JP2019179087A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動定着を行うベルトを加圧部材との摩擦力により効率よく発熱させ、その際のベルトの温度からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を可能にする定着装置および画像形成装置を提供する。【解決手段】定着装置200の寿命診断制御部400は、熱間時から冷間時への移行後、寿命診断タイミングに達したと判定され、かつ、寿命の診断に適した温度環境であると判定されることにより、所定の期間、熱源による加熱を行わないで加圧ローラおよび定着ベルトを非加熱回転駆動する診断時駆動制御手段405と、上記所定の期間中の定着ベルトの温度変化と予め設定された寿命診断温度とに基づいて当該定着装置が寿命に達したか否かを診断する寿命診断手段406と、当該定着装置が寿命に達したと判定された場合、その旨を報知する寿命報知手段407と、を有する。【選択図】図4
Description
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置などにおいてトナー像を熱と圧力とで記録紙などの記録媒体に定着する定着装置およびその定着装置を搭載した画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらを統合した複合機等の画像形成装置は、電子写真方式で形成されたトナー像を記録媒体上に定着する定着装置を有している。定着装置では、使用していくと部品が劣化して回転トルクが重くなり、紙詰まりなどの不具合を起こすことがある。これが寿命原因の一つで、通常はそういう状態になる前に、余裕を持った使用枚数で、定期交換、メンテナンスするようになっている。また、定着装置を回転させるモータの電流値を検知することで、トルクを検出する技術が知られている。
しかしながら、所定の枚数で定期交換、メンテナンスを実施するこれまでの方法では、部材がまだ充分に使える状態でも当該部材を交換してしまう場合が多く、不経済であった。また、定着駆動モータ電流値からトルク情報を得る方法では、新たにモータ電流検出機構を追加する必要があり、コストが上昇する。さらには定着装置を回転させるモータが、他の部品の駆動を兼ねている場合には、何のトルクが上昇したのか判断できなかった。
そこで、この種の従来の定着装置においては、定着機構を構成するローラを回転させてローラ温度を測定し、そのローラ温度から寿命診断を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の定着装置では、弾性ローラを使用し続け弾性層の劣化が進行すると温度上昇は小さくなる特性に着目し、弾性ローラ表面の温度上昇値から弾性ローラ(弾性層)の寿命を判定するようにしている(段落0060)。
しかしながら、特許文献1に記載の定着装置は、加熱ローラと加圧ローラ間に用紙を挟み込んで搬送しながら定着を行う、いわゆるローラ定着構造を有するものであり(段落0044、図2参照)、上述した寿命診断方法に関して、加圧ローラとニップ構成部材との間に無端状のベルトを挟むいわゆる摺動定着構造のものを採用する定着装置の寿命診断に関しては考慮されていなかった。
摺動定着構造を採用する定着装置では、加圧ローラとベルトとの熱容量や発熱プロセスが、ローラ定着構造におけるローラ間における場合と違うなどにより、摩擦力により効率よく発熱させることできず、回転トルク推測のために好適な温度を検出するのが困難であるために、推定した回転トルクから寿命を正確に判断することができないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、摺動定着を行うベルトを加圧部材との摩擦力により効率よく発熱させ、その際のベルトの温度からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を可能にする定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る定着装置は、上記課題を解決するために、可撓性を有する無端状のベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトに対向する加圧部材と、前記ベルトの内側に設けられ、前記ベルトと前記加圧部材との間に定着ニップを形成するニップ形成部材と、前記ベルトを加熱する熱源と、前記ベルトの温度を検知する温度検知部材と、寿命診断制御手段と、を備え、前記寿命診断制御手段は、前記熱源による加熱を停止した冷間状態で、所定期間、前記加圧部材および前記ベルトを回転させて摩擦熱による前記ベルトの温度を測定し、前記ベルトの温度の昇温結果に基づいて寿命判断制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、定着装置に必ず配置されている温度検知部材を使って寿命を判断することができ、構成変更を不要にし、コストアップを回避できる。一律に使用枚数でローラ等の部材を交換していた従来の方法に比べて、まだ使える状態での部材の廃棄を抑制し、機能的な寿命に達するまで使用することが可能になる。よって、本発明では、摺動定着を行うベルトを加圧部材との摩擦力により効率よく発熱させ、その際のベルトの温度からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を可能にする定着装置および画像形成装置を提供することができる。
次に、本発明の定着装置および画像形成装置に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示した画像形成装置100は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式のカラープリンタある。本発明はこの方式に限られず、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
