発熱領域(以下、「発熱領域」という。)から発生する赤外線を受光し、受光した赤外線の量に応じた電圧を定着制御部50のCPUに出力する。そして、当該CPUにおいて演算処理が実行され、赤外線センサー54から入力された電圧が温度に換算される。
図4は、赤外線センサー54と定着制御部50との関係を示すブロック図である。同図の符号54は、赤外線センサーを、符号55は、出力素子選択部を、符号50は、定着制御部をそれぞれ表す。
同図に示すように、赤外線センサー54は、それぞれが、発熱領域上における対応する測定視野の範囲から発生する赤外線を受光し、受光量に応じた電圧を出力することにより、当該測定視野範囲の温度を検出する温度センサーとして機能する温度検出素子541〜548を備えている。各測定視野範囲は全体で発熱領域の軸方向(長手方向)の全域に及び、発熱領域以外の領域に及ばないように、各温度検出素子の傾き等が調整されている。
これにより、発熱ベルト51が周回を繰り返す間に発熱領域の全域の温度を監視することが可能となり、発熱ベルトが周回する間に、温度検出素子毎に、発熱領域上における測定視野範囲内の周方向の温度を、複数回、取得することが可能となる。そして、当該温度検出素子の周方向の温度変化を検出することにより、異常発熱を検出することができる。
なお、図示していないが、赤外線センサー54には発熱ベルト51の発熱領域から発生する赤外線を受光し、受光した赤外線を各温度検出素子に導く集光レンズや、各温度検出素子が受光した赤外線の量に応じて出力する出力信号を増幅する増幅器等が含まれる。
出力素子選択部55は、マルチプレクサ等から構成され、赤外線センサー54の温度検出素子541〜548の内、定着制御部50のCPUへ出力電圧を出力すべき温度検出素子を、定着制御部50からの選択指示に応じて選択し、選択した温度検出素子の出力電圧を定着制御部50のCPUに入力する。
定着制御部50は、所謂コンピュータであって、CPU、ROM、RAM等から構成され、RAM上に図9(a)に示す温度検出素子541〜548の選択順を示す選択テーブルを作成し、当該選択テーブルの示す選択順序に従って、出力素子選択部55に対し、出力電圧を出力すべき温度検出素子の選択を指示し、選択指示した温度検出素子から出力される出力電圧を参照し、当該出力電圧について演算処理を実行して温度に換算する。
なお、上記の選択順序に従った温度検出素子の選択は、選択テーブルの温度検出素子の選択が一巡する毎に、選択順序が1番の温度検出素子に戻って当該選択順序に従った温度検出素子の選択を繰り返すものとする。
又、定着制御部50は、後述する温度検出素子の参照頻度制御処理を実行することにより、定着装置5が駆動している間、赤外線センサー54の温度検出素子541〜548が出力する各測定視野範囲における出力電圧を一定時間間隔(例えば、20ミリ秒間隔)で参照し、演算処理により温度に換算して各測定視野範囲における温度を監視することにより、発熱ベルト51の抵抗発熱体層513の異常発熱を検出する。
さらに、定着制御部50は、加圧ローラー53の駆動モーターの駆動を制御することにより、発熱ベルト51、定着ローラー52及び加圧ローラー53の回転駆動を制御したり、発熱ベルト51の抵抗発熱体層513へ電源を供給する電源部500の電源のオン・オフを制御することにより、発熱ベルト51の発熱領域の表面温度が、熱定着が可能な目標温度(例えば、180℃)になるように制御したりすることによって、定着装置5の全体の動作を制御する。
[3]制御部の構成
図5は、制御部60の構成と制御部60による制御対象となる主要構成要素との関係を示す図である。制御部60は、所謂コンピュータであって、同図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、画像データ記憶部605、閾値記憶部606、警告メッセージ記憶部607などを備える。
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。ROM603には、画像プロセス部3、給紙部4、定着制御部50、操作パネル7、画像読取部8等を制御するためのプログラムなどが格納されている。
RAM604は、CPU601のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
画像データ記憶部605は、通信I/F部602や画像読取部8を介して入力された、印刷用の画像データを記憶している。閾値記憶部606は、後述する温度検出素子の参照頻度制御処理において用いられる各種の閾値を記憶している。
具体的には、各温度検出素子についての検出温度の最大値と最小値を検出するのに要する、当該温度検出素子からの出力参照回数の閾値(以下、「出力基準値」という。)と、当該最大値と当該最小値の差(Δt)の閾値であって、当該温度検出素子の測定視野範囲において異常発熱が発生しているか否かの判定基準となる値(以下、「上限値」という)とを記憶している。
