JP5803295B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような方式の定着装置は、記録シートに接触するベルト自体に熱源を持たせているので、熱効率が高く、低消費電力化やウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。
図13は、かかるベルトを用いた定着装置800の構成を示す概略斜視図である。
定着ベルト851は、その内部に抵抗発熱層855を含む円筒状の弾性変形可能なベルトであり、外周の幅方向(回転軸J方向)の両端部には、抵抗発熱層855に給電するための電極層D9a,D9bが形成されている。給電ローラー854a,854bは、定着ベルト851の電極層D9a,D9bに回転接触される。これにより、交流電源810の電力が、電極層D9a,D9bを経て抵抗発熱層855に供給されて、抵抗発熱層855がジュール発熱する。このときの抵抗発熱層855に供給された電流Iは、電極層D9a,D9b間を流れる(図13に示す矢印)。なお、電流Iの向きは周期的に逆転するので、図13には、ある一瞬における状態が例示されている。
そこで、例えば、定着ベルトの表面に沿って、回転軸方向に多数の温度センサーを列設し、定着ベルトを走行させて定着ベルトの表面温度を漏れなく検出するように構成し、検出された表面温度のうち、所定の閾値よりも高い温度があれば、そこに良好な定着を阻害するような大きな傷が発生していると判定することが考えられる(第1の構成)。
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、装置の大型化を招くことなく、定着ベルトの抵抗発熱体層における傷の発生を検出することができる定着装置および、当該定着装置を搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
定着ベルトの積層数が増えることにより従来よりも定着ベルトの厚みが若干増すが、定着ベルトの周辺に、多数の温度センサーを設置する場合や、1個の温度センサーを定着ベルトの幅方向に移動させる移動機構を設置する場合に比べて、定着装置が大型化することはない。
より好ましくは、線状パターンの電気抵抗値が、抵抗発熱体層の電気抵抗値の5〜200倍の範囲内に設定されているのがよい。
加熱回転体をその回転軸に直交する平面で切断した場合において、線状パターンにおける隣接する2つの単位パターンの、互いに遠い位置にある端縁から端縁までの周方向に沿った距離が、抵抗発熱層の全周長の30%以内となるように、所定の間隔の大きさが決定されているのが望ましい。
また、電流状態判定手段は、線状パターンに流れる電流のみを検出する電流検出手段を備え、当該電流検出手段の検出結果に基づき、電流状態を判定するようにすることが望ましい。
また、傷発生判定手段により抵抗発熱体層において傷が発生されていると判定された場合に、画像形成動作を停止するのがより望ましい。
以下、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態について、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という)を例にして図面に基づき説明する。
<プリンターの全体構成>
図1は、プリンターの構成を示す概略図である。
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部3Y,3M,3C,3K、光学部10、中間転写ベルト11などを備えている。
作像部3Yは、感光体ドラム31Y、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラー34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを備えており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。他の作像部3M〜3Kも、作像部3Yと同様の構成になっており、同図では符号を省略している。
光学部10は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザー光Hを発し、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査する。
各静電潜像は現像器33Y〜33Kにより現像されて、感光体ドラム31Y〜31K上にY〜K色のトナー像が作像される。