画像形成装置100では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトである中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写される。この1次転写行程の実行によってそれぞれの色の画像が重畳転写され、その後、記録シートなどが用いられる記録材Sに対して2次転写行程を実行することで一括転写される。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの周囲には、当該感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを代表として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後に行われる書き込み光Lbを用いた書き込みには、光書き込み装置8が用いられる。
転写ベルト11に対する重畳転写では、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写される。このために、転写は、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11および1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11をクリーニングするベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置8とを有している。
光書き込み装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏光手段としての回転多面鏡などを装備している。光書き込み装置8は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するよう構成されている。書き込み光Lbは、図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間に向けて搬送される記録材Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61が設けられている。また、シート給送装置61から搬送されてきた記録材Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラムと転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4が設けられている。また、記録材Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサが設けられている。
また、画像形成装置100には、トナー像が転写された記録材Sにトナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置200と、定着済みの記録材Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排出ローラ7が備えられている。また、画像形成装置100の本体上部には、排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録材Sを積載する排紙トレイ17が備えられている。また、排紙トレイ17の下側には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkが備えられている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72および従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、ベルトクリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の記録材Sの上面に当接する給送ローラ3を有している。給送ローラ3が図中反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の記録材Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
転写装置71に装備されているベルトクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。ベルトクリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
ベルトクリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
画像形成装置100は、例えば本体上部に操作部310を備えている。操作部310は、タッチパネルや各種キー等を有し、ユーザーがこれらのツールを操作することにより、例えば所望の機能の選択、当該機能に関する種々の設定等に係る各種指令を入力可能となっている。
画像形成装置100は、ユーザーによって、操作部310を用いて例えばコピー機能、コピーサイズおよび枚数が選択され、コピー開始操作が行われると、選択されたサイズに対応するシート給送装置61の給紙カセットから記録材Sを給紙する一方で電子写真プロセス制御を実行し、該電子写真プロセスにより形成された多色重畳トナー像を転写ベルト11に転写(1次転写)しさらに記録材Sに転写(2次転写)する画像形成プロセスを印刷枚数分繰り返し実行する。この画像形成プロセスでトナー像が転写された記録材Sは、その後、定着装置200を通過する際に該定着装置200によって熱と圧力によりトナー像が上面に定着され、排紙トレイ17へと排出される。
次に、本実施形態にかかる定着装置200の概略構成について図2を参照して説明する。
図2に示すように、定着装置200は、回転可能な定着部材であって可撓性を有する無端状のベルトからなる定着ベルト201と、定着ベルト201の外側に設けられ、定着ベルト201に対向配置されて回転可能な加圧部材としての加圧ローラ203とを有し、複数の熱源としてのハロゲンヒータ202A、202Bにより定着ベルト201が内周側から輻射熱で直接加熱される。定着ベルト201、加圧ローラ203は、それぞれ、本発明のベルト、加圧部材に相当する。
