JP5609717B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

定着装置および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5609717B2
JP5609717B2 JP2011050612A JP2011050612A JP5609717B2 JP 5609717 B2 JP5609717 B2 JP 5609717B2 JP 2011050612 A JP2011050612 A JP 2011050612A JP 2011050612 A JP2011050612 A JP 2011050612A JP 5609717 B2 JP5609717 B2 JP 5609717B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
temperature control
fixing belt
detection
fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011050612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012189626A (ja
Inventor
康弘 石原
康弘 石原
渡辺 功
功 渡辺
博之 吉川
博之 吉川
孝輔 佐々木
孝輔 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2011050612A priority Critical patent/JP5609717B2/ja
Publication of JP2012189626A publication Critical patent/JP2012189626A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5609717B2 publication Critical patent/JP5609717B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関し、特に、抵抗発熱体層を有する加熱回転体を用いた定着装置において、抵抗発熱体層の局所的な異常発熱を検出する技術に関する。
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置の定着装置として、ジュール発熱する抵抗発熱体層を有するベルトを用いた定着装置が利用されている(例えば、特許文献1)。
このような方式の定着装置は、記録シートに接触する定着ベルト自体に熱源を持たせているので、熱効率が高く、低消費電力化やウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。
図10(a)は、かかる定着ベルトを用いた定着装置800の構成例を示す概略斜視図であり、図10(b)は、その定着ベルト部分の拡大図である。
同図に示すように、定着装置800は、定着ベルト854、押圧ローラ850、加圧ローラ860および交流電源に接続された一対の給電ローラ870などを備えている。
定着ベルト854は、抵抗発熱体層854bを含む円筒状の弾性変形可能なベルトであって、幅方向(Y軸方向)の両端部の外周において、抵抗発熱体層854b上に電極854eが形成されたものである。
押圧ローラ850は、芯金851の表面が弾性層852で覆われており、定着ベルト854の内側に遊挿されている。
加圧ローラ860は、定着ベルト854の外側に配され、定着ベルト854を介して押圧ローラ850を押圧し、定着ニップ830を形成する。
また、加圧ローラ860は、駆動モータ(不図示)からの駆動力を受けて矢印P方向に回転する。この駆動力が定着ベルト854を介して押圧ローラ850に伝わることにより、定着ベルト854と押圧ローラ850とが同図の矢印Q方向に従動回転する。
一対の給電ローラ870は、定着ベルト854の外側から当該定着ベルト854の電極854eに接触して、同図10(a)の下方に押し付けるように構成されており、これにより、定着ベルト854の抵抗発熱体層854bに給電される。
以上の構成において、定着ベルト854が周回駆動されつつ、給電ローラ870を介して抵抗発熱体層854bの両端部に設けられた電極854eにそれぞれ電力が供給されると、電気抵抗としては、電極854eの方が抵抗発熱体層854bよりも遥かに小さいため、各一対の電極854eの全周の電位が、それぞれに接触している給電部材の電位とほぼ等しくなり、図10(a)に示すように、抵抗発熱体層854b全体にY軸方向の電流Iが流れ、抵抗発熱体層854bが発熱する(電流Iの向きは周期的に逆転するため、同図10(a)における電流Iの向きは、ある一瞬における状態を例示している。)。
このとき、定着ベルト854は、定着ニップ830と給電ローラ870に押し付けられている部分以外で、他の部材との接触が生じていないため、熱が周囲に逃げにくく、ジュール発熱により定着ニップ830の領域が効率的に昇温され、記録シート(不図示)上に形成されたトナー像が定着ニップ830を通過する際に、加熱、加圧されて当該記録シートに熱定着される。
上述のように抵抗発熱体層を用いた定着装置800は熱効率に優れているが、その一方で、不適切なジャム処理や、ステープルなどの異物の混入により、図10(b)の部分拡大図に示すように、抵抗発熱体層854bに傷854sが生じる場合がある。
そうすると、Y軸方向に流れていた電流が当該傷854sを迂回して流れざるを得なくなり、電流が迂回して流れる部分891では、電流密度が局部的に増加し、温度が急上昇するいわゆる異常発熱部が発生してしまう。
この異常発熱部を放置しておくと、異常発熱部分が、ベルトの回転に伴ってローラに繰り返し接するために、ローラの表面を損傷するおそれがあるため、即時に電力供給を停止することが望まれる。
このような異常発熱部の発生を検出するためには、定着ベルト854の表面温度を部分的に検出するだけでは足りず、複数の温度検出素子を押圧ローラ850の軸方向に沿って配列して、定着ベルト854を回転させながらその発熱領域の全域の温度を監視する必要がある。
ところが、定着ベルト854の発熱領域の幅は、A4サイズ(横通し)に対応するため300mmを超えており、その幅全域の温度を網羅して検出するためには、非常に多くの温度検出素子が必要となり、そのためのコストアップが避けられない。
そこで、本願発明者らは、検出視野角の広い赤外線温度センサを、定着ベルト854の表面から所定距離だけ離して設置することを考案した。これにより1個の赤外線温度センサの検出幅が広がり、定着ベルト854の幅方向全域を検出するために必要な個数を大幅に少なくすることができ、コストダウンを図ることができる。
特開2009−109997号公報