図6は、各温度検出素子における、出力参照回数とΔtとの関係を示すグラフである。同図のグラフは、定着装置5を用いて、印刷速度45枚/秒、定着温度180℃の条件で印刷ジョブを実行した場合における、温度検出素子541〜548の各温度検出素子からの出力電圧の参照回数(以下、「出力参照回数」という。)とΔtとの関係を示す。
同図の符号61は、温度検出素子541についての両者の関係を示し、同図の符号62は、温度検出素子542についての両者の関係を示し、同図の符号63は、温度検出素子543についての両者の関係を示し、同図の符号64は、温度検出素子544についての両者の関係を示す。
又、同図の符号65は、温度検出素子545についての両者の関係を示し、同図の符号66は、温度検出素子546についての両者の関係を示し、同図の符号67は、温度検出素子547についての両者の関係を示し、同図の符号68は、温度検出素子548についての両者の関係を示す。
同図において、各温度検出素子からの出力電圧の参照は、当該温度検出素子の識別番号の昇順(541、542、543・・・、548の順)に20ミリ秒間隔で行われ、同じ識別番号の温度検出素子からの出力電圧の参照が、160ミリ秒間隔で繰り返されるように、各温度検出素子からの出力電圧の参照が行われた。
なお、ここでは、異常発熱があった場合となかった場合とでΔtの変化の仕方を比較するため、温度検出素子542の測定視野範囲内の発熱領域には、所定のサイズの傷が形成されている。
同図に示すように、傷が形成された発熱領域を測定視野範囲内に含む温度検出素子542におけるΔtは、出力参照回数が3回以上になると、傷が形成されていない発熱ベルト51の発熱領域を測定視野範囲とする他の温度検出素子におけるΔtよりも値が大きくなっている。
すなわち、温度検出素子542におけるΔtは、出力参照回数が3回の時点においてΔtが9℃に達して最も大きくなり、その後、出力参照回数が8回の時点において、15℃に達しているのに対し、他の温度検出素子におけるΔtは、出力参照回数が3回の時点においてΔtが4℃以下、出力参照回数が8回の時点において5℃以下であり、出力参照回数が40回に達してもΔtは、10℃以下である。
このように、測定視野範囲内の発熱領域に傷があり、異常発熱が起こっている場合には、当該測定視野範囲を温度検出範囲とする温度検出素子におけるΔtが、他の温度検出素子におけるΔtよりも大きくなるので、各温度検出素子における出力参照回数が出力基準値(例えば、出力基準値として3回〜8回の範囲内の回数を用いることができる。)に達した時の各温度検出素子のΔtを比較して、当該温度検出素子の測定視野範囲における異常発熱の起こりやすさを判定(Δtが大きいほど異常発熱が起こりやすいと判定し、Δtが小さいほど異常発熱が起こりにくいと判定)することができる。
又、各温度検出素子のΔtが上限値(上限値としては、例えば、15℃を用いることができる。)を超える否かにより、当該温度検出素子の測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が発生しているか否かを判定することができる。
警告メッセージ記憶部607は、警告メッセージの元データを記憶している。後述する温度検出素子の参照頻度制御処理において、異常発熱の発生が検出された場合に、当該元データに基づく警告メッセージ(例えば、定着装置が異常発熱しています。サービスマンに連絡して点検して下さい。」という旨の警告メッセージ)が操作パネル7を介して表示される。
図5の説明に戻って、CPU601は、ROM603に格納されている各種プログラムを実行することにより、画像プロセス部3、給紙部4、定着制御部50、操作パネル7、画像読取部8等を制御する。CPU601は、定着制御部50と互いに通信可能なように構成され、定着制御部50を介して定着装置5を制御する。
[4]温度検出素子の参照頻度制御処理
図7、図8は、定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作を示すフローチャートである。定着制御部50は、定着装置5を起動させた後、出力電圧の参照対象となる温度検出素子の総数を示す変数であるSを、赤外線センサー54の全ての温度検出素子数を示す初期値S0(ここでは、8とする。)に設定し、各温度検出素子(温度検出素子541〜548の各温度検出素子)の出力参照回数を示す出力参照カウント値を0に初期化する(ステップS701)。
次に定着制御部60は、後述するステップS711において、除外対象となった温度検出素子をRAM上に作成した選択テーブルから削除した後の選択テーブルの示す選択順序に従って、出力素子選択部55を介して出力電圧を参照すべき温度検出素子を一定時間(ここでは、20ミリ秒とする。)毎に順次選択する(ステップS702)。例えば、ステップS711において温度検出素子546が除外対象となった場合には、図9(b)に示すように温度検出素子546が選択テーブルから削除され、削除後の選択テーブルの示す順序(温度検出素子541、542、543、544、545、547、548の順序に)従って、出力素子選択部55を介して出力電圧を参照すべき温度検出素子を一定時間毎に順次選択する。