このとき、図2の定着ベルト201内には、定着ベルト201を介して加圧ローラ203との間で定着ニップを形成するニップ形成部材206があり、定着ベルト201の内面と熱移動補助部材216を介して間接的に摺動するようになっている。記録材S上のトナー像は定着ニップ部(以下、ニップ部)Nにおいて加熱・加圧により定着される。このように、加圧ローラ203は、定着ベルト201の内側に設けられるニップ形成部材206の配置位置で定着ベルト201に対向するように設けられている。
図2では熱移動補助部材216の形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。凹形状のニップ部Nの場合、記録材先端の排出方向が加圧ローラ203寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。
定着ベルト201の内側には加圧ローラ203に対向して配置された金属板からなるニップ形成部材206と、ニップ形成部材206の両端部に一体に設けられた端部熱源としての端部ヒータ226と、ニップ形成部材206と端部ヒータ226の定着ベルト201の内面に対向する面を覆う熱移動補助部材216と、ニップ形成部材206を加圧ローラ203からの加圧力に対抗して保持するステー部材207とを有している。
ニップ形成部材206、熱移動補助部材216およびステー部材207は、いずれも定着ベルト201の軸方向(以下、「長手方向」という)に延びる長さを有している。
熱移動補助部材216は、端部ヒータ226の熱が局所的に留まることを防止し、積極的に長手方向に熱を移動させて長手方向の温度不均一性を低減するために設けられている。このため、熱移動補助部材216は短時間で熱移動が可能な材料であることが望ましく、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、銀といった部材であることが望ましい。コスト、入手性、熱伝導率特性、加工性を総合的に考慮すると、銅を用いることが最も望ましい。
本実施形態では、熱移動補助部材216の定着ベルト201の内面に対向する面は、定着ベルト201に直接接触する面であり、ニップ形成面となる。
定着ベルト201は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。定着ベルト201の表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。定着ベルト201の基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層があっても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じ得る。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
ステー部材207は、ニップN側と反対側が起立した起立部を有した形状となっており、起立部を隔て、定着ベルト201を加熱する熱源としてのハロゲンヒータ202A、202Bが配置され、定着ベルト201は、ハロゲンヒータ202A、202Bにより内面側から輻射熱で直接加熱される。
定着ベルト201の内部にはニップ形成部材206とニップ部Nを支持するための支持部材としてのステー部材207を設け、加圧ローラ203により圧力を受けるニップ形成部材206の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。このステー部材207は、両端部で保持部材としてのフランジ(図示せず)に保持固定され位置決めされている。また、ハロゲンヒータ202A、202Bとステー部材207の間に反射部材209を備え、ハロゲンヒータ202A、202Bからの輻射熱などによりステー部材207が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで反射部材209を備える代わりに、ステー部材207表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
加圧ローラ203は、芯金205に弾性ゴム層204が巻かれており、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ203は、画像形成装置100に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ203は、スプリングなどにより定着ベルト201側に押し付けられており、弾性ゴム層204が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。
加圧ローラ203は、中空のローラであっても良く、加圧ローラ203にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。弾性ゴム層204は、ソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ203内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト201の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト201は、加圧ローラ203により連れ回り回転する。図2の場合は、加圧ローラ203が駆動源により回転し、ニップ部Nで定着ベルト201に駆動力が伝達されることにより当該定着ベルト201が回転する。定着ベルト201は、ニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部で図示していないフランジにガイドされ、走行する。
上記のような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置200を実現することが可能となる。
本実施形態に係る定着装置200は、当該定着装置200の寿命を診断する制御を行う機能を備えている。ここでいう寿命とは、定着装置200の使用を続けていくうちに部品が劣化して回転トルクが重くなり、紙詰まりなどの不具合を起こすような状態となることをいう。