しかしながら、赤外線温度センサは、その検出領域全体から放出される赤外線エネルギーを受光して検出信号を出力するため、結局は、当該検出領域における平均温度が得られるに過ぎず、上述のように検出視野角の広い赤外線温度センサを用いた場合、その検出領域に局所的な異常発熱部が発生していても、検出温度としてはそれほど大きく変化しない。
一方、定着ベルトの温度制御は、抵抗発熱体層への電力供給をON・OFF制御するため、制御目標となる温度(目標温度)を中心にして、温度が小刻みに上下に変動しながら推移するいわゆる温度リップル(温調リップル)が発生する。
上述のように異常発熱部の検出温度の変化が小さい上に、上記の温度リップルが生じると、当該温度リップルがいわばノイズとなって、上記異常発熱部の検出を精度よく行えないという問題がある。
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたものであって、検出視野角の広い温度検出素子を用いてコストダウンを図りつつ、異常発熱部の検出を比較的精度よく行うことができる定着装置および、当該定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る一つの態様は、抵抗発熱体層を有する加熱回転体の周面に加圧部材を押圧させてニップ部を形成し、当該ニップ部に、未定着画像が形成された記録シートを通紙して熱定着させる定着装置であって、前記加熱回転体の抵抗発熱体層に電力を供給する電源手段と、前記加熱回転体の表面温度が定着可能な目標温度になるように前記電源手段による電力の供給を制御する第1の温度制御と、前記第1の温度制御の実行時よりも温度リップルが小さくなるように前記電源手段による電力の供給を制御する第2の温度制御と、を選択的に実行する温度制御手段と、所定角度以上の検出視野角を有する温度検出素子を、その検出領域が前記加熱回転体の発熱領域を、記録シートの通紙方向と直交する方向において網羅するように、1または複数個配設してなる温度検出手段と、前記温度検出手段からの出力結果に基づき、加熱回転体の周面に異常発熱部が発生しているか否かを判定する異常発熱判定手段とを備え、前記温度制御手段は、前記第2の温度制御において、当該第2の温度制御時に生じる温度リップルを温度検出手段の検出したときの温度変化量が、前記異常発熱部を温度検出手段で検出したときにおける温度変化量よりも小さくなるように前記電源手段による電力の供給を制御すると共に、前記異常発熱判定手段は、前記第2の温度制御が実行されている間において前記温度検出手段により検出された温度検出結果に基づき、異常発生部の発生の有無を判定することを特徴としている。
上記構成によれば、温度検出手段は、所定角度以上の検出視野角を有する温度検出素子を1または複数個備えて、その検出領域が前記加熱回転体の発熱領域を記録シートの通紙方向と直交する方向において網羅するようにしているため、従来の構成に比べて異常発熱部の検出に必要な温度検出素子の個数を大幅に少なくすることができ、コストダウンを図れる。
また、温度制御手段は、前記加熱回転体の表面温度が定着可能な所定の目標温度になるように前記電源手段による電力の供給を制御する第1の温度制御のほかに、第1の温度制御の実行時よりも温度リップルが小さくなるように電力の供給を制御する第2の温度制御を選択的に実行し、判定手段が当該第2の温度制御が実行されている間において温度検出手段により検出された温度検出結果に基づき異常発生部の発生の有無を判定するようにしているので、1個の温度検出素子の検出領域が広くなったために異常発熱部検出時における出力変化が小さくなったとしても、第2の温度制御では温度リップルも小さくなってノイズ量が減少しているので、比較的精度よく異常発熱部の発生を判定することができる。
ここで、前記第2の温度制御時において、前記電源手段により供給される電力の大きさは、単位時間において加熱回転体から失われる熱量と電力供給による抵抗発熱体層による発熱量が等しくなって温度飽和状態を生じさせるような値に設定されていることとしてもよい。
また、前記温度飽和状態でおいて維持される定着ベルトの表面温度は、前記定着可能な目標温度よりも低いこととすることができる。
また、ウォームアップ開始のタイミングであるか否かを判定するウォームアップ判定手段を備え、前記温度制御手段は、前記ウォームアップ判定手段によりウォームアップ開始のタイミングであると判定された場合に、まず、第2の温度制御を実行して、異常発熱判定手段により加熱回転体の周面に異常発熱部が発生しているか否かの判定をさせ、その後、加熱回転体の表面温度を第1の温度制御における目標温度まで立ち上げる第3の温度制御を実行することとしてもよい。
前記温度検出素子は、赤外線温度センサであるとしてもよい。
また、本発明の他の態様は、上記構成の定着装置を備えた画像形成装置であってもよく、これにより上記定着装置と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係るプリンタの構成を示す概略図である。 上記プリンタにおける定着部の主要部の構成を示す斜視図である。 図2の定着部の横断面図である。 定着ベルトの積層構造を説明するための部分断面図である。 各赤外線センサの検出領域を説明するための平面図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 (a)は通常の定着ベルトの温度制御における時間と、一の赤外線センサより検出された定着ベルトの表面温度との関係を示すグラフであり、(b)は、(a)において定着ベルトに異常発熱部が発生したときの検出温度の変化を示すグラフである。 (a)は、本実施の形態におけるリップル低減温度制御により、定着ベルトの表面温度が100℃付近で温度飽和が生じる様子を示すグラフであり、(b)は、当該温度飽和が発生しているときに、異常発熱部が検出されたときの温度変化を示すグラフである。 制御部によって実行される異常発熱部検出処理の制御内容を示すフローチャートである。 (a)は、従来の定着装置の斜視図であり、(b)は、その要部拡大図である。
<実施の形態>
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、タンデム型フルカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)を例にして図面に基づき説明する。
(1)プリンタの全体構成
図1は、プリンタの構成を示す概略図である。
同図に示すように、プリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着部5および制御部60などを備えている。
このプリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続されていて、外部の端末装置(不図示)からのプリントジョブの実行指示を受付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンダ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成した後、記録シートへ二次転写する構成を有している。