作像された各トナー像は、一次転写ローラー34Y〜34Kに印加された電圧による静電力により中間転写ベルト11上に一次転写される。この際、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト11の同じ位置に重ね合わせて転写されるように、作像部3Y,3M,3C,3Kにおける作像動作は、中間転写ベルト11の走行方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に一枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラー対44などを備えている。記録シートSは、中間転写ベルト11上のトナー像のタイミングに合わせて給紙部4から二次転写位置46に搬送される。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memroy)、通信インターフェースおよび制御プログラムなどからなり、画像プロセス部3、給紙部4および定着部5の動作を制御する。
<定着部の構成>
次に、定着部5の構成について、図2および図3を参照しながら説明する。
定着部5は、抵抗発熱体層を有する無端状の定着ベルト51と、定着ベルト51の内側に遊嵌された押圧ローラー52と、定着ベルト51の外側に配された加圧ローラー53と、第1の給電部材54a,54b、第2の給電部材55a,55bと、不図示の電流センサーとを備えている。定着部5では、加圧ローラー53が、定着ベルト51を介して押圧ローラー52に押圧されており、定着ベルト51と加圧ローラー53との間に定着ニップ部N(図3参照)が形成されている。
(押圧ローラー)
押圧ローラー52は、長尺で円柱状の芯金521の周囲に弾性層522が形成されてなる。
芯金521は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等からなり、その軸方向両端部に、定着部5の、不図示の筐体に設けられた軸受部に回転自在に支持される軸部521a,521bを有している。弾性層522は、耐熱性および断熱性の高い、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の発泡弾性体などの材料からなる。この弾性層522を設けることにより、押圧ローラー52と定着ベルト51とが弾性接触するようにして、できるだけ接触圧の偏りを無くし、接触状態が良好になるようにしている。また、この弾性層522が断熱材としても機能するので、定着ベルト51で発生した熱が、押圧ローラー52を介して放熱されるのを抑制することができる。弾性層522の厚みは1〜20[mm]が望ましい。
(加圧ローラー)
加圧ローラー53は、長尺で円柱状の芯金531の周囲に、弾性層532と離型層533とがこの順に積層されている。
(定着ベルト)
定着ベルト51は、半径方向にある程度の外力を加えると弾性変形し、変形状態から外力の付与を停止すると自身の復元力により元の状態に戻る自己形状保持可能なものが用いられている。
図4は、定着ベルト51の積層構造を説明するため、定着ベルト51を回転軸J方向に切断したときの部分断面図である。また、図4には、定着ベルト51に電力を供給する回路の主要構成が示されている。
第1の電極層D1a,D1bの存する領域では、保護層511、破損検出用パターン512、絶縁層513、抵抗発熱体層514がこの順で積層されていて、その上に、第1の電極層D1a,D1bが積層されている。
抵抗発熱体層514は、電力供給を受けてジュール熱を発生させる層であり、耐熱性の絶縁樹脂に、導電性フィラーを均一に分散して構成されている。このような抵抗発熱体層514では、絶縁樹脂中の導電性フィラーの体積含有率を変えることにより、単位体積当たりの電気抵抗率[Ω・m]を調整し、所望の発熱量が得られる電気抵抗値[Ω]に設定することができる。耐熱性の絶縁樹脂として、例えば、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等を用いることができる。導電性フィラーとしては、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル等の金属粉末や、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンマイクロコイル等の炭素化合物粉末、およびこれらのうち2種類以上混合したものを用いることができる。導電性フィラーの形状は、繊維状、フレーク状または球状が好ましい。
離型層516は、定着後の記録シートSとの離型性を高めるための層であり、耐熱性を有し、離型性に優れた絶縁樹脂で構成される。当該絶縁樹脂として、例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。