図2に示す寿命診断制御部400は、定着ベルト201の温度を検知する定着ベルト温度センサ410、画像形成装置100の本体内部(機内)の温度を検知する機内温度センサ413のそれぞれにより検知された温度(検知出力)に基づいて定着装置200の寿命を診断するものである。定着ベルト温度センサ410は、例えば、非接触温度センサにより構成されている。寿命診断制御部400、定着ベルト温度センサ410は、それぞれ、本発明の寿命診断制御手段、温度検知部材に相当する。
寿命診断制御部400の機能構成(図4参照)の説明に先立って、画像形成装置100の制御構成について図3を参照して説明する。
図3に示すように、画像形成装置100の制御構成においては、各種プログラムを格納するROM301と、ROM301に格納された各種プログラムを実行するCPU302と、CPU302による処理結果を読み書きするRAM303と、各種センサ307や駆動系304などとの間で情報を授受するエンジンI/O部305と、操作部310との間で情報を授受する本体インターフェース(以下、本体I/Fという)部306とを備える。
図3に示す制御構成中、定着装置200の寿命診断制御に係る構成要素に限ると、各種センサ307としては、定着ベルト温度センサ410、機内温度センサ413(図2参照)が含まれる。CPU302は、例えば寿命診断プログラムを実行することにより寿命診断制御部400(図2、図4参照)を実現する。操作部310は、寿命診断制御部400による寿命判定結果をメッセージ320(図7参照)で表示する報知手段の機能を果たす。
次に、本実施形態に係る定着装置200の制御構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、定着装置200は、当該定着装置200の寿命診断制御を行う寿命診断制御部400を有している。寿命診断制御部400は、寿命診断データ記憶手段401、温度検知手段402、診断タイミング判定手段403、温度環境判定手段404、診断時駆動制御手段405、寿命診断手段406、寿命報知手段407の各制御構成要素を有している。
寿命診断制御部400は、診断タイミング判定手段403、温度環境判定手段404、診断時駆動制御手段405、寿命診断手段406、寿命報知手段407等とともに、CPU302が、例えばROM301に記憶された寿命診断プログラムを実行することにより実現される諸機能である。
寿命診断データ記憶手段401は、定着装置200が寿命に達したと診断するための診断値としての温度(以下、寿命診断温度という)の情報を記憶するものである。寿命診断温度は、例えば図5に示すグラフから導き出すことが可能であるが、この点については後で詳述する。寿命診断データ記憶手段401としては、例えば、ROM301の所定の記憶領域を割り当てることができる。
温度検知手段402は、測定対象の温度を検知するものであり、定着ベルト温度センサ410、機内温度センサ413が画像形成装置100の基内に実装されている。
診断タイミング判定手段403は、寿命の判定タイミング(時期)に達したか否かを判定するものである。診断タイミング判定手段403は、例えば、印刷枚数を計数する枚数カウンタ420から計数結果(印刷枚数)のデータを取り込み、該データが示す印刷枚数が予め設定した所定の枚数となったときに寿命の診断タイミングに達したと判定するようになっている。枚数カウンタ420は、本発明の計数手段に相当する。
温度環境判定手段404は、温度検知手段402により検知される各部の温度に基づいて当該定着装置200が寿命診断に適した温度環境であるか否かを判定するものである。温度環境判定手段404は、例えば、定着ベルト温度センサ410により検知される定着ベルト201の温度と、機内温度センサ413により検知される画像形成装置100の本体内(機内)の温度との差が予め設定されている設定温度より小さい場合に寿命診断に適した温度環境であると判定するようになっている。
診断時駆動制御手段405は、定着装置200が寿命診断に適した温度環境であるときに、ハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱を行わないで加圧ローラ203および定着ベルト201を駆動する非加熱回転駆動の制御(以下、診断時駆動制御ということもある。)を行うものである。この非加熱回転駆動に際しても、定着ベルト201が加圧ローラ203に従動し、連れ回りすることは言うまでもない。
具体的に、診断時駆動制御手段405は、画像形成装置100の電源投入後、診断タイミング判定手段403により診断タイミングに達したと判定され、かつ、温度環境判定手段404により寿命の診断に適した温度環境であると判定されることにより、所定期間、ハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱を停止したまま加圧ローラ203および定着ベルト201回転させる診断時駆動制御を実行する。なお、この診断時駆動制御は、加圧ローラ203の回転とハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱とを行う熱間時から上記回転および加熱を停止する冷間時への移行後、定着ベルト201の温度が十分に低下した状態で実施される。
寿命診断手段406は、上述した診断時駆動制御による非加熱回転駆動中に定着ベルト温度センサ410により検知される定着ベルト201の温度と予め設定された寿命診断温度とに基づいて当該定着装置200が寿命に達したか否かを判断するものである。具体的に、寿命診断手段406は、定着ベルト温度センサ410により検知される定着ベルト201の温度を非加熱回転駆動が行われる上述した所定の期間を通して順次取り込む。その一方で、寿命診断手段406は、寿命診断データ記憶手段401から寿命診断温度データを読込み、上記所定の期間(非加熱回転駆動期間)中の定着ベルト温度センサ410により検知される定着ベルト201の温度変化と予め設定された上記寿命診断温度とに基づいて寿命に達したか否かを判断するようになっている。
寿命報知手段407は、寿命診断手段406により当該定着装置200が寿命に達したと診断された場合、その旨を報知するものである。寿命報知手段407は、例えば、図7に示すように、操作部310のタッチパネルの表示領域310aに定着ユニットが寿命に達した旨のメッセージ320を表示するようになっている。寿命報知手段407は、寿命に達した旨のメッセージ320を表示するものに限らず、例えば、寿命に達した旨を音でユーザーに知らせる等、他の構成であってもよい。