以下、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各再現色をY,M,C,Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのY,M,C,Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部3Y,3M,3C,3K、露光走査部10、中間転写ベルト11などを備えている。
作像部3Yは、感光体ドラム31Y、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラ34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを備えており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。他の作像部3M〜3Kも、作像部3Yと同様の構成になっており、同図では簡略化のため符号の表記を省略している。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印A方向に循環走行される。
露光走査部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号に基づき、Y〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、各感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査する。
この露光走査により、帯電器32Y〜32Kにより帯電された感光体ドラム31Y〜31K上に静電潜像が形成される。
各静電潜像は現像器33Y〜33Kにより現像されて、感光体ドラム31Y〜31K上にY〜K色のトナー像が作像される。
作像された各トナー像は、一次転写ローラ34Y〜34Kに印加された電圧による静電力により中間転写ベルト11上に一次転写される。この際、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト11の同じ位置に重ね合わせて多重転写されるように、作像部3Y,3M,3C,3Kにおける作像動作は、中間転写ベルト11の走行方向上流側から下流側に向けて、タイミングをずらして実行される。
給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に一枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えている。
記録シートSは、中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の移動とタイミングに合わせて給紙部4から二次転写位置46に搬送され、二次転写ローラ45に印加された電圧による静電力により、中間転写ベルト11上のトナー像が、給紙部4より搬送されてきた記録シートS上に一括して二次転写される。
トナー像(未定着画像)が転写された記録シートSは、さらに定着部5に搬送される。当該定着部5において、当該トナー像が加熱・加圧されて熱定着される。その後、記録シートSは、排出ローラ対71を介して排出トレイ72上に排出される。
制御部60は、これら画像プロセス部3、給紙部4および定着部5の動作を制御するものであり、詳細については後述する。
(2)定着部の構成
図2は、定着部5の主要部の構成を示す斜視図であり、図3は、図2における押圧ローラ52の回転軸に直交する仮想面αにおける断面をY’方向から見たときの概略図である
図2に示すように定着部5は、抵抗発熱体層を有する無端状の定着ベルト51と、定着ベルト51の内側に遊嵌された押圧ローラ52と、定着ベルト51の外側に配された加圧ローラ53と、定着ベルト51に電力を供給する給電部材54a,54bと、温度センサ群57などを備えている。
この定着部5において、加圧ローラ53が、定着ベルト51を介して押圧ローラ52に押圧され、定着ベルト51と加圧ローラ53との間に定着ニップ部N(図3参照)が形成されている。
また、加圧ローラ53は、不図示のモータを動力源とし、歯車ギアやベルトなどの動力伝達機構を介して矢印J2方向に回転駆動される。押圧ローラ52および定着ベルト51は、加圧ローラ53の回転に従動して矢印J1方向に回転駆動される。もっとも、押圧ローラ52の方を回転駆動し、加圧ローラ53が押圧ローラ52に従動回転する構成や、押圧ローラ52および加圧ローラ53がそれぞれモータにより回転駆動される構成としてもよい。
以下、定着部5における各構成要素について詳しく説明する。
(定着ベルト)
定着ベルト51の外周面には、その幅方向(押圧ローラ52の回転軸方向と平行な方向)における両端部に、給電部材54a,54bと接触して電力供給を受ける電極515a,515bが設けられている。
図4は、定着ベルト51の積層構造を説明するための、電極515b側の端部を含む部分における断面図である。
同図に示すように、定着ベルト51の電極が設けられていない領域では、絶縁層511、抵抗発熱体層512、弾性層513および離型層514がこの順で積層された積層構造をしている。一方、電極の領域では、絶縁層511、抵抗発熱体層512および電極515bがこの順で積層されている。なお、定着ベルト51の電極515a側の端部でも同様の構成である。
絶縁層511は、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱性絶縁樹脂からなる。
抵抗発熱体層512は、樹脂材料に導電性フィラーを分散して構成されてなり、電力供給を受けてジュール熱を発生するものである。当該樹脂材料としては、PI,PPS,PEEK等の耐熱性樹脂を用いることができる。導電性フィラーとしては銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等の金属や、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンマイクロコイル等のカーボン系材料、およびこれらのうち2種類以上混合して分散させたものを用いることができる。
この導電性フィラーの形状は、同一含有量でフィラー同士の接触する確率を高くするため、繊維状が望ましい。抵抗発熱体層512の電気抵抗率は、1.0×10−5〜5.0×10−3[Ω・m]となるように導電性フィラーの分散量が調整される。
弾性層513は、耐熱性、弾性および絶縁性を有するゴム材や樹脂材、例えばシリコーンゴムからなる。この弾性層513を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止している。
離型層514は、定着後の記録シートSとの離型性を高めるための絶縁性の層であり、耐熱性を有し、離型性に優れた樹脂材料からなる。当該樹脂材料として、例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。