破損検出用パターン512の一端は、第2の電極層D2aに接続されている。また、図4の断面図には現れていない破損検出用パターン512の他端が第2の電極層D2bに接続されている。
絶縁層513は、抵抗発熱体層514と、破損検出用パターン512および第2の電極層D2a,D2bとの間の絶縁性を確保する層であり、PI、PPS、PEEK等の耐熱性の絶縁樹脂で構成される。
第1の電極層D1a,D1bおよび第2の電極層D2a,D2bは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、黄銅、SUS等の金属材料を用いて形成される。各電極層の幅は、例えば15[mm]に設定される。
また、定着ベルト51の幅寸法は、記録シートSの最大通紙幅(例えば、A3縦通し)よりも大きく、かつ幅方向両端の第1の電極層D1a,D1bが加圧ローラー53と接触しないように390[mm]に設定されている。
(給電部材)
第1の給電部材54a,54bおよび第2の給電部材55a,55bは、それぞれブロック状のカーボンブラシであって、摺動性および電導性を有する銅黒鉛質や炭素黒鉛質等の材料からなる。
また、第1の給電部材54bは、不図示のガイド部材により矢印E方向(図3参照)に移動可能に保持され、かつ不図示の付勢部材により定着ベルト51に向けて付勢されている。こうして付勢された第1の給電部材54bが、図4に示すように、第1の電極層D1bに摺接される。残りの給電部材54a,55a,55bも同様である。そして、第1の給電部材54aが第1の電極層D1aに、第2の給電部材55aが第2の電極層D2aに、第2の給電部材55bが第2の電極層D2bにそれぞれ摺接される。
交流電源500は、例えば、電圧100[V]、周波数が50[Hz]または60[Hz]の家庭用電源である。
リード線501において、交流電源500から、第1の給電部材54a側と第2の給電部材55a側への分岐点Jctまでの間には、制御部60からの入力信号に基づいて、電力供給をON・OFF制御する公知のリレースイッチ57が挿設されている。
(電流センサー)
また、リード線501の分岐点Jctから第2の給電部材55aまでの間に、破損検出用パターン512に供給される電流を検出する電流検出手段として、電流センサー56が設けられている。電流センサー56は、例えば、公知であるホール電流センサー、またはクランプ式電流センサーなどからなり、検出した電流の大きさを示す信号を制御部60に出力する。
<破損検出用パターンの構成>
次に、破損検出用パターン512の構成について、図5を参照しながら説明する。
破損検出用パターン512は、図5(b)に示すように、回転軸J方向に延びる直線部分a1(単位パターン)と、破損検出用パターン512の回転軸J方向端部において、第2の電極層D2a(D2b)に達する前に折り返す折返し部分a2とが交互に形成されてなり、蛇行しながら周方向全体に亘って設けられている。そして、破損検出用パターン512における電極層D2aに接続された端部がT1、電極層D2bに接続された端部がT2で示されている。図4には、この図5(b)のH−H線で切断したときの破損検出用パターン512の断面が示されている。
本実施の形態では、破損検出用パターン512が、15本の直線部分a1と、14箇所の折返し部分a2とで構成されている。直線部分a1および折返し部分a2の線幅wは、それぞれ約2[mm]であり、周方向に並ぶ直線部分a1の間隔gは約4.6[mm]である。
このような破損検出用パターン512は、例えば、保護層511上に、金属材料をメッキした後、フォトエッチング法やフォトリソグラフィー法を用いて形成することができる。
また、図7、図8は、それぞれ図6に示す傷Kの部分での定着ベルトの断面を示しており、(a)は、図6のL−L線で切断したときの定着ベルト51の断面図、(b)は、図6のM−M線で切断したときの定着ベルト51の断面図である。なお、図6から図8では、傷Kを識別し易くするため、黒く塗りつぶしている。
このように抵抗発熱体層514に傷が発生したときには、抵抗発熱体層514の傷の発生と同時に、または、その後、定着ベルトの傷Kの位置がニップ部を通過する際に、破損検出用パターン512が断線状態になるので、当該電流値のみ監視しておけば、迅速に抵抗発熱体層514の傷の発生を確認することができる。