これにより、除外対象とならなかった各温度検出素子についての参照周期が短くなる。例えば、図8(a)に示すように、除外対象となる温度検出素子がない場合には、同一の温度検出素子が参照される参照周期が、140ミリ秒(20×8=160ミリ秒)であるのに対し、温度検出素子546が除外対象となった場合には、当該参照周期が、140ミリ秒(20×7=140ミリ秒)となり、除外対象とならなかった温度検出素子(温度検出素子541〜545、547、548の各温度検出素子)についての参照周期が短くなる。
なお、ステップS702において、除外対象となる温度検出素子が無い場合には、RAM上に作成した選択テーブル(図9(a)の選択テーブル)の示す選択順序に従ってS0個の全ての温度検出素子について、出力素子選択部55を介して出力電圧を参照すべき温度検出素子を一定時間毎に順次選択する。
次に、定着制御部50は、順次選択した温度検出素子の出力電圧を参照し、当該出力電圧について演算処理を行って当該温度検出素子の温度値を算出し(ステップS703)、出力電圧を参照した温度検出素子についての出力参照カウント値を1カウントずつカウントアップし(ステップS704)、後述するステップS711において除外対象となっていないS個の各温度検出素子についての出力参照カウント値が全て閾値記憶部606に記憶されている出力基準値に到達しているか否かの判定を行う(ステップS705)。
そして、出力基準値に到達している場合に(ステップS705:YES)、定着制御部60は、後述するステップS711において除外対象となった温度検出素子を除く、S個の各温度検出素子毎に、算出した温度値の最大値と最小値の差(Δt)を算出して、算出したΔtの最小値(Δtmin)を決定し(ステップS706)、算出した各Δtと、閾値記憶部606に記憶されている上限値とを比較し(ステップS707)、Δtが上限値を超える温度検出素子が有るか否かを判定する(ステップS708)。
上限値を超える温度検出素子が無い場合には(ステップS708:NO)、定着制御部50は、算出した各Δtと、決定したΔtminとを比較し(ステップS709)、当該ΔtがΔtminと等しい場合に(ステップS710:YES)、当該温度検出素子を、当該測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりにくい温度検出素子として選択テーブルから除外し(ステップS711)、両者の比較処理が終了すると(ステップS712:YES)、変数Sを、除外した数だけ減算した値に設定する(ステップS713)。
そして、Sが0でない場合には(ステップS714:NO)、定着制御部50は、定着装置5が駆動している間(ステップS715:NO)、ステップS702の処理に移行する。
ステップS714においてSが0の場合には(ステップS714:YES)、ステップS711において選択テーブルから除外した全ての温度検出素子について、除外を解除し、変数Sを初期値S0に設定した後(ステップS716)、S0個の各温度検出素子についての出力参照カウント値を0に初期化し(ステップS717)、ステップS702の処理に移行する。
又、ステップS708において、Δtが上限値を超える温度検出素子がある場合には(ステップS708:YES)、定着制御部50は、電源部500の電源をオフにし、定着装置5への給電を停止し(ステップS718)、さらに、制御部60を介して警告メッセージ記憶部607に記憶されている警告メッセージの元データを読出させて操作パネル7の液晶表示部に当該元データに基づく警告メッセージを表示させる(ステップS719)。
このように、各温度検出素子における出力参照回数が出力基準値に達すると、各温度検出素子についてそれまでに算出された温度値の最大値と最小値の差(Δt)が算出され、Δtが最小で、当該温度検出素子の測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりにくいと判定される温度検出素子が、出力電圧の参照対象から順次除かれるので、CPUにより一定時間毎に各温度検出素子の出力電圧の参照とその演算処理が行われて各温度検出素子の検出温度の監視が行われる定着装置において、CPUの演算処理速度を変えることなく(各温度検出素子を順次参照する時間間隔を変えることなく)、異常発熱がより起こりやすい発熱領域を測定視野範囲とする温度検出素子の出力電圧の参照頻度を高めることができ、その結果、全ての温度検出素子の出力電圧を均等に順次参照する場合に比べ、異常発熱の検出精度を高めることができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)本実施の形態の温度検出素子の参照頻度制御処理では、各温度検出素子の測定視野範囲内、当該測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりにくいと判定される温度検出素子からの出力電圧の参照を除外することにより、異常発熱がより起こりやすい発熱領域を測定視野範囲とする温度検出素子の出力電圧の参照頻度を高めることとしたが、当該測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりやすいと判定される温度検出素子の出力電圧の参照を余分に追加することにより、異常発熱がより起こりやすい発熱領域を測定視野範囲とする温度検出素子の出力電圧の参照頻度を高めることとしてもよい。