次に、寿命診断手段406が定着装置200の寿命診断に用いる寿命診断温度の選定方法について説明する。
図5は、冷間時、ハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱を行わずに加圧ローラ203を回転させ、かつ、定着ベルト201を加圧ローラ203に対して連れ回りさせたときの、ユニットトルクと定着ベルト201の温度の関係を示すグラフである。このグラフでは、特に、外気温が23℃の場合の関係について示している。
図5において、横軸のユニットトルクは、通常加熱して使用したときのトルクの異なるユニット(定着装置)を4台準備し、これら各ユニットのトルクをもとに決定した。今回の機械条件では、ユニット(定着装置200)の寿命と判定しない目標値は0.8N・m以下としているため、グラフの一番右側をプロットしたユニットは、トルクNGのユニット、つまり、寿命到達ユニットであり、これを検出できれば良い。
ベルト(定着ベルト)温度検出には、制御用の温度センサを使用している。図5のグラフに示すように、ベルト温度とユニットトルクには相関がある。すなわち、図5のグラフからは、同一のベルトであっても、ベルトの回転時間が短いとトルクに対する当該ベルトの温度の感度が小さく、回転時間が長くなるほど上記感度が良好になることを読み取ることができる。図5に示すグラフの例によれば、ベルトを60秒駆動する条件下では、新品のベルトに対して耐久品(使用中のもの)のベルトが4度(deg)程度高い温度となることが分かる。この温度(4度)は、図5において、ポイントP1とP2との間の温度変化に相当する。
また、120秒駆動する条件下では、新品のベルトに対して耐久品(使用中のもの)のベルトが7度程度高い温度となることが分かる。この温度(7度)は、図5において、ポイントP3とP4との間の温度変化に相当する。また、300秒駆動する条件下では、新品のベルトに対して耐久品(使用中のもの)のベルトが120秒駆動時の温度(7度)よりも大幅に高い温度となることが分かる。
図5のグラフに示されるような温度変化特性(昇温特性)を有するベルト(定着ベルト201)を搭載した定着ユニットの場合、寿命をより正確に診断するためにはベルトを120秒以上駆動することが好ましい。ベルトの温度を決定する熱源が加圧ローラ203の弾性ゴム層204との摩擦熱であるため、ベルトの材質や厚み、外径や回転速度などの諸条件によって最適な回転時間が異なるものとなる。そのため、温度感度があり、測定時間が短くなるように条件設定する必要がある。本実施形態では、定着ベルト201の表層の材料として、PFAまたはPTFEなどのフッ素化合物が好ましい。また、オイル塗布を行わないほうが好ましい。また、特に制約はないが、ニップ部Nのベルト速度が速いほうが摩擦発熱し易いため、好ましい。
この点を踏まえ、本実施形態では、図5のグラフに示される駆動時間に対応する昇温特性から、寿命診断温度として、トルクNG間近の温度に相当する寿命診断温度a1と、トルクNG超え温度に相当する寿命診断温度a2とを決定し、これら寿命診断温度a1、a2を予め寿命診断データ記憶手段401に記憶している。トルクNGを判断するトルクは、例えば、部品が劣化して紙詰まりなどの不具合を招来する可能性のあるトルクである。
次に、寿命診断制御部400における冷間駆動による定着装置200の寿命診断制御動作について図6を参照して説明する。
寿命診断制御を行うためには、まず、定着ベルト201の温度を測定するタイミング、つまり、寿命診断タイミングを最初に決めておく。この場合、想定している寿命より早いタイミングから始めることが望ましい。本実施形態では、印刷枚数が100k(k=1000)枚に達することを想定寿命とし、70k枚から測定する仕様にしている。その後は、定着ベルト201の温度が所定の温度(例えば、上述した寿命診断温度a1)に到達するまで、10k枚毎に定着ベルト201の温度を測定することとした。なお、定着ベルト201の温度の測定間隔は、上述した10k枚間隔に限らず、任意に設定可能であり、昇温温度がNGレベル(例えば、寿命診断温度a2)に到達するまで行うようにすればよい。
図5に示す寿命診断制御においては、寿命判断制御部401は、まず、画像形成装置100の電源がオン(ON)となったか否かを判定する(ステップS1)。ここで電源がオンではないと判定された場合(ステップS1でNO)、当該ステップS1の処理を続ける。
この間、電源がオンとなったと判定された場合(ステップS1でYES)、診断タイミング判定手段403は、診断タイミングに到達したか否かを判定する(ステップS2)。ここで診断タイミング判定手段403は、上述した診断タイミングの設定に基づき、例えば現在計数されている印刷枚数を枚数カウンタ420から取得し、印刷枚数が70k枚未満の場合に診断タイミングに到達していないと判定し(ステップS2でNO)、処理を終了する。
これに対し、印刷枚数が70k枚以上となっている場合、診断タイミング判定手段403は、診断タイミングに到達していると判定し(ステップS2でYES)、ステップS3以降の処理へと進む。
これにより、ステップS2の処理後には、まず、温度環境判定手段404が、機内温度センサ413により検知された機内温度と、定着ベルト温度センサ410により検出された定着ベルト201の温度との温度差を算出する(ステップS3)。
次いで、温度環境判定手段404は、ステップS3で算出した温度差が予め設定した温度、例えば5度以下であるか否かを判定する(ステップS4)。上記温度の差が5度以下ではないと判定された場合(ステップS4でNO)、温度環境判定手段404は、ステップS4の処理を続行する。定着装置200では、定着ベルト201が熱間状態の場合には摩擦熱を検出することができない。ステップS4は、機内温度と定着ベルト201の温度差を比較することで、冷間状態を確認するための処理である。