そして、破損検出用パターン512の隣接する直線部分a1同士の周方向における間隔g(図5(b)参照)が小さいほど、周方向の長さが小さな傷の検出が可能となる。本発明者らによれば、抵抗発熱体層に生じた傷の周方向の長さが、抵抗発熱体層の全周の30[%]以下のときには、異常発熱による実質的な問題がないと判定している。この観点から、隣接する2つの直線部分a1の各線幅wと、当該2つの直線部分a1の間の周方向における間隔gとの合計(=(W×2)+g)が、抵抗発熱体層の全周の30[%]以下になるように、間隔gの大きさが設定されることが望ましい。これにより、異常発熱を惹起する周方向の長さが30[%]を超える傷が発生すれば、少なくとも破損検出用パターン512の1つの直線部分a1が断線することになるので、その大きさの傷を必ず検出できるからである。もちろん間隔である以上、g>0[mm]であることはいうまでもないが、定着品質に全く影響のない小さな傷を発見してもあまり意味がないので、間隔gの大きさは、全周の2[%]以上であることが望ましい。
<抵抗発熱体層の破損検出処理について>
上記したように、抵抗発熱体層514に傷が発生し、これに伴って破損検出用パターン512が断線状態になると、破損検出用パターン512に電流が流れないので、電流センサー56による検出結果が0[A]になる。
図9は、制御部60で実行される「抵抗発熱体層の破損検出処理」の制御内容を示すフローチャートである。
まず、制御部60は、電流センサー56から出力された電流値の絶対値を平均して平均電流値を取得する(ステップS101)。この平均電流値の取得は、例えば、電流センサー56の出力をサンプリングしていき、サンプリングされた電流値の絶対値を当該交流電源の半周期分(もしくは、その整数倍分)だけ加算し、加算値を当該加算したサンプリング回数で割ることにより求められる。
そして、求めた平均電流値が0[A]以上か否かを判定する(ステップS102)。
平均電流値が、0[A]以上のときには(ステップS102:YES)、ステップS101に戻り、電流センサー56の出力値のサンプリングを繰り返す。なお、このサンプリング周期は、抵抗発熱体層514の傷の見逃しがないように、交流電源の周期よりも十分小さな値に設定される。
そして、制御部60は、リレースイッチ57をOFFにして、定着ベルト51への電力供給をストップさせると共に(ステップS104)、プリンター1の不図示の表示パネルに、エラーを表示させる(ステップS105)。また、制御部60は、プリンター1が管理者用端末とネットワークで繋がっている場合には、当該管理者用端末に、エラーメッセージを送信する。
以上で、抵抗発熱体層の破損検出処理を終了する。
上記構成の定着部5によれば、電流センサー56が、定着ベルト51の破損検出用パターン512に流れる電流を検出して、破損検出用パターン512が断線しているか否かを判断し、これにより、抵抗発熱層514に傷が発生しているか否かを判定することができる。
また、この場合、1つの電流センサー56により、抵抗発熱層514の破損を検出しているので、温度センサーを用いて異常発熱を検出する従来の定着装置と比べて、構成が簡単であり、かつレイアウト上の制約が少ないので、装置の小型化が可能になる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る定着部は、電源に電気的に接続された給電部材を一対のみ備え、この一対の給電部材を介して定着ベルトの抵抗発熱体層および破損検出用パターンのそれぞれに給電するように構成されている点で、第1の実施の形態とは相違する。
図10は、第2の実施の形態に係る定着部が有する定着ベルト150の部分断面と、定着ベルト150に電力を供給する回路の主要構成とが示された図である。
図10に示すように、定着ベルト150における回転軸J方向の両端部外周面に設けられた第1の電極層D3a,D3bの領域では、保護層151、第2の電極層D4a(またはD4b)、抵抗発熱体層154がこの順で積層されている。
このように本実施の形態では、第1の電極層D3aと第2の電極層D4aとが抵抗発熱体層154を介して積層されているので、第1の電極層D3aに給電すれば、抵抗発熱体層154を介して第2の電極層D4aにも給電できる。第1の電極層D3bと第2の電極層D4bとの関係も同様である。
このように本実施の形態の定着部によれば、第1の実施の形態と比べて、給電部材の数が少なく、かつ定着ベルトの幅寸法を短くすることができるので、定着部の小型化、ならびに部品および製造コスト削減が図れるという利点を有している。
なお、ここでは、電流センサー56が、リレースイッチ57と給電部材160aとの間に、設けられており、抵抗発熱体層154および破損検出用パターン152の双方に流れる電流の総和を検出する。
[変形例]
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