図10、図11は、上記の場合に定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の変形例を示すフローチャートである。図7、図8に示す本実施の形態の温度検出素子の参照頻度制御処理の動作と同一の処理内容のステップについては、本実施の形態のステップ番号と同一の番号を付与して説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
定着制御部50は、ステップS701〜ステップS705の処理を行った後、出力電圧の参照対象となっている、S個の各温度検出素子毎に、算出した温度値の最大値と最小値の差(Δt)を算出した後(ステップS901)、ステップS707、ステップS708の処理を行い、ステップS708の判定結果が否定的である場合に(ステップS708:NO)、算出した各Δtと、当該温度検出素子の測定視野範囲において異常発熱が起こりやすいか否かの判定基準となる値である下限値とを比較する(ステップS902)。
ここで、下限値としては、上限値よりも小さい値であって、出力参照カウント値が出力基準値に達した時点において、測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱がない場合にとり得るΔtの最大値以上の値に設定することができる。例えば、図6に示すグラフに基づいて、下限値を5℃以上で、15℃よりも小さい値(例えば、7℃)に設定することができる。
Δtが下限値を超える温度検出素子が有る場合に(ステップS903:YES)、定着制御部50は、当該温度検出素子の測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりやすいと判定して、選択テーブルにおいて、Δtが下限値を超えた温度検出素子の選択を所定の選択順序で割り込み追加する(ステップS904)。
所定の選択順序(k)は、以下の式により決定するものとする。なお、[]は、ガウスを表す記号である。
k=(Δtが下限値を超えた温度検出素子の選択順序)+[(赤外線センサー54の全ての温度検出素子数S0)/(割り込み追加数+1)]
例えば、割り込み追加数が1つで、Δtが下限値を超えた温度検出素子が、割り込み追加がない場合の選択順序が2番目の温度検出素子542である場合、kの値は6となり、図9(c)に示すように、選択テーブルにおいて、割り込み追加がない場合の選択順序が6番目の温度検出素子546の選択の前に、温度検出素子542の選択が、選択順序が6番目になるように新たに割り込み追加され、温度検出素子546の選択順序は、7番目に繰り下げられる。同図において、Δtが下限値を超えた温度検出素子542を、他の温度検出素子と区別して表すため、ハッチングで示している。
又、割り込み追加数が1つでkの値が8を超える場合、例えば、Δtが下限値を超えた温度検出素子が、割り込み追加がない場合の選択順序が6番目の温度検出素子546であって、上記の式によりkの値は10となる場合、選択テーブルの全ての温度検出素子の選択が一巡した後(選択順序が1〜8の温度検出素子の選択が一巡した後、選択順序が1番目の温度検出素子541の選択後、割り込み追加がない場合の選択順序が2番目の温度検出素子542の選択の前に温度検出素子546の選択が新たに割り込み追加されるように、選択テーブルを図8(d)のように、作成し直す。同図において、Δtが下限値を超えた温度検出素子546を、他の温度検出素子と区別して表すため、ハッチングで示している。
又、割り込み追加数が複数の場合、例えば、Δtが下限値を超えた温度検出素子が、割り込み追加がない場合の選択順序が2と3の温度検出素子542、543である場合、前者のkの値は4、後者のkの値は5となるので、両者の各温度検出素子の選択が、選択テーブルにおいて選択順序が4番目、5番目となるように新たに割り込み追加され、これに伴い、選択テーブルにおいて、割り込み追加がない場合の選択順序が4番目〜8番目の各温度検出素子(温度検出素子544〜548))の選択順序が、2つずつ繰り下げられる。
ステップS904の処理を行った後、定着制御部50は、変数Sを、ステップS904の処理において、割り込み追加した数だけ加算した値に設定し(ステップS905)、変数Sの値が、追加上限値に達したか否かを判定する(ステップS906)。