ステップS4の処理の実行中、上記温度差が5度以下となったと判定された場合(ステップS4でYES)、引き続き診断時駆動制御手段405は、当該冷間状態で、所定の期間、定着装置200を回転駆動(冷間駆動)する制御を行う(ステップS5)。具体的に、診断時駆動制御手段405は、加圧ローラ203の回転とハロゲンヒータ202A、202Bの駆動とを同時に行う熱間時から上記回転および加熱を停止する冷間時へ移行したことをステップS5の判定結果によって確認した後、当該冷間状態で、所定の期間、すなわち本実施形態の設定においては120秒間、加圧ローラ203を非加熱回転駆動し、かつ、加圧ローラ203に従動して定着ベルト201も回動(連れ回し)させる。
診断時駆動制御手段405は、ステップS5での冷間状態で加圧ローラ203および定着ベルト201を非加熱回転駆動(冷間駆動)する所定の期間を、例えば定着ベルト201が一周以上回転する期間としてしてもよい。この場合、当該非加熱回転駆動時(冷間駆動時)に定着ベルト201を一周周以上回転させることで、定着ベルト201の周方向の検知温度のバラツキを平均化でき、より多くの摩擦熱を発生させてトルクに対する感度を上昇させることができる。
ステップS5での冷間駆動においては、加圧ローラ203の加圧状態は例えば通紙時と同じ値に制御される。但し、これに限らず、加圧ローラ203を駆動する駆動モータに余裕があれば、増圧したり、又は回転数を早めたりすることで昇温を加速するようにしてもよい。例えば、定着ベルト201の回転数に関しては、加圧ローラ203および定着ベルト201を通常印刷(プリント)時の回転速度よりも速い回転速度で回転駆動するようにしてもよい。冷間駆動時の定着ベルト201の回転速度が通常プリント時の回転速度よりも速ければ、摩擦発熱が大きくなり、寿命診断を行うための待ち時間が少なくなるため、好ましい。
ステップS5に続く処理として、寿命診断手段406は、診断時駆動制御手段405により加熱停止とされている状態のまま、定着ベルト201の温度を測定する処理を実行する(ステップS6)。ここで寿命診断手段406は、定着ベルト温度センサ410の検知出力を取り込み、該検知出力を処理して定着ベルト201の温度を測定する。この定着ベルト201の温度の測定は、ステップS5での冷間駆動が実施される上記所定の期間、継続される。
引き続き、寿命診断手段406は、寿命診断データ記憶手段401から寿命診断温度a1およびa2の各データを読込み、上記所定の期間中に測定された定着ベルト201の温度の昇温結果、つまり、当該所定期間中の定着ベルト温度センサ410により検知された定着ベルト201の温度変化が、寿命診断温度a1以上であるか否かを判定する(ステップS7)。
ここで、上記所定の期間の定着ベルト201の温度変化が寿命診断温度a1以上でないと判定された場合(ステップS7でNO)、最初の処理に戻る。
これに対し、上記所定の期間の定着ベルト201の温度変化が寿命診断温度a1以上であると判定された場合(ステップS7でYES)、次いで寿命診断手段406は、定着ベルト201の温度が、上記寿命診断温度a2以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
ここで、定着ベルト201の温度の昇温範囲が寿命診断温度a2以上でないと判定された場合(ステップS8でNO)、寿命報知手段407は、定着装置200の寿命が近い旨の報知を行う(ステップS9)。具体的に、寿命報知手段407は、操作部310のタッチパネルの表示領域310aに、例えば、図7に示すように、「もうすぐ定着ユニットが寿命です。サービスに連絡して下さい。」等のメッセージ320を表示する制御を行う。
その後、この寿命診断処理は最初に戻る。本実施形態における上述した寿命診断タイミングの設定によれば、次の寿命診断処理は10k枚の印刷が行われた後に実行され、その後は、さらに10k枚の印刷が完了する毎に繰り返し実行される。
これに対し、上記所定期間の定着ベルト201の温度変化が寿命診断温度a2以上であると判定された場合(ステップS8でYES)、寿命報知手段407は、定着装置200が寿命に達した旨を報知する(ステップS10)。具体的に、寿命報知手段407は、操作部310のタッチパネルの表示領域310aに、図7に示したメッセージ320よりも警句度の高いメッセージを表示する。具体的には、例えば、「定着ユニットが寿命です。間もなく停止します。サービスに至急連絡して下さい。」等のメッセージを表示する制御を行う。その後、この寿命診断処理は、終了する。
このように、寿命診断制御部400は、定着ベルト201の所定の期間内の温度変化がNG超え温度の場合には、早急に交換する旨の表示を出すなど、表示方法を変えることが有用である。なお、機械動作を停止させるかどうか、つまり、「間もなく停止します。」等のメッセージ報知を行うかどうかは、機械の特性によって決めておく必要がある。通常は、使われ方の厳しいユーザー先の使用条件を想定して決定した使用枚数で、充分使用できる状態でも全ての機械のユニット交換をしてきたが、本実施形態では、実質的に使えるところまで使うことが可能となった。
なお、図6に示す寿命診断制御では、所定の期間冷間駆動して、定着ベルト201の温度を測定し、当該所定の期間における定着ベルト201の温度の昇温範囲が定着ユニットのトルクNGレベルの温度以上かどうかに応じて寿命を診断するようにしたが、これに限らず、冷間駆動中の定着ベルト201の温度を上記所定の期間連続して取得し、当該所定の期間内の定着ベルト201の昇温の傾きに応じて寿命の診断を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、診断時駆動制御手段405の機能として、枚数カウンタ420の計数結果に基づいて、定期的に、非加熱回転駆動時における定着ベルト201の回転のチェックを行う制御機能を設けてもよい。この制御機能により、定期的に、例えば、印刷枚数が所定枚数となるごとに、あるいは、加圧ローラ203と定着ニップとの間に連続して搬送される記録材Sの搬送間隔(紙間距離)が大きくなるごとに、ステップS5での非加熱回転駆動を行う上記所定の期間や、定着ベルト201の回転速度を調整することが可能になる。また、上記所定の期間や、定着ベルト201の回転速度を調整可能な構成によれば、定着装置200の経時変動を把握し、精度の高い寿命診断を行うことが可能になる。