各層の厚さは、絶縁層511が5〜100[μm]、抵抗発熱体層512が5〜100[μm]、弾性層513が10〜800[μm]、離型層514が5〜100[μm]である。
電極515a,515bは、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、真鍮、リン青銅等の金属材料で構成されている。電極515a,515bは、それぞれ抵抗発熱体層512の外周面に沿って、上記金属材料を、例えばメッキすることによって環状に形成されている。
本実施の形態では、定着ベルト51の幅(押圧ローラ52の軸方向における長さ)は、記録シートSの最大通紙幅(A3縦通し)よりも大きい長さ、例えば360[mm]程度に設定されている。
(押圧ローラ)
図2に戻って、押圧ローラ52は、長尺で円柱状の芯金521の周囲に弾性層522が形成されてなり、その両端部の軸部523で不図示のフレームに軸受けされる。
芯金521は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等からなり、弾性層522は、耐熱性および断熱性の高い、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の発砲弾性体などの材料からなる。弾性層522の厚みは1〜20[mm]が望ましい。
ここでは、芯金521の外径が約20[mm]、弾性層522の厚みが約10[mm]である。また、押圧ローラ52の軸部523を除いた長さは、定着ベルト51の幅寸法と等しい。
(加圧ローラ)
加圧ローラ53は、長尺で円柱状の芯金531の周囲に、弾性層532と離型層533とがこの順に積層され、その両端部の軸部534で不図示のフレームに軸受けされる。
芯金531は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等からなる。弾性層532は、例えば、シリコーンゴムからなり、離型層533は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂からなる。弾性層532の厚みは1〜20[mm]、離型層533の厚みは10〜50[μm]が望ましい。
本実施の形態では、芯金531(軸部531a,531bを除く)の外径が約30[mm]、弾性層532の厚みが約3[mm]である。また、加圧ローラ53の軸部534を除いた長さは、記録シートSの最大通紙幅よりも大きく、かつ電極515a,515bと接触しない大きさ330[mm]に設定されている。
(給電部材)
給電部材54a,54bは、直方体状のカーボンブラシであり、摺動性および電導性を有する銅黒鉛質や炭素黒鉛質等の材料からなる。給電部材54a,54bは、それぞれリード線55を介して電力供給部6に接続されている。
電力供給部6は、制御部60(図6参照)からの指示に基づいて、当該給電部材54a,54bを介して抵抗発熱層512へ所定の電力を供給する。
(温度センサ群)
温度センサ群57は、サーモパイルを検出素子とする赤外線温度センサ(以下、単に「赤外線センサ」という。)571〜575を、定着ベルト51の外周面から一定の距離をおいて、押圧ローラ52の回転軸に平行な方向に等間隔で列状に配設してなる。
赤外線センサ575は、図3に示すように、1個のサーモパイルを内蔵する赤外線検知部575aを基板575bに実装してなり、基板575bが不図示のフレームにより保持されている。
各赤外線検知部575aの受光面には、凸レンズ(不図示)が配設されて検出視野角が広くなっている。本実施の形態では、図5の定着ベルト51部分の平面図に示すようにその検出視野角が、受光面に直交する方向に対して、外側に角度β(本実施の形態ではおよそ15°)の広がりを有するものが使用されており、その検出領域γが大きく取られている。温度センサ571〜574も同様の構成である。
そして、各赤外線センサ571〜575は、定着ベルト51の電極515a、515bを除く発熱領域の軸方向における範囲を5分割して、それぞれが分割された領域における温度を検出するようになっている。もっとも、各赤外線センサ571〜575の隣接する検出領域は多少重なってもよい。
これにより、定着ベルト51の発熱領域における軸方向の全ての位置における表面温度の検出がなされ、定着ベルト51を回動させながら検出することにより、当該発熱領域の全周分の表面温度を監視することができる。
なお、各赤外線センサ571〜575は、必ずしも押圧ローラ52の回転軸と並行に列設される必要はなく、定着ベルト51の周方向において異なる位置であっても、定着ベルト51の回動によりそれらの検出領域が、定着ベルト51の発熱領域の回転軸方向の全域をカバーするように軸方向に一定の間隔で配設されておればよい。
(3)制御部
図6は、制御部60の構成と、制御部60による制御対象となる主構成要素との関係を示すブロック図である。
同図に示されるように、制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61、通信インターフェース(I・F)部62、画像処理部63、画像メモリ64、レーザダイオード駆動部65、ROM(Read Only Memory)66、RAM(Random access Memory)67、画像EEPROM68などを備えている。
通信I・F部62は、外部の端末とLANを接続するためのLANカードやLANボードであり、LANを介して外部端末から受け付けたプリントジョブにおける画像データを受信してCPU61へ送る。
画像処理部63は、外部端末から受信した画像データに対して、画像形成に適したフォーマットに変換する処理(ビットマップ展開)のほか、BGRの画像データを現像色のCMYKの画像データに変換する色変換など公知の画像処理を施し、画像メモリ64内にページ毎に保存する。
レーザダイオード駆動部65は、CPU61の指示に基づき、画像メモリ64から各現像色の画像データを読み出して露光走査部10におけるレーザダイオードを駆動して、各作像部3Y〜3Kの感光体ドラムを露光走査し、上述の手順により記録シート上に画像を形成する。
また、ROM66には、プリンタ1における各部の動作を制御するためのプログラムや各プログラムの実行の際に使用される閾値などが格納されている。
RAM67は、揮発性メモリであって、CPU61におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
EEPROM68は、記録可能な不揮発性メモリであって、プリント枚数の累積値などを記憶する。
電力供給部6は、定着部5における定着ベルト51の抵抗発熱体層512に給電部材54a、54bを介して必要な電力を供給するものである。
CPU61は、ROM66から必要なプログラムを読み出して、プリンタ1の各部を制御して円滑に画像を形成させる。
また、CPU61は、温度センサ群57のうち例えば、中央の赤外線センサ573の出力信号に基づき、電力供給部6から抵抗発熱体層512に供給する電力を制御して定着可能な温度に維持させる(以下、「温調制御」という。)と共に、温度センサ群57の571〜575の出力に基づき定着ベルト51における異常発熱部の発生の有無を判定する。