ここで、「追加上限値」とは、ステップS903の処理において、Δtが下限値を超えた温度検出素子の選択の割り込み追加する数の上限を定めるために設けられた閾値のことをいい、S0から(2S0−1)の範囲の値を追加上限値として用いることができる。本実施の形態のように、S0の数が8の場合には、例えば、割り込み追加可能数を4として、追加上限値を12とすることができる。
(2)又、本実施の形態及び(1)の変形例では、各温度検出素子のΔtを用いて当該温度検出素子の測定視野範囲内の発熱領域における異常発熱の起こりやすさの判定をすることとしたが、印刷処理の実行中は、Δtを用いる代わりに温度検出素子が測定視野範囲とする発熱領域が記録シートの通紙範囲内か通紙範囲外かによって当該判定を行うこととしてもよい。
発熱領域の通紙領域の方が、非通紙領域よりも記録シートとの接触がある分だけ、磨耗が進行しやすく、発熱ベルト51の磨耗に起因する異常発熱が起こりやすくなるからである。
図12、図13は、印刷処理実行中に定着制御部50が行う温度検出素子の参照頻度制御処理の動作の変形例を示すフローチャートである。図7、図8に示す本実施の形態の温度検出素子の参照頻度制御処理の動作と同一の処理内容のステップについては、本実施の形態のステップ番号と同一の番号を付与して説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
定着制御部50は、ステップS701〜ステップS708の処理を行い、ステップS708の処理の判定結果が否定的である場合(ステップS708:NO)、定着制御部50は、制御部60と通信することにより、印刷処理実行中の記録シートの用紙サイズの情報を取得し、当該情報に基づいて印刷処理実行中の記録シートの用紙サイズを特定して記憶する(ステップS1001)。
制御部60は、操作パネル7や通信I/F部602から入力される印刷指示において指定される用紙サイズの情報を取得し、当該情報を定着制御部50に通知する。或いは、制御部60は、給紙部4や記録シートの搬送路上に用紙サイズを検出する用紙センサーを配置し、当該用紙センサーからの出力を取得することにより印刷処理実行中の記録シートの用紙サイズの情報を取得し、定着制御部50に通知することとしてもよい。
次に定着制御部50は、直前に記憶した記録シートの用紙サイズと、制御部60から取得した最新の用紙サイズの情報に基づいて特定した用紙サイズとを比較することにより、用紙サイズが変更されたか否かを判定する(ステップS1002)。なお、直前の用紙サイズが記憶されていない場合には、定着制御部50は、用紙サイズが変更されていないと判定するものとする。
ステップS1002において、用紙サイズが変更されていない場合には(ステップS1002:NO)、定着制御部50は、各温度検出素子について、測定視野範囲となる発熱領域が通紙領域外となるか否かを判定して当該発熱領域が通紙範囲外となる温度検出素子が有るか否かを判定する(ステップS1003)。具体的には、各温度検出素子の測定視野範囲と、当該測定視野範囲となる発熱領域が通紙範囲内となる用紙サイズとの関係を示す通紙範囲判定情報を予め定着制御部50のROMに記憶しておき、定着制御部50が当該通紙範囲判定情報を参照することにより、各温度検出素子について、特定した用紙サイズの記録シートが通紙された場合に、当該温度検出素子の測定視野範囲となる発熱領域が通紙領域外となるか否かを判定する。例えば、特定された用紙サイズがA4サイズであって、通紙範囲判定情報において、温度検出素子541の測定視野範囲となる発熱領域が通紙範囲内となる用紙サイズがA3、温度検出素子544の測定視野範囲となる発熱領域が通紙範囲内となる用紙サイズがA4、A3である場合には、温度検出素子541については、当該測定視野範囲の発熱領域は、通紙範囲外と判定され、温度検出素子544については、当該測定視野範囲の発熱領域は、通紙範囲内と判定される。
そして、定着制御部50は、ステップS1003の判定結果が肯定的である場合に(ステップS1003:YES)、その測定視野範囲の発熱領域が通紙範囲外であると判定された温度検出素子を全て、選択テーブルから除外し(ステップS1004)、変数Sを除外した温度検出素子の数だけ減算した値に設定し(ステップS1005)、ステップS702の処理に移行する。
ステップS1002において、用紙サイズが変更された場合には(ステップS1002:YES)、定着制御部50は、ステップS716、ステップS717の処理を行った後、ステップS702の処理に移行する。
このように、印刷処理実行中は、その測定視野範囲の発熱領域が通紙範囲外となり、当該測定視野範囲内の発熱領域において異常発熱が起こりにくい温度検出素子が出力参照対象から全て除かれるので、CPUにより一定時間毎に各温度検出素子の出力電圧の参照とその演算処理が行われて各温度検出素子の検出温度の監視が行われる定着装置において、CPUの演算処理速度を変えることなく(各温度検出素子を順次参照する時間間隔を変えることなく)、異常発熱がより起こりやすい、通紙範囲内の発熱領域を測定視野範囲とする温度検出素子の出力の参照頻度を高めることができ、その結果、全ての温度検出素子の出力を均等に順次参照する場合に比べ、異常発熱の検出精度を高めることができる。