本実施形態に係る定着装置200は、定着ベルト201、加圧ローラ203およびニップ構成部材により摺動定着機構が構成され、定着ベルト201の裏面とニップ構成部材との間の摺動部に潤滑剤を使用する。潤滑剤は、常温時には粘土が下がり高温時には粘土が上がる性質を有するため、摺動定着構造にあっては、定着を行う際には、定着ベルト201および加圧ローラ203の回転駆動を常温で行うことはなく、加熱した状態で行うようになっている。これは、常温時に潤滑剤の粘土が下がらず高トルクとなることを回避するためである。このため、摺動定着構造にあっては、上述した加熱した状態つまり熱間時には温度差が埋もれてしまうため、回転トルクの推定に好適な温度変化は冷間時(冷間状態)でないと抽出することはできない。
この点に鑑み、本実施形態では、定着ベルト201の温度が充分な摩擦力を得られる温度まで低下した冷間時に、所定の期間、非加熱回転させて、該所定の期間における定着ベルト201の温度変化に応じて寿命判断を行うため、定着ベルト201を加圧ローラ203との摩擦力により効率よく発熱させ、その際の定着ベルト201の温度変化からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を行うことができるようになる。
上述したように、本実施形態は、当該定着装置200の寿命を診断する制御を行う寿命診断制御部400を備え、該寿命診断制御部400は、ハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱を停止した冷間状態で、所定時間(所定期間)、加圧ローラ203および定着ベルト201を回転させて摩擦熱による定着ベルト201の温度を測定し、上記所定期間における定着ベルト201の昇温結果に基づいて寿命判断制御を行う構成である。つまり、本実施形態は、上記所定期間内に定着ベルト201の温度が何度上昇したか(昇温結果)に応じて寿命判断制御を行うようになっている。
この構成により、本実施形態では、定着装置200に必ず配置されている温度センサ(例えば、定着ベルト温度センサ410)を使って寿命を判断することができ、構成変更を不要にし、コストアップを回避できる。一律に使用枚数でローラ等の部材を交換していた従来の方法に比べて、まだ使える状態での部材の廃棄を抑制し、機能的な寿命に達するまで使用することが可能になる。
また、本実施形態において、寿命診断制御部400は、上記冷間状態で定着ベルト201を一周以上回転させることにより寿命を判断するよう制御するようになっている。これにより、本実施形態では、冷間状態での回転駆動制御により定着ベルト201を一周周以上回転させることで、定着ベルト201の周方向の検知温度のバラツキを平均化できる。定着ベルト201を一周以上回転させるという条件下で長時間回転させるほど摩擦熱が多く発生し、トルクに対する感度が上がり、正確性が上昇する。
また、本実施形態において、寿命診断制御部400は、上記冷間状態で、定着ベルト201を通常印刷時の回転速度よりも速い回転速度で回転させるようになっている。これにより、本実施形態では、冷間状態での回転駆動制御によって定着ベルト201の回転速度を早くすることで、摩擦熱が多く発生し、定着装置200が寿命に達しているかどうかを短時間で判断することができる。
また、本実施形態において、寿命診断制御部400は、枚数カウンタ420の計数結果に基づき、定期的に、冷間状態での加圧ローラ203および定着ベルト201の回転のチェックを行うようになっている。これにより、本実施形態では、所定の印刷枚数に達したこと、記録材Sの搬送間隔(紙間史距離)が大きくなったことを目安に回転のチェックを行うことができ、定着装置200の経時変動を把握可能であり、精度の高い寿命診断を行うことができる。
また、本実施形態において、ニップ形成部材206は、金属板である構成を有する。これにより、本実施形態では、金属板の熱伝導で軸方向に温度が均一になり、微小な温度上昇を正しく計測することができる。
また、本実施形態において、定着ベルト温度センサ410は、非接触温度センサにより構成されている。この構成により、本実施形態では、定着ベルト201の温度を非接触で検知するため、摩擦力による定着ベルト201の温度上昇に影響を与えることなく、微小な温度上昇を正しく計測することができる。
また、本実形態に係る定着装置200は、定着ベルト201と、加圧ローラ203と、ハロゲンヒータ202A、202Bと、定着ベルト温度センサ410に加えて、寿命の診断タイミングに達したか否かを判定する診断タイミング判定手段403と、定着ベルト201の温度に基づいて寿命の診断に適した温度環境であるか否かを判定する温度環境判定手段404と、電源投入後、診断タイミングに達したと判定され、かつ、寿命の診断に適した温度環境であると判定されることにより、所定期間、ハロゲンヒータ202A、202Bによる加熱を停止した冷間状態で加圧ローラ203および定着ベルト201を回転させる診断時駆動制御を行う診断時駆動制御手段405と、所定期間中の定着ベルト温度センサ410により検知された定着ベルト201の温度変化と予め設定された寿命診断温度(a1、a2)とに基づいて寿命に達したか否かを判断する寿命診断手段406と、寿命に達したと判定された場合、その旨を報知する寿命報知手段407と、を有している。
この構成により、本実施形態に係る定着装置200は、適切な診断タイミングで確実に冷間状態としたうえで、加圧ローラ203との摩擦力により定着ベルト201を効率よく発熱させながら回転トルク推測のために好適な定着ベルト201の温度を検出することができ、推定した回転トルクから寿命を正確に判断することが可能となる。また、寿命に達したことをユーザーに報知することでいち早くその対応を促すことができる。
上述した構成により、本実施形態では、摺動定着を行う定着ベルト201を加圧ローラ203との摩擦力により効率よく発熱させ、その際の定着ベルト201の温度からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を可能にする定着装置200および画像形成装置100を提供することができる。