また、操作パネル部70は、プリンタ1の上部の操作しやすい位置に配設され、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイに積層されたタッチパネルや各種指示を入力するための操作ボタン等から構成され、タッチパネルや操作ボタン等の操作を介してユーザから各種指示持の入力を受付ける。液晶ディスプレイには、印刷設定画面等の操作画面や、各種のメッセージが表示される。
(4)定着ベルト51の異常発熱部検出処理
次に、本実施の形態に係る異常発熱部検出処理について説明する。
(4−1)概要
図7(a)は、定着ベルト51に異常発熱部が発生していないときに、温度センサ群57のうち、例えば、赤外線センサ573で検出される定着部5の定着ベルト51の表面温度の変化の例を示すものである。
図7(a)において、横軸は、ウォームアップ開始後の経過時間を示し、縦軸は定着ベルト51の表面温度を示す。
装置に電源が投入されると、制御部60は、短時間で定着可能な温度に到達できるように大きな電力(例えば、1000W)を、抵抗発熱体層512に連続して供給するように電力供給部6を制御する(ウォームアップ制御)。なお、この電力の制御は、例えば、公知のPWM制御によるが、これに限定されるものではない。
そして、定着ベルト51の表面温度が上昇して、トナーの定着が可能な所定の目標温度(この温度は、使用するトナーの種類や機種ごとに決定される。本例では「180℃」としている。)に達すると(時刻tw)、抵抗発熱体層512への電力の供給を断続的にON・OFFして当該目標温度に維持されるように制御する(温調制御)。
具体的に、定着ベルト51の表面温度が上昇して目標温度180℃に達すると電力供給をOFFにし、その後表面温度が下降して180℃になると電力供給をONにする制御を行う。この際、電力供給のON・OFF制御と、実際の定着ベルト51の表面温度の変化との間に遅延が生じ、図7(a)に示すように温度180℃を中心にして定着ベルト51の表面温度が変動するため、温度リップルの発生が避けられないが、この温度リップルの変動量ΔT1はおよそ10℃程度なので、定着動作自体には影響を及ぼさない。
ところが、図5に示すように定着ベルト51の表面に傷51aが発生した場合には、赤外線センサ573の検出結果には、図7(b)に示すように周期的(定着ベルト51の回転周期)に、逆W形状に温度が変化する箇所Paが生じる。
図10(b)で説明したように傷のある箇所には電流が流れないので、その部分は温度が下がり、当該傷の周囲で電流密度が上がって温度が上昇するため、このような逆W形状の温度変化が生じるのである。
異常発熱部における温度変化のpeak to peakの値ΔT2は、上述のように広範囲の検出領域の温度が平均化されるため、仮に異常発熱部の実温度か傷51aの周囲の定着ベルト51の温度より50℃程度高くなったとしても、検出された温度の変動量ΔT2は、5℃程度に過ぎない。そのため、上記温度リップルによる変動量ΔT1よりも大幅に小さくなり、異常発熱部の検出が困難となる。
すなわち、微小な変動量ΔT2を検出するため、その閾値を小さくすると、温度リップルにおける変動量ΔT1まで、異常発熱部と検出してしまうおそれがあり、反対に閾値を大きくすると異常発熱部の検出が困難になってしまうからである。
このような誤検出のおそれは、定着温度の温調制御時における温度リップル発生時のみならず、ウォームアップ制御時等において温度が比較的急勾配で変化している場合にも生じる。
そこで、本実施の形態では、温度リップルが生じない温度制御(以下、「リップル低減温度制御」という。)の区間を強制的に創出して、当該区間において異常発熱部の検出処理を実行することにより検出精度を向上するようにしている。
そのために、まず、ウォームアップ開始に先立って、ウォームアップの制御時よりも小さな電力を抵抗発熱体層512に供給する(例えば、200W程度)。
すると、定着ベルト51の温度は、図8(a)に示すように緩やかな勾配で上昇し、やがて定着温度の180℃に到るまでの所定の温度(本例では100℃付近)で、単位時間において、抵抗発熱体層512のジュール発熱により発生する熱量と、定着ベルト51から周囲に放熱される熱量とが等しくなって均衡状態(温度飽和)を保ち、定着ベルト51の表面温度が上昇も下降もせずに一定となる区間(以下「温度飽和区間」という。)Dsが発生する。
この温度飽和区間Dsでは電力供給部6から連続して小電力を供給しており、温調制御時のようにON・OFF制御を行っていないので、温度リップルが発生しない。
このとき定着ベルト51に異常発熱部51aが発生すると、図8(b)のように微小な温度変化ΔT2が周期的に発生するが、上述のように温度飽和区間Dsでは、温度リップルがなくノイズが発生していないので、閾値を小さくして精度よく異常発熱部による温度変動量ΔT2を検出することができる。
(4−2)フローチャート
図9は、制御部60により実行される異常発熱部検出処理の制御内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、ウォームアップ開始のタイミングであるか否かを判断する。このタイミングとしては、まず、(a)装置に電源が投入された場合が該当するが、その他、(b)所定時間画像形成動作を実行していない場合に、自動的に定着ベルト51における温調制御の目標温度を十分低くして(例えば、60℃程度)節電する節電モードが設けられている場合には、当該節電モードが操作パネル部70の操作やプリントジョブの受信により解除されたときに、ウォームアップのタイミングであると判断される。
さらには、(c)プリンタ1のメンテナンス用の扉(不図示)が閉じられたことが、公知の開閉検出スイッチなどにより検出されたときであってもよい。通常、メンテナンス用の扉が開閉されるのは、ジャム処理やユニットの交換などの場合がほとんどであり、扉が開放されると安全のため定着部5への電源が遮断され、定着ベルト51の温度が低下するので、扉を閉めた後にすぐにウォームアップして、中断したプリントを継続して実行させる必要があるからである。
ウォームアップ開始のタイミングであると判断された場合には(ステップS11でYES)、すぐにリップル低減温度制御を開始する(ステップS12)。
上述のように、この制御は、ウォームアップ制御時よりも十分小さな電力を連続供給することによりなされる。定着ベルト51の温度が徐々に上昇し所定時間tsが経過すると、温度飽和となって温度勾配が「0」になり、温度リップルも生じない。
この温度飽和に到るまでの時間tsは、装置の置かれている環境温度によって異なるので、通常装置の使用が予定されている温度範囲において、温度飽和までに必要な時間を予め求めておき、その最大値をtsとすればよい。
もっとも、リップル低減制御開始時の定着ベルト51の表面温度と時間tsの関係を予め実験などで求めてテーブル化してROM66内に格納しておき、リップル低減制御開始時に定着ベルト51の表面温度を温度センサ群57のいずれかのセンサで検出して、当該テーブルを参照して時間tsを決定するようにしても構わない。