抵抗発熱体層254に給電する第1の給電部材264aは、定着ベルト250の外側に配し、外周面に設けられたに摺接される。この場合、定着ベルト250の軸方向における第1の給電部材264aと第2の給電部材265aとの位置を合わせることができるので、第2の実施の形態と同様、定着ベルトの幅寸法を短くすることができ、定着部の小型化が図れる。
例えば、第2の電極層D2a,D2bに接続される端T1,T2を含む直線部分a1以外の、残りの直線部分a1は、回転軸J方向において、通紙領域Rの一端から他端までの間にのみ延伸された構成としてもよい。この場合、少なくとも抵抗発熱体層の通紙領域Rに発生した傷を検出することができるので、高温オフセットなどの画像ノイズが発生するのを抑制することができる。
この構成であれば、抵抗発熱体層の発熱領域(通紙領域Rを含む)における傷を検出することができるので、高温オフセットなどの画像ノイズが発生するのを抑制するだけでなく、抵抗発熱体層の異常発熱により周辺部材が損傷するのを抑制することができるからである。
例えば、図12(a)に示すように、破損検出用パターン512を、蛇行する4本の線状部分P1a〜P1dで構成してもよい。これら線状部分P1a〜P1dは、それぞれ電極層D7a,D7b間において互いに電気的に並列に接続されるように構成されている。
図12(a)および(b)に示す破損検出用パターン512のように、複数の線状部分を並列接続する場合には、一本の線状部分が短くなるほど、また、並列接続する線状部分の数が多いほど、全体の電気抵抗値が小さくなるので、所望の電気抵抗値が得られるように、線状部分を構成する材料、線幅、厚さ等の構成を適宜選択するのが好ましい。
例えば、図12(a)の破損検出用パターン512は、上記(C)の組み合わせ例であり、線状部分P1a〜P1dが、それぞれ3本の直線部分Pt1が曲線部分Pt2を介して直列に接続されてなり、これら線状部分P1a〜P1dが並列に接続された構成となっている。
なお、図12(a)および(b)の破損検出用パターン512の場合には、一部の直線部分Pt1が断線しただけでは、破損検出用パターン512に流れる電流が0[A]にはならない。この場合には、1本の直線部分Pt1だけが断線した場合の、破損検出用パターン512に流れる電流の大きさを所定値とし、電流センサーにより検出された電流値が、当該所定値以下の場合に、線状パターンが断線していると判断するように構成するのがよい。
この場合、破損検出用パターンの隣接する2つの直線部分の間隔の大きさは、次のようにして決定するのが望ましい。
(6)上記実施の形態では、定着ベルトの抵抗発熱体層および破損検出用パターンのそれぞれに、同じ交流電源500から電力が供給される構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、2つの電源を用意し、抵抗発熱体層に電力供給する電源と、破損検出用パターンに電力供給する電源とを分けても構わない。この場合には、破損検出用パターンに対応する電源の調整により、破損検出用パターンに流す電流の大きさを決定することができるので、破損検出用パターンの電気抵抗値を、抵抗発熱体層の電気抵抗の大きさに関係なく設定することができる。よって、破損検出用パターンの構成(例えば、材料、線状部分の長さおよび断面積の大きさなど)の自由度が高まるという利点がある。
例えば、破損検出用パターンを、抵抗発熱体層の内周側ではなく、外周側に絶縁層を介して積層する構成としてもよい。この場合、不適切なジャム処理や異物の混入などにより、定着ベルトに生じた傷が抵抗発熱体層に達するときには、抵抗発熱体層の破損と同時に、またはそれよりも前に、破損検出用パターンが損傷する構成となるので、抵抗発熱体層の破損を早期に検出することができる。したがって、異常発熱を早期段階で抑制することができるので、安全性の面から好ましいといえる。
(8)上記実施の形態では、電流センサー56が、公知であるホール電流センサー、またはクランプ式電流センサーからなる構成を示したが、これに限定するものではない。
(10)上記実施の形態において、給電部材の大きさ、形状、配置等を限定するものではない。例えば、電極層に摺接されるブロック状の給電部材に変えて、回転接触する給電ローラーを用いることができる。給電部材と定着ベルトの電極層との接触が良好に維持できればよく、給電部材の大きさ、形状、配置等は、定着部の仕様に応じて、適宜選択することができる。
(12)上記実施の形態では、制御部60が、抵抗発熱体層514に傷が発生しているか否かを判定する傷発生判定手段として機能する構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、定着部5に、マイコンなどで構成され、かかる傷発生判定手段として機能する専用の傷発生判定部を設けても良い。