なお、本実施形態では、寿命診断制御部400は、診断タイミング判定手段403、温度環境判定手段404、診断時駆動制御手段405、寿命診断手段406、寿命報知手段407を有する構成としているが、本発明はこれに限らず、これらの構成要素の一部を削除したもの、追加したもの、あるいは、本実施形態とは構成が異なる各構成要素を採用したもの等、種々の変形が可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
例えば、本発明では、図2に示す構造を有する定着装置200に代えて、図8に示す構造を有する定着装置200Aを採用した構成としてもよい。図8に示す定着装置200Aは、本発明の他の実施形態に係るものであり、ハロゲンヒータ202A、202Bの2本構成とする点は定着装置200と同じであるが、当該ハロゲンヒータ202A、202Bの配置位置が定着装置200とは異なっている。
他の実施形態に係る定着装置200Aは、ステー部材207Aの一方の側にハロゲンヒータ202A、202Bが2本まとめて配置されている。また、定着装置200Aは、ステー部材207Aの構成、および当該ステー部材207Aに取り付ける反射部材209Aの構成が定着装置200と異なっている。なお、ハロゲンヒータの本数は、2本に限らず、1本でもよく、さらには、3本以上備えた構成としてもよい。
以上説明したように、本発明に係る定着装置は、摺動定着を行うベルトを加圧部材との摩擦力により効率よく発熱させ、その際のベルトの温度からトルク上昇値を推測して正確な寿命予測を可能にするという効果を有する。よって、本発明に係る定着装置は、摺動定着機構を有する定着装置および該定着装置を搭載する画像形成装置全般に適用可能である。
100 画像形成装置
200 定着装置
201 定着ベルト(ベルト)
203 加圧ローラ(加圧部材)
206 ニップ形成部材
202A、202B ハロゲンヒータ(熱源)
400 寿命診断制御部(寿命診断制御手段)
401 寿命診断データ記憶手段
402 温度検知手段
403 診断タイミング判定手段
404 温度環境判定手段
405 診断時駆動制御手段
406 寿命診断手段
407 寿命報知手段
410 定着ベルト温度センサ(温度検知部材)
413 機内温度センサ
420 枚数カウンタ
200 定着装置
201 定着ベルト(ベルト)
203 加圧ローラ(加圧部材)
206 ニップ形成部材
202A、202B ハロゲンヒータ(熱源)
400 寿命診断制御部(寿命診断制御手段)
401 寿命診断データ記憶手段
402 温度検知手段
403 診断タイミング判定手段
404 温度環境判定手段
405 診断時駆動制御手段
406 寿命診断手段
407 寿命報知手段
410 定着ベルト温度センサ(温度検知部材)
413 機内温度センサ
420 枚数カウンタ
Claims (8)
- 可撓性を有する無端状のベルトと、
前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトに対向する加圧部材と、
前記ベルトの内側に設けられ、前記ベルトと前記加圧部材との間に定着ニップを形成するニップ形成部材と、
前記ベルトを加熱する熱源と、
前記ベルトの温度を検知する温度検知部材と、
寿命診断制御手段と、を備え、
前記寿命診断制御手段は、前記熱源による加熱を停止した冷間状態で、所定期間、前記加圧部材および前記ベルトを回転させて摩擦熱による前記ベルトの温度を測定し、前記ベルトの温度の昇温結果に基づいて寿命判断制御を行うことを特徴とする定着装置。 - 前記寿命診断制御手段は、前記冷間状態で、前記ベルトを一周以上回転させることにより前記寿命を判断するように制御することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記寿命診断制御手段は、前記冷間状態で、前記ベルトを通常印刷時の回転速度よりも速い回転速度で回転させることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記寿命診断制御手段は、印刷枚数を計数する計数手段の計数結果に基づき、定期的に、前記冷間状態での前記加圧部材および前記ベルトの回転のチェックを行うことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記ニップ形成部材は、金属板であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記温度検知部材は、非接触温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 可撓性を有する無端状のベルトと、
前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトの内側に設けられるニップ形成部材の配置位置で前記ベルトに対向する加圧部材と、
前記ベルトを加熱する熱源と、
前記ベルトの温度を検知する温度検知部材と、
当該定着装置の寿命を診断する診断タイミングに達したか否かを判定する診断タイミング判定手段と、
前記ベルトの温度に基づいて前記寿命の診断に適した温度環境であるか否かを判定する温度環境判定手段と、
電源投入後、前記診断タイミングに達したと判定され、かつ、前記寿命の診断に適した温度環境であると判定されることにより、所定期間、前記熱源による加熱を停止した冷間状態で前記加圧部材および前記ベルトを回転させる診断時駆動制御を行う診断時駆動制御手段と、
前記所定期間中の前記温度検知部材により検知された前記ベルトの温度変化と予め設定された寿命診断温度とに基づいて前記寿命に達したか否かを判断する寿命診断手段と、
前記寿命に達したと判定された場合、その旨を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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- 2018-03-30 JP JP2018067005A patent/JP7003801B2/ja active Active
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