リップル低減温度制御開始後、時間tsが経過すると(ステップS13でYES)、温度飽和状態となっているので、異常発熱部の監視をスタートさせる。この監視動作は、温度センサ群57の個々の赤外線センサ571〜575の検出値について行われるが、以下では、代表として赤外線センサ573の検出値による監視について説明する。
異常発熱部監視処理において、赤外線センサ573の検出値は、制御部60により所定のサンプリング間隔でサンプリングされる。このサンプリング間隔が大きいと、周方向において表面温度が検出されない箇所が生じるおそれがあるので、定着ベルト51の回転速度との関係でその1周分で発熱領域の全域を漏れなく検出できるように十分小さく設定されている。もっとも、定着ベルト51を複数回転させてその全周の温度を検出するようにしてもよく、それに応じてサンプリング間隔も適宜設定され得る。
以下では、このサンプリングされた検出温度をそのサンプリング順にT1,T2,T3、・・・・Tnとする。
異常発熱部監視処理の開始に当たり、最高温度Tmax=T1、最低温度Tmin=T2に仮設定すると共にn=3としてT3以降について次のステップS15〜S19までの比較処理を実行する(ステップS14)。
ステップS15では、検出温度TnがTmaxよりも大きいか否かを判定し、大きければ(ステップS15でYES)、当該Tnを新たなTmaxとして設定する(ステップS18)。
ステップS15において、検出温度TnがTmaxよりも大きくなければ(ステップS15でNO)、Tmaxは更新せず、次にステップS16に移り、検出温度TnがTminよりも小さいか否かを判定し、小さければ(ステップS16でYES)、当該Tnを新たなTminとして更新する(ステップS17)。検出温度TnがTminよりも小さくなければ(ステップS16でNO)、Tminも更新されない。
そして、TmaxとTminの差分すなわち温度変動量が、所定の閾値ΔTsよりも大きいか否かを判定する。ここで、閾値ΔTsは、誤検出を避けるため一定以上の大きさであると共に、異常発熱部が発生しておれば、その変動値が温度飽和区間において必ず当該閾値以上となるような値に予め設定されるものであって、本実施の形態のように発熱領域を5等分して検出するような場合には、例えば、5℃程度に設定される。
もし、「Tmax−Tmin>ΔTs」であれば(ステップS19でYES)、異常発熱部が発生していると判断し(ステップS23)、定着ベルト51への電力供給部6による電力供給を停止させ(ステップS24)、操作パネル部70の液晶表示部などに異常発熱部が発生した旨を表示させて(ステップS25)、メインフローチャートにリターンする。
もし、ステップS19において、「Tmax−Tmin>ΔTs」ではないと判定されれば(ステップS19でNO)、定着ベルト51の全周分の温度検出が終了したか否かを判定し(ステップS20)、まだ、全周分の温度検出が終了していなければ(ステップS20でNO)、nを「1」だけインクリメントして(ステップS26)、次の検出温度Tnについて上記ステップS15〜ステップS19までの比較処理を繰り返す。
そして、定着ベルト51の全周分の検出が終了しても、異常発熱部の発生が確認できなかった場合には(ステップS20でYES)、リップル低減温度制御を終了して(ステップS21)、ウォームアップ制御を開始する(ステップS22)。
以上で異常発熱部検出処理を終了し、不図示のメインフローチャートにリターンする。
このように本実施の形態では、ウォームアップの開始に先立ち、リップル低減温度制御を実行して、温度飽和状態の区間を創出し、当該区間において異常発熱部の検出処理を実行するので、その区間の温度変化がほぼ異常発熱部による温度変化のみとなり、異常発熱部の検出精度が非常に向上する。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)リップル低減温度制御において供給する電力について
上記実施の形態では、ウォームアップ開始に先立ち、リップル低減温度制御を実行する際に供給する電力(以下、「リップル低減時電力」という。)として200Wの電力を連続して定着ベルト51に供給して温度飽和区間Dsを得るようにした(図8(a))。これは、電源が投入されて最初にウォームアップが開始される場合など、定着ベルト51の温度が室温とほぼ同じか、温度飽和時における100℃よりも十分低いことを前提として例示したものである。
このリップル低減時電力は、定着時の目標温度未満の温度で温度飽和が生じる電力であればよい。温度飽和時の温度を定着時の目標温度を以上としても、無駄に電力を消費するだけであり、また、高温になれば定着ベルト51を含め周囲の部材にダメージを与えるおそれもあるからである。そのため、上記のように定着ベルト51の温度が、まだ目標温度まで到達しないウォームアップの際にリップル低減温度制御を行って異常発熱部の検出処理を行うことは、節電の観点から見て大変合理的である。
なお、リップル低減時電力として、ウォームアップ制御時と同じ電力(上記実施の形態では1000W)を供給しては、定着ベルト51の温度は上昇する一方なので、当該電力よりも低い電力である必要があり、具体的に、20W〜220W程度とすれば、定着時の目標温度に到達するまでの適当な温度で温度飽和の状態に到らせることができる。
(2)リップル低減温度制御の実行時期について
(2−1)上記実施の形態では、ウォームアップ開始直前に先立ち、リップル低減温度制御を実行して異常発熱部の検出処理を行ったが、ウォームアップ制御の途中に、リップル低減温度制御を行って、異常発熱部検出処理を行うことも可能である。この場合には、当該リップル低減温度制御開始時の定着ベルト51の表面温度より高く、定着温度よりも低い温度で温度飽和が実現できるように定着ベルト51に供給する電力が決定される。
そのため、ウォームアップ制御により予め決定した温度まで上昇したときに、リップル低減温度制御に切り換えるようにし、そのときに上記条件を満たす電力を予め求めておいて、ROM66内に格納しておけばよい。
(2−2)さらには、ウォームアップの機会以外でも異常発熱部検出処理を行うようにすることも可能である。
定着ベルト51に傷が付くのは、主にステープルが付いたままの記録シートを使用した場合や、ジャム処理の際ユーザが不適切な処理を行った場合がほとんどである。前者の場合にもステープル止めされた2枚以上の記録シートが搬送されるため結局はジャムが発生する。
通常のプリンタにおいては、安全のため、ユーザがプリンタ1のメンテナンス用の前扉(不図示)などを開放すると定着ベルト51への電力供給が停止し、ジャム処理終了後に前扉を閉めると電力供給が再開してウォームアップを開始するように構成されているので、上記のようにウォームアップ開始に際して異常発熱部検出処理するようにすれば十分であるといえる。