(3)本実施の形態では、発熱ベルト51の発熱領域の温度検出に用いる温度センサーを赤外線センサーとしたが、本実施の形態が適用できる温度センサーは、その検出範囲が全体で、本実施の形態の赤外線センサー54の場合と同様に、発熱ベルト51の発熱領域の軸方向の全域に及ぶものであれば、赤外線センサーに限定されず、他の温度センサー、例えば、接触型のサーミスタ、非接触型のサーミスタであってもよい。
本発明は、プリンター、複写機等の定着装置を備える画像形成装置に関し、特に抵抗発熱体層を発熱源とする発熱ベルトを用いて未定着画像を熱定着させる定着装置において、温度センサーを用いて抵抗発熱体層の異常発熱を検出する技術として利用できる。
1 プリンター
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
7 操作パネル
8 画像読取部
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラー
13 従動ローラー
14、35Y クリーナー
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラー
35Y クリーナー
41 給紙カセット
42 繰り出しローラー
43 搬送路
44 タイミングローラー
45 2次転写ローラー
46 2次転写位置
50 定着制御部
51 発熱ベルト
52 定着ローラー
53 加圧ローラー
54 赤外線センサー
60 制御部
71 排出ローラー
72 排紙トレイ
500 電源部
501、502 給電部材
511、512 電極
513 抵抗発熱体層
514 絶縁層
515 弾性層
516 離型層

Claims (6)

  1. 通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を発熱源とし、周回走行する無端状の発熱ベルトの外周面の発熱領域に記録シートを通紙して未定着画像を熱定着させ、全体の検出範囲が、前記外周面の発熱領域の軸方向全域に及ぶ複数の温度センサーを用いて、前記抵抗発熱体層の異常発熱を検知する定着装置であって、
    一定時間毎に前記複数の何れか1つの温度センサーの検出範囲の発熱領域における温度を参照して参照結果に基づいて前記異常発熱の有無を監視する監視手段と、
    前記各温度センサーの検出範囲の発熱領域について、異常発熱が起こりやすいか否かの判定をする判定手段と、
    所定期間の間、異常発熱が起こりやすいと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度の方が、そうでないと判定された温度センサーの前記温度の参照頻度より高くなるように、前記監視手段による参照動作の制御をする制御手段と、
    を備えることを特徴とする定着装置。
  2. 前記監視手段は、監視動作開始後、所定時間の間、前記複数の各温度センサーについて、一定時間毎に順次当該温度センサーの前記温度を参照して前記各温度センサーについて複数回、前記温度を参照し、
    前記判定手段は、前記所定時間の間に前記複数の各温度センサーについて参照された、当該温度センサーの前記温度の最高温度と最低温度との温度差によって前記判定をする
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記判定手段は、前記複数の各温度センサーの検出範囲における発熱領域が、記録シートが通紙される領域に相当するか否かによって前記判定をし、記録シートが通紙される領域に相当する場合に、異常発熱が起こりやすいと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記制御手段は、前記所定期間の間、異常発熱が起こりやすくないと判定された温度センサーの前記温度を、前記監視手段の参照対象から除外することにより、前記制御をする
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の定着装置。
  5. 前記制御手段は、前記所定期間の間における、異常発熱が起こりやすいと判定された温度センサーの前記温度の参照回数が、そうでないと判定された温度センサーの前記温度の参照回数よりも多くなるように前記制御をする
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の定着装置。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の定着装置
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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