また、上記実施の形態及び変形例の内容は、可能な限り組み合わせても構わない。
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着部
10 光学部
11 中間転写ベルト
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
51 定着ベルト
52 押圧ローラー
53 加圧ローラー
54a,54b 第1の給電部材
55a,55b 第2の給電部材
56 電流センサー
57 リレースイッチ
60 制御部
150 定着ベルト
152 破損検出用パターン(線状パターン)
153 絶縁層
154 抵抗発熱体層
500 交流電源
511 保護層
512 破損検出用パターン(線状パターン)
513 絶縁層
514 抵抗発熱体層
515 弾性層
516 離型層
a1 直線部分(単位パターン)
D1a,D1b 第1の電極層
D2a,D2b 第2の電極層
Pt1 直線部分(単位パターン)
Claims (10)
- 抵抗発熱体層を有する加熱回転体の周面に加圧部材を押圧させてニップ部を形成し、当該ニップ部に、未定着画像が形成された記録シートを通紙して熱定着させる定着装置であって、
前記抵抗発熱体層に絶縁層を介して積層され、所定の電気抵抗値を有する線状パターンと、
前記線状パターンの両端に電圧が印加されているときにおける、当該線状パターンに流れる電流の状態を判定する電流状態判定手段と、
前記判定された電流状態に基づき、前記抵抗発熱体層に傷が発生しているか否かを判定する傷発生判定手段と
を備え、
前記線状パターンは、前記加熱回転体の周方向に所定の間隔をおいて配された単位パターンを、直列又は並列に接続してなる
ことを特徴とする定着装置。 - 前記抵抗発熱体層と線状パターンとは電気的に並列接続されて、共通の電源により電圧が印加される構成であり、かつ前記線状パターンの電気抵抗値が、前記抵抗発熱体層の電極間の電気抵抗値よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記線状パターンの電気抵抗値が、前記抵抗発熱体層の電気抵抗値の5〜200倍の範囲内に設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記抵抗発熱体層と線状パターンとは電気的に直列接続され、この直列接続体の両端に電圧が印加される構成であり、かつ前記線状パターンの電気抵抗値が、前記抵抗発熱体層の電気抵抗値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加熱回転体をその回転軸に直交する平面で切断した場合において、
前記線状パターンにおける隣接する2つの単位パターンの、互いに遠い位置にある端縁から端縁までの周方向に沿った距離が、前記抵抗発熱層の全周長の30%以内となるように、前記所定の間隔の大きさが決定されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。 - 前記複数の単位パターンの形成される領域は、少なくとも抵抗発熱層の通紙領域に重なる範囲を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。 - 前記電流状態判定手段は、前記線状パターンに流れる電流のみを検出する電流検出手段を備え、当該電流検出手段の検出結果に基づき、前記電流状態を判定する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記傷発生判定手段により抵抗発熱体層において傷が発生されていると判定された場合には、前記抵抗発熱体層への給電を停止することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記傷発生判定手段により抵抗発熱体層において傷が発生されていると判定された場合には、画像形成動作を停止することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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JP2011125238A JP5803295B2 (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | 定着装置および画像形成装置 |
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