しかし、念のため、一定の時間経過ごとに、もしくはプリント枚数が所定枚数を超えるごとに、一旦定着ベルト51に供給する電源をオフにして、その表面温度が所定の温度まで低下したときに、リップル低減温度制御して異常発熱部の検出処理を実行しても構わない。
(3)上記実施の形態においては、リップル低減温度制御において定着ベルト51の温度が温度飽和になるような電力を供給して、温度が一定になるように制御したが、完全に一定である必要はなく、多少温度リップルが生じても、その赤外線センサによる検出値の変動量が、異常発熱部が発生しているとみなされるときの赤外線センサの検出温度の変動量ΔT2(上記実施の形態では5℃)よりも小さければ、検出精度の維持は可能である。
さらには、定着可能温度において温調制御している際に生じる温度リップルの変動量Δt1よりも、リップル低減温度制御時における温度リップルの変動量が小さければ、少なくとも従来よりは、異常発熱部の検出が容易になると言える。
(4)上記実施の形態では、温度センサ群57としてサーモパイルを使用した赤外線センサを5個使用したが、使用する赤外線センサの検出視野角の大きさや、定着ベルト51の発熱領域の幅によってその個数が決定される。
コストダウンの実質的な効果を得るためには、この検出視野角β(図5参照)が、少なくとも7°以上であることが望ましく、また、検出視野角が広過ぎると温度の検出精度が劣化するので、20°以下であることが望ましい。特に、赤外線センサの押圧ローラ52と直交する方向における検出領域が定着ベルト51の表面からはみ出さないようにすることが望ましい。定着ベルト51以外の物体からの赤外線が入射して誤検出するおそれがあるからである。この点、一つの方向(定着ベルト51の幅方向)のみに検出視野角が広がるような平凸レンズが受光部に付された赤外線センサを用いるのが望ましい。
なお、温度センサ群57における各赤外線センサは、1個のセンサ内に複数のサーモパイル素子からなるサーモパイルアレイを内蔵すると共に、受光面に複数の凸レンズを形成して各サーモパイル素子の検出領域を異ならせるように構成にしたものを利用してもよい。
このようなサーモパイルアレイを利用した赤外線センサは、単体のサーモパイルを内蔵した赤外線センサに対して価格が高いが、検出視野角がさらに広がるため、使用する個数をなお一層減少でき、場合によっては1個でも全領域を検出できるので、全体としてはコストダウンを図れる。
さらには、赤外線センサ内部の赤外線検出素子として、サーモパイル以外の素子であってもよく、例えばフォトダイオードなどであってもよい。
(5)上記実施の形態では、定着ベルト51の温調制御用の温度センサとして赤外線センサ573を兼用したが、赤外線センサ573とは別に、温調制御専用の温度センサを設けてもよい。この場合の温度センサは、広視野角の赤外線センサである必要はなく、例えば、安価な接触型サーミスタであっても構わない。
(6)上記実施の形態では、加熱回転体として、抵抗発熱体層を有する定着ベルト51を用いた構成を示したが、加熱回転体に抵抗発熱体層を有するローラを用いた構成としてもよい。
また、定着ベルト51が、絶縁層、抵抗発熱体層、弾性層および離型層がこの順で積層された積層構造を有する構成を示したが、これに限定するものではなく、定着装置の仕様に応じて、定着ベルトの構成を適宜選択することができる。
(7)上記実施の形態では、画像形成装置として、タンデム型フルカラープリンタを用いて説明したが、本発明の適用範囲は、これに限らず、抵抗発熱体を用いた定着装置を有する複写機、ファクシミリ装置、プリンタなどに適用することができる。
また、上記実施の形態及び変形例の内容は、可能な限り組み合わせても構わない。
本発明は、抵抗発熱体層を有する定着ベルトを用いた定着装置において、定着ベルトの異常発熱部の発生を検出する技術として好適である。
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y,3M,3C,3K 作像部
4 給紙部
5 定着部
6 電源供給部
10 露光走査部
11 中間転写ベルト
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 一次転写ローラ
41 給紙カセット
45 二次転写ローラ
51 定着ベルト
52 押圧ローラ
53 加圧ローラ
54a,54b 給電部材
57 温度センサ群
515a,515b 電極
571〜575 赤外線温度センサ
60 制御部

Claims (6)

  1. 抵抗発熱体層を有する加熱回転体の周面に加圧部材を押圧させてニップ部を形成し、当該ニップ部に、未定着画像が形成された記録シートを通紙して熱定着させる定着装置であって、
    前記加熱回転体の抵抗発熱体層に電力を供給する電源手段と、
    前記加熱回転体の表面温度が定着可能な目標温度になるように前記電源手段による電力の供給を制御する第1の温度制御と、前記第1の温度制御の実行時よりも温度リップルが小さくなるように前記電源手段による電力の供給を制御する第2の温度制御と、を選択的に実行する温度制御手段と、
    所定角度以上の検出視野角を有する温度検出素子を、その検出領域が前記加熱回転体の発熱領域を、記録シートの通紙方向と直交する方向において網羅するように、1または複数個配設してなる温度検出手段と、
    前記温度検出手段からの出力結果に基づき、加熱回転体の周面に異常発熱部が発生しているか否かを判定する異常発熱判定手段と、
    を備え、
    前記温度制御手段は、前記第2の温度制御において、当該第2の温度制御時に生じる温度リップルを温度検出手段の検出したときの温度変化量が、前記異常発熱部を温度検出手段で検出したときにおける温度変化量よりも小さくなるように前記電源手段による電力の供給を制御すると共に、
    前記異常発熱判定手段は、前記第2の温度制御が実行されている間において前記温度検出手段により検出された温度検出結果に基づき、異常発生部の発生の有無を判定する
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記第2の温度制御時において、前記電源手段により供給される電力の大きさは、単位時間において加熱回転体から失われる熱量と電力供給による抵抗発熱体層による発熱量が等しくなって温度飽和状態を生じさせるような値に設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記温度飽和状態でおいて維持される定着ベルトの表面温度は、前記定着可能な目標温度よりも低い
    ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. ウォームアップ開始のタイミングであるか否かを判定するウォームアップ判定手段を備え、
    前記温度制御手段は、前記ウォームアップ判定手段によりウォームアップ開始のタイミングであると判定された場合に、まず、第2の温度制御を実行して、異常発熱判定手段により加熱回転体の周面に異常発熱部が発生しているか否かの判定をさせ、その後、加熱回転体の表面温度を第1の温度制御における目標温度まで立ち上げる第3の温度制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記温度検出素子は、赤外線温度センサである
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の定着装置。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
JP2011050612A 2011-03-08 2011-03-08 定着装置および画像形成装置 Expired - Fee Related JP5609717B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011050612A JP5609717B2 (ja) 2011-03-08 2011-03-08 定着装置および画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011050612A JP5609717B2 (ja) 2011-03-08 2011-03-08 定着装置および画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012189626A JP2012189626A (ja) 2012-10-04
JP5609717B2 true JP5609717B2 (ja) 2014-10-22

Family

ID=47082902

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011050612A Expired - Fee Related JP5609717B2 (ja) 2011-03-08 2011-03-08 定着装置および画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5609717B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5980057B2 (ja) * 2012-09-04 2016-08-31 キヤノン株式会社 像加熱装置
JP6351251B2 (ja) * 2013-12-18 2018-07-04 キヤノン株式会社 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
JP2016090807A (ja) * 2014-11-05 2016-05-23 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001004574A (ja) * 1999-06-24 2001-01-12 Toshiba Corp コーティング部材の界面欠陥検査方法
JP2002169393A (ja) * 2000-12-04 2002-06-14 Canon Inc 加熱装置及びこの加熱装置を備える画像形成装置
JP2003066761A (ja) * 2001-08-23 2003-03-05 Konica Corp 定着装置
JP2006119330A (ja) * 2004-10-21 2006-05-11 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置
JP2009075375A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Ricoh Co Ltd 電子写真式印刷装置の定着装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012189626A (ja) 2012-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11269274B2 (en) Heating device with a non-conveyance span temperature detector
JP5963105B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2013178472A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2020016840A (ja) 画像形成装置
JP2014178636A (ja) 定着装置、画像形成装置
JP2013114132A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP5609717B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2006047739A (ja) 画像形成装置
JP2015125165A (ja) 画像形成装置及び定着装置
JP2020024348A (ja) 画像形成装置
JP5161140B2 (ja) 定着装置、及びそれを備えた画像形成装置
JP6137731B2 (ja) 画像形成装置
JP2007047558A (ja) 加熱定着装置
JP5541206B2 (ja) 定着装置、画像形成装置、定着装置の制御方法、および定着装置の制御プログラム
JP5409060B2 (ja) 定着装置及びそれを備えた画像形成装置
JP2012159612A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2007163858A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2020016747A (ja) 加熱装置、定着装置及び画像形成装置
JP2020024349A (ja) 加熱装置、定着装置及び画像形成装置
JP6018986B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2014191137A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2015036784A (ja) 画像形成装置
JP2005043789A (ja) 画像定着装置
JP4877316B2 (ja) 画像形成装置
JP2022183257A (ja) 画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130417

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140609

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20140609

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5609717